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特開2022-44162極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044162
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220310BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
G03F7/20 503
H05G2/00 K
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149653
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】薮 隆之
(72)【発明者】
【氏名】高島 悠太
【テーマコード(参考)】
2H197
4C092
【Fターム(参考)】
2H197AA09
2H197AA10
2H197BA03
2H197BA11
2H197CA10
2H197CA17
2H197DC06
2H197GA01
2H197GA04
2H197GA05
2H197GA12
2H197GA17
2H197GA18
2H197GA20
2H197GA24
2H197HA03
4C092AA06
4C092AA15
4C092AB10
4C092AB12
4C092AB19
4C092AC09
4C092CF02
4C092CF42
4C092DD24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】EUV光への変換効率(CE)を向上させることができ、またデブリの発生を抑制でき、チャンバ内の汚染を抑制できる極端紫外光生成装置を提供する。
【解決手段】極端紫外光生成装置は、チャンバ2と、チャンバ内のプラズマ生成領域に向けてターゲット27を供給するターゲット供給部26と、偏光方向が一方向に偏った第1レーザ光をターゲットの進行軸と直交する方向からターゲットに照射することにより拡散したターゲットである二次ターゲットを生成させ、二次ターゲットに第2レーザ光を照射することにより極端紫外光を生成させる第1レーザ光及び第2レーザ光を出力するレーザシステム3と、第1レーザ光の光路上に配置され、第1レーザ光の偏光方向を調整する偏光方向調整部と、二次ターゲットの分布を観測する二次ターゲット観測部と、二次ターゲット観測部の観測結果に基づいて偏光方向調整部を制御するプロセッサとを含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバ内のプラズマ生成領域にターゲットを供給するターゲット供給部と、
偏光方向が一方向に偏った第1レーザ光を前記ターゲットの進行軸と直交する方向から前記ターゲットに照射することにより拡散した前記ターゲットである二次ターゲットを生成させ、前記二次ターゲットに第2レーザ光を照射することにより極端紫外光を生成させる前記第1レーザ光及び前記第2レーザ光を出力するレーザシステムと、
前記第1レーザ光の光路上に配置され、前記第1レーザ光の偏光方向を調整する偏光方向調整部と、
前記二次ターゲットの分布を観測する二次ターゲット観測部と、
前記二次ターゲット観測部の観測結果に基づいて前記偏光方向調整部を制御するプロセッサと、
を含む極端紫外光生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
偏光プリズムにレーザ光を入射させ、前記偏光プリズムを前記レーザ光の光路軸周りに回転させ、回転角度を変えて前記偏光プリズムからの出射光の光強度を計測して得られる前記光強度の最大値をImax、最小値をIminとして、前記レーザ光の直線偏光度Pを次式、
P={(Imax-Imin)/(Imax+Imin)}×100 (%)
で定義する場合に、
前記第1レーザ光の直線偏光度Pが90%以上である、
極端紫外光生成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1レーザ光の直線偏光度Pが99%以上である、
極端紫外光生成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記偏光方向調整部は、
1/2波長板と、
前記第1レーザ光の偏光方向を変えるように前記1/2波長板を回転させるアクチュエータ付き回転ステージと、
を含む極端紫外光生成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1レーザ光の偏光方向が、前記第1レーザ光の進行方向の軸周りに回転するように前記偏光方向調整部が制御される、
極端紫外光生成装置。
【請求項6】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ターゲットに照射される前記第1レーザ光の偏光方向が、前記ターゲットの進行軸に対して90°±60°の範囲の角度となるように前記偏光方向調整部が制御される、
極端紫外光生成装置。
【請求項7】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ターゲットに照射される前記第1レーザ光の偏光方向が、前記ターゲットの進行軸に対して45°以上118°以下の範囲の角度となるように前記偏光方向調整部が制御される、
極端紫外光生成装置。
【請求項8】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記プロセッサは、前記二次ターゲットの分布における前記第1レーザ光の進行方向の拡散幅に基づいて前記偏光方向調整部を制御する、
極端紫外光生成装置。
【請求項9】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記二次ターゲット観測部は、
前記二次ターゲットに照明光を照射する光源と、
前記二次ターゲットによる前記照明光の反射光を観測する撮像装置と、
を含む極端紫外光生成装置。
【請求項10】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記二次ターゲット観測部は、
前記二次ターゲットに照明光を照射する光源と、
前記照明光による前記二次ターゲットの影を観測する撮像装置と、
を含む極端紫外光生成装置。
【請求項11】
電子デバイスの製造方法であって、
チャンバと、
前記チャンバ内のプラズマ生成領域に向けてターゲットを供給するターゲット供給部と、
偏光方向が一方向に偏った第1レーザ光を前記ターゲットの進行軸と直交する方向から前記ターゲットに照射することにより拡散した前記ターゲットである二次ターゲットを生成させ、前記二次ターゲットに第2レーザ光を照射することにより極端紫外光を生成させる前記第1レーザ光及び前記第2レーザ光を出力するレーザシステムと、
前記第1レーザ光の光路上に配置され、前記第1レーザ光の偏光方向を調整する偏光方向調整部と、
前記二次ターゲットの分布を観測する二次ターゲット観測部と、を備える極端紫外光生成装置によって極端紫外光を生成することと、
前記二次ターゲットの分布の観測結果に基づき、前記偏光方向調整部によって前記第1レーザ光の偏光方向を調整することと、
前記極端紫外光を露光装置に出力し、電子デバイスを製造するために、前記露光装置内で感光基板上に前記極端紫外光を露光すること、
を含む電子デバイスの製造方法。
【請求項12】
チャンバと、
チャンバ内のプラズマ生成領域に向けてターゲットを供給するターゲット供給部と、
偏光方向が一方向に偏った第1レーザ光を前記ターゲットの進行軸と直交する方向から前記ターゲットに照射することにより拡散した前記ターゲットである二次ターゲットを生成させ、前記二次ターゲットに第2レーザ光を照射することにより極端紫外光を生成させる前記第1レーザ光及び前記第2レーザ光を出力するレーザシステムと、
前記第1レーザ光の光路上に配置され、前記第1レーザ光の偏光方向を調整する偏光方向調整部と、
前記極端紫外光のエネルギを観測する極端紫外光観測部と、
前記極端紫外光観測部の観測結果に基づいて前記偏光方向調整部を制御するプロセッサと、
を含む極端紫外光生成装置。
【請求項13】
請求項12に記載の極端紫外光生成装置であって、
偏光プリズムにレーザ光を入射させ、前記偏光プリズムを前記レーザ光の光路軸周りに回転させ、回転角度を変えて前記偏光プリズムからの出射光の光強度を計測して得られる前記光強度の最大値をImax、最小値をIminとして、前記レーザ光の直線偏光度Pを次式、
P={(Imax-Imin)/(Imax+Imin)}×100 (%)
で定義する場合に、
前記第1レーザ光の直線偏光度Pが90%以上である、
極端紫外光生成装置。
【請求項14】
請求項13に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1レーザ光の直線偏光度Pが99%以上である、
極端紫外光生成装置。
【請求項15】
請求項12に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記偏光方向調整部は、
1/2波長板と、
前記第1レーザ光の偏光方向を変えるように前記1/2波長板を回転させるアクチュエータ付き回転ステージと、
を含む極端紫外光生成装置。
【請求項16】
請求項12に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1レーザ光の偏光方向が、前記第1レーザ光の進行方向の軸周りに回転するように前記偏光方向調整部が制御される、
極端紫外光生成装置。
【請求項17】
請求項12に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ターゲットに照射される前記第1レーザ光の偏光方向が、前記ターゲットの進行軸に対して90°±60°の範囲の角度となるように前記偏光方向調整部が制御される、
極端紫外光生成装置。
【請求項18】
請求項12に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ターゲットに照射される前記第1レーザ光の偏光方向が、前記ターゲットの進行軸に対して45°以上118°以下の範囲の角度となるように前記偏光方向調整部が制御される、
極端紫外光生成装置。
【請求項19】
請求項12に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記プロセッサは、前記極端紫外光のエネルギから極端紫外光の変換効率を求め、前記変換効率に基づいて前記偏光方向調整部を制御する、
極端紫外光生成装置。
【請求項20】
電子デバイスの製造方法であって、
チャンバと、
前記チャンバ内のプラズマ生成領域に向けてターゲットを供給するターゲット供給部と、
偏光方向が一方向に偏った第1レーザ光を前記ターゲットの進行軸と直交する方向から前記ターゲットに照射することにより拡散した前記ターゲットである二次ターゲットを生成させ、前記二次ターゲットに第2レーザ光を照射することにより極端紫外光を生成させる前記第1レーザ光及び前記第2レーザ光を出力するレーザシステムと、
前記第1レーザ光の光路上に配置され、前記第1レーザ光の偏光方向を調整する偏光方向調整部と、
前記極端紫外光のエネルギを観測する極端紫外光観測部と、
を備える極端紫外光生成装置によって極端紫外光を生成することと、
前記極端紫外光のエネルギの観測結果に基づき、前記偏光方向調整部によって前記第1レーザ光の偏光方向を調整することと、
前記極端紫外光を露光装置に出力し、電子デバイスを製造するために、前記露光装置内で感光基板上に前記極端紫外光を露光すること、
を含む電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、10nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、波長約13nmの極端紫外(EUV)光を生成するための装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた半導体露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLaser Produced Plasma(LPP)式の装置の開発が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8669543号
【特許文献2】米国特許第9130345号
【特許文献3】米国特許第9509115号
【特許文献4】米国特許第10074956号
【特許文献5】米国特許出願公開第2018/0351320号
【特許文献6】米国特許出願公開第2014/523750号
【特許文献7】国際公開第2019/166164号
【概要】
【0005】
本開示の1つの観点に係る極端紫外光生成装置は、チャンバと、チャンバ内のプラズマ生成領域にターゲットを供給するターゲット供給部と、偏光方向が一方向に偏った第1レーザ光をターゲットの進行軸と直交する方向からターゲットに照射することにより拡散したターゲットである二次ターゲットを生成させ、二次ターゲットに第2レーザ光を照射することにより極端紫外光を生成させる第1レーザ光及び第2レーザ光を出力するレーザシステムと、第1レーザ光の光路上に配置され、第1レーザ光の偏光方向を調整する偏光方向調整部と、二次ターゲットの分布を観測する二次ターゲット観測部と、二次ターゲット観測部の観測結果に基づいて偏光方向調整部を制御するプロセッサとを含む。
【0006】
本開示の他の1つの観点に係る電子デバイスの製造方法は、チャンバと、チャンバ内のプラズマ生成領域に向けてターゲットを供給するターゲット供給部と、偏光方向が一方向に偏った第1レーザ光をターゲットの進行軸と直交する方向からターゲットに照射することにより拡散したターゲットである二次ターゲットを生成させ、二次ターゲットに第2レーザ光を照射することにより極端紫外光を生成させる第1レーザ光及び第2レーザ光を出力するレーザシステムと、第1レーザ光の光路上に配置され、第1レーザ光の偏光方向を調整する偏光方向調整部と、二次ターゲットの分布を観測する二次ターゲット観測部と、を備える極端紫外光生成装置によって極端紫外光を生成することと、二次ターゲットの分布の観測結果に基づき、偏光方向調整部によって第1レーザ光の偏光方向を調整することと、極端紫外光を露光装置に出力し、電子デバイスを製造するために、露光装置内で感光基板上に極端紫外光を露光することとを含む。
【0007】
本開示の他の1つの観点に係る極端紫外光生成装置は、チャンバと、チャンバ内のプラズマ生成領域に向けてターゲットを供給するターゲット供給部と、偏光方向が一方向に偏った第1レーザ光をターゲットの進行軸と直交する方向からターゲットに照射することにより拡散したターゲットである二次ターゲットを生成させ、二次ターゲットに第2レーザ光を照射することにより極端紫外光を生成させる第1レーザ光及び第2レーザ光を出力するレーザシステムと、第1レーザ光の光路上に配置され、第1レーザ光の偏光方向を調整する偏光方向調整部と、極端紫外光のエネルギを観測する極端紫外光観測部と、極端紫外光観測部の観測結果に基づいて偏光方向調整部を制御するプロセッサとを含む。
【0008】
本開示の他の1つの観点に係る電子デバイスの製造方法は、チャンバと、チャンバ内のプラズマ生成領域に向けてターゲットを供給するターゲット供給部と、偏光方向が一方向に偏った第1レーザ光をターゲットの進行軸と直交する方向からターゲットに照射することにより拡散したターゲットである二次ターゲットを生成させ、二次ターゲットに第2レーザ光を照射することにより極端紫外光を生成させる第1レーザ光及び第2レーザ光を出力するレーザシステムと、第1レーザ光の光路上に配置され、第1レーザ光の偏光方向を調整する偏光方向調整部と、極端紫外光のエネルギを観測する極端紫外光観測部と、を備える極端紫外光生成装置によって極端紫外光を生成することと、極端紫外光のエネルギの観測結果に基づき、偏光方向調整部によって第1レーザ光の偏光方向を調整することと、極端紫外光を露光装置に出力し、電子デバイスを製造するために、露光装置内で感光基板上に極端紫外光を露光することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1図1は、直線偏光の割合を測定する直線偏光度の測定方法の一例を説明する図である。
図2図2は、偏光プリズムの回転角度と偏光プリズムからの出射光の光強度との関係を例示的に示すグラフである。
図3図3は、比較例に係るEUV光生成装置の構成例を概略的に示す。
図4図4は、比較例における第1プリパルスレーザ光の偏光方向とドロップレット進行軸との関係を模式的に示す図である。
図5図5は、ドロップレットに対して第1プリパルスレーザ光を照射した後のミスト分布形状の推移を示す画像である。
図6図6は、実施形態1に係るEUV光生成装置の要部を概略的に示す概要図である。
図7図7は、実施形態1に係るEUV光生成装置の構成を概略的に示す。
図8図8は、ドロップレットに照射される第1プリパルスレーザ光の偏光方向とドロップレット進行軸との関係の好ましい例を模式的に示す図である。
図9図9は、バックライト観測を行うミスト観測部の構成例を概略的に示す。
図10図10は、ミスト分布形状を観測してプリパルスレーザ光の偏光方向を制御する動作の例を示すフローチャートである。
図11図11は、図10のステップS14に適用される偏光制御のサブルーチンの例を示すフローチャートである。
図12図12は、ドロップレット進行軸に対する第1プリパルスレーザ光の直線偏光角度を変化させた場合に観測されるミスト分布形状の変化を示す図である。
図13図13は、ドロップレット進行軸に対する第1プリパルスレーザ光の直線偏光角度と変換効率(CE)特性との関係を示すグラフである。
図14図14は、バックライト観測の制御例を示すフローチャートである。
図15図15は、バックライト観測の制御に関するタイミングチャートの例である。
図16図16は、実施形態2に係るEUV光生成装置の構成を概略的に示す。
図17図17は、実施形態3に係るEUV光生成装置の要部を概略的に示す概要図である。
図18図18は、EUV光に基づく偏光制御の例を示すフローチャートである。
図19図19は、プリパルスレーザ光の照射条件の例を示す図表である。
図20図20は、直線偏光のレーザ光が用いられる場合の偏光方向調整部の構成例1を概略的に示す斜視図である。
図21図21は、楕円偏光のレーザ光が用いられる場合の偏光方向調整部の構成例2を概略的に示す斜視図である。
図22図22は、直線偏光のレーザ光が用いられる場合の偏光方向調整部の構成例3を概略的に示す斜視図である。
図23図23は、EUV光生成装置と接続された露光装置の概略構成を示す図である。
【実施形態】
【0010】
-目次-
1.用語の説明
1.1 直線偏光度の定義と測定方法
1.2 EUV光生成装置に関連する用語
2.比較例に係るEUV光生成装置の概要
2.1 構成
2.2 動作
2.3 課題
3.実施形態1
3.1 構成
3.1.1 システムの概要
3.1.2 装置構成の具体例
3.1.3 バックライト観測を行うミスト観測部の構成例
3.2 動作
3.2.1 プリパルスレーザ光の偏光方向を制御するメインフロー
3.2.2 偏光制御フロー
3.2.3 直線偏光角度とミスト分布との関係
3.2.4 ミスト観測部の動作例
3.3 作用・効果
4.実施形態2
4.1 構成
4.2 動作
4.3 作用・効果
4.4 変形例
5.実施形態3
5.1 構成
5.2 動作
5.3 作用・効果
6.プリパルスレーザ光の照射条件の例
7.偏光方向調整部の例1
7.1 構成
7.2 動作
7.3 作用・効果
8.偏光方向調整部の例2
8.1 構成
8.2 動作
8.3 作用・効果
9.偏光方向調整部の例3
9.1 構成
9.2 動作
9.3 作用・効果
10.電子デバイスの製造方法の例
11.その他
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
1.用語の説明
1.1 直線偏光度の定義と測定方法
図1及び図2は、直線偏光の割合を測定する直線偏光度の測定方法の一例を説明する図である。図1に示すように、プリパルスレーザ装置810から出力される直線偏光のプリパルスレーザ光を、偏光制御機構812が備える偏光子によって楕円偏光の光に変えるとする。この楕円偏光の光を、集光光学系813によって集光し、偏光プリズム814に入射させる。偏光プリズム814からの出射光の強度は、光強度検出器815によって検出される。
【0012】
偏光プリズム814は、方解石(calcite)等の複屈折性の結晶を2つ接合して構成されたプリズムである。偏光プリズム814は、入射光から、プリズムの接合面の向きに応じて所定の偏光方向の光を出射光として取り出すために用いられる。偏光プリズム814をプリパルスレーザ光の光路軸周りに回転させることにより、偏光プリズム814は、回転角度に応じた偏光方向を有する光を透過させる。以下の説明では偏光プリズム814は、消光比が十分高い理想的な偏光プリズムとする。
【0013】
図2に示すように、偏光プリズム814を180°回転させる毎に、偏光プリズム814からの出射光の強度が周期的に変化する。ここで、式(1)に示すように、直線偏光度Pは光強度の最大値Imaxと最小値Iminとから求めることができる。
【0014】
P=(Imax-Imin)/(Imax+Imin)×100(%) (1)
式(1)で定義される直線偏光度Pが60%以上であるレーザ光は、偏光方向が一方向に偏ったレーザ光であると理解される。
【0015】
図1では楕円偏光のレーザ光を偏光プリズム814に入射させる例を示しているが、偏光制御機構812を省略して直線偏光のレーザ光を偏光プリズム814に入射させることにより、直線偏光のレーザ光の直線偏光度Pを求めることができる。一般に直線偏光のレーザ光の直線偏光度Pは99%以上である。
【0016】
1.2 EUV光生成装置に関連する用語
「ターゲット」は、チャンバ内に導入されたレーザ光の被照射物である。レーザ光が照射されたターゲットは、プラズマ化してEUV光を含む光を放射する。
【0017】
「ドロップレット」は、チャンバ内に供給されたターゲットの一形態である。ドロップレットは、溶融したターゲット物質の表面張力によってほぼ球状となった滴状のターゲットを意味し得る。
【0018】
「プラズマ生成領域」は、チャンバ内の所定領域である。プラズマ生成領域は、チャンバ内に出力されたターゲットに対してレーザ光が照射され、ターゲットがプラズマ化される領域である。
【0019】
「ターゲット軌道」は、チャンバ内に出力されたターゲットが進行する経路である。ターゲット軌道はターゲットの進行軸を含む。ターゲット軌道は、プラズマ生成領域において、チャンバ内に導入されたレーザ光の光路と交差する。
【0020】
「光路軸」は、レーザ光の進行方向に沿ってレーザ光のビーム断面の中心を通る軸である。
【0021】
「光路」は、レーザ光が通る経路である。光路には、光路軸が含まれる。
【0022】
「Z軸方向」は、チャンバ内に導入されたレーザ光がプラズマ生成領域に向かって進行する際の当該レーザ光の進行方向である。Z軸方向は、EUV光生成装置がEUV光を出力する方向と略同一であってもよい。
【0023】
「Y軸方向」は、ターゲット供給部がチャンバ内にターゲットを出力する方向、すなわち、ターゲットの進行方向である。「X軸方向」は、Y軸方向及びZ軸方向に垂直な方向である。
【0024】
「EUV光」という表記は、「極端紫外光」の略語表記である。「極端紫外光生成装置」は「EUV光生成装置」と表記される。
【0025】
本明細書における「平行」という用語には、技術的意義において実質的に平行と同等の範囲と見做しうる略平行の概念が含まれてよい。また、本明細書における「垂直」又は「直交」という用語には、技術的意義において実質的に垂直又は実質的に直交と同等の範囲と見做しうる略垂直又は略直交の概念が含まれてよい。
【0026】
2.比較例に係るEUV光生成装置の概要
2.1 構成
図3は、比較例に係るEUV光生成装置1の構成例を概略的に示す。本開示の比較例とは、出願人のみによって知られていると出願人が認識している形態であって、出願人が自認している公知例ではない。
【0027】
EUV光生成装置1は、LPP方式のEUV光生成装置である。EUV光生成装置1は、チャンバ2と、ターゲット供給部26と、レーザシステム3と、ビームデリバリシステム34と、ドロップレット検出装置41と、EUV光生成制御部5と、制御部52と、遅延回路54とを含む。
【0028】
チャンバ2は、ウインドウ21と、レーザ集光光学系22と、EUV光集光ミラー23と、EUV光集光ミラーホルダー231と、プレート234と、ターゲット回収器28とを含む。チャンバ2は、密閉可能な容器である。チャンバ2の壁には、ウインドウ21が配置されており、レーザシステム3から出力されたパルスレーザ光がウインドウ21を透過する。また、チャンバ2は、ターゲット供給部26から出力されたターゲット27の通過経路となるターゲット供給路212を含む。
【0029】
ターゲット供給部26は、チャンバ2内部のプラズマ生成領域25にターゲット27をドロップレットの形態で供給するようにチャンバ2に配置される。ターゲット供給部26は、いわゆるコンティニュアスジェット方式でドロップレットを生成するドロップレット生成器であってよい。ターゲット供給部26は、タンク261と、ノズル262と、タンク261を加熱するヒータ263と、圧力調節器264と、ピエゾ素子265とを含む。
【0030】
タンク261内にはターゲット物質が収容される。ターゲット物質は、例えば、スズ、テルビウム、ガドリニウム、又は、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含む材料である。好適には、ターゲット27はスズである。
【0031】
ヒータ263はタンク261の外壁に配置され、タンク261内のターゲット物質を加熱してターゲット物質を溶融させる。圧力調節器264はタンク261内の圧力を調節する。ノズル262はタンク261に連通しており、溶融されたターゲット物質がノズル262から出力される。ピエゾ素子265はノズル262を振動させる加振素子である。ヒータ263、圧力調節器264及びピエゾ素子265のそれぞれの動作は制御部52によって制御される。
【0032】
ターゲット供給部26は、図示しないステージに搭載される。ステージは、ターゲット供給部26から出力されたターゲット27がプラズマ生成領域25に供給されるようにターゲット供給部26の位置を調節する機構である。ステージは、X軸方向及びZ軸方向の少なくとも1つに沿った方向において、ターゲット供給部26を移動させる機構である。ステージの駆動は、制御部52によって制御される。
【0033】
レーザシステム3は、チャンバ2内のプラズマ生成領域25に供給されたターゲット27に照射する複数のパルスレーザ光を出力する。1つのターゲット27に照射される複数のパルスレーザ光は、例えば、第1プリパルスレーザ光PPL1、第2プリパルスレーザ光PPL2及びメインパルスレーザ光MPLであってよい。1つのターゲット27に対して、第1プリパルスレーザ光PPL1、第2プリパルスレーザ光PPL2及びメインパルスレーザ光MPLがこの順番で照射される。
【0034】
レーザシステム3は、メインパルスレーザ装置30と、第1プリパルスレーザ装置31と、第2プリパルスレーザ装置32とを含む。メインパルスレーザ装置30は、メインパルスレーザ光MPLを出力する。メインパルスレーザ装置30は、COレーザ装置などのガスレーザ装置であってよい。
【0035】
第1プリパルスレーザ装置31は、第1プリパルスレーザ光PPL1を出力する。第2プリパルスレーザ装置32は、第2プリパルスレーザ光PPL2を出力する。第1プリパルスレーザ装置31及び第2プリパルスレーザ装置32のそれぞれは、YAGレーザ装置等の固体レーザ装置であってよい。なお、ここでは第1プリパルスレーザ装置31と第2プリパルスレーザ装置32とを含むプリパルスレーザシステムを例示しているが、第2プリパルスレーザ装置32が省略された構成も可能である。
【0036】
第1プリパルスレーザ装置31は、第1プリパルスレーザ装置31から出力される第1プリパルスレーザ光PPL1の偏光方向がY軸方向となるように配置される。第2プリパルスレーザ装置32は、第2プリパルスレーザ装置32から出力される第2プリパルスレーザ光PPL2の偏光方向がX軸方向となるように配置される。
【0037】
ビームデリバリシステム34は、レーザシステム3から出力されたパルスレーザ光を、ウインドウ21を介してチャンバ2内に導入するためのビーム伝送光学系である。ビームデリバリシステム34は、チャンバ2の外部に配置される。
【0038】
ビームデリバリシステム34は、偏光子340と、第1高反射ミラー341と、第2高反射ミラー342と、ビームコンバイナ346とを含む。ビームコンバイナ346は、第3高反射ミラー343とダイクロイックミラー345とを含む。ビームコンバイナ346は、チャンバ2に固定される。
【0039】
第1高反射ミラー341は、第1プリパルスレーザ装置31から出力された第1プリパルスレーザ光PPL1を反射して偏光子340に入射させるように配置される。偏光子340は、P偏光が高透過し、S偏光を高反射する膜をコートしたビームスプリッタであってもよい。偏光子340は、第1プリパルスレーザ光PPL1を透過し、第2プリパルスレーザ装置32から出力された第2プリパルスレーザ光PPL2を反射してダイクロイックミラー345に入射させるように配置される。偏光子340は入射面とXZ平面とが一致し、偏光子340から出射される第1プリパルスレーザ光PPL1の光路軸と第2プリパルスレーザ光PPL2の光路軸とが略一致するように配置される。
【0040】
ダイクロイックミラー345は、第1プリパルスレーザ光PPL1及び第2プリパルスレーザ光PPL2を高反射し、メインパルスレーザ光MPLを透過する膜をダイヤモンド基板にコートしたものであってよい。
【0041】
第2高反射ミラー342及び第3高反射ミラー343は、メインパルスレーザ装置30から出力されたメインパルスレーザ光MPLがダイクロイックミラー345及びウインドウ21を透過してレーザ集光光学系22に入射するように配置される。
【0042】
また、偏光子340及びダイクロイックミラー345は、第1プリパルスレーザ光PPL1及び第2プリパルスレーザ光PPL2がダイクロイックミラー345で高反射されて、ウインドウ21を透過してレーザ集光光学系22に入射するように配置される。
【0043】
ここで、ダイクロイックミラー345で反射された第1プリパルスレーザ光PPL1及び第2プリパルスレーザ光PPL2の光路と、ダイクロイックミラー345を透過したメインパルスレーザ光MPLの光路とが略一致するように、ダイクロイックミラー345と第3高反射ミラー343とが配置される。
【0044】
偏光子340、第1高反射ミラー341、第2高反射ミラー342、第3高反射ミラー343及びダイクロイックミラー345のそれぞれの光学素子は、それらの位置及び姿勢の少なくとも1つを調節する図示しないステージに搭載される。それぞれの光学素子を搭載するステージの動作は、制御部52によって制御される。
【0045】
レーザ集光光学系22は、ウインドウ21を介してチャンバ2内に導入されたパルスレーザ光を、プラズマ生成領域25に集光する光学系である。レーザ集光光学系22は、チャンバ2の内部に配置される。レーザ集光光学系22は、高反射軸外放物面ミラー222と、高反射平面ミラー223と、プレート224と、ステージ245とを含む。
【0046】
高反射軸外放物面ミラー222及び高反射平面ミラー223のそれぞれはミラーホルダーに保持されてプレート224に固定される。ステージ245はプレート224をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の各方向に移動させることができるアクチュエータ付きのステージである。レーザ集光光学系22はチャンバ2の内部に配置される。レーザ集光光学系22の集光位置はプラズマ生成領域25と略一致するように各光学素子が配置される。
【0047】
EUV光集光ミラー23は、EUV光集光ミラーホルダー231に保持されて、プレート234に支持されている。プレート234はチャンバ2の内壁に固定されている。EUV光集光ミラー23は、回転楕円面形状の反射面を有する。EUV光集光ミラー23は、第1焦点及び第2焦点を有する。
【0048】
EUV光集光ミラー23の反射面には、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成される。EUV光集光ミラー23は、第1焦点がプラズマ生成領域25に位置し、第2焦点が中間集光点292に位置するように配置される。EUV光集光ミラー23は、プラズマ生成領域25において生成されるプラズマから放射された放射光251のうちから選択的にEUV光252を反射する。EUV光集光ミラー23は、選択的に反射されたEUV光252を、中間集光点292に集光する。
【0049】
EUV光集光ミラー23の中央部には、貫通孔24が備えられる。貫通孔24は、レーザ集光光学系22で反射されたパルスレーザ光をプラズマ生成領域25に向けて通過させるための孔である。
【0050】
ドロップレット検出装置41は、ターゲット軌道上の所定位置DPを通過するドロップレットを検出してドロップレットの通過タイミング信号を生成する装置である。ドロップレット検出装置41は、光源部410と、受光部420とを含む。光源部410及び受光部420は、それぞれウインドウ411及びウインドウ421を介して、チャンバ2におけるターゲット供給路212の壁に接続される。光源部410及び受光部420は、ターゲット軌道上の所定位置DPを挟んで互いに対向するように配置される。
【0051】
光源部410は、光源412と照明光学系414とを含む。受光部420は光センサ422と受光光学系424とを含む。
【0052】
光源部410は、所定位置DPを通過するドロップレットを照明するように所定位置DPを含むドロップレット検出領域に向けて照明光を出力する。受光部420は、所定位置DPを通過するドロップレットを照明するように出力された照明光の光強度を検出することにより、光強度の変化から所定位置DPを通過するドロップレットを検出する。受光部420は、光センサ422の検出信号に基づき、所定位置DPを通過するドロップレットの通過タイミング信号を生成する。
【0053】
ドロップレット検出装置41の出力は、制御部52を経由して遅延回路54に入力される。遅延回路54の出力は発光トリガ信号として、メインパルスレーザ装置30、第1プリパルスレーザ装置31及び第2プリパルスレーザ装置32に入力される。制御部52は、それぞれのパルスレーザ光の遅延時間を設定するデータを出力し、遅延回路54に入力する。
【0054】
ターゲット回収器28は、チャンバ2内に出力されたターゲット27のうち、パルスレーザ光が照射されなかったターゲット27を回収するターゲット受けである。ターゲット回収器28は、ターゲット軌道の延長線上にあるチャンバ2の壁に設けられる。
【0055】
EUV光生成制御部5は、外部装置である露光装置6の露光装置制御部62からの各種指令に基づいて、EUV光生成装置1の各構成要素の動作を統括的に制御する。制御部52及び遅延回路54の少なくとも1つはEUV光生成制御部5に含まれてもよい。
【0056】
EUV光生成制御部5は、レーザシステム3を制御し、レーザシステム3からのパルスレーザ光の出力を制御する。EUV光生成制御部5は、ターゲット供給部26を制御し、ターゲット供給部26からのターゲット27の出力を制御する。
【0057】
制御部52は、ビームデリバリシステム34に含まれる偏光子340、第1高反射ミラー341、第2高反射ミラー342、第3高反射ミラー343及びダイクロイックミラー345のそれぞれの光学素子を搭載する図示しないステージを制御し、それぞれの光学素子の位置及び姿勢の少なくとも1つを制御する。また、制御部52は、ステージ245を制御し、高反射軸外放物面ミラー222の位置及び姿勢の少なくとも1つを制御する。それにより、制御部52は、プラズマ生成領域25におけるパルスレーザ光の集光位置を制御する。さらに、制御部52は、ターゲット供給部26が搭載されている図示しないステージを制御し、ターゲット供給部26の位置を制御する。それにより、制御部52は、プラズマ生成領域25に供給するターゲット27の位置を制御する。
【0058】
また、EUV光生成装置1は、チャンバ2の内部と露光装置6の内部とを連通させる接続部29を含む。接続部29内部には、図示しないアパーチャが形成された壁が備えられる。アパーチャはEUV光集光ミラー23の第2焦点に位置するように配置される。
【0059】
本開示において、EUV光生成制御部5、制御部52及び露光装置制御部62などのそれぞれの制御部は、プロセッサ等のハードウェアとプログラムモジュール等のソフトウェアとを組み合わせた1台又は複数台のコンピュータによって実現することが可能である。ソフトウェアはプログラムと同義である。プログラマブルコントローラはコンピュータの概念に含まれる。
【0060】
コンピュータは、例えば、CPU(Central Processing Unit)及び記憶装置を含んで構成され得る。プログラマブルコントローラはコンピュータの概念に含まれる。コンピュータはGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。コンピュータに含まれるCPUやGPUはプロセッサの一例である。記憶装置は、有体物たる非一時的なコンピュータ可読媒体であり、例えば、主記憶装置であるメモリ及び補助記憶装置であるストレージを含む。コンピュータ可読媒体は、例えば、半導体メモリ、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)装置、若しくはソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)装置又はこれらの複数の組み合わせであってよい。プロセッサが実行するプログラムはコンピュータ可読媒体に記憶されている。プロセッサはコンピュータ可読媒体を含む構成であってもよい。
【0061】
また、EUV光生成制御部5、制御部52及び露光装置制御部62などの各種の制御装置や処理装置の機能の一部又は全部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)に代表される集積回路を用いて実現してもよい。
【0062】
また、複数の制御装置や処理装置の機能を1台の装置で実現することも可能である。さらに本開示において、複数の制御装置や処理装置は、ローカルエリアネットワークやインターネット回線といった通信ネットワークを介して互いに接続されてもよい。分散コンピューティング環境において、プログラムユニットは、ローカル及びリモート両方のメモリストレージデバイスに保存されてもよい。
【0063】
2.2動作
制御部52は、ターゲット供給部26を制御し、ターゲット供給部26からプラズマ生成領域25に向けてターゲット27を出力させる。具体的には、制御部52は、ターゲット供給部26のヒータ263をターゲット物質の融点以上の温度まで加熱させ、タンク261に収容されたターゲット物質を溶融させる。ターゲット物質がスズである場合、スズの融点は232℃であることから、制御部52は、例えば250℃以上290℃以下の温度でヒータ263を加熱させる。
【0064】
制御部52は、ターゲット供給部26の圧力調節器264を制御して、タンク261内のターゲット27が所定速度で連続的にノズル262から出力されるよう、タンク261内のターゲット27に所定圧力を加える。
【0065】
制御部52は、ターゲット供給部26のピエゾ素子265を所定波形で振動させ、連続的に出力されたターゲット27を所定周期で分断してドロップレット状のターゲット27を形成し、ノズル262から所定周波数で出力させる。
【0066】
チャンバ2内へ出力されたターゲット27は、ドロップレットの形態でターゲット軌道上を進行し、プラズマ生成領域25に供給される。
【0067】
ドロップレット検出装置41は、ターゲット27がターゲット軌道上の所定位置DPを通過したタイミングを検出する。光センサ422で検出された照明光の光強度は、ターゲット27が所定位置DPを通過する毎に低下し得る。光センサ422は、検出された照明光の光強度の変化に応じた出力信号(検出信号)を生成し、制御部52に送信する。
【0068】
制御部52は、ドロップレット検出装置41からの検出信号を受信する。制御部52は、検出信号が所定の閾値より低くなったタイミングを、ターゲット27が所定位置DPを通過したタイミングと判定する。すなわち、制御部52は、ドロップレット検出装置41の検出結果に基づいて、ドロップレットが所定位置DPを通過したタイミングを特定する。
【0069】
制御部52は、ドロップレット検出信号が所定の閾値より低くなったタイミングで、ドロップレットが所定位置DPを通過したことを示すドロップレット通過タイミング信号を生成する。なお、ドロップレット検出装置41がドロップレット通過タイミング信号を生成してドロップレット通過タイミング信号を制御部52に送信してもよい。ドロップレットが所定位置DPを通過したタイミングを「ドロップレット通過タイミング」又は単に「通過タイミング」という。
【0070】
制御部52は、ドロップレット通過タイミングから遅延時間Tdだけ遅延したタイミングで、パルスレーザ光を出力する契機を与えるトリガ信号をレーザシステム3に送信する。すなわち、制御部52は、ドロップレット通過タイミングに遅延時間Tdを付加したタイミングで、レーザシステム3からパルスレーザ光を出力させる。遅延時間Tdは、パルスレーザ光がプラズマ生成領域25に集光されるタイミングと、ターゲット27がプラズマ生成領域25に供給されるタイミングとを略一致させるための時間である。遅延時間Tdは、プラズマ生成領域25に供給されたターゲット27にパルスレーザ光が照射されるタイミングを規定する。遅延時間Tdは、制御部52に予め記憶されている。
【0071】
レーザシステム3は、トリガ信号を受信すると、パルスレーザ光を出力する。レーザシステム3から出力されたパルスレーザ光は、ビームデリバリシステム34及びウインドウ21を介してチャンバ2内に導入される。チャンバ2内に導入されたパルスレーザ光は、レーザ集光光学系22によってプラズマ生成領域25に集光される。プラズマ生成領域25に集光されたパルスレーザ光は、プラズマ生成領域25に供給されたターゲット27に照射される。
【0072】
プラズマ生成領域25に供給されたターゲット27は、パルスレーザ光が照射されることによってプラズマ化し、放射光251を放射する。放射光251に含まれるEUV光252は、EUV光集光ミラー23で選択的に反射され、接続部29の中間集光点292に集光される。中間集光点292に集光されたEUV光252は、露光装置6に向かって出力される。
【0073】
EUV光生成制御部5は、メインパルスレーザ装置30と、第1プリパルスレーザ装置31と、第2プリパルスレーザ装置32とのそれぞれに対する目標の遅延時間のデータを予め遅延回路54に送信する。
【0074】
EUV光生成制御部5から遅延回路54に送信された遅延時間のデータにより、遅延回路54には、第1遅延時間、第2遅延時間及び第3遅延時間が設定される。すなわち、ドロップレット通過タイミング信号入力後、プラズマ生成領域25にドロップレットが到達した時に、第1プリパルスレーザ光PPL1がドロップレットに照射されるように第1遅延時間が設定される。
【0075】
さらに、ドロップレットへの第1プリパルスレーザ光PPL1の照射から第1所定時間経過後に、第2プリパルスレーザ光PPL2が二次ターゲットに照射されるように、第2遅延時間が設定される。さらに、第2所定時間経過後に、メインパルスレーザ光MPLが三次ターゲットに照射されるように第3遅延時間が設定される。
【0076】
二次ターゲットは、ドロップレットに第1プリパルスレーザ光PPL1が照射されることによって拡散されたターゲットである。二次ターゲットは、例えば、ミスト状に広がったターゲットである。ここで、ミスト状とは、ドロップレットが第1プリパルスレーザ光PPL1の照射によって破壊されて、マイクロドロップレットやクラスター等が拡散した状態をいう。ミスト状の二次ターゲットは「ミストターゲット」あるいは「拡散ターゲット」とも呼ばれる場合がある。三次ターゲットは、例えば、プリプラズマ化したターゲットである。三次ターゲットは、第2プリパルスレーザ光PPL2が照射された後の二次ターゲットの一形態と理解してもよい。
【0077】
EUV光生成制御部5からの第1プリパルスレーザ装置31及び第2プリパルスレーザ装置32への設定値は、それぞれ、出力される第1プリパルスレーザ光PPL1及び第2プリパルスレーザ光PPL2のパルスエネルギやパルス幅であってよい。
【0078】
EUV光生成制御部5からのメインパルスレーザ装置30への設定値は、出力されるメインパルスレーザ光MPLのパルスエネルギやパルス幅やパルス波形などであってよい。
【0079】
EUV光生成制御部5は、露光装置制御部62からEUV光を生成する信号を受信すると、制御部52にドロップレット生成信号を送信する。
【0080】
制御部52は、ターゲット供給部26のヒータ263を、Snターゲットの融点(232℃)よりも高い温度、例えば280度まで加熱して、タンク261内のスズを融解させる。
【0081】
制御部52は、圧力調節器264を介してタンク261内が所定の圧力となるように制御することによって、所定の速度でノズル262から液体スズのジェットを出力させる。
【0082】
制御部52は、液体スズのジェットから所定の周波数でドロップレットが生成するように、ノズル262に固定されたピエゾ素子265に所定の波形の電気信号を送る。その結果、所定の周波数でドロップレットが生成し得る。
【0083】
ドロップレットが所定位置DPに到達すると、ドロップレット検出装置41が出力したドロップレット通過タイミング信号は制御部52を経由して、遅延回路54に入力される。
【0084】
遅延回路54によって第1遅延時間だけ遅延された第1発光トリガ信号は、第1プリパルスレーザ装置31に入力される。第1発光トリガ信号の入力によって第1プリパルスレーザ装置31から第1プリパルスレーザ光PPL1が所定のパルスエネルギ及び/又はパルス幅で出力される。
【0085】
第1プリパルスレーザ光PPL1は第1高反射ミラー341を介して、P偏光として偏光子340に入射し、偏光子340を高透過する。
【0086】
遅延回路54によって第2遅延時間だけ遅延された第2発光トリガ信号は第2プリパルスレーザ装置32に入力される。第2発光トリガ信号の入力によって第2プリパルスレーザ装置32から第2プリパルスレーザ光PPL2が所定のパルスエネルギ及び/又はパルス幅で出力される。
【0087】
第2プリパルスレーザ光PPL2はS偏光として偏光子340に入射し、偏光子340で高反射される。偏光子340から出射される第2プリパルスレーザ光PPL2の光路軸と第1プリパルスレーザ光PPL1の光路軸とは略一致する。
【0088】
2.3 課題
仮に、ドロップレットの形態のままのターゲット27に対してCOレーザ光などのドライバレーザ光を照射した場合、ターゲット27の密度が高すぎるため、効率よくEUV光を生成することが困難である。そこで、効率良くEUV光を得るために、ドライバレーザ光の照射の直前に、ドロップレットを低密度状態に変化させることを目的とし、ドロップレットに対して少なくとも1つのプリパルスレーザ光を照射してターゲット27を低密度化する。
【0089】
しかしながら、第1プリパルスレーザ光PPL1をドロップレットに照射した場合であっても、ドロップレットの一部は十分に低密度化できていないことがある。
【0090】
図4は、第1プリパルスレーザ光PPL1の偏光方向とドロップレット進行軸との関係の例を示す図である。ここでの第1プリパルスレーザ光PPL1の偏光は、直線偏光であり、偏光方向は、例えばドロップレット進行軸とほぼ平行である。
【0091】
このように、ドロップレットDLに最初に照射される第1プリパルスレーザ光PPL1の直線偏光方向をドロップレット進行軸に一致させて、第1プリパルスレーザ光PPL1をドロップレットDLに照射した場合、発生するミストの密度分布は周辺に高密度、内部に低密度の不均一な分布となる。「ミスト」という用語は、ミスト状に拡散したターゲットを意味し、「ミストターゲット」と同義である。また、ミストの分布形状はドロップレット進行方向の拡散幅に対して、第1プリパルスレーザ光PPL1の進行方向(すなわち、メインパルスレーザ光MPLの進行方向)の拡散幅が小さくなる。その結果、メインパルスレーザ光MPLの照射での加熱効率が低下し、EUV光への変換効率(Conversion Efficiency:CE)が低下する。またデブリが多く発生しチャンバ2内が汚染されやすい。
【0092】
図5は、ドロップレットDLに対して第1プリパルスレーザ光PPL1を照射した後のミスト分布形状の推移を示す画像である。図5の左側に示す画像IM1は、ドロップレットDLに第1プリパルスレーザ光PPL1を照射してから1μs後のミスト分布形状を示す。なお、図5の左側から第1プリパルスレーザ光PPL1が照射される。画像IM1内に表示した2本の平行な破線は、その破線の間隔によってミスト分布の縦方向(Y軸方向)の拡散幅(広がり幅)を表している。画像IM1内にミスト分布の下方に表示した双方向矢印はミスト分布の横方向(Z軸方向)の拡散幅を表している。ミスト分布形状におけるZ軸方向の拡散幅を「ミスト分布形状の厚み」という。
【0093】
図5の右側に示す画像IM2は、ドロップレットDLに第1プリパルスレーザ光PPL1を照射してから1.5μs後のミスト分布形状を示す。画像IM1及び画像IM2のそれぞれに示されるようにミスト分布における中心部分に比べて周囲部分(外殻部分)の濃度が濃くなっているのは、外殻部分が高密度であることを示している。
【0094】
3.実施形態1
3.1 構成
3.1.1 システムの概要
図6は、実施形態1に係るEUV光生成装置1Aの要部を概略的に示す概要図である。EUV光生成装置1Aは、第1プリパルスレーザ光PPL1の光路上に配置された偏光方向調整部35と、ミストMSの分布形状を観測するミスト観測部44と、コントローラ55とを含む。
【0095】
偏光方向調整部35は、入射する第1プリパルスレーザ光PPL1の偏光方向を、第1プリパルスレーザ光PPL1の進行方向の軸周りに回転させるための光学素子を含む。偏光方向調整部35は、例えば、1/2波長板とアクチュエータ付き回転ステージとを用いて構成される。ミスト観測部44は、撮像部440と光源446とを含む。撮像部440は、例えば、CCD(Charged Coupled Device)カメラ、高倍率レンズ及びイメージインテンシファイアを用いて構成される。光源446はミストMSの生成領域に照明光を照明する。撮像部440は、光源446によって照明されたミストMSからの反射光を受光してミストMSを撮像する。
【0096】
偏光方向調整部35、撮像部440及び光源446は、コントローラ55と接続される。コントローラ55は、ミスト観測部44によって観測されたミスト分布形状を評価し、適切な偏光方向を偏光方向調整部35に指示する。コントローラ55はプロセッサを用いて構成される。プロセッサは、制御プログラムが記憶された記憶装置と、制御プログラムを実行するCPUとを含む処理装置である。プロセッサは本開示に含まれる各種処理を実行するために特別に構成又はプログラムされている。コントローラ55の機能は、EUV光生成制御部5及び/又は制御部52に含まれてよい。EUV光生成装置1Aの他の構成は、図3で説明した構成と同様であってよい。
【0097】
3.1.2 装置構成の具体例
図7は、実施形態1に係るEUV光生成装置1Aの構成を概略的に示す。図7に示す構成について、図1に示す構成と異なる点を説明する。EUV光生成装置1Aのビームデリバリシステム34では、偏光子340とダイクロイックミラー345との間の光路上に偏光方向調整部35が配置されている。また、EUV光生成装置1Aのチャンバ2には、ミスト観測部44としての撮像部440と光源446とが配置されている。ミスト観測部44は本開示における「二次ターゲット観測部」の一例である。撮像部440は本開示における「二次ターゲットによる照明光の反射光を観測する撮像装置」の一例である。
【0098】
図6及び図7では、光源446によって照明されたミストMSからの反射光を撮像部440によって受光する反射光観測タイプのミスト観測部44の構成が示されているが、このような観測系に限らず、バックライト照明によってミストMSからの透過光、すなわち、ミストMSの影を観測するバックライト観測タイプの構成を採用してもよい。
【0099】
図8は、ドロップレットDLに照射される第1プリパルスレーザ光PPL1の偏光方向とドロップレット進行軸との関係の好ましい例を模式的に示す図である。図8に示すように、ドロップレットDLに照射される第1プリパルスレーザ光PPL1の偏光方向は、ドロップレット進行軸に対して直交する方向であることが望ましい。なお、図8中の黒丸は第1プリパルスレーザ光PPL1の偏光方向が紙面に直交する方向であることを表している。
【0100】
偏光方向調整部35は、第1プリパルスレーザ光PPL1の偏光方向がドロップレットDLの進行方向に対して概ね直交する偏光方向となるように第1プリパルスレーザ光PPL1の偏光方向を制御する。他の構成は、図1と同様であってよい。第1プリパルスレーザ光PPL1は本開示における「第1レーザ光」の一例である。メインパルスレーザ光MPLは本開示における「第2レーザ光」の一例である。
【0101】
3.1.3 バックライト観測を行うミスト観測部の構成例
図9は、バックライト観測を行うミスト観測部45の構成例を概略的に示す構成図である。図7及び図8に示したミスト観測部44の代わりに、図9に示すミスト観測部45を用いてもよい。ミスト観測部45は撮像部450と光源456とを含む。撮像部450と光源456とは、ミスト生成領域MSAを挟んで互いに対向する位置に配置される。撮像部450は、例えば、CCDセンサ451と、高倍率レンズ等の転写光学系452と、イメージインテンシファイア等の高速シャッター453とを含む。なお、CCDセンサ451に限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの撮像センサを用いてもよい。撮像部450は、ウインドウ454を介してチャンバ2の隔壁に接続される。撮像部450は本開示における「二次ターゲットの影を観測する撮像装置」の一例である。
【0102】
光源456は、ミスト生成領域MSAを挟んで撮像部450に対向する位置に配置される。光源456は、ウインドウ457を介してチャンバ2の隔壁に接続される。光源456として、例えば、フラッシュライト等及び集光レンズ等を取り付けてもよい。
【0103】
コントローラ55は撮像部450と光源456との動作タイミングを制御する。
【0104】
3.2 動作
3.2.1 プリパルスレーザ光の偏光方向を制御するメインフロー
実施形態1に係るEUV光生成装置1Aは、メインパルスレーザ光MPLの照射に先立ち、第1プリパルスレーザ光PPL1と第2プリパルスレーザ光PPL2とをターゲット27に照射する構成であるが、偏光方向の制御については少なくとも第1プリパルスレーザ光PPL1について実施される。また、後述の実施形態2(図16参照)に示すように、装置構成によっては、第2プリパルスレーザ装置32が省略される形態もあり得る。
【0105】
図10は、ミスト分布形状を観測してプリパルスレーザ光の偏光方向を制御する動作の例を示すフローチャートである。
【0106】
ステップS11において、コントローラ55はターゲット供給部26と第1プリパルスレーザ装置31とを制御することにより、ドロップレットに第1プリパルスレーザ光PPL1を照射する。
【0107】
ステップS12において、ミスト観測部44はミスト分布形状を観測する。ミスト観測部44によって得られた観測結果はコントローラ55に送られる。
【0108】
ステップS13において、コントローラ55はミスト分布形状を評価する。具体的には、コントローラ55はミスト分布形状の厚みt1を基準値t0と比較して、厚みt1が基準値t0よりも大きいか否かを判定する。ステップS13の判定結果がNo判定である場合、コントローラ55はステップS14に進み、ステップS14において偏光制御を実施する。偏光制御の動作の詳細は後述する。
【0109】
その一方、ステップS13の判定結果がYes判定である場合、偏光方向の制御は不要であるため、コントローラ55はステップS15に進む。
【0110】
ステップS15において、EUV光生成装置1AはミストMSにメインパルスレーザ光MPLを照射する。これによりEUV光252が生成される。なお、メインパルスレーザ光MPLの照射に先立ち、ミストMSに第2プリパルスレーザ光PPL2が照射されてよい。
【0111】
ステップS14又はステップS15の後、図10のフローチャートを終了する。
【0112】
3.2.2 偏光制御フロー
図11は、図10のステップS14に適用される偏光制御のサブルーチンの例を示すフローチャートである。
【0113】
ステップS21において、コントローラ55は偏光方向調整部35の波長板を「+方向」に回転させる。ここでいう波長板は1/2波長板であってもよい。また、波長板を回転させる量は予め定めた所定の回転量(変更量)であってよい。
【0114】
次いで、ステップS22において、コントローラ55はミスト分布形状を評価する。コントローラ55は、観測されたミスト分布形状の厚みt2と基準値t0とを比較して、厚みt1が基準値t0よりも大きいか否かを判定する。ステップS22の判定結果がYes判定である場合、コントローラ55は図11のフローチャートを終了し、図10のメインフローに復帰する。
【0115】
一方、ステップS22の判定結果がNo判定である場合、コントローラ55はステップS23に進む。ステップS23において、コントローラ55はミスト分布形状の厚みt2と、前回のミスト観測で得られた値(厚みt1)とを比較して、厚みt2が前回の厚みt1よりも大きいか否かを判定する。ステップS23の判定結果がYes判定である場合、コントローラ55はステップS24に進む。
【0116】
ステップS24において、コントローラ55は波長板を「+方向」にさらに所定量回転させる。その後、ステップS25において、コントローラ55はドロップレットに第1プリパルスレーザ光PPL1を照射するようにターゲット供給部26とレーザシステム3とを制御する。
【0117】
ステップS25の後、ステップS26において、コントローラ55はミスト分布形状を評価する。コントローラ55はステップS25における第1プリパルスレーザ光PPL1の照射後のミスト分布形状の厚みt3と基準値t0とを比較して、厚みt3が基準値t0よりも大きいか否かを判定する。
【0118】
ステップS26の判定結果がNo判定である場合、コントローラ55はステップS24に戻る。ステップS26の判定結果がYes判定である場合、コントローラ55は図11のフローチャートを終了し、図10のメインフローに復帰する。
【0119】
ステップS23の判定結果がNo判定である場合、コントローラ55はステップS34に進む。ステップS34において、コントローラ55は波長板を「-方向」に回転させる。波長板を回転させる量は予め定めた所定の回転量(変更量)であってよい。その後、ステップS35において、コントローラ55はターゲット供給部26とレーザシステム3とを制御することにより、ドロップレットに第1プリパルスレーザ光PPL1を照射する。
【0120】
ステップS35の後、ステップS36において、コントローラ55はミスト分布形状を評価する。コントローラ55はステップS35における第1プリパルスレーザ光PPL1の照射後のミスト分布形状の厚みt3と基準値t0とを比較して、厚みt3が基準値t0よりも大きいか否かを判定する。
【0121】
ステップS36の判定結果がNo判定である場合、コントローラ55はステップS34に戻る。ステップS36の判定結果がYes判定である場合、コントローラ55は図11のフローチャートを終了し、図10のメインフローに復帰する。
【0122】
図11のフローチャートを実施することにより、ミスト分布形状の厚みが基準値t0よりも大きくなるように波長板の回転角が調整される。
【0123】
3.2.3 直線偏光角度とミスト分布との関係
図12は、ドロップレット進行軸に対する第1プリパルスレーザ光PPL1の直線偏光角度を変化させた場合に観測されるミスト分布形状の変化を示す図である。図12の最左に示す画像MDI1は、偏光角0°の場合に観測されるミスト分布形状の画像である。ここでの「偏光角」とは、ドロップレット進行軸に対する第1プリパルスレーザ光PPL1の偏光方向の角度を意味しており、偏光角0°は第1プリパルスレーザ光PPL1の直線偏光方向がドロップレット進行軸と平行の状態である。図12中の画像MDI2は、偏光角28°の場合に観測されるミスト分布形状の画像である。画像MDI3、画像MDI4及び画像MDI5画は、それぞれ偏光角45°、90°及び118°の場合に観測されるミスト分布形状の画像である。
【0124】
偏光方向がドロップレット進行軸と平行(偏光角0°)である場合、ミストは周囲の密度が高く、中心部の密度が低いため、バックライト観測によるミストの影像は、ミストの外殻部分が濃く(暗く)、中心部が明るい中空に見える(画像MDI1参照)。これは、局所的に高密度なスズが残存していることを示す。
【0125】
第1プリパルスレーザ光PPL1の偏光方向を回転させると、ミストの影像は全体的に黒くなっており、ターゲットの密度が均一になってきていることを示す(画像MDI3、画像MDI4及び画像MDI5参照)。
【0126】
さらに、レーザ光進行方向(図12の左から右へ向かう方向)のミスト分布形状の厚みt1が偏光角の増加につれて増えてきている(図12においてt1>t0)。これにより、低密度かつ体積の大きなミストになり、メインパルスレーザ光MPLが照射されたときにEUV光への変換効率(CE)が向上する。
【0127】
図13は、ドロップレット進行軸に対する第1プリパルスレーザ光PPL1の直線偏光角度とCE特性との関係を示すグラフである。横軸は偏光角、縦軸は偏光角0°におけるCEを1として規格化した相対的なCE比を表す。図13に示すグラフは、直線偏光度が99%以上である直線偏光の第1プリパルスレーザ光PPL1を用いて計測された結果である。なお、ここでは、第1プリパルスレーザ光PPL1の直線偏光度が99%以上である場合を示すが、直線偏光度は90%以上であってもよい。直線偏光度が90%以上であれば、直線偏光に限らず、楕円偏光であっても実質的に同様の結果が得られる。
【0128】
図13に示すように、偏光角90°の場合にCE比が最大となる。偏光角として推奨される角度は90°±60°の範囲である。偏光角が30°以上150°以下の範囲である場合、CE比が1.05以上となり得る。偏光角のより好ましい範囲は90°±40°の範囲である。偏光角が50°以上130°以下の範囲である場合、CE比が1.1以上となり得る。さらに、図12の画像MDI3~MDI5においてミストの密度が十分に均一化されていることから、偏光角が45°以上118°以下の範囲であることがさらに好ましい。また、偏光角の特に好ましい範囲は90°±10°の範囲である。偏光角が80°以上100°以下の範囲である場合、CE比が1.15以上となり得る。
【0129】
3.2.4 ミスト観測部の動作例
図14は、バックライト観測の制御例を示すフローチャートである。図14に示すフローチャートは、図10のステップS12に適用される。
【0130】
図14に示すミスト分布形状観測の処理がスタートすると、ステップS41において、コントローラ55はミスト分布像のバックライト計測を行い、ミスト分布像のコントラストDmを求める。
【0131】
次いで、ステップS42において、コントローラ55は計測されたコントラストDが所定の範囲内であるか否かを判定する。所定の範囲の下限を規定する下限閾値DLLと上限を規定する上限閾値DULとが定められており、コントローラ55はコントラストDがDLL<D<DULを満たすか否かを判定する。
【0132】
ステップS42の判定結果がNo判定である場合、つまりコントラストDが所定の範囲外である場合、コントローラ55はステップS43に進む。
【0133】
ステップS43において、コントローラ55は、波長板を所定量回転させる。波長板の回転量はΔθ×Aであってよい。ここでのAは予め定められた係数を表す。
【0134】
次いで、ステップS44において、コントローラ55はミスト分布像のバックライト計測を行い、波長板回転後のミスト分布像のコントラストDmaを求める。
【0135】
次いで、ステップS45において、コントローラ55は回転方向が反対であるか否かを判定する。コントローラ55は、波長板回転前後のミスト分布像のコントラストD、Dmaを比較し、コントラストDmaが前回のコントラストDよりも低下している場合は回転方向が反対であると判定する。
【0136】
ステップS45の判定結果がNo判定である場合、コントローラ55はステップS41に戻る。その一方、ステップS45の判定結果がYes判定である場合、コントローラ55はステップS46に進む。
【0137】
ステップS46において、コントローラ55は係数Aの符号を変えてA=A×(-1)とし、ステップS41に戻る。これにより、その後のステップS43において、回転方向が逆方向となり、ステップS44にて、ミスト分布像のコントラストDmaが再度計測される。
【0138】
ステップS42の判定結果がYes判定である場合、つまりコントラストDが所定の範囲内である場合、コントローラ55は図14のフローチャートを終了し、図10のフローチャートに復帰する。
【0139】
なお、図14ではバックライト観測の例を説明したが、反射光観測の場合も同様のフローチャートを適用することができる。
【0140】
図15は、バックライト観測の制御に関するタイミングチャートの例である。図15において上から順に、ドロップレット通過タイミング信号、ドロップレットへの第1プリパルスレーザ光PPL1の照射タイミング、ミスト生成時間、CCDセンサ451の露光時間、光源456の発光(照明光ON)時間及び高速シャッター453の動作時間が示されている。
【0141】
図15に示すように、ドロップレット通過タイミング信号に基づいて、CCDセンサ451と光源456とがそれぞれ所定の遅延時間Tda、TdbでONになる。ドロップレットへのレーザ照射後、数百nsでミストMSが生成される。
【0142】
CCDセンサ451は高速に動作できないのでミスト生成時間間隔よりも長い時間露光している。また、光源456はミスト生成時間を含んだ時間で発光する。高速シャッター453はミスト生成時間以内の露光時間及びタイミングで動作する。
【0143】
図15に示すタイミングチャートによれば、動作が遅いCCDセンサ451を用いても、短時間で発生するミスト生成の様子を撮像できる。なお、バックライト観測に限らず、反射光観測の場合も同様のタイミングチャートを適用することができる。
【0144】
3.3 作用・効果
実施形態1によれば、ミスト分布形状を観測し、ドロップレット進行軸に対する第1プリパルスレーザ光PPL1の偏光方向を適切な角度に調整することにより、低密度かつ体積の大きなミスト分布を実現することができる。これにより、EUV光への変換効率(CE)を向上させることができる。また、デブリの発生を抑制でき、チャンバ2内の汚染を抑制できる。なお、実施形態1では第1プリパルスレーザ光PPL1の偏光方向を自動的に調整する制御を実施する例を説明したが、ミスト分布の観測結果を基にオペレータが偏光方向調整部35を操作して、適切な偏光方向となる角度に調整してもよい。
【0145】
4.実施形態2
4.1 構成
図16は、実施形態2に係るEUV光生成装置1Bの構成を概略的に示す。図16に示す構成について、図7と異なる点を説明する。図7ではメインパルスレーザ光MPLの照射に先立ち第1プリパルスレーザ光PPL1と第2プリパルスレーザ光PPL2とを照射するダブルプリパルスレーザ照射型の装置構成をしたが、図16に示すEUV光生成装置1Bは、第2プリパルスレーザ光PPL2を照射する構成が省略されたシングルプリパルスレーザ照射型の装置構成である。
【0146】
EUV光生成装置1Bは、図7のプリパルスレーザシステム33に代えて、プリパルスレーザシステム33Bを備える。プリパルスレーザシステム33Bは、図7の第1プリパルスレーザ装置31及び第2プリパルスレーザ装置32に代えて、COプリパルスレーザ装置31Bを備える。
【0147】
また、EUV光生成装置1Bは、図7のビームデリバリシステム34に代えて、ビームデリバリシステム34Bを備える。ビームデリバリシステム34Bは、図7の偏光子340、第1高反射ミラー341及びダイクロイックミラー345に代えて、偏光ビームスプリッタ347を備える。偏光ビームスプリッタ347と偏光方向調整部35とは、第2高反射ミラー342と第3高反射ミラー343との間の光路上に配置される。
【0148】
偏光ビームスプリッタ347は、COプリパルスレーザ装置31Bから出力されたプリパルスレーザ光を反射して偏光方向調整部35に入射させるように配置される。偏光ビームスプリッタ347は、第2高反射ミラー342で反射されたメインパルスレーザ光MPLを透過し、偏光方向調整部35に入射させるように配置される。偏光ビームスプリッタ347は、偏光ビームスプリッタ347から出射されるプリパルスレーザ光の光路軸とメインパルスレーザ光MPLの光路軸とが略一致するように配置される。
【0149】
他の構成は図7と同様であってよい。また、図16では反射光観測を行うミスト観測部の構成が図示されているが、既述のとおり、バックライト観測を行うミスト観測部を採用してもよい。
【0150】
4.2 動作
EUV光生成装置1Bの動作は、実施形態1に係るEUV光生成装置1Aにおける第2プリパルスレーザ光PPL2の照射が省略された動作となり、その他の動作はEUV光生成装置1Aの動作と同様である。実施形態1の説明における第1プリパルスレーザ光PPL1に関する説明は、EUV光生成装置1BのCOプリパルスレーザ装置31Bから出力されるプリパルスレーザ光PPLに置き換えて理解してよい。プリパルスレーザ光PPLは本開示における「第1レーザ光」の一例である、
4.3 作用・効果
EUV光生成装置1Bの作用・効果は、実施形態1と同様である。
【0151】
4.4 変形例
図16では、メインパルスレーザ装置30とは別にCOプリパルスレーザ装置31Bとを備える構成を説明したが、1つの(同じ)COレーザ装置からプリパルスレーザ光とメインパルスレーザ光とを出力する構成も可能である。
【0152】
5.実施形態3
5.1 構成
図17は、実施形態3に係るEUV光生成装置1Cの要部を概略的に示す概要図である。図17に示す構成について、図6と異なる点を説明する。
【0153】
EUV光生成装置1Cは、ミスト観測部44に代えてEUVエネルギを計測するEUVセンサ71を備える。EUVセンサ71はEUV光観測部として機能する。また、EUV光生成装置1Cは、コントローラ55に代えてコントローラ56を備える。コントローラ56は、EUVセンサ71によって計測されたEUVエネルギを評価し、適切な偏光方向を偏光方向調整部35に指示する。
【0154】
なお、図17では1つのEUVセンサ71を図示しているが、複数個のEUVセンサ71がチャンバ2に配置されてもよい。コントローラ56は、複数個のEUVセンサ71から得られる計測結果の平均値を取得してもよい。EUV光生成装置1Cの他の構成は、実施形態1に係るEUV光生成装置1Aの構成と同様であってよい。
【0155】
5.2 動作
図18は、EUV光に基づく偏光制御の例を示すフローチャートである。ステップS61において、コントローラ56はEUVエネルギ計測を行い、EUVエネルギEを求める。
【0156】
次いで、ステップS62において、コントローラ56は計測されたEUVエネルギEが閾値ELLを下回っているか否かを判定する。
【0157】
ステップS62の判定結果がYes判定である場合、コントローラ56はステップS63に進む。
【0158】
ステップS63において、コントローラ56は偏光方向調整部35の波長板を所定量回転させる。
【0159】
次いで、ステップS64において、コントローラ56はEUVエネルギ計測を行い、波長板回転後のEUVエネルギEaを求める。
【0160】
次いで、ステップS65において、コントローラ56は波長板回転後のEUVエネルギEaが前回のEUVエネルギEよりも小さいか否かを判定する。
【0161】
ステップS65の判定結果がNo判定である場合、コントローラ56はステップS61に戻る。その一方、ステップS65の判定結果がYes判定である場合、コントローラ56はステップS66に進む。
【0162】
ステップS66において、コントローラ56は係数Aの符号を変えてA=A×(-1)とし、ステップS61に戻る。これにより、その後のステップS63において回転方向が逆方向となり、ステップS64にてEUVエネルギEaが再度計測される。
【0163】
ステップS61で計測されたEUVエネルギEが閾値ELL以上となるまでステップS61からステップS66のルーチンが繰り返される。ステップS62の判定結果がNo判定である場合、コントローラ56は図18のフローチャートを終了する。
【0164】
なお、図18では、EUVエネルギE、Eaを計測して、EUVエネルギEと閾値ELLとの比較(ステップS62)及びEaとEとの比較(ステップS65)を実施しているが、EUVエネルギの値の代わりに、CEの値を用いてもよい。すなわち、コントローラ56は、EUVエネルギからCEを求め、得られたCEと、判定基準の閾値とを比較して、その比較結果に基づいて偏向方向を制御してもよい。
【0165】
5.3 作用・効果
実施形態3に係るEUV光生成装置1Cによれば、EUVエネルギが最大となる偏光角に調整できる。
【0166】
6.プリパルスレーザ光の照射条件の例
図19は、プリパルスレーザ光の照射条件の例を示す図表である。図19に例示するプリパルスレーザ光の照射条件は、実施形態1及び実施形態3の第1プリパルスレーザ光PPL1の照射条件として適用されてもよいし、実施形態2のプリパルスレーザ光PPLの照射条件として適用されてもよい。
【0167】
7.偏光方向調整部の例1
7.1 構成
図20は、直線偏光のレーザ光LPLが用いられる場合の偏光方向調整部35の構成例1を概略的に示す斜視図である。偏光方向調整部35は、1/2波長板352とアクチュエータ付きの回転ステージ354とを含む。
【0168】
7.2 動作
直線偏光のレーザ光LPLは、第1プリパルスレーザ装置31から出力された第1プリパルスレーザ光PPL1又はCOプリパルスレーザ装置31Bから出力されたプリパルスレーザ光PPLであってもよい。
【0169】
直線偏光のレーザ光LPLは、1/2波長板352に入射する。外部からの指令により回転ステージ354が回転することにより、1/2波長板352が回転し、1/2波長板352から出射される直線偏光のレーザ光LPLの偏光方向が回転する。
【0170】
7.3 作用・効果
図20によれば、直線偏光のレーザ光LPLの偏光方向を調整できる。
【0171】
8.偏光方向調整部の例2
8.1 構成
図21は、楕円偏光のレーザ光EPLが用いられる場合の偏光方向調整部35の構成例2を概略的に示す斜視図である。偏光方向調整部35は、1/2波長板352とアクチュエータ付きの回転ステージ354とを含む。
【0172】
8.2 動作
楕円偏光のレーザ光EPLは、第1プリパルスレーザ装置31から出力された第1プリパルスレーザ光PPL1又はCOプリパルスレーザ装置31Bから出力されたプリパルスレーザ光PPLであってもよい。
【0173】
楕円偏光のレーザ光EPLは、1/2波長板352に入射する。外部からの指令により回転ステージ354が回転することにより、1/2波長板352が回転し、1/2波長板352から出射されるレーザ光EPLの偏光方向が回転する。
【0174】
8.3 作用・効果
図21に示す構成によれば、楕円偏光のレーザ光EPLの偏光方向を調整できる。
【0175】
9.偏光方向調整部の例3
9.1 構成
図22は、直線偏光のレーザ光LPLが用いられる場合の偏光方向調整部35Aの構成例3を概略的に示す斜視図である。図20で説明した偏光方向調整部35に代えて、図22に示す偏光方向調整部35Aを用いてもよい。
【0176】
偏光方向調整部35Aは、電気光学(Electro-optic:EO)素子を用いたEO偏光器355と、高圧高速電源356とを含む。EO偏光器355は高圧高速電源356と接続され、高圧高速電源356はコントローラ55と接続される。
【0177】
9.2 動作
直線偏光のレーザ光LPLは、EO偏光器355に入射する。高圧高速電源356は、コントローラ55からの指令により、EO偏光器355へ高電圧を印加する。EO偏光器355内の素子に電界が発生し、入射したレーザ光LPLの偏光方向が回転する。
【0178】
9.3 作用・効果
図22に示す構成によれば、直線偏光のレーザ光LPLの偏光方向を調整できる。
【0179】
10.電子デバイスの製造方法の例
図23は、EUV光生成装置1Aと接続された露光装置6の概略構成を示す図である。露光装置6は、マスク照射部602とワークピース照射部604とを含む。マスク照射部602は、EUV光生成装置1Aから入射したEUV光252によって、反射光学系603を介してマスクテーブルMT上に配置された図示しないマスクのマスクパターンを照明する。ワークピース照射部604は、マスクテーブルMTによって反射されたEUV光252を、反射光学系605を介してワークピーステーブルWT上に配置された図示しないワークピース上に結像させる。ワークピースはフォトレジストが塗布された半導体ウエハ等の感光基板である。
【0180】
露光装置6は、マスクテーブルMTとワークピーステーブルWTとを同期して平行移動させることにより、マスクパターンを反映したEUV光252をワークピースに露光する。以上のような露光工程によって半導体ウエハにマスクパターンを転写後、複数の工程を経ることで半導体デバイスを製造できる。半導体デバイスは本開示における「電子デバイス」の一例である。EUV光生成装置1Aの代わりに、EUV光生成装置1B、1Cなどを用いてもよい。
【0181】
11.その他
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。従って、特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかである。また、本開示の実施形態を組み合わせて使用することも当業者には明らかである。
【0182】
本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される用語は、明記が無い限り「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」、「有する」、「備える」、「具備する」などの用語は、「記載されたもの以外の構成要素の存在を除外しない」と解釈されるべきである。また、修飾語「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。また、「A、B及びCの少なくとも1つ」という用語は、「A」「B」「C」「A+B」「A+C」「B+C」又は「A+B+C」と解釈されるべきである。さらに、それらと「A」「B」「C」以外のものとの組み合わせも含むと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23