(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052787
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】フェライト仮焼体、フェライト焼結磁石及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 1/10 20060101AFI20220329BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
H01F1/10
H01F41/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020159217
(22)【出願日】2020-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 義徳
【テーマコード(参考)】
5E040
5E062
【Fターム(参考)】
5E040AB03
5E040CA01
5E040HB03
5E040NN02
5E040NN18
5E062CD01
5E062CG02
(57)【要約】
【課題】高いBr、高いHcJ及び高いHk/HcJの全てを満足する磁石特性を有するとともに、従来CaLaCo磁石よりもCoの使用量を削減したフェライト焼結磁石の提供。
【解決手段】Ca、R、Sr、Fe及びCoの金属元素(ただし、Rは希土類元素の少なくとも一種であってLaを必須に含む元素)の原子比を示す一般式:Ca1-x-yRxAyFe2n-zCozにおいて、前記x、y及びz、並びにn(ただし、2nはモル比であって、2n=(Fe+Co)/(Ca+R+Sr)で表される)が、0.4≦x<0.5、0<y≦0.2、0.18<z<0.3、1.6≦x/z≦2.25、及び8.5≦2n-z≦10、を満足するフェライト仮焼体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ca、R、Sr、Fe及びCoの金属元素(ただし、Rは希土類元素の少なくとも一種であってLaを必須に含む元素)の原子比を示す一般式:Ca1-x-yRxAyFe2n-zCozにおいて、
前記x、y及びz、並びにn(ただし、2nはモル比であって、2n=(Fe+Co)/(Ca+R+Sr)で表される)が、
0.4≦x<0.5、
0<y≦0.2、
0.18<z<0.3、
1.6≦x/z≦2.25、及び
8.5≦2n-z≦10、
を満足するフェライト仮焼体。
【請求項2】
9<2n-z≦10である請求項1に記載のフェライト仮焼体。
【請求項3】
1.6≦x/z≦2.0である請求項1又は2に記載のフェライト仮焼体。
【請求項4】
Ca、R、Sr、Fe及びCoの金属元素(ただし、Rは希土類元素の少なくとも一種であってLaを必須に含む元素)の原子比を示す一般式:Ca1-x-yRxAyFe2n-zCozにおいて、
前記x、y及びz、並びにn(ただし、2nはモル比であって、2n=(Fe+Co)/(Ca+R+Sr)で表される)が、
0.35≦x<0.5、
0<y≦0.2、
0.18<z<0.3、
1.6≦x/z≦2.25、及び
7.5≦2n-z≦10、
を満足するフェライト焼結磁石。
【請求項5】
8<2n-z≦10である請求項4に記載のフェライト焼結磁石。
【請求項6】
1.6≦x/z≦2.0である請求項4又は5に記載のフェライト焼結磁石。
【請求項7】
Cr2O3換算で1.5mass%以下(0mass%は含まず)のCrをさらに含有する請求項4~6のいずれかに記載のフェライト焼結磁石。
【請求項8】
SiO2換算で1.0mass%以下(0mass%は含まず)のSiをさらに含有する請求項4~7のいずれかに記載のフェライト焼結磁石。
【請求項9】
Ca、R、Sr、Fe及びCoの金属元素(ただし、Rは希土類元素の少なくとも一種であってLaを必須に含む元素)の原子比を示す一般式:Ca1-x-yRxAyFe2n-zCozにおいて、
前記x、y及びz、並びにn(ただし、2nはモル比であって、2n=(Fe+Co)/(Ca+R+Sr)で表される)が、
0.4≦x<0.5、
0<y≦0.2、
0.18<z<0.3、
1.6≦x/z≦2.25、及び
8.5≦2n-z≦10、
を満足する原料粉末を混合し、混合原料粉末を得る原料粉末混合工程、
前記混合原料粉末を仮焼し、仮焼体を得る仮焼工程、
前記仮焼体を粉砕し、仮焼体の粉末を得る粉砕工程、
前記仮焼体の粉末を成形し、成形体を得る成形工程、
前記成形体を焼成し、焼結体を得る焼成工程、
を含み、
前記焼成工程において、室温から1100℃までの温度範囲における平均昇温速度を600℃/時以上1000℃/時以下、1100℃から焼成温度までの温度範囲における平均昇温速度を1℃/分以上10℃/分以下とし、焼成温度から800℃までの温度範囲における平均降温速度を1000℃/時以上とするフェライト焼結磁石の製造方法。
【請求項10】
9<2n-z≦10である請求項9に記載のフェライト焼結磁石の製造方法。
【請求項11】
1.6≦x/z≦2.0である請求項9又は10に記載のフェライト焼結磁石の製造方法。
【請求項12】
前記仮焼工程後、前記成形工程前に、前記仮焼体又は仮焼体の粉末100mass%に対して1.5mass%以下(0mass%は含まず)のCr2O3を添加する工程をさらに含む請求項9~11のいずれかに記載のフェライト焼結磁石の製造方法。
【請求項13】
前記仮焼工程後、前記成形工程前に、前記仮焼体又は仮焼体の粉末100mass%に対して1.0mass%以下(0mass%は含まず)のSiO2を添加する工程をさらに含む請求項9~12のいずれかに記載のフェライト焼結磁石の製造方法。
【請求項14】
前記仮焼工程後、前記成形工程前に、前記仮焼体又は仮焼体の粉末100mass%に対してCaO換算で1.0mass%以下(0mass%は含まず)のCaCO3を添加する工程をさらに含む請求項9~13のいずれかに記載のフェライト焼結磁石の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フェライト仮焼体、フェライト焼結磁石及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェライト焼結磁石は最大エネルギー積が希土類系焼結磁石(例えばNdFeB系焼結磁石)の1/10にすぎないが、主原料が安価な酸化鉄であることからコストパフォーマンスに優れており、化学的に極めて安定であるという特長を有している。そのため、各種モータやスピーカなど様々な用途に用いられており、世界的な生産重量は現在でも磁石材料の中で最大である。
【0003】
代表的なフェライト焼結磁石は、マグネトプランバイト構造を有するSrフェライトであり、基本組成はSrFe12O19で表される。1990年代後半にSrFe12O19のSr2+の一部をLa3+で置換し、Fe3+の一部をCo2+で置換したSr-La-Co系フェライト焼結磁石(以下、略して「SrLaCo磁石」という場合がある)が実用化されたことによりフェライト磁石の磁石特性は大きく向上した。また、2007年には、磁石特性をさらに向上させたCa-La-Co系フェライト焼結磁石(以下、略して「CaLaCo磁石」という場合がある)が実用化された。
【0004】
前記SrLaCo磁石及びCaLaCo磁石ともに、高い磁石特性を得るためにはCoが不可欠である。一般的なSrLaCo磁石では原子比で0.2程度(Co/Fe=0.017、すなわちFe含有量の1.7%程度)のCoが、従来のCaLaCo磁石では原子比で0.3程度のCo(Co/Fe=0.03、すなわちFe含有量の3%程度)が含有されている。Co(酸化Co)の価格はフェライト焼結磁石の主原料である酸化鉄の十倍から数十倍に相当する。従って、従来のCaLaCo磁石では、一般的なSrLaCo磁石に比べ原料コストの増大が避けられない。フェライト焼結磁石の最大の特長は安価であるという点にあるため、たとえ高い磁石特性を有していても、価格が高いと市場では受け入れられ難い。従って、世界的には、未だSr-La-Co系フェライト焼結磁石の需要が高い。
【0005】
一方、モータやスピーカなどフェライト焼結磁石が用いられているさまざまな用途の中で、高性能化の要望が強いのは自動車電装用モータや家電用モータなどである。近年は、希土類原料の価格高騰や調達リスクの顕在化を背景に、これまで希土類磁石しか用いられていなかった産業用モータやEV(Electric Vehicle)/HEVの駆動用モータ・発電機などにもフェライト焼結磁石の応用が検討されている。
【0006】
それらの用途に用いるためには、薄型化した際の強い反磁界による減磁及び高温下(例えば140℃)における減磁を抑制するため、高い残留磁束密度(以下「Br」という)、高い保磁力(以下「HcJ」という)及び高い角形比(以下、「Hk/HcJ」という)の全てを満足する磁石特性を有するフェライト焼結磁石が要求される。
【0007】
特許文献1には、Caの一部をSrで置換したCaLaCo磁石が提案されている。
特許文献1におけるCaLaCo磁石は、原子比で0.3程度のCoを含有し、高いBrとHcJを有するもののHk/HcJに関するデータは一切開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示の実施形態は、高いBr、高いHcJ及び高いHk/HcJの全てを満足する磁石特性を有するとともに、従来のCaLaCo磁石よりもCoの使用量を削減したフェライト焼結磁石の提供を可能にする。
【0010】
発明者は、CaLaCo磁石が有する高いBrと高いHcJを維持しながら、Hk/HcJの向上とCo使用量の削減について鋭意研究した。そして、磁気的配向度(残留磁束密度/飽和磁化=Br/Js)を改善することによりHk/HcJが大幅に向上することに着目した。さらに研究を進めた結果、特許文献1に開示される一般的なCaLaCo磁石よりもFeの含有量を減少させ、なおかつ、Co含有量を原子比で0.3以下に抑えつつ、Coに対するLaの含有比率(La/Co)を高めることにより、磁気的配向度が顕著に向上し、高いBrと高いHcJを維持しながらHk/HcJが大幅に向上することを見出した。さらに、発明者は、焼成時の昇温条件と降温条件を適切に制御することにより、HcJとHk/HcJがさらに向上することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の限定的ではない例示的なフェライト仮焼体は、
Ca、R、Sr、Fe及びCoの金属元素(ただし、Rは希土類元素の少なくとも一種であってLaを必須に含む元素)の原子比を示す一般式:Ca1-x-yRxAyFe2n-zCozにおいて、
前記x、y及びz、並びにn(ただし、2nはモル比であって、2n=(Fe+Co)/(Ca+R+Sr)で表される)が、
0.4≦x<0.5、
0<y≦0.2、
0.18<z<0.3、
1.6≦x/z≦2.25、及び
8.5≦2n-z≦10、
を満足する。
【0012】
ある実施形態において、9<2n-z≦10である。
ある実施形態において、1.6≦x/z≦2.0である。
【0013】
本開示の限定的ではない例示的なフェライト焼結磁石は、
Ca、R、Sr、Fe及びCoの金属元素(ただし、Rは希土類元素の少なくとも一種であってLaを必須に含む元素)の原子比を示す一般式:Ca1-x-yRxAyFe2n-zCozにおいて、
前記x、y及びz、並びにn(ただし、2nはモル比であって、2n=(Fe+Co)/(Ca+R+Sr)で表される)が、
0.35≦x<0.5、
0<y≦0.2、
0.18<z<0.3、
1.6≦x/z≦2.25、及び
7.5≦2n-z≦10、
を満足する。
【0014】
ある実施形態において、8<2n-z≦10である。
ある実施形態において、1.6≦x/z≦2.0である。
【0015】
ある実施形態において、Cr2O3換算で1.5mass%以下(0mass%は含まず)のCrをさらに含有する。
【0016】
ある実施形態において、SiO2換算で1.0mass%以下(0mass%は含まず)のSiをさらに含有する。
【0017】
本開示の限定的ではない例示的なフェライト焼結磁石の製造方法は、
Ca、R、Sr、Fe及びCoの金属元素(ただし、Rは希土類元素の少なくとも一種であってLaを必須に含む元素)の原子比を示す一般式:Ca1-x-yRxAyFe2n-zCozにおいて、
前記x、y及びz、並びにn(ただし、2nはモル比であって、2n=(Fe+Co)/(Ca+R+Sr)で表される)が、
0.4≦x<0.5、
0<y≦0.2、
0.18<z<0.3、
1.6≦x/z≦2.25、及び
8.5≦2n-z≦10、
を満足する原料粉末を混合し、混合原料粉末を得る原料粉末混合工程、
前記混合原料粉末を仮焼し、仮焼体を得る仮焼工程、
前記仮焼体を粉砕し、仮焼体の粉末を得る粉砕工程、
前記仮焼体の粉末を成形し、成形体を得る成形工程、
前記成形体を焼成し、焼結体を得る焼成工程、
を含み、
前記焼成工程において、室温から1100℃までの温度範囲における平均昇温速度を600℃/時以上1000℃/時以下、1100℃から焼成温度までの温度範囲における平均昇温速度を1℃/分以上10℃/分以下とし、焼成温度から800℃までの温度範囲における平均降温速度を1000℃/時以上とする。
【0018】
ある実施形態において、9<2n-z≦10である。
ある実施形態において、1.6≦x/z≦2.0である。
【0019】
ある実施形態において、前記仮焼工程後、前記成形工程前に、前記仮焼体又は仮焼体の粉末100mass%に対して1.5mass%以下(0mass%は含まず)のCr2O3を添加する工程をさらに含む。
【0020】
ある実施形態において、前記仮焼工程後、前記成形工程前に、前記仮焼体又は仮焼体の粉末100mass%に対して1.0mass%以下(0mass%は含まず)のSiO2を添加する工程をさらに含む。
【0021】
ある実施形態において、前記仮焼工程後、前記成形工程前に、前記仮焼体又は仮焼体の粉末100mass%に対してCaO換算で1.0mass%以下(0mass%は含まず)のCaCO3を添加する工程をさらに含む。
【発明の効果】
【0022】
本開示の実施形態によれば、高いBr、高いHcJ及び高いHk/HcJの全てを満足する磁石特性を有するとともに、従来CaLaCo磁石よりもCoの使用量を削減したフェライト焼結磁石の提供が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.フェライト仮焼体
本開示の実施形態のフェライト仮焼体は、
Ca、R、Sr、Fe及びCoの金属元素(ただし、Rは希土類元素の少なくとも一種であってLaを必須に含む元素)の原子比を示す一般式:Ca1-x-yRxAyFe2n-zCozにおいて、
前記x、y及びz、並びにn(ただし、2nはモル比であって、2n=(Fe+Co)/(Ca+R+Sr)で表される)が、
0.4≦x<0.5、
0<y≦0.2、
0.18<z<0.3、
1.6≦x/z≦2.25、及び
8.5≦2n-z≦10、
を満足する。
【0024】
原子比x(Rの含有量)は、0.4≦x<0.5である。xが0.4未満又は0.5以上では高い磁石特性(Br、HcJ、Hk/HcJ)を得ることができない。特に、xが0.5以上になるとRがリッチな相やスピネル相などの異相が生成することとなり、磁石特性(特にHk/HcJ)が著しく低下する。Rは希土類元素の少なくとも一種であってLaを必須に含む。Laはモル比で50%以上含まれることが好ましく、R=Laのみであることがさらに好ましい。
【0025】
原子比y(Srの含有量)は0<y≦0.2である。yが0(含有されない)又は0.2を超えると高い磁石特性(Br、HcJ、Hk/HcJ)を得ることができない。特に、yが0(含有されない)の場合相対的にCaの含有量が多くなり、Caがリッチな異相が生成することとなり磁石特性(特にHk/HcJ)が著しく低下する。すなわち、Srは異相生成を抑制する役割を有する。
【0026】
原子比z(Coの含有量)は、0.18<z<0.3である。先述の通り、従来のCaLaCo磁石では原子比で0.3程度のCoが含有されていたが、本開示の実施形態では、Co含有量を0.3よりも減少させることができる。これが本開示の実施形態の特徴の一つである。zが0.18以下では高い磁石特性(Br、HcJ、Hk/HcJ)を得ることができない。zが0.3以上になるとCo使用量の削減効果を得ることができない。
【0027】
原子比x(Rの含有量)と原子比z(Coの含有量)は、1.6≦x/z≦2.25を満足する。これが本開示の実施形態の二つ目の特徴である。そもそもR(以下、説明を容易にするためにRをLaという)はFe3+とCo2+の電気的中性を満たすために添加されるものあり、基本的にはx/z=1(La/Co=1)であるが、先に、本発明者らは、電気的中性にとらわれずLa/Coを1より大きくすることによってBrとHcJが向上することを知見し、特許文献1などで提案した。しかし、特許文献1に基づく従来のCaLaCo磁石は原子比で0.3程度のCoが必須と考えられていたため、La/Coを1より大きくするためには相対的にLaを多く含有せねばならないが、La含有量が多くなるとLaがリッチな相やスピネル相などの異相が生成することとなり、Hk/HcJが著しく低下する。従って、特許文献1に基づく従来のCaLaCo磁石においては、磁石特性上、La/Co=1.67(La=0.5、Co=0.3)が限界であった。本開示の実施形態においては、原子比z(Coの含有量)が0.18<z≦0.3であるため、x/zを1.6≦x/z≦2.2としてもLaの含有量が多くなり過ぎず、異相の生成が抑制され、Hk/HcJが向上する。x/zは1.6≦x/z≦2.0であることがより好ましく、1.8≦x/z≦2.0であることがさらに好ましい。
【0028】
2n-z(Feの含有量)は、8.5≦2n-z≦10である。2nはモル比であって、2n=(Fe+Co)/(Ca+R+Sr)で表される。特許文献1に基づく従来のCaLaCo磁石においては、nが5.2≦n≦5.8(2nが10.4≦n≦11.6)であった。本開示の実施形態においては、Feの含有量を従来のCaLaCo磁石よりも減少させる。これが本開示の実施形態の三つ目の特徴である。2n-zは9<2n-z≦10であることがより好ましい。
【0029】
上記にて説明した、0.18<z≦0.3(Co含有量が少ない)、1.6≦x/z≦2.25(R/Coが大きい)、8.5≦2n-z≦10(Fe含有量が少ない)という三つの主たる特徴の複合的な効果として、後述する実施例に示す通り、本開示の実施形態に基づくフェライト焼結磁石は、磁気的配向度(Br/Js)が極めて高い値(例えば98.4%以上、好ましい実施形態では99%以上)となる。これによって、高いBrと高いHcJを維持しながらHk/HcJを大幅に向上(好ましい実施形態では90%以上)させることが可能となる。
【0030】
前記一般式は、金属元素の原子比で示したが、酸素(O)を含む組成は、一般式:Ca1-x-yRxSryFe2n-zCozOαで表される。酸素のモル数αは基本的にはα=19であるが、Fe及びCoの価数、x、y及びzやnの値などによって異なってくる。また、還元性雰囲気で焼成した場合の酸素の空孔(ベイカンシー)、フェライト相におけるFeの価数の変化、Coの価数の変化等により金属元素に対する酸素の比率が変化する。従って、実際の酸素のモル数αは19からずれる場合がある。そのため、本開示の実施形態においては、最も組成が特定し易い金属元素の原子比で組成を表記している。
【0031】
本開示の実施形態のフェライト仮焼体を構成する主相は、六方晶のマグネトプランバイト(M型)構造を有する化合物相(フェライト相)である。一般に、磁性材料、特に焼結磁石は、複数の化合物から構成されており、その磁性材料の特性(物性、磁石特性など)を決定づけている化合物が「主相」と定義される。
【0032】
「六方晶のマグネトプランバイト(M型)構造を有する」とは、フェライト仮焼体のX線回折を一般的な条件で測定した場合に、六方晶のマグネトプランバイト(M型)構造のX線回折パターンが主として観察されることを言う。
【0033】
上述した本開示の実施形態のフェライト仮焼体の製造方法を含む本開示の実施形態のフェライト焼結磁石の製造方法の一例を以下に説明する。
【0034】
2.フェライト焼結磁石の製造方法
原料粉末としては、価数にかかわらず、それぞれの金属の酸化物、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、塩化物等の化合物を使用することができる。原料粉末を溶解した溶液であってもよい。Caの化合物としては、Caの炭酸塩、酸化物、塩化物等が挙げられる。Rの化合物としては、Laを例にすると、La2O3等の酸化物、La(OH)3等の水酸化物、La2(CO3)3・8H2O等の炭酸塩等が挙げられる。Srの化合物としては、Srの炭酸塩、酸化物、塩化物等が挙げられる。Feの化合物としては、酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、ミルスケール等が挙げられる。Coの化合物としては、CoO、Co3O4等の酸化物、CoOOH、Co(OH)2等の水酸化物、CoCO3等の炭酸塩、及びm2CoCO3・m3Co(OH)2・m4H2O等の塩基性炭酸塩(m2、m3、m4は正の数である)が挙げられる。
【0035】
仮焼時の反応促進のため、必要に応じてB2O3、H3BO3等のB(硼素)を含む化合物を1mass%程度まで添加してもよい。特にH3BO3の添加は、磁石特性の向上に有効である。H3BO3の添加量は0.3mass%以下であるのが好ましく、0.1mass%程度が最も好ましい。H3BO3は、焼成時に結晶粒の形状やサイズを制御する効果も有するため、仮焼後(微粉砕前や焼成前)に添加してもよく、仮焼前及び仮焼後の両方で添加してもよい。
【0036】
上述した本開示の実施形態のフェライト仮焼体の成分、組成を満足する原料粉末を混合し、混合原料粉末とする。原料粉末の配合、混合は、湿式及び乾式のいずれで行ってもよい。スチールボール等の媒体とともに撹拌すると原料粉末をより均一に混合することができる。湿式の場合は、分散媒に水を用いるのが好ましい。原料粉末の分散性を高める目的でポリカルボン酸アンモニウム、グルコン酸カルシウム等の公知の分散剤を用いてもよい。混合した原料スラリーはそのまま仮焼してもよいし、原料スラリーを脱水した後、仮焼してもよい。
【0037】
乾式混合又は湿式混合することによって得られた混合原料粉末は、電気炉、ガス炉等を用いて加熱することで、固相反応により、六方晶のマグネトプランバイト(M型)構造のフェライト化合物を形成する。このプロセスを「仮焼」と呼び、得られた化合物を「仮焼体」と呼ぶ。従って、本開示の実施形態のフェライト仮焼体はフェライト化合物と言い換えることができる。
【0038】
仮焼工程では、温度の上昇とともにフェライト相が形成される固相反応が進行する。仮焼温度が1100℃未満では、未反応のヘマタイト(酸化鉄)が残存するため磁石特性が低くなる。一方、仮焼温度が1450℃を超えると結晶粒が成長し過ぎるため、粉砕工程において粉砕に多大な時間を要することがある。従って、仮焼温度は1100℃~1450℃であるのが好ましい。仮焼時間は0.5時間~5時間であるのが好ましい。仮焼後の仮焼体はハンマーミルなどによって粗粉砕することが好ましい。
【0039】
以上のような工程を経ることによって、本開示の実施形態のフェライト仮焼体を得ることができる。引き続き、本開示の実施形態のフェライト焼結磁石の製造方法を説明する。
【0040】
仮焼体を振動ミル、ジェットミル、ボールミル、アトライター等によって粉砕(微粉砕)し、仮焼体の粉末(微粉砕粉末)とする。仮焼体の粉末の平均粒径は0.4μm~0.8μm程度にするのが好ましい。なお、本開示の実施形態においては、粉体比表面積測定装置(例えば島津製作所製SS-100)などを用いて空気透過法によって測定した値を粉末の平均粒径(平均粒度)という。粉砕工程は、乾式粉砕及び湿式粉砕のいずれでもよく、双方を組み合わせてもよい。湿式粉砕の場合は、分散媒として水及び/又は非水系溶剤(アセトン、エタノール、キシレン等の有機溶剤)を用いて行う。典型的には、水(分散媒)と仮焼体とを含むスラリーを生成する。スラリーには公知の分散剤及び/又は界面活性剤を固形分比率で0.2mass%~2mass%を添加してもよい。湿式粉砕後は、スラリーを濃縮してもよい。
【0041】
成形工程は、粉砕工程後のスラリーを、分散媒を除去しながら磁界中又は無磁界中でプレス成形する。磁界中でプレス成形することにより、粉末粒子の結晶方位を整列(配向)させることができ、磁石特性を飛躍的に向上させることができる。さらに、配向を向上させるために、成形前のスラリーに分散剤及び潤滑剤をそれぞれ0.1mass%~1mass%添加してもよい。また成形前にスラリーを必要に応じて濃縮してもよい。濃縮は遠心分離、フィルタープレス等により行うのが好ましい。
【0042】
前記仮焼工程後、成形工程前に、仮焼体又は仮焼体の粉末(粗粉砕粉末又は微粉砕粉末)に添加物を添加してもよい。添加物としてはCr2O3、SiO2及びCaCO3が好ましい。Cr2O3の添加量は添加する対象となる仮焼体又は仮焼体の粉末100mass%に対して1.5mass%以下が好ましい。同様にSiO2の添加量は1.0mass%以下が好ましい。また、CaCO3の添加量はCaO換算で1.0mass%以下が好ましい。
【0043】
Cr2O3、SiO2及びCaCO3はフェライト焼結磁石の添加物として知られている。これらの添加物を添加するとHcJが向上するという利点がある一方、BrとHk/HcJが低下するという欠点がある。しかしながら、本開示の実施形態においては、上述した三つの主たる特徴によって、磁気的配向度(Br/Js)が著しく向上しているため、BrとHk/HcJの低下を抑制することができ、HcJのみを向上させることができる。添加物の添加は、例えば、仮焼工程によって得られた仮焼体に添加した後、粉砕工程を実施する、粉砕工程の途中で添加する、又は粉砕工程後の仮焼体の粉末(微粉砕粉末)に添加、混合した後成形工程を実施する、などの方法を採用することができる。上記添加物ほかAl2O3等を1mass%以下添加してもよい。
【0044】
なお、本開示の実施形態のフェライト焼結磁石は、その組成から明らかなようにCa-La-Co系フェライト焼結磁石に属する。Ca-La-Co系フェライト焼結磁石においては、主相成分としてCaが含まれているため、一般的なSr-La-Co系フェライト焼結磁石などのようにSiO2やCaCO3などの添加物を添加しなくても、液相が生成し、焼結することができる。すなわち、フェライト焼結磁石において主として粒界相を形成するSiO2やCaCO3を添加しなくても本開示の実施形態のフェライト焼結磁石を製造することは可能である。
【0045】
なお、本開示の実施形態においては、CaCO3の添加量は全てCaO換算で表記する。CaO換算での添加量からCaCO3の添加量は、
式:(CaCO3の分子量×CaO換算での添加量)/CaOの分子量
によって求めることができる。例えば、CaO換算で0.5mass%のCaCO3を添加する場合、
{(40.08[Caの原子量]+12.01[Cの原子量]+48.00[Oの原子量×3]=100.09[CaCO3の分子量])×0.5mass%[CaO換算での添加量]}/(40.08[Caの原子量]+16.00[Oの原子量]=56.08[CaOの分子量])=0.892mass%[CaCO3の添加量]、となる。
【0046】
プレス成形により得られた成形体を、必要に応じて脱脂した後、焼成(焼結)する。 焼成は電気炉、ガス炉等を用いて行う。焼成は酸素濃度が10体積%以上の雰囲気中で行うことが好ましい。より好ましくは20体積%以上であり、最も好ましくは100体積%である。焼成温度は1150℃~1250℃が好ましい。焼成時間は0時間(焼成温度での保持無し)~2時間が好ましい。
【0047】
本開示の実施形態においては、焼成時の昇温・降温条件を以下の通りとする。室温から1100℃までの温度範囲における平均昇温速度を600℃/時以上1000℃/時以下、1100℃から焼成温度までの温度範囲における平均昇温速度を1℃/分以上10℃/分以下とし、焼成温度から800℃までの温度範囲における平均降温速度を1000℃/時以上とする。これにより、得られるフェライト焼結磁石のBrを低下させることなく、HcJとHk/HcJをさらに向上させることができる。これも本開示の実施形態の特徴の一つである。
【0048】
焼成工程の後は、加工工程、洗浄工程、検査工程等の公知の製造プロセスを経て、最終的にフェライト焼結磁石を製造する。
【0049】
3.フェライト焼結磁石
前記の通り、本開示の実施形態のフェライト仮焼体は、SiO2やCaCO3などの添加物を添加しなくても、液相が生成し、焼結することができ、本開示の実施形態のフェライト焼結磁石を得ることができる。この時、フェライト仮焼体の成分、組成と、フェライト焼結磁石の成分、組成は、基本的に同じとなる(製造工程における不純物の混入などは考慮しない)。
【0050】
一方、添加物を添加した場合、特にフェライト仮焼体の主成分でもあるCa成分(例えばCaCO3)を添加した場合は、フェライト焼結磁石全体としてはCa成分が増加するため、相対的に他の元素が減少することとなる。例えば、本開示の実施形態のフェライト仮焼体を用いて、添加物としてCaO換算でCaCO3を1.0mass%添加すると、最も変動する場合で、0.4≦x<0.5(仮焼体)が0.35≦x<0.5(焼結磁石)に、8.5≦2n-z≦10(仮焼体)が7.5≦2n-z≦10(焼結磁石)となる。この場合、2n-zの好ましい範囲は8<2n-z≦10である。
【0051】
従って、本開示の実施形態のフェライト焼結磁石は、
Ca、R、Sr、Fe及びCoの金属元素(ただし、Rは希土類元素の少なくとも一種であってLaを必須に含む元素)の原子比を示す一般式:Ca1-x-yRxAyFe2n-zCozにおいて、
前記x、y及びz、並びにn(ただし、2nはモル比であって、2n=(Fe+Co)/(Ca+R+Sr)で表される)が、
0.35≦x<0.5、
0<y≦0.2、
0.18<z<0.3、
1.6≦x/z≦2.25、及び
7.5≦2n-z≦10、
を満足するものとなる。
【0052】
なお、本開示の実施形態のフェライト焼結磁石の、酸素(O)を含む場合の組成、フェライト焼結磁石を構成する主相、六方晶のマグネトプランバイト(M型)構造の定義などは、本開示の実施形態のフェライト仮焼体と同様である。また、前記の通り、フェライト仮焼体から範囲が変動しているものの、原子比x、y、zの限定理由、2n-zの限定理由なども前記フェライト仮焼体と同様であるため説明を省略する。
【0053】
前記の通り、本開示の実施形態のフェライト焼結磁石の製造方法において、添加物としてCr2O3を、仮焼体又は仮焼体の粉末100mass%に対して1.5mass%以下添加する場合がある。添加物として添加されたCr2O3は焼成(焼結)時に主相に固溶する。従って、添加物として前記添加量のCr2O3を添加した場合は、得られるフェライト焼結磁石はCr2O3換算で1.5mass%以下(0mass%は含まず)のCrを含有する。
【0054】
同様に、添加物としてSiO2を、仮焼体又は仮焼体の粉末100mass%に対して1.0mass%以下添加する場合がある。添加物として添加されたSiO2は焼成(焼結)時に液相成分となり、フェライト焼結磁石において粒界相の一成分として存在することとなる。従って、添加物として前記添加量のSiO2を添加した場合は、得られるフェライト焼結磁石はSiO2換算で1.0mass%以下(0mass%は含まず)のSiを含有する。
【0055】
この時、CrやSiの含有により、前記一般式:Ca1-x-yRxSryFe2n-zCozで示される各元素の含有量が相対的に減少することになるが、前記一般式におけるx、y、z、nなどの範囲は基本的に変化しない。なお、CrやSiの含有量は、フェライト焼結磁石の成分分析結果(例えば、ICP発光分光分析装置による結果)におけるCa、La、Sr、Fe、CoとCr、Siの各組成(mass%)から、CaCO3、La(OH)3、SrCO3、Fe2O3、Co3O4及びCr2O3、SiO2の質量に換算し、それらの合計100質量に対する含有比率(mass%)である。
【実施例0056】
本開示の実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本開示の実施形態はそれらに限定されるものではない。
【0057】
実験例1
本開示の実施形態に基づく実験例として、一般式Ca1-x-yLaxSryFe2n-zCozにおいて、原子比が表1の試料No.1~15に示す1-x-y、x、y、z及び2n-zになるようにCaCO3粉末、La(OH)3粉末、SrCO3粉末、Fe2O3粉末及びCo3O4粉末を所定の組成で秤量し、秤量後の粉末の合計100mass%に対してH3BO3粉末を0.1mass%添加後、それぞれ湿式ボールミルで4時間混合した後、乾燥、整粒して6種類の混合原料粉末を得た。得られた混合原料粉末をそれぞれ大気中において1200℃で3時間仮焼し、6種類の仮焼体を得た。
【0058】
得られた各仮焼体を小型ミルで粗粉砕して6種類の仮焼体の粗粉砕粉末を得た。得られた各仮焼体の粗粉砕粉末100mass%に対して、表1に示すCaCO3(添加量はCaO換算)、SiO2及びCr2O3を添加し、水を分散媒とした湿式ボールミルで、平均粒度が0.6μm(粉体比表面積測定装置(島津製作所製SS-100)を用いて空気透過法により測定)になるまで微粉砕し、15種類の微粉砕スラリーを得た。
【0059】
粉砕工程により得られた各微粉砕スラリーを、分散媒を除去しながら、加圧方向と磁界方向とが平行である平行磁界成形機(縦磁界成形機)を用い、約1Tの磁界を印加しながら約2.4MPaの圧力で成形し、15種類の成形体を得た。
【0060】
得られた各成形体を焼結炉内に挿入し、10L/分の流量のエアーを流気しながら、室温から1100℃までの温度範囲を平均1000℃/時の速度で昇温し、1100℃から焼成温度(1210℃)までの温度範囲を平均1℃/分の速度で昇温し、1210℃で1時間焼成した。焼成後は、焼成炉のヒータを切り、エアーの流量を10L/分から40L/分にして、焼成温度(1210℃)から800℃までの温度範囲を平均1140℃/時の速度で降温し、そのまま炉内で室温まで冷却することにより15種類のフェライト焼結磁石を得た。
【0061】
得られたフェライト焼結磁石のJs、Br、Br/Js、HcJ、Hk及びHk/HcJの測定結果を表1に示す。表1において試料No.の横に*印を付していない試料No.3~15が本開示の実施形態に基づく実験例であり、*印を付した試料No.1、2は本開示の実施形態を満足しない実験例(比較例)である。なお、表1におけるHkは、J(磁化の大きさ)-H(磁界の強さ)曲線の第2象限において、Jが0.95×Jr(Jrは残留磁化、Jr=Br)の値になる位置のHの値である。
【0062】
なお、表1における原子比は原料粉末の配合時の原子比(配合組成)を示す。焼成後の焼結体(フェライト焼結磁石)における原子比(焼結磁石の組成)は、配合時の原子比を元に、仮焼工程前に添加される添加物(H3BO3など)の添加量や、仮焼工程後成形工程前に添加される添加物(CaCO3、SiO2及びCr2O3)の添加量を考慮し、計算によって求めることができ、その計算値は、フェライト焼結磁石をICP発光分光分析装置(例えば、島津製作所製ICPV-1017など)で分析した結果と基本的に同様となる。
【0063】
【0064】
表1において、試料No.1と2、3と4、5と6は、それぞれSiO2添加量を変化させる以外は組成や製造条件は同じである。表1に示す各磁石特性から明らかなように、SiO2添加量を増加させるとHcJが著しく向上するが、試料No.2のようにx/z(La/Co)が1.4ではBrの低下幅が大きくHk/HcJも大きく低下する。一方、試料No.4と6のようにx/z(La/Co)が1.6以上であるとBrの低下幅が小さくHk/HcJの低下も抑制されている。
【0065】
また、表1において、試料No.7~9、10~12、13~15は、それぞれCr2O3添加量を変化させる以外は組成や製造条件は同じである。表1に示す各磁石特性から明らかなように、Cr2O3添加量を増加させるに伴いHcJが向上するが、Brの低下幅は小さく、Hk/HcJは低下抑制どころかむしろ向上傾向にある。
【0066】
これら本開示の実施形態に基づく実験例のように、SiO2添加量、Cr2O3添加量を増加させても、BrとHk/HcJの低下を抑制しつつHcJを向上させることができるのは、0.18<z≦0.3(Co含有量が少ない)、1.6≦x/z≦2.25(R/Coが大きい)、8.5≦2n-z≦10(Fe含有量が少ない)という三つの主たる特徴によって、磁気的配向度(Br/Js)が向上しているためであると考えられる。
【0067】
さらに、表1から明らかなように、x/z(La/Co)が大きくなるに伴い、磁気的配向度(Br/Js)が向上するとともにHk/HcJも向上している。これは、減磁曲線のJsとBrを結ぶ線の傾きが改善されたためである。
【0068】
また、Hk/HcJが向上するのは、本開示の実施形態においては、原子比z(Coの含有量)が0.18<z≦0.3であるため、x/zを1.6≦x/z≦2.2としてもLaの含有量が多くなり過ぎず、異相の生成が抑制されているためであると考えられる。