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▶ メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054450
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】顔料/フリット混合物
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/86 20060101AFI20220330BHJP
   C04B 33/24 20060101ALI20220330BHJP
   C09C 1/00 20060101ALI20220330BHJP
   C09C 1/30 20060101ALI20220330BHJP
   C09C 3/06 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
C04B41/86 B
C04B33/24
C09C1/00
C09C1/30
C09C3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021155527
(22)【出願日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】20198545.4
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ヴィルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ゼミラー
(72)【発明者】
【氏名】パーヴェル ファルコフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ルジアン バイ
(72)【発明者】
【氏名】ケ チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンフイ シェン
【テーマコード(参考)】
4J037
【Fターム(参考)】
4J037AA01
4J037AA15
4J037AA17
4J037AA18
4J037AA21
4J037AA22
4J037AA25
4J037AA26
4J037AA27
4J037CA09
4J037CA26
4J037DD10
4J037DD27
4J037FF02
4J037FF09
4J037FF18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】≦950℃で安定であり、セラミック釉薬において液体金属効果を生じるセラミック釉薬用効果顔料を含む、フリット又はフリット混合物を提供する。
【解決手段】効果顔料/フリット混合物であって、前記効果顔料は、表面上に少なくとも1つの層シーケンスを有するフレーク状基材をベースとすること、及び、前記フリットは、50~70質量%のSiO+Al及び15~35質量%のB+NaO+KOを含み、ここで前記フリットの全構成成分の合計比率は100%であり、前記フリットの前記組成において、成分(質量%)は実験式Al+Si-B-NaO-KO=20~50%に相当することを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
効果顔料/フリット混合物であって、前記効果顔料は、表面上に少なくとも1つの層シーケンス(A)~(E)又は(A)~(F)
(A)n≧1.8の屈折率を有する、高屈折率コーティング
(B)擬板チタン石層であって、層(B)を基準にして10質量%以下の量の1つ以上の酸化物でドープされていてもよい、擬板チタン石層
(C)n<1.8の屈折率を有する、低屈折率層
(D)少なくとも2つの無色金属酸化物層からなる高屈折率コーティング
(E)擬板チタン石層であって、層(E)を基準にして10質量%以下の量の1つ以上の酸化物でドープされていてもよい、擬板チタン石層、及び
(F)保護外層
を有するフレーク状基材をベースとすること、
及び、前記フリットは、50~70質量%のSiO2+Al23及び15~35質量%のB23+Na2O+K2Oを含み、ここで前記フリットの全構成成分の合計比率は100%であり、前記フリットの前記組成において、成分(質量%)は実験式
Al23+Si23-B23-Na2O-K2O=20~50%に相当すること
を特徴とする、効果顔料/フリット混合物。
【請求項2】
前記効果顔料の前記フレーク状基材は、フィロシリケート、BiOCl、SiC、TiC、WC、B4C、BN、黒鉛、TiO2、Fe23フレーク、ドープ若しくは非ドープAl23フレーク、ドープ若しくは非ドープガラスフレーク、ドープ若しくは非ドープSiO2フレーク、又はこれらの混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の効果顔料/フリット混合物。
【請求項3】
前記フィロシリケートフレークは、天然マイカ、合成マイカ、カオリン又はタルクであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の効果顔料/フリット混合物。
【請求項4】
前記効果顔料の層(A)は、1つ以上の金属酸化物からなることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の効果顔料/フリット混合物。
【請求項5】
層(A)の前記金属酸化物は、TiO2、Fe23、Fe34、Fe(O)OH、BiOCl、Cr23、ZnO、Ce23、ZrO2、SnO2、Co23Ti亜酸化物(4未満~2の酸化状態を有する部分的に還元されたTiO2及びより低次の酸化物、又はこれらの混合物)、酸窒化チタン、窒化チタン、CoO、Co23、Co34、VO2、V23、NiO、WO3、MnO、Mn23又は前記酸化物の混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の効果顔料/フリット混合物。
【請求項6】
層(B)及び/又は(E)は、Al23、Ce23、B23、ZrO2、SnO2、Cr23、CoO、Co23、Co34、Mn23の群から選択される1つ以上の酸化物又は酸化物混合物でドープされていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の効果顔料/フリット混合物。
【請求項7】
前記効果顔料の層(C)は、SiO2、MgO・SiO2、CaO・SiO2、Al23・SiO2、B23・SiO2又は前記化合物の混合物からなることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の効果顔料/フリット混合物。
【請求項8】
前記効果顔料の層(D)は、少なくとも2つの金属酸化物層からなり、前記金属酸化物は、SnO2,TiO2、Al23、Cr23、Fe23又はこれらの混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の効果顔料/フリット混合物。
【請求項9】
前記効果顔料の層(D)は、金属酸化物層(D1)及び(D2)
(D1)SnO2
(D2)TiO2
からなることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の効果顔料/フリット混合物。
【請求項10】
前記効果顔料の層(D)は、金属酸化物層(D1)、(D2)及び(D3)
(D1)Al23
(D2)TiO2
(D3)Al23
からなることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の効果顔料/フリット混合物。
【請求項11】
層(D)は、金属酸化物層(D1)、(D2)及び(D3)
(D1)SnO2
(D2)TiO2
(D3)SnO2
からなることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の効果顔料/フリット混合物。
【請求項12】
前記効果顔料の保護外層(F)は、SnO2からなることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の効果顔料/フリット混合物。
【請求項13】
前記効果顔料は、以下の構造:
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Fe23+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Cr23+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Fe23+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Cr23+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Fe23+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Cr23+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Fe23+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Cr23+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石+SnO2
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+擬板チタン石+SnO2
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+Fe23+SnO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+Cr23+SnO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+Al23+TiO2+Al23+擬板チタン石
を有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の効果顔料/フリット混合物。
【請求項14】
前記フリット粒子は、1~500μmの粒径を有することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の顔料/フリット混合物。
【請求項15】
Al23、SiO2、B23、K2O及びNa2Oに加え、前記フリットは、TiO2、Fe23、MgO、MnO、Cr23、P25、PbO、HfO2、ZnO、ZrO2、Li2O、アルカリ土類金属酸化物及び希土類の酸化物の群から選択される少なくとも1つの成分をさらなる構成成分として含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の顔料/フリット混合物。
【請求項16】
前記顔料/フリット混合物は、20~70質量%の効果顔料と、30~80質量%のフリットと、任意成分としての0~10質量%の1つ以上の添加剤とからなり、ここで顔料、フリット及び添加剤の合計は100%であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の顔料/フリット混合物。
【請求項17】
未焼成又は焼成屋根瓦、未焼成又は焼成陶器及びセラミックウェア、セラミック釉薬における、請求項1~16のいずれか一項に記載の顔料/フリット混合物の使用。
【請求項18】
装飾タイルのため、磁器、ボーンチャイナ及び陶器の装飾のための、請求項16に記載の顔料/フリット混合物の使用。
【請求項19】
磁器釉薬のための、請求項18に記載の顔料/フリット混合物の使用。
【請求項20】
請求項1~16のいずれか一項に記載の顔料/フリット混合物を含む配合物。
【請求項21】
以下の光沢値(Rhopoint IQ mini 2.0ゴニオフォトメーターを用いて測定):
光沢(20°)>20
ヘイズ≧30
を有することを特徴とする、請求項20に記載の配合物。
【請求項22】
請求項1~16のいずれか一項に記載の前記顔料/フリット混合物及び任意選択でフリットが、内層(=アンダーレイ)として、セラミック又は釉薬と前記顔料/フリット混合物との間に塗布され、アンダーレイ及び前記顔料/フリット混合物は別々に塗布されて、その後一緒に焼成されることを特徴とする、セラミック釉薬の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、≦950℃で安定であり、セラミック釉薬において液体金属効果を生じるセラミック釉薬用効果顔料を含む、フリット又はフリット混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック、金属又はガラス様材料は、しばしば、効果顔料を使用して装飾される。この目的で、効果顔料をいわゆるガラスフリット/フラックスと混合し、装飾しようとするワークピースに媒体を用いて塗布する。ここで、媒体は、塗布の種類によって異なる。例えば、スクリーン印刷の場合、媒体はスクリーン印刷媒体が可能であり、スプレー塗布の場合、噴霧可能なバインダー混合物が可能であり、又は浸漬塗布の場合、対応するスリップが可能である。媒体は、単に塗布のために機能し、着色にはあまり関係しない。全ての方法に共通して、塗布された装飾層はガラス様層を形成するために最終的に焼成され、ガラス様層はワークピース上の効果顔料を囲む。有機構成成分(媒体/バインダー/スリップ/その他)は、焼成操作中に分解し、ガラスフリット/フラックスが流動可能となる。こうして、フリット粉末と効果顔料とからなる粉末混合物からユニットが形成される。連続ガラスマトリックスに埋め込まれた効果顔料からなる複合体層が形成される。
光り輝く真珠光沢又はメタリック効果をセラミック釉薬で達成するための、フレーク状基材をベースとする金色の効果顔料の使用が、例えば、特許文献1及び特許文献2から公知である。
艶消し及び梨地釉薬、又はメタリックな光輝性を有する釉薬は、例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7に記載のように、従来技術から公知のフリット及びフリットと効果顔料との組み合わせを用いて達成できる。
研磨金属から知られるような、高光沢かつ非光輝性の表面は、効果顔料の剛直なフレーク状構造に加え、釉薬表面と顔料との不完全に面平行なアライメントによって妨げられる。得られる光輝効果は、多くの場合、完全に望ましいものである。しかし、現在利用可能な技術的解決策以外に、液体金属の場合に観察されるように、非光輝性で金属的印象を有する高光沢表面も必要とされている。従って、このような効果は液体金属効果とも呼ばれる。該当する装飾は、例えば、食器類上の金色のリムとして一般的に知られている。この種類の表面には、現在市販されている顔料ベースで可能な装飾を用いて到達することができず、装飾が梨地及び光輝性の外観を有したり、攻撃的なフリット環境中又は焼成工程中での顔料の分解によって金属効果が実質的又は完全に失われたりする。従って、液体金属効果を達成するために、金及び白金をベースとする非常に高額な貴金属製剤が用いられる。この種類の装飾は、高額で、食器洗浄機での洗浄又は電子レンジでの使用への耐性が低い。貴金属製剤と顔料との併用も不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102015013400号(A1)明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第101462895号(A)明細書
【特許文献3】独国特許発明第3932424号(C1)明細書
【特許文献4】英国特許出願公開第2096592号(A)明細書
【特許文献5】米国特許第5,783,506号明細書
【特許文献6】米国特許第4,353,991号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0419843号(A1)明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、≦950℃で安定なメタリックな金色を有し、高光沢かつ非光輝性であるセラミック釉薬を、効果顔料を補助的に用いて形成することである。
【0005】
驚くべきことに、特殊なフリットを、少なくとも2つの擬板チタン石層を有する効果顔料と組み合わせて使用することで、光沢金属表面に非常に近い外観(液体金属効果)を有するセラミック表面用釉薬を実現できることが見出された。従って、この種類の組み合わせは、現在までこの目的に独占的に使用されている金ベースのペーストの代替品として好適である。好適なフリットは、ベース成分Al23及びSi23と、フラックス形成剤B23、Na2O、及びK2Oとの比が厳密に規定されたフリットである。効果顔料は焼成中に破断し(ここで破断とは、顔料の金属酸化物が非常に攻撃的な媒体中で極小の結晶を形成することを意味する)、これが釉薬表面における釉薬の屈折率を変え、いわゆる液体金属効果の役割を果たす。顔料は焼成中に破断して液体金属効果を有する光沢釉薬表面をその場(in situ)で形成することから、実際の着色体(colour bodies)は、焼成中にその場でのみ形成される。
【0006】
従って、本発明は、フリットが50~70質量%のSiO2+Al23と、15~35質量%のB23+Na2O+K2Oとを含むという事実を特徴とする効果顔料/フリット混合物に関し、ここで、フリットの全成分の比率の合計は100%であり、フリットの組成に以下の実験式の成分(質量%)を有し
Al23+Si23-B23-Na2O-K2O=20~50%、
効果顔料は、基材表面上に少なくとも1つの層シーケンス
(A)n≧1.8の屈折率を有する、高屈折率コーティング
(B)擬板チタン石層であって、任意選択で、層(B)を基準にして≦10質量%の量の1つ以上の酸化物でドープされていてもよい、擬板チタン石層
(C)n<1.8の屈折率を有する、低屈折率層
(D)少なくとも2つの無色金属酸化物層からなる、n≧1.8の屈折率を有する、高屈折率層
(E)擬板チタン石層であって、任意選択で、層(E)を基準にして≦10質量%の量の1つ以上の酸化物でドープされていてもよい、擬板チタン石層
及び任意選択で、
(F)保護外層
を有するフレーク状基材をベースとする。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明による効果顔料/フリット混合物は、例えば、金色表面のような、光沢金属表面に非常に近い外観(液体金属効果)のセラミック表面用釉薬を可能にする。
本発明による顔料/フリット混合物を含む釉薬は、耐摩耗性であり、食器類の洗浄中に洗剤及び通常の機械的負荷に対して安定である。更に、該釉薬は、電子レンジで問題なく使用できる。
顔料/フリット混合物は、磁器、ボーンチャイナ及び陶器の群、特に磁器せっ器タイル、せっ器タイル、陶器タイル、硬質磁器、軟質磁器、ファインチャイナ、無釉磁器、せっ器磁器及び陶器磁器から選択されるセラミック物品の装飾に好適である。
好ましい実施形態では、本発明による顔料/フリット混合物は、20~70質量%の効果顔料と、30~80質量%のフリットと、任意選択で0~10質量%の1つ以上の添加剤とからなり、ここで顔料、フリット及び添加剤の合計は100%である。効果顔料/フリット混合物中の顔料の質量比率が、顔料/フリット混合物を基準にして、好ましくは20~70質量%、更に特に好ましくは25~60質量%である場合、着色体の最適な配向が達成される。
本発明による効果顔料/フリット混合物の必須構成成分は、効果顔料である。
【0008】
本発明による効果顔料に好適なベース基材は、半透明及び透明なフレーク状基材である。好ましい基材は、フィロシリケートフレーク、SiC、TiC、WC、B4C、BN、黒鉛、TiO2及びFe23フレーク、ドープ又は非ドープAl23フレーク、ドープ又は非ドープガラスフレーク、ドープ又は非ドープSiO2フレーク、TiO2フレーク、BiOCl並びにこれらの混合物である。フィロシリケートの群から、特に好ましいのは、天然及び合成マイカフレーク、白雲母,タルク、及びカオリンである。基材として使用される合成マイカは、好ましくはフルオロ金雲母又はZn金雲母である。
ガラスフレークは、使用される焼成範囲において温度安定性である限り、当業者に公知のすべての種類のガラスからなることができる。好適なガラスは、例えば、石英、Aガラス、Eガラス、Cガラス、ECRガラス、再利用ガラス、アルカリ金属ホウ酸塩ガラス、アルカリ金属ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、Duran(登録商標)ガラス、実験器具ガラス、又は光学ガラスである。
ガラスフレークの屈折率は、好ましくは1.45~1.80、特に1.50~1.70である。ガラス基材は、特に好ましくは、Cガラス、ECRガラス又はホウケイ酸ガラスからなる。
合成基材フレーク、例えば、ガラスフレーク、SiO2フレーク、Al23フレークなどは、ドープでも非ドープでもよい。ドープされている場合、ドーピングは、好ましくはAl、N、B、Ti、Zr、Si、In、Sn若しくはZn、又はこれらの混合物である。更に、遷移金属の群(V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Nb、Mo、Hf、Sb、Ta、W)からの更なるイオン及びランタニドの群からのイオンが、ドーパントとして機能し得る。
Al23の場合、基材は、好ましくは非ドープ、又はTiO2、ZrO2又はZnOでドープされている。Al23フレークは、好ましくはコランダムである。好適なAl23フレークは、好ましくはドープ又は非ドープα-Al23フレーク、特にTiO2又はZrO2でドープされたα-Al23フレークである。
基材がドープされている場合、ドーピングの割合は、基材を基準にして、好ましくは0.01~5質量%、特に0.10~3質量%である。
【0009】
ベース基材のサイズは、それ自体重要ではなく、特定の用途に合わせることができる。一般に、フレーク状基材は、0.05~5μm、特に0.1~4.5μmの厚さを有する。
異なる粒径を有する基材を用いることもできる。特に好ましいのは、マイカN(10~60μm)、マイカF(5~20μm)及び/又はマイカM(<15μm)のマイカ画分の混合物である。更に好ましいのは、N及びS画分(10~130μm)並びにF及びS画分(5~130μm)である。
粒径分布(Malvern Mastersizer2000を用いて測定)の典型的な例は以下のとおりである:
10:1~50μm、特に2~45μm、更に特に好ましくは5~40μm
50:7~275μm、特に10~200μm、更に特に好ましくは15~150μm
90:15~500μm、特に25~400μm、更に特に好ましくは50~200μm。
【0010】
本特許出願では、「高屈折率」は≧1.8の屈折率を意味し、「低屈折率」は<1.8の屈折率を意味する。
本発明による効果顔料の層シーケンス(A)~(E)又は(A)~(F)は、顔料の安定性及び光学特性のために不可欠である。
層(A)は、n≧1.8、好ましくはn≧2.0の屈折率を有する高屈折率層である。層(A)は、無色又は可視波長において吸収性であってもよい。層(A)は、好ましく金属酸化物又は金属酸化物混合物からなる。金属酸化物は好ましくは、TiO2、ZrO2、ZnO、SnO2、Cr23、Ce23、BiOCl、Fe23、Fe34、FeO(OH)、Ti亜酸化物(<4~2の酸化状態を有する部分的に還元されたTiO2及びより低次の酸化物、例えばTi35、Ti23~TiO)、酸窒化チタン及び窒化チタン、CoO、Co23、Co34、VO2、V23、NiO、WO3、MnO、Mn23又は上記酸化物の混合物の群から選択される。層(A)は、好ましくはTiO2、Fe23、Cr23又はSnO2からなる。
層(A)は、好ましくは1~15nm、特に1~10nm、更に特に好ましくは1~5nmの層厚を有する。
【0011】
擬板チタン石層(B)及び(E)は、同一でも異なっていてもよい。これらの層は、好ましくは組成に関して同一である。擬板チタン石層は、好ましくは完全にFe2TiO5からなる。しかし、Fe2TiO5は、Fe/Ti比のわずかな変動及び生じる空格子点により、わずかに超化学量論的又は亜化学量論的となり得る。
層は、Fe含有塩溶液とTi含有塩溶液との同時添加及び沈澱によって、又はFe塩とTi塩とを含有する単一溶液からの共沈によって、作製できる。
擬板チタン石層は、好ましくは100%の結晶性擬板チタン石からなるべきである。
層(B)及び(E)は、安定性及び/又は着色力を増大するため、任意選択で、追加的に1つ以上の酸化物又は酸化物混合物、好ましくは金属酸化物でドープされてもよい。酸化物は、好ましくは、Al23、Ce23、B23、ZrO2、SnO2、Cr23、CoO、Co23、Co34、Mn23の群から選択される。擬板チタン石層中の酸化物又は酸化物混合物の質量比率は、層(B)又は層(E)を基準にして、好ましくは5質量%以下であり、特に1~5質量%の範囲、更に特に好ましくは1~3質量%である。
層(B)及び(E)は、好ましくはそれぞれ互いに独立して、60~120nm、特に70~110nm、更に特に好ましくは80~100nmの層厚を有する。
層(B)と層(E)とが分離層(C)及び分離層(D)によって互いに分離されていることは、本発明による効果顔料の安定性にとって特に重要である。層(B)と層(E)との間の距離は、好ましくは40~100nm、特に45~90nm、更に特に好ましくは50~80nmであるべきである。
n<1.8、好ましくはn<1.7の屈折率を有する低屈折率層(C)は、好ましくは、SiO2、MgO・SiO2、CaO・SiO2,Al23・SiO2、B23・SiO2又は上記化合物の混合物からなる。更に、シリケート層は、更なるアルカリ土類金属又はアルカリ金属イオンでドープされていてもよい。層(C)は、好ましくは「シリケート」層である。層(C)は、更に特に好ましくは、ドープ又は非ドープSiO2からなる。
層(C)は、好ましくは、40~90nm、特に40~70nm、更に特に好ましくは50~60nmの層厚を有する。
n≧1.8、好ましくはn≧2.0の屈折率を有する層(D)の高屈折率コーティングは、少なくとも2つの無色金属酸化物層からなる。層(D)は、好ましくは、2又は3つの無色金属酸化物層からなる。金属酸化物は、好ましくは、SnO2,TiO2、Al23、Fe23、Cr23又はこれらの混合物の群から選択される。
【0012】
層(D)のコーティングは、好ましくは金属酸化物層(D1)及び(D2)
(D1)SnO2
(D2)TiO2
からなる、又は
金属酸化物層(D1)、(D2)及び(D3)
(D1)Al23
(D2)TiO2
(D3)Al23
若しくは
(D1)SnO2
(D2)TiO2
(D3)SnO2
からなる。
層(D)のコーティングは、好ましくは10~25nm、特に11~21nm、更に特に好ましくは12~17nmの層厚を有する。層(D)のコーティングの個別の金属酸化物層(D1)、(D2)、(D3)及び任意の更なる層の全層厚の合計は、25nmを超えてはならない。
層(C)及び(D)が分離層として作用でき、個別の擬板チタン石層(B)と(E)との間の相反応の低減に寄与するためには、層(C)及び(D)の全層厚は、厚さ範囲120nmを超えてはならず、好ましくは50~115nm、特に51~91nm、更に特に好ましくは62~77nmの範囲であるべきである。
層(A)又は(D)がTiO2からなる場合、TiO2はルチル変性又はアナターゼ変性であってもよい。
【0013】
特に好ましい効果顔料は、以下の構造を有する:
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Fe23+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Cr23+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Fe23+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Cr23+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Fe23+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Cr23+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Fe23+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+Cr23+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石+SnO2
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+擬板チタン石+SnO2
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+Fe23+SnO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+Cr23+SnO2+擬板チタン石
-基材+TiO2+擬板チタン石+SiO2+Al23+TiO2+Al23+擬板チタン石
【0014】
更に特に好ましい効果顔料は、以下の層構造を有する:
-天然マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+Fe23+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+Cr23+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+Fe23+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+Cr23+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+Fe23+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+Cr23+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+Fe23+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+Cr23+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石+SnO2
-天然マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+擬板チタン石+SnO2
-天然マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+Fe23+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+Cr23+SnO2+擬板チタン石
-天然マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+Al23+TiO2+Al23+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+Fe23+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+Cr23+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+Fe23+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+Cr23+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+Fe23+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+Cr23+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+Fe23+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+Cr23+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石+SnO2
-合成マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+擬板チタン石+SnO2
-合成マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+Fe23+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+Cr23+SnO2+擬板チタン石
-合成マイカフレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+Al23+TiO2+Al23+擬板チタン石
-Al23フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+Fe23+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+Cr23+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+TiO2+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+Fe23+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+Cr23+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+TiO2+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+Fe23+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+Cr23+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+TiO2+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+Fe23+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+Cr23+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石+SnO2
-Al23フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+擬板チタン石+SnO2
-Al23フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+Fe23+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+Cr23+SnO2+擬板チタン石
-Al23フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+Al23+TiO2+Al23+擬板チタン石
-SiO2フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+Fe23+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+Cr23+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+TiO2+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+Fe23+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+Cr23+擬板チタン石+MgO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+TiO2+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+Fe23+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+Cr23+擬板チタン石+CaO・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+TiO2+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+Fe23+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+Cr23+擬板チタン石+Al23・SiO2+SnO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+TiO2+SnO2+擬板チタン石+SnO2
-SiO2フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+TiO2+擬板チタン石+SnO2
-SiO2フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+Fe23+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+SnO2+Cr23+SnO2+擬板チタン石
-SiO2フレーク+TiO2+擬板チタン石+SiO2+Al23+TiO2+Al23+擬板チタン石。
【0015】
金属酸化物層(複数可)は、好ましくは湿式化学法によって塗布され、真珠光沢顔料の製造のために開発された湿式化学コーティング法を使用でき、この種の方法は、例えば、米国特許第3087828号明細書、米国特許第3087829号明細書、米国特許第3553001号明細書、独国特許出願公開第1467468号明細書、独国特許出願公開第1959988号明細書、独国特許出願公開第2009566号明細書、独国特許出願公開第2214545号明細書、独国特許出願公開第2215191号明細書、独国特許出願公開第2244298号明細書、独国特許出願公開第2313331号明細書、独国特許出願公開第2522572号明細書、独国特許出願公開第3137808号明細書、独国特許出願公開第3137809号明細書、独国特許出願公開第3151343号明細書、独国特許出願公開第3151354号明細書、独国特許出願公開第3151355号明細書、独国特許出願公開第3211602号明細書、独国特許出願公開第3235017号明細書、独国特許出願公開第19618568号明細書、欧州特許出願公開第0659843号に記載されており、又は当業者に公知の更なる特許文献及び他の出版物にも記載されている。
湿式コーティングの場合、基材フレークを水中に懸濁させ、金属酸化物又は金属酸化物水和物が二次沈殿を生じることなくフレーク上に直接沈殿するように選択された、加水分解に適したpHにおいて、1つ以上の加水分解性金属塩を添加する。pHは、通常、塩基及び/又は酸を同時に計量添加することにより一定に保たれる。その後、効果顔料を分別、洗浄、及び乾燥し、必要に応じてか焼する。か焼温度は、各々の場合に存在するコーティングに関して最適化できる。通常、か焼温度は250~1000℃、好ましくは350~900℃である。所望であれば、顔料を、個々のコーティングの塗布後に分別し、乾燥し、必要に応じてか焼し、次いで、更なる層の塗布ために再懸濁できる。
SiO2層の塗布には、独国特許出願公開第19618569号明細書に記載されている方法が好ましくは使用される。SiO2層の作製には、ナトリウム水ガラス溶液又はカリウム水ガラス溶液が好ましくは使用される。
更に、コーティングは流動床反応器内において気相コーティングによって行うこともでき、この場合、例えば、欧州特許出願公開第0045851号明細書及び、欧州特許出願公開第0106235号明細書で真珠光沢顔料の調製に関して提案されている方法を相応に使用できる。
【0016】
顔料の色相は、コーティング量又はその結果得られる層厚を種々選択することによって、非常に広い範囲で変化させることができる。特定の色相のための微調整は、量の選択だけでなく、視覚的又は測定技術による制御を用いて所望の色に近づけることによって達成され得る。
光、水、及び天候への安定性を高めるためには、利用分野に応じて、無機又は有機の後コーティング又は後処理(層(F))を本発明による効果顔料に施すことがしばしば推奨される。好適な後コーティング又は後処理は、例えば、独国特許出願公開第2215191号明細書、西独国特許出願公開第3151354号明細書、西独国特許出願公開第3235017号明細書、又は西独国特許出願公開第3334598号明細書に記載された方法である。この後コーティングは、化学及び光化学安定性を更に高め、又は効果顔料の取扱い、特に様々な媒体への配合を簡単にする。湿潤性、分散性及び/又はユーザー媒体との適合性を向上させるために、SnO2、Al23若しくはZrO2又はこれらの混合物の機能性コーティングを、顔料表面に塗布することができる。更に、欧州特許出願公開第0090259号明細書、欧州特許出願公開第0634459号明細書、国際公開第99/57204号、国際公開第96/32446号、国際公開第99/57204号、米国特許第5,759,255号明細書、米国特許第5,571,851号明細書、国際公開第01/92425号、又はJ.J.Ponjee、Philips Technical Review,Vol.44,No.3,81 ff.及びP.H.Harding J.C.Berg,J.Adhesion Sci.Technol.Vol.11 No.4,pp.471-493に記載のような、例えばシランを用いた、有機後コーティングが可能である。層(F)は、好ましくはSnO2の層である。
本特許出願において、コーティング(複数可)は、フレーク状基材を完全に被覆/外装することを意味するとみなされる。
【0017】
釉薬中の着色体の最適な配向は、フリット中のアルカリ性成分K2O及びNa2Oによって支持される。フリット中の顔料の比率が高いほど(好ましくは<30質量%)、着色体の所望の配向がより良く支持される。この効果は、一般に、顔料濃度を≧30質量%から、≧50質量%を経て≧70質量%まで、連続的に増やすことによって増大する。
着色体の最適な配列に加えて、温度安定性及び化学反応性の高い媒体(フリットメルト)に対する安定性が、顔料/フリット混合物の使用に対して更に重要な役割を果たす。
≦950℃の使用温度、好ましくは720~950℃の使用温度における顔料/フリット混合物の安定性は、媒体の化学反応性にも影響を受ける。ベース成分Al23及びSi23と、フラックス形成剤B23、Na2O及びK2Oとの比が厳密に規定されたフリットのみが、実験式(質量%)Al23+Si23-B23-Na2O-K2O=20~50質量%に厳密に従い、好ましいことが見出された。
Al23、SiO2、B23、Na2O及びK2Oに加えて、好適な市販のフリットは、例えば、TiO2、ZrO2、ZnO、Sb23、P25、Hf2O、MnO、Cr23、Fe23、PbO、Li2O、アルカリ土類金属酸化物(例えば、CaO、BaO、MgO、SrO)及び希土類の酸化物などの構成成分を含む。
好ましいフリットは、
-SiO2+Al23=50~70質量%
-B23+Na2O+K2O=15~35質量%
を含み、フリットの全構成成分の合計比率は100%である。
【0018】
更なる構成成分として、フリット混合物は、顔料/フリット混合物を基準として0~10質量%の添加剤、例えば、無機着色顔料、粘土、カオリン、ベントナイト、又は有機物質を、例えば釉薬スリップの安定性を調節するために、含んでもよい。
フリットの粒子は、好ましくは、1~20μm、特に3~15μm、更に特に好ましくは5~12μmの粒径を有する。
フリットを基準にして、SiO2+Al23=50~70質量%の比率及びB23+Na2O+K2O=15~35質量%の比率を有する好適なフリット/フラックスが、例えばFerro、Sicer、Colorobbia又はIzawaから市販されている。使用できるフリット/フラックスの数を制限するものではないが、例として、以下のフリットが挙げられる:
Ferro107810、Ferro1055070、Colorobbia GVFK5003。
顔料/フリット混合物は、磁器、ボーンチャイナ及び陶器をベースとするセラミック物品の装飾に好適である。
【0019】
本発明による顔料/フリット混合物に好適なワークピースを下表に示す:
【表1】
【0020】
本発明による顔料/フリット混合物のワークピースへの塗布は、例えば、以下により実施できる
-直接ロータリースクリーン印刷
-直接フラットスクリーン印刷
-デカールを介した間接ロータリースクリーン印刷
-デカールを介した間接フラットスクリーン印刷
-Rotocolor
-スプレー塗布
-(手作業での)塗装
-浸漬
-ウォーターフォール
-エアレススプレー塗布
-装飾粉末(例えばVetrosa grit)を用いた任意の塗布、例えばプレ印刷した固着剤の上に装飾粉末をふりかけ、最後に吸引又はブローにより除去する。
特に顕著な液体金属効果は、顔料/フリット混合物に使用したフリット又は類似の組成及び溶融挙動のフリットが、セラミック又は釉薬と顔料/フリット混合物との間の中間層(いわゆる「アンダーレイ」)として適用されたときに実現する。アンダーレイと顔料/フリット混合物とは、両方の層が別々に塗布されるが、その後一緒に焼成される。
アンダーレイ及び顔料/フリット混合物は、施釉又は無釉のセラミック表面に、例えば、スプレー塗布、刷毛塗り、ナイフコーティング、スクリーン印刷及びデカールによって塗布できる。焼成後に測定した全層厚は、5~30μmで、塗布法によって異なる。
焼成温度は、使用するフリットにより変動する。本発明による顔料/フリット混合物の典型的な焼成温度は、≦950℃、好ましくは700℃~950℃の領域にある。
色相を変えるために、安定な無機着色顔料を、本発明による顔料/フリット混合物に添加できる。着色顔料の比率は、顔料/フリット混合物を基準にして0~30質量%、特に0~15質量%、更に特に好ましくは0~10質量%である。好適かつ安定な着色顔料は、例えば、グリーン酸化クロム顔料、ブラックスピネル顔料、黄褐色ルチル顔料、カドミウムレッド及びカドミウムイエロー、及びコバルトブルー顔料である。この種の着色顔料は、例えば、Ferro及びShepardから市販されている。
本発明による顔料/フリット混合物を含む焼成した効果釉薬は、特に高い光沢と低いスパークル値との組み合わせを特徴とし、所望の液体金属効果を示す。
【0021】
本発明は、以下の光沢値(Rhopoint IQ mini 2.0ゴニオフォトメーターを用いて測定)を有する本発明による顔料/フリット混合物を含む配合物にも関する:
光沢(20°)>20
ヘイズ≧30。
本発明は、屋内又は屋外用途向けの焼成又は未焼成の屋根瓦、床タイル及び壁タイル、衛生セラミック、磁器、陶器及びセラミックウェアへの本発明によるセラミック釉薬用顔料/フリット混合物の使用にも関する。
従って、本発明は、本発明による効果顔料/フリット混合物を含む配合物にも関する。
以下の例は、本発明を説明することを意図するが、本発明を制限するものではない。
【実施例0022】
実施例1
10~60μmの粒径を有する天然マイカ100gを、2Lの脱塩水中で、撹拌しながら80℃に加熱する。この温度に達すると、44gのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)をpH1.8で量り入れ、その間、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを一定に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHをpH2.8に調節し、600mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)及び462mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)をこのpH及び75℃で同時に添加する。添加中、32%水酸化ナトリウム溶液の同時滴加により、pHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、pHを7.5まで上げ、650mLのナトリウム水ガラス溶液(13質量%のSiO2)をこのpHでゆっくりと量り入れ、その間、10%塩酸を用いてpHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、10%塩酸を用いてpHをpH1.8まで下げ、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)との溶液を量り入れる。次いで、105mLのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)を、同じpHでゆっくりと量り入れる。これに続き、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)とからなる溶液を更に添加する。各々の場合において、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを1.8に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHを再度pH2.8に調節する。最後に、650mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)と499mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)の並行添加及び水酸化ナトリウム溶液(w=10%)を用いた同時滴定によって、最外層を塗布する。pH3.0で更に0.5時間撹拌した後、コーティングされたマイカ基材を濾別し、洗浄し、110℃で16時間乾燥する。最後に、得られた効果顔料を850℃で0.5時間か焼し、篩分けする。
高輝度を有する温度安定性の金色多層顔料が得られる。
【0023】
実施例2
10~25μmの粒径を有する天然マイカ100gを、2Lの脱塩水中で、撹拌しながら80℃に加熱する。この温度に達すると、44gのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)をpH1.8で量り入れ、その間、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを一定に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHをpH2.8に調節し、600mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)及び462mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)をこのpH及び75℃で同時に添加する。添加中、32%水酸化ナトリウム溶液の同時滴加により、pHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、pHを7.5まで上げ、650mLのナトリウム水ガラス溶液(13質量%のSiO2)をこのpHでゆっくりと量り入れ、その間、10%塩酸を用いてpHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、10%塩酸を用いてpHをpH1.8まで下げ、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)との溶液を量り入れる。次いで、105mLのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)を、同じpHでゆっくりと量り入れる。これに続き、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)とからなる溶液を更に添加する。各々の場合において、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを1.8に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHを再度pH2.8に調節する。最後に、650mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)と499mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)の並行添加及び水酸化ナトリウム溶液(w=10%)を用いた同時滴定によって、最外層を塗布する。pH3.0で更に0.5時間撹拌した後、コーティングされたマイカ基材を濾別し、洗浄し、110℃で16時間乾燥する。最後に、こうして得られた効果顔料を850℃で0.5時間か焼し、篩分けする。
高輝度及び優れた隠蔽力を有する温度安定性の金色多層顔料が得られる。
【0024】
実施例3
<15μmの粒径を有する天然マイカ100gを、2Lの脱塩水中で、撹拌しながら80℃に加熱する。この温度に達すると、53gのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)をpH1.8で量り入れ、その間、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを一定に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHをpH2.8に調節し、640mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)及び501mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)をこのpH及び75℃で同時に添加する。添加中、32%水酸化ナトリウム溶液の同時滴加により、pHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、pHを7.5まで上げ、650mLのナトリウム水ガラス溶液(13質量%のSiO2)をこのpHでゆっくりと量り入れ、その間、10%塩酸を用いてpHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、10%塩酸を用いてpHをpH1.8まで下げ、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)との溶液を量り入れる。次いで、105mLのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)を、同じpHでゆっくりと量り入れる。これに続き、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)とからなる溶液を更に添加する。各々の場合において、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを1.8に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHを再度pH2.8に調節する。最後に、650mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)と499mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)の並行添加及び水酸化ナトリウム溶液(w=10%)を用いた同時滴定によって、最外層を塗布する。pH3.0で更に0.5時間撹拌した後、コーティングされたマイカ基材を濾別し、洗浄し、110℃で16時間乾燥する。最後に、こうして得られた効果顔料を850℃で0.5時間か焼し、次いで篩分けする。
高い隠蔽力を有する温度安定性の金色多層顔料が得られる。
【0025】
実施例4
20~200μmの粒径を有するホウケイ酸ガラスフレーク100gを、2Lの脱塩水中で、撹拌しながら80℃に加熱する。この温度に達すると、38gのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)をpH1.8で量り入れ、その間、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを一定に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHをpH2.8に調節し、508mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)及び431mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)をこのpH及び75℃で同時に添加する。添加中、32%水酸化ナトリウム溶液の同時滴加により、pHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、pHを7.5まで上げ、650mLのナトリウム水ガラス溶液(13質量%のSiO2)をこのpHでゆっくりと量り入れ、その間、10%塩酸を用いてpHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、10%塩酸を用いてpHをpH1.8まで下げ、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)との溶液を量り入れる。次いで、105mLのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)を、同じpHでゆっくりと量り入れる。これに続き、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)とからなる溶液を更に添加する。各々の場合において、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを1.8に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHを再度pH2.8に調節する。最後に、650mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)と499mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)の並行添加及び水酸化ナトリウム溶液(w=10%)を用いた同時滴定によって、最外層を塗布する。pH3.0で更に0.5時間撹拌した後、このようにしてコーティングされたガラスフレークを濾別し、洗浄し、110℃で16時間乾燥する。最後に、効果顔料を850℃で0.5時間か焼し、篩分けする。
非常に強い光輝効果を有する温度安定性の金色多層顔料が得られる。
【0026】
実施例5
10~40μmの粒径を有するSiO2フレーク100gを、2Lの脱塩水中で、撹拌しながら80℃に加熱する。この温度に達すると、44gのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)をpH1.8で量り入れ、その間、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを一定に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHをpH2.8に調節し、600mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)及び462mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)をこのpH及び75℃で同時に添加する。添加中、32%水酸化ナトリウム溶液の同時滴加により、pHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、pHを7.5まで上げ、650mLのナトリウム水ガラス溶液(13質量%のSiO2)をこのpHでゆっくりと量り入れ、その間、10%塩酸を用いてpHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、10%塩酸を用いてpHをpH1.8まで下げ、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)との溶液を量り入れる。次いで、105mLのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)を、同じpHでゆっくりと量り入れる。その後、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)とからなる溶液の更なる添加を実施する。各々の場合において、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを1.8に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHを再度pH2.8に調節する。最後に、650mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)と499mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)の並行添加及び水酸化ナトリウム溶液(w=10%)を用いた同時滴定によって、最外層を塗布する。pH3.0で更に0.5時間撹拌した後、このようにしてコーティングされたSiO2フレークを濾別し、洗浄し、110℃で16時間乾燥する。最後に、効果顔料を850℃で0.5時間か焼し、篩分けする。
高輝度及び優れた隠蔽力を有する温度安定性の金色多層顔料が得られる。
【0027】
実施例6
10~40μmの粒径を有する合成マイカ100gを、2Lの脱塩水中で、撹拌しながら80℃に加熱する。この温度に達すると、44gのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)をpH1.8で量り入れ、その間、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを一定に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHをpH2.8に調節し、600mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)及び462mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)をこのpH及び75℃で同時に添加する。添加中、32%水酸化ナトリウム溶液の同時滴加により、pHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、pHを7.5まで上げ、650mLのナトリウム水ガラス溶液(13質量%のSiO2)をこのpHでゆっくりと量り入れ、その間、10%塩酸を用いてpHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、10%塩酸を用いてpHをpH1.8まで下げ、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)との溶液を量り入れる。次いで、105mLのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)を、同じpHでゆっくりと量り入れる。これに続き、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)とからなる溶液を更に添加する。各々の場合において、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを1.8に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHを再度pH2.8に調節する。最後に、650mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)と499mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)の並行添加及び水酸化ナトリウム溶液(w=10%)を用いた同時滴定によって、最外層を塗布する。pH3.0で更に0.5時間撹拌した後、コーティングされたマイカ基材を濾別し、洗浄し、110℃で16時間乾燥する。最後に、こうして得られた効果顔料を850℃で0.5時間か焼し、篩分けする。
高輝度及び中程度の隠蔽力を有する温度安定性の金色多層顔料が得られる。
【0028】
実施例7
<10μmの粒径を有するタルク100gを、2Lの脱塩水中で、撹拌しながら80℃に加熱する。この温度に達すると、44gのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)をpH1.8で量り入れ、その間、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを一定に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHをpH2.8に調節し、600mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)及び462mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)をこのpH及び75℃で同時に添加する。添加中、32%水酸化ナトリウム溶液の同時滴加により、pHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、pHを7.5まで上げ、650mLのナトリウム水ガラス溶液(13質量%のSiO2)をこのpHでゆっくりと量り入れ、その間、10%塩酸を用いてpHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、10%塩酸を用いてpHをpH1.8まで下げ、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)との溶液を量り入れる。次いで、105mLのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)を、同じpHでゆっくりと量り入れる。これに続き、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)とからなる溶液を更に添加する。各々の場合において、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを1.8に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHを再度pH2.8に調節する。最後に、650mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)と499mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)の並行添加及び水酸化ナトリウム溶液(w=10%)を用いた同時滴定によって、最外層を塗布する。pH3.0で更に0.5時間撹拌した後、このようにしてコーティングされたタルクフレークを濾別し、洗浄し、110℃で16時間乾燥する。最後に、このようにして得た効果顔料を850℃で0.5時間か焼し、篩分けする。
高い隠蔽力を有する温度安定性の金色多層顔料が得られる。
【0029】
実施例8
20~180μmの粒径を有する天然マイカ100gを、2Lの脱塩水中で、撹拌しながら80℃に加熱する。この温度に達すると、38gのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)をpH1.8で量り入れ、その間、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを一定に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHをpH2.8に調節し、508mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)及び431mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)をこのpH及び75℃で同時に添加する。添加中、32%水酸化ナトリウム溶液の同時滴加により、pHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、pHを7.5まで上げ、650mLのナトリウム水ガラス溶液(13質量%のSiO2)をこのpHでゆっくりと量り入れ、その間、10%塩酸を用いてpHを一定に保つ。更に0.5時間撹拌した後、10%塩酸を用いてpHをpH1.8まで下げ、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)との溶液を量り入れる。次いで、105mLのTiCl4溶液(400g/LのTiCl4)を、同じpHでゆっくりと量り入れる。その後、5gのSnCl4・5H2Oと41mLの塩酸(20%)とからなる溶液の更なる添加を実施する。各々の場合において、32%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを1.8に保つ。その後、水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHを再度pH2.8に調節する。最後に、650mLのFeCl3水溶液(w(Fe)=7%)と499mLのTiCl4水溶液(200gのTiCl4/l)の並行添加及び水酸化ナトリウム溶液(w=10%)を用いた同時滴定によって、最外層を塗布する。pH3.0で更に0.5時間撹拌した後、コーティングされたマイカ基材を濾別し、洗浄し、110℃で16時間乾燥する。最後に、効果顔料を850℃で0.5時間か焼し、篩分けする。
強い光輝効果を有する温度安定性の金色多層顔料が得られる。
【0030】
使用例
セラミックワークピースの装飾方法説明
A-セラミック基材
B-化粧土
C-釉薬
D-装飾/塗布
E-焼成
A=未焼成、予備焼成(素焼)、施釉磁器せっ器タイル、せっ器/陶器タイル、磁器(例えば硬質磁器、軟質磁器、ファインチャイナ、ボーンチャイナ、無釉磁器、せっ器、陶器)
【0031】
【表2】
【0032】
B=様々な機能(例えば、基材色の隠蔽、化学反応及び物理反応への影響、釉薬と基材との間の接着改善など)を有する市販の化粧土。
C=例えば、市販の釉薬、効果顔料を有する釉薬、着色された釉薬。
D=例えばロータリー及びフラットスクリーン印刷(直接、及びデカールを介した間接の両方)、Rotocolor、スプレー塗布、(手作業での)塗装、浸漬、ウォーターフォール、エアレススプレー塗布、装飾粉末(例えばVetrosa grit)を用いた任意の塗布、例えばプレ印刷した固着剤の上に装飾粉末をふりかけ、最後に吸引又はブローにより除去する。
【0033】
【表3】
【0034】
項目Dの場合、装飾は、セラミックの色に加えて、1つ以上のプレ印刷(以下でアンダーレイと呼ぶ)も有することが好ましく、これは全領域にも一部の領域にも実施できる。一部の場合は興味深い効果を生むことができる(レリーフ印刷)。着色された釉薬の光沢度は、アンダーレイの選択による影響を受け得る。アンダーレイは、無機顔料及び効果顔料による着色が可能である。
【0035】
【表4】

*例えば、Ferro 107810、Ferro 1055070、Colorobbia GVFK5003。
【0036】
以下の組成を有する市販のフリットを使用することも可能である:
【表5】

**顔料実施例1~8の効果顔料
***例えば、Ferro-221-ME/80 850/80 840、Sicer -SM112/SM114/SM140、Zschimmer&Schwarz-WB110、CMC増粘剤
【0037】
【表6】
【0038】
E=焼成は、多種多様な温度及び温度プロファイルにおいて様々な回数で実施でき、更には個々の塗布と塗布との間にも実施できる。炉の雰囲気も最終的な効果に関与し、焼成処理中に存在する酸素が多いほど、効果が良好となる。
【0039】
項目A~Eは、使用時に必ずしも全てを実施する必要はなく、その事例に応じて、項目を省略又は置換できる。概して、個別の項目A~Eは、所望に応じて組み合わせることができ、及び/又は記載の効果を達成するために2回使用することもできる。
A~E(表)の全ての組み合わせにより、実施例1~8による効果顔料を用いた液体金属効果を生じることができる。
更に、実施例1~8の効果顔料に加えて、下記の市販の効果顔料をA~Eの組み合わせで同様に試験した:
Iriodin(登録商標)305(Merck KGaA)
Iriodin(登録商標)306(Merck KGaA)
Iriodin(登録商標)326(Merck KGaA)
実施例1~8の効果顔料のみが、焼成中に破断して液体金属効果を有する光沢性の釉薬表面をその場で形成することから、これらの効果顔料を用いた場合のみ液体金属効果を生じることができる。
【0040】
スクリーン印刷-実施例A1:アンダーレイを用いた、ファインチャイナ上への間接的(デカール)スクリーン印刷塗布
材料:
-表4に従う「アンダーレイ配合物」のスクリーン印刷
-表3に従う「液体金属装飾配合物」のスクリーン印刷
アンダーレイ層を、デカール紙上にプレ印刷し、耐ワイプ性になるまで0~40℃で中間乾燥する。続いて、装飾ペーストを位置合わせして(in registry)アンダーレイ層上に印刷する。次いで、耐ワイプ性になるまで、再度0~40℃で中間乾燥する。次いで、オーバーコート(Ferro 80 450)を重ね刷りし、耐ワイプ性になるまで、再度0~40℃で中間乾燥する。
完成したデカールを、水を用いて剥がし、ファインチャイナ(Villeroy &Boch社の皿)に適用し、800℃で数分間加熱し、20分の保持時間で焼成した。
【0041】
スクリーン印刷-実施例A2:アンダーレイを用いた、ボーンチャイナ上への間接的(デカール)スクリーン印刷塗布
材料:
-表4に従う「アンダーレイ配合物」のスクリーン印刷
-表3に従う「液体金属装飾配合物」のスクリーン印刷
アンダーレイ層を、デカール紙上にプレ印刷し、耐ワイプ性になるまで0~40℃で中間乾燥する。続いて、装飾ペーストを位置合わせしてアンダーレイ層上に印刷する。次いで、耐ワイプ性になるまで、再度0~40℃で中間乾燥する。次いで、オーバーコート(Ferro80 450)を重ね刷りし、耐ワイプ性になるまで、再度0~40℃で中間乾燥する。完成したデカールを、水を用いて剥がし、ファインチャイナ(例えば、Rosenthal社の皿)に適用し、最後に800℃で40分間、20分の保持時間で焼成した。
【0042】
スクリーン印刷-実施例A3:アンダーレイを用いた、磁器上への間接的(デカール)スクリーン印刷塗布
材料:
-表4に従う「アンダーレイ配合物」のスクリーン印刷
-表3に従う「液体金属装飾配合物」のスクリーン印刷
アンダーレイ層を、デカール紙上にプレ印刷し、耐ワイプ性になるまで0~40℃で中間乾燥する。続いて、装飾ペーストを位置合わせしてアンダーレイ層上に印刷する。次いで、耐ワイプ性になるまで、再度0~40℃で中間乾燥する。次いで、オーバーコート(Ferro 80 450)を重ね刷りし、耐ワイプ性になるまで、再度0~40℃で中間乾燥する。 完成したデカールを、水を用いて剥がし、ファインチャイナ(例えば、Seltmann/Weiden社の皿)に適用し、最後に800℃で40分間、20分の保持時間で焼成した。
【0043】
本発明による顔料/フリット混合物(フリットA1及びA2を使用)を用いた焼成効果釉薬は、特に高い光沢と低いスパークルとの組み合わせを特徴とし、所望の液体金属効果を示す。顔料/フリット混合物(フリットA3を使用)を用いた焼成効果釉薬は、特に低い光沢と高いスパークル値との組み合わせを特徴とし、所望の液体金属効果を示さない。
光沢は、Rhopoint IQ mini 2.0を用いて測定される。液体金属釉薬は、以下の光沢値によって区別される:
【0044】
【表7】
【外国語明細書】