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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043409
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】自動分析装置および検体情報作成方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/40 20180101AFI20220309BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20220309BHJP
   G16Y 10/60 20200101ALI20220309BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20220309BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20220309BHJP
【FI】
G16H10/40
G01N35/00 A
G16Y10/60
G16Y20/40
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148658
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岡下 理良
(72)【発明者】
【氏名】圷 正志
【テーマコード(参考)】
2G058
5L099
【Fターム(参考)】
2G058GD05
2G058GD06
5L099AA03
(57)【要約】
【課題】患者の個人情報の特別管理を要する検体に関する個人情報を適切に管理する。
【解決手段】コンピュータ3は、検体IDデータ120を参照し、表示装置12に、ログインしたユーザが参照権限を有する患者検体の検体IDを視認可能に一覧に表示し、ユーザが表示を指示する所定の検体IDにパスワードが設定されている場合には、表示装置にパスワード入力画面402を表示する。検体IDデータには、患者検体ごとに割り当てられる検体IDと、当該検体IDの患者検体の検体情報を表示するのにパスワードを要する場合にはパスワードと、当該検体IDの患者検体の検体情報に対して参照権限を有するユーザのユーザIDとを含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者検体の検体情報を表示する表示装置と、
検体IDデータを記憶する記憶装置と、
前記表示装置への検体情報の表示を制御するコンピュータとを有し、
前記検体IDデータは、患者検体ごとに割り当てられる検体IDと、当該検体IDの患者検体の検体情報を表示するのにパスワードを要する場合にはパスワードと、当該検体IDの患者検体の検体情報に対して参照権限を有するユーザのユーザIDとを含み、
前記コンピュータは、前記検体IDデータを参照し、前記表示装置に、ログインしたユーザが参照権限を有する患者検体の検体IDを視認可能に一覧に表示し、前記ユーザが表示を指示する所定の検体IDにパスワードが設定されている場合には、前記表示装置にパスワード入力画面を表示する自動分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記コンピュータは、前記所定の検体IDのパスワードの入力を受け、前記表示装置に前記所定の検体IDの患者検体の検体情報を表示する自動分析装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記コンピュータは、前記検体IDデータを参照し、前記表示装置に、ログインしたユーザが参照権限を有し、かつ表示するためにパスワードの入力が必要な患者検体の検体IDを視認可能に一覧に表示する自動分析装置。
【請求項4】
請求項1において、
複数のユーザが同時にログインしている場合において、
前記コンピュータは、前記検体IDデータを参照し、前記表示装置に、ログインした複数のユーザが共通に参照権限を有する患者検体の検体IDを視認可能に一覧に表示する自動分析装置。
【請求項5】
請求項1において、
患者検体の検体情報は、患者の個人情報と当該患者検体の測定結果を含む自動分析装置。
【請求項6】
請求項1において、
リーダを有し、
前記リーダにより、前記ユーザIDを記録したユーザID媒体または、前記パスワードを記録したパスワード解除媒体を読み取ることにより、前記ユーザIDまたは前記パスワードが入力される自動分析装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記ユーザID媒体または前記パスワード解除媒体は、バーコードまたはRFIDである自動分析装置。
【請求項8】
プロセッサと記憶装置とを有する情報処理装置を用いて、患者検体の検体情報を作成する検体情報作成方法であって、
分析項目種別及び患者区分の組み合わせごとに、自動分析装置による測定を担当する1以上のオペレータのオペレータIDを特定する担当オペレータデータを前記記憶装置に記憶し、
患者を一意に特定する患者IDと、前記患者IDの患者の個人情報、担当医の担当医ID及び患者区分を含む患者データを前記記憶装置に記憶し、
前記プロセッサは、検体IDが割り付けられた患者検体について、患者IDと分析項目種別の入力を受け、
前記プロセッサは、前記患者データから前記検体IDが割り付けられた患者検体につき患者の個人情報、担当医ID及び患者区分を取得し、前記検体IDの患者検体についての分析項目種別及び取得した患者区分に基づき、前記担当オペレータデータからオペレータIDを取得し、取得した患者区分が患者の個人情報の特別管理を要求する区分である場合にはパスワードを生成することにより検体IDデータを作成し、
前記検体IDデータは、前記検体IDと、当該検体IDの患者検体の患者区分が前記特別管理を要求する区分である場合にはパスワードと、当該検体IDの患者検体の検体情報に対して参照権限をユーザのユーザIDとを含み、前記ユーザIDは取得されたオペレータID及び担当医IDとを含む検体情報作成方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記検体IDデータは、前記情報処理装置から入出力装置が接続された第2の情報処理装置に転送され、
前記入出力装置に患者検体の検体情報を表示させるとき、表示を指示された検体IDの患者の個人情報は、前記検体IDデータの当該検体IDに対してパスワードが設定されている場合には、当該パスワードの入力が前記入出力装置への表示の条件とされる検体情報作成方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記検体IDデータは、前記第2の情報処理装置から自動分析装置に転送され、
前記自動分析装置の表示装置に患者検体の検体情報を表示させるとき、表示を指示された検体IDの患者の個人情報は、前記検体IDデータの当該検体IDに対してパスワードが設定されている場合には、当該パスワードの入力が前記表示装置への表示の条件とされる検体情報作成方法。
【請求項11】
請求項8において、
前記生成したパスワードを、パスワード解除媒体に記録する検体情報作成方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記パスワード解除媒体は、バーコードまたはRFIDである検体情報作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の検体(生体試料)の定量、定性分析を行う自動分析装置に関し、特に、患者の個人情報を適切に管理可能な自動分析装置、及び患者の個人情報を適切に管理するための検体情報作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置では、患者検体を測定し、得られた分析結果を検体の情報とともに表示画面に出力する。これらの情報には、検体の提供者である患者を特定する個人情報が含まれているため、その取扱いには細心の注意を要する。このような個人情報の漏出を防止するため、特許文献1では、使用者ID及びパスワードによる認証を行うことにより、ログインしたユーザの種別が検査技師などの一般使用者である場合と、技術者である場合とで、検査結果のみの出力とするのか、検査結果とともに患者IDや氏名等を含む患者属性情報を出力するのか、の設定を変更するように構成された自動分析装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-33536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、情報セキュリティの管理の厳密性がより厳しく求められる傾向にある。一方で、世界的に多様な働き方が求められており、フレキシブルワークとして、働く時間、働く場所、休暇などの自由度を高める傾向にあるため、検体分析を実施する検査室においても、人材が流動化の影響を受け、さまざまな雇用形態(例えば、パート、派遣など)の検査技師などが検査室に出入りをする状況が一般的になっていくと思われる。
【0005】
特許文献1では使用者IDで識別されたユーザの種別によって参照可能な情報を限定しているが、同じ種別とされるユーザが一律に参照可能となるように設定されてしまうと、情報セキュリティ管理の厳密性を担保することが困難になってくる。とりわけ、知名度が高い、あるいは社会的に影響力のある特定の患者の情報は、社会的な関心も高くなるため、漏洩時の影響が甚大になるおそれがある。
【0006】
そこで、患者検体での管理が可能な自動分析装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施の形態である自動分析装置は、患者検体の検体情報を表示する表示装置と、検体IDデータを記憶する記憶装置と、表示装置への検体情報の表示を制御するコンピュータとを有し、
検体IDデータは、患者検体ごとに割り当てられる検体IDと、当該検体IDの患者検体の検体情報を表示するのにパスワードを要する場合にはパスワードと、当該検体IDの患者検体の検体情報に対して参照権限を有するユーザのユーザIDとを含み、
コンピュータは、検体IDデータを参照し、表示装置に、ログインしたユーザが参照権限を有する患者検体の検体IDを視認可能に一覧に表示し、ユーザが表示を指示する所定の検体IDにパスワードが設定されている場合には、表示装置にパスワード入力画面を表示する。
【発明の効果】
【0008】
検体単位で画面表示が制御され、患者の個人情報の特別管理を要求する区分である場合にはパスワード入力が要求されることにより、参照権限のない第三者に見られないよう、ユーザに注意喚起を行うことができる。
【0009】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】多項目化学分析装置(自動分析装置)とそれに接続されるシステムの全体構成図である。
図2A】担当オペレータデータである。
図2B】患者データである。
図2C】検体IDデータである。
図2D】測定結果データである。
図3】検体情報を作成する手順を示すフローチャートである。
図4】検体情報を表示する画面例である。
図5】特定検体の検体情報表示のためのパスワード入力画面例である。
図6】検体情報の非表示を示す画面例である。
図7】検体情報を表示する手順を示すフローチャートである。
図8】ログイン初期画面例である。
図9】ログイン画面例である。
図10】複数ユーザが共通に参照可能な検体情報を表示する手順を示すフローチャートである。
図11】コメント編集者選択プルダウンを備えた、検体情報を表示する画面例である。
図12】パスワード解除方法選択画面例である。
図13】媒体によるパスワード解除初期画面例である。
図14】媒体によるパスワード解除画面例である。
図15】警告画面例である。
図16】警告画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
検体の複数の依頼項目の分析を測光方式によって分析する多項目化学分析装置を例に、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、多項目化学分析装置に限られるものではなく、患者検体を扱う種々の自動分析装置に適用可能である。
【実施例0012】
図1は多項目化学分析装置とそれに接続されるシステムの全体構成図である。反応ディスク8は間欠回転可能であり、反応ディスク8上には透光性材料からなる多数の反応容器11が周方向に沿って配置されている。反応容器11は、恒温槽により所定温度(例えば37℃)に維持されている。サンプルディスク2上には、血液、尿等の生体サンプルを収容する多数の検体容器1が、図示の例では二重に周方向に沿って載置されている。また、サンプルディスク2の近傍には、サンプル分注機構5が配置されている。このサンプル分注機構5は、可動アームとこれに取り付けられたピペットノズルとを備えている。上記構成により、サンプル分注機構5は、サンプル分注時にはピペットノズルが分注位置に移動して、サンプルディスク2の吸入位置に位置する検体容器1から所定量のサンプルを吸入し、そのサンプルを反応ディスク8上の吐出位置にある反応容器11内に吐出する。サンプル分注機構5の動作は、液面検知器6で検体容器1または反応容器11の液面を検知しながら実施される。
【0013】
試薬ディスク17には、バーコードのような試薬識別情報を表示したラベルが貼られた複数の試薬容器10が、試薬ディスク17の周方向に沿って載置されている。試薬容器10には、多項目化学分析装置により分析される分析項目に対応する試薬液が収容されている。また、試薬ID読取り器14が付属されており、試薬登録時に各試薬容器10の外壁に表示されているバーコードを読み取る。読み取られた試薬情報は、試薬ディスク17上のポジションとともにメモリ16に登録される。
【0014】
試薬ディスク17の近傍には、サンプル分注機構5と概ね同様の機構を有する試薬分注機構7が配置されている。試薬分注時には、試薬分注機構7が備えるピペットノズルにより、反応ディスク8上の試薬受け入れ位置に位置付けられる反応容器11の検査項目に応じた試薬容器10から試薬液を吸入し、該当する反応容器11内へ吐出する。試薬分注機構7の動作も、液面検知器9で液面の検知を行いながら実施される。
【0015】
光源が反応ディスク8の中心部付近に、光度計が反応ディスク8の外周側に配置され、光検出系が構成される。反応容器11の列は、光源と光度計とによって挟まれた測光位置を通るように回転移動し、各反応容器11内のサンプルと試薬との反応液は、反応ディスク8の回転動作中に光度計の前を横切る度に測光される。サンプルごとに測定された透過光あるいは散乱光のアナログ信号は、A/D変換器19によってデジタル信号に変換される。測定が終了した反応容器11は、反応ディスク8の近傍に配置された反応容器洗浄機構により、その内部が洗浄されることにより繰り返しの使用が可能にされている。
【0016】
コンピュータ3は、以上のような多項目化学分析装置の各機構の制御を行うとともに、A/D変換器19によってデジタル信号に変換された光度計からのは検出信号を受けて、検査項目に応じたサンプルの分析を実行する。さらにコンピュータ3にはインターフェース4を介して、表示装置12、入力装置13、記憶装置15、プリンタ18、リーダ20が接続されている。
【0017】
さらに、多項目化学分析装置は、診察室等に設置されているホストコンピュータ(臨床検査情報システム)22と接続されており、ネットワークを介して情報の送受信が可能とされている。また、ホストコンピュータ22は、病院の受付等に設置されている情報管理システム21とも接続されており、ネットワーク通信を介して情報の送受信が可能とされている。情報管理システム21及びホストコンピュータ22はそれぞれ、一般的な情報処理装置のハードウェア構成を有している。すなわち、HDD(Hard disk drive)、SSD(Solid State Drive)のような記憶装置を備え、記憶装置に記憶されたソフトウェアのプログラムコードをメインメモリに読み込み、プロセッサが読み込んだプログラムコードを実行することで情報処理を実行する。
【0018】
多項目化学分析装置の表示装置12あるいはホストコンピュータ22に接続される入出力装置23に患者の個人情報や検体情報を表示させるには、ユーザはログインする必要がある。本実施例においてはこれに加えて、患者の区分によっては当該患者の情報を表示させるために、パスワード入力が要求される。ユーザが厳格に管理すべき患者の検体情報を参照中に、周囲で作業をしている第三者がその患者の情報をたまたま見てしまうといったことが生じないよう、ユーザに注意喚起するものである。
【0019】
図3に検体情報の作成フローを示す。事前準備として、病院あるいは検査機関などの施設では、例えば、週の初めや毎朝患者受付が始まる前などに、管理者は分析項目種別ごとの担当オペレータを決定する(201)。このとき、本実施例では分析項目種別に加えて、患者区分(「一般」、「特定」)ごとに担当オペレータを決定する。ここで、患者区分が「特定」であるとは、特に患者の個人情報を厳格に扱う必要のある患者であるとして指定したことを示す。決定された担当オペレータは、管理者(またはその指示を受けた担当者、以下では特に区別しない)が情報管理システム21を用いて登録する。図2Aに登録された担当オペレータデータ100を示す。分析項目種別101と患者区分102(「一般」または「特定」)との組み合わせに対して、決定された1名以上のオペレータID103が登録されている。登録する担当オペレータの数は、施設の規模や分析装置の使用頻度によって、調整することができる。情報管理システム21の記憶装置に記憶された担当オペレータデータ100は、ホストコンピュータ22へ転送され、その記憶装置に記憶される。さらに、担当オペレータデータはホストコンピュータ22から分析装置に転送され、その記憶装置15に記憶される(202)。
【0020】
続いて、新規の患者を受け付けた場合、管理者は、患者、患者の病状あるいは検査目的から、患者の担当医及び患者区分を決定し(203)、情報管理システム21に登録する。登録される患者データ110を図2Bに示す。患者データ110は、患者ID111(例えば、診察券ナンバーなど患者を一意に特定する情報)、患者自身あるいは保険証などから取得した氏名112、性別113、生年月日114などの個人情報とともに、決定された担当医ID115、患者区分116を含む。登録された患者データ110は、担当オペレータデータ100の場合と同様に、情報管理システム21の記憶装置からホストコンピュータ22の記憶装置及び記憶装置15に転送され、記憶される(204)。なお、その後、担当医に変更が生じた場合は、随時、情報管理システム21あるいはホストコンピュータ22に付随する入出力装置23を用いて管理者あるいは担当医などがデータを更新することができる。
【0021】
採血などにより患者検体を取得すると、患者検体ごとに検体IDを割付ける(205)。データ入力担当者は、情報管理システム21に、検体ID121、分析項目種別122、患者ID123を登録する(206)。情報管理システム21は、ステップ205で登録された検体情報に対して、さらにパスワード124、参照可能者ID125を付加することにより、図2Cに示す検体IDデータ120を作成する。
【0022】
まず、登録された検体情報から、該当患者の患者データ110を参照し、患者区分116及び担当医ID115を取得する(207)。さらに、情報管理システム21は、担当オペレータデータ100を参照し、分析項目種別101および患者区分102が、それぞれ検体IDデータ120の分析項目種別122およびステップ207で取得した患者区分116と一致するレコードのオペレータID103を取得する(208)。さらに、情報管理システム21は、患者区分が特定である患者検体に対するパスワード124を自動生成する(209)。
【0023】
以上のステップ206~209により検体IDデータ120として、検体ID121、分析項目種別122、患者ID123、パスワード124、参照可能者ID125が登録される。なお、参照可能者ID125は、該当する担当医ID115及びオペレータID103とする。情報管理システム21の記憶装置に記憶された検体IDデータ120は、担当オペレータデータ100の場合と同様に、ホストコンピュータ22の記憶装置及び記憶装置15に記憶される(210)。なお、システムが設定した参照可能者ID125を、情報管理システム21あるいはホストコンピュータ22に付随する入出力装置23を用いて管理者などが後から変更することもできる。
【0024】
なお、パスワードは、情報管理システム21からバーコードとしてプリンタに出力できたり、2次元バーコードとしてモバイル端末へ転送したり、あるいは、RFIDなどの一般的な記録媒体に対してパスワードを記録させることが可能であり、後述するように、自動分析装置やホストコンピュータは、パスワード解除するため、これらのID媒体を利用する仕組みも備えている。
【0025】
自動分析装置による検体の測定結果は、測定結果出力時に図2Dに示す測定結果データ130として、検体ID131および測定項目132ごとに測定結果133が記憶装置15に記憶される。測定結果133は、分析装置からホストコンピュータ22へ送信され、同様のフォーマットで記憶される(211)。
【0026】
図4に、患者検体の情報を表示装置12あるいは入出力装置23に表示する場合の、画面表示例を示す。検体IDリスト301から、ユーザが参照権限のある検体IDを選択すると、検体情報表示欄302に患者IDなどの個人情報、測定結果、コメント記入欄などが表示される。図4は、検体IDリスト301から「1000001」を選択したときの表示例を示している。
【0027】
ユーザに参照権限があり、検体情報が表示されるかどうかを識別可能とするため、検体IDリスト301にマークを付ける。本実施例ではマークを「*」としているが、その他のマークでもよいし、マークを使用せず、リストの色を変更するなどしてもよい。図4の例では、ログインしたユーザは、検体IDが「1000001」および「2000001」の検体情報を閲覧可能であることを示している。
【0028】
図5に、特定検体のパスワード入力画面表示例を示す。検体IDリスト401から、ユーザに参照権限があり、かつ患者区分が特定である検体IDを選択すると、パスワード入力画面402が表示される。パスワード入力欄403にパスワードを入力し、表示ボタン404を押下することにより、図4に示したような検体情報表示欄302が表示される。
【0029】
ユーザに参照権限があるが、検体情報の表示にはパスワード入力が必要であることを識別可能とするため、検体IDリスト401にマークを付ける。本実施例ではマークを「■」としているが、その他のマークでもよいし、マークを使用せず、リストの色を変更するなどしてもよい。図5の例では、ログインしたユーザに対して、検体IDが「1000003」、「2000002」および「2000003」の検体情報が閲覧可能であるが、検体IDが「1000003」および「2000002」の検体情報についてはパスワード入力が必要であることを示している。
【0030】
図5では、マニュアルでパスワード入力を行う例を示しているが、入力手段として、パスワードの登録されたID媒体(バーコード、2次元コード、RFIDなど)を、リーダ20(ホストコンピュータ22の入出力装置23に表示させる場合にはリーダ24)にかざして、パスワード入力欄403に自動でパスワードが入力されるようにするとよい。
【0031】
図6に、検体情報を表示装置12あるいは入出力装置23に表示しない場合の画面表示例を示す。検体IDリスト501から、ユーザが参照権限のない検体IDを選択すると、検体情報表示欄502に検体情報は表示されず、情報を参照することができない旨のメッセージが表示される。
【0032】
図7に、ユーザ(担当オペレータ、担当医など)が分析装置(あるいはホストコンピュータ)にログインしてから、患者の検体情報を表示装置12(あるいは入出力装置23)に表示させるまでの手順を示す。
【0033】
ユーザは、自己のユーザIDで分析装置またはホストコンピュータにログインし、測定結果画面を開く(601)。自動分析装置(ホストコンピュータ22)は、記憶装置15(ホストコンピュータ22の記憶装置)に記憶されている検体IDデータ120から、参照可能者ID125にログインしたユーザIDを含む検体ID121を抽出する(602)。
【0034】
抽出した検体IDに対応するパスワード124を参照し、パスワード不要であれば図4に示したように、検体IDリスト301の該当検体IDの欄に「*」マークを表示し(603)、パスワードが設定されていれば図5に示したように、検体IDリスト401の該当検体IDの欄に「■」マークを表示する(604)。抽出対象外であった検体IDについては図6に示したように、検体IDリスト501の該当検体IDの欄にマークの表示はしない(605)。
【0035】
ログイン直後に遷移した測定結果画面について、検体IDリストで選択した検体ID欄に*マークが表示されている場合は、図4の検体情報表示欄302に示すように検体情報を表示する(606)。■マークが表示されている場合は、図5のパスワード入力画面402に示すように、パスワード入力欄403および表示ボタン404を表示する(607)。マークが表示されていない場合は、図6の検体情報表示欄502に示すように、情報を参照することができない旨のメッセージを表示する(608)。
【実施例0036】
患者の検体情報を2人以上で参照する場合の例を説明する。例えば、担当医がオペレータと一緒に、分析装置の表示装置12の前で患者検体の測定結果を参照しながら相談(測定状況のヒアリングや再検査の指示など)を行うとき、担当医のユーザIDのみでログインしていると、担当医が参照権限をもつ検体情報が表示対象となるが、同席しているオペレータが担当医と同じ参照権限をもっているわけではない。オペレータのユーザIDのみでログインした場合も同様である。このような場合は、画面の前の複数のユーザが共通に参照権限を有する患者の検体情報のみが表示可能とされる必要がある。
【0037】
以下、図10に複数のユーザが共通に参照権限を有する患者の検体情報を表示するフローを示す。自動分析装置に誰もログインしていない場合、表示装置12には、図8に示すログイン初期画面701が表示される(901)。ログイン初期画面701には、全員のユーザID媒体をリーダ20へかざすことを促すログインメッセージ702、空欄となっているログインID表示欄703、非活性状態のログインボタン704、非活性状態のキャンセルボタン705が表示される。なお、非活性状態のログインボタン704およびキャンセルボタン705を押しても何も反応しない。
【0038】
ユーザがユーザID媒体をリーダ20に読み取らせることにより、ログイン初期画面701から図9に示すログイン画面801に変化する。ログイン画面801では、ログインID表示欄802に読み取ったユーザIDを表示し、ログインボタン803およびキャンセルボタン804が活性化する(902)。ユーザID媒体を読み取らせるたびに、ログインID表示欄802に読み取られたユーザIDが表示されることにより、ログインIDの入力状況がわかり、ユーザのログイン漏れを防ぐ。全員分のユーザIDを読み取らせた後(903)、ログインボタン803を押下する(904)。
【0039】
自動分析装置は、記憶装置15に記憶されている検体IDデータ120から、参照可能者ID125に、ログインした全てのユーザIDが含まれている検体ID121を抽出する(907)。以降は、実施例1として記載した、図7に示すステップ603~608と同様の処理を行い、患者の検体情報を表示する(908~913)。
【0040】
複数のユーザが同時にログインしている場合、図4に示した検体情報表示欄302内にあるコメントについて、編集したユーザが不明確となることが懸念される。このため、コメントを編集するユーザIDを選択してからコメントを記入するように画面を変更することが望ましい。図11は、コメント編集者選択プルダウン1001を備えた検体情報表示欄の例である。プルダウンをクリックすると、ログインしているユーザIDを示すプルダウンリスト1002が表示される。コメントを編集するユーザは自己のユーザIDを選択した後にコメントを編集する。また、ユーザIDが選択されていない場合にはコメントの編集を行うことはできない。コメントの内容および編集したユーザのユーザIDは、検体IDデータ120の一部として記憶装置15に記憶される。なお、単独でログインしている場合は、プルダウン1001によるユーザID選択は手間となるため、プルダウン1001は複数名のユーザが同時にログインしているときのみに表示させるようにすることが望ましい。
【0041】
一方、ログイン時、誤って関係のないユーザID媒体を読み取らせてしまったり、ログインを中断したりする場合は、キャンセルボタン804を押下すればよい(905)。これにより、ログイン初期画面701(図8参照)に戻る(906)。
【0042】
なお、本実施例で説明した図8に示すログイン初期画面701および図9に示すログイン画面801は、単独ユーザがログインする場合でも対応可能であるため、図7のステップ601(実施例1)におけるログイン画面としても使用できる。
【0043】
また、ユーザIDを分析装置に認識させる方法として、ユーザID媒体をリーダ20に読み取らせる例で説明したが、他の方法でもよい。例えば、ユーザの体内にチップが埋め込まれている場合は、スキャナでチップをスキャンしてユーザIDを認識させてもよい。
【0044】
実施例2は自動分析装置にログインする場合を例に説明したが、実施例1と同様、ホストコンピュータ22にログインする場合についても同様である。
【実施例0045】
患者区分が特定である患者の場合、上述したように、検体単位でパスワードを解除することが必要になる。このため、一度に参照したい患者検体が多数ある場合には、ユーザの負担が大きくなる。このため、本実施例では、パスワードが登録されたパスワード解除媒体(バーコード、2次元バーコード、RFIDチップなど)を複数個まとめてリーダ20に読み取らせることにより、複数の患者検体のパスワードを一度に解除することを可能とする。
【0046】
図12にパスワード解除方法選択画面の例を示す。検体IDリスト1101から、パスワードが必要な検体IDを選択すると、手入力による解除ボタン1102および媒体による解除ボタン1103が表示される。手入力による解除ボタン1102を選択すると、図5に示したパスワード入力画面402が表示される。媒体による解除ボタン1103を選択すると、図13に示す媒体によるパスワード解除初期画面1201が表示される。パスワード解除初期画面1201には、パスワード解除媒体をリーダにかざすことを促すメッセージ1202、空欄となっているパスワード解除検体ID表示欄1203、非活性の完了ボタン1204およびキャンセルボタン1205が表示される。非活性状態の完了ボタン1204を押しても何も反応しない。キャンセルボタン1205を押すと、図12に示したパスワード解除方法選択画面の表示に戻る。
【0047】
パスワード解除媒体をリーダ20にかざすと、図14に示すパスワード解除検体ID表示欄1302に、対象となる検体IDが表示される。どの患者検体のパスワードが解除されたのかがわかるよう、検体IDリスト1301の「■」マークを、他のマークに変更する。この例では「□」マークに変更している。
【0048】
完了ボタン1303を押下すると、選択された患者検体(ここでは、検体ID「1000003」)について、図4に示したような検体情報表示欄302が表示される。続いて、「□」マークの付いたパスワード解除済みの別の検体IDを検体IDリスト1301から選択すると、すぐに当該患者検体の情報を参照することができる。
【0049】
一方、誤って参照の必要のない患者検体のパスワード解除媒体をリーダ20にかざしてしまった場合や、パスワード解除媒体でのパスワード解除を取りやめる場合は、キャンセルボタン1304を押下する。キャンセルボタン1304を押下すると、図13に示した媒体によるパスワード解除初期画面1201が表示される。
【0050】
もし、ユーザが自己に参照権限のない患者検体のパスワード解除媒体をリーダ20にかざしてしまった場合には、図15に示すように警告画面1401が表示される。該当検体IDのパスワードは解除されず、参照することはできない。
【0051】
リーダ20として、RFIDチップなど複数の媒体をまとめて一度にスキャンできるリーダを用いて、複数のパスワード解除媒体をまとめてリーダにかざして、一度に複数の検体IDのパスワードを解除できるようにしてもよい。この場合も、図14に示すように、パスワード解除検体ID表示欄1302に、対象の複数の検体IDが表示される。この場合、ユーザに参照権限のない患者検体についてのパスワード解除媒体が含まれていた場合は、図16に示すように、参照権限のない患者検体の検体IDはパスワード解除検体ID表示欄1302の表示から外す(すなわち、参照権限のある検体IDについてのみ表示する)とともに、パスワード解除媒体の中に参照権限のない患者検体についてのものが含まれていたことを示す警告表示1501を出力する。
【符号の説明】
【0052】
1:検体容器、2:サンプルディスク、3:コンピュータ、4:インターフェース、5:サンプル分注機構、6,9:液面検知器、7:試薬分注機構、8:反応ディスク、10:試薬容器、11:反応容器、12:表示装置、13:入力装置、14:試薬ID読取り器、15:記憶装置、16:メモリ、17:試薬ディスク、18:プリンタ、19:A/D変換器、20:リーダ、21:情報管理システム、22:ホストコンピュータ、23:入出力装置、24:リーダ、100:担当オペレータデータ、101:分析項目種別、102:患者区分、103:オペレータID、110:患者データ、111:患者ID、112:氏名、113:性別、114:生年月日、115:担当医ID、116:患者区分、120:検体IDデータ、121:検体ID、122:分析項目種別、123:患者ID、124:パスワード、125:参照可能者ID、130:測定結果データ、131:検体ID、132:測定項目、133:測定結果、301,401,501,1101,1301:検体IDリスト、302,502:検体情報表示欄、402:パスワード入力画面、403:パスワード入力欄、404:表示ボタン、701:ログイン初期画面、702:ログインメッセージ、703,802:ログインID表示欄、704:ログインボタン(非活性状態)、705:キャンセルボタン(非活性状態)、801:ログイン画面、803:ログインボタン、804:キャンセルボタン、1001:コメント編集者選択プルダウン、1002:プルダウンリスト、1102:手入力による解除ボタン、1103:媒体による解除ボタン、1201:パスワード解除初期画面、1202:メッセージ、1203,1302:パスワード解除検体ID表示欄、1204:完了ボタン(非活性状態)、1205,1304:キャンセルボタン、1303:完了ボタン、1401:警告画面、1501:警告表示。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16