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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053998
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】光学装置、レンズ装置、及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/00 20210101AFI20220330BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20220330BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20220330BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20220330BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20220330BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20220330BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20220330BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
G03B11/00
G02B7/02 E
G03B17/56 Z
G03B7/091
G03B17/14
G02B7/28 Z
G03B13/36
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160941
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】平川 友也
(72)【発明者】
【氏名】赤石 陽太
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 優太
【テーマコード(参考)】
2H002
2H011
2H044
2H083
2H101
2H105
2H151
5C122
【Fターム(参考)】
2H002CC00
2H002EB13
2H002EB17
2H002FB39
2H002GA35
2H002JA07
2H011DA01
2H044AE10
2H083AA10
2H083AA20
2H083AA42
2H083AA43
2H083AA50
2H083AA53
2H083AA54
2H101EE02
2H101EE03
2H101EE13
2H101EE21
2H105CC01
2H105CC12
2H151DB00
5C122EA47
5C122FB02
5C122FB13
5C122FB21
5C122FD01
5C122FF01
5C122GE03
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】入射光の反射による所望の効果が発揮された画像を取得できる光学装置、レンズ装置、及び撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る光学装置は、レンズ装置の物体側に装着される光学装置であって、レンズ装置に入射する入射光を反射させる反射部材を備え、反射部材の面である反射面が入射光を反射させることにより、レンズ装置により結像される被写体の像に反射部材の反射面で反射させた少なくとも一部の入射光を入射させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ装置の物体側に装着される光学装置であって、
前記レンズ装置に入射する入射光を反射させる反射部材を備え、
前記反射部材の面である反射面が前記入射光を反射させることにより、前記レンズ装置により結像される被写体の像に前記反射部材の前記反射面で反射させた少なくとも一部の前記入射光を入射させる光学装置。
【請求項2】
前記入射光は、前記入射光の一部が前記レンズ装置から反射した光を含む請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更する変更機構を備え、
前記変更機構が前記反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更することにより前記被写体の像に入射する前記入射光の強度及び形状の少なくともいずれかを変化させる請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記反射面は、中心部に対する反射の度合いよりも周辺部に対する反射の度合いが高い請求項1から3のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項5】
レンズ装置と撮像装置本体との間に装着される光学装置であって、
前記レンズ装置に入射する入射光を反射させる反射部材を備え、
前記反射部材の面である反射面が前記入射光を反射させることにより、前記レンズ装置により結像される被写体の像に前記反射部材の反射面で反射させた少なくとも一部の前記入射光を入射させる光学装置。
【請求項6】
前記反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更する変更機構を備え、
前記変更機構が前記反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更することにより前記被写体の像に入射する入射光の強度及び形状の少なくともいずれかを変化させる請求項5に記載の光学装置。
【請求項7】
レンズと、
前記レンズの光路に配置され、前記レンズに入射する入射光を反射させる反射部材と、
を備え、
前記反射部材は、前記レンズにより結像される被写体の像に前記反射部材の反射面で反射させた少なくとも一部の前記入射光を入射させるレンズ装置。
【請求項8】
前記入射光は、前記入射光の一部が前記レンズ装置から反射した光を含む請求項7に記載のレンズ装置。
【請求項9】
前記反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更する変更機構を備え、
前記変更機構が前記反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更することにより前記被写体の像に入射する入射光の強度及び形状の少なくともいずれかを変化させる請求項7または8に記載のレンズ装置。
【請求項10】
前記反射面は、中心部に対する反射の度合いよりも周辺部に対する反射の度合いが高い請求項7から9のいずれか1項に記載のレンズ装置。
【請求項11】
前記レンズ装置の光路に挿入及び抜去が可能な第2の反射部材であって、前記入射光に対する反射率が前記反射面の反射率よりも低い第2の反射面を有する第2の反射部材を備え、
前記反射部材に代えて前記第2の反射部材を前記光路に挿入することにより光路長の変動が抑制される請求項7から10のいずれか1項に記載のレンズ装置。
【請求項12】
前記第2の反射部材は平行平面板であり、
前記平行平面板の面が前記第2の反射面として作用する請求項11に記載のレンズ装置。
【請求項13】
前記レンズは複数のレンズから構成され、
前記反射部材は、前記複数のレンズのうち最も物体側のレンズと最も像側のレンズとの間に挿入される請求項7から12のいずれか1項に記載のレンズ装置。
【請求項14】
画像を取得する撮像部と、
請求項7から13のいずれか1項に記載のレンズ装置と、
プロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、ユーザの操作に応じて前記被写体の像に入射する入射光の状態を制御する撮像装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記反射部材が光路に挿入されたことを示す情報を取得し、
前記取得した情報に基づいて前記撮像部により撮像条件の設定を変更する制御を行う請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、
ダイナミックレンジ、オートホワイトバランス、オートエクスポージャのうち少なくとも1つを制御する請求項15に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記プロセッサは、
前記取得した情報に基づいて前記画像を取得する際のオートフォーカスを制御する請求項15または16に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、レンズ装置、及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を撮像するための技術に関し、例えば特許文献1には、フレアの効果を加味した表現にすることができる撮影装置が記載されている。また、特許文献2には、画像処理によりフレアによる効果をフェードイン/フェードアウトする画像再生装置等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-092583号公報
【特許文献2】特開2015-126254号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、入射光の反射による所望の効果が発揮された画像を撮像できる光学装置、レンズ装置、及び撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様に係る光学装置は、レンズ装置の物体側に装着される光学装置であって、レンズ装置に入射する入射光を反射させる反射部材を備え、反射部材の面である反射面が入射光を反射させることにより、レンズ装置により結像される被写体の像に反射部材の反射面で反射させた少なくとも一部の入射光を入射させる。
【0006】
第2の態様に係る光学装置は第1の態様において、入射光は、入射光の一部がレンズ装置から反射した光を含む。
【0007】
第3の態様に係る光学装置は第1または第2の態様において、反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更する変更機構を備え、変更機構が反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更することにより被写体の像に入射する入射光の強度及び形状の少なくともいずれかを変化させる。
【0008】
第4の態様に係る光学装置は第1から第3の態様のいずれか1つにおいて、反射面は、中心部に対する反射の度合いよりも周辺部に対する反射の度合いが高い。
【0009】
第5の態様に係る光学装置は、レンズ装置と撮像装置本体との間に装着される光学装置であって、レンズ装置に入射する入射光を反射させる反射部材を備え、反射部材の面である反射面が入射光を反射させることにより、レンズ装置により結像される被写体の像に反射部材の反射面で反射させた少なくとも一部の入射光を入射させる。
【0010】
第6の態様に係る光学装置は第5の態様において、反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更する変更機構を備え、変更機構が反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更することにより被写体の像に入射する入射光の強度及び形状の少なくともいずれかを変化させる。
【0011】
第7の態様に係るレンズ装置は、レンズと、レンズの光路に配置され、レンズに入射する入射光を反射させる反射部材と、を備え、反射部材は、レンズにより結像される被写体の像に反射部材の反射面で反射させた少なくとも一部の入射光を入射させる。
【0012】
第8の態様に係るレンズ装置は第7の態様において、入射光は、入射光の一部がレンズ装置から反射した光を含む。
【0013】
第9の態様に係るレンズ装置は第7または第8の態様において、反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更する変更機構を備え、変更機構が反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更することにより被写体の像に入射する入射光の強度及び形状の少なくともいずれかを変化させる。
【0014】
第10の態様に係るレンズ装置は第7から第9の態様において、反射面は、中心部に対する反射の度合いよりも周辺部に対する反射の度合いが高い。
【0015】
第11の態様に係るレンズ装置は第7から第10の態様のいずれか1つにおいて、レンズ装置の光路に挿入及び抜去が可能な第2の反射部材であって、入射光に対する反射率が反射面の反射率よりも低い第2の反射面を有する第2の反射部材を備え、反射部材に代えて第2の反射部材を光路に挿入することにより光路長の変動が抑制される。
【0016】
第12の態様に係るレンズ装置は第11の態様において、第2の反射部材は平行平面板であり、平行平面板の面が第2の反射面として作用する。
【0017】
第13の態様に係るレンズ装置は第7から第12の態様のいずれか1つにおいて、レンズは複数のレンズから構成され、反射部材は、複数のレンズのうち最も物体側のレンズと最も像側のレンズとの間に挿入される。
【0018】
第14の態様に係る撮像装置は、画像を取得する撮像部と、第7から第13の態様のいずれか1つに係るレンズ装置と、プロセッサと、を備え、プロセッサは、ユーザの操作に応じて被写体の像に入射する入射光の状態を制御する。
【0019】
第15の態様に係る撮像装置は第14の態様において、プロセッサは、反射部材が光路に挿入されたことを示す情報を取得し、取得した情報に基づいて撮像部により撮像条件の設定を変更する制御を行う。
【0020】
第16の態様に係る撮像装置は第15の態様において、プロセッサは、ダイナミックレンジ、オートホワイトバランス、オートエクスポージャのうち少なくとも1つを制御する。
【0021】
第17の態様に係る撮像装置は第15または第16の態様において、プロセッサは、取得した情報に基づいて画像を取得する際のオートフォーカスを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、第1の実施形態に係る撮像装置の構成を示す図である。
図2図2は、プロセッサの機能構成を示す図である。
図3図3は、アダプタ及び交換レンズでの入射光の反射の様子を示す図である。
図4図4は、アダプタにレンズと平行平面板とを設けた様子を示す図である。
図5図5は、第2の実施形態に係る撮像装置の構成を示す図である。
図6図6は、反射部材の一態様としてマスク部材を用いた構成を示す図である。
図7図7は、マスク部材の着脱の例を示す図である。
図8図8は、マスク部材の着脱の例を示す他の図である。
図9図9は、反射部材の一態様として絞り部材を用いた構成を示す図である。
図10図10は、本発明の第3の実施形態に係る撮像装置の構成を示す図である。
図11図11は、コンバータのレンズ群の構成例を示す図である。
図12図12は、コンバータのレンズ群の他の構成例を示す図である。
図13図13は、反射部材が光路に挿入されている場合の露出制御の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る光学装置、レンズ装置、及び撮像装置の実施形態は以下の通りである。説明においては、必要に応じて添付図面が参照される。
【0024】
<第1の実施形態>
入射光が撮像装置やレンズ装置内で不規則に反射すると、撮像した画像中にユーザが望まないゴーストやフレアが発生するおそれがある。このため、従来の技術では、レンズ表面や鏡筒の内部に反射防止のコートを施したり、特許文献1のように絞り部材を絞ることによりゴーストやフレアを低減したり、という対策を講じている。また、特許文献2では画像処理によりゴーストやフレアの効果を擬似的に付加している。しかしながら、このような技術は、ユーザが「入射光の反射による効果が発揮された画像や、効果を強調した画像を撮像したい」と思った場合に対応できるものではなかった。
【0025】
本願発明者らは、このような事情に鑑みて鋭意検討を重ね、「反射部材の反射面で入射光を反射させ、その光を被写体の像に入射させる」との着想を得た。これにより、ユーザは入射光の反射による所望の効果が発揮された画像を撮像することができる。以下、この手法の具体的態様を説明する。
【0026】
<撮像装置の全体構成>
図1は第1の実施形態に係る撮像装置100(撮像装置)の構成を示す図である。撮像装置100は、撮像装置本体300(撮像装置本体)と、撮像装置本体300に装着される交換レンズ200(レンズ装置、レンズ)と、交換レンズ200の物体側に装着されるアダプタ400(光学装置)と、から構成され、後述するズームレンズ210,フォーカスレンズ230を含む撮像レンズにより、被写体の像(光学像)を撮像素子310(撮像素子)の受光部312に結像させる。
【0027】
撮像装置本体300と交換レンズ200とは、撮像装置本体300に備えられたマウント(不図示)と、交換レンズ200側のマウント(不図示)とが結合されることにより装着され、この結合を解除することにより取り外しされる。撮像装置本体300側のマウント及び交換レンズ200側のマウントにはそれぞれ端子群が設けられており、交換レンズ200を撮像装置本体300に結合するとこれらの端子群が互いに接触して通信可能な状態になる。撮像装置100は光軸Lを有する。
【0028】
なお、第1の実施形態では撮像装置100が交換レンズ200を備える場合について説明しているが、レンズ装置(光学系)がカメラ本体に固定されていてもよい。
【0029】
<アダプタの構成>
アダプタ400は、透明な、具体的には可視光の少なくとも一部を透過させる平行平面板410(平行平面板、反射部材)を備える。後述するように、平行平面板410の像側の面410A(図3参照)が反射面として作用して交換レンズ200に入射する入射光を反射させ、これにより交換レンズ200により結像される被写体の像にゴースト及び/またはフレアを発生させることができる。アダプタ400は、例えばスクリューマウントやバヨネットマウントにより交換レンズ200に装着することができる。
【0030】
<交換レンズの構成>
交換レンズ200は、ズームレンズ210と、絞り220と、フォーカスレンズ230と、レンズ駆動部240と、を備える。レンズ駆動部240は、プロセッサ330(図2のレンズ駆動制御部342;プロセッサ)からの指令に応じてズームレンズ210、フォーカスレンズ230を光軸Lの方向に進退駆動してズーム(光学ズーム)調整、フォーカス調整を行う。ズーム調整及びフォーカス調整は、プロセッサ330からの指令に応じて行う他に、ユーザが行ったズーム操作やフォーカス操作(図示せぬズームリングやフォーカスリングの回動等)に応じて行ってもよい。また、レンズ駆動部240は、プロセッサ330からの指令に応じて絞り220を制御し、露出を調整する。一方、ズームレンズ210及びフォーカスレンズ230の位置、絞り220の開放度等の情報がプロセッサ330に入力される。なお、後述するように、プロセッサ330の制御により、ゴーストやフレアの発生度合いに応じた露出制御やフォーカス制御が行われる。
【0031】
なお、以下で説明する各態様において、レンズは複数のレンズから構成されるレンズ群でもよい。また、図示する部材やレンズ、光路等は実際の形状や大きさ、方向等を正確に示すものではない。
【0032】
<撮像装置本体の構成>
撮像装置本体300は、撮像素子310(撮像部)、デジタル信号処理部320、プロセッサ330(プロセッサ)、操作部350、記録装置360(記録装置、記録先)、及びモニタ370(表示装置、表示先)を備える。撮像装置本体300は、撮像素子310に透過させる光を遮光するためのシャッター(不図示)を有していてもよい。なお、シャッターは、メカニカルシャッターでも電子シャッターでもよい。電子シャッターの場合、プロセッサ330が撮像素子310の電荷蓄積期間を制御することで、露光時間(シャッタースピード)を調節することができる。
【0033】
<撮像素子の構成>
撮像素子310は、受光部312、アナログ増幅部314、A/D変換器316、及び撮像素子駆動部318を備える。受光部312は、多数の受光素子がマトリクス状に配列された受光面を備える。そして、ズームレンズ210、絞り220、及びフォーカスレンズ230を透過した被写体光が受光部312の受光面上に結像され、各受光素子によって電気信号に変換される。受光部312の受光面上にはR(赤),G(緑),またはB(青)のカラーフィルタが設けられており、各色の信号に基づいて被写体のカラー画像を取得することができる。なお、本実施形態では、撮像素子310としてCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型のカラーイメージセンサを用いることができる。
【0034】
CMOS型のイメージセンサの構成の一例においては、受光部312を構成する画素ごとまたは複数の画素ごとに、アナログ増幅部314が設けられる。画素信号は、アナログ増幅部314において増幅された後、行単位で読み出され、A/D変換器316(Analog-to-Digital Converter)に供給される。A/D変換器316は、供給された画素信号をデジタル画素信号に変換し、デジタル信号処理部320に供給する。デジタル信号処理部320は、デジタル画素信号をデジタル相関二重サンプリング処理、デジタルゲイン処理、補正処理等を行って、デジタル画像信号に変換する。撮像素子駆動部318は、プロセッサ330からの指令に応じて撮像素子310を駆動する。
【0035】
撮像素子310がCMOS型のイメージセンサである場合、図1に示すように撮像素子駆動部、アナログ増幅部、及びA/D変換器が撮像素子のパッケージに含まれる場合が多いが、この態様と異なる構成のイメージセンサを用いてもよい。
【0036】
なお、撮像素子310として、CMOS型の他に、XYアドレス型、CCD(Charge-Coupled Device)型、さらに有機撮像素子等のイメージセンサを用いることができる。
【0037】
<プロセッサの構成>
図2は、プロセッサ330(プロセッサ、コンピュータ)の機能構成を示す図である。プロセッサ330は、画像取得部332、画像処理部334、圧縮記録部336、反射制御部338、表示制御部340、及びレンズ駆動制御部342としての機能を有する。プロセッサ330は、デジタル信号処理部320から入力されたデジタル画像信号に基づいて、静止画像や動画像の撮像(露出制御やフォーカス制御を含む)、画像処理、圧縮、記録、反射部材の制御等の処理を行う。プロセッサ330を用いた処理の詳細は後述する。
【0038】
上述したプロセッサ330の機能は、各種のプロセッサ(processor)を用いて実現できる。各種のプロセッサには、例えばソフトウェア(プログラム)を実行して各種の機能を実現する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)が含まれる。また、上述した各種のプロセッサには、画像処理に特化したプロセッサであるGPU(Graphics Processing Unit)が含まれる。また、上述した各種のプロセッサには、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるPLD(Programmable Logic Device)も含まれる。さらに、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路なども上述した各種のプロセッサに含まれる。
【0039】
なお、プロセッサ330の各機能は1つのプロセッサで実現されていてもよいし、複数のプロセッサで実現されていてもよい。また、1つのプロセッサが複数の機能に対応していてもよい。さらに、プロセッサ330の各機能は回路によって実現されていてもよく、また各機能の一部が回路で実現され、残りがプロセッサによって実現されていてもよい。
【0040】
上述したプロセッサあるいは電気回路がソフトウェア(プログラム)を実行する際は、実行するソフトウェアのプロセッサ(コンピュータ)読み取り可能なコードや、ソフトウェアの実行に必要なデータをフラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ(非一時的記録媒体)に記憶しておき、プロセッサがそのソフトウェアやデータを参照する。非一時的記録媒体に記憶しておくソフトウェアは、撮像方法の各工程を実行するための撮像プログラム(撮像装置を動作させるプログラム)を含む。なお、非一時的記録媒体として、他には各種光磁気記録装置等にコードやデータを記録してもよい。ここで、「半導体メモリ」にはフラッシュメモリの他にROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)が含まれる。ソフトウェアを用いた処理の際には、例えばRAM(Random Access Memory)が一時的記憶領域として用いられる。
【0041】
図2に示すように、プロセッサ330はフラッシュメモリ346(非一時的記録媒体、メモリ)を備える。フラッシュメモリ346には、画像の撮像、記録、表示等に必要なプログラム(撮像方法の各工程を実行するためのプログラム(撮像プログラム)を含む)のコンピュータで読み取り可能なコードや、プログラムの実行に際して必要なデータ(例えば、フレームの圧縮や記録のパターン)が記録される。プロセッサ330を構成する各種のプロセッサやその集合体は、「コンピュータ」の一態様である。また、プロセッサ330は、一時的な記憶領域及び作業領域としてのRAM348(メモリ)を備える。RAM348は、画像データのバッファリングに用いることもできる。なお、メモリの構成と用途は、メモリの特徴や保存するデータ等の内容に応じて適宜変更することができる。
【0042】
<操作部>
操作部350は各種のボタン、キー、ダイヤル等により構成され、ユーザは撮像モード設定、各種の撮像パラメータ(例えば、ホワイトバランス、露出、シャッタースピード、フレームレート、圧縮形式、圧縮率等)の設定、動画撮像指示、静止画撮像指示、ゴーストやフレアの発生に関する指示等、各種の操作を行うことができる。また、プロセッサ330は、これらユーザの指示を受け付けることができる。なお、モニタ370(表示装置)をタッチパネル搭載型のデバイスで構成し、操作部として使用可能としてもよい。
【0043】
<記録装置>
記録装置360(記録装置、記録先)は各種の光磁気記録媒体、半導体メモリ等の非一時的記録媒体及びその制御回路により構成され、動画、静止画等を保存することができる。記録装置360を構成する記録媒体としては、撮像装置本体300に対し着脱できるタイプを用いることができる。プロセッサ330は、撮像した画像を、不図示のアンテナを介して外部記録装置(外部記録装置、記録先;例えば、パーソナルコンピュータの光磁気記録装置や半導体記録装置、クラウド上の記録装置等)に送信し、それらの外部記録装置に記録してもよい。
【0044】
<モニタ>
モニタ370(表示装置)は例えばタッチパネル型の液晶表示パネルにより構成され、撮像パラメータ設定用の画面、設定された撮像パラメータ、動画像、静止画像、ユーザへの警告メッセージ等を表示することができる。このメッセージは不図示のスピーカから音声出力してもよい。なお、プロセッサ330(表示制御部344等)は、撮像した画像を、不図示の外部出力部を介して接続された外部表示装置(外部表示装置、表示先)に表示してもよい。
【0045】
<第1の実施形態での入射光の反射(その1)>
図3は、アダプタ400及び交換レンズ200での入射光の反射の様子を示す図である。なお、交換レンズ200の構成要素は、入射光の反射の説明に関連するもののみ図示している。
【0046】
アダプタ400が備える平行平面板410において、像側の面410Aが入射光の反射面として作用する。また同様に、ズームレンズ210の物体側の面210Aも、入射光の反射面として作用する。なお、通常のコートが施されている面より反射の度合いが強いノーコート面やモノコート面などを、これらの反射面とすることができる。
【0047】
図3の(a)部分に示すように、入射光900が平行平面板410を透過し、入射光900の少なくとも一部がズームレンズ210(レンズ装置、反射部材)の面210A(反射面)で反射して反射光910となる。この反射光910の一部がさらに平行平面板410の面410Aで反射して、入射光920としてズームレンズ210に入射する。これにより、交換レンズ200により結像される被写体の像に、入射光920による効果(例えば、ゴーストやフレア)を発生させることができる。なお、ズームレンズ210に入射する光の一部は、図中の点線で示したように、さらに反射を繰り返す。
【0048】
このような構成において、平行平面板410を光軸Lの方向に進退させる変更機構を設けて平行平面板410(面410A)の位置(ズームレンズ210との距離)を変更してもよい(図3の(b)部分を参照)。このような変更機構としては、ズームリングやフォーカスリングの回動等によるレンズの進退機構と同様のものを採用することができる。また、変更機構は反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更する構成であることが好ましく、変更機構が反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更することにより、被写体の像に入射する入射光の強度及び形状の少なくともいずれかを変更することが好ましい。反射面の形状や反射率は、可変開口の絞り部材、入射光の反射率が可変な液晶素子やEC素子(electrochromic device)等により変更することができる。
【0049】
また、反射面は、中心部に対する反射の度合いよりも周辺部に対する反射の度合いが高くてもよい(例えば、中心部と周辺部で反射率を変える、等;図6~9を参照)。これにより、被写体の像にリング状のゴーストやフレア等の効果を発揮させることができる。
【0050】
上述した変更機構は、手動操作される機構でもよい。
【0051】
<第1の実施形態での入射光の反射(その2)>
上述した「その1」では、アダプタ400の平行平面板410とズームレンズ210とで反射光を発生させているが、アダプタが備える部材のみで反射光を発生させることもできる。例えば、図4の(a)部分に示すように、アダプタ402(光学装置、レンズ装置)にレンズ420(レンズ、反射部材)と平行平面板410(反射部材)とを設けてもよい。この場合、同図の(b)部分に示すように、入射光900が平行平面板410の物体側の面410B(反射面)及びレンズ420の像側の面420A(反射面)で反射して反射光910となり、この反射光910がアダプタ402から出射されて交換レンズ200(図4では図示省略)に入射する入射光920となり、被写体の像にゴーストやフレア等の効果を生じさせる。なお、上述した「その1」と同様に、通常のコートが施されている面より反射の度合いが強いノーコート面やモノコート面などを反射面とすることができる。
【0052】
図4に示す例のように、アダプタ402にレンズ420を設けることで、例えばアダプタ402をワイドコンバータ等の光学装置として用いることができる。この場合、レンズ420の構成(枚数、配置等)はアダプタ402の使用目的に合わせて設定することができる。なお、図4に示す例においても、図3に示す例と同様に、レンズ420及び/または平行平面板410を光軸Lの方向に進退させる駆動機構を設けてもよいし、反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更することにより被写体の像に入射する入射光の強度及び形状の少なくともいずれかを変更する変更機構を設けてもよい。また、反射面での反射率が領域によって異なっていてもよい(例えば、中心部と周辺部で反射率を変える、等;図6~9を参照)。このような反射部材を用いることにより、反射率のパターンに応じて異なる効果を発揮させることができる。
【0053】
以上説明したように、第1の実施形態に係る撮像装置100(アダプタ400,402、交換レンズ200、撮像装置本体300)によれば、ユーザは、被写体の像に入射光の反射による所望の効果(ゴーストやフレア等)が発揮された画像を撮像することができる。なお、第1の実施形態及び以下の各実施形態において、入射光の反射による効果を踏まえた露出制御等を行うことができるが、この制御については、他の実施形態と合わせて後述する。
【0054】
<第2の実施形態>
図5は、第2の実施形態に係る撮像装置102(撮像装置)の構成を示す図である。撮像装置102は、交換レンズ202(レンズ装置、光学装置)と、撮像装置本体300と、を備える。撮像装置本体300の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0055】
交換レンズ202は、第1の実施形態に係る交換レンズ200と同様にズームレンズ210(レンズ)、絞り220、フォーカスレンズ230(レンズ)、及びレンズ駆動部240を備え、さらに反射部材215(反射部材)を備える。この反射部材215が交換レンズ202に入射する入射光を反射し、これにより、交換レンズ202により結像される被写体の像に、反射部材215の反射面で反射させた少なくとも一部の入射光が入射する。なお、反射部材215として、露出制御用の絞り220とは別の部材を設けてよい。また、交換レンズ202はレンズ側プロセッサやレンズ側通信部を備えていてもよい。
【0056】
図6は、反射部材215の一態様としてマスク部材216を用いた構成を示す図である。図6の(a)部分に示すように、マスク部材216は、交換レンズ202を構成する複数のレンズ(ズームレンズ210、フォーカスレンズ230)のうち最も物体側のレンズ(ズームレンズ210)と最も像側のレンズ(フォーカスレンズ230)との間に挿入される。そして、マスク部材216の物体側の面である反射面216Aと、ズームレンズ210の像側の面210Aとが反射面として作用して入射光900を反射させ、交換レンズ202により結像される被写体の像に、これら反射面で反射させた少なくとも一部の入射光を入射させる。
【0057】
図6の(b)部分に示すように、マスク部材216は反射面216Aと開口領域216Bとを有し、これにより反射面216A(反射面)においては、中心部に対する反射の度合いよりも周辺部に対する反射の度合いが高くなっている。マスク部材216の開口(開口領域216B)の大きさ及び形状は固定である。
【0058】
このようなマスク部材216は交換レンズ202の光路に挿入及び抜去できるようにすることが好ましく、これにより、ユーザの意図(被写体の像に入射する入射光の強度及び/または形状を変化させる、等)に合わせて開口領域の大きさや形状、反射面での反射率等が異なる複数のマスク部材を使い分けることができる。
【0059】
図7,8は、マスク部材の着脱の例を示す図である。これらの図に示す例では、鏡筒201にズームレンズ210とフォーカスレンズ230が配置され、これらレンズ群は、それぞれ第1レバー204,第2レバー206を回動させることにより光軸Lの方向に進退して、ズーム及び/またはフォーカスが調整される。また、鏡筒201には交換レンズ202の瞳位置(瞳近傍)にスリット208が形成されており、このスリット208に光学部材218が挿入されて、光学部材218の光軸が交換レンズ202の光軸Lと一致した状態で配置される。光学部材218にはマスク部材216が装着されている。このようにマスク部材216(光学部材218)を瞳位置(瞳近傍)に配置することで、部材及び光学系の径を小さくすることが可能になる。
【0060】
図9は、反射部材215の一態様として絞り部材217(絞り部材)を用いた構成を示す図である。この絞り部材217は、図9の(b)部分に示すように反射面217Aと開口領域217Bとを有し、開口の形状及び/または形状が可変である(同部分の点線は、開口領域217Bの大きさを変化させた様子を示している)。開口領域217Bの大きさ及び/または形状を変更することで、ユーザは被写体の像に入射する入射光の強度及び/または形状の少なくともいずれかを撮影意図に合わせて変化させることができる。例えば、図9の(a)部分において、点線で示した光路は図6の開口領域216Bと同様の開口の場合の光路であり、実線で示した光路は開口領域217Bを開口領域216Bよりも小さくした場合の光路である。このように開口領域217Bを小さくすることで、反射光910の量を多くすることができる。
【0061】
このような開口の大きさ及び/または形状を変更する変更機構は、液晶素子やEC素子を用いて実現することができる。また、一般的な露出制御用の絞りと同様に複数の羽根状部材や板状部材を組合せ、それら部材を動かすことで開口の大きさ及び/または形状を変更してもよい。液晶素子やEC素子(EC:electrochromic)を用いる場合、開口の大きさ及び/または形状だけでなく反射率を可変にしてもよい。
【0062】
<光路長の変動の抑制>
上述したマスク部材216や絞り部材217に代えて、第2の反射部材を交換レンズ202(レンズ装置)の光路に挿入及び抜去してもよい。このような第2の反射部材として、例えば入射光に対する反射率がマスク部材216や絞り部材217の反射面の反射率よりも低い第2の反射面を有する平行平面板を用いることができる。このような第2の反射部材の挿入により、マスク部材や絞り部材を挿入した場合としない場合とでの光路長の変動を抑制することができる。
【0063】
なお、マスク部材216や絞り部材217等の反射部材は、反射部材が挿入されていない状態での絞り(絞り220)開放時の光路を規制しないことが好ましい。また、これらの反射部材は、フォーカスレンズ230や防振レンズ(像ブレを低減するために振動させるレンズ;「防振群」とも言う)等の可動部と離間して配置し、それら可動部との干渉を避けることが好ましい。
【0064】
このように、第2の実施形態においても、ユーザは、被写体の像に入射光の反射による所望の効果(ゴーストやフレア等)が発揮された画像を撮像することができる。なお、反射部材215として、第1の実施形態で説明した平行平面板410と同様の反射部材を用いてもよい。
【0065】
<第3の実施形態>
図10は、第3の実施形態に係る撮像装置104(撮像装置)の構成を示す図である。撮像装置104は、交換レンズ200(レンズ装置、光学装置)と、コンバータ500(リアコンバータ、光学装置)と、撮像装置本体300(撮像装置本体)と、を備える。交換レンズ200及び撮像装置本体300の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0066】
コンバータ500は、図示せぬマウントを介して交換レンズ200と撮像装置本体300との間に装着され、レンズ群510(複数のレンズ、反射部材)を備える。このレンズ群510により、交換レンズ200とコンバータ500とを組み合わせた場合の焦点距離を変化させることができる。また、レンズ群510を構成するレンズの面が反射面として作用して入射光を反射させることにより、交換レンズ200により結像される被写体の像に、少なくとも一部の入射光を入射させる。また、コンバータ500はコンバータ側プロセッサ530(プロセッサ、変更機構)と、コンバータ側通信部540(プロセッサ、変更機構)と、を備え、これらの要素により図示せぬ端子群を介して交換レンズ200及び撮像装置本体300と通信し、コンバータ500が装着されたこと(反射部材が光路に挿入されたこと)を示す情報の送信やレンズ群510(反射部材)の駆動、反射面の位置、形状、反射率の変更等を行う。なお、コンバータ500は、レンズ群510を構成するレンズを駆動してズームやフォーカス調整する機構(レンズ駆動機構、レンズ駆動部)を備えていてもよい。
【0067】
図11は、コンバータ500のレンズ群の構成例を示す図である。図11の(a)部分に示すように、レンズ群510は第1レンズ502と、第2レンズ504と、を備える。また、同図の(b)部分に示すように、第1レンズ502の像側の面502Aと、第2レンズ504の物体側の面504Aとが反射面として作用し、レンズ群510に入射した入射光900がこれら反射面で反射して反射光910となり、入射光920として撮像素子310の受光部312に入射する。これにより、被写体の像に入射する入射光の強度及び形状の少なくともいずれかが変化する。
【0068】
図12は、コンバータ500のレンズ群の他の構成例を示す図である。図12の(a)部分に示すように、レンズ群520は第1レンズ522と、第2レンズ524と、を備える。また、同図の(b)部分に示すように、第1レンズ522の像側の面522Aと、第2レンズ524の物体側の面524Aとが反射面として作用し、レンズ群520に入射した入射光900がこれら反射面で反射して反射光910となり、入射光920として撮像素子310の受光部312に入射する。これにより、被写体の像に入射する入射光の強度及び形状の少なくともいずれかが変化する。
【0069】
このような構成により、第3の実施形態においても、上述した第1,第2の実施形態と同様に、ユーザは被写体の像に入射光の反射による所望の効果(ゴーストやフレア等)が発揮された画像を撮像することができる。なお、第3の実施形態においても、反射部材として第1,第2の実施形態で説明した平行平面板410やマスク部材216、絞り部材217等の部材をさらに用い、これら部材の面を反射面としてもよい。また、反射面の位置、形状、反射率のうち少なくとも1つを変更する変更機構を備えていてもよい。なお、図11,12に示すレンズ群510、520の構成は例示であり、これらのレンズ群と異なる構成のレンズ群を用いてもよい。
【0070】
<光学系の追加による焦点距離への影響>
各態様において、光学装置、レンズ装置、及び撮像装置に追加する光学系(平行平面板やレンズ、マスク、絞り部材等の反射部材を含むアダプタ、コンバータ、レンズ装置等)はテレコンバータやワイドコンバータのように焦点距離(画角)を大きく変化させる光学系でもよいし、追加しても焦点距離が大きく変化しない光学系でもよい。ユーザは、撮像目的に合わせてこれらの光学系を使い分けることができる。光学系を追加しても焦点距離を維持する場合には、焦点距離の変動を以下の式(1)を満たす範囲とすることが考えられる。
【0071】
【数1】
【0072】
ただし、f’は光学系を追加した場合の光学系全体の焦点距離であり、fは光学系を追加していない場合の元々のレンズ(交換レンズ200等)の焦点距離である。また、式(1)を満たす状態において以下の式(2)を満たしてもよいし、さらに式(3)を満たしていてもよい。
【0073】
【数2】
【0074】
【数3】
【0075】
このように焦点距離の変動を抑制するには、追加する光学系の構成をアフォーカル光学系もしくはこれに近似した構成とすることが考えられる。
【0076】
<撮像装置での撮像制御>
第1~第3の実施形態での撮像制御について説明する。第1~第3の実施形態に係る撮像装置100,102,104において、プロセッサ330(プロセッサ;図1,2,5,10参照)は、ユーザの操作に応じて、被写体の像に入射する入射光の状態を制御することができる。
【0077】
プロセッサ330は、操作部350を介したユーザの入力や、交換レンズ202(レンズ装置)、コンバータ500(光学装置)との通信により、反射部材が光路に挿入されたことを示す情報を取得し、この情報に基づいて、撮像条件の設定を変更する。プロセッサ330は例えば、反射部材が光路に挿入された場合にダイナミックレンジ、オートホワイトバランス、オートエクスポージャのうち少なくとも1つを変更してもよいし、オートフォーカスを変更してもよい。
【0078】
図13は、反射部材が光路に挿入されている場合(入射光の反射による効果が生じている場合)の露出制御の様子を示す図である。図13の(a)部分は、画像930において、領域932にフレア(入射光の反射による効果の一例)が発生している様子を示す。この状況で、フレアが発生している領域932に露出(撮像条件の一例)を合わせると(領域932で適正な露出にしようとすると)、それ以外の領域931は暗くなりすぎてしまう。そこで本実施形態では、図13の(b)部分に示すように、画像940においてフレア等が発生している領域942は明るい状態(例えば、いわゆる「白飛び」に近い状態)を許容し、それ以外の領域941で適正な露出となるように、撮像素子310(撮像部)による撮像条件(例えば、ダイナミックレンジ、オートホワイトバランス、オートエクスポージャのうち少なくとも1つ)の設定を変更する。
【0079】
プロセッサ330(画像取得部332、画像処理部334等)は、光源の強度(測光の結果)に基づいて、このような設定の変更を行うことができる。例えば、プロセッサ330は、取得した画像の画素情報に対応して出力される画像の輝度レベルがしきい値以下である領域(図13の例では領域931,941)に基づいて、このような制御を行うことができる。具体的には、プロセッサ330は、露出を普段の設定より何段階か暗くする、フレアやゴーストを強めたときは測光方法を変更する、HDR(High Dynamic Range)撮影時は暗い領域についてより多くの枚数の画像を撮像する、等の処理を行うことができる。なお、このような制御は、フレアやゴーストが発生していない場合は作用しないようにすることが好ましい。
【0080】
このような制御により、フレアやゴーストが生じていない領域の画質を下げずに、フレアやゴーストをより効果的に表現した画像を撮像することができる。
【0081】
プロセッサ330は、上述した露出制御の他に、入射光の反射の影響を考慮した合焦制御を行うこともできる。例えば、フレアやゴーストが生じている領域では画像のコントラストが低下してAF(オートフォーカス)の精度が低下する可能性があり、このような領域にフォーカスさせる場合は、オートフォーカスの制御期間だけ露出を調整して暗く撮像する(静止画の場合)、オートフォーカスに用いる空間周波数を下げる、等の対応を行うことができる。また、コントラスト低下によりウォブリング(フォーカス制御の際にフォーカスレンズが前後に細かく行き来して合焦点が変動する現象)が頻繁に発生する可能性があるので、フレアやゴーストが生じている領域にフォーカスさせる場合は、完全な合焦を目標とせず多少のフォーカスずれを許容することでウォブリングを抑制することが考えられる。
【0082】
上述した露出制御や合焦制御により、入射光の反射による所望の効果が発揮された画像を、良好な画質で撮像することができる。
【0083】
以上で本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上述した態様に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0084】
100 撮像装置
102 撮像装置
104 撮像装置
200 交換レンズ
201 鏡筒
202 交換レンズ
204 第1レバー
206 第2レバー
208 スリット
210 ズームレンズ
210A 面
215 反射部材
216 マスク部材
216A 反射面
216B 開口領域
217 絞り部材
217A 反射面
217B 開口領域
218 光学部材
220 絞り
230 フォーカスレンズ
240 レンズ駆動部
300 撮像装置本体
310 撮像素子
312 受光部
314 アナログ増幅部
316 A/D変換器
318 撮像素子駆動部
320 デジタル信号処理部
330 プロセッサ
332 画像取得部
334 画像処理部
336 圧縮記録部
338 反射制御部
340 表示制御部
342 レンズ駆動制御部
344 表示制御部
346 フラッシュメモリ
348 RAM
350 操作部
360 記録装置
370 モニタ
400 アダプタ
402 アダプタ
410 平行平面板
410A 面
410B 面
420 レンズ
420A 面
500 コンバータ
502 第1レンズ
502A 面
504 第2レンズ
504A 面
510 レンズ群
520 レンズ群
522 第1レンズ
522A 面
524 第2レンズ
524A 面
530 コンバータ側プロセッサ
540 コンバータ側通信部
900 入射光
910 反射光
920 入射光
930 画像
931 領域
932 領域
940 画像
941 領域
942 領域
L 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13