(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047372
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】アミロイドβと関連する疾患又は状態の指標とする方法、並びに該方法に用いるための組成物及びキット
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/46 20060101AFI20220316BHJP
G01N 33/84 20060101ALI20220316BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
C12Q1/46
G01N33/84 Z
G01N33/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153255
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(71)【出願人】
【識別番号】510060844
【氏名又は名称】学校法人電子開発学園
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100150898
【弁理士】
【氏名又は名称】祐成 篤哉
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(72)【発明者】
【氏名】山本 万里
(72)【発明者】
【氏名】西平 順
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】上島 希実
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045DA20
2G045DB08
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ32
4B063QR12
4B063QS02
4B063QS10
4B063QS36
4B063QX01
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、健常者群等からMCI等のアミロイドβと関連する疾患又は状態の発症リスクの高い者を簡便・安価に発見する方法の提供である。
【解決手段】本発明は、被検体から単離された血液中のコリンエステラーゼの量を、アミロイドβと関連する疾患又は状態の指標とする方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体から単離された血液中のコリンエステラーゼの量を、アミロイドβと関連する疾患又は状態の指標とする方法。
【請求項2】
前記被検体が哺乳動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被検体が60歳以上のヒトである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記血液中のコリンエステラーゼの量が、該血液から得られる血清中のコリンエステラーゼの量として326 IU/L以下であることを、前記被検体におけるアミロイドβと関連する疾患又は状態の可能性の指標とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記被検体が男性のヒトであり、前記血液中のコリンエステラーゼの量が、該血液から得られる血清中のコリンエステラーゼの量として306 IU/L以下であることを、前記被検体におけるアミロイドβと関連する疾患又は状態の可能性の指標とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記アミロイドβと関連する疾患又は状態の診断を容易にするための少なくとも1つの追加試験が行われる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記追加試験が、前記被検体から単離された血液中のマグネシウムの量を、前記アミロイドβと関連する疾患又は状態の指標とすることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記血液中のマグネシウムの量が、該血液から得られる血清中のマグネシウムの量として2.2mg/dL以上であることを、前記被検体におけるアミロイドβと関連する疾患又は状態の可能性の指標とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記被検体が女性のヒトであり、前記血液中のマグネシウムの量が、該血液から得られる血清中のマグネシウムの量として2.24mg/dL以上であることを、前記被検体におけるアミロイドβと関連する疾患又は状態の可能性の指標とする、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記追加試験が、認知機能検査である、Mini-cog試験、ミニメンタルステート検査(MMSE)、ADAS-cog試験及び時計描画試験からなる群から選択される1つ以上である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記疾患が、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー型認知症(AD)、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型)、脳血管アミロイドアンギオパチー、及びグアムパーキンソン認知症複合からなる群から選択される神経障害又は進行性核上性麻痺、多発性硬化症、封入体筋炎(IBM)、クロイツフェルト-ヤコブ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、封入体筋炎(IBM)、成人発症型糖尿病(2型糖尿病)、老人性心アミロイドーシス、内分泌腫瘍、緑内障、眼アミロイドーシス、原発性網膜変性、黄斑変性、視神経ドルーゼン、視神経症、視神経炎、又は格子状異栄養である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記アミロイドβと関連する疾患若しくは状態の発症についての前記被験体のリスクを測定ないし発見するためのもの、前記アミロイドβと関連する疾患若しくは状態を前記被験体において発見するためのもの、前記アミロイドβと関連する疾患若しくは状態を有する被験体を選択するためのもの、前記アミロイドβと関連する疾患若しくは状態を予防又は治療するための摂取物に対する前記被験体の反応を測定、評価ないしモニタリングするためのもの、あるいは、前記被験体における前記アミロイドβと関連する疾患若しくは状態の経過を測定、評価ないしモニタリングするためのものである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法に用いるための組成物であって、該組成物は、前記コリンエステラーゼの存在を検出する反応物質、及び該コリンエステラーゼを定量するための試薬を含む、組成物。
【請求項14】
前記反応物質は、前記コリンエステラーゼの基質を含む、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法に用いるためのキットであって、該キットは、前記コリンエステラーゼの存在を検出する反応物質、及び該コリンエステラーゼを定量するための試薬を含む、キット。
【請求項16】
前記反応物質は、前記コリンエステラーゼの基質を含む、請求項15記載のキット。
【請求項17】
請求項7~9のいずれか一項に記載の方法に用いるためのキットであり、更に、前記マグネシウムを定量するための試薬を含む、請求項15又は16に記載の試験キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミロイドβと関連する疾患又は状態の指標とする方法、並びに該方法に用いるための組成物及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
認知症は高齢化率が増えるのに従って発症リスクが高まる疾病である。世界の認知症患者は、2017年で4700万人いるとされ、2030年に7500万人、2050年に1億3100万人に増えると予想されている。また、認知症の増加で医療・介護給付費が2030年に世界で2兆ドル、2025年に日本で10.7兆円に達する可能性が指摘されている。
【0003】
日本は全人口における認知症有病率が2.33%であり、OECD加盟国(1.48%)のうちで最も高い割合となっている。日本の認知症の中では、アルツハイマー型(AD)が50%、レビ-小体型が20%、血管性が15%、その他が15%であり、AD型認知症の治療、予防が重要である。ADは脳にアミロイドβ(Aβ)が蓄積し、神経原繊維が変化し、記憶を司る海馬が縮小して起こるという「アミロイドカスケード仮説」が支持されている。
【0004】
認知症の前段階に適切な予防/治療をすることで認知機能が回復する軽度認知障害(MCI)という状態があり、この段階で改善できれば認知症の発症タイミングを遅延させることができることがわかっている。MCIから認知症に進展する人の割合は年平均で10%、5年間で約40%と言われている。また、MCIで適切な処置をすれば16-41%の人が回復することが日本神経学会、認知症疾患診療ガイドライン2017に示されている。そのため、このMCIを早期に発見・評価して予防措置を行えば、認知症患者を大幅に減少させられるので、発症リスクの高い健常者の早期発見法の開発が強く期待されている。
【0005】
認知症の検査・診断では、記憶や言語のテスト、血液検査、脳画像検査(CT、MRI)、脳血流SPECT(シンチグラフィ)検査、ドパミントランスポータシンチグラフィ(発現量の低下を検査)、MIBG心筋シンチグラフィ検査(心筋交感神経検査)などが実施されている。
【0006】
MCIのリスクを判定する血液検査として、アポリポタンパク質(ApoA1;Aβペプチドを脳から髄液中に排出するタンパク質)、補体タンパク質(C3;Aβを捕食処理するタンパク質)、トランスサイレチン(TTR;Aβと結合して毒性を弱めるタンパク質)を測定するもの(MCIスクリーニング検査)やAPOE遺伝子の型の検査(E4ホモでリスクが15倍になる)が実用化されている。
【0007】
認知症の早期発見技術について、研究も進められており、例えば、血清中のFABP、sTNFR1、TNC、ICAM-1、サイトカイン類などのタンパク質の発現レベルをバイオマーカーとして測定して軽度認知障害を判定する方法(特許文献1)、赤血球中プラズマローゲンの値で認知症を診断する技術(特許文献2)、嗅覚組織のmiR-206の発現レベルで軽度認知障害を診断する方法(特許文献3)等が提案されている。また、血清マグネシウム値が基準値内0.7~1.10mmol/L(1.7~2.7mg/dL)であっても0.79mmol/L以下又は1.9mg/dL以下である場合に認知症リスクを32%増加し、0.90mmol/L以上又は2.2mg/dL以上である場合に認知症リスクを30%増加することが報告されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2019-522193号公報
【特許文献2】国際公開第2012/090625号
【特許文献3】特表2018-515145号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kieboom et al. Serum magnesium is associated with the risk of dementia.2017、Neurology、89(16)、1716-1722
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、MCIのリスク判定を行う検査は血液検査を含め、概して高価であり、安価、安全に検査ができないという問題がある。そこで、本発明は、健常者群等からMCI等のアミロイドβと関連する疾患又は状態の発症リスクの高い者を簡便・安価に発見する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、血液中のコリンエステラーゼの量がアミロイドβの脳内蓄積量と相関し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下を提供する。
【0012】
[1] 被検体から単離された血液中のコリンエステラーゼの量を、アミロイドβと関連する疾患又は状態の指標とする方法。
[2] 前記被検体が哺乳動物である、上記[1]に記載の方法。
[3] 前記被検体が60歳以上のヒトである、上記[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記血液中のコリンエステラーゼの量が、該血液から得られる血清中のコリンエステラーゼの量として326 IU/L以下であることを、前記被検体におけるアミロイドβと関連する疾患又は状態の可能性の指標とする、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 前記被検体が男性のヒトであり、前記血液中のコリンエステラーゼの量が、該血液から得られる血清中のコリンエステラーゼの量として306 IU/L以下であることを、前記被検体におけるアミロイドβと関連する疾患又は状態の可能性の指標とする、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記アミロイドβと関連する疾患又は状態の診断を容易にするための少なくとも1つの追加試験が行われる、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 前記追加試験が、前記被検体から単離された血液中のマグネシウムの量を、前記アミロイドβと関連する疾患又は状態の指標とすることを含む、上記[6]に記載の方法。
[8] 前記血液中のマグネシウムの量が、該血液から得られる血清中のマグネシウムの量として2.2mg/dL以上であることを、前記被検体におけるアミロイドβと関連する疾患又は状態の可能性の指標とする、上記[7]に記載の方法。
[9] 前記被検体が女性のヒトであり、前記血液中のマグネシウムの量が、該血液から得られる血清中のマグネシウムの量として2.24mg/dL以上であることを、前記被検体におけるアミロイドβと関連する疾患又は状態の可能性の指標とする、上記[7]又は[8]に記載の方法。
[10] 前記追加試験が、認知機能検査である、Mini-cog試験、ミニメンタルステート検査(MMSE)、ADAS-cog試験及び時計描画試験からなる群から選択される、上記[6]に記載の方法。
[11] 前記疾患が、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー型認知症(AD)、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型)、脳血管アミロイドアンギオパチー、及びグアムパーキンソン認知症複合からなる群から選択される神経障害又は進行性核上性麻痺、多発性硬化症、封入体筋炎(IBM)、クロイツフェルト-ヤコブ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、封入体筋炎(IBM)、成人発症型糖尿病(2型糖尿病)、老人性心アミロイドーシス、内分泌腫瘍、緑内障、眼アミロイドーシス、原発性網膜変性、黄斑変性、視神経ドルーゼン、視神経症、視神経炎、又は格子状異栄養である、上記[1]~[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12] 前記アミロイドβと関連する疾患若しくは状態の発症についての前記被験体のリスクを測定ないし発見するためのもの、前記アミロイドβと関連する疾患若しくは状態を前記被験体において発見するためのもの、前記アミロイドβと関連する疾患若しくは状態を有する被験体を選択するためのもの、前記アミロイドβと関連する疾患若しくは状態を予防又は治療するための摂取物に対する前記被験体の反応を測定、評価ないしモニタリングするためのもの、あるいは、前記被験体における前記アミロイドβと関連する疾患若しくは状態の経過を測定、評価ないしモニタリングするためのものである、上記[1]~[11]のいずれか一項に記載の方法。
【0013】
[13] 上記[1]~[12]のいずれか一項に記載の方法に用いるための組成物であって、該組成物は、前記コリンエステラーゼの存在を検出する反応物質、及び該コリンエステラーゼを定量するための試薬を含む、組成物。
[14] 前記反応物質は、前記コリンエステラーゼの基質を含む、上記[13]記載の組成物。
[15] 上記[1]~[12]のいずれか一項に記載の方法に用いるためのキットであって、該キットは、前記コリンエステラーゼの存在を検出する反応物質、及び該コリンエステラーゼを定量するための試薬を含む、キット。
[16] 前記反応物質は、前記コリンエステラーゼの基質を含む、上記[15]記載のキット。
[17] 請求項7~9のいずれか一項に記載の方法に用いるためのキットであり、更に、前記マグネシウムを定量するための試薬を含む、上記[15]又は[16]に記載の試験キット。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、健常者群等からMCI等のアミロイドβと関連する疾患又は状態の発症リスクの高い者を簡便・安価に発見する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0016】
<アミロイドβと関連する疾患又は状態の指標とする方法>
本発明の第一の態様は、被検体から単離された血液中のコリンエステラーゼ(ChE)の量を、アミロイドβと関連する疾患又は状態の指標とする方法である。
【0017】
本発明者らは、血液中のコリンエステラーゼの量がアミロイドβの脳内蓄積量ないしアミロイドβの脳内蓄積量を示す値、例えば、後述のComposite Biomarker値と相関し得ることを見出し、血液検査において、簡便で安価に測定できる血液中のコリンエステラーゼの量を、アミロイドβと関連する疾患又は状態の指標とすることができることを見出したものである。
【0018】
アミロイドβは、脳内で生成する前駆体タンパク質APPの部分断片であり、βセクレターゼ及びγセクレターゼによる連続した切断によって産生、分泌される。40個前後のアミノ酸で構成され、多数のペプチドが存在するが、その中でも、Aβ1-40、Aβ1-42及びそれらの前駆体であるAPP669-711がアルツハイマー病変を検出する良好な血液バイオマーカーであることが知られている。
【0019】
アミロイドβと関連する疾患又は状態は、アミロイドβの脳内蓄積量と相関する可能性が高いとされ、脳内のアミロイドβの蓄積は、例えば、血中アミロイドβの量の測定により推測することができる。血中アミロイドβの量は、例えば、アミロイドβの中でもMCIやアルツハイマー型認知症その他の認知症等のアミロイドβと関連する疾患又は状態の発症と特に関係が深いAβ1-42及びAPP669-711の2つの値をスケーリングしてスコア化したComposite Biomarker(コンポジット・バイオマーカー)値により推測することができる。本発明の第一の態様は、アミロイドβの脳内蓄積量ないしComposite Biomarker値と、被検体から単離された血液中のコリンエステラーゼの量(濃度)とを相関させることを含むものであってもよい。
【0020】
被検体としては、哺乳動物等の動物が挙げられ、アミロイドβと関連する疾患又は状態を生じ得る動物であれば特に制限はなく、目的に応じて選択することができる。例えば、ラット、マウス、モルモット等のげっ歯類のほか、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ等の非ヒトの哺乳動物が挙げられるが、ヒトが好ましい。ヒトとしては、アミロイドβの脳内蓄積量、ないし、アミロイドβと関連する疾患又は状態との相関、具体的には正の相関が高い点で、60歳以上のヒトが好ましく、血液中のコリンエステラーゼの量とアミロイドβの脳内蓄積量、ないし、アミロイドβと関連する疾患又は状態との相関、具体的には正の相関が高い点で、男性のヒトがより好ましく、60歳以上の男性のヒトが更に好ましい。
【0021】
血液中のコリンエステラーゼの量としては、具体的には、血漿中又は血清中のコリンエステラーゼの量であってよく、血清中のコリンエステラーゼの量であることが好ましい。本発明の第一の態様は、血液中のコリンエステラーゼの量を取得、測定ないし決定することを含むものであってもよい。
【0022】
血液、血漿及び血清の取得方法は特に限定されず、従来公知の方法、例えば、臨床検査用検体として血液を取得(採血)する方法、血液から臨床検査用検体として取得する血漿、血清の分離方法に準じることができる。例えば、血液をEDTA管やヘパリン管等に採り、遠心分離することにより、血漿を得ることができる。また、血液を試験管等に採り、遠心分離することにより、血清を得ることができる。
【0023】
血液中、血漿中ないし血清中のコリンエステラーゼの量の測定方法としては、コリンエステラーゼを定量できる方法であれば特に限定されず、例えば、コリンエステラーゼを定量するためのキット又は検査用組成物、例えば、コリンエステラーゼの存在を検出する反応物質、及び該コリンエステラーゼを定量するための試薬を含むキット又は検査用組成物により定量する方法等が挙げられる。該反応物質は、コリンエステラーゼの基質を含むものであってよく、該基質としては、例えば、後述のp-ヒドロキシベンゾイルコリンヨウ素塩(pHBC)等が挙げられる。
【0024】
血液中、血漿中ないし血清中のコリンエステラーゼの量の測定方法としては、例えば、一般の血液検査において採用される方法、具体的には、UV法、JSCC標準化対応法(pHBC基質法ともいう。)等が挙げられる。該JSCC標準化対応法は、例えば、血液検査用コリンエステラーゼキット、又は「セロテック」ChE-CL、「セロテック」ChE-ML(セロテック社製)等の体外診断用医薬品等の検査用組成物を用いると、簡便・安価に測定することができる。該キットないし検査用組成物は、検体中のコリンエステラーゼ(ChE、非特異的コリンエステラーゼ)がp-ヒドロキシベンゾイルコリンヨウ素塩(pHBC)を基質としてp-ヒドロキシ安息香酸とコリンを生成すること、該p-ヒドロキシ安息香酸にp-ヒドロキシ安息香酸ヒドロキシラーゼ(pHBH)が作用することにより3,4-ジヒドロキシ安息香酸を生成し、同時にβ-ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸還元型四ナトリウム四水和物(β-NADPH)がβ-ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸酸化型(β-NADP)となることを利用し、該β-NADPHの減少に伴う吸光度の減少速度を測定することによりコリンエステラーゼ活性値を求めるものである。尚、副反応を阻害するためプロトカテキン酸-3,4-ジオキシゲナーゼ(PCO)を添加して、3,4-ジヒドロキシ安息香酸を分解し、β-カルボキシムコン酸としている。pHBH、NADPH、PCOを含む第1試薬、pHBCを含む第2試薬と血清等とを混合して反応させ、340nmにおける吸光度の減少速度によりコリンエステラーゼの濃度を求めることができる。
【0025】
血液中のコリンエステラーゼの量が、該血液から得られる血清中のコリンエステラーゼの量として326 IU/L以下であることを、被検体におけるアミロイドβと関連する疾患又は状態の可能性の指標とすることができる。上記血清中のコリンエステラーゼの量は、ヒト、例えば男女合わせたヒト、具体的には60歳以上のヒト、特に60歳以上の男女合わせたヒトのものであることが好ましい。
【0026】
なかでも、被検体が男性のヒト、例えば60歳以上の男性のヒトである場合、血液中のコリンエステラーゼの量が、該血液から得られる血清中のコリンエステラーゼの量として306 IU/L以下であることを、該被検体におけるアミロイドβと関連する疾患又は状態の可能性の指標とすることができる。
【0027】
上記326 IU/L以下ないし306 IU/L以下という値は、従来、正常範囲とされており、しかも、例えば男性のヒトにおいて基準値とされていた245~495 IU/Lの範囲内の中でも高い値ほどアミロイドβの脳内蓄積量との相関が高い可能性があるとの見解があったにもかかわらず、本発明者らがアミロイドβの脳内蓄積量ないしアミロイドβの脳内蓄積量を示す値、例えば、Composite Biomarker値と相関し得ることを新たに見出したものである。
【0028】
本発明の第一の態様は、アミロイドβと関連する疾患又は状態の診断を容易にするための少なくとも1つの追加試験が行われるものであってもよい。
【0029】
上記追加試験は、アミロイドβと関連する疾患又は状態に関する少なくとも1つの追加バイオマーカーを検出することを含むものであってよい。該追加バイオマーカーとしては、例えば、被検体から単離された血液中のマグネシウム(Mg)が挙げられ、具体的には、本発明の第一の態様は、被検体から単離された血液中のマグネシウムの量を、アミロイドβと関連する疾患又は状態の指標とすることを含むものであってもよく、これによりアミロイドβと関連する疾患又は状態の指標としての精度が高くなることが期待される。
【0030】
血液中のマグネシウムの量としては、具体的には、血漿中又は血清中のマグネシウムの量であってよく、血清中のマグネシウムの量であることが好ましい。
血液、及び血清の取得方法は特に限定されず、例えば、コリンエステラーゼについて上述した方法と同様の方法を適用することができる。
【0031】
血液中、血漿中ないし血清中のマグネシウムの量の測定方法としては、マグネシウムを定量できる方法であれば特に限定されず、例えば、マグネシウムを定量するためのキット又は検査用組成物、例えば、マグネシウムを定量するための試薬を含むキット又は検査用組成物により定量する方法等が挙げられる。該試薬としては、例えば、キシリルアゾバイオレット、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(ICDH)等が挙げられる。
【0032】
血液中、血漿中ないし血清中のマグネシウムの量の測定方法としては、例えば、一般の血液検査において採用される方法、具体的には、キシリジルブルー法(発色液:キシリジルアゾバイオレットI)、酵素法等が挙げられる。これらの方法は、例えば、血液検査用キット又は体外診断用医薬品等の検査用組成物を用いると、簡便・安価に測定することができる。
キシリジルブルー法は、マグネシウムがアルカリ条件下でキシリルアゾバイオレットと結合して赤色のキレート化合物を形成することを利用し、該赤色を吸光度(520nm、800nm)で測定することを含む方法である。
【0033】
酵素法は、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(ICDH)がイソクエン酸を基質としてマグネシウムの存在下に2-オキソグルタル酸を生成し、それと同時に酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)が還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)に変わること、該反応速度がマグネシウム濃度に比例し、該NADPHが340nmに吸収極大を有することを利用し、該吸光度の増加速度を測定して検体中のマグネシウム濃度を求めるものである。例えば、D-イソクエン酸-1カリウム塩、及びICDHを含む酵素試薬液I、NADPを含む酵素試薬液IIと血清等とを混合して反応させ、340nmにおける吸光度の増加速度によりマグネシウム濃度を求めることができる。
【0034】
上述の追加試験として、血液中のマグネシウムの量が、該血液から得られる血清中のマグネシウムの量として2.2mg/dL以上であることを、被検体におけるアミロイドβと関連する疾患又は状態の可能性の指標とすることを含むことが好ましい。上記血清中のマグネシウムの量は、ヒト、例えば男女合わせたヒト、具体的には60歳以上のヒト、特に60歳以上の男女合わせたヒトのものであることが好ましい。
【0035】
なかでも、被検体が女性のヒト、例えば60歳以上の女性のヒトである場合、血液中のマグネシウムの量が、該血液から得られる血清中のマグネシウムの量として2.24mg/dL以上であることを、該被検体におけるアミロイドβと関連する疾患又は状態の可能性の指標とすることができる。
【0036】
また、アミロイドβと関連する疾患又は状態の診断を容易にするための少なくとも1つの追加試験は、認知機能検査である、Mini-cog試験、ミニメンタルステート検査(MMSE)、ADAS-cog試験及び時計描画試験からなる群から選択される1つ以上であってもよく、これらの追加試験は、上述の少なくとも1つの追加バイオマーカーの検出を含む追加試験の代りに又は追加して行ってもよく、費用、簡便さ、被検体のニーズ等に応じて適宜選択することができるが、アミロイドβと関連する疾患又は状態の可能性の精度を高め得る点で、追加して行う又は併用することが好ましい。
【0037】
上記追加試験としては、被検体がヒトである場合、Mini-cog試験が好ましい。Mini-cog試験は、被検体に3つの言葉を記憶させ、覚えている言葉の数に応じ0~3点で評価する「言葉の記憶」試験と、11時10分の時計を描くことができるか否かに応じ0点か2点で評価する「時計描画」試験との合計点で判断する試験であり、「言葉の記憶」試験で覚えている言葉の数が少ないほど、また、「言葉の記憶」及び「時計描画」の両方を間違うほど、MCIやアルツハイマー型認知症その他の認知症等の可能性が高いとされ、その傾向は被検者が60歳以上である場合に強い。
【0038】
アミロイドβと関連する疾患又は状態としては、認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型)、脳血管アミロイドアンギオパチー、及びグアムパーキンソン認知症複合からなる群から選択される神経障害又は進行性核上性麻痺、多発性硬化症、封入体筋炎(IBM)、クロイツフェルト-ヤコブ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、封入体筋炎(IBM)、成人発症型糖尿病(2型糖尿病)、老人性心アミロイドーシス、内分泌腫瘍、緑内障、眼アミロイドーシス、原発性網膜変性、黄斑変性、視神経ドルーゼン、視神経症、視神経炎、又は格子状異栄養等が挙げられる。上記認知症としては、典型的には、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病;AD)等が挙げられる。なかでも、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病;AD)等の認知症が好適であり、軽度認知障害(MCI)が望ましい。
【0039】
即ち、本発明の第一の態様は、上述のとおり、被検体から単離された血液中のコリンエステラーゼ(ChE)の量を、アミロイドβと関連する疾患又は状態の指標とする方法であるが、具体的には、該コリンエステラーゼ(ChE)の量を、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病;AD)等の認知症その他の上記疾患若しくは状態を被検体が発症している又は将来発症するリスクがあることの指標とすることができる方法である。
【0040】
本発明の第一の態様の上記方法は、例えば、アミロイドβと関連する疾患若しくは状態の発症についての健常者等の被験体のリスクを測定、発見(早期発見を含む)、決定ないし判断するためのもの、アミロイドβと関連する疾患若しくは状態を被験体において決定、判断ないし発見(早期発見を含む)するためのもの、アミロイドβと関連する疾患若しくは状態を有する被験体を選択(ないしスクリーニング)するためのもの、アミロイドβと関連する疾患若しくは状態を予防又は治療するための摂取物(例えば、食品、サプリメント、医薬品)に対する被験体の反応(例えば、摂取物により該予防又は治療の効果があるかどうか)を測定、評価ないしモニタリングするためのもの、あるいは、被験体におけるアミロイドβと関連する疾患若しくは状態の経過(投薬等の治療開始後を含む。)を測定、評価ないしモニタリングするためのものとして、それぞれ好適である。
【0041】
本発明の第一の態様の上記方法は、インビトロで検査でき、非侵襲で安全であり、簡便で安価な血液検査を行うことにより、これらの目的を達成し、又は、これらの目的の支援を行うことができる。本発明の第一の態様の上記方法は、アミロイドβと関連する疾患若しくは状態を診断する方法、事前診断する方法、これら診断を支援ないし補助する方法等としても好適である。
【0042】
<組成物>
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様の方法に用いるための組成物であって、血液中、血漿中ないし血清中の少なくともコリンエステラーゼの量を測定することができる組成物である。該組成物は、典型的には、コリンエステラーゼの存在を検出する反応物質、及び該コリンエステラーゼを定量するための試薬を含む、組成物である。該組成物としては、例えば、本発明の第一の態様の方法において、血液中、血漿中ないし血清中のコリンエステラーゼの量の測定に用いることができる、体外診断用医薬品等の検査用組成物として説明したものが挙げられる。
【0043】
<キット>
本発明の第三の態様は、本発明の第一の態様の方法に用いるためのキットであって、血液中、血漿中ないし血清中の少なくともコリンエステラーゼの量を測定することができるキットである。該キットは、典型的には、コリンエステラーゼの存在を検出する反応物質、及び該コリンエステラーゼを定量するための試薬を含む、キットである。該キットとしては、例えば、本発明の第一の態様の方法において、血液中、血漿中ないし血清中のコリンエステラーゼの量の測定に用いることができる、検査用のキットとして説明したものが挙げられる。
【0044】
該キットは、例えば、本発明の第一の態様の方法において、アミロイドβと関連する疾患又は状態の診断を容易にするための追加試験として、被検体から単離された血液中のマグネシウムの量をもアミロイドβと関連する疾患又は状態の指標とする場合、更に、血液中、血漿中ないし血清中のマグネシウムを定量することができるものであってよい。該マグネシウムを定量することができるものとしては、典型的には、該マグネシウムを定量するための試薬を含むものであり、例えば、本発明の第一の態様の方法において、血液中、血漿中ないし血清中のマグネシウムの量の測定に用いることができる、検査用のキットとして説明したものが挙げられる。
【実施例0045】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
1.アミロイドβの量の測定
474名の健常者(ヒト。軽度認知障害(MCI)の患者を含み得るが、認知症とは診断されていない健常者。)の血液中に存在する微量のアミロイドβ含量の分析を次のようにして行った。
被験者の血漿に、抗アミロイドβモノクローナル抗体を結合した磁気ビーズを処理した後、免疫沈降(IP)を行い、アミロイドβを磁気ビーズから溶出した後、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)によりAβ1-40、Aβ1-42及びそれらの前駆体であるAPP669-711の3種のペプチドを測定し、APP669-711/Aβ1-42及びAβ1-40/Aβ1-422種のバイオマーカー値を算出した。それぞれの値をz-score化(データセットの値を平均値=0、標準偏差=1になるよう変換した値)して大きくスケールの異なる値をスケーリングした後、平均化した値をComposite Biomarker値として算出した。尚、Composite Biomarker値は、40歳代の平均が男性で-0.542、女性で-0.718であり、50歳代の平均が男性で-0.316、女性で-0.504であり、60歳代の平均が男性で-0.340、女性で-0.357であり、70歳代の平均が男性で-0.195、女性で-0.184であった。
【0047】
2.バイオマーカー値の取得
各被験者の血中コリンエステラーゼ濃度をJSCC標準化対応法により測定した。また、各被験者の血中マグネシウム濃度を酵素法により測定した。
【0048】
3.Composite Biomarker値とバイオマーカー値との相関解析
Composite Biomarker値と正の相関を有するバイオマーカーを探索すべく、上記474名の被験者を40歳代、50歳代、60歳代以上の世代ごとに、Composite Biomarker値と血液検査データとの関係を調査した。解析は、世代ごとにComposite Biomarker値の平均値等を計算し、平均値未満の被験者グループと平均値以上の被験者グループとの間で、検査値に有意差があるかどうかについて検定を行った(t-検定)。
【0049】
解析の結果、Composite Biomarker値を平均値未満と平均値以上とで分けた場合には相関は顕著ではなかったが、Composite Biomarker値が0以上の被験者群と0未満の被験者群との間に、血中コリンエステラーゼ濃度と血中マグネシウム濃度の各平均値に差が見られた。結果を表1に示す。表1において、p値(p-val)が小さい方が有意差が強く、p値が0.05以下の場合に特に統計的に有意な差があることを示す。
尚、Composite Biomarker値は年代が高くなるに伴い上昇していた。その変化は女性で大きい傾向があった。更に、アルツハイマー型認知症は、ApoE遺伝子にE4型を持つ人でリスクが上昇することが知られている。60歳代以上の被験者では、Composite Biomarker値が0以上の被験者はApoEにE4型を持つ被験者の割合が高かった。
【0050】
【0051】
表1からわかるように、血清コリンエステラーゼ(ChE)濃度は、Composite Biomarker値が高い被験者で低い傾向にあり、具体的には、Composite Biomarker値が0以上の被験者(60歳代以上の男女混合)において326 IU/L以下であり、該被検者体を男女に分けて解析すると、男性の場合に正の相関が顕著であり、306 IU/L以下であった。
また、別の解析から、Composite Biomarker値と、血清マグネシウム濃度とに正の相関が見られた。血中マグネシウム濃度は年齢とともに増加傾向にある。60歳代以上では、Composite Biomarker値が高めの被験者は、血中マグネシウム濃度が有意に高い。具体的には、血清マグネシウム濃度は、Composite Biomarker値が0以上の被験者(60歳代以上の男女混合)において2.2mg/dL以上であり、該被検者体を男女に分けて解析すると、女性の場合に正の相関が顕著であり、2.24mg/dL以上であった。
【0052】
4.マグネシウム摂取量とComposite Biomarker値及び血中マグネシウム量への影響
474名の被験者中の任意について、平均的な一日の朝食、昼食、夕食及び間食の各成分と量とを記録することにより、食事からのマグネシウム摂取量を「日本食品標準成分表(7訂)」により算出した。
その結果、食事からのマグネシウム摂取量と、上述のComposite Biomarker値又は血中マグネシウム濃度との関係は見られなかった。
【0053】
以上の結果から、血中コリンエステラーゼ濃度及び血中マグネシウム濃度は、アミロイドβの蓄積を示す指標となり得ることがわかった。具体的には、60歳以上の被験者(健常者)において、血清コリンエステラーゼが326 IU/L以下の人(男女混合)、具体的には306 IU/L以下の男性は、MCIないし認知症の発症リスクが高いと評価でき、該評価は、血清マグネシウムが2.2mg/dL以上の人(男女混合)、具体的には2.24mg/dL以上の女性とも相関することがわかった。
【0054】
5.Mini-cog試験
上記被験者に対し、Mini-cog試験を行った。結果を、上述で得られたアミロイドβの量としてアミロイドβ量の平均(Composite Biomarker値の平均)と併記して表2及び表3に示す。
【0055】
【0056】
【0057】
表2と表3との比較からわかるように、60歳代以上では、言葉の記憶と時計描画の両方間違う被験者が多い傾向があった。両方間違う被験者は、認知機能の低下が明らかなケースであることが推測される。また、被験者に健常者が多いため、全体での明確な傾向は見られなかったが、認知機能低下の傾向が強いと推測されるMini-cog試験での2問の不正解者については、数は多くないものの、Composite Biomarker値(アミロイドβ量)との相関がみられた。
以上から、Composite Biomarker値(アミロイドβ量)と認知機能との相関がある程度わかった。
従って、60歳代以上を中心に、男女差はあるものの血中コリンエステラーゼ濃度の測定により、また必要に応じて更に血中マグネシウム濃度を測定することにより、従来高価なアミロイドβ量ないしComposite Biomarker値を測定しなくても、認知機能低下を検知できる可能性があることがわかった。