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特開2022-49169極端紫外光生成装置、及び電子デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049169
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】極端紫外光生成装置、及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220322BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
H05G2/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155239
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105212
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 延寿
(72)【発明者】
【氏名】星野 裕大
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】西坂 敏博
(72)【発明者】
【氏名】植田 篤
(72)【発明者】
【氏名】神家 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】小山内 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】新美 剛太
【テーマコード(参考)】
2H197
4C092
【Fターム(参考)】
2H197BA03
2H197BA11
2H197CA10
2H197DB16
2H197GA01
2H197GA04
2H197GA05
2H197GA12
2H197GA16
2H197GA20
2H197GA23
2H197GA24
2H197HA03
2H197JA07
4C092AA06
4C092AA15
4C092AB10
4C092BD18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】EUV集光ミラーにターゲット物質のデブリが堆積することが抑制できる極端紫外光生成装置を提供する。
【解決手段】極端紫外光生成装置は、チャンバ2bと、チャンバの内部のプラズマ生成領域25を覆い、第1の開口371を有する第1の隔壁37と、チャンバの内部であって第1の隔壁の外部の第1の空間20aに位置し、プラズマ生成領域で発生して第1の開口を通過した極端紫外光を集光するEUV集光ミラー23bと、チャンバに形成され、第1の空間にガスを供給する第1のガス供給口51と、第1の隔壁に形成され、第1の隔壁の内部の第2の空間20bのガスを第1の隔壁の外部であってチャンバの外部に排気するガス排気口38と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバの内部のプラズマ生成領域を覆い、第1の開口を有する第1の隔壁と、
前記チャンバの内部であって前記第1の隔壁の外部の第1の空間に位置し、前記プラズマ生成領域で発生して前記第1の開口を通過した極端紫外光を集光するEUV集光ミラーと、
前記チャンバに形成され、前記第1の空間にガスを供給する第1のガス供給口と、
前記第1の隔壁に形成され、前記第1の隔壁の内部の第2の空間のガスを前記第1の隔壁の外部であって前記チャンバの外部に排気するガス排気口と、
を備える、極端紫外光生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記EUV集光ミラーによって反射された極端紫外光の光路の外に前記第1の開口が位置するように、前記EUV集光ミラーが配置された
極端紫外光生成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1の空間を第3の空間と第4の空間とに隔てる第2の隔壁と、
前記チャンバに形成され、前記第4の空間にガスを供給する第2のガス供給口と、
をさらに備え、
前記第1のガス供給口は前記第3の空間にガスを供給するように構成され、
前記第1の隔壁は第2の開口を有し、
前記第1の開口は前記第3の空間と前記第2の空間とを連通させ、
前記第2の開口は前記第4の空間と前記第2の空間とを連通させる
極端紫外光生成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第2の開口は、前記プラズマ生成領域に入射するようにパルスレーザ光を通過させる
極端紫外光生成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記プラズマ生成領域にターゲット物質を供給するターゲット供給部をさらに備え、
前記第1の隔壁は第3の開口を有し、
前記第3の開口は前記第4の空間と前記第2の空間とを連通させ、
前記第3の開口はターゲット物質を通過させる
極端紫外光生成装置。
【請求項6】
請求項4に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1の隔壁は第4の開口を有し、
前記第4の開口は前記第4の空間と前記第2の空間とを連通させ、
前記第4の開口は前記第2の空間の一部を観測するための光を通過させる
極端紫外光生成装置。
【請求項7】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1の隔壁の温度を調整する温度調整装置をさらに備える
極端紫外光生成装置。
【請求項8】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1の隔壁の表面に、ターゲット物質の付着を抑制するコーティングが形成された
極端紫外光生成装置。
【請求項9】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記プラズマ生成領域にターゲット物質を供給するターゲット供給部と、
前記第1の隔壁に配置され、前記プラズマ生成領域を通過したターゲット物質を回収するターゲット回収部と、
をさらに備えた
極端紫外光生成装置。
【請求項10】
請求項9に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1の隔壁は、前記第2の空間の一部であって前記チャンバの内部の第5の空間のガスが、前記第2の空間の他の一部であって前記チャンバの外部の第6の空間を通って前記第1の隔壁の外部に排気されるように構成され、
前記第5の空間から前記第6の空間へのガスの移動方向が重力方向と一致する
極端紫外光生成装置。
【請求項11】
請求項10に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ガス排気口に接続され、前記第6の空間のガスを重力方向と交差する方向に導いて排気する排気管をさらに備える
極端紫外光生成装置。
【請求項12】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1の隔壁は前記チャンバを構成する壁を貫通しており、
前記第1の隔壁の周囲に、前記チャンバを構成する壁に前記チャンバの外部から固定されるフランジが形成されている
極端紫外光生成装置。
【請求項13】
請求項12に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1の空間を、前記EUV集光ミラーが位置する第3の空間と、前記第1の隔壁に接する第4の空間と、に隔て、前記プラズマ生成領域で発生した極端紫外光を前記EUV集光ミラーに向けて通過させる第5の開口を有する第2の隔壁をさらに備え、
前記第1の開口の周囲の前記第1の隔壁と前記第5の開口の周囲の前記第2の隔壁とが近接している
極端紫外光生成装置。
【請求項14】
請求項13に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1の隔壁の端部と、前記第2の隔壁の前記第4の空間側の面と、が対向している
極端紫外光生成装置。
【請求項15】
請求項13に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1の開口の周囲の前記第1の隔壁と前記第5の開口の周囲の前記第2の隔壁との間に挟まれて配置された弾性体をさらに備える
極端紫外光生成装置。
【請求項16】
請求項15に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記弾性体は、前記第1の開口の周囲の前記第1の隔壁と前記第5の開口の周囲の前記第2の隔壁との間をガスシールする
極端紫外光生成装置。
【請求項17】
請求項15に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記弾性体は、前記第1の隔壁と前記第2の隔壁とのうちの一方に固定され、他方に押し当てられている
極端紫外光生成装置。
【請求項18】
請求項13に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1の開口の周囲の前記第1の隔壁と前記第5の開口の周囲の前記第2の隔壁との間は離間している
極端紫外光生成装置。
【請求項19】
電子デバイスの製造方法であって、
チャンバと、
前記チャンバの内部のプラズマ生成領域を覆い、第1の開口を有する第1の隔壁と、
前記チャンバの内部であって前記第1の隔壁の外部の第1の空間に位置し、前記プラズマ生成領域で発生して前記第1の開口を通過した極端紫外光を集光するEUV集光ミラーと、
前記チャンバに形成され、前記第1の空間にガスを供給する第1のガス供給口と、
前記第1の隔壁に形成され、前記第1の隔壁の内部の第2の空間のガスを前記第1の隔壁の外部であって前記チャンバの外部に排気するガス排気口と、
を備える極端紫外光生成装置において極端紫外光を生成し、
前記極端紫外光を露光装置に出力し、
電子デバイスを製造するために、前記露光装置内で感光基板上に前記極端紫外光を露光する
ことを含む、電子デバイスの製造方法。
【請求項20】
電子デバイスの製造方法であって、
チャンバと、
前記チャンバの内部のプラズマ生成領域を覆い、第1の開口を有する第1の隔壁と、
前記チャンバの内部であって前記第1の隔壁の外部の第1の空間に位置し、前記プラズマ生成領域で発生して前記第1の開口を通過した極端紫外光を集光するEUV集光ミラーと、
前記チャンバに形成され、前記第1の空間にガスを供給する第1のガス供給口と、
前記第1の隔壁に形成され、前記第1の隔壁の内部の第2の空間のガスを前記第1の隔壁の外部であって前記チャンバの外部に排気するガス排気口と、
を備える極端紫外光生成装置によって生成した極端紫外光をマスクに照射して前記マスクの欠陥を検査し、
前記検査の結果を用いてマスクを選定し、
前記選定したマスクに形成されたパターンを感光基板上に露光転写する
ことを含む、電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、極端紫外光生成装置、及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm~45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、例えば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外(EUV)光を生成する極端紫外光生成装置と縮小投影反射光学系(reduced projection reflection optics)とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にパルスレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLPP(Laser Produced Plasma)式の装置と、放電によって生成されるプラズマが用いられるDPP(Discharge Produced Plasma)式の装置と、シンクロトロン放射光が用いられるSR(Synchrotron Radiation)式の装置との3種類の装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0230326号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0226772号明細書
【概要】
【0005】
本開示の1つの観点に係る極端紫外光生成装置は、チャンバと、チャンバの内部のプラズマ生成領域を覆い、第1の開口を有する第1の隔壁と、チャンバの内部であって第1の隔壁の外部の第1の空間に位置し、プラズマ生成領域で発生して第1の開口を通過した極端紫外光を集光するEUV集光ミラーと、チャンバに形成され、第1の空間にガスを供給する第1のガス供給口と、第1の隔壁に形成され、第1の隔壁の内部の第2の空間のガスを第1の隔壁の外部であってチャンバの外部に排気するガス排気口と、を備える。
【0006】
本開示の1つの観点に係る電子デバイスの製造方法は、チャンバと、チャンバの内部のプラズマ生成領域を覆い、第1の開口を有する第1の隔壁と、チャンバの内部であって第1の隔壁の外部の第1の空間に位置し、プラズマ生成領域で発生して第1の開口を通過した極端紫外光を集光するEUV集光ミラーと、チャンバに形成され、第1の空間にガスを供給する第1のガス供給口と、第1の隔壁に形成され、第1の隔壁の内部の第2の空間のガスを第1の隔壁の外部であってチャンバの外部に排気するガス排気口と、を備える極端紫外光生成装置において極端紫外光を生成し、極端紫外光を露光装置に出力し、電子デバイスを製造するために、露光装置内で感光基板上に極端紫外光を露光することを含む。
【0007】
本開示の1つの観点に係る電子デバイスの製造方法は、チャンバと、チャンバの内部のプラズマ生成領域を覆い、第1の開口を有する第1の隔壁と、チャンバの内部であって第1の隔壁の外部の第1の空間に位置し、プラズマ生成領域で発生して第1の開口を通過した極端紫外光を集光するEUV集光ミラーと、チャンバに形成され、第1の空間にガスを供給する第1のガス供給口と、第1の隔壁に形成され、第1の隔壁の内部の第2の空間のガスを第1の隔壁の外部であってチャンバの外部に排気するガス排気口と、を備える極端紫外光生成装置によって生成した極端紫外光をマスクに照射してマスクの欠陥を検査し、検査の結果を用いてマスクを選定し、選定したマスクに形成されたパターンを感光基板上に露光転写することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1図1は、例示的なLPP式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。
図2図2は、比較例に係るEUV光生成装置の構成を概略的に示す。
図3図3は、第1の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を示す断面図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を示す断面図である。
図5図5は、第2の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を示す断面図である。
図6図6は、第2の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を示す断面図である。
図7図7は、第3の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を示す断面図である。
図8図8は、第3の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を示す断面図である。
図9図9は、第4の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を示す断面図である。
図10図10は、第4の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を示す断面図である。
図11図11は、第5の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を示す断面図である。
図12図12は、第5の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を示す断面図である。
図13図13は、第6の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を示す断面図である。
図14図14は、フランジ及びその周辺の構成要素を拡大して示す断面図である。
図15図15は、第7の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を示す断面図である。
図16図16は、第7の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を示す断面図である。
図17図17は、第7の実施形態における第2の隔壁に対する第1の隔壁の配置の第1の例を示す断面図である。
図18図18は、第7の実施形態における第2の隔壁に対する第1の隔壁の配置の第2の例を示す断面図である。
図19図19は、EUV光生成装置に接続された露光装置の構成を概略的に示す。
図20図20は、EUV光生成装置に接続された検査装置の構成を概略的に示す。
【実施形態】
【0009】
<内容>
1.EUV光生成システム11の全体説明
1.1 構成
1.2 動作
2.比較例に係るEUV光生成装置1a
2.1 構成
2.2 動作
2.3 課題
3.第1の隔壁37をチャンバ2bに配置したEUV光生成装置1b
3.1 構成
3.2 動作
3.3 作用
4.第1の隔壁37cがセンサ4dのための第4の開口374を含むEUV光生成装置1c
4.1 構成
4.2 動作及び作用
5.第2の隔壁2dを含むEUV光生成装置1d
5.1 構成
5.2 動作
5.3 作用
6.第1の隔壁37eがヒーターを含むEUV光生成装置1e
6.1 構成
6.2 動作
6.3 他の構成例
6.4 作用
7.ターゲット27とガスの移動方向を重力方向としたEUV光生成装置1f
7.1 構成
7.2 動作
7.3 作用
8.第1の隔壁37gがフランジ37hを含むEUV光生成装置1g
8.1 構成及び動作
8.2 作用
9.第1の隔壁37iがフランジ37hを含むEUV光生成装置1h
9.1 構成及び動作
9.2 第1の例
9.3 第2の例
9.4 作用
10.その他
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
1.EUV光生成システム11の全体説明
1.1 構成
図1に、例示的なLPP式のEUV光生成システム11の構成を概略的に示す。EUV光生成装置1は、レーザシステム3とともに用いられる。本開示においては、EUV光生成装置1及びレーザシステム3を含むシステムを、EUV光生成システム11と称する。EUV光生成装置1は、チャンバ2及びターゲット供給部26を含む。チャンバ2は、密閉可能な容器である。ターゲット供給部26は、ターゲット物質をチャンバ2内部に供給する。ターゲット物質の材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、又は、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含んでもよい。
【0012】
チャンバ2の壁には、貫通孔が備えられている。その貫通孔は、ウインドウ21によって塞がれ、ウインドウ21をレーザシステム3から出力されるパルスレーザ光32が透過する。チャンバ2の内部には、回転楕円面形状の反射面を備えたEUV集光ミラー23が配置される。EUV集光ミラー23は、第1及び第2の焦点を備える。EUV集光ミラー23の表面には、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成される。EUV集光ミラー23は、その第1の焦点がプラズマ生成領域25に位置し、その第2の焦点が中間集光点292に位置するように配置される。EUV集光ミラー23の中央部には貫通孔24が備えられ、貫通孔24をパルスレーザ光33が通過する。
【0013】
EUV光生成装置1は、プロセッサ5、ターゲットセンサ4等を含む。プロセッサ5は、制御プログラムが記憶されたメモリ501と、制御プログラムを実行するCPU(central processing unit)502と、を含む処理装置である。プロセッサ5は本開示に含まれる各種処理を実行するために特別に構成又はプログラムされている。ターゲットセンサ4は、ターゲット27の存在、軌跡、位置、速度の内の少なくとも1つを検出する。ターゲットセンサ4は、撮像機能を備えてもよい。
【0014】
また、EUV光生成装置1は、チャンバ2の内部と外部装置6の内部とを連通させる接続部29を含む。接続部29内部には、アパーチャが形成された壁291が備えられる。壁291は、そのアパーチャがEUV集光ミラー23の第2の焦点に位置するように配置される。
【0015】
さらに、EUV光生成装置1は、レーザ光伝送装置34、レーザ光集光ミラー22、ターゲット27を回収するためのターゲット回収部28等を含む。レーザ光伝送装置34は、レーザ光の伝送状態を規定するための光学素子と、この光学素子の位置、姿勢等を調整するためのアクチュエータとを備える。
【0016】
1.2 動作
図1を参照して、EUV光生成システム11の動作を説明する。レーザシステム3から出力されたパルスレーザ光31は、レーザ光伝送装置34を経て、パルスレーザ光32としてウインドウ21を透過してチャンバ2内に入射する。パルスレーザ光32は、チャンバ2内のレーザ光経路に沿って進み、レーザ光集光ミラー22で反射されて、パルスレーザ光33としてターゲット27に照射される。
【0017】
ターゲット供給部26は、ターゲット物質を含むターゲット27をチャンバ2内部のプラズマ生成領域25に供給する。ターゲット27には、パルスレーザ光33が照射される。パルスレーザ光33が照射されたターゲット27はプラズマ化し、そのプラズマから放射光251が放射される。放射光251に含まれるEUV光は、EUV集光ミラー23によって他の波長域の光に比べて高い反射率で反射される。EUV集光ミラー23によって反射されたEUV光を含む反射光252は、中間集光点292で集光され、外部装置6に出力される。なお、1つのターゲット27に、パルスレーザ光33に含まれる複数のパルスが照射されてもよい。
【0018】
プロセッサ5は、EUV光生成システム11全体を制御する。プロセッサ5は、ターゲットセンサ4の検出結果を処理する。ターゲットセンサ4の検出結果に基づいて、プロセッサ5は、ターゲット27が出力されるタイミング、ターゲット27の出力方向等を制御する。さらに、プロセッサ5は、レーザシステム3の発振タイミング、パルスレーザ光32の進行方向、パルスレーザ光33の集光位置等を制御する。上記の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御が追加されてもよい。
【0019】
2.比較例に係るEUV光生成装置1a
2.1 構成
図2は、比較例に係るEUV光生成装置1aの構成を概略的に示す。EUV光生成装置1aは、チャンバ2aと、サブチャンバ10aと、EUV集光ミラー23aと、排気装置30と、ガス供給源40と、を含む。
【0020】
チャンバ2aは、略円錐状の形状を有している。チャンバ2aの小径側の端部にはアパーチャ291aが形成されている。チャンバ2aの大径側の端部にはEUV集光ミラー23aが固定されている。
【0021】
ガス供給源40は、配管44aを介してサブチャンバ10aに接続されている。サブチャンバ10aには、パルスレーザ光32を透過させるウインドウ21aが配置されている。サブチャンバ10aの内部には、レーザ光集光光学系22aが収容されている。サブチャンバ10aは、筒状のレーザ光路壁44に接続されている。レーザ光路壁44は、EUV集光ミラー23aの貫通孔24とチャンバ2aの大径側の端部の貫通孔とを貫通している。レーザ光集光光学系22aを通過したパルスレーザ光33が、レーザ光路壁44の内側を通過できるようになっている。
【0022】
ガス供給源40は、さらに、配管41a~43aを介してチャンバ2aの内部の第1~第3のノズル41~43に接続されている。第1~第3のノズル41~43は、EUV集光ミラー23aの外周部に配置されている。
【0023】
ガス供給源40は、図示しないガスボンベを含む。ガス供給源40がサブチャンバ10a及びチャンバ2aに供給するガスは、エッチングガス又は不活性ガスを含む。エッチングガスは、水素ガスを含む。不活性ガスは、例えば、ヘリウムガスを含む。
【0024】
排気装置30は、排気管36aに接続されている。排気管36aは、チャンバ2aに形成された排気口36を介してチャンバ2aの内部に接続されている。排気管36aには、さらに、図示しない微粒子トラップや除害装置が接続されていてもよい。
【0025】
2.2 動作
レーザ光路壁44の内側を通過したパルスレーザ光33は、プラズマ生成領域25に供給されたターゲット27(図1参照)に照射される。パルスレーザ光33がターゲット27に照射されることにより、ターゲット物質がプラズマ化し、プラズマから放射光251が放射される。プラズマ生成領域25ではターゲット物質のイオン及び中性粒子を含むデブリも生成される。ターゲット物質のデブリは、チャンバ2aの内部で拡散する。
【0026】
ガス供給源40は、サブチャンバ10aの内部にガスを供給する。サブチャンバ10aの内部にガスが供給されることにより、サブチャンバ10aの内部の圧力は、チャンバ2aの内部における圧力より高くなる。サブチャンバ10aの内部に供給されたガスは、レーザ光路壁44の内側を通ってプラズマ生成領域25及びその周辺に向けて流れ出る。レーザ光路壁44から流れ出るガスの流れを矢印F4で示す。
【0027】
サブチャンバ10aの内部の圧力をチャンバ2aの内部における圧力よりも高くすることにより、サブチャンバ10aの内部にターゲット物質のデブリが進入することを抑制できる。サブチャンバ10aの内部にターゲット物質のデブリが進入したとしても、ガス供給源40がサブチャンバ10aに供給するガスがエッチングガスである場合には、レーザ光集光光学系22aにターゲット物質のデブリが堆積することを抑制できる。
【0028】
ガス供給源40は、チャンバ2aの内部の第1~第3のノズル41~43にもガスを供給する。第1~第3のノズル41~43に供給されたガスは、それぞれ矢印F1~F3の方向に流れる。
【0029】
第1~第3のノズル41~43から流れ出るガス及びレーザ光路壁44から流れ出るガスの方向及び流量を工夫することにより、EUV集光ミラー23aにターゲット物質のデブリが到達することを抑制できる。EUV集光ミラー23aにターゲット物質のデブリが到達したとしても、ガス供給源40が第1のノズル41に供給するガスがエッチングガスである場合には、EUV集光ミラー23aにターゲット物質のデブリが堆積することを抑制できる。
【0030】
排気装置30は、チャンバ2aの内部を大気圧未満の所定の圧力となるように排気する。ガスの排気とともに、ターゲット物質のデブリもチャンバ2aの外部に排出される。
【0031】
2.3 課題
比較例においてはガスの流れを制御することにより、EUV集光ミラー23aにターゲット物質のデブリが堆積することを抑制している。しかし、ガスの流れの淀んだ箇所などがあると、その領域の付近にターゲット物質のデブリが堆積することがある。デブリの堆積を防ぐためには、ガスの淀みを防ぐための高度なガス流れの制御が必要となり、複雑な構造のガスノズルや高精度な流量制御が必要となっていた。
【0032】
以下に説明する幾つかの実施形態においては、プラズマ生成領域25を覆う第1の隔壁37をチャンバ2bに配置している。第1の隔壁37は、EUV光を通過させる第1の開口371を有する。チャンバ2bの内部であって第1の隔壁37の外部の第1の空間20aにガスを供給するとともに、第1の隔壁37の内部の第2の空間20bのガスを排気する。これにより、EUV集光ミラー23bにターゲット物質のデブリが堆積することを抑制している。
【0033】
3.第1の隔壁37をチャンバ2bに配置したEUV光生成装置1b
3.1 構成
図3及び図4は、第1の実施形態に係るEUV光生成装置1bの構成を示す断面図である。図3はターゲット27の軌道と垂直な断面を示し、図4はパルスレーザ光33の光路軸と垂直な断面を示す。図4図3のIV-IV線の位置での断面図に相当し、このIV-IV線の位置がEUV集光ミラー23bのほぼ中心に位置するため、図4においてはEUV集光ミラー23bがほぼ半楕円形状に示されている。
【0034】
EUV光生成装置1bは、チャンバ2bと、EUV集光ミラー23bと、第1の隔壁37と、第1のガス供給口51と、ガス排気口38と、を含む。
【0035】
チャンバ2bは、略円筒形の形状を有している。円筒形の中心軸の位置であって第1の隔壁37の外部に、ターゲット供給部26及びターゲット回収部28が配置されている。ターゲット供給部26とターゲット回収部28との間の位置であって第1の隔壁37の内部にプラズマ生成領域25が位置する。
チャンバ2bにはパルスレーザ光33が入射するためのウインドウ21bが設けられている。ウインドウ21bは開口でもよい。
【0036】
第1の隔壁37は、ステンレス又は金属モリブデンで構成される。第1の隔壁37は円筒状の形状を有し、第1の隔壁37はチャンバ2bの側面を貫通している。第1の隔壁37の一部はチャンバ2bの内部に位置し、プラズマ生成領域25を覆うように配置されている。チャンバ2bの内部において、第1の隔壁37は第1の開口371、第2の開口372、第3の開口373、及び第6の開口375を有する。第4の開口については第2の実施形態において後述する。第5の開口については第7の実施形態において後述する。
第1の隔壁37の他の一部はチャンバ2bの外部に位置し、排気装置30に接続されている。第1の隔壁37と排気装置30との間にはガス排気口38が位置する。
第1のガス供給口51にはガス供給源40(図2参照)が接続されている。
【0037】
EUV集光ミラー23bは回転楕円面形状の反射面を有する。EUV集光ミラー23bは、チャンバ2bの内部であって第1の隔壁37の外部の第1の空間20aに位置する。EUV集光ミラー23bは、プラズマ生成領域25に位置する第1の焦点と、中間集光点292に位置する第2の焦点とを有する。プラズマ生成領域25で発生してEUV集光ミラー23bへ向かうEUV光を含む放射光251の光路に第1の開口371が位置する。EUV集光ミラー23bから中間集光点292へ向かう反射光252の光路に、チャンバ2bの開口29bが位置する。EUV集光ミラー23bは、放射光251の光路の中心軸に対して、反射光252の光路の中心軸が傾斜するように配置されている。
【0038】
3.2 動作
ターゲット供給部26から出力されたターゲット27は、第3の開口373を通過してプラズマ生成領域25に到達する。複数のターゲット27のうちのパルスレーザ光33が照射されずにプラズマ化しなかったターゲット27は、プラズマ生成領域25を通過し、さらに第6の開口375を通過してターゲット回収部28に到達する。
【0039】
パルスレーザ光33は、第2の開口372を通過して第1の隔壁37の内部に入射し、プラズマ生成領域25においてターゲット27に照射されることによりターゲット27をプラズマ化する。
【0040】
プラズマ生成領域25で発生したEUV光を含む放射光251は、第1の開口371を通過してEUV集光ミラー23bに入射する。EUV集光ミラー23bは、EUV光を反射することによりEUV光を中間集光点292に集光する。
EUV集光ミラー23bによって反射されたEUV光を含む反射光252の光路の外に第1の開口371が位置している。このため、反射光252の一部が第1の開口371に入射して無駄になることが抑制される。さらに、反射光252の光路の外に第1の隔壁37が位置している。このため、反射光252の一部が第1の隔壁37に入射して無駄になることが抑制される。
【0041】
ガス供給源40(図2参照)は、第1のガス供給口51を介して、チャンバ2bの内部であって第1の隔壁37の外部の第1の空間20aにガスを供給する。第1のガス供給口51におけるガスの流量は例えば40nlm以上、60nlm以下である。「nlm」は、1分あたりに流れるガスの0℃、1気圧に換算した体積を示す。
【0042】
排気装置30は、第1の隔壁37の内部の第2の空間20bのガスを、ガス排気口38を介して第1の隔壁37の外部であってチャンバ2bの外部に排気する。これにより、第1の空間20aの圧力が第2の空間20bの圧力よりも高い状態に維持される。その結果、第1~第3の開口371~373及び第6の開口375において、一点鎖線の矢印で示されるように第1の空間20aから第2の空間20bへ向かってガスが流れる。
このため、ターゲット物質のデブリが第2の空間20bから第1の空間20aへ移動することが抑制され、EUV集光ミラー23bにターゲット物質のデブリが堆積することが抑制される。
【0043】
3.3 作用
(1)第1の実施形態によれば、EUV光生成装置1bは、チャンバ2bと、第1の隔壁37と、EUV集光ミラー23bと、第1のガス供給口51と、ガス排気口38と、を備える。第1の隔壁37は、チャンバ2bの内部のプラズマ生成領域25を覆い、第1の開口371を有する。EUV集光ミラー23bは、チャンバ2bの内部であって第1の隔壁37の外部の第1の空間20aに位置し、プラズマ生成領域25で発生して第1の開口371を通過したEUV光を集光する。第1のガス供給口51は、チャンバ2bに形成され、第1の空間20aにガスを供給する。ガス排気口38は、第1の隔壁37に形成され、第1の隔壁37の内部の第2の空間20bのガスを第1の隔壁37の外部であってチャンバ2bの外部に排気する。
【0044】
これによれば、第1の空間20aの圧力が第2の空間20bの圧力よりも高い状態となり、第1の開口371において第1の空間20aから第2の空間20bへ向かってガスが流れる。従って、ターゲット物質のデブリが第2の空間20bから第1の空間20aへ移動することが抑制され、EUV集光ミラー23bにターゲット物質のデブリが堆積することが抑制される。
【0045】
(2)第1の実施形態によれば、EUV集光ミラー23bによって反射された反射光252の光路の外に第1の開口371が位置するように、EUV集光ミラー23bが配置されている。
これによれば、反射光252の一部が第1の開口371に入射して無駄になることが抑制される。
他の点については、第1の実施形態は比較例と同様である。
【0046】
4.第1の隔壁37cがセンサ4dのための第4の開口374を含むEUV光生成装置1c
4.1 構成
図5及び図6は、第2の実施形態に係るEUV光生成装置1cの構成を示す断面図である。図5はターゲット27の軌道と垂直な断面を示し、図6はパルスレーザ光33の光路軸と垂直な断面を示す。図6図5のVI-VI線の位置での断面図に相当する。
【0047】
EUV光生成装置1cは、EUV光生成装置1bの構成要素の他に、センサ4b、4c、及び4dを含み、第1の隔壁37の代わりに、第4の開口374、376、及び377を有する第1の隔壁37cを含む。
【0048】
センサ4b、4c、及び4dはチャンバ2bに取り付けられている。センサ4b、4c、及び4dは、例えばターゲット27の存在、軌跡、位置、速度の内の少なくとも1つを検出するターゲットセンサを含んでもよいし、EUV光の発光点を検出するセンサを含んでもよい。図示が省略されているが、センサ4b、4c、及び4dの各々は、イメージセンサ又は光センサと、第1の隔壁37cの内部のプラズマ生成領域25又はその近傍の像をイメージセンサ又は光センサに結像する光学系と、を含んでもよい。センサ4b、4c、及び4dのいずれか1つの位置に、センサの代わりに、プラズマ生成領域25を可視光で照明する光源が配置されてもよい。
【0049】
第4の開口374、376、及び377は、それぞれセンサ4b、4c、及び4dとプラズマ生成領域25との間に位置する。これにより、プラズマ生成領域25又はその近傍から発した光がイメージセンサ又は光センサに到達する。あるいは、センサ4b、4c、及び4dのいずれか1つの位置に配置された光源から発した光がプラズマ生成領域25に到達する。このように、第4の開口374、376、及び377は、第2の空間20bの一部を観測するための光を通過させる。
【0050】
4.2 動作及び作用
第4の開口374、376、及び377においては、第1~第3の開口371~373及び第6の開口375と同様に、第1の空間20aから第2の空間20bへ向かってガスが流れる。
このため、ターゲット物質のデブリが第2の空間20bから第1の空間20aへ移動することが抑制され、EUV集光ミラー23bにターゲット物質のデブリが堆積することが抑制される。
他の点については、第2の実施形態は第1の実施形態と同様である。
【0051】
5.第2の隔壁2dを含むEUV光生成装置1d
5.1 構成
図7及び図8は、第3の実施形態に係るEUV光生成装置1dの構成を示す断面図である。図7はターゲット27の軌道と垂直な断面を示し、図8はパルスレーザ光33の光路軸と垂直な断面を示す。図8図7のVIII-VIII線の位置での断面図に相当する。
【0052】
EUV光生成装置1dは、EUV光生成装置1cの構成要素の他に、第2の隔壁2dと、第2のガス供給口52と、を含む。
第2の隔壁2dは、チャンバ2bの内部の第1の空間20aを第3の空間20cと第4の空間20dとに隔てている。第1の開口371は、第3の空間20cと第2の空間20bとを連通させるように構成されている。第2の開口372、第3の開口373、第4の開口374、376、377、及び第6の開口375は、第4の空間20dと第2の空間20bとを連通させるように構成されている。
【0053】
5.2 動作
ガス供給源40(図2参照)は、第1のガス供給口51を介して、第3の空間20cにガスを供給する。ガス供給源40は、第2のガス供給口52を介して、第4の空間20dにガスを供給する。第1のガス供給口51を介して供給されるガスの流量と第2のガス供給口52を介して供給されるガスの流量は、プロセッサ5等の制御装置によって個別に制御される。
【0054】
第3の空間20cに供給されたガスは、第3の空間20cを満たし、その後第1の開口371を介して第2の空間20bに流入する。
第4の空間20dに供給されたガスは、第4の空間20dを満たし、その後第2の開口372、第3の開口373、第4の開口374、376、377、及び第6の開口375を介して第2の空間20bに流入する。
【0055】
5.3 作用
(3)例えば第2の実施形態のように第1の隔壁37cに第1及び第2の開口371及び372を含む複数の開口が形成されている場合に、第1の開口371の近傍と第2の開口372の近傍とで第1の隔壁37cの内外の圧力差が同等であるとすれば、第1及び第2の開口371及び372におけるガスの流速が同一ではなくなる場合がある。例えば、第1の開口371の面積よりも第2の開口372の面積が小さい場合に、第1の開口371におけるガスの流速よりも第2の開口372におけるガスの流速が遅いことが考えられる。その場合、ターゲット物質のデブリが、第2の開口372においてガス流れと反対方向に漏れ出てしまう可能性がある。第2の開口372におけるガスの流速を速くするためには、第1の空間20aに大量のガスを供給しなければならない場合があり得る。
【0056】
第3の実施形態によれば、EUV光生成装置1dは、第1の空間20aを第3の空間20cと第4の空間20dとに隔てる第2の隔壁2dと、チャンバ2bに形成され、第4の空間20dにガスを供給する第2のガス供給口52と、をさらに備える。第1のガス供給口51は第3の空間20cにガスを供給するように構成される。第1の隔壁37cは第2の開口372を有する。第1の開口371は第3の空間20cと第2の空間20bとを連通させ、第2の開口372は第4の空間20dと第2の空間20bとを連通させる。
【0057】
このように、第3の実施形態においては、第1の開口371を介して第2の空間20bと連通する第3の空間20cと、第2の開口372を介して第2の空間20bと連通する第4の空間20dと、を第2の隔壁2dで隔てている。そして、第3の空間20cと第4の空間20dとに個別にガスを供給する。これによれば、第1の開口371と第2の開口372とでそれぞれターゲット物質のデブリの移動が抑制されるように、第1及び第2のガス供給口51及び52によるガスの供給量を個別に制御できる。従って、ガスの消費量を低減することができる。
【0058】
(4)第3の実施形態によれば、第2の開口372は、プラズマ生成領域25に入射するようにパルスレーザ光33を通過させる。
パルスレーザ光33を通過させる第2の開口372の面積は、第1の開口371の面積よりも小さい。ターゲット物質のデブリの移動が抑制されるように第1及び第2のガス供給口51及び52によるガスの供給量を個別に制御することで、ガスの消費量を低減することができる。
【0059】
(5)第3の実施形態によれば、EUV光生成装置1dは、プラズマ生成領域25にターゲット27を供給するターゲット供給部26をさらに備える。第1の隔壁37cは第3の開口373を有し、第3の開口373は第4の空間20dと第2の空間20bとを連通させ、第3の開口373はターゲット27を通過させるように構成されている。
ターゲット27を通過させる第3の開口373の面積は、第1の開口371の面積よりも小さい。ターゲット物質のデブリの移動が抑制されるように第1及び第2のガス供給口51及び52によるガスの供給量を個別に制御することで、ガスの消費量を低減することができる。
【0060】
(6)第3の実施形態によれば、第1の隔壁37cは第4の開口374、376、及び377を有し、第4の開口374、376、及び377は第4の空間20dと第2の空間20bとを連通させ、第4の開口374、376、及び377は第2の空間20bの一部を観測するための光を通過させるように構成されている。
第2の空間20bの一部を観測するための光を通過させる第4の開口374、376、及び377の面積は、第1の開口371の面積よりも小さい。ターゲット物質のデブリの移動が抑制されるように第1及び第2のガス供給口51及び52によるガスの供給量を個別に制御することで、ガスの消費量を低減することができる。
【0061】
他の点については、第3の実施形態は第2の実施形態と同様である。あるいは、第1の実施形態と同様に、第3の実施形態はセンサ4b、4c、及び4d、及び第4の開口374、376、及び377を含まなくてもよい。
【0062】
6.第1の隔壁37eがヒーターを含むEUV光生成装置1e
6.1 構成
図9及び図10は、第4の実施形態に係るEUV光生成装置1eの構成を示す断面図である。図9はターゲット27の軌道と垂直な断面を示し、図10はパルスレーザ光33の光路軸と垂直な断面を示す。図10図9のX-X線の位置での断面図に相当する。
【0063】
EUV光生成装置1eにおいては、第3の実施形態における第1の隔壁37cの代わりに、ヒーターを含む第1の隔壁37eが配置されている。第1の隔壁37eに含まれるヒーターは、ヒーター電源39eに接続されている。
【0064】
6.2 動作
ヒーター電源39eがヒーターに電流を流すと、第1の隔壁37eが加熱される。第1の隔壁37eは、例えば、ターゲット物質を構成するスズの融点以上の温度である250℃に加熱される。これにより、第1の隔壁37eの内側の表面に付着したターゲット物質のデブリを溶融させ、図示しない回収器によりデブリを回収することができる。
【0065】
6.3 他の構成例
第4の実施形態においては、第1の隔壁37eをヒーターによって加熱することとしたが、本開示はこれに限定されない。第1の隔壁37eの内側の表面に付着したターゲット物質のデブリが、第1の隔壁37eを冷却することでエッチング可能になるのであれば、第1の隔壁37eは冷却機構を含んでもよい。すなわち、EUV光生成装置1eは、第1の隔壁37eの加熱及び冷却のいずれか又は両方を実施する温度調整装置を備えてもよい。
【0066】
本開示は、第1の隔壁37eの温度を調整する場合に限られず、第1の隔壁37eの内側の表面にコーティングを形成することにより、ターゲット物質のデブリが付着することを抑制してもよい。コーティングの材質としては、窒化チタン(TiN)、酸化チタン(TiO)、窒化クロム(CrN)、又は酸化クロム(CrO)が好ましい。
【0067】
6.4 作用
(7)第4の実施形態によれば、EUV光生成装置1eは、第1の隔壁37eの温度を調整するヒーター及びヒーター電源39eを備えている。
これによれば、第1の隔壁37eの表面に付着したターゲット物質のデブリを溶融させ、図示しない回収器によりデブリを回収することができる。
【0068】
(8)第4の実施形態においては、EUV光生成装置1eは、第1の隔壁37eの表面に、ターゲット物質の付着を抑制するコーティングが形成されていてもよい。
これによれば、第1の隔壁37eの表面にターゲット物質のデブリが付着することが抑制される。
【0069】
他の点については、第4の実施形態は第3の実施形態と同様である。あるいは、第2の実施形態と同様に、第4の実施形態は第2の隔壁2dを含まなくてもよい。あるいは、第1の実施形態と同様に、第4の実施形態はセンサ4b、4c、及び4dを含まなくてもよい。
【0070】
7.ターゲット27とガスの移動方向を重力方向としたEUV光生成装置1f
7.1 構成
図11及び図12は、第5の実施形態に係るEUV光生成装置1fの構成を示す断面図である。図11はターゲット27の軌道と垂直な断面を示し、図12はパルスレーザ光33の光路軸と垂直な断面を示す。図12図11のXII-XII線の位置での断面図に相当する。
【0071】
EUV光生成装置1fにおいては、第1の実施形態における第1の隔壁37の代わりに、中心軸の方向が重力方向と一致する円筒形の第1の隔壁37fが配置されている。第1の隔壁37fの中心軸はターゲット27の軌道と一致することが望ましい。第1の隔壁37fは、チャンバ2bの底面を貫通している。第1の隔壁37fの内部の第2の空間20bは、チャンバ2bの内部の第5の空間20eと、チャンバ2bの外部の第6の空間20fとを含む。
【0072】
チャンバ2bの外部において、第1の隔壁37fの下端に、ターゲット回収部28fが配置されている。チャンバ2bとターゲット回収部28fとの間において、第1の隔壁37fにはガス排気口38fが形成され、ガス排気口38fには排気管39を介して排気装置30が接続されている。
【0073】
7.2 動作
複数のターゲット27のうちのパルスレーザ光33が照射されずにプラズマ化しなかったターゲット27は、第5の空間20eから第6の空間20fへ移動してターゲット回収部28fに到達する。
【0074】
ガス供給源40(図2参照)は、第1のガス供給口51を介して第1の空間20aにガスを供給する。排気装置30は、第1の隔壁37fの内部の第5及び第6の空間20e及び20fのガスを排気する。これにより、第1の空間20aの圧力が第5及び第6の空間20e及び20fの圧力よりも高くなる。その結果、第1の空間20aから第5の空間20eへ、さらに第5の空間20eから重力方向に第6の空間20fへ、さらに第6の空間20fから排気管39へと重力方向と交差する方向に導かれて、排気装置30へガスが流れる。
【0075】
7.3 作用
(9)第5の実施形態によれば、EUV光生成装置1fは、プラズマ生成領域25にターゲット27を供給するターゲット供給部26と、第1の隔壁37fに配置され、プラズマ生成領域25を通過したターゲット27を回収するターゲット回収部28fと、をさらに備える。
これによれば、プラズマ生成領域25を通過したターゲット27を回収するターゲット回収部28fが第1の隔壁37fに配置されているので、第1の隔壁37fから排気されなかったターゲット物質のデブリもターゲット回収部28fによって回収することができる。
【0076】
(10)第5の実施形態によれば、第1の隔壁37fは、第2の空間20bの一部であってチャンバ2bの内部の第5の空間20eのガスが、第2の空間20bの他の一部であってチャンバ2bの外部の第6の空間20fを通って第1の隔壁37fの外部に排気されるように構成される。そして、第5の空間20eから第6の空間20fへのガスの移動方向が重力方向と一致する。
ターゲット物質のデブリが第1の隔壁37fの内側の表面に付着して厚く堆積すると、第1の隔壁37fの内側の表面から剥がれ落ちることがある。このようなデブリは、第5の実施形態によればチャンバ2bの内部の第5の空間20eからチャンバ2bの外部の第6の空間20fに向けて落下するので、チャンバ2bの外部で回収することができる。
【0077】
(11)第5の実施形態によれば、EUV光生成装置1fは、ガス排気口38fに接続され、第6の空間20fのガスを重力方向と交差する方向に導いて排気する排気管39をさらに備える。
これによれば、第6の空間20fのガスを重力方向と交差する方向に導いて排気するので、第1の隔壁37fの内側の表面から剥がれ落ちたデブリが排気管39に入ることが抑制される。
【0078】
他の点については、第5の実施形態は第1の実施形態と同様である。あるいは、第2の実施形態と同様に、第5の実施形態はセンサ4b、4c、及び4dを含んでもよい。あるいは、第3の実施形態と同様に、第5の実施形態は第2の隔壁2dを含んでもよい。あるいは、第4の実施形態と同様に、第5の実施形態は第1の隔壁37fの加熱及び冷却のいずれか又は両方を実施する温度調整装置を備えてもよいし、第1の隔壁37fの内側の表面にコーティングが形成されてもよい。
【0079】
8.第1の隔壁37gがフランジ37hを含むEUV光生成装置1g
8.1 構成及び動作
図13は、第6の実施形態に係るEUV光生成装置1gの構成を示す断面図である。図13はパルスレーザ光33(図3参照)の光路軸と垂直な断面を示す。
EUV光生成装置1gにおいては、第1の実施形態における第1の隔壁37の代わりに、第1の隔壁37gが配置されている。第1の隔壁37gの周囲にはフランジ37hが形成されている。
【0080】
図14は、フランジ37h及びその周辺の構成要素を拡大して示す断面図である。チャンバ2bを構成する壁には第1の隔壁37gが貫通する貫通孔2gが形成されている。図13及び図14における右側から貫通孔2gに第1の隔壁37gの一部が挿入され、フランジ37hが、図示しないボルトで、チャンバ2bを構成する壁に固定される。第1の隔壁37gにデブリが付着した場合に、ボルトを外して第1の隔壁37gを交換することができる。
【0081】
8.2 作用
(12)第6の実施形態によれば、第1の隔壁37gはチャンバ2bを構成する壁を貫通しており、第1の隔壁37gの周囲に、チャンバ2bを構成する壁にチャンバ2bの外部から固定されるフランジ37hが形成されている。
これによれば、チャンバ2bに対する第1の隔壁37gの固定及び取り外しが可能となり、メンテナンスが容易となる。
【0082】
他の点については、第6の実施形態は第1の実施形態と同様である。あるいは、第2の実施形態と同様に、第6の実施形態はセンサ4b、4c、及び4dを含んでもよい。あるいは、第3の実施形態と同様に、第6の実施形態は第2の隔壁2dを含んでもよい。あるいは、第4の実施形態と同様に、第6の実施形態は第1の隔壁37gの加熱及び冷却のいずれか又は両方を実施する温度調整装置を備えてもよいし、第1の隔壁37gの内側の表面にコーティングが形成されてもよい。あるいは、第5の実施形態と同様に、第6の実施形態においては第1の隔壁37gが縦向きに配置されてもよい。
【0083】
9.第1の隔壁37iがフランジ37hを含むEUV光生成装置1h
9.1 構成及び動作
図15及び図16は、第7の実施形態に係るEUV光生成装置1hの構成を示す断面図である。図15はターゲット27の軌道と垂直な断面を示し、図16はパルスレーザ光33の光路軸と垂直な断面を示す。図16図15のXVI-XVI線の位置での断面図に相当する。
【0084】
EUV光生成装置1hにおいては、図7及び図8を参照しながら説明した第3の実施形態における第1の隔壁37cの代わりに、第1の隔壁37iが配置されている。第1の隔壁37iの周囲にはフランジ37hが形成されている。フランジ37hの構成は、図13及び図14を参照しながら説明した第6の実施形態において対応する構成と同様である。
【0085】
第6の実施形態と同様に、フランジ37hが、図示しないボルトで、チャンバ2bを構成する壁に固定される。第1の隔壁37iにデブリが付着した場合に、ボルトを外せば第1の隔壁37iを交換することができる。
【0086】
第7の実施形態において、第2の隔壁2dは、第1の空間20aを第3の空間20cと第4の空間20dと、に隔てる。第2の隔壁2dは、第5の開口21dを有する。図17及び図18を参照しながら説明するように、第1の開口371の周囲の第1の隔壁37iと、第5の開口21dの周囲の第2の隔壁2dとは近接しており、これらは直接固定されていなくてよい。すなわち、第1の開口371の周囲の第1の隔壁37iと、第5の開口21dの周囲の第2の隔壁2dとを固定するためのボルト締め、溶接、接着等は行われていなくてよい。
【0087】
9.2 第1の例
図17は、第7の実施形態における第2の隔壁2dに対する第1の隔壁37iの配置の第1の例を示す断面図である。第1の隔壁37iの端部37jと、第2の隔壁2dの第4の空間20d側の面と、が対向している。第1の隔壁37iの端部37jと、第2の隔壁2dの第4の空間20d側の面と、の間には、エラストマー部材37kが配置されている。エラストマー部材37kは本開示における弾性体に相当する。エラストマー部材37kは、第1の開口371の周囲の第1の隔壁37iと第5の開口21dの周囲の第2の隔壁2dとの間に挟まれて配置されている。
【0088】
エラストマー部材37kは、円環状の形状を有している。円環状のエラストマー部材37kの直径は、円筒状の第1の隔壁37iの直径とほぼ同一である。エラストマー部材37kは、第1の開口371の周囲の第1の隔壁37iと第5の開口21dの周囲の第2の隔壁2dとの間をガスシールする。
【0089】
エラストマー部材37kは、例えば、第1の隔壁37iに固定されるが、第2の隔壁2dには固定されずに、押し当てられている。あるいは、エラストマー部材37kは、第2の隔壁2dには固定されるが、第1の隔壁37iに固定されずに、押し当てられていてもよい。このように、第1の隔壁37iの端部37jと、第2の隔壁2dの第4の空間20d側の面と、は互いに固定されないようになっている。
【0090】
9.3 第2の例
図18は、第7の実施形態における第2の隔壁2dに対する第1の隔壁37iの配置の第2の例を示す断面図である。第1の隔壁37iの端部37jと、第2の隔壁2dの第4の空間20d側の面と、が離間している。第1の隔壁37iと第2の隔壁2dとの間の隙間37mはなるべく狭く、ターゲット物質のデブリが第2の空間20bから漏れることが抑制されることが望ましい。隙間37mは5mm以下が望ましく、2mm以下が更に望ましい。
【0091】
9.4 作用
(13)第7の実施形態によれば、EUV光生成装置1hは第2の隔壁2dを備える。第2の隔壁2dは、第1の空間20aを、EUV集光ミラー23bが位置する第3の空間20cと、第1の隔壁37iに接する第4の空間20dと、に隔てる。第2の隔壁2dは、プラズマ生成領域25で発生したEUV光をEUV集光ミラー23bに向けて通過させる第5の開口21dを有する。第1の開口371の周囲の第1の隔壁37iと第5の開口21dの周囲の第2の隔壁2dとが近接している。
これによれば、第2の隔壁2dを備える構成においてもチャンバ2bに対する第1の隔壁37iの固定及び取り外しが可能となり、メンテナンスが容易となる。
【0092】
(14)第7の実施形態によれば、第1の隔壁37iの端部37jと、第2の隔壁2dの第4の空間20d側の面と、が対向している。
これによれば、チャンバ2bの外側から第2の隔壁2dの第4の空間20d側の面に向けて第1の隔壁37iを挿入することで、第1の隔壁37iを所定位置に配置することができる。
【0093】
(15)第7の実施形態によれば、EUV光生成装置1hは、第1の開口371の周囲の第1の隔壁37iと第5の開口21dの周囲の第2の隔壁2dとの間に挟まれて配置されたエラストマー部材37kを備える。
これによれば、第2の空間20bの内部のターゲット物質のデブリが第1の開口371の周囲の第1の隔壁37iと第5の開口21dの周囲の第2の隔壁2dとの間から漏れることが抑制され得る。
【0094】
(16)第7の実施形態によれば、エラストマー部材37kは、第1の開口371の周囲の第1の隔壁37iと第5の開口21dの周囲の第2の隔壁2dとの間をガスシールする。
これによれば、第2の空間20bの内部のターゲット物質のデブリが第1の開口371の周囲の第1の隔壁37iと第5の開口21dの周囲の第2の隔壁2dとの間から漏れることがさらに抑制され得る。
【0095】
(17)第7の実施形態によれば、エラストマー部材37kは、第1の隔壁37iと第2の隔壁2dとのうちの一方に固定され、他方に押し当てられている。
これによれば、エラストマー部材37kが、第1の隔壁37iと第2の隔壁2dとの間の位置からずれることが抑制される。
【0096】
(18)第7の実施形態によれば、第1の開口371の周囲の第1の隔壁37iと第5の開口21dの周囲の第2の隔壁2dとの間は離間している。
これによれば、第1の隔壁37iが熱膨張率した場合でも、第1の隔壁37iが第2の隔壁2dを押圧して第2の隔壁2dを変形させることが抑制される。
【0097】
他の点については、第7の実施形態は第3の実施形態と同様である。あるいは、第1の実施形態と同様に、第7の実施形態はセンサ4b、4c、及び4dを含まなくてもよい。あるいは、第4の実施形態と同様に、第7の実施形態は第1の隔壁37iの加熱及び冷却のいずれか又は両方を実施する温度調整装置を備えてもよいし、第1の隔壁37iの内側の表面にコーティングが形成されてもよい。あるいは、第5の実施形態と同様に、第7の実施形態は第1の隔壁37iが縦向きに配置されてもよい。
【0098】
10.その他
図19は、EUV光生成装置1bに接続された露光装置6aの構成を概略的に示す。
図19において、外部装置6(図1参照)としての露光装置6aは、マスク照射部68とワークピース照射部69とを含む。マスク照射部68は、EUV光生成装置1bから入射したEUV光によって、反射光学系を介してマスクテーブルMTのマスクパターンを照明する。ワークピース照射部69は、マスクテーブルMTによって反射されたEUV光を、反射光学系を介してワークピーステーブルWT上に配置された図示しないワークピース上に結像させる。ワークピースはフォトレジストが塗布された半導体ウエハ等の感光基板である。露光装置6aは、マスクテーブルMTとワークピーステーブルWTとを同期して平行移動させることにより、マスクパターンを反映したEUV光をワークピースに露光する。以上のような露光工程によって半導体ウエハにデバイスパターンを転写することで電子デバイスを製造することができる。EUV光生成装置1bの代わりに、EUV光生成装置1c、1d、1e、1f、1g、1hのいずれかが用いられてもよい。
【0099】
図20は、EUV光生成装置1bに接続された検査装置6bの構成を概略的に示す。
図20において、外部装置6(図1参照)としての検査装置6bは、照明光学系63と検出光学系66とを含む。照明光学系63は、EUV光生成装置1bから入射したEUV光を反射して、マスクステージ64に配置されたマスク65を照射する。ここでいうマスク65はパターンが形成される前のマスクブランクスを含む。検出光学系66は、照明されたマスク65からのEUV光を反射して検出器67の受光面に結像させる。EUV光を受光した検出器67はマスク65の画像を取得する。検出器67は例えばTDI(time delay integration)カメラである。以上のような工程によって取得したマスク65の画像により、マスク65の欠陥を検査し、検査の結果を用いて、電子デバイスの製造に適するマスクを選定する。そして、選定したマスクに形成されたパターンを、露光装置6aを用いて感光基板上に露光転写する。EUV光生成装置1bの代わりに、EUV光生成装置1c、1d、1e、1f、1g、1hのいずれかが用いられてもよい。
【0100】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。従って、特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかである。また、本開示の実施形態を組み合わせて使用することも当業者には明らかである。
【0101】
本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される用語は、明記が無い限り「限定的でない」用語と解釈されるべきである。たとえば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、不定冠詞「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。また、「A、B及びCの少なくとも1つ」という用語は、「A」「B」「C」「A+B」「A+C」「B+C」又は「A+B+C」と解釈されるべきである。さらに、それらと「A」「B」「C」以外のものとの組み合わせも含むと解釈されるべきである。
図1
図2
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図10
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