(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039580
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】発泡剤、並びにそれを用いた発泡プラスチックの製造方法、ポリウレタンフォーム、物品、システム液及びポリウレタンフォーム用キット
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20220303BHJP
C08J 9/14 20060101ALI20220303BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20220303BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20220303BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
C09K3/00 111B
C08J9/14 CER
C08J9/14 CEZ
C08G18/00 H
C08G18/42
C08G18/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144687
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チン曽我 環
(72)【発明者】
【氏名】清水 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】田坂 真維
【テーマコード(参考)】
4F074
4J034
【Fターム(参考)】
4F074AA80
4F074BA43
4F074BA53
4F074BA95
4F074CA12
4F074DA02
4F074DA07
4F074DA32
4F074DA47
4F074DA57
4J034BA03
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB04
4J034DC50
4J034DG10
4J034DG12
4J034DH02
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034KD12
4J034NA02
4J034NA06
4J034RA12
4J034RA14
4J034RA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発泡体の熱伝導率を低下させて断熱性能を向上できる発泡剤、発泡剤を用いた発泡プラスチックの製造方法、発泡剤を用いたポリウレタンフォーム、ポリウレタンフォームを備える物品、発泡剤を含むシステム液、及び発泡剤を含むポリウレタンフォーム用キットの提供。
【解決手段】(1)1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、トランス-1,2-ジクロロエチレンとを含む、発泡剤。(2)発泡剤の総質量に対して、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとトランス-1,2-ジクロロエチレンの合計の含有量が50~100質量%である発泡剤。(3)1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量と、トランス-1,2-ジクロロエチレンの含有量との質量比を表す、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン/トランス-1,2-ジクロロエチレンが90/10~20/80である発泡剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、トランス-1,2-ジクロロエチレンとを含む、発泡剤。
【請求項2】
前記発泡剤の総質量に対して、前記1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと前記トランス-1,2-ジクロロエチレンの合計の含有量が50~100質量%である、請求項1に記載の発泡剤。
【請求項3】
前記1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量と、前記トランス-1,2-ジクロロエチレンの含有量との質量比を表す、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン/トランス-1,2-ジクロロエチレンが90/10~20/80である、請求項1又は2に記載の発泡剤。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡剤を用いて発泡プラスチックを製造する、発泡プラスチックの製造方法。
【請求項5】
前記発泡プラスチックが熱可塑性樹脂発泡体である、請求項4に記載の発泡プラスチックの製造方法。
【請求項6】
前記発泡プラスチックが熱硬化性樹脂発泡体である、請求項4に記載の発泡プラスチックの製造方法。
【請求項7】
ポリオールと、ポリイソシアネートとを、請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡剤、整泡剤、および触媒の存在下で反応させてポリウレタンフォームを製造する、請求項6に記載の発泡プラスチックの製造方法。
【請求項8】
前記ポリウレタンフォームが硬質ポリウレタンフォームである、請求項7に記載の発泡プラスチックの製造方法。
【請求項9】
ポリオールと、ポリイソシアネートとを、請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡剤、整泡剤、および触媒の存在下で反応させて得られるポリウレタンフォーム。
【請求項10】
ポリオール、ポリイソシアネート、請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡剤、整泡剤、および触媒を含む発泡性組成物の硬化発泡体からなるポリウレタンフォーム。
【請求項11】
前記ポリウレタンフォームが硬質ポリウレタンフォームである、請求項9又は10に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項12】
前記硬質ポリウレタンフォームの密度が5~300kg/m3である、請求項11に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか一項に記載のポリウレタンフォームを備える物品。
【請求項14】
ポリオール、請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡剤、整泡剤および触媒を含むシステム液。
【請求項15】
ポリオールの100質量部に対して、前記発泡剤の総質量が10~100質量部である、請求項14に記載のシステム液。
【請求項16】
前記ポリオールが、ポリエーテルポリオールを含む、請求項14または15に記載のシステム液。
【請求項17】
前記ポリオールの総質量に対して、前記ポリエーテルポリオールの含有量が10~100質量%である、請求項16に記載のシステム液。
【請求項18】
請求項14~17のいずれか一項に記載のシステム液からなる第一剤と、ポリイソシアネートを含む第二剤と、からなるポリウレタンフォーム用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡剤、前記発泡剤を用いた発泡プラスチックの製造方法、前記発泡剤を用いたポリウレタンフォーム、前記ポリウレタンフォームを備える物品、前記発泡剤を含むシステム液、及び前記発泡剤を含むポリウレタンフォーム用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
発泡プラスチックの製造に用いる発泡剤として、CCl3F等の塩素化フッ素化炭素化合物(クロロフルオロカーボン、いわゆるCFC。)およびCCl2FCH3等の塩素化フッ素化炭化水素化合物(ハイドロクロロフルオロカーボン、いわゆるHCFC。)が従来用いられてきた。しかしCFCやHCFCは、オゾン層破壊係数(ODP)の数値が高く、オゾン層の保護などの環境保護の観点から、モントリオール議定書規制対象物質となり、使用が規制されるようになった。
【0003】
塩素を含む物質でも、トランス-1,2-ジクロロエチレンのODPは0.00024と低く(非特許文献1)、モントリオール議定書の規制対象物質とはなっていない。このトランス-1,2-ジクロロエチレンを発泡剤として用いることが知られている(特許文献1)。
しかしながら、トランス-1,2-ジクロロエチレンは樹脂への溶解力が高く、発泡体が成型しにくいことが示唆される(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-220345号公報
【特許文献2】国際公開第2018/101324号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Wuebbles and Patten, 2010. Atmospheric lifetimes and Ozone Depletion Potentials of trans-1-chloro-3,3,3-trifluoropropylene and trans-1,2-dichloroethylene in a three-dimensional model. Atmos. Chem. Phys., 10, 10867-10874, 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、本発明者等の知見によれば、発泡剤としてトランス-1,2-ジクロロエチレンを用いて得られる発泡体は、熱伝導率が高く断熱性能が充分でない場合がある。
本発明は、発泡体の成型性が良好であり、発泡体の熱伝導率を低下させて断熱性能を向上できる、新規な発泡剤、前記発泡剤を用いた発泡プラスチックの製造方法、前記発泡剤を用いたポリウレタンフォーム、前記ポリウレタンフォームを備える物品、前記発泡剤を含むシステム液、及び前記発泡剤を含むポリウレタンフォーム用キットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の態様を有する。
[1] 1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、トランス-1,2-ジクロロエチレンとを含む、発泡剤。
[2] 前記発泡剤の総質量に対して、前記1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと前記トランス-1,2-ジクロロエチレンの合計の含有量が50~100質量%である、[1]の発泡剤。
[3] 前記1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量と、前記トランス-1,2-ジクロロエチレンの含有量との質量比を表す、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン/トランス-1,2-ジクロロエチレンが90/10~20/80である、[1]又は[2]の発泡剤。
【0008】
[4] 前記[1]~[3]のいずれかの発泡剤を用いて発泡プラスチックを製造する、発泡プラスチックの製造方法。
[5] 前記発泡プラスチックが熱可塑性樹脂発泡体である、[4]の発泡プラスチックの製造方法。
[6] 前記発泡プラスチックが熱硬化性樹脂発泡体である、[4]の発泡プラスチックの製造方法。
[7] ポリオールと、ポリイソシアネートとを、[1]~[3]のいずれかの発泡剤、整泡剤、および触媒の存在下で反応させてポリウレタンフォームを製造する、[6]の発泡プラスチックの製造方法。
[8] 前記ポリウレタンフォームが硬質ポリウレタンフォームである、[7]の発泡プラスチックの製造方法。
【0009】
[9] ポリオールと、ポリイソシアネートとを、[1]~[3]のいずれかの発泡剤、整泡剤、および触媒の存在下で反応させて得られるポリウレタンフォーム。
[10] ポリオール、ポリイソシアネート、[1]~[3]のいずれかの発泡剤、整泡剤、および触媒を含む発泡性組成物の硬化発泡体からなるポリウレタンフォーム。
[11] 前記ポリウレタンフォームが硬質ポリウレタンフォームである、[9]又は[10]のポリウレタンフォーム。
[12] 前記硬質ポリウレタンフォームの密度が5~300kg/m3である、[11]のポリウレタンフォーム。
[13] [9]~[12]のいずれかのポリウレタンフォームを備える物品。
【0010】
[14] ポリオール、[1]~[3]のいずれかの発泡剤、整泡剤および触媒を含むシステム液。
[15] ポリオールの100質量部に対して、前記発泡剤の総質量が10~100質量部である、[14]のシステム液。
[16] 前記ポリオールが、ポリエーテルポリオールを含む、[14]または[15]のシステム液。
[17] 前記ポリオールの総質量に対して、前記ポリエーテルポリオールの含有量が10~100質量%である、[16]のシステム液。
[18] 前記[14]~[17]のいずれかのシステム液からなる第一剤と、ポリイソシアネートを含む第二剤と、からなるポリウレタンフォーム用キット。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発泡体の成型性が良好であり、発泡体の熱伝導率を低下させて断熱性能を向上できる発泡剤、前記発泡剤を用いた発泡プラスチックの製造方法、前記発泡剤を用いたポリウレタンフォーム、前記ポリウレタンフォームを備える物品、前記発泡剤を含むシステム液、及び前記発泡剤を含むポリウレタンフォーム用キットが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の用語の定義および記載の仕方は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。また、略称として、ハイフン(-)より後ろの数字およびアルファベット小文字部分だけ(例えば、「HCFO-1224yd」においては「1224yd」)を用いることがある。
なお、1224ydは、二重結合を有する炭素に結合された置換基の位置により、幾何異性体であるZ体(シス体)とE体(トランス体)が存在する。本明細書中で、1224ydのようなZ体とE体が存在する化合物について、特に断らずに化合物名や化合物の略称を用いた場合は、Z体もしくはE体、またはZ体とE体の任意の割合の混合物を示す。化合物名や化合物の略称の後ろに(Z)または(E)を付した場合は、それぞれの化合物のZ体またはE体であることを示す。
【0013】
「重量平均分子量」(以下、「Mw」と記載する。)は、分子量既知の標準ポリスチレン試料を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定して得られるポリスチレン換算分子量である。
「水酸基価」とは、JIS K 1557に基づいた方法にて測定し算出した値である。ポリオールの平均水酸基価は、含まれる全てのポリオールの水酸基価の平均値であり、含まれる全てのポリオールを混合した混合物を、上記方法にて測定して算出した値である。
「~」で表される数値範囲は、「~」の前後の数値を下限値および上限値とする数値範囲を示す。
【0014】
「発泡プラスチック」とは、樹脂のマトリックスの中に気泡(セル)が多数分散した多孔質体であり、樹脂発泡体ともいう。発泡とは気泡が発生することであり、発泡体は樹脂が気泡を含んだ状態で固化することで得られる。
「熱可塑性樹脂発泡体」とは、マトリックスが熱可塑性樹脂である、発泡プラチックである。
「熱硬化性樹脂発泡体」とは、マトリックスが熱硬化性樹脂である、発泡プラスチックである。
「発泡剤」とは、下記の作用を有する化合物である。すなわち、発泡剤である化合物は、該化合物を含む組成物において、該化合物が気化して生じる気体を利用して前記組成物を発泡させる作用を有する。
「ポリウレタンフォーム」とは、ポリオール等の活性水素を有する化合物とポリイソシアネートとを、整泡剤、触媒および発泡剤の存在下で反応させて得られる発泡プラスチックである。
「活性水素」とは、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドラジド基およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基由来の水素である。
「システム液」とは、ポリウレタンフォームを得るための組成物である。ポリイソシアネートを含む組成物を「ポリイソシアネートシステム液」、ポリオール、発泡剤、整泡剤、および触媒を含む組成物を「ポリオールシステム液」ともいう。
【0015】
<発泡剤>
本実施形態の発泡剤(以下、発泡剤Aともいう。)は、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224yd)と、トランス-1,2-ジクロロエチレン(以下、tDCEともいう。)とを含む。
1224ydは、1224yd(Z)でも1224yd(E)でもこれらの組み合わせでもよい。
発泡剤Aは、1224yd及びtDCE以外の、その他の発泡剤を含んでもよい。その他の発泡剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の発泡剤を適宜使用できる。
【0016】
発泡剤Aの総質量に対する、1224ydとtDCEとの合計の質量の割合は50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましく、90~100質量%がさらに好ましい。
発泡剤Aにおいて、1224ydの含有量とtDCEの含有量との質量比を表す、1224yd/tDCEは、90/10~20/80が好ましく、80/20~50/50がより好ましい。1224ydの含有量が上記範囲の上限値以下であると、発泡剤Aの沸点が低すぎず、発泡剤Aを含む液の突沸が生じ難い。下限値以上であると発泡体の熱伝導率の低減効果に優れる。
発泡剤Aにおいて、1224yd(Z)の含有量と1224yd(E)の含有量の質量比を表すZ/E比は、0/100~100/0でよく、90/10を超え、99.9/0.1以下が好ましく、91/9~99.5/0.5がより好ましい。
【0017】
発泡剤Aの、大気圧(101.3kPa)における沸点は18~35℃が好ましく、20~30℃がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると調合する際に発泡剤Aを含む液の突沸が生じ難く、上限値以下であると充分な発泡が得られやすい。
発泡剤Aは、2種以上の化合物の混合物であり、前記沸点は混合物としての沸点である。1224ydの含有量とtDCEの含有量との質量比によって発泡剤Aの沸点を調整できる。1224ydの含有量が多いほど沸点が低下する傾向がある。
【0018】
1224ydは、製造の過程その他の理由により他の化合物を含みうる。他の化合物としては、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロクロロフルオロオレフィン(ただし、HCFO-1224ydを除く)、ハイドロクロロオレフィン、クロロフルオロオレフィン(CFO)、フルオロオレフィン(FO)、クロロオレフィン、オレフィン、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロクロロカーボン(HCC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、クロロフルオロカーボン(CFC)、クロロカーボン、フルオロカーボン(FC)、ハイドロカーボン(HC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、アルコール、エーテル、ケトン、有機酸、不活性ガス、飽和炭化水素が例示できる。
他の化合物は、総量で、1224ydに対して5質量%以下が好ましく、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
【0019】
ハイドロフルオロオレフィンの具体例としては、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、1,1,2,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yc)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yc)、1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc)、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)、3,3-ジフルオロプロペン(HFO-1252zf)、2-フルオロプロペン(HFO-1261yf)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz)、2,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(HFO-1336mcyf)、1,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(HFO-1336ze)、テトラフルオロブテン(HFO-1354)、1,1,1,2,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンテン(HFO-1429myz)、1,1,1,4,4,5,5,5-オクタフルオロペンタ-2-エン(HFO-1438mzz)、1,3,4,4,4-ペンタフルオロ-3-トリフルオロメチル-1-ブテン(HFO-1438ezy)、(C2F5)(CF3)C=CH2、(CF3)2CFCH=CF2、(CF3)2CFCF=CHF、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,2-トリフルオロエチレン(HFO-1123)、1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン(HFO-1225ye)が挙げられる。
【0020】
ハイドロクロロフルオロオレフィン(ただし、HCFO-1224ydを除く)の具体例としては、2,3,3-トリクロロ-3-フルオロプロペン(HCFO-1231xf)、2,3-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1232xf)、2,3-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1232xf)、1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1223xd)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)、2-クロロ-1,1,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224xc)、2-クロロ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224xe)、1,1-ジクロロ-2-フルオロエチレン(HCFO-1121a)、1,2-ジクロロ-1-フルオロエチレン(HCFO-1121)、1-クロロ-1-フルオロエチレン(HCFO-1131a)、1-クロロ-2-フルオロエチレン(HCFO-1131)、1-クロロ-2,2-ジフルオロエチレン(HCFO-1122)、1,1,2-トリフルオロ-2-クロロエチレン(HCFO-1113)、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yd)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロピン(CF3-C≡CCl)が挙げられる。
【0021】
ハイドロクロロオレフィンの具体例としては、クロロエチレン、1,2-ジクロロエチレンが挙げられる。
【0022】
クロロフルオロオレフィンの具体例としては、1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CFO-1214ya)、1,1,2-トリクロロ-2-フルオロエチレン、2-クロロ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン(CFO-1215xc)が挙げられる。
【0023】
フルオロオレフィンの具体例としては、ヘキサフルオロプロペン(FO-1216)、オクタフルオロ-2-ブテン(FO-1318my)が挙げられる。
【0024】
クロロオレフィンの具体例としては、テトラクロロエチレンが挙げられる。
【0025】
オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレンが挙げられる。
【0026】
ハイドロフルオロカーボンの具体例としては、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245ca)、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245eb)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)、1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HFC-254eb)、1,1,1,3-テトラフルオロプロパン(HFC-254fb)、1,1,1-トリフルオロプロパン(HFC-263fb)、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、2-フルオロプロパン(HFC-281ea)、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、ジフルオロメタン(HFC-32)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、フルオロエタン(HFC-161)、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC-43-10mee)、トリフルオロメタン(HFC-23)、フルオロメタン(HFC-41)が挙げられる。
【0027】
ハイドロクロロカーボンの具体例としては、クロロホルム、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240db)、2-クロロプロパンが挙げられる。
【0028】
ハイドロクロロフルオロカーボンの具体例としては、クロロジフルオロメタン(HCFC-22)、クロロフルオロメタン(HCFC-31)、トリクロロジフルオロエタン(HCFC-122)、1,1,2-トリクロロ-1,2-ジフルオロエタン(HCFC-122a)、1,1,1-トリクロロ-2,2-ジフルオロエタン(HCFC-122b)、2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン(HCFC-123)、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HCFC-124)、1-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HCFC-124a)、2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタン(HCFC-133a)、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-141b)、1,1-ジフルオロ-2-クロロエタン(HCFC-142)、1-クロロ-1,2-ジフルオロエタン(HCFC-142a)、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(HCFC-142b)、3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225ca)、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225cb)、2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243ab)、2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243db)、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)が挙げられる。
【0029】
クロロフルオロカーボンの具体例としては、トリクロロフルオロメタン(CFC-11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC-12)、クロロトリフルオロメタン(CFC-13)、トリクロロトリフルオロエタン(CFC-113)、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン(CFC-114)、1,1-ジクロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン(CFC-114a)、クロロペンタフルオロエタン(CFC-115)、ジクロロヘキサフルオロプロパン(CFC-216)、2,2,3,3-テトラクロロヘキサフルオロブタン(CFC-316)、ジクロロオクタフルオロブタン(CFC-318)、が挙げられる。
【0030】
クロロカーボンの具体例としては、ジクロロメタン(塩化メチレン)、トリクロロエタンが挙げられる。
【0031】
フルオロカーボンの具体例としては、1,1,1,2,2,2-ヘキサフルオロエタン(FC-116)、オクタフルオロプロパン(FC-218)1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロプロパン(FC-227ca)が挙げられる。
【0032】
ハイドロカーボンの具体例としては、メタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタンが挙げられる。
【0033】
ハイドロフルオロエーテルの具体例としては、CHF2-O-CHF2、CHF2-O-CH2F、CH2F-O-CH2F、CH2F-O-CH3、cyclo-CF2-CH2-CF2-O、cyclo-CF2-CF2-CH2-O、CHF2-O-CF2-CHF2、CF3-CF2-O-CH2F、CHF2-O-CHF-CF3、CHF2-O-CF2-CHF2、CH2F-O-CF2-CHF2、CF3-O-CF2-CH3、CHF2-CHF-O-CHF2、CF3-O-CHF-CH2F、CF3-CHF-O-CH2F、CF3-O-CH2-CHF2、CHF2-O-CH2-CF3、CHF2-CF2-O-CH2F、CHF2-O-CF2-CH3、CHF2-CF2-O-CH3、CHF2-CF2-O-CH3、CH2F-O-CHF-CH2F、CHF2-CHF-O-CH2F、CF3-O-CHF-CH3、CF3-CHF-O-CH3、CHF2-O-CH2-CHF2、CF3-O-CH2-CH2F、CF3-CH2-O-CH2F、CF2H-CF2-CF2-O-CH3、CF3CF2CF2-O-CH3、C4H9-O-CH3が挙げられる。
【0034】
アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが挙げられる。
【0035】
エーテルの具体例としては、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジエトキシエタン、ジプロポキシメタン、ジブトキシメタンが挙げられる。
【0036】
ケトンの具体例としては、ケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、パーフルオロエチルイソプロピルケトンが挙げられる。
【0037】
有機酸の具体例としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸が挙げられる。
【0038】
不活性ガスの具体例としては、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウムが挙げられる。
【0039】
飽和炭化水素の具体例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサンが挙げられる。
【0040】
<発泡プラスチックの製造方法>
本実施形態の発泡プラスチックの製造方法は、上記発泡剤Aを用いて発泡プラスチックを製造する方法である。
発泡プラスチックとしては、熱硬化性樹脂発泡体および熱可塑性樹脂発泡体が例示できる。
熱硬化性樹脂発泡体の具体例としては、ポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、および、フェノール樹脂発泡体が挙げられる。ポリウレタン発泡体(ポリウレタンフォームともいう。)については後述する。
熱可塑性樹脂発泡体に含まれる熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、および、ポリエーテルケトン樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂の具体例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂が挙げられる。また、ポリオレフィン樹脂は、非晶性ポリオレフィン樹脂であってもよいし、結晶性ポリオレフィン樹脂であってもよい。
ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂が挙げられる。
変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、ポリフェニレンエーテル樹脂と他の熱可塑性樹脂(例えば、ポリスチレン樹脂)とのポリマーアロイである。
発泡剤Aは、発泡剤が気化して生じる気体を利用して発泡させる物理発泡剤である。本実施形態では、物理発泡剤を用いて発泡プラスチックを製造する公知の手法を適宜用いることができる。
【0041】
<ポリウレタンフォーム及びその製造方法>
ポリウレタンフォームは、水酸基を2個以上有するポリオール、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート、及び発泡剤を混合し、泡化反応と樹脂化反応とを同時に行わせることによって得られる樹脂発泡体である。
本実施形態のポリウレタンフォームの製造方法は、上記発泡剤Aを用いてポリウレタンフォームを製造する方法である。
本実施形態のポリウレタンフォームの製造方法は、ポリオールと、ポリイソシアネートとを、発泡剤A、整泡剤、および触媒の存在下で反応させることを含む。
好ましくは、ポリウレタンフォームの製造に使用する、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤A、整泡剤、および触媒を含む全成分からなる発泡性組成物を調製し、前記発泡性組成物中のポリオールとポリイソシアネートとを反応させることでポリウレタンフォームを製造する。
【0042】
発泡性組成物の全成分を混合すると、速やかに反応が始まり、発泡しつつ硬化して硬化発泡体となる。そのため、少なくともポリオールと、ポリイソシアネートとを別々に保存することが好ましい。発泡性組成物は、複数液型、例えば、二液型であることが好ましい。
二液型の場合、発泡性組成物の保管時は、ポリオール、発泡剤A、整泡剤および触媒を含むシステム液からなる第一剤と、ポリイソシアネートを含む第二剤とに分け、第一剤と第二剤を混合してポリウレタンフォームを製造することが好ましい。また、ポリオール、発泡剤A、整泡剤および触媒を含むシステム液からなる第一剤と、ポリイソシアネート、発泡剤Aを含むシステム液からなる第二剤に分け、第一剤と第二剤を混合してポリウレタンフォームを製造してもよい。
又は、発泡性組成物の全成分を、ポリオールを含む液と、ポリイソシアネートを含む液と、発泡剤Aを含む液の3液以上に分割して保存し、これらを混合してポリウレタンフォームを製造してもよい。
【0043】
本実施形態のポリウレタンフォームは、ポリオールと、ポリイソシアネートとを、発泡剤A、整泡剤、および触媒の存在下で反応させて得られるものである。好ましくは、前記発泡性組成物の硬化発泡体である。
【0044】
ポリウレタンフォームとしては、硬質ポリウレタンフォーム、硬質ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォーム、硬質ポリウレアフォーム、軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、ポリウレタンインテグラルスキンフォーム等が例示できる。
例えば、硬質ポリウレタンフォームは独立気泡率が高く、断熱性に優れる。軟質ポリウレタンフォームは、連続気泡を有し独立気泡率が低く形状変形に対して復元性を有する。ポリウレタンインテグラルスキンフォームは、フォーム(コア部)の表層部分に、高密度のスキン層を有する。スキン層の厚は、例えば1~5mm程度である。スキン層は、気泡を含まない非フォーム層、コア部よりも緻密なセルからなるマイクロセル層、又はこれらの両方を含む層が好ましい。
これらのポリウレタンフォームは、それぞれに好適な公知の製造方法に、発泡剤Aを適用することで製造できる。
【0045】
<硬質ポリウレタンフォーム及びその製造方法>
以下、ポリウレタンフォームが硬質ポリウレタンフォームである実施形態を例に挙げて詳述する。
本実施形態の硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、ポリオールと、ポリイソシアネートとを、発泡剤A、整泡剤、および触媒の存在下で反応させることを含む。
好ましくは、硬質ポリウレタンフォームの製造に使用する、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤A、整泡剤、および触媒を含む全成分からなる発泡性組成物を調製し、前記発泡性組成物中のポリオールとポリイソシアネートとを反応させて硬化させつつ、発泡させて硬質ポリウレタンフォームを製造する。
ポリオール、発泡剤A、整泡剤および触媒を含むポリオールシステム液と、ポリイソシアネートを含むポリイソシアネートシステム液とを混合して硬質ポリウレタンフォームを製造する方法が好ましい。
【0046】
[ポリオールシステム液]
本実施形態のポリオールシステム液は、ポリオール、発泡剤A、整泡剤および触媒を含む。
(ポリオール)
ポリオールは、ポリイソシアネートとの反応に用いられるポリオールであればよく、特に限定されない。システム液に含まれるポリオールは1種でもよく、2種以上でもよい。
ポリオールの平均水酸基数は2~8が好ましく、2.5~7.5がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬質ポリウレタンフォームの圧縮強度が向上し、収縮も抑制できるため寸法安定性が良好となりやすい。上記範囲の上限値以下であると、ポリオールの粘度が高くなりすぎないため、発泡、成形時の流動性、成形性が良好となりやすい。上記ポリオールの平均水酸基数は、含まれる全てのポリオールの水酸基数をモル平均した値である。
【0047】
上記ポリオールのMwは100~3000が好ましく、150~2000がより好ましい。上記範囲の上限値以下であると、硬質ポリウレタンフォームの収縮が抑制され、寸法安定性が良好となりやすい。上記範囲の下限値以上であると、硬質ポリウレタンフォームが脆くなり難い。上記ポリオールのMwは、含まれる全てのポリオールのMwの平均値である。
【0048】
上記ポリオールの平均水酸基価は100~800mgKOH/gが好ましく、200~700mgKOH/gがより好ましく、300~600mgKOH/gがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬質ポリウレタンフォームの収縮が抑制され、寸法安定性が良好となる。上限値以下であると、硬質ポリウレタンフォームが脆くなり難い。上記ポリオールの平均水酸基価は、含まれる全てのポリオールの水酸基価を加重平均して算出してもよいし、含まれる全てのポリオールを混合して測定した値でもよい。
【0049】
ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、主鎖が炭化水素系ポリマーからなり末端部分に水酸基を導入してなるポリマー、多価アルコールが挙げられる。ポリオールとしては、ポリエステルエーテルポリオールまたはポリカーボネートポリオールを用いてもよい。
【0050】
得られる硬質ポリウレタンフォームの物性が優れるため、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールが好ましい。ポリエーテルポリオールは、ポリイソシアネートとの良好な混合性が得られやすく、硬質ポリウレタンフォームを金属面材等の間に形成させた際の接着性が得られやすいため、後述のポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。ポリエステルポリオールは、得られる硬質ポリウレタンフォームの難燃性が良好となりやすいため、多価アルコールと多価カルボン酸との重縮合によって得られるポリエステルポリオールを含むことが好ましい。
【0051】
・ポリエーテルポリオール
ポリエーテルポリオールは、従来公知の方法で製造することができる。環状エーテルが反応しうる活性水素を含有する化合物を開始剤として触媒の存在下、環状エーテルを反応させて得られるものが好ましい。
【0052】
開始剤としては、下記に例示される化合物またはそれらの化合物に少量の環状エーテルを付加した化合物が挙げられる。下記に例示される化合物は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。開始剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、スクロース等の多価アルコール;水;ビスフェノールA、フェノール-ホルムアルデヒド初期縮合物、マンニッヒ縮合物等の多価フェノール;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン等のアルカノールアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、アニリン、アンモニア、N-アミノメチルピペラジン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、4-メチル-1,3-フェニレンジアミン、4-メチル-1,2-フェニレンジアミン、2-メチル-1,3-フェニレンジアミン、4,4’-ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミンが挙げられる。
【0053】
環状エーテルとしては、環内に1個の酸素原子を有する3~6員環の環状エーテル化合物が好ましい。環状エーテルは1種でもよく、2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合には、それらを混合して反応させても、順次反応させてもよい。環状エーテルとしては、エチレンオキシド(以下、「EO」という。)、プロピレンオキシド(以下、「PO」という。)、ブチレンオキシド、またはこれらの2種以上の組み合わせがより好ましく、EO、PO、またはEOとPOの組み合わせがさらに好ましい。
【0054】
上記開始剤と上記環状エーテルを重合する際に存在させる触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物触媒(ナトリウム系触媒、カリウム系触媒、セシウム系触媒等。)などの公知の触媒が使用でき、開始剤にアミノ基を含む場合は、開始剤自身が触媒として作用するため、これを利用することもできる。
【0055】
本実施形態において、ポリオールの総質量に対して、上記ポリエーテルポリオールの含有量は、10~100質量%が好ましく、20~100質量%がより好ましく、50~100質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、得られる硬質ポリウレタンフォームの断熱性および圧縮強さが良好となりやすい。
【0056】
ポリエーテルポリオールは、例えば、芳香族アミンを開始剤として、アルキレンオキシドを開環付加重合させて得られるポリエーテルポリオール(以下、「芳香族アミン開始剤ポリオール」ともいう。)が好ましい。芳香族アミン開始剤ポリオールは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
開始剤である芳香族アミンは、活性水素原子数が4~12の、芳香環を有するアミン類である。その具体例としては、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、マンニッヒ縮合物等が挙げられる。
マンニッヒ縮合物は、フェノール、ノニルフェノール等のフェノール類;ホルムアルデヒド等のアルデヒド類;および、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類を反応させて得られる化合物が好ましい。マンニッヒ縮合物の分子量は、200~10,000程度が好ましい。
これらの開始剤のうち、低い熱伝導率が得られる点から、トリレンジアミンが特に好ましい。トリレンジアミンとしては、o-トリレンジアミン、m-トリレンジアミンが好ましい。
【0058】
芳香族アミン開始剤ポリオールの製造に用いるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド(以下、EOともいう。)および/またはプロピレンオキシド(以下、POともいう。)を用いることが好ましい。そのほかにブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、スチレンオキシド等を併用してもよい。EOおよび/またはPOを使用する場合、以下のいずれの方法を用いてもよい。(1)EOを単独で開環付加重合する方法。(2)POを単独で開環付加重合する方法。(3)POとEOの混合物を開環付加重合する方法。(4)上記(1)~(3)の方法を任意に組み合わせて開環付加重合する方法。
硬質フォームに良好な物性を付与するためには、(1)と(2)の組合せまたは、(2)の方法によることが好ましい。(1)と(2)を組み合わせる場合、(1)-(2)-(1)の順で開環付加重合を行うことがより好ましい。
芳香族アミン開始剤ポリオールの製造に用いるアルキレンオキシドの全量中における、エチレンオキシドの含有量(全EO含有量)は0~60質量%が好ましく、0~45質量%がより好ましく、0~30質量%が特に好ましい。上記範囲の上限値以下であると、適度な反応性を有するため成形性が良好となる。
開始剤の活性水素原子にアルキレンオキシドを反応させることにより、アルキレンオキシドが開環付加してオキシアルキレン基を有するポリオールが生成する。活性水素原子に1分子のアルキレンオキシドが開環付加することによりヒドロキシアルキル基が生成し、また、その水酸基に引き続きアルキレンオキシドが開環付加し、この反応が繰り返されてオキシアルキレン基の連鎖が生成する。アルキレンオキシドがEOの場合は、オキシエチレン基が連鎖し、アルキレンオキシドがPOの場合は、オキシプロピレン基が連鎖する。
上記(1)-(2)-(1)の順で開環付加重合を行う場合、EO、POの順に付加した後に開環付加重合させるEOの量(末端のEO含有量)は、芳香族アミン開始剤ポリオールの製造に用いるアルキレンオキシドの全量中1~40質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましく、1~20質量%が特に好ましい。上記範囲の上限値以下であると芳香族アミン開始剤ポリオールの粘度が高くなりすぎず、下限値以上であると、芳香族アミン開始剤ポリオールの反応性が向上する。(1)-(2)-(1)の順で開環付加重合を行って得られる芳香族アミン開始剤ポリオールは、開始剤にオキシエチレン基が連鎖し、続いてオキシプロピレン基が連鎖し、末端にオキシエチレン基が連鎖したポリオールである。
【0059】
芳香族アミン開始剤ポリオールの水酸基数は4~12であり、4~10が好ましく、4~8が特に好ましい。芳香族アミン開始剤ポリオールの水酸基数が上記範囲の下限値以上であると硬質フォームの収縮が抑制されやすく、上限値以下であると粘度が適度な範囲となり、取り扱いが容易である。
芳香族アミン開始剤ポリオールの水酸基価は100~800mgKOH/gであり、200~600mgKOH/gが好ましく、300~500mgKOH/gが特に好ましい。芳香族アミン開始剤ポリオールの水酸基価が上記範囲の下限値以上であると硬質フォームの圧縮強度等が向上し、独泡率も向上して熱伝導率も良好となる。上記範囲の上限値以下であると硬質フォームの脆性が抑えられる。
ポリオール組成物中における芳香族アミン開始剤ポリオールの含有量は、30~70質量%であり、30~60質量%が好ましく、30~50質量%が特に好ましい。芳香族アミン開始剤ポリオールの含有量が、上記範囲の下限値以上であると独泡率が向上して良好な熱伝導率が得られる。上記範囲の上限値以下であるとポリオールシステム液の粘度が高くなりすぎず取り扱いが容易である。
【0060】
ポリオールは、芳香族アミン開始剤ポリオールのほかにポリオール活性水素原子数が4~12の多価アルコールを開始剤として、アルキレンオキシドを開環付加重合させて得られるポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。活性水素原子数が4~12の多価アルコールを開始剤としたポリオールは、硬質フォームの圧縮強度の向上および良好な寸法安定性に寄与する。また芳香族アミン開始剤ポリオールのほかに活性水素原子数が4~12の多価アルコールを開始剤としたポリオールを用いることによりポリオール組成物の粘度が高くなりすぎるのを防止することもできる。
活性水素原子数が4~12の多価アルコールを開始剤としたポリオールは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0061】
開始剤である、活性水素原子数が4~12の多価アルコールとして糖類を用いることが好ましい。該糖類の具体例としてはフルクトース、ソルビトール、スクロース等が挙げられる。このうちソルビトールまたはスクロースが好ましい。
活性水素原子数が4~12の多価アルコールを開始剤としたポリオールの製造に用いるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が例示できる。少なくとも、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドを含むことが好ましく、少なくともプロピレンオキシドを含むことが特に好ましい。
活性水素原子数が4~12の多価アルコールを開始剤としたポリオールの製造に用いるアルキレンオキシドは、プロピレンオキシド単独の使用、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの併用が好ましい。併用する場合、エチレンオキシドとプロピレンオキシドは、混合してから反応させても、順次反応させてもよい。
活性水素原子数が4~12の多価アルコールを開始剤としたポリオールの製造に用いるアルキレンオキシドの全量中における、エチレンオキシドの含有量(全EO含有量)は0~20質量%であり、0~10質量%が好ましく、0質量%、すなわちPO単独が特に好ましい。エチレンオキシドの含有量が上記範囲の上限値以下であると反応性の制御が容易である。
【0062】
活性水素原子数が4~12の多価アルコールを開始剤としたポリオールの水酸基数は4~12であり、4~10が好ましく、4~8が特に好ましい。活性水素原子数が4~12の多価アルコールを開始剤としたポリオールの水酸基数が上記範囲の下限値以上であると硬質フォームの収縮が抑制されやすく、上限値以下であると粘度が適度な範囲となり、取り扱いが容易である。
活性水素原子数が4~12の多価アルコールを開始剤としたポリオールの水酸基価は100~800mgKOH/gであり、200~600mgKOH/gが好ましく、300~500mgKOH/gが特に好ましい。活性水素原子数が4~12の多価アルコールを開始剤としたポリオールの水酸基価が上記範囲の下限値以上であると、硬質フォームの収縮が抑制でき、寸法安定性が良好となる。上記範囲の上限値以下であると、硬質ポリウレタンフォームの脆性が抑制できる。
ポリオール組成物中における活性水素原子数が4~12の多価アルコールを開始剤としたポリオールの含有量は、1~50質量%が好ましく、2~45質量%がより好ましく、5~45質量%が特に好ましい。活性水素原子数が4~12の多価アルコールを開始剤としたポリオールの含有量が、上記範囲の下限値以上であると、硬質フォームの圧縮強度が良好になり、また、収縮が良好に抑制されて、良好な寸法安定性が得られやすい。上記範囲の上限値以下であると硬質フォームの成形時において良好な硬化特性(キュアー性)が確保されやすい。
【0063】
ポリオールは、脂肪族アミンを開始剤として、アルキレンオキシドを開環付加重合させて得られるポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。
脂肪族アミンを開始剤としたポリオールは、成形性および反応性の向上に寄与する。また、芳香族アミン開始剤ポリオールのほかに脂肪族アミンを開始剤としたポリオールを用いることによりポリオール組成物の粘度が高くなりすぎるのを防止することもできる。
脂肪族アミンを開始剤としたポリオールは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
開始剤である脂肪族アミンは、活性水素原子数が2~4の脂肪族アミンである。具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン等のアルキルアミン類が挙げられる。これらのうち、エチレンジアミン、モノエタノールアミンまたはジエタノールアミンが好ましい。
脂肪族アミンを開始剤としたポリオールの製造に用いるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が例示できる。プロピレンオキシド単独の使用、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの併用が好ましい。併用する場合、エチレンオキシドとプロピレンオキシドは、混合してから反応させても、順次反応させてもよい。
脂肪族アミンを開始剤としたポリオールの製造に用いるアルキレンオキシドの全量中における、エチレンオキシドの含有量(全EO含有量)は0~50質量%であり、0~48質量%が好ましく、0~45質量%がより好ましく、0質量%、すなわちPO単独が特に好ましい。エチレンオキシドの含有量が上記範囲の上限値以下であると発泡時の反応性を制御しやすく、良好な成形性を確保できる。
【0065】
脂肪族アミンを開始剤としたポリオールの水酸基数は2~4である。脂肪族アミンを開始剤としたポリオールの水酸基数が上記範囲の上限値以下であると粘度が適度な範囲となり、取り扱いが容易である。
脂肪族アミンを開始剤としたポリオールの水酸基価は100~800mgKOH/gであり、200~600mgKOH/gが好ましく、300~500mgKOH/gが特に好ましい。脂肪族アミンを開始剤としたポリオールの水酸基価が上記範囲の下限値以上であると、硬質ポリウレタンフォームの圧縮強度が向上し、収縮も抑制され、良好な寸法安定性となる。上記範囲の上限値以下であると、粘度が高くなりすぎず取り扱いが容易である。
ポリオール組成物中における脂肪族アミンを開始剤としたポリオールの含有量は、10~40質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましく、10~25質量%が特に好ましい。脂肪族アミンを開始剤としたポリオールの含有量が、上記範囲の下限値以上であると、キュアー性が良好となり、脱型する際の作業性が向上しやすい。上記範囲の上限値以下であると、発泡時の反応性の制御がしやすい。
【0066】
・ポリエステルポリオール
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との重縮合によって得られるポリエステルポリオールが挙げられる。そのほか、ヒドロキシカルボン酸の重縮合、環状エステル(ラクトン)の重合、ポリカルボン酸無水物への環状エーテルの重付加、ポリエチレンテレフタレートのエステル交換反応により得られるポリエステルポリオールなどがある。
【0067】
上記重縮合に用いられる多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、スクロースが例示できる。
【0068】
上記重縮合に用いられる多価カルボン酸としては、ジカルボン酸またはその無水物が好ましい。ジカルボン酸は、芳香環を有してもよく、有しなくてもよい。芳香環を有するジカルボン酸としては、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸等のフタル酸類が挙げられる。芳香環を有しないジカルボン酸としてはマレイン酸、フマル酸、アジピン酸等が挙げられる。難燃性が向上する点で、芳香環を有するジカルボン酸である、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸が好ましい。多価カルボン酸は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0069】
ポリエステルポリオールの平均水酸基数は2~3が好ましく、2が特に好ましい。該平均水酸基数が3以下であると、ポリエステルポリオールは、粘度を低く抑えることができ、取り扱いが容易である。
ポリエステルポリオールの水酸基価は100~500mgKOH/gが好ましく、150~350mgKOH/gがより好ましく、180~320mgKOH/gが特に好ましい。ポリエステルポリオールの水酸基価が上記範囲の下限値以上であると硬質ポリウレタンフォームの収縮が抑制されやすく、上記範囲の上限値以下であると硬質ポリウレタンフォームの脆性が抑制されて良好な物性が得られやすい。
【0070】
本実施形態において、ポリエステルポリオールは必須ではないが、ポリエステルポリオールを用いる場合、ポリオール100質量%中におけるポリエステルポリオールの含有量は、0質量%超、70質量%以下が好ましく、1~65質量%がより好ましく、5~60質量%が特に好ましい。ポリエステルポリオールの含有量が上記範囲の下限値以上であると、システム液の粘度の低減効果が得られやすい。ポリエステルポリオールの含有量が上記範囲の上限値以下であると、硬質ポリウレタンフォームの収縮が抑制されやすい。
【0071】
・主鎖が炭化水素系ポリマーからなり末端部分に水酸基を導入してなるポリマー
主鎖が炭化水素系ポリマーからなり末端部分に水酸基を導入してなるポリマーとしては、例えば、水添ポリブタジエンポリオール、ポリブタジエンポリオールが挙げられる。
【0072】
・多価アルコール
上記ポリエステルポリオールの説明中で例示した多価アルコールは、それ自体、本発明におけるポリオールとして用いることができる。
【0073】
・その他
上記ポリオールとして、ポリマーポリオールまたはグラフトポリオールと呼ばれる主にポリエーテルポリオール中にビニルポリマーの微粒子が分散したポリオール組成物を使用することもできる。
【0074】
本実施形態におけるポリオールは、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールを含むことが好ましい。
【0075】
本実施形態におけるポリオールがオキシエチレン基を含む場合、オキシアルキレン基の全量に対する、オキシエチレン基の含有割合は、0質量%超100質量%以下であってもよく、0質量%超80質量%以下が好ましく、0質量%超60質量%以下がより好ましく、0質量%超50質量%以下がさらに好ましい。上記含有割合が上記範囲内であると、上記ポリオールと発泡剤Aとの溶解性が適度に調整され、硬質ポリウレタンフォームの圧縮強さが高くなりやすい。上記含有割合は、含まれるポリオールの全量において、オキシアルキレン基全量に対するオキシエチレン基の含有割合として算出される。
【0076】
(発泡剤A)
発泡剤Aは、上述の通りである。
発泡剤Aは、1224yd及びtDCE以外の、その他の発泡剤を含んでいてもよい。
その他の発泡剤としては、公知の物理発泡剤を使用できる。例えば、上述したハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO、ただし1224ydを除く)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロカーボン(HC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、有機酸、不活性ガス、飽和炭化水素が例示できる。さらに、CH2Cl2等の塩素系溶剤(ただし、tDCEを除く)も例示できる。
【0077】
発泡剤Aの使用量は、ポリオールの100質量部に対して10~100質量部が好ましく、12~60質量部がより好ましく、15~50質量部がさらに好ましい。上記範囲内であると、得られる硬質ポリウレタンフォームの密度が適切となり、断熱性能が良好となりやすい。
【0078】
(発泡補助剤)
また、発泡剤Aのほかに、発泡補助剤として化学発泡剤を併用してもよい。発泡補助剤として用いる化合物は、該化合物とポリイソシアネートとを含む組成物において、該化合物と該ポリイソシアネートとの反応により生じる気体を利用して該組成物を発泡させる化合物が好ましい。例えば水が好ましい。
水以外の他の化学発泡剤は、硬質ポリウレタンフォームの製造において公知の無機系化学発泡剤、有機系化学発泡剤を使用できる。無機系化学発泡剤の具体例としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムが挙げられる。有機系化学発泡剤の具体例としては、アゾジカルボンアミド、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。
発泡剤Aと水を併用する場合、発泡剤Aの100質量部に対して、水は0.1~70質量部が好ましく、0.3~50質量部がより好ましく、0.5~30質量部がさらに好ましい。
【0079】
(整泡剤)
整泡剤は、良好な気泡を形成するために用いられる。
整泡剤としては、例えば、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤が挙げられる。
整泡剤としては、界面活性剤等を使用でき、例えば、有機シロキサン-ポリオキシアルキレン共重合体、シリコーン-グリース共重合体等の非イオン系界面活性剤等の有機シリコーン系界面活性剤が挙げられる。
また、整泡剤としては、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドの重合体であるポリオキシアルキレングリコールとポリジメチルシロキサンとのグラフト共重合体も使用でき、ポリオキシアルキレン中のオキシエチレン基含有率が70~100モル%のシリコーン整泡剤が好ましく使用できる。
【0080】
整泡剤は市販品を使用してもよい。
市販品としては、例えば、モーメンティブ社製L5420、L5340、L6188、L6877、L6889、L6900;エボニック社製B8040、B8155、B8239、B8244、B8330、B8443、B8450、B8460、B8462、B8465、B8466、B8467、B8474、B8476、B8481、B8484、B8485、B8486、B8490、B8496、B8498、B8516、B8523、B8534、B8544、B8545、B8546、B8547、B8558、B8870、B8871、DC-5598;東レ・ダウコーニング社製SF-2937F、SF-2938F、SZ-1718、SZ-1710、SF-2936F、SF-2945F、SZ-1720、SZ-1328、SZ-1642、SZ-1671、SZ-1677、SH-193;DOW社製DC-193が挙げられる。
整泡剤の含有量は適宜選定できるが、その含有割合は、より良好な気泡が形成されやすいことから、ポリオールの100質量部に対して0.1~10質量部が好ましい。
【0081】
(触媒)
触媒として、ウレタン化反応を促進するウレタン化触媒、イソシアネート基の三量化反応を促進させる三量化反応促進触媒、または上記ウレタン化触媒と三量化反応促進触媒の両方が用いられる。
【0082】
触媒としては、例えば、アミンが挙げられる。
アミンとしては、例えば第3級アミン、第2級アミン、第1級アミンが挙げられる。また、アミンは、イミダゾールでもよく、アルカノールアミンでもよく、モルホリンでもよく、エーテル含有化合物でもよく、高級化メチルポリアミンでもよく、アルコキシリル化ポリアミンでもよい。
【0083】
アミンとしては、例えば、1-(2’-ヒドロキシエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2’-ヒドロキシエチル)イミダゾール、1-(2’-ヒドロキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、1-(2’-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、1-(ジメチルアミノ)-2-プロパノール、1-(ビス(3-ジメチルアミノ)-プロピル)アミノ-2-プロパノール、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1-ジエチル-n-プロピルアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,3-プロパンジアミン、1,3-ベンゼンジアミン-2-メチル-4,6-ビス(メチルチオ)、1,3-べンゼンジアミン-4-メチル-2,6-ビス(メチルチオ)、1,4-ジアザジシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7-トリエチレンジアミン、1-イソブチル-2-メチル-1H-イミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール、1-メチル-4-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、1-メチルイミダゾール、2-((2-ジメチルアミノエトキシ)-エチルメチル-アミノ)エタノール、2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール、2,2-ジモルホリノジエチルエーテル、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール、2-[[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エチル]メチルアミノ]エタノール、2-[2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エトキシ]エタノール、2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール、2-[N-(ジメチルアミノエトキシエチル)-N-メチルアミノ]エタノール、3,5-ジメチルチオ-2,4-卜ルエンジアミン、3-キヌクリジノール(3-ヒドロキシアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン)、4,4’-(オキシジエチレン)ジモルホリン、4,4’-(オキシジメチレン)ジモルホリン、5-ジメチルアミノ-3-メチル-1-ペンタノール、N-(2-ヒドロキシエチル)-N’-メチルピペラジン、N-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、N-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、N-(3-アミノプロピル)イミダゾール)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N,N-ジイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”’,N”’-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタエチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’N’-テトラメチルヘキサンジアミン、N,N,N’-トリエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N,N’-トリメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ビス(2-アミノエチル)エーテル、N,N,N’-トリメチル-N’-(3-アミノプロピル)ビス(2-アミノエチル)エーテル、N,N,N’-トリメチル-N’-3-アミノプロピル-ビス(アミノエチル)エーテル、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシイソプロピルビス(2-アミノエチル)エーテル、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシイソプロピルビスアミノエチルエーテル、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチルビス(アミノエチル)エーテル、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、N,N,N’-トリメチルアミノプロピルエタノールアミン、N,N,N-トリ-n-プロピルアミン、N,N’,N”-トリス(3-ジメチルアミノ-プロピル)ヘキサヒドロトリアジン、N,N’-ジエチルピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、N,N’-ビス(アミノエチル)ピペラジン、N,N’-ビス[3-(ジエチルアミノ)エチル]尿素、N,N’-ビス[3-(ジエチルアミノ)ブチル]尿素、N,N’-ビス[3-(ジエチルアミノ)プロピル]尿素、N,N’-ビス[3-(ジエチルアミノ)ヘキシル]尿素、N,N’-ビス[3-(ジエチルアミノ)ペンチル]尿素、N,N’-ビス[3-(ジメチルアミノ)エチル]尿素、N,N’-ビス[3-(ジメチルアミノ)ブチル]尿素、N,N’-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]尿素、N,N’-ビス[3-(ジメチルアミノ)ヘキシル]尿素、N,N’-ビス[3-(ジメチルアミノ)ペンチル]尿素、N,N”,N”-トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N-エチルジイソプロピルアミン、N,N-ジエチル-(α-フェニルエチル)アミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N-ジメチル-N’,N’-2-ヒドロキシ(プロピル)-1,3-プロピレンジアミン、N,N-ジメチルアミノイソプロパノール、N,N-ジメチルアミノエタノール、N,N-ジメチルアミノエチル-N’-メチル-N’-エタノール、N,N-ジメチルアミノエチル-N’-メチルアミノイソプロパノール、N,N-ジメチルアミノエチル-N’-メチルアミノエタノール、N,N-ジメチルアミノエチル-N’-メチルアミノエチル-N”-メチルアミノイソプロパノール、N,N-ジメチルアミノエチル-N’-メチルアミノエチル-N”-メチルアミノエタノール、N,N-ジメチルアミノエチル-N’-メチルアミノエチル-N”-メチルアミノエチル-N”’-メチルアミノイソプロパノール、N,N-ジメチルアミノエチル-N’-メチルアミノエチル-N”-メチルアミノエチル-N”’-メチルアミノエタノール、N,N-ジメチルアミノエチル-N’-メチルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシイソプロパノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエトキシイソプロパノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N,N-ジメチルアミノプロピル-N’-メチルアミノイソプロパノール、N,N-ジメチルアミノプロピル-N’-メチルアミノエタノール、N,N-ジメチルアミノプロピル-N’-メチルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルウレア、N,N-ジメチルアミノヘキサノール、N,N-ジメチルイソプロピルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、N,N-ジメチルパラトルイジン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N,N-ビス(2-アミノエチル)ジエチレントリアミン、N,N-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)-N-イソプロパノールアミン、N.N-ジメチルベンジルアミン、N’-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N,N-ジメチル-、N”,N”-ビス(2-アミノエチル)-N-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-2(2’(2”-アミノエチル)アミノエチル)アミノエチルピペラジン、N-2(2’-アミノエチル)アミノエチル-N’-アミノエチルピペラジン、N-2(2’-アミノエチル)アミノエチルピペラジン、N-イソプロピル-N-sec-ブチルトリフルオロエチルアミン、N-エチルモルホリン、N-ジメチルアミノエチル-N’-メチルピペラジン、N-ヒドロキシエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、N-ヒドロキシエチル-2-メチルイミダゾール、N-ヒドロキシエチル-4-メチルイミダゾール、N-ヒドロキシプロピル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、N-ヒドロキシプロピル-2-メチルイミダゾール、N-ヒドロキシプロピル-4-メチルイミダゾール、N-メチル-N-(N,N-ジメチルアミノエチル)エタノールアミン、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N-メチル-N-イソプロピルベンジルアミン、N-メチル-N-シクロペンチルベンジルアミン、N-メチルイミダゾール、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、t-ブチルイソプロピルアミン、イソプロピル-sec-ブチル-トリフルオロエチルアミン、イソプロピルアミノエタノール、イミダゾール、エチルアミノエタノール、エチルジイソプロピルアミン、グリセロールポリ(オキシプロピレン)トリアミン、ジ-(α-トリフルオロメチルエチル)アミン、ジ-(α-フェニルエチル)アミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-t-ブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)、ジイソプロピルエチルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルシクロへキシルアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、シクロヘキシル-t-ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジブチルアミノエタノール、ジブチルアミノエチルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、ジメチルアミノオクチルアミン、ジメチルアミノシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノトリオキシエチレン、ジメチルイソプロピルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルオレイルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルピペラジン、ジメチルヘキサデシルアミン、ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、ジモルホリノジメチルエーテル、テトラエチレンペンタミン、デ-第二ブチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、トリス-2,4,6-(ジメチルアミノメチル)フエノール、トリフェニルメチルアミン、トリブチルアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(N,N-ジメチル-3-アミノプロピル)アミン、ビス(N,N-ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAFE)、ビス(ジエチルアミノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノ)-2-プロパノール、ビス(ジメチルアミノプロピル)-N-メチルアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)エーテル、ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ビス[2-(ジエチルアミノ)エチル]エーテル、ビス[2-(ジエチルアミノ)プロピル]エーテル、ビス[2-(ジメチルアミノ)エチル]エーテル、ビスジメチルアミノエチルエーテル、ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン、ブチルアミノエタノール、ブチルジエタノールアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン、ヘプタメチルテトラエチレンペンタアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、N-(2-ヒドロキシ-5-ノニルフェノール)メチル-N-メチルグリシン酸ナトリウム、メチル(n-メチルアミノb-ナトリウムアセテートノニルフェノール)2-、メチルイソプロピルベンジルアミン、メチルシクロペンチルベンジルアミン、メチルヒドロキシエチルピペラジン、第三ブチルアミノエタノールが挙げられる。
【0084】
また、アミンはアルキル化(メチル化等)されたアミンでもよく、このようなアミンとしては、例えば、トリエチレンテトラミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、N,N’-ビス(アミノエチル)ピペラジン、N-2(2’-アミノエチル)アミノエチルピペラジン、テトラエチレンペンタミン、N-2(2’(2”-アミノエチル)アミノエチル)アミノエチルピペラジン、N-2(2’-アミノエチル)アミノエチル-N’-アミノエチルピペラジン、N”,N”-ビス(2-アミノエチル)-N-(2-アミノエチル)ピペラジン、N,N-ビス(2-アミノエチル)ジエチレントリアミン、のアルキル化体(メチル化体等)でもよい。このような、アルキル化(メチル化等)されたアミンと、分子内に少なくとも1つのヒドロキシアルキル基を有するアミン(3級アミン等)を組み合わせて使用してもよい。上記分子内に少なくとも1つのヒドロキシアルキル基を有するアミン(3級アミン等)としては、例えば、アルカノールアミン(例えば、上段に例示したアミンのうちのアルカノールアミン)が挙げられる。
アミンは、イミダゾール-ホウ素組成物の形態で使用してもよく、アミノプロピル-ビス(アミノエチル)エーテル組成物の形態で使用してもよい。
【0085】
また、触媒として、上述したようなアミンのルイス酸錯体塩を使用してもよい。
アミン(特に第3級アミン)は次に説明する金属触媒と組み合わせて使用してもよい。例えば、第3級アミンとオルガノスズ化合物、スズ(II)カルボキシレート塩、ビスマス(III)カルボキシレート塩またはそれらの組み合わせとともに使用されてもよい。
【0086】
アミンは、有機カルボン(モノ、ジ、トリ、又は、ポリ)酸(例えば、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタコン酸、トラウマチン酸、ムコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ポリアクリル酸など)又はそれらの組み合わせの存在下での、第一級-OH基、第二級-OH基、第1級アミン、第2級アミン、アミド、尿素、ウレタン、イミンなどのイソシアネート反応性基を含む第3級アミンでもよい。
【0087】
触媒は、金属を含む触媒である金属触媒でもよい。
金属触媒としては、例えば、遷移金属を含む遷移金属触媒でもよく、アルカリ(土類)金属を含むアルカリ(土類)金属触媒でもよい。
金属触媒としては、例えば、有機金属、金属塩が挙げられる。
金属触媒は、錫塩、鉛塩および水銀塩を除く有機酸金属塩も好ましい。
【0088】
金属触媒における金属としては、例えば、ビスマス、鉛、スズ、アンチモン、カドミウム、コバルト、鉄、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、チタン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、および、これらの組み合わせが挙げられる。
【0089】
金属触媒としては、例えば、金属(例えば、金属触媒における金属として例示した金属)のカルボン酸塩も使用できる。
金属のカルボン酸塩は、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)のカルボン酸塩でもよく、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)のカルボン酸塩でもよく、遷移金属(鉄、鉛、亜鉛、ビスマス等)のカルボン酸塩でもよい。
アルカリ金属のカルボン酸塩としては、例えば、炭素数2~12のカルボン酸のアルカリ金属塩でもよい。
金属のカルボン酸塩におけるカルボン酸としては、例えば、脂肪族カルボン酸(脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸等)、芳香族カルボン酸(芳香族モノカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等)が挙げられる。
上記カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸、ネオペンタン酸、ヘキサン酸、2-エチルヘキシルカルボン酸、ネオヘキサン酸、オクタン酸、ネオオクタン酸、ヘプタン酸、ネオヘプタン酸、ノナン酸、ネオノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ネオウンデカン酸、ドデカン酸、ネオドデカン酸、安息香酸、フタル酸が挙げられる。
金属のカルボン酸塩としては、例えば、カルボン酸のスズ塩(スズ(II)カルボキシレート塩等)でもよく、カルボン酸のジアルキルスズ塩でもよい。また、カルボン酸のビスマス塩(ビスマス(III)カルボキシレート塩、2-エチルヘキサン酸ビスマスのカルボン酸金属塩等)でもよい。
【0090】
金属触媒としては、例えば、アセルチアセトンやサリチルアルデヒドのアルカリ金属塩でもよく、オルガノスズ化合物でもよい。
【0091】
金属触媒としては、例えば、2-エチルヘキサン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸スズ(II)、2-エチルヘキサン酸ビスマス、2-エチルヘキサン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、オクタン酸カリウム、オクタン酸鉛、オクタン酸第一スズ、オクチル酸カリウム、カリウムアセテート、カリウムオクタノエート、グリコール酸アンチモン、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジイソオクチルマレエート、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズジラウリルメルカプチド、ジブチルスズジラウレート(DGTDL)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズビ(2-エチルヘキシルメルカプトアセテート)、ジブチルスズメルカプチド、ジメチルジアセテート、ジメチルスズジイソオクチルマレエート、ジメチルスズジラウリルメルカプチド、ジメチルスズジラウレート、ジメチルスズビ(2-エチルヘキシルメルカプトアセテート)、シュウ酸チタニル、シュウ酸チタニルカリウム、スズジアセテート、スズジオクトエート、スズジオレエート、スズジラウレート、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸鉛、ビスマス2-エチルへキサノエート、ビスマスカルボキシレート、プロピオン酸フェニル水銀、安息香酸鉛、塩化第二鉄、三塩化アンチモン、硝酸ビスマス、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、第二鉄アセチルアセトネートが挙げられる。
【0092】
また、アルカリ土類カルボキシレ-ト、アルカリカルボキシレ-ト、ならびに、ビスマス、亜鉛、コバルト、スズ、セリウム、ランタン、アルミニウム、バナジウム、マンガン、銅、ニッケル、鉄、チタン、ジルコニウム、クロム、スカンジウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、およびバリウムのカルボキシレ-トなどの、金属塩は良好なフッ化水素酸(HF)捕捉剤活性を有する。さらに、これらの触媒は、アミン(特にイミダゾール)触媒と併用すると、触媒の性能を安定化できる。
たとえば、1つ以上の官能性カルボキシル基を有する金属塩がHF捕捉剤として用いられてもよい。そのような金属塩としては、たとえば、ギ酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、オクタン酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、オクタン酸カルシウム、オクタン酸亜鉛、オクタン酸コバルト、オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)が挙げられる。
【0093】
触媒は、第4級アンモニウム塩でもよい。
第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラアルキルアンモニウム有機酸塩類、テトラアルキルアンモニウム有機酸塩類、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等の第3級アミンと炭酸ジエステルとを反応して得られる4級アンモニウム炭酸塩を、2-エチルヘキサン酸とアニオン交換反応させることで得られる4級アンモニウム化合物が挙げられる。
第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウム2-エチルヘキサン酸塩、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2-エチルヘキサン酸塩、テトラメチルアンモニウムクロライド、水酸化テトラメチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム2-エチルヘキサン酸塩、テトラメチルアンモニウム2-エチルヘキサン酸塩が挙げられる。
【0094】
他にも、触媒としては、例えば、第3級フォスフィン類、燐のオニウム塩化合物等を使用してもよい。
【0095】
触媒は市販品を使用してもよく、市販品としては、例えば、PolycatDBU(DBU)、Dabco33LV(ジアザビシクロオクタン)、Jeffamine D230(ポリオキシプロピレンジアミン)、Dabco TMR-30(トリス-2,4,6-(ジメチルアミノメチル)フエノール/ビス(ジメチルアミノメチル)フエノール)、Jeffcat ZR70(ジメチルアミノエトキシエタノール/エチレングリコール)、Toyocat RX5(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル)、Polycat201(反応型アミン)、Polycat9(ビス(ジメチルアミノプロピル)-n)、Polycat30(第3級アミン(10~30%),ゲル化触媒(30~60%)脂肪アミン(10~30%))、Lupragen1-メチルイミダゾール(1-メチルイミダゾール)、Polycat5(ペンタメチルジエチレントリアミン)、Polycat41(ジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン,N,N′,N’’)、Dabco DEOA-LF(ジエタノールアミン)、Lupragen1-メチルイミダゾール(1-メチルイミダゾール)、Dabco H1010(水+アミン塩の50/50ブレンド)、ToyocatDM70(70% 1,2-ジメチルイミダゾール/30% エチレングリコール)ToyocatTRX(三量体化触媒)、Polycat TMR-7(三量体化触媒)、DIPFA(ジイソプロピルエチルアミン)、Polycat12(n-メチルジシクロへキシルアミン)、Curithane52(メチル(n-メチルアミノb-ナ卜リウムアセテートノニルフェノール)2-)、Jeffamine T500(グリセロールポリ(オキシプロピレン)トリアミン)、K-Kat x614亜鉛(亜鉛触媒コンプレックス)、Jeffcat DMDEE(2,2-ジモルホリノジエチルエーテル)、Polycat12(N-メチルジシクロへキシルアミン)、Fitstcure N,N-ジメチルパラトルイジン(N,N-ジメチルパラトルイジン)、Ethacure300 Curative(3,5-ジメチルチオ-2,4-卜ルエンジアミン)、Tyzor TEチタン(チタンコンプレックス)、Dabco MB20(ビスマスカルポキシレート触媒)、Borchi Oxycoat1101(鉄触媒)、PUCAT25(ビスマス2-エチルへキサノエート)、Ethacure100硬化剤(ジエチルトルエンジアミン)Ethacure300硬化剤(1,3-べンゼンジアミン-4-メチル-2,6-ビス(メチルチオ)/1,3-べンゼンジアミン-2-メチル-4,6ービス(メチルチオ))が挙げられる。
【0096】
中でも、ウレタン化触媒としては、反応性の観点で、第3級アミン(例えば、上段に例示したアミンのうちの第3級アミンに該当するアミン)が好ましい。
三量化反応促進触媒としては、反応性の観点で、錫塩、鉛塩および水銀塩を除く有機酸金属塩、第4級アンモニウム塩、または上記金属塩と第4級アンモニウム塩の両方が好ましく用いられる。
イソシアヌレートを用いる場合、反応性の観点で、ウレタン化触媒と三量化反応促進触媒の併用が好ましく、第3級アミンと上記有機酸金属塩の併用、または第3級アミンと上記有機酸金属塩と上記第4級アンモニウム塩との併用がより好ましい。
【0097】
中でも、好ましい第3級アミンとしては、例えばN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7-トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’-ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N-メチル-N-(N,N-ジメチルアミノエチル)エタノールアミンが挙げられる。
【0098】
錫塩、鉛塩および水銀塩を除く有機酸金属塩としては、例えば、酢酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウムまたは2-エチルヘキサン酸ビスマスのカルボン酸金属塩が反応性の観点で好ましい。
【0099】
好ましい第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物;水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物;テトラメチルアンモニウム2-エチルヘキサン酸塩、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2-エチルヘキサン酸塩等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩類;N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等の第3級アミンと炭酸ジエステルとを反応して得られる4級アンモニウム炭酸塩を、2-エチルヘキサン酸とアニオン交換反応させることで得られる4級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0100】
触媒は、その他の成分と併用して触媒の性能を調整してもよい。なお、ここでいうその他の成分は、触媒としての性質を有していてもよい。
例えば、第3級アミンは、特開2017-155101号公報の段落[0066]~[0073]に記載されるように、酸と混合して用いることも好ましく、好ましい態様なども同様に用いることができる。
【0101】
第3級アミンと、炭素数7以上の脂肪酸化合物を組み合わせて使用してもよい。炭素数7以上の脂肪酸化合物としては、例えば、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、等の飽和脂肪酸;α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、等のω-3脂肪酸;リノール酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、ドコサペンタエン酸等のω-6脂肪酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸等のω-7脂肪酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ネルボン酸、等のω-9脂肪酸が挙げられる。
【0102】
また、酸成分としての有機酸は、触媒の活性を抑制し、HFOと触媒との相互作用による触媒の失活を防止することで、硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物の貯蔵安定性を向上させる作用を有する。
このような有機酸は、例えば、脂肪族有機酸、芳香環を有する有機酸が挙げられる。
脂肪族有機酸は、特に限定されず、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状でも分岐状でもよい。脂肪族有機酸は、炭素数1~10の炭化水素基を有する脂肪族有機酸等が使用でき、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、等が挙げられる。
芳香環を有する有機酸としては、単環式(非多環式)の芳香環を有する有機酸や、多環式の芳香環を有する有機酸等を使用できる。単環式(非多環式)の芳香環を有する有機酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸(オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸)、サリチル酸が挙げられる。多環式の芳香環を有する有機酸としては、例えば、ナフトエ酸、アントロン酸が挙げられる。
【0103】
また触媒は、有機カルボン(モノ、ジ、トリ、又は、ポリ)酸(例えば、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタコン酸、トラウマチン酸、ムコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ポリアクリル酸など)又はそれらの組み合わせのテトラアルキルグアニジン塩、等と組み合わせて使用してもよい。
その他にも、触媒は、上記有機カルボン酸又はそれらの組み合わせの第3級アミン塩と組み合わせて使用してもよく、上記有機カルボン酸又はそれらの組み合わせと、テトラアルキルグアニジンおよび第3級アミンとの組み合わせの塩と組み合わせて使用してもよく、上記有機カルボン酸又はそれらの組み合わせの第3級アミン触媒成分およびテトラアルキルグアニジン塩と組み合わせて使用してもよい。
【0104】
触媒の含有量は、反応性の観点で、ポリオールの100質量部に対して、触媒の合計量が0.1~100質量部であることが好ましく、0.1~20質量部がより好ましい。上記範囲内で触媒の含有量を調節することで、発泡に用いる成分の混合開始から反応が開始するまでの時間(クリームタイム)、上記混合開始から樹脂の硬化が開始するまでの時間(ゲルタイム)または上記混合開始から、発泡が進行し、樹脂の硬化が終了するまでの時間(タックフリータイム)を良好に調整することができる。
【0105】
[ポリイソシアネート]
ポリイソシアネートとしては、例えば、イソシアネート基を2以上有する、芳香族系、脂環族系、脂肪族系等のポリイソシアネート;これらを変性して得られる変性ポリイソシアネートが挙げられる。具体例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートまたはこれらの変成体が挙げられる。上記変成体としては、プレポリマー型変性体、イソシアヌレート変成体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体が挙げられる。このうち、反応性及び得られる発泡合成樹脂の強度の観点から、ポリメリックMDI、またはその変性体が好ましく、ポリメリックMDIの変性体がより好ましい。ポリイソシアネートは1種でもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0106】
ポリイソシアネートの使用量は、反応性の観点から、ポリオールおよびその他の活性水素を有する化合物の活性水素の合計数に対するイソシアネート基の数を100倍した値(以下、この値を「イソシアネートインデックス」という)として、50~300が好ましい。特に、触媒としてウレタン化触媒を主に用いる場合、ポリイソシアネートの使用量は、反応性の観点から、上記イソシアネートインデックスで50~170が好ましく、70~150がより好ましい。また、触媒としてイソシアネート基の三量化反応を促進させる触媒を主に用いる場合、ポリイソシアネートの使用量は、より有効にヌレート化反応を進行させる観点から、上記イソシアネートインデックスで100~400が好ましく、105~350がより好ましく、110~300がさらに好ましい。
【0107】
(任意成分)
本実施形態では、必要に応じて、上述した成分以外の他の成分をさらに使用してもよい。
上記他の成分としては、公知の配合剤を使用できる。上記配合剤としては、例えば、充填剤、老化防止剤、難燃剤、可塑剤、着色剤、抗カビ剤、破泡剤、分散剤、変色防止剤が挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウムが挙げられる。老化防止剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤が挙げられる。
上記他の成分の含有量は、目的に応じて適宜選定できるが、本発明の効果を維持しやすい点で、ポリオールの100質量部に対して0.1~30質量部が好ましい。
【0108】
[反応の手法]
ポリオールと、ポリイソシアネートとを、発泡剤A、整泡剤、および触媒の存在下で反応させる手法は、公知の方法を用いることができる。
例えば、金型等の枠内に、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤A、整泡剤、および触媒を含む発泡性組成物を注入して発泡させる方法(いわゆる注入法);2枚の面材間に前記発泡性組成物を供給して発泡させることにより、これらの面材の間に硬質ポリウレタンフォームが挟まれた積層体を製造する方法(いわゆる連続ボード成形法);前記発泡性組成物をスプレーで吹付け施工する方法(いわゆるスプレー法)が挙げられる。
【0109】
注入法は、例えば高圧発泡装置または低圧発泡装置を用いる方法で行うことができる。高圧発泡装置または低圧発泡装置を用いる場合、発泡性組成物を所望の形状の金型内や型枠をセットしたプレス成型機内に注入後、発泡硬化させて硬質ポリウレタンフォームを製造する。発泡剤Aは、システム液にあらかじめ配合しておいても、発泡装置で発泡する際に配合してもよい。注入法を用いて製造できる物品としては、例えば、電気冷蔵庫等の冷凍機器、冷凍・冷蔵車用パネルが挙げられる。
連続ボード成形法は、例えば、自動販売機や建築用途の断熱材の製造に用いられる。
【0110】
スプレー法は、大きく分けてエアスプレー法とエアレススプレー法がある。このうち特に、システム液とポリイソシアネートを含む液とをミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー法が作業性の点で好ましい。スプレー法には、システム液とポリイソシアネートを含む液を撹拌し発泡して金型の枠内に注入する製造方法も含まれる。更に、2枚の対になった面材の一方の面の内側にスプレーで吹き付けることによりシステム液とポリイソシアネートを含む液を供給し、発泡している過程で、他方の面材を積層させることにより、面材の間に硬質ポリウレタンフォームが挟まれた積層体を連続的に製造する方法も含まれる。
【0111】
壁面等の垂直面への施工をスプレー法で行う場合には、システム液とポリイソシアネートの反応性が悪いと液だれが発生しやすい。液だれが発生すると、断熱層が均一に保てなくなり、壁面下部に断熱層の厚みが集中する結果、内装壁の厚みを揃えるために切断する部分が多くなり、廃棄物が増えるなどの問題が生じる。また、反応性が悪いと、発泡過程での増粘が遅れるためセルの成長を助長しやすく、得られた発泡合成樹脂の断熱性の悪化を招きやすい。スプレー法を用いて製造できる物品としては、例えば、マンションの結露防止や戸建住宅などの建築用断熱材;車輌用、航空機用の断熱材;建築用、車輌用、航空機用の防音材などが挙げられる。
【0112】
<硬質ポリウレタンフォーム用キット>
本実施形態に係る硬質ポリウレタンフォーム用キットは、本実施形態のポリオールシステム液からなる第一剤と、ポリイソシアネートを含むポリイソシアネートシステム液(第二剤)と、からなる。上記任意成分は第一剤に含有させてもよく、第二剤に含有させてもよく、両方に含有させてもよい。
ポリオールシステム液(第一剤)は、上記ポリオール、上記発泡剤A、上記整泡剤、上記触媒、及び必要に応じた任意成分を混合して調製できる。
ポリイソシアネートシステム液(第二剤)は、安定剤等の添加剤や発泡剤Aを含んでいてもよい。第二剤の主成分はポリイソシアネートであることが好ましく、具体的には第二剤の全量に対するポリイソシアネートの含有割合は80質量%以上であることが好ましい。第二剤はポリイソシアネートからなってもよい。
【0113】
<硬質ポリウレタンフォーム>
本実施形態の製造方法によれば、密度が5~300kg/m3である硬質ポリウレタンフォームを製造することができる。上記方法により得られた硬質ポリウレタンフォームは、後述の実施例に示されるように、熱伝導率が低く、断熱性が良好となりやすい。
硬質ポリウレタンフォームの熱伝導率は、例えば、測定温度23℃において0.021W/m・K以下が好ましく、0.020W/m・K以下がより好ましく、0.0195W/m・K以下がさらに好ましい。本明細書における熱伝導率はJIS A 9511に準拠する測定方法で得られる値である。
硬質ポリウレタンフォームの密度は、発泡剤Aの使用量によって制御することができる。また、熱伝導率は、ポリオールの組成や発泡剤Aの組成を調節することにより、制御することができる。
【0114】
<物品>
本発明に係る物品は、上記硬質ポリウレタンフォームを備える。上記物品は、上記硬質ポリウレタンフォームを備える限り、特に限定されず、硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関する説明中で挙げた物品、例えば、断熱材、防音材等の他に、このような断熱材、防音材等を備える電化製品、車両、航空機、建築物等をも包含する。
【実施例0115】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。ただし本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の各例で用いた原料、測定方法は以下の通りである。
【0116】
(原料)
ポリオール1:
水4.8モルにスクロース1モルを攪拌混合し、さらにグリセリン0.5モルを添加して混合した開始剤にPOを付加し、水3.3モルを脱水後、さらにPOを開環付加させて重合した。アルキレンオキシドの重合触媒には、水酸化カリウムを用い、EO含有量0%、平均水酸基数が4.2、水酸基価が450mg/KOHのポリエーテルポリオールを得た。
【0117】
ポリオール2:
メタトルエンジアミン(2,4-ジアミノトルエン80%と2,6-ジアミノトルエン20%の混合物)開始剤を125℃で0.5時間攪拌混合し、EOを付加した後に、POを付加し、さらにEOを開環付加させて重合した。アルキレンオキシドの重合触媒には、水酸化カリウムを用い、EO含有量23%、平均水酸基数が4.0、水酸基価が450mg/KOHのポリエーテルポリオールを得た。
【0118】
ポリオール3:
無水フタル酸とジエチレングリコールを反応させたポリエステルポリオール:川崎化成工業製マキシモールRDK-133(酸価:0.56mgKOH/g、水酸基価:315mgKOH/g、水分:0.04%、粘度:2400mP・s)。
【0119】
発泡剤として使用する成分の詳細は、以下のとおりである。
1224yd:1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224yd)、純度99.75%、Z体とE体とのモル比(Z/E比)=99.43/0.57、(AGC社製品名:AMOLEA 1224yd)。
tDCE:トランス-1,2-ジクロロエチレン(UNISTAR CHEMICALInc.製:Trans-1,2-Dichloroethylene)。
【0120】
触媒1:N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(アミン触媒、東ソー社製、品名TOYOCAT DT)。
触媒2:N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(アミン触媒、エボニック社製、品名POLYCAT 8)。
整泡剤:ポリオキシアルキレン-ジメチルポリシロキサン コポリマー(東レ・ダウコーニング社製、品名VORASURF RF1777 Additive)。
難燃剤:トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(大八化学社製品名:TMCPP)。
ポリイソシアネート:ポリメリックMDI(住化コベストロウレタン社製品名:スミジュール 44V20)。
【0121】
(測定方法)
<ポリオールの水酸基価>
ポリオールの水酸基価は、JIS K1557-1(2007年版)に準拠して測定した。
【0122】
<ポリオールのMw>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー社製、型式:HLC-8320GPC)を用いて、ポリスチレン換算分子量を測定した。カラムとしては、東ソー社製 TSK-GEL SuperHZ 2000の2本とTSK-GEL SuperHZ 1000の2本を直列につないで用いた。溶離液としては、トリエチルアミンのTHF溶液(0.1mol/L)を、流速0.35ml/分の条件で用いた。測定サンプルの濃度は0.05g/10mlに調整し、注入量は20μLとし、カラム温度は40℃とした。
【0123】
<発泡剤の蒸気圧測定(沸点の測定)>
発泡剤(単一化合物又は混合物)について、以下に示す方法で蒸気圧力を測定し、当該蒸気圧力が大気圧となる温度を確認した。なお、本測定において、大気圧の値としては、101.3kPaを用いた。
【0124】
95ccのSUS製試料採取用ボンベに発泡剤を80g封入し、上部に圧力計を取り付け、低温恒温槽内に静置した。恒温槽の温度を0℃に設定し、3時間放置後に圧力指示値を確認した。同じ測定を10℃から50℃まで10℃刻みで行い、各温度における蒸気圧力を測定した。得られた結果より、蒸気圧力が101.3kPaになる温度を推定した。当該蒸気圧力が101.3kPaになることが推算された温度を発泡剤の沸点とした。
【0125】
[測定例]
表1に示す第1成分、第2成分又はこれらの混合物からなる発泡剤について、上記の方法で沸点を測定した。結果を表1に示す。
1224ydおよびtDCEからなる発泡剤の沸点は、1224yd/tDCEの質量比が90/10~20/80のときに17~34℃の範囲内であり、発泡剤として適度な沸点であった。
【0126】
【0127】
<硬質ポリウレタンフォームの評価方法>
[反応性]
後述の方法で調製したシステム液とポリイソシアネートとを混合して混合液とする際、混合開始時刻を0秒とし、クリームタイム、ゲルタイムおよびタックフリータイムを測定した。
クリームタイム(c.t.)(秒):混合開始時刻から、システム液とポリイソシアネートとの混合液が泡立ち始めるまでの時間。
ゲルタイム(g.t.)(秒):混合開始時刻から、ゲル化の進行に伴い、細いガラスまたは金属製の棒の先端から約2cmまでの部分を、発泡中の混合液上部から差した後、素早く引き抜いた時に混合液が糸を引き始めるまでの時間。
タックフリータイム(t.f.t.)(秒):混合開始時刻から、発泡が進行し、金属製の棒を発泡体上部表面に接触させた際、金属製の棒に発泡体樹脂が付着せず、発泡体上部表面にべたつきがなくなるまでの時間。
【0128】
[密度]
後述の方法で得られた自由発泡フォームのコア部から横、縦および高さ方向へ各150mmのサイズに切り出したものを試料片とした。試料片の密度(単位:kg/m3)をJIS A 9511に準拠した方法で測定した。
【0129】
[熱伝導率]
後述の方法で得られたパネル発泡フォームのコア部を横25mm、縦200mm、高さ200mmに切り出したものを試料片とした。
熱伝導率測定装置(英弘精機社製品名:オートラムダHC-074型)を用いて、上記試験片の熱伝導率(単位:W/m・K)を、JIS A 9511に準拠して、平均温度23℃で測定した。
【0130】
(例1~3)
例1、2は実施例であり、例3は比較例である。
表2に示す配合比率(質量部)で、各原料を混合してポリオールシステム液を調製した。ポリイソシアネートの配合比率は、表2に質量部およびイソシアネートインデックスで示す。
上記ポリオールシステム液およびポリイソシアネートの液温をそれぞれ15℃に調整し、以下に示す手順で自由発泡フォームを製造した。
例1~3で使用した発泡剤は以下の通りである。
例1:1224yd/tDCE=70/30(質量比)の混合液。
例2:1224yd/tDCE=30/70(質量比)の混合液。
例3:tDCE。
【0131】
【0132】
[自由発泡フォームの製造]
表2の1.3倍質量(g)で配合した上記ポリオールシステム液の入った容器に、ポリイソシアネートを表2に示す配合量の1.3倍質量(g)で加え、円盤型形状の撹拌翼を装着した撹拌装置を用いて、毎分3,000回転の回転速度で5秒間撹拌して混合液を調製した。調製直後の混合液を、ポリエチレン製の離型袋を装着した縦、横、高さが各々200mmの木箱に素早く投入し、発泡させて、自由発泡フォームを得た。
【0133】
[パネル発泡フォームの製造]
横50mm、縦400mm、高さ400mmの上部解放し、ポリエチレン製の離型袋を装着し、40℃に調整したアルミ金型容器に、上記同様に調製した混合液を表2の1.5倍質量(g)で配合して、素早く投入し発泡させて、攪拌開始から5分後に脱型した。金型の上部開放部から突出したフォームをカットし、金型に充填するジャストパック質量を計量した。計量した金型容積に充填するジャストパック質量に20質量%の過充填となる量で、同様に混合液を素早く投入し、発泡してきたら上部開放部をアルミ蓋で閉じ、攪拌開始から5分後に脱型し、120%オーバーパックのパネル発泡フォームを得た。
【0134】
[評価]
得られたパネル発泡フォームの物性(密度、熱伝導率)を、上記の評価方法で測定した。また、上記フォームの製造の途中で、反応性(クリームタイム、ゲルタイムおよびタックフリータイム)を上記の方法で測定した。また成型後のフォームにおける変形の有無を観察した。これらの結果を表3に示す。
【0135】
【0136】
表1~3の結果に示されるように、例1、2は、発泡剤の沸点が発泡剤として適度な沸点の範囲内であり、パネル発泡フォームの熱伝導率も適度な範囲内であった。例3ではtDCEの発泡体への溶解力が強く、発泡体成型後にフォームが収縮し、密度および断熱性能が評価できなかった。1224yd/tDCEが適切な組成の範囲内であることが必要である。
【0137】
上述のとおり、本発明に係る発泡剤は、発泡剤として適度な範囲内の沸点を有することから、以下の有利な効果を奏するものと推認できる。第一に、当該発泡剤を含むシステム液は、輸送時や施工時に突沸現象が発生しにくく、発泡時の作業性を向上させることができる。第二に、本発明に係る発泡剤を含むシステム液からは、当該発泡剤が揮発しにくく、システム液の組成が変化しにくいので、該システム液の貯蔵安定性および貯蔵後における該システム液の反応性を良好に維持できる。その結果、所望の断熱性能が得られやすい。第三に、上記沸点は高くとも室温と同程度であるため、本発明に係る発泡剤は、室温よりも高い沸点を有する発泡剤と比較して、室温においても発泡性が良好である。