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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046427
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】二色性色素及びその液晶組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20220315BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20220315BHJP
   C09K 19/60 20060101ALI20220315BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220315BHJP
   G02F 1/137 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
C07D487/04 137
C07D487/04 CSP
C07D495/04 101
C09K19/60 Z
G02F1/13 500
G02F1/13 505
G02F1/137
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137888
(22)【出願日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】P 2020151942
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】東條 健太
(72)【発明者】
【氏名】川北 健人
(72)【発明者】
【氏名】細野 礼貴
【テーマコード(参考)】
2H088
4C050
4C071
【Fターム(参考)】
2H088EA33
2H088JA06
2H088KA26
2H088KA27
4C050AA01
4C050AA08
4C050BB04
4C050CC04
4C050EE02
4C050FF02
4C050FF05
4C050GG03
4C050HH03
4C071AA01
4C071AA08
4C071BB01
4C071BB05
4C071BB06
4C071CC22
4C071DD05
4C071EE13
4C071FF23
4C071GG03
4C071HH08
4C071JJ01
4C071JJ07
4C071KK11
4C071LL05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い耐光性を示すと共に大きな二色比とホスト液晶への高い溶解性を有する化合物、併せて当該化合物を構成部材とする液晶組成物及び液晶表示素子又は調光素子を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される化合物。

(B:置換/非置換のベンゼン環またはナフタレン環。R、R:置換/非置換のC~C20アルキルまたはC~C30アルケニル。X、X:SまたはNR(R:置換/非置換のC~C20アルキルまたはC~C30アルケニル)。A、A:置換/非置換C~C16の炭化水素環または複素環。Z、Z:CHO、OCHなど)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
(式中、Bは一般式(2)、(3)又は(4)
【化2】
で表される基から選択されるいずれか一つの基であり、ここで一般式(2)、(3)または(4)中の*1~*4で示される炭素原子はそれぞれ一般式(1)中の*1~*4で示される炭素原子に対応しており、これらの基中の1つ以上の水素原子が置換基Lによって置換されていても良く、
は各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH-又は2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-若しくは-C≡C-によって置換されていても良い炭素原子数1から20の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から20の分岐状若しくは環状アルキル基を表すが、酸素原子同士が直接結合することはなく、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良く、
及びRはそれぞれ独立して炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-NR-、-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、ここでRは水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-、-S-、-COO-、-OCO-又は-CO-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
及びXはそれぞれ独立して-S-又は-NR-を表し、ここでRは炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、若しくは置換されていてもよい炭素原子数3から16の炭化水素環又は複素環により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
及びAは各々独立して置換されていてもよい炭素原子数3から16の炭化水素環又は複素環を表し、
及びZはそれぞれ独立して-CHO-、-OCH-、-CFO-、-OCF-、-COO-、-OCO-、-CHCH-、-CFCF-、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=CH-、-CH=N-、-N=N-、-C≡C-又は単結合を表し、
i及びjはそれぞれ独立して1~4の整数を表し、
及びAが複数存在する場合は複数のA及びAは同一であっても異なっていても良く、Z及びZが複数存在する場合は複数のZ及びZは同一であっても異なっていても良く、複数のR及びRが存在する場合は複数のR及びRは同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物。
【請求項2】
一般式(1)において、R及びRがそれぞれ独立して、炭素原子数3から20のアルキル基、炭素原子数3から20のアルコキシ基又は炭素原子数3から20のアルキルアミノ基のいずれかを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
一般式(1)において、A及びAがそれぞれ独立して
(a)1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-又は-S-に置き換えられても良い。)
(b)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(c)1,4-シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基(これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、また、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基又はフェナントレン-2,7-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(d)チオフェン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,4-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,5-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、ジベンゾチオフェン-3,7-ジイル基、ジベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、これらの基は無置換であるか又は1つ以上の置換基Lによって置換されていても良く、
は各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH-又は2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-若しくは-C≡C-によって置換されていても良い炭素原子数1から20の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から20の分岐状若しくは環状アルキル基を表すが、酸素原子同士が直接結合することはなく、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良い、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
一般式(1)において、X及びXはそれぞれ独立して-S-を表す、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
一般式(1)において、X及びXはそれぞれ独立して-NR-を表す、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
一般式(1)で表される化合物が、以下の式(1-A)~(1-F)
【化3】
(式中、R、R、X、X、A、A、Z、Z、i及びjはそれぞれ一般式(1)中のR、R、X、X、A、A、Z、Z、i及びjと同じ意味を表す。)のいずれかで表される化合物である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物を一種又は二種以上含有する液晶組成物。
【請求項8】
請求項7記載の液晶組成物を使用した液晶表示素子または調光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機電子材料や医農薬、特に液晶表示素子用材料として有用な新規二色性色素及びこれらを用いた液晶組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶材料は、TVやスマートフォンに代表される文字や画像、映像を表示させる各種表示素子に利用されるだけではなく、光の透過を調節する調光素子としての利用も実用化されつつある。
【0003】
中でも、ホスト液晶組成物に二色性色素を添加した「ゲスト - ホスト(GH)型液晶組成物」を用いる場合には偏光板が不要になることから、低コストで透過率の高い調光素子の実現が期待されている。
【0004】
GH型液晶組成物については古くから検討されており、有用な素子性能(例えば、大きな二色比、高いコントラスト、液晶組成物との高い溶解性、優れた耐光性、優れた耐熱性)を有する液晶表示素子や調光素子を開発する試みが行われてきた(特許文献1参照)。
【0005】
しかし、二色性色素を含有する液晶組成物においては、その構成する成分によって、液晶表示素子や調光素子への使用に適さないものがあり、更なる性能の向上が求められている。例えば、大きな二色比を得るためには、二色性色素を多量に液晶組成物に含有させる必要があり、二色性色素や液晶化合物が析出してしまう組成物溶解性の問題がある。特に、調光素子として利用するためには、広い温度範囲でネマチック液晶相を呈しなければならないが、色素の分子量は液晶化合物と比べて大きいため、低温での溶解性に課題がある。
【0006】
上記のような課題を解決するためには、ホストとなる液晶組成物の改良は必要であるが、それに加えて二色性色素自体の改良も必要となる。特に、高いコントラストを実現するためには二色性色素が大きな二色比を示すことに加え、ホスト液晶への高い溶解性を示す必要がある。これまでに多くの二色性色素が検討されてきたが、大きな二色比を示す化合物は概して大きなメソゲンを有することが多く、ホスト液晶への溶解性に乏しいものがほとんどであり、更なる改良が求められている(非特許文献1、2、3)。
【0007】
一方で、色素化合物としてベンゾジピロロリドン骨格を有する下記のような化合物が報告されているが(特許文献2、非特許文献4)、これらの化合物も高い耐光性、大きな二色比と高い溶解性を併せ持つには至っていない。
【0008】
【化1】
【0009】
【化2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2013-534945号公報
【特許文献2】特開2015-40231号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「ディスプレイ材料と機能性色素」中澄博行著
【非特許文献2】「機能性色素の技術」中澄博行著
【非特許文献3】「Dichroic Dyes for Liquid Crystal Displays」Aleksandr V. Ivashchenko 著
【非特許文献4】J. Mater. Chem. C, 2017, 5, 290-300
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、高い耐光性を示すと共に大きな二色比とホスト液晶への高い溶解性を有する化合物を提供し、併せて当該化合物を構成部材とする液晶組成物及び液晶表示素子又は調光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本願発明者らは種々の化合物の検討を行った結果、一般式(1)
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、Bは一般式(2)、(3)又は(4)
【0016】
【化4】
【0017】
で表される基から選択されるいずれか一つの基であり、ここで一般式(2)、(3)または(4)中の*1~*4で示される炭素原子はそれぞれ一般式(1)中の*1~*4で示される炭素原子に対応しており、これらの基中の1つ以上の水素原子が置換基Lによって置換されていても良く、
は各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH-又は2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-若しくは-C≡C-によって置換されていても良い炭素原子数1から20の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から20の分岐状若しくは環状アルキル基を表すが、酸素原子同士が直接結合することはなく、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良く、
及びRはそれぞれ独立して炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-NR-、-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、ここでRは水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-、-S-、-COO-、-OCO-又は-CO-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
及びXはそれぞれ独立して-S-又は-NR-を表し、ここでRは炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、若しくは置換されていてもよい炭素原子数3から16の炭化水素環又は複素環により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
及びAは各々独立して置換されていてもよい炭素原子数3から16の炭化水素環又は複素環を表し、
及びZはそれぞれ独立して-CHO-、-OCH-、-CFO-、-OCF-、-COO-、-OCO-、-CHCH-、-CFCF-、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=CH-、-CH=N-、-N=N-、-C≡C-又は単結合を表し、
i及びjはそれぞれ独立して1~4の整数を表し、
及びAが複数存在する場合は複数のA及びAは同一であっても異なっていても良く、Z及びZが複数存在する場合は複数のZ及びZは同一であっても異なっていても良く、複数のR及びRが存在する場合は複数のR及びRは同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物を提供し、併せて当該化合物を含有する液晶組成物及び当該液晶組成物を用いた液晶表示素子又は調光素子を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明により提供される、一般式(1)で表される化合物は、大きな二色比及びホスト液晶への高い溶解性を併せ持つ。加えて、素子として使用可能なレベルの優れた化学的安定性を併せ持つ。従って、一般式(1)で表される化合物をGH型液晶組成物の成分として用いる事により、高いコントラストを持つ液晶表示素子又は調光素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一般式(1)において、Bは二色比を大きくするためには一般式(3)又は一般式(4)で表される構造であることが好ましく、耐光性及びホスト液晶への溶解性を重視する場合は一般式(2)で表される構造であることが好ましい。また、これらの基中の1つ以上の水素原子が置換基Lによって置換されていることも好ましい。Lは、各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH-又は2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-若しくは-C≡C-によって置換されていても良い炭素原子数1から20の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から20の分岐状若しくは環状アルキル基であることが好ましく、各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、チオイソシアノ基、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基又はアセチル基であることがさらに好ましい。
【0020】
X及びXは炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から20のアルケニル基であることが好ましく、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-で置換されていることも好ましい。ホスト液晶への溶解性を高くするためには-NR-を表すことが好ましく、この時Rは炭素原子数1から20の非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数4から20の非置換の直鎖もしくは分岐アルキル基であることがさらに好ましく、炭素原子数4から20の非置換の分岐アルキル基であることが特に好ましい。また、耐光性を重視する場合には、-S-であることが好ましい。
【0021】
R及びRはそれぞれ独立して炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から20のアルケニル基であることが好ましく、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置き換えられていることも好ましい。ホスト液晶への溶解性を高くするためにはそれぞれ独立して炭素原子数1から20の非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数4から20の非置換の直鎖もしくは分岐アルキル基であることがさらに好ましく、炭素原子数4から20の非置換の分岐アルキル基であることが特に好ましい。
【0022】
A及びAは、吸収波長の長波長化、二色性の向上及び液晶組成物への溶解性向上の観点から、各々独立して置換されていてもよい炭素原子数3から16の炭化水素環又は複素環を表すことが好ましい。中でも、それぞれ独立して
(a)1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-又は-S-に置き換えられても良い。)
(b)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(c)1,4-シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基(これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、また、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基又はフェナントレン-2,7-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(d)チオフェン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,4-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,5-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、ジベンゾチオフェン-3,7-ジイル基、ジベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表すことが好ましく、また、これらの基は無置換であるか又は1つ以上の置換基Lによって置換されていることも好ましい。
は各々独立して各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH-又は2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-若しくは-C≡C-によって置換されていても良い炭素原子数1から20の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から20の分岐状若しくは環状アルキル基であることが好ましく、各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、チオイソシアノ基、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基又はアセチル基であることがさらに好ましい。
また、A及びAの好ましい構造として、
【0023】
【化5】
【0024】
から選ばれる基を表すことが好ましい。ここで、Rはそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、2-プロピル基、ブチル基、2-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、フッ素原子又は塩素原子を表すことが好ましい。具体的には、ホスト液晶への溶解性を高くするためには、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、無置換の1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、2-アルキル-1,4-フェニレン基、3-アルキル-1,4-フェニレン基、無置換のチオフェン-2,5-ジイル基、無置換のチオフェン-2,4-ジイル基、4-アルキル-チオフェン-2,5-ジイル基又は5-アルキル-チオフェン-2,4-ジイル基であることが好ましい。この時、A及びAがそれぞれ複数存在する時は、複数のA及びAがそれぞれ異なる構造を示すことが好ましい。二色比を大きくするためには、無置換の1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、無置換のチオフェン-2,5-ジイル基、無置換のチオフェン-2,4-ジイル基、無置換のナフタレン-2,6-ジイル基又は無置換のナフタレン-1,4-ジイル基であることが好ましい。
【0025】
また、ホスト液晶への溶解性を高くするためには、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、フッ素原子又は塩素原子を表すことが好ましく、メチル基、エチル基又はフッ素原子であることが更に好ましい。吸収波長を長波長化するためには、Rは電子供与性の置換基であることが好ましく、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が更に好ましく、メトキシ基、エトキシ基又はジメチルアミノ基であることが特に好ましい。
【0026】
Z及びZはそれぞれ独立して、ホスト液晶への溶解性を高くするためには、-CHO-、-OCH-、-CHCH-又は単結合であることが好ましく、-CHCH-又は単結合であることがさらに好ましい。二色比を大きくするためには、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=CH-、-CH=N-、-N=N-、-C≡C-又は単結合であることが好ましく、-CH=CH-、-N=N-、-C≡C-又は単結合であることがさらに好ましい。高い耐光性を示すためには単結合であることが好ましい。
【0027】
i及びjはそれぞれ独立して、ホスト液晶への溶解性を高くするためには、1又は2であることが好ましい。二色比を大きくするためには、2、3又は4であることが好ましく、3又は4であることがさらに好ましい。
【0028】
なお、一般式(1)において、化合物の安定性の観点から、酸素原子同士、及び/又は酸素原子と硫黄原子とが直接結合することはないことが好ましい。
【0029】
一般式(1)で表される化合物は、構造中にベンゾジピロロリドン等の骨格を有すると共に、その両端にR及びRで表されるアルキル基等、及びA及びAで表される環構造を有することを特徴とする。これらの特徴によって、化合物全体が棒状構造に近づくため、液晶組成物への溶解性が向上すると共に、色素として用いた場合の二色性を高めることが出来る。とりわけ、A及びAが芳香環である場合、分子全体にπ電子の共役系が広がるため、光吸収波長の長波長化に対して有効である。
【0030】
一般式(1)で表される化合物は、以下の式(1-A)~(1-F)
【0031】
【化6】
【0032】
(式中、R、R、X、X、A、A、Z、Z、i及びjはそれぞれ一般式(1)中のR、R、X、X、A、A、Z、Z、i及びjと同じ意味を表す。)で表されることが好ましい。
【0033】
一般式(1)の中では以下の一般式(1-1)~一般式(1-96)で表される各化合物が特に好ましい。
【0034】
【化7】
【0035】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0036】
【化8】
【0037】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0038】
【化9】
【0039】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0040】
【化10】
【0041】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0042】
【化11】
【0043】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0044】
【化12】
【0045】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0046】
【化13】
【0047】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0048】
【化14】
【0049】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0050】
【化15】
【0051】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0052】
【化16】
【0053】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0054】
【化17】
【0055】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0056】
【化18】
【0057】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
(製造方法)
本発明において、一般式(1)で表される化合物の中でX及びXが-NR-である化合物は、以下のようにして製造することができる。勿論本発明の趣旨及び適用範囲は、これら製造例により制限されるものではない。
一般式(1-a)
【0058】
【化19】
【0059】
(式中、Ya1及びYa2はそれぞれ独立して臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、Rは、一般式(1)で表されるRと同じ意味を表し、Bは一般式(1)で表されるBと同じ意味表す。)で表される化合物は非特許文献(Dyes and Pigments, 162 (2019) 883-887)に記載の方法で製造することができる。この一般式(1-a)で表される化合物を、一般式(1-b)
【0060】
【化20】
【0061】
(式中、Aは一般式(1)におけるA又はAと同じ意味を表し、Zは一般式(1)におけるZ又はZと同じ意味を表し、bは一般式(1)におけるi-1又はj-1を表し、Rは、一般式(1)におけるR又はRと同じ意味を表し、Y
【0062】
【化21】
【0063】
(式中、Ri1及びRi2はそれぞれ独立して水素原子又は直鎖若しくは分岐していても良い炭素数1から5のアルキル基を表し、Ei1は基中に存在する一つ以上の水素原子が各々独立してメチル基に置換されていても良い-(CHpi-を表し、piは2、3又は4を表す。)で表される化合物を遷移金属触媒及び塩基存在下反応させる事で、目的とする一般式(1)で表される化合物を製造する事が出来る。
【0064】
使用する遷移金属触媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、二塩化[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)又は二塩化ビス[ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]パラジウム(II)が好ましく、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、二塩化[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)又は二塩化ビス[ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]パラジウム(II)であることが更に好ましい。また、反応を好適に進行させるため、必要に応じてトリフェニルホスフィン等のホスフィン系配位子を添加しても良い。
【0065】
使用する反応溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、エタノール、トルエンが更に好ましい。また、反応を好適に進行させるため、必要に応じて水を用いても良い。
【0066】
使用する塩基としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等の炭酸塩、りん酸三カリウム、りん酸二水素カリウム等のりん酸塩が好ましく、炭酸カリウム、炭酸セシウム、りん酸三カリウムが更に好ましい。
【0067】
反応温度としては、反応を好適に進行させるものであれば何度でも構わないが、室温から使用している溶媒が還流する温度までが好ましく、40℃から溶媒が還流するまでの温度が更に好ましく、60℃から溶媒が還流するまでの温度であることが特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物の中でX及びXが-S-である化合物は、以下のようにして製造することができる。
一般式(1-c)
【0068】
【化22】
【0069】
(式中、Yc1及びYc2はそれぞれ独立して臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、Bは、一般式(1)で表されるBと同じ意味を表す。)で表される化合物は非特許文献(Chemistry Letters, 1983, 905-908)に記載の方法で製造することができる。この一般式(1-c)で表される化合物を、一般式(1-d)
【0070】
【化23】
【0071】
(式中、Aは一般式(1)におけるA又はAと同じ意味を表し、Zは一般式(1)におけるZ又はZと同じ意味を表し、dは一般式(1)におけるi又はjを表し、Rは、一般式(1)におけるR又はRと同じ意味を表し、Yは一般式(1-b)におけるYと同じ意味を表す)で表される化合物を遷移金属触媒及び塩基存在下反応させる事で、目的とする一般式(1)で表される化合物を製造する事が出来る。
【0072】
使用する遷移金属触媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、二塩化[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)又は二塩化ビス[ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]パラジウム(II)が好ましく、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、二塩化[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)又は二塩化ビス[ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]パラジウム(II)であることが更に好ましい。また、反応を好適に進行させるため、必要に応じてトリフェニルホスフィン等のホスフィン系配位子を添加しても良い。
【0073】
使用する反応溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、エタノール、トルエンが更に好ましい。また、反応を好適に進行させるため、必要に応じて水を用いても良い。
【0074】
使用する塩基としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等の炭酸塩、りん酸三カリウム、りん酸二水素カリウム等のりん酸塩が好ましく、炭酸カリウム、炭酸セシウム、りん酸三カリウムが更に好ましい。
【0075】
反応温度としては、反応を好適に進行させるものであれば何度でも構わないが、室温から使用している溶媒が還流する温度までが好ましく、40℃から溶媒が還流するまでの温度が更に好ましく、60℃から溶媒が還流するまでの温度であることが特に好ましい。
本発明の液晶組成物において一般式(1)で表される化合物の含有量が少ないとその効果が現れないため、組成物中に下限値として、1質量%(以下組成物中の%は質量%を表す。)以上含有することが好ましく、2%以上含有することが好ましく、3%以上含有することが好ましい。又、含有量が多いと析出等の問題を引き起こすため、上限値としては、7%以下含有することが好ましく、6%以下含有することがより好ましい。一般式(1)で表される化合物は1種のみで使用することもできるが、2種以上の化合物を同時に使用してもよい。
【0076】
このように、一般式(1)で表される化合物と混合して使用することのできる化合物の好ましい代表例としては、本発明の提供する組成物においては、その第一成分として一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有するが、その他の成分として特に以下の第二から第四成分から少なくとも1種含有することが好ましい。
【0077】
即ち、第二成分は誘電率異方性が正のいわゆるp型液晶化合物であって、以下の一般式(LC1)及び一般式(LC2)で示される化合物を挙げることができる。
【0078】
【化24】
【0079】
(式中、RLC11及びRLC21はそれぞれ独立して炭素原子数1~15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-又は-C≡C-で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよく、ALC11、及びALC21はそれぞれ独立して下記の何れかの構造
【0080】
【化25】
【0081】
(該構造中、シクロヘキシレン基中の1つ又は2つ以上の-CH-は酸素原子で置換されていてもよく、1,4-フェニレン基中の1つ又は2つ以上の-CH=は-N=で置換されていてもよく、また、該構造中の1つ又は2つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、-CF又は-OCFで置換されていてもよい。)を表し、XLC11、XLC12、XLC21~XLC23はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、-CF又は-OCFを表し、YLC11及びYLC21はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、-CF、-OCHF、-OCHF又は-OCFを表し、ZLC11及びZLC21はそれぞれ独立して単結合、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-OCF-、-CFO-、-COO-又は-OCO-を表し、mLC11及びmLC21はそれぞれ独立して1~4の整数を表し、ALC11、ALC21、ZLC11及びZLC21が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)
LC11及びRLC21はそれぞれ独立して炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基がより好ましく、直鎖状であることが更に好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましい。
【0082】
【化26】
【0083】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
LC11及びALC21はそれぞれ独立して下記の構造が好ましい。
【0084】
【化27】
【0085】
LC11及びYLC21はそれぞれ独立してフッ素原子、シアノ基、-CF又は-OCFが好ましく、フッ素原子又は-OCFが好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
【0086】
LC11及びZLC21は単結合、-CHCH-、-COO-、-OCO-、-OCH-、-CHO-、-OCF-又は-CFO-が好ましく、単結合、-CHCH-、-OCH-、-OCF-又は-CFO-が好ましく、単結合、-OCH-又は-CFO-がより好ましい。
【0087】
LC11及びmLC21は1、2又は3が好ましく、低温での保存安定性、応答速度を重視する場合には1又は2が好ましく、ネマチック相上限温度の上限値を改善するには2又は3が好ましい。
【0088】
一般式(LC1)は、下記一般式(LC1-a)から一般式(LC1-c)
【0089】
【化28】
【0090】
(式中、RLC11、YLC11、XLC11及びXLC12はそれぞれ独立して前記一般式(LC1)におけるRLC11、YLC11、XLC11及びXLC12と同じ意味を表し、ALC1a1、ALC1a2及びALC1b1は、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表し、XLC1b1、XLC1b2、XLC1c1~XLC1c4はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、-CF又は-OCFを表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
【0091】
LC11はそれぞれ独立して炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基がより好ましい。
【0092】
LC11~XLC1c4はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子が好ましい。
【0093】
LC11はそれぞれ独立してフッ素原子、-CF又は-OCFが好ましい。
【0094】
また、一般式(LC1)は、下記一般式(LC1-d)から一般式(LC1-m)
【0095】
【化29】
【0096】
(式中、RLC11、YLC11、XLC11及びXLC12はそれぞれ独立して前記一般式(LC1)におけるRLC11、YLC11、XLC11及びXLC12と同じ意味を表し、ALC1d1、ALC1f1、ALC1g1、ALC1j1、ALC1k1、ALC1k2、ALC1m1~ALC1m3は、1,4-フェニレン基、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表し、XLC1d1、XLC1d2、XLC1f1、XLC1f2、XLC1g1、XLC1g2、XLC1h1、XLC1h2、XLC1i1、XLC1i2、XLC1j1~XLC1j4、XLC1k1、XLC1k2、XLC1m1及びXLC1m2はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、-CF又は-OCFを表し、ZLC1d1、ZLC1e1、ZLC1j1、ZLC1k1、ZLC1m1はそれぞれ独立して単結合、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-OCF-、-CFO-、-COO-又は-OCO-を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であるのが好ましい。
【0097】
LC11はそれぞれ独立して炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基がより好ましい。
【0098】
LC11~XLC1m2はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子が好ましい。
【0099】
LC11はそれぞれ独立してフッ素原子、-CF又は-OCFが好ましい。
【0100】
LC1d1~ZLC1m1はそれぞれ独立して-CFO-、-OCH-が好ましい。
一般式(LC2)は、下記一般式(LC2-a)から一般式(LC2-g)
【0101】
【化30】
【0102】
(式中、RLC21、YLC21、XLC21~XLC23はそれぞれ独立して前記一般式(LC2)におけるRLC21、YLC21、XLC21~XLC23と同じ意味を表し、XLC2d1~XLC2d4、XLC2e1~XLC2e4、XLC2f1~XLC2f4及びXLC2g1~XLC2g4はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、-CF又は-OCFを表し、ZLC2a1、ZLC2b1、ZLC2c1、ZLC2d1、ZLC2e1、ZLC2f1及びZLC2g1はそれぞれ独立して単結合、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-OCF-、-CFO-、-COO-又は-OCO-を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であるのが好ましい。
【0103】
LC21はそれぞれ独立して炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基がより好ましい。
【0104】
LC21~XLC2g4はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子が好ましく、
LC21はそれぞれ独立してフッ素原子、-CF又は-OCFが好ましい。
【0105】
LC2a1~ZLC2g4はそれぞれ独立して-CFO-、-OCH-が好ましい。
【0106】
第三成分は誘電率異方性が負のいわゆるn型液晶化合物であって、以下の一般式(LC3)~一般式(LC5)で示される化合物を挙げることができる。
【0107】
【化31】
【0108】
(式中、RLC31、RLC32、RLC41、RLC42、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して炭素原子数1~15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-又は-C≡C-で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよく、ALC31、ALC32、ALC41、ALC42、ALC51及びALC52はそれぞれ独立して下記の何れかの構造
【0109】
【化32】
【0110】
(該構造中シクロヘキシレン基中の1つ又は2つ以上の-CH-は酸素原子で置換されていてもよく、1,4-フェニレン基中の1つ又は2つ以上の-CH=は-N=で置換されていてもよく、また、該構造中の1つ又は2つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、-CF又は-OCFで置換されていてもよい。)のいずれかを表し、ZLC31、ZLC32、ZLC41、ZLC42、ZLC51及びZLC51はそれぞれ独立して単結合、-CH=CH-、-C≡C-、-CHCH-、-(CH-、-COO-、-OCH-、-CHO-、-OCF-又は-CFO-を表し、Zは-CH-又は酸素原子を表し、XLC41は水素原子又はフッ素原子を表し、mLC31、mLC32、mLC41、mLC42、mLC51及びmLC52はそれぞれ独立して0~3を表し、mLC31+mLC32、mLC41+mLC42及びmLC51+mLC52は1、2又は3であり、ALC31~ALC52、ZLC31~ZLC52が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)
LC31~RLC52は、それぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましく、
【0111】
【化33】
【0112】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
LC31~ALC52はそれぞれ独立して下記の構造が好ましく、
【0113】
【化34】
【0114】
LC31~ZLC51はそれぞれ独立して単結合、-CHO-、-COO-、-OCO-、-CHCH-、-CFO-、-OCF-又は-OCH-が好ましい。
【0115】
一般式(LC3)は、下記一般式(LC3-a)及び一般式(LC3-b)
【0116】
【化35】
【0117】
(式中、RLC31、RLC32、ALC31及びZLC31はそれぞれ独立して前記一般式(LC3)におけるRLC31、RLC32、ALC31及びZLC31と同じ意味を表し、XLC3b1~XLC3b6は水素原子又はフッ素原子を表すが、XLC3b1及びXLC3b2又はXLC3b3及びXLC3b4のうちの少なくとも一方の組み合わせは共にフッ素原子を表し、mLC3a1は1、2又は3であり、mLC3b1は0又は1を表し、ALC31及びZLC31が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。ただし、一般式(LC3-a)において一般式(LC3-b)で表される群より選ばれる化合物を除く。)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
LC31及びRLC32はそれぞれ独立して炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基又は炭素原子数2~7のアルケニルオキシ基を表すことが好ましい。
【0118】
LC31は、1,4-フェニレン基、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すことが好ましく、1,4-フェニレン基、トランス-1,4-シクロヘキシレン基を表すことがより好ましい。
【0119】
LC31は単結合、-CHO-、-COO-、-OCO-、-CHCH-を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
【0120】
一般式(LC3-a)としては、下記一般式(LC3-a1)~一般式(LC3-a4)を表すことが好ましい。
【0121】
【化36】
【0122】
(式中、RLC31及びRLC32はそれぞれ独立して前記一般式(LC3)におけるRLC31及びRLC32と同じ意味を表す。)
LC31及びRLC32はそれぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、RLC31が炭素原子数1~7のアルキル基を表し、RLC32が炭素原子数1~7のアルコキシ基を表すことがより好ましい。
【0123】
一般式(LC3-b)としては、下記一般式(LC3-b1)~一般式(LC3-b12)を表すことが好ましく、一般式(LC3-b1)、一般式(LC3-b6)、一般式(LC3-b8)、一般式(LC3-b11)を表すことがより好ましく、一般式(LC3-b1)及び一般式(LC3-b6)を表すことがさらに好ましく、一般式(LC3-b1)を表すことが最も好ましい。
【0124】
【化37】
【0125】
(式中、RLC31及びRLC32はそれぞれ独立して前記一般式(LC3)におけるRLC31及びRLC32と同じ意味を表す。)
LC31及びRLC32はそれぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、RLC31が炭素原子数2又は3のアルキル基を表し、RLC32が炭素原子数2のアルキル基を表すことがより好ましい。
【0126】
一般式(LC4)は下記一般式(LC4-a)から一般式(LC4-c)、一般式(LC5)は下記一般式(LC5-a)から一般式(LC5-c)
【0127】
【化38】
【0128】
(式中、RLC41、RLC42及びXLC41はそれぞれ独立して前記一般式(LC4)におけるRLC41、RLC42及びXLC41と同じ意味を表し、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して前記一般式(LC5)におけるRLC51及びRLC52と同じ意味を表し、ZLC4a1、ZLC4b1、ZLC4c1、ZLC5a1、ZLC5b1及びZLC5c1はそれぞれ独立して単結合、-CH=CH-、-C≡C-、-CHCH-、-(CH-、-COO-、-OCH-、-CHO-、-OCF-又は-CFO-を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であるのがより好ましい。
【0129】
LC41、RLC42、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基又は炭素原子数2~7のアルケニルオキシ基を表すことが好ましい。
【0130】
LC4a1~ZLC5c1はそれぞれ独立して単結合、-CHO-、-COO-、-OCO-、-CHCH-を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
【0131】
第四成分は誘電率異方性が0程度である、いわゆる非極性液晶化合物であり、以下の一般式(LC6)で示される化合物を挙げることができる。
【0132】
【化39】
【0133】
(式中、RLC61及びRLC62はそれぞれ独立して炭素原子数1~15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-又は-C≡C-で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン置換されていてもよく、ALC61~ALC63はそれぞれ独立して下記
【0134】
【化40】
【0135】
(該構造中シクロヘキシレン基中の1つ又は2つ以上の-CHCH-は-CH=CH-、-CFO-、-OCF-で置換されていてもよく、1,4-フェニレン基中1つ又は2つ以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよい。)のいずれかを表し、ZLC61及びZLC62はそれぞれ独立して単結合、-CH=CH-、-C≡C-、-CHCH-、-(CH-、-COO-、-OCH-、-CHO-、-OCF-又は-CFO-を表し、mLc6は0~3を表す。ただし、一般式(LC1)~一般式(LC5)で表される化合物、及び一般式(i)を除く。)
LC61及びRLC62は、それぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましく、
【0136】
【化41】
【0137】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
LC61~ALC63はそれぞれ独立して下記の構造が好ましく、
【0138】
【化42】
【0139】
LC61及びZLC62はそれぞれ独立して単結合、-CHCH-、-COO-、-OCH-、-CHO-、-OCF-又は-CFO-が好ましい。
【0140】
一般式(LC6)は、一般式(LC6-a)から一般式(LC6-m)
【0141】
【化43】
【0142】
(式中、RLC61及びRLC62はそれぞれ独立して炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基又は炭素原子数2~7のアルケニルオキシ基を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であるのがより好ましい。
【0143】
本発明の化合物を含有する液晶組成物を用いたGH型液晶表示素子又は調光素子は、低温でも使用可能な高いコントラストを有する有用なものであり、室内向け用途に加えて屋外用途のデバイスに適用できる。
【実施例0144】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。相転移温度の測定は温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を併用して行った。
【0145】
化合物記載に下記の略号を使用する。
THF:テトラヒドロフラン、DMF:N、N-ジメチルホルムアミド
Me:メチル基、Et:エチル基、Pr:n-プロピル基、Bu:n-ブチル基
GH型液晶組成物としての二色比及び耐光性評価は、ガラス製テストパネル中に封止して行った。このテストパネルのセル厚は3.5μm、水平配向膜としてAL1051を用いた。
二色比(R)は以下のようして求めた。透過率計の光源として直線偏光を用い、テストパネルの配向方向が直線偏光と平行になるときの極大吸収波長における透過率をA0、テストパネルを回転させ配向方向が直線偏光と直交する時の極大吸収波長における透過率をA90とした時、R=A0/A90の式から二色比(R)を算出した。
耐光性は、前記テストパネルをATLAS社製SUNTESTで500W/mの光を2週間照射した後の色味と、未照射のテストパネルの色味とを目視で比較し、色味の変化が認められるかどうかで評価した。
GH型液晶組成物としての溶解性は、液晶組成物を1g程度バイアルに入れ、室温で1か月間目視観察し、析出の有無で評価した。
(実施例1)N,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(5-(2-エチルヘキシル)-2-チエニル)フェニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロールの製造
【0146】
【化44】
【0147】
(1-1)乾燥窒素下、N,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-ブロモフェニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロール(1.1g、J. Mater. Chem. C, 2017, 5, 290-300に記載の方法にて製造)と2-[5-(2-エチルヘキシル)-2-チエニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(1.0g)、二塩化ビス[ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]パラジウム(II)(11mg)、2mol/Lの炭酸カリウム水溶液(3mL)及びTHF(10mL)を混合し、65℃に加熱した。4時間加熱下撹拌した後、室温まで冷却し、水(30mL)とトルエン(30mL)を加えて分液した。有機層を飽和食塩水(30mL)で二回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。硫酸ナトリウムをろ過により除去した後、溶液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、アセトン及びエタノールの混合溶媒から再結晶する事で、N,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(5-(2-エチルヘキシル)-2-チエニル)フェニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロールを(1.0g)得た。
相転移温度: Cr 209 Iso
λmax:528nm(ジクロロメタン)
MS m/z:950[M
HNMR(400MHz、CDCl、TMS内部標準):δ(ppm)=7.74(4H,d,J=8.4Hz),7.66(4H,d,J=8.4Hz),7.21(2H,d,J=3.2Hz),6.76(2H,d,J=3.6Hz),6.40(2H,s),3.60-3.47(4H,m),2.77(4H,d,J=6.4Hz),1.78-1.75(2H,m),1.64-1.60(2H,m),1.47-1.32(32H,m),0.97-0.88(24H,m)
(実施例2)N,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(6-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ナフチル)フェニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロールの製造
【0148】
【化45】
【0149】
(2-1)2-ブロモ-6-ヒドロキシナフタレン(15g)、炭酸カリウム(18.6g)、2-エチルヘキシルブロミド(19.5g)をDMF(75mL)に懸濁させ、80℃で8時間撹拌した。室温まで冷却した後、水(150mL)とトルエン(100mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(50mL)で二回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ過により除去した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、メタノールとアセトンの混合溶媒から再結晶する事で2-ブロモ-6-(2-エチルヘキシルオキシ)ナフタレン(18g)を得た。
HNMR(400MHz、CDCl、TMS内部標準):δ(ppm)=7.90(1H,d,J=1.6Hz),7.63(1H,d,J=9.2Hz),7.58(1H,d,J=8.8Hz),7.49(1H,d,J=2.4Hz),7.47(1H,d,J=2.0Hz),7.16(1H,dd,J=9.0Hz,J=2.4Hz),7.09(1H,d,J=2.4Hz),3.94(2H,d,J=4.4Hz),1.78(1H,sep,J=6.0Hz),1.55-1.41(4H,m),1.38-1.31(4H,m),0.96(3H,t,J=7.6Hz),0.90(3H,t,J=7.2Hz)
(2-2)乾燥窒素下、金属マグネシウム(0.86g)を乾燥THF(2mL)に懸濁させた溶液に、工程2-1で得られた2-ブロモ-6-(2-エチルヘキシルオキシ)ナフタレン(10g)を乾燥THF(20mL)に溶解させた溶液を溶媒が穏やかに還流する速度で加えた。反応液を還流下5時間撹拌した後、氷冷し、トリメチルホウ酸(4.0g)を乾燥THF(8mL)に溶解させた溶液をゆっくりと加えた。その後、室温にて1時間撹拌した。再び氷冷し、10%塩酸(30mL)をゆっくりと加えた後、酢酸エチル((50mL)を加えて分液した。有機層を飽和食塩水(30mL)で二回洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。乾燥後、ろ過により硫酸ナトリウムを除去し、減圧下濃縮することで、粗製6-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ナフチルホウ酸(A、8.4g)を得た。この中間体はこれ以上の精製を行わずに次工程へ用いた。
(2-3)これ以降の工程は、実施例1における2-[5-(2-エチルヘキシル)-2-チエニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの代わりに工程2-2で得られたAを用いる以外は同様な方法で製造を行うことで、N,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(6-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ナフチル)フェニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロールを得た。
相転移温度: Cr 250 Iso
λmax:510nm(ジクロロメタン)
HNMR(400MHz、CDCl、TMS内部標準):δ(ppm)=8.02(2H,d,J=1.2Hz),7.87-7.82(7H,m),7.82-7.72(7H,m),7.21-7.16(4H,m),6.45(2H,s),3.99(4H,d,J=6.4Hz),3.63-3.50(4H,m),1.86-1.77(4H,m),1.63-1.38(32H,m),0.98(12H,t,J=7.6Hz),0.94-0.90(12H,m)
(実施例3)N,N’-ジペンチル-3,7-ビス(4-(5-(2-エチルヘキシル)-2-チエニル)フェニル)-2,7-ジオキソ-1,2,6,7-テトラヒドロナフト[1,2-b:5,6-b’]ジピロールの製造
【0150】
【化46】
【0151】
(3-1)3,7-ビス(4-ブロモフェニル)-2,7-ジオキソ-1,2,6,7-テトラヒドロナフト[1,2-b:5,6-b’]ジピロール(1.0g、Dyes and Pigments 162 (2019) 883-887に記載の方法で製造)、5-ヨードペンタン(1.5g)及び炭酸カリウム(1.3g)をDMF(10mL)に懸濁させ、50℃にて5時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応液を水(100mL)に加え、析出物をろ過により取り出した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、アセトンとメタノールの混合溶媒から再結晶する事でN,N’-ジペンチル-3,7-ビス(4-ブロモフェニル)-2,7-ジオキソ-1,2,6,7-テトラヒドロナフト[1,2-b:5,6-b’]ジピロールを0.45g得た。
(3-2)以降の工程は、実施例1と同様な方法にて、N,N’-ジペンチル-3,7-ビス(4-(5-(2-エチルヘキシル)-2-チエニル)フェニル)-2,7-ジオキソ-1,2,6,7-テトラヒドロナフト[1,2-b:5,6-b’]ジピロールを得た。
相転移温度: Cr 196 Iso
MS m/z:916[M
λmax:622nm(ジクロロメタン)
HNMR(400MHz、CDCl、TMS内部標準):δ(ppm)=7.81(4H,d,J=8.0Hz),7.65(4H,d,J=8.0Hz),7.36(2H,d,J=9.6Hz),7.27(2H,d,J=10Hz),7.27(2H,d,J=3.6Hz),6.75(2H,d,J=3.6Hz),4.16-4.12(4H,m),2.77(4H,d,J=6.4Hz),1.83-1.74(4H,m),1.66-1.55(4H,m),1.42-1.25(22H,m),0.95-0.88(18H,m)
(実施例4)3,7-ビス(6-(2-エチルヘキシル)-2-ナフチル)-2H,6H-ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-2,6-ジオンの製造
【0152】
【化47】
【0153】
(4-1)3,7-ジブロモ-2H,6H-ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-2,6-ジオン(Chemistry Letters, 1983, 905-908に記載の方法により製造)を用いる以外は、実施例2と同様な方法にて3,7-ビス(6-(2-エチルヘキシル)-2-ナフチル)-2H,6H-ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-2,6-ジオンを得た。
MS m/z:728[M
λmax:643nm(ジクロロメタン)
HNMR(400MHz、CDCl、TMS内部標準):δ(ppm)=7.93(2H,d,J=1.5Hz),7.83-7.71(10H、m)、7.18(2H,s),3.93(4H,d,J=4.6Hz),1.77(2H,sep,J=6.2Hz),1.55-1.41(8H,m),1.38-1.31(8H,m),0.94(6H,t,J=7.3Hz),0.88(6H,t,J=7.1Hz)
(実施例5~8)
実施例1~4と同様の方法にて、実施例5~8の化合物を合成した。
【0154】
【化48】
【0155】
(実施例9)N,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(3-エチル-4-(2-フルオロ-4-(trans-4-ペンチルシクロヘキシル)フェニル)フェニル)フェニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロールの製造
【0156】
【化49】
【0157】
実施例1~4と同様な方法にてN,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(3-エチル-4-(2-フルオロ-4-(trans-4-ペンチルシクロヘキシル)フェニル)フェニル)フェニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロールを得た。
相転移温度: Cr 212 N 340 Iso
MS m/z:1262[M
λmax:494nm(ジクロロメタン)
HNMR(400MHz、CDCl、TMS内部標準):δ(ppm)=7.80(dd,J=29.7Hz,J=8.7Hz,8H),7.59(d,J=1.8Hz,2H),7.51(dd,J=7.8Hz,J=1.8Hz,2H),7.29(d,J=7.8Hz,2H),7.19(t,J=7.8 Hz,2H),6.99-7.07(m,4H),6.46(s,2H),3.51-3.64(m,4H),2.62(q,J=7.5Hz,4H),2.53(tt,J=12.1Hz,J=3.1Hz,2H),1.94(dd,J=26.8Hz,J=11.2Hz,8H),1.79-1.85(m,2H),1.22-1.50(m,38H),1.03-1.18(m,10H),0.89-0.99(m,18H)
(実施例10)N,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(2-エチルヘキシル)-2-チエニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロールの製造
【0158】
【化50】
【0159】
実施例1~4と同様な方法にてN,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(2-エチルヘキシル)-2-チエニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロールを得た。
相転移温度: Cr 64 Iso
MS m/z:798[M
λmax:583nm(ジクロロメタン)
HNMR(400MHz、CDCl、TMS内部標準):δ(ppm)=7.87(d,J=3.7Hz,2H),6.83(d,J=4.1Hz,2H),6.56(s,2H),3.56(dq,J=24.5Hz,J=7.2Hz,4H),2.81(d,J=6.9Hz,4H),1.80(t,J=5.7Hz,2H),1.64(t,J=5.9 Hz,2H),1.35-1.45(m,18H),1.30(t,J=3.9Hz,14H),0.97(t,J=7.3 Hz,6H),0.93-0.88(m,18H)
(実施例11)N,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(4-ヘキシル-2-チエニル)-2-チエニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロールの製造
【0160】
【化51】
【0161】
実施例1~4と同様な方法にてN,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(4-ヘキシル-2-チエニル)-2-チエニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロールを得た。
相転移温度: Cr 218 Iso
MS m/z:906[M
λmax:688nm(ジクロロメタン)
HNMR(400MHz、CDCl、TMS内部標準):δ(ppm)=7.94 (d,J=4.1Hz,2H),7.13(d,J=3.7Hz,2H),7.07(d,J=3.2Hz,2H),6.70(d,J=3.2Hz,2H),6.54(s,2H),3.51-3.63(m,4H),2.80(t,J=7.5Hz,4H),1.79 (t,J=5.5Hz,2H),1.65-1.73(m,4H),1.27-1.50(m,28H),1.00(t,J=7.3Hz,6H),0.93-0.88(m,12H)
(実施例12)N,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(3-エチル-4-(2-フルオロ-4-(trans-4-ペンチルシクロヘキシル)フェニル)フェニル)-2-チエニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロールの製造
【0162】
【化52】
【0163】
実施例1~4と同様な方法にてN,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(3-エチル-4-(2-フルオロ-4-(trans-4-ペンチルシクロヘキシル)フェニル)フェニル)-2-チエニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロールを得た。
相転移温度: Cr 233 N 320 Iso
MS m/z:1274[M
λmax:638nm(ジクロロメタン)
HNMR(400MHz、CDCl、TMS内部標準):δ(ppm)=8.04(d,J=3.2Hz,2H),7.61(s,2H),7.51(d,J=8.2 Hz,2H),7.41-7.42(m,2H),7.21(d,J=7.8Hz,2H),7.15(t,J=7.8Hz,2H),7.04(d,J=8.2Hz,2H),6.99(d,J=11.4Hz,2H),6.64(s,2H),3.58-3.62(m,4H),2.50-2.60(m,6H),1.94(q,J=12.2Hz,8H),1.83(t,J=5.7Hz,2H),1.23-1.50(m,38H),1.12(q,J=7.3Hz,8H),1.03(t,J=7.3Hz,8H),0.91(t,J=6.6Hz,12H)
(実施例13)N,N’-ジペンチル-3,7-ビス(4-(4-(3-エチル-4-(2-フルオロ-4-(trans-4-ペンチルシクロヘキシル)フェニル)フェニル)-2-チエニル)フェニル)-2,7-ジオキソ-1,2,6,7-テトラヒドロナフト[1,2-b:5,6-b’]ジピロールの製造
【0164】
【化53】
【0165】
実施例1~4と同様な方法にてN,N’-ジペンチル-3,7-ビス(4-(4-(3-エチル-4-(2-フルオロ-4-(trans-4-ペンチルシクロヘキシル)フェニル)フェニル)-2-チエニル)フェニル)-2,7-ジオキソ-1,2,6,7-テトラヒドロナフト[1,2-b:5,6-b’]ジピロールを得た。
相転移温度: Cr 313 Iso
MS m/z:1392[M
λmax:624nm(ジクロロメタン)
HNMR(400MHz、CDCl、TMS内部標準):δ(ppm)=7.82(dd,J=50.8Hz,J=8.2Hz,8H),7.52-7.60(m,4H),7.31-7.43(m,8H),7.15-7.24(m,4H),6.99-7.06(m,4H),4.19(t,J=7.3Hz,4H),2.50-2.62(m,6H),1.90-1.99(m,4H),1.82(s,2H),1.44-1.59(m,8H),1.27-1.38(m,26H),1.00-1.18(m,6H),0.82-0.97(m,18H)
(実施例14~18)
実施例9~13と同様の方法にて、実施例14~18の化合物を合成した。
【0166】
【化54】
【0167】
(実施例19)液晶組成物の調製-1
以下の組成からなるホスト液晶(H)
【0168】
【化55】
【0169】
を調製した。
この母体液晶(H)98%と、実施例1で得られたN,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(5-(2-エチルヘキシル)-2-チエニル)フェニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロール2%からなる液晶組成物(M-A)を調製した。この組成物(M-A)の光学特性の測定結果は以下の通りであった。
【0170】
λmax:553nm
二色比:3.8
また、調製した液晶組成物(M-A)は、室温にて1ヶ月間均一なネマチック液晶状態を維持した。
【0171】
さらに、液晶組成物(M-A)を用いて耐光性テストを2週間行ったところ、色味が変化しないことが確認された。
【0172】
(実施例20)液晶組成物の調製―2
母体液晶(H)99%と、実施例2で得られたN,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(6-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ナフチル)フェニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロール1%からなる液晶組成物(M-B)を調製した。この組成物(M-B)の光学特性の測定結果は以下の通りであった。
【0173】
λmax:527nm
二色比:4.4
また、調製した液晶組成物(M-B)は、室温にて1ヶ月間以上均一なネマチック液晶状態を維持した。
さらに、液晶組成物(M-B)を用いて耐光性テストを行ったところ、2週間色味が変化しないことが確認された。
(実施例21)液晶組成物の調製―3
母体液晶(H)99%と、実施例3で得られた3N,N’-ジペンチル-3,7-ビス(4-(5-(2-エチルヘキシル)-2-チエニル)フェニル)-2,7-ジオキソ-1,2,6,7-テトラヒドロナフト[1,2-b:5,6-b’]ジピロール1%からなる液晶組成物(M-C)を調製した。この組成物(M-C)の光学特性の測定結果は以下の通りであった。
【0174】
λmax:642nm
二色比:5.5
また、調製した液晶組成物(M-C)は、室温にて1ヶ月間以上均一なネマチック液晶状態を維持した。
さらに、液晶組成物(M-C)を用いて耐光性テストを行ったところ、2週間色味が変化しないことが確認された。
(実施例22)液晶組成物の調製―4
母体液晶(H)98%と、実施例4で得られた3,7-ビス(6-(2-エチルヘキシル)-2-ナフチル)-2H,6H-ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-2,6-ジオン2%からなる液晶組成物(M-D)を調製した。この組成物(M-D)の光学特性の測定結果は以下の通りであった。
【0175】
λmax:659nm
二色比:5.1
また、調製した液晶組成物(M-D)は、室温にて1ヶ月間以上均一なネマチック液晶状態を維持した。
さらに、液晶組成物(M-D)を用いて耐光性テストを行ったところ、2週間色味が変化しないことが確認された。
(実施例23)液晶組成物の調製―5
母体液晶(H)98%と、実施例9で得られたN,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(3-エチル-4-(2-フルオロ-4-(trans-4-ペンチルシクロヘキシル)フェニル)フェニル)フェニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロール2%からなる液晶組成物(M-E)を調製した。この組成物(M-E)の光学特性の測定結果は以下の通りであった。
【0176】
λmax:518nm
二色比:4.5
また、調製した液晶組成物(M-E)は、室温にて1ヶ月間以上均一なネマチック液晶状態を維持した。
さらに、液晶組成物(M-E)を用いて耐光性テストを行ったところ、2週間色味が変化しないことが確認された。
(実施例24)液晶組成物の調製―6
母体液晶(H)98%と、実施例10で得られたN,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(2-エチルヘキシル)-2-チエニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロール2%からなる液晶組成物(M-F)を調製した。この組成物(M-F)の光学特性の測定結果は以下の通りであった。
【0177】
λmax:596nm
二色比:2.9
また、調製した液晶組成物(M-F)は、室温にて1ヶ月間以上均一なネマチック液晶状態を維持した。
さらに、液晶組成物(M-F)を用いて耐光性テストを行ったところ、2週間色味が変化しないことが確認された。
(実施例25)液晶組成物の調製―7
母体液晶(H)98%と、実施例11で得られたN,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(4-ヘキシル-2-チエニル)-2-チエニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロール2%からなる液晶組成物(M-G)を調製した。この組成物(M-G)の光学特性の測定結果は以下の通りであった。
【0178】
λmax:688nm
二色比:4.2
また、調製した液晶組成物(M-G)は、室温にて1ヶ月間以上均一なネマチック液晶状態を維持した。
さらに、液晶組成物(M-G)を用いて耐光性テストを行ったところ、2週間色味が変化しないことが確認された。
(実施例26)液晶組成物の調製―8
母体液晶(H)98%と、実施例12で得られたN,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ビス(4-(3-エチル-4-(2-フルオロ-4-(trans-4-ペンチルシクロヘキシル)フェニル)フェニル)-2-チエニル)-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロール2%からなる液晶組成物(M-J)を調製した。この組成物(M-J)の光学特性の測定結果は以下の通りであった。
【0179】
λmax:652nm
二色比:3.3
また、調製した液晶組成物(M-J)は、室温にて1ヶ月間以上均一なネマチック液晶状態を維持した。
さらに、液晶組成物(M-J)を用いて耐光性テストを行ったところ、2週間色味が変化しないことが確認された。
(実施例27)液晶組成物の調製―9
母体液晶(H)98%と、実施例13で得られたN,N’-ジペンチル-3,7-ビス(4-(4-(3-エチル-4-(2-フルオロ-4-(trans-4-ペンチルシクロヘキシル)フェニル)フェニル)-2-チエニル)フェニル)-2,7-ジオキソ-1,2,6,7-テトラヒドロナフト[1,2-b:5,6-b’]ジピロール2%からなる液晶組成物(M-K)を調製した。この組成物(M-K)の光学特性の測定結果は以下の通りであった。
【0180】
λmax:646nm
二色比:4.9
また、調製した液晶組成物(M-K)は、室温にて1ヶ月間以上均一なネマチック液晶状態を維持した。
さらに、液晶組成物(M-K)を用いて耐光性テストを行ったところ、2週間色味が変化しないことが確認された。
【0181】
(比較例1)液晶組成物の調製―10
母体液晶(H)99%と、特開2015-40231号公報に記載のN,N’-ジメチル-3,7-ジフェニル-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロール
【0182】
【化56】
【0183】
1%からなる液晶組成物(M-L)を調製した。この組成物(M-L)の光学特性の測定結果は以下の通りであった。
【0184】
λmax:465nm
二色比:1.9
また、調製した液晶組成物(M-L)は、室温にて3日後に色素の析出が観察された。
さらに、液晶組成物(M-L)を用いて耐光性テストを行ったところ、7日後に色味の変化が確認された。
【0185】
(比較例2)液晶組成物の調整-11
母体液晶(H)99%と、J. Mater. Chem. C, 2017, 5, 290-300に記載のN,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-3,7-ジフェニル-2,6-ジオキソ-1,2,5,6-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジピロール
【0186】
【化57】
【0187】
1%からなる液晶組成物(M-M)を調製した。この組成物(M-M)の光学特性の測定結果は以下の通りであった。
【0188】
λmax:470nm
二色比:1.8
また、調製した液晶組成物(M-M)は、室温にて10日後に色素の析出が観察された。
【0189】
さらに、液晶組成物(M-M)を用いて耐光性テストを行ったところ、7日後に色味の変化が確認された。
【0190】
実施例19~実施例27と、比較例1及び2の二色比、溶解性及び耐光性を比較すると、本願化合物は比較例1及び2の化合物よりも大きな二色比と高い溶解性及び高い耐光性を併せ持つことがわかる。特に、実施例21、実施例22及び実施例27の本願化合物は極めて大きな二色比を示しながら高い溶解性を維持している。このことから、本願化合物は大きな二色比と高い溶解性を併せ持つという特徴を有することが明らかとなった。