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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040926
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】筒状容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/02 20060101AFI20220304BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20220304BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B65D77/02 B
B65D30/16 Z
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145879
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】吉田 美帆子
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 一志
(72)【発明者】
【氏名】小野 松太郎
(72)【発明者】
【氏名】森城 友弥
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 豊明
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
3E086
【Fターム(参考)】
3E064AD03
3E064BA17
3E064BA21
3E064BA24
3E064BA54
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064EA05
3E064FA01
3E064FA04
3E067AA03
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB81
3E067AB83
3E067BA14A
3E067BB12A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BB26A
3E067BC03A
3E067CA06
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD07
3E086AB01
3E086AD03
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA15
3E086BB01
3E086BB05
3E086CA01
3E086CA28
3E086CA35
(57)【要約】
【課題】胴部フィルムの端部を美しく補強することが可能な筒状容器を提供する。
【解決手段】筒状の胴部フィルム12dから形成された筒状部材12と、筒状部材12の少なくとも一方の端部12a,12cに接合された端面部材11,13と、を備える筒状容器10であって、端面部材11,13は、端面フィルム11a,13aから形成されており、端面部材11,13の外周部11b,13bは、筒状部材12の内面および筒状部材12の外面に対し、端面フィルム11a,13aと胴部フィルム12dとの間で接合されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の胴部フィルムから形成された筒状部材と、
前記筒状部材の少なくとも一方の端部に接合された端面部材と、を備え、
前記端面部材は、端面フィルムから形成されており、
前記端面部材の外周部は、前記筒状部材の内面および前記筒状部材の外面に対し、前記端面フィルムと前記胴部フィルムとの間で接合されていることを特徴とする筒状容器。
【請求項2】
前記端面部材の外周部は、前記筒状部材の内面に沿って屈曲された第1外周領域と、前記第1外周領域から前記筒状部材の端部を覆うように延びる第2外周領域と、前記第2外周領域から前記筒状部材の外面に沿って延びる第3外周領域と、を有し、
前記筒状部材の内面と前記第1外周領域との間に第1環状接合部を有し、前記筒状部材の外面と前記第3外周領域との間に第2環状接合部を有することを特徴とする請求項1に記載の筒状容器。
【請求項3】
前記筒状部材が円筒状であり、前記第1環状接合部および前記第2環状接合部が、それぞれ前記筒状部材の周方向で円環状に連続していることを特徴とする請求項2に記載の筒状容器。
【請求項4】
前記端面フィルムが可撓性を有し、前記第1外周領域から前記第2外周領域を経て前記第3外周領域までの間で、前記端面部材の外周部が、前記端面フィルムの折り曲げにより形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の筒状容器。
【請求項5】
前記胴部フィルムは、厚さ方向の両面にシーラント層を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の筒状容器。
【請求項6】
前記胴部フィルムは、前記筒状部材の周方向に第1側端部および第2側端部を有し、前記第1側端部の内面と前記第2側端部の外面とを重ね合わせて接合されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の筒状容器。
【請求項7】
前記胴部フィルムおよび前記端面フィルムが、積層フィルムの中間層としてアルミニウム箔を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の筒状容器。
【請求項8】
前記端面部材が、前記筒状部材の上端部に接合された天面部材と、前記筒状部材の下端部に接合された底面部材と、を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の筒状容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、円筒状の積層フィルムから構成された筒状部材と、天面部に設けられた天面部材と、底面部に設けられた底面部材とを備え、自立性を有する筒状容器が記載されている。
【0003】
特許文献2には、サイドシール部から上部シール部にわたる周縁部に補強部材を取り付けて、補強部材の上端部をスパウトに固着したスタンディングパウチが記載されている。
特許文献3には、サイドシール部と上辺シール部とに沿ってシール部の端面を覆うように接合された補強部材が、袋本体の開口部の左右両端から離れた位置に延在したスタンディングパウチが記載されている。
【0004】
特許文献4には、積層フィルムから形成された円筒状の収容筒の開放端に補強リングを取り付け、この補強リングに対して、合成樹脂製板材からなる天板部材の側周壁を嵌入して固定したカートリッジが記載されている。
特許文献5には、軟質フィルムからなる円筒状の本体部と、本体部の上端外周部に設けたリング部材と、リング部材に内側から嵌合する嵌合筒部を有する蓋部材とを備えた軟質容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-1715号公報
【特許文献2】特許第5000168号公報
【特許文献3】特許第5202814号公報
【特許文献4】特開2013-56692号公報
【特許文献5】特開2007-269385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のように、胴部を形成するフィルムの端部と天面または底面のフィルムの端部とをシールするだけでは、フィルムの端部の位置がずれると見た目が良くないこと、フィルムの端部を切り揃えると工程が増加すること、フィルムの端部の強度が低いこと等のため、改善の余地がある。特許文献2、3に記載のように、樹脂の射出成形により端部を覆う構造や、特許文献4、5に記載のように、胴部を補強するリングと成形品の蓋との間で嵌合する構造は、工程や材料が増加して高コストになる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、胴部フィルムの端部を美しく補強することが可能な筒状容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、筒状の胴部フィルムから形成された筒状部材と、前記筒状部材の少なくとも一方の端部に接合された端面部材と、を備え、前記端面部材は、端面フィルムから形成されており、前記端面部材の外周部は、前記筒状部材の内面および前記筒状部材の外面に対し、前記端面フィルムと前記胴部フィルムとの間で接合されていることを特徴とする筒状容器を提供する。
【0009】
前記端面部材の外周部は、前記筒状部材の内面に沿って屈曲された第1外周領域と、前記第1外周領域から前記筒状部材の端部を覆うように延びる第2外周領域と、前記第2外周領域から前記筒状部材の外面に沿って延びる第3外周領域と、を有し、前記筒状部材の内面と前記第1外周領域との間に第1環状接合部を有し、前記筒状部材の外面と前記第3外周領域との間に第2環状接合部を有することを特徴とする筒状容器を提供する。
【0010】
前記筒状部材が円筒状であり、前記第1環状接合部および前記第2環状接合部が、それぞれ前記筒状部材の周方向で円環状に連続していてもよい。
前記端面フィルムが可撓性を有し、前記第1外周領域から前記第2外周領域を経て前記第3外周領域までの間で、前記端面部材の外周部が、前記端面フィルムの折り曲げにより形成されていてもよい。
【0011】
前記胴部フィルムは、厚さ方向の両面にシーラント層を有してもよい。
前記胴部フィルムは、前記筒状部材の周方向に第1側端部および第2側端部を有し、前記第1側端部の内面と前記第2側端部の外面とを重ね合わせて接合されていてもよい。
前記胴部フィルムおよび前記端面フィルムが、積層フィルムの中間層としてアルミニウム箔を有してもよい。
前記端面部材が、前記筒状部材の上端部に接合された天面部材と、前記筒状部材の下端部に接合された底面部材と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、端面部材の外周部を筒状部材の内面および外面に接合することにより、胴部フィルムの端部を美しく補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の筒状容器の斜視図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図1のIII-III線に沿った断面図である。
図4】環状接合部におけるフィルムの層構成を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。図1に実施形態の筒状容器10を例示する。図2に、図1のII-II線に沿った断面図を示す。図3に、図1のIII-III線に沿った断面図を示す。
【0015】
筒状容器10は、第1端面フィルム11aから形成された第1端面部材11と、筒状の胴部フィルム12dから形成された筒状部材12と、第2端面フィルム13aから形成された第2端面部材13とを備えている。以下の説明では、第1端面部材11および第2端面部材13を総称して、端面部材11,13という場合がある。
【0016】
筒状容器10は、第1端面フィルム11aと、胴部フィルム12dと、第2端面フィルム13aとをそれぞれ1枚ずつ組み合わせた3パーツから構成することができる。実施形態の筒状容器10の場合、筒状部材12は円筒状であり、端面部材11,13は略円形である。以下の説明では、第1端面フィルム11aおよび第2端面フィルム13aを総称して、端面フィルム11a,13aという場合がある。
【0017】
端面部材11,13の形状は、円形に限らず、楕円形、長円形、卵形、多角形等でもよい。平面形状の多角形としては、例えば三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形等が挙げられる。端面部材11,13の形状が多角形である場合は、角に丸みを持たせると、胴部フィルム12dを多角柱状にした筒状部材12の角部に対して、多角形状にした端面フィルム11a,13aの丸みを帯びた角部の位置合わせが容易になる。
【0018】
端面部材11,13の平面形状および筒状部材12の水平断面形状は、端面部材11,13の平面形状に応じて、適宜設定することができる。例えば、端面部材11,13が多角形状の場合は、筒状部材12も多角柱状となる。この場合は、端面部材11,13の形状が、角に丸みを持たせた多角形状であるのと同様に、筒状部材12の水平断面形状も、角に丸みを持たせた多角形状とすることが好ましい。端面部材11,13の平面形状および筒状部材12の水平断面形状が、それぞれ、筒状部材12の周方向に連続して、丸みを帯びた形状(角を有しない形状)であってもよい。前記丸みを帯びた形状としては、円形、楕円形、長円形、卵形、角に丸みを持たせた多角形などが挙げられる。丸みを帯びた形状における曲率半径は、例えば、1mm以上あるいは3mm以上であり、筒状部材12の直径(数値の具体例は後述)の半分(半径)程度またはそれ以下でもよい。丸みを帯びた多角形の辺に直線部分(曲率半径は∞)を含んでもよい。前記丸みを帯びた形状が、直線部分を含まず、全周にわたり丸みを帯びた形状でもよい。
【0019】
端面部材11,13の平面形状が合同(同一形状および同一寸法)である場合に限らず、例えば、第1端面部材11の平面形状が小で、第2端面部材13の平面形状が大となるような順テーパを有してもよく、第1端面部材11の平面形状が大で、第2端面部材13の平面形状が小となるような逆テーパを有してもよい。端面部材11,13の平面形状が互いに相似形でもよく、又は、互いに異種の形状としてもよい。
【0020】
筒状容器10は、自立性を有することができる。ここで、筒状容器10の自立性とは、少なくとも内容物を充填した状態で自立が可能な性質である。さらには、内容物を充填していない状態でも筒状容器10の自立が可能であることが好ましい。筒状部材12は、軸方向の両端部として、上端部12aおよび下端部12cを有する。第1端面部材11は、筒状部材12の上端部12aに接合された天面部材である。第2端面部材13は、筒状部材12の下端部12cに接合された底面部材である。第1端面部材11が天面部材である場合は、自立時に上面となる。第2端面部材13が底面部材である場合は、自立時に下面となる。以下の説明では、上端部12aおよび下端部12cを総称して、端部12a,12cという場合がある。
【0021】
筒状容器10は、筒状部材12の端部12a,12cが上端部12aおよび下端部12cである場合に限定されるものではなく、筒状容器10を横置き等、上下方向とは異なる向きに用いてもよい。例えば、端面部材11,13の一方に注出口、取出口等の口部を有する場合は、口部を手前側に置いてもよい。
【0022】
端面部材11,13の外周部11b,13bは、筒状部材12の内面に沿って屈曲された第1外周領域14と、第1外周領域14から筒状部材12の端部12a,12cを覆うように延びる第2外周領域15と、第2外周領域15から筒状部材12の外面に沿って延びる第3外周領域16とを有する。端面部材11,13の外周部11b,13bが筒状部材12の端部12a,12cに接合されることにより、筒状部材12の周方向に沿って環状となった環状接合部17が形成される。
【0023】
端面フィルム11a,13aの可撓性を利用して、第1外周領域14から第2外周領域15を経て第3外周領域16までの間で、端面部材11,13の外周部11b,13bが、端面フィルム11a,13aの折り曲げにより形成されていてもよい。端面フィルム11a,13aの折り曲げは、第1外周領域14と第2外周領域15との間および第2外周領域15と第3外周領域16との間に折り線を形成してもよい。第1外周領域14と第2外周領域15との間または第2外周領域15と第3外周領域16との間に明瞭な折り線を形成することなく、外周部11b,13bの断面形状が湾曲するように、徐々に端面フィルム11a,13aを折り曲げてもよい。
【0024】
筒状部材12の内面と第1外周領域14との間が接合されることにより、第1環状接合部17aが形成されている。さらに、筒状部材12の外面と第3外周領域16との間が接合されることにより、第2環状接合部17bが形成されている。環状接合部17が、少なくとも、第1環状接合部17aおよび第2環状接合部17bを含むことにより、端面部材11,13と筒状部材12との接合強度を向上するとともに、筒状部材12の端部12a,12cを補強することができる。
【0025】
筒状部材12の外面と第3外周領域16との間の重なり幅は、例えば3mm以上10mm以上としてもよい。また、筒状部材12の内面と第1外周領域14との間の重なり幅は、例えば3mm以上10mm以上としてもよい。重なり幅の少なくとも一部または全部において、筒状部材12と端面部材11,13との接合幅が設定される。第1環状接合部17aにおいて、筒状部材12の内面と第1外周領域14との間の接合幅は、例えば、1mm以上としてもよい。第2環状接合部17bにおいて、筒状部材12の外面と第3外周領域16との間の接合幅は、例えば、1mm以上としてもよい。重なり幅およびシール幅は、筒状部材12の周方向に交差する方向、例えば、筒状部材12の軸方向に沿った寸法である。
【0026】
第1環状接合部17aは、筒状部材12の周方向に連続した接合部であることが好ましい。同様に、第2環状接合部17bは、筒状部材12の周方向に連続した接合部であることが好ましい。さらに環状接合部17は、筒状部材12と第2外周領域15との間に第3の接合部を含んでもよい。環状接合部17では、胴部フィルム12dと端面フィルム11a,13aとの間で、筒状部材12と端面部材11,13とが接合されている。図示例の筒状容器10では、筒状部材12の両端部12a,12cにそれぞれ端面部材11,13を接合した環状接合部17が、いずれも第1環状接合部17aおよび第2環状接合部17bを有している。
【0027】
環状接合部17を形成する方法は特に限定されないが、筒状部材12の端部12a,12cと接合する前に、端面部材11,13の外周部11b,13bを屈曲させて、第2外周領域15を介して第1外周領域14と第3外周領域16とが対向する形状とすることが好ましい。第1外周領域14と第3外周領域16との間に筒状部材12の端部12a,12cを挟み込んだ後、加熱等を用いて端面フィルム11a,13aと胴部フィルム12dとを接合することにより、環状接合部17を容易に形成することができる。
【0028】
環状接合部17を形成する他の方法としては、端面部材11,13の外周部11b,13bを屈曲させて、第1外周領域14を形成した後、筒状部材12の端部12a,12cと接合して第1環状接合部17aを形成してもよい。第1環状接合部17aが形成された状態から端面部材11,13の外周部11b,13bを屈曲させて、第2外周領域15および第3外周領域16を形成した後、筒状部材12の端部12a,12cと接合して第2環状接合部17bを形成することも可能である。
【0029】
第2外周領域15は、筒状部材12の端部12a,12cにおける厚さに応じて、筒状部材12の軸方向に垂直な面内で略平坦にされていてもよく、筒状部材12の軸方向に向けて丸みを有してもよい。第2外周領域15における端面フィルム11a,13aの内面と筒状部材12の端部12a,12cとが接触していても離れていてもよい。端面フィルム11a,13aの内面においてシーラント層等の樹脂層が溶融し、筒状部材12の端部12a,12cを封止していることが好ましい。
【0030】
筒状部材12は、チューブ状に継ぎ目なく連続したフィルムから形成してもよい。胴部フィルム12dの可撓性を利用して、シート状の胴部フィルム12dを折り曲げ、または丸めて筒状に形成した後、筒状部材12の周方向の両端部を接合してもよい。図3に示す筒状部材12では、胴部フィルム12dが、筒状部材12の周方向に第1側端部12eおよび第2側端部12fを有する。側端接合部12bは、第1側端部12eの内面と第2側端部12fの外面とを重ね合わせて接合することにより形成されている。
【0031】
側端接合部12bで胴部フィルム12dを重ね合わせると、側端接合部12bの厚さは胴部フィルム12dの厚さの約2倍となるが、第2外周領域15の幅を適宜調整すること等により、側端接合部12b上を含めて環状接合部17を形成することができる。筒状部材12が側端接合部12bを有する場合、環状接合部17においては、第2側端部12fの内面が第1外周領域14に接合され、第1側端部12eの外面が第3外周領域16に接合される。
【0032】
筒状部材12の直径は、例えば、5~250mmの範囲内で、10~200mmの範囲内が好ましい。ここで、筒状部材12が角筒状である場合の直径とは、互いに対向する頂点と頂点、辺と辺、又は頂点と辺との距離であり、これらが2以上ある場合は、最小値および最大値が上記範囲内であることが好ましい。筒状部材12の直径は、特に限定されないが、例えば、20mm、50mm、100mm、150mm等でもよい。
【0033】
筒状容器10に収容される内容物の性状は、液体、固体、粉体、粒体、これらの2種以上の混合物など任意である。内容物の種類としては、特に限定されず、飲料品、食料品、調味料、化粧品、医薬品、洗剤、接着剤、家庭用品、工業製品などが挙げられる。筒状容器を構成する各部材(筒状部材12や端面部材11,13、注出口等)には、酸素吸収機能、匂い吸収機能、非吸着機能など、1又は2以上の機能性を付与してもよい。筒状部材12、端面部材11,13、注出口等は、少なくとも1以上の印刷柄を有してもよい。筒状容器10は、注出口、蓋、ストロー、取っ手等の付属物を備えてもよい。
【0034】
胴部フィルム12dまたは端面フィルム11a,13aを形成するフィルムは、単層の樹脂フィルムでもよく、2層以上を有する積層フィルムでもよく、無機フィルムでもよい。積層フィルムは、多層の樹脂フィルムでもよく、異種材料を積層した樹脂フィルムでもよい。樹脂フィルムに積層する異種材料としては、金属箔、金属蒸着層、紙、セロファン、無機化合物等が挙げられる。無機化合物としては、シリカ、アルミナ等の金属酸化物等が挙げられる。金属箔を用いた場合、バリア性が良好である。バリア性、剛性等の観点から、積層フィルムがアルミニウム箔等の金属箔を含んでもよい。
【0035】
胴部フィルム12dまたは端面フィルム11a,13aの構成(材質、厚さ、層構成等)がそれぞれ異なってもよく、互いに同一であってもよい。前記積層フィルムは、例えばシーラント層、バリア層、基材層等を有してもよい。また、前記積層フィルムが、上述の酸素吸収機能、匂い吸収機能、非吸着機能など、1又は2以上の機能性を有する機能性層を有してもよい。前記積層フィルムの各層を積層する方法としては、特に限定されないが、ドライラミネート法、押出ラミネート法、共押出法等が挙げられる。各層の間には、接着剤、接着性樹脂、アンカー剤等からなる接着層を設けてもよい。
【0036】
筒状部材12または端面部材11,13に印刷柄を設ける場合は、胴部フィルム12dまたは端面フィルム11a,13aを形成する前記積層フィルムの外側の方に印刷層を配置することが好ましい。筒状部材12または端面部材11,13に機能性を付与する場合は、胴部フィルム12dまたは端面フィルム11a,13aを形成する前記積層フィルムの内側の方に機能性層を配置することが好ましい。例えば、天面の第1端面フィルム11aに印刷柄と機能性とを付与する場合は、印刷層の内側に機能性層を配置してもよい。
【0037】
前記シーラント層を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)等の環状オレフィン系樹脂、接着性樹脂、コーティング剤などの少なくとも1種以上が挙げられる。胴部フィルム12dは、厚さ方向の両面にシーラント層を有することが好ましい。端面フィルム11a,13aは、厚さ方向で少なくとも胴部フィルム12dと対向する側の面にシーラント層を有することが好ましい。単層のフィルムがシーラント層から形成される場合も、厚さ方向の両面でヒートシールが可能である。
【0038】
胴部フィルム12dまたは端面フィルム11a,13aのバリア層としては、アルミニウム箔等の金属箔、又はアルミニウム蒸着フィルム等の金属蒸着フィルムが好ましい。アルミニウム箔等の金属箔の厚さは、7~200μmの範囲が好ましく、9~150μmがより好ましく、12~120μmが更に好ましく、15~100μmが特に好ましい。環状接合部17を有する端面フィルム11a,13aにおいて、厚みのあるアルミニウム箔等をバリア層とすることにより、金属層の塑性変形により樹脂層の弾性的な復元力が抑制される。これにより、環状接合部17において、端面部材11,13の外周部11b,13bが屈曲した形状が安定しやすくなる。
【0039】
前記積層フィルムに使用できるアルミニウム箔等の金属箔の厚さの具体例としては、7μm、8μm、9μm、10μm、12μm、13μm、15μm、17μm、20μm、25μm、30μm、40μm、60μm、80μm、100μm、120μm、150μm、200μm、またはこれらの中間の値が挙げられる。胴部フィルム12dに使用されるバリア層と端面フィルム11a,13aに使用されるバリア層の厚さ、材質等がそれぞれ異なってもよく、互いに同一であってもよい。
【0040】
基材層を構成する材料としては、特に限定されないが、ナイロン(脂肪族ポリアミド)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、延伸ポリプロピレン等の樹脂フィルムが好ましい。基材層の厚さとしては、例えば5~50μmであり、より好ましくは7~30μmである。
【0041】
酸素吸収機能を有する機能性層(酸素吸収層)は、例えば、共役ジエン重合体、遷移金属化合物等の酸素吸収剤を含有する樹脂層から形成してもよい。
匂い吸収機能を有する機能性層(匂い吸収層、消臭層等)は、例えば、匂い吸収剤を含有する樹脂層または紙層から形成してもよい。匂い吸収剤としては、アンモニア、アミン類、硫化水素、メルカプタン類、塩素化合物、アルデヒドなどの臭気成分を分解または吸収する消臭剤、臭気成分に対する感覚を緩和する香料や芳香剤などが挙げられる。臭気分解剤としては、目的の臭気成分ごとに適宜の薬剤を用いてもよい。臭気吸着材としては、活性炭、木竹炭、ゼオライト等の多孔質体を用いてもよい。
非吸着機能を有する機能性層(非吸着層)は、例えば、内容物に接するシーラント層または内容物に近い内側の層として、ポリエステル系樹脂、環状オレフィン系樹脂等の非吸着樹脂を含有する樹脂層を積層してもよい。
【0042】
柔軟性を有するフィルムの厚さは、例えば各層を合計した総厚としての厚さが500μm以下であることが好ましく、350μm程度や200μm程度などでもよい。前記積層フィルムは、樹脂層を主体とした複合フィルムであってもよい。胴部フィルム12dまたは端面フィルム11a,13aにおいて、前記積層フィルムの厚さに対する樹脂層の合計の厚さが、例えば50%以上あるいは70%以上などであってもよい。
【0043】
図4に、環状接合部17における端面フィルム11a,13aまたは胴部フィルム12dの層構成を例示する。端面フィルム11a,13aは、シーラント層21を最内層とし、中間にバリア層22、外側に基材層23を有してもよい。胴部フィルム12dは、バリア層22の両側にそれぞれ基材層23を有し、厚さ方向の両面にシーラント層21を有してもよい。バリア層22の両側の基材層23同士が互いに材質、厚さ等を同一にしてもよい。胴部フィルム12dの厚さ方向の両面のシーラント層21同士が互いに材質、厚さ等を同一にしてもよい。
【0044】
第1環状接合部17aおよび第2環状接合部17bは、端面フィルム11a,13aのシーラント層21と、胴部フィルム12dのシーラント層21との間で溶着により形成してもよい。これにより、端面フィルム11a,13aと胴部フィルム12dとの間に接合部を容易に形成することができる。環状接合部17が第1環状接合部17aを有することにより、筒状部材12の端部12a,12cが内部空間18に収容された内容物に接することがない。また、環状接合部17が第2環状接合部17bを有することにより、端面部材11,13の外周部11b,13bの端部が内部空間18に収容された内容物に接することがない。
【0045】
内容物が筒状部材12の端部12a,12cまたは端面部材11,13の外周部11b,13bの端部に接しにくいことにより、積層フィルムが中間層としてアルミニウム箔等の金属層、紙、セロファン等を含んでいても、中間層の材料に対する内容物の影響を抑制することができる。例えば、内容物が酸、水分等を含んでいる場合でも、金属層、紙、セロファン等の劣化、変質等を抑制することができる。
【0046】
筒状部材12の上端部12aと第1端面部材11との接合箇所に環状接合部17を採用した場合、筒状部材12の上端部12aを第1端面部材11の外周部11bで覆い隠すことにより、フィルムのトリミング(切り揃え)をしなくても見栄えを改善することができる。また、環状接合部17が上端部12aの厚みを増すとともに、第2外周領域15が切断面を有しないので、筒状容器10の上部に触れるときの手触りが滑らかになる。
【0047】
環状接合部17は、従来技術の補強リング等のような樹脂成形品を用いることなく、胴部フィルム12dの端部12a,12cの内面および外面に対し、端面フィルム11a,13aの外周部11b,13bを折り曲げ、接合して形成することが可能である。環状接合部17は、樹脂成形品のような剛性を有する必要はないので、使用時や廃棄時等における折り曲げ、折り畳み等を容易にすることができる。
【0048】
筒状部材12の下端部12cと第2端面部材13との接合箇所に環状接合部17を採用した場合、筒状部材12の下端部12cを第2端面部材13の外周部13bで覆い隠すことにより、設置面に対する自立の安定性を向上することができる。また、環状接合部17が下端部12cの厚みを増すとともに、第2外周領域15が切断面を有しないので、筒状容器10の下部に触れるときの手触りが滑らかになる。
【0049】
第1環状接合部17aおよび第2環状接合部17bを有する環状接合部17が、筒状部材12の両端部12a,12cのうち一方のみに形成されてもよい。環状接合部17を形成しない側の端部12a,12cでは、端面部材11,13を省略し、環状接合部17を形成しない側の端部12a,12cの内面同士を対向させて接合してもよい。
【0050】
環状接合部17を形成しない側の筒状部材12の端部12a,12cに端面部材11,13の外周部11b,13bを接合する場合は、第1環状接合部17aまたは第2環状接合部17bのいずれか一方のみを形成してもよい。
【0051】
第1環状接合部17aを省略する場合は、端面部材11,13の外周部11b,13bを筒状部材12の端部12a、12cから筒状部材12の外面に沿って屈曲させることにより、第2環状接合部17bを形成することができる。第2環状接合部17bを省略する場合は、第1環状接合部17aにおいて、筒状部材12の内面に沿って外周部11b,13bを屈曲させる方向が、端部12a,12cに向けた方向でもよく、端部12a,12cとは反対側に向けた方向でもよい。
【0052】
端面部材11,13のうち外周部11b,13bより内側の部分は、略平面でもよく、凹凸等を有してもよい。特に図示しないが、端面部材11,13の少なくとも一方が、注出口、取出口等の口部を有してもよい。例えば、樹脂等から立体的に成形した注出口を端面部材11,13に接合してもよい。注出口は、ねじ、接着、薄肉部、嵌合、弾性収縮力等により注出口と再封可能なキャップを結合してもよい。
【0053】
端面フィルム11a,13aを貫通する開口部、切込み等を取出口として形成してもよい。取出口から内容物を注ぎだしてもよく、ストロー等を取出口に差し入れてもよい。取出口の周囲に蓋材を接着して取出口を閉鎖可能にしてもよい。蓋材は取出口の周囲に対して剥離と接着を繰り返し可能であってもよい。一旦剥離した蓋材を取出口の周囲に再度接着できないようにしてもよい。蓋材を剥離したときに外観等が変化して、蓋材を取出口の周囲に再度接着しても、剥離したことが容易に確認できるようにしてもよい。
【0054】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0055】
10…筒状容器、11…第1端面部材、11a…第1端面フィルム、11b…第1端面部材の外周部、12…筒状部材、12a…上端部、12b…側端接合部、12c…下端部、12d…胴部フィルム、12e…第1側端部、12f…第2側端部、13…第2端面部材、13a…第2端面フィルム、13b…第2端面部材の外周部、14…第1外周領域、15…第2外周領域、16…第3外周領域、17…環状接合部、17a…第1環状接合部、17b…第2環状接合部、18…内部空間、21…シーラント層、22…バリア層、23…基材層。
図1
図2
図3
図4