(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037416
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】コネクタホルダおよび該コネクタホルダを備えたワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H01R 13/73 20060101AFI20220302BHJP
H02G 3/32 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
H01R13/73 A
H02G3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141543
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】東山 正弘
(72)【発明者】
【氏名】奥本 一哉
【テーマコード(参考)】
5G363
【Fターム(参考)】
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】取付け箇所に取り付けるための構造を備えていないコネクタを、該コネクタホルダに備えた取付け部を介して車体等に設けられた取付け箇所に取り付けること。
【解決手段】ケーブル5における軸方向Xの先端側(Xb)に設けられたコネクタ4を保持するとともに、所定の取付け箇所2Aに取り付けるクリップ15を有するホルダ本体10と、該ホルダ本体10に取り付けて、コネクタ4を収容する収容空間9をホルダ本体10と共に形成するカバー20とで構成され、収容空間9に収容したコネクタ4を軸方向Xにおいて保持する軸方向保持部13,22が備えられ、軸方向保持部13は、ホルダ本体10における軸方向Xの一方側Xaに備えられ、軸方向保持部22は、カバー20における軸方向Xの他方側Xbに備えられ、これら軸方向保持部13,22によって、コネクタ4を軸方向Xの両側から保持する構成とした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルにおける軸方向の先端に設けられたコネクタを保持して、所定の取付け箇所に取り付けるコネクタホルダであって、
上記取付け箇所に取り付ける取付け部を有するホルダ本体と、
該ホルダ本体に取り付けて、上記コネクタを収容する収容空間を形成するカバーとで構成され、
上記収容空間に収容した上記コネクタを上記軸方向において保持する軸方向保持部が備えられ、
上記軸方向保持部は、
上記ホルダ本体における上記軸方向の一方側と、上記カバーにおける上記軸方向の他方側に備えられ、
上記ホルダ本体側の軸方向保持部と上記カバー側の軸方向保持部とで、上記コネクタを上記軸方向の両側から保持する構成とした
コネクタホルダ。
【請求項2】
上記ホルダ本体における、上記収容空間を隔てて上記カバーを有する側と反対側には、上記取付け部が設けられたホルダベース部が備えられ、
上記ホルダ本体側の軸方向保持部は、上記ホルダベース部の上記軸方向の両端のうち一方側端にのみ設けられるとともに、上記ホルダベース部から上記カバーに向けて突出形成された
請求項1に記載のコネクタホルダ。
【請求項3】
上記取付け部は、上記ホルダベース部から上記収容空間の側と反対側へ延びる取付け基部と、該取付け基部から上記軸方向の両側へ突出する取付け突片部とが備えられており、
上記ホルダベース部の上記軸方向の少なくとも何れかの側には、上記軸方向に延出し、上記取付け突片部を覆う延出部が設けられた
請求項2に記載のコネクタホルダ。
【請求項4】
上記カバーには、上記収容空間を隔てて上記ホルダベース部と対向するカバーベース部が備えられ、
上記カバー側の軸方向保持部は、上記カバーベース部の上記軸方向の両端のうち他方側端にのみ設けられ、
上記カバーベース部は、上記軸方向の一方側において、上記収容空間に収容された状態の上記コネクタの上記軸方向の一方側に設けられたロック解除部が露出する長さに形成された
請求項2又は3に記載のコネクタホルダ。
【請求項5】
上記ホルダ本体に、上記コネクタを上記軸方向に直交する方向から上記収容空間へと挿入する挿入開口が設けられるとともに、
上記カバーは、上記挿入開口を覆うように上記ホルダ本体に取り付けられ、
上記ホルダ本体に、上記挿入開口から上記コネクタを挿入する挿入方向及び上記軸方向に直交する幅方向の両側から上記コネクタを保持する幅方向保持部が設けられ、
上記幅方向保持部は、上記ホルダ本体の内面から上記幅方向の内側に突出するとともに上記挿入方向に沿う形状に形成された
請求項1乃至4の何れか1項に記載のコネクタホルダ。
【請求項6】
上記カバーには、上記コネクタを上記挿入方向へ押圧する押圧バネが設けられた
請求項5に記載のコネクタホルダ。
【請求項7】
上記幅方向保持部は、上記軸方向に互いに離間するように複数設けられ、
上記押圧バネは、上記カバーの上記軸方向における、複数の上記幅方向保持部の間に設けられた
請求項6に記載のコネクタホルダ。
【請求項8】
上記カバーは、上記収容空間に収容された状態の上記コネクタ側に設けられた凹所を覆うように形成され、
上記カバーの上記軸方向における、上記凹所に対応する部位に、該凹所に入り込む突出部が突出形成された
請求項1乃至7の何れか1項に記載のコネクタホルダ。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のコネクタホルダと、
上記取付け箇所への取付け部および上記コネクタホルダへの装着部を有しない上記コネクタと、
上記軸方向の先端に上記コネクタが設けられた上記ケーブルと、を備えたワイヤハーネスにおいて、
上記コネクタは、上記コネクタホルダ側の軸方向保持部によって上記軸方向に保持された状態で、上記コネクタホルダに備えた上記取付け部を介して上記取付け箇所に取り付けられた
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ケーブルにおける軸方向の先端に設けられたコネクタを保持して、所定の取付け箇所に取り付けるコネクタホルダおよび該コネクタホルダを備えたワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に配策されたワイヤハーネスに適用されるコネクタは、相手側コネクタに接続されるのみならず、コネクタハウジングに設けられた車体側取付け部を介して車両に設けられた所定の取付け箇所に取り付け固定される構成のものが従来より知られている。
【0003】
一般に上記所定の取付け箇所は、車両におけるワイヤハーネスの配策経路に沿って複数設定されており、夫々の取付け箇所には、例えば、クリップ(「アンカー」とも称する)等の車体側取付け部を係止する取付け穴が形成されている。
【0004】
さらに、複数の上記所定の取付け箇所は、例えば、本来取り付けられるべき車体側取付け部とは異なる車体側取付け部が誤って取り付けられることがないように、夫々異なる形状、大きさで形成されていることが多い。
【0005】
このため、コネクタは、複数の上記所定の取付け箇所の夫々の形状、大きさに対応する車体側取付け部を備えた様々なタイプのものを準備する必要があり、品質管理が煩雑になるおそれがあった。
【0006】
このような課題に対して特許文献1に例示されるようなコネクタホルダが提案されている。
特許文献1のコネクタホルダは、コネクタに設けられた既存のブラケット装着部(車体側取付け部)に嵌合固定される嵌合部を備えることで、既存のブラケット装着部を利用してコネクタを保持する構成としている。
【0007】
さらに、特許文献1のコネクタホルダは、上記ブラケット装着部とは構成が異なる代替ブラケット装着部を備えることで、既存のブラケット装着部が、車両における所定の取付け箇所に対して、その形状、大きさが対応しないために取り付けられない場合にも、当該所定の取付け箇所に代替ブラケット装着部を取り付け可能としている。
【0008】
すなわち、特許文献1のコネクタホルダは、コネクタを保持しつつ、代替ブラケット装着部を介して所定の取付け箇所に設けられた取付け穴に取り付けることで、複数の所定の取付け箇所の夫々の形状、大きさの違いに応じて該コネクタを複数種類準備する煩わしさを低減する効果が期待できる。
【0009】
ここで上述したように、車両に設けられた複数の上記所定の取付け箇所は、夫々異なる形状、大きさで形成され、また、それに伴って既存のコネクタは、複数の上記所定の取付け箇所の夫々の形状、大きさに対応する車体側取付け部を備えた様々なタイプのものが存在する。
【0010】
しかしながら、特許文献1のコネクタホルダのように、既存のブラケット装着部を利用してコネクタを保持する構成である場合、該コネクタホルダに設けられた嵌合部は、既存のブラケット装着部の形状、大きさによっては、すなわち、既存のコネクタのタイプによっては適切に嵌合固定できないおそれがある。
【0011】
このため、特許文献1のコネクタホルダは、代替ブラケット装着部が、様々な大きさ、形状の取付け穴に対応する必要があることに加えて、嵌合部についても既存のコネクタの様々な既存のブラケット装着部に対応する必要がある。
【0012】
従って、特許文献1のコネクタホルダは、代替ブラケット装着部(車体取付け部)と嵌合部(コネクタ保持部)との双方の組み合わせを満たすように複数のバリエーションを準備する必要があるため、結果としてコネクタホルダ自体の品質管理が煩雑になるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、取付け箇所に取り付けるための構造を備えていないコネクタを、該コネクタホルダに備えた取付け部を介して車体等に設けられた取付け箇所に取り付けることができるコネクタホルダおよび該コネクタホルダを備えたワイヤハーネスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、ケーブルにおける軸方向の先端に設けられたコネクタを保持して、所定の取付け箇所に取り付けるコネクタホルダであって、上記取付け箇所に取り付ける取付け部を有するホルダ本体と、該ホルダ本体に取り付けて、上記コネクタを収容する収容空間を形成するカバーとで構成され、上記収容空間に収容した上記コネクタを上記軸方向において保持する軸方向保持部が備えられ、上記軸方向保持部は、上記ホルダ本体における上記軸方向の一方側と、上記カバーにおける上記軸方向の他方側に備えられ、上記ホルダ本体側の軸方向保持部と上記カバー側の軸方向保持部とで、上記コネクタを上記軸方向の両側から保持する構成とされたものである。
【0016】
上記構成によれば、取付け箇所に取り付けるための構造を備えていないコネクタを、該コネクタホルダに備えた取付け部を介して車体等に設けられた取付け箇所に取り付けることができる。
【0017】
この発明の態様として、上記ホルダ本体における、上記収容空間を隔てて上記カバーを有する側と反対側には、上記取付け部が設けられたホルダベース部が備えられ、上記ホルダ本体側の軸方向保持部は、上記ホルダベース部の上記軸方向の両端のうち一方側端にのみ設けられるとともに、上記ホルダベース部から上記カバーに向けて突出形成されたものである。
【0018】
上記構成によれば、上記ホルダベース部の上記軸方向の一方側端にのみ設けられた、簡単な構造の上記ホルダ本体側の軸方向保持部によって、上記軸方向におけるコネクタの一方側への移動を規制することができる。
【0019】
また上記構成によれば、上記ホルダベース部の上記軸方向の他方側には、上記ホルダ本体側の軸方向保持部を有しない構成とすることができるため、収容空間は、上記ホルダベース部の上記軸方向の他方側が上記ホルダ本体側の軸方向保持部によって遮られることなく上記軸方向の他方側へ向けて開放することができる。
【0020】
よって、相手側ケーブルの先端に設けられた相手側コネクタを、コネクタに対して、上記軸方向の他方側から接続する場合には、上記ホルダ本体側の軸方向保持部が相手側コネクタの接続に支障をきたすことがなく、スムーズに接続することができる。
【0021】
この発明の態様として、上記取付け部は、上記ホルダベース部から上記収容空間の側と反対側へ延びる取付け基部と、該取付け基部から上記軸方向の両側へ突出する取付け突片部とが備えられており、上記ホルダベース部の上記軸方向の少なくとも何れかの側には、上記軸方向に延出し、上記取付け突片部を覆う延出部が設けられたものである。
【0022】
上記構成によれば、上記ホルダベース部の上記軸方向の少なくとも何れかの側において、上記取付け部に備えた取付け突片部が、収容空間よりも突出する場合であっても、上記取付け突片部を延出部によって覆うことができる。
【0023】
これにより、上記ホルダベース部の上記軸方向における、延出部を設けた側が、上記ケーブルが接続される側である場合には、上記ケーブルと上記取付け突片部との間に、延出部を介在させることができる。
【0024】
一方、上記ホルダベース部の上記軸方向における、延出部を設けた側が、相手側ケーブルが接続される側である場合には、上記相手側ケーブルと上記取付け突片部との間に、延出部を介在させることができる。
【0025】
すなわち、何れの場合も、取付け部がケーブル又は相手側ケーブルと干渉して不用意に変形することがなく、コネクタホルダを、取り付け部を介して所定の取付け箇所へしっかり取り付けることができる。
【0026】
この発明の態様として、上記カバーには、上記収容空間を隔てて上記ホルダベース部と対向するカバーベース部が備えられ、上記カバー側の軸方向保持部は、上記カバーベース部の上記軸方向の両端のうち他方側端にのみ設けられ、上記カバーベース部は、上記軸方向の一方側において、上記収容空間に収容された状態の上記コネクタの上記軸方向の一方側に設けられたロック解除部が露出する長さに形成されたものである。
【0027】
上記構成によれば、カバーが閉塞され、コネクタがカバーとホルダ本体とで保持されている状態においても、上記収容空間に収容された状態のコネクタに設けられたロック解除部に、作業者は工具等を用いてアクセスすることができる。
【0028】
よって、上記構成によれば、上記ホルダ本体側の軸方向保持部と上記カバー側の軸方向保持部とで、上記コネクタを上記軸方向の両側から保持しながら、コネクタに相手側コネクタが接続されている場合には、該相手側コネクタを容易に取り外すことができる。
【0029】
また、上記ホルダ本体側の軸方向保持部は、上記ホルダベース部の上記軸方向の一方側端にのみ設けられるとともに、上記カバー側の軸方向保持部は、上記カバーベース部の上記軸方向の他方側端にのみに設けられた構成であるため、極力少ない簡単な構造によって、コネクタを上記軸方向の両側から効率的に保持することができる。さらに、コネクタホルダにコネクタを装着する際に、上記ホルダ本体側の軸方向保持部と上記カバー側の軸方向保持部とが邪魔になることがなく、容易に装着することができる。
【0030】
この発明の態様として、上記ホルダ本体に、上記コネクタを上記軸方向に直交する方向から上記収容空間へと挿入する挿入開口が設けられるとともに、上記カバーは、上記挿入開口を覆うように上記ホルダ本体に取り付けられ、上記ホルダ本体に、上記挿入開口から上記コネクタを挿入する挿入方向及び上記軸方向に直交する幅方向の両側から上記コネクタを保持する幅方向保持部が設けられ、上記幅方向保持部は、上記ホルダ本体の内面から上記幅方向の内側(中央側)に突出するとともに上記挿入方向に沿う形状に形成されたものである。
【0031】
上記構成によれば、幅方向保持部によって、コネクタが収容空間に位置するように位置規制することができる。
【0032】
また、幅方向保持部は、上記軸方向と直交する挿入方向に沿って延びるため、上記軸方向に延びるコネクタとの接触抵抗を極力減らすことができ、コネクタの軸方向へのスムーズな移動を極力阻害しない構成とすることができる。
【0033】
よって、コネクタが収容空間に対して上記軸方向に位置ずれた位置に挿入された場合においても、コネクタを上記軸方向にスムーズに移動させて上記軸方向のずれを容易に解消することができる。
【0034】
従って上記構成によれば、コネクタを上記軸方向および上記幅方向に位置ずれしないように収容空間における適切な位置に収容させることができる。
【0035】
この発明の態様として、上記カバーには、上記コネクタを上記挿入方向へ押圧する押圧バネが設けられたものである。
【0036】
上記構成によれば、押圧バネによってコネクタを挿入方向へ押圧することで、収容空間に収容されたコネクタの挿入方向又は脱出方向における隙間(ガタ)を無くすことができる。
【0037】
さらに、幅方向保持部が例えば、上記挿入方向に沿って徐々に上記幅方向の間隔が徐々に狭まる形状で形成されている場合には、押圧バネによってコネクタを挿入方向へ押圧することで、幅方向保持部による幅方向の保持力を高めることができる。
【0038】
この発明の態様として、上記幅方向保持部は、上記軸方向に互いに離間するように複数設けられ、上記押圧バネは、上記カバーの上記軸方向における、複数の上記幅方向保持部の間に設けられたものである。
【0039】
上記構成によれば、押圧バネによるコネクタの押圧力を利用して、軸方向に互いに離間する複数の幅方向保持部の夫々によってコネクタをバランスよく幅方向に位置決めすることができる。
【0040】
この発明の態様として、上記カバーは、上記収容空間に収容された状態の上記コネクタ側に設けられた凹所を覆うように形成され、上記カバーの上記軸方向における、上記凹所に対応する部位に、該凹所に入り込む突出部が突出形成されたものである。
【0041】
上記構成によれば、コネクタがコネクタホルダによって保持される際に、コネクタに、上記軸方向において方向性を持たせることができる。よって、コネクタが軸方向において適切な向きに対して反転した向きでコネクタホルダに保持されることを防ぐことができる。
【0042】
さらに、カバーがホルダ本体に対して分離可能な構成の場合、すなわち、カバーがホルダ本体に対してヒンジによって連結されていない構成である場合には、該カバーがホルダ本体に対して、上記軸方向において適切な向きに対して反転した向きに取り付けられることを防ぐことができる。
【0043】
この発明は、上述したコネクタホルダと、上記取付け箇所への取付け部および上記コネクタホルダへの装着部を有しない上記コネクタと、上記軸方向の先端に上記コネクタが設けられた上記ケーブルと、を備えたワイヤハーネスにおいて、上記コネクタは、上記コネクタホルダ側の軸方向保持部によって上記軸方向に保持された状態で、上記コネクタホルダに備えた上記取付け部を介して上記取付け箇所に取り付けられたものである。
【0044】
上記構成によれば、取付け部や装着部を有しないコネクタを、コネクタホルダに対して上記軸方向にずれないように保持した状態で取付け箇所に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0045】
上記構成によれば、取付け箇所に取り付けるための構造を備えていないコネクタを、該コネクタホルダに備えた取付け部を介して車体等に設けられた取付け箇所に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本実施形態のコネクタホルダを介してコネクタを、車両における所定の取付け箇所に取り付けた状態を示す斜視図。
【
図2】コネクタを収容した状態の本実施形態のコネクタホルダを、軸方向の一方側かつ上方から視た斜視図。
【
図3】コネクタを収容した状態の本実施形態のコネクタホルダを、軸方向の他方側かつ下方から視た斜視図。
【
図4】コネクタを収容直前における本実施形態のコネクタホルダを軸方向の一方側かつ上方から視た斜視図。
【
図5】コネクタを収容直前における本実施形態のコネクタホルダを軸方向の他方側かつ下方から視た斜視図。
【
図6】コネクタを収容した状態の本実施形態のコネクタホルダの幅方向の中央部分における拡大縦断面図。
【
図8】本実施形態のコネクタホルダの幅方向の中央部分における縦断面図(a)、カバーを開いた状態の本実施形態のコネクタホルダの平面図(b)。
【
図9】本実施形態のコネクタホルダを介してコネクタを、車両における所定の取付け箇所に取り付ける手順を説明する説明図。
【
図10】本発明の変形例に係るコネクタホルダを
図6に対応して示した断面図。
【
図11】車体への取付け部が設けられていないタイプのコネクタを車体へ取り付けるための従来構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図中において、矢印Xは軸方向を、矢印Yは幅方向を、矢印Zは高さ方向(上下方向)を、夫々示している。矢印Xaは軸方向一方を、矢印Xbは軸方向他方を、矢印Yaは幅方向一方を、矢印Ybは幅方向他方を、矢印Zaは上方向を、矢印Zbは下方向を、夫々示している。
【0048】
図1に示すように、本実施形態のコネクタホルダ1は、コネクタ4(当例では雌コネクタ4)を保持した状態で車両における所定の取付け箇所2Aに取り付けられている。
本実施形態のコネクタホルダ1については後述する。
コネクタ4は、ワイヤハーネス3に備えた複数の幹線(図示省略)から成るハーネス本体3Aから分岐する枝線としてのケーブル5の先端に設けられている。
【0049】
コネクタ4は、軸方向Xの他方側Xbから、すなわち、ケーブル5が延出される側とは反対側に設けられた接続開口部4A(
図3、
図5、
図6参照)に、円筒状の相手側コネクタ6(当例では雄コネクタ)(
図1、
図9(a)(b)参照)を嵌合可能に形成されている。コネクタ4は、相手側コネクタ6を内部に嵌合した状態において、内部に備えた端子5c(
図6参照)と相手側コネクタ6の内部に備えた端子(図示省略)とが電気的に接続される。相手側コネクタ6は、相手側ケーブル7の先端に設けられている(
図1、
図9(a)参照)。
【0050】
なお、
図6に示すように、ケーブル5と相手側ケーブル7とは何れも、軸線方向に沿って延びる導体5aを絶縁被覆5bで被覆して形成され、夫々の先端は、絶縁被覆5bを剥がして導体5aが露出されており、露出した導体5aに端子5cが圧着等により接続されている(ケーブル5のみ図示)。
【0051】
図4、
図6に示すように、コネクタ4の上壁41は、軸方向Xの一方側Xaの部位42(一方側上壁42)が他方側Xbの部位43(他方側上壁43)と比して一段低く形成されている。
【0052】
図6に示すように、一方側上壁42は、該一方側上壁42の軸方向Xの他方側Xbの端部(すなわち他方側上壁43の側)に位置する基部44と、該基部44よりも軸方向Xの一方側Xaに位置するロック解除部45とを備えている。ロック解除部45は、一方側上壁42の基部44からコネクタ4(コネクタハウジング40)の軸方向Xの一方側Xaの端部まで延びる弾性片により形成されている。
【0053】
コネクタ4は、ロック解除部45を下方へ弾性変形(撓み変形)させるロック解除操作により、相手側コネクタ6のロック部(図示省略)との嵌合が解除され、該相手側コネクタ6の取り外しが可能となるように形成されている。
【0054】
また、コネクタ4は、コネクタハウジング40の外面に、車体への取付け構造(車体側取付け部)や、コネクタホルダ1への取付け構造(コネクタホルダ保持部)が設けられていない。具体的には、
図4~
図7に示すように、コネクタ4は、コネクタハウジング40全体が幅方向Yおよび高さ方向Zに対して軸方向Xの長さが長い略直方体に形成されている。換言すると、コネクタ4はコネクタハウジング40の略全体において、軸方向Xの直交断面が略四角形状になるように形成されている(
図7参照)。
【0055】
また、
図1に示すように、車両における上記所定の取付け箇所2Aは、車両に備えた車体剛性部材の一部を構成する鋼製パネル100の下部に設定され、該鋼製パネル100の下部には、取付け穴2a(
図9(a)(b)参照)が貫通形成されている。
【0056】
なお、
図1に示すように、鋼製パネル100は、所定の取付け箇所2A以外にも、取付け穴2b,2c…が複数貫通形成されている。
【0057】
鋼製パネル100に形成された複数の取付け穴2a,2b,2c…は、コネクタホルダ1や、車体取付け部を備えたコネクタが、夫々に対応する適切な取付け穴2a,2b,2c…に取り付けられるように夫々形状、大きさが異なるように形成されている。本実施形態においては例えば、
図1に示すように、取付け穴2aは所定の大きさを有する長穴形状に、取付け穴2bは所定の大きさを有する角穴形状に、取付け穴2cは所定の大きさを有する丸穴形状によって、夫々形成されている。
【0058】
続いて本実施形態のコネクタホルダ1について説明する。
図4、
図7に示すように、本実施形態のコネクタホルダ1は、軸方向Xの直交断面が上方Zaに向けて開口するように凹状の部分を備えたホルダ本体10と、ホルダ本体10の内部を上方Zaから覆うカバー20とを備えており、全体が合成樹脂による成形により一体形成されている。
【0059】
図2、
図4、
図5、
図7、
図8(b)に示すように、幅方向Yの一方側Yaの端部において、カバー20とホルダ本体10とにおける、高さ方向Zにおける対向部は、薄肉のヒンジ19によって互いに連結されている。
【0060】
これより、カバー20は、ホルダ本体10に対して軸方向Xに延びるヒンジ19(ヒンジ軸)を中心として回動することで、ホルダ本体10の内部が開閉するように形成されている。
なお、カバー20については、ホルダ本体10の内部(後述する挿入開口29(
図4参照))を閉塞した状態(以下、「カバー20が閉塞した状態」とも略記する)における姿勢に基づいて説明する。
【0061】
図7に示すように、ホルダ本体10の内部には、コネクタ4を収容する収容空間9が形成されており、カバー20が閉塞した状態において、収容空間9に収容されたコネクタ4は、軸方向X回りの全周がホルダ本体10および、閉塞した状態のカバー20によって抱え込むように保持される。
【0062】
図2~
図8(a)(b)に示すように、ホルダ本体10は、ホルダベース部11と、一対の側壁部12と、軸方向保持部13(
図2、
図4、
図6、
図8(a)(b)参照)と、幅方向保持部14(
図4~
図8(a)(b)参照)と、クリップ15とを備えて一体形成されている。
【0063】
図3、
図6、
図7に示すように、ホルダベース部11は、上方Zaが開口するホルダ本体10の下部全体に該ホルダ本体10の基底部を成すように平板状に形成されている。ホルダベース部11は、上面にコネクタ4を設置可能な大きさを有している。
【0064】
一対の側壁部12は、ホルダ本体10の幅方向Yの各側に、コネクタ4の幅方向Yの長さよりも間隔を隔てて互いに離間して形成されている。すなわち、一対の側壁部12は、これらの間に収容空間9が構成されるように、ホルダベース部11の幅方向Yの夫々に対応する端部から上方Zaへ縦壁状に突出形成されている(
図7参照)。
なお、
図2~
図5、
図8(a)(b)に示すように、一対の側壁部12は、軸方向Xの一方側Xaの部位12a(側壁部一方側部位12a)が他方側Xbの部位12b(側壁部他方側部位12b)と比して一段低く形成されている。
図7に示すように、側壁部他方側部位12bは、収容空間9に収容されたコネクタ4の他方側上壁43と略同じ高さになるように形成されている。一方、
図2に示すように、側壁部一方側部位12aは、収容空間9に収容されたコネクタ4の一方側上壁42よりも若干低くなるように形成されている。
【0065】
図2、
図4、
図6、
図8(a)(b)に示すように、軸方向保持部13は、ホルダ本体10の軸方向Xの一方側Xaの端部に形成されている。本実施形態において、軸方向保持部13は、ホルダベース部11の軸方向Xの一方側Xaの端部から上方Zaへ向けて縦壁状に突出形成されている。これにより、軸方向保持部13は、収容空間9に収容されたコネクタ4の軸方向Xの一方側Xaから係止可能に形成され、該のコネクタ4の一方側Xaへの移動を規制している。
【0066】
さらに、
図2、
図4、
図8(b)に示すように、軸方向保持部13は、一対の側壁部12を軸方向Xの一方側Xaの端部において互いに連結するように幅方向Yの全長に亘って連続して形成されている。これにより、軸方向保持部13は、ホルダベース部11の軸方向Xの一方側Xaの壁部として形成されている。
【0067】
但し、軸方向保持部13は、コネクタ4から軸方向Xの一方側Xaへ延出するケーブル5の延出部分の下縁形状に対応させて、上端の幅方向Yの中央部分を下方Zbへ弧状に凹ませた逃げ部13aが形成されている。
これにより、軸方向保持部13は、コネクタ4から軸方向Xの一方側Xaへ延出するケーブル5との干渉を回避している。
【0068】
一方、
図3、
図5、
図6、
図8(a)(b)に示すように、ホルダ本体10の軸方向Xの他方側Xbは、軸方向保持部13に相当する壁部が形成されていない。すなわち、ホルダベース部11の上面(内面)は、軸方向Xの他方側Xbについては平坦状に形成されている。
【0069】
これにより、ホルダ本体10は、相手側コネクタ6を、収容空間9に収容されたコネクタ4に対して軸方向Xの他方側Xbから接続し易いように該他方側Xbの間口が極力広くなるように形成されている。
【0070】
また、
図4、
図5、
図7に示すように、ホルダ本体10の内部に有する収容空間9は、上述したように、上方Zaへ向けて開口されている。この上方Zaへの開口部分は、コネクタ4を収容空間9へと挿入する挿入開口29として設けられている。
【0071】
ホルダ本体10に挿入開口29から下方Zbへ向けて挿入したコネクタ4は、収容空間9に収容された状態において、下面がホルダベース部11の上面(内面)に載置された状態となる(
図6、
図7参照)。
【0072】
また、
図4、
図7、
図8(a)(b)に示すように、幅方向保持部14は、ホルダ本体10における一対の側壁部12の各内面12cから収容空間9へ向けて突出するとともに高さ方向Zに沿って延びるリブ形状に形成されている。本実施形態において、幅方向保持部14は何れも、夫々に対応する側壁部12の内面12cに対して直交方向に突出形成されている(
図7、
図8(b)参照)。
これにより幅方向保持部14は、収容空間9に収容されたコネクタ4を幅方向Yの両側から保持する(
図7参照)。
【0073】
図4、
図6、
図8(a)(b)に示すように、幅方向保持部14は、幅方向Yの一方側Yaの側壁部12の内面12cと、幅方向Yの他方側Ybの側壁部12の内面12cとの夫々に軸方向Xに互いに離間するように複数(当例では2つ)設けられている。収容空間9の幅方向Yに対して各側に形成された一対の幅方向保持部14は、軸方向Xにおいて一致する箇所に形成されている(
図8(b)参照)。
【0074】
図4、
図7、
図8(a)に示すように、複数の幅方向保持部14は、何れも高さ方向Z、すなわち挿入方向に沿って延びるとともに、下部14aが、上部14bよりも収容空間9に向けてより長く突出形成されている。
幅方向保持部14の下部14aは、高さ方向Zの全長に亘って、夫々に対応する側壁部12の内面12cから収容空間9に向けて該収容空間9に収容されたコネクタ4(コネクタハウジング40)の幅方向Yの外面に相当する位置するまで突出形成されている。
【0075】
また、
図7に示すように、幅方向保持部14の上部14bは、その下端が下部14aと同じ突出長さになるように下方Zb程徐々に収容空間9に向けて突出するようにテーパー形状に形成されている。すなわち、一対の幅方向保持部14の上部14bは、挿入方向に沿って幅方向Yにおける互いの間隔が徐々に狭くなるように形成されている。
【0076】
これにより、幅方向保持部14の上部14bは、ホルダ本体10の挿入開口29から下方Zbへ向けて挿入されるコネクタ4が、収容空間9に適切に収容されるように幅方向Yに案内することができる。一方、幅方向保持部14の下部14aは、収容空間9に収容されたコネクタ4を幅方向Yにおいて規制することができる。
【0077】
また、
図3、
図5~
図7、
図8(a)に示すように、上述したクリップ(「アンカー」とも称する)15は、車体取付け部としてのクリップであり、ホルダ本体10におけるホルダベース部11から下方Zbへ突出形成されている。
【0078】
クリップ15は、クリップ本体15aと、係止突片15bと、抑え片15cとで一体形成されている。
クリップ本体15aは、ホルダベース部11における底面視で中央部から下方Zbへ向けて車両における所定の取付け箇所2Aに貫通された取付け穴2a(
図1参照)に差し込み可能に直線状に突出形成されている。
【0079】
図5、
図6に示すように、係止突片15bは、取付け穴2aにクリップ本体15aを差し込んだ状態において該取付け穴2aの縁部に係止可能にクリップ本体15aの先端側(下方側Zb)から上記軸方向Xの両側(クリップ本体15aの径外側)へ突出形成されている。
図5、
図7に示すように、抑え片15cは、係止突片15bと共に取付け穴2aの縁部を挟み込みが可能にクリップ本体15aの根元側から幅方向Yの両側(クリップ本体15aの径外側)へ突出形成されている。抑え片15cは高さ方向Zに弾性変形(撓み変形)可能に形成されている。
【0080】
続いてコネクタホルダ1に備えたカバー20について説明する。
図2~
図8(a)(b)に示すように、カバー20は、カバーベース部21(
図2、
図4~
図8(a)(b)参照)と軸方向保持部22(
図3~
図6、
図8(a)(b)参照)と幅方向一方側側壁部23(
図2、
図4、
図7、
図8(b)参照)と、を備えて一体形成されている。カバー20は、ホルダ本体10の幅方向Yの両側に形成された一対の側壁部他方側部位12bのうち、幅方向Yの一方側Yaの側壁部他方側部位12bに、上述したようにヒンジ19を介して連結されている。
【0081】
さらに、
図7に示すように、カバーベース部21は、カバー20が閉塞した状態において、ホルダ本体10のホルダベース部11と収容空間9を隔てて対向するとともに、コネクタホルダ1の上壁41に相当する。
図4、
図5、
図8(a)(b)に示すように、このようなカバーベース部21は、軸方向Xにおいてホルダ本体10の側壁部他方側部位12bと略一致する部位に備えている。
【0082】
これにより、
図6に示すように、カバーベース部21は、カバー20が閉塞した状態において、収容空間9に収容されたコネクタ4の上壁41における、他方側上壁43と、一方側上壁42の基部44とを上方Zaから覆うように設けられている。
すなわち、
図2、
図6に示すように、カバー20が閉塞した状態においても、収容空間9に収容されたコネクタ4の上壁41における、一方側上壁42の軸方向Xの一方側Xaに位置するロック解除部45については、カバー20によって覆われずに露出した状態となる。
【0083】
図6、
図7に示すように、カバー20は、閉塞した状態において、カバーベース部21の下面がコネクタ4の上壁41(他方側上壁43)に対して上方Zaに離間した位置に配される。これによりカバー20が閉塞した状態において、カバー20の直下の空間9u(
図7参照)は、収容空間9の一部を構成する。
【0084】
そして、
図2、
図4~
図8(a)(b)に示すように、カバーベース部21の平面視で中央部には、高さ方向Z(厚み方向)に貫通する貫通穴24が形成されるとともに、貫通穴24の軸方向Xの他方側Xbの縁部から一方側Xaへ向けて突出する押圧バネ25が形成されている。押圧バネ25は、突出方向の先端25a(軸方向Xの一方側Xaの端部)側程、下方Zbへ位置するように舌片状に形成されている。
【0085】
図6、
図7に示すように、押圧バネ25は、コネクタ4を収容空間9に収容するとともにカバー20が閉塞した状態において、先端25aがコネクタ4の他方側上壁43に当接する。
【0086】
これにより、押圧バネ25は、弾性変形し、弾性力を利用して収容空間9に収容されたコネクタ4を下方Zb、すなわち収容空間9の側へ付勢する。すなわち、押圧バネ25は、コネクタ4が収容空間9において高さ方向Zのクリアランスがある場合においても高さ方向Zにガタつくことがないように、該コネクタ4を下方Zbへ抑え込む構造としている。
【0087】
さらに、
図6に示すように、ホルダ本体10の軸方向Xにおいて本実施形態の押圧バネ25は、先端25aが、互いに離間して設けられた複数(当例では2つ)の幅方向保持部14の間に位置するように形成されている。これにより、押圧バネ25によりコネクタ4を下方Zbへ付勢した際に、軸方向Xに離間した幅方向保持部14の夫々によって、該コネクタ4を、バランスよく幅方向に位置規制することができる。
【0088】
また、
図4、
図6、
図8(a)(b)に示すように、カバーベース部21の軸方向Xにおける、平面視中央の貫通穴24よりも一方側の端部Xaには、カバー20が閉塞した状態において、下方Zbに向けて突出する突出部26が形成されている。
【0089】
ここで上述したように、コネクタ4の一方側上壁42は、他方側上壁43と比して一段低く形成されている(
図4、
図6参照)。このため、
図6に示すように、一方側上壁42の基部44の直上には、他方側上壁43に対して下方Zbへ凹んだ空間46(凹所46)を有している。
【0090】
そして、突出部26は、カバー20が閉塞した状態において、一方側上壁42の基部44の直上に有する凹所46に入り込むようにカバーベース部21の下面から下方Zbへ突出形成されている。すなわち、突出部26は、カバー20が閉塞した状態において、先端(下端)がコネクタ4の他方側上壁43の高さよりも下方Zbへ位置するようにコネクタ4の一方側上壁42の基部44に向けて突出形成されている。
【0091】
また、
図3~
図6、
図8(a)(b)に示すように、カバー20側の軸方向保持部22は、カバー20の軸方向Xの収容空間9に対して他方側Xbに形成されている。本実施形態において、軸方向保持部22は、カバーベース部21の軸方向Xの他方側Xbの端部から下方Zbへ向けて縦壁状に突出形成されている。これにより、軸方向保持部22は、収容空間9に収容されたコネクタ4を軸方向Xの他方側Xb側から係止され、該コネクタ4の他方側Xbへの移動を規制している。
【0092】
さらに、
図3~
図5、
図8(b)に示すように、軸方向保持部22は、カバーベース部21の軸方向Xの他方側Xbの端部における幅方向Yの全長に亘って形成されている。これにより、軸方向保持部22は、カバーベース部21の軸方向Xの他端側Xbの壁部として形成されている。
【0093】
但し、軸方向保持部22は、コネクタ4の軸方向Xにおける他方側Xbの端部に設けられた接続開口部4A(
図3、
図6参照)から接続される相手側ケーブル7の延出部分の上縁形状に対応させて、下端の幅方向Yの中央部分を上方Zaへ弧状に凹ませた逃げ部22aが形成されている。
これにより、軸方向保持部22は、コネクタ4に対して軸方向Xの他方側Xbから接続される相手側ケーブル7(
図8(a)(b)参照)との干渉を回避している。
【0094】
一方、
図2、
図4、
図6、
図8(a)(b)に示すように、カバーベース部21の軸方向Xの一方側Xaは、軸方向保持部22に相当する壁部が形成されていない。すなわち、カバーベース部21の上面(内面)の軸方向Xの一方側Xaについては、平坦状に形成されている。
【0095】
これにより、
図2、
図6に示すように、カバー20は、ケーブル5が、収容空間9に収容されたコネクタ4に対して軸方向Xの一方側Xaから延出し易いように軸方向Xの一方側Xaの間口が極力広くなるように形成されている。
【0096】
図2、
図7、
図8(b)に示すように、幅方向一方側側壁部23は、カバーベース部21の幅方向Yの一方側Yaの端部から下方Zbへ突出形成されており、その下端部には、ヒンジ19のカバー20側の端部と連結されている。
【0097】
図2~
図5、
図8(b)に示すように、ホルダ本体10側のカバー係止構造18は、カバー20が閉塞した状態において、カバー20側のカバー係止構造28に対して係止される嵌込み凹部18aによって形成されている。
【0098】
図2、
図4、
図7、
図8(b)に示すように、嵌込み凹部18aは、ホルダ本体10の幅方向Yの他方側Ybの側壁部12の側壁部他方側部位12bの上部に、幅方向Yの他方側Ybへ向けて平面視で枠状に延出形成され、その平面視中央部には、高さ方向Zに貫通する嵌込み穴18bが形成されている。嵌込み穴18bは、カバー20が閉塞した状態において、カバー20側のカバー係止構造28が嵌め込まれるように形成されている(
図2、
図3、
図7参照)。
【0099】
嵌込み凹部18aにおける嵌込み穴18bの縁部(当例では嵌込み穴18bの下縁部)には、嵌込み穴18bにカバー20側のカバー係止構造28を嵌め込んだ状態において、該カバー係止構造28と係止可能な被係止部18cが形成されている(
図3、
図7参照)。
【0100】
一方、
図2~
図5、
図8(b)に示すように、カバー20側のカバー係止構造28は、カバー20を閉塞した状態において、ホルダ本体10側のカバー係止構造18に係止される嵌込み突起28aによって形成されている。嵌込み突起28aは、カバーベース部21の幅方向Yの他方側Ybの端部から下方Zbへ突出形成されている(
図2、
図3、
図7参照)。カバー20を閉塞した状態において、カバー20側に設けられた嵌込み突起28aは、ホルダ本体10側に設けられた嵌込み凹部18aに嵌め込まれる(同図参照)。嵌込み突起28aの突出方向の先端部には、幅方向Yの他方側Ybへ向けて突出する係止突起28bが形成されている。
【0101】
そして、カバー20側の係止突起28bは、嵌込み突起28aを嵌込み凹部18aに嵌め込んだ状態において被係止部18cと係止される。
【0102】
なお、カバー係止構造18,28は、カバー20側の係止突起28bとホルダ本体10側の被係止部18cとを係止した状態においてカバー20を閉塞した状態に維持し、係止を解除した状態においてカバー20が開くことを許容する。
【0103】
続いて、作業者がコネクタ4を、上述した本実施形態のコネクタホルダ1を介して車両における所定の取付け箇所2Aへ取り付ける手順の一例について説明する。
図9(a)(b)は、本実施形態のコネクタホルダ1を介してコネクタ4を、車両における所定の取付け箇所2Aに取り付ける手順を説明する説明図であって、コネクタ4に相手側コネクタ6を差し込む前の状態、差し込んだ状態の夫々を示している。
【0104】
図9(a)(b)に示すように、作業者は、ケーブル5の先端に設けられたコネクタ4に相手側コネクタ6を差し込むことで(
図9(a)中の太矢印参照)、ケーブル5と相手側ケーブル7とを接続する。
【0105】
さらに、作業者は、コネクタホルダ1のカバー20を開いた状態とし(
図4、
図5参照)、相手側コネクタ6が接続された状態のコネクタ4を、ホルダ本体10の挿入開口29から収容空間9へ挿入する(
図4、
図5中の白抜き矢印参照)。なお、
図4、
図5中において相手側ケーブル7(相手側コネクタ6)の図示を省略している。
【0106】
その後、作業者がカバー20を閉塞することで、コネクタホルダ1は、収容空間9に収容されたコネクタ4を、ホルダ本体10とカバー20とで抱え込むようにして保持することができる(
図7参照)。
【0107】
具体的には、カバー20を閉塞することで、収容空間9に収容されたコネクタ4は、ホルダ本体10に設けた軸方向保持部13によって、軸方向Xの一方側Xaから、カバー20に設けた軸方向保持部22によって軸方向Xの他方側Xbから、夫々規制されるとともに、一対の幅方向保持部14によって、これらの間に圧入されるように幅方向に規制される。そして、コネクタ4は、収容空間9において押圧バネ25によって弾圧されることによって、高さ方向Zに規制されるとともに、上述したように、軸方向Xおよび幅方向Yの規制状態が維持される。
【0108】
さらに、作業者は、コネクタホルダ1を、クリップ15を介して車両の所定の取付け箇所2A(
図1、
図9(a)(b)参照)に取り付ける。具体的には、作業者は、コネクタホルダ1におけるクリップ本体15aを、係止突片15bごと車両の鋼製パネル100における所定の取付け箇所2Aに設けられた取付け穴2aに差し込む。これにより、コネクタホルダ1は、係止突片15bと抑え片15cとで、取付け穴2aの縁部を挟み込むようにして取付け穴2aの縁部に係止される。
すなわち、
図1に示すように、コネクタ4を、コネクタホルダ1を介して車両の所定の取付け箇所2Aに取り付けることができる。
【0109】
コネクタ4と相手側コネクタ6とを接続するとともに、コネクタ4をコネクタホルダ1によって保持しつつコネクタホルダ1を介して車両の所定の取付け箇所2Aに取り付ける手順は、上述した手順に限らず他の手順を採用してもよい。
【0110】
例えば、上述した取付け手順のように、相手側コネクタ6を接続した状態のコネクタ4を、コネクタホルダ1によって保持させるに限らず、相手側コネクタ6を接続する前のコネクタ4を、コネクタホルダ1によって保持させる手順を採用してもよい。すなわち、コネクタホルダ1に保持された状態のコネクタ4に対して相手側コネクタ6を接続してもよい。
【0111】
さらに、コネクタホルダ1は、コネクタ4を保持する前の状態においてクリップ15を車両の所定の取付け箇所2Aに取り付け、その後でコネクタ4を保持してもよい。なお、その場合においてもコネクタ4は、相手側コネクタ6を接続した状態、接続する前の状態の何れであってもよい。
【0112】
上述した実施形態のコネクタホルダ1は、
図1に示すように、ケーブル5における軸方向Xの他方側Xbの端部(先端)に設けられたコネクタ4を保持して、所定の取付け箇所2Aに取り付けるコネクタホルダであって、取付け箇所2Aに取り付けるクリップ15(取付け部)を有するホルダ本体10と(
図2~
図8(a)参照)、該ホルダ本体10に取り付けて、コネクタ4を収容する収容空間9をホルダ本体10と共に形成するカバー20とで構成され(
図4、
図7、
図8(a)(b)参照)、
図4、
図6、
図8(a)(b)の特に
図6に示すように、収容空間9に収容したコネクタ4を軸方向Xにおいて保持する軸方向保持部13,22が備えられ、軸方向保持部13は、ホルダ本体10における軸方向Xの一方側Xaに備えられ、軸方向保持部22は、カバー20における軸方向Xの他方側Xbに備えられ、ホルダ本体10側の軸方向保持部13とカバー側の軸方向保持部22とで、コネクタ4を軸方向Xの両側から保持する構成とされている。
【0113】
上記構成によれば、車体への取付け部(車体側取付け部)やコネクタホルダに保持されるための保持部(コネクタホルダ保持部)が設けられていないタイプのコネクタ4を、コネクタホルダ1に備えたクリップ15を介して取付け箇所2Aに取り付けることができる。
【0114】
詳述すると、
図11に示すコネクタ4’のように、車体側取付け部やコネクタホルダ保持部が設けられていないタイプのコネクタについても、車体側取付け部が設けられたコネクタ(図示省略)と同様に従来からワイヤハーネス3’において適用されている。
【0115】
しかしながら、このような車体側取付け部やコネクタホルダ保持部が設けられていないタイプのコネクタ4’の場合、
図11に示すように、ワイヤハーネス3’における、複数の幹線(図示省略)を収束して成るハーネス本体3A’や、該ハーネス本体3A’を支持する支持プレート51一部に、絶縁テープTを巻き付ける等して車体に取り付け固定されていた。すなわち、ワイヤハーネス3’の布線作業時にコネクタ4’を絶縁テープTで巻き付ける作業を要するため、ワイヤハーネス3’の布線作業が煩わしくなるおそれがある。なお、
図11に示すように、支持プレート51は、ワイヤハーネス3’を車両に取り付ける取付け部材50に備えている。
【0116】
これに対して本実施形態のコネクタホルダ1は、車体側取付け部やコネクタホルダ保持部が設けられていないタイプのコネクタ4を、コネクタホルダ1に備えたクリップ15を介して取付け箇所2Aにしっかりとかつ容易に取り付けることができる。
【0117】
詳述すると、本実施形態のコネクタホルダ1によれば、ホルダ本体10側の軸方向保持部13と、カバー20側の軸方向保持部22によって、コネクタホルダ保持部が設けられていないタイプのコネクタ4を軸方向Xの両側から位置規制することができる。
【0118】
これにより、本実施形態のコネクタホルダ1は、ケーブル5や相手側ケーブル7に引張り力が加わる等した際においても、コネクタ4を、収容空間9に対して軸方向Xに位置ずれすることなく保持することができる。例えば、相手側ケーブル7の長さに余裕がなくても、相手側ケーブル7の先端に設けられた相手側コネクタ6をコネクタ4に確実に接続することができる。
【0119】
さらに、本実施形態のコネクタホルダ1は、ホルダ本体10にクリップ15を備えているため、車体側取付け部が設けられていないタイプのコネクタ4を、クリップ15を介して車両における所定の取付け箇所2Aに取り付けることができる。
【0120】
加えて、本実施形態のコネクタホルダ1は、コネクタ4をカバー20とホルダ本体10とによって抱え込むようにして保持することができる。このため、本実施形態のコネクタホルダ1は、既存のコネクタが車体取付け部を備えた構造であっても、その車体取付け部を利用することなく既存のコネクタを抱え込むようにして保持することができる。
【0121】
しかも、本実施形態のコネクタホルダ1は、上述したように、コネクタを抱え込むようにして保持するため、車体取付け部を備えたコネクタを保持対象とする場合には、車体取付け部の形態に関わらず保持することができる。
【0122】
このように、本実施形態のコネクタホルダ1は、コネクタを抱え込むようにして保持することが可能であれば、上述したコネクタ4のように車体取付け部を備えていないコネクタに限らず、車体取付け部を備えたコネクタを保持対象としてもよい。
【0123】
図1、
図4、
図6、
図8(a)(b)に示すように、ホルダ本体10における、下部(収容空間9を隔ててカバー20を有する側と反対側)には、クリップ15が設けられたホルダベース部11を備えている。さらに、ホルダ本体10側の軸方向保持部13は、ホルダベース部11の軸方向Xの両端のうち一方側Xaの端部にのみ設けられるとともに、ホルダベース部11から上方Za(すなわち、カバー20の側)に向けて突出形成されている。
【0124】
上記構成によれば、ホルダベース部11の軸方向Xの両側のうち一方側Xaの端部にのみ設けられた、簡単な構造の軸方向保持部13によって、軸方向Xにおけるコネクタ4の一方側Xaへの移動を規制することができる。
【0125】
また上記構成によれば、ホルダベース部11の軸方向Xの他方側Xbには、軸方向保持部13を有しない構成とすることができるため(
図6参照)、収容空間9は、ホルダベース部11の軸方向Xの他方側Xbが軸方向保持部13によって遮られることなく軸方向Xの他方側Xbへ向けての間口を広げる(開放する)ことができる。
【0126】
よって、相手側ケーブル7の先端に設けられた相手側コネクタ6を、コネクタ4に対して、軸方向Xの他方側Xbから接続する場合には、ホルダベース部11の一部によって相手側コネクタ6の接続に支障をきたすことがなく、スムーズに接続することができる。
【0127】
図2、
図6に示すように、カバー20には、収容空間9を隔ててホルダベース部11と対向するカバーベース部21が備えられ、カバー20側の軸方向保持部22は、カバーベース部21の軸方向Xの両端のうち他方側Xbの端部(他方側端)にのみ設けられ、カバーベース部21は、軸方向Xの一方側Xaにおいて、収容空間9に収容された状態のコネクタ4の軸方向Xの一方側Xaに設けられたロック解除部45が露出する長さに形成されている。
【0128】
上記構成によれば、カバー20が閉塞され、コネクタ4がカバー20とホルダ本体10とによって抱え込むようにして保持されている状態においても、作業者は、コネクタ4に設けられたロック解除部45に、工具等を用いてアクセスすることができる。
【0129】
すなわち、上記構成によれば、作業者は、収容空間9に収容されたコネクタ4の軸方向Xの一方側Xaからロック解除部45を操作することができるため、コネクタ4に接続されている相手側コネクタ6を容易に取り外すことができる。
【0130】
また、ホルダ本体10側の軸方向保持部13は、ホルダベース部11の軸方向Xの一方側Xaの端部にのみ設けられるとともに、カバー側の軸方向保持部22は、カバーベース部21の軸方向Xの他方側Xbの端部にのみ設けられた構成であるため、極力少ない簡単な構造によって、コネクタ4を軸方向Xの両側から効率的に保持することができる。さらに、このように、ホルダ本体10側の軸方向保持部13とカバー側の軸方向保持部22とを、軸方向Xの互いに異なる側の端部に夫々設けることで、コネクタホルダ1にコネクタ4を装着する際に、これら軸方向保持部13,22が邪魔になることがなく、容易に装着することができる。
【0131】
図4、
図5に示すように、ホルダ本体10には、コネクタ4を上方Za(軸方向Xに直交する方向)から収容空間9へと挿入する挿入開口29が設けられている。さらに、カバー20は、挿入開口29を覆うようにホルダ本体10に取り付けられている。さらにまた、
図7、
図8(a)(b)に示すように、ホルダ本体10には、幅方向Yの両側からコネクタ4を保持する幅方向保持部14が設けられている。また、幅方向保持部14は、ホルダ本体10の一対の側壁部12の各内面12cから収容空間9の側(ホルダ本体10の幅方向Yの内側(中央側))に突出するとともに高さ方向Z(上記挿入方向)に沿って延びる形状に形成されている。
【0132】
上記構成によれば、幅方向保持部14によって、コネクタ4が収容空間9に位置するように該コネクタ4を幅方向Yに位置規制することができる。
【0133】
特に、本実施形態の幅方向保持部14の上部14bは、ホルダ本体10の一対の側壁部12の各内面12cから下方Zb程、収容空間9の側(幅方向Yの中央)へ向けて突出するテーパー形状のリブで形成されている(
図7参照)。このため、コネクタ4を挿入開口29から収容空間9へ挿入する際に、幅方向保持部14のテーパー形状の上部14bによってコネクタ4を幅方向Yに案内することができる。
【0134】
また、幅方向保持部14は、高さ方向Zに沿って延びるため、幅方向Yの外面(側面)が軸方向Xに延びるコネクタ4(コネクタハウジング40)に対して、該幅方向保持部14を軸方向Xにおいて点状に接触させることができる(
図4、
図6参照)。すなわち、幅方向保持部14は、コネクタハウジング40の外面との接触抵抗を極力少なくすることができる。
【0135】
これにより、本実施形態のコネクタホルダ1は、収容空間9に収容されているコネクタ4の軸方向Xへのスムーズな移動が、幅方向保持部14によって阻害されることがない。
よって、本実施形態のコネクタホルダ1は、コネクタ4が収容空間9に対して軸方向Xに位置ずれした位置に挿入された場合においても、コネクタ4を、例えば、ホルダベース部11の軸方向Xの他方側Xbに設けた軸方向保持部13に当接する(係止される)まで軸方向Xにスムーズに移動させることができる。
【0136】
従って、本実施形態のコネクタホルダ1は、コネクタ4を収容空間9に適切に配置することができるため、カバー20が閉塞した状態において、コネクタ4と干渉することがなく、カバー20をスムーズに閉塞することができ、結果として、軸方向保持部13,22によって軸方向Xの両側からコネクタ4を収容空間9に収容された状態に適切に位置決めすることができる。
【0137】
図2、
図6、
図7、
図8(a)(b)に示すように、カバー20には、収容空間9に収容されたコネクタ4を下方Zb(挿入方向)へ押圧する押圧バネ25が設けられている。
【0138】
上記構成によれば、押圧バネ25によってコネクタ4を下方Zbへ押圧することで、収容空間9に収容されたコネクタ4の高さ方向Zにおけるガタを無くすことができる。
【0139】
さらに本実施形態においては、押圧バネ25によってコネクタ4を下方Zbへ押圧することで、高さ方向Zに延びる一対の幅方向保持部14の間(すなわち、収容空間9の側)にコネクタ4を圧入することができる。
【0140】
図4、
図6、
図8(a)(b)に示すように、幅方向保持部14は、軸方向Xに互いに離間するように複数設けられ、
図6、
図8(a)に示すように、押圧バネ25は、カバー20の軸方向Xにおける、複数の幅方向保持部14の間に設けられている。
【0141】
上記構成によれば、上述したように、押圧バネ25による、コネクタ4の下方Zbへの押圧力を利用して、一対の幅方向保持部14の間にコネクタ4を圧入することができるが、この押圧バネ25による、コネクタ4の下方Zbへの押圧を、軸方向Xに互いに離間する複数の幅方向保持部14の夫々によってバランスよく行うことができる。
【0142】
従って、コネクタ4を、軸方向Xに互いに離間する複数の幅方向保持部14の夫々によって幅方向Yにしっかりと規制することができる。
【0143】
なお、押圧バネ25は、本実施形態のように、カバー20の軸方向Xにおける、他方側Xbに設けられた軸方向保持部22と一方側Xaに設けられた突出部26との間に設けられた構成であることが好ましい(
図6参照)。上記構成によれば、押圧バネ25によってコネクタ4を、下方Zbへ押圧する際に、該コネクタ4を軸方向Xにおいてバランスよく押圧することができる。
【0144】
図6に示すように、カバー20は、収容空間9に収容された状態のコネクタ4側に設けられた凹所46を覆うように形成され、カバー20の軸方向Xにおける、凹所46に対応する部位に、該凹所46に入り込む突出部26が突出形成されている。
【0145】
例えば、コネクタ4が誤って軸方向Xにおいて適切な向きに対して反転した向きで収容空間9に収容された場合には、コネクタ4を覆うようにカバー20をホルダ本体10に取り付ける際に、カバー20に設けた突出部26をコネクタ4のカバー20との対向面に設けた凹所46に入り込ませることができない。すなわち、カバー20に設けられた突出部26が、収容空間9に収容されたコネクタ4の他方側上壁43に干渉することになり、カバー20を適切に閉塞することができない。
【0146】
上記構成によれば、コネクタ4が軸方向Xにおいて適切な向きに対して誤った向きで収容空間9に収容された場合は、その旨を作業者に認識させることができる。
【0147】
一方、コネクタ4が軸方向Xにおいて適切な向きで(つまり、コネクタ4を
図4に示すような姿勢で)収容空間9に収容された場合には、
図6に示すように、コネクタ4を覆うようにカバー20を取り付ける際に、カバー20に設けられた突出部26が、コネクタ4のカバー20との対向面に設けられた凹所46に入り込むことで、カバー20をコネクタ4と干渉することなく適切に閉塞することができる。
【0148】
すなわち、上記構成によれば、コネクタ4がコネクタホルダ1によって保持される際に、コネクタ4に、軸方向Xにおいて方向性を持たせることができる。
【0149】
よって、ホルダ本体10とカバー20とは、軸方向Xにおいて適切な向きで収容空間9に収容された状態のコネクタ4を保持することができる。
これにより例えば、コネクタ4に対して、軸方向Xにおいて一方側Xaに配置されるべきケーブル5と、軸方向Xにおいて他方側Xbに配置されるべき相手側ケーブル7とが、例えば、コネクタ4がコネクタホルダ1に対して、誤って軸方向Xにおいて反転した姿勢で収容されることに起因して、軸方向Xにおいて逆に配置される事態を防ぐことができる。すなわち、ケーブル5や相手側ケーブル7の配策経路に誤りが生じることを防ぐことができる。
【0150】
なお、
図1に示すように、本実施形態のコネクタホルダ1のように、ホルダ本体10とカバー20とをヒンジ19で繋ぐことで、カバー20を閉塞時にホルダ本体10に対して、軸方向Xにおいて反転した姿勢で覆われることを防止することができる。
【0151】
また本実施形態のワイヤハーネス3は、上述したコネクタホルダ1と、車体取付け部(取付け箇所(2A)への取付け部)およびコネクタホルダ保持部(コネクタホルダへの装着部)を有しないコネクタ4と、軸方向Xの他方側Xbの端部にコネクタ4が設けられたケーブル5と、を備えたワイヤハーネスにおいて、コネクタ4は、コネクタホルダ1側の軸方向保持部13(
図6参照)によって軸方向Xに保持された状態で、コネクタホルダ1に備えたクリップ15(
図5参照)を介して取付け箇所2Aに取り付け可能に形成されている。
【0152】
上記構成によれば、車体取付け部やコネクタホルダ保持部を有しないコネクタ4を、コネクタホルダ1に対して軸方向Xにずれないように保持した状態でクリップ15を介して取付け箇所2Aに取り付けることができる。
【0153】
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
以下、本発明の変形例に係るコネクタホルダ1’について
図10を用いて説明するが、上述した実施形態のコネクタホルダ1と同一の構造については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0154】
変形例に係るコネクタホルダ1’は、
図10に示すように、クリップ15’に備えた抑え片15c’がクリップ本体15a(取付け基部)の全周に亘って鍔状に形成されている。すなわち、変形例のクリップ15’に備えた抑え片15c’は、上述した実施形態の抑え片15c(
図3参照)のように幅方向Yのみに突出形成されたものではなく、軸方向Xにも突出形成されている(
図10参照)。
【0155】
これに伴って、変形例のクリップ15’に備えた抑え片15c’は、ホルダベース部11’の軸方向Xの他端側Xbにおいて、収容空間9、すなわちカバー20に設けた軸方向保持部22よりも軸方向Xの他端側Xbへ突出形成されている。
【0156】
さらに、変形例に係るコネクタホルダ1’は、ホルダベース部11’の軸方向Xの他端側Xbに、軸方向Xの他端側Xbへ延出する延出部31が設けられている。
【0157】
すなわち、変形例に係るコネクタホルダ1’は、ホルダベース部11’の軸方向Xの他方側Xbにおいて、延出部31が抑え片15c’を上方から覆うように設けられている。これにより、延出部31は、相手側ケーブル7と抑え片15c’との間に、庇のように介在させることができる。
【0158】
従って、変形例に係るコネクタホルダ1’は、抑え片15c’が相手側ケーブル7と干渉して不用意に変形することがないため、クリップ15を介して所定の取付け箇所2Aへとしっかり取り付けることができる。
【0159】
また、この発明のコネクタホルダは、上述したコネクタホルダ1,1’のように車体取付け部としてのクリップ15,15’がホルダベース部11,11’に対して一体形成された構成に限定せず、互いに着脱可能な構成を採用してもよい。
上記構成を採用することで、車両における複数の取付け箇所(取付け穴2a,2b,2c…)の形状、大きさに対応する様々なコネクタホルダを準備せずとも様々な形態のクリップ部分のみを準備すれば足りる。すなわち、コネクタホルダにおけるクリップ部分以外の部分を共通化してコネクタホルダの汎用性を高めることができる。
【0160】
また、この発明のコネクタホルダによって保持されるコネクタは、上述したコネクタ4のように雄型に限らず、雌型、或いは雄雌一体型のいずれであってもよい。
【符号の説明】
【0161】
1,1’…コネクタホルダ
2A…所定の取付け箇所
3,3’…ワイヤハーネス
4,4’…コネクタ
5…ケーブル
6…相手側コネクタ
7…相手側ケーブル
9…収容空間
10…ホルダ本体
11,11’…ホルダベース部
12c…ホルダ本体の一対の側壁部の各内面(ホルダ本体の内面)
13,22…軸方向保持部
13…ホルダ本体側の軸方向保持部
14…幅方向保持部
15,15’…クリップ(取付け部)
15a…クリップ本体(取付け基部)
15c’…抑え片(取付け突片部)
20…カバー
21…カバーベース部
22…カバー側の軸方向保持部
25…押圧バネ
26…突出部
29…挿入開口
31…延出部
45…ロック解除部
46…凹所
Xb…ケーブルにおける軸方向の他端側(ケーブルにおける軸方向の先端)
Za…上方(収容空間9を隔ててカバー20を有する側と反対側、軸方向Xに直交する方向)
Zb…下方(挿入方向)