(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042389
(43)【公開日】2022-03-14
(54)【発明の名称】演算増幅器
(51)【国際特許分類】
H03F 3/45 20060101AFI20220307BHJP
【FI】
H03F3/45 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147805
(22)【出願日】2020-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099818
【弁理士】
【氏名又は名称】安孫子 勉
(72)【発明者】
【氏名】小川 正訓
(72)【発明者】
【氏名】徳永 光紀
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AC26
5J500AF12
5J500AF19
5J500AH10
5J500AH17
5J500AH29
5J500AK05
5J500AK09
5J500AT02
5J500DN01
5J500DN22
5J500DN23
5J500DP02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】利得帯域幅積GBWの低下を招くことなく負荷容量の増加と位相余裕の確保を可能とする演算増幅器を提供する。
【解決手段】2つの入力信号の差動増幅が可能な差動増幅回路101と、差動増幅回路101の出力信号をカスコード増幅可能するフォールデッドカスコード回路103と、フォールデッドカスコード回路103の出力信号を出力する出力回路104とを具備してなる演算増幅器において、フォールデッドカスコード回路103と出力回路104の間に位相補償回路102を設け、位相補償回路102の回路定数の選定によって、出力回路104の負荷容量の増加に対する位相余裕の減少の抑制と共に利得帯域幅積の維持を可能する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの入力信号の差動増幅を可能に構成されてなる差動増幅回路と、前記差動増幅回路の出力信号をカスコード増幅可能に構成されてなるフォールデッドカスコード回路と、前記フォールデッドカスコード回路の出力信号を出力する出力回路とを具備してなる演算増幅器において、
前記フォールデッドカスコード回路と前記出力回路の間に位相補償回路を設け、前記位相補償回路の回路定数の選定によって、前記出力回路の負荷容量の増加に対する位相余裕の減少の抑制と共に利得帯域幅積の維持を可能にしてなることを特徴とする演算増幅器。
【請求項2】
前記差動増幅回路と同一の入力信号が入力可能に構成された第2の入力差動回路が設けられ、前記第2の入力差動回路の出力は前記フォールデッドカスコード回路に印加可能に構成されてなることを特徴とする請求項1記載の演算増幅器。
【請求項3】
前記差動増幅回路は、第1極性の第1及び第2のトランジスタと第1の定電流源を有し、前記第1極性の第1及び第2のトランジスタは、各々のソースが相互に接続されると共に、前記第1の定電流源を介して正電源端子に接続され、
前記位相補償回路は、第1極性の補償用第1のトランジスタと第2極性の補償用第2のトランジスタと、補償用第1及び第2のコンデンサとを有し、
前記フォールデッドカスコード回路は、第2極性の第3乃至第6のトランジスタと、第1極性の第9乃至第13のトランジスタと、第2の定電流源とを有し、
前記第2極性の第3及び第4のトランジスタは、各々のゲートが相互に接続されると共に、前記第2極性の第5のトランジスタのドレインに接続され、前記第2極性の第3及び第4のトランジスタの各々のソースは負電源端子に接続される一方、前記第2極性の第3のトランジスタのドレインは、前記第2極性の第5のトランジスタのソース及び前記第1極性の第2のトランジスタのドレインに、前記第2極性の第4のトランジスタのドレインは、前記第2極性の第6のトランジスタのソース及び前記第1極性の第1のトランジスタのドレインに、それぞれ接続され、
前記第2極性の第5及び第6のトランジスタは、各々のゲートが相互に接続されて第1の定電圧が第1の定電圧源により印加されると共に、前記補償用第1のコンデンサの一端に接続される一方、前記第2極性の第5のトランジスタのドレインは、前記第1極性の補償用第1のトランジスタのドレイン、前記第2極性の補償用第2のトランジスタのソース及び前記補償用第2のコンデンサの一端に接続され、
前記第1極性の第11乃至第13のトランジスタの各々のソースは共に前記正電源端子に接続されると共に、前記第1極性の第11乃至第13のトランジスタの各々のゲートは相互に接続されて前記第1極性の第13のトランジスタのドレインに接続され、前記第1極性の第13のトランジスタのドレインと前記負電源端子との間には、前記第2に定電流源が設けられ、
前記第1極性の第11のトランジスタのドレインは、前記第1極性の第9のトランジスタのソースに、前記第1極性の第12のトランジスタのドレインは、前記第1極性の第10のトランジスタのソースに、それぞれ接続され、
前記第1極性の第9及び第10のトランジスタは、各々のゲートが相互に接続されて前記補償用第2のコンデンサの他端に接続されると共に、第3の定電圧が第3の定電圧源により印加され、
前記第1極性の第9のトランジスタのドレインは、前記第1極性の補償用第1のトランジスタのソース、前記第2極性の補償用第2のトランジスタのドレイン及び前記補償用第1のコンデンサの他端に接続され、
前記出力回路は、第1極性の第8及び第15のトランジスタと、第2極性の第7及び第14のトランジスタとを有し、
前記第1極性の第8のトランジスタのソースと前記第2極性の第7のトランジスタのドレインが相互に接続されて前記第1極性の第15のトランジスタのゲート及び前記第1極性の第10のトランジスタのドレインと接続される一方、
前記第1極性の第8のトランジスタのドレインと前記第2極性の第7のトランジスタのソースが相互に接続されて前記第2極性の第14のトランジスタのゲート及び前記第2極性の第6のトランジスタのドレインと接続され、
前記第1極性の第8のトランジスタのゲートは前記第1極性の補償用第1のトランジスタのゲートと接続されると共に第4の定電圧が第4の定電圧源により印加され、
前記第2極性の第7のトランジスタのゲートは前記第2極性の補償用第2のトランジスタのゲートと接続されると共に第2の定電圧が第2の定電圧源により印加され、
前記第1極性の第15のトランジスタのソースは前記正電源端子に、前記第2極性の第14のトランジスタのソースは前記負電源端子に、それぞれ接続され、
前記第1極性の第15のトランジスタのドレインと前記第2極性の第14のトランジスタのドレインが相互に接続されて、当該接続点から出力信号が出力可能とされてなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の演算増幅器。
【請求項4】
前記第2の入力差動回路は、第2極性の差動対用第1及び第2のトランジスタと差動対用定電流源を有し、前記第2極性の差動対用第1のトランジスタのゲートは、前記第1極性の第1のトランジスタのゲートに、前記第2極性の差動対用第2のトランジスタのゲートは、前記第1極性の第2のトランジスタのゲートに、それぞれ接続され、
前記第2極性の差動対用第1及び第2のトランジスタは、各々のソースが相互に接続されて、当該接続点と前記負電源端子との間に前記差動対用定電流源が設けられる一方、前記第2極性の差動対用第1のトランジスタのドレインは、前記第1極性の第10のトランジスタのドレイン及び前記第1極性の第12のトランジスタのソースに、前記第2極性の差動対用第2のトランジスタのドレインは、前記第1極性の第9のトランジスタのドレイン及び前記第1極性の第11のトランジスタのドレインに、それぞれ接続されてなることを特徴とする請求項3記載の演算増幅器。
【請求項5】
前記フォールデッドカスコード回路における前記第2極性の第3及び第4のトランジスタ並びに前記第1の定電圧源を抵抗負荷回路に、前記第1極性の第11及び第12のトランジスタ並びに前記第3の定電圧源を調整用抵抗回路に代え、
前記抵抗負荷回路は、負荷用第1及び第2の抵抗器を有し、前記負荷用第1の抵抗器は、前記第2極性の第5のトランジスタのソースと前記負電源端子との間に直列接続されて設けられ、前記負荷用第2の抵抗器は、前記第2極性の第6のトランジスタのソースと前記負電源端子との間に直列接続されて設けられる一方、
前記調整用抵抗回路は、調整用第1及び第2の抵抗器を有し、前記調整用第1の抵抗器は、前記第1極性の第9のトランジスタのソースと前記正電源端子との間に直列接続されて設けられ、前記調整用第2の抵抗器は、前記第1極性の第10のトランジスタのソースと前記正電源端子との間に直列接続されて設けられ、
前記第1極性の第13のトランジスタのソースと前記正電源端子との間には、調整用第3の抵抗器が直列接続されて設けられてなることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の演算増幅器。
【請求項6】
前記位相補償回路は、補償用第1及び第2の抵抗器を有し、前記補償用第1の抵抗器は、前記補償用第1のコンデンサと前記第2極性の第5及び第6のトランジスタのゲートとの間に、前記補償用第2の抵抗器は、前記補償用第2のコンデンサと前記第1極性の第9及び第10のトランジスタのゲートとの間に、それぞれ設けられてなることを特徴とする請求項3乃至請求項5いずれか記載の演算増幅器。
【請求項7】
前記位相補償回路において、前記補償用第1のコンデンサと前記補償用第1の抵抗器の直列接続順を逆とすると共に、前記補償用第2のコンデンサと前記補償用第2の抵抗器の直列接続順を逆としてなることを特徴とする請求項3乃至請求項6いずれか記載の演算増幅器。
【請求項8】
前記位相補償回路における前記補償用第1のコンデンサの容量値CX1は、
第1の不等式CX1>C1、第2の不等式CX1>C2、第3の不等式CX1>C3、第4の不等式CX1>C4のいずれかを満たす値に選定され、
前記第1の不等式におけるC1は、前記第1極性の第10のトランジスタのソースと、前記第1極性の第15のトランジスタと前記第2極性の第14のトランジスタの接続点との間に接続された第1のコンデンサの容量値、
前記第2の不等式におけるC2は、前記第1極性の第15のトランジスタのゲート・ドレイン間に接続された第2のコンデンサの容量値、
前記第3の不等式におけるC3は、前記第2極性の第14のトランジスタのゲート・ドレイン間に接続された第3のコンデンサの容量値、
前記第4の不等式におけるC4は、前記第2極性の第6のトランジスタのソースと、前記第1極性の第15のトランジスタと前記第2極性の第14のトランジスタの接続点との間に接続された第4のコンデンサの容量値であることを特徴とする請求項3乃至請求項7いずれか記載の演算増幅器。
【請求項9】
前記位相補償回路における前記補償用第2のコンデンサの容量値CX2は、
第5の不等式CX2>C1、第6の不等式CX2>C2、第7の不等式CX2>C3、第8の不等式CX2>C4のいずれかを満たす値に選定され、
前記第5の不等式におけるC1は、前記第1極性の第10のトランジスタのソースと、前記第1極性の第15のトランジスタと前記第2極性の第14のトランジスタの接続点との間に接続された第1のコンデンサの容量値、
前記第6の不等式におけるC2は、前記第1極性の第15のトランジスタのゲート・ドレイン間に接続された第2のコンデンサの容量値、
前記第7の不等式におけるC3は、前記第2極性の第14のトランジスタのゲート・ドレイン間に接続された第3のコンデンサの容量値、
前記第8の不等式におけるC4は、前記第2極性の第6のトランジスタのソースと、前記第1極性の第15のトランジスタと前記第2極性の第14のトランジスタの接続点との間に接続された第4のコンデンサの容量値、
であることを特徴とする請求項3乃至請求項8いずれか記載の演算増幅器。
【請求項10】
前記位相補償回路の補償用第1のトランジスタは、
第1の条件式W(MX1)/L(MX1)=W(M8)/L(M8)を満たすものであって、
前記第1の条件式におけるW(MX1)は、前記補償用第1のトランジスタのチャネル幅、
前記第1の条件式におけるL(MX1)は、前記補償用第1のトランジスタのチャネル長、
前記第1の条件式におけるW(M8)は、前記出力回路における第1極性の第8のトランジスタのチャネル幅、
前記第1の条件式におけるL(M8)は、前記出力回路における第1極性の第8のトランジスタのチャネル長、
であることを特徴とする請求項3乃至請求項9いずれか記載の演算増幅器。
【請求項11】
前記位相補償回路の補償用第2のトランジスタは、
第2の条件式W(MX2)/L(MX2)=W(M7)/L(M7)を満たすものであって、
前記第2の条件式におけるW(MX2)は、前記補償用第2のトランジスタのチャネル幅、
前記第2の条件式におけるL(MX2)は、前記補償用第2のトランジスタのチャネル長、
前記第2の条件式におけるW(M7)は、前記出力回路における第2極性の第7のトランジスタのチャネル幅、
前記第2の条件式におけるL(M7)は、前記出力回路における第2極性の第7のトランジスタのチャネル長、
であることを特徴とする請求項3乃至請求項10いずれか記載の演算増幅器。
【請求項12】
前記第1極性はP型MOSFET、前記第2極性はN型MOSFETであることを特徴とする請求項3乃至請求項11いずれか記載の演算増幅器。
【請求項13】
前記第1極性のP型MOSFETに代えてPNPトランジスタを、前記第2極性のN型MOSFETに代えてNPNトランジスタを、それぞれ用いてなることを特徴とする請求項12記載の演算増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演算増幅器に係り、特に、位相余裕の特性向上等を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
演算増幅器は、信号の増幅、インピーダンス変換、フィルタ回路など多岐に渡る用途に供されている。そのため、幅広いレンジでの負荷容量で使用されることが前提とされている。
図17には、従来の演算増幅器を用いて非反転増幅回路を構成した回路構成例が示されており、以下、同図に示された回路について説明する。
この回路の演算増幅器OP1の出力端子OUTには、負荷容量CLが接続されている。非反転入力端子INPには交流電圧信号源Vinが接続されている。
一方、反転入力端子INMは、抵抗器R101を介して接地されると共に、抵抗器R102を介して出力端子OUTに接続されている。
【0003】
かかる構成の回路において、発振することなく、下記する式1で示される出力電圧Voutを得ることが理想である。
【0004】
Vout=(1+R102/R101)Vin・・・式1
【0005】
ここで、R101は抵抗器R101の抵抗値、R102は抵抗器R102の抵抗値、Vinは非反転入力端子INPに入力される交流電圧の電圧値である。
しかし、演算増幅器は限られた負荷容量CLでしか安定した挙動を示さない。その挙動の安定度を示す指標として位相余裕がある。位相余裕は、出力電圧Voutと交流電圧信号源からの入力電圧Vinとの位相差であり、位相余裕がゼロ以下となると回路は発振状態となる。
【0006】
図18には、
図17に示された回路構成において、負荷容量CLを変化させた場合の位相余裕φMの計測結果が示されており、以下、同図について説明する。
図18において、横軸は負荷容量CLを、縦軸は位相余裕φMを、それぞれ示している。
同図によれば、位相余裕φMは負荷容量CLの増加と共に減少し、負荷容量CLが0.6nFに達した際にゼロとなることが確認できる。
つまり、
図17に示された非反転増幅回路の場合、理論上、負荷容量CLは0.6nF未満であれば安定動作が確保できるが、負荷容量CLが0.6nF以上となると発振するという問題がある。
【0007】
この発振に至る理由について、
図19に示された演算増幅器の内部回路を用いて以下に説明する。
図19に示された演算増幅器の内部回路は、従来から良く知られている一般的なものである。
この演算増幅器は、トランジスタM1,M2と電流源I1から構成された差動増幅回路101Aと、トランジスタM3~M6、及び、トランジスタM9~M13を中心に構成されたカスコード回路103Aと、トランジスタM7,M8、及び、トランジスタM14,15を中心に構成された出力回路104Aとに大別されて構成されたものとなっている。
【0008】
かかる構成の演算増幅器における位相余裕φMは、下記する式2に示されたように、ファーストポール周波数ωP1とセカンドポール周波数ωP2からなるアークタンジェントの関数で求められることが知られている(例えば、非特許文献1等参照)。
【0009】
φM∝tan-1(ωP2/ωP1)・・・式2
【0010】
なお、セカンドポール周波数ωP2は負荷容量CLの増加と共に減少することが知られている(非特許文献1参照)。
このセカンドポール周波数ωP2は演算増幅器の出力段のトランスコンダクタンスgmOUT、すなわち、
図19の回路の場合には、トランジスタM14,M15のトランスコンダクタンスgmOUTと負荷容量CLを用いて下記する式3により表される。
【0011】
ωP2∝gmOUT/CL・・・式3
【0012】
したがって、位相余裕は先の式2に式3を適用して下記する式4により表される。
【0013】
φM∝tan-1{gmOUT/(CL×ωP1)}・・・式4
【0014】
式4によれば、分母に負荷容量CLがあるため、負荷容量CLが増加すると位相余裕が減少することが確認でき、その結果、先の
図18に示されたような特性となるということができる。
【0015】
このような負荷容量CLの増加による位相余裕の減少を緩和する方策が、例えば、特許文献1等において提案されている。
図20には、特許文献1において提案された方策を施した演算増幅器の回路構成例が示されており、以下、同図を参照しつつ、その方策について説明する。
図20に示された回路は、先の
図19に示された演算増幅器の回路構成に、位相補償回路PX1,PX2を付加したものである。
【0016】
すなわち、位相補償回路PX1は、抵抗器R1とコンデンサC5の直列接続により構成され、コンデンサC5の他端が正電源端子VDDに、抵抗器R1の他端がトランジスタM15のゲートに、それぞれ接続されている。
また、位相補償回路PX2は、抵抗器R2とコンデンサC6の直列接続により構成され、コンデンサC6の他端が負電源端子VSSに、抵抗器R2の他端がトランジスタM14のゲートに、それぞれ接続されている。
【0017】
かかる位相補償回路PX1,PX2を設けることにより負荷容量CLの増加による位相余裕φMの減少が抑制されるのは次述する理由によるものである。
抵抗器R1,R2は、ゲイン低減のための抵抗であり、コンデンサはC5,C6はACカップリングコンデンサであり、これらの素子の組み合わせにより、直流領域での電圧利得は保持したまま、周波数が高い領域での演算増幅器の電圧利得を減じている。
【0018】
すなわち、位相補償回路PX1,PX2を設けることにより、ファーストポール周波数ωP1が低下するため、位相余裕が増加することとなる。
ファーストポール周波数ωP1は下記する式5で表される。
このことは、例えば、非特許文献1等において言及されている。
【0019】
ωP1∝1/(gmOUT×Cc×RL×Z1)・・・式5
【0020】
ここで、gmOUTは出力段のトランスコンダクタンスであり、
図20に示された構成の演算増幅器にあっては、トランジスタM14,M15のトランスコンダクタンスに相当する。また、Ccは位相補償容量であり、
図20に示された構成の演算増幅器にあっては、コンデンサC1~C4に相当する。さらに、RLは演算増幅器の負荷抵抗であり、先の
図17に示された非反転増幅回路の場合、抵抗器R101と抵抗器R102の総和に相当する。
【0021】
さらに、Z1は演算増幅器の出力段の入力インピーダンスである。すなわち、Z1は、トランジスタM14のゲートノードの合成インピーダンスに相当し、具体的には、抵抗器R2とコンデンサC6のインピーダンスで表される関数である。
したがって、先の式5は、下記する式6のように変換できる。
【0022】
ωP1∝1/{gmOUT×Cc×RL×(R2+ZC6)}・・・式6
【0023】
ここで、R2は抵抗器R2の抵抗値、ZC6はコンデンサC6のインピーダンスである。また、”R2+ZC6”は、R2とZC6の直列接続による合成値を意味する。
この式6を位相余裕を求める先の式4に適用すると、位相余裕は下記する式7により表される。
【0024】
φM∝tan-1{gmOUT2×Cc×RL×(R2+ZC6)/CL)}・・・式7
【0025】
このように、アークタンジェントの分子に(R2+ZC6)があるため、位相補償回路PX2の付加に伴い位相余裕は増加することとなる。つまり、分子の(R2+ZC6)が増加した分だけ、より大きな負荷容量CLに対応できることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【0027】
【非特許文献1】吉澤浩和著、「CMOS OPアンプ回路 実務設計の基礎」、CQ出版社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
しかしながら、上述のような位相補償回路を用いた場合、その構成部品である抵抗器R1,R2、及び、コンデンサC5,C6により、利得帯域幅積GBWが低下するという問題がある。
この利得帯域幅積GBWは下記する式8により表されるものである。
【0029】
GBW=ωP1×Av・・・式8
【0030】
ここで、GBWは演算増幅器の利得帯域幅積、Avは演算増幅器のオープンループゲインである。
この式8に、先の式6を適用すると下記する式9のように書き換えられる。
【0031】
GBW∝Av/{gmOUT×Cc×RL×(R2+ZC6)}・・・式9
【0032】
しかして、利得帯域幅積GBWは、位相補償回路の抵抗器R2とコンデンサC6のインピーダンスの大きさに反比例し、これらの部品を付加することで利得帯域幅積GBWが低下するという問題を招くことが理解できる。
【0033】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、利得帯域幅積GBWの低下を招くことなく大きな負荷容量に対しても位相余裕の確保を可能とする演算増幅器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る演算増幅器は、
2つの入力信号の差動増幅を可能に構成されてなる差動増幅回路と、前記差動増幅回路の出力信号をカスコード増幅可能に構成されてなるフォールデッドカスコード回路と、前記フォールデッドカスコード回路の出力信号を出力する出力回路とを具備してなる演算増幅器において、
前記フォールデッドカスコード回路と前記出力回路の間に位相補償回路を設け、前記位相補償回路の回路定数の選定によって、前記出力回路の負荷容量の増加に対する位相余裕の減少の抑制と共に利得帯域幅積の維持を可能にしてなるものである。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、位相補償回路の回路定数の設定によって利得帯域幅積の低下を招くことなく、負荷容量が増加しても位相余裕の減少を抑制でき、安定した動作特性の演算増幅器を提供することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の実施の形態における演算増幅器の第1の実施例における基本回路構成例を示す回路図である。
【
図2】本発明の実施の形態における演算増幅器の第1の実施例における具体回路構成例を示す回路図である。
【
図3】本発明の実施の形態における演算増幅器の第2の実施例における基本回路構成例を示す回路図である。
【
図4】本発明の実施の形態における演算増幅器の第2の実施例における具体回路構成例を示す回路図である。
【
図5】本発明の実施の形態における演算増幅器の第3の実施例における基本回路構成例を示す回路図である。
【
図6】本発明の実施の形態における演算増幅器の第3の実施例における具体回路構成例を示す回路図である。
【
図7】本発明の実施の形態における演算増幅器の第4の実施例における基本回路構成例を示す回路図である。
【
図8】本発明の実施の形態における演算増幅器の第5の実施例における具体回路構成例を示す回路図である。
【
図9】本発明の実施の形態における演算増幅器の第6の実施例における具体回路構成例を示す回路図である。
【
図10】本発明の実施の形態における演算増幅器の第7の実施例における具体回路構成例を示す回路図である。
【
図11】本発明の実施の形態における演算増幅器の第8の実施例における具体回路構成例を示す回路図である。
【
図12】本発明の実施の形態における演算増幅器に用いられる位相補償回路の第1の具体回路例を示す回路図である。
【
図13】本発明の実施の形態における演算増幅器に用いられる位相補償回路の第2の具体回路例を示す回路図である。
【
図14】本発明の実施の形態における演算増幅器に用いられる位相補償回路の第3の具体回路例を示す回路図である。
【
図15】本発明の実施の形態における演算増幅器の負荷容量の変化に対する位相余裕の変化特性例を示す特性線図である。
【
図16】本発明の実施の形態における演算増幅器の負荷容量の変化に対する利得帯域幅積の変化特性例を示す特性線図である。
【
図17】演算増幅器を用いた非反転増幅回路の回路例を示す回路図である。
【
図18】
図17に示された非反転増幅回路における負荷容量の変化に対する位相余裕の変化特性例を示す特性線図である。
【
図19】演算増幅器の従来の具体回路構成例を示す回路図である。
【
図20】
図19に示された回路構成の演算増幅器において、従来の位相補償回路を設けた場合の回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、
図1乃至
図16を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における演算増幅器の第1の実施例の基本回路構成例について、
図1を参照しつつ説明する。
この演算増幅器は、差動増幅回路101と、フォールデッドカスコード回路103と、位相補償回路(
図1においては「AX」と表記)102と、出力回路104とに大別されて構成されたものとなっている。
この演算増幅器は、位相補償回路102が設けられた点を除けば、基本的には従来の演算増幅器の構成と同一の構成を有してなるものである。
【0038】
図2には、
図1においてブロックとして示された位相補償回路102の具体回路を含めた第1の実施例の具体回路例が示されており、以下、
図2を参照しつつ第1の実施例について説明することで、
図1に示された回路構成の説明に代えることとする。また、
図12には、位相補償回路102のみの回路構成が示されているが、基本的に
図2に示された回路構成と異なるところはないので、
図2の回路説明を以て
図12の回路説明に代えることとする。
【0039】
以下、
図2を参照しつつ説明する。
差動増幅回路101は、差動対を構成する第1及び第2のトランジスタ(
図2においては、それぞれ「M1」、「M2」と表記)1,2と、第1の定電流源(
図2においては「I1」と表記)25とを主たる構成要素として構成されたものとなっている。なお、本発明の実施の形態においては、第1及び第2のトランジスタ1,2には、P型MOSFET(第1極性)が用いられている。
【0040】
差動増幅回路101において、第1及び第2のトランジスタ1,2は、各々のソースが相互に接続されると共に、その接続点と正電源端子65との間に、第1の定電流源25が設けられている。
第1のトランジスタ1のゲートは非反転入力端子(
図2においては「INP」と表記)61に、第2のトランジスタ2のゲートは反転入力端子(
図2においては「INM」と表記)62に、それぞれ接続されている。
【0041】
また、第1のトランジスタ1のドレインは、後述するフォールデッドカスコード回路103の第4のトランジスタ(
図2においては「M4」と表記)4のドレインに、第2のトランジスタ2のドレインは、第3のトランジスタ(
図2においては「M3」と表記)3のドレインに、それぞれ接続されている。
【0042】
次に、フォールデッドカスコード回路103は、第3乃至第6のトランジスタ(
図2においては、それぞれ「M3」、「M4」、「M5」、「M6」と表記)3~6と、第9乃至第13のトランジスタ(
図2においては、それぞれ「M9」、「M10」、「M11」、「M12」、「M13」と表記)9~13と、第2の定電流源(
図2においては「I2」と表記)26とを主たる構成要素として構成されたものとなっている。
なお、本発明の実施の形態においては、第3乃至第6のトランジスタ3~6には、N型MOSFET(第2極性)が、第9~第13のトランジスタ9~13には、P型MOSFETが、それぞれ用いられている。
【0043】
フォールデッドカスコード回路103において、第3及び第4のトランジスタ3,4は、各々のゲートが相互に接続される一方、各々のソースは共に負電源端子(
図2においては「VSS」と表記)66に接続されている。
また、第3のトランジスタ3のドレインには、第5のトランジスタ(
図2においては「M5」と表記)5のソースが、第4のトランジスタ4のドレインには、第6のトランジスタ(
図2においては「M6」と表記)6のソースが、それぞれ接続されている。
【0044】
第5及び第6のトランジスタ5,6は、各々のゲートが相互に接続されると共に、その接続点と負電源端子66との間には第1の定電圧源(
図2においては「V1」と表記)55が設けられて、第1の定電圧が印加されるようになっている。なお、第1の定電圧源55は、その正極が第5及び第6のトランジスタ5,6の各々のゲートに、負極が負電源端子66に、それぞれ接続されている。
また、第5のトランジスタ5のドレインは、第3及び第4のトランジスタ3,4のゲートと接続されている。
かかる回路構成により、第3及び第5のトランジスタ3,5がカレントミラーの入力段を、第4のトランジスタ4がカレントミラーの出力段を構成している。
【0045】
一方、第11乃至13のトランジスタ11~13は、各々のゲートが相互に接続されると共に、第13のトランジスタ13のドレインと接続される一方、各々のソースは、共に正電源端子65に接続されている。
第13のトランジスタ13のドレインと負電源端子66との間には第2の定電流源26が設けられている。
【0046】
また、第11のトランジスタ11のドレインには、第9のトランジスタ9のソースが、第12のトランジスタ12のドレインには、第10のトランジスタ10のソースが、それぞれ接続されている。
第9及び第10のトランジスタ9,10は、各々のゲートが相互に接続されると共に、その接続点と正電源端子65との間には、第3の定電圧源(
図2においては「V3」と表記)57が設けられて、第3の定電圧が印加されるようになっている。なお、第3の定電圧源57は、その正極が正電源端子65に、負極が第9及び第10のトランジスタ9,10のゲートに、それぞれ接続されている。
【0047】
さらに、第6のトランジスタ6のドレインと第10のトランジスタ10のドレインには、後述するように出力回路104が接続されている。
またさらに、第5及び第6のトランジスタ5,6と第9及び第10のトランジスタ9,10との間には、次述するように位相補償回路102が接続されている。
【0048】
位相補償回路102は、補償用第1及び第2のトランジスタ(
図2においては、それぞれ「MX1」、「MX2」と表記)21,22と、補償用第1及び第2のコンデンサ(
図2においては、それぞれ「CX1」、「CX2」と表記)35,36を有して構成されている。なお、本発明の実施の形態において、補償用第1のトランジスタ21にはP型MOSFETが、補償用第2のトランジスタ22にはN型MOSFETが、それぞれ用いられている。
【0049】
補償用第1のトランジスタ21と補償用第2のトランジスタ22は、並列接続状態で第9のトランジスタ9のドレインと第5のトランジスタ5のドレインの間に接続されて設けられている。
すなわち、補償用第1のトランジスタ21のソースと補償用第2のトランジスタ22のドレインは、相互に接続されると共に第9のトランジスタ9のドレインに接続されている。なお、
図1、
図12においては、この補償用第1及び第2のトランジスタ21の相互の接続点と第9のトランジスタ9との接続ノードを、便宜的に”P1”と表記している。
【0050】
また、補償用第1のトランジスタ21のドレインと補償用第2のトランジスタ22のソースは、相互に接続されると共に第5のトランジスタ5のドレインに接続されている。なお、
図1、
図12においては、この補償用第1及び第2のトランジスタ21の相互の接続点と第5のトランジスタ5との接続ノードを、便宜的に”P6”と表記している。
【0051】
補償用第1のコンデンサ35の一端は、補償用第1のトランジスタ21のソースと補償用第2のトランジスタ22のドレインとの接続点に、他端は、第5及び第6のトランジスタ5,6のゲートに、それぞれ接続されている。なお、
図1、
図12においては、この補償用第1のコンデンサ35と第5及び第6のトランジスタ5,6のゲートとの接続ノードを、便宜的に”P5”と表記している。
【0052】
一方、補償用第2のコンデンサ36の一端は、第9及び第10のトランジスタ9,10のゲートに、他端は、補償用第1のトランジスタ21のドレインと補償用第2のトランジスタ22のソースとの接続点に、それぞれ接続されている。なお、
図1、
図12においては、この補償用第2のコンデンサ36と第9及び第10のトランジスタ9,10のゲートとの接続ノードを、便宜的に”P2”と表記している。
【0053】
さらに、補償用第1のトランジスタ21のゲートは、後述する第8のトランジスタ(
図2においては「M8」と表記)8のゲートに、補償用第2のトランジスタ22のゲートは、後述する第7のトランジスタ(
図2においては「M7」と表記)7のゲートに、それぞれ接続されている。なお、
図1、
図12においては、この補償用第1のトランジスタ21と第8のトランジスタ8のゲートとの接続ノードを、便宜的に”P3”と、また、補償用第2のトランジスタ22と第7のトランジスタ7のゲートとの接続ノードを、便宜的に”P4”と、それぞれ表記している。
【0054】
出力回路104は、第7及び第8のトランジスタ7,8並びに第14及び第15のトランジスタ(
図2においては、それぞれ「M14」、「M15」と表記)14,15を主たる構成要素として構成されている。なお、本発明の実施の形態において、第7及び第14のトランジスタ7,14にはN型MOSFETが、第8及び第15のトランジスタ8,15にはP型MOSFETが、それぞれ用いられている。
【0055】
第7のトランジスタ7と第8のトランジスタ8は、並列接続状態で、第10のトランジスタ10のドレインと第6のトランジスタ6のドレインの間に接続されて設けられている。
すなわち、第7のトランジスタ7のドレインと第8のトランジスタ8のソースは、相互に接続されると共に、第10のトランジスタ10のドレイン及び第15のトランジスタ15のゲートに接続されている。
また、第7のトランジスタ7のソースと第8のトランジスタ8のドレインは、相互に接続されると共に、第6のトランジスタ6のドレインに接続されると共に、第14のトランジスタ14のゲートに接続されている。
【0056】
さらに、第7のトランジスタ7のゲートと負電源端子66との間には第2の定電圧源(
図2においては「V2」と表記)56が設けられて、第2の定電圧が印加されるようになっている。なお、第2の定電圧源56は、その正極が第7のトランジスタ7のゲートに、負極が負電源端子66に、それぞれ接続されている。
またさらに、第8のトランジスタ8のゲートと正電源端子65との間には第4の定電圧源(
図2においては「V4」と表記)58が設けられて、第4の定電圧が印加されるようになっている。なお、第4の定電圧源58は、その正極が正電源端子65に、負極が第8のトランジスタ8のゲートに、それぞれ接続されている。
【0057】
出力段をなす第14及び第15のトランジスタ14,15は、正電源端子65と負電源端子66との間に、正電源端子65側から第15のトランジスタ15、第14のトランジスタ14の順に直列接続されて設けられている。
すなわち、第15のトランジスタ15のソースは、正電源端子65に接続される一方、ドレインは第14のトランジスタ14のドレインと共に出力端子(
図2においては「OUT」と表記)63に接続されている。
【0058】
第14のトランジスタ14のソースは、負電源端子66と接続されている。
また、第15のトラジスタ15のゲートとドレインとの間には、第2のコンデンサ(
図2においては「C2」と表記)32が、第14のトランジスタ14のゲートとドレインとの間には、第3のコンデンサ(
図2においては「C3」と表記)33が、それぞれ接続されている。
【0059】
また、出力端子63と、第10のトランジスタ10のソースと第12のトランジスタ12のドレインとの接続点との間には、第1のコンデンサ(
図2においては「C1」と表記)31が接続されている。
さらに、出力端子63と、第4のトランジスタ4のドレインと第6のトランジスタ6のソースとの接続点との間には、第4のコンデンサ(
図2においては「C4」と表記)34が接続されている。
【0060】
次に、かかる構成における位相補償回路102の補償用第1及び第2のコンデンサ35,36の容量値の選定について説明する。
まず、補償用第1のコンデンサ35の容量値CX1は、第1乃至第4のコンデンサ31~34の各々の容量値C1~C4との間において、下記する式10乃至式13に示された不等式のいずれか一つを満たす必要がある。
【0061】
CX1>C1・・・式10
【0062】
CX1>C2・・・式11
【0063】
CX1>C3・・・式12
【0064】
CX1>C4・・・式13
【0065】
ここで、CX1は補償用第1のコンデンサ35の容量値、C1は第1のコンデンサ31の容量値、C2は第2のコンデンサ32の容量値、C3は第3のコンデンサ33の容量値、C4は第4のコンデンサ34の容量値である。
【0066】
また、補償用第2のコンデンサ36の容量値CX2は、第1乃至第4のコンデンサ31~34の各々の容量値C1~C4との間において、下記する式14乃至式17に示された不等式のいずれか一つを満たす必要がある。
【0067】
CX2>C1・・・式14
【0068】
CX2>C2・・・式15
【0069】
CX2>C3・・・式16
【0070】
CX2>C4・・・式17
【0071】
次に、補償用第1及び第2のトランジスタ21,22の選定条件について説明する。
まず、補償用第1のトランジスタ21は、下記する式18を満たす必要がある。
【0072】
W(MX1)/L(MX1)=W(M8)/L(M8)・・・式18
【0073】
ここで、W(MX1)は、補償用第1のトランジスタ21のチャネル幅、L(MX1)は、補償用第1のトランジスタ21のチャネル長、W(M8)は、第8のトランジスタ8のチャネル幅、L(M8)は第8のトランジスタ8のチャネル長である。
すなわち、式18は、補償用第1のトランジスタ21のチャネル長に対する補償用第1のトランジスタ21のチャネル幅の比と、第8のトランジスタ8のチャネル長に対する第8のトランジスタ8のチャネル幅の比が等しいことを表している。
【0074】
また、補償用第2のトランジスタ22は、下記する式19を満たす必要がある。
【0075】
W(MX2)/L(MX2)=W(M7)/L(M7)・・・式19
【0076】
ここで、W(MX2)は、補償用第2のトランジスタ22のチャネル幅、L(MX2)は、補償用第2のトランジスタ22のチャネル長、W(M7)は、第7のトランジスタ7のチャネル幅、L(M7)は第7のトランジスタ7のチャネル長である。
すなわち、式19は、補償用第2のトランジスタ22のチャネル長に対する補償用第2のトランジスタ22のチャネル幅の比と、第7のトランジスタ7のチャネル長に対する第7のトランジスタ7のチャネル幅の比が等しいことを表している。
【0077】
図15には、本発明の実施の形態における演算増幅器の負荷容量の変化に対する位相余裕の変化特性例が示されており、以下、同図について説明する。
この特性例は、本発明の実施の形態における演算増幅器を、先に
図17に示された非反転増幅回路として用いた場合の測定結果である。
図15には、従来の演算増幅器の特性例が点線の特性線により示されており、負荷容量CLが0.6nF程度で位相余裕φMがゼロ以下となり、理論上、発振状態に至ることが確認できる。
これに対して、本発明の実施の形態における演算増幅器では、実線の特性線で示されたように、負荷容量CLが10nFとなっても位相余裕φMは未だゼロに至っておらず、理論上、非発振状態で安定して動作可能であることが確認できる。
【0078】
図16には、本発明の実施の形態における演算増幅器の負荷容量の変化に対する利得帯域幅積の変化特性例が示されており、以下、同図について説明する。
同図によれば、本発明の実施の形態における演算増幅器にあっては、負荷容量CLが10nFまで増加しても利得帯域幅積GBWは、ほぼ20MHzを維持できていることが確認できる。すなわち、これは、負荷容量CLが増加しても、発振することなく高周波信号の増幅が可能であることを意味するものである。
【0079】
次に、第2の実施例について、
図3を参照しつつ説明する。
なお、
図1又は
図2に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第2の実施例は、先に説明した第1の実施例の回路に、第2の入力差動回路(
図3においては「BX1」と表記)107を付加した点が異なるもので、残余の構成部分は、基本的に第1の実施例と同一である。
【0080】
図4には、
図3においてブロックとして示された位相補償回路102の具体回路を含めた第2の実施例の具体回路例が示されており、以下、
図4を参照しつつ第2の実施例について説明することで、
図3に示された回路構成の説明に代えることとする。
【0081】
第2の入力差動回路107は、差動対用第1及び第2のトランジスタ(
図4においては、それぞれ「M101」、「M102」と表記)16,17と、差動対用定電流源(
図4においては「I101」と表記)27とを有して構成されている。
なお、本発明の実施の形態において、差動対用第1及び第2のトランジスタ16,17には、N型MOSFETが用いられている。
【0082】
差動対用第1のトランジスタ16のゲートは、第1のトランジスタ1のゲートと共に非反転入力端子61に、差動対用第2のトランジスタ17のゲートは、第2のトランジスタ2のゲートと共に、反転入力端子62に、それぞれ接続されている。
また、差動対用第1及び第2のトランジスタ16,17の各々のソースは、相互に接続されて、その接続点と負電源端子66との間に、差動対用定電流源27が設けられている。
【0083】
一方、差動対用第1のトランジスタ16のドレインは、第12のトランジスタ12のドレインと第10のトランジスタ10のソースとの接続点に接続されている。
また、差動対用第2のトランジスタ17のドレインは、第11のトランジスタ11のドレインと第9のトランジスタ9のソースとの接続点に接続されている。
【0084】
かかる構成においては、第2の入力差動回路107が設けられたことにより、第1の実施例では対応できない正電源電圧付近の入力信号に対しても安定した増幅出力を得ることが可能となっている。
この第2の実施例にあっても、補償用第1及び第2のコンデンサ35,36の容量値の選定条件、及び、補償用第1及び第2のトランジスタ21,22の選定条件は、先の第1の実施例で説明した条件と同一であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略することとする。
【0085】
したがって、この第2の実施例にあっても、第1の実施例同様、負荷容量CLが10nFとなっても位相余裕φMは未だゼロとなることはない(
図15参照)。また、負荷容量CLが10nFまで増加しても利得帯域幅積GBWは、ほぼ20MHzを維持可能である(
図16参照)。
【0086】
次に、第3の実施例について、
図5を参照しつつ説明する。
なお、
図1又は
図2に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第3の実施例は、先に説明した第1の実施例の回路における第1及び第2のトランジスタ1,2で構成された入力差動対の能動負荷(第3及び第4のトランジスタ3,4によるカレントミラー)を、抵抗負荷回路(
図5においては「TX1」と表記)105に置き換えると共に、フォールデッドカスコードのカレントミラー(第11及び第12のトランジスタ11,12によるカレントミラー)を、調整用抵抗回路(
図5においては「TX2」と表記)106に置き換えたものである。
【0087】
図6には、
図5においてブロックとして示された位相補償回路102の具体回路を含めた第3の実施例の具体回路例が示されており、以下、
図6を参照しつつ第3の実施例について説明することで、
図5に示された回路構成の説明に代えることとする。
抵抗負荷回路105は、負荷用第1及び第2の抵抗器(
図6においては、それぞれ「R11」、「R12」と表記)45,46を有して構成されている。
【0088】
負荷用第1の抵抗器45は、第3のトランジスタ3(
図2参照)に代えて、その一端が、第2のトランジスタ2のドレイン及び第5のトランジスタ5のソースに接続される一方、他端は、負電源端子66に接続されている。
負荷用第2の抵抗器46は、第4のトランジスタ4及び第1の定電圧源55(
図2参照)に代えて、その一端が、第1のトランジスタ1のドレイン及び第6のトランジスタ6のソースに接続される一方、他端は、負電源端子66に接続されている。
【0089】
一方、調整用抵抗回路106は、電流調整用第1及び第2の抵抗器(
図6においては、それぞれ「R13」、「R14」と表記)47,48を有して構成されている。
電流調整用第1の抵抗器47は、第11のトランジスタ11(
図2参照)に代えて、第9のトランジスタ9のソースと正電源端子65との間に直列接続されて設けられている。
また、電流調整用第2の抵抗器48は、第12のトランジスタ12と第3の定電圧源57(
図2参照)に代えて、第10のトランジスタ10のソースと正電源端子65との間に直列接続されて設けられている。
さらに、電流調整用第3の抵抗器49は、第13のトランジスタ13のソースと正電源端子65との間に直列接続されて設けられている。
【0090】
かかる構成においては、入力オフセット電圧を、抵抗負荷回路105や調整用抵抗回路106の抵抗値によって調整可能となるため、いわゆる高精度演算増幅器にも適用可能となる。また、第1の実施例においては、能動負荷の第3及び第4のトランジスタ3,4、並びに、カレントミラーを構成する第11及び第12のトランジスタ11,12が大きいサイズのものであると、リーク電流が発生する。このようなリーク電流の発生は、特に、低消費電流を特徴とする演算増幅器では無視できないものとなるが、この第3の実施例のように、能動負荷を抵抗負荷に変更することで低消費電流の演算増幅器にも適用可能となる。
【0091】
この第3の実施例にあっても、補償用第1及び第2のコンデンサ35,36の容量値の選定条件、及び、補償用第1及び第2のトランジスタ21,22の選定条件は、先の第1の実施例で説明した条件と同一であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略することとする。
【0092】
したがって、この第3の実施例にあっても、第1の実施例同様、負荷容量CLが10nFとなっても位相余裕φMは未だゼロとなることはない(
図15参照)。また、負荷容量CLが10nFまで増加しても利得帯域幅積GBWは、ほぼ20MHzを維持可能である(
図16参照)。
【0093】
次に、第4の実施例について、
図7を参照しつつ説明する。
なお、
図1、
図2、
図3、
図5又は
図6に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第4の実施例は、
図5に示された第3の実施例の回路に、先に第2の実施例で説明した第2の入力差動回路107を付加した点が異なるもので、残余の構成部分は、基本的に第3の実施例と同一である。
【0094】
第2の入力差動回路107を付加したことで、先の第3の実施例では対応できない正電源電圧付近の入力信号に対しても安定した増幅出力を得ることが可能となる点は、第2の実施例と同様である。
この第4の実施例にあっても、補償用第1及び第2のコンデンサ35,36の容量値の選定条件、及び、補償用第1及び第2のトランジスタ21,22の選定条件は、先の第1の実施例で説明した条件と同一であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略することとする。
【0095】
したがって、この第4の実施例にあっても、第1の実施例同様、負荷容量CLが10nFとなっても位相余裕φMは未だゼロとなることはない(
図15参照)。また、負荷容量CLが10nFまで増加しても利得帯域幅積GBWは、ほぼ20MHzを維持可能である(
図16参照)。
【0096】
さらに、かかる構成においては、抵抗負荷回路105や調整用抵抗回路106の抵抗値によって入力オフセット電圧を調整可能となり、いわゆる高精度演算増幅器にも適用可能となる点は、先の第3の実施例(
図6)と同様である。
またさらに、第3の実施例で説明したと同様に、抵抗負荷回路105を用いることで、能動負荷の場合に生ずるリーク電流の発生を防止でき、低消費電流の演算増幅器にも対応可能となる。
【0097】
次に、第5の実施例について、
図8及び
図13を参照しつつ説明する。
なお、
図4に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第5の実施例は、先に
図4に示された回路構成において、位相補償回路102に代えて、次述する回路構成を有する位相補償回路102Aを設けた点が異なるもので、残余の回路構成は、
図4に示された回路と同一である。
なお、
図13には、位相補償回路102Aのみの回路図が示されているが、基本的に
図8に示された回路図と異なるところはなく、
図8の回路説明を以て
図13の回路説明に代えることとする。
【0098】
位相補償回路102Aは、補償用第1及び第2のトランジスタ21,22と、補償用第1及び第2のコンデンサ35,36と、補償用第1及び第2の抵抗器(
図8においては、それぞれ「RX1」、「RX2」と表記)41,42とを有して構成されている。
以下、回路構成について具体的に説明する。
この位相補償回路102Aにおいては、補償用第1及び第2のトランジスタ21,22の接続部分は、先に説明した位相補償回路102と同一であり、補償用第1及び第2のコンデンサ35,36と補償用第1及び第2の抵抗器41,42の接続部分が異なるので、その異なる部分についてのみ説明する。
【0099】
まず、補償用第1のコンデンサ35の一端は、
図2及び
図4の回路同様、第9のトランジスタ9と補償用第1のトランジスタ21との接続点に接続される一方、補償用第1のコンデンサ35の他端は、補償用第1の抵抗器41を介して第5及び第6のトランジスタ5,6の相互に接続されたゲートに接続されている。
また、補償用第2のコンデンサ36の他端は、
図2及び
図4の回路同様、第5のトランジスタ5と補償用第2のトランジスタ22との接続点に接続される一方、補償用第2のコンデンサ36の一端は、補償用第2の抵抗器42を介して第9及び第10のトランジスタ9,10の相互に接続されたゲートに接続されている。
【0100】
この位相補償回路102Aは、補償用第1及び第2の抵抗器41,42を設けたことにより、位相補償回路102と比較して、位相余裕φMの調整が容易となる。
補償用第1及び第2の抵抗器41,42の抵抗値を増加させることは、ゼロ点周波数の低周波化をもたらす。その結果、利得余裕は減少するが、位相余裕は増加する。すなわち、補償用第1及び第2の抵抗器41,42を追加することで、利得余裕を対価として高い位相余裕を得ることが可能となる。
【0101】
なお、補償用第1及び第2のコンデンサ35,36の容量値の選定条件、及び、補償用第1及び第2のトランジスタ21,22の選定条件は、先の第1の実施例で説明した条件と同一であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略することとする。
【0102】
したがって、
図8に示された回路にあっても、第1の実施例同様、負荷容量CLが10nFとなっても位相余裕φMは未だゼロとなることはない(
図15参照)。また、負荷容量CLが10nFまで増加しても利得帯域幅積GBWは、ほぼ20MHzを維持可能である(
図16参照)。
【0103】
次に、第6の実施例について、
図9を参照しつつ説明する。
この第6の実施例は、先に
図7に示された第4の実施例における位相補償回路102を、位相補償回路102Aに代えた点が異なるもので、残余の構成部分は、
図7に示された回路構成と同一である。
また、位相補償回路102Aは、第5の実施例(
図8参照)で説明した通りであるので、ここでの再度の詳細な説明は省略することとする。
位相補償回路102Aの作用は、位相補償回路102と同様である。
【0104】
したがって、演算増幅器としての全体の作用等は、先の第4の実施例と同様に、第2の入力差動回路107により、先の第3の実施例では対応できない正電源電圧付近の入力信号に対しても安定した増幅出力を得ることが可能となる。
また、抵抗負荷回路105や調整用抵抗回路106の抵抗値によって入力オフセット電圧を調整可能となり、いわゆる高精度演算増幅器にも適用可能となる。
またさらに、抵抗負荷回路105を用いることで、能動負荷の場合に生ずるリーク電流の発生を防止でき、低消費電流の演算増幅器にも対応可能となる。
【0105】
次に、第7の実施例について、
図10を参照しつつ説明する。
なお、
図1、
図2に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第7の実施例は、
図1、
図2に示された第1の実施例に、さらに、ゼロ点用第1乃至第4の抵抗器(
図10においては、それぞれ「R21」、「R22」、「R23」、「R24」と表記)51~54を設けた点が異なるもので、残余の構成部分は、基本的に
図1、
図2に示された回路構成と同一である。
【0106】
以下、具体的に説明すれば、まず、ゼロ点用第1の抵抗器51は、第1のコンデンサ31と出力端子63との間に、また、ゼロ点用第4の抵抗器54は、第4のコンデンサ34と出力端子63との間に、それぞれ設けられている。
また、ゼロ点用第2の抵抗器52は、第2のコンデンサ32と出力端子63との間に、ゼロ点用第3の抵抗器53は、第3のコンデンサ33と出力端子63との間に、それぞれ設けられている。
これらゼロ点用第1乃至第4の抵抗器51~54の抵抗値を適宜選定することで、
図1、
図2の回路に比してゼロ点の調整が容易となる。
【0107】
次に、第8の実施例について、
図11を参照しつつ説明する。
なお、
図1、
図2に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第8の実施例は、
図1、
図2に示された回路構成におけるフォールデッドカスコードのカレントミラー構成を変更したものである。
第1の実施例においては、第3及び第4のトランジスタ3,4は、カレントミラーを構成していたが、この第8の実施例においては、第11及び第12のトランジスタ11,12よってカレントミラーが構成されたものとなっている。
【0108】
以下、具体的な回路構成について説明する。
まず、第3及び第4のトランジスタ3,4の各々のゲートは、相互に接続されて第13のトランジスタ13のゲートと共に、第13のトランジスタ13のドレインに接続されている。
第13のトランジスタ13は、ドレインと正電源端子65との間に第2の定電流源26が設けられる一方、ソースは負電源端子66に接続されている。
【0109】
また、第11及び第12のトランジスタ11,12の各々のゲートは相互に接続されると共に、第9のトランジスタ9のドレインに接続されて、カレントミラーを構成している。
【0110】
次に、第9の実施例について、
図14を参照しつつ説明する。
なお、
図1、
図2、
図13に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
第9の実施例は、特に、先の位相補償回路102、102Aに代わる位相補償回路(
図14においては「AX2A」と表記)102Bの構成に関するものである。
この位相補償回路102Bは、位相補償回路102Aにおける補償用第1及び第2のコンデンサ35,36と補償用第1及び第2の抵抗器41,42との接続順を次述するように変えたものである。
【0111】
すなわち、補償用第1の抵抗器41の一端は接続ノードP1に接続される一方、他端は補償用第1のコンデンサ35を介して接続ノードP5に接続されている。
また、補償用第2の抵抗器42の一端は接続ノードP6に接続される一方、他端は補償用第2のコンデンサ36を介して接続ノードP2に接続されている。
なお、この位相補償回路102Bが、負荷容量CLの変化に対する位相余裕φMの変化や利得帯域幅積の変化に与える作用は、位相補償回路102Aと基本的に同一であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
【0112】
なお、上述した本発明の実施の形態においては、MOSFETを用いた構成を示したが、これに限定される必要はなく、例えば、N型MOSFETをNPNバイポーラトランジスタに、P型MOSFETをPNPバイポーラトランジスタに、それぞれ置き換えても良い。
また、上述した本発明の実施の形態においては、第5の実施例(
図8参照)及び第6の実施例(
図9参照)の第2の入力差動回路107が設けられた回路構成に位相補償回路102Aを設けた例を示したが、位相補償回路102Aを用いるにあたって、第2の入力差動回路107は必須ではなく、例えば、
図1、
図2に示された第1の実施例に示された回路構成において、位相補償回路102に代えて位相補償回路102A又は102Bを設けても良い。
【0113】
さらに、第3の実施例(
図6参照)において、抵抗負荷回路105と調整用抵抗回路106を設けた構成例を示したが、この構成において、位相補償回路102を位相補償回路102A又は102Bに代えた構成としても良い。
またさらに、第4の実施例(
図7参照)における位相補償回路102を、位相補償回路102A又は102Bに代えた構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0114】
利得帯域幅積GBWの低下を招くことなく大きな負荷容量に対しても位相余裕の確保が所望される演算増幅器に適用できる。
【符号の説明】
【0115】
21…補償用第1のトランジスタ
22…補償用第2のトランジスタ
35…補償用第1のコンデンサ
36…補償用第2のコンデンサ
101…差動増幅回路
102…位相補償回路
103…フォールデッドカスコード回路
104…出力回路