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特開2022-51240レンズ、射出圧縮成形用金型及び射出成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051240
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】レンズ、射出圧縮成形用金型及び射出成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/00 20060101AFI20220324BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20220324BHJP
   B29C 45/56 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
G02B3/00
B29C45/26
B29C45/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157613
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋川 純
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AH74
4F202AR12
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK18
4F206AH74
4F206AR12
4F206JA03
4F206JL02
4F206JN25
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】射出圧縮成形によって形成されるレンズの圧縮動作で発生し得る突起の高さを抑制することのできるレンズ、射出圧縮成形用金型及び射出成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】射出圧縮成形によって形成されたレンズ1は、光軸OAを含む有効径部10よりもレンズ径方向外側の第一部分11と、第一部分11よりもレンズ径方向外側の第二部分12と、第一部分11と第二部分12の間の第三部分13と、を備え、第三部分13は、光軸方向に見た状態において、光軸方向の一方の方向Os側に突出する突起18と重なる部分であり、方向Os側において、第三部分13と第二部分12の第一境界bo1は、第三部分13と第一部分11の第二境界bo2よりも、方向Os側に位置している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出圧縮成形によって形成されたレンズであって、
光軸を含む有効径部のレンズ径方向外側にある第一部分と、
前記第一部分よりもレンズ径方向外側にある第二部分と、
前記第一部分と前記第二部分の間にある第三部分と、を備え、
前記第三部分は、光軸方向に見た状態において、前記光軸方向の一方側に突出する突起と重なる部分であり、
前記一方側における前記第三部分と前記第二部分の第一境界は、前記一方側における前記第三部分と前記第一部分の第二境界よりも、前記一方側に位置しているレンズ。
【請求項2】
請求項1記載のレンズであって、
前記第三部分及び前記第二部分における前記第二境界よりも前記一方側の領域のレンズ径方向の幅は、光軸方向における前記第一境界の位置と前記第二境界の位置との距離よりも大きいレンズ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のレンズであって、
前記第二部分の前記一方側のレンズ径方向内側の端縁と、前記突起の基端のレンズ径方向外側の端縁とは、光軸方向における位置が同じであるレンズ。
【請求項4】
請求項3記載のレンズであって、
前記第二部分の前記一方側のレンズ径方向外側の端縁と、前記突起の基端のレンズ径方向外側の端縁とは、光軸方向における位置が同じであるレンズ。
【請求項5】
請求項4記載のレンズであって、
前記第二部分の前記一方側は平面であり、
前記平面と、前記突起の基端のレンズ径方向外側の端縁とは、光軸方向における位置が同じであるレンズ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載のレンズであって、
前記第二部分の前記一方側は平面であり、
Dを前記第三部分及び前記第二部分における前記第二境界よりも前記一方側の領域のレンズ径方向の幅、
Eをヤング率、
Bを前記領域の周方向の幅、
Lを光軸方向の前記領域の長さ、
Vをレンズ体積、
dをレンズ比重、
V*d*9.8をレンズ重量M、
=BD/12とI=BD/12のうちの小さい方をIminとした場合に、
πEImin/4L>Mの条件を満たすレンズ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載のレンズであって、
前記第一部分の前記一方側には、前記突起よりもレンズ径方向の幅の大きい凸部が設けられ、
前記一方側における前記凸部の頂点は、前記一方側における前記突起の頂点よりも前記一方側に位置するレンズ。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項記載のレンズであって、
前記第一部分の前記一方側には、前記突起よりもレンズ径方向の幅の大きい凸部が設けられ、
前記一方側における前記凸部の頂点は、前記一方側における前記第二部分の頂点よりも、前記一方側に位置するレンズ。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項記載のレンズであって、
前記第一部分の前記一方側には、前記突起よりもレンズ径方向の幅の大きい凸部が設けられているレンズ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載のレンズであって、
前記突起の前記光軸方向の高さは、0.1μm以上10μm以下であるレンズ。
【請求項11】
固定コアと、
前記固定コアに対して所定の距離離れた離間位置と、前記固定コアに対して前記所定の距離より近づいた圧縮位置と、の間で可動な可動コアと、
前記可動コアの可動方向とは異なる方向で前記可動コアと隣り合う入子とを備え、
前記固定コアと、前記可動コアと、前記入子とによって被成形部材の成形されるキャビティが形成され、
前記可動コアと前記入子との間にコア割部が形成され、
前記可動コア及び前記入子の前記固定コアに対面するキャビティ形成面のうち、前記圧縮位置に位置した前記可動コアの前記コア割部に隣接する圧縮壁面が、前記コア割部に隣接する前記入子の第一壁面よりも、前記固定コアに接近した位置に配置される、射出圧縮成形用金型。
【請求項12】
請求項11記載の射出圧縮成形用金型であって、
前記離間位置に位置した前記可動コアの前記圧縮壁面は、前記可動方向において、前記入子の前記第一壁面と同じ位置、又は、前記入子の前記第一壁面よりも前記固定コアに近い位置に配置される射出圧縮成形用金型。
【請求項13】
固定コアと、前記固定コアに対面して相対移動可能な可動コアと、前記可動コアを囲んで配置される入子と、を含んで樹脂射出用のキャビティを形成する射出圧縮成形用金型を用いた射出成形品の製造方法であって、
前記可動コアと前記入子との間にコア割部を形成し、
前記キャビティ内に射出された溶融樹脂を加圧するときに、
前記コア割部に隣接する前記可動コア側のキャビティ形成面を、前記コア割部に隣接する前記入子側のキャビティ形成面よりも前記固定コアに接近させる、樹脂圧縮工程を含む、
射出成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ、射出圧縮成形用金型及び射出成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、製品部、製品部に沿って形成される厚肉バリ部、及びこれら製品部と厚肉バリ部との間に形成される薄肉バリ部を有する成形品を成形する圧縮成形用金型が開示されている。
【0003】
特許文献2には、原料粉末を所定形状に圧縮成形した成形体よりなり、焼結後のバルブシートがシリンダヘッド鋳造型の吸気及び排気ポートの開口部形成部分の少なくとも一方に配置されてシリンダヘッドの吸気及び排気ポートの開口部の少なくとも一方に鋳包まれるバルブシート成形体の製造方法が開示されている。
【0004】
特許文献3には、第1光学面を有する入射面と、第2光学面を有する出射面とを備え、外周形状が、光軸を含む平面に対して略平行な第1直線部と、第1直線部と平行かつ上記平面を挟んで対称な第2直線部と、上記第1直線部と第2直線部の端部同士を連設する2つの円弧部とから構成される光ピックアップ装置用の成形レンズの製造方法が開示されている。
【0005】
特許文献4には、型開き状態で成形品が残る金型と型開き状態で成形品が離型する金型とで形成される型内に樹脂を射出し、光学素子の成形品の少なくともゲート部が形成される部分の外周のコーナ部に、角落としを形成し、上記金型から光学素子の成形品を離型させ、上記光学素子の成形品のゲート部を切断して光学素子を製造する方法が開示されている。
【0006】
特許文献5には、上型入れ子を保持する上型板と、下型入れ子を保持する下型板とを備え、上記上型入れ子を組込む上記上型板の穴の径を、成形後のプラスチックレンズを載置するレンズホルダーのレンズホルダー内径よりも小さい径としたプラスチックレンズの成形装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-138417号公報
【特許文献2】特開平8-178086号公報
【特許文献3】特開2009-259393号公報
【特許文献4】特開2010-208334号公報
【特許文献5】特開2007-76143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された圧縮成形用金型においては、製品端部に形成されるバリを除去する工程が必要である。また、成形中におけるバリの脱落を防ぐことが難しい。
【0009】
特許文献2に開示されたバルブシート成形体は、成形品において、バリよりも高い位置決め部を設ける構造である。この構成では、バリに対して他のものが当り難くはできるものの、バリ脱落を根本的に解決するものではない。
【0010】
特許文献3に開示された成形レンズにおいては、バリと、端部のフランジ部との間に大きな段差が生じているため、バリの高さが大きくなる。したがって、バリ脱落の問題は回避できない。
【0011】
特許文献4と特許文献5に記載の技術も、バリの脱落を回避することは難しい。
【0012】
本発明の目的は、射出圧縮成形によって形成されるレンズの圧縮動作で発生し得る突起の高さを抑制することのできるレンズ、射出圧縮成形用金型及び射出成形品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様のレンズは、射出圧縮成形によって形成されたレンズであって、光軸を含む有効径部のレンズ径方向外側にある第一部分と、上記第一部分よりもレンズ径方向外側にある第二部分と、上記第一部分と上記第二部分の間にある第三部分と、を備え、上記第三部分は、光軸方向に見た状態において、上記光軸方向の一方側に突出する突起と重なる部分であり、上記一方側における上記第三部分と上記第二部分の第一境界は、上記一方側における上記第三部分と上記第一部分の第二境界よりも、上記一方側に位置している、ものである。
【0014】
本発明の一態様の射出圧縮成形用金型は、固定コアと、上記固定コアに対して所定の距離離れた離間位置と、上記固定コアに対して上記所定の距離より近づいた圧縮位置と、の間で可動な可動コアと、上記可動コアの可動方向とは異なる方向で上記可動コアと隣り合う入子とを備え、上記固定コアと、上記可動コアと、上記入子とによって被成形部材の成形されるキャビティが形成され、上記可動コアと上記入子との間にコア割部が形成され、上記可動コア及び上記入子の上記固定コアに対面するキャビティ形成面のうち、上記圧縮位置に位置した上記可動コアの上記コア割部に隣接する圧縮壁面が、上記コア割部に隣接する上記入子の第一壁面よりも、上記固定コアに接近した位置に配置される、ものである。
【0015】
本発明の一態様の射出成形品の製造方法は、固定コアと、上記固定コアに対面して相対移動可能な可動コアと、上記可動コアを囲んで配置される入子と、を含んで樹脂射出用のキャビティを形成する射出圧縮成形用金型を用いた射出成形品の製造方法であって、上記可動コアと上記入子との間にコア割部を形成し、上記キャビティ内に射出された溶融樹脂を加圧するときに、上記コア割部に隣接する上記可動コア側のキャビティ形成面を、上記コア割部に隣接する上記入子側のキャビティ形成面よりも上記固定コアに接近させる、樹脂圧縮工程を含む、ものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、射出圧縮成形によって形成されるレンズの圧縮動作で発生し得るレンズ表面の突起の高さを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の射出圧縮成形用金型の断面模式図である。
図2図1に示す射出圧縮成形用金型におけるコア割部の周辺領域X1の要部拡大断面図である。
図3図2に示す射出圧縮成形用金型におけるキャビティ内に溶融樹脂を射出した状態を示す要部拡大断面図である。
図4図3に示す射出圧縮成形用金型における可動コアを、樹脂圧縮の方向に移動させた状態を示す要部拡大断面図である。
図5】射出圧縮成形されたレンズの断面図である。
図6図5に示すレンズにおける外端領域X2の要部拡大断面図である。
図7】レンズ1の第1変形例における要部拡大断面図である。
図8】レンズ1の第2変形例における要部拡大断面図である。
図9】レンズ1の第3変形例における要部拡大断面図である。
図10】レンズ1の第4変形例における要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態の射出圧縮成形用金型及びこれを用いた射出成形品の製造方法について、図1図4を参照して説明する。図1は、本実施形態の射出圧縮成形用金型の断面模式図である。図2は、図1に示す射出圧縮成形用金型におけるコア割部の周辺領域X1の要部拡大断面図である。図3は、図2に示す射出圧縮成形用金型におけるキャビティ内に溶融樹脂を射出した状態を示す要部拡大断面図である。図4は、図3に示す射出圧縮成形用金型における可動コアを、樹脂圧縮の方向に移動させた状態を示す要部拡大断面図である。図5は、図1に示す射出圧縮成形用金型を用いた射出圧縮成形により成形されたレンズの断面模式図である。
【0019】
図1に示す射出圧縮成形用金型20(以下、単に「金型20」と記載)は、射出成形品であるレンズを成形する金型である。この金型20は、固定コア22と、固定コア22に対して所定の距離離れた位置である離間位置P1(図2参照)と、固定コア22に対して近づいた位置である圧縮位置P2(図2参照)と、の間で可動する可動コア21と、可動コア21の可動方向DRに交差(図1の例は直交)する方向で可動コア21と隣り合う入子25と、を備えている。
【0020】
入子25は、筒状に構成されている。入子25の内周部は、固定コア22側から順に、第一内周部IP1と、第一内周部IP1よりも径の小さい第二内周部IP2と、第一内周部IP1及び第二内周部IP2よりも径の大きい第三内周部IP3とが、可動方向DRに並ぶ構成である。可動コア21の固定コア22側の先端部は、入子25の第二内周部IP2に摺動自在に嵌め込まれる。
【0021】
固定コア22のキャビティ形成面22wと、可動コア21のキャビティ形成面21wと、入子25のキャビティ形成面25wと、によって区画されたキャビティCにより、被成形部材(射出成形品)であるレンズ1(図5参照)が形成される。キャビティCは、可動方向DRに見た時の形状が略円形となっている。後述するように、スプールj及びゲートgを介して、キャビティC内に溶融樹脂が射出(以下、「注入」ともいう)された後に、可動コア21による圧縮動作によってレンズ1が形成される。
【0022】
可動コア21と入子25の第二内周部IP2との間には、可動コア21の移動を許容するためのギャップ(クリアランス)であるコア割部28が形成されている。コア割部28の周辺領域X1を図2に拡大して示す。
【0023】
図2に示すように、コア割部28は、可動コア21の側面28swが入子25の第二内周部IP2の内周面25swに対して摺動できるように極めて僅かなギャップとして形成されている。このギャップは、可動コア21の先端のキャビティ形成面21wから、可動方向DRに一致する方向に延びている。
【0024】
入子25には、第一内周部IP1と第二内周部IP2の径の差によって、キャビティCの一部を形成する凹み部25cが設けられる。この凹み部25cは、コア割部28よりもキャビティCの径方向(可動方向DRに直交する方向)の外側(図中において下側)へ凹むように形成されている。
【0025】
キャビティCは、図2に示すように、可動コア21と固定コア22との対面により形成される第一空間C1(後述のレンズ1の有効径部10及び第一部分11を形成する空間)と、凹み部25cによって形成される第二空間C2(後述のレンズ1の第二部分12を形成する空間)と、コア割部28のギャップによって形成される第一空間C1と第二空間C2の間の第三空間C3(後述のレンズ1の第三部分13を形成する空間)と、により構成される。
【0026】
入子25の凹み部25cは、キャビティCの径方向外側(図1において上下方向)に窪む構成であり、固定コア22に対面する第一壁面25weを備える断面矩形状に構成されている。第一壁面25weは、可動方向DRに略垂直な平坦面となっている。
【0027】
可動コア21のキャビティ形成面21wには、コア割部28に隣接して、可動方向DRに対して垂直な平坦面である圧縮壁面21weが形成されている。可動コア21のキャビティ形成面21wには、圧縮壁面21weの内側(図中上側)に、後述のレンズ高さ位置決め部4(図5参照)を形成する位置決め用凹部21wpが設けられている。
【0028】
図2に示す状態は、キャビティCに溶融樹脂を注入する直前の状態である。この状態において、可動コア21は、そのキャビティ形成面21wが固定コア22に対して最も離れた離間位置P1に位置している。可動コア21が離間位置P1にある状態では、キャビティ形成面21wの圧縮壁面21weと、入子25の第一壁面25weとが、可動方向DRにおいて同じ位置となっている。
【0029】
なお、キャビティCに溶融樹脂を注入する直前の状態において、キャビティ形成面21wの圧縮壁面21weの可動方向DRにおける位置が、入子25の第一壁面25weの可動方向DRにおける位置よりも固定コア22に僅かに接近していてもよい。つまり、図2において、可動コア21が右側に僅かに移動した状態で溶融樹脂の注入を開始してもよい。
【0030】
可動コア21は、図示しない駆動手段により、キャビティ形成面21wが固定コア22に接近する圧縮位置P2に移動することができる。すなわち、可動コア21の圧縮壁面21weは、図2に示す入子25の第一壁面25weよりも、固定コア22に近付く方向に移動する。
【0031】
以下、金型20を用いたレンズ1の製造方法について、図3及び図4を参照して説明する。図3及び図4は、図2と同じコア割部28の周辺領域X1を示す。
【0032】
先ず、図3に示すように、可動コア21のキャビティ形成面21w(圧縮壁面21we)が離間位置P1に位置している状態において、キャビティC内に溶融樹脂1kを注入する。この溶融樹脂1kは、図中下側に配置されたスプールj及びゲートg(図1参照)を介してキャビティCの上方に向って広がるように流入し、キャビティC内に充満する。このとき、コア割部28には、溶融樹脂1kの一部が僅かではあるが入り込む。これにより、後述するレンズ1の突起18となるギャップ進入部18kが形成される。
【0033】
その後、図4に示すように、可動コア21のキャビティ形成面21w(圧縮壁面21we)を圧縮位置P2まで移動させる、所謂、樹脂圧縮工程を実施する。この可動コア21の移動により、キャビティC内の溶融樹脂1kは圧縮される。
【0034】
以上の樹脂圧縮工程の後に、金型20を所定の温度まで冷却した後、図1のパーティングラインPLにて金型20を開く。そして、例えば、射出成形品(レンズ1及びその周辺部分)を金型20から突き出すようにして金型20から取り出す。なお、金型20から取り出した状態の射出成形品には、不要部分(スプールjやゲートgの部分)が繋がっており、この不要部分を切り離して図5に示すようなレンズ1を取り出すことができる。
【0035】
以上のように、可動コア21の圧縮壁面21weと入子25の第一壁面25weを同じ位置に維持した状態、又は、可動コア21の圧縮壁面21weを入子25の第一壁面25weよりも固定コア22に接近させた位置に維持した状態で、キャビティCに溶融樹脂1kを注入する。その後、可動コア21の圧縮壁面21weを固定コア22に接近させて溶融樹脂1kを圧縮して、レンズ1を成形する。これにより、溶融樹脂の圧縮前後において、コア割部28の固定コア22側の端部の位置は変化しない。
【0036】
例えば、図3の状態で、入子25の第一壁面25weの位置が圧縮位置P2にある参考構成例を想定する。この参考構成例では、溶融樹脂の圧縮動作によって、樹脂充填時には形成されていなかったコア割部28が、可動コア21と入子25との隙間に形成される。つまり、圧縮動作によって、コア割部28が固定コア22側に向けて延びていく。そして、コア割部28のうちの圧縮動作によって延びた部分には、溶融樹脂が充填された状態となり、レンズの表面には、この部分の長さに相当する細長い突起がバリとして形成される。
【0037】
この参考構成例に対し、金型20を用いた上記工程によれば、樹脂充填時と樹脂圧縮時とで、コア割部28の固定コア22側の先端位置は変化しない。このため、圧縮時にコア割部28に侵入する溶融樹脂の量を減らすことができる。この結果、ギャップ進入部18kの可動方向DRの長さを短くできる。また、第三空間C3に隣接する第二空間C2によって形成されるレンズ部分(後述の第二部分12)の可動方向DRの厚みは、圧縮壁面21weと固定コア22のキャビティ形成面22wとの間に形成されるレンズ部分(後述の第一部分11のうちの第二部分12に隣接する部分)の可動方向DRの厚みよりも大きい。このため、この厚みの差の分、ギャップ進入部18kの長さを短くできる。
【0038】
以上の工程によって製造されたレンズ1について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、レンズ1の光軸OAを含む断面の模式図である。図6は、図5に示すレンズ1における外端領域X2の要部拡大断面図である。以下では、レンズ1の径方向のことをレンズ径方向と記載し、レンズ1の光軸OAの延びる方向をレンズ厚み方向又は光軸方向と記載し、光軸方向の一方から他方に向かう方向(図5中の上から下に向かう方向)を方向Osと記載する。
【0039】
レンズ1は、図5に示すように、光軸OAを含み且つレンズ1の有効径を構成する有効径部10と、有効径部10よりもレンズ径方向外側にあり、レンズ1を装置に組み込む際のレンズ1の光軸方向の位置決めを行うためのレンズ高さ位置決め部4を含む第一部分11と、第一部分11よりもレンズ径方向外側にあってレンズ1の最外周部分を構成する第二部分12と、第一部分11と第二部分12の間の第三部分13と、を備える。有効径部10は、レンズ機能を果たす光面1a及光面1bを含む部分である。レンズ1は、光軸OAと交差し且つ光軸方向及びレンズ径方向に垂直な直線を軸とする線対称の形状となっている。
【0040】
レンズ1は、光軸方向に見た平面視において、光軸OAを中心とした直径W1の円形に構成されている。光面1aと光面1bは、それぞれ、互いに近づく方向に窪む凹面によって構成されている。光面1aと光面1bは、それぞれ、光軸方向に見た平面視において、光軸OAを中心とした直径W2(<直径W1)の円形にて構成されている。
【0041】
第一部分11には、光軸方向の両面に、環状の凸部により構成されたレンズ高さ位置決め部4が設けられる。レンズ高さ位置決め部4のレンズ径方向の幅は、第三部分13に設けられた突起18のレンズ径方向の幅よりも十分に大きくなっている。
【0042】
有効径部10及び第一部分11を合わせた部分は、レンズ1の成形時において、樹脂圧縮工程後に第一空間C1に存在する樹脂により構成された部分である。第二部分12は、レンズ1の成形時において、樹脂圧縮工程後に第二空間C2に存在する樹脂により構成された部分である。
【0043】
第三部分13は、前述したギャップ進入部18kによって構成された方向Osに僅かに突出する突起18を含む。第三部分13は、光軸方向から見て、この突起18と重なっている部分である。つまり、第三部分13のレンズ径方向の幅は、突起18のレンズ径方向の幅と一致している。第三部分13は、レンズ1の成形時において、樹脂圧縮工程後に、コア割部28及び第三空間C3に存在する樹脂により構成された部分である。第三部分13は、レンズ径方向の幅が例えば0.1μm以上10μm以下といった程度の微小な部分である。なお、この幅の数値は一例でありこれに限定されるものではない。
【0044】
図6に示すように、第二部分12における方向Os側の面である第一面S1には、第三部分13と第二部分12の境界である第一境界bo1(段差の角部分)が形成されている。第三部分13に含まれる突起18は、光軸方向における第一境界bo1の位置よりも方向Os側にある部分(図6中の斜めハッチングを付した部分)のことを言う。光軸方向における第一境界bo1の位置が、突起18の基端18bの位置となる。第一部分11における方向Os側の面である第二面S2には、第一部分11と第三部分13の境界である第二境界bo2(段差の角部分)が形成されている。
【0045】
第二部分12の第一面S1におけるレンズ径方向内側の端縁S1tと、突起18の基端18bのうちのレンズ径方向外側の端縁とは、一致しており、光軸方向における位置が同じとなっている。第二部分12の第一面S1におけるレンズ径方向外側の端縁S1eと、突起18の基端18bのうちのレンズ径方向外側の端縁とは、光軸方向における位置が同じとなっている。第二部分12の第一面S1は、光軸方向に垂直な平面となっている。つまり、第一面S1と、突起18の基端18bとは、光軸方向における位置が一致している。
【0046】
第一境界bo1は、第二境界bo2よりも方向Os側に位置している。レンズ1の光軸方向の中心線CL(図5参照)から第一境界bo1までの光軸方向の距離を距離Tと記載する。中心線CLから第二境界bo2までの光軸方向の距離を距離tと記載する。距離Tと距離tの差である距離bが、レンズ1の成形時において圧縮のために可動コア21が移動した距離に相当する。距離bは、換言すると、光軸方向における第一境界bo1と第二境界bo2との距離である。第三部分13及び第二部分12における第二境界bo2よりも方向Os側の領域Loの光軸方向の最大長さを長さLと記載する。長さLから距離bを減算した値が、突起18の高さに相当する。この突起18の高さは、例えば0.1μm以上10μm以下程度と、非常に小さいものとなっている。なお、この高さの数値は一例でありこれに限定されるものではない。
【0047】
領域Loのレンズ径方向の幅を幅Dと記載する。幅Dは、第三部分13のレンズ径方向の幅d1と第二部分12のレンズ径方向の幅d2とを合わせた値となる。幅Dは、距離bよりも大きく構成されている。幅Dは、距離bの1.5倍以上となっていることが好ましく、2倍以上となっていることがより好ましい。このように、領域Loの幅Dが、領域Loの突起18を除く部分の光軸方向の厚みよりも大きくなっていることで、領域Loの機械的な強度を高めることができる。
【0048】
図6に示したように、第二面S2に形成されたレンズ高さ位置決め部4の頂点は、突起18の頂点よりも方向Os側に位置している。また、第二面S2に形成されたレンズ高さ位置決め部4の頂点は、第二部分12の第一面S1の頂点よりも方向Os側に位置している。このように、領域Loの長さLは、レンズ高さ位置決め部4の高さHよりも小さくなっている。つまり、長さLとレンズ高さ位置決め部4の高さHとの間には、高低差hが存在する。このように、領域Loの厚みがレンズ高さ位置決め部4の高さよりも小さくなっていることで、領域Lo全体又は領域Loに含まれる突起18に外部物体が接触しにくくなり、これらが脱落するのを効果的に防ぐことができる。
【0049】
このように、レンズ1は、第三部分13を境にして、レンズ径方向に厚みが増加する構成である。上述した参考構成例は、第二部分12の第一面S1の光軸方向の位置が、第二境界bo2の光軸方向の位置と一致する構成に相当する。この参考構成例では、突起18の高さが領域Loの長さLと一致する。これに対し、レンズ1の構成によれば、突起18の高さを領域Loの長さLよりも小さくできる。このため、突起18の脱落を防ぐことができる。
【0050】
また、領域Loの幅Dは、第一境界bo1と第二境界bo2との距離bよりも大きく構成されている。このように、突起18の基端18bのレンズ径方向外側に繋がる部分の幅が大きく構成されているということは、溶融樹脂1kの圧縮距離に対して第二部分12の容積がより大きなっていることを意味する。このため、第二部分12は、圧縮時における樹脂が逃げる領域(コア割部28に隣接する領域)として実質的に大きくできる。この結果、突起18の突出を小さくでき、さらに、突起18の強度を高めることができる。
【0051】
また、第一境界bo1が突起18の基端18bと一致していることで、領域Loにおける第二部分12の肉部によって、成形時における第二部分12側への樹脂逃げがし易いことから、突起18の実質的高さを小さく抑えることが出来る。
【0052】
また、第二部分12の端縁S1eと、突起18の基端18bとが光軸方向において同じ位置になっているので、基端18bよりもレンズ径外方側を厚肉にできる。この結果、領域Loの機械的強度を高めることができ、突起18の脱落防止効果を高めることができる。
【0053】
また、第二部分12の第一面S1は、端縁S1eから端縁S1tを結ぶ線が、中心線CLに平行な平面に構成されている。このように、第二部分12の第一面S1がレンズ径方向に沿う平面に構成されていることで、第三部分よりもレンズ径方向外側の第二部分12のレンズ体積を大きくできる。したがって、領域Loの強度を高めることができる。また、第二部分12の第一面S1が平坦であることで、金型20の形状を簡素化できる。
【0054】
また、突起18の頂点とレンズ高さ位置決め部4の頂点の間には高低差hが存在している。このように構成されていることにより、レンズ1の取り扱い時にレンズ高さ位置決め部4がガードとなり、突起18が外部と接触することを防ぐことができる。また、レンズ1の実装に際して、突起18と外部の部材との接触が抑えられ、脱落防止効果を高めることができる。
【0055】
なお、レンズ1に加わる荷重(レンズの自重)によって領域Loが座屈することのないよう、オイラーの式に基づく以下の条件を満たすように、レンズ1を形成することが好ましい。具体的には、Eをヤング率、Vをレンズ体積、dをレンズ比重、V*d*9.8をレンズ重量M、Bを領域Loの円周方向の幅、I=BD/12とI=BD/12のうちの小さい方をIminとした場合に、πEImin/4L>Mの条件を満たすことが好ましい。Iminは、領域Loの最小断面二次モーメントである。
【0056】
(変形例)
以下、レンズ1の変形例について、図7図10を参照して説明する。なお、図7図10は、図6と同じ部分を示す要部拡大断面図である。図7は、第1変形例の要部拡大断面図である。図8は、第2変形例の要部拡大断面図である。図9は、第3変形例の要部拡大断面図である。図10は、第4変形例の要部拡大断面図である。第1変形例~第4変形例のレンズ1は、第二部分12の第一面S1の形状が異なる点を除いては、図6のレンズ1と同じ構成である。
【0057】
(第1変形例)
図7に示す第1変形例のレンズ1では、第二部分12の第一面S1が、第一境界bo1を起点にして、方向Os側と反対側に向かって傾斜した構成となっている。この構成であっても、突起18の高さを抑制し、領域Loの強度を十分に確保可能である。また、この構成によれば、第一境界bo1が鈍角になるので、突起18の強度(脱落防止効果)を高めることができる。
【0058】
(第2変形例)
図8に示す第2変形例のレンズ1では、第二部分12の第一面S1が、端縁S1tから中心線CL側に向かって傾斜する傾斜面と、この傾斜面の端縁S1t側と反対側から端縁S1eに向かって延びる傾斜面とで構成されている。第一面S1は、断面V字状の凹み構造となっている。この構成であっても、突起18の高さを抑制し、領域Loの強度を十分に確保可能である。また、この構成によれば、第一境界bo1が鈍角になるので、突起18の強度(脱落防止効果)を高めることができる。
【0059】
(第3変形例)
図9に示す第3変形例のレンズ1では、第二部分12の第一面S1が、図8に示すV字状の凹み構造と異なり、凹みが湾曲面に構成されている。この構成であっても、突起18の高さを抑制し、領域Loの強度を十分に確保可能である。また、この構成によれば、第一境界bo1が鈍角になるので、突起18の強度(脱落防止効果)を高めることができる。
【0060】
(第4変形例)
図10に示す第4変形例のレンズ1では、第二部分12の第一面S1が、図9に示す形状とは反対に、方向Osに膨らむように湾曲する膨らみ構造となっている。この構成であっても、突起18の高さを抑制し、領域Loの強度を十分に確保可能である。また、この構成によれば、領域Loにおける第二部分12の体積を増やすことができるため、領域Loの強度を高めることができる。
【0061】
以上のように、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0062】
(1) 射出圧縮成形によって形成されたレンズ(レンズ1)であって、
光軸(光軸OA)を含む有効径部(有効径部10)のレンズ径方向外側にある第一部分(第一部分11)と、
上記第一部分よりもレンズ径方向外側にある第二部分(第二部分12)と、
上記第一部分と上記第二部分の間にある第三部分(第三部分13)と、を備え、
上記第三部分は、光軸方向に見た状態において、上記光軸方向の一方側(方向Os側)に突出する突起(突起18)と重なる部分であり、
上記一方側における上記第三部分と上記第二部分の第一境界(第一境界bo1)は、上記一方側における上記第三部分と上記第一部分の第二境界(第二境界bo2)よりも、上記一方側に位置しているレンズ。
【0063】
(1)によれば、第一部分とそれよりも光軸側の部分を光軸方向の他方側に向けて圧縮することで、レンズが成形可能である。この成形方法では、圧縮時には、溶融樹脂が成形キャビティから漏れ出ることで第三部分に突起が形成され得る。この突起に対しレンズ径方向外側に隣接する第二部分のレンズ中心からの第一厚み(距離T)は、この突起に対しレンズ径方向内側に隣接する第一部分のレンズ中心からの第二厚み(距離t)よりも大きくなる。つまり、第三部分を境にして、第二部分が第一部分よりも光軸方向の一方側に向けて肉厚の構造となっていることで、第一厚みと第二厚みの差の分だけ、第三部分に形成される突起の高さを抑制できる。例えば、特許文献3におけるバリは、そのレンズ径方向外側と内側に隣接する部分のレンズ中心からの厚みが同一である。このため、バリの高さが大きい。これに対し、(1)では、第二部分の肉厚構造によって突起の高さが抑制される。これにより、突起が脱落するのを防ぐことができ、また、突起の除去工程をなくすことができる。
【0064】
(2) (1)記載のレンズであって、
上記第三部分及び上記第二部分における上記第二境界よりも上記一方側の領域(領域Lo)のレンズ径方向の幅(幅D)は、光軸方向における上記第一境界の位置と上記第二境界の位置との距離(距離b)よりも大きいレンズ。
【0065】
(2)によれば、第三部分及び第二部分における第二境界よりも一方側の領域のレンズ径方向の幅が大きく構成されているので、この領域の強度を高めることができる。この結果、この領域自体が脱落するのを防ぐことができる。
【0066】
(3) (1)又は(2)記載のレンズであって、
上記第二部分の上記一方側のレンズ径方向内側の端縁(端縁S1t)と、上記突起の基端(基端18b)のレンズ径方向外側の端縁とは、光軸方向における位置が同じであるレンズ。
【0067】
(3)によれば、第一境界が突起の基端と一致していることで、第二部分の肉部によって、突起の高さを小さく出来る。この結果、突起の脱落防止効果を高めることが出来る。
【0068】
(4) (3)記載のレンズであって、
上記第二部分の上記一方側のレンズ径方向外側の端縁(端縁S1e)と、上記突起の基端のレンズ径方向外側の端縁とは、光軸方向における位置が同じであるレンズ。
【0069】
(4)によれば、第二部分の一方側のレンズ径方向外側の端縁と、突起の基端とが光軸方向において同じ位置になっているので、基端からレンズ径方向外側までを肉厚にできる。この結果、突起の基端が強化され、突起の脱落を防止することができる。
【0070】
(5) (4)記載のレンズであって、
上記第二部分の上記一方側は平面(第一面S1)であり、
上記平面と、上記突起の基端のレンズ径方向外側の端縁とは、光軸方向における位置が同じであるレンズ。
【0071】
(5)によれば、第二部分の第一面が平面に構成されていることで、突起の基端からレンズ径方向外側に向かってレンズ体積を大きくでき、第三部分及び第二部分における第二境界よりも一方側の領域の強度を高めることができる。また、第二部分を成形する金型が平坦で製造しやすい。
【0072】
(6) (1)から(5)のいずれか1つに記載のレンズであって、
上記第二部分の上記一方側は平面(第一面S1)であり、
Dを上記第三部分及び上記第二部分における上記第二境界よりも上記一方側の領域(領域Lo)のレンズ径方向の幅、
Eをヤング率、
Bを上記領域の周方向の幅、
Lを光軸方向の上記領域の長さ、
Vをレンズ体積、
dをレンズ比重、
V*d*9.8をレンズ重量M、
=BD/12とI=BD/12のうちの小さい方をIminとした場合に、
πEImin/4L>Mの条件を満たすレンズ。
【0073】
(6)によれば、上記式を満足することで、第三部分及び第二部分における第二境界よりも一方側の領域の強度を高めて、この領域の座屈を防ぐことができる。
【0074】
(7)
(1)から(6)のいずれか1つに記載のレンズであって、
上記第一部分の上記一方側には、上記突起よりもレンズ径方向の幅の大きい凸部(レンズ高さ位置決め部4)が設けられ、
上記一方側における上記凸部の頂点は、上記一方側における上記突起の頂点よりも上記一方側に位置するレンズ。
【0075】
(7)によれば、第一部分の凸部の高さによって突起の保護が可能となり、突起の脱落を強固に防ぐことができる。また、突起の高さは、凸部よりも低く十分に小さいことから、突起の脱落を効果的に防ぐことができる。
【0076】
(8)
(1)から(6)のいずれか1つに記載のレンズであって、
上記第一部分の上記一方側には、上記突起よりもレンズ径方向の幅の大きい凸部(レンズ高さ位置決め部4)が設けられ、
上記一方側における上記凸部の頂点は、上記一方側における上記第二部分の頂点よりも、上記一方側に位置するレンズ。
【0077】
(8)によれば、第一部分の凸部の高さによって第三部分及び第二部分における第二境界よりも一方側の領域の保護が可能となり、突起の脱落を強固に防ぐことができる。
【0078】
(9)
(1)から(6)のいずれか1つに記載のレンズであって、
上記第一部分の上記一方側には、上記突起よりもレンズ径方向の幅の大きい凸部(レンズ高さ位置決め部4)が設けられているレンズ。
【0079】
(10)
(1)から(9)のいずれか1つに記載のレンズであって、
上記突起の上記光軸方向の高さは、0.1μm以上10μm以下であるレンズ。
【0080】
(10)によれば、突起の高さが十分に小さいため、突起の脱落を防ぐことができる。
【0081】
(11)
固定コア(固定コア22)と、
上記固定コアに対して所定の距離離れた離間位置(離間位置P1)と、上記固定コアに対して上記所定の距離より近づいた圧縮位置(圧縮位置P2)と、の間で可動な可動コア(可動コア21)と、
上記可動コアの可動方向(可動方向DR)とは異なる方向(可動方向DRに直交する方向)で上記可動コアと隣り合う入子(入子25)とを備え、
上記固定コアと、上記可動コアと、上記入子とによって被成形部材の成形されるキャビティ(キャビティC)が形成され、
上記可動コアと上記入子との間にコア割部(コア割部28)が形成され、
上記可動コア及び上記入子の上記固定コアに対面するキャビティ形成面のうち、上記圧縮位置に位置した上記可動コアの上記コア割部に隣接する圧縮壁面(圧縮壁面21we)が、上記コア割部に隣接する上記入子の第一壁面(第一壁面25we)よりも、上記固定コアに接近した位置に配置される、射出圧縮成形用金型。
【0082】
(12)
(11)記載の射出圧縮成形用金型であって、
上記離間位置に位置した上記可動コアの上記圧縮壁面は、上記可動方向において、上記入子の上記第一壁面と同じ位置、又は、上記入子の上記第一壁面よりも上記固定コアに近い位置に配置される射出圧縮成形用金型。
【0083】
(13)
固定コア(固定コア22)と、上記固定コアに対面して相対移動可能な可動コア(可動コア21)と、上記可動コアを囲んで配置される入子(入子25)と、を含んで樹脂射出用のキャビティ(キャビティC)を形成する射出圧縮成形用金型(金型20)を用いた射出成形品(レンズ1)の製造方法であって、
上記可動コアと上記入子との間にコア割部(コア割部28)を形成し、
上記キャビティ内に射出された溶融樹脂(溶融樹脂1k)を加圧するときに、
上記コア割部に隣接する上記可動コア側のキャビティ形成面(圧縮壁面21we)を、上記コア割部に隣接する上記入子側のキャビティ形成面(第一壁面25we)よりも上記固定コアに接近させる、樹脂圧縮工程を含む、
射出成形品の製造方法。
【符号の説明】
【0084】
1a,1b 光面
S1e,S1t 端縁
1k 溶融樹脂
X1 周辺領域
X2 外端領域
IP1 第一内周部
1 レンズ
C1 第一空間
P1 離間位置
S1 第一面
bo1 第一境界
IP2 第二内周部
C2 第二空間
P2 圧縮位置
X2 外端領域
S2 第二面
bo2 第二境界
IP3 第三内周部
C3 第三空間
10 有効径部
11 第一部分
12 第二部分
13 第三部分
18b 基端
18k ギャップ進入部
18 突起
20 射出圧縮成形用金型
21we 圧縮壁面
21wp 凹部
21w,22w,25w キャビティ形成面
21 可動コア
22 固定コア
25sw 内周面
25 入子
25c 凹み部
25we 第一壁面
28sw 側面
28 コア割部
4 レンズ高さ位置決め部
C キャビティ
DR 可動方向
j スプール
g ゲート
PL パーティングライン
Os 方向
Lo 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10