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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055474
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】表示方法及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20220401BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20220401BHJP
   G09G 5/14 20060101ALI20220401BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20220401BHJP
   H04N 5/243 20060101ALI20220401BHJP
   G03B 13/06 20210101ALI20220401BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20220401BHJP
   G03B 17/20 20210101ALI20220401BHJP
【FI】
G09G5/00 510G
G09G5/36 520P
G09G5/36 520F
G09G5/36 520A
G09G5/00 550B
G09G5/00 550C
G09G5/14 A
H04N5/232 930
H04N5/243
G03B13/06
G09G5/10 B
G03B17/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162924
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 宏輔
【テーマコード(参考)】
2H018
2H102
5C122
5C182
【Fターム(参考)】
2H018AA32
2H102BA02
2H102BA12
5C122EA47
5C122FH01
5C122FK09
5C122FK12
5C122FK24
5C122FK42
5C122HA75
5C122HA86
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB06
5C182AA02
5C182AA03
5C182AA24
5C182AB08
5C182AB22
5C182AB23
5C182AC02
5C182AC03
5C182BA01
5C182BA03
5C182BA06
5C182BA29
5C182BA45
5C182CA01
5C182CA12
5C182CA13
5C182CA22
5C182CB13
5C182CB45
5C182CC02
5C182CC11
5C182DA44
5C182DA53
5C182DA65
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性を考慮しつつ、ファインダ内のディスプレイに映像を適切に表示することができる表示方法及び表示装置を提供する。
【解決手段】 本発明の一つの実施形態では、環境光の下での撮影によって映像データを取得し、映像データに基づく表示データを作成し、表示データに応じた表示映像をファインダ内のディスプレイに表示する。そして、環境光の強度が第1閾値以上である場合に、ファインダ内のディスプレイに表示される表示映像の明るさを、第1基準映像の明るさよりも明るくさせ、又は、環境光の強度が第2閾値以下である場合に、ファインダ内のディスプレイに表示される表示映像の明るさを、第2基準映像の明るさよりも暗くさせる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境光の強度を検出するセンサと、内部にディスプレイが設けられたファインダと、を備えた表示装置を用いた表示方法であって、
前記環境光の下での撮影によって映像データを取得する取得工程と、
前記映像データに基づく表示データを作成する作成工程と、
前記表示データに応じた表示映像を前記ディスプレイに表示する表示工程と、を含み、
前記環境光の強度が第1閾値以上である場合に、前記ディスプレイに表示される前記表示映像の明るさが、第1基準映像の明るさよりも明るくなる条件にて前記作成工程又は前記表示工程を実施し、又は、
前記環境光の強度が第2閾値以下である場合に、前記ディスプレイに表示される前記表示映像の明るさが、第2基準映像の明るさよりも暗くなる条件にて前記作成工程又は前記表示工程を実施する、表示方法。
【請求項2】
前記環境光の強度が第1閾値以上である場合、前記ディスプレイに表示させる前記表示映像の明るさが前記第1基準映像の明るさよりも明るくなる条件にて前記作成工程を実施し、
前記第1基準映像は、前記第1閾値未満である強度の前記環境光の下での撮影によって取得される映像データに基づいて作成される表示データに応じて前記ディスプレイに表示される映像である、請求項1に記載の表示方法。
【請求項3】
前記環境光の強度が第2閾値以下である場合、前記ディスプレイに表示させる前記表示映像の明るさが前記第2基準映像の明るさよりも暗くなる条件にて前記作成工程を実施し、
前記第2基準映像は、前記第2閾値を超える強度の前記環境光の下での撮影によって取得される映像データに基づいて作成される表示データに応じて前記ディスプレイに表示される映像である、請求項1又は2に記載の表示方法。
【請求項4】
ユーザと前記表示装置の距離が所定の距離以下である場合に、前記表示映像を前記ディスプレイに表示する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項5】
前記表示データは、前記映像データが示す入力階調値に対する出力値を示し、
前記入力階調値は、第1階調値と、第2階調値と、前記第1階調値及び前記第2階調値の間にある中間値と、を含む数値範囲内で規定され、
前記作成工程では、前記表示データとして、前記中間値より前記第1階調値又は前記第2階調値に近い側の前記入力階調値に対する前記出力値が互いに異なる第1表示データ及び第2表示データを作成し、
前記表示工程では、前記第1表示データ及び前記第2表示データのうち、前記環境光の強度に基づいて選択されたデータに応じた表示映像を、前記ディスプレイに表示する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項6】
前記作成工程では、前記映像データが示す入力階調値に対する出力値に対して、前記環境光の強度に応じた補正を実施し、補正後の出力値を示す前記表示データを作成し、
前記作成工程における前記出力値に対する補正量を、ユーザと前記ファインダとの距離、又は、前記ファインダ内の明るさに応じて変更する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項7】
ユーザが前記ファインダを利用する利用時間が設定時間に達する前には、前記作成工程において、前記映像データが示す入力階調値に対する出力値に対して、前記環境光の強度に応じた補正を実施して補正後の出力値を示す前記表示データを作成し、前記表示工程において、補正後の出力値を示す前記表示データに応じた前記表示映像を前記ディスプレイに表示し、
前記利用時間が前記設定時間に達した後には、前記作成工程において、前記補正が実施されない前記出力値を示す未補正表示データを作成し、前記表示工程において、前記未補正表示データに応じた前記表示映像を前記ディスプレイに表示する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項8】
前記作成工程では、前記映像データが示す入力階調値に対する出力値に対して、前記環境光の強度に応じた補正を実施し、補正後の出力値を示す前記表示データを作成し、且つ、前記補正が実施されない前記出力値を示す未補正表示データを作成し、
前記表示工程では、補正後の出力値を示す前記表示データに応じた前記表示映像と、前記未補正表示データに応じた前記表示映像と、を前記ディスプレイに一緒に表示する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項9】
前記映像データは、撮影時の画角の各部の入力階調値を示し、
前記環境光の強度が第1閾値以上である場合、前記ディスプレイに表示させる前記表示映像の明るさが前記第1基準映像の明るさよりも明るくなる条件にて前記作成工程を実施し、
前記画角中、前記入力階調値が第1基準値以下となる第1階調部分が、決められた広さ以上である場合、前記作成工程では、前記第1階調部分の前記入力階調値に対する出力値を上げる第1階調補正を実施して前記表示データを作成し、
前記第1階調補正における補正量は、前記第1階調部分の前記入力階調値と前記第1基準値との差が大きくなるほど大きくなる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項10】
前記映像データは、撮影時の画角の各部の入力階調値を示し、
前記環境光の強度が第2閾値以下である場合、前記ディスプレイに表示させる前記表示映像の明るさが前記第2基準映像の明るさよりも暗くなる条件にて前記作成工程を実施し、
前記画角中、前記入力階調値が第2基準値以上となる第2階調部分が、決められた広さ以上である場合、前記作成工程では、前記第2階調部分の前記入力階調値に対する出力値を下げる第2階調補正を実施して前記表示データを作成し、
前記第2階調補正における補正量は、前記第2階調部分の前記入力階調値と前記第2基準値との差が大きくなるほど大きくなる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項11】
プロセッサと、
環境光の強度を検出するセンサと、
内部にディスプレイが設けられたファインダと、を備え、
前記プロセッサは、前記環境光の下での撮影によって映像データを取得して、前記映像データに基づく表示データを作成して、前記表示データに応じた表示映像を前記ディスプレイに表示するように構成され、
前記環境光の強度が第1閾値以上である場合、前記プロセッサは、前記ディスプレイに表示される前記表示映像の明るさを第1基準映像の明るさよりも明るくさせ、又は、
前記環境光の強度が第2閾値以下である場合、前記プロセッサは、前記ディスプレイに表示される前記表示映像の明るさを、第2基準映像の明るさよりも暗くさせる、表示装置。
【請求項12】
内部にディスプレイが設けられたファインダを備えた表示装置を用いた表示方法であって、
撮影によって第1映像データを取得する取得工程と、
前記第1映像データに基づいて、互いに異なる階調値を示す複数の第2映像データを作成する作成工程と、
前記複数の第2映像データの各々と対応する複数の表示映像を、前記ディスプレイに表示する表示工程と、
前記複数の表示映像を前記ディスプレイに表示する場合に、前記ファインダの利用をユーザに対して催促する催促工程と、
前記複数の表示映像の中からユーザによって選択された表示映像と対応する前記第2映像データを記憶装置に記憶させる記憶工程とを含む、表示方法。
【請求項13】
前記複数の第2映像データは、前記第1映像データが示す階調値に対して補正を実施した第2映像データを含み、
前記作成工程では、前記第1映像データにおいて第1基準値以下である階調値に対して第1階調補正を実施した前記第2映像データと、前記第1映像データにおいて第2基準値以上である階調値に対して第2階調補正を実施した前記第2映像データと、を作成し、
前記表示工程では、前記第1階調補正が実施された前記第2映像データと対応する表示映像と、前記第2階調補正が実施された前記第2映像データと対応する表示映像と、を並べて前記ディスプレイに表示する、請求項12に記載の表示方法。
【請求項14】
前記第1階調補正及び前記第2階調補正の一方を第1補正とし、他方を第2補正とした場合に、
前記作成工程は、第1作成工程及び第2作成工程を含み、
前記表示工程は、第1表示工程及び第2表示工程を含み、
前記第1作成工程では、互いに補正量が異なる複数の前記第1補正を実施した2以上の第2A映像データを作成し、
前記第1表示工程では、前記2以上の第2A映像データの各々と対応する2以上の前記表示映像を前記ディスプレイに表示し、
前記第2作成工程では、前記第1表示工程にて選択された前記表示映像と対応する前記第2A映像データを作成する際に実施された前記第1補正と、互いに補正量が異なる複数の前記第2補正とを実施した2以上の第2B映像データを作成し、
前記第2表示工程では、前記2以上の第2B映像データの各々と対応する2以上の前記表示映像を前記ディスプレイに表示し、
前記記憶工程では、前記第2表示工程にて選択された前記表示映像と対応する前記第2B映像データを前記記憶装置に記憶させる、請求項13に記載の表示方法。
【請求項15】
前記取得工程では、互いに露出条件が異なる複数の前記第1映像データを取得し、
前記表示工程では、露出条件が異なる複数の前記第1映像データに基づく複数の前記表示映像を一緒に前記ディスプレイに表示する、請求項12乃至14のいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項16】
前記表示工程では、前記表示映像における、前記複数の第2映像データの間で互いに階調値が異なる差異部分を拡大して前記ディスプレイに表示する、請求項12乃至15のいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項17】
前記表示工程では、ユーザに指定された前記差異部分を拡大して前記ディスプレイに表示する、請求項16に記載の表示方法。
【請求項18】
ユーザと前記表示装置の距離が所定の距離以下である場合に、前記表示映像を前記ディスプレイに表示する、請求項12乃至17のいずれか一項に記載の表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示方法及び表示装置に係り、特に、ファインダ内のディスプレイに映像を表示する表示方法、及び、ファインダの内部にディスプレイが設けられた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等を用いて映像を撮影するユーザは、例えば、ファインダ内のディスプレイに表示された映像を見ながら、撮影時の構図(すなわち画角)の設定及び変更を行うことができる。また、ファインダ内のディスプレイに表示される映像について、明るさを変更することがある。
【0003】
特許文献1では、外光輝度を検出し、外光輝度が所定値以上である場合に、ファインダ内のディスプレイに表示させる映像の信号(表示用画像信号)に対して、オフセット有りのγ(ガンマ)カーブでγ補正を実施する。この構成によれば、高輝度時において、ファインダ内のディスプレイに表示させる映像の視認性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-39271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ディスプレイに表示させる映像の明るさを設定する場合には、ユーザの利便性を考慮して設定することが重要であり、そのような構成を実現した表示方法及び表示装置の開発が求められている。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの利便性を考慮しつつ、ファインダ内のディスプレイに映像を適切に表示することができる表示方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の表示方法を実現するための表示装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の表示方法は、環境光の強度を検出するセンサと、内部にディスプレイが設けられたファインダと、を備えた表示装置を用いた表示方法であって、環境光の下での撮影によって映像データを取得する取得工程と、映像データに基づく表示データを作成する作成工程と、表示データに応じた表示映像をディスプレイに表示する表示工程と、を含む。そして、環境光の強度が第1閾値以上である場合に、ディスプレイに表示される表示映像の明るさが、第1基準映像の明るさよりも明るくなる条件にて作成工程又は表示工程を実施し、又は、環境光の強度が第2閾値以下である場合に、ディスプレイに表示される表示映像の明るさが、第2基準映像の明るさよりも暗くなる条件にて作成工程又は表示工程を実施する。
【0008】
また、環境光の強度が第1閾値以上である場合、ディスプレイに表示させる表示映像の明るさが第1基準映像の明るさよりも明るくなる条件にて作成工程を実施してもよい。この場合、第1基準映像は、第1閾値未満である強度の環境光の下での撮影によって取得される映像データに基づいて作成される表示データに応じてディスプレイに表示される映像であってもよい。
【0009】
また、環境光の強度が第2閾値以下である場合、ディスプレイに表示させる表示映像の明るさが第2基準映像の明るさよりも暗くなる条件にて作成工程を実施してもよい。この場合、第2基準映像は、第2閾値を超える強度の環境光の下での撮影によって取得される映像データに基づいて作成される表示データに応じてディスプレイに表示される映像であってもよい。
【0010】
また、ユーザと表示装置の距離が所定の距離以下である場合に、表示映像をディスプレイに表示してもよい。
【0011】
また、表示データは、映像データが示す入力階調値に対する出力値を示し、入力階調値は、第1階調値と、第2階調値と、第1階調値及び第2階調値の間にある中間値と、を含む数値範囲内で規定されてもよい。この場合、作成工程では、表示データとして、中間値より第1階調値又は第2階調値に近い側の入力階調値に対する出力値が互いに異なる第1表示データ及び第2表示データを作成してもよい。また、表示工程では、第1表示データ及び第2表示データのうち、環境光の強度に基づいて選択されたデータに応じた表示映像を、ディスプレイに表示してもよい。
【0012】
また、作成工程では、映像データが示す入力階調値に対する出力値に対して、環境光の強度に応じた補正を実施し、補正後の出力値を示す表示データを作成し、作成工程における出力値に対する補正量を、ユーザとファインダとの距離、又は、ファインダ内の明るさに応じて変更してもよい。
【0013】
また、ユーザがファインダを利用する利用時間が設定時間に達する前には、作成工程において、映像データが示す入力階調値に対する出力値に対して、環境光の強度に応じた補正を実施して補正後の出力値を示す表示データを作成し、表示工程において、補正後の出力値を示す表示データに応じた表示映像をディスプレイに表示してもよい。また、利用時間が設定時間に達した後には、作成工程において、補正が実施されない出力値を示す未補正表示データを作成し、表示工程において、未補正表示データに応じた表示映像をディスプレイに表示してもよい。
【0014】
また、作成工程では、映像データが示す入力階調値に対する出力値に対して、環境光の強度に応じた補正を実施し、補正後の出力値を示す表示データを作成し、且つ、補正が実施されない出力値を示す未補正表示データを作成してもよい。この場合、表示工程では、補正後の出力値を示す表示データに応じた表示映像と、未補正表示データに応じた表示映像と、をディスプレイに一緒に表示してもよい。
【0015】
また、映像データは、撮影時の画角の各部の入力階調値を示してもよい。また、環境光の強度が第1閾値以上である場合、ディスプレイに表示させる表示映像の明るさが第1基準映像の明るさよりも明るくなる条件にて作成工程を実施してもよい。また、画角中、入力階調値が第1基準値以下となる第1階調部分が、決められた広さ以上である場合、作成工程では、第1階調部分の入力階調値に対する出力値を上げる第1階調補正を実施して表示データを作成してもよい。この場合、第1階調補正における補正量は、第1階調部分の入力階調値と第1基準値との差が大きくなるほど大きくなってもよい。
【0016】
また、映像データは、撮影時の画角の各部の入力階調値を示してもよい。また、環境光の強度が第2閾値以下である場合、ディスプレイに表示させる表示映像の明るさが第2基準映像の明るさよりも暗くなる条件にて作成工程を実施してもよい。また、画角中、入力階調値が第2基準値以上となる第2階調部分が、決められた広さ以上である場合、作成工程では、第2階調部分の入力階調値に対する出力値を下げる第2階調補正を実施して表示データを作成してもよい。この場合、第2階調補正における補正量は、第2階調部分の入力階調値と第2基準値との差が大きくなるほど大きくなってもよい。
【0017】
また、前述の目的を達成するため、本発明の一つの実施形態に係る表示装置は、プロセッサと、環境光の強度を検出するセンサと、内部にディスプレイが設けられたファインダと、を備え、プロセッサは、環境光の下での撮影によって映像データを取得して、映像データに基づく表示データを作成して、表示データに応じた表示映像をディスプレイに表示するように構成される。そして、環境光の強度が第1閾値以上である場合、プロセッサは、ディスプレイに表示される表示映像の明るさを第1基準映像の明るさよりも明るくさせ、又は、環境光の強度が第2閾値以下である場合、プロセッサは、ディスプレイに表示される表示映像の明るさを、第2基準映像の明るさよりも暗くさせる。
【0018】
また、前述の目的を達成するため、本発明の他の実施形態に係る表示方法は、内部にディスプレイが設けられたファインダを備えた表示装置を用いた表示方法であって、撮影によって第1映像データを取得する取得工程と、第1映像データに基づいて、互いに異なる階調値を示す複数の第2映像データを作成する作成工程と、複数の第2映像データの各々と対応する複数の表示映像を、ディスプレイに表示する表示工程と、複数の表示映像をディスプレイに表示する場合に、ファインダの利用をユーザに対して催促する催促工程と、複数の表示映像の中からユーザによって選択された表示映像と対応する第2映像データを記憶装置に記憶させる記憶工程とを含む。
【0019】
また、複数の第2映像データは、第1映像データが示す階調値に対して補正を実施した第2映像データを含んでもよい。この場合、作成工程では、第1映像データにおいて第1基準値以下である階調値に対して第1階調補正を実施した第2映像データと、第1映像データにおいて第2基準値以上である階調値に対して第2階調補正を実施した第2映像データと、を作成してもよい。表示工程では、第1階調補正が実施された第2映像データと対応する表示映像と、第2階調補正が実施された第2映像データと対応する表示映像と、を並べてディスプレイに表示してもよい。
【0020】
また、第1階調補正及び第2階調補正の一方を第1補正とし、他方を第2補正とした場合に、作成工程は、第1作成工程及び第2作成工程を含み、表示工程は、第1表示工程及び第2表示工程を含んでもよい。第1作成工程では、互いに補正量が異なる複数の第1補正を実施した2以上の第2A映像データを作成してもよい。第1表示工程では、2以上の第2A映像データの各々と対応する2以上の表示映像をディスプレイに表示してもよい。第2作成工程では、第1表示工程にて選択された表示映像と対応する第2A映像データを作成する際に実施された第1補正と、互いに補正量が異なる複数の第2補正とを実施した2以上の第2B映像データを作成してもよい。第2表示工程では、2以上の第2B映像データの各々と対応する2以上の表示映像をディスプレイに表示し、記憶工程では、第2表示工程にて選択された表示映像と対応する第2B映像データを記憶装置に記憶させてもよい。
【0021】
また、取得工程では、互いに露出条件が異なる複数の第1映像データを取得し、表示工程では、露出条件が異なる複数の第1映像データに基づく複数の表示映像を一緒にディスプレイに表示してもよい。
【0022】
また、表示工程では、表示映像における、複数の第2映像データの間で互いに階調値が異なる差異部分を拡大してディスプレイに表示してもよい。
さらに、表示工程では、ユーザに指定された差異部分を拡大してディスプレイに表示してもよい。
【0023】
また、ユーザと表示装置の距離が所定の距離以下である場合に、表示映像をディスプレイに表示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の外観を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す図である。
図3】第1実施形態に係る映像作成部の構成を示す図である。
図4】第1実施形態における映像表示フローの流れを示す図である。
図5】第1実施形態における作成工程の手順を示す図である。
図6】γ補正での入力階調値と出力値との対応関係を示す図である。
図7】第1階調補正の一例を示す図である。
図8】第1階調補正の別例を示す図である。
図9】第2階調補正の一例を示す図である。
図10】第2階調補正の別例を示す図である。
図11】ディスプレイに表示される表示映像の一例を示す図である(その1)。
図12】ディスプレイに表示される表示映像の一例を示す図である(その2)。
図13】ディスプレイに表示される表示映像の一例を示す図である(その3)。
図14】環境光の強度と第1階調補正での補正量との対応関係を示す図である。
図15】環境光の強度と第2階調補正での補正量との対応関係を示す図である。
図16】ファインダの利用時間が設定時間に達した後の、第1階調補正での補正量の変化を示す図である。
図17】ファインダの利用時間が設定時間に達した後の、第2階調補正での補正量の変化を示す図である。
図18】補正が実施された表示映像と、補正が未実施である表示映像とを同時に表示したディスプレイを示す図である。
図19】明環境において出力輝度を変更するケースを示す図である。
図20】暗環境において出力輝度を変更するケースを示す図である。
図21】第2実施形態に係る映像作成部の構成を示す図である。
図22】第2実施形態における映像表示フローの流れを示す図である。
図23】複数の表示映像が表示されたディスプレイを示す図である。
図24】ディスプレイにおける表示映像の表示様式についての別例を示す図である。
図25】第2実施形態における映像表示フローに関して、別のモードの流れを示す図である。
図26】表示映像中の差異部分を拡大表示したディスプレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な複数の実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下に説明する実施形態から変更又は改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれる。
【0026】
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態は、図1及び2に示す表示装置を用いる表示方法に関する。第1実施形態に係る表示装置は、撮影中、被写体の映像を表示する装置であり、デジタルカメラ等の撮影装置10によって構成される。なお、本明細書において「映像」には静止画像及び動画像が含まれる。
【0027】
[第1実施形態における撮影装置の構成]
撮影装置10は、図1及び2に示すように、撮像レンズ12、絞り16、シャッタ18、撮像素子20、背面ディスプレイ22、操作ユニット24、ファインダ30、プロセッサ40、及び内部メモリ50等を備える。
【0028】
撮影装置10は、レンズ一体式の機種又はレンズ交換式の機種であり、撮像レンズ12に応じた画角にて撮影する。撮影中、撮像レンズ12を透過した光は、撮像素子20に入射される。撮像素子20に入射される光の量は、絞り16の絞り値を調整することで制御される。撮影時の露出時間は、シャッタ18のシャッタ速度を調整することで制御される。絞り値、シャッタ速度及びISO感度等の露出条件は、プロセッサ40によって制御される。
【0029】
撮像素子20は、本実施形態ではRGB(Red Green Blue)3色のカラーフィルタを有するイメージセンサである。ただし、カラーフィルタは必ずしも必要な要素ではない。撮像素子20は、CCD(Charged Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)又は有機撮像素子等によって構成することが可能である。撮像素子20は、被写体からの光(可視光に限らない)を受光し、その受光像を電気信号である映像信号に変換して出力する。
【0030】
背面ディスプレイ22は、撮影装置10の背面に設けられ、表示映像及び各種の情報を表示し、例えば、撮影中には表示映像としてライブビュー画像を表示する。ライブビュー画像は、撮影中における被写体のリアルタイム画像である。
【0031】
操作ユニット24は、撮影装置10の外表面に設けられ、ユーザの操作を受け付ける。操作ユニット24には、図2に示すように、レリーズボタン25、十字キー型又はコントロールホイール型の選択ボタン26、及び背面ディスプレイ22に設けられたタッチパネル27等が含まれる。レリーズボタン25は、ユーザが撮影中に表示映像の記憶を指示する際に押圧される。選択ボタン26及びタッチパネル27は、例えば、ユーザが表示映像を切り換えたり、表示映像を選択したり、または表示映像の一部分を指定する場合等に操作される。
【0032】
ファインダ30は、撮影中にユーザが画角等を確認するために覗き込む覗き込み型のファインダであり、詳しくは電子ビューファインダ(Electronic View Finder:EVF)である。なお、ファインダ30は、光学ビューファインダ(OVF:Optical View Finder)のモードとEVFのモードとを切り替え可能なハイブリッド型のファインダでもよい。また、ファインダ30は、撮影装置10に内蔵されたファインダでもよく、撮影装置10の上部に設けられた接続部14(ホットシュー)に着脱可能に接続される外付け式のファインダでもよい。
【0033】
ファインダ30は、図2に示すようにディスプレイ31と観察光学系32と接眼枠33とを備える。
【0034】
ディスプレイ31は、ファインダ30の内部に配置され、ディスプレイ31には表示映像が表示される。ディスプレイ31は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Organic Electroluminescence)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ又は電子ペーパー等によって構成される。また、ディスプレイ31は、バックライトを備えるものでもよい。この場合、バックライトの輝度を画素毎に調整することで、ディスプレイ31の各部分の明るさ、つまり、表示映像中の各部分の明るさを変更することができる。
【0035】
観察光学系32は、ディスプレイ31に表示される映像等を拡大するためにディスプレイ31と接眼枠33との間に配置されるレンズ等である。
接眼枠33は、撮影装置10の背面に設けられた覗き込み窓を取り囲む枠体である。ユーザは、ファインダ30内部(つまり、ディスプレイ31)を覗き込む際に、撮影装置10に近付き、目の周辺部分を接眼枠33に密着させる。これにより、ユーザの目の周りが接眼枠33に包囲され、撮影装置10の外からファインダ30内への光の漏れ込みが抑えられる。ファインダ30内への光の漏れ込み量は、ユーザとファインダ30との距離、つまり、ユーザの顔と接眼枠33との密着度合いに応じて変化する。
【0036】
また、図1に示すように、接眼枠33の所定箇所又は接眼枠33の近傍には、センサ34が設置されている。センサ34は、公知の照度センサ又は近接センサ等によって構成され、ユーザによるファインダ30の利用を検出し、具体的には、ユーザとファインダ30との距離に応じた信号を出力する。
【0037】
センサ34は、撮影環境における光(以下、環境光という)の強度を検出するセンサとして利用することが可能である。環境光には、被写体から発せられる光、及び、撮影装置10周辺を照らす光等、撮影装置10が存在する撮影環境全体の光が含まれる。
【0038】
なお、環境光を検出するセンサは、上記のセンサ34に限定されず、例えば、撮像素子20を構成するイメージセンサでもよい。すなわち、イメージセンサが検出する露光量、具体的には、自動露出制御(AE制御)又はオートホワイトバランス制御(AWB制御)のために算出される露光量の積算値から環境光の強度を検出してもよい。
【0039】
また、図1及び2には図示しないが、ファインダ30は、ファインダ30内部の明るさ(光の強度)を測定する測光センサ、若しくは、ユーザとファインダ30との距離を測定する測距センサをさらに備えてもよい。
【0040】
プロセッサ40は、撮影装置10の各部を制御し、撮影、映像の記憶、及び映像表示等を含む各種の処理を実行するように構成されている。プロセッサ40は、1つ又は複数のハードウェア機器、例えば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、又はその他のIC(Integrated Circuit)によって構成されてもよい。あるいは、これらを組み合わせてプロセッサ40が構成されてもよい。また、プロセッサ40は、SoC(System on Chip)等に代表されるように、プロセッサ40全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで構成してもよい。なお、上述したプロセッサ40のハードウェア構成は、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)によって実現されてもよい。
【0041】
内部メモリ50は、記憶装置の一例であり、内部メモリ50には、プロセッサ40によって実行されるプログラムが格納されている。このプログラムがプロセッサ40によって実行されることで、プロセッサ40は、図2に示すように制御処理部42及び映像作成部44として機能する。
なお、表示データ作成回路47は、背面ディスプレイ22又はディスプレイ31のモジュールの内部に設けられていてもよい。また、表示データ作成回路47は、上述のモジュールの内部及び外部(撮像装置10の筐体内)の両方に設けられていてもよい。
【0042】
プロセッサ40により実行されるプログラムは、必ずしも内部メモリ50に格納される場合に限られず、記憶装置の一例であるメモリカード52に格納されてもよい。メモリカード52は、撮影装置10に設けられた不図示のカードスロットルに挿し込まれて利用される。
【0043】
制御処理部42は、操作ユニット24を通じて行われたユーザの操作に応じて、又は、所定の制御ルールに則って撮影装置10の各部を制御するように構成されている。例えば、制御処理部42は、環境光の強度に応じて絞り16、シャッタ18及び撮像素子20を制御して露光条件を自動的に変更する。また、制御処理部42は、レリーズボタン25が押されると、その時点で撮影される映像のデータ(映像データ)を内部メモリ50又はメモリカード52等の記憶装置に記憶させる。
【0044】
また、制御処理部42は、撮影中、背面ディスプレイ22又はディスプレイ31に表示映像を表示するように構成されている。第1実施形態において、制御処理部42は、映像作成部44によって作成された表示データに基づき、表示データに応じた表示映像を表示する。このとき、制御処理部42は、背面ディスプレイ22及びディスプレイ31のいずれに表示映像を表示するかを決定する。例えば、ユーザと撮影装置10の距離が所定の距離以下であること(詳しくは、ユーザの顔が接眼枠33に接する位置にあること)を上記のセンサ34が検出した場合、制御処理部42は、表示映像をディスプレイ31に表示する。
【0045】
映像作成部44は、環境光の下での撮影によって映像データを取得し、また、第1実施形態では、取得した映像データから表示データを作成するように構成されている。第1実施形態に係る映像作成部44は、図3に示すように、A/D(Analog/Digital)変換回路45と、映像データ取得回路46と、表示データ作成回路47とを有する。
【0046】
A/D変換回路45は、撮像素子20から出力された映像信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。映像データ取得回路46は、変換後のデジタル信号に対してγ補正及びホワイトバランス補正等の画像処理を実施し、処理後の信号を所定の規格で圧縮することで映像データを取得する。映像データは、撮影時の画角各部の階調値、詳しくはRGB3色の階調値を画素毎に示すデータである。なお、第1実施形態では、映像データが示す階調値を「入力階調値」と呼ぶこととする。入力階調値は、第1階調値としての下限値と、第2階調値としての上限値と、これらの間に位置する中間値とを含む数値範囲内で規定され、例えば映像データが8ビット形式のデータである場合には0~255の数値範囲内で規定される。
【0047】
表示データ作成回路47は、映像データに基づく表示データを作成し、詳しくは、映像データが示す入力階調値に対する出力値に対して補正を実施して表示データを作成する。表示データは、出力値を画素毎に示すデータである。なお、以下では、特に断る場合を除き、表示データが示す出力値が、入力階調値と同様の数値範囲内で規定される階調値(出力階調値)であることとする。
【0048】
第1実施形態において、表示データ作成回路47が表示データを作成するために実施する補正は、通常のγ補正とは異なる補正であり、環境光の強度に応じた補正である。以下、表示データ作成回路47により実施される環境光の強度に応じた補正を、単に「補正」と呼ぶこととする。
【0049】
補正は、入力階調値に対する出力値を通常のγ補正を実施した場合の値から変更する処理であり、後述の第1階調処理及び第2階調補正を含む。表示データ作成回路47は、出力値に対して補正を実施することで、補正後の出力値を示す表示データを作成する。
【0050】
第1実施形態では、前述したように、ユーザと撮影装置10の距離が所定の距離以下である場合に、表示データに応じた表示映像がディスプレイ31を表示される。このときにディスプレイ31に表示される表示映像の明るさは、表示データが示す出力値に応じた明るさである。なお、明るさとは、表示映像の各部分での物理的な明度であり、出力値に応じて決まり、出力値が大きくなるほど明るくなる。
【0051】
[第1実施形態における映像表示フローについて]
次に、第1実施形態における映像表示フローについて説明する。映像表示フローは、ユーザが撮影装置10を用いて撮影を行っている間に実行される。第1実施形態における映像表示フローでは、本発明の第1実施形態に係る表示方法により、撮影中の被写体の映像(ライブビュー画像)を表示映像としてディスプレイ31に表示することができる。
【0052】
第1実施形態における映像表示フローは、図4に示すように、取得工程S001、光検出工程S002、判定工程S003、作成工程S004及び表示工程S005を含み、これらの工程がプロセッサ40によって順に実施される。
【0053】
取得工程S001では、環境光の下での撮影によって映像データを取得し、詳しくは、映像作成部44が、撮影中に撮像素子20から随時出力される映像信号に基づいて、映像データを取得する。
【0054】
光検出工程S002では、撮影中に、センサ34又は撮像素子20を構成するイメージセンサ等(以下、光検出用のセンサという)により、環境光の強度を検出する。
【0055】
判定工程S003では、光検出用のセンサによって検出された環境光の強度と二つの閾値(第1閾値及び第2閾値)との大小関係を判定する。具体的には、環境光の強度が第1閾値以上であるか、又は、環境光の強度が第2閾値以下であるかを判定する。第1閾値及び第2閾値の各々は、作成工程S004において補正を実施すべきか否かの判断基準としての値であり、ディスプレイ31の明るさに応じて決められる。ディスプレイ31の明るさとは、ディスプレイ31の機器仕様として定められた明るさ(具体的には、定格出力)、又はディスプレイ31の利用条件として予めユーザによって設定された明るさである。
なお、第1閾値は、例えば、ディスプレイ31の明るさを超える明るさに相当する値であり、第2閾値は、例えば、ディスプレイ31の明るさに比べて十分に低い明るさに相当する値である。
【0056】
作成工程S004では、映像データに基づいて表示データを作成する。
表示工程S005では、作成された表示データに応じた表示映像をディスプレイ31に表示する。第1実施形態では、ユーザと撮影装置10の距離が所定の距離以下である場合に、表示工程S005が実施され、表示映像がディスプレイ31に表示される。これにより、ユーザと撮影装置10との距離に応じて、効率よく、ディスプレイ31に映像を表示させることができる。
【0057】
上記一連の工程S001~S005は、撮影中、繰り返し実行される。そして、表示工程S005の実行中にユーザがレリーズボタン25を押すと、その時点での映像を示す映像データが、制御処理部42によって内部メモリ50又はメモリカード52等の記憶装置に記憶される。
【0058】
作成工程S004の手順について図5を参照しながら詳細に説明する。
作成工程S004では、図5に示すように、S001にて取得された映像データが示す入力階調値に対する出力値を決定する。
環境光の強度が通常の範囲内である場合には、入力階調値に対してγ補正を実施した値が出力値となる。なお、第1実施形態では、入力階調値と出力値とが図6のような線形関係となるようにγ補正が実施される。
【0059】
第1実施形態では、環境光の強度と閾値との大小関係に応じて、補正を出力値に対して実施し、環境光の強度に応じた表示データを作成する。具体的に説明すると、環境光の強度が第1閾値以上である場合には(S021)、ディスプレイ31に表示される表示映像の明るさが第1基準映像の明るさよりも明るくなる条件にて表示データを作成する(作成工程を実施する)。また、環境光の強度が第2閾値以下である場合には(S024)、ディスプレイ31に表示される表示映像の明るさが第2基準映像の明るさよりも暗くなる条件にて表示データを作成する(作成工程を実施する)。
【0060】
ここで、第1基準映像及び第2基準映像は、それぞれ、強度が第2閾値超で且つ第1閾値未満である環境光の下での撮影により取得される映像データに基づく表示映像である。つまり、第1基準映像及び第2基準映像は、環境光の強度が通常の範囲内である場合に取得される映像データに基づく映像であり、詳しくは、その映像データに基づいて作成される表示データに応じてディスプレイ31に表示される映像である。なお、第1基準映像と第2基準映像は、同じ明るさの映像であってもよく、明るさが互いに異なる映像であってもよい。
【0061】
環境光の強度が第1閾値以上である場合、又は、第2閾値以下である場合、作成工程S004では補正を実施し(S023、S026)、補正後の出力値を示す表示データを作成する(S028)。
【0062】
一方、環境光の強度が第2閾値超で且つ第1閾値未満である場合には、補正が実施されない出力値(つまり、γ補正のみが実施された出力値)を示す未補正表示データが作成される(S027)。なお、ステップS027で作成される未補正表示データに応じてディスプレイ31に表示される映像は、前述した第1基準映像及び第2基準映像として利用することができる。
【0063】
第1実施形態において、補正は、ディスプレイ31に表示する表示映像に対する補正であり、取得工程S001における映像データに対する補正ではない。よって、メモリカード52、及び、内部メモリ50のような記憶装置に記憶される映像データに対して、第1実施形態における補正は反映されない。
【0064】
第1実施形態における補正は、第1階調補正及び第2階調補正を含む。第1階調補正は、環境光の強度が第1閾値以上である場合に実施され、図7に示すように、第1階調部分の入力階調値に対する出力値を、γ補正後の出力値よりも上げる補正である。第1階調部分は、撮影時の画角中、入力階調値が第1基準値以下となる部分、すなわち低階調の部分(暗部)である。第1基準値(図7中の値Va)は、入力階調値を規定する数値範囲(例えば、0~255)における中間値の1/3から1/4に相当する数値に設定されている。
【0065】
第1階調補正によれば、第1階調部分の出力値が図7中、破線上の値から実線上の値まで補正され、γ補正後の値より高い階調値となる。つまり、第1階調補正が実施された後の第1階調部分の明るさは、補正が実施されない場合の表示映像、すなわち第1基準映像の明るさよりも明るく見える。
【0066】
第1階調補正により、例えば、明るい環境光の下で撮影中にユーザがファインダ30内を覗き込んだ場合に、ユーザの目が暗順応するまでの間、第1階調部分をより見え易くすることができる。すなわち、ディスプレイ31に表示される表示映像中、γ補正後の出力値が一定値(図7中の値Ga)を下回るために見え難くなる部分、具体的には図7中、記号t1にて示す部分が第1階調補正によって見え易くなる。この効果は、逆光時等のように外光が強くなるために表示映像中の第1階調部分が見え難くなる場合に、特に有効である。
【0067】
また、第1実施形態では、環境光の強度が第1閾値以上である場合に、画角中の第1階調部分が予め決められた広さ以上であるか、具体的には、第1階調部分を構成する画素数が所定数以上であるか否かを判定する(S022)。
そして、第1階調部分が予め決められた広さ以上である場合に第1階調補正を実施し、補正後の出力値を示す表示データを作成する。このようにすれば、補正の効果が有効に発揮される場合に第1階調補正を実施し、反対に、第1階調部分が小さすぎて補正の効果が十分に得られない場合には、第1階調補正の実施を省略することができる。
【0068】
また、第1階調補正での補正量は、ユーザにとっての視認性を向上させる観点から、図7に示すように、第1階調部分の入力階調値と第1基準値Vaとの差が大きくなるほど大きくなるように設定するのが望ましい。つまり、第1階調部分の入力階調値が低くなるほど、その入力階調値に対する出力値を補正する際の補正量を大きくするとよい。
【0069】
ただし、第1階調部分中、入力階調値が下限値付近となる領域については、補正量を大きくすると、実際の映像では暗く見える領域であるにも拘わらず、ディスプレイ31に表示される映像では明るく見えてしまう。その結果、表示映像中の明暗差(コントラスト)が実際の映像と乖離してしまう。このため、実際の映像とのバランスを考慮し、入力階調値が下限値付近となる領域では、図7に示すように、入力階調値が低くなるにつれて第1階調補正の補正量を徐々に小さくするとよい。
なお、これに限定されず、図8に示すように、入力階調値が下限値付近となる領域を含む第1階調部分全域に亘って、入力階調値と第1基準値Vaとの差が大きくなるほど補正量を大きくしてもよい。
【0070】
第2階調補正は、環境光の強度が第2閾値以下である場合に実施され、図9に示すように、第2階調部分の入力階調値に対する出力値をγ補正後の出力値よりも下げる補正である。第2階調部分は、撮影時の画角中、入力階調値が第2基準値以上となる部分、すなわち高階調の部分(明部)である。第2基準値(図9中の値Vb)は、入力階調値を規定する数値範囲(例えば、0~255)における中間値の2/3から3/4に相当する数値に設定されている。
【0071】
第2階調補正によれば、第2階調部分の出力値が図9中、破線上の値から実線上の値まで補正され、γ補正後の値よりも低い階調値となる。つまり、第2階調補正が実施された後の第2階調部分の明るさは、補正が実施されない場合の表示映像、すなわち第2基準映像の明るさよりも暗く見える。これにより、例えば、暗い環境光の下で撮影中にユーザがファインダ30内を覗き込んだ場合に、ユーザの目が明順応するまでの間、第2階調部分をより見え易くすることができる。つまり、ディスプレイ31に表示される表示映像中、γ補正後の出力値が一定値(図9中、記号Gbにて示す値)を超えるために見え難くなる部分、具体的には図9中、記号t2にて示す部分が第2階調補正によって見え易くなる。
【0072】
また、第1実施形態では、環境光の強度が第2閾値以下である場合に、画角中の第2階調部分が予め決められた広さ以上であるか、具体的には第2階調部分を構成する画素数が所定数以上であるか否かを判定する(S025)。そして、第2階調部分が予め決められた広さ以上である場合には第2階調補正を実施し、補正後の出力値を示す表示データを作成する。このようにすれば、補正の効果が有効に発揮される場合に第2階調補正を実施し、反対に、第2階調部分が小さすぎて補正の効果が十分に得られない場合には、第2階調補正の実施を省略することができる。
【0073】
また、第2階調補正での補正量は、ユーザにとっての視認性を向上させる観点から、図9に示すように、第2階調部分の入力階調値と第2基準値Vbとの差が大きくなるほど大きくなるように設定するのが望ましい。つまり、第2階調部分の入力階調値が高くなるほど、その入力階調値に対する出力値を補正する際の補正量を大きくするとよい。
【0074】
ただし、第1階調補正の場合と同様、実際の映像とのバランスを考慮し、第2階調部分中、入力階調値が上限値付近となる領域では、図9に示すように、入力階調値が高くなるにつれて第2階調補正の補正量を徐々に小さくするとよい。
なお、これに限定されず、図10に示すように、入力階調値が上限値付近となる領域を含む第2階調部分全域に亘って、入力階調値と第2基準値Vbとの差が大きくなるほど補正量を大きくしてもよい。
【0075】
第1実施形態における映像表示フローについて、図11~13を参照しながら改めて説明する。図11~13は、ディスプレイ31に表示される表示映像の例を示し、各図が示す映像は、同一の被写体を撮影した映像である。図11が示す表示映像は、撮影光の強度が通常の範囲内である場合に撮影された映像であり、第1基準映像及び第2基準映像に相当する。また、各図が示す映像には、それぞれ第1階調部分及び第2階調部分が存在する。例えば、各図において、建物の屋根の裏側に位置する部分、及び、建物内部の奥側に位置する部分が第1階調部分(図12にて破線に囲まれた部分)に該当し、建物の脇に位置する雲が第2階調部分(図13にて破線に囲まれた部分)に該当する。
【0076】
環境光の強度が通常の範囲内である場合、ディスプレイ31には、未補正表示データに応じて図11に示す表示映像、すなわち、γ補正後の出力値に応じた明るさの表示映像(第1基準映像又は第2基準映像)が表示される。
【0077】
一方、環境光の強度が第1閾値以上である場合(以下、明環境という)に、仮にγ補正後の出力値を示す表示データ、すなわち未補正表示データを作成し、未補正表示データに応じた表示映像をディスプレイ31に表示させたとする。この場合においてユーザがファインダ30内を覗き込むと、表示映像中の第1階調部分(暗部)が見え難くなる。これは、明環境の下でファインダ30内を覗き込むと、その直後ではユーザの瞳孔が閉じており、ユーザの目が暗順応するまで第1階調部分が識別し難いからである。
【0078】
そのため、明環境の下では、ディスプレイ31に表示される表示映像の明るさを、第1基準映像の明るさよりも明るくする。具体的には、作成工程において、γ補正後の出力値に対して補正(詳しくは、第1階調補正)を実施し、補正後の出力値を示す表示データを作成する。その後、表示工程にて、補正後の出力値を示す表示データに応じた表示映像、つまり第1階調部分がより高階調となった表示映像をディスプレイ31に表示する。この結果、図12に示すように、表示映像中の第1階調部分(図12中、破線にて囲まれた部分)の明るさが第1基準映像中の第1階調部分の明るさよりも明るくなり、ユーザにとって第1階調部分が見え易くなる。
【0079】
また、環境光の強度が第2閾値以下である場合(以下、暗環境という)に、仮にγ補正後の出力値を示す未補正表示データを作成し、未補正表示データに応じた表示映像をディスプレイ31に表示させたとする。この場合においてユーザがファインダ30内を覗き込むと、表示映像中の第2階調部分(明部)が見え難くなる。これは、暗環境の下でファインダ30内を覗き込むと、その直後ではユーザの瞳孔が開いており、ユーザの目が明順応するまで第2階調部分が識別し難いからである。
【0080】
そのため、暗環境の下では、ディスプレイ31に表示される表示映像の明るさを、第2基準映像の明るさよりも暗くする。具体的には、作成工程において、γ補正後の階調値に対して補正(詳しくは、第2階調補正)を実施し、補正後の出力値を示す表示データを作成する。その後、表示工程にて、補正後の出力値を示す表示データに応じた表示映像、つまり第2階調部分がより低階調となった表示映像をディスプレイ31に表示する。この結果、図13に示すように、表示映像中の第2階調部分(図13中、破線にて囲まれている部分)の明るさが第2基準映像中の第2階調部分の明るさよりも暗くなり、ユーザにとって第2階調部分が見え易くなる。
【0081】
作成工程にて補正を実施する際の補正量(つまり、出力値に対する補正量)については、ファインダ30内に漏れ込む光の量に応じて変更すると好適である。ファインダ30内に光が多く入り込むと、ディスプレイ31の視認性が低下するからである。具体的には、補正に際して、ユーザとファインダ30との距離を測距センサ等によって測定し、あるいは、ファインダ30内の明るさを測光センサ等によって測定する。これらの測定結果は、ファインダ30内への光の漏れ込み量を決めるパラメータであるので、当該パラメータに応じて補正量を設定するとよい。これにより、ファインダ30内への光の漏れ込み量を考慮しつつ、ディスプレイ31に表示される表示映像(特に、第1階調部分及び第2階調部分)の明るさを、より見え易くなるように調整することができる。
なお、上記のパラメータと補正量との対応関係は、予め数式化して変換式として記憶し、あるいは変換用テーブルの形式でデータとして記憶しておき、補正実施時に参照できるようにしておくとよい。
【0082】
さらに、環境光の強度、厳密には、光検出用のセンサによって検出された強度に応じて補正量を変更させてもよい。具体的に説明すると、図14に示すように、環境光の強度と第1閾値との差が大きくなるほど、第1階調補正での補正量を大きくしてもよい。図14は、ある出力値に対して第1階調補正を実施する際の補正量を、環境光の強度に応じて変える場合の補正量と光の強度との対応関係を示す図である。
同様に、図15に示すように、環境光の強度と第2閾値との差が大きくなるほど、第2階調補正での補正量を大きくしてもよい。図15は、ある出力値に対して第2階調補正を実施する際の補正量を、環境光の強度に応じて変える場合の補正量と光の強度との対応関係を示す図である。
【0083】
さらにまた、ユーザが補正の実施前に補正量を予め設定してもよい。具体的には、ユーザが操作ユニット24等を通じて設定操作(例えば、補正量を入力する操作等)を行い、プロセッサ40の映像作成部44が、補正量を上記の設定操作に応じて設定してもよい。出力値に対して補正を行う際の補正量は、撮影シーン及び被写体等に応じて決められるのが一般的であるが、ユーザが表示映像中の一部分(例えば、第1階調部分及び第2階調部分)をより明瞭に見ることを求める場合がある。反対に、ユーザが表示映像の見え方をこだわらない場合もあり得る。このような場合に、補正量をユーザの設定操作に応じて設定することができれば、第1階調部分及び第2階調部分の明るさをユーザの好みに応じて調整することができ、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0084】
また、第1実施形態では、ユーザがファインダ30の利用を開始すると、プロセッサ40がその利用時間を計時する。ファインダ30の利用とは、ユーザがファインダ30内のディスプレイ31を覗くことであり、利用時間は、ユーザがディスプレイ31内の覗き込みを開始してからの経過時間である。また、利用時間は、ディスプレイ31の表示映像の表示時間でもよいし、他の方法で計測される時間でもよい。利用時間に対しては、予め設定時間が設定されており、例えば、ユーザの目が暗順応又は明順応するのに必要な所要時間が設定時間として設定される。
【0085】
また、第1実施形態において、明環境又は暗環境である場合には、図5に示すように、利用時間が設定時間に達しているか否かを判断する(S029)。そして、利用時間が設定時間に達しているか否かに応じて、作成工程にて作成する表示データを変更し、換言すると、表示工程にてディスプレイ31に表示される表示映像の明るさを変える。
【0086】
具体的には、利用時間が設定時間に達する前には、作成工程にて、出力値に対して補正(具体的には、第1階調補正又は第2階調補正)を実施し、補正後の出力値を示す表示データを作成する。そして、表示工程では、補正後の出力値を示す表示データに応じた表示映像をディスプレイ31に表示する。
一方、利用時間が設定時間に達した後には、作成工程にて、補正が実施されない出力値(すなわち、γ補正後の出力値)を示す未補正表示データを作成する(S031)。そして、表示工程では、未補正表示データに応じた表示映像をディスプレイ31に表示する。これは、利用時間が設定時間に達した時点ではユーザの目が暗順応又は明順応し、それ以降は、もはやディスプレイ31に表示される表示映像(特に、第1階調部分及び第2階調部分)の明るさを変える必要がないからである。
【0087】
また、映像の視認性を考慮して、利用時間が設定時間に達した後には、図16及び17に示すように、出力値に対する補正量を利用時間に応じて徐々に減少させながら、補正後の出力値を示す表示データを作成してもよい。この場合、その後の表示工程では、ディスプレイ31に表示される表示映像(特に、第1階調部分及び第2階調部分)の明るさが徐々に変化し、利用時間が長くなるにつれて未補正状態の明るさに近付く。最終的に、作成工程では、補正量が0である表示データ、つまり未補正表示データが作成され、表示工程では、未補正表示データに応じた表示映像、つまりγ補正後の出力値に応じた明るさの表示映像がディスプレイ31に表示される。
【0088】
また、上記の構成とは異なる構成として、例えば、明環境又は暗環境である場合に、作成工程にて、補正を実施して補正後の出力値を示す表示データを作成するとともに、未補正表示データを作成してもよい。そして、表示工程では、図18のように、補正後の出力値を示す表示データに応じた表示映像(図中、記号M1にて表記)と、未補正表示データに応じた表示映像(図中、記号M2にて表記)とをディスプレイ31に一緒に(同時に)表示してもよい。この場合、ユーザは、補正によって見え易くなった表示映像と、未補正の表示映像(つまり、記憶させる映像データを反映した映像)とをディスプレイ31にて同時に見ることができる。この結果、ユーザは、映像データが正常なデータであること(いわゆる白飛び及び黒潰れが発生していないこと)を確認することができる。この場合、ユーザが、補正後の表示データ又は未補正表示データから、暗部又は明部の階調を確認できるということは、記憶させる映像データにしっかりと階調が残っていることを意味する。
【0089】
また、上記の構成では、ディスプレイ31に表示される表示映像の明るさを変える上で、出力値として、表示データが示す階調値(出力階調値)を変更することとしたが、これ以外にも考えられる。例えば、出力値として、ディスプレイ31が備えるバックライトの輝度、すなわち物理的な輝度を表す出力値(以下、出力輝度という)を変更してもよい。この場合、制御処理部42は、表示データが示す出力階調値から出力輝度を算出し、算出された出力輝度に基づいてバックライトの輝度を画素毎に制御する。
【0090】
出力輝度は、環境光の強度に応じて変更され、例えば、環境光の強度が第1閾値以上である場合には、出力輝度が図19中、破線上の値から実線上の値へ変更され、γ補正のみを実施した場合よりも高い輝度となる。これにより、明環境では、ディスプレイ31に表示される表示映像のうち、γ補正のみでは出力輝度が一定値(図19中の値Ka)を下回るために見え難くなる部分、つまり、第1階調部分が見え易くなる。
【0091】
また、環境光の強度が第2閾値以下である場合には、出力輝度が図20中、破線ライン上の値から実線ライン上の値へ変更され、γ補正のみを実施した場合よりも低い輝度となる。これにより、暗環境では、ディスプレイ31に表示される表示映像のうち、γ補正のみでは出力輝度が一定値(図20中の値Kb)を超えるために見え難くなる部分、つまり第2階調部分が見え易くなる。
【0092】
なお、ディスプレイ31が液晶ディスプレイ等によって構成される場合には、液晶分子による光(偏光面)の回転度合いを変更することで、ディスプレイ31に表示される表示映像の明るさを変えてもよい。
【0093】
また、第1実施形態では、明環境及び暗環境のそれぞれにおいて補正を実施することとしたが、明環境又は暗環境のいずれか一方のみにおいて補正を実施してもよい。つまり、環境光の強度が第1閾値以上である場合にのみ、作成工程にて出力値を補正して補正後の出力値を示す表示データを作成してもよい。あるいは、環境光の強度が第2閾値以下である場合にのみ、作成工程にて出力値を補正して補正後の出力値を示す表示データを作成してもよい。
【0094】
<<第2実施形態>>
第1実施形態では、環境光の強度に応じて補正(詳しくは、γ補正後の出力値に対する追加的な補正)を実施して表示データを作成する。ただし、第1実施形態において、表示データの元となる映像データは、補正せずに、そのままの内容で記憶装置に記憶させる。
一方で、映像データを補正する形態、つまり、映像データが示す階調値(入力階調値)を補正する形態も考えられる。この形態を第2実施形態と呼び、以下、第2実施形態について説明する。
【0095】
なお、以下では、第2実施形態のうち、第1実施形態と異なる事項を主として説明し、第2実施形態の機器構成のうち、第1実施形態と共通する機器については、第1実施形態と同様の符号を付することとする。また、以下の説明において、「映像データを補正する」とは、映像データが示す階調値を補正することを意味する。
【0096】
[第2実施形態における撮影装置の構成]
第2実施形態では、第1実施形態と同様、撮影装置10を表示装置として用いる。第2実施形態に係る撮影装置10は、概ね第1実施形態に係る撮影装置10と共通するが、プロセッサ40の機能が第1実施形態とは異なる。
【0097】
第2実施形態では、プロセッサ40の制御処理部42が、ディスプレイ31に所定の表示映像を表示するに際して、ファインダ30の利用をユーザに対して催促する。ここで、ファインダ30の利用を催促するとは、例えば、撮影中にファインダ30の利用をユーザに促すメッセージ等を背面ディスプレイ22に表示することである。ただし、これに限定されず、例えば、表示映像の表示先を背面ディスプレイ22からディスプレイ31に切り替え、背面ディスプレイ22での映像表示を強制的に終了させることでファインダ30の利用をユーザに促してもよい。
【0098】
第2実施形態では、プロセッサ40の映像作成部44が、図21に示すように、A/D変換回路45と、第1映像データ取得回路48と、第2映像データ作成回路49とを含む。
【0099】
第1映像データ取得回路48は、A/D変換回路45によってデジタル信号に変換された映像信号に対してγ補正及びホワイトバランス補正等の画像処理を実施し、処理後の信号を所定の規格で圧縮して第1映像データを取得する。つまり、第1映像データは、第1実施形態に係る映像データと同様のデータである。
【0100】
第2映像データ作成回路49は、第1映像データに基づいて、互いに異なる階調値を示す複数の第2映像データを作成する。具体的に説明すると、第2映像データ作成回路49は、第1映像データに対して部分的な階調補正を複数実施し、より詳しくは、第1階調補正及び第2階調補正を、それぞれ異なる補正量にて実施する。これにより、互いに異なる補正量にて補正が実施された複数の第2映像データが作成される。
【0101】
作成される複数の第2映像データには、補正が実施された少なくとも1つ以上の第2映像データが含まれるが、補正量が0である(つまり、補正が実施されない)第2映像データがリファレンスデータとして含まれてもよい。
また、第2映像データの作成において、第1映像データが示す階調値の一部に対して補正を実施することに限定されず、第1映像データが示す階調値全体に対して補正を実施してもよい。その場合、複数の第2映像データの各々は、通常のγ補正とは異なる補正(具体的には、通常とは異なる形状のγカーブを用いたγ補正又はニー補正)が実施された階調値を示すことになる。
【0102】
第2実施形態において、プロセッサ40は、作成された複数の第2映像データの各々と対応する表示映像をディスプレイ31に表示させる。複数の第2映像データの各々と対応する表示映像とは、各第2映像データに対して所定の変換処理を実行して各第2映像データを表示用のデータ(表示データ)へ変換し、各変換後のデータに応じてディスプレイ31に表示される映像である。
【0103】
[第2実施形態における映像表示フローについて]
次に、第2実施形態における映像表示フローについて説明する。
第2実施形態における映像表示フローは、ユーザが撮影装置10を用いて撮影が行っている間に実行される。第2実施形態における映像表示フローでは、本発明の第2実施形態に係る表示方法により、撮影中に被写体の映像(ライブビュー画像)を表示映像としてディスプレイ31に表示する。第2実施形態における映像表示フローは、図22に示すように、取得工程S051、作成工程S052、表示工程S053、催促工程S054、選択受付工程S055及び記憶工程S056を含み、これらの工程がプロセッサ40によって実施される。
【0104】
取得工程S051では、撮影によって第1映像データを取得する。具体的には、プロセッサ40の第1映像データ取得回路48が、撮影中に撮像素子20から随時出力される映像信号から第1映像データを取得する。また、撮影中に露出条件を変更した場合、取得工程S051では、互いに露出条件を変更した複数の第1映像データ、すなわち露出条件変更前の第1映像データと、露出条件変更後の第1映像データとを取得する。
【0105】
作成工程S052では、第1映像データに基づいて、互いに異なる階調値を示す複数の第2映像データを作成する。具体的には、プロセッサ40の第2映像データ作成回路49が、第1映像データに対して、異なる補正量にて複数の補正を実施する。
【0106】
より詳しくは、第1映像データにおいて第1基準値以下である階調値に対して、補正量を変えて複数の第1階調補正を実施する。同様に、第1映像において第2基準値以上である階調値に対して、補正量を変えて複数の第2階調補正を実施する。これにより、第1階調補正を実施した第2映像データと、第2階調補正を実施した第2映像データと、を含む複数の第2映像データが作成される。
【0107】
なお、以下では、第1階調補正及び第2階調補正のそれぞれの補正量を三段階(+1、0、-1)で設定し、各段階の補正量にて上記2つの補正を実施して計9つの第2映像データを作成するケースを例に挙げて説明する。かかるケースにおいて、9つの第2映像データの中には、補正量が0である(つまり、第1階調補正及び第2階調補正がいずれも実施されない)第2映像データがリファレンスとして含まれる。
【0108】
表示工程S053では、9つの第2映像データの各々と対応する複数の表示映像(つまり、9つの表示映像)をディスプレイ31に表示する。表示工程S053では、2以上の表示映像が同時にディスプレイ31に表示され、例えば、図23に示すように9つの表示映像をマトリクス状に並べて表示する。
なお、図23では、図示の便宜上、各表示映像を簡略化して図示している。また、同図では、第1階調補正の補正量の段階が「+1」である表示映像が、上から1段目に、段階が「0」である表示映像が、上から2段目に、段階が「-1」である表示映像が上から3段目に、それぞれ配置されている。また、第2階調補正の補正量の段階が「+1」である表示映像が最も左側に、段階が「0」である表示映像が中央に、段階が「-1」である表示映像が最も右側に、それぞれ配置されている。
【0109】
また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、ユーザと撮影装置10の距離が所定の距離以下である場合に、表示映像をディスプレイ31に表示してもよい。これにより、ユーザと撮影装置10との距離に応じて、効率よく、表示映像をディスプレイ31に表示させることができる。
【0110】
催促工程S054は、9つの表示映像をディスプレイ31に表示する場合に実施される。催促工程S054では、例えば、ファインダ30の利用をユーザに催すメッセージ等を背面ディスプレイ22に表示する。これにより、ファインダ30内を覗き込んでディスプレイ31を見るようにユーザを適切に誘導することができる。そして、ユーザは、ディスプレイ31に表示された9つの表示映像を対比することができる。このとき、9つの表示映像の中に、補正量が0である第2映像データと対応する表示映像がリファレンス映像として含まれる場合には、リファレンス映像とそれ以外の表示映像とを対比することができる。
【0111】
なお、図22に示すフローでは、表示工程S053の後で催促工程S054が実施されるが、これに限定されず、催促工程が表示工程の前に実施されてもよく、あるいは、催促工程と表示工程とが一緒に実施されてもよい。
【0112】
選択受付工程S055では、9つの表示映像がディスプレイ31に表示されている間にユーザが操作ユニット24を通じて行う選択操作を受け付ける。選択操作において、ユーザは、9つの表示映像の中から一つの映像、例えば、第1階調部分及び第2階調部分が明瞭に映っていて最も見え易い映像を選択し、選択ボタン26等を通じて選択結果を入力する。
【0113】
記憶工程S056では、受け付けた選択操作に基づき、9つの表示映像の中からユーザによって選択された表示映像と対応する第2映像データを特定し、その第2映像データを内部メモリ50又はメモリカード52等に記憶させる。
【0114】
以上のように第2実施形態では、互いに異なる補正量にて補正が実施された複数の第2映像データの各々と対応する表示映像(具体的には、9つの表示映像)をディスプレイ31に表示し、ユーザにファインダ30の利用を促す。これにより、ユーザは、ディスプレイ31に表示された複数の表示映像を対比し、例えば、どの補正によって映像が最も明瞭になるか(言い換えれば、各補正の効果)を把握することができる。
【0115】
仮に9つの表示映像を背面ディスプレイ22に表示した場合、その時点での環境光の強度が適切でないと(例えば、外光が強すぎると)、ユーザが各表示映像の明瞭さ、つまり補正の効果を正しく把握することができない虞がある。
これに対して、第2実施形態では、9つの表示映像をファインダ30内のディスプレイ31に表示するので、環境光が各表示映像に及ぼす影響を排除することができる。これにより、ユーザは、各表示映像を適切に確認することができるので、記憶させる第2映像データを正しく選択することができる。
【0116】
なお、外光が強すぎる等、環境光の強度が高い状況でユーザがファインダ30内を覗くと、目が暗順応するまで、ディスプレイ31の表示映像が見え難くなる。このことを考慮し、ユーザがファインダ30を覗き込んでから一定時間が経過した後に表示映像をディスプレイ31に表示させるのがよい。あるいは、第1実施形態のように、ディスプレイ31に表示させる表示映像の明るさを、環境光の強度に応じて調整してもよい(つまり、第2映像データが示す階調値を環境光の強度に応じて補正してもよい)。
【0117】
また、第2実施形態では、9つの表示映像のうち、ユーザによって選択された表示映像と対応する第2映像データを記憶させる。これにより、複数の第2映像データの中から、ユーザの意志を反映して、記憶させる第2映像データを決めることができるので、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0118】
また、前述したように、第2実施形態の取得工程S051では、互いに露出条件が異なる複数の第1映像データを取得する場合がある。この場合、表示工程S053にて、9つの表示映像とともに、露出条件を変更した複数の第1映像データに基づく複数の表示映像を一緒にディスプレイ31に表示してもよい。複数の第1映像データに基づく表示映像とは、露出条件の変更前後に取得した第1映像データに対して所定の変換処理を実行して表示用のデータ(表示データ)を作成し、その表示データに応じてディスプレイ31に表示される映像である。
【0119】
上記のように、第2映像データと対応する表示映像と、露出条件変更後の第1映像データに基づく表示映像とを一緒にディスプレイ31に表示することで、ユーザは、これらの表示映像を対比することができる。これにより、ユーザは、互いに異なる補正量にて行われた補正の効果と、露出条件を変更した場合の効果とを併せて確認することができる。この結果、ユーザは、映像の明瞭さを確保する上で、階調補正よりも露出条件の変更の方が効果的であるかどうかを判断することができる。
【0120】
また、第2実施形態において、表示工程にて9つの表示映像をディスプレイ31に表示させるモード(表示モード)を複数用意してもよい。
第1の表示モードは、例えば、図23に示すように9つの表示映像をマトリクス状に並べて同時に表示(一画面表示)するモードである。このモードでは、表示映像一つあたりの表示サイズが小さくなる。
【0121】
第2の表示モードは、例えば、9つの表示映像のうち、一部の表示映像をディスプレイ31に表示するモードである。このモードでの映像の表示数については、特に限定されないが、例えば、図24に示すように2つの表示映像をディスプレイ31に一緒に表示してもよい。ここで、2つの表示映像の一方を、補正が実施された第2映像データと対応する表示映像とし、他方を、補正が実施されない第2映像データと対応する表示映像(すなわち、リファレンス用の表示映像)としてもよい。
【0122】
また、第2の表示モードでは、ディスプレイ31に表示される表示映像を、ユーザの切り替え操作に応じて切り替えてもよい。例えば、切り替え操作が行われる度に、補正が実施された第2映像データと対応する表示映像が切り替わってもよく、具体的には、図24に示すように、直前の表示映像とは補正量が異なる表示映像に切り替わるとよい。
【0123】
第3の表示モードは、例えば、9つの表示映像のうち、第1補正が実施された第2映像データと対応する表示映像と、第2補正が実施された第2映像データと対応する表示映像とを別々にディスプレイ31に表示するモードである。ここで、第1階調補正及び第2階調補正の一方が第1補正に該当し、他方が第2補正に該当する。
【0124】
第3の表示モードにて表示映像を表示する場合の流れについて、図25を参照しながら説明する。以下では、第2階調補正が第1補正であり、第1階調補正が第2補正であるケースを想定して説明することとする。ただし、以下に説明する内容は、第1階調補正が第1補正であり、第2階調補正が第2補正である場合にも適用され得る。
【0125】
第3の表示モードでは、作成工程が第1作成工程S062と第2作成工程S066とを含む。また、第3の表示モードでは、表示工程が第1表示工程S063と第2表示工程S067とを含み、選択受付工程が第1選択受付工程S065と第2選択受付工程S068とを含む。
【0126】
第3の表示モードでは、取得工程S061が実施された後に、第1作成工程S062が実施される。第1作成工程S062では、互いに異なる補正量にて複数の第1補正を第1映像データに対して実施し、2以上の第2A映像データを作成する。具体的には、三段階の補正量(例えば、暗部に対する+2、+1、-1の補正量)にて第1補正を実施し、3つの第2A映像データを作成する。第2A映像データは、第2映像データに属するデータである。
【0127】
その後、第1表示工程S063が実施され、その工程では、3つの第2A映像データの各々と対応する3つの表示映像をディスプレイ31に表示する。第1表示工程S063にて表示される表示映像は、第1補正により階調値が補正された映像、例えば、第1階調部分の明度が変更された映像を含む。このとき、補正が実施されないリファレンス用の表示映像を表示してもよい。
【0128】
第1表示工程S063の実施中あるいは実施前には催促工程S064が実施され、ユーザは、催促工程S064を契機としてファインダ30を利用する。その後、第1選択受付工程S065が実施され、ユーザがディスプレイ31に表示された2以上の表示映像の中から一つを選択すると、プロセッサ40が、その選択結果を受け付ける。
ちなみに、第1選択受付工程S065は、第1表示工程S063の実施中に実施されるため、第1選択受付工程S065にて選択された表示映像は、第1表示工程S063にて選択された表示映像に相当する。
【0129】
第1選択受付工程S065の実施後には、第2作成工程S066が実施される。第2作成工程S066では、第1選択受付工程S065にて受け付けた選択結果に基づき、2以上の第2B映像データを作成する。具体的には、第1映像データに対して、ユーザによって選択された補正量にて第1補正を実施し、且つ、三段階の補正量(例えば、明部に対する+2、+1、-1の補正量)にて第2補正を実施することで、3つの第2B映像データを作成する。ここで、ユーザによって選択された補正量とは、第1表示工程S063にて選択された表示映像と対応する第2A映像データを作成する際に実施された第1補正の補正量である。
なお、第2B映像データは、第2映像データに属するデータである。
【0130】
第2作成工程S066の実施後には、第2表示工程S067が実施され、その工程では、3つの第2B映像データの各々と対応する3つの表示映像をディスプレイ31に表示する。第2表示工程S067にて表示される表示映像は、第1補正及び第2補正により階調値が補正された映像、詳しくは、第1階調部分及び第2階調部分の各々の明度が変更された映像を含む。このとき、補正が実施されないリファレンス用の表示映像を表示してもよい。
【0131】
第2表示工程S067の実施中には第2選択受付工程S068が実施され、ユーザがディスプレイ31に表示された2以上の表示映像の中から一つを選択すると、プロセッサ40が、その選択結果を受け付ける。
ちなみに、第2選択受付工程S068は、第2表示工程S067の実施中に実施されるため、第2選択受付工程S068にて選択された表示映像は、第2表示工程S067にて選択された表示映像に相当する。
【0132】
第2選択受付工程S068の実施後にユーザがレリーズボタン25を押されると、記憶工程S069が実施される。記憶工程S069では、第2表示工程S067にて選択された表示映像と対応する第2B映像データを内部メモリ50又はメモリカード52等に記憶させる。つまり、記憶工程S069に記憶さる映像データは、第1映像データに対し、ユーザによって選択された補正量にて第1補正及び第2補正の各々を実施することで作成される第2映像データである。
【0133】
以上のように第3の表示モードでは、先ず、補正量が異なる第1補正を第1映像データに対して実施して複数の第2A映像データを作成する。そして、各第2A映像データと対応する表示映像をディスプレイ31に表示し、その中の一つをユーザに選択させる。その後、第1映像データに対して第1補正及び第2補正を実施して複数の第2B映像データを作成する。そして、各第2B映像データと対応する表示映像をディスプレイ31に表示し、その中の一つをユーザに選択させる。このように補正の種類を変えて表示映像を段階的にディスプレイ31に表示することで、ディスプレイ31の画面に一度に表示する映像数をより少なくし、表示映像の視認性が向上する。また、補正の種類を変えて表示映像を段階的に表示することで、ユーザは、補正の種類毎に表示映像を段階的に選択することができるので、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0134】
第3の表示モードにおいて、第2選択受付工程S068の実施後にレリーズボタン25が押されると、記憶工程S069にて、第2表示工程S067の実施中に選択された表示映像と対応する第2B映像データを記憶させる。
一方で、例えば、第1選択受付工程S065の実施後から第2選択受付工程S068の実施前までの期間にレリーズボタン25が押された場合には、その時点で記憶工程が実施されてもよい。この場合の記憶工程では、例えば、第1選択受付工程S065にて選択された表示映像と対応する第2A映像データを記憶させるとよい。
【0135】
第4の表示モードは、例えば、図23に示すように9つの表示映像のそれぞれにおける差異部分を拡大してディスプレイ31に表示するモードである。差異部分とは、各表示映像において、9つの第2映像データの間で互いに階調値が異なる部分であり、分かり易くは、例えば、第1階調補正が実施された第1階調部分、及び、第2階調補正が実施された第2階調部分が該当する。
【0136】
第4の表示モードでは、各表示映像のうち、第2映像データの間で互いに階調値が相違する部分(すなわち、差異部分)の視認性が向上する。この結果、ユーザは、拡大表示された差異部分を見ることで、当該差異部分の階調値に対して実施された補正の効果を適切に把握することができる。
【0137】
なお、表示映像の中で拡大表示される差異部分は、ユーザによって指定された部分であると、ユーザにとっての利便性が向上するので好ましい。ユーザによる差異部分の指定は、表示工程S053の実施中又は実施前に選択ボタン26又はタッチパネル27等を通じて行われるとよい。さらに、ユーザは、一つの表示映像の中で差異部分を複数指定することができてもよく、その場合には、複数指定された差異部分の各々をディスプレイ31に表示してもよい。
【0138】
以上までに4つの表示モードを説明したが、上記のモード以外の表示モードがさらに含まれてもよい。また、第2実施形態における映像表示フローでは、上述した4つの表示モードのうちのいずれかを採用してもよく、あるいは、2つ以上のモードを組み合わせて用いてもよい。2つ以上の表示モードを組み合わせる場合には、利用する表示モードを適宜変更することができると好ましい。例えば、前述した第1の表示モードと第2の表示モードとを組み合わせて利用する場合、第1の表示モードにて表示映像をディスプレイ31に表示している間にユーザが所定のモード切り替え操作を行うことで、表示モードが第2の表示モードに切り替わってもよい。すなわち、ディスプレイ31の状態を、9つの表示映像をマトリクス状に並べて表示した状態から、2つの表示映像を表示した状態へと移行してもよい。
【0139】
<<その他の実施形態>>
以上までに説明してきた実施形態は、本発明の表示方法及び表示装置を分かり易く説明するために挙げた具体例であり、あくまでも一例に過ぎず、その他の実施形態も考えられる。
上記の実施形態では、本発明の表示装置を構成する撮影装置の一例として、EVF付きのデジタルカメラを挙げたが、本発明の表示装置は、EVF付きの他の撮影装置(例えば、ビデオカメラ及びスマートフォン等)でもよい。
【0140】
また、上記の実施形態では、撮影装置本体(撮影装置10のうち、ファインダ30以外の部分)に備えられたプロセッサ40が補正の実施、詳しくは、補正後の出力値を示す映像データ及び表示データの作成を行うこととした。ただし、これに限定されず、例えば、ファインダ30内に設けられた補正用回路(プロセッサの一例に相当)が、撮影装置本体のプロセッサ40とは別に設けられてもよい。この場合、上記の補正用回路が、補正後の出力値を示す映像データ及び表示データを作成し、作成したデータに応じた映像をディスプレイ31に表示させてもよい。
【0141】
また、上記の実施形態では、映像データを記憶する記憶装置が撮影装置10内に設けられていることとした。ただし、これに限定されず、例えば、撮影装置10と通信可能に接続された外部の端末又はサーバコンピュータ等を記憶装置とし、その記憶装置に映像データを記憶させてもよい。
【符号の説明】
【0142】
10 撮影装置
12 撮像レンズ
14 接続部
16 絞り
18 シャッタ
20 撮像素子
22 背面ディスプレイ
24 操作ユニット
25 レリーズボタン
26 選択ボタン
27 タッチパネル
30 ファインダ
31 ディスプレイ
32 観察光学系
33 接眼枠
34 センサ
40 プロセッサ
42 制御処理部
44 映像作成部
45 A/D変換回路
46 映像データ取得回路
47 表示データ作成回路
48 第1映像データ取得回路
49 第2映像データ作成回路
50 内部メモリ
52 メモリカード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26