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特開2022-38100振動再生装置、振動再生システム、および振動再生方法
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  • 特開-振動再生装置、振動再生システム、および振動再生方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038100
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】振動再生装置、振動再生システム、および振動再生方法
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20220303BHJP
   H04S 1/00 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
H04S1/00 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142412
(22)【出願日】2020-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 淳司
(72)【発明者】
【氏名】鎌本 優
(72)【発明者】
【氏名】南澤 孝太
(72)【発明者】
【氏名】早川 裕彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大弥
【テーマコード(参考)】
2G064
5D162
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB13
2G064AB16
2G064AB18
2G064BA02
2G064BD02
5D162AA07
5D162BA07
5D162CA06
5D162CD02
5D162DA02
5D162DA04
5D162EA02
(57)【要約】
【課題】少ないデバイス数で定位感の高い振動を再現する技術を提供する。
【解決手段】振動再生装置は、振動センサで取得した振動情報と、2つのマイクでそれぞれ収音した2つの音響信号とを入力として受け付ける入力部と、板状の第二の情報提示材と、第二の情報提示材の重心位置付近に取り付けられ、振動情報に従い振動する振動子と、第二の情報提示材において、振動子を挟むように相対する位置に取り付けられ、2つの音響信号をそれぞれ再生する2つのスピーカと、を含む。第一の情報提示材における振動センサと2つのマイクとの位置関係と、第二の情報提示材における振動子と2つのスピーカとの位置関係とが類似し、2つの音響信号を、2つのマイクにそれぞれ対応する位置関係にある2つのスピーカで再生する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動情報取得装置で取得した振動情報を再生する振動再生装置であって、
前記振動情報取得装置は、板状の第一の情報提示材と、前記第一の情報提示材の重心位置付近に取り付けられた振動センサと、前記第一の情報提示材において、前記振動センサを挟むように相対する位置に取り付けられた2つのマイクと、を含み、
当該振動再生装置は、
前記振動センサで取得した振動情報と、前記2つのマイクでそれぞれ収音した2つの音響信号とを入力として受け付ける入力部と、
板状の第二の情報提示材と、
前記第二の情報提示材の重心位置付近に取り付けられ、前記振動情報に従い振動する振動子と、
前記第二の情報提示材において、前記振動子を挟むように相対する位置に取り付けられ、前記2つの音響信号をそれぞれ再生する2つのスピーカと、を含み、
前記第一の情報提示材における振動センサと2つのマイクとの位置関係と、前記第二の情報提示材における振動子と2つのスピーカとの位置関係とが類似し、
前記2つの音響信号を、前記2つのマイクにそれぞれ対応する位置関係にある前記2つのスピーカで再生する、
振動再生装置。
【請求項2】
振動情報取得装置と振動再生装置とを含む振動再生システムであって、
前記振動情報取得装置は、
板状の第一の情報提示材と、
前記第一の情報提示材の重心位置付近に取り付けられた振動センサと、
前記第一の情報提示材において、前記振動センサを挟むように相対する位置に取り付けられた2つのマイクと、
前記振動センサで取得した振動情報と、前記2つのマイクでそれぞれ収音した2つの音響信号とを出力する出力部と、を含み、
前記振動再生装置は、
前記振動情報と、前記2つの音響信号とを入力として受け付ける入力部と、
板状の第二の情報提示材と、
前記第二の情報提示材の重心位置付近に取り付けられ、前記振動情報に従い振動する振動子と、
前記第二の情報提示材において、前記振動子を挟むように相対する位置に取り付けられ、前記2つの音響信号をそれぞれ再生する2つのスピーカと、を含み、
前記第一の情報提示材における振動センサと2つのマイクとの位置関係と、前記第二の情報提示材における振動子と2つのスピーカとの位置関係とが類似し、
前記2つの音響信号を、前記2つのマイクにそれぞれ対応する位置関係にある前記2つのスピーカで再生する、
振動再生システム。
【請求項3】
振動情報取得装置で取得した振動情報を振動再生装置で再生する振動再生方法であって、
前記振動情報取得装置は、板状の第一の情報提示材と、前記第一の情報提示材の重心位置付近に取り付けられた振動センサと、前記第一の情報提示材において、前記振動センサを挟むように相対する位置に取り付けられた2つのマイクと、を含み、
前記振動再生装置は、板状の第二の情報提示材と、前記第二の情報提示材の重心位置付近に取り付けられる振動子と、前記第二の情報提示材において、前記振動子を挟むように相対する位置に取り付けられる2つのスピーカと、を含み、
前記振動再生装置が、前記振動センサで取得した振動情報と、前記2つのマイクでそれぞれ収音した2つの音響信号とを入力として受け付ける入力ステップと、
前記振動子が前記振動情報に従い振動し、前記2つのスピーカが前記2つの音響信号をそれぞれ再生する再生ステップと、を含み、
前記第一の情報提示材における振動センサと2つのマイクとの位置関係と、前記第二の情報提示材における振動子と2つのスピーカとの位置関係とが類似し、
前記再生ステップにおいて、前記2つの音響信号を、前記2つのマイクにそれぞれ対応する位置関係にある前記2つのスピーカで再生する、
振動再生方法。
【請求項4】
振動情報取得装置で取得した振動情報を振動再生装置で再生する振動再生方法であって、
前記振動情報取得装置は、板状の第一の情報提示材と、前記第一の情報提示材の重心位置付近に取り付けられた振動センサと、前記第一の情報提示材において、前記振動センサを挟むように相対する位置に取り付けられた2つのマイクと、を含み、
前記振動再生装置は、板状の第二の情報提示材と、前記第二の情報提示材の重心位置付近に取り付けられる振動子と、前記第二の情報提示材において、前記振動子を挟むように相対する位置に取り付けられる2つのスピーカと、を含み、
前記2つのマイクが収音して2つの音響信号を取得し、前記振動センサが前記第一の情報提示材に与えられる振動情報を取得する取得ステップと、
前記振動情報取得装置が、前記2つの音響信号と前記振動情報を出力する出力ステップと、
前記振動再生装置が、前記2つの音響信号と前記振動情報を入力として受け付ける入力ステップと、
前記振動子が前記振動情報に従い振動し、前記2つのスピーカが前記2つの音響信号をそれぞれ再生する再生ステップと、を含み、
前記第一の情報提示材における振動センサと2つのマイクとの位置関係と、前記第二の情報提示材における振動子と2つのスピーカとの位置関係とが類似し、
前記再生ステップにおいて、前記2つの音響信号を、前記2つのマイクにそれぞれ対応する位置関係にある前記2つのスピーカで再生する、
振動再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動情報取得装置で取得した振動情報を振動再生装置で再生する技術に関する。例えば、ある地点で振動を感知し、振動情報を遠隔地へ伝送し、遠隔地で振動情報を再生し、ある地点の振動を遠隔地で再現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来離れた地点へ振動情報を伝送する技術として、非特許文献1が知られている。ここでは、送信地点においてセンサ8個で計測したデータを2チャンネルに圧縮して伝送し、受信地点において受信したデータを振動子10個で再生することにより、送信地点の振動情報を受信地点に伝送する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】早川裕彦,神山洋一,松園敏志,徐萌芸,田中培仁,本山拓人,鈴木規之,南澤孝太:「触覚伝送を伴うバスケットボールのライブフィーリングの実践」、第23回バーチャルリアリティ学会論文集、2018年9月、34E-6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1では、受信先で振動情報を再生するために必要なデバイス数が多いという問題がある。さらに、送信元の地点で実際に知覚される振動や音の空間的な位置を適切に再現することが難しい。つまり、定位位置の精度が落ち、定位感が安定しないという問題がある。
【0005】
以上の問題に鑑み、本発明では、少ないデバイス数で定位感の高い振動を再現する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様によれば、振動再生装置は、振動情報取得装置で取得した振動情報を再生する。振動情報取得装置は、板状の第一の情報提示材と、第一の情報提示材の重心位置付近に取り付けられた振動センサと、第一の情報提示材において、振動センサを挟むように相対する位置に取り付けられた2つのマイクと、を含む。振動再生装置は、振動センサで取得した振動情報と、2つのマイクでそれぞれ収音した2つの音響信号とを入力として受け付ける入力部と、板状の第二の情報提示材と、第二の情報提示材の重心位置付近に取り付けられ、振動情報に従い振動する振動子と、第二の情報提示材において、振動子を挟むように相対する位置に取り付けられ、2つの音響信号をそれぞれ再生する2つのスピーカと、を含む。第一の情報提示材における振動センサと2つのマイクとの位置関係と、第二の情報提示材における振動子と2つのスピーカとの位置関係とが類似し、2つの音響信号を、2つのマイクにそれぞれ対応する位置関係にある2つのスピーカで再生する。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の他の態様によれば、振動再生システムは、振動情報取得装置と振動再生装置とを含む。振動情報取得装置は、板状の第一の情報提示材と、第一の情報提示材の重心位置付近に取り付けられた振動センサと、第一の情報提示材において、振動センサを挟むように相対する位置に取り付けられた2つのマイクと、振動センサで取得した振動情報と、2つのマイクでそれぞれ収音した2つの音響信号とを出力する出力部と、を含む。振動再生装置は、振動情報と、2つの音響信号とを入力として受け付ける入力部と、板状の第二の情報提示材と、第二の情報提示材の重心位置付近に取り付けられ、振動情報に従い振動する振動子と、第二の情報提示材において、振動子を挟むように相対する位置に取り付けられ、2つの音響信号をそれぞれ再生する2つのスピーカと、を含む。第一の情報提示材における振動センサと2つのマイクとの位置関係と、第二の情報提示材における振動子と2つのスピーカとの位置関係とが類似し、2つの音響信号を、2つのマイクにそれぞれ対応する位置関係にある2つのスピーカで再生する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少ないデバイス数で定位感の高い振動を再現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一実施形態に係る振動再生システムの構成例を示す図。
図2】第一実施形態に係る情報伝送装置の構成例を示す図。
図3】第一実施形態に係る振動再生システムの処理フローの例を示す図。
図4】本手法を適用するコンピュータの構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、同じ機能を持つ構成部や同じ処理を行うステップには同一の符号を記し、重複説明を省略する。
【0011】
<第一実施形態>
図1は第一実施形態に係る振動再生システムの構成例を示す。ここでは、地点Aと地点Bとの間で、双方向に情報を伝送する場合を例に説明する。
【0012】
振動再生システムは、情報伝送装置100A,100Bを含み、情報伝送装置100Aと情報伝送装置100Bとは、互いにネットワーク10を介して通信できる。
【0013】
図2は、地点A,Bにそれぞれ配置された情報伝送装置100A,100Bの構成例を示す。
【0014】
地点Aの情報伝送装置100Aは、1つの振動子110Aと、1つの振動センサ120Aと、振動子110Aの振動を伝達する板状の情報提示材170Aと、2つのスピーカ131A,132Aと、2つのマイク141A,142Aと、出力部150Aと、入力部160Aとを備える。
【0015】
同様に地点Bの情報伝送装置100Bは、1つの振動子110Bと、1つの振動センサ120Bと、振動子110Bの振動を伝達する板状の情報提示材170Bと、2つのスピーカ131B,132Bと、2つのマイク141B,142Bと、出力部150Bと、入力部160Bとを備える。
【0016】
情報伝送装置の出力部および入力部は、例えば、中央演算処理装置(CPU: Central Processing Unit)、主記憶装置(RAM: Random Access Memory)などを有する公知又は専用のコンピュータに特別なプログラムが読み込まれて構成された特別な装置である。入力部は情報提示材に配置された2つのスピーカと振動子とに接続されており、出力部は情報提示材に配置された2つのマイクと振動センサと接続されている。情報伝送装置の出力部および入力部は、例えば、中央演算処理装置の制御のもとで各処理を実行する。情報伝送装置の出力部および入力部に入力されたデータや各処理で得られたデータは、例えば、主記憶装置に格納され、主記憶装置に格納されたデータは必要に応じて中央演算処理装置へ読み出されて他の処理に利用される。情報伝送装置の出力部および入力部の各処理部は、少なくとも一部が集積回路等のハードウェアによって構成されていてもよい。情報伝送装置の出力部および入力部が備える各記憶部は、例えば、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置、またはリレーショナルデータベースやキーバリューストアなどのミドルウェアにより構成することができる。ただし、各記憶部は、必ずしも情報伝送装置の出力部および入力部がその内部に備える必要はなく、ハードディスクや光ディスクもしくはフラッシュメモリ(Flash Memory)のような半導体メモリ素子により構成される補助記憶装置により構成し、情報伝送装置の出力部および入力部の外部に備える構成としてもよい。
【0017】
<各部の配置>
振動子110Aは、情報提示材170Aの重心位置付近に取り付けられている。別の言い方をすると、振動子110Aは、情報提示材170Aを介して振動子110Aが発する振動を外部に伝達するのに適した位置に取り付けられている。スピーカ131A,132Aは、振動子110Aを挟むように相対する位置に配置される。例えば、振動子110Aを通る軸に対してスピーカ131Aと132Aとが線対称となる位置にスピーカ131A,132Aが配置される。マイク141A,142Aはスピーカ131A,132Aとそれぞれ対をなすように、各スピーカ131A,132Aの近傍に配置される。また、振動センサ120Aは、振動子110Aの近傍(情報提示材170Aの重心位置付近)に配置される。別の言い方をすると、振動センサ120Aは、外部から情報提示材170Aに与えられる振動を感知するのに適した位置に配置される。
【0018】
なお、地点Aの情報伝送装置100Aの情報提示材170Aに対する振動子110A、振動センサ120A、スピーカ131A,132A、マイク141A,142Aの配置と、地点Bの情報伝送装置100Bの情報提示材170Bに対する振動子110B、振動センサ120B、スピーカ131B,132B、マイク141B,142Bの配置とが同一もしくは類似関係にあることが好ましい。このような配置とすることで、情報提示材170Aにおける振動センサ120Aとマイク141A,142Aとの位置関係と、情報提示材170Bにおける振動子110Bとスピーカ131B,132Bとの位置関係とが同一もしくは類似関係となる。
【0019】
このような構成とすることで、伝送される情報の定位性が高くすることができる。ここで類似関係とは、位置関係が似通っていることを意味し、例えば情報提示材170Aと情報提示材170Bの大きさが異なっていても、その大きさの違い(縮尺の違い)を考慮してマイク、スピーカ、振動子、振動センサの位置関係が相似関係にある場合も含むものとする。
【0020】
<情報提示材170A>
情報提示材170Aは、非特許文献1のような平面板であってもよいし、木製でなくともプラスチック、ガラス等の振動を伝達できる素材・厚さで所定の大きさを有する板状の素材であれば何でもよい。要は、情報提示材170Aは、外部から情報提示材170Aに与えられる振動を振動センサ120Aに伝達し、振動子110Aが発する振動を外部に伝達できるものであればよい。情報提示材170Aの大きさは、離れた地点へ伝達、再現したい空間に合わせて設計されればよい。
【0021】
受信者が情報提示材170Aに触れて振動を知覚する面を表面として、図2では、振動子110Aが情報提示材170Aの裏面に取り付けられる様子を破線で図示しているが、受信者の定位の妨げにならなければ情報提示材170Aの表面に振動子110Aが取り付けられても良い。
【0022】
<振動センサ120A>
振動センサ120Aは、外部から情報提示材170Aに伝わる振動を検出し、検出結果である振動情報を出力する。例えば、振動情報は、振動の変位、速度、加速度を示す電気信号である。
【0023】
<振動子110A>
振動子110Aは、振動情報を入力とし、振動情報に従い振動する。例えば、振動子110Aは、アクチュエータなどからなる。
【0024】
<出力部150A>
出力部150Aは、各マイク141A,142Aでそれぞれ収音した2つの音響信号と振動センサ120Aで取得した振動情報を、ネットワーク10を介して、他の地点の情報伝送装置(例えば、地点Bの情報伝送装置100B)へ送信する。
【0025】
<入力部160A>
入力部160Aは、他の地点の情報伝送装置(例えば、地点Bの情報伝送装置100B)からネットワーク10を介して送信された2つの音響信号と振動情報とを入力として受け付け、2つの音響信号を各スピーカ131A,132Aに出力し、振動情報を振動子110Aに出力する。例えば、地点Bの情報伝送装置100Bの振動センサ120Bで取得した振動情報を振動子110Aに、情報伝送装置100Bのマイク141Bで収音した音響信号をスピーカ131Aに、情報伝送装置100Bのマイク142Bで収音した音響信号をスピーカ132Aに、それぞれ出力する。
【0026】
<処理例>
図3を用いて、地点Aの情報伝送装置100Aで取得した音響信号と振動情報を、地点Bの情報伝送装置100Bへ伝送し、再生する場合を例に、具体処理を説明する。
【0027】
情報伝送装置100Aのマイク141A,142Aは、収音して音響信号を取得し(S1)、時刻ごとに取得した音響信号を出力部150Aに出力する。振動センサ120Aは情報提示材170Aに与えられる振動情報を取得し(S2)、時刻ごとに取得した振動情報を出力部150Aに出力する。
【0028】
出力部150Aは、各マイク141A,142Aで取得した音響信号、及び、振動センサ120Aで取得した振動情報をそれぞれチャネルごとの信号として、これらをまとめた多チャンネルの時系列情報を、ネットワーク10を介して地点Bの情報伝送装置100Bへ送信する(S3)。
【0029】
情報伝送装置100Bの入力部160Bは、情報伝送装置100Aの出力部150Aから送られてきた多チャンネルの時系列情報を入力として受け付け(S4)、予め与えられた各チャネルに対応する出力デバイスへ出力する。具体的には、振動センサ120Aに対応するチャネルの振動情報を振動子110Bに、マイク141Aに対応するチャネルの情報(音響信号)をスピーカ131Bに、マイク142Aに対応するチャネルの情報(音響信号)をスピーカ132Bに、それぞれ出力する。
【0030】
振動子110Bは、振動情報を入力とし、振動情報に従い振動し(S5)、2つのスピーカ131B,132Bは、それぞれ受け取った音響信号を再生する(S6)。
【0031】
<効果>
このような構成により、振動子1個とスピーカ2個という少ない出力デバイスで、定位感の高い振動情報の伝送が可能となる。これは、振動子110Aを挟んで相対する位置にある2つのマイク141A,142Aで収集した音が、伝送先の情報伝送装置100B中の対応するスピーカ131B,132Bからそれぞれ再生される際に、各スピーカ131B,132Bの音量及び低周波(振動)の大小関係も含めて再現されることで、重心点付近の振動子110Bから提示される振動の定位置が実際の振動子の位置(振動発生位置)からずれたように知覚(錯覚)される効果を利用したものである。これにより、少ない振動子110Bにより、地点Aにおける振動を、異なる地点Bにおいて空間的な位置も含めて再現することができる。
【0032】
本実施形態では、情報伝送装置100A,100Bは、同じ構成を含むため、同様の方法により、情報伝送装置100Bから情報伝送装置100Aに音響信号、振動情報を送信し、地点Aで地点Bの振動を再現することができ、双方向伝送が可能である。
【0033】
<変形例>
一方向伝送の場合は、一方の情報伝送装置(例えば情報伝送装置100A)は振動出力機器(スピーカおよび振動子)を備えなくてもよく、このような情報伝送装置を振動情報取得装置ともいう。また、他方の情報伝送装置(例えば情報伝送装置100B)は情報取得機器(マイクおよび振動センサ)を備えなくてもよく、このような情報伝送装置を振動再生装置という。
【0034】
また、本実施形態では2地点間の伝送の場合を示したが、3地点以上の多地点に拡張されてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、ある地点で振動を感知し、リアルタイムで振動情報を遠隔地へ伝送し、遠隔地で振動情報を再生し、ある地点の振動を遠隔地で再現しているが、必ずしもリアルタイムで処理する必要はない。例えば、収音した音響信号と感知した振動情報とを記録媒体に記憶しておき、収音および感知した時刻とは異なる時刻に、同じ地点または異なる地点に配置された振動再生装置で振動を再現してもよい。
【0036】
例えば、振動情報取得装置で取得した振動情報および音響信号をサーバ装置に記憶しておき、クライアント装置の求めに応じて配信してもよい。このとき、クライアント装置は、振動再生装置として機能する。
【0037】
例えば、タブレットpcを振動再生装置として利用することができる。この場合、タブレットpcは、振動子として機能するアクチュエータをタブレットpcの重心位置付近に内蔵し、アクチュエータを挟むようにタブレットpcの筐体全体の両端にステレオスピーカを備える。なお、タブレットpcのタッチパネルを含む筐体全体が情報提示材として機能する。タブレットpcは、ステレオスピーカの再生により、実際のアクチュエータの位置(振動発生位置)からずれたように知覚(錯覚)され得るように、ある程度の大きさを備える。
【0038】
<その他の変形例>
本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0039】
<プログラム及び記録媒体>
上述の出力部および入力部の処理は、図4に示すコンピュータの記憶部2020に、上記方法の各ステップを実行させるプログラムを読み込ませ、制御部2010、入力部2030、出力部2040などに動作させることで実施できる。
【0040】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
【0041】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0042】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0043】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
図1
図2
図3
図4