(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050685
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】変位計測方法および変位計測システム
(51)【国際特許分類】
G01S 19/51 20100101AFI20220323BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20220323BHJP
G01S 19/43 20100101ALI20220323BHJP
【FI】
G01S19/51
G01C15/00 102C
G01S19/43
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009637
(22)【出願日】2022-01-25
(62)【分割の表示】P 2017079210の分割
【原出願日】2017-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 範洋
(72)【発明者】
【氏名】横島 喬
(72)【発明者】
【氏名】久保 信明
(57)【要約】
【課題】構造物等を含めた比較的安定した物体の頂部のみならず、側部の変位測定のための精度を向上した変位計測方法および変位計測システムを提供する。
【解決手段】複数の測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測する方法であって、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面の1点に設置した衛星信号受信機、もしくは、外面の互いに異なる位置に複数設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面または地盤上を含む外面以外の位置に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位ステップを備え、相対測位ステップは、複数の測位衛星のうち相対測位に利用する所定の測位衛星を選択し、選択した測位衛星からの衛星信号を用いて前記変位を相対測位により取得するようにする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測する方法であって、
構造物等を含めた比較的安定した物体の外面の1点に設置した衛星信号受信機、もしくは、外面の互いに異なる位置に複数設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面または地盤上を含む外面以外の位置に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位ステップを備え、
相対測位ステップは、複数の測位衛星のうち相対測位に利用する所定の測位衛星を選択し、選択した測位衛星からの衛星信号を用いて前記変位を相対測位により取得することを特徴とする変位計測方法。
【請求項2】
複数の測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測するシステムであって、
構造物等を含めた比較的安定した物体の外面の1点に設置した衛星信号受信機、もしくは、外面の互いに異なる位置に複数設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面または地盤上を含む外面以外の位置に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位手段を備え、
相対測位手段は、複数の測位衛星のうち相対測位に利用する所定の測位衛星を選択し、選択した測位衛星からの衛星信号を用いて前記変位を相対測位により取得することを特徴とする変位計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星測位システムを用いた変位計測方法および変位計測システムに関し、特に構造物等を含めた比較的安定した物体の側面の変位計測のための精度向上技術および精度向上システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衛星測位システムによる構造物の変位等計測に際しては、一般に米国のGPS(Global Positioning System:衛星測位システム)衛星を利用する方法が主流であった。例えば、構造物の周辺地盤の固定点に設置したGPS受信機と、構造物上の観測点に設置したGPS受信機との間の相対測位により、構造物の変位等を計測する方法が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。しかし、米国のGPS衛星の数にも限りがあり、利用に際して以下のような制約や課題がある。
【0003】
(1)測位解析に必要なGPS衛星を捕捉するために衛星測位機器からの仰角を15°以上に保つことが必要である。
(2)そのため、構造物等が過密で上空視野を確保し難い都市部などでは、衛星測位機器の設置場所は構造物等の屋上に限定される。すなわち構造物等の屋上周辺の変位計測しかできない。
(3)しかし屋上にも様々な設備が配置され、衛星測位機器の設置場所は制限される。
(4)仮に屋上に衛星測位機器を設置できたとしても、屋上の他の設備や周辺のビルのマルチパスの影響を受け正確な変位計測を妨げるおそれがある。
【0004】
従来はこうした課題により、構造物等の壁面測位に着目することもなかった。
【0005】
一方、GPS衛星を利用した測位技術に関して、本出願人のうち一人は特許文献3に示すような技術を既に提案している。この技術は、簡単かつ確実な方法によってマルチパスの影響を受けた衛星信号を判別し、移動局の測定位置を補正するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-197344号公報
【特許文献2】特開2008-76117号公報
【特許文献3】特許第5232994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで現在、米国のGPS衛星のみならず、ロシア、欧州、中国、日本の衛星測位システム(以下、これら全てを総称してGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)と呼ぶ。)が運用されており、衛星測位機器で測位すると30前後のGNSS衛星からの信号を受信可能である。今後各国のGNSS衛星数の増加が見込まれ、さらに日本の準天頂衛星数の増加により、高仰角からの信号の取得も容易となる。衛星数の増加とともに上記の課題は容易に解決できると思われがちであるが、逆に衛星数の増加とともにマルチパス増大という課題も生じることから、その解決策が期待されていた。
【0008】
そこで本発明者は、「構造物等を含めた比較的安定した物体等は、構造物等を含めた比較的安定した物体等の周辺で行う各種測位にマルチパスを与える邪魔者と認識されることが多いが、GNSS測位機器を構造物等を含めた比較的安定した物体の壁面に直接設置すると、逆に構造物等を含めた比較的安定した物体等からのマルチパスが減り、構造物等を含めた比較的安定した物体等の変位計測には有効である」という点に着目して、構造物等の屋上のみならず、壁面の変位計測も可能とする以下の本発明に至った。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、特に構造物等を含めた比較的安定した物体の、頂部(屋上)のみならず、側面の変位計測のための精度を向上した変位計測方法および変位計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る変位計測方法は、複数の測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測する方法であって、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面の1点に設置した衛星信号受信機、もしくは、外面の互いに異なる位置に複数設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面または地盤上を含む外面以外の位置に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位ステップを備え、相対測位ステップは、複数の測位衛星のうち相対測位に利用する所定の測位衛星を選択し、選択した測位衛星からの衛星信号を用いて前記変位を相対測位により取得することを特徴とする。
相対測位は一般に固定点の正確な位置を取得した後(既知点)、この既知点と観測点(未知点)で同時に単独測位を行い、共通誤差を相殺して未知点の測位を行う方法である。共通誤差として座標値を利用する場合と、測位衛星の送信電波の波長を利用する場合がある。前者は座標が既知である固定点のGNSS測位機器で観測された座標の誤差を未知点のGNSS測位機器に送り、未知点の測定座標から差し引いて補正し精度を改善させる。後者は干渉測位と呼ばれ、測位の物差しとしてGNSS衛星の送信電波の波長を用いる。以下、測位の物差しとしてGNSS衛星の送信電波の波長を用いた内容で説明する。
【0011】
また、本発明に係る他の変位計測方法は、上述した発明において、固定点と観測点との波長を用いた相対測位ステップと、固定点と観測点における衛星信号の受信強度を測定して、各衛星信号について固定点における受信強度と観測点における受信強度を比較し、固定点における受信強度と観測点における受信強度の差が所定の閾値以上である衛星信号について観測点の搬送波位相を算出するステップと、搬送波位相の算出中に測位衛星からの衛星信号を連続して受信できない場合はマルチパスとして検出し、算出した搬送波位相が所定の閾値以上である場合は、衛星信号を測位用衛星信号から除くステップと、測位用衛星信号のみを用いて観測点の位置を算出するステップと、算出した観測点の位置を前記位置補正用データによって補正するステップを有し、補正した観測点の位置に基づいて前記変位を取得することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他の変位計測方法は、上述した発明において、相対測位ステップは、衛星信号の搬送波位相のアンビギュイティを固定点または観測点の位置に基づいて決定するステップと、アンビギュイティを保持するステップと、衛星信号受信機が出力する搬送波位相のサイクルスリップ情報に基づいて相対測位するステップの少なくとも一つを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る変位計測システムは、複数の測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物の変位を計測するシステムであって、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面の1点に設置した衛星信号受信機、もしくは、外面の互いに異なる位置に複数設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面または地盤上を含む外面以外の位置に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位手段を備え、相対測位手段は、複数の測位衛星のうち相対測位に利用する所定の測位衛星を選択し、選択した測位衛星からの衛星信号を用いて前記変位を相対測位により取得することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る他の変位計測システムは、上述した発明において、相対測位手段は、固定点と観測点における衛星信号の受信強度を測定して、各衛星信号について固定点における受信強度と観測点における受信強度を比較し、固定点における受信強度と観測点における受信強度の差が所定の閾値以上である衛星信号について観測点の搬送波位相を算出する手段と、搬送波位相の算出中に測位衛星からの衛星信号を連続して受信できない場合はマルチパスとして検出し、算出した搬送波位相が所定の閾値以上である場合は、衛星信号を測位用衛星信号から除く手段と、測位用衛星信号のみを用いて観測点の位置を算出する手段と、算出した観測点の位置を前記位置補正用データによって補正する手段を有し、補正した観測点の位置に基づいて前記変位を取得することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る他の変位計測システムは、上述した発明において、相対測位手段は、衛星信号の搬送波位相のアンビギュイティを固定点または観測点の位置に基づいて決定する手段と、アンビギュイティを保持する手段と、衛星信号受信機が出力する搬送波位相のサイクルスリップ情報に基づいて相対測位する手段の少なくとも一つを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る変位計測方法によれば、複数の測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測する方法であって、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面の1点に設置した衛星信号受信機、もしくは、外面の互いに異なる位置に複数設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面または地盤上を含む外面以外の位置に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位ステップを備え、相対測位ステップは、複数の測位衛星のうち相対測位に利用する所定の測位衛星を選択し、選択した測位衛星からの衛星信号を用いて前記変位を相対測位により取得するので、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面に設置した観測点変位を精度よく計測することができるという効果を奏する。このため、本発明は、過密した環境に設置されている構造物等を含めた比較的安定した物体の頂部(屋上)のみならず、側部(壁面)の変位・変形等を監視するのに好適である。
【0017】
また、本発明に係る他の変位計測方法によれば、固定点と観測点における衛星信号の受信強度を測定して、各衛星信号について固定点における受信強度と観測点における受信強度を比較し、固定点における受信強度と観測点における受信強度の差が所定の閾値以上である衛星信号について観測点の搬送波位相を算出するステップと、搬送波位相の算出中に測位衛星からの衛星信号を連続して受信できない場合はマルチパスとして検出し、算出した搬送波位相が所定の閾値以上である場合は、衛星信号を測位用衛星信号から除くステップと、測位用衛星信号のみを用いて観測点の位置を算出するステップと、算出した観測点の位置を前記位置補正用データによって補正するステップを有し、補正した観測点の位置に基づいて前記変位を取得するので、簡単かつ確実な方法によってマルチパスの影響を受けた衛星信号を判別して、観測点の位置を補正することにより、高精度な変位計測を実現することができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明に係る他の変位計測方法によれば、相対測位ステップは、衛星信号の搬送波位相のアンビギュイティを固定点または観測点の位置に基づいて決定するステップと、アンビギュイティを保持するステップと、衛星信号受信機が出力する搬送波位相のサイクルスリップ情報に基づいて相対測位するステップの少なくとも一つを有するので、高精度な変位計測を実現することができるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明に係る変位計測システムによれば、複数の測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物の変位を計測するシステムであって、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面の1点に設置した衛星信号受信機、もしくは、外面の互いに異なる位置に複数設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面または地盤上を含む外面以外の位置に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位手段を備え、相対測位手段は、複数の測位衛星のうち相対測位に利用する所定の測位衛星を選択し、選択した測位衛星からの衛星信号を用いて前記変位を相対測位により取得するので、構造物等を含めた比較的安定した物体に設置した観測点のみで構造物の外面の変位を精度よく計測することができるという効果を奏する。このため、本発明は、過密した環境に設置されている構造物等を含めた比較的安定した物体の頂部(屋上)のみならず、側部(壁面)の変位・変形等を監視するのに好適である。
【0020】
また、本発明に係る他の変位計測システムによれば、相対測位手段は、固定点と観測点における衛星信号の受信強度を測定して、各衛星信号について固定点における受信強度と観測点における受信強度を比較し、固定点における受信強度と観測点における受信強度の差が所定の閾値以上である衛星信号について観測点の搬送波位相を算出する手段と、搬送波位相の算出中に測位衛星からの衛星信号を連続して受信できない場合はマルチパスとして検出し、算出した搬送波位相が所定の閾値以上である場合は、衛星信号を測位用衛星信号から除く手段と、測位用衛星信号のみを用いて観測点の位置を算出する手段と、算出した観測点の位置を前記位置補正用データによって補正する手段により補正した観測点の位置に基づいて前記変位を取得するので、簡単かつ確実な方法によってマルチパスの影響を受けた衛星信号を判別して、観測点の位置を補正することにより、高精度な変位計測を実現することができるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明に係る他の変位計測システムによれば、相対測位手段は、衛星信号の搬送波位相のアンビギュイティを固定点または観測点の位置に基づいて決定する手段と、アンビギュイティを保持する手段と、衛星信号受信機が出力する搬送波位相のサイクルスリップ情報に基づいて相対測位する手段の少なくとも一つを有するので、高精度な変位計測を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明に係る変位計測方法および変位計測システムの実施の形態を示す概略状況図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る変位計測システムの実施の形態を示す概略構成図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る変位計測方法の実施の形態を示す概略フローチャート図である。
【
図4】
図4は、魚眼カメラで見た上空視野および測位衛星の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
上述したように、本発明者は、「構造物等は、構造物等の周辺で行う各種測位にマルチパスを与える邪魔者と認識されることが多いが、GNSS測位機器を、構造物等を含めた比較的安定した物体の壁面に直接設置すると、逆に構造物等を含めた比較的安定した物体からのマルチパスが減り、構造物等を含めた比較的安定した物体の変位計測には有効である」という点に着目して、構造物等を含めた比較的安定した物体の屋上のみならず、壁面の変位計測も可能とする本発明に至った。なお、本発明は、単に構造物等を含めた比較的安定した物体の壁面測位のみならず、構造物等を含めた比較的安定した物体の屋上であっても衛星測位機器の設置場所周辺にマルチパスを生じさせる障害物等がある場合の測位などにも適用可能である。
【0024】
以下に、本発明に係る変位計測方法および変位計測システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、変位を計測・監視する対象の構造物として都市部の過密した環境に設置された中小マンションを、衛星信号受信機としてGNSS測位機器を用いた相対測位を例に説明するが、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
本発明の実施の形態に係る変位計測方法は、複数の測位衛星からの衛星信号を受信するGNSS測位機器(衛星信号受信機)を用いて構造物の変位を計測する方法であって、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面の1点に設置した衛星信号受信機、もしくは、外面の互いに異なる位置に複数設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面または地盤上を含む外面以外の位置に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位ステップを備え、相対測位ステップは、複数の測位衛星のうち相対測位に利用する所定の測位衛星を選択し、選択した測位衛星からの衛星信号を用いて前記変位を相対測位により取得するものである。ここでは、相対測位の中で最も精度が良い搬送波を用いた干渉測位を用いた方法で説明する。
【0026】
より具体的には、GNSS測位機器の設置初期に固定点の座標を決定した後、固定点、観測点全てのGNSS測位機器で同時に観測をして、衛星からの電波到達の差(位相差)を解析し固定点と観測点間の距離を求める。例えばGNSS測位機器を5つ設置する場合には、固定点と他の観測点を1組とカウントしたとき、5組の座標変化や基線長の変化を取得することで、構造物のどの部分に傾斜や沈下が生じているか等を把握できる。
【0027】
次に、GNSS測位機器(観測点)を5つ設置した場合の変位計測システムを例にとり、初期座標設定から観測までの流れを説明する。
【0028】
図1に示すように、中小マンションなどの構造物1の外壁面2の互いに異なる位置に、GNSS衛星からの衛星信号を受信するGNSS測位機器を5台設置し、観測点とし、別の構造物4の上にGNSS測位機器を1台設置し固定点Fとして干渉測位を行う。
図1の例では、道路に面する外壁面2の上下左右の四隅と中央の合計5か所にGNSS測位機器A~Eを設置した場合を示しているが、設置位置、設置数についてはこれに限るものではなく同一構造物につき1点または互いに異なる複数点であればいかなる位置、数であっても構わない。固定点は外壁面2以外に設定してもよく、例えば構造物1の周辺地盤上や他の構造物3の屋上などに設置してもよい。
【0029】
観測点、固定点に設置するGNSS測位機器としては、高性能な2周波GNSS機器、格安な1周波GNSS機器のどちらでもよい。なお、GNSS測位機器A~Eは、図示しない通信装置を通じて遠隔地の計測室のコンピュータに有線または無線通信回線を介して接続しているものとする。
【0030】
図2は、本発明に係る変位計測システム10の概略構成図である。この図に示すように、この変位計測システム10は、計測室に設けられるコンピュータ12を有している。コンピュータ12は、相対測位手段14、報知手段16、警報手段18、記憶手段20、これらを制御する制御手段22を備えている。記憶手段20はGNSS測位機器A~Eから得られた計測データをリアルタイムに記憶・収集する。記憶手段20に記憶・収集されたデータは制御手段22を通じて適宜読み出され、相対測位手段14によって処理されるようになっている。相対測位手段14はGNSS測位機器A~Eどうしの間の時間経過に伴う変位・変形情報を相対測位により取得するものであり、各種解析ソフトウェア、演算手段などで構成される。なお、このコンピュータ12はインターネットに接続している。このため、例えばユーザの要求に応じて、報知手段16の機能によりインターネットを経由して構造物の管理関係者が有するユーザ端末装置(例えば、パソコンや携帯電話端末など)に取得した構造物の変位・変形情報を配信可能である。また、警報手段18は、所定の閾値以上の変位が取得された場合に、管理室のコンピュータ12や上記のユーザ端末装置を通じてアラーム音などの警報を発する処理を行う。
【0031】
図3に示すように、まず、5つの観測点にGNSS測位機器A~Eを設置する(ステップS1)。次に構造物4に設定した固定点Fの初期座標を数時間から数日間の単独測位や周辺の電子基準点とのスタティック測位等にて決定する(ステップS2)。
【0032】
次に固定点と観測点で同時に観測を開始し衛星からの電波到達の差(位相差)を解析し、固定点と観測点の距離を求める(ステップS3)。以上の初期座標の設定から干渉測位は、計測室のコンピュータ12に備わる図示しない解析ソフトウェアや干渉測位手段14が行うことができる。本実施の形態では、相対測位としてリアルタイムキネマティック(RTK)測位を利用する。その際、後述のアルゴリズムを適用し、構造物1の外壁面2に関して適切な座標・基線長解を得るものとする。
【0033】
異常値を含めた観測結果としての変位・変形情報は、報知手段16の機能により計測室のコンピュータ12やユーザ端末装置の画面などに報知される(ステップS4)。ここで、取得された異常値があらかじめ定めた所定の閾値以上である場合には、警報手段18は計測室のコンピュータ12やユーザ端末装置を通じてアラーム音などの警報を発する。これにより管理者や管理関係者などのユーザは、閾値以上の変位が生じたことを即座に把握することができる。
【0034】
なお、上記の実施の形態において、コンピュータ12は観測点(固定点併用)の測位情報をリアルタイムで取得でき、相対測位手段14による解析もリアルタイムで可能である。また、報知手段16は、例えばユーザの要求に応じて、例えば所定時間毎(例えば1日(24時間)毎)の解析結果(観測結果)もユーザに報知することもできる。したがって、観測点を5つ設けた場合に必要となる解析時間も基本はリアルタイムである。また、一般に構造物はあまり大きく変位しないため、大地震時等を除き、測位情報を数時間平均または1日平均した測位平均値で比較するのが通例である。
【0035】
本実施の形態によれば、例えば、都市部など過密な環境下に設置された学校等の公共施設、施工者のいなくなった中小マンション等の杭や構造物の変形・変位、斜面、ダム傾斜部などを監視することができる。公共施設は一般に避難場所として利用されるが、大地震後の余震等が継続する中で当該施設が安全か否かの確認を行う際にも本発明を利用することができる。
【0036】
<アルゴリズム>
次に上記のRTK測位(相対測位)で使用するアルゴリズムの機能について説明する。
【0037】
a)GNSS衛星の信号を取捨選択する機能
GNSS測位機器A~Eは上空にあるGNSS衛星からの信号を受信する。マルチパスとならなければ、各GNSS衛星からGNSS測位機器A~Eに届くべき信号レベルが決まっているため、解析に利用するGNSS衛星を選択する機能を持たせる。なお、
図4においてC01、G21、J01等の符号は衛星番号を示している。解析に利用するGNSS衛星をさらに厳密に選択する機能を持たせる方法としては、例えば上記の特許文献3に記載の方法を用いることができる。
【0038】
この特許文献3に記載の方法を用いる場合には、例えば、固定点と観測点における衛星信号の受信強度を測定して、各衛星信号について固定点における受信強度と観測点における受信強度を比較し、固定点における受信強度と観測点における受信強度の差が所定の閾値以上である衛星信号について観測点の搬送波位相を算出する。ここで、搬送波位相の算出中に測位衛星からの衛星信号を連続して受信できない場合はマルチパスとして検出し、算出した搬送波位相が所定の閾値以上である場合は、衛星信号を測位用衛星信号から除く。測位用衛星信号のみを用いて観測点の位置を算出し、算出した観測点の位置を上記の位置補正用データによって補正する。補正した観測点の位置に基づいて構造物1の外壁面2の変位・変形を観測する。
【0039】
ここで、搬送波位相とは、GNSS測位機器と衛星間の相対速度すなわち視線速度である。搬送波位相は、衛星信号のドップラー・シフトを測定することで容易に計算することができる。マルチパスの影響を受けた場合、電波の入射方向も変化する。電波の入射方向の変化により、衛星の視線方向の速度も大きく変化する。すなわち、マルチパスが生じたときは、衛星信号の受信強度が急激に変化するのと同時に、搬送波位相も大きく変化する。そこで、固定点に比して観測点で受信強度が大きく変化した衛星信号について、さらに搬送波位相を計算し、搬送波位相も大きく変化した衛星信号を、マルチパスの影響を受けた衛星信号として確実に判別することが可能となる。
【0040】
ここで、上記の特許文献3に記載の方法に以下のb)~d)の3つの機能を追加することによって、構造物1の外壁面2の高精度な変位計測を実現させてもよい。
【0041】
b)RTKの要となるアンビギュイティを高い信頼度で決定する機能
構造物1の外壁面2の測位は、1日またはもっと長い期間(1年)で数cm等のずれを検知することが主目的であり、あらかじめアンビギュイティの候補となる位置を事前に入力する機能を追加することで、継続したFIX解が得られる。
【0042】
換言すると、構造物1の外壁面2のGNSS測位機器A~Eの設置位置についてはあらかじめ正しい精密位置がわかっているため、搬送波位相のアンビギュイティを決める際の初期値をその値に設定する。これは既存のソフトウェアでは対応していない。初期値を正しく入力すると、搬送波位相測定値が正しく出力される限り、正しいFIX解を得ることができ、精度も1cm程度となる。逆にミスFIX解(誤った搬送波位相のアンビギュイティ)の削減、除外も可能となる。
【0043】
この機能を新たに取り入れることで、従来のRTKの汎用ソフトウェアと比較して格段に利便性(例えば24時間のRTK測位で何%の時間、RTKが可能であるかを示すもの)が向上することを本発明者は確認済みである。
【0044】
ここで、RTK測位(相対測位)における搬送波はL1帯で波長19cm、L2帯で波長24cmの無変調で無限に続くサイン波であるため、GNSS測位機器で信号を受信し始めた時の位相の整数部分(整数値バイアス)はわからない。このため、通常の相対測位では何らかの方法でこの整数値バイアスを解く必要がある。
【0045】
なお、上記の方法の一般的なRTK測位と異なる点は以下のとおりである。すなわち通常のRTK測位の場合、固定点の位置情報を入力した後に、測位のモノサシとしてGNSS衛星の送信電波を用い干渉測位解析を行うが、上記の方法はアルゴリズム中に設定する新たな方法であり、従来のRTK測位とは異なる。
【0046】
c)アンビギュイティを保持する機能
アンビギュイティ保持とは、サイクルスリップ等のない衛星については、いったん正しいアンビギュイティを求めると、理論上その値を保持してもRTKの測位は継続できる。アンビギュイティ保持とはその特徴を利用したものである。この方法の特徴は、従来の方法ではアンビギュイティ保持が途切れてしまうケースにおいても、その途切れを可能な限りなくすところにある。1つの具体例として、アンビギュイティ決定には、主衛星と従衛星による二重位相差が必須である。その主衛星が変更されるとアンビギュイティ保持はできなくなる。このような事象にも対応できるよう、あらかじめ品質のよい主衛星を選択することと、主衛星が変更されても瞬時に別の主衛星でアンビギュイティを保持できる能力を持つ機能である。これも既存のソフトウェアでは対応していない。
【0047】
d)GNSS測位機器が出力する搬送波位相のサイクルスリップ情報等を利用する機能
例えばu-blox社製の衛星信号受信機には、出力情報に搬送波位相が信頼できるか信頼できないかのIndicatorが付加されている。そこで本機能では、GNSS測位機器による出力情報から、こうした信頼できる情報のみを選択して解析する。このような機能も既存のソフトウェアでは対応していない。
【0048】
ここで、サイクルスリップについて説明する。衛星からの電波が障害物で遮断されると位相測定が中断する。そのため、その間の整数部の繰り上がり、繰り下がりが分からなくなる。この中断前後で位相の整数部分に整数部だけの不確定が生じる。これをサイクルスリップという。この際ベースラインの処理時に整数値のあいまいさを再度推定し直す必要がある。
【0049】
このように、上記の特許文献3に記載の方法に対して上記のb)~d)の3つの機能を組み合わせることによって、より高精度に変位計測することが可能となる。
【0050】
以上説明したように、本発明に係る変位計測方法によれば、複数の測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測する方法であって、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面の1点に設置した衛星信号受信機、もしくは、外面の互いに異なる位置に複数設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面または地盤上を含む外面以外の位置に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位ステップを備え、相対測位ステップは、複数の測位衛星のうち相対測位に利用する所定の測位衛星を選択し、選択した測位衛星からの衛星信号を用いて前記変位を相対測位により取得するので、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面に設置した観測点のみで構造物等を含めた比較的安定した物体の外面の変位を精度よく計測することができる。このため、本発明は、過密した環境に設置されている構造物等を含めた比較的安定した物体の頂部(屋上)のみならず、側部(壁面)の変位・変形等を監視するのに好適である。
【0051】
また、本発明に係る他の変位計測方法によれば、相対測位ステップは、固定点と観測点における衛星信号の受信強度を測定して、各衛星信号について固定点における受信強度と観測点における受信強度を比較し、固定点における受信強度と観測点における受信強度の差が所定の閾値以上である衛星信号について観測点の搬送波位相を算出するステップと、搬送波位相の算出中に測位衛星からの衛星信号を連続して受信できない場合はマルチパスとして検出し、算出した搬送波位相が所定の閾値以上である場合は、衛星信号を測位用衛星信号から除くステップと、測位用衛星信号のみを用いて観測点の位置を算出するステップと、算出した観測点の位置を前記位置補正用データによって補正するステップを有し、補正した観測点の位置に基づいて前記変位を取得するので、簡単かつ確実な方法によってマルチパスの影響を受けた衛星信号を判別して、観測点の位置を補正することにより、高精度な変位計測を実現することができる。
【0052】
また、本発明に係る他の変位計測方法によれば、相対測位ステップは、衛星信号の搬送波位相のアンビギュイティを固定点または観測点の位置に基づいて決定するステップと、アンビギュイティを保持するステップと、衛星信号受信機が出力する搬送波位相のサイクルスリップ情報に基づいて相対測位するステップの少なくとも一つを有するので、高精度な変位計測を実現することができる。
【0053】
また、本発明に係る変位計測システムによれば、複数の測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測するシステムであって、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面の1点に設置した衛星信号受信機、もしくは、外面の互いに異なる位置に複数設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面または地盤上を含む外面以外の位置に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位手段を備え、相対測位手段は、複数の測位衛星のうち相対測位に利用する所定の測位衛星を選択し、選択した測位衛星からの衛星信号を用いて前記変位を相対測位により取得するので、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面に設置した観測点のみで構造物等を含めた比較的安定した物体の外面の変位を精度よく計測することができる。このため、本発明は、過密した環境に設置されている構造物等を含めた比較的安定した物体の頂部(屋上)のみならず、側部(壁面)の変位・変形等を監視するのに好適である。
【0054】
また、本発明に係る他の変位計測システムによれば、相対測位手段は、固定点の位置を算出し固定点の絶対位置とのずれを示す位置補正用データを算出する手段と、固定点と観測点における衛星信号の受信強度を測定して、各衛星信号について固定点における受信強度と観測点における受信強度を比較し、固定点における受信強度と観測点における受信強度の差が所定の閾値以上である衛星信号について観測点の搬送波位相を算出する手段と、搬送波位相の算出中に測位衛星からの衛星信号を連続して受信できない場合はマルチパスとして検出し、算出した搬送波位相が所定の閾値以上である場合は、衛星信号を測位用衛星信号から除く手段と、測位用衛星信号のみを用いて観測点の位置を算出する手段と、算出した観測点の位置を前記位置補正用データによって補正する手段を有し、補正した観測点の位置に基づいて前記変位を取得するので、簡単かつ確実な方法によってマルチパスの影響を受けた衛星信号を判別して、観測点の位置を補正することにより、高精度な変位計測を実現することができる。
【0055】
また、本発明に係る他の変位計測システムによれば、相対測位手段は、衛星信号の搬送波位相のアンビギュイティを固定点または観測点の位置に基づいて決定する手段と、アンビギュイティを保持する手段と、衛星信号受信機が出力する搬送波位相のサイクルスリップ情報に基づいて相対測位する手段の少なくとも一つを有するので、高精度な変位計測を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明に係る変位計測方法および変位計測システムは、衛星測位システムを用いた構造物等を含めた比較的安定した物体の変位監視に有用であり、特に、都市部などの過密した環境に設置されている構造物等を含めた比較的安定した物体の壁面を変位監視する場合や、マルチパスを生じさせる障害物がある屋上などの場所に衛星測位機器を設置して変位監視する場合などに適している。
【符号の説明】
【0057】
1 構造物
2 外壁面(外面)
3 屋上(外面)
10 変位計測システム
12 コンピュータ
14 相対測位手段
16 報知手段
18 警報手段
20 記憶手段
22 制御手段
A~E GNSS観測点
【手続補正書】
【提出日】2022-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測する方法であって、
構造物等を含めた比較的安定した物体の外面の1点に設置した衛星信号受信機、もしくは、外面の互いに異なる位置に複数設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面または地盤上を含む外面以外の位置に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位ステップを備え、
相対測位ステップは、複数の測位衛星のうち相対測位に利用する所定の測位衛星を選択し、選択した測位衛星からの衛星信号を用いて前記変位を相対測位により取得するものであり、
前記固定点と前記観測点の初期座標を設定した後、前記固定点と前記観測点との間の時間経過に伴う前記変位を前記相対測位ステップによりリアルタイムで計測し、異常値を含めた計測結果を報知することを特徴とする変位計測方法。
【請求項2】
複数の測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測するシステムであって、
構造物等を含めた比較的安定した物体の外面の1点に設置した衛星信号受信機、もしくは、外面の互いに異なる位置に複数設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面または地盤上を含む外面以外の位置に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位手段を備え、
相対測位手段は、複数の測位衛星のうち相対測位に利用する所定の測位衛星を選択し、選択した測位衛星からの衛星信号を用いて前記変位を相対測位により取得するものであり、
前記固定点と前記観測点との間の時間経過に伴う前記変位を前記相対測位手段によりリアルタイムで計測し、異常値を含めた計測結果を報知することを特徴とする変位計測システム。