(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040892
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/346 20210101AFI20220304BHJP
G16H 50/20 20180101ALI20220304BHJP
【FI】
A61B5/04 312A
G16H50/20
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145822
(22)【出願日】2020-08-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(71)【出願人】
【識別番号】514322858
【氏名又は名称】SIMPLEX QUANTUM株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】特許業務法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】藤生 克仁
(72)【発明者】
【氏名】小室 一成
(72)【発明者】
【氏名】荷見 映理子
(72)【発明者】
【氏名】清水 悠
(72)【発明者】
【氏名】三上 芳宏
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 龍
(72)【発明者】
【氏名】白土 稔
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲エイ▼
(72)【発明者】
【氏名】濱田 裕次
【テーマコード(参考)】
4C127
5L099
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127CC06
4C127GG05
4C127GG10
4C127GG13
4C127GG16
4C127GG18
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】心不全ステージの判断において医療従事者の手間を削減できる情報処理システムを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムは、読出ステップと、判断ステップとを実行するように構成される。読出ステップでは、入力された第1心電波形を読み出す。判断ステップでは、第1心電波形と参照情報とに基づいて、心不全ステージを判断する。参照情報とは、第2心電波形と心不全の特徴量との関係を示す情報である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
読出ステップと、判断ステップとを実行するように構成され、
前記読出ステップでは、入力された第1心電波形を読み出し、
前記判断ステップでは、前記第1心電波形と参照情報とに基づいて、心不全ステージを判断し、ここで、前記参照情報とは、第2心電波形と心不全の特徴量との関係を示す情報である、
情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記第1心電波形は、1~50拍から構成される、
情報処理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記第1心電波形は、1つの誘導から構成される、
情報処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記1つの誘導は、ユーザの右手及び左手から取得した第I誘導である、
情報処理システム。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の情報処理システムにおいて、
前記参照情報は、前記第2心電波形から前記心不全の特徴量を学習させた学習済みモデルである、
情報処理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理システムにおいて、
前記学習済みモデルは、前記判断ステップで判断した内容とこれに対応する臨床データとを学習させたものである、
情報処理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理システムにおいて、
前記臨床データは、年齢、性別、BMI、PWTT、血圧、心拍数、SDNN、CVRR、心房細動及びHRVのうちの少なくとも1つを含むデータである、
情報処理システム。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の情報処理システムにおいて、
前処理ステップをさらに実行するように構成され、
前記前処理ステップでは、前記読出ステップで読み出された前記第1心電波形を前処理する、
情報処理システム。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の情報処理システムにおいて、
受付ステップと、視覚情報生成ステップとを、さらに実行するように構成され、
前記受付ステップでは、前記第1心電波形を第1ユーザ端末から受け付け、
前記視覚情報生成ステップでは、前記判断ステップの結果を第2ユーザ端末で視認可能な視覚情報を生成する、
情報処理システム。
【請求項10】
情報処理方法であって、
読出ステップと、判断ステップとを備え、
前記読出ステップでは、入力された第1心電波形を読み出し、
前記判断ステップでは、前記第1心電波形と参照情報とに基づいて、心不全ステージを判断し、ここで、前記参照情報とは、第2心電波形と心不全の特徴量との関係を示す情報である、
情報処理方法。
【請求項11】
プログラムであって、
コンピュータに、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の情報処理システムの各ステップを実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
心電波形、心拍数、心拍変動、心拍間隔及び呼吸周波数をユーザから取得し、これらの情報を解析して心不全であるか否かを判断する心不全検出方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、心不全の重症度(心不全ステージ)までは判断されない。また、ユーザから様々な情報を取得する必要があるため、心不全の判断に手間がかかっていた。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、心不全ステージの判断において医療従事者の手間を削減できる情報処理システムを提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムは、読出ステップと、判断ステップとを実行するように構成される。読出ステップでは、入力された第1心電波形を読み出す。判断ステップでは、第1心電波形と参照情報とに基づいて、心不全ステージを判断する。参照情報とは、第2心電波形と心不全の特徴量との関係を示す情報である。
【0007】
上記の開示によれば、心不全ステージの判断において医療従事者の手間を削減できる情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理システム100の構成を示すブロック図である。
【
図2】情報処理システム100の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】制御部110の情報処理を示すアクティビティ図である。
【
図4】[
図4A]健常者の正規化された心電波形と心不全ステージを示す図である。[
図4B]早期における正規化された心電波形と心不全ステージを示す図である。[
図4C]軽度における正規化された心電波形と心不全ステージを示す図である。[
図4D]中重度における正規化された心電波形と心不全ステージを示す図である。
【
図5】心不全ステージの判断結果の表現方法を示す図である。
【
図6】心不全ステージの判断結果の表現方法を示す図である。
【
図7】心不全ステージの判断結果の表現方法を示す図である。
【
図8】心不全ステージの判断結果の表現方法を示す図である。
【
図9】心不全ステージの判断結果の表現方法を示す図である。
【
図10】心不全ステージの判断結果の表現方法を示す図である。
【
図11】心不全ステージの判断結果の表現方法を示す図である。
【
図12】心不全ステージの判断結果の表現方法を示す図である。
【
図13】心不全ステージの判断結果の表現方法を示す図である。
【
図14】心不全ステージの判断結果の表現方法を示す図である。
【
図15】情報処理システム100の機能構成を示すブロック図である。
【
図16】[
図16A]学習済みモデル122の生成方法を示すアクティビティ図である。[
図16B]制御部110の情報処理を示すアクティビティ図である。
【
図17】情報処理システム100の機能構成を示すブロック図である。
【
図18】制御部110の情報処理を示すアクティビティ図である。
【
図19】情報処理システム100の機能構成を示すブロック図である。
【
図20】制御部110の情報処理を示すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。
【0014】
1.情報処理システム100の構成
図1は、情報処理システム100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、情報処理システム100は、制御部110、記憶部120、表示部130、入力部140及び通信部150を備える。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等であって、情報処理システム100の全体を制御する。記憶部120は、種々のプログラム及びデータを記憶するものであり、例えばメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。
【0015】
また、記憶部120は、制御部110がプログラムに基づき処理を実行する際に用いるデータ等を記憶する。そして、記憶部120に記憶されているプログラムに基づいて制御部110が処理を実行することにより、後述する各種処理が実現される。すなわち、当該プログラムは、コンピュータに、情報処理システム100の各ステップを実行させる。なお、記憶部120に関して、少なくとも一部の情報が記憶部120以外の外部サーバに記憶されていてもよいし、複数の端末にブロックチェーン技術等を用いて分散して記憶されていてもよい。
【0016】
表示部130は、テキスト、画像(静止画及び動画を含む)を表示するものであり、任意のディスプレイにより構成される。入力部140は、情報処理システム100に種々の情報を入力するものであり、マウス、キーボード、ポインティングデバイス等により構成される。通信部150は、NIC(Network Interface Card)等であって、情報処理システム100をネットワークに接続し、有線接続又は無線接続により他の装置又は構成要素とデータ通信可能に構成される。
【0017】
2.情報処理システム100の機能構成
図2は、情報処理システム100の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御部110は、読出部111と、判断部112とを備える。読出部111は、ソフトウェア(記憶部120に記憶されている)による情報処理がハードウェア(制御部110)によって具体的に実現されているものである。読出部111は、読出ステップを実行するように構成される。読出部111は、入力された第1心電波形を読み出す。ここで、第1心電波形とは、ユーザから取得した心電波形を示す。また、第1心電波形を読み出すとは、例えば、通信部150を経由して外部装置から第1心電波形を受信し、当該第1心電波形を読み出すことで記憶部120(例えばRAM)に書き出すこと、予め記憶部120(例えばHDD)に記憶された第1心電波形を、ユーザによる入力部140の操作に応じて読み出し、記憶部120(例えばRAM)に書き出すこと、又は、所定の心電計測端末からクラウドに送信され、サーバの記憶装置(例えばHDD)に保存された第1心電波形について、サーバの制御装置(例えばCPU)がサーバの記憶装置(例えばRAM)に書き出すこと等、を示しうる。もちろんあくまでも例示でありこの限りではない。
【0018】
判断部112は、ソフトウェア(記憶部120に記憶されている)による情報処理がハードウェア(制御部110)によって具体的に実現されているものである。判断部112は、判断ステップを実行するように構成される。判断部112は、第1心電波形と参照情報121とに基づいて、心不全ステージを判断する。参照情報121は、記憶部120(例えばROM)に記憶されている。ここで、参照情報121とは、第2心電波形と心不全の特徴量との関係を示す情報である。参照情報の例として、ルックアップテーブル、関数、数理モデル、学習済みモデル等が挙げられる。もちろんあくまでも例示でありこの限りではない。また、心不全ステージとは、NYHA(New York Heart Association:ニューヨーク心臓協会)が作成し、身体活動による自覚症状の程度により心不全の重症度を4段階に分類したものを示す。さらに、第2心電波形とは、予め取得された心電波形であって、医師によって心不全ステージの判断がなされた心電波形を示す。
【0019】
ここで、判断するとは、例えば、予め記憶部120(例えばROMやHDD)にルックアップテーブルが記憶されており、制御部110が記憶部120から当該ルックアップテーブルを読み出して判断がなされること、予め記憶部120(例えばROMやHDD)に関数が記憶されており、当該関数に対して第1心電波形から得られる特徴量を入力することで判断がなされること、予め記憶部120(例えばROMやHDD)に数理モデルが記憶されており、当該数理モデルに対して第1心電波形から得られる特徴量を入力することで判断がなされること、又は、第2心電波形と心不全の特徴量とを学習させた学習済みモデルに基づいて、当該学習済みモデルに対して第1心電波形から得られる特徴量を入力することで判断がなされること等、を示しうる。もちろんあくまでも例示でありこの限りではない。
【0020】
3.情報処理
図3は、制御部110の情報処理を示すアクティビティ図である。
図3に示すように、読出部111は、入力された第1心電波形を読み出す(A120)。次に、判断部112は、第1心電波形と参照情報とに基づいて、心不全ステージを判断する(A140)。
【0021】
図4A~Dは、心不全ステージの判断結果を示す図である。具体的には、
図4A~Dでは、第1心電波形311,321,331,341が読出部111によって読み出され、読み出された第1心電波形311,321,331,341と参照情報とに基づいて、判断部112によって判断された心不全ステージの判断結果312,322,332,342が表示されている。
【0022】
図4Aに示すように、判断結果312に対応するNYHAは、9つの心拍全てにおいて0を示し、これは健常者の場合を示す。
図4Bに示すように、判断結果322に対応するNYHAは、9つの心拍全てにおいて1を示し、これは心不全ステージが早期の場合を示す。
図4Cに示すように、判断結果332に対応するNYHAは、11の心拍全てにおいて2を示し、これは心不全ステージが軽度の場合を示す。
図4Dに示すように、判断結果342に対応するNYHAは、8つの心拍中、3つ目の心拍は2を示しているが他の7つの心拍は4を示し、4が支配的であるため、これは心不全ステージが中重度の場合を示す。
【0023】
なお、情報処理システム100の表示部130や、後述する第2ユーザ端末220に表示される様々な画面例を、
図5~
図14に例示したので参考にされたい。
図5~
図14に示すような画面例によれば、ユーザは心不全ステージの判断結果を容易に把握できる。
【0024】
以上をまとめると、情報処理方法は、読出ステップと、判断ステップとを実行するように構成される。
読出ステップでは、入力された第1心電波形を読み出す。判断ステップでは、第1心電波形と参照情報とに基づいて、心不全ステージを判断する。参照情報とは、第2心電波形と心不全の特徴量との関係を示す情報である。
【0025】
第1実施形態において、入力された第1心電波形が存在すれば、心不全ステージを自動的に判断することができる。すなわち、ユーザから様々な情報を取得する必要がないため、心不全ステージの判断において、医療従事者の手間を削減することができる。
【0026】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と重複する部分の説明は適宜省略する。
【0027】
第1心電波形は、1~50拍から構成されると好ましい。具体的には例えば、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50拍であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。特に好ましくは1拍である。判断部112は、1~50拍から構成される第1心電波形と参照情報とに基づいて、心不全ステージを判断する。
【0028】
また、第1心電波形は、5~300秒の心拍から構成されると好ましい。具体的には例えば、5,10,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60,65,70,75,80,85,90,95,100,105,110,115,120,125,130,135,140,145,150,155,160,165,170,175,180,185,190,195,200,205,210,215,220,225,230,235,240,245,250,255,260,265,270,275,280,285,290,295,300秒であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。特に好ましくは5秒である。判断部112は、5~300秒の心拍から構成される第1心電波形と参照情報とに基づいて、心不全ステージを判断する。
【0029】
第2実施形態において、1~50拍、そして5~300秒の心拍を表す第1心電波形が存在すれば、心不全ステージを自動的に判断することができる。したがって、第1心電波形を取得する時間を削減することができるため、迅速に心不全ステージを判断することができる。
【0030】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態と重複する部分の説明は適宜省略する。
【0031】
第1心電波形は、1つの誘導から構成されると好ましい。判断部112は、1つの誘導から構成される第1心電波形と参照情報とに基づいて、心不全ステージを判断する。第1心電波形は、通常、四肢誘導6種類と胸部誘導6種類とから構成されるが、1つの誘導とは、これらのいずれか1つの誘導を示す。
【0032】
第3実施形態において、1つの誘導に係る第1心電波形が存在すれば、心不全ステージを自動的に判断することができる。すなわち、ユーザに電極を装着する手間を省くことができるため、医療従事者の手間を削減することができる。
【0033】
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。第4実施形態では、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態と重複する部分の説明は適宜省略する。
【0034】
図15は、情報処理システム100の機能構成を示すブロック図である。
図15に示すように、記憶部120に記憶された参照情報は、第2心電波形から心不全の特徴量を学習させた学習済みモデル122であると好ましい。学習済みモデル122は、例えば、CNN(Convolution Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)等の深層学習や機械学習で、第2心電波形から心不全の特徴量を学習させたものである。
【0035】
図16Aは、学習済みモデル122の生成方法を示すアクティビティ図である。ここでは、機械学習を例に挙げて説明する。
図16Aに示すように、制御部110(例えばCPU)は、記憶部120(例えばHDD)に記憶されている第2心電波形を読み出す(A210)。次に、制御部110(例えばGPU)は、当該第2心電波形について機械学習を行う(A220)。次に、制御部110(例えばGPU)は、出力処理を行う(A230)。ここで、A210からA230を繰り返し行うことで、学習済みモデル122が生成する。
【0036】
ここで、学習済みモデル122は、判断部112で判断した内容とこれに対応する臨床データとを学習させたものである。また、臨床データとは、年齢、性別、BMI(Body Mass Index:ボディマス指数)、PWTT(Pulse Wave Transit Time:脈波伝播時間)、血圧、心拍数、SDNN(Standard Deviation Of The NN Interval:正常心拍間隔の標準偏差)、CVRR(Coefficient Of Variation Of RR Interval:RR間隔変動係数)、心房細動及びHRV(Heart Rate Variability:心拍変動)のうちの少なくとも1つを含むデータである。
【0037】
図16Bは、制御部110の情報処理を示すアクティビティ図である。
図16Bに示すように、読出部111は、入力された第1心電波形を読み出す(A120)。次に、判断部112は、第1心電波形と参照情報とに基づいて、心不全ステージを判断する(A140)。次に、制御部110は、A140で判断した内容とこれに対応する臨床データとを学習済みモデル122に機械学習させる(A150)。
【0038】
第4実施形態において、参照情報として学習済みモデル122を使用することにより、判断部112で判断した内容とこれに対応する臨床データとをさらに学習させることで、高い確度で心不全ステージを判断することができる。
【0039】
<第5実施形態>
第5実施形態について説明する。第5実施形態では、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態と重複する部分の説明は適宜省略する。
【0040】
図17は、情報処理システム100の機能構成を示すブロック図である。
図17に示すように、制御部110は、前処理部113をさらに備えると好ましい。前処理部113は、ソフトウェア(記憶部120に記憶されている)による情報処理がハードウェア(制御部110)によって具体的に実現されているものである。前処理部113は、前処理ステップを実行するように構成される。前処理部113は、読出部111で読み出された第1心電波形を前処理する。ここで、前処理するとは、例えば、第1心電波形におけるノイズを除去するために必要な所定パラメータが予め記憶部120(例えばROMやHDD)に記憶されており、制御部110が記憶部120から第1心電波形と当該所定パラメータとを読み出して処理がなされることを示しうる。前処理として、例えば、トレンド除去、運動アーチファクト除去、ノイズ除去、心拍ごとの波形切り出し、正規化が挙げられる。なお、これらを互いに組み合わせて前処理をしてもよい。
【0041】
図18は、制御部110の情報処理を示すアクティビティ図である。
図18に示すように、読出部111は、入力された第1心電波形を読み出す(A120)。次に、前処理部113は、第1心電波形を前処理する(A130)。次に、判断部112は、前処理された第1心電波形と参照情報とに基づいて、心不全ステージを判断する(A140)。
【0042】
第5実施形態において、心不全ステージを判断しやすいように第1心電波形を前処理することにより、高い確度で心不全ステージを判断することができる。
【0043】
<第6実施形態>
第6実施形態について説明する。第6実施形態では、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態及び第5実施形態と重複する部分の説明は適宜省略する。
【0044】
1つの誘導は、ユーザの右手及び左手から取得した第I誘導であると好ましい。ここで、第I誘導とは、ユーザの右手及び左手から取得した誘導であって、心臓における左室の側壁を見る誘導を示す。
【0045】
第6実施形態において、第I誘導に係る第1心電波形が存在すれば、心不全ステージを自動的に判断することができる。すなわち、電極の装着箇所がユーザの右手と左手だけなので、ユーザに電極を装着する手間を省くことができるため、医療従事者の手間を削減することができる。
【0046】
<第7実施形態>
第7実施形態について説明する。第8実施形態では、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態及び第6実施形態と重複する部分の説明は適宜省略する。
【0047】
図19は、情報処理システム100の機能構成を示すブロック図である。
図19に示すように、制御部110は、受付部115と、視覚情報生成部116とを、さらに備えると好ましい。受付部115は、ソフトウェア(記憶部120に記憶されている)による情報処理がハードウェア(制御部110)によって具体的に実現されているものである。受付部115は、受付ステップを実行するように構成される。受付部115は、第1心電波形を第1ユーザ端末210から受け付ける。第1ユーザ端末210は、例えば、簡易心電計、ウェアラブル端末、12誘導心電計、ベッドサイドモニター、ホルター心電計であってもよい。ここで、受け付けるとは、例えば、第1ユーザ端末210で取得した第1心電波形を、通信部150を経由して受信することを示しうる。
【0048】
視覚情報生成部116は、ソフトウェア(記憶部120に記憶されている)による情報処理がハードウェア(制御部110)によって具体的に実現されているものである。視覚情報生成部116は、視覚情報生成ステップを実行するように構成される。視覚情報生成部116は、判断部112の結果を第2ユーザ端末220で視認可能な視覚情報を生成する。第2ユーザ端末220は、例えば、パソコン、スマートフォン、タブレットであってもよい。ここで、視覚情報を生成するとは、例えば、記憶部120(例えばRAMやHDD)に記憶されている心不全ステージの判断結果について、第2ユーザ端末220に表示させる際における画面、画像、レンダリング情報等の視覚情報を生成することを示しうる。なお、第1ユーザ端末210と第2ユーザ端末220とは、同一の端末であってもよい。
【0049】
図20は、制御部110の情報処理を示すアクティビティ図である。
図20に示すように、受付部115は、第1心電波形を第1ユーザ端末210から受け付ける(A110)。次に、読出部111は、入力された第1心電波形を読み出す(A120)。次に、判断部112は、第1心電波形と参照情報とに基づいて、心不全ステージを判断する(A140)。次に、視覚情報生成部116は、A140で判断した結果について、第2ユーザ端末220で視認可能な視覚情報を生成する(A170)。
【0050】
第7実施形態において、ユーザは、自身の第2ユーザ端末220で心不全ステージを確認することができるため、時間や場所に拘束されることなく自身の体調を気にかけることができる。すなわち、ユーザに対して心不全に対する意識付けを図ることができる。
【0051】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記情報処理システムにおいて、前記第1心電波形は、1~50拍から構成される、情報処理システム。
前記情報処理システムにおいて、前記第1心電波形は、1つの誘導から構成される、情報処理システム。
前記情報処理システムにおいて、前記1つの誘導は、ユーザの右手及び左手から取得した第I誘導である、情報処理システム。
前記情報処理システムにおいて、前記参照情報は、前記第2心電波形から前記心不全の特徴量を学習させた学習済みモデルである、情報処理システム。
前記情報処理システムにおいて、前記学習済みモデルは、前記判断ステップで判断した内容とこれに対応する臨床データとを学習させたものである、情報処理システム。
前記情報処理システムにおいて、前記臨床データは、年齢、性別、BMI、PWTT、血圧、心拍数、SDNN、CVRR、心房細動及びHRVのうちの少なくとも1つを含むデータである、情報処理システム。
前記情報処理システムにおいて、前処理ステップをさらに実行するように構成され、前記前処理ステップでは、前記読出ステップで読み出された前記第1心電波形を前処理する、情報処理システム。
前記情報処理システムにおいて、受付ステップと、視覚情報生成ステップとを、さらに実行するように構成され、前記受付ステップでは、前記第1心電波形を第1ユーザ端末から受け付け、前記視覚情報生成ステップでは、前記判断ステップの結果を第2ユーザ端末で視認可能な視覚情報を生成する、情報処理システム。
情報処理方法であって、読出ステップと、判断ステップとを備え、前記読出ステップでは、入力された第1心電波形を読み出し、前記判断ステップでは、前記第1心電波形と参照情報とに基づいて、心不全ステージを判断し、ここで、前記参照情報とは、第2心電波形と心不全の特徴量との関係を示す情報である、情報処理方法。
プログラムであって、コンピュータに、前記情報処理システムの各ステップを実行させるための、プログラム。
もちろん、この限りではない。
【符号の説明】
【0052】
100 :情報処理システム
110 :制御部
111 :読出部
112 :判断部
113 :前処理部
115 :受付部
116 :視覚情報生成部
120 :記憶部
121 :参照情報
122 :モデル
130 :表示部
140 :入力部
150 :通信部
210 :第1ユーザ端末
220 :第2ユーザ端末
311 :第1心電波形
312 :判断結果
321 :第1心電波形
322 :判断結果
331 :第1心電波形
332 :判断結果
341 :第1心電波形
342 :判断結果
【手続補正書】
【提出日】2021-01-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
読出ステップと、判断ステップとを実行するように構成され、
前記読出ステップでは、入力された、ユーザの心電波形を含む第1心電波形を読み出し、
前記判断ステップでは、前記第1心電波形と参照情報とに基づいて、前記ユーザの心不全ステージを判断し、ここで、前記参照情報とは、前記ユーザとは異なる複数のサンプルの心電波形を含む第2心電波形と、心不全の特徴量との関係を示す情報であり、
前記第1心電波形は、1つの誘導から構成される、
情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記1つの誘導は、ユーザの右手及び左手から取得した第I誘導である、
情報処理システム。
【請求項3】
情報処理システムであって、
読出ステップと、判断ステップとを実行するように構成され、
前記読出ステップでは、入力された、ユーザの心電波形を含む第1心電波形を読み出し、
前記判断ステップでは、前記第1心電波形と参照情報とに基づいて、前記ユーザの心不全ステージを判断し、ここで、前記参照情報とは、前記ユーザとは異なる複数のサンプルの心電波形を含む第2心電波形と心不全の特徴量との関係を示す情報であり、
前記参照情報は、前記第2心電波形から前記心不全の特徴量を学習させた学習済みモデルである、
情報処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記学習済みモデルは、前記判断ステップで判断した内容とこれに対応する臨床データとを学習させたものである、
情報処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理システムにおいて、
前記臨床データは、年齢、性別、BMI、PWTT、血圧、心拍数、SDNN、CVRR、心房細動及びHRVのうちの少なくとも1つを含むデータである、
情報処理システム。
【請求項6】
情報処理システムであって、
読出ステップと、判断ステップと、前処理ステップとを実行するように構成され、
前記読出ステップでは、入力された、ユーザの心電波形を含む第1心電波形を読み出し、
前記判断ステップでは、前記第1心電波形と参照情報とに基づいて、前記ユーザの心不全ステージを判断し、ここで、前記参照情報とは、前記ユーザとは異なる複数のサンプルの心電波形を含む第2心電波形と、心不全の特徴量との関係を示す情報であり、
前記前処理ステップでは、前記読出ステップで読み出された前記第1心電波形を前処理し、ここで、前記前処理とは、前記第1心電波形におけるノイズを除去する処理である、
情報処理システム。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の情報処理システムにおいて、
前記第1心電波形は、1~50拍から構成される、
情報処理システム。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の情報処理システムにおいて、
受付ステップと、視覚情報生成ステップとを、さらに実行するように構成され、
前記受付ステップでは、前記第1心電波形を第1ユーザ端末から受け付け、
前記視覚情報生成ステップでは、前記判断ステップの結果を第2ユーザ端末で視認可能な視覚情報を生成する、
情報処理システム。
【請求項9】
プログラムであって、
コンピュータに、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の情報処理システムの各ステップを実行させるための、
プログラム。
【手続補正書】
【提出日】2021-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
読出ステップと、判断ステップとを実行するように構成され、
前記読出ステップでは、入力された、ユーザの心電波形を含む第1心電波形を読み出し、
前記判断ステップでは、前記第1心電波形と参照情報とに基づいて、前記ユーザの心不全ステージを判断し、ここで、前記参照情報とは、予め取得され、医師によって心不全ステージの判断がなされた心電波形を含む第2心電波形と、心不全の特徴量との関係を示す情報であり、
前記第1心電波形は、1つの誘導から構成される、
情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記1つの誘導は、ユーザの右手及び左手から取得した第I誘導である、
情報処理システム。
【請求項3】
情報処理システムであって、
読出ステップと、判断ステップとを実行するように構成され、
前記読出ステップでは、入力された、ユーザの心電波形を含む第1心電波形を読み出し、
前記判断ステップでは、前記第1心電波形と参照情報とに基づいて、前記ユーザの心不全ステージを判断し、ここで、前記参照情報とは、予め取得され、医師によって心不全ステージの判断がなされた心電波形を含む第2心電波形と、心不全の特徴量との関係を示す情報であり、
前記参照情報は、前記第2心電波形から前記心不全の特徴量を学習させた学習済みモデルである、
情報処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記学習済みモデルは、前記判断ステップで判断した内容とこれに対応する臨床データとを学習させたものである、
情報処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理システムにおいて、
前記臨床データは、年齢、性別、BMI、PWTT、血圧、心拍数、SDNN、CVRR、心房細動及びHRVのうちの少なくとも1つを含むデータである、
情報処理システム。
【請求項6】
情報処理システムであって、
読出ステップと、判断ステップと、前処理ステップとを実行するように構成され、
前記読出ステップでは、入力された、ユーザの心電波形を含む第1心電波形を読み出し、
前記判断ステップでは、前記第1心電波形と参照情報とに基づいて、前記ユーザの心不全ステージを判断し、ここで、前記参照情報とは、予め取得され、医師によって心不全ステージの判断がなされた心電波形を含む第2心電波形と、心不全の特徴量との関係を示す情報であり、
前記前処理ステップでは、前記読出ステップで読み出された前記第1心電波形を前処理し、ここで、前記前処理とは、前記第1心電波形におけるノイズを除去する処理である、
情報処理システム。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の情報処理システムにおいて、
前記第1心電波形は、1~50拍から構成される、
情報処理システム。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の情報処理システムにおいて、
受付ステップと、視覚情報生成ステップとを、さらに実行するように構成され、
前記受付ステップでは、前記第1心電波形を第1ユーザ端末から受け付け、
前記視覚情報生成ステップでは、前記判断ステップの結果を第2ユーザ端末で視認可能な視覚情報を生成する、
情報処理システム。
【請求項9】
プログラムであって、
コンピュータに、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の情報処理システムの各ステップを実行させるための、
プログラム。
【手続補正書】
【提出日】2021-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
読出ステップと、判断ステップとを実行するように構成され、
前記読出ステップでは、入力された、ユーザの心電波形を含む第1心電波形を読み出し、
前記判断ステップでは、前記第1心電波形と参照情報とに基づいて、前記ユーザの心不全ステージを判断し、ここで、前記参照情報とは、予め取得され、医師によって心不全ステージの判断がなされた心電波形を含む第2心電波形と、心不全の特徴量との関係を示す情報であり、
前記参照情報は、前記第2心電波形から前記心不全の特徴量を学習させた学習済みモデルであり、
前記学習済みモデルは、前記判断ステップで判断した内容とこれに対応する臨床データとを学習させたものである、
情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記臨床データは、年齢、性別、BMI、PWTT、血圧、心拍数、SDNN、CVRR、心房細動及びHRVのうちの少なくとも1つを含むデータである、
情報処理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記第1心電波形は、1つの誘導から構成される、
情報処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記1つの誘導は、ユーザの右手及び左手から取得した第I誘導である、
情報処理システム。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の情報処理システムにおいて、
前処理ステップ実行するように構成され、
前記前処理ステップでは、前記読出ステップで読み出された前記第1心電波形を前処理し、ここで、前記前処理とは、前記第1心電波形におけるノイズを除去する処理である、
情報処理システム。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の情報処理システムにおいて、
前記第1心電波形は、1~50拍から構成される、
情報処理システム。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の情報処理システムにおいて、
受付ステップと、視覚情報生成ステップとを、さらに実行するように構成され、
前記受付ステップでは、前記第1心電波形を第1ユーザ端末から受け付け、
前記視覚情報生成ステップでは、前記判断ステップの結果を第2ユーザ端末で視認可能な視覚情報を生成する、
情報処理システム。
【請求項8】
プログラムであって、
コンピュータに、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の情報処理システムの各ステップを実行させるための、
プログラム。