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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041559
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】注出部材接続構造および包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 39/10 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
B65D39/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146830
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】桑原 弘嗣
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA06
3E084AA12
3E084AA22
3E084AA24
3E084AB01
3E084AB07
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC01
3E084DC03
3E084FD07
3E084GA01
3E084GB01
3E084KA20
3E084KB01
3E084LA15
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】第1容器内の流体を第2容器に供給した後において、第1容器を容易に再封することが可能な注出部材接続構造および包装容器を提供する。
【解決手段】流体が流れる注出流路15を有する挿入部12を備えた注出部材10と、挿入部12内に軸線方向に変位が可能に設けられた弁体20と、挿入部12が挿入される挿入孔32を有する受け部30と、を備え、弁体20は、軸線方向の変位によって、注出流路15を開放する開放位置P2と、注出流路15を閉止する閉止位置とを切り替え可能であり、弁体20は、内部空間22dを有する筒部22と、内部空間22dを複数の流路空間25a,25bに区画する隔壁25とを有し、受け部30は、挿入孔32を有する筒状の被挿入部31を有し、挿入孔32は、被挿入部31の先端31a側および基端31b側に開口した単一の内部空間32bである。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる注出流路を有する挿入部を備えた注出部材と、前記挿入部内に軸線方向に変位が可能に設けられた弁体と、前記挿入部が挿入される挿入孔を有する受け部と、を備え、
前記弁体は、前記軸線方向の変位によって、前記注出流路を開放する開放位置と、前記注出流路を閉止する閉止位置とを切り替え可能であり、
前記弁体は、内部空間を有する筒部と、前記内部空間を複数の流路空間に区画する隔壁とを有し、
前記受け部は、前記挿入孔を有する筒状の被挿入部を有し、
前記挿入孔は、前記被挿入部の先端側および基端側に開口した単一の内部空間であることを特徴とする注出部材接続構造。
【請求項2】
前記挿入部の外周面に、前記挿入孔の内周面と接触する環状リブが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の注出部材接続構造。
【請求項3】
前記注出流路は、前記挿入部の先端に開口されており、
前記開放位置において、前記挿入部の先端が、前記挿入孔を通じて前記被挿入部の基端側に突出することを特徴とする請求項1または2に記載の注出部材接続構造。
【請求項4】
前記挿入部の内周面および前記弁体の外周面に、互いに係合しあって前記挿入部および前記弁体の螺旋方向の相対変位を可能にする螺旋係合部がそれぞれ形成され、
前記弁体に、被係合部が形成され、
前記受け部は、前記注出部材を前記挿入孔へ挿入した際に前記被係合部と相対回転不能に係合する係合部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の注出部材接続構造。
【請求項5】
前記係合部は、前記挿入孔の内周面から前記単一の内部空間に向けて突出して形成され、
前記挿入部は、前記弁体が前記螺旋方向に相対変位した際に、前記被係合部と係合した前記係合部を通過させることが可能な螺旋状の切欠部を有することを特徴とする請求項4に記載の注出部材接続構造。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の注出部材接続構造の前記注出部材および前記弁体を有する第1容器と、前記注出部材接続構造の前記受け部を有する第2容器と、を備えることを特徴とする包装容器。
【請求項7】
前記第2容器は、前記受け部の前記挿入孔に装着することが可能なアタッチメントを有することを特徴とする請求項6に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出部材接続構造および包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムから形成された軟包装容器として、パウチ等の包装袋が広く使用されている。自立性を有する包装袋として、例えば、特許文献1、2には、前面と後面とを左右両端でシールして胴部を形成し、胴部の下部に底部を挟み込んだ構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3977284号公報
【特許文献2】特許第4689158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載の軟包装容器は、例えば、本体容器に対して内容物を詰め替える用途等に広く用いられている。しかし、1回限りの使い捨て容器が意図されており、開封した注出口を再封することができない。このため、詰め替え容器を大容量化して、複数回の詰め替えに対応することができなかった。
【0005】
本発明の一態様は、第1容器内の流体を第2容器に供給した後において、第1容器を容易に再封することが可能な注出部材接続構造および包装容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、流体が流れる注出流路を有する挿入部を備えた注出部材と、前記挿入部内に軸線方向に変位が可能に設けられた弁体と、前記挿入部が挿入される挿入孔を有する受け部と、を備え、前記弁体は、前記軸線方向の変位によって、前記注出流路を開放する開放位置と、前記注出流路を閉止する閉止位置とを切り替え可能であり、前記弁体は、内部空間を有する筒部と、前記内部空間を複数の流路空間に区画する隔壁とを有し、前記受け部は、前記挿入孔を有する筒状の被挿入部を有し、前記挿入孔は、前記被挿入部の先端側および基端側に開口した単一の内部空間であることを特徴とする注出部材接続構造を提供する。
【0007】
前記挿入部の外周面に、前記挿入孔の内周面と接触する環状リブが形成されていてもよい。
前記注出流路は、前記挿入部の先端に開口されており、前記開放位置において、前記挿入部の先端が、前記挿入孔を通じて前記被挿入部の基端側に突出してもよい。
【0008】
前記挿入部の内周面および前記弁体の外周面に、互いに係合しあって前記挿入部および前記弁体の螺旋方向の相対変位を可能にする螺旋係合部がそれぞれ形成され、前記弁体に、被係合部が形成され、前記受け部は、前記注出部材を前記挿入孔へ挿入した際に前記被係合部と相対回転不能に係合する係合部を有してもよい。
前記係合部は、前記挿入孔の内周面から前記単一の内部空間に向けて突出して形成され、前記挿入部は、前記弁体が前記螺旋方向に相対変位した際に、前記被係合部と係合した前記係合部を通過させることが可能な螺旋状の切欠部を有してもよい。
【0009】
本発明のさらに他の態様は、前記注出部材接続構造の前記注出部材および前記弁体を有する第1容器と、前記注出部材接続構造の前記受け部を有する第2容器と、を備えることを特徴とする包装容器を提供する。
前記第2容器は、前記受け部の前記挿入孔に装着することが可能なアタッチメントを有してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、第1容器内の流体を第2容器に供給した後において、第1容器を容易に再封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の注出部材接続構造の斜視図である。
図2】注出部材の一例を示す斜視図である。
図3】注出部材の一例を示す断面図である。
図4】弁体の一例を示す斜視図である。
図5】受け部の一例を示す斜視図である。
図6】弁体の閉止位置における注出部材接続構造の断面図である。
図7】弁体の開放位置における注出部材接続構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
【0013】
(注出部材接続構造100)
図1は、実施形態の注出部材接続構造100の斜視図である。図2は、注出部材10の斜視図である。図3は、注出部材10の断面図である。図4は、弁体20の斜視図である。図5は、受け部30の斜視図である。図6は、弁体20の閉止位置P1における注出部材接続構造100の断面図である。図7は、弁体20の開放位置P2における注出部材接続構造100の断面図である。
【0014】
図1に示すように、注出部材接続構造100は、第1容器における注出構造101と、第2容器における受け部30とを備えている。注出構造101は、注出部材10および弁体20を備えている。
【0015】
注出構造101における先端側とは、注出構造101が注出時に中心軸線Cに沿って受け部30に近づく側である。受け部30における先端側とは、受け部30が注出時に中心軸線Cに沿って注出構造101に近づく側である。これらとは逆に、中心軸線Cに沿って先端側とは反対の側を基端側という。注出構造101を受け部30と接続したとき、注出構造101の基端側は受け部30の先端側に対応し、受け部30の基端側は注出構造101の先端側に対応する。
【0016】
以下の説明では、中心軸線Cに対する径方向および周方向を、それぞれ単に径方向および周方向という場合がある。すなわち、径方向とは、中心軸線Cに直交する方向である。また、周方向とは、中心軸線Cの周りを取り囲む方向である。また、中心軸線Cに沿った方向を、軸線方向という場合がある。注出方向の基準となる中心軸線Cとしては、注出部材10の中心軸線、特に、挿入部12の中心軸線が挙げられる。
また、螺旋方向とは、軸線方向と周方向とを合成した方向である。螺旋方向の相対変位とは、軸線方向の相対変位に伴って、周方向の相対変位が生じることをいう。
【0017】
(注出部材10)
図2および図3に示すように、注出部材10は、基部11と、挿入部12とを有する。基部11と挿入部12とは一体に形成されている。基部11と挿入部12とは一体成形によって作製することができる。基部11に挿入部12の基端側の部分を接合する構造を設けて、基部11と挿入部12とを別体で成形することも可能である。特に図示しないが、主板部13の中央に装着穴を形成し、この装着穴に挿入部12を装着することで、基部11に挿入部12を固定してもよい。
【0018】
基部11は、主板部13と、環板部14とを有する。主板部13は、先端側に向いた第1面13aと、基端側に向いた第2面13bとを有する。主板部13は、例えば、円板状である。主板部13の形状は円板状に限定されず、いわゆる舟形であってもよい。舟形とは、概略円形の径方向に対向する両側で、V字状に先細りになった突出部を有する形状である。
【0019】
環板部14は、円筒状または円環状に形成されている。環板部14は、主板部13の第2面13bから、基端側に突出している。環板部14は、主板部13の平面形状と略同一の平面形状を有し、主板部13の外周上または外周付近で主板部13と一体に接続されている。主板部13と環板部14とは一体成形によって作製することができる。主板部13と環板部14とを接合する構造を設けて、主板部13と環板部14とを別体で成形することも可能である。基部11には、第1容器において内容物を収容する第1収容部(図示せず)を接合することができる。例えば、環板部14に第1収容部を溶着、接着、嵌合等により、接合してもよい。
【0020】
挿入部12は、中心軸線Cを有する筒状であればよい。図示例では、挿入部12が、概略、円筒状とされている。筒状とは、中心軸線Cの周囲を取り囲む壁面を有すればよく、中心軸線Cに対して軸対称性を有する形状でなくともよい。挿入部12は、基部11の第1面13aから、先端側に突出している。挿入部12の内部空間は、流体が流れる注出流路15となる。注出流路15を通じて、第1容器の内容物を、挿入部12の先端12aにおける開口部15aから外部に注出させることができる。
【0021】
挿入部12の内周面12bには、第1キー突起17が形成されている。第1キー突起17は、挿入部12の内周面12bから、径方向の内側に突出している。第1キー突起17は、詳しくは後述するが、第1キー突起17は、弁体20の外周面22cに形成された第1キー溝26(図4参照)と係合して、第1螺旋係合部41(図6図7参照)を形成する。
【0022】
図示例の第1キー突起17は、半球状の突起である。第1キー突起17は、挿入部12の内周面12bの周方向に約180°ずれた2箇所に形成されている。第1キー突起17の形状は、例えば、円錐状、円柱状、角錐状、角柱状などであってもよい。第1キー突起17が周方向に約120°ずれた3箇所に形成されてもよい。第1キー突起17の形状、第1キー突起17の個数および周方向の間隔は、第1キー溝26と係合可能であれば任意である。
【0023】
挿入部12の外周面12cには、第2キー溝16が形成されている。第2キー溝16は、第2螺旋溝16aと、第2導入溝16bとを有する。図示例の第2キー溝16は、長さ方向に直交する断面が半円状の溝である。第2キー溝16の断面形状は半円形に限定されず、例えば、U字形、V字形、台形、矩形、三角形、多角形などが挙げられる。第2キー溝16は、受け部30の第2キー突起34(図1参照)と係合する。
【0024】
第2螺旋溝16aは、第2キー突起34と係合して、挿入部12および受け部30が螺旋方向に相対変位することを可能とする。すなわち、挿入部12の外周面12cに形成される第2螺旋溝16aと、受け部30の挿入孔32の内周面32aに形成される第2キー突起34との係合により、螺旋方向の相対変位を可能にする第2螺旋係合部42が形成される。
【0025】
第2導入溝16bは、第2螺旋溝16aの先端側から挿入部12の先端12aに向けて軸線方向と平行に延在している。注出構造101を受け部30と接続する際には、第2キー突起34が第2導入溝16bから導入される。注出構造101を受け部30から取り外す際にも、第2キー突起34が第2導入溝16bから離脱する。
【0026】
第2螺旋溝16aは、第2導入溝16bの基端側から屈折し、螺旋方向に延びている。第2キー突起34が第2螺旋溝16aに沿って第2導入溝16bから遠ざかる方向に変位すると、受け部30が挿入部12の先端側から基端側へと変位する。第2螺旋溝16aが延在する周方向の角度範囲は、例えば10°~180°の範囲である。第2螺旋溝16aの角度範囲が小さいと、接続時に受け部30に対して注出部材10をひねる角度が小さくて済み、より作業しやすい。
【0027】
挿入部12の外周面12cの2箇所以上に第2キー溝16を配置することが可能である。図示例では、第2キー溝16が周方向に約180°ずれた2箇所に形成されている。第2キー溝16が周方向に約120°ずれた3箇所に形成されてもよい。第2キー溝16を周方向に配置する個数および周方向の間隔は、第2キー突起34と係合可能であれば任意である。
【0028】
挿入部12の外周面12cには、周方向に延在する環状リブ12dが形成されている。環状リブ12dは、挿入部12を挿入孔32に挿入した際に、受け部30に形成された挿入孔32の内周面32aと接触する。環状リブ12dが、例えば周方向の全周にわたって挿入孔32の内周面32aと接触することにより、挿入部12と挿入孔32との間の密閉性を確保しやすくなる。内容物の流体の粘性が高い場合等には、環状リブ12dが、周方向の全周でなくともよく、例えば周方向の半周以上に形成されてもよい。
【0029】
環状リブ12dの軸線方向に沿った幅が狭いことにより、挿入部12の外周面12cと挿入孔32の内周面32aとの間の接触面積が制限される。すなわち、挿入部12の外周面12cのうち、環状リブ12d以外の箇所は、環状リブ12dよりも径方向の内側となる。このため、挿入部12の外周面12cが挿入孔32の内周面32aと接触しにくくなり、挿入部12を受け部30の先端側から基端側に変位させるときの摩擦抵抗を抑制することができる。
【0030】
挿入部12は、内周面12bと外周面12cとを貫通する切欠部18を有する。切欠部18の開口位置18aは、挿入部12の先端12aに配置されている。切欠部18は、開口位置18aから挿入部12の基端側に向けて螺旋状に形成されている。詳しくは後述するが、図1および図6に示すように、切欠部18を通じて、受け部30の係合部35と弁体20の被係合部24とを係合させることが可能である。
【0031】
(弁体20)
図1に示すように、注出構造101における弁体20は、注出部材10の挿入部12内に装着されている。挿入部12内の弁体20は、挿入部12の軸線方向に変位可能に配置されている。弁体20は、軸線方向の変位によって、注出流路15を閉止する閉止位置P1(図6参照)と、注出流路15を開放する開放位置P2(図7参照)とを切り替えることが可能である。
【0032】
図4に示すように、弁体20は、閉止部21および筒部22を有する。閉止部21は、上述した閉止位置P1において、注出流路15を閉止する。図示例の閉止部21は、中心軸線Cに対して垂直な円板状に形成されている。閉止部21の外径は、注出流路15の内径にほぼ等しいか、注出流路15の内径より小さいことが好ましい。筒部22は、挿入部12と中心軸線Cを共通にする筒状に形成されている。挿入部12および筒部22が同心の円筒形状とされてもよい。
【0033】
閉止部21の基端側の面には、つまみ部21aが形成されている。つまみ部21aは、上述の閉止位置P1において、閉止部21が注出流路15を閉止している際にも、主板部13の第2面13bより基端側に突出している。例えば、人手または装置で弁体20を挿入部12内に装着する際、あるいは弁体20を挿入部12から取り外す際、つまみ部21aをつまんで弁体20を操作することができる。
【0034】
弁体20の外周面22cには、第1キー溝26が形成されている。第1キー溝26は、第1螺旋溝26aと、第1導入溝26bとを有する。図示例の第1キー溝26は、長さ方向に直交する断面が半円状の溝であり、筒部22の外周面22cに形成されている。第1キー溝26の断面形状は半円形に限定されず、例えば、U字形、V字形、台形、矩形、三角形、多角形などが挙げられる。
【0035】
第1キー溝26は、上述した挿入部12の第1キー突起17(図3参照)と係合する。第1螺旋溝26aは、第1キー突起17と係合して、挿入部12および弁体20が螺旋方向に相対変位することを可能とする。すなわち、筒部22の外周面22cに形成される第1螺旋溝26aと、挿入部12の内周面12bに形成される第1キー突起17との係合により、螺旋方向の相対変位を可能にする第1螺旋係合部41(図6図7参照)が形成される。
【0036】
第1導入溝26bは、第1螺旋溝26aの先端側から筒部22の先端22aに向けて軸線方向と平行に延在している。弁体20を挿入部12に装着する際には、第1キー突起17が第1導入溝26bから導入される。弁体20を挿入部12から取り外す際にも、第1キー突起17が第1導入溝26bから離脱する。
【0037】
第1螺旋溝26aは、第1導入溝26bの基端側から屈折し、螺旋方向に延びている。第1キー突起17が第1螺旋溝26aに沿って第1導入溝26bから遠ざかる方向に変位すると、挿入部12が筒部22の先端22a側から基端22b側へと変位する。第1螺旋溝26aが延在する周方向の角度範囲は、例えば10°~180°の範囲である。第1螺旋溝26aの角度範囲が小さいと、接続時に弁体20に対して注出部材10をひねる角度が小さくて済み、より作業しやすい。
【0038】
筒部22の外周面22cの2箇所以上に第1キー溝26を配置することが可能である。図示例では、第1キー溝26が周方向に約180°ずれた2箇所に形成されている。第1キー溝26が周方向に約120°ずれた3箇所に形成されてもよい。第1キー溝26を周方向に配置する個数および周方向の間隔は、第1キー突起17と係合可能であれば任意である。
【0039】
筒部22の内部空間22dは、隔壁25により複数の流路空間25a,25bに区画されている。隔壁25は、筒部22の先端22aから閉止部21まで軸線方向に延びている。図示例では、隔壁25が周方向に約180°程度の角度範囲で、内部空間22dを2箇所の流路空間25a,25bに区画している。隔壁25が内部空間22dを周方向に約120°程度の角度範囲で、3箇所の流路空間に区画してもよい。隔壁25を周方向に配置する個数および周方向における流路空間25a,25bの角度範囲は任意である。
【0040】
図示例では、筒部22の基端22bと閉止部21との間に、連結部23が形成されている。図示例では、連結部23が周方向に約180°ずれた2箇所に形成されている。また、周方向のうち、隔壁25が筒部22の内周面22eに接する位置に対応して、連結部23が配置されている。連結部23が周方向に約120°ずれた3箇所に形成されてもよい。連結部23を周方向に配置する個数および周方向の間隔は任意である。
【0041】
図示例の連結部23は、隔壁25の厚さよりも太い柱状であり、筒部22の径方向にわたる隔壁25の幅方向の両側に形成されている。隔壁25の厚さが薄いことにより、内部空間22dにおける流路空間25a,25bの断面積をより大きく確保することができる。連結部23が隔壁25に接して一体的に形成されていることにより、薄い隔壁25を保護することができる。
【0042】
筒部22の基端22bと閉止部21との間には、流入口27が開口している。図示例では、連結部23が隔壁25に接する箇所を除いては、筒部22の基端22bの周囲が流入口27として広く開口している。これにより、第1容器における内容物の残留、いわゆる液残りを抑制することができる。図示例では、連結部23および隔壁25により区画された2箇所に流入口27を有し、それぞれ流入口27が流路空間25a,25bに接続されている。
【0043】
隔壁25が閉止部21と筒部22とを連結する機能を有する場合、外周側の連結部23を省略してもよい。図示例の連結部23は、軸線方向の投影で筒部22の壁面に重なる位置に形成されているが、軸線方向の投影で筒部22の内部空間22dに重なる位置に連結部23の機能を形成してもよい。
【0044】
筒部22の外周面22cには、径方向の外側に突出する環状縁部28が形成されている。図示例では、環状縁部28が筒部22の基端22b側に配置されている。図7に示すように、環状縁部28が外周面22cから突出する周縁部は、挿入部12の内周面12bに接している。これにより、内容物を注出する際に、流入口27から注出流路15を経て流路空間25a,25bに向かう流体が、挿入部12の内周面12bと筒部22の外周面22cとの隙間に入り込みにくくなる。
【0045】
(受け部30)
図1および図5に示すように、受け部30は、注出部材10の挿入部12が挿入される挿入孔32を有する。挿入孔32は、筒状の被挿入部31の内部空間として形成されている。被挿入部31は、軸線方向に沿う筒状に形成されている。被挿入部31が、挿入部12と同心の円筒形状とされてもよい。挿入孔32は、被挿入部31の先端31a側および基端31b側に開口した単一の内部空間32bである。
【0046】
被挿入部31の外周面には、径方向の外側に突出する環状凸部33が形成されている。図示例では、環状凸部33が被挿入部31の先端31a側に配置されている。環状凸部33を被挿入部31の基端31b側に配置してもよく、先端31aと基端31bとの中間部に配置してもよい。被挿入部31の外周面または環状凸部33には、第2容器において内容物を収容する第2収容部(図示せず)を接合してもよい。
【0047】
被挿入部31の内周面、すなわち、挿入孔32の内周面32aには、第2キー突起34が形成されている。第2キー突起34は、挿入孔32の内周面32aから、径方向の内側に突出している。第2キー突起34は、上述したように、挿入部12の外周面12cに形成された第2キー溝16と係合して、第2螺旋係合部42を形成する。
【0048】
図示例の第2キー突起34は、半球状の突起である。第2キー突起34は、挿入孔32の内周面32aの周方向に約180°ずれた2箇所に形成されている。第2キー突起34の形状は、例えば、円錐状、円柱状、角錐状、角柱状などであってもよい。第2キー突起34が周方向に約120°ずれた3箇所に形成されてもよい。第2キー突起34の形状、第2キー突起34の個数および周方向の間隔は、第2キー溝16と係合可能であれば任意である。
【0049】
被挿入部31の先端31aには、第2キー突起34の位置から径方向の外側に目印36が形成されている。注出部材10の挿入部12を受け部30の挿入孔32に挿入する際に、目印36の位置に第2キー溝16の第2導入溝16bの位置を合わせることができる。図示例の目印36は、受け部30の先端側に向けて突出する突起である。目印36は、突起に限定されず、例えば、凹部、貫通孔、着色部等であってもよい。
【0050】
挿入孔32の内周面32aには、係合部35が形成されている。係合部35は、内周面32aから内部空間32bに向けて、径方向の内側に突出している。係合部35は、弁体20に形成された被係合部24と係合させることが可能である。係合部35は、例えば断面が矩形状の突起である。係合部35の断面形状は特に限定されず、円形、楕円形、多角形等でもよい。
【0051】
図示例では、係合部35が挿入孔32の内周面32aの周方向に約180°ずれた2箇所に形成されている。また、被係合部24は、筒部22の外周面22cの周方向に約180°ずれた2箇所に形成されている。係合部35および被係合部24が周方向に約120°ずれた3箇所に形成されてもよい。係合部35および被係合部24を周方向に配置する個数および周方向の間隔は任意である。
【0052】
図示例の被係合部24は、図4に示すように、筒部22の先端22aおよび外周面22cにかけた領域において、第1導入溝26bと重なる位置に形成されている。被係合部24が第1導入溝26bとは異なる位置に形成されてもよい。被係合部24が筒部22の先端22a側に形成されると、挿入部12を挿入孔32に挿入する際に、内周面32aに形成された係合部35を、被係合部24と容易に係合させることができる。
【0053】
図示例では、弁体20が挿入部12内に装着された状態において、被係合部24は、切欠部18を通じて挿入部12の外周面12cに露出されている。被係合部24を筒部22の内周面22e側に形成することも可能である。例えば、挿入孔32の内周面32aから係合部35を突出させ、係合部35の端部を被挿入部31の先端31a側に向けて屈曲させる場合、被係合部24が外周面12cに露出されていなくてもよい。
【0054】
上述したように、第2キー突起34を第2キー溝16に係合させ、第2キー突起34が第2螺旋溝16aに沿って案内される場合、第2螺旋係合部42により、挿入部12が受け部30に対して螺旋方向の相対変位が可能にされる。このとき、挿入部12と弁体20との間では、第1螺旋係合部41により、挿入部12が弁体20に対して螺旋方向の相対変位が可能にされる。
【0055】
弁体20と受け部30との間は、係合部35および被係合部24の係合により、弁体20および受け部30の間の螺旋方向の相対変位が規制される。すなわち、係合部35は、被係合部24に対して相対回転不能に係合する。弁体20および受け部30に対する挿入部12の螺旋方向の相対変位に際し、係合部35が被係合部24と係合したまま、切欠部18を通過することができる。
【0056】
被挿入部31の挿入孔32は、単一の内部空間32bを形成している。これにより、挿入孔32にポンプディスペンサ等のアタッチメントを装着することが容易になる。例えば、第1容器の内容物を第2容器に注入する場合は、挿入孔32からアタッチメントを取り外した後、挿入部12を挿入する。挿入部12から所望の量の内容物を注入して挿入部12を挿入孔32から抜き取った後、挿入孔32にアタッチメントを装着することができる。
【0057】
図示例の被挿入部31では、挿入孔32の内周面32aに第2キー突起34および係合部35を有する以外は、構造的な支障物のない内部空間32bが確保されている。被挿入部31の内部空間32bは、挿入孔32の内周面32aに対して、少なくとも内周面32aの半径の50%以上、より好ましくは70%以上の範囲で中心軸線の周囲に内周面32aから突出した構造や、内部空間32bを区画する隔壁等を有しないことが好ましい。
【0058】
(注出部材接続構造100の使用方法)
図1に示すように、第1容器の注出構造101を第2容器の受け部30に対して、相対変位により接近させる。この際、受け部30に向けて注出構造101を接近させてもよく、注出構造101に向けて受け部30を接近させてもよい。注出構造101を重力に対して、下向き、横向き、斜め下向き等、所望の向きにしてもよい。弁体20は閉止位置P1にあり、閉止部21が注出流路15を閉止しているため、第1容器の内容物は挿入部12に流入せず、注出構造101からの漏出が抑制される。
【0059】
図6に示すように、弁体20が閉止位置P1のまま、挿入部12を被挿入部31に挿入すると、係合部35が被係合部24に係合する。これにより、弁体20および受け部30の間の螺旋方向の相対変位が規制される。この状態で、弁体20および受け部30に対して注出部材10を中心軸線Cの周りで周方向に回転させると、上述した第1螺旋係合部41および第2螺旋係合部42により、注出部材10と弁体20とが軸線方向に相対変位する。
【0060】
図7に示すように、弁体20および受け部30に対して注出部材10が受け部30の基端側に変位する結果、閉止部21が注出流路15から離れて流入口27が開口される。これにより、弁体20が開放位置P2に切り替わる。第1容器の内容物は、流入口27から注出流路15および流路空間25a,25bを通過して、挿入部12の先端12aから内容物が第2容器に供給される。
【0061】
図6は、係合部35が被係合部24と係合する位置を含む断面を示した。図7は、隔壁25が流路空間25a,25bを区画する位置を含む断面を示した。図6および図7では受け部30等の向きが異なっているが、操作中に受け部30等が変位するかどうかを表現したものではない。また、図6および図7の断面図では、環状リブ12d、第2キー突起34等の図示を省略した。
【0062】
注出部材10を受け部30に対して相対変位させる際、注出部材10と受け部30とのいずれを操作するかは特に限定されない。例えば、ユーザーが受け部30を停止させた状態で、注出部材10を受け部30に対して操作してもよい。第1容器および第2容器を装置に組み込んで、ユーザーが装置を操作したとき、または装置が必要を認識したときに、注出部材10または受け部30を変位させてもよい。
【0063】
弁体20を開放位置P2から閉止位置P1に切り替えるときは、弁体20を閉止位置P1から開放位置P2に切り替えるときとは逆方向に注出部材10を回転させる。上述した第1螺旋係合部41および第2螺旋係合部42により、注出部材10と弁体20とが軸線方向に相対変位し、弁体20および受け部30に対して注出部材10が受け部30の先端側に変位する。これにより、注出流路15が閉止部21により閉止されて、弁体20が閉止位置P1に切り替わる。さらに注出構造101を受け部30から離れる方向に引き抜くと、注出構造101が受け部30から離れて引き抜かれる。このとき、被係合部24に対する係合部35の係合も解除されるため、弁体20は注出部材10と一体になって、受け部30から遠ざかる方向に相対変位する。
【0064】
弁体20が開放位置P2にある際、被係合部24に係合した係合部35は、螺旋状の切欠部18に収容されている。弁体20が開放位置P2にあるまま注出構造101を引き抜こうとしても、係合部35が切欠部18の周囲における挿入部12の壁面に干渉する。このため、注出構造101を無理のない力で引き抜くことができない。これにより、開放位置P2では注出構造101が受け部30から引き抜かれることを抑制することができる。
【0065】
弁体20が閉止位置P1にある際には、係合部35が切欠部18の開口位置18aにあるため、係合部35が切欠部18の周囲における挿入部12の壁面に干渉しない。このため、軸線方向の引き抜きによって被係合部24に対する係合部35の係合が解除され、係合部35が開口位置18aを通過して、受け部30から弁体20が離れる方向に相対変位する。これにより、弁体20が閉止位置P1のとき、注出構造101を受け部30から容易に引き抜くことができる。
【0066】
弁体20が開放位置P2にあるとき、挿入部12の先端12aが、挿入孔32を通じて被挿入部31の基端31b側に突出してもよい。これにより、開放位置P2において、第1容器から注出される内容物が受け部30に付着しにくくなり、また、第2容器内に直接注出しやすくなる。また、閉止位置P1において、軸線方向に沿った筒部22の先端22aの位置が、挿入部12の先端12aと同程度にあり、または挿入部12の先端12aよりも基端側に後退するのと区別することで、弁体20が閉止位置P1または開放位置P2のいずれにあるかを目視で判別しやすくなる。
【0067】
注出構造101の開封、すなわち、弁体20の閉止位置P1から開放位置P2への切り替えには、挿入部12内に装着された弁体20を回転させる必要がある。弁体20に対する直接の操作では開封しにくいことから、ユーザーが係合部35を被係合部24に係合させる以外の方法で、第1容器が意図せずに開封されたり、内容物が漏出したりすることを抑制することができる。
【0068】
注出部材接続構造100は、第1容器から第2容器への内容物の詰め替え、補充に好適に適用できる。特に、詰め替えや補充時の液漏れが問題となる内容物を用いる場合、例えば、印刷用インキ、調味料、医薬品、化粧品、洗剤、薬剤、塗料、燃料などを対象とする場合に好適である。内容物の流体は、溶液、分散液等の液体に限らず、粉体、粒体などであってもよい。
【0069】
上述したように、注出部材接続構造100における注出部材10と受け部30との間の相対変位の操作を装置により行うこともできる。相対変位の操作を行う装置としては、第1容器の内容物を第2容器に供給する装置、第2容器に供給された内容物を使用する装置など、特に限定されないが、例えば、印刷装置、複写装置、塗布装置、噴霧装置、供給装置などが挙げられる。弁体20に対して直接操作をしなくても、注出部材10または受け部30に対する操作により、弁体20の開閉、すなわち、閉止位置P1と開放位置P2との間の切り替えが可能である。
【0070】
閉止位置P1において、弁体20の閉止部21の外周面は、挿入部12の内周面12bと密に嵌合することが好ましい。閉止部21の外周面と挿入部12の内周面12bとが嵌合する領域は、軸線方向に長さを有する円筒面状であることが好ましい。これにより、第1螺旋係合部41における第1キー突起17と第1キー溝26との間で螺旋方向に若干の相対変位があっても、閉止部21と挿入部12との嵌合状態が維持される。
【0071】
弁体20を開放位置P2から閉止位置P1に切り替える際、閉止部21を挿入部12に嵌合させるときには、小径の受け部30に対して大径の注出部材10を回転させてもよい。係合部35により受け部30に対して弁体20が相対的に固定されているため、大径の基部11をつかみながら回転させると、梃子の原理により、小径の閉止部21を容易に挿入部12に嵌合させることができる。これにより、ユーザーが第1容器を再封する場合も、小さい力で注出流路15を確実に閉止することができる。
【0072】
注出部材10、弁体20、受け部30は、それぞれ一体の成形品から構成することも可能である。この場合、注出部材接続構造100を3つの部材から作製することができる。注出部材10、弁体20または受け部30の成形材料としては、特に限定されないが、樹脂、ゴム、エラストマー、金属等が挙げられる。注出部材10を2つ以上の部材から構成してもよい。弁体20を2つ以上の部材から構成してもよい。受け部30を2つ以上の部材から構成してもよい。
【0073】
(包装容器)
実施形態の包装容器は、注出部材10および弁体20を有する第1容器と、受け部30を有する第2容器とを備えている。第1容器および第2容器を構成する容器の形式は特に限定されないが、パウチ容器、ボトル容器、チューブ容器、ボックス容器などが挙げられる。第1容器および第2容器の成形材料は特に限定されないが、樹脂、金属、紙、積層体などが挙げられる。
【0074】
注出部材10を別体で第1容器と接合してもよく、注出部材10と第1容器とを一体で成形することも可能である。受け部30を別体で第2容器と接合してもよく、受け部30と第2容器とを一体で成形することも可能である。第1容器と第2容器は、形状、寸法、形式、材質等において異なる点を有してもよい。
【0075】
第2容器は、受け部30の挿入孔32に装着することが可能なアタッチメントを有することができる。第2容器において、あらかじめ挿入孔32にアタッチメントが装着されていてもよい。第2容器の製造者またはユーザーに対して、アタッチメントが受け部30または第2容器と別々に供給されてもよい。ユーザーが第2容器の内容物を使用する際に、アタッチメントを挿入孔32に装着していてもよい。アタッチメントとして、ポンプディスペンサ、スプレーヘッド、ノズル、コック、ガイド等が挙げられる。
【0076】
アタッチメントは、筒状、管状、樋状などの流路を有することが好ましい。これにより、第2容器から内容物を注出する際に、注出の流量、速度、方向等を容易に制御することができる。受け部30を第2容器の注出口として使用する場合、アタッチメントが第2容器の閉鎖具を兼ねてもよい。第2容器は、アタッチメントとは別に、キャップ、栓などの閉鎖具を備えてもよい。
【0077】
第1容器は、弁体20により注出部材10の注出流路15が閉鎖される。このため、内容物を充填した第1容器の流通、保管等において、弁体20を閉鎖具として用いることができる。キャップ、ラベル、シュリンクフィルム等を用いて挿入部12の周囲を被覆し、弁体20を保護してもよい。第1容器が第2容器よりも大容量の場合、例えば第2容器の容量より数倍程度大きいときには、ユーザーが第2容器への詰め替えを複数回繰り返すことができる。弁体20を閉止位置P1にすれば、使用途中の第1容器を密閉して、残った内容物を保存することができる。
【0078】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0079】
実施形態では、第1螺旋係合部41と共に、受け部30の挿入孔32の内周面32aおよび挿入部12の外周面12cに、互いに係合しあって挿入部12および受け部30の螺旋方向の相対変位を可能にする第2螺旋係合部42として、第2キー突起34および第2キー溝16がそれぞれ形成された例を示した。第2螺旋係合部42を省略して、被係合部24に係合部35を係合した状態で、第1螺旋係合部41を用いて挿入部12および弁体20を螺旋方向へ相対変位させながら、挿入部12および弁体20を軸線方向に相対変位させることも可能である。
【0080】
挿入孔32の内周面32aと挿入部12の外周面12cとの隙間をより大きくすると、螺旋方向の相対変位の際に摩擦抵抗を低減することができる。挿入部12の外周面12cに、挿入孔32の内周面32aと接触する環状リブ12dを形成することにより、内周面32aと外周面12cとの隙間を大きくしても、この隙間からの流体の漏出等を抑制することができる。環状リブ12dは、挿入孔32の内周面32aから径方向の内側に突出させて、挿入部12の外周面12cと接触可能にしてもよい。
【0081】
挿入部12または筒部22には、弁体20が閉止位置P1にあるか否か、または開放位置P2における流入口27の開放程度を表示する目印等の表示を設けてもよい。挿入部12の先端12aと筒部22の先端22aとの位置関係に基づいて表示を設けてもよい。また、切欠部18から露出される筒部22の外周面22cに表示を設けてもよい。挿入部12の先端12a側から視認される弁体20の隔壁25の位置関係に基づいて表示を設けてもよい。表示は、凹部、凸部、着色部等から構成してもよい。これにより、キャップ等に比べて弁体20に対する直接の操作を抑制しても、挿入部12内に装着された弁体20の状態を、挿入部12の外から容易に把握することができる。
【符号の説明】
【0082】
C…中心軸線、P1…閉止位置、P2…開放位置、10…注出部材、11…基部、12…挿入部、12a…挿入部の先端、12b…挿入部の内周面、12c…挿入部の外周面、12d…環状リブ、13…主板部、13a…主板部の第1面、13b…主板部の第2面、14…環板部、15…注出流路、15a…開口部、16…第2キー溝、16a…第2螺旋溝、16b…第2導入溝、17…第1キー突起、18…切欠部、18a…切欠部の開口位置、20…弁体、21…閉止部、21a…つまみ部、22…筒部、22a…筒部の先端、22b…筒部の基端、22c…筒部の外周面、22d…筒部の内部空間、22e…筒部の内周面、23…連結部、24…被係合部、25…隔壁、25a,25b…流路空間、26…第1キー溝、26a…第1螺旋溝、26b…第1導入溝、27…流入口、28…環状縁部、30…受け部、31…被挿入部、31a…被挿入部の先端、31b…被挿入部の基端、32…挿入孔、32a…挿入孔の内周面、32b…内部空間、33…環状凸部、34…第2キー突起、35…係合部、36…目印、41…第1螺旋係合部、42…第2螺旋係合部、100…注出部材接続構造、101…注出構造。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7