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  • 特開-酸化シリコンの堆積方法 図1A
  • 特開-酸化シリコンの堆積方法 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049682
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】酸化シリコンの堆積方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20220322BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/31 C
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】33
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021148498
(22)【出願日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】63/079,239
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルン・シャーマ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエレ・チアッペ
(72)【発明者】
【氏名】エヴァ・トイス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラジ・マディワラ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・トゥオミネン
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・デゼラー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ギヴンス
(72)【発明者】
【氏名】トム・ブロムベルク
【テーマコード(参考)】
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
5F045AA06
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB32
5F045AC07
5F045AC08
5F045AC11
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045AD05
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AE13
5F045AE15
5F045AE17
5F045AE19
5F045AE21
5F045AE23
5F045AF07
5F045AF08
5F045AF10
5F045DC63
5F045DC69
5F045EE02
5F045EE19
5F045HA01
5F058BB05
5F058BB06
5F058BC02
5F058BE10
5F058BF04
5F058BF07
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF37
(57)【要約】
【課題】本開示は、基材上に酸化シリコンを堆積させる方法、半導体デバイスを形成する方法、および構造体を形成する方法に関する。
【解決手段】方法は、反応チャンバー内に基材を供給することと、反応チャンバー内にシリコン前駆体を供給することであって、シリコン前駆体は少なくとも一つの酸素原子に結合するシリコン原子を含み、少なくとも一つの酸素原子は炭素原子に結合する、シリコン前駆体を供給することと、反応チャンバー内に水素原子を含む反応物質を供給し、基材上に酸化シリコンを形成することと、を含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に酸化シリコンを堆積させる方法であって、前記方法は、
基材を反応チャンバー内に供給するステップと、
シリコン前駆体を前記反応チャンバー内に供給するステップであって、前記シリコン前駆体は、少なくとも一つの酸素原子に結合するシリコン原子を含み、前記少なくとも一つの酸素原子は炭素原子に結合する、供給するステップと、
前記基材上に酸化シリコンを形成させるために、前記反応チャンバー内に水素原子を含む反応物質を供給するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記シリコン前駆体は、式Iによる化合物を含み、
SiR(OOCR’)4-a
式I
式中、各RおよびR’は互いに独立して、水素または非置換、置換、飽和、不飽和、および/もしくは官能化炭化水素から選択される、ならびに4>a≧0である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シリコン前駆体は、四酢酸ケイ素(トリアセチルオキシシリルアセテート)、トリアセトキシビニルシラン、シリコンテトラプロピオネート、トリアセトキシシラン、トリアセトキシ(メチル)シラン、トリアセトキシ(メトキシ)シラン、ジアセトキシジメチルシランからなる群から選択される、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記反応物質は、水素ではない少なくとも一つの他の原子を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記他の原子は窒素である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記反応物質は、アンモニア(NH)またはアンモニア性窒素(NH3-)またはアンモニア-水素(NH3-)混合物を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記反応物質はアミンを含む、請求項5または6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記反応物質は、ヒドラジン(N)またはメチル置換ヒドラジン、例えば、N,NジメチルヒドラジンまたはN,N’ジメチルヒドラジンから選択される、請求項5~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記他の原子は酸素である、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記反応物質はアルコールを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、周期的堆積方法、例えば原子層堆積法または周期的化学気相堆積法である、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、熱堆積法である、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記酸化シリコンは、約65℃~約500℃の温度で形成される、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、前記反応チャンバー内に前記反応物質を供給する前に、不活性ガスによって前記反応チャンバーから過剰なシリコン前駆体を除去するステップをさらに含む、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、金属アルコキシドの反応物質を前記反応チャンバー内に供給するステップを含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記金属アルコキシドはジメチルアルミニウムイソプロポキシドである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は周期的堆積方法であり、前記シリコン前駆体および前記反応物質は、前記金属アルコキシドが前記反応チャンバー内に供給されるたびに少なくとも2回、前記反応チャンバー内に供給される、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記基材は表面を含み、前記表面は、第一の材料を含む第一の部分と第二の材料を含む第二の部分とを含み、前記第二の材料は有機材料を含み、
酸化シリコンは前記第二の部分に対して前記第一の部分上に選択的に堆積される、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記第一の材料は誘電体を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第一の材料は金属または金属酸化物を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第一の材料は、金属窒化物、金属炭化物、または金属ホウ化物を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記第二の材料は、パッシベーション剤を含む、請求項18~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記パッシベーション剤は有機パッシベーション剤である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
一つまたは複数の単位堆積サイクルが実行され、単位堆積サイクルは、
前記シリコン前駆体を前記反応チャンバー内に供給するステップと、
前記反応物質を前記反応チャンバー内に供給するステップと、を含む、請求項1~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記方法は、前記反応チャンバー内に前駆体および/または反応物質を供給した後に、パージガスを供給するステップ、および/または前記反応チャンバーを排気するステップを含む、請求項1~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記反応チャンバー内の圧力は約0.001Torr~50Torrである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
酸化シリコンは、請求項1~26のいずれかに記載の方法に従って堆積される、構造体を形成する方法。
【請求項28】
半導体デバイスを形成する方法であって、前記方法は、請求項1~27のいずれかに記載の前記方法に従って酸化シリコンを堆積させるステップを含む、方法。
【請求項29】
基材上に酸化シリコンを堆積させるための堆積アセンブリであって、
前記基材を保持するように構成および配置される反応チャンバーと、
前記反応チャンバー内に前駆体および/または反応物質を供給するように構成および配置される前駆体インジェクターシステムと、を備え、
前記アセンブリは、
少なくとも一つの酸素原子に結合するシリコン原子を含むシリコン前駆体を収容および蒸発させるように構成および配置される前駆体容器であって、前記少なくとも一つの酸素原子は炭素原子に結合し、前記アセンブリは、前記前駆体を前記前駆体インジェクターシステムを介して前記反応チャンバーに供給し、前記酸化シリコンを前記基材上に堆積させるように構成および配置される、前駆体容器、を備える、堆積アセンブリ。
【請求項30】
前記容器は、前記シリコン前駆体を蒸発させるように構成および配置される気化器を備える、請求項29に記載の堆積アセンブリ。
【請求項31】
前記気化器は、前記シリコン前駆体を65℃~250℃の温度で蒸発させるように構成および配置される、請求項30に記載の堆積アセンブリ。
【請求項32】
前記堆積装置は、前記反応チャンバー内の圧力を50Torr未満に排気するように構成および配置されるポンプを備える、請求項29~31のいずれかに記載の堆積アセンブリ。
【請求項33】
前記堆積装置は、前記反応チャンバー内の温度を65℃~500℃の間で制御するように構成および配置されるヒーターを備える、請求項29~32のいずれかに記載の堆積アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね半導体デバイス製造の分野に関する。より具体的には、本開示は、基材上に酸化シリコンを熱的に堆積させるための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化シリコン(SiO)層は、電子デバイスの製造における幅広い用途、例えば集積回路に使用される。これらは、例えば、絶縁層として、およびスペーサーの形成に使用されることができる。酸化シリコン層は基材の表面上に堆積され、堆積は通常、別個の酸素反応物質、例えばオゾンもしくは酸素プラズマ、または熱プロセスが使用される場合には比較的高い堆積温度を必要とする。複雑な構造体およびデバイスの製造を可能にするために、堆積プロセスは、すでに基材上に堆積された材料に害を及ぼしてはならない。
【0003】
基材の特定の領域上にのみ酸化シリコンを堆積させることが望ましい場合がある。この種の選択性は、最初に基材上に連続層を堆積させ、続いてリソグラフィーおよびエッチングを使用して層をパターン形成することによって達成されることができる。これらの方法は、価格、効率、および正確さに欠点があり、このことが、選択的堆積が多くの状況において改善された代替手段を提供することができる理由である。選択的なプロセスでは、目的層は、基材の所定の領域上に直接堆積され、後続のパターン形成は必要とされない。
【0004】
したがって、当技術分野では、選択的に層を成長させるために、低温で、ラジカルフリーの酸化シリコン堆積プロセスが必要である。
【発明の概要】
【0005】
この発明の概要は、選択された概念を簡略化した形態で紹介し得、これは以下でさらに詳細に説明され得る。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを必ずしも意図しておらず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用することも意図していない。
【0006】
本開示の実施形態は、基材上に酸化シリコンを堆積させる方法に関する。本方法では、基材は反応チャンバー内に供給される。その後、シリコン前駆体および水素原子を含む反応物質が、反応チャンバー内に供給され、基材上に酸化シリコンを形成する。本開示によるシリコン前駆体は、少なくとも一つの酸素原子に結合するシリコン原子を含み、少なくとも一つの酸素原子は炭素原子に結合する。前記炭素は、例えば、カルボニル基中の炭素であってもよい。
【0007】
本開示の実施形態はまた、構造体を形成する方法に関し、酸化シリコンは、反応チャンバー内に基材を供給すること、反応チャンバー内に本開示によるシリコン前駆体および水素原子を含む反応物質を供給することにより堆積され、基材上に酸化シリコンを形成する。
【0008】
本開示の実施形態はさらに、半導体デバイスを形成する方法に関し、本方法は、反応チャンバー内に基材を供給すること、反応チャンバー内に本開示によるシリコン前駆体および水素原子を含む反応物質を供給することにより酸化シリコンを堆積させことを含み、基材上に酸化シリコンを形成する、
【0009】
本開示の別の実施形態は、基材上に酸化シリコンを堆積させる堆積アセンブリに関する。堆積アセンブリは、基材を保持するように構成および配置される反応チャンバーと、前駆体および/または反応物質を反応チャンバー内に供給するように構成および配置される前駆体インジェクターシステムと、を備える。アセンブリは、シリコン前駆体を収容し、および蒸発させるように構成および配置される前駆体容器をさらに備え、シリコン前駆体は、少なくとも一つの酸素原子に結合するシリコン原子を含み、少なくとも一つの酸素原子は炭素原子に結合する。アセンブリは、前駆体インジェクターシステムを介して反応チャンバーに前駆体を供給し、基材上に酸化シリコンを堆積させるようにさらに構成および配置される。
【0010】
酸化シリコンは、半導体用途において多くの用途があり、本開示に従って堆積される酸化シリコンは、電子デバイス、例えばメモリおよび/または論理回路の製造に使用されることができる。
【0011】
さらに、本開示では、任意の二つの変数はその変数の実行可能な範囲を構成することができ、示された任意の範囲は、端点を含んでもよく、または除外してもよい。さらに、示された変数の任意の値は(それらが「約」で示されているか否かにかかわらず)、正確な値またはおおよその値を指し、等価物を含み、平均値、中央値、代表値、または大多数等を指してもよい。さらに、本開示では、「含む」「によって構成される」および「有する」という用語は、いくつかの実施形態では、「典型的にまたは広く含む」、「含む」、「から本質的になる」、または「からなる」を独立して指す。本開示では、任意の定義された意味は、いくつかの実施形態では、通常および慣習的な意味を必ずしも排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、例示的な実施形態を図示し、説明と共に本開示の原理を説明するのに役立つ。図面では以下が示される。
図1A図1Aは、本開示による方法の実施形態である。
図1B図1Bは、本開示による方法の実施形態である。
図2図2は、本開示の選択的な実施形態の概略図である。
図3図3は、本開示による選択的な方法の一実施形態である。
図4図4は、本開示によるアセンブリの概略図である。
【0013】
図内の要素は、単純化および明瞭化のために例示され、必ずしも縮尺通りには描かれていない。例えば、図内の要素のうちのいくつかの寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に提供される方法、構造体、デバイスおよび装置の例示的な実施形態の説明は、単に例示的であり、例示の目的のみを意図している。以下の説明は、本開示の範囲または特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、記載された特徴を有する複数の実施形態の列挙は、追加の特徴を有する他の実施形態も、記載された特徴の異なる組み合わせを組み込む他の実施形態をも排除することを意図していない。例えば、様々な実施形態が例示的な実施形態として記載され、従属する特許請求の範囲に引用され得る。
【0015】
本発明は、本発明の具体的に開示される実施形態および/または用途、ならびにその明白な変更および等価物を超えて拡張されることは、当業者により理解されるであろう。それ故に、開示される本発明の範囲は、以下に説明される特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。特に記載がない限り、例示的な実施形態またはその構成要素は、組み合わせられてもよく、または互いに別々に適用され得る。
【0016】
本開示では、任意の二つの変数はその変数の実行可能な範囲を構成することができ、示された任意の範囲は、端点を含んでもよく、または除外してもよい。さらに、示された変数の任意の値は(それらが「約」で示されているか否かにかかわらず)、正確な値またはおおよその値を指し、等価物を含み、平均値、中央値、代表値、または大多数等を指してもよい。
【0017】
本開示の例示的な実施形態は、電子デバイス、例えばメモリおよび/または論理回路を製造するために使用されることができる。より具体的には、本開示の実施形態は、スペーサー、エッチングストップ層、および電気絶縁が有益である場合において任意の層、を製造するために使用されることができる。本開示の実施形態は、犠牲層およびパターニング層を生成するために使用されることができる。
【0018】
一態様では、酸化シリコンを基材上に堆積させる方法が開示される。いくつかの実施形態では、酸化シリコンは層を形成することができる。用語、層(または膜)は、任意の連続的または非連続的な構造体および材料、例えば本明細書に開示される方法によって堆積される材料を指すことができる。例えば、膜および/または層としては、二次元材料、三次元材料、ナノ粒子、または部分的もしくは完全な分子層、または部分的もしくは完全な原子層、または原子および/もしくは分子のクラスターが挙げられる。膜または層は、材料またはピンホールを有する層を含んでもよく、そしてそれは少なくとも部分的に連続的あってもよい。いくつかの実施形態では、酸化シリコン層は連続的である。いくつかの実施形態では、酸化シリコン層は非連続的である。
【0019】
本開示による酸化シリコンを堆積させる方法は、反応チャンバー内に基材を供給することを含む。換言すると、基材は、堆積条件を制御できる空間内に持ち込まれる。基材は、誘電体、例えば酸化シリコン、SiN、SiOC、SiON、SiOCN、または半導体デバイスの製造技術で使用される任意の他の材料を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなってもよい。基材材料の例としては、例えば低誘電率材料、金属含有酸化シリコン化合物、例えば、SiGeOx、金属ならびにそれらの合金、例えば、銅、ルテニウム、コバルト、ニオブ、タングステン、チタン、タンタル、イリジウム、金、アルミニウム、鉄、ニッケル、モリブデン、レニウム、マンガン、およびバナジウム、が挙げられるがこれに限定されない、が挙げられる。基材材料の別の例は、金属酸化物、例えば酸化銅、酸化ルテニウム、酸化コバルト、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化イリジウム、酸化金、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化モリブデン、酸化レニウム、酸化マンガン、および酸化バナジウムである。上記金属酸化物は、ハロゲン化されてもよく、例えばフッ素化されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、基材は、一つまたは複数の金属窒化物、例えば、窒化チタンもしくは窒化タンタルもしくは窒化アルミニウム、金属炭化物および/または金属ホウ化物を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなってもよい。基材は、スピンコーティング、PECVD、またはPEALDによって生成される炭素系材料、例えば非晶質炭素を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなってもよい。基材は、フォトレジスト材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、金属窒化物は、酸化シリコンの堆積に対してより好適であることができ、反応物質は酸素を含む。例えば、反応物質は、水を含んでもよい。いくつかの実施形態では、有機材料含有基材表面は、水素および窒素含有反応物質に対してより好適であることができる。このような実施形態では、反応物質は、酸素を含まない反応物質、例えばアンモニアであってもよい。
【0020】
反応チャンバーは、集積回路を形成するために異なるプロセスが実行されるクラスタツールの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバーは、フロータイプの反応器、例えばクロスフロー反応器であってもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバーはシャワーヘッド反応器であってもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバーは空間分割された反応器であってもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバーは枚葉式ALD反応器であってもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバーは大量生産可能な枚葉式ALD反応器であってもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバーは、複数の基材を同時に製造するためのバッチ式反応器であってもよい。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語、基材は、形成するのに使用することができる、または上にデバイス、回路、材料もしくは材料層を形成することができる、任意の下地材料または材料を指すことができる。基材は、バルク材料、例えばシリコン(例えば、単結晶シリコン)を含むことができ、バルク材料の上を覆う一つまたは複数の層を含むことができる。基材は、様々なトポロジー、例えば、基材の層の少なくとも一部の内部または上に形成された、凹部、線、トレンチ、または隆起部分間の空間、例えばフィン等を含むギャップを含むことができる。基材としては、窒化物、例えばTiN、酸化物、絶縁材料、誘電体材料、導電性材料、金属、例えば、タングステン、ルテニウム、モリブデン、もしくは銅、または金属材料、結晶材料、エピタキシャル、ヘテロエピタキシャル、および/もしくは単結晶材料が挙げられる。本開示のいくつかの実施形態では、基材はシリコンを含む。基材は、シリコンに加えて、上記のように他の材料を含んでもよい。他の材料は、層を形成することができる。
【0022】
基材はパターン形成されてもよい。パターン形成された基材は、基材の表面内またはその上に形成される半導体デバイス構造を含んでもよい。例えば、パターン形成された基材は、部分的または完全に製造された半導体デバイス構造、例えばトランジスタおよび/またはメモリ素子を備えてもよい。パターン形成される特徴は、例えば、材料の層を堆積させ、層の一部をエッチングすることによって形成されることができる。
【0023】
本開示による方法では、反応チャンバー内にシリコン前駆体が供給される。水素原子を含む反応物質も、反応チャンバー内に供給され、基材上に酸化シリコンを形成する。したがって、酸化シリコンは、シリコン前駆体と反応物質との反応により形成される。酸化シリコンを形成するプロセスは、例えば、化学気相堆積(CVD)または原子層堆積(ALD)によって行われてもよい。いくつかの実施形態では、酸化シリコンは、CVDプロセスによって堆積される。いくつかの実施形態では、本方法は、周期的堆積方法である。いくつかの実施形態では、酸化シリコンは、ALDプロセスによって堆積される。いくつかの実施形態では、本方法はALD法である。いくつかの実施形態では、本方法はCVD法である。
【0024】
いくつかの実施形態では、酸化シリコンは、プラズマ増強CVD(PECVD)を使用することにより堆積させることができる。いくつかの実施形態では、酸化シリコンは、プラズマ増強ALD(PEALD)を使用することにより堆積させることができる。堆積プロセスのプラズマ増強の変形を使用することにより、堆積温度をさらに低下させることができる。あるいは、または追加的に、プラズマ増強プロセスを使用することは、堆積させた酸化シリコンの品質にプラスの影響を与える場合がある。プラズマは、水素(H)プラズマ、窒素(N)プラズマ、アルゴン(Ar)プラズマ、ヘリウム(He)プラズマ、ネオン(Ne)プラズマ、N/Hプラズマ、酸素(O)プラズマ、NHプラズマ、またはそれらの組み合わせであってもよい。プラズマは、遠隔(リモートプラズマ)またはその場(in-situ)(ダイレクトプラズマ)で生成されることができる。いくつかの実施形態では、プラズマは、高周波(RF)パワー電力でガスの気相のイオン化によって生成される。RFパワーは、100W~2,000Wであってもよい。
【0025】
CVDプロセスは、典型的には、二つ以上の反応物質間の気相反応を含む。反応物質は、反応チャンバーまたは基材に同時に、または部分的もしくは完全に分離されたパルスで供給されることができる(サイクリックCVD)。基材および/または反応チャンバーを加熱して、気体の反応物質間の反応を促進することができる。いくつかの実施形態では、反応物質および可能なプラズマは、所望の厚さを有する薄膜が堆積されるまで供給される。
【0026】
本明細書で使用する場合、ALDは、堆積サイクルが反応チャンバー内で行われる蒸着プロセスを指す。ALDは、前駆体化学物質の、制御された、通常は自己制御的表面反応に基づいている。気相反応は、前駆体を交互に順次反応チャンバー内へ供給することにより回避される。一般的に、各サイクル中に、第一の前駆体(例えば、シリコン前駆体)は、堆積表面(例えば、以前のALDサイクルから以前に堆積された材料または他の材料を含むことができる基材表面)に化学吸着され、追加の第一の前駆体と容易には反応しない材料の単分子層またはサブ単分子層を形成する。その後、場合によっては、続いて、第二の前駆体、反応物質または反応ガス(例えば、水素含有反応物)を、化学吸着された前駆体を堆積表面上の所望の材料に変換する際に使用するために反応チャンバー内に導入することができる。いくつかの実施形態では、プロセスは、第二の前駆体、反応物質または反応ガス(例えば、水素含有反応物質)の導入から開始してもよく、その後、第一の前駆体(例えばシリコン前駆体)が導入される。
【0027】
ALDにおいて、気相前駆体および反応物質は、例えば、反応物質パルス間で、反応チャンバーから過剰な反応物質および/または反応物質の副生成物を除去することによって、反応チャンバー内で互いに分離されることができる。これは、排気工程および/または不活性ガスパルス(パージ)を用いて達成されることができる。いくつかの実施形態では、基材を、パージガス、例えば不活性ガスと接触させる。例えば、過剰の反応物質および反応副生成物を除去するために、反応物質パルス間で、基材をパージガスと接触させることができる。いくつかの実施形態では、反応チャンバー内に反応物質を供給する前に、過剰なシリコン前駆体は反応チャンバーおよび/または基材から不活性ガスによってパージされる。いくつかの実施形態では、反応チャンバー内にシリコン前駆体を供給する前に、過剰な反応物質は反応チャンバーおよび/または基材から不活性ガスによってパージされる。
【0028】
パージガスパルスおよび/または排気システムによって生成される真空は、反応チャンバーおよび/または基材表面から過剰な前駆体および反応副生成物を除去するのに使用されることができる。パージガスは、任意の不活性ガスとすることができる。反応チャンバーおよび/または基材表面をパージ中のパージガスの流量は、約500sccm~約4500sccm、または約2000sccm~約4000sccmの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、パージガス流量は、500sccm未満に設定される。いくつかの実施形態では、パージガス流量は、約300sccmである。いくつかの実施形態では、パージガス流量は、約100sccmである。いくつかの実施形態では、方法は、反応チャンバー内に前駆体および/または反応物質を供給した後に、パージガスを反応チャンバー内に供給することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、反応チャンバー内に前駆体および/または反応物質を供給した後に、反応チャンバー内を排気することを含む。キャリアガスは、パージガスと同様の流量を有してもよい。いくつかの実施形態では、キャリアガスとパージガスの流量は同じである。いくつかの実施形態では、パージガスの流量は、キャリアガスの流量よりも多い。いくつかの実施形態では、キャリアガスの流量は、パージガスの流量よりも多い。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法は、不活性ガスを反応チャンバーに供給することを含む。不活性ガスを使用して、基材上に酸化シリコンを堆積させる前および後に、基材の保護雰囲気を供給してもよい。不活性ガスを使用して、反応チャンバーから前駆体および/または反応副生成物をパージしてもよい。不活性ガスを使用して、前駆体の流量を調整することができる。したがって、反応チャンバー内の前駆体濃度および滞留時間は、不活性ガスを使用することによって調整されることができる。このようなガスは、キャリアガスと呼ばれる場合がある。いくつかの実施形態では、方法は、反応チャンバー内にキャリアガスを供給することを含む。用語、不活性ガス(キャリアガスおよびパージガスを含む)は、化学反応に関与しない、および/または相当な程度まで堆積された材料の一部にならないガスを指すことができる。例示的な不活性ガスは、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素(N)、水素(H)、およびそれらの任意の組み合わせを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、酸化シリコンの堆積は、約0.001Torr未満、0.01Torr未満、0.1Torr未満、10Torr未満、または50Torr未満の圧力で実行される。いくつかの実施形態では、本開示による方法の少なくとも一部の間の反応チャンバーの圧力は、約0.001Torr未満、0.01Torr未満、0.1Torr未満、10Torr未満、または50Torr未満である。
【0031】
いくつかの実施形態では、各反応は自己制御的であり、単層成長が達成される。これらを、「真のALD」反応と呼ぶことができる。いくつかのこのような実施形態では、シリコン前駆体は、自己制御的に基材表面上に吸着することができる。反応物質は、吸着されたシリコン前駆体と次々に反応して、基材上に最大単層の酸化シリコンを形成する。
【0032】
さらに、本明細書で使用する場合、用語、原子層堆積はまた、前駆体/反応性ガス、およびパージ(例えば、不活性ガス)ガスの交互パルスで実行される場合、関連する用語、例えば、化学蒸着原子層堆積、原子層エピタキシー(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス源MBE、または有機金属MBE、ならびに化学ビームエピタキシーによって示されるプロセスを含むことを意味する。
【0033】
いくつかの実施形態では、酸化シリコンの堆積プロセスには、自己制御的ではない一つまたは複数の段階がある。例えば、いくつかの実施形態では、シリコン前駆体および反応物質のうちの少なくとも一つは、基材表面上で少なくとも部分的に分解される。したがって、いくつかの実施形態では、プロセスは、CVD条件に近いプロセス条件方式で、又は場合によっては完全にCVD条件で動作することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示による酸化シリコンの堆積は、共形であってもよい。例えば、ALDタイプの反応を使用して堆積される酸化シリコンは、共形層を形成することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、本開示による方法は、熱堆積法である。熱堆積では、化学反応は、周囲温度に関連する温度上昇によって促進される。一般的に、温度上昇は、他の外部エネルギー源、例えばプラズマ、ラジカル、または放射の他の形態がない場合に、酸化シリコンの形成に必要なエネルギーを供給する。いくつかの実施形態では、本開示による方法は、プラズマ増強堆積方法、例えば、PEALDまたはPECVDである。
【0036】
本開示によるシリコン前駆体は、少なくとも一つの酸素原子に結合するシリコン原子を含み、少なくとも一つの酸素原子は炭素原子に結合している。いくつかの実施形態では、シリコン原子は一つの酸素原子に結合し、酸素原子は炭素原子に結合する。
【0037】
いくつかの実施形態では、シリコン前駆体中のシリコン原子は、複数の酸素原子に結合する。換言すると、シリコン原子は、二個、三個、または四個の酸素原子に結合してもよい。シリコン原子が二つの酸素原子に結合する実施形態では、二つの酸素原子のうちの一方または両方は、炭素原子に結合してもよい。シリコン原子が三つの酸素原子に結合する実施形態では、三つの酸素原子のうちの一つ、二つ、または三つは、炭素原子に結合してもよい。シリコン原子が四つの酸素原子に結合する実施形態では、四つの酸素原子のうちの一つ、二つ、三つ、または四つは、炭素原子に結合してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、シリコン原子は、少なくとも三つの酸素原子に結合し、酸素原子のうちの一つ、二つ、または三つはさらに炭素原子に結合する。
【0038】
いくつかの実施形態では、シリコン前駆体中の前記炭素原子のうちの少なくとも一つは、第二の酸素原子に結合する。第二の酸素原子は、二重結合により前記炭素原子に結合することができる。したがって、シリコン原子に結合する酸素原子は、カルボニル炭素原子に結合してもよい。換言すると、炭素原子は二つの酸素原子に結合し、そのうちの一方はシリコン原子に結合し、他方は炭素原子とカルボニル基を形成する。いくつかの実施形態では、シリコン原子は複数の酸素原子に結合しており、一つ、二つ、三つ、または四つの酸素原子はさらにカルボニル炭素原子に結合している。
【0039】
本開示による方法のいくつかの実施形態では、シリコン前駆体中のそれぞれの前記炭素原子(すなわち、酸素原子を介してシリコン原子に結合している炭素原子)は、独立して選択される非置換、置換および/または官能化C1~C5炭化水素に属する。したがって、シリコン前駆体に一つ、二つ、三つ、または四つの炭化水素基が存在することができる。
SiR(OOCR’)4-a
式I
【0040】
いくつかの実施形態では、シリコン前駆体は、式I(式中、各RおよびR’は水素、または非置換、置換、飽和、不飽和、および/もしくは官能化炭化水素、ならびに4>a≧0から独立して選択される)による化合物を含む。各RおよびR’は、直鎖状炭化水素、分枝状炭化水素、または環状炭化水素もしくは芳香族炭化水素であってもよい。炭化水素は、C1~C10の炭化水素、例えば、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、またはC9炭化水素であってもよい。一例として、各RおよびR’は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、およびオクチル基を独立して含むことができ、それらの異性体、例えば、n-、iso-、sec-、およびtert-異性体のいずれかを含む。アルキル基は、直鎖状、分枝状、または環状であってもよく、アルキル基の任意の構造異性体を含んでもよい。アルキル基は置換されてもよい。アルキル基の置換基は、単一原子、例えばハロゲン、または官能基、例えばヒドロキシル基であってもよい。いくつかの実施形態では、Rはハロゲンであってもよい。いくつかの実施形態では、Rは、Cl、Br、IまたはFであってもよい。いくつかの実施形態では、Rおよび/またはR’は、ハロゲンを含んでもよい。シリコン前駆体に複数のハロゲンが存在する場合、ハロゲン原子は同じであっても異なっていてもよい。
【0041】
式Iによるシリコン前駆体の例示的な実施形態は、例えば、構造体(1)~(4)によって概略的に表される分子であってもよい。上で説明したように、構造体において、各RおよびR’は、水素または非置換、置換、飽和、不飽和、および/もしくは官能化炭化水素から独立して選択されてもよい。
【化1】
【0042】
シリコン前駆体の例は、四酢酸ケイ素(トリアセチルオキシシリルアセテート)、トリアセトキシビニルシラン、シリコンテトラプロピオネート、トリアセトキシシラン、トリアセトキシ(メチル)シラン、トリアセトキシ(メトキシ)シラン、ジアセトキシジメチルシランである。シリコン前駆体の別の例は、シリコン(ビニル)トリプロピオネート、シリコン(ビニル)トリアセテート、SiCl(OAc)、SiCl(OAc)、およびSiCl(OAc)である。
【0043】
本開示による反応物質は、水素原子を含む。これは、反応物質分子に少なくとも二つの水素原子があることを意味する。いくつかの実施形態では、反応物質は、少なくとも一つの別の原子を含み、この別の原子は水素以外である。別の原子は、例えば、窒素であってもよい。別の原子は、酸素であってもよい。いくつかの実施形態では、別の原子は、酸素以外であってもよい。いくつかの実施形態では、反応物質は水素および窒素を含む。いくつかの実施形態では、反応物質は、水素および酸素を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、反応物質はアンモニア(NH)を含む。いくつかの実施形態では、反応物質は、不活性ガスと混合されたアンモニアを含む。いくつかの実施形態では、反応物質は、アンモニア性窒素(NH-N)またはアンモニア-水素(NH-H)混合物を含む。いくつかの実施形態では、反応物質は、第一級または第二級アミンのいずれか、例えば、ジメチルアミン、メチルアミン、またはエタンミンを含む。いくつかの実施形態では、反応物質は、ジアミン、例えば、エタンジアミンまたはヘキサンジアミンである。いくつかの実施形態では、反応物質は、少なくとも二つの化合物の混合物を含んでもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、反応物質は水(HO)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、反応物質は、過酸化水素(H)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、反応物質はアミンを含む。アミンは、第一級アミン、第二級アミン、または第三級アミンであってもよい。反応物質が酸素を含む実施形態では、反応物質はアルコールを含んでもよい。反応物質は、ギ酸(HCOOH)を含んでもよい。反応物質は、一つの化合物から本質的になってもよく、または一つの化合物からなってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、反応物質は、ヒドラジン(N)またはメチル置換ヒドラジン、例えばN,N-ジメチルヒドラジンまたはN,N’-ジメチルヒドラジンから選択される。
【0047】
酸化シリコンは、約65℃~約500℃の温度で形成されることができる。例えば、酸化シリコンは、約100℃~約450℃の温度で、または約150℃~約400℃の温度で形成されることができる。本開示のいくつかの実施形態では、酸化シリコンは、約200℃~約400℃の温度で、または約300℃~約350℃の温度で形成されることができる。例えば、酸化シリコンは、75℃、または125℃、または175℃、または225℃、275℃、または325℃、または375℃の温度で形成されることができる。
【0048】
本開示に従って堆積される酸化シリコンは、層または層の一部を形成することができる。本開示による酸化シリコン、または酸化シリコン含有層は、少なくとも50%の酸化シリコンまたは少なくとも70%の酸化シリコン、または少なくとも85%の酸化シリコンを含むことができる。酸化シリコンまたは酸化シリコン含有層は、少なくとも90%の酸化シリコン、または少なくとも95%の酸化シリコン、または少なくとも98%の酸化シリコンを含むことができる。いくつかの実施形態では、本開示による酸化シリコンまたは酸化シリコン含有層は、少なくとも99.5%の酸化シリコンを含むことができる。いくつかの実施形態では、酸化シリコン含有層は、酸化シリコンから本質的になることができる、または酸化シリコンからなることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、本開示に従って堆積される酸化シリコン、または酸化シリコン含有層は、5原子%未満の炭素、または2原子%未満の炭素、または1原子%未満の炭素を含むことができる。反応物質が窒素を含む場合、一部の窒素は、酸化シリコンまたは酸化シリコン含有層中に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、酸化シリコンまたは酸化シリコン含有層は、8原子%未満の窒素、または5原子%未満の窒素、または2原子%未満の窒素を含んでもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って堆積される酸化シリコンは、熱酸化物のものと類似した、または同じウェットエッチング速度を有することができる。いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って堆積される酸化シリコンは、熱酸化物のものの2倍または5倍のウェットエッチング速度を有することができる。いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って堆積される酸化シリコンは、熱酸化物のものの5倍を超える、または10倍を超える、または30倍を超えるウェットエッチング速度を有することができる。いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って堆積される酸化シリコンは、熱酸化物のものの50倍を超えないウェットエッチング速度を有することができる。いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って堆積される酸化シリコンは、0.5%(v/v)HF溶液で10~80nm/分の範囲のウェットエッチング速度を有することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って堆積される酸化シリコンは、約4、または約5未満、または約6未満の誘電率を有することができる。いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って堆積される酸化シリコンは、約7の誘電率を有することができる。いくつかの実施形態では、酸化シリコンの絶縁破壊は、約8~約15MV×cm-1の範囲内であることができる。いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って堆積される酸化シリコンの熱伝導率は、熱酸化物の熱伝導率と類似している。いくつかの実施形態では、酸化シリコンは、0.2~2ワット×メートル-1ケルビン-1の範囲の熱導電率を有する。
【0052】
本発明による方法は、選択的であってもよい。選択的堆積は、異なる用途において利点を提供することができる。選択的な堆積は、いくつかの領域における用途、例えば、完全に位置合わせされたビア、バックエンドにおける誘電体堆積上の誘電体、ゲートスタック、および導電線の分離の製造において使用されることができる。いくつかの実施形態では、酸化シリコンを選択的に堆積させるために使用される反応物質は、酸素を含有しない。いくつかの実施形態では、酸化シリコンを選択的に堆積させるために使用される反応物質は、窒素を含む。いくつかの実施形態では、酸化シリコンを選択的に堆積させるために使用される反応物質は、元素の酸素、窒素、および水素のうちの二つ以上を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、酸化シリコンを選択的に堆積させるために使用される反応物質は、酸素および窒素を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、酸化シリコンを選択的に堆積させるために使用される反応物質は、水素および窒素を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、酸化シリコンを選択的に堆積させるために使用される反応物質は、アンモニア、アミンもしくはヒドラジン、または酸素含有反応物質、例えば水、オゾンもしくは酸素を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0053】
本開示のいくつかの実施形態では、基材は表面を備える。表面は、第一の材料を含む第一の部分と、第二の材料を含む第二の部分とを備えてもよい。いくつかの実施形態では、第一の部分は20原子%以上の第一の材料を含む、または第一の部分は30原子%以上の第一の材料を含む、または第一の部分は50原子%以上の第一の材料を含む、または第一の部分は70原子%以上の第一の材料を含む、または第一の部分は85原子%以上の第一の材料を含む。第一の部分は、90原子%以上の第一の材料、または95原子%以上の第一の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、第一の部分は、本質的に第一の材料からなるか、または第一の材料からなることができる。同様に、いくつかの実施形態では、第二の部分は20原子%以上の第二の材料を含む、または第二の部分は30原子%以上の第二の材料を含む、または第二の部分は50原子%以上の第二の材料を含む、または第二の部分は70原子%以上の第二の材料を含む、または第二の部分は85原子%以上の第二の材料を含む。第二の部分は、90原子%以上の第二の材料、または95原子%以上の第二の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、第二の部分は、本質的に第二の材料からなるか、または第二の材料からなることができる。
【0054】
第一の部分および第二の部分は、任意の好適なパターンとして配置されてもよい。例えば、第一の部分および第二の部分は、交互の線であってもよく、または一方の部分は、平面図または3D図で他方の部分を囲むことができる。第一の部分およびセクション部分は同一平面上であってもよく、第一の部分は第二の部分に対して隆起してもよく、または第二の部分は第一の部分に対して隆起してもよい。第一および第二の部分は、一つまたは複数の反応チャンバーを使用して形成され得る。パターン形成された構造体は、任意の好適な基材上に設けられることができる。
【0055】
第一の材料または第二の材料は、第一の部分および/または第二の部分上に選択的に堆積されてもよい。第一の材料および/または第二の材料は、それらが堆積された後に処理(後処理)されてもよい。
【0056】
第一の材料は誘電体を含んでもよい。誘電体は、酸化シリコン(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、シリコンオキシカーバイド(SiOC)、酸窒化ケイ素(SiON)、シリコンオキシカーボナイトライド(SiOCN)、または低誘電率材料、例えばSiOCもしくはSiOCHもしくはSiOHもしくは炭素系層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、誘電体は、酸化シリコン、窒化ケイ素、シリコンオキシカーバイド(SiOC)、シリコンオキシカーボナイトライド(SiOCN)または低誘電率材料から本質的になる、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、第一の材料は、炭化ケイ素である。第一の材料は、SiGeOx、GeOx、AlSiOx、HfSiOx、LaSiOx、LaHfSiOxなどを含むが、これらに限定されない金属含有酸化シリコン化合物または金属ケイ酸塩を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなってもよい。
【0057】
第一の材料は、窒化チタン、窒化タンタル、窒化アルミニウム、窒化チタンアルミニウム、窒化ガリウム、およびインジウムまたはアルミニウムまたはガリウムを含む窒化物合金を含むがこれらに限定されない金属窒化物を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなってもよい。第一の材料は、炭化チタン、炭化タングステン、炭化タンタルおよび炭化ニオブを含むがこれらに限定されない金属炭化物を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなってもよい。第一の材料は、ホウ化ニオブ、ホウ素ドープシリコン、ホウ化チタン、ホウ化バナジウム、ホウ化ランタンおよびホウ化コバルトを含むがこれらに限定されない金属ホウ化物を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなってもよい。
【0058】
第一の材料は、銅、ルテニウム、コバルト、ニオブ、タングステン、チタン、タンタル、イリジウム、金、アルミニウム、鉄、ニッケル、モリブデン、レニウム、マンガンおよびバナジウムを含むがこれらに限定されない金属または金属の合金を含んでもよい。さらに、第一の材料は、金属酸化物、例えば、酸化銅、酸化ルテニウム、酸化コバルト、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化イリジウム、酸化金、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化モリブデン、酸化レニウム、酸化マンガン、酸化バナジウムを含んでもよい。
【0059】
第二の材料は、有機材料を含んでもよい。例えば、有機材料は有機ポリマーであってもよい。いくつかの実施形態では、有機材料は、本質的に炭素および水素からなる、またはそれらからなるが、いくつかの実施形態では、有機材料は、実質的に炭素、酸素、および水素のみを含む。いくつかの実施形態では、有機材料は、炭素、窒素、および水素から本質的になる。さらに別の実施形態では、有機材料は、炭素、酸素、窒素、および水素から本質的になる、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、有機材料は、炭素、窒素、硫黄および水素、または炭素、酸素、硫黄および水素から本質的になる、またはそれらからなるが、いくつかの実施形態では、有機材料は、炭素、酸素、窒素、硫黄、および水素から本質的になる、またはそれらからなる。
【0060】
いくつかの実施形態では、第二の材料は、一つまたは複数のSAM(自己整合単層)を含んでもよい。一つまたは複数のSAMは、気相SAMであってもよい。一つまたは複数のSAMは、液相SAMであってもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、酸化シリコンは、金属もしくは金属合金または有機パッシベーションを備える金属酸化物に対して、誘電体材料上に選択的に堆積される。いくつかの実施形態では、酸化シリコンは、何らかの有機パッシベーションを備えるシリコンに比較して、酸素含有シリコン層上に選択的に堆積される。いくつかの実施形態では、酸化シリコンは、有機パッシベーションを備える誘電体膜に対して、金属または金属合金または金属酸化物上に選択的に堆積される。いくつかの実施形態において、パッシベーションは、パッシベーション層として存在する。
【0062】
本開示による有機材料の例としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)が挙げられるが、これらに限定されない。有機材料の別の例は、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリチオ尿素、ポリエステル、ポリイミン、ポリアミド酸、および上記材料のその他のポリマー形態または混合物である。いくつかの実施形態では、有機材料は、処理プロセスによって変換または重合することができるポリマー膜の前駆体材料を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなってもよい。例えば、堆積させた状態の有機材料は、ポリイミドまたはポリアミドを含んでもよい。いくつかの実施形態では、堆積された有機材料は、不完全な反応から生じるポリイミド膜を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなってもよい。いくつかの実施形態では、堆積された有機膜は、何らかのポリアミド酸を含むポリイミドを含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなってもよい。いくつかの実施形態では、ポリアミド酸は、ポリイミドに変換される。当該技術分野で公知の変換プロセスには、アニーリング、プラズマ(例えば、不活性ガスを使用する)、化学処理(例えば、無水物を使用する)、UV処理、および他の堆積後処理が含まれる。
【0063】
本開示のいくつかの実施形態では、第二の材料は、パッシベーション剤を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなってもよい。換言すると、第二の部分はパッシベーション剤を含んでもよい。パッシベーション剤は、基材上の堆積可能な材料の堆積または成長を阻害する可能性がある、物質、化合物、または化合物の混合物である。様々なパッシベーション剤が当該技術分野で公知である。いくつかのパッシベーション剤は、有機材料を含む。いくつかの実施形態では、パッシベーション剤は、本開示による有機材料である。換言すると、有機材料は、有機パッシベーション剤として機能することができる。
【0064】
本開示による方法では、酸化シリコンは、第二の部分に対して第一の部分上に選択的に堆積される。選択性は、[(第一の表面上の堆積)-(第二の表面上の堆積)]/(第一の表面上の堆積)として計算される割合として表されることができる。堆積は、異なる方法で測定されることができる。いくつかの実施形態では、堆積は堆積させた材料の測定された厚さとして示されてもよい。いくつかの実施形態では、堆積は堆積された材料の測定された量として与えられてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、選択性は、約10%超、約35%超、または約50%超である。いくつかの実施形態では、選択性は、約75%超、約85%超、約90%超、または約93%超である。いくつかの実施形態では、選択性は、約95%超、約98%超、約99%超、または約99.5%超である。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、選択性は堆積の持続時間または厚さによって変化することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、酸化シリコンの堆積は、第一の部分でのみで発生し、第二の部分上では発生しない。いくつかの実施形態では、第二の部分に対する第一の部分上への堆積は、少なくとも約80%選択的であり、用途によっては十分に選択的である。いくつかの実施形態では、第二の部分に対する第一の部分上への堆積は、少なくとも約50%選択的であり、用途によっては十分に選択的である場合がある。いくつかの実施形態では、第二の部分に対する第一の部分上への堆積は、少なくとも約10%選択的であり、用途によっては十分に選択的である場合がある。
【0067】
いくつかの実施形態では、有機パッシベーション剤であってもよいパッシベーション剤は、反応チャンバー内にシリコン前駆体を供給する前に、第一の部分に対して第二の部分上に選択的に堆積される。いくつかの実施形態では、有機パッシベーション剤であってもよいパッシベーション剤は、反応チャンバー内に反応物質を供給する前に、第一の部分に対して第二の部分上に選択的に堆積される。
【0068】
いくつかの実施形態では、方法は、第一の部分上に酸化シリコンを堆積させた後、有機パッシベーション剤であってもよいパッシベーション剤を選択的に除去することをさらに含む。パッシベーション剤の除去は、第一の部分からの一部の酸化シリコンの除去につながる可能性がある。本開示による方法は、二つ以上のパッシベーション剤の堆積を含んでもよい。例えば、選択性が100%未満である状況では、パッシベーション剤を二回および/またはそれ以上堆積させることが有益である場合がある。このような実施形態では、パッシベーション剤を含む第二の部分上に酸化シリコンの一部の堆積があってもよい。パッシベーション剤の断続的な除去およびその再堆積は、基材の望ましくない領域に堆積された酸化シリコンを除去することによって選択性を向上させることができる。パッシベーション剤の除去は選択的であってもよい。より多くのパッシベーション剤を単に堆積させることは十分であってもよい。
【0069】
本方法のいくつかの実施形態では、一つまたは複数の単位堆積サイクルが実行される。単位堆積サイクルは、反応チャンバー内にシリコン前駆体を供給し、反応チャンバー内に反応物質を供給することを含む。単位堆積サイクルは、追加の段階、例えばパージまたはパッシベーション剤の堆積を含んでもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、金属酸化物および/または金属ケイ酸塩が堆積されてもよい。本開示による金属酸化物または金属ケイ酸塩含有材料は、例えば、パターン形成におけるUV下地層、接着層、または様々な目的のための犠牲層として利用されてもよい。金属酸化物および/または金属ケイ酸塩含有材料は、層を形成することができる。いくつかの実施形態では、金属酸化物は、酸化アルミニウム(例えば、Al)、酸化チタン(例えば、TiO)、酸化タンタル(例えば、Ta)、酸化ニオブ(例えば、NbO、Nb)、酸化タングステン(例えば、Al、WO、W)、酸化ハフニウム(例えば、HfO)、または酸化ジルコニウム(例えば、ZrO)である。金属酸化物および/または金属ケイ酸塩含有材料は、上記のように選択的に堆積されてもよい。酸化シリコンまたは酸化シリコン含有層が金属酸化物および/または金属ケイ酸塩を含む実施形態では、層の酸化シリコン含有量は、金属酸化物および/または金属ケイ酸塩を含まない層と比較して低下してもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、金属前駆体は、アルキルアミド、アミジネート、アルコキシド、アルキル、ハロゲン化物、シクロペンタジエン、およびβ-ジケトネート化合物から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、金属前駆体は、テトラキス(ジメチルアミド)チタン、チタン(IV)イソプロポキシド、ジメチルアルミニウムイソプロポキシド、トリメチルアルミニウム(TMA)、ジエチル亜鉛、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウム(IV)、テトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(IV)、テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(IV)、ジメチルビス(シクロペンタジエニル)ハフニウム(IV)などであってもよい。いくつかの実施形態では、アルキルアミド金属前駆体は、金属、例えばチタン、ガリウム、ゲルマニウム、およびタンタルに対して選択される。いくつかの実施形態では、方法は、反応チャンバー内に金属前駆体を供給することを含む。いくつかの実施形態では、シリコン前駆体、反応物質、および金属前駆体は、反応チャンバー内に交互に順次供給される。酸化シリコンの所望の金属酸化物含有量に応じて、反応チャンバー内に金属前駆体を供給することと、反応チャンバー内にシリコン前駆体を供給することとの間の比を調整してもよい。例えば、反応チャンバー内に金属前駆体を供給することと、反応チャンバー内にシリコン前駆体を供給することとの比は、例えば、1:1、1:2、1:5、1:8、1:10、1:15、1:20、1:30、1:50、1:100、2:1、または5:1、または10:1、または20:1であってもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、本開示によるシリコン前駆体は、トリアセトキシビニルシラン(CAS nr 4130-08-9)を含み、反応物質はTMAを含む。このような実施形態では、堆積温度は、例えば、約200℃~約450℃、例えば、250℃、300℃、または350℃であってもよい。堆積させたケイ酸アルミニウム含有材料の中のシリコンの量は、例えば、約2~約20原子%、例えば、5原子%、10原子%、または15原子%であってもよい。堆積させたケイ酸アルミニウム含有材料の中の炭素の量は、例えば、約0.5~約15原子%、例えば、1原子%、3原子%、または8原子%であってもよい。
【0073】
別の実施形態では、三工程の蒸着プロセス、例えばALDプロセスを使用して、調整可能な組成物で材料を堆積させてもよい。本開示によるシリコン前駆体および反応物質は、有機金属前駆体と組み合わせて、金属ケイ酸塩材料を堆積させることができる。例えば、堆積サイクルは、シリコン前駆体(例えば、四酢酸ケイ素)、金属前駆体(例えば、TMA)、および反応物質(例えば、水)を反応チャンバー内に順次供給することを含んでもよい。一実施形態では、各堆積サイクルは、金属酸化物用および酸化シリコン用の二つのサブサイクルを含む。例えば、金属前駆体(例えば、TMA)および反応物質(例えば、水)は、反応チャンバー内に交互に順次、所定の回数供給されてもよく、その後、シリコン前駆体(例えば、四酢酸ケイ素)および反応物質(例えば、水)は、所定の回数反応チャンバー内に供給される。各サブサイクルが繰り返される回数は、別々に選択されてもよい。例えば、各サブサイクルは、約5~約50回、例えば10、20、または30回、実行されてもよい。サブサイクルの相対量を調節することにより、所望の組成物の材料を得ることができる。いくつかの実施形態では、堆積材料は、5~50原子%のシリコンを含む。いくつかの実施形態では、堆積材料は、2~20原子%の炭素を含む。いくつかの実施形態では、堆積材料は、10~40原子%のアルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、堆積材料は、45~65原子%の酸素を含む。しかし、堆積材料中の各元素の量は、選択されたサイクル方式および堆積条件に依存する。
【0074】
いくつかの実施形態では、金属アルコキシドを使用して、酸化シリコン含有材料を堆積させる速度を増加させてもよい。金属アルコキシド処理は、上記の三工程プロセスとの組み合わせによって使用されてもよい。いくつかの実施形態では、金属アルコキシド、例えばジメチルアルミニウムイソプロポキシドは、堆積速度を改善するために断続的に使用される。例えば、金属アルコキシド反応物質は、別の反応物質を供給することなく、単一のパルスで反応チャンバー内に供給されてもよい。その後、シリコン前駆体および反応物質は、金属アルコキシド反応物質が再び供給される前に所定の回数繰り返されるサブサイクルで供給されてもよい。本開示を任意の特定の理論に限定することなく、金属アルコキシドは、基材表面上のヒドロキシル基の可用性を改善し、基材に対するシリコン前駆体の化学吸着を増強することができる。いくつかの実施形態では、金属アルコキシド反応物質、例えばジメチルアルミニウムイソプロポキシドは、反応チャンバー内に1~20秒間、例えば、2秒、3秒、5秒、または10秒間、供給される(すなわちパルスされる)。いくつかの実施形態では、(例えば、ジメチルアルミニウムイソプロポキシドを含む)金属アルコキシド反応物質が反応チャンバー内に再び供給される前に、反応チャンバー内にシリコン前駆体および反応物質を供給することを含むサブサイクルは、1~50回、例えば5、6、8、10、15、または20回、実行される。
【0075】
金属アルコキシドパルスは、堆積物中にいくつかの金属を残す可能性がある。ジメチルアルミニウムイソプロポキシドを用いることを含む実施形態では、堆積物は、アルミニウムを含有してもよい。いくつかの実施形態では、酸化シリコン含有材料は、約1原子%~約10原子%のアルミニウムを含む。このような材料のシリコン含有量は、約20原子%~約40原子%、例えば、約25原子%、約30原子%、または約35原子%であってもよい。しかし、堆積物中の各元素の量は、選択されたサイクル方式および堆積条件に依存する。
【0076】
金属アルコキシドの使用は、所定の材料堆積速度を達成するために反応物質のパルス時間を短縮する可能性がある。各ジメチルアルミニウムイソプロポキシドパルスの後、シリコン前駆体(四酢酸ケイ素)および反応物質(水)が3~9回パルスされるような、ジメチルアルミニウムイソプロポキシドが金属アルコキシドとして使用される一実施形態では、金属アルコキシドパルスを使用しないプロセスと比較して、堆積温度が20℃低く、反応物質パルスの持続時間が10%未満少ないにもかかわらず、各シリコンパルスあたりの堆積速度は少なくとも2倍になる。したがって、金属アルコキシド反応物質を用いる場合、堆積温度を下げることが可能である可能性がある。いくつかの実施形態では、堆積温度は、約50℃~約200℃、例えば、約60℃、または約80℃、または約100℃であってもよい。金属アルコキシド反応物質を使用する場合、パッシベーション層上での核形成が減少するように、堆積プロセスの選択性が改善される可能性がある。
【0077】
別の態様では、基材上に酸化シリコンを堆積させるための堆積アセンブリが開示される。堆積アセンブリは、基材を保持するように構成および配置される反応チャンバーと、前駆体および/または反応物質を反応チャンバー内に供給するように構成および配置される前駆体インジェクターシステムと、を備える。堆積アセンブリは、少なくとも一つの酸素原子に結合するシリコン原子を含むシリコン前駆体を収容し、蒸発させるように構成および配置される前駆体容器を備え、少なくとも一つの酸素原子は炭素原子に結合する。アセンブリは、前駆体インジェクターシステムを介して反応チャンバーにシリコン前駆体を供給し、基材上に酸化シリコンを堆積させるように構成および配置される。
【0078】
堆積アセンブリのいくつかの実施形態では、容器は、シリコン前駆体を蒸発させるように構成および配置される気化器を備える。いくつかの実施形態では、気化器は、65℃~250℃の温度でシリコン前駆体を蒸発させるように構成および配置される。いくつかの実施形態では、本開示による気化器は、気化器の表面が熱ヒーターと直接接触しない気化器である。このような気化器は、放射に基づく加熱が使用される実施形態において、加熱の均一性を向上させることができる。いくつかの実施形態では、気化器は、吊り下げ式気化器(suspended vaporizer)であってもよい。このような気化器では、例えば、二つの金属表面の間に直接的な熱接触はない。
【0079】
いくつかの実施形態では、容器の温度を安定させるために、分離されたジャケットを容器の周りに配置してもよい。これは、表面温度の変動を低減することができる。いくつかの実施形態では、気化器の内面は、金属以外の材料であってもよい。気化器の内面のうちの少なくとも一つは、ポリマーコーティングまたは高性能な熱可塑性物質(HTP)を備えてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、堆積装置は、反応チャンバー内の圧力を50Torr未満に排気するように構成および配置されるポンプを備える。いくつかの実施形態では、堆積装置は、反応チャンバー内の温度を65℃~500℃の間に制御するように構成および配置されるヒーターを備える。
【0081】
図面の詳細な説明
図1Aは、本開示の少なくとも一つの実施形態による酸化シリコンを堆積させる方法100を例示する。方法100は、反応チャンバー内に基材を供給すること(102)と、反応チャンバー内に本開示によるシリコン前駆体を供給すること(104)と、反応チャンバー内に水素原子を含む反応物質を供給すること(106)と、を含む。
【0082】
工程102の間、基材は反応器の反応チャンバー内に供給される。反応チャンバーは、原子層堆積(ALD)反応器の一部を形成することができる。反応器は、枚葉式反応器であってもよい。あるいは、反応器はバッチ反応器であってもよい。方法100の様々な段階は、単一の反応チャンバー内で実行されることができるか、またはそれらは複数の反応チャンバー内、例えばクラスタツールの反応チャンバー内で実行されることができる。いくつかの実施形態では、方法100は、クラスタツールの単一の反応チャンバー内で実行されるが、他の前もしくは後続の、構造体またはデバイスの製造工程は、同じクラスタツールの別の反応チャンバー内で実行される。必要に応じて、反応チャンバーを備える反応器は、一つもしくは複数の基材および/または反応物質および/または前駆体の温度を上昇させることによって反応を活性化させるヒーターを設けることができる。
【0083】
工程102の間、反応チャンバー内にシリコン前駆体を供給する(104)ため、および/または反応チャンバー内に反応物質を供給する(106)ために、基材を所望の温度および圧力にすることができる。反応チャンバー内の(例えば、基材または基材支持体の)温度は、例えば、約100℃~約450℃、または約150℃~約400℃とすることができる。別の例として、反応チャンバー内の温度は、約200℃~約400℃、または約300℃~約350℃とすることができる。反応チャンバー内の例示的な温度は、75℃、125℃、175℃、225℃、275℃、325℃、および375℃である。
【0084】
反応チャンバー内の圧力は、約0.001Torr、または0.01Torr未満、0.1Torr未満、10Torr未満、または50Torr未満とすることができる。
【0085】
基材を備える反応チャンバー(104)内に、シリコン前駆体が供給される。あらゆる特定の理論に本開示を制限することなく、シリコン前駆体は、反応チャンバー内にシリコン前駆体を供給する間(104)に、基材上に化学吸着する場合がある。反応チャンバー内にシリコン前駆体を供給する持続時間(シリコン前駆体パルス時間)は、例えば、0.5秒、1秒、1.5秒、2秒、2.5秒、3秒、3.5秒、4秒、4.5秒、または5秒であってもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバー内にシリコン前駆体を供給する持続時間(シリコン前駆体パルス時間)は、5秒超もしくは10秒超、または約20秒であってもよい。
【0086】
反応物質が反応チャンバー内に供給される(106)場合、化学吸着されたシリコン前駆体またはその誘導体種と反応して、酸化シリコンを形成することができる。反応チャンバー内に反応物質を供給する持続時間(反応物質パルス時間)は、例えば、0.5秒、1秒、1.5秒、2秒、2.5秒、3秒、3.5秒、4秒、4.5秒、5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、11秒、または12秒とすることができる。いくつかの実施形態では、反応チャンバー内に反応物質を供給する持続時間は、15秒超もしくは20秒超、または約30秒である。あらゆる特定の理論に本開示を制限することなく、反応物質パルスは、シリコン前駆体パルスよりも短くてもよい。
【0087】
段階104および106は、任意の順序で実行され、堆積サイクルを形成し、結果として酸化シリコンの堆積をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、酸化シリコンの堆積の二つの段階、すなわち、シリコン前駆体および反応物質を反応チャンバー内に供給すること(104および106)は、繰り返されてもよい(ループ108)。このような実施形態は、いくつかの堆積サイクルを含む。堆積させた酸化シリコンの厚さは、堆積サイクルの数を調整することによって調節されてもよい。堆積サイクル(ループ108)は、所望の酸化シリコンの厚さが達成されるまで繰り返されてもよい。例えば、50、100、150、200、250、300、400、500、600、700、800、または900回の堆積サイクルを実行することができる。
【0088】
1サイクル中に堆積される酸化シリコンの量(サイクル当たりの成長)は、プロセス条件に応じて異なり、例えば、0.03Å/サイクル、0.05Å/サイクル、0.1Å/サイクル、0.15Å/サイクル、0.2Å/サイクル、0.25Å/サイクル、または0.3Å/サイクル、1Å/サイクル、3Å/サイクル、または5Å/サイクルであってもよい。堆積条件、堆積サイクル数等に応じて、酸化シリコンまたは酸化シリコンを含有する可変の厚さの層を堆積させることができる。例えば、酸化シリコン層または酸化シリコン含有層は、約0.3nm~30nm、例えば、約0.5nm、1nm、1.5nm、2nm、2.5nm、3nm、3.5nm、4nm、4.5nm、5nm、6nm、7nm、8nm、10nm、15nm、20nm、または25nmの厚さを有することができる。所望の厚さは、問題になっている用途に従って選択されることができる。
【0089】
シリコン前駆体および反応物質は、別個の工程(104および106)で反応チャンバー内に供給されてもよい。図1Bは、本開示による一実施形態を示しており、工程104および106はパージ工程105および107によって分離されている。このような実施形態では、堆積サイクルは、一つまたは複数のパージ工程(103、105)を含む。パージ工程中、前駆体および/または反応物質は、不活性ガス、例えば、アルゴン(Ar)、窒素(N)、もしくはヘリウム(He)、および/または真空圧力によって互いに時間的に分離されることができる。
【0090】
反応チャンバー(103、105)をパージすることは、シリコン前駆体と反応物質との間の気相反応を防止または緩和し、自己飽和表面反応を可能にすることができる。過剰な化学物質および反応副生成物がある場合には、基材を次の反応性化学物質と接触させる前に、それらは、例えば反応チャンバーをパージすることによりまたは基材を移動させることにより、基材の表面から除去される。しかし、いくつかの実施形態では、基材を移動させて、シリコン前駆体および反応物質に、別々に接触させることができる。反応が自己飽和するので、基材の厳密な温度制御および前駆体の正確なドーズ量制御は必要でない場合もある。しかし、基材温度は、入射ガス種が単層または多層に凝縮しないように、および表面で熱分解しないようにすることが好ましい。
【0091】
図2は、本開示の選択的な実施形態の概略図である。上記のように、工程102の間に供給される基材は、第一の部分および第二の部分を備える表面を備えることができる。図2の例示的な実施形態では、第一の部分202および第二の部分204を有する表面を備える基材200が示される。基材200は、表面下に別の層を備えてもよい。パネルa)では、基材の表面は、第一の部分202および第二の部分204によって形成される。第一の部分202は、第一の材料を含むか、本質的に第一の材料からなるか、または第一の材料からなる。第二の部分204は、第二の材料を含むか、本質的に第二の材料からなる、または第二の材料からなる。第一の材料と第二の材料は異なる材料である。第一および第二の材料のそれぞれは、例えば、SiO、SiN、SiOC、SiON、SiOCN、または低誘電率材料であってもよい。第一および第二の材料は、金属含有酸化シリコン、金属窒化物、金属ホウ化物もしくは金属炭化物、金属もしくは金属合金、または金属酸化物であってもよい。図2の図では、第一の部分202および第二の部分204は、同じ垂直方向の高さにある。しかし、実際には、第一および第二の部分202、204は異なる高さにあってもよい。
【0092】
図2のパネルb)では、第二の部分204はパッシベーション剤206を備える。パッシベーション剤206は、有機材料を含んでもよい。パッシベーション剤206は、有機パッシベーション剤であってもよい。パネルb)では、基材の表面は、第一の部分202、およびパッシベーション剤206によって覆われた第二の部分204によって形成される。
【0093】
図2のパネルc)では、本開示による酸化シリコン208は、第一の部分202上に選択的に堆積されている。酸化シリコン208の堆積は、一つまたは複数の堆積サイクルで行われてもよい。パッシベーション剤および酸化シリコン層の相対的厚さは、図に示すものとは異なってもよい。図2の例示的な実施形態では、酸化シリコン208を基材200上に堆積させる前に、パッシベーション剤206を基材上に堆積させる。図2の概略図には示されていないが、いくつかの実施形態では、パッシベーション剤206上に酸化シリコン208の一部の堆積があってもよい。しかし、ほとんどの実施形態では、パッシベーション剤206上の酸化シリコン208の成長は、第一の部分202上でよりも著しく遅い。
【0094】
図2のパネルd)は、パッシベーション剤206が第二の部分204から除去された後の基材200を示す。酸化シリコンがある程度パッシベーション剤206上に堆積する実施形態では、パッシベーション剤206の除去はまた、その上に堆積された全ての酸化シリコンを除去する。パッシベーション剤206の除去後、第二の部分204は、第一の表面202上に堆積された酸化シリコン208と共に、パッシベーション剤206なしで基材200の表面を形成する。図2に示す方法の後に、別の堆積方法および/または処理が続く場合がある。さらに、図2には示されていないが、酸化シリコンのパッシベーションおよび堆積が繰り返されてもよい。
【0095】
図3は、基材の第二の部分がパッシベーション剤によって繰り返しパッシベーション化されてもよい、酸化シリコンを堆積させる方法300の図である。最初に、反応チャンバー内に基材が供給される(302)。基材は、上記のように第一の部分および第二の部分を備える。図3の実施形態では、基材の第二の表面は、パッシベーション剤によってパッシベーション化される(303)。パッシベーション剤は、表面上に堆積されてもよい。いくつかの他の実施形態では、パッシベーション剤は、反応チャンバー内に基材を供給する(302)前に、ある段階で表面上に導入される。換言すると、基材は、クラスタツールの別の反応チャンバー内でパッシベーション化されてもよい。パッシベーションはまた、別のツールで行われてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、パッシベーション剤は有機パッシベーション剤である。しかし、当技術分野で公知の任意の好適なパッシベーション剤またはパッシベーション方法を使用してもよい。パッシベーション方法の選択は、当業者にとって明らかであるように、第一および第二の部分の特性に依存してもよい。第二の表面がパッシベーション化された(303)後、酸化シリコンが第一の表面上に選択的に堆積される(304~307)。上記のように、酸化シリコンの堆積は、シリコン前駆体および反応物質を交互に順次反応チャンバー内に供給すること(304、306)を含むことができる。反応チャンバーは、反応チャンバー内に、シリコン前駆体を供給した後、および/または反応物質を供給した後に、パージされてもよい(305、307)。堆積サイクルは、酸化シリコンの所望の厚さおよび/または層カバレッジが達成されるまで繰り返されること(ループ308)ができる。
【0097】
一つまたは複数の酸化シリコンの堆積サイクルの後、パッシベーション剤を基材表面の第二の部分から除去(309)してもよい。いくつかの実施形態では、酸化シリコンの堆積は、パッシベーション剤が第二の部分から除去(309)される前に完了する。いくつかの実施形態では、別のパッシベーション剤の除去(309)は不要であり、基材処理はそれなしで継続することができる。いくつかの実施形態では、パッシベーション剤の除去(309)は、酸化シリコンの堆積が完了する前に行われてもよい。このような実施形態では、基材表面の第二の部分は、再びパッシベーション化されてもよい(ループ310)。パッシベーション剤の除去の頻度は、プロセスの詳細に応じて異なり、当業者によって決定されることができる。しかし、特定の実施形態では、第二の表面と第一の表面の構成は、パッシベーションを繰り返すことなく、酸化シリコンの堆積を継続してもよい。
【0098】
図4は、基材上に酸化シリコンを堆積させるための堆積アセンブリ400の概略的に示される例示的な実施形態である。堆積アセンブリ400を使用して、本開示による方法を実行し、および/または本開示による構造体またはデバイス部分を形成することができる。例示の実施例では、堆積アセンブリ400は、基材を保持するように構成および配置される一つまたは複数の反応チャンバー402と、前駆体および/または反応物質を反応チャンバー402内に供給するように構成および配置される前駆体インジェクターシステム401と、を備える。反応チャンバー402は、任意の好適な反応チャンバー、例えばALDまたはCVD反応チャンバーを備えることができる。堆積アセンブリ400は、反応チャンバー内の温度を65℃~500℃の間に制御するように構成および配置されるヒーターを備えてもよい。
【0099】
堆積アセンブリは、少なくとも一つの酸素原子に結合するシリコン原子を含むシリコン前駆体を収容し、蒸発させるように構成および配置される前駆体容器404をさらに備え、少なくとも一つの酸素原子は炭素原子に結合する。堆積アセンブリ400は、本開示に従って、前駆体インジェクターシステム401を介して反応チャンバー402に前駆体を供給し、基材上に酸化シリコンを堆積させるように構成および配置される。
【0100】
堆積アセンブリ400の前駆体インジェクターシステム401は、反応物質源406、任意のパージガス源408、排気源410、およびコントローラー412をさらに備える。シリコン前駆体源404は、容器、および本開示に記載の一つもしくは複数のシリコン前駆体を、単独で、または一つもしくは複数のキャリア(例えば、不活性)ガスと混合して含むことができる。反応物質源406は、容器、および本開示による一つもしくは複数の反応物質を、単独で、または一つもしくは複数のキャリアガスと混合して含むことができる。一方または両方の容器は、本開示に従って、シリコン前駆体または反応物質をそれぞれ蒸発させるように構成および配置される気化器を備えてもよい。気化器は、シリコン前駆体または反応物質を、それぞれ好適な温度で蒸発させるように構成および配置されてもよい。シリコン前駆体に好適な温度は、例えば、60℃~500℃とすることができる。パージガス源408は、本明細書に記載の一つまたは複数の不活性ガスを含むことができる。三つのガス源404~408で例示されているが、堆積アセンブリ400は任意の好適な数のガス源を備えることができる。ガス源404~408は、それぞれがフローコントローラ、バルブ、ヒーターなどを備えることができるライン414~418を介して、反応チャンバー402に連結することができる。堆積装置400は、反応チャンバー内の圧力を50Torr未満に排気するように構成および配置されるポンプを備えてもよい。ポンプは、排気源410に備えられてもよい。排気源410は、一つまたは複数の真空ポンプを備えてもよい。
【0101】
コントローラー412は、バルブ、マニホールド、ヒーター、ポンプ、および堆積アセンブリ400に備えられる他の構成要素を動作させる電子回路およびソフトウェアを備える。このような回路および構成要素は、一つまたは複数の前駆体、反応物質、およびパージガスを、それぞれの供給源404~408から導入するように動作する。コントローラー412は、ガスパルスシーケンスのタイミング、基材および/または反応チャンバーの温度、反応チャンバー内の圧力、ならびに様々な他の動作を制御して、堆積アセンブリ400を適切に動作させることができる。コントローラー412は、反応チャンバー402内外への前駆体、反応物質、およびパージガスの流れを制御するために、バルブを電気的にまたは空気圧で制御する制御ソフトウェアを備えることができる。コントローラー412は、モジュール、例えば、特定のタスクを実行するソフトウェアまたはハードウェアコンポーネントを備えることができる。モジュールは、有利には、制御システムのアドレス指定可能な記憶媒体上に存在するように構成され、一つまたは複数のプロセスを実行するように構成され得る。
【0102】
異なる数および種類の前駆体源および反応物質源ならびにパージガス源を備える、堆積アセンブリ400の他の構成が可能である。さらに、反応チャンバー402内への好適なガスの供給という目的を達成するために使用されることができるバルブ、導管、前駆体源、およびパージガス源の多くの配置があることが理解されるであろう。さらに、アセンブリの概略図として、説明を簡単にするために多くの構成要素が省略されている。このような構成要素としては、安全装置だけでなく、例えば、様々なバルブ、マニホールド、精製器、ヒーター、容器、通気孔、および/またはバイパス、を挙げることができる。
【0103】
堆積アセンブリ400の作動中に、基材、例えば半導体ウェーハ(図示せず)が、例えば基材ハンドリングシステムから反応チャンバー402へ搬送される。基材が反応チャンバー402に搬送されると、ガス源404~408からの一つまたは複数のガス、例えば前駆体、反応物質、キャリアガス、および/またはパージガスは、反応チャンバー402の中に導入される。
【符号の説明】
【0104】
200 基材
202 第一の部分
204 第二の部分
206 パッシベーション剤
208 酸化シリコン
400 堆積アセンブリ
401 前駆体インジェクターシステム
402 反応チャンバー
404 シリコン前駆体源、前駆体容器
406 反応物質源
408 パージガス源
410 排気源
412 コントローラー
414、416、418 ライン
図1A
図1B
図2
図3
図4
【外国語明細書】