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特開2022-39067車両予約方法、サーバ装置、車両予約システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039067
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】車両予約方法、サーバ装置、車両予約システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20220303BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220303BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20220303BHJP
【FI】
G06Q30/06 312
G06Q50/10
G06Q10/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143878
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝日 洋充
(72)【発明者】
【氏名】福地 竹虎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA03
5L049BB53
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】或るユーザにより利用が契約されている車両の利用率を向上させる。
【解決手段】第1ユーザによる車両の利用予約の要求が取得される。この要求に応じて車両を利用する契約をしている第2ユーザから車両が貸し出される場合には、利用予約が確定される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユーザによる車両の利用予約の要求を取得するステップと、
前記要求に応じて前記車両を利用する契約をしている第2ユーザから前記車両が貸し出される場合には、前記利用予約を確定するステップと
を有する車両予約方法。
【請求項2】
前記要求は、前記車両の利用日時を含み、
前記第2ユーザに前記利用日時における前記車両の貸し出しの許否を問い合せるステップと、
前記問い合せるステップにおける問合せの応答が、前記車両の貸し出しを許可することを示すか否かを判定するステップとを更に有し、
前記確定するステップでは、前記応答が前記車両の貸し出しを許可することを示すと判定された場合には、前記利用予約が確定される
請求項1記載の車両予約方法。
【請求項3】
前記要求は、前記車両の利用日時を含み、
前記第2ユーザに前記車両の利用予約の状況を示す予約情報を問い合せるステップと、
前記予約情報に基づいて、前記利用日時において前記第2ユーザにより利用予約が行われていない空き車両があるか否かを判定するステップとを更に有し、
前記確定するステップでは、前記空き車両があると判定された場合には、前記利用予約が確定される
請求項1記載の車両予約方法。
【請求項4】
前記要求は、複数の車両のうち少なくともいずれかの車両の利用予約の要求であり、当該車両の利用を開始する利用開始場所を含み、
前記複数の車両に含まれる異なる車両を利用する契約をしている複数の第2ユーザの中から前記利用開始場所に応じて少なくとも一の第2ユーザを決定するステップを更に有し、
前記問い合せるステップでは、前記少なくとも一の第2ユーザに対して問合せが行われ、
前記確定するステップでは、前記判定するステップにおける判定結果が前記少なくとも一の第2ユーザが利用する契約をしている少なくとも一の車両の貸し出しが可能であることを示す場合には、前記利用予約が確定される
請求項2又は3に記載の車両予約方法。
【請求項5】
前記少なくとも一の第2ユーザは、二以上の第2ユーザを含み、
前記問い合せるステップでは、前記利用開始場所と当該二以上の第2ユーザのそれぞれが契約をしている少なくとも一の車両の場所との関係に応じて決められた順番に従って、当該二以上の第2ユーザに対して前記問合せが行われ、
前記確定するステップでは、前記判定するステップにおける判定結果が前記二以上の第2ユーザのうち少なくとも一の第2ユーザが利用する契約をしている少なくとも一の車両の貸し出しが可能であることを示す場合には、前記利用予約が確定される
請求項4に記載の車両予約方法。
【請求項6】
前記第1ユーザが前記確定された利用予約に従って前記車両を利用する場合には、前記第2ユーザに特典を付与するステップを更に有する
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両予約方法。
【請求項7】
前記要求は、前記第1ユーザによって指定された場所の情報を含み、
当該場所から所定距離の範囲内に、少なくとも一の前記第2ユーザが存在する場合において、前記所定距離よりも離れた場所にある車両を利用する契約をしている他の第2ユーザから前記車両が貸し出される場合には、前記第1ユーザが利用可能な特典を、前記要求に対する応答に含めて応答するステップを更に有する
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車両予約方法。
【請求項8】
第1ユーザによる車両の利用予約の要求を取得する取得部と、
前記要求に応じて前記車両を利用する契約をしている第2ユーザから前記車両が貸し出される場合には、前記利用予約を確定する予約確定部と
を備えるサーバ装置。
【請求項9】
第1ユーザによって入力された情報に基づいて、車両の利用予約の要求を送信する端末装置と、
サーバ装置とを備え、
前記サーバ装置は、
前記要求を取得する取得部と、
前記要求に応じて前記車両を利用する契約をしている第2ユーザから前記車両が貸し出される場合には、前記利用予約を確定する予約確定部とを含む
車両予約システム。
【請求項10】
コンピュータに、
第1ユーザによる車両の利用予約の要求を取得するステップと、
前記要求に応じて前記車両を利用する契約をしている第2ユーザから前記車両が貸し出される場合には、前記利用予約を確定するステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシェアリングに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のシェアリングを管理する技術が知られている。特許文献1には、車両レンタルフリート及び車両共用フリートで車両を共用する技術が記載されている。特許文献2には、車両の使用実績に基づいて、車両台数の適否を判断する技術が記載されている。特許文献3には、法人ユーザ及び個人ユーザに対して車両の割り当てをする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-519270号公報
【特許文献2】特開2012-181582号公報
【特許文献3】特開2019-148911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーシェアリングにおいては、平日と休日とで車両の利用を希望する人が異なる場合がある。そのため、例えば平日は法人等の組織に属する組織ユーザが車両を利用し、休日は住民や観光客等の個人ユーザがこの車両を利用できるようにすることが考えられている。しかし、この場合にも、平日において組織ユーザが必ずしも全ての車両を常に利用しているわけではない。そのため、平日に組織ユーザしか車両を利用できないと、車両の利用率が低くなる場合がある。
本発明は、或るユーザにより利用が契約されている車両の利用率を向上させることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、第1ユーザによる車両の利用予約の要求を取得するステップと、前記要求に応じて前記車両を利用する契約をしている第2ユーザから前記車両が貸し出される場合には、前記利用予約を確定するステップとを有する車両予約方法を提供する。
【0006】
本開示の別の一態様は、第1ユーザによる車両の利用予約の要求を取得する取得部と、前記要求に応じて前記車両を利用する契約をしている第2ユーザから前記車両が貸し出される場合には、前記利用予約を確定する予約確定部とを備えるサーバ装置を提供する。
【0007】
本開示の別の一態様は、第1ユーザによって入力された情報に基づいて、車両の利用予約の要求を送信する端末装置と、サーバ装置とを備え、前記サーバ装置は、前記要求を取得する取得部と、前記要求に応じて前記車両を利用する契約をしている第2ユーザから前記車両が貸し出される場合には、前記利用予約を確定する予約確定部とを含む車両予約システムを提供する。
【0008】
本開示の別の一態様は、コンピュータに、第1ユーザによる車両の利用予約の要求を取得するステップと、前記要求に応じて前記車両を利用する契約をしている第2ユーザから前記車両が貸し出される場合には、前記利用予約を確定するステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、或るユーザにより利用が契約されている車両の利用率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る車両予約システムの構成の一例を示す図。
図2】端末装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図3】サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図4】車両予約システムの機能構成の一例を示す図。
図5】個人予約データベースの一例を示す図。
図6】車両予約システムの動作の一例を示すシーケンスチャート。
図7】端末装置のディスプレイに表示される予約サイトの画面の一例を示す図。
図8】応答画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.構成
図1は、一実施形態に係る車両予約システム10の構成の一例を示す図である。車両予約システム10は、カーシェアリングにおいて車両20の利用予約を行うためのサービスを提供する。カーシェアリングとは、複数のユーザの間で車両20を共有することをいう。なお、図1において、車両20は複数が図示されている。車両20の各々を区別するときは車両20A、車両20B等と表し、区別しないときは単に車両20と表す。このユーザには、組織ユーザと個人ユーザとが含まれる。組織ユーザとは、法人等の組織30A、30B、・・・(以下、総称して「組織30」ともいう。)に属するユーザをいう。組織30には、例えば地元の企業や銀行、信用金庫が含まれる。個人ユーザとは、組織ユーザ以外のユーザをいう。個人ユーザには、例えば住民や観光客が含まれる。個人ユーザは、本開示に係る第1ユーザの一例である。組織ユーザ又は組織30は、本開示に係る第2ユーザの一例である。
【0012】
組織30は、カーシェアリングサービスを提供する事業者と平日にカーシェアリングサービスを利用する契約を予め締結し、カーシェアリングの利用料をこの事業者に支払っている。利用料は例えば定額であり、毎月前払いされる。カーシェアリングサービスを提供する事業者は複数の車両20を有しており、複数の組織30はこれらの車両20に含まれる異なる車両20を利用する契約をしている。ここでは、この契約に基づいて、カーシェアリングサービスを提供する事業者から組織30Aには車両20Aが貸し出され、組織30Bには車両20Bが貸し出されているものとする。カーシェアリングサービスを提供する事業者から組織30に貸し出された車両20は、平日だけでなく休日もこの組織30の駐車場に駐車されている。平日において組織ユーザは、自由に車両20を利用することができる。一方、休日においては、個人ユーザが車両20を利用することができる。
【0013】
組織30とカーシェアリングサービスを提供する事業者との契約上、平日は組織30が車両20を独占的に使用することができる。しかし、組織ユーザの利用だけでは車両20の利用率が常に100%にはならず、利用予約に空き時間が生じる場合がある。他方、個人ユーザは、休日だけでなく平日においても、車両20を一時利用したいという需要がある。ここで、組織ユーザによる平日の利用予約、すなわちどの組織ユーザがいつ車両20を利用するかは、組織30内で管理されており、カーシェアリングサービスを提供する事業者側では管理していない。そこで、本実施形態では、平日において組織30に貸し出されている車両20の利用予約の空き時間を有効に活用するために、平日の個人ユーザによる利用予約の要求に対して、車両20を独占的に使用することができる組織30に問い合せる。そして、個人ユーザが利用したい日時に利用予約の空きがあり、組織30から車両20が貸し出される場合には、個人ユーザからの車両20の利用予約が受け付けられる。
【0014】
車両20には、例えば超小型EV(Electric Vehicle)が用いられる。超小型EVとは、乗車定員が4名以下、最高速度60km/h、定格出力0.6kw以上、排気量50cc以上660cc以下、長さ2.5m以下、幅1.3m以下、高さ2.0m以下、最大積載量350kg以下の特徴を一例とする、軽乗用車より小型の電気自動車をいう。なお、車両20は、超小型EVに限定されず、通常の自動車や次世代自動車等、どのような車両であってもよい。車両20は通信機能を有している。また、車両20には、IC(Integrated Circuit)カードリーダが搭載されている。ICカードリーダは、個人ユーザ又は組織ユーザのICカードからユーザ識別情報を読み取る。ここで用いられるICカードには、例えばICカード付きの運転免許証と、このカーシェアリングサービスの専用ICカードとが含まれる。例えば個人ユーザは運転免許証を用い、組織ユーザは専用ICカードを用いる。ユーザ識別情報は、運転免許証の場合は免許証番号であり、専用ICカードの場合はカーシェアリングサービスを提供する事業者により付与された識別番号である。ICカードにより読み取られたユーザ識別情報はユーザ認証に用いられる。ユーザ認証に成功すると、車両20のドアの施錠が解除され、ユーザが車両20を利用できるようになる。
【0015】
車両予約システム10は、端末装置100と、サーバ装置200と、予約管理装置300A、300B、・・・(以下、総称して「予約管理装置300」ともいう。)とを備える。これらの装置は、通信ネットワーク400を介して接続されている。通信ネットワーク400には、例えば無線通信網及びインターネットが含まれる。端末装置100は、個人ユーザにより利用される。端末装置100には、例えばスマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット端末、又はウェアラブル端末が用いられる。なお、端末装置100は、これらの携帯端末に限定されず、据え置き型のコンピュータ装置であってもよい。サーバ装置200は、カーシェアリングサービスを提供する事業者により管理及び運営される。サーバ装置200は、個人ユーザにより行われる休日の利用予約を管理する。複数の予約管理装置300は、異なる組織30により管理及び運営される。例えば予約管理装置300A及び300Bは、それぞれ、組織30A及び30Bにより管理及び運営される。予約管理装置300は、組織ユーザにより行われる平日の利用予約を管理する。このように、平日における組織30の利用予約は組織30側で管理しており、サーバ装置200、すなわちカーシェアリングの事業者側では管理していない。予約管理装置300の記憶部311(後述)には、組織予約データベース350が記憶されている。なお、組織予約データベース350の各々を区別するときは、予約管理装置300Aの組織予約データベース350を組織予約データベース350Aと表し、予約管理装置300Bの組織予約データベース350を組織予約データベース350Bと表し、区別しないときは単に組織予約データベース350と表す。組織予約データベース350は、予約管理装置300を管理している組織30の全組織ユーザによる車両20の予約状況を示す。組織予約データベース350には、例えば組織ユーザ又は組織30の担当者の操作により各組織ユーザによる車両20の利用予約を示す組織予約情報が格納される。
【0016】
図2は、端末装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。端末装置100は、プロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信インターフェース104と、入力装置105と、ディスプレイ106とを備える。これらの構成は、バス107を介して接続されている。プロセッサ101は、プログラムを実行することにより、端末装置100の各部を制御し、端末装置100の機能を実現する処理を行う。プロセッサ101には、例えばCPU(Central Processing Unit)が用いられる。なお、プロセッサ101は単一のプロセッサ101であってもよいし、複数のプロセッサ101であってもよい。複数のプロセッサ101は、同時に処理を実行してもよいし、逐次処理を実行してもよい。メモリ102は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、プロセッサ101により実行されるプログラムを記憶する。メモリ102には、例えばRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)が用いられる。ストレージ103は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、プロセッサ101により用いられる各種のデータ及びプログラムを記憶する。ストレージ103には、例えばフラッシュメモリが用いられる。通信インターフェース104は、通信ネットワーク400に接続され、通信ネットワーク400を介して例えばサーバ装置200とデータ通信を行う。入力装置105は、端末装置100の操作に用いられる。入力装置105には、例えばボタン及びタッチセンサが用いられる。ディスプレイ106は、個人ユーザとの情報のやり取りに用いられる各種の画面を表示する。ディスプレイ106には、例えば液晶ディスプレイが用いられる。ディスプレイ106は、タッチセンサと一体となってタッチパネルとして構成されてもよい。
【0017】
図3は、サーバ装置200のハードウェア構成の一例を示す図である。サーバ装置200は、プロセッサ201と、メモリ202と、ストレージ203と、通信インターフェース204と備える。これらの構成は、バス205を介して接続されている。プロセッサ201は、プログラムを実行することにより、サーバ装置200の各部を制御し、サーバ装置200の機能を実現する処理を行う。プロセッサ201には、例えばCPUが用いられる。なお、プロセッサ201は、プロセッサ101と同様に、単一のプロセッサ201であってもよいし、複数のプロセッサ201であってもよい。複数のプロセッサ201は、同時に処理を実行してもよいし、逐次処理を実行してもよい。メモリ202は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、プロセッサ201により実行されるプログラムを記憶する。メモリ202には、例えばRAM及びROMが用いられる。ストレージ203は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、プロセッサ201により用いられる各種のデータ及びプログラムを記憶する。ストレージ203には、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)が用いられる。通信インターフェース204は、通信ネットワーク400に接続され、例えば通信ネットワーク400を介して端末装置100及び予約管理装置300とデータ通信を行う。なお、予約管理装置300は、端末装置100又はサーバ装置200と同様のハードウェア構成を備えていてもよい。
【0018】
図4は、車両予約システム10の機能構成の一例を示す図である。端末装置100は、個人ユーザが車両20の利用予約をするのに必要なデータをサーバ装置200との間でやり取りする機能を有する。端末装置100は、要求部111、受付部112、表示制御部113、及び申込み部114として機能する。端末装置100の機能は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、プロセッサ101が演算を行い又は端末装置100の各部を制御して実現される。
【0019】
要求部111は、個人ユーザによって入力された情報に基づいて、個人ユーザによる車両20の利用予約をサーバ装置200に要求する。この要求は、データの送信により行われる。利用予約の要求は、カーシェアリングサービスを提供する事業者から複数の組織30に貸し出された複数の車両20のうち少なくともいずれかの利用予約の要求である。利用予約の要求には、利用日時及び利用開始場所が含まれる。利用日時とは、車両20を利用する日時をいう。利用開始場所とは、車両20の利用を開始する場所であり、例えば、住所、地理学的経緯度、又は施設名などの情報を用いて特定される場所である。受付部112は、利用予約の要求に対する応答をサーバ装置200から受け付ける。表示制御部113は、受付部112が受け付けた応答の内容をディスプレイ106に表示させる。申込み部114は、個人ユーザの操作に応じて、サーバ装置200に車両20の利用予約を申し込む。この申込みは、データの送信により行われる。
【0020】
サーバ装置200は、個人ユーザからの車両20の利用予約の要求に応じて、個人ユーザに車両20を貸し出す組織30を探し、個人ユーザが車両20を利用できるようにする機能を有する。サーバ装置200は、取得部211、決定部212、問合せ部213、判定部214、応答部215、予約確定部216、及び特典付与部217として機能する。サーバ装置200の機能は、プロセッサ201がメモリ202に記憶されたプログラムを実行することにより、プロセッサ201が演算を行い又はサーバ装置200の各部を制御して実現される。
【0021】
取得部211は、端末装置100から車両20の利用予約の要求を取得する。決定部212は、端末装置100から要求された利用開始場所に応じて、少なくとも一の組織30を問合せ先として決定する。問合せ先は、利用開始場所と組織30で管理されている車両20の場所との位置関係により問合せ先が決定される。例えば組織30に貸し出された車両20の駐車場の場所が利用開始場所に近い組織30が問合せ先として決定される。また、複数の組織30が問合せ先として決定された場合、決定部212は、これらの組織30に対し、利用開始場所と組織30で管理されている車両20の場所との位置関係に応じて決められた優先順位を付与する。例えば組織30に貸し出された車両20の駐車場が利用開始場所から近い順に優先順位が付与される。優先順位は、本開示に係る「順番」の一例である。
【0022】
問合せ部213は、決定部212が決定した問合せ先に端末装置100から要求された利用日時における車両20の貸し出しが可能であるか否かを問い合せる。一の例において、この問合せは、この利用日時における車両20の貸し出しの許否を問い合せるメッセージ又は電子メールの送信により行われる。他の例において、この問合せは、組織予約データベース350に含まれる組織予約情報を問い合せることにより行われる。この「組織予約情報を問い合せる」とは、組織予約情報を取得することも含む概念である。ここでは、組織予約情報の問合せは、組織予約情報の取得要求により行われる。予約管理装置300の記憶部311には、組織予約データベース350が記憶されている。なお、記憶部311は、例えばストレージにより実現される。また、複数の組織30が問合せ先として決定された場合、この問合せは、これらの組織30に付与された優先順位に従って行われる。また、問合せ部213は、問合せ先から問合せに対する応答を受信する。
【0023】
判定部214は、予約管理装置300からの応答に基づいて、端末装置100から要求された利用予約を受け付けるか否かを判定する。一の例において、予約管理装置300からの応答は、組織30の担当者の操作に応じた電子メール又はメッセージの返信により行われる。この場合、判定部214は、まず組織30からの応答が車両20の貸し出しを許可することを示すか否かを判定する。判定部214の判定は、予約管理装置300からの電子メール又はメッセージの返信内容又は返信状況に基づいて行われる。電子メール又はメッセージの返信内容又は返信状況から車両20の貸し出しを許可する組織30が発見された場合、すなわち少なくとも一の予約管理装置300からの応答が車両20の貸し出しを許可することを示すと判定された場合には、この組織30から個人ユーザに車両20が貸し出されるため、判定部214は、利用予約を受け付けると判定する。この応答が車両20の貸し出しを許可することを示すという判定結果は、少なくとも一の組織30が管理している車両20の貸し出しが可能であることを示す。一方、電子メール又はメッセージの返信内容又は返信状況から車両20の貸し出しを許可する組織30が発見されなかった場合、すなわち予約管理装置300からの応答がいずれも車両20の貸し出しを拒否することを示すと判定された場合には、判定部214は、利用予約を受け付けないと判定する。他の例において、予約管理装置300からの応答は、組織予約情報の送信により行われる。この場合、判定部214は、まず組織予約情報の内容に基づいて端末装置100から要求された利用時間において空いている車両20が存在するか否かを判定する。空いている車両20とは、組織30に貸し出された車両20の中で組織ユーザによる利用予約が行われていない車両20をいう。空いている車両20は、本開示に係る空き車両の一例である。空いている車両20が存在すると判定された場合には、この組織30から車両20が貸し出されるため、判定部214は、利用予約を受け付けると判定する。この空いている車両20が存在するという判定結果は、少なくとも一の組織30が管理している車両20の貸し出しが可能であることを示す。一方、空いている車両20が存在しないと判定された場合には、判定部214は、利用予約を受け付けないと判定する。
【0024】
応答部215は、端末装置100からの利用予約の要求に応じて、判定部214の判定結果を示す応答を行う。予約確定部216は、判定結果が利用予約を受け付けることを示す場合において、個人ユーザの操作により車両20利用予約が申し込まれたときは、端末装置100から申し込まれた利用予約を確定する処理を行う。この処理には、個人ユーザによる車両20の利用予約が確定したことを組織30に通知する処理と、個人予約データベース220に個人ユーザによる車両20の利用予約を示す個人予約情報を追加する処理とが含まれる。この処理により、個人ユーザは、利用日時に組織30に貸し出された車両20を利用することができる。
【0025】
図5は、個人予約データベース220の一例を示す図である。個人予約データベース220は、サーバ装置200の記憶部218に記憶されている。記憶部218は、例えばストレージ203により実現される。個人予約データベース220は、複数のレコードを含む。各レコードは、ユーザ識別情報、車両識別情報、利用開始日時、及び利用終了日時を含む。ユーザ識別情報は、ユーザを一意に識別する情報である。車両識別情報は、車両20を一意に識別する情報である。利用開始日時は、車両20の利用を開始する日時を示す。利用終了日時は、車両20の利用を終了する日時を示す。例えば図5の第1行のレコードは、ユーザ識別情報「50212351」を有するユーザが、20XX年4月5日の13時5分から15時10分まで車両識別情報「105001001」の車両20を利用する予約を行っていることを示す。なお、組織予約データベース350についても、組織ユーザによる車両20の利用予約について、図5に示される個人予約データベース220と同様の情報が格納される。
【0026】
特典付与部217は、確定された利用予約に従って、個人ユーザが車両20を利用する場合には、この車両20を貸し出す組織30に特典を付与する。一の例においてこの特典は、組織30が支払うカーシェアリングの利用料からの割引である。この割引金額は、一定の金額であってもよいし、個人ユーザによる車両20の利用分に応じた金額であってもよい。他の例においてこの特典は、個人ユーザによる車両20の利用分に応じた金額のキャッシュバックである。
【0027】
2.動作
図6は、車両予約システム10の動作の一例を示すシーケンスチャートである。ここでは、平日に個人ユーザが組織30に貸し出されている車両20の利用予約をするものとする。個人ユーザは、車両20の利用予約をするときは、端末装置100を用いて予約サイトにアクセスする。これにより、端末装置100のディスプレイ106には、予約サイトの画面が表示される。
【0028】
図7は、端末装置100のディスプレイ106に表示される予約サイトの画面の一例を示す図である。予約サイトにアクセスすると、ディスプレイ106には、まず予約画面120が表示される。予約画面120は、利用日時及び利用開始場所を指定する操作を受け付ける。この例では、予約画面120には、利用開始日時の入力を受け付ける入力領域121と、利用終了日時の入力を受け付ける入力領域122とが含まれる。個人ユーザは、入力装置105を用いて、入力領域121に利用開始日時を、入力領域122に利用終了日時を入力する操作を行う。例えば個人ユーザが20XX年4月6日の10時から11時まで車両20を利用したい場合には、入力領域121に「20XX年4月6日10時」という利用開始日時を入力する操作を行い、入力領域122に「20XX年4月6日11時」という利用終了日時を入力する操作を行う。これにより、20XX年4月6日10時から11時までの時間が利用日時として指定される。
【0029】
また、予約画面120には、地図上で利用開始場所を探すための検索ボタン123が含まれる。個人ユーザが入力装置105を用いて検索ボタン123を押す操作を行うと、ディスプレイ106には地図画面130が表示される。地図画面130は、予約画面120から遷移して表示される。なお、地図画面130は、予約画面120の一部に重畳して表示されてもよい。地図画面130は、地図上で利用開始場所を指定する操作を受け付ける。地図画面130には地図が含まれる。地図上には、組織30A~30Eを表すアイコンが付加されている。これらのアイコンは、それぞれ、組織30A~30Eの駐車場の場所に対応する位置に付加される。組織30A~30Eは、いずれもカーシェアリングサービスを利用する契約を予め締結している。組織30A~30Eには、異なる車両20が貸し出されている。平日、個人ユーザが組織30A~30Eで管理されている車両20の利用予約をする場合には、組織30A~30Eから個人ユーザへの車両20の貸し出しが可能である場合に限り成立するリクエスト予約となる。そのため、平日においては、組織30A~30Eを示すアイコンには、いずれもリクエスト予約が可能であることを示すメッセージが付加されている。例えば個人ユーザがX駅周辺の場所から車両20を利用したい場合には、入力装置105を用いてX駅を選択する操作を行う。これにより、X駅が利用開始場所として指定される。なお、利用開始場所は、組織30の場所であってもよい。例えば個人ユーザは、組織30Aの駐車場から車両20Aを利用したい場合には、入力装置105を用いて組織30Aに対応するアイコンを選択する操作を行ってもよい。地図上で利用開始場所を指定する操作が完了すると、予約画面120に戻る。予約画面120には、申込みボタン124が含まれている。
【0030】
なお、利用開始場所を指定する方法は、地図上で指定する方法に限定されない。例えば複数の利用開始場所のリストを表示し、リストの中から所望の利用開始場所を選択する方法が採用されてもよい。また、端末装置100がGPS(Global Positioning System)受信機を備えている場合には、GPS受信機により測位された個人ユーザの現在位置に応じて利用開始場所が指定される方法が採用されてもよい。
【0031】
再び図6を参照する。このようにして、個人ユーザにより利用日時及び利用開始場所が指定され、申込みボタン124が押下されると、ステップS11において、端末装置100の要求部111は、利用予約を要求する要求データをサーバ装置200に送信する。この要求データには、利用日時及び利用開始場所が含まれる。例えば要求データには、20XX年4月6日の10時から11時までの利用日時と、X駅という利用開始場所とが含まれる。すなわち、要求データには、個人ユーザにより指定された日時及び場所の情報が含まれる。端末装置100から送信された要求データは、サーバ装置200の取得部211にて取得される。
【0032】
ステップS12において、サーバ装置200の決定部212は、端末装置100から要求された利用開始場所に応じて問合せ先を決定する。ここでは、要求データに含まれる利用開始場所はX駅であるものとする。この場合、決定部212は、例えば図7に示されるように、X駅から所定距離内の範囲135内に含まれる組織30A~30Dを問合せ先として決定する。すなわち、所定距離内の範囲135外の組織30Eについては問合せ先から除外される。また、決定部212は、問合せ先として決定された組織30A~30Dのそれぞれに対し、X駅から近い順に優先順位を付与する。この例では、最もX駅に近いのは組織30Aであり、二番目にX駅に近いのは組織30B、三番目にX駅に近いのは組織30C、最もX駅から遠いのは組織30Dである。この場合、組織30A~30Dの優先順位は、それぞれ、「1」~「4」となる。なお、この例において優先順位は、「1」が最も高く、「2」、「3」、「4」の順に低くなるとする。
【0033】
ステップS13において、サーバ装置200の問合せ部213は、最初の問合せ先の予約管理装置300に、端末装置100から要求された利用日時における車両20の貸し出しの可否を問い合せる問合せデータを送信する。サーバ装置200から送信された問合せデータは、予約管理装置300にて受信される。ステップS14において、予約管理装置300は、この問合せに対して応答する応答データをサーバ装置200に送信する。予約管理装置300から送信された応答データは、サーバ装置200の問合せ部213にて受信される。ステップS15において、サーバ装置200の判定部214は、次の問合せ先に問合せを行うか否かを判定する。判定部214が次の問合せ先に問合せを行うと判定した場合(ステップS15の判定がYES)、この処理はステップS13に戻る。この場合、ステップS13において、サーバ装置200の問合せ部213は、次の問合せ先の予約管理装置300に、端末装置100から要求された利用日時における車両20の貸し出しの可否を問い合せる問合せデータを送信する。一方、判定部214が次の問合せ先に問合せを行わないと判定した場合(ステップS15の判定がNO)、処理はステップS16に進む。ステップS16において、判定部214は、予約管理装置300からの応答データに基づいて、端末装置100から要求された利用予約を受け付けるか否かを判定する。
【0034】
一の例において、まずサーバ装置200から優先順位が「1」の組織30Aの予約管理装置300Aに、20XX年4月6日の10時から11時までの利用日時における車両20Aの貸し出しの許否を問い合せる電子メール又はメッセージが送信される。予約管理装置300Aは、サーバ装置200からこの電子メール又はメッセージを受信すると、この電子メール又はメッセージを所定の装置に出力する。例えば予約管理装置300Aは、電子メール又はメッセージをディスプレイ装置に表示することによって出力する。組織30Aの担当者は、このメッセージ又は電子メールを見ると、車両20Aの貸し出しを許可するか否かを判断する。ここでは、20XX年4月6日の10時から11時までの利用時間に、組織30Aに貸し出された全ての車両20Aについて、組織30Aの組織ユーザにより利用予約が行われているものとする。この場合、組織30Aの担当者は、車両20Aの貸し出しを拒否すると判断する。組織30Aの担当者は、予約管理装置300Aを用いて、車両20Aの貸し出しを拒否することを示す電子メール又はメッセージを返信する操作を行う。この操作が行われると、予約管理装置300Aからサーバ装置200に車両20Aの貸し出しを拒否することを示す電子メール又はメッセージが送信される。或いは、組織30Aの担当者は、サーバ装置200からの問合せに対して返信する操作を行わなくてもよい。予約管理装置300Aから車両20Aの貸し出しを拒否することを示す電子メール又はメッセージが送信された場合又は予約管理装置300Aから問合せの応答がないまま所定時間経過した場合には、組織30Aが車両20Aの貸し出しを拒否したことを意味する。この場合、サーバ装置200は、優先順位が次に高い「2」の組織30Bに問合せを行うと判定し、この組織30Bの予約管理装置300Bに、予約管理装置300Aと同様の電子メール又はメッセージを送信する。このようにして、車両20の貸し出しを許可する予約管理装置300が発見されるまで、サーバ装置200は、優先順位に従って問合せを繰り返す。
【0035】
ここでは、20XX年4月6日の10時から11時までの利用時間において、組織30Bに貸し出された車両20Bの少なくとも一部が、組織30Bの組織ユーザにより利用予約が行われていないものとする。この場合、組織30Bの担当者は、予約管理装置300Bを用いて車両20Bの貸し出しを許可することを示す電子メール又はメッセージを返信する操作を行う。この操作が行われると、予約管理装置300Bからサーバ装置200に車両20Bの貸し出しを許可することを示す電子メール又はメッセージが送信される。この場合、組織30Bが車両20Bの貸し出しを許可したことを意味する。このように、車両20Bの貸し出しを許可する組織30Bが発見された場合には、判定部214は、次の問合せ先への問合せを行わないと判定し、端末装置100から要求された車両20の利用予約を受け付けると判定する。一方、組織30A~30Dがいずれも車両20の貸し出しを拒否し、車両20の貸し出しを許可する組織30が発見されなかった場合には、判定部214は、次の問合せ先が存在しないため、次の問合せ先への問合せを行わないと判定し、端末装置100から要求された車両20の利用予約を受け付けないと判定する。なお、優先順位が「2」の組織30Bが車両20Bの貸し出しを許可した場合には、組織30Bより優先順位が低い組織30C及び30Dについては、問合せが行われなくてもよい。
【0036】
他の例において、まずサーバ装置200から優先順位が「1」の組織30Aの予約管理装置300Aに、組織予約データベース350Aにおいて利用日時が20XX年4月6日の10時から11時までの期間に含まれるレコード中の組織予約情報の取得を要求する要求データが送信される。予約管理装置300Aは、サーバ装置200からこの要求データが受信すると、組織予約データベース350Aからこの組織予約情報を抽出し、抽出した組織予約情報をサーバ装置200に送信する。サーバ装置200は、予約管理装置300Aから組織予約情報を受信すると、この組織予約情報に基づいて、組織30Aに貸し出されている車両20Aの中に20XX年4月6日の10時から11時までの利用日時に空いている車両20Aが存在するか否かを判定する。ここで、利用日時には、仮に前のユーザが車両20を時間内に返却しなくても後のユーザが利用時間通りに車両20を利用できるように、猶予時間が加えられてもよい。例えば猶予時間が一時間である場合には、利用日時の前後一時間を加えた時間が利用日時として用いられてもよい。ここでは、組織30Aに貸し出された全ての車両20Aについて、20XX年4月6日の10時から11時に前後一時間の猶予時間を加えた20XX年4月6日の9時から12時までの利用時間に、組織30Aの組織ユーザにより利用予約が行われているものとする。この場合、判定部214は、組織30Aに空いている車両20Aは存在しないと判定するため、次の問合せ先への問合せを行うと判定する。サーバ装置200の問合せ部213は、決定部212が決定した問合せ先のうち優先順位が次に高い「2」の組織30Bの予約管理装置300Bに、予約管理装置300Aと同様の要求データを送信する。このようにして、空いている車両20が発見されるまで、サーバ装置200は、優先順位に従って組織予約情報の取得要求及び空いている車両20の判定を繰り返す。
【0037】
ここでは、20XX年4月6日の9時から12時までの利用時間に、組織30Bに貸し出されている車両20Bの一部が、組織30Bの組織ユーザにより利用予約が行われていないものとする。この場合、組織30Bに空いている車両20Bが存在すると判定される。このように、空いている車両20Bを有する組織30Bが発見された場合には、判定部214は、次の問合せ先への問合せを行わないと判定し、端末装置100から要求された車両20の利用予約を受け付けると判定する。一方、組織30A~30Dのいずれにも空いている車両20が存在しない場合には、判定部214は、端末装置100から要求された車両20の利用予約を受け付けないと判定する。なお、優先順位が「2」の組織30Bに空いている車両20Bが存在する場合には、組織30Bより優先順位が低い組織30C及び30Dについては、組織予約情報の取得の要求及び空いている車両20の判定は行われなくてもよい。
【0038】
ステップS17において、サーバ装置200の応答部215は、端末装置100からの利用予約の要求に応答する応答データを端末装置100に送信する。この応答データには、ステップS16の判定結果が含まれる。また、この判定結果が利用予約を受け付けることを示す場合、応答データには車両20Bの貸し出しを許可した組織30Bを識別する情報が含まれる。サーバ装置200から送信された応答データは、端末装置100の受付部112にて受信される。ステップS18において端末装置100の表示制御部113は、サーバ装置200からの応答に応じた応答画面140をディスプレイ106に表示させる。
【0039】
図8は、応答画面140の一例を示す図である。応答画面140には、利用予約を受け付けることを示すメッセージと、車両20Bの貸し出しを許可した組織30Bを識別する情報とが含まれる。また、判定結果が利用予約を受け付けることを示す場合、応答画面140には予約ボタン141が含まれる。個別ユーザは、利用日時において組織30Bに貸し出されている車両20Bの利用予約を行う場合には、端末装置100の入力装置105を用いて予約ボタン141を押す操作を行う。なお、判定結果が利用予約を受け付けないことを示す場合、応答画面140には予約ボタン141が含まれないか、予約ボタン141をグレーアウトすることにより、予約ボタン141に対する操作が無効にされてもよい。
【0040】
ステップS19において、予約ボタン141が押されると、端末装置100の申込み部114は、利用予約を申し込む申込みデータをサーバ装置200に送信する。申込みデータには、個人ユーザのユーザ識別情報が含まれる。このユーザ識別情報には、例えば個人ユーザが所有する運転免許証の運転免許証番号が用いられる。端末装置100から送信された申込みデータは、サーバ装置200の予約確定部216にて受信される。ステップS20において、サーバ装置200の予約確定部216は、端末装置100から申し込まれた利用予約を確定する処理を行う。例えば予約確定部216は、組織30Bの予約管理装置300Bに、20XX年4月6日の10時から11時までの利用時間において個人ユーザによる組織30Bで管理されている車両20Bの利用予約が確定したことを通知する。予約管理装置300Bは、この通知に応じて組織予約データベース350Bを更新し、個人ユーザにより20XX年4月6日の10時から11時に利用予約が行われた車両20Bについては、組織30Bの組織ユーザによる利用予約が禁止される。また、予約確定部216は、個人予約データベース220を更新し、申込みデータに含まれるユーザ識別情報と関連付けて、20XX年4月6日の10時から11時に個人ユーザによる車両20Bの利用予約を示す個人予約情報を追加する。これにより、個人ユーザは、20XX年4月6日の10時から11時において、組織30Bで管理されている車両20Bを利用することができる。
【0041】
具体的には、個人ユーザは、利用開始日時になると組織30Bの駐車場に移動し、車両20BのICカードリーダに自分の運転免許証をかざす。ICカードリーダに個人ユーザの運転免許証がかざされると、ICカードリーダにより運転免許証からユーザ識別情報が読み取られ、サーバ装置200に送信される。車両20Bからユーザ識別情報が受信されると、サーバ装置200ではこのユーザ識別情報を用いてユーザ認証が行われる。図5に示される例では、個人予約データベース220には、20XX年4月6日の10時から11時の利用予約に関連付けてこのユーザ識別情報が含まれるため、ユーザ認証に成功する。この場合、ユーザ認証に成功したことを示す認証結果がサーバ装置200から車両20Bに送信される。サーバ装置200からこの認証結果が受信されると、車両20Bの施錠が解除され、個人ユーザが車両20Bを利用できるようになる。このカーシェアリングでは、利用開始場所と利用終了場所とが同じラウンドトリップ方式が採用されている。そのため、車両20Bの利用を終了すると、個人ユーザは車両20Bを組織30Bの駐車場に戻す。
【0042】
ステップS21において、サーバ装置200の特典付与部217は、個人ユーザに車両20Bを貸し出す組織30Bに特典を付与する。一の例において、組織30Bが支払うカーシェアリングの利用料から一定の金額が割り引かれる。この場合、特典付与部217は、組織30Bが支払うカーシェアリングの利用料から割引金額を減ずることにより割引後の利用料を計算し出力する。ここでいう出力には、表示、印刷、及び外部システムへの送信が含まれる。この割引金額は、一定の金額であってもよいし、個人ユーザが支払う車両20Bの利用料の中の所定の比率の金額であってもよい。例えば組織30Bが支払うカーシェアリングの利用料が月額M円、個人ユーザが利用予約した車両20Bの利用料がN円、所定の比率がRである場合には、割引後の利用料=M-(N×R)となる。割引後の利用料が出力されることにより、組織30Bにシェアリングの利用料が請求される際に、割引後の利用料で請求が行われる。
【0043】
他の例において、個人ユーザによる車両20Bの利用分に応じた金額が組織30Bにキャッシュバックされる。キャッシュバックの金額は、例えば個人ユーザが支払う車両20の利用料の中の所定の比率の金額であってもよい。この場合、特典付与部217は、個人ユーザによる車両20Bの利用分に応じたキャッシュバックの金額を計算し、出力する。例えば個人ユーザが利用予約した車両20Bの利用料はN円、所定の比率がRである場合には、キャッシュバックの金額=N×Rとなる。キャッシュバックの金額が出力されることにより、組織30Bにこの金額の返金が行われる。
【0044】
上述した実施形態によれば、平日に組織30が利用の契約をしている車両20についても個人ユーザが利用することができるため、平日におけるこの車両20の利用率が向上する。また、複数の問合せ先に車両20の貸し出しが可能であるか否かの問合せが行われるため、一の問合せ先だけに問い合せる場合に比べて、個人ユーザの利用予約が確定し易くなる。組織予約情報に基づいて空いている車両20が存在するか否かが判定される場合には、組織30の担当者による操作を介さずに、個人ユーザの利用予約の要求に応答することができる。また、組織30が個人ユーザに車両20を貸し出す場合には、組織30に特典が付与されるため、組織30が個人ユーザに車両20を貸し出す意欲を高めることができる。その結果、組織30が平日において組織ユーザが利用しない車両20を積極的に個人ユーザに貸し出すようになると、平日における車両20の利用率の更なる向上が期待できる。
【0045】
3.変形例
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態が以下の変形例のように変形されてもよい。また、以下の2以上の変形例が組み合わせて実施されてもよい。
【0046】
上述した実施形態において、端末装置100から要求された利用時間に空いている車両20が存在しない場合には、サーバ装置200又は予約管理装置300により、利用時間を含む時間帯に車両20の利用予約を行っている組織ユーザに対して、利用予約の変更ができないかどうかの問合せが行われてもよい。この問合せは、例えば電子メール又はメッセージの送信により行われる。この問合せの結果、組織ユーザにより利用予約が変更されたことにより、端末装置100から要求された利用時間に空いている車両20が生じた場合には、個人ユーザにその旨が通知される。例えば、ステップS13の後、ステップS14において応答が行われるまでの間に、組織ユーザに対する利用予約の変更に関する問合せが行われ、組織30Aの組織ユーザにより利用予約が変更された場合には、図8に示される応答画面140において、組織30Aの車両20Aの利用予約を受け付けることが示される。他の例において、ステップS13の後、組織ユーザに対する利用予約の変更に関する問合せが行われ、ステップS14において一旦組織30Aから車両20Aの貸し出しを拒否することを示す応答が行われた後、ステップS19において利用予約の申込みが行われるまでの間に、組織30Aの組織ユーザにより利用予約が変更された場合には、予約管理装置300からサーバ装置200を介して端末装置100にその旨が通知され、図8に示される応答画面140において、組織30Aの車両20Aの利用予約が可能になったことが示される。個人ユーザから利用予約の申込みが行われると、利用予約を確定する処理が行われる。この場合、組織30Aには、通常の特典よりも価値の高い特典が付与されてもよい。例えば、割引金額又はキャッシュバックの金額が増えてもよい。
【0047】
上述した実施形態において、車両20の貸し出しを許可した組織30の場所が、個人ユーザが指定した利用開始場所から所定の距離以上離れている場合には、個人ユーザにクーポンや割引券が発行されてもよい。例えば、図7に示すように、個人ユーザによって指定されたX駅から所定距離内の範囲135内に車両20を管理する組織30がある場合において、組織30A~30Dに空いている車両20はあるが、数が少ない場合、範囲135の外側、すなわち範囲135よりも離れた場所に、貸出可能な車両20を複数管理する組織30Eがあったとする。この場合、応答部215は、端末装置100の応答画面140に、図8に示す情報に加え、範囲135の外側で予約可能な車両20に関する情報と個人ユーザに対する割引情報とを表示させる情報を、当該端末装置100に送信してもよい。より具体的には、ステップS12において決定された問合せ先から車両20の貸し出しが許可され又はこの問合せ先に空いている車両20が存在するものの、空いている車両20の台数が所定数以下である場合には、ステップS16に進む前に、決定部212は、ステップS12において決定された問合せ先以外の他の問合せ先を決定する。例えば決定部212は、図7に示される範囲135外の組織30Eを他の問合せ先として決定する。問合せ部213は、新たに決定された他の問合せ先に対し、上述した問合せを行う。例えば組織30Eからこの問合せに応じて車両20の貸し出しが許可され又は組織予約情報に基づいて組織30Eに空いている車両20があると判定され、且つ、組織30Eの空いている車両20の台数が所定数より多い場合には、応答部215は、端末装置100からの利用予約の要求に応じて、上述した実施形態において説明した情報に加えて、組織30Eの車両20の利用予約も可能であることを示す応答を行う。また、この場合、応答部215は、個人ユーザが組織30Eの車両20の利用予約を行うときに、個人ユーザが利用可能な特典をこの応答に含める。例えば応答部215は、上述した情報に加えて、組織30Eの車両20の利用予約も可能であることを示す情報と、個人ユーザが組織30Eの車両20の利用予約を行った場合に個人ユーザへの特典の付与に用いられる特典情報とを含む応答データを端末装置100に送信する。この特典情報は、例えば個人ユーザが支払う車両20の利用料から所定割合の金額を差し引く旨を示す割引情報であってもよいし、個人ユーザが所定のサービスを受けられる旨を示すサービス情報であってもよい。この場合、図8に示される応答画面140では、組織30Bと組織30Eの車両20の利用予約が可能であることが示される。また、応答画面140では、組織30Eの車両20の利用予約をした場合には、特典情報を使用することにより個人ユーザに特典が付与されることが示される。これにより、実際の利用開始場所が希望した利用開始場所から離れていても、個人ユーザが車両20の利用予約を行う意欲を高めることができる。
【0048】
上述した実施形態において、問合せは必ずしも順番に行われなくてもよい。例えば問合せ先として決定された複数の組織30に対して一度に問合せが行われてもよい。この場合、複数の組織30により車両20の利用が許可された場合には、これらの組織30の中で最も優先順位が高い組織30が選択されてもよい。また、優先順位は、利用開始場所から近い順とは異なる条件に従って決定されてもよい。例えば優先順位は、車両20の台数が多い順に決められてもよい。更に、全ての問合せ先に問い合せた結果、車両20の貸し出しを許可する組織30が発見されず又は空いている車両20が存在しなかった場合には、範囲135を拡大することにより問合せ先が追加されてもよい。この場合、新たな問合せ先について再び問合せが行われる。
【0049】
上述した実施形態において、サーバ装置200は、平日と休日とで異なる処理を行ってもよい。この場合、サーバ装置200は、端末装置100から利用予約の要求を取得すると、利用日時が平日であるか否かを判定する。平日であると判定された場合には、上述したステップS12以降の処理を行う。一方、平日ではない、すなわち休日であると判定された場合には、個人予約データベース220に基づいて、利用時間に他の個人ユーザにより利用予約が行われていない車両20(すなわち、空いている車両20)が存在するか否かが判定される。空いている車両20が存在する場合には、予約を確定する処理が行われる。一方、空いている車両20が存在しない場合には、端末装置100にその旨が通知される。
【0050】
上述した実施形態において、契約により組織30がカーシェアリングサービスを利用できる期間は、平日に限定されない。例えばこの期間は、休日であってもよいし、平日と休日の両方であってもよいし、所定の曜日や所定の日にちであってもよい。また、この期間には、更に時間が含まれてもよい。例えば契約により組織30がカーシェアリングサービスを利用できる期間は、平日の9時から17時であってもよい。個人ユーザによりこの期間に含まれる利用日時を指定した車両20の利用予約の要求が行われた場合には、上述した実施形態において説明した処理が行われる。
【0051】
上述した実施形態において、車両予約システム10の構成は上述した例に限定されない。車両予約システム10は、上述した装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。例えば予約管理装置300とサーバ装置200とは一体の装置であってもよい。
【0052】
上述した実施形態において、車両予約システム10の動作は上述した例に限定されない。車両予約システム10の処理手順は、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。また、車両予約システム10の一部の処理手順が省略されてもよい。更に、車両予約システム10の動作の主体は上述した例に限定されない。例えば複数の装置が協働することによりサーバ装置200の機能が実現されてもよい。
【0053】
本発明の別の形態は、車両予約システム10、端末装置100、サーバ装置200、又は予約管理装置300において行われる処理のステップを有する車両予約方法を提供してもよい。また、本発明の更に別の形態は、端末装置100、サーバ装置200、又は予約管理装置300において実行されるプログラムを提供してもよい。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネット等を介したダウンロードによって提供されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10:車両予約システム、100:端末装置、111:要求部、112:受付部、113:表示制御部、114:申込み部、200:サーバ装置、211:取得部、212:決定部、213:問合せ部、214:判定部、215:応答部、216:予約確定部、217:特典付与部、218:記憶部、300:予約管理装置、311:記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8