(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055658
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】反応性接着剤、積層フィルム、及び包装材
(51)【国際特許分類】
C09J 175/04 20060101AFI20220401BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220401BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20220401BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20220401BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J11/06
C09J7/30
B65D65/40 D
B32B27/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020163208
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】徳永 千勇
(72)【発明者】
【氏名】手島 常行
(72)【発明者】
【氏名】廣田 安信
(72)【発明者】
【氏名】永田 寛知
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
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4J040MB02
4J040MB03
4J040NA06
(57)【要約】
【課題】ポリオレフィンフィルムのみで構成した積層フレキシブルフィルムに適用でき、且つリサイクルプラスチックの黄変等が低減できる、イソシアネート化合物とポリオール化合物との反応による熱硬化型の反応性接着剤を提供する。
【解決手段】ポリイソシアネート化合物(A1)を含むポリイソシアネート組成物(A)と、ポリオール(B1)を含むポリオール組成物(B)とを含有する反応性接着剤であって、酸化防止剤を反応性接着剤全固形分に対し0.1~5.0質量%含有する反応性接着剤、それを使用した積層フィルム、及び包装体。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート化合物(A1)を含むポリイソシアネート組成物(A)と、ポリオール(B1)を含むポリオール組成物(B)とを含有する反応性接着剤であって、酸化防止剤を反応性接着剤全固形分に対し0.1~5.0質量%含有することを特徴とする反応性接着剤。
【請求項2】
前記酸化防止剤が、リン系酸化防止剤又はビンダードフェノール系酸化防止剤である請求項1に記載の反応性接着剤。
【請求項3】
前記反応性接着剤の芳香族環濃度が、反応性接着剤全固形分に対し0~35.0質量%の範囲である請求項1又は2に記載の反応性接着剤。
【請求項4】
複数のオレフィン系樹脂からなる基材フィルムを反応性接着剤でラミネート接着した積層フィルムであって、前記反応性接着剤が請求項1~3のいずれかに記載の反応性接着剤であることを特徴とする積層フィルム。
【請求項5】
請求項4に記載の積層フィルムからなる包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクルプラスチックに適した積層フィルム用の反応性接着剤、それを使用した積層フィルム及び包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プラスチックごみの分別回収しているリサイクル率は、世界全体でみると製造されたプラスチックの9%である。ゴミとなった91%のプラスチックのうち、焼却処分されたものは12%であり、79%は埋め立て処分されたか、もしくは環境中に漏れ出ている(非特許文献1)。リサイクルされたプラスチック製品は、コストの観点から同じ製品に戻ることは難しく、基本的にはリサイクルするたびに劣化するため、品質が低下した製品に生まれ変わらざるを得ない。
【0003】
リサイクルプラスチックの品質が低下する理由としては、ごみとなる、現在流通するプラスチック製品の多くが、複数の異なる構造の高分子化合物(樹脂、ポリマーと称されることもある)を使用して構成されていることや、プラスチックに不純物が混在し着色してしまうことがあげられる。特に食品や飲料等に使用される包装材料は、流通、冷蔵等の耐久耐候性、加熱殺菌などの処理等から内容物を保護するための機能、長期保存性(ガスバリア性)を備えるなど多機能な材料が多くあるが、これは、各々の機能を有する様々な原材料を組み合わせてこれらの多くの機能性を付与している。逆にいえば、これらの多機能性を備えるために、リサイクルプラスチックの品質は低下してしまう。
【0004】
包装材料の機能性をできる限り落とさずに、リサイクルプラスチックの品質を高める方法として、「包装材料をできるだけ単一種の原材料で構成する」という動き(モノマテリアル化と称されることがある)があり、主原料であるプラスチックの材料として、例えばポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルムのみで構成しこれらを複数層積層した積層フィルム(モノマテリアルフィルムと称されることがある)を包装材料として使用する提案が始まっている。(例えば特許文献1参照)
【0005】
積層フィルムを積層する方法として、特許文献1の段落0070にあるような、各層が共押出成形により形成したものの他に、各々のフィルムを接着剤で接着して積層フィルムを得る方法もある。特にイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応による熱硬化型の反応性接着剤を用いて積層させた積層フィルムは、反応後の接着剤層が架橋しているためにラミネート接着力が強く、例えばレトルト耐性等を必要とするレトルト食品包装材として利用されている(例えば特許文献2参照)。しかしながら、イソシアネート化合物とポリオール化合物との反応による熱硬化型の反応性接着剤をポリオレフィンフィルムのみで構成した積層フレキシブルフィルムは、リサイクルプラスチックが時として黄変することがあった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Science Advances 19 Jul 2017:Vol. 3, no. 7, e1700782
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-55176号公報
【特許文献2】特開2001-335771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、ポリオレフィンフィルムのみで構成した積層フレキシブルフィルムに適用でき、且つリサイクルプラスチックの黄変等が低減できる、イソシアネート化合物とポリオール化合物との反応による熱硬化型の反応性接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち本発明は、ポリイソシアネート化合物(A1)を含むポリイソシアネート組成物(A)と、ポリオール(B1)を含むポリオール組成物(B)とを含有する反応性接着剤であって、酸化防止剤を反応性接着剤全固形分に対し0.1~5.0質量%含有する反応性接着剤を提供する。
【0010】
また本発明は、複数のオレフィン系樹脂からなる基材フィルムを反応性接着剤でラミネート接着した積層フィルムであって、前記反応性接着剤が前記記載の反応性接着剤である積層フィルムを提供する。
【0011】
また本発明は、前記記載の積層フィルムからなる包装材を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の反応性接着剤は、特定量の酸化防止剤を含有するので、ポリオレフィンフィルムのみで構成した積層フレキシブルフィルムに適用でき、且つリサイクルプラスチックの黄変等が低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(ポリイソシアネート組成物(A))
ポリイソシアネート組成物(A)は、ポリイソシアネート化合物(A1)を含む。ポリイソシアネート化合物(A1)は特に制限なく公知のものを用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の分子構造内に芳香族構造を持つポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO基と略す場合がある)の一部をカルボジイミドで変性した化合物;
【0014】
イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-(イソシアナートメチル)シクロヘキサン等の分子構造内に脂環式構造を持つポリイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の直鎖状脂肪族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートのNCO基の一部をカルボジイミドで変性した化合物;これらポリイソシアネートのイソシアヌレート体;これらポリイソシアネートのアロファネート体;これらポリイソシアネートのビゥレット体;これらのポリイソシアネートをトリメチロールプロパン変性したアダクト体;これらポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物であるポリウレタンポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0015】
ポリイソシアネート化合物(A1)としてポリウレタンポリイソシアネートを用いる場合、接着剤塗膜の凝集力と柔軟性のバランスの点から、上述したポリイソシアネートとポリオールとを、イソシアネート基と水酸基との当量比[NCO]/[OH]が0.5~5.0となる割合で反応させて得られるものが好ましい。
【0016】
ポリウレタンポリイソシアネートの反応成分であるポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の鎖状脂肪族グリコール;
【0017】
1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能又は4官能の脂肪族アルコール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等のビスフェノール;ダイマージオール;
【0018】
前記グリコール、3官能又は4官能の脂肪族アルコール等の重合開始剤の存在下にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のアルキレンオキシドを付加重合したポリエーテルポリオール;
【0019】
プロピオラクトン、ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、σ-バレロラクトン、β-メチル-σ-バレロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステルと、前記グリコール又は3官能若しくは4官能の脂肪族アルコールとの反応物であるポリエステルポリオール(1);
前記鎖状脂肪族グリコール、脂環式グリコール、ダイマージオール、ビスフェノール又は前記ポリエーテルポリオール等のポリオールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(2);
【0020】
前記3官能又は4官能の脂肪族アルコールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(3);
2官能型ポリオールと、前記3官能又は4官能の脂肪族アルコールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(4);
ジメチロールプロピオン酸、ヒマシ油脂肪酸等のヒドロキシル酸の重合体である、ポリエステルポリオール(5);
【0021】
前記ポリエステルポリオール(1)、(2)、(3)、(4)、(5)とポリエーテルポリオールとの混合物;
ヒマシ油、ヒマシ油の水素添加物であるヒマシ硬化油、ヒマシ油のアルキレンオキサイド5~50モル付加体等のヒマシ油系ポリオール等が挙げられ、単独または複数を組み合わせて用いることができる。
また、ポリエステルポリオール(2)~(5)の反応成分である多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;及びこれら脂肪族又はジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体、ダイマー酸等の多塩基酸類が挙げられる。
【0022】
ポリイソシアネート化合物(A1)としては、分子構造内に芳香族構造を持つポリイソシアネート、分子構造内に芳香族構造を持つポリイソシアネートのNCO基の一部をカルボジイミドで変性した化合物、分子構造内に脂環式構造を持つポリイソシアネートのいずれかのイソシアヌレート体、アロファネート体、ビゥレット体、アダクト体が好ましく、トリレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、アロファネート体、ビゥレット体、アダクト体が好ましい。
【0023】
(ポリオール組成物(B))
本発明において使用するポリオール組成物(B)は、主成分としてポリオール化合物(B1)を含有する組成物である。ポリオール化合物(B1)は単独で使用しても複数を混合して使用することもできる。
具体的には、前記ポリイソシアネート化合物(A1)としてポリウレタンポリイソシアネートを用いる場合の反応成分として例示した各種ポリオールを使用することができる。
例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の鎖状脂肪族グリコール;
【0024】
1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール;
グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能又は4官能の脂肪族アルコール;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等のビスフェノール;
ダイマージオール;
【0025】
前記グリコール、3官能又は4官能の脂肪族アルコール等の重合開始剤の存在下にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のアルキレンオキシドを付加重合したポリエーテルポリオール;
【0026】
プロピオラクトン、ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、σ-バレロラクトン、β-メチル-σ-バレロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステルと、前記グリコール又は3官能若しくは4官能の脂肪族アルコールとの反応物であるポリエステルポリオール(1);
前記鎖状脂肪族グリコール、脂環式グリコール、ダイマージオール、ビスフェノール又は前記ポリエーテルポリオール等のポリオールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(2);
【0027】
前記3官能又は4官能の脂肪族アルコールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(3);
2官能型ポリオールと、前記3官能又は4官能の脂肪族アルコールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(4);
ジメチロールプロピオン酸、ヒマシ油脂肪酸等のヒドロキシル酸の重合体である、ポリエステルポリオール(5);
【0028】
前記ポリエステルポリオール(1)、(2)、(3)、(4)、(5)とポリエーテルポリオールとの混合物;
ヒマシ油、ヒマシ油の水素添加物であるヒマシ硬化油、ヒマシ油のアルキレンオキサイド5~50モル付加体等のヒマシ油系ポリオール等が挙げられ、単独または複数を組み合わせて用いることができる。
また、ポリエステルポリオール(2)~(5)の反応成分である多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;及びこれら脂肪族又はジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体、ダイマー酸等の多塩基酸類が挙げられる。
【0029】
(酸化防止剤)
本発明の反応性接着剤は、酸化防止剤を含有する。酸化防止剤として特に、リン系酸化防止剤又はビンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト(城北化学工業株式会社、JP-360)、トリスノニルフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリオレイルホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラ(C12~C15アルキル)-4,4‘-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルホスファイト等が挙げられる。ビンダードフェノール系酸化防止剤としては例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジーtert-ブチルー4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(BASFジャパン株式会社、Irganox1010)、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジーtert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジーtert-ブチル-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ベンジル酢酸3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-C7-C9分岐アルキルエステル等が挙げられる。
リン系酸化防止剤の添加量は、0.1~1.0質量%が最も好ましく、ビンダードフェノール系酸化防止剤の添加量は0.1~5.0質量%が最も好ましい。リン系酸化防止剤又はビンダードフェノール系酸化防止剤は、単独で使用してもよく、併用してもよい。
【0030】
(芳香族環濃度)
本発明の反応性接着剤は、芳香族環を含有しない反応性接着剤、すなわち、芳香族環濃度0質量%のもののみを用いれば得られたリサイクルプラスチックの黄変等を低減することができ、好適である。耐熱性等を要求される場合、芳香族環を有する反応性接着剤を配合する必要もあるが、その場合は35.0質量%以下であることが好ましい。35質量%を超えると急激に黄変等の影響を受け易くなってしまう。ここで芳香族環濃度とは、(Y)の計算式により得られる数値である。
【0031】
【0032】
式(Y)中の記号は次の通りである。
X :反応性接着剤中の芳香族環濃度(質量%)
L:P中の芳香族イソシアネート含有量
M:P中のポリエステルポリオールを構成する芳香族多価アルコールと芳香族多価カルボン酸の含有量
N:Q中の芳香族イソシアネート含有量
O:Q中のポリエステルポリオールを構成する芳香族多価アルコールと芳香族多価カルボン酸の含有量
P:ポリイソシアネート化合物(A1)を含むポリイソシアネート組成物(A)
Q:ポリオール(B1)を含むポリオール組成物(B)
【0033】
(接着剤のその他の成分)
本発明の反応性接着剤は、上述の成分以外の成分を含んでいてもよい。これらの成分はポリイソシアネート組成物(A)またはポリオール組成物(B)のいずれかまたは両方に含まれていてもよいし、これらとは別に調整しておき、接着剤の塗工直前にポリイソシアネート組成物(A)、ポリオール組成物(B)とともに混合して用いてもよい。以下では各成分について説明する。
【0034】
(有機溶剤)
本発明の反応性接着剤は、溶剤型又は無溶剤型のいずれの形態であってもよい。本発明でいう「溶剤型」の接着剤とは、接着剤を基材に塗工した後に、オーブン等で加熱して塗膜中の有機溶剤を揮発させた後に他の基材と貼り合せる方法、いわゆるドライラミネート法に用いられる形態をいう。ポリイソシアネート組成物(A)、ポリオール組成物(B)のいずれか一方、もしくは両方が本発明で使用するポリイソシアネート組成物(A)の構成成分、ポリオール組成物(B)の構成成分を溶解(希釈)することが可能な有機溶剤を含む。
【0035】
有機溶剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド等が挙げられる。ポリイソシアネート組成物(A)またはポリオール組成物(B)の構成成分の製造時に反応媒体として使用された有機溶剤が、更に塗装時に希釈剤として使用される場合もある。
【0036】
本明細書において「無溶剤型」の接着剤とは、ポリイソシアネート組成物(A)及びポリオール組成物(B)が上述したような溶解性の高い有機溶剤、特に酢酸エチル又はメチルエチルケトンを実質的に含まず、接着剤を基材に塗工した後に、オーブン等で加熱して溶剤を揮発させる工程を経ずに他の基材と貼り合せる方法、いわゆるノンソルベントラミネート法に用いられる接着剤の形態を指す。ポリイソシアネート組成物(A)またはポリオール組成物(B)の構成成分や、その原料の製造時に反応媒体として使用された有機溶剤が除去しきれずに、ポリイソシアネート組成物(A)やポリオール組成物(B)中に微量の有機溶剤が残留してしまっている場合は、有機溶剤を実質的に含まないと解される。また、ポリイソシアネート組成物(A)が低分子量アルコールを含む場合、低分子量アルコールはポリオール組成物(B)と反応して塗膜の一部となるため、塗工後に揮発させる必要はない。従ってこのような形態も無溶剤型接着剤として扱い、低分子量アルコールは有機溶剤とはみなされない。
【0037】
(触媒)
本発明の反応性接着剤は必要に応じて触媒を使用することにより硬化反応を促進することができる。触媒としては、ポリイソシアネート組成物(A)とポリオール組成物(B)のウレタン化反応を促進するものであれば特に制限されず、金属系触媒、アミン系触媒、脂肪族環状アミド化合物、チタンキレート錯体等が例示される。
【0038】
金属系触媒としては、金属錯体系、無機金属系、有機金属系の触媒が挙げられる。金属錯体系の触媒としては、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、Zr(ジルコニウム)、Th(トリウム)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)、Co(コバルト)からなる群より選ばれる金属のアセチルアセトナート塩、例えば鉄アセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、ジルコニアアセチルアセトネート等が例示される。毒性と触媒活性の点から、鉄アセチルアセトネート(Fe(acac)3)またはマンガンアセチルアセトネート(Mn(acac)2)が好ましい。
【0039】
無機金属系の触媒としては、Sn、Fe、Mn、Cu、Zr、Th、Ti、Al、Co等から選ばれるものが挙げられる。
【0040】
有機金属系触媒としては、オクチル酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛等の有機亜鉛化合物、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジクロライド等の有機錫化合物、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル等の有機ニッケル化合物、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト等の有機コバルト化合物、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等の有機ビスマス化合物、テトライソプロピルオキシチタネート、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン系化合物等が挙げられる。
【0041】
アミン系触媒としては、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、キヌクリジン、2-メチルキヌクリジン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3-キヌクリジノール、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N-ジメチルヘキサノールアミン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0042】
脂肪族環状アミド化合物は、例えば、δ-バレロラクタム、ε-カプロラクタム、ω-エナントールラクタム、η-カプリルラクタム、β-プロピオラクタム等が挙げられる。これらの中でもε-カプロラクタムが硬化促進により効果的である。
【0043】
チタンキレート錯体は、紫外線照射により触媒活性が高められる化合物であり、脂肪族又は芳香族ジケトンをリガンドとするチタンキレート錯体であることが硬化促進効果に優れる点から好ましい。又、本発明ではリガンドとして芳香族又は脂肪族ジケトンに加え、炭素原子数2~10のアルコールを持つものがより本発明の効果が顕著なものとなる点から好ましい。
【0044】
これらの触媒は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。触媒の配合量は、ポリイソシアネート組成物(A)とポリオール組成物(B)の固形分総量100質量部に対して0.001~3質量部とすることが好ましく、0.01~2質量部とすることがより好ましい。
【0045】
(顔料)
本発明の反応性接着剤は、必要に応じて顔料を含んでいてもよい。用いられる顔料としては特に制限はなく、塗料原料便覧1970年度版(日本塗料工業会編)に記載されている体質顔料、白顔料、黒顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、緑色顔料、青顔料、金属粉顔料、発光顔料、真珠色顔料等の有機顔料や無機顔料、さらにはプラスチック顔料などが挙げられる。
【0046】
体質顔料としては、例えば、沈降性硫酸バリウム、ご粉、沈降炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、寒水石、アルミナ白、シリカ、含水微粉シリカ(ホワイトカーボン)、超微粉無水シリカ(アエロジル)、珪砂(シリカサンド)、タルク、沈降性炭酸マグネシウム、ベントナイト、クレー、カオリン、黄土などが挙げられる。
【0047】
有機顔料の具体例としては、ベンチジンエロー、ハンザエロー、レーキッド4R等の、各種の不溶性アゾ顔料;レーキッドC、カーミン6B、ボルドー10等の溶性アゾ顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の各種(銅)フタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の各種の塩素性染め付けレーキ;キノリンレーキ、ファストスカイブルー等の各種の媒染染料系顔料;アンスラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料等の各種の建染染料系顔料;シンカシアレッドB等の各種のキナクリドン系顔料;ヂオキサジンバイオレット等の各種のヂオキサジン系顔料;クロモフタール等の各種の縮合アゾ顔料;アニリンブラックなどが挙げられる。
【0048】
無機顔料としては、黄鉛、ジンククロメート、モリブデートオレンジ等の如き、各種のクロム酸塩;紺青等の各種のフェロシアン化合物;酸化チタン、亜鉛華、マピコエロー、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロームグリーン、酸化ジルコニウム等の各種の金属酸化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化水銀等の各種の硫化物ないしはセレン化物;硫酸バリウム、硫酸鉛等の各種の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、群青等の各種のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種の炭酸塩;コバルトバイオレット、マンガン紫等の各種の燐酸塩;アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、ブロンズ粉、真鍮粉等の各種の金属粉末顔料;これら金属のフレーク顔料、マイカ・フレーク顔料;金属酸化物を被覆した形のマイカ・フレーク顔料、雲母状酸化鉄顔料等のメタリック顔料やパール顔料;黒鉛、カーボンブラック等が挙げられる。
【0049】
プラスチック顔料としては、例えば、DIC(株)製「グランドールPP-1000」、「PP-2000S」等が挙げられる。
【0050】
用いる顔料については目的に応じて適宜選択すればよいが、例えば耐久性、対候性、意匠性に優れることから白色顔料としては酸化チタン、亜鉛華等の無機酸化物を用いることが好ましく、黒色顔料としてはカーボンブラックを用いることが好ましい。
【0051】
顔料の配合量は、一例としてポリイソシアネート組成物(A)とポリオール組成物(B)の固形分総量100質量部に対して1~400質量部であり、接着性をより良好なものとするため10~300質量部とすることがより好ましい。
【0052】
(接着促進剤)
本発明の反応性接着剤は、接着促進剤を含んでいてもよい。接着促進剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等のカップリング剤、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0053】
シランカップリング剤としては、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;ヘキサメチルジシラザン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0054】
チタネート系カップリング剤としては、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、ブチルチタネートダイマー、テトラステアリルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンラクテート、テトラオクチレングリコールチタネート、チタンラクテート、テトラステアロキシチタン等が挙げられる。
【0055】
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
【0056】
エポキシ樹脂としては、一般的に市販されているエピビス型、ノボラック型、βーメチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、ポリグリコールエーテル型、グリコールエーテル型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、レゾルシン型等の各種エポキシ樹脂や、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アクリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、p-t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等の化合物等が挙げられる。
【0057】
(その他の添加剤)
本発明の反応性接着剤は、上述した成分以外に、レベリング剤、コロイド状シリカやアルミナゾルなどの無機微粒子、ポリメチルメタクリレート系の有機微粒子、消泡剤、タレ性防止剤、湿潤分散剤、粘性調整剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、過酸化物分解剤、難燃剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防錆剤、蛍光性増白剤、無機系熱線吸収剤、防炎剤、帯電防止剤、脱水剤、公知慣用の熱可塑性エラストマー、粘着付与剤、燐酸化合物、メラミン樹脂、反応性エラストマー等を含んでいてもよい。これらの添加剤の配合量は、本発明の反応性接着剤の希望を損なわない範囲で適宜調整される。
【0058】
(積層フィルム)
本発明の反応性接着剤は、特に、複数のオレフィン系樹脂からなる基材フィルムを反応性接着剤でラミネート接着させて得る積層フィルム用の反応性接着剤として有用である。この構成の積層フィルムにおいて、特にリサイクルプラスチックの黄変低下という本発明の効果を最大限に発揮できる。
【0059】
オレフィン系樹脂とは、具体的には、ポリエチレンフィルム(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム等が挙げられるがこれに限定されるものではない。また該フィルムの原料であるエチレンやプロピレンは、石油由来であってもバイオ原料由来であってもよく特に限定はなく市場に流通するオレフィン系樹脂フィルムであれば使用することができる。これらのフィルムは、ドライラミネート法またはノンソルベントラミネート法にて貼り合わせて得られる。
【0060】
フィルムは延伸処理を施されたものであってもよい。延伸処理方法としては、押出製膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸あるいは逐次二軸延伸を行うことが一版的である。また逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的には、ロール間の速度差を利用した縦延伸とテンターを用いた横延伸を組み合わせる方法が多く用いられる。
【0061】
より具体的な積層フィルムの構成としては、
(1)基材フィルム1/接着層1/シーラントフィルム
(2)基材フィルム1/接着層1/未延伸フィルム
(3)基材フィルム1/接着層1/延伸フィルム
(4)透明蒸着延伸フィルム/接着層1/シーラントフィルム
(5)基材フィルム1/接着層1/基材フィルム2/接着層2/シーラントフィルム
(6)基材フィルム1/接着層1/延伸フィルム/接着層2/シーラントフィルム
等が挙げられるがこれに限定されない。シーラントフィルム、未延伸フィルム、延伸フィルムは金属蒸着、透明蒸着等が施されていてもよい。
【0062】
構成(1)に用いられる基材フィルム1としては、OPPフィルムが挙げられる。また、基材フィルム1としてガスバリア性や、後述する印刷層を設ける際のインキ受容性の向上等を目的としたコーティングが施されたものを用いてもよい。コーティングが施された基材フィルム1の市販品としては、K-OPPフィルムが挙げられる。接着層1は、本発明の反応性接着剤の硬化塗膜である。シーラントフィルムとしては、CPPフィルム、LLDPEフィルム等が挙げられる。基材フィルム1の接着層1側の面(基材フィルム1としてコーティングが施されたものを用いる場合には、コーティング層の接着層1側の面)に、印刷層を設けてもよい。印刷層は、グラビアインキ、フレキソインキ、オフセットインキ、孔版インキ、インクジェットインク等各種印刷インキにより、従来ポリマーフィルムへの印刷に用いられてきた一般的な印刷方法で形成される。
【0063】
構成(2)、(3)に用いられる基材フィルム1としては、OPPフィルムが挙げられる。接着層1は、本発明の反応性接着剤の硬化塗膜である。未延伸フィルムとしては、CPPフィルムが挙げられるが、アルミニウム等の蒸着を施したVM-CPPフィルムを用いることもできる。延伸フィルムとしては、OPPフィルムが挙げられるが、アルミニウム等の蒸着を施したVM-OPPフィルムを用いることもできる。構成(1)と同様にして、基材フィルム1の接着層1側の面に印刷層を設けてもよい。
【0064】
構成(4)に用いられる透明蒸着延伸フィルムとしては、OPPフィルムにシリカやアルミナ蒸着を施したフィルムが挙げられる。シリカやアルミナの無機蒸着層の保護等を目的として、蒸着層上にコーティングが施されたフィルムを用いてもよい。接着層1は、本発明の反応性接着剤の硬化塗膜である。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。透明蒸着延伸フィルムの接着層1側の面(無機蒸着層上にコーティングが施されたものを用いる場合には、コーティング層の接着層1側の面)に印刷層を設けてもよい。印刷層の形成方法は構成(1)と同様である。
【0065】
構成(5)に用いられる基材フィルム1としては、OPPフィルム等が挙げられる。基材フィルム2としては、OPPフィルム等が挙げられる。接着層1、接着層2は本発明の反応性接着剤の硬化塗膜である。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。構成(1)と同様にして、基材フィルム1の接着層1側の面に印刷層を設けてもよい。
【0066】
構成(6)の基材フィルム1としては、構成(2)、(3)と同様のものが挙げられる。延伸フィルムとしては、OPPフィルムが挙げられるが、アルミニウム等の金属蒸着を施したVM-OPPフィルムやシリカやアルミナ等を蒸着したフィルムが挙げられる。接着層1、接着層2の少なくとも一方は本発明の反応性接着剤の硬化塗膜である。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。構成(1)と同様にして、基材フィルム1の接着層1側の面に印刷層を設けてもよい。
【0067】
また、勿論前記オレフィンフィルム以外の汎用のフィルムにも本発明の反応性接着剤は適用可能である。例えば、食品包装用としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。
【0068】
あるいは、アルミニウム等の金属、シリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したフィルム、ポリビニルアルコールやエチレン・ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン等のガスバリア層を含有するバリア性フィルムを併用してもよい。このようなフィルムを用いることで、水蒸気、酸素、アルコール、不活性ガス、揮発性有機物(香り)等に対するバリア性を備えた積層フィルムとすることができる。
【0069】
より具体的な積層フィルムの構成としては、
(1)基材フィルム1/接着層1/シーラントフィルム
(2)基材フィルム1/接着層1/金属蒸着未延伸フィルム
(3)基材フィルム1/接着層1/金属蒸着延伸フィルム
(4)透明蒸着延伸フィルム/接着層1/シーラントフィルム
(5)基材フィルム1/接着層1/基材フィルム2/接着層2/シーラントフィルム
(6)基材フィルム1/接着層1/金属蒸着延伸フィルム/接着層2/シーラントフィルム
(7)基材フィルム1/接着層1/透明蒸着延伸フィルム/接着層2/シーラントフィルム
(8)基材フィルム1/接着層1/金属層/接着層2/シーラントフィルム
(9)基材フィルム1/接着層1/基材フィルム2/接着層2/金属層/接着層3/シーラントフィルム
(10)基材フィルム1/接着層1/金属層/接着層2/基材フィルム2/接着層3/シーラントフィルム
等が挙げられるがこれに限定されない。
【0070】
構成(1)に用いられる基材フィルム1としては、OPPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルム(以後Nyフィルムともいう)等が挙げられる。また、基材フィルム1としてガスバリア性や、後述する印刷層を設ける際のインキ受容性の向上等を目的としたコーティングが施されたものを用いてもよい。コーティングが施された基材フィルム1の市販品としては、K-OPPフィルムやK-PETフィルム等が挙げられる。接着層1は、本発明の反応性接着剤の硬化塗膜である。シーラントフィルムとしては、CPPフィルム、LLDPEフィルム等が挙げられる。基材フィルム1の接着層1側の面(基材フィルム1としてコーティングが施されたものを用いる場合には、コーティング層の接着層1側の面)に、印刷層を設けてもよい。印刷層は、グラビアインキ、フレキソインキ、オフセットインキ、孔版インキ、インクジェットインク等各種印刷インキにより、従来ポリマーフィルムへの印刷に用いられてきた一般的な印刷方法で形成される。
【0071】
構成(2)、(3)に用いられる基材フィルム1としては、OPPフィルムやPETフィルム等が挙げられる。接着層1は、本発明の反応性接着剤の硬化塗膜である。金属蒸着未延伸フィルムとしては、CPPフィルムにアルミニウム等の金属蒸着を施したVM-CPPフィルムを、金属蒸着延伸フィルムとしては、OPPフィルムにアルミニウム等の金属蒸着を施したVM-OPPフィルムを用いることができる。構成(1)と同様にして、基材フィルム1の接着層1側の面に印刷層を設けてもよい。
【0072】
構成(4)に用いられる透明蒸着延伸フィルムとしては、OPPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルム等にシリカやアルミナ蒸着を施したフィルムが挙げられる。シリカやアルミナの無機蒸着層の保護等を目的として、蒸着層上にコーティングが施されたフィルムを用いてもよい。接着層1は、本発明の反応性接着剤の硬化塗膜である。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。透明蒸着延伸フィルムの接着層1側の面(無機蒸着層上にコーティングが施されたものを用いる場合には、コーティング層の接着層1側の面)に印刷層を設けてもよい。印刷層の形成方法は構成(1)と同様である。
【0073】
構成(5)に用いられる基材フィルム1としては、PETフィルム等が挙げられる。基材フィルム2としては、ナイロンフィルム等が挙げられる。接着層1、接着層2の少なくとも一方は本発明の反応性接着剤の硬化塗膜である。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。構成(1)と同様にして、基材フィルム1の接着層1側の面に印刷層を設けてもよい。
【0074】
構成(6)の基材フィルム1としては、構成(2)、(3)と同様のものが挙げられる。金属蒸着延伸フィルムとしては、OPPフィルムやPETフィルムにアルミニウム等の金属蒸着を施したVM-OPPフィルムやVM-PETフィルムが挙げられる。接着層1、接着層2の少なくとも一方は本発明の反応性接着剤の硬化塗膜である。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。構成(1)と同様にして、基材フィルム1の接着層1側の面に印刷層を設けてもよい。
【0075】
構成(7)の基材フィルム1としては、PETフィルム等が挙げられる。透明蒸着延伸フィルムとしては、構成(4)と同様のものが挙げられる。接着層1、2の少なくとも一方は本発明の反応性接着剤の硬化塗膜である。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。構成(1)と同様にして、基材フィルム1の接着層1側の面に印刷層を設けてもよい。
【0076】
構成(8)の基材フィルム1としては、PETフィルム等が挙げられる。金属層としては、アルミニウム箔等が挙げられる。接着層1、2の少なくとも一方は本発明の反応性接着剤の硬化塗膜である。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。構成(1)と同様にして、基材フィルム1の接着層1側の面に印刷層を設けてもよい。
【0077】
構成(9)、(10)の基材フィルム1としては、PETフィルム等が挙げられる。基材フィルム2としては、ナイロンフィルム等が挙げられる。金属層としては、アルミニウム箔等が挙げられる。接着層1、2、3の少なくとも一層は本発明の反応性接着剤の硬化塗膜である。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。構成(1)と同様にして、基材フィルム1の接着層1側の面に印刷層を設けてもよい。
【0078】
本発明の積層フィルムが、金属蒸着フィルム、透明蒸着フィルム、金属層の少なくとも一つを含む場合、金属蒸着層、透明蒸着層、金属層に接する接着層は、本発明の反応性接着剤の硬化塗膜であることが好ましい。
【0079】
本発明の反応性接着剤が溶剤型である場合、基材となるフィルム材料に本発明の反応性接着剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布し、オーブン等での加熱により有機溶剤を揮発させた後、他方の基材を貼り合せて本発明の積層フィルムを得る。ラミネート後に、エージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は室温~80℃、エージング時間は12~240時間が好ましい。
【0080】
本発明の反応性接着剤が無溶剤型である場合、基材となるフィルム材料に予め40℃~100℃程度に加熱しておいた本発明の反応性接着剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布した後、直ちに他方の基材を貼り合せて本発明の積層フィルムを得る。ラミネート後に、エージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は室温~70℃、エージング時間は6~240時間が好ましい。
【0081】
本発明の反応性接着剤を接着補助剤として用いる場合、基材となるフィルム材料に本発明の接着補助剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布し、オーブン等での加熱により有機溶剤を揮発させた後、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることにより本発明の積層フィルムを得る。
【0082】
接着剤の塗布量は、適宜調整する。溶剤型接着剤の場合、一例として固形分量が1g/m2以上10g/m2以下、好ましくは2g/m2以上5g/m2以下となるよう調整する。無溶剤型接着剤の場合、接着剤の塗布量が一例として1g/m2以上5g/m2以下、好ましくは1g/m2以上3g/m2以下である。
【0083】
本発明の反応性接着剤を接着補助剤として用いる場合、塗布量は一例として0.1g/m2以上2g/m2以下(固形分)である。
【0084】
本発明の積層フィルムは、上述した構成(1)~(10)に加えて、更に他のフィルムや基材を含んでいてもよい。他の基材としては、上述した延伸フィルム、未延伸フィルム、透明蒸着フィルムに加え、後述の紙、木材、皮革等の多孔質の基材を使用することもできる。これらはリサイクル工程における溶融混錬時に異物としてメッシュフィルターにより除去することが可能であるため、異種プラスチックの分離よりも容易である。他の基材を貼り合せる際に用いる接着剤は、本発明の反応性接着剤であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0085】
紙としては、特に限定なく公知の紙基材を使用することができる。具体的には、木材パルプ等の製紙用天然繊維を用いて公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。製紙用天然繊維としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、亜麻パルプ等の非木材パルプ、およびそれらのパルプに化学変性を施したパルプ等が挙げられる。パルプの種類としては、硫酸塩蒸解法、酸性・中性・アルカリ性亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用することができる。
【0086】
また、市販の各種上質紙やコート紙、裏打ち紙、含浸紙、ボール紙や板紙などを用いることもできる。また紙層の外表面または内面側には、必要に応じて印刷層を設けてもよい。
【0087】
「他の層」は、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、易接着コート剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。また「他の層」は、その他の材料と積層する場合の密着性を向上させるために、前処理としてフィルムの表面をコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理などしたものであってもよい。
【0088】
本発明の積層フィルムは、様々な用途、例えば食品や医薬品、生活用品の包装材料や、蓋材、紙ストローや紙ナプキン、紙スプーン、紙皿、紙コップ等の紙製食器、防壁材、屋根材、太陽電池パネル材、電池用包装材、窓材、屋外フローリング材、照明保護材、自動車部材、看板、ステッカー等の屋外産業用途、射出成形同時加飾方法等に使用する加飾用シート、洗濯用液体洗剤、台所用液体洗剤、浴用液体洗剤、浴用液体石鹸、液体シャンプー、液体コンディショナー等包装材料等として、好適に使用することができる。
【0089】
<包装材>
本発明の積層フィルムは、食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装材料として使用することができる。多層包装材料として使用する場合には、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。また、本発明の包装体に易開封処理や再封性手段を適宜設けてあってもよい。
【0090】
本発明の包装材は、本発明の積層フィルムを使用し、積層フィルムのシーラントフィルムの面を対向して重ね合わせた後、その周辺端部をヒートシールして袋状にして得られる。製袋方法としては、本発明の積層フィルムを折り曲げるか、あるいは重ねあわせてその内層の面(シーラントフィルムの面)を対向させ、その周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他のヒートシール型等の形態によりヒートシールする方法が挙げられる。本発明の包装材は内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。自立性包装材(スタンディングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
【0091】
本発明の包装材に、その開口部から内容物を充填した後、開口部をヒートシールして本発明の包装材を使用した製品が製造される。充填される内容物として、例えば食品としては、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、パン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、漬物、煮豆、納豆、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、こんにゃく、山菜加工品、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コンビーフ類などの畜産加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子などの水産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼなどの果肉類、コーン、アスパラガス、マッシュルーム、玉ねぎ、人参、大根、じゃがいもなどの野菜類、ハンバーグ、ミートボール、水産フライ、ギョーザ、コロッケなどを代表とする冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、バター、マーガリン、チーズ、クリーム、インスタントクリーミーパウダー、育児用調整粉乳などの乳製品、液体調味料、レトルトカレー、ペットフードなどの食品類が挙げられる。
【0092】
また非食品としては、タバコ、使い捨てカイロ、輸液パック等の医薬品、洗濯用液体洗剤、台所用液体洗剤、浴用液体洗剤、浴用液体石鹸、液体シャンプー、液体コンディショナー、化粧水や乳液等の化粧品、真空断熱材、電池等、様々な包装材料としても使用され得る。
【0093】
(リサイクルプラスチック)
前記積層フィルムにおいて、特に、複数のオレフィン系樹脂からなる基材フィルムを本発明の反応性接着剤でラミネート接着した積層フィルムは、黄変の少ないリサイクルプラスチックとして再利用可能である。
ここで、積層フィルムをリサイクルプラスチックとする加工方法の一例を示す。もちろん本発明においてはこの限りではなく各種公知のリサイクルプラスチック加工方法を適用することが可能である。
【0094】
積層フィルムを、破砕機等で破砕する。破砕機は公知の粉砕機を使用すればよく特に限定はない。
粉砕した後のフィルム片は、溶融混練、溶媒キャストブレンド、ラテックスブレンド、ポリマーコンプレックス等で物理にブレンドする。特に溶融混練法が一般的である。混練するための装置としては、タンブラ、ヘンシェルミキサ、ロータリーミキサ、スーパーミキサ、リボンタンブラ、Vブレンダ等が挙げられる。このような混練装置によって溶融混練した上で、ペレット化する。溶融混練ペレット化には単軸、または多軸押出機を用いるのが一般的で、更にこれら押出機以外に、バンバリーミキサ、ローラ、コ・ニーダ、ブラストミル、プラベンダーブラウトグラフ等を用いることもでき、これらは回分的、または連続的に運転される。また、溶融混練はせずに、成形用樹脂として使用し成形機加熱筒内で溶融混練する方法でもよい。
【実施例0095】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
【0096】
(ポリイソシアネートの調整)
(ポリイソシアネートA1)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管を備えたフラスコに、デスモジュールN3200(ヘキサメチレンジイソシアネートビウレット構造体、COVESTRO社製) 90部、酢酸エチル10部を仕込み、不揮発分90質量%溶液を調整した。そのイソシアネート(以後NCOと称する場合がある)含有率は20.7質量%である。
【0097】
(ポリイソシアネートA2)
デスモジュールL-75(トリメチロールプロパン1モルに対してトリレンジイソシアネートが3モル付加したアダクト型ポリイソシアネート、住化コベストロウレタン株式会社製)を酢酸エチル溶液で不揮発分75質量%に調整した。そのNCO含有率は13.3質量%である。
【0098】
(ポリイソシアネートA3)
スミジュールN3300(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート構造体、住化コベストロウレタン株式会社製)を使用した。そのNCO含有率は21.8質量%である。
【0099】
(ポリオールの合成)
(ポリオールB1)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管等を備えたポリエステル反応容器に、イソフタル酸800部、セバシン酸700部、エチレングリコール150部、ネオペンチルグリコール700部を仕込み、内温250℃にてエステル反応を行った。脱水反応後、酸価1mgKOH/gの中間体ポリエステルポリオールを得た。これを酢酸エチルで溶解希釈し、不揮発分60質量%溶液とした。さらに、この得られた中間体ポリエステルポリオール固形分100部に対し、イソホロンジイソシアネート4部を加え、80℃に加熱して遊離のNCO基が実質的になくなるまでウレタン化反応を行って、水酸基価7のポリエステルウレタンポリオールを得た。このポリエステルポリウレタンポリオールの数平均分子量約9000であった。
得られたこのポリエステルポリウレタンポリオール固形分100部に対し、リン系酸化防止剤0.5部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤2.5部を添加し、酢酸エチルで希釈調整して、不揮発分60質量%溶液とした。この時、リン系酸化防止剤は、城北化学工業株式会社製のJP-360を使用し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、BASFジャパン株式会社のIrganoxI1010を使用した。
【0100】
(ポリオールB2)
B1で示した製法に従って同じ原料で同様のポリエステルポリウレタンポリオールを合成し、得られたポリオール固形分100部に対し、リン系酸化防止剤0.2部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.8部を添加し、酢酸エチルで希釈調整して、不揮発分60質量%溶液とした。この時、リン系酸化防止剤は、城北化学工業株式会社製のJP-360を使用し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、BASFジャパン株式会社のIrganox1010を使用した。
【0101】
(ポリオールB3)
B1で示した製法に従って同じ原料で同様のポリエステルポリウレタンポリオールを合成し、得られたポリオール固形分100部に対し、リン系酸化防止剤0.4部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.4部を添加し、酢酸エチルで希釈調整して、不揮発分60%溶液とした。この時、リン系酸化防止剤は、城北化学工業株式会社製のJP-360を使用し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、BASFジャパン株式会社のIrganox1010を使用した。
【0102】
(ポリオールB4)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管等を備えたポリエステル反応容器に、テレフタル酸130部、イソフタル酸130部、アジピン酸150部、ダイマー酸50部、エチレングリコール70部、ネオペンチルグリコール130部、1,6―ヘキサンジオール60部を仕込み、内温250℃にてエステル反応を行った。脱水反応後、酸価1mgKOH/gの中間体ポリエステルポリオールを得た。これを酢酸エチルで溶解希釈し、不揮発分60質量%溶液とした。さらに、この得られた中間体ポリエステルポリオール固形分100部に対し、イソホロンジイソシアネート4部を加え、80℃に加熱して遊離のNCO基が実質的になくなるまでウレタン化反応を行って、水酸基価7のポリエステルウレタンポリオールを得た。このポリエステルポリウレタンポリオールの数平均分子量約13000であった。
得られたこのポリエステルポリウレタンポリオール固形分100部に対し、リン系酸化防止剤0.5部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤2.5部を添加し、酢酸エチルで希釈調整して、不揮発分60%溶液とした。この時、リン系酸化防止剤は、城北化学工業株式会社製のJP-360を使用し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、BASFジャパン株式会社のIrganox1010を使用した。
【0103】
(ポリオールB5)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管等を備えたポリエステル反応容器に、アジピン酸600部、ジエチレングリコール450部、2-メチル-1,3-プロパンジオール140部、トリメチロールプロパン60部を仕込み、内温240℃にてエステル反応を行った。脱水反応後、酸価1mgKOH/g、水酸基価180のポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールの数平均分子量約600であった。
得られたこのポリエステルポリオール固形分100部に対し、リン系酸化防止剤0.5部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤2.5部を添加し、100℃にて溶解させた。この時、リン系酸化防止剤は、城北化学工業株式会社製のJP-360を使用し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、BASFジャパン株式会社のIrganox1010を使用した。
【0104】
(比較例用 ポリオールD1)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管等を備えたポリエステル反応容器に、イソフタル酸800部、セバシン酸700部、エチレングリコール150部、ネオペンチルグリコール700部を仕込み、内温250℃にてエステル反応を行った。脱水反応後、酸価1mgKOH/gの中間体ポリエステルポリオールを得た。これを酢酸エチルで溶解希釈し、不揮発分60質量%溶液とした。さらに、この得られた中間体ポリエステルポリオール固形分100部に対し、イソホロンジイソシアネート4部を加え、80℃に加熱して遊離のNCO基が実質的になくなるまでウレタン化反応を行って、水酸基価7のポリエステルウレタンポリオールを得た。このポリエステルポリウレタンポリオールの数平均分子量約9000であった。得られたこのポリエステルポリウレタンポリオールはリン系酸化防止剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤が未添加である。
【0105】
(比較例用 ポリオールD2)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管等を備えたポリエステル反応容器に、テレフタル酸130部、イソフタル酸130部、アジピン酸150部、ダイマー酸50部、エチレングリコール70部、ネオペンチルグリコール130部、1,6―ヘキサンジオール60部を仕込み、内温250℃にてエステル反応を行った。脱水反応後、酸価1mgKOH/gの中間体ポリエステルポリオールを得た。これを酢酸エチルで溶解希釈し、不揮発分60質量%溶液とした。さらに、この得られた中間体ポリエステルポリオール固形分100部に対し、イソホロンジイソシアネート4部を加え、80℃に加熱して遊離のNCO基が実質的になくなるまでウレタン化反応を行って、水酸基価7のポリエステルウレタンポリオールを得た。このポリエステルポリウレタンポリオールの数平均分子量約13000であった。得られたこのポリエステルポリウレタンポリオールはリン系酸化防止剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤が未添加である。
【0106】
(比較例用 ポリオールD3)
実施例A4と同様に、攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管等を備えたポリエステル反応容器に、テレフタル酸130部、イソフタル酸130部、アジピン酸150部、ダイマー酸50部、エチレングリコール70部、ネオペンチルグリコール130部、1,6―ヘキサンジオール60部を仕込み、内温250℃にてエステル反応を行った。脱水反応後、酸価1mgKOH/gの中間体ポリエステルポリオールを得た。これを酢酸エチルで溶解希釈し、不揮発分60質量%溶液とした。さらに、この得られた中間体ポリエステルポリオール固形分100部に対し、イソホロンジイソシアネート4部を加え、80℃に加熱して遊離のNCO基が実質的になくなるまでウレタン化反応を行って、水酸基価7のポリエステルウレタンポリオールを得た。このポリエステルポリウレタンポリオールの数平均分子量約13000であった。
得られたこのポリエステルポリウレタンポリオール固形分100部に対し、リン系酸化防止剤0.5部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤2.5部を添加し、酢酸エチルで希釈調整して、不揮発分60%溶液とした。この時、リン系酸化防止剤は、城北化学工業株式会社製のJP-360を使用し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、BASFジャパン株式会社のIrganox1010を使用した。
【0107】
(積層フィルムの製造方法と、熱履歴試験方法)
接着剤でOPPフィルムとCPPフィルムを貼り合わせて、複合フィルムを作成すると、接着剤層は複合フィルムの5質量%程度であり、これを粉砕して、ペレット及び射出成型しても、接着剤由来の黄変を確認することは困難のため、数値による評価は代用試験として以下の内容を実施した。また、複合フィルムを加熱するとOPPフィルムが収縮してしまうため、CPPフィルム同士で貼り合わせた複合フィルムを作製し、目視で評価した。
【0108】
実施例1~6は、下記表1の重量比で、合成したポリイソシアネートA1~3とポリオールB1~5を配合し、濃度が30%になるように酢酸エチルで塗工液を調整した。
また比較例1~3は、下記表2の重量比で、合成したポリイソシアネートC1~2とポリオールD1~3を配合し、濃度が30%になるように酢酸エチルで塗工液を調整した。
【0109】
これらを膜厚2mmになるように、シャーレ上に滴下し、酢酸エチルを室温にて揮発させた後、50℃3日のエージングを行った。できあがった接着剤塗膜を電気オーブンにて、230℃になるまで45分間加温し、230℃に到達してから15分間保持した。この熱履歴試験を2サイクル行った。この熱履歴試験した接着剤塗膜のイエローインデックス値(以降YI値と略す。)を表1に示す。
【0110】
さらに、調整した塗工液をDL-600DXドライラミネータ(オリエント総業社製)を用いて、接着剤の固形分重量が3.0g/m2となるように透明OPPフィルムに塗布し、溶剤を揮散させた後、CPPフィルムと貼り合わせし、複合フィルムを作製した。
【0111】
なおOPPフィルム、CPPフィルムは下記のものを使用した。
OPPフィルム:東洋紡(株)製 パイレンフィルム-OT P2161 20μm
CPPフィルム:DIC(株)製 DIFAREN P2160T 30μm
【0112】
試作した複合フィルムから300mm×15mmに切り取ったサンプルを検体とした。接着強度(単位N/15mm)はOPPフィルムとCPPフィルム間の値を測定した。測定はインストロン型引張り試験機を使用しT型剥離方法で300mm/minの剥離速度で行った。接着強度は5点測定の平均値を採用した。測定時の雰囲気温度は25℃とした。
リン系酸化防止剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有していることにより、熱履歴試験後の着色が抑制されており、特に芳香族環濃度が35質量%以下では顕著であることが明白である。
実施例の結果を表1、比較例の結果を表2に示す。なお空欄は未配合を示す。
【0113】
【0114】