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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042669
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20220308BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20220308BHJP
【FI】
H01L21/68 A
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148163
(22)【出願日】2020-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】上田 直輝
(72)【発明者】
【氏名】宮西 健二
(72)【発明者】
【氏名】仲村 邦彦
【テーマコード(参考)】
5F131
5H301
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA39
5F131CA37
5F131CA43
5F131DA23
5F131DA24
5F131DA33
5F131DA43
5F131DC04
5F131DD02
5F131DD33
5F131DD43
5F131DD57
5F131DD73
5F131DD76
5F131KA14
5F131KB58
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC10
5H301GG08
(57)【要約】
【課題】ウェーハ処理装置の生産において、レイアウト変更に柔軟に対応でき、自動で容器を搬送できる搬送システムを提供する。
【解決手段】半導体検査装置本体101のロードポート105に、着脱可能なプレート104を使用して、位置補正が可能なカメラ106および微小な誤差を許容するハンド107を有する協働ロボット108を搭載した、磁気テープ不要の自走型AGV109を用いて搬送システムを構成し、FOUP102をロードポート105に搬送する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを収納する容器を搬送する搬送システムであって、
位置補正用特徴物が設けられ、前記ウェーハを処理するウェーハ処理装置のインタフェース部に着脱可能に設置されるプレートと、前記容器と前記インタフェース部との間に前記プレートが設置された状態で、前記位置補正用特徴物を撮像可能なカメラと前記容器を搬送可能なハンドを有する自走型ロボットと、を備え、
前記自走型ロボットは、前記カメラで撮像した前記位置補正用特徴物の画像処理結果に基づき、前記容器を前記インタフェース部に取り付け、或いは前記インタフェース部から取り外す、
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
請求項1記載の搬送システムであって、
前記容器は、FOUP(Front Opening Unified Pod)である、
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項3】
請求項2記載の搬送システムであって、
前記インタフェース部は、ロードポートである、
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項4】
請求項3記載の搬送システムであって、
前記プレートは、
前記位置補正用特徴物を前記ロードポートの前方位置に有する、
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項5】
請求項4記載の搬送システムであって、
前記プレートは、前記ロードポートのガイドピン穴とセンサ穴を有する、
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項6】
請求項5記載の搬送システムであって、
前記プレートは、前記ロードポートが前記FOUPをクランプする連結機構用の連結穴を有する、
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項7】
請求項6記載の搬送システムであって、
前記プレートは、前記ロードポートに着脱可能な樹脂製プレートである、
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項8】
請求項7記載の搬送システムであって、
前記FOUPはその上部にフランジを有し、
前記ハンドは、前記フランジをすくい上げて搬送可能なフォーク型の形状を有する、
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項9】
請求項8記載の搬送システムであって、
前記ハンドは、前記フランジへのアクセス部に傾斜を有し、XY方向の誤差を許容可能である、
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項10】
請求項9記載の搬送システムであって、
前記ハンドは、前記FOUPを搬送中は前記FOUPの自重により、位置を固定可能である、
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項11】
請求項1記載の搬送システムであって、
前記ウェーハ処理装置は半導体検査装置である、
ことを特徴とする搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウェーハ処理装置、ウェーハ搬送システムにおけるウェーハ搬送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスに用いられるウェーハ処理装置の生産はクリーンルームで実施され、ウェーハを用いた調整が必須であり、ウェーハを収納するFOUP(Front Opening Unified Pod)などの容器を装置に搬送する必要がある。
【0003】
FOUPの把持部形状は、SEMI規格で規定されており、半導体製造ラインの自動化を目的として、磁気テープを使用したガイド付無人搬送車や、天井搬送車を用いたFOUPの自動搬送が行われている。
【0004】
天井搬送車を用いたFOUP自動搬送として特許文献1に開示されている。
【0005】
しかし、上述の2通りのFOUP搬送方法では、ウェーハ処理装置の生産時に搬送設備側に合わせた高精度の位置決めをする必要がある。
【0006】
さらに、次世代機のフットプリント変更や需要変動に伴う生産ラインのレイアウト変更に対しても、天井搬送車ガイドレールの工事や磁気テープの張替えなど膨大なメンテナンス時間が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-197705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
天井搬送車を用いる特許文献1では、カメラを用いて位置補正をすることで、装置側の配置誤差を許容しているが、レイアウト変更に対する考慮がなされていない。さらに、磁気テープを使用するFOUP搬送用のAGV(Automatic Guided Vehicle)は、磁気テープの張替え作業による膨大なメンテナンス時間の問題が解決していない。
【0009】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、レイアウト変更に対応可能な、磁気テープ不要の搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明においては、ウェーハを収納する容器を搬送する搬送システムであって、位置補正用特徴物が設けられ、ウェーハを処理するウェーハ処理装置のインタフェース部に着脱可能に設置されるプレートと、容器とインタフェース部との間にプレートが設置された状態で、位置補正用特徴物を撮像可能なカメラと容器を搬送可能なハンドを有する自走型ロボットと、を備え、自走型ロボットは、カメラで撮像した位置補正用特徴物の画像処理結果に基づき、容器をインタフェース部に取り付け、或いはインタフェース部から取り外す構成の搬送システムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、装置のレイアウト変更に柔軟に対応でき、容器搬送の自動化により、納期短縮とクリーン生産が可能となる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1に係る、FOUP搬送システム全体の概要を示す図。
図2】実施例1に係る、FOUPの設置または取得のフローチャートを示す図。
図3】実施例1に係る、補正用特徴物着脱可能プレートを示す図。
図4】実施例1に係る、誤差許容ハンドを示す図。
図5】実施例1に係る、レイアウト変更が発生した際のメンテナンスフローチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に従い、本発明を実施するための形態を順次説明する。
なお、以下に説明する実施形態では、半導体製造プロセスに用いられる「ウェーハ処理装置」の一例として、半導体検査装置を例として説明するが、これに限られることなく、半導体製造プロセスにおいてウェーハを観察、検査、計測、分析、加工、エッチング、洗浄、乾燥、熱処理、イオン注入、搬送(以下、「処理」と称する)する装置全般への適用が可能である。また、ウェーハの表面処理に関するウェーハ処理装置の例として、スパッタリングや化学蒸着(CVD)等の成膜処理、表面酸化や表面窒化等の表面改質処理、さらにはアッシング処理等を行う装置等についても、同様に適用することが可能である。
また、以下に説明する実施形態において、「半導体検査装置」とは、半導体ウェーハ上に形成されたパターンの寸法を計測する装置、半導体ウェーハ上に形成されたパターンの欠陥有無を検査する装置、或いはパターンが形成されていないベアウェーハの欠陥有無を検査する装置等をいい、これら装置を複数組み合わせた複合装置をも含むものとする。
また、以下の実施例の説明においてはFOUP搬送システムを例示して説明するが、本発明の搬送システムの搬送対象はFOUPに限定されず、その他のウェーハ格納用ポッドや容器の搬送を行う場合にも適用可能である。
【実施例0014】
実施例1は、ウェーハを収納する容器を搬送する搬送システムであって、位置補正用特徴物が設けられ、ウェーハを処理するウェーハ処理装置のインタフェース部に着脱可能に設置されるプレートと、容器とインタフェース部との間にプレートが設置された状態で、位置補正用特徴物を撮像可能なカメラと容器を搬送可能なハンドを有する自走型ロボットと、を備え、自走型ロボットは、カメラで撮像した位置補正用特徴物の画像処理結果に基づき、容器をインタフェース部に取り付け、或いはインタフェース部から取り外す構成の搬送システムの実施例である。
【0015】
図1は、実施例1に係るFOUP搬送システム全体の概要図である。半導体検査装置本体101では、本体にFOUP102を設置するためのロードポート(Load Port)105が配置される。ロードポート105は、FOUP102内のウェーハを装置本体に出し入れするインタフェース部を構成する。本搬送システムでは、位置補正用特徴物103をメーカにより形状の異なるFOUP102に設置不可のため、位置補正用特徴物103を、ロードポート105に着脱可能なプレート104に取り付ける。自走型ロボットとなる自走型AGV109の上部には、協働ロボット110を搭載し、位置補正用のカメラ106とFOUP102のフランジ108を取得可能なハンド107を取り付ける。
【0016】
図2に本実施例の搬送システムにおける、FOUP102のロードポート105への設置または取得のフローチャートを示す。設置または取得の動作は以下の通りである。
ステップ201:搬送開始先から自走型AGV109が移動を開始する。
ステップ202:対象となるロードポート105の前で停止する。この時、半導体検査装置本体101は、生産時に人手で設置するため、設置位置に誤差が生じ、磁気テープを使用しない自走型AGV109であるため停止位置に誤差が生じる。
ステップ203:カメラで撮像して位置補正用特徴物103を検出する。
ステップ204:位置補正用特徴物103を検出した後、特徴物上部へカメラを移動する。
ステップ205:プレート104に設置した位置補正用特徴物103をカメラ106で撮影して位置補正を行い、ロードポート105の座標系を取得することで、半導体検査装置101および自走型AGV109の誤差を許容する。ただし、カメラ106による位置補正では微小な誤差が生じる。
ステップ206:±2.5mmの誤差を許容可能なハンド107を用いて、カメラ補正による誤差を許容してFOUP102の設置または取得を行う。
ステップ207:FOUP102の設置または取得動作が完了となる。
【0017】
位置補正用特徴物103は、製造メーカによってFOUP102の形状が異なるため、フランジ108から同一の相対位置に位置補正用特徴物103をFOUP102に取り付けることが困難である。そのため、本実施例においてはロードポート105のFOUP取り付け用ガイドピンを利用して、着脱可能なプレート104に位置補正用特徴物103を取り付ける。
【0018】
図3に本実施例の着脱可能なプレートの詳細図を示す。プレートは、ロードポート105のFOUP取り付け用ガイドピン穴301や配置検出用センサ穴302を有し、FOUP102のIDリーダーを遮らない形状303とした。また、ロードポート105の種類によって、センサ位置やIDリーダーの大きさが異なるため、半導体検査装置101の結合対象のロードポート105の種類に限らない共有可能な形状とした。
FOUP102はロードポート105に設置後、前後の摺動動作をして半導体検査装置101とドッキングする。この摺動動作を妨げないために、プレート104の後方、すなわち図3の上部は、FOUPからはみ出さないサイズとしている。また、プレート中心の長方形の穴は、ロードポート105がFOUP102をクランプする連結機構用の大きさを有する連結穴である。
【0019】
本実施例のシステムにおいては、FOUP102をロードポート105に設置した場合、設置面とFOUP102間の距離は3mmである。また、ロードポート105は、図示を省略したFOUP102を固定する機能や、半導体検査装置101のウェーハ搬送機構とFOUP102を連結させる摺動機能を有する。これらの機能を保つために、本実施例においては、プレート104の厚みを3mm未満とした。
【0020】
プレート104の材質は、ロードポート105に着脱可能であり、設置面を傷つけないためやセンサ、ガイドの品質を保つために樹脂製プレートとした。特に、位置補正時の誤差を最小限に抑えるために、プレート104の平行度を0.3mm以下とした。また、本実施例においては、樹脂プレートとして、反りが少なく、正確な位置補正が可能であるPPS(Polyphenylenesulfide)材樹脂製プレートを使用した。反りが大きいとカメラによる特徴物撮影時の位置補正において、補正位置にズレが生じ、FOUPの設置、取得が正常に行えないためである。
【0021】
プレート104の位置補正用特徴物103の配置位置304は、FOUP102搭載時にカメラによって撮像可能であり、カメラ106が隣接FOUP102に干渉しない前方位置に配置できる形状とした。ここで前方とは、ロードポート105に自走型AGV109がアクセスする側を意味し、後方とは、FOUP102がドッキングする装置側を意味する。ロードポート105の前方位置に位置補正用特徴物103を配置することで、隣接したロードポート上のFOUP102と接触することなくカメラ106による撮像が可能となる。側面に位置補正用特徴物103を配置した場合は、隣接するロードポート105上のFOUP102と協働ロボット110が接触して位置補正が不可能となる。
【0022】
図4に本実施例のハンド107の詳細図を示す。ハンドは、段取り替えが発生すること無く、全種類のFOUP102を搬送できるように、SEMI規格で規定されているフランジ108をすくい上げて搬送可能なフォーク型の汎用的な誤差許容ハンド401とした。すなわち、ハンド401は、フランジ108へのアクセス部に傾斜を有し、XY方向の誤差を許容可能な構造を有する。
【0023】
また、フランジ108の取得部には傾斜402を設けることで、XY方向の誤差を許容して、FOUP102を持ち上げ可能とすると共に、突起403を設けることで搬送中はFOUP102の自重により、FOUP102の位置を固定することが可能な形状とした。さらに、上記の位置決め機構を有することで、FOUP102を繰り返し搬送時に配置誤差が増加することが無く、安定に搬送可能である。
【0024】
ハンド107は、カメラ106の撮像を妨げることなく協働ロボット110に取り付けることができる形状とし、協働ロボット110の可搬能力を保つために、重量は1.0kg以下として、ハンド107の厚みは、フランジ108にアクセス可能な10mm以下とした。
【0025】
図5には本実施例の搬送システムのメンテナンス時のフローチャートを示す。動作は以下の通りである。
ステップ501:生産変動による影響や装置フットプリントの変更によりレイアウト変更が必要となる。
ステップ501:磁気テープの張替えや工事をすることなく、自走型AGVの地図情報を地図作成ソフト上で変更する。
ステップ501:レイアウト変更対応完了。
上記の通り、本実施例によれば、レイアウト変更に対して容易に対応が可能となる。
【実施例0026】
半導体検査装置が配置される空間の棚や台に、FOUP設置用のガイドピンとプレートを用いることでFOUP102の搬送が可能であり、容易にレイアウトの変更や搬送箇所の追加が可能である。
【0027】
本発明は、以上に説明した実施例に限定されるものではなく、さらに、様々な変形例が含まれる。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0028】
101 半導体検査装置
102 FOUP
103 位置補正用特徴物
104 プレート
105 ロードポート
106 カメラ
107 ハンド
108 フランジ
109 自走型AGV
110 協働ロボット
301 ガイドピン穴
302 センサ穴
303 形状
304 配置位置
401 誤差許容ハンド
402 傾斜
403 突起
図1
図2
図3
図4
図5