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特開2022-47279慢性皮膚疾患の検査キット、及び慢性皮膚疾患の評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047279
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】慢性皮膚疾患の検査キット、及び慢性皮膚疾患の評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20220316BHJP
【FI】
G01N33/53 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153097
(22)【出願日】2020-09-11
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度 国立研究開発法人日本医療研究開発機構「免疫アレルギー疾患等実用化研究事業」「脂質によるアレルギー疾患の新規調節機構の解明と治療戦略の基盤構築」産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】岡山 吉道
(72)【発明者】
【氏名】伊東 真奈
(72)【発明者】
【氏名】照井 正
(72)【発明者】
【氏名】豊島 翔太
(72)【発明者】
【氏名】田杭 真帆
(72)【発明者】
【氏名】村上 誠
(72)【発明者】
【氏名】三木 寿美
(72)【発明者】
【氏名】武富 芳隆
(57)【要約】
【課題】CSU及びAD等の慢性皮膚疾患の客観的な評価が可能な、慢性皮膚疾患の検査キット、及び慢性皮膚疾患の評価方法を提供する。
【解決手段】5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸に対する特異的結合物質、リポキシンA4に対する特異的結合物質、及びレゾルビンD2に対する特異的結合物質からなる群より選択される少なくとも1種の特異的結合物質を含む、慢性皮膚疾患の検査キット。また、被験者の血液試料において、5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸、リポキシンA4、及びレゾルビンD2からなる群より選択される少なくとも1種の酸化脂肪酸の濃度を測定する工程を含む、慢性皮膚疾患の評価方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸に対する特異的結合物質、リポキシンA4に対する特異的結合物質、及びレゾルビンD2に対する特異的結合物質からなる群より選択される少なくとも1種を含む、
慢性皮膚疾患の検査キット。
【請求項2】
5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸に対する特異的結合物質、及びリポキシンA4に対する特異的結合物質からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
慢性特発性蕁麻疹を鑑別するために用いられる、
請求項1に記載の慢性皮膚疾患の検査キット。
【請求項3】
リポキシンA4に対する特異的結合物質を含み、
慢性特発性蕁麻疹の重症度を評価するために用いられる、
請求項1に記載の慢性皮膚疾患の検査キット。
【請求項4】
レゾルビンD2に対する特異的結合物質を含み、
アトピー性皮膚炎を鑑別するために用いられる、
請求項1に記載の慢性皮膚疾患の検査キット。
【請求項5】
レゾルビンD2に対する特異的結合物質を含み、
アトピー性皮膚炎の重症度を評価するために用いられる、
請求項1に記載の慢性皮膚疾患の検査キット。
【請求項6】
被験者の血液試料において、5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸、リポキシンA4、及びレゾルビンD2からなる群より選択される少なくとも1種の酸化脂肪酸の濃度を測定する工程を含む、
慢性皮膚疾患の評価方法。
【請求項7】
前記酸化脂肪酸が、5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸、及びリポキシンA4からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記測定された前記酸化脂肪酸の濃度に基づいて、前記被験者が、慢性特発性蕁麻疹に罹患している可能性が評価される、
請求項6に記載の慢性皮膚疾患の評価方法。
【請求項8】
前記酸化脂肪酸が、リポキシンA4であり、
前記測定されたリポキシンA4の濃度に基づいて、前記被験者における慢性特発性蕁麻疹の重症度が評価される、
請求項6に記載の慢性皮膚疾患の評価方法。
【請求項9】
前記酸化脂肪酸が、レゾルビンD2であり、
前記測定されたレゾルビンD2の濃度に基づいて、前記被験者が、アトピー性皮膚炎に罹患している可能性が評価される、
請求項6に記載の慢性皮膚疾患の評価方法。
【請求項10】
前記酸化脂肪酸が、リポキシンA4であり、
前記測定されたリポキシンA4の濃度に基づいて、前記被験者におけるアトピー性皮膚炎の重症度が評価される、
請求項6に記載の慢性皮膚疾患の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性皮膚疾患の検査キット、及び慢性皮膚疾患の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蕁麻疹とは、そう痒を伴った一過性の紅斑と膨疹が出没を繰り返す皮膚疾患である。蕁麻疹は、明らかな外部誘因がない特発性蕁麻疹と、特定刺激や負荷により誘発される刺激誘発性蕁麻疹とに分類される。また、特発性蕁麻疹は、6週間以上症状が継続する慢性のものと、症状の継続が6週間未満である急性のものとに分類される。慢性特発性蕁麻疹(chronic spontaneous urticaria:CSU)は、明らかな外部誘因がなく、症状が6週間以上継続する蕁麻疹である。日本では、CSUは、蕁麻疹全体の53.5%を占めている。CSUでは、症状が毎日またはほぼ毎日出現し、痒みや膨疹が繰り返されるため、患者のQOLの低下や労働生産性の低下に繋がっている。
【0003】
CSUの治療には、一般的に抗ヒスタミン剤が使用される。また、最近、抗IgEモノクローナル抗体製剤であるオマリズマブが、CSUの症状を軽減することが認められた。オマリズマブは、ヒトIgE分子のCε3に特異性を有するマウスモノクローン抗体ベースとして、95%をヒトIgG1分子構造に置換したヒト化抗体であり、元々、気管支喘息に対して効能が認められた抗体製剤である。日本では、オマリズマブは、既存治療に抵抗性のCSUに対して、適用が認められている。
【0004】
CSUは、上記のとおり、明らかな誘因がなく、そう痒を伴った一過性の紅斑と膨疹が出没を繰り返す症状が6週間以上持続するものであるが、視覚的に鑑別が難しい疾患が存在する。しかしながら、CSUの疾患鑑別のためのバイオマーカーは存在していない。
【0005】
また、CSUの治療方法の選択には、CSUの重症度を把握する必要がある。CSUの重症度の評価方法としては、過去1週間の蕁麻疹の数や期間から重症度を算定する7-day urticaria activity score(USA7)(非特許文献1)、及び過去4週間のQOLを所定の質問に対する患者の回答で評価するurticaria control test(UCT)(非特許文献2)の2種類が、広く用いられている。しかしながら、これらの評価方法は、患者の自己申告によるものであり、CSUの重症度を客観的に評価できるバイオマーカーは知られていない。
【0006】
アトピー性皮膚炎(AD)は、憎悪と軽快とを繰り返すそう痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くは、アトピー素因を有する。ADは、1)そう痒、2)特徴的皮膚湿疹と分布、3)慢性・反復性経過、の3基本項目により診断され、前記3基本項目を満たすものは、症状の軽重を問わず、ADと診断されるが、視覚的に鑑別が難しい疾患が存在する。しかしながら、ADの疾患鑑別のためのバイオマーカーは存在していない。
【0007】
ADには、いくつかの重症度評価方法があるが、それらは、皮疹の面積を計算したり、過去1週間のQOLを質問で評価したりする方法であり、客観的に評価できる方法ではない。ADの病勢を反映するバイオマーカーとして、血清TARC(Thymus and activation-regulated chemokine)値があるが、個人差が大きく、一個人において時間的経過を追うのには有用であるが、他者との比較に使用することは難しい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Zuberbier T et al., EAACI/GA(2)LEN/EDF/WAO guideline: definition, classification and diagnosis of urticaria. Allergy. 2009 Oct;64(10):1417-26.
【非特許文献2】Weller K et al., Development and validation of the Urticaria Control Test: a patient-reported outcome instrument for assessing urticaria control. J Allergy Clin Immunol. 2014 May;133(5):1365-72.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、CSU及びADは、視覚的に鑑別が難しい疾患が存在するが、疾患鑑別に使用可能なバイオマーカーは知られていない。そのため、CSU又はADの疾患鑑別のためのバイオマーカーは有用である。
【0010】
また、CSU及びADの重症度の評価は、患者の自己申告又は視覚的観察に基づいて行われており、客観的に重症度を評価可能なバイオマーカーは知られていない。そのため、CSU又はADの重症度を評価するためのバイオマーカーは有用である。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、CSU及びAD等の慢性皮膚疾患の客観的な評価が可能な、慢性皮膚疾患の検査キット、及び慢性皮膚疾患の評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下の態様を含む。
[1]5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸に対する特異的結合物質、リポキシンA4に対する特異的結合物質、及びレゾルビンD2に対する特異的結合物質からなる群より選択される少なくとも1種を含む、慢性皮膚疾患の検査キット。
[2]5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸に対する特異的結合物質、及びリポキシンA4に対する特異的結合物質からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
慢性特発性蕁麻疹を鑑別するために用いられる、[1]に記載の慢性皮膚疾患の検査キット。
[3]リポキシンA4に対する特異的結合物質を含み、慢性特発性蕁麻疹の重症度を評価するために用いられる、[1]に記載の慢性皮膚疾患の検査キット。
[4]レゾルビンD2に対する特異的結合物質を含み、アトピー性皮膚炎を鑑別するために用いられる、[1]に記載の慢性皮膚疾患の検査キット。
[5]レゾルビンD2に対する特異的結合物質を含み、アトピー性皮膚炎の重症度を評価するために用いられる、[1]に記載の慢性皮膚疾患の検査キット。
[6]被験者の血液試料において、5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸、リポキシンA4、及びレゾルビンD2からなる群より選択される少なくとも1種の酸化脂肪酸の濃度を測定する工程を含む、慢性皮膚疾患の評価方法。
[7]前記酸化脂肪酸が、5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸、及びリポキシンA4からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記測定された前記酸化脂肪酸の濃度に基づいて、前記被験者が、慢性特発性蕁麻疹に罹患している可能性が評価される、[6]に記載の慢性皮膚疾患の評価方法。
[8]前記酸化脂肪酸が、リポキシンA4であり、前記測定されたリポキシンA4の濃度に基づいて、前記被験者における慢性特発性蕁麻疹の重症度が評価される、[6]に記載の慢性皮膚疾患の評価方法。
[9]前記酸化脂肪酸が、レゾルビンD2であり、前記測定されたレゾルビンD2の濃度に基づいて、前記被験者が、アトピー性皮膚炎に罹患している可能性が評価される、[6]に記載の慢性皮膚疾患の評価方法。
[10]前記酸化脂肪酸が、リポキシンA4であり、前記測定されたリポキシンA4の濃度に基づいて、前記被験者におけるアトピー性皮膚炎の重症度が評価される[6]に記載の慢性皮膚疾患の評価方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、CSU及びAD等の慢性皮膚疾患の客観的な評価が可能な、慢性皮膚疾患の検査キット、及び慢性皮膚疾患の評価方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】CSU患者及び健常人(NC)の血漿試料において、リピドミクス解析を行った結果を示す。アラキドン酸(AA)代謝物の解析結果である。
図2】CSU患者及び健常人(NC)の血漿試料において、リピドミクス解析を行った結果を示す。ドコサヘキサエン酸(DHA)及びエイコサペンタエン酸(EPA)代謝物の解析結果である。
図3】CSU患者及び健常人(NC)の血漿試料において、リピドミクス解析を行った結果を示す。リノール酸(LA)及びリノレイン酸(LN)代謝物の解析結果である。
図4】CSU患者の血漿中のLXA濃度とUAS7との相関を示すグラフである。
図5】CSU患者に対するオマリズマブ投与と血漿採取のスケジュールを示す。
図6】オマリズマブ投与前と投与後のUAS7スコア及びUCTスコアの変化を示す。
図7】オマリズマブ投与前と投与後の血漿中のLXA濃度の変化を示す。
図8】AD患者及び健常人(NC)の血漿試料において、リピドミクス解析を行った結果を示す。アラキドン酸(AA)代謝物の解析結果である。
図9】AD患者及び健常人(NC)の血漿試料において、リピドミクス解析を行った結果を示す。ドコサヘキサエン酸(DHA)及びエイコサペンタエン酸(EPA)代謝物の解析結果である。
図10】AD患者及び健常人(NC)の血漿試料において、リピドミクス解析を行った結果を示す。リノール酸(LA)及びリノレイン酸(LN)代謝物の解析結果である。
図11】AD患者の血漿中のRvD2濃度とEASIスコアとの相関を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[慢性皮膚疾患の検査キット]
本発明の第1の態様は、5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸に対する特異的結合物質、リポキシンA4に対する特異的結合物質、及びレゾルビンD2に対する特異的結合物質からなる群より選択される少なくとも1種の特異的結合物質を含む、慢性皮膚疾患の検査キットである。
【0016】
本態様の検査キットにおいて、5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(以下、「5-HETE」ともいう)に対する特異的結合物質は、被験者の血液試料において、5-HETEの濃度を測定するために用いることができる。
本態様の検査キットにおいて、リポキシンA4(以下、「LXA」ともいう)に対する特異的結合物質は、被験者の血液試料において、LXAの濃度を測定するために用いることができる。
本態様の検査キットにおいて、レゾルビンD2(以下、「RvD2」)に対する特異的結合物質は、被験者の血液試料において、RvD2の濃度を測定するために用いることができる。
【0017】
5-HETE、LXA、及びRvD2は、慢性皮膚疾患の鑑別マーカー及び/又は重症度マーカーとして使用することができる。
5-HETE((5S,6E,8Z,11Z,14Z)-5-Hydroxyicosa-6,8,11,14-tetraenoic acid)は、アラキドン酸の代謝産物である。5-HETEは、好ましくは、CSUの鑑別マーカーとして用いることができる。
LXA((5S,6R,7E,9E,11Z,13E,15S)-5,6,15-trihydroxyicosa-7,9,11,13-tetraenoic acid)は、アラキドン酸の代謝産物である。LXAは、好ましくは、CSUの鑑別マーカー又は重症度マーカーとして用いることができる。
RvD2((4Z,7S,8E,10Z,12E,14E,16R,17S,19Z)-7,16,17-trihydroxydocosa-4,8,10,12,14,19-hexaenoic acid)は、ドコサヘキサエン酸の代謝産物である。RvD2は、好ましくは、アトピー性皮膚炎の鑑別マーカー又は重症度マーカーとして用いることができる。
【0018】
本態様の検査キットにおいて検査される慢性皮膚疾患は、好ましくは、CSU又はADである。慢性皮膚疾患がCSUである場合、本検査キットは、5-HETEに対する特異的結合物質、及びLXAに対する特異的結合物質からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。慢性皮膚疾患がADである場合、本検査キットは、RvD2に対する特異的結合物質を含むことが好ましい。
【0019】
本態様の検査キットは、慢性皮膚疾患の鑑別又は重症度を評価するために用いることができる。
本態様の検査キットがCSUを鑑別するために用いられる場合、5-HETEに対する特異的結合物質、及びLXAに対する特異的結合物質からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本態様の検査キットがCSUの重症度を評価するために用いられる場合、LXAに対する特異的結合物質を含むことが好ましい。
本態様の検査キットがADを鑑別するために用いられる場合、RvD2に対する特異的結合物質を含むことが好ましい。
本態様の検査キットがADの重症度を評価するために用いられる場合、RvD2に対する特異的結合物質を含むことが好ましい。
【0020】
本態様の検査キットが、LXAに対する特異的結合物質を含む場合、CSUの鑑別及び重症度の評価のいずれにも使用することができる。本態様の検査キットが、LXAに対する特異的結合物質に加えて、さらに、5-HETEに対する特異的結合物質を含む場合、LXA及び5-HETEの両方の血中濃度に基づいて、CSUの鑑別を行うことができるため、より正確な鑑別が可能となる。
本態様の検査キットが、RvD2に対する特異的結合物質を含む場合、アトピー性皮膚炎の鑑別及び重症度の評価のいずれにも使用することができる。
本態様の検査キットが、5-HETEに対する特異的結合物質、及びRvD2に対する特異的結合物質を含む場合、CSUの鑑別に使用できるとともに、アトピー性皮膚炎の鑑別及び重症度の評価にも使用することができる。
本態様の検査キットが、LXAに対する特異的結合物質、及びRvD2に対する特異的結合物質を含む場合、CSUの鑑別及び重症度の評価に使用できるとともに、アトピー性皮膚炎の鑑別及び重症度の評価にも使用することができる。
本態様の検査キットが、5-HETEに対する特異的結合物質、LXAに対する特異的結合物質、及びRvD2に対する特異的結合物質を含む場合、CSUの鑑別及び重症度の評価に使用できるとともに、アトピー性皮膚炎の鑑別及び重症度の評価にも使用することができる。この場合、CSUの鑑別をより正確に行うことができる。
【0021】
<特異的結合物質>
本明細書において、「特異的結合物質」とは、特定の物質に対する特異的結合性を有する物質を意味する。物質Aに対する特異的結合物質は、物質Aに対して高い結合親和性を有するが、他の物質に対しては結合親和性が低い物質である。
したがって、「5-HETEに対する特異的結合物質」は、5-HETEに対する特異的結合性を有する物質を意味する。5-HETEに対する特異的結合物質は、5-HETEに対して高い結合親和性を有するが、他の物質に対しては結合親和性が低い物質である。
「LXAに対する特異的結合物質」は、LXAに対する特異的結合性を有する物質を意味する。LXAに対する特異的結合物質は、LXAに対して高い結合親和性を有するが、他の物質に対しては結合親和性が低い物質である。
「RvD2に対する特異的結合物質」は、RvD2に対する特異的結合性を有する物質を意味する。RvD2に対する特異的結合物質は、RvD2に対して高い結合親和性を有するが、他の物質に対しては結合親和性が低い物質である。
【0022】
特異的結合物質の具体例としては、例えば、抗体又はアプタマーが挙げられる。
【0023】
本明細書において、抗体は、必ずしもインタクトな抗体である必要はなく、抗原に対する結合能を保持した抗体断片も包含する。抗体断片としては、例えば、scFv、Fab、F(ab')2、Fv等が挙げられるが、これらに限定されない。抗体は、ポリクローナルであってもよく、モノクローナルであってもよい。また、抗体は、キメラ抗体等の改変抗体であってもよい。抗体は、抗原により動物を免疫する方法、ハイブリドーマ法、ファージディスプレイ法等の公知の方法により作製することができる。
【0024】
アプタマーとは、標的物質に対する特異的結合性を有する物質であり、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー等が挙げられる。核酸アプタマーは、例えば、systematic evolution of ligand by exponentialenrichment(SELEX)法等により選別することができる。また、ペプチドアプタマーは、例えば酵母を用いたTwo-hybrid法等により選別することができる。
【0025】
本態様のキットにおいて、特異的結合物質は、抗体であってもよく、アプタマーであってもよいが、抗体であることが好ましい。本態様のキットは、5-HETEに対する特異的結合物質として、5-HETEに対する抗体又はアプタマーを含むことが好ましく、5-HETEに対する抗体を含むことがより好ましい。本態様のキットは、LXAに対する特異的結合物質として、LXAに対する抗体若しくはアプタマーを含むことが好ましく、LXAに対する抗体を含むことがより好ましい。本態様のキットは、RvD2に対する特異的結合物質として、RvD2に対する抗体若しくはアプタマーを含むことが好ましく、RvD2に対する抗体を含むことがより好ましい。
【0026】
本態様の検査キットにおいて、前記5-HETE、LXA、又はRvD2(以下、まとめて[マーカー酸化脂肪酸]という場合がある)に対する特異的結合物質は、支持体に固定化されていてもよい。支持体は、本態様の検査キットを適用する方法に応じて、適宜選択することができる。支持体としては、例えば、ウェルプレート(例、96ウェルマイクロプレートなど)、メンブレン(例、ニトロセルロース膜、ポリフッ化ビニリデン膜など)、スライドガラス、磁気ビーズ、ラテックス粒子等が挙げられる。マーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質を支持体に固定化する方法は、支持体の材質に応じて、適宜、公知の方法を選択することができる。
マーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質が、支持体に固定化されている場合、B/F分離により、前記酸化脂肪酸を、試料中から分離することができる。
【0027】
マーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質が支持体に固定されている場合、本態様の検査キットは、前記支持体に固定された特異的結合物質(一次特異的結合物質)とは異なるエピトープに結合するマーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質(二次特異的結合物質)を含んでいてもよい。
例えば、本態様の検査キットが、支持体に固定された抗5-HETE抗体(一次抗体)を含む場合、さらに、前記一次抗体とは異なるエピトープに結合する抗5-HETE抗体(二次抗体)を含んでいてもよい。
例えば、本態様の検査キットが、支持体に固定された抗LXA抗体(一次抗体)を含む場合、さらに、前記一次抗体とは異なるエピトープに結合する抗LXA抗体(二次抗体)を含んでいてもよい。
例えば、本態様の検査キットが、支持体に固定された抗RvD2抗体(一次抗体)を含む場合、さらに、前記一次抗体とは異なるエピトープに結合する抗RvD2抗体(二次抗体)を含んでいてもよい。
【0028】
マーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質は、標識化されたものであってもよい。標識化のための標識物質は、特に限定されず、公知のものを用いればよい。標識物質としては、例えば、ペルオキシダーゼ(例、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、アルカリホスファターゼなどの酵素標識;カルボキシフルオレセイン(FAM)、6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ2’ ,7’-ジメトキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラクロロフルオレセイン(TET)、5'-ヘキサクロロ-フルオレセイン-CEホスホロアミダイト(HEX)、Cy3、Cy5、Alexa568、Alexa647などの蛍光標識;ヨウ素125などの放射性同位体標識;ルテニウム錯体などの電気化学発光標識;ビオチン;金属ナノ粒子等が挙げられる。マーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質の標識化は、標識物質の種類に応じて、適宜、公知の方法を選択して行うことができる。なお、標識物質としてビオチンを用いる場合には、本態様の検査キットは、さらに、標識化されたアビジンを含んでいてもよい。アビジンの標識物質としては、上記例示した標識物質のうちビオチン以外の標識物質が例示される。
本態様の検査キットが二次特異的結合物質を含む場合、当該二次特異的結合物質は、標識化されていることが好ましい。
【0029】
<他の要素>
本態様の検査キットは、マーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質に加えて、他の要素を含んでいてもよい。他の要素としては、例えば、酸化脂肪酸の検出試薬、標識物質の検出試薬、マーカー酸化脂肪酸の標準試料、血液試料調製試薬、酸化脂肪酸抽出試薬、希釈液、バッファー類、支持体、使用説明書等が挙げられる。
【0030】
酸化脂肪酸の検出試薬は、例えば、支持体に固定されたマーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質により、マーカー脂肪酸を支持体に捕捉した後、捕捉されたマーカー脂肪酸を検出するために用いることができる。酸化脂肪酸の検出試薬は、特に限定されないが、例えば、Sulfo-phospho-vanillin法に用いる試薬(バニリン、硫酸)等が挙げられる。
【0031】
標識物質の検出試薬は、マーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質又は二次特異的結合物質の標識化に用いた標識物質を検出するための試薬である。例えば、標識物質が酵素標識である場合、検出試薬は当該酵素の基質を含む。例えば、酵素標識がペルオキシダーゼである場合、検出試薬としては、TMB(3,3',5,5'-tetramethylbenzidine)、OPD(o-phenylenediamine dihydrochloride)、ABTS(2,2'-azino-di-[3-ethyl-benzothiazoline-6 sulfonic acid] diammonium salt)等が挙げられる。また、酵素標識がアルカリホスファターゼである場合、検出試薬としては、pNPP(p-Nitrophenyl-phosphate;ニトロフェニルリン酸)等が挙げられる。
【0032】
マーカー酸化脂肪酸の標準試料は、マーカー酸化脂肪酸の標準曲線を作成するための試薬である。マーカー酸化脂肪酸の標準試料としては、5-HETEの精製品、LXAの精製品、及びRvD2の精製品等が挙げられる。
【0033】
血液試料調製試薬は、被験者から採取した血液から血液試料を調製するための試薬である。本態様の検査キットに適用する血液試料としては、例えば、血漿が挙げられる。そのため、血液試料調製試薬としては、被験者から採血した血液から血漿試料を調製するための試薬が挙げられる。そのような試薬としては、例えば、ヘパリン、EDTA、及びクエン酸ナトリウム等が挙げられる。また、血液試料調製試薬としては、例えば、血液又は血漿の希釈液等が挙げられる。希釈液としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液(Tri-HClなど)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの公知の緩衝液等が例示される。
【0034】
酸化脂肪酸抽出試薬は、血漿試料等から酸化脂肪酸を抽出するための試薬である。酸化脂肪酸の抽出試薬としては、例えば、Bligh & Dyer法に用いる試薬等が挙げられる。そのような試薬としては、クロロホルム、及びメタノールが挙げられる。また、酸化脂肪酸抽出試薬は、酸化脂肪酸抽出用のカラム等であってもよい。
【0035】
バッファー類としては、マーカー酸化脂肪酸とマーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質との結合反応に用いられるバッファー、及びマーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質に結合する標識物質を検出するための反応に用いられるバッファー等が挙げられる。バッファー類の具体例としては、例えば、ブロッキングバッファー、洗浄バッファー等が挙げられる。これらのバッファー類は、イムノアッセイ等に一般的に用いられるものを特に制限なく用いることができる。
【0036】
支持体は、マーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質を固定化するために用いられる。支持体としては、上記に例示したものが挙げられる。
【0037】
本態様の検査キットは、ELISAキットであってもよい。本態様の検査キットがELISAキットである場合、例えば、支持体に固定化されたマーカー酸化脂肪酸に対する一次特異的結合物質、標識化されたマーカー酸化脂肪酸に対する二次特異的結合物質、及び二次特異的結合物質に結合する標識の検出試薬等を含み得る、ELISAキットは、さらに、血液試料調製試薬、酸化脂肪酸抽出試薬、希釈液、マーカー酸化脂肪酸の標準試料、及びバッファー類(ブロッキングバッファー、洗浄バッファー等)等を含んでいてもよい。
【0038】
本態様の検査キットは、後述の[慢性皮膚疾患の評価方法]に記載の方法に用いることができる。
【0039】
[慢性皮膚疾患の評価方法]
本発明の第2の態様は、被験者の血液試料において、5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸、リポキシンA4、及びレゾルビンD2からなる群より選択される少なくとも1種の酸化脂肪酸の濃度を測定する工程を含む、慢性皮膚疾患の評価方法である。
【0040】
<被験者の血液試料>
本態様の評価方法で用いる試料は、被験者の血液試料である。
「被験者」とは、本態様の評価方法により慢性皮膚疾患について評価される対象である。被験者は、慢性皮膚疾患を有する患者であることが好ましい。前記慢性皮膚疾患は、CSU又はADであってもよく、CSU又はADに類似の症状を有する慢性皮膚疾患であってもよい。
「血液試料」とは、血液成分の少なくとも一部を含む試料を意味し、全血、血清、及び血漿のいずれであってもよく、これらを希釈したものであってもよい。血液試料は、好ましくは血清又は血漿であり、より好ましくは血漿である。
被験者の血液試料は、被験者から採取された血液成分を含む試料であり、好ましくは被験者から採取された血液から調製された血漿である。血液から血漿を調製する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いればよい。血液からの血漿の分離方法としては、例えば、血液にヘパリン、EDTA、クエン酸ナトリウム等を添加して、遠心分離する方法等が挙げられる。前記遠心分離は、マーカー酸化脂肪酸の分解を抑制する観点から、冷却下(例えば、4℃)で行うことが好ましい。
【0041】
マーカー酸化脂肪酸は不安定な物質であるため、マーカー酸化脂肪酸の分解を抑制する観点から、被験者から血液を採取後すぐに、前記血液から血漿を調製することが好ましい。また、調製した血漿は、調整後すぐに、マーカー脂肪酸の測定を行うか、急速凍結(例えば、-20℃)にて保存することが好ましい。
【0042】
<測定工程:工程(a)>
被験者の血液試料において、5-HETE、LXA、及びRvD2からなる群より選択される少なくとも1種の酸化脂肪酸の濃度を測定する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0043】
マーカー酸化脂肪酸の測定方法としては、例えば、マーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質を用いる方法、質量分析(ESI-MSなど)による方法、薄層クロマトグラフィーによる方法、及び液体高速クロマトグラフィー(HPLC)による方法等が挙げられる。
【0044】
上記の中でも、簡便に行えることから、マーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質を用いる方法が好ましい。当該方法は、上記第1の態様の検査キットを用いて行うことができる。
例えば、支持体結合させたマーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質に、被験者の血液試料を接触させる。これにより、前記特異的結合物質に、マーカー酸化脂肪酸が結合して、前記支持体にマーカー酸化脂肪酸が捕捉される。次いで、前記支持体に、マーカー酸化脂肪酸に対する標識化された二次特異的結合物質を接触させる。これにより、支持体に捕捉されたマーカー酸化脂肪酸に前記二次特異的結合物質が結合する。次いで、前記二次特異的結合物質に結合する標識物質を測定することにより、血液試料中のマーカー酸化脂肪酸の測定を行うことができる。
前記マーカー脂肪酸として、5-HETEを用いた場合には、被験者の血液試料中の5-HETEの濃度を測定することができる。
前記マーカー脂肪酸として、LXAを用いた場合には、被験者の血液試料中のLXAの濃度を測定することができる。
前記マーカー脂肪酸として、RvD2を用いた場合には、被験者の血液試料中のRvD2の濃度を測定することができる。
【0045】
マーカー酸化脂肪酸を、マーカー酸化脂肪酸に対する特異的結合物質を用いて測定する方法の具体例としては、例えば、酵素免疫測定法(EIA、ELISA)、放射免測定法(RIA)、蛍光酵素免疫測定法(FLEIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)、蛍光抗体法(FA)等が挙げられる。
【0046】
被験者の血液試料は、マーカー酸化脂肪酸の測定を行う前に、酸化脂肪酸の抽出を行ってもよい。マーカー酸化脂肪酸の分解を抑制する観点からは、マーカー酸化脂肪酸の測定を行う前に、酸化脂肪酸の抽出を行うことが好ましい。酸化脂肪酸の抽出は、Bligh & Dyer法等の公知の方法により行うことができ、市販の脂質抽出キット等を使用してもよい。
【0047】
<慢性皮膚疾患の評価>
本態様の評価方法により評価される慢性皮膚疾患は、CSUであってもよく、ADであってもよく、CSU又はADに類似の症状を有する慢性皮膚疾患であってもよい。
本態様の評価方法では、慢性皮膚疾患が、CSUである可能性について評価されてもよい。また、被験者がCSUに罹患している可能性について評価されてもよい。また、CSUの重症度について評価されてもよい。
本態様の評価方法では、慢性皮膚疾患が、ADである可能性について評価されてもよい。また、被験者がADに罹患している可能性について評価されてもよい。また、ADの重症度について評価されてもよい。
【0048】
慢性皮膚疾患がCSUである可能性を評価する場合、又は被験者がCSUに罹患している可能性を評価する場合、本工程において、5-HETE及びLXAからなる群より選択される少なくとも1種の酸化脂肪酸を測定することができる。この場合、5-HETE及びLXAの両方を測定することにより、慢性皮膚疾患がCSUである可能性、又は被験者がCSUに罹患している可能性をより正確に評価することができる。
被験者の有するCSUの重症度を評価する場合、本工程において、LXAを測定することができる。
慢性皮膚疾患がADである可能性を評価する場合、又は被験者がADに罹患している可能性を評価する場合、本工程において、RvD2を測定することができる。
被験者の有するADの重症度を評価する場合、本工程において、LXAを測定することができる。
【0049】
本工程において、LXAを測定することにより、被験者がCSUに罹患している可能性、及び被験者がCSUに罹患していた場合の重症度を同時に評価することができる。さらに、本工程において、5-HETEを測定することにより、被験者がCSUに罹患している可能性をより正確に評価することができる。
本工程において、RvD2を測定することにより、被験者がADに罹患している可能性、及び被験者がADに罹患していた場合の重症度を同時に評価することができる。
本工程において、5-HETE、LXA、及びRvD2の全てを測定することにより、被験者がCSUに罹患している可能性、及び被験者がCSUに罹患していた場合の重症度、並びに被験者がADに罹患している可能性、及び被験者がADに罹患していた場合の重症度を評価することができる。
【0050】
<他の工程>
本態様の評価方法は、上記測定工程(工程(a))に加えて他の工程を含んでいてもよい。他の工程としては、例えば、前記測定工程で測定された、前記酸化脂肪酸の濃度に基づいて、慢性皮膚疾患を評価する工程、及び前記慢性皮膚疾患の評価結果に基づいて、慢性皮膚疾患を治療する工程等が挙げられる。
【0051】
≪評価工程:工程(b)≫
本態様の評価方法では、前記測定工程で測定された、前記酸化脂肪酸の濃度に基づいて、慢性皮膚疾患を評価する工程を含むことが好ましい。
【0052】
例えば、上記測定工程において測定された5-HETE及びLXAからなる群より選択される少なくとも1種の酸化脂肪酸の血中濃度に基づいて、慢性皮膚疾患がCSUである可能性、又は被験者がCSUに罹患している可能性を評価することができる。例えば、5-HETEの血中濃度が、健常人における5-HETEの血中濃度と比較して、上昇している場合、被験者の有する慢性皮膚疾患はCSUであると評価することができる。あるいは、被験者が、CSUに罹患している可能性が高いと評価することができる。また、例えば、LXAの血中濃度が、健常人におけるLXAの血中濃度と比較して、低下している場合、被験者の有する慢性皮膚疾患はCSUであると評価することができる。前記健常人における前記酸化脂肪酸の血中濃度は、複数の健常人の血液試料において測定された血中濃度から算出された基準値であってもよく、表5に示されるようなカットオフ値であってもよい。
【0053】
また、例えば、上記測定工程において測定されたLXAの血中濃度に基づいて、被験者の有するCSUの重症度を評価することができる。例えば、LXAの血中濃度を、予め定めたCSUの重症度基準値と比較して、CSUの重症度を評価することができる。例えば、LXAの血中濃度が、予め定めたCSUの重症度基準値と比較して、上昇している場合、CSUの重症度が高い評価することができる。CSUの重症度基準値は、例えば、CSUの重症度が既知である患者のLXAの濃度に基づいて、定められた値とすることができる。例えば、UAS7又はUSTの各スコア区分の患者群におけるLXAの血中濃度に基づいて、LXAのCSU重症度基準値をそれぞれ設定してもよい。あるいは、オマリズマブを投与してCSUの症状が改善した患者におけるLXAの血中濃度に基づいて、LXAのCSU重症度基準値を設定してもよい。前記CSU重症度基準値は、複数の患者の血中濃度値を統計処理して算出されたカットオフ値であることが好ましい。
また、LXAの血中濃度を複数の患者で測定した場合には、当該患者間の前記血中濃度を比較して、前記血中濃度が高い順にCSUの重症度が高い、と評価してもよい。
また、1人の患者について、経時的にLXAの血中濃度を測定した場合には、各測定時点における前記血中濃度の変化に基づいて、CSUの重症度の変化を評価してもよい。例えば、前回測定時よりも前記血中濃度が高くなった場合には、CSUの重症度が高くなったと評価することができ、前記測定時よりも前記血中濃度が低くなった場合には、CSUの重症度が低くなったと評価することができる。
【0054】
また、例えば、上記測定工程において測定されたRvD2の血中濃度に基づいて、慢性皮膚疾患がADである可能性、又は被験者がADに罹患している可能性を評価することができる。例えば、RvD2の血中濃度が、健常人におけるRvD2の血中濃度と比較して、上昇している場合、被験者の有する慢性皮膚疾患はADであると評価することができる。あるいは、被験者が、ADに罹患している可能性が高いと評価することができる。前記健常人における前記酸化脂肪酸の血中濃度は、複数の健常人の血液試料において測定された血中濃度から算出された基準値であってもよく、表7に示されるようなカットオフ値であってもよい。
【0055】
また、例えば、上記測定工程において測定されたRvD2の血中濃度に基づいて、被験者の有するADの重症度を評価することができる。例えば、RvD2の血中濃度を、予め定めたADの重症度基準値と比較して、ADの重症度を評価することができる。例えば、RvD2の血中濃度が、予め定めたADの重症度基準値と比較して、上昇している場合、ADの重症度が高いと評価することができる。ADの重症度基準値は、例えば、ADの重症度が既知である患者のRvD2の濃度に基づいて、定められた値とすることができる。例えば、EASIの各スコア区分の患者群におけるRvD2の血中濃度に基づいて、RvD2のAD重症度基準値をそれぞれ設定してもよい。前記AD重症度基準値は、複数の患者の血中濃度値を統計処理して算出されたカットオフ値であることが好ましい。
また、RvD2の血中濃度を複数の患者で測定した場合には、当該患者間の前記血中濃度を比較して、前記血中濃度が高い順にCSUの重症度が高い、と評価してもよい。
また、1人の患者について、経時的にRvD2の血中濃度を測定した場合には、各測定時点における前記血中濃度の変化に基づいて、CSUの重症度の変化を評価してもよい。例えば、前回測定時よりも前記血中濃度が高くなった場合には、CSUの重症度が高くなったと評価することができ、前記測定時よりも前記血中濃度が低くなった場合には、CSUの重症度が低くなったと評価することができる。
【0056】
≪治療工程:工程(c)≫
本態様の評価方法は、前記評価工程(工程(b))において行われた慢性皮膚疾患の評価に基づいて、被験者に治療を実施する工程を含んでいてもよい。
【0057】
例えば、評価工程においてCSUに罹患している、又はCSUの重症度が高いと評価された被験者に対しては、オマリズマブ投与等の治療を実施することができる。また、例えば、評価工程においてCSUの重症度が低いと評価された患者に対しては、抗ヒスタミン剤投与等の治療を実施することができる。本工程において選択される治療は、前記のものに限定されず、CSUの重症度に応じて、適切な治療方法を選択して実施することができる。
【0058】
例えば、評価工程においてADに罹患している、又はADの重症度が高いと評価された被験者に対しては、ADの重症度の重症度に応じて、ステロイド剤又は免疫調整剤の投与等の治療を実施することができる。本工程において選択される治療は、前記のものに限定されず、ADの重症度に応じて、適切な治療方法を選択して実施することができる。
【0059】
本態様の評価方法によれば、血液試料において、酸化脂肪酸マーカーを測定するという簡易な方法で、慢性皮膚疾患の評価を行うことができる。本態様による評価方法によれば、血液中の酸化脂肪酸マーカーの濃度という客観的な指標を用いるため、従来、自己申告や視覚による観察で評価されていたCSU又はADの重症度を、客観的に評価することができ、適切な治療法を選択するためのデータを提供することができる。
【0060】
[他の態様]
他の態様において、本発明は、被験者の血液試料において、5-HETE、LXA、及びRvD2からなる群より選択される少なくとも1種の酸化脂肪酸の濃度を測定する工程を含む、慢性皮膚疾患の検査方法を提供する。
他の態様において、本発明は、被験者の血液試料において、5-HETE、及びLXAからなる群より選択される少なくとも1種の酸化脂肪酸の濃度を測定する工程を含む、CSUに罹患している可能性の高い血液試料を特定する方法を提供する。
他の態様において、本発明は、被験者の血液試料において、LXAかの濃度を測定する工程を含む、CSUの重症度の重症度の高い血液試料を特定する方法を提供する。
他の態様において、本発明は、被験者の血液試料において、RvD2の濃度を測定する工程を含む、ADに罹患している可能性の高い血液試料を特定する方法を提供する。
他の態様において、本発明は、被験者の血液試料において、RvD2の濃度を測定する工程を含む、ADの重症度の重症度の高い血液試料を特定する方法を提供する。
他の態様において、本発明は、CSU患者の血液試料において、5-HETE、LXA、及びRvD2からなる群より選択される少なくとも1種の濃度を測定する工程を含む、慢性皮膚疾患を診断するためのデータの収集方法を提供する。
他の態様において、本発明は、治療を受けたCSU患者の血液試料において、LXAの濃度を測定する工程を含む、前記治療によるCSUの治療効果を評価する方法を提供する。
他の態様において、本発明は、治療を受けたAD患者の血液試料において、RvD2の濃度を測定する工程を含む、前記治療によるADの治療効果を評価する方法を提供する。
他の態様において、本発明は、CSU患者の血液試料の検査方法であって、前記血液試料のLXAの濃度を測定する工程と、前記LXAの濃度とCSUの重症度とを相関させる工程とを含む方法を提供する。
他の態様において、本発明は、治療を受けたAD患者の血液試料の検査方法であって、前記血液試料のRvD2の濃度を測定する工程と、前記RvD2の濃度と前記治療によるADの治療効果とを相関させる工程とを含む方法を提供する。
他の態様において、本発明は、5-HETE、LXA、及びRvD2からなる群より選択される酸化脂肪酸に対する特異的結合物質からなる慢性皮膚疾患の診断薬を提供する。
他の態様において、本発明は、5-HETE、及びLXAからなる群より選択される酸化脂肪酸に対する特異的結合物質からなるCSUの診断薬を提供する。
他の態様において、本発明は、LXAに対する特異的結合物質からなるCSUの重症度診断薬を提供する。
他の態様において、本発明は、RvD2に対する特異的結合物質からなるADの診断薬を提供する。
他の態様において、本発明は、RvD2に対する特異的結合物質からなるADの重症度診断薬を提供する。
【実施例0061】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
<リピドミクス解析による慢性皮膚疾患マーカーの探索>
≪対象者≫
慢性特発性蕁麻疹(CSU)患者67人、アトピー性皮膚炎(AD)患者20人、健常人(NC)27人をリピドミクス解析の対象とした。CSU患者については、採血前4週間以内に免疫抑制剤(コルチコステロイド、シクロスポリン)を使用した患者を除外した。NCは、慢性蕁麻疹及びアトピー性皮膚炎の既往がなく、現在も蕁麻疹及びアトピー性皮膚炎を発症していない人を対象とした。
【0063】
≪CSUの重症度評価≫
CSUの重症度の評価は、7-day Urticaria Activity Score(UAS7)及びUrticaria control test(UCT)により行った。
【0064】
(UAS37)
UAS7は、CSU患者自身が、表1に示す基準に従って1日毎に膨疹とかゆみの点数をつけ、7日分の点数を合計したスコアにより重症度を評価する方法である。前記スコアに基づく重症度は、以下のように評価される。スコアの点数が高いほど、病勢のコントロールは不良とされる。
スコア 28~42:重症
スコア 16~27:中等症
スコア 7~15:軽症
スコア 0~6:コントロールされている
【0065】
【表1】
【0066】
(UCT)
UCTは、CSU患者が、表2に示す4つの質問に回答することで、過去4週間の疾患の状態の点数をつけ、4つの質問の回答点数を合計したスコアにより重症度を評価する方法である。スコアの点数が低いほど、病勢のコントロールは不良とされる。
【0067】
【表2】
【0068】
≪ADの重症度評価≫
ADの重症度評価は、EASI(Eczema Area and Severity Index)により行った。EASIは、4箇所の身体部位における湿疹面積により、ADの重症度を評価する評価指標である。頭頚部、体幹(陰部そ含む)、上肢、及び下肢(臀部を含む)の4箇所の身体部位のそれぞれについて、表3に従い、湿疹面積の部分スコアを評価する。また、紅斑、浮腫/丘疹、掻破痕、及び苔癬化の4つの徴候の重症度を、表4に従い評価する。評価した部分スコア及び4つの徴候の重症度をスコア表に記録し、EASI最終スコアを算出する。
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
≪リピドミクス解析≫
エレクトロスプレーイオン化-タンデム質量分析(ESI-MS)を、既報の方法に従って行った(Murase R et al., Sci Rep. 2017 Sep 25;7(1):12261.)。簡単に説明すると、リン脂質の検出のために、対象者から得た血漿を10容量の20mM Tris-HCl(pH7.4)で希釈した。次いで、Bligh及びDyerの方法(Bligh EG, Dyer WJ. Can. J. Biochem. Physiol. 1959; 37: 911-917.)により脂質を抽出した。得られた脂質について、液体クロマトグラフィー(LC;NexeraX2システム;島津製作所)を備えた4000Q-TRAP四重極-線形イオントラップハイブリッド質量分析計(AB Sciex)を用いて質量分析した。
脂質試料を、ESI-MS/MSに連結したKinetex C18カラム(内径1×150mm、1.7μm粒子)(Phenomenex)にアプライした。オートサンプラーにより注入されたサンプル(10μL)を、移動相A(アセトニトリル/メタノール/水=1:1:1[v/v/v];5μMリン酸及び1mMギ酸アンモニウム含有)及び移動相B(2-プロパノール;5μMリン酸及び1mMギ酸アンモニウム含有)を用いた段階勾配によって、50℃、0.2mL/分の流速で分離した。
【0072】
脂肪酸及びそれらの酸化代謝物を検出するために、血漿を10倍量のメタノールで希釈した。-20℃で一晩インキュベートした後、混合物に水を加えてメタノールの最終濃度が10%(v/v)となるようにした。10%メタノール中の試料を、Oasis HLBカートリッジ(Waters)にアプライし、10mLのヘキサンで洗浄し、3mLのギ酸メチルで溶出し、Nガス下で乾燥し、60%メタノールに溶解した。次いで、試料を上記のようにESI-MS/MSに連結したKinetex C18カラム(内径1×150mm、1.7μm粒子)(Phenomenex)にアプライした。オートサンプラーにより注入された試料(10μL)を、移動相C(水;0.1%酢酸含有)及び移動相D(アセトニトリル/メタノール=4:1[v/v])の段階勾配によって、45℃、0.2mL/分の流速で分離した。内部標準として、d5-標識EPA及び17:0LPC(1nmol;Cayman Chemicals)を各試料に添加した。
【0073】
同定は、多重反応モニタリング(MRM)トランジション及びリテンションタイムを用いて行った。
定量化は、MRMトランジションのピーク面積及び各化合物の標品を用いて得られた検量線に基づいて行った。その近似曲線を1次方程式で表し、Area under curve (AUC)の値を代入してサンプルあたりpmol/mlとして濃度を算出した。
【0074】
≪統計学的解析≫
統計学的解析には、GraphPad Prism 7(MDF,Tokyo,Japan)を使用した。群間の比較は、Kruskal-wallis testを用いた。相関の評価には、Spearmanの順位相関係数を用いた。p値が0.05未満の場合を、統計学的に有意な差が認められると判断した。
【0075】
<CSUマーカーの探索>
図1~3に、CSU患者及び健常人(NC)の血漿を用いたリピドミクス解析の結果を示す。図1は、アラキドン酸(AA)代謝物の解析結果である。図2は、ドコサヘキサエン酸(DHA)及びエイコサペンタエン酸(EPA)代謝物の解析結果である。図3は、リノール酸(LA)及びリノレイン酸(LN)代謝物の解析結果である。
【0076】
図1~3の結果から、CSU患者と健常人との間で、血漿中濃度に有意差が認められた8個の脂質メディエーターについて、ROC曲線(Receiver Operator characteristic Curve)による解析を行った。その結果を表5に示す。
【0077】
【表5】
【0078】
表5に示す脂質メディエーターのうち、5-HETEは、健常人と比較してCSU患者の血漿中濃度が有意に高く、またカットオフ値が20pmol/L以上であった。表5に示す脂質メディエーターのうち、LXAは、健常人と比較してCSU患者の血漿中濃度が有意に低く、またカットオフ値が20pmol/L以上であった。そのため、これらの2つの脂質メディエーターをCSUの鑑別マーカーとして選択した。このうち、5-HETEは、健常人との間で有意差が大きく、CSUの鑑別マーカーとして優れていると考えられた。
【0079】
<CSU重症度マーカーの探索>
CUS患者における血漿中の濃度が、CSUの重症度の指標であるUSA7スコアと相関のある脂質メディエーターの探索を行った。その結果、LXA、12-HETE、及び12-HEPEの3つの脂質メディエーターが、UAS7スコアと相関していた。図4は、LXAの血漿中の濃度とUAS7スコアとの相関を示すグラフである。
【0080】
≪オマリズマブ投与によるCSU重症度マーカーの評価≫
オマリズマブの投与が行われたCSU患者14例を対象とした。初回投与から4週間隔でオマリズマブ300mgを皮下注射した。オマリズマブ投与前と3回目投与時の直前に、患者から血漿を採取した(図5参照)。
【0081】
(オマリズマブ投与による重症度の変化)
オブリズマブ投与前と投与後(3回目投与時の直前)のUAS7スコア及びUCTスコアの変化を図6に示す。UAS7スコアは投与後に低くなり、UCTスコアは投与後に高くなった。これらの変化は、オブリズマブ投与により、CSUの重症度が改善したことを示す。オマリズマブの投与前と投与後のUAS7スコア及びUCTスコアの平均値を表6に示す。
【0082】
【表6】
【0083】
(オマリズマブ投与による重症度マーカーの変化)
LXA、12-HETE、及び12-HEPEの3つの脂質メディエーターについて、オブリズマブ投与前と投与後(3回目投与時の直前)の血漿中の濃度の変化を調べた。その結果、LXAの血漿中濃度は、オブリズマブ投与前と比較して、投与後で有意に低下することが確認できた。図7に、LXAの血漿中濃度の変化を示す。この結果は、LXAの血漿中濃度が、CSUの重症度の改善に伴って低下することを示す。
一方、12-HETE、及び12-HEPEは、オブリズマブの投与前後で、有意な変化は認められなかった。
これらの結果から、LXAを、CSUの重症度マーカーとして選択した。
【0084】
<ADマーカーの探索>
図8~10に、AD患者及び健常人(NC)の血漿を用いたリピドミクス解析の結果を示す。図8は、アラキドン酸(AA)代謝物の解析結果である。図9は、ドコサヘキサエン酸(DHA)及びエイコサペンタエン酸(EPA)代謝物の解析結果である。図10は、リノール酸(LA)及びリノレイン酸(LN)代謝物の解析結果である。
【0085】
図8~10の結果から、AD患者と健常人との間で、血漿中濃度に有意差が認められた22個の脂質メディエーターについて、ROC曲線(Receiver Operator characteristic Curve)による解析を行った。その結果を表7に示す。
【0086】
【表7】
【0087】
表7に示す脂質メディエーターのうち、RvD2は、健常人と比較して、AD患者の血漿中濃度が有意に高くなったのは、RvD2のみであった。そのため、RvD2を、ADの鑑別マーカーとして選択した。
【0088】
<AD重症度マーカーの探索>
AD患者における血漿中の濃度が、ADの重症度の指標であるEASIスコアと相関のある脂質メディエーターの探索を行った。その結果、RvD2が、あるEASIスコアと相関していた。図11は、RvD2の血漿中の濃度とEASIスコアとの相関を示すグラフである。
これらの結果から、RvD2を、ADの重症度マーカーとして選択した。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明によれば、CSU及びAD等の慢性皮膚疾患の客観的な評価が可能な、慢性皮膚疾患の検査キット、及び慢性皮膚疾患の評価方法が提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11