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特開2022-56140非接触式通信装置、磁気テープドライブ、非接触式通信システム、非接触式通信装置の動作方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056140
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】非接触式通信装置、磁気テープドライブ、非接触式通信システム、非接触式通信装置の動作方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20220401BHJP
   G11B 23/30 20060101ALI20220401BHJP
   G11B 23/107 20060101ALI20220401BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
G06K7/10 152
G06K7/10 216
G11B23/30 E
G11B23/107
H04B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020163982
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 英一郎
【テーマコード(参考)】
5K012
【Fターム(参考)】
5K012AB02
5K012AC06
5K012AC08
5K012AC10
(57)【要約】
【課題】非接触式通信装置が1つの通信規格のみを用いて非接触式記憶媒体と非接触式の通信を行う場合に比べ、非接触式通信装置に対して、様々な通信規格の非接触式記憶媒体と非接触式の通信を行わせることができる非接触式通信装置、磁気テープドライブ、非接触式通信システム、非接触式通信装置の動作方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】非接触式通信装置は、アンテナと、磁気テープカートリッジに搭載された非接触式記憶媒体とアンテナとを電磁誘導により結合させることで非接触式記憶媒体と通信を行うプロセッサと、を備える。プロセッサは、複数の通信規格の各々で通信可能であり、複数の通信規格のうちの非接触式記憶媒体に対応する通信規格で非接触式記憶媒体と通信を行う。
【選択図】図32
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、
磁気テープカートリッジに搭載された非接触式記憶媒体と前記アンテナとを電磁誘導により結合させることで前記非接触式記憶媒体と通信を行うプロセッサと、を備える非接触式通信装置であって、
前記プロセッサは、
複数の通信規格の各々で通信可能であり、
複数の通信規格のうちの前記非接触式記憶媒体に対応する通信規格で前記非接触式記憶媒体と通信を行う
非接触式通信装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記非接触式記憶媒体に対してレスポンスを要求するコマンドを前記アンテナを介して前記非接触式記憶媒体に送信することで前記非接触式記憶媒体から得た前記レスポンスに基づいて、前記複数の通信規格のうちの前記非接触式記憶媒体に対して設定されている通信規格を特定し、
特定した前記通信規格で前記非接触式記憶媒体と通信を行う請求項1に記載の非接触式通信装置。
【請求項3】
前記レスポンスには、前記非接触式記憶媒体に対して設定されている通信規格を特定可能な情報が含まれている請求項2に記載の非接触式通信装置。
【請求項4】
外部から与えられた指示に応じて前記非接触式記憶媒体に対して前記複数の通信規格が選択的に設定される場合、前記プロセッサは、前記複数の通信規格のうち、前記非接触式記憶媒体に対して設定されている通信規格で前記非接触式記憶媒体と通信を行う請求項1から請求項3の何れか一項に記載の非接触式通信装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記磁気テープカートリッジに物理的に付与されている特徴であって、前記非接触式記憶媒体に対して設定されている通信規格を特定可能な特徴を取得し、
取得した前記特徴に基づいて前記複数の通信規格のうちの前記非接触式記憶媒体に対応する通信規格を特定し、
特定した前記通信規格で前記非接触式記憶媒体と通信を行う請求項1に記載の非接触式通信装置。
【請求項6】
前記特徴は、物理的なセンサによって検知される請求項5に記載の非接触式通信装置。
【請求項7】
前記特徴は、前記磁気テープカートリッジの形状及び大きさのうちの少なくとも形状である請求項5又は請求項6に記載の非接触式通信装置。
【請求項8】
前記特徴は、前記非接触式記憶媒体に対して設定されている通信規格を特定可能なマークである請求項5又は請求項6に記載の非接触式通信装置。
【請求項9】
前記非接触式通信装置は、前記磁気テープカートリッジが装填されるドライブに搭載されているリーダライタである請求項1から請求項8の何れか一項に記載の非接触式通信装置。
【請求項10】
前記非接触式通信装置は、前記磁気テープカートリッジの検品用のリーダライタである請求項1から請求項8の何れか一項に記載の非接触式通信装置。
【請求項11】
前記非接触式通信装置は、前記磁気テープカートリッジの診断用のリーダライタである請求項1から請求項8の何れか一項に記載の非接触式通信装置。
【請求項12】
前記非接触式通信装置は、前記磁気テープカートリッジの生産管理用のリーダライタである請求項1から請求項8の何れか一項に記載の非接触式通信装置。
【請求項13】
前記生産管理用のリーダライタは、前記磁気テープカートリッジが複数の製造工程を通過した履歴の管理に用いられるリーダライタである請求項12に記載の非接触式通信装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記複数の通信規格のうちの前記通信で用いられる通信規格を、外部から与えられた指示に応じて固定する請求項1から請求項13の何れか一項に記載の非接触式通信装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14の何れか一項に記載の非接触式通信装置と、
磁気ヘッドと、を備え、
前記非接触式記憶媒体は、磁気テープカートリッジに搭載されており、
前記磁気テープカートリッジは、磁気テープを収容しており、
前記磁気ヘッドは、前記磁気テープカートリッジから引き出された前記磁気テープに対してデータの記録及び読取のうちの少なくとも一方を行う
磁気テープドライブ。
【請求項16】
請求項1から請求項14の何れか一項に記載の非接触式通信装置と、
前記非接触式記憶媒体と、
を備える非接触式通信システム。
【請求項17】
アンテナと、磁気テープカートリッジに搭載された非接触式記憶媒体と前記アンテナとを電磁誘導により結合させることで前記非接触式記憶媒体と通信を行うプロセッサと、を備える非接触式通信装置の動作方法であって、
前記プロセッサは、複数の通信規格の各々で通信可能であり、
複数の通信規格のうちの前記非接触式記憶媒体に対応する通信規格で前記非接触式記憶媒体と通信を行うことを含む
非接触式通信装置の動作方法。
【請求項18】
アンテナと、磁気テープカートリッジに搭載された非接触式記憶媒体と前記アンテナとを電磁誘導により結合させることで前記非接触式記憶媒体と通信を行うプロセッサと、を備える非接触式通信装置に対して適用されるコンピュータに特定処理を実行させるためのプログラムであって、
前記プロセッサは、複数の通信規格の各々で通信可能であり、
前記特定処理は、複数の通信規格のうちの前記非接触式記憶媒体に対応する通信規格で前記非接触式記憶媒体と通信を行うことを含む処理である
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、非接触式通信装置、磁気テープドライブ、非接触式通信システム、非接触式通信装置の動作方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録媒体とともに記録媒体筐体に取り付けられ、記録媒体に関する情報を記憶する記憶部と、記憶部についてのデータ転送を非接触式で実行するための通信部を有する非接触式半導体メモリに対してデータ送受信を行う通信装置が開示されている。 特許文献1に記載の通信装置は、複数の通信処理部を有し、各通信処理部がそれぞれ異なる所定の通信方式において非接触式半導体メモリに対するデータ送信処理及びデータ受信処理を行うようにされた通信処理手段と、通信処理手段の各通信処理部のうちで動作させる通信処理部を切り換える切換手段と、通信処理手段の各通信処理部に対応して設けられる複数のアンテナ手段と、を備えたことを特徴とする非接触式半導体メモリに対する通信装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-189994号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、非接触式通信装置が1つの通信規格のみを用いて非接触式記憶媒体と非接触式の通信を行う場合に比べ、非接触式通信装置に対して、様々な通信規格の非接触式記憶媒体と非接触式の通信を行わせることができる非接触式通信装置、磁気テープドライブ、非接触式通信システム、非接触式通信装置の動作方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の技術に係る第1の態様は、アンテナと、磁気テープカートリッジに搭載された非接触式記憶媒体とアンテナとを電磁誘導により結合させることで非接触式記憶媒体と通信を行うプロセッサと、を備える非接触式通信装置であって、プロセッサが、複数の通信規格の各々で通信可能であり、複数の通信規格のうちの非接触式記憶媒体に対応する通信規格で非接触式記憶媒体と通信を行う非接触式通信装置である。
【0006】
本開示の技術に係る第2の態様は、プロセッサが、非接触式記憶媒体に対してレスポンスを要求するコマンドをアンテナを介して非接触式記憶媒体に送信することで非接触式記憶媒体から得たレスポンスに基づいて、複数の通信規格のうちの非接触式記憶媒体に対して設定されている通信規格を特定し、特定した通信規格で非接触式記憶媒体と通信を行う第1の態様に係る非接触式通信装置である。
【0007】
本開示の技術に係る第3の態様は、レスポンスには、非接触式記憶媒体に対して設定されている通信規格を特定可能な情報が含まれている第2の態様に係る非接触式通信装置である。
【0008】
本開示の技術に係る第4の態様は、外部から与えられた指示に応じて非接触式記憶媒体に対して複数の通信規格が選択的に設定される場合、プロセッサは、複数の通信規格のうち、非接触式記憶媒体に対して設定されている通信規格で非接触式記憶媒体と通信を行う第1の態様から第3の態様の何れか1つの態様に係る非接触式通信装置である。
【0009】
本開示の技術に係る第5の態様は、プロセッサが、磁気テープカートリッジに物理的に付与されている特徴であって、非接触式記憶媒体に対して設定されている通信規格を特定可能な特徴を取得し、取得した特徴に基づいて複数の通信規格のうちの非接触式記憶媒体に対応する通信規格を特定し、特定した通信規格で非接触式記憶媒体と通信を行う第1の態様に係る非接触式通信装置である。
【0010】
本開示の技術に係る第6の態様は、特徴が、物理的なセンサによって検知される第5の態様に係る非接触式通信装置である。
【0011】
本開示の技術に係る第7の態様は、特徴が、磁気テープカートリッジの形状及び大きさのうちの少なくとも形状である第5の態様又は第6の態様に係る非接触式通信装置である。
【0012】
本開示の技術に係る第8の態様は、特徴が、非接触式記憶媒体に対して設定されている通信規格を特定可能なマークである第5の態様又は第6の態様に係る非接触式通信装置である。
【0013】
本開示の技術に係る第9の態様は、非接触式通信装置が、磁気テープカートリッジが装填されるドライブに搭載されているリーダライタである第1の態様から第8の態様の何れか1つの態様に係る非接触式通信装置である。
【0014】
本開示の技術に係る第10の態様は、非接触式通信装置が、磁気テープカートリッジの検品用のリーダライタである第1の態様から第8の態様の何れか1つの態様に係る非接触式通信装置である。
【0015】
本開示の技術に係る第11の態様は、非接触式通信装置が、磁気テープカートリッジの診断用のリーダライタである第1の態様から第8の態様の何れか1つの態様に係る非接触式通信装置である。
【0016】
本開示の技術に係る第12の態様は、非接触式通信装置が、磁気テープカートリッジの生産管理用のリーダライタである第1の態様から第8の態様の何れか1つの態様に係る非接触式通信装置である。
【0017】
本開示の技術に係る第13の態様は、生産管理用のリーダライタが、磁気テープカートリッジが複数の製造工程を通過した履歴の管理に用いられるリーダライタである第12の態様に係る非接触式通信装置である。
【0018】
本開示の技術に係る第14の態様は、プロセッサが、複数の通信規格のうちの通信で用いられる通信規格を、外部から与えられた指示に応じて固定する第1の態様から第13の態様の何れか1つの態様に係る非接触式通信装置である。
【0019】
本開示の技術に係る第15の態様は、第1の態様から第14の態様の何れか1つの態様に係る非接触式通信装置と、磁気ヘッドと、を備え、非接触式記憶媒体が、磁気テープカートリッジに搭載されており、磁気テープカートリッジが、磁気テープを収容しており、磁気ヘッドが、磁気テープカートリッジから引き出された磁気テープに対してデータの記録及び読取のうちの少なくとも一方を行う磁気テープドライブである。
【0020】
本開示の技術に係る第16の態様は、第1の態様から第14の態様の何れか1つの態様に係る非接触式通信装置と、非接触式記憶媒体と、を備える非接触式通信システムである。
【0021】
本開示の技術に係る第17の態様は、アンテナと、磁気テープカートリッジに搭載された非接触式記憶媒体とアンテナとを電磁誘導により結合させることで非接触式記憶媒体と通信を行うプロセッサと、を備える非接触式通信装置の動作方法であって、プロセッサが、複数の通信規格の各々で通信可能であり、複数の通信規格のうちの非接触式記憶媒体に対応する通信規格で非接触式記憶媒体と通信を行うことを含む、非接触式通信装置の動作方法である。
【0022】
本開示の技術に係る第18の態様は、アンテナと、磁気テープカートリッジに搭載された非接触式記憶媒体とアンテナとを電磁誘導により結合させることで非接触式記憶媒体と通信を行うプロセッサと、を備える非接触式通信装置に対して適用されるコンピュータに特定処理を実行させるためのプログラムであって、プロセッサが、複数の通信規格の各々で通信可能であり、特定処理が、複数の通信規格のうちの非接触式記憶媒体に対応する通信規格で非接触式記憶媒体と通信を行うことを含む処理である、プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】磁気テープシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】磁気テープカートリッジの外観の一例を示す概略斜視図である。
図3】磁気テープカートリッジの下ケースの内側の右後端部の構造の一例を示す概略斜視図である。
図4】磁気テープカートリッジの下ケースの内面に設けられた支持部材の一例を示す側面視断面図である。
図5】磁気テープドライブのハードウェア構成の一例を示す概略構成図である。
図6】磁気テープカートリッジの下側から非接触式読み書き装置によって磁界が放出されている態様の一例を示す概略斜視図である。
図7】磁気テープカートリッジ内のカートリッジメモリに対して非接触式読み書き装置から磁界が付与されている態様の一例を示す概念図である。
図8】磁気テープカートリッジ内のカートリッジメモリの基板の裏面の構造の一例を示す概略底面図である。
図9】磁気テープカートリッジ内のカートリッジメモリの基板の表面の構造の一例を示す概略平面図である。
図10】磁気テープカートリッジ内のカートリッジメモリの回路構成の一例を示す概略回路図である。
図11】磁気テープカートリッジ内のカートリッジメモリに搭載されているICチップのコンピュータの電気系のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図12】カートリッジメモリに搭載されているICチップのコンピュータに含まれるNVMの記憶内容の一例を示す概念図である。
図13】カートリッジメモリに搭載されているICチップのコンピュータ内のCPUによってCM応答処理プログラムが実行される態様の一例を示すブロック図である。
図14】CM応答処理の内容の一例を示す概念図である。
図15】CM応答処理の内容の一例を示す概念図である。
図16】カートリッジメモリに搭載されているICチップのコンピュータ内のCPUによって通信規格設定プログラムが実行される態様の一例を示すブロック図である。
図17】通信規格設定処理の内容の一例を示す概念図である。
図18】通信規格設定処理の内容の一例を示す概念図である。
図19】非接触式読み書き装置内の電気系のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図20】非接触式読み書き装置内のコンピュータの電気系のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図21】非接触式読み書き装置内のコンピュータに含まれるNVMの記憶内容の一例を示す概念図である。
図22】非接触式読み書き装置内のコンピュータ内のCPUによって通信規格適応処理プログラムが実行される態様の一例を示すブロック図である。
図23】通信規格適応処理の内容の一例を示す概念図である。
図24】通信規格適応処理の内容の一例を示す概念図である。
図25】通信規格適応処理の内容の一例を示す概念図である。
図26】非接触式読み書き装置内のコンピュータ内のCPUによって通信規格変更指示処理プログラムが実行される態様の一例を示すブロック図である。
図27】通信規格変更指示処理の内容の一例を示す概念図である。
図28】通信規格変更指示処理の内容の一例を示す概念図である。
図29】通信規格変更指示処理の内容の一例を示す概念図である。
図30】CM応答処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図31】通信規格設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図32】通信規格適応処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図33】通信規格変更指示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図34】磁気テープカートリッジの外壁に形成された複数の切り欠きからカートリッジメモリに対して設定されている通信規格を特定する場合の形態例を示す概念図である。
図35】磁気テープカートリッジの外壁に貼り付けられたマークからカートリッジメモリに対して設定されている通信規格を特定する場合の形態例を示す概念図である。
図36】複数の磁気テープカートリッジのパッケージに対して非接触式読み書き装置によって磁界が付与されている態様の一例を示す概念図である。
図37】非接触式読み書き装置内の現設定パラメータ記憶ブロック138に現設定パラメータ144が固定される場合の形態例を示すブロック図である。
図38】記憶媒体から非接触式読み書き装置のコンピュータに通信規格適応処理プログラム及び通信規格変更指示処理プログラムがインストールされる態様の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に従って本開示の技術に係る非接触式通信装置、磁気テープドライブ、非接触式通信システム、非接触式通信装置の動作方法、及びプログラムの実施形態の一例について説明する。
【0025】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0026】
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。DRAMとは、“Dynamic Random Access Memory”の略称を指す。SRAMとは、“Static Random Access Memory”の略称を指す。NVMとは、“Non-Volatile Memory”の略称を指す。ROMとは、“Read Only Memory”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-Chip”の略称を指す。ICとは、“Integrated Circuit”の略称を指す。RFIDとは、“Radio Frequency Identifier”の略称を指す。LTOとは、“Linear Tape-Open”の略称を指す。IBMとは、“International Business Machines Corporation”の略称を指す。CMとは、“Cartridge Memory”の略称を指す。ELとは、“Electro-Luminescence”の略称を指す。QRとは、“Quick Response”の略称を指す。
【0027】
一例として図1に示すように、磁気テープシステム2は、本開示の技術に係る「非接触式通信システム」の一例であり、磁気テープカートリッジ10及び磁気テープドライブ30を備えている。磁気テープドライブ30には、磁気テープカートリッジ10が装填される。磁気テープカートリッジ10は、磁気テープMTを収容している。磁気テープドライブ30は、装填された磁気テープドライブ30から磁気テープMTを引き出し、引き出した磁気テープMTを走行させながら、磁気テープMTに対してデータを記録したり、磁気テープMTからデータを読み取ったりする。
【0028】
次に、図2図4を参照しながら、磁気テープカートリッジ10の構成の一例について説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図2図4において、磁気テープカートリッジ10の磁気テープドライブ30(図5参照)への装填方向を矢印Aで示し、矢印A方向を磁気テープカートリッジ10の前方向とし、磁気テープカートリッジ10の前方向の側を磁気テープカートリッジ10の前側とする。以下に示す構造の説明において、「前」とは、磁気テープカートリッジ10の前側を指す。
【0029】
また、以下の説明では、説明の便宜上、図2図4において、矢印A方向と直交する矢印B方向を右方向とし、磁気テープカートリッジ10の右方向の側を磁気テープカートリッジ10の右側とする。以下に示す構造の説明において、「右」とは、磁気テープカートリッジ10の右側を指す。
【0030】
また、以下の説明では、説明の便宜上、図2図4において、矢印B方向と逆の方向を左方向とし、磁気テープカートリッジ10の左方向の側を磁気テープカートリッジ10の左側とする。以下に示す構造の説明において、「左」とは、磁気テープカートリッジ10の左側を指す。
【0031】
また、以下の説明では、説明の便宜上、図2図4において、矢印A方向及び矢印B方向と直交する方向を矢印Cで示し、矢印C方向を磁気テープカートリッジ10の上方向とし、磁気テープカートリッジ10の上方向の側を磁気テープカートリッジ10の上側とする。以下に示す構造の説明において、「上」とは、磁気テープカートリッジ10の上側を指す。
【0032】
また、以下の説明では、説明の便宜上、図2図4において、磁気テープカートリッジ10の前方向と逆の方向を磁気テープカートリッジ10の後方向とし、磁気テープカートリッジ10の後方向の側を磁気テープカートリッジ10の後側とする。以下に示す構造の説明において、「後」とは、磁気テープカートリッジ10の後側を指す。
【0033】
また、以下の説明では、説明の便宜上、図2図4において、磁気テープカートリッジ10の上方向と逆の方向を磁気テープカートリッジ10の下方向とし、磁気テープカートリッジ10の下方向の側を磁気テープカートリッジ10の下側とする。以下に示す構造の説明において、「下」とは、磁気テープカートリッジ10の下側を指す。
【0034】
また、以下の説明では、磁気テープカートリッジ10の仕様としてLTOを例に挙げて説明するが、これはあくまでも一例に過ぎず、IBM3592の磁気テープカートリッジの仕様に準じていてもよい。
【0035】
一例として図2に示すように、磁気テープカートリッジ10は、平面視略矩形であり、かつ、箱状のケース12を備えている。ケース12は、本開示の技術に係る「ケース」の一例である。ケース12には、磁気テープMTが収容される。ケース12は、ポリカーボネート等の樹脂製であり、上ケース14及び下ケース16を備えている。上ケース14及び下ケース16は、上ケース14の下周縁面と下ケース16の上周縁面とを接触させた状態で、溶着(例えば、超音波溶着)及びビス止めによって接合されている。接合方法は、溶着及びビス止めに限らず、他の接合方法であってもよい。
【0036】
ケース12の内部には、カートリッジリール18が回転可能に収容されている。カートリッジリール18は、リールハブ18A、上フランジ18B1、及び下フランジ18B2を備えている。リールハブ18Aは、円筒状に形成されている。リールハブ18Aは、カートリッジリール18の軸心部であり、軸心方向がケース12の上下方向に沿っており、ケース12の中央部に配置されている。上フランジ18B1及び下フランジ18B2の各々は円環状に形成されている。リールハブ18Aの上端部には上フランジ18B1の平面視中央部が固定されており、リールハブ18Aの下端部には下フランジ18B2の平面視中央部が固定されている。なお、リールハブ18Aと下フランジ18B2が一体として成型されていてもよい。
【0037】
リールハブ18Aの外周面には、磁気テープMTが巻き回されており、磁気テープMTの幅方向の端部は上フランジ18B1及び下フランジ18B2によって保持されている。
【0038】
ケース12の右壁12Aの前側には、開口12Bが形成されている。磁気テープMTは、開口12Bから引き出される。
【0039】
一例として図3に示すように、磁気テープカートリッジ10にはカートリッジメモリ19が搭載されている。カートリッジメモリ19は、下ケース16に設けられている。より具体的には、カートリッジメモリ19は、下ケース16の右後端部に収容されている。カートリッジメモリ19は、本開示の技術に係る「非接触式通信媒体」の一例である。本実施形態では、いわゆるパッシブ型のRFIDタグがカートリッジメモリ19として採用されている。
【0040】
カートリッジメモリ19には、磁気テープMTに関する情報が記憶されている。磁気テープMTに関する情報とは、例えば、磁気テープカートリッジ10を管理する管理情報(図12参照)を指す。管理情報には、例えば、カートリッジメモリ19に関する情報、磁気テープカートリッジ10を特定可能な情報、磁気テープMTの記録容量、磁気テープMTに記録されているデータの概要、データの項目、及びデータの記録形式等を示す情報が含まれている。
【0041】
カートリッジメモリ19は、非接触式読み書き装置との間で非接触通信を行う。非接触式読み書き装置としては、例えば、磁気テープカートリッジ10の製造工程で使用される非接触式読み書き装置(例えば、図36に示す非接触式読み書き装置50B)、及び、磁気テープドライブ(例えば、図5に示す磁気テープドライブ30)内で使用される非接触式読み書き装置(例えば、図5図7等に示す非接触式読み書き装置50A)が挙げられる。非接触式読み書き装置は、バッテリ(図示省略)又は商用電源から供給される電力を用いて作動する。
【0042】
非接触式読み書き装置は、一般的にリーダライタとも称されている装置であり、カートリッジメモリ19に対して、非接触式で各種情報の読み書きを行う。詳しくは後述するが、カートリッジメモリ19は、非接触式読み書き装置から与えられた磁界MF(図6等参照)に対して電磁的に作用することで電力を生成する。そして、カートリッジメモリ19は、生成した電力を用いて作動し、磁界MFを介して非接触式読み書き装置と通信を行うことで非接触式読み書き装置との間で各種情報の授受を行う。
【0043】
一例として図3に示すように、下ケース16の右後端部の底板16Aの内面には、支持部材20が設けられている。支持部材20は、カートリッジメモリ19を傾斜させた状態で下方から支持する一対の傾斜台である。一対の傾斜台は、第1傾斜台20A及び第2傾斜台20Bである。第1傾斜台20A及び第2傾斜台20Bは、ケース12の左右方向に間隔を隔てて配置されており、下ケース16の後壁16Bの内面及び底板16Aの内面に一体化されている。第1傾斜台20Aは、傾斜面20A1を有しており、傾斜面20A1は、後壁16Bの内面から底板16Aの内面に向けて下り傾斜している。また、第2傾斜台20Bは、傾斜面20B1を有しており、傾斜面20B1も、後壁16Bの内面から底板16Aの内面に向けて下り傾斜している。
【0044】
支持部材20の前方側には、一対の位置規制リブ22が左右方向に間隔を隔てて配置されている。一対の位置規制リブ22は、底板16Aの内面に立設されており、支持部材20に配置された状態のカートリッジメモリ19の下端部の位置を規制する。
【0045】
一例として図4に示すように、底板16Aの外面には基準面16A1が形成されている。基準面16A1は、平面である。ここで、平面とは、底板16Aを下側にして下ケース16を水平面に置いた場合において、水平面に対して平行な面を指す。ここで、「平行」とは、完全な平行の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの平行を指す。支持部材20の傾斜角度θ、すなわち、傾斜面20A1及び傾斜面20B1(図3参照)の傾斜角度は、基準面16A1に対して45度である。なお、45度は、あくまでも一例に過ぎず、“0度<傾斜角度θ<45度”であってもよいし、45度以上であってもよい。
【0046】
カートリッジメモリ19は、基板26を備えている。基板26は、基板26の裏面26Aを下側に向けて支持部材20上に置かれ、支持部材20は、基板26の裏面26Aを下方から支持する。基板26の裏面26Aの一部は、支持部材20の傾斜面、すなわち、傾斜面20A1及び20B1(図3参照)に接触しており、基板26の表面26Bは、上ケース14の天板14Aの内面14A1側に露出している。
【0047】
上ケース14は、複数のリブ24を備えている。複数のリブ24は、ケース12の左右方向に間隔を隔てて配置されている。複数のリブ24は、上ケース14の天板14Aの内面14A1から下側に突設されており、各リブ24の先端面24Aは、傾斜面20A1及び20B1(図3参照)に対応した傾斜面を有する。すなわち、各リブ24の先端面24Aは、基準面16A1に対して45度に傾斜している。
【0048】
カートリッジメモリ19が支持部材20に配置された状態で、上述したように上ケース14が下ケース16に接合されると、各リブ24の先端面24Aは、基板26に対して表面26B側から接触し、基板26は、各リブ24の先端面24Aと支持部材20の傾斜面20A1及び20B1(図3参照)とで挟み込まれる。これにより、カートリッジメモリ19の上下方向の位置がリブ24によって規制される。
【0049】
一例として図5に示すように、磁気テープドライブ30は、搬送装置34、磁気ヘッド36、及び制御装置38を備えている。磁気テープドライブ30には、磁気テープカートリッジ10が装填される。磁気テープドライブ30は、磁気テープカートリッジ10から磁気テープMTを引き出し、引き出した磁気テープMTに磁気ヘッド36を用いてデータを記録し、かつ、引き出した磁気テープMTから磁気ヘッド36を用いてデータをリニアサーペンタイン方式で読み取る装置である。なお、本実施形態において、データの読み取りとは、換言すると、データの再生を指す。
【0050】
制御装置38は、磁気テープドライブ30の全体の動作を制御する。本実施形態において、制御装置38は、ASICによって実現されているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、制御装置38は、FPGAによって実現されるようにしてもよい。また、制御装置38は、CPU、ROM、及びRAMを含むコンピュータによって実現されるようにしてもよい。また、ASIC、FPGA、及びコンピュータのうちの2つ以上を組み合わせて実現されるようにしてもよい。すなわち、制御装置38は、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現されるようにしてもよい。
【0051】
搬送装置34は、磁気テープMTを順方向及び逆方向に選択的に搬送する装置であり、送出モータ40、巻取リール42、巻取モータ44、複数のガイドローラGR、及び制御装置38を備えている。なお、ここで、順方向とは、磁気テープMTの送り出し方向を指し、逆方向とは、磁気テープMTの巻き戻し方向を指す。
【0052】
送出モータ40は、制御装置38の制御下で、磁気テープカートリッジ10内のカートリッジリール18を回転させる。制御装置38は、送出モータ40を制御することで、カートリッジリール18の回転方向、回転速度、及び回転トルク等を制御する。
【0053】
磁気テープMTが巻取リール42によって巻き取られる場合(ロードする場合)には、制御装置38は、磁気テープMTが順方向に走行するように送出モータ40を回転させる。送出モータ40の回転速度及び回転トルク等は、巻取リール42によって巻き取られる磁気テープMTの速度に応じて調整される。
【0054】
巻取モータ44は、制御装置38の制御下で、巻取リール42を回転させる。制御装置38は、巻取モータ44を制御することで、巻取リール42の回転方向、回転速度、及び回転トルク等を制御する。
【0055】
磁気テープMTが巻取リール42によって巻き取られる場合には、制御装置38は、磁気テープMTが順方向に走行するように巻取モータ44を回転させる。磁気テープMTをカートリッジリール18に巻き戻す場合(アンロードする場合)には、制御装置38は、磁気テープMTが逆方向に走行するように送出モータ40及び巻取モータ44を回転させる。巻取モータ44の回転速度及び回転トルク等は、巻取リール42によって巻き取られる磁気テープMTの速度に応じて調整される。このようにして送出モータ40及び巻取モータ44の各々の回転速度及び回転トルク等が制御装置38によって調整されることで、磁気テープMTに張力が付与される。
【0056】
本実施形態では、送出モータ40及び巻取モータ44の回転速度及び回転トルク等が制御されることにより磁気テープMTに掛けられる張力が制御されているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、磁気テープMTに掛けられる張力は、ダンサローラを用いて制御されるようにしてもよいし、バキュームチャンバに磁気テープMTを引き込むことによって制御されるようにしてもよい。
【0057】
複数のガイドローラGRの各々は、磁気テープMTを案内するローラである。磁気テープMTの走行経路は、複数のガイドローラGRが磁気テープカートリッジ10と巻取リール42との間において磁気ヘッド36を跨ぐ位置に分けて配置されることによって定められている。
【0058】
磁気ヘッド36は、磁気素子ユニット46及びホルダ48を備えている。磁気素子ユニット46は、走行中の磁気テープMTに接触するようにホルダ48によって保持されている。磁気素子ユニット46は、搬送装置34によって搬送される磁気テープMTにデータを記録したり、搬送装置34によって搬送される磁気テープMTからデータを読み取ったりする。
【0059】
磁気テープドライブ30は、非接触式読み書き装置50Aを備えている。非接触式読み書き装置50Aは、本開示の技術に係る「非接触式通信装置」の一例である。非接触式読み書き装置50Aは、磁気テープカートリッジ10が装填された状態の磁気テープカートリッジ10の下側にてカートリッジメモリ19の裏面26Aに正対するように配置されている。なお、磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブ30に装填された状態とは、例えば、磁気ヘッド36による磁気テープMTに対するデータの読み取りを開始する位置として事前に定められた位置に、磁気テープカートリッジ10が到達した状態を指す。
【0060】
一例として図6に示すように、非接触式読み書き装置50Aは、磁気テープカートリッジ10の下側からカートリッジメモリ19に向けて磁界MFを放出する。磁界MFは、カートリッジメモリ19を貫通する。
【0061】
一例として図7に示すように、非接触式読み書き装置50Aは、制御装置38に接続されている。制御装置38は、制御信号を非接触式読み書き装置50Aに出力する。制御信号は、カートリッジメモリ19を制御する信号である。非接触式読み書き装置50Aは、制御装置38から入力された制御信号に従って、磁界MFをカートリッジメモリ19に向けて放出する。磁界MFは、カートリッジメモリ19の裏面26A側から表面26B側に貫通する。
【0062】
非接触式読み書き装置50Aは、カートリッジメモリ19との間で非接触通信を行うことで、制御信号に応じたコマンドをカートリッジメモリ19に与える。より詳しく説明すると、非接触式読み書き装置50Aは、制御装置38の制御下で、コマンドをカートリッジメモリ19に空間伝送する。コマンドは、カートリッジメモリ19に対する指令を示す信号である。本実施形態において、コマンドは、複数の通信規格の何れかに準拠しており、複数の通信規格の何れかに対応したコマンドが非接触式読み書き装置50Aから空間伝送される。
【0063】
ここで、複数の通信規格としては、例えば、ISO144343A(TypeA)、ISO14443B(TypeB)、ISO15693、及びISO18092等が挙げられる。なお、本実施形態では、説明の便宜上、これらの通信規格を一般化して「第N通信規格」、又は、単に「通信規格」とも称する。ここで、“N”は、1以上の自然数を意味する。
【0064】
また、ここでは、制御装置38の制御下で、非接触式読み書き装置50Aがコマンドをカートリッジメモリ19に空間伝送する形態例を挙げて説明しているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、磁気テープカートリッジ10が製造される段階、磁気テープカートリッジ10が検品される段階、又は磁気テープカートリッジ10が出荷される段階では、非接触式読み書き装置50B(図36参照)が、制御装置38とは異なる制御装置の制御下で、コマンドをカートリッジメモリ19に空間伝送する。
【0065】
コマンドが非接触式読み書き装置50Aからカートリッジメモリ19に空間伝送される場合、磁界MFには、非接触式読み書き装置50Aによって、制御装置38からの指示に応じたコマンドが含まれる。換言すると、磁界MFには、非接触式読み書き装置50Aによってコマンドが重畳される。すなわち、非接触式読み書き装置50Aは、制御装置38の制御下で、磁界MFを介してコマンドをカートリッジメモリ19に送信する。
【0066】
カートリッジメモリ19の表面26Bには、ICチップ52及びコンデンサ54が搭載されている。ICチップ52及びコンデンサ54は、表面26Bに接着されている。また、カートリッジメモリ19の表面26Bにおいて、ICチップ52及びコンデンサ54は封止材56によって封止されている。ここでは、封止材56として、紫外線に反応して硬化する紫外線硬化樹脂が採用されている。なお、紫外線硬化樹脂は、あくまでも一例に過ぎず、紫外線以外の波長域の光に反応して硬化する光硬化樹脂を封止材56として使用してもよいし、熱硬化性樹脂を封止材56として使用してもよいし、他の接着剤を封止材56として使用してもよい。
【0067】
一例として図8に示すように、カートリッジメモリ19の裏面26Aには、アンテナコイル60がループ状に形成されている。ここでは、アンテナコイル60の素材として、銅箔が採用されている。銅箔は、あくまでも一例に過ぎず、例えば、アルミニウム箔等の他種類の導電性素材であってもよい。アンテナコイル60は、非接触式読み書き装置50から与えられた磁界MF(図6及び図7参照)が作用することで誘導電流を誘起する。
【0068】
カートリッジメモリ19の裏面26Aには、第1導通部62A及び第2導通部62Bが設けられている。第1導通部62A及び第2導通部62Bは、はんだを有しており、表面26BのICチップ52(図7及び図9参照)及びコンデンサ54(図7及び図9参照)に対してアンテナコイル60の両端部を電気的に接続している。
【0069】
一例として図9に示すように、カートリッジメモリ19の表面26Bにおいて、ICチップ52及びコンデンサ54は、ワイヤ接続方式で互いに電気的に接続されている。具体的には、ICチップ52の正極端子及び負極端子のうちの一方の端子が配線64Aを介して第1導通部62Aに接続されており、他方の端子が配線64Bを介して第2導通部62Bに接続されている。また、コンデンサ54は、一対の電極を有する。図9に示す例では、一対の電極は、電極54A及び54Bである。電極54Aは、配線64Cを介して第1導通部62Aに接続されており、電極54Bは、配線64Dを介して第2導通部62Bに接続されている。これにより、アンテナコイル60に対して、ICチップ52及びコンデンサ54は並列に接続される。
【0070】
一例として図10に示すように、ICチップ52は、内蔵コンデンサ80、電源回路82、コンピュータ84、クロック信号生成器86、及び信号処理回路88を備えている。ICチップ52は、磁気テープカートリッジ10以外の用途にも使用可能な汎用タイプのICチップである。
【0071】
カートリッジメモリ19は、電力生成器70を備えている。電力生成器70は、非接触式読み書き装置50Aから与えられた磁界MFがアンテナコイル60に対して作用することで電力を生成する。具体的には、電力生成器70は、共振回路92を用いて交流電力を生成し、生成した交流電力を直流電力に変換して出力する。
【0072】
電力生成器70は、電源回路82及び共振回路92を有する。共振回路92は、コンデンサ54、アンテナコイル60、及び内蔵コンデンサ80を備えている。内蔵コンデンサ80は、ICチップ52に内蔵されているコンデンサであり、電源回路82もICチップ52に内蔵されている回路である。内蔵コンデンサ80は、アンテナコイル60に対して並列に接続されている。
【0073】
コンデンサ54は、ICチップ52に対して外付けされたコンデンサである。ICチップ52は、本来、磁気テープカートリッジ10とは異なる用途でも用いることが可能な汎用のICチップである。そのため、内蔵コンデンサ80の容量は、磁気テープカートリッジ10で用いられるカートリッジメモリ19で要求される共振周波数を実現するには不足している場合がある。そこで、カートリッジメモリ19では、磁界MFが作用することで共振回路92を予め定められた共振周波数で共振させる上で必要な容量値を有するコンデンサとして、ICチップ52に対してコンデンサ54が後付けされている。なお、予め定められた共振周波数は、磁界MFの周波数に相当する周波数(例えば、13.56MHz)であり、カートリッジメモリ19及び/又は非接触式読み書き装置50の仕様等によって適宜決定されればよい。また、コンデンサ54の容量は、内蔵コンデンサ80の容量の実測値に基づいて定められている。また、ここでは、コンデンサ54が外付けされている形態例を挙げているが、本開示の技術はこれに限定されず、ICチップ52に対してコンデンサ54が事前に組み込まれていてもよい。
【0074】
共振回路92は、磁界MFがアンテナコイル60を貫通することでアンテナコイル60によって誘起された誘導電流を用いて、予め定められた共振周波数の共振現象を発生させることで交流電力を生成し、生成した交流電力を電源回路82に出力する。
【0075】
電源回路82は、整流回路及び平滑回路等を有する。整流回路は、複数のダイオードを有する全波整流回路である。全波整流回路は、あくまでも一例に過ぎず、半波整流回路であってもよい。平滑回路は、コンデンサ及び抵抗を含んで構成されている。電源回路82は、共振回路92から入力された交流電力を直流電力に変換し、変換して得た直流電力(以下、単に「電力」とも称する)をICチップ52内の各種の駆動素子に供給する。電源回路82によって生成される電力は、磁界MFの強度が大きいほど制限範囲内で大きくなる。
【0076】
電力の供給先である各種の駆動素子としては、コンピュータ84、クロック信号生成器86、及び信号処理回路88が挙げられる。電力生成器70によってICチップ52内の各種の駆動素子に対して電力が供給されることで、ICチップ52は、電力生成器70によって生成された電力を用いて動作する。
【0077】
コンピュータ84は、カートリッジメモリ19の全体の動作を制御する。クロック信号生成器86は、クロック信号を生成して信号処理回路88等に出力する。信号処理回路88等は、クロック信号生成器86から入力されたクロック信号に従って動作する。クロック信号生成器86は、コンピュータ84の指示に従って、クロック信号の周波数を変更する。
【0078】
信号処理回路88は、共振回路92に接続されている。信号処理回路88は、復号回路(図示省略)及び符号化回路(図示省略)を有する。信号処理回路88の復号回路は、アンテナコイル60によって受信された磁界MFからのコマンドを抽出して復号し、コンピュータ84に出力する。コンピュータ84は、コマンドに対する応答信号を信号処理回路88に出力する。すなわち、コンピュータ84は、信号処理回路88から入力されたコマンドに応じた処理を実行し、処理結果を応答信号として信号処理回路88に出力する。コンピュータ84から応答信号が入力されると、信号処理回路88の符号化回路は、応答信号を符号化することで変調して共振回路92に出力する。共振回路92は、信号処理回路88の符号化回路から入力された応答信号を、磁界MFを介して非接触式読み書き装置50Aに送信する。
【0079】
一例として図11に示すように、コンピュータ84は、CPU94、NVM96、及びRAM98を備えている。CPU94、NVM96、及びRAM98は、バス99に接続されている。
【0080】
CPU94は、コンピュータ84の動作を制御する。NVM96の一例としては、EEPROMが挙げられる。EEPROMは、これはあくまでも一例に過ぎず、例えば、EEPROMに代えて強誘電体メモリであってもよく、ICチップ52に搭載可能な不揮発性メモリであれば如何なるメモリであってもよい。NVM96には、管理情報(図12参照)等が記憶されている。RAM98は、各種情報を一時的に記憶し、ワークメモリとして用いられる。RAM98の一例としては、DRAM又はSRAM等が挙げられる。
【0081】
また、バス99には、クロック信号生成器86及び信号処理回路88も接続されている。従って、CPU94は、クロック信号生成器86からクロック信号を取得したり、信号処理回路88との間で信号の授受を行ったりすることができる。
【0082】
CPU94は、信号処理回路88から入力されたコマンドに応じた処理を実行する。コマンドの種類としては、例えば、ポーリングコマンド、読出コマンド、及び書込コマンド等が挙げられる。ここで、ポーリングコマンドは、本開示の技術に係る「非接触式記憶媒体に対してレスポンスを要求するコマンド」の一例である。
【0083】
なお、以下では、説明の便宜上、第N通信規格に対応したポーリングコマンドを「第N通信規格ポーリングコマンド」とも称し、複数の通信規格に何れかに対応したポーリングコマンドを特に区別する必要がない場合、「通信規格ポーリングコマンド」又は「ポーリングコマンド」とも称する。
【0084】
CPU94は、信号処理回路88から入力されたポーリングコマンドに応じてポーリング処理を実行する。ポーリング処理は、非接触式読み書き装置50との間で通信を確立する処理であり、例えば、読出処理及び書込処理の前段階の準備処理として行われる。CPU94は、信号処理回路88から入力された読出コマンドに応じて読出処理を実行する。読出処理は、NVM96から管理情報(図12参照)等を読み出す処理である。CPU94は、信号処理回路88から入力された書込コマンドに応じて書込処理を実行する。書込処理は、NVM96に管理情報(図12参照)等を書き込む処理である。
【0085】
また、コマンドの種類としては、ポーリングコマンド、読出コマンド、及び書込コマンド以外にも、例えば、現設定パラメータ書換コマンド(図17及び図27参照)が挙げられる。CPU94は、信号処理回路88から入力された現設定パラメータ書換コマンドに応じて現設定パラメータ書換処理を実行する。詳しくは後述するが、現設定パラメータ書換処理は、現時点で設定されている現設定パラメータ110(図17参照)を、現設定パラメータ書換コマンドに応じた通信規格パラメータ108(図17参照)に書き換える処理である。
【0086】
一例として図12に示すように、NVM96は、設定可能パラメータ記憶ブロック102、現設定パラメータ記憶ブロック104、及びプログラム記憶ブロック106を含む複数の記憶ブロックを有する。
【0087】
設定可能パラメータ記憶ブロック102には、ICチップ52において設定可能な通信規格を特定可能な複数の通信規格パラメータ108が記憶されている。現設定パラメータ記憶ブロック104には、現設定パラメータ110が記憶されている。現設定パラメータ110は、複数の通信規格パラメータ108のうち、ICチップ52において現在設定されている通信規格に対応する通信規格パラメータ108である。なお、以下では、説明の便宜上、現設定パラメータ記憶ブロック104には、何らかの通信規格パラメータ108が現設定パラメータ110として記憶されていることを前提として説明する。
【0088】
プログラム記憶ブロック106には、CM応答処理プログラム112、通信規格設定プログラム114、及び複数の通信規格専用プログラム116が記憶されている。複数の通信規格専用プログラム116は、複数の通信規格パラメータ108に1対1で対応している。CPU94は、現設定パラメータ記憶ブロック104に記憶されている現設定パラメータ110に対応する通信規格専用プログラム116をプログラム記憶ブロック106から読み出し、読み出した通信規格専用プログラム116を実行することで、現設定パラメータ記憶ブロック104に記憶されている現設定パラメータ110に対応する通信規格での通信を実現する。
【0089】
現設定パラメータ記憶ブロック104に記憶されている現設定パラメータ110から特定される通信規格は、ICチップ52において現在設定されている通信規格である。つまり、CPU94が、現設定パラメータ記憶ブロック104に記憶されている現設定パラメータ110に対応する通信規格専用プログラム116を実行することで、ICチップ52は、現在設定されている通信規格でアンテナコイル60(図10参照)を介して非接触式読み書き装置50Aと通信を行うことが可能となる。
【0090】
一例として図13に示すように、非接触式読み書き装置50Aが磁界MFをアンテナコイル60に向けて放出することで非接触式読み書き装置50Aとアンテナコイル60とが電磁誘導により結合されると、CPU94は、プログラム記憶ブロック106からCM応答処理プログラム112を読み出し、読み出したCM応答処理プログラム112をRAM98上で実行する。CPU94は、RAM98上で実行するCM応答処理プログラム112に従ってCM応答処理(図30参照)を行う。詳しくは後述するが、CM応答処理は、非接触式読み書き装置50Aからの通信規格ポーリングコマンドに対してカートリッジメモリ19が応答する処理である。
【0091】
一例として図14に示すように、非接触式読み書き装置50Aとアンテナコイル60とが電磁誘導により結合されると、非接触式読み書き装置50Aは、通信規格ポーリングコマンドをカートリッジメモリ19に対して送信する。非接触式読み書き装置50Aは、通信規格が異なる第N通信規格ポーリングコマンドを順次に送信する。
【0092】
CM応答処理において、CPU94は、非接触式読み書き装置50Aから送信された通信規格ポーリングコマンドを、アンテナコイル60を介して受信する。また、CM応答処理において、CPU94は、現設定パラメータ記憶ブロック104から現設定パラメータ110を取得する。そして、CM応答処理において、CPU94は、アンテナコイル60を介して受信した通信規格ポーリングコマンドから特定される通信規格と現設定パラメータ110から特定される通信規格とが同一であれば、同一の通信規格、すなわち、カートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格を特定可能な通信規格特定情報を含む応答信号を生成し、生成した応答信号を、アンテナコイル60を介して非接触式読み書き装置50Aに送信する。また、CPU94は、アンテナコイル60を介して受信した通信規格ポーリングコマンドから特定される通信規格と現設定パラメータ110から特定される通信規格とが同一でなければ、非接触式読み書き装置50Aから通信規格ポーリングコマンドが送信されるのを待機する。なお、通信規格特定情報を含む応答信号は、本開示の技術に係る「レスポンス」の一例である。
【0093】
通信規格特定情報を含む応答信号がCPU94によってアンテナコイル60を介して非接触式読み書き装置50Aに送信されると、一例として図15に示すように、CM応答処理において、CPU94は、現設定パラメータ記憶ブロック104から取得した現設定パラメータ110に応じた通信規格専用プログラム116をプログラム記憶ブロック106から読み出し、読み出した通信規格専用プログラム116を実行する。これにより、CPU94は、アンテナコイル60を介して、現設定パラメータ110に応じた通信規格で非接触式読み書き装置50Aと通信を行う。すなわち、CPU94は、現設定パラメータ110に応じた通信規格に則って、非接触式読み書き装置50Aから送信されたコマンドを、アンテナコイル60を介して受信し、かつ、受信したコマンドに応じた応答信号を、アンテナコイル60を介して非接触式読み書き装置50Aに送信する。
【0094】
一例として図16に示すように、現設定パラメータ110に応じた通信規格に則ってCPU94と非接触式読み書き装置50Aとの間でアンテナコイル60を介した通信が確立されている状態で、非接触式読み書き装置50Aから現設定パラメータ書換コマンドが送信され、CPU94によってアンテナコイル60を介して現設定パラメータ書換コマンドが受信される。CPU94は、アンテナコイル60を介して現設定パラメータ書換コマンドを受信すると、プログラム記憶ブロック106から通信規格設定プログラム114を読み出し、読み出した通信規格設定プログラム114をRAM98上で実行する。CPU94は、RAM98上で実行する通信規格設定プログラム114に従って通信規格設定処理(図31参照)を行う。詳しくは後述するが、通信規格設定処理は、非接触式読み書き装置50Aからの要求に応じて、複数の通信規格のうちの1つをカートリッジメモリ19に対して設定する処理である。
【0095】
現設定パラメータ書換コマンドは、現設定パラメータ110として新たに設定される通信規格パラメータ108を指示する信号である。一例として図17に示すように、通信規格設定処理において、CPU94は、設定可能パラメータ記憶ブロック102から、現設定パラメータ書換コマンドに応じた通信規格パラメータ108を設定可能パラメータ記憶ブロック102から取得する。そして、通信規格設定処理において、CPU94は、設定可能パラメータ記憶ブロック102から取得した通信規格パラメータ108を現設定パラメータ記憶ブロック104に上書き保存することで、現設定パラメータ記憶ブロック104内の現設定パラメータ110を更新する。すなわち、現設定パラメータ記憶ブロック104内の現設定パラメータ110がCPU94によって新たな現設定パラメータ110に書き換えられることで現設定パラメータ記憶ブロック104内の現設定パラメータ110が更新される。
【0096】
現設定パラメータ記憶ブロック104に記憶されている現設定パラメータ110から特定される通信規格は、ICチップ52において現在設定されている通信規格である。ICチップ52の通信規格の設定は、現設定パラメータ記憶ブロック104内の現設定パラメータ110がCPU94によって書き換えられることで変更される。
【0097】
一例として図18に示すように、CPU94は、現設定パラメータ記憶ブロック104から現設定パラメータ110を取得する。そして、CPU94は、現設定パラメータ記憶ブロック104から取得した現設定パラメータ110に応じた通信規格専用プログラム116をプログラム記憶ブロック106から読み出し、読み出した通信規格専用プログラム116を実行する。CPU94は、現設定パラメータ110に応じた通信規格専用プログラム116を実行することで、現設定パラメータ110に応じた通信規格でアンテナコイル60を介して非接触式読み書き装置50Aと通信を行う。
【0098】
CPU94は、現設定パラメータ110に応じた通信規格でアンテナコイル60を介して非接触式読み書き装置50Aと通信することで、非接触式読み書き装置50Aから送信されたコマンドに対応する応答信号を非接触式読み書き装置50Aに送信する。具体的には、先ず、CPU94は、非接触式読み書き装置50Aから磁界MFを介して送信されたコマンドを、アンテナコイル60を用いて受信し、受信したコマンドをデコードする。そして、CPU94は、コマンドをデコードすることで得た指令に対応する応答信号を、現在設定されている通信規格を用いてアンテナコイル60から磁界MFを介して非接触式読み書き装置50に送信する。
【0099】
一例として図19に示すように、非接触式読み書き装置50Aは、送受信装置118、コンピュータ120、受付デバイス122、及びディスプレイ124を備えている。
【0100】
送受信装置118は、アンテナコイル126及び通信回路128を備えている。アンテナコイル126は、本開示の技術に係る「アンテナ」の一例である。通信回路128は、コンピュータ120に接続されており、コンピュータ120からの指示に従って動作する。通信回路128にはアンテナコイル126が接続されており、通信回路128は、コンピュータ120からの指示に従って、アンテナコイル126から磁界MFを放出する。磁界MFの強度は、コンピュータ120からの指示に従って通信回路128によって調整される。
【0101】
通信回路128は、コンピュータ120からの指示に従って磁界MF(図6及び図7も参照)にコマンドを重畳させることでカートリッジメモリ19にコマンドを送信する。また、通信回路128は、カートリッジメモリ19によって磁界MFに重畳された応答信号を、アンテナコイル126を介して受信し、受信した応答信号を復号してコンピュータ120に出力する。コンピュータ120は、通信回路128から入力された応答信号に従って動作する。
【0102】
コンピュータ120には、受付デバイス122及びディスプレイ124が接続されている。受付デバイス122は、ハードキー及び/又はタッチパネル等であり、非接触式読み書き装置50Aの使用者等(以下、単に「使用者等」とも称する)からの指示を受け付ける。コンピュータ120は、受付デバイス122によって受け付けられた指示に従って動作する。ディスプレイ124は、コンピュータ120の制御下で各種情報を表示する。ディスプレイ120の一例としては、ELディスプレイ又は液晶ディスプレイが挙げられる。なお、ここでは、情報を提示する具体的手段の一例としてディスプレイ120を例示しているが、これに限らず、ディスプレイ120に代えて、又は、ディスプレイ120と共に、スピーカ、バイブレータ、及び/又はプリンタ等を用いてもよく、使用者等に必要な情報を提示することが可能な提示装置であればよい。
【0103】
一例として図20に示すように、コンピュータ120は、CPU130、NVM132、及びRAM134を備えている。CPU130、NVM132、及びRAM134は、バス135に接続されている。
【0104】
CPU130は、本開示の技術に係る「プロセッサ」の一例であり、コンピュータ120の動作を制御する。NVM132の一例としては、EEPROMが挙げられる。EEPROMは、これはあくまでも一例に過ぎず、例えば、EEPROMに代えて強誘電体メモリであってもよく、非接触式読み書き装置50Aに搭載可能な不揮発性メモリであれば如何なるメモリであってもよい。RAM134は、各種情報を一時的に記憶し、ワークメモリとして用いられる。RAM134の一例としては、DRAM又はSRAM等が挙げられる。
【0105】
バス135には、受付デバイス122及びディスプレイ124も接続されている。従って、CPU130は、受付デバイス122によって受け付けられた指示を把握したり、ディスプレイ124を制御したりすることができる。また、バス135には、通信回路128を介して送受信装置118も接続されている。送受信装置118は、CPU130からの指示に従ってカートリッジメモリ19に対して磁界MF(図6及び図7も参照)を付与することでカートリッジメモリ19内に対して電力を誘起させ、かつ、カートリッジメモリ19のアンテナコイル60(図10及び図13図18参照)と電磁誘導により結合する。これにより、CPU130は、送受信装置118を介してカートリッジメモリ19との間で通信を行う。ここで、送受信装置118を介してCPU130とカートリッジメモリ19との間で行われる通信とは、例えば、上述したコマンドのカートリッジメモリ19への送信と、カートリッジメモリ19からの応答信号の受信とを指す。
【0106】
ところで、一般的に知られている磁気テープカートリッジに搭載されているカートリッジメモリと非接触式読み書き装置(いわゆる、リーダライタとも称されている装置)との間の無線通信で用いられる通信規格としては、ISO18092、ISO14443A、ISO14443B、及びISO15693等の複数の通信規格が存在する。
【0107】
しかし、複数の通信規格が存在するということは、製品別(例えば、従来の磁気テープカートリッジの種類毎)に通信規格が異なることもあり得るので、通信規格に対応するICチップをカートリッジメモリに搭載する必要が生じる。カートリッジメモリに用いられている複数の部品のうち、ICチップ以外の部品の大半(例えば、基板、ワイヤ、及び保護剤等)については、カートリッジメモリ間で同種のものを使用することができるものの、製品別にICチップを変えなければならなくなると、製造コストが増大してしまう。また、一般的に知られている非接触式読み書き装置についても同様のことが言える。すなわち、カートリッジメモリに対して設定されている通信規格が異なると、その都度、カートリッジメモリに対して設定されている通信規格に準拠した通信規格の非接触式読み書き装置を製造したり、設置したりしなければならず、やはり製造コストが増大してしまう。
【0108】
このような事情に鑑み、本実施形態に係る非接触式読み書き装置50Aは、複数の通信規格の各々で通信可能な装置とされており、複数の通信規格のうちのカートリッジメモリ19に対応する通信規格でカートリッジメモリ19と通信を行うようにしている。以下、このような通信を実現するための構成について詳しく説明する。
【0109】
一例として図21に示すように、NVM132は、設定可能パラメータ記憶ブロック136、現設定パラメータ記憶ブロック138、及びプログラム記憶ブロック140を含む複数の記憶ブロックを有する。
【0110】
設定可能パラメータ記憶ブロック136には、非接触式読み書き装置50Aにおいて設定可能な通信規格を特定可能な複数の通信規格パラメータ142が記憶されている。現設定パラメータ記憶ブロック138には、現設定パラメータ144が記憶されている。現設定パラメータ144は、複数の通信規格パラメータ142のうち、非接触式読み書き装置50Aにおいて現在設定されている通信規格に対応する通信規格パラメータ142である。なお、以下では、説明の便宜上、現設定パラメータ記憶ブロック138には、何らかの通信規格パラメータ142が現設定パラメータ144として記憶されていることを前提として説明する。
【0111】
プログラム記憶ブロック140には、通信規格適応処理プログラム146、通信規格変更指示処理プログラム148、及び複数の通信規格専用プログラム150が記憶されている。通信規格適応処理プログラム146は、本開示の技術に係る「プログラム」の一例である。
【0112】
複数の通信規格専用プログラム150は、複数の通信規格パラメータ142に1対1で対応している。CPU130は、現設定パラメータ記憶ブロック138に記憶されている現設定パラメータ144に対応する通信規格専用プログラム150をプログラム記憶ブロック140から読み出し、読み出した通信規格専用プログラム150を実行することで、現設定パラメータ記憶ブロック138に記憶されている現設定パラメータ144に対応する通信規格での通信を実現する。
【0113】
現設定パラメータ記憶ブロック138に記憶されている現設定パラメータ144から特定される通信規格は、非接触式読み書き装置50Aにおいて現在設定されている通信規格である。つまり、CPU130が、現設定パラメータ記憶ブロック138に記憶されている現設定パラメータ144に対応する通信規格専用プログラム150を実行することで、非接触式読み書き装置50Aは、現在設定されている通信規格でアンテナコイル126(図19及び図20参照)を介してカートリッジメモリ19と通信を行うことが可能となる。
【0114】
一例として図22に示すように、通信規格適応処理の実行開始の指示(図22に示す例では、「通信規格適応指示」)が受付デバイス122によって受け付けられると、CPU130は、プログラム記憶ブロック140から通信規格適応処理プログラム146を読み出し、読み出した通信規格適応処理プログラム146をRAM134上で実行する。CPU130は、RAM134上で実行する通信規格適応処理プログラム146に従って通信規格適応処理を行う。通信規格適応処理は、非接触式読み書き装置50Aに対して設定される通信規格を、カートリッジメモリ19に設定されている通信規格に適応させる処理である。なお、通信規格適応処理は、本開示の技術に係る「特定処理」の一例である。
【0115】
CPU130は、複数の通信規格の各々でカートリッジメモリ19と通信可能であり、通信規格適応処理を行うことで、複数の通信規格のうちのカートリッジメモリ19に対応する通信規格でカートリッジメモリ19と通信を行う。
【0116】
また、CPU130は、通信規格ポーリングコマンドをアンテナコイル126を介してカートリッジメモリ19に送信することでカートリッジメモリ19から得た応答信号に基づいて、複数の通信規格のうちのカートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格を特定する。そして、CPU130は、特定した通信規格でカートリッジメモリ19と通信を行う。以下、より詳しく説明する。
【0117】
一例として図23に示すように、通信規格適応処理において、先ず、CPU130は、送受信装置118に対して通信規格ポーリングコマンドをカートリッジメモリ19へ送信させる。ポーリングコマンドの送信は、上述したように、第1通信規格ポーリングコマンド、第2通信規格ポーリングコマンド、第3通信規格ポーリングコマンド、・・・・の順に行われる。そして、通信規格ポーリングコマンドがカートリッジメモリ19に送信されることに応じてカートリッジメモリから送信された応答信号が送受信装置118によって受信されると、CPU130は、送受信装置118によって受信された応答信号を送受信装置118から取得する。
【0118】
一例として図24に示すように、通信規格適応処理において、CPU130は、送受信装置118から取得した応答信号に含まれている通信規格特定情報から特定される通信規格を示す通信規格パラメータ142を設定可能パラメータ記憶ブロック136から取得する。そして、通信規格適応処理において、CPU130は、設定可能パラメータ記憶ブロック136から取得した通信規格パラメータ142を現設定パラメータ記憶ブロック138に上書き保存することで、現設定パラメータ記憶ブロック138内の現設定パラメータ144を更新する。すなわち、現設定パラメータ記憶ブロック138内の現設定パラメータ144がCPU130によって新たな現設定パラメータ144に書き換えられることで現設定パラメータ記憶ブロック138内の現設定パラメータ144が更新される。
【0119】
現設定パラメータ記憶ブロック138に記憶されている現設定パラメータ144から特定される通信規格は、非接触式読み書き装置50Aにおいて現在設定されている通信規格である。非接触式読み書き装置50Aの通信規格の設定は、現設定パラメータ記憶ブロック138内の現設定パラメータ144がCPU130によって書き換えられることで変更される。
【0120】
一例として図25に示すように、通信規格適応処理において、CPU130は、現設定パラメータ記憶ブロック138から現設定パラメータ144を取得する。そして、CPU130は、現設定パラメータ記憶ブロック138から取得した現設定パラメータ144に応じた通信規格専用プログラム150をプログラム記憶ブロック140から読み出し、読み出した通信規格専用プログラム150を実行する。CPU130は、現設定パラメータ144に応じた通信規格専用プログラム150を実行することで、現設定パラメータ144に応じた通信規格でアンテナコイル126を介してカートリッジメモリ19と通信を行う。
【0121】
CPU130は、現設定パラメータ144に応じた通信規格でアンテナコイル126を介してカートリッジメモリ19と通信することで、カートリッジメモリ19に対してコマンドを送信する。既述したように、カートリッジメモリ19は、非接触式読み書き装置50Aから磁界MFを介して送信されたコマンドを受信し、受信したコマンドをデコードする。そして、カートリッジメモリ19は、コマンドをデコードすることで得た指令に対応する応答信号を、現在設定されている通信規格で磁界MFを介して非接触式読み書き装置50に送信する。CPU130は、カートリッジメモリ19から磁界MFを介して送信された応答信号を、アンテナコイル126を介して受信する。
【0122】
一例として図26に示すように、通信規格を変更する指示(図26に示す例では、「通信規格変更指示」)が受付デバイス122によって受け付けられると、CPU130は、プログラム記憶ブロック140から通信規格変更指示処理プログラム148を読み出し、読み出した通信規格変更指示処理プログラム148をRAM134上で実行する。CPU130は、RAM134上で実行する通信規格変更指示処理プログラム148に従って通信規格変更指示処理を行う。なお、通信規格変更指示には、変更後の通信規格の指示(例えば、使用者等が要求する通信規格の指示)が含まれている。
【0123】
通信規格変更指示処理は、カートリッジメモリ19に対して通信規格の変更を指示する処理である。通信規格適応処理がCPU130によって実行されると、先ず、一例として図27に示すように、現設定パラメータ144(図25参照)に応じた通信規格でCPU130とカートリッジメモリ19との間での通信が行われる。すなわち、通信規格適応処理がCPU130によって実行されることで、複数の通信規格のうちのカートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格でCPU130とカートリッジメモリ19との間の通信が確立される。そして、CPU130とカートリッジメモリ19との間の通信が確立された状態で、通信規格変更指示処理において、CPU130は、既述の現設定パラメータ書換コマンドを、アンテナコイル126を介してカートリッジメモリ19に送信する。
【0124】
一例として図28に示すように、通信規格変更指示処理において、CPU130は、受付デバイス122によって受け付けられた通信規格変更指示に応じた通信規格に対応する通信規格パラメータ142を設定可能パラメータ記憶ブロック136から取得する。そして、通信規格変更指示処理において、CPU130は、設定可能パラメータ記憶ブロック136から取得した通信規格パラメータ142を現設定パラメータ記憶ブロック138に上書き保存することで、現設定パラメータ記憶ブロック138内の現設定パラメータ144を更新する。
【0125】
カートリッジメモリ19では、外部から与えられた指示、すなわち、現設定パラメータ書換コマンドに応じて複数の通信規格が選択的に設定される(図17参照)。磁気テープシステム2では、外部から与えられた指示に応じてカートリッジメモリ19に対して複数の通信規格が選択的に設定される場合、CPU130は、複数の通信規格のうち、カートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格でカートリッジメモリ19と通信を行う。
【0126】
このような通信を実現するために、一例として図29に示すように、通信規格変更指示処理において、CPU130は、現設定パラメータ記憶ブロック138から現設定パラメータ144を取得する。そして、CPU130は、現設定パラメータ記憶ブロック138から取得した現設定パラメータ144に応じた通信規格専用プログラム150をプログラム記憶ブロック140から読み出し、読み出した通信規格専用プログラム150を実行する。CPU130は、現設定パラメータ144に応じた通信規格専用プログラム150を実行することで、現設定パラメータ144に応じた通信規格でアンテナコイル126を介してカートリッジメモリ19と通信を行う。
【0127】
CPU130は、現設定パラメータ144に応じた通信規格でアンテナコイル126を介してカートリッジメモリ19と通信することで、カートリッジメモリ19に対してコマンドを送信する。既述したように、カートリッジメモリ19は、非接触式読み書き装置50Aから磁界MFを介して送信されたコマンドを受信し、受信したコマンドをデコードする。そして、カートリッジメモリ19は、コマンドをデコードすることで得た指令に対応する応答信号を、現在設定されている通信規格で磁界MFを介して非接触式読み書き装置50に送信する。CPU130は、カートリッジメモリ19から磁界MFを介して送信された応答信号を、アンテナコイル126を介して受信する。
【0128】
次に、磁気テープシステム2の作用について図30図33を参照しながら説明する。
【0129】
図30には、カートリッジメモリ19のCPU94によって実行されるCM応答処理の流れの一例がフローチャートで示されている。図31には、カートリッジメモリ19のCPU94によって実行される通信規格設定処理の流れの一例がフローチャートで示されている。図32には、非接触式読み書き装置50AのCPU130によって実行される通信規格適応処理の流れの一例がフローチャートで示されている。図32に示す通信規格適応処理の流れは、本開示の技術に係る「非接触式通信装置の動作方法」の一例である。図33には、非接触式読み書き装置50AのCPU130によって実行される通信規格変更指示処理の流れの一例がフローチャートで示されている。
【0130】
図30に示すCM応答処理では、先ず、ステップST10で、CPU94は、非接触式読み書き装置50Aから送信された通信規格ポーリングコマンド(図32に示すステップST60参照)がアンテナコイル60によって受信されたか否かを判定する。ステップST10において、非接触式読み書き装置50Aから送信された通信規格ポーリングコマンドがアンテナコイル60によって受信されていない場合は、判定が否定されて、ステップST10の判定が再び行われる。ステップST10において、非接触式読み書き装置50Aから送信された通信規格ポーリングコマンドがアンテナコイル60によって受信された場合は、判定が肯定されて、CM応答処理はステップST12へ移行する。
【0131】
ステップST12で、CPU94は、アンテナコイル60によって受信された通信規格ポーリングコマンドから特定される通信規格と、現設定パラメータ記憶ブロック104に記憶されている現設定パラメータ110から特定される通信規格とが同一であるか否かを判定する。ステップST12において、アンテナコイル60によって受信された通信規格ポーリングコマンドから特定される通信規格と、現設定パラメータ記憶ブロック104に記憶されている現設定パラメータ110から特定される通信規格とが異なる場合は、判定が否定されて、CM応答処理はステップST10へ移行する。ステップST12において、アンテナコイル60によって受信された通信規格ポーリングコマンドから特定される通信規格と、現設定パラメータ記憶ブロック104に記憶されている現設定パラメータ110から特定される通信規格とが同一の場合は、判定が肯定されて、CM応答処理はステップST14へ移行する。
【0132】
ステップST14で、CPU94は、現設定パラメータ記憶ブロック104から現設定パラメータ110を取得し、その後、CM応答処理はステップST16へ移行する。
【0133】
ステップST16で、CPU94は、ステップST14で取得した現設定パラメータ110から特定される通信規格を特定可能な通信規格特定情報を含む応答信号を生成し、その後、CM応答処理はステップST18へ移行する。
【0134】
ステップST18で、CPU94は、ステップST16で生成した応答信号を、アンテナコイル60を介して非接触式読み書き装置50Aに送信し、その後、CM応答処理はステップST20へ移行する。
【0135】
ステップST20で、CPU94は、ステップST14で取得した現設定パラメータ110に応じた通信規格専用プログラム116をプログラム記憶ブロック106から読み出し、読み出した通信規格専用プログラム116を実行する。CPU94は、通信規格専用プログラム116を実行することで、現設定パラメータ110に応じた通信規格で非接触式読み書き装置50Aと通信を行う。ステップST20の処理が実行された後、CM応答処理が終了する。
【0136】
図31に示す通信規格設定処理では、先ず、ステップST40で、CPU94は、非接触式読み書き装置50Aから送信された現設定パラメータ書換コマンド(図33に示すステップST80参照)がアンテナコイル60によって受信されたか否かを判定する。ステップST40において、非接触式読み書き装置50Aから送信された現設定パラメータ書換コマンドがアンテナコイル60によって受信されていない場合は、判定が否定されて、ステップST40の判定が再び行われる。ステップST40において、非接触式読み書き装置50Aから送信された現設定パラメータ書換コマンドがアンテナコイル60によって受信された場合は、判定が肯定されて、通信規格設定処理はステップST42へ移行する。
【0137】
ステップST42で、CPU94は、アンテナコイル60によって受信された現設定パラメータ書換コマンドに応じた通信規格パラメータ108を設定可能パラメータ記憶ブロック102から取得し、その後、通信規格設定処理はステップST44へ移行する。
【0138】
ステップST44で、CPU94は、ステップST42で取得した通信規格パラメータ108を現設定パラメータ記憶ブロック104に上書き保存することで、ステップST42で取得した通信規格パラメータ108を新たな現設定パラメータ110として設定し、その後、通信規格設定処理はステップST48へ移行する。
【0139】
ステップST46で、CPU94は、現設定パラメータ記憶ブロック104から現設定パラメータ110を取得し、その後、通信規格設定処理はステップST48へ移行する。
【0140】
ステップST48で、CPU94は、ステップST46で取得した現設定パラメータ110に応じた通信規格専用プログラム116をプログラム記憶ブロック106から読み出し、読み出した通信規格専用プログラム116を実行する。CPU94は、通信規格専用プログラム116を実行することで、現設定パラメータ110に応じた通信規格で非接触式読み書き装置50Aと通信を行う。ステップST48の処理が実行された後、通信規格設定処理が終了する。
【0141】
図32に示す通信規格適応処理では、先ず、ステップST60で、CPU130は、複数の通信規格に対応する複数の通信規格ポーリングコマンドのうち、未送信の通信規格ポーリングコマンドを、送受信装置118を介してカートリッジメモリ19へ送信し、その後、通信規格適応処理はステップST62へ移行する。
【0142】
ステップST62で、CPU130は、カートリッジメモリ19から送信された応答信号(図30に示すステップST18参照)が送受信装置118によって受信されたか否かを判定する。ステップST62において、カートリッジメモリ19から送信された応答信号が送受信装置118によって受信されていない場合は、判定が否定されて、通信規格適応処理はステップST64へ移行する。ステップST62において、カートリッジメモリ19から送信された応答信号が送受信装置118によって受信された場合は、判定が肯定されて、通信規格適応処理はステップST66へ移行する。
【0143】
ステップST64で、CPU130は、ステップST60の処理が実行されてから既定時間(例えば、数秒から数十秒の範囲内で予め指定された時間)が経過したか否かを判定する。ステップST64において、ステップST60の処理が実行されてから既定時間が経過していない場合は、判定が否定されて、通信規格適応処理はステップST62へ移行する。ステップST64において、ステップST60の処理が実行されてから既定時間が経過した場合は、判定が肯定されて、通信規格適応処理はステップST60へ移行する。
【0144】
ステップST66で、CPU130は、ステップST62で応答信号が送受信装置118によって受信された応答信号から通信規格特定情報を取得し、その後、通信規格適応処理はステップST68へ移行する。
【0145】
ステップST68で、CPU130は、ステップST66で取得した通信規格特定情報から特定される通信規格を示す通信規格パラメータ142を設定可能パラメータ記憶ブロック136から取得し、その後、通信規格適応処理はステップST70へ移行する。
【0146】
ステップST70で、CPU130は、ステップST68で取得した通信規格パラメータ142を現設定パラメータ記憶ブロック138に上書き保存することで、ステップST68で取得した通信規格パラメータ142を新たな現設定パラメータ144として設定し、その後、通信規格適応処理はステップST72へ移行する。
【0147】
ステップST72で、CPU130は、現設定パラメータ記憶ブロック138から現設定パラメータ144を取得し、その後、通信規格適応処理はステップST74へ移行する。
【0148】
ステップST74で、CPU130は、ステップST72で取得した現設定パラメータ144に応じた通信規格専用プログラム150をプログラム記憶ブロック140から読み出し、読み出した通信規格専用プログラム150を実行する。CPU130は、通信規格専用プログラム150を実行することで、現設定パラメータ144に応じた通信規格でカートリッジメモリ19と通信を行う。ステップST74の処理が実行された後、通信規格適応処理が終了する。
【0149】
図33に示す通信規格変更指示処理では、先ず、ステップST80で、CPU130は、受付デバイス122によって受け付けられた通信規格変更指示に応じて現設定パラメータ書換コマンドをカートリッジメモリ19へ送信する。ここで、現設定パラメータ書換コマンドとは、受付デバイス122によって受け付けられた通信規格変更指示に対応する通信規格を示す現設定パラメータ110への書き換えを指示する信号を指す。ステップST80の処理が実行された後、通信規格変更指示処理はステップST82へ移行する。
【0150】
ステップST82で、CPU130は、受付デバイス122によって受け付けられた通信規格変更指示に応じた通信規格パラメータ142を設定可能パラメータ記憶ブロック136から取得し、その後、通信規格変更指示処理はステップST84へ移行する。
【0151】
ステップST84で、CPU130は、ステップST82で取得した通信規格パラメータ142を現設定パラメータ記憶ブロック138に上書き保存することで、ステップST68で取得した通信規格パラメータ142を新たな現設定パラメータ144として設定し、その後、通信規格変更指示処理はステップST86へ移行する。
【0152】
ステップST86で、CPU130は、現設定パラメータ記憶ブロック138から現設定パラメータ144を取得し、その後、通信規格変更指示処理はステップST88へ移行する。
【0153】
ステップST88で、CPU130は、ステップST86で取得した現設定パラメータ144に応じた通信規格専用プログラム150をプログラム記憶ブロック140から読み出し、読み出した通信規格専用プログラム150を実行する。CPU130は、通信規格専用プログラム150を実行することで、現設定パラメータ144に応じた通信規格でカートリッジメモリ19と通信を行う。ステップST88の処理が実行された後、通信規格変更指示処理が終了する。
【0154】
以上説明したように、磁気テープシステム2では、非接触式読み書き装置50AのCPU130が複数の通信規格の各々で通信可能な装置とされており、複数の通信規格のうちのカートリッジメモリ19に対応する通信規格でカートリッジメモリ19と通信を行うようにしている。従って、本構成によれば、非接触式読み書き装置50Aが1つの通信規格のみを用いてカートリッジメモリ19と非接触式の通信を行う場合に比べ、非接触式読み書き装置50Aに対して、様々な通信規格のカートリッジメモリ19と非接触式の通信を行わせることができる。
【0155】
また、磁気テープシステム2では、非接触式読み書き装置50AのCPU130によって通信規格ポーリングコマンドがカートリッジメモリ19に送信されることでカートリッジメモリ19から得られた応答信号に基づいて、カートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格が特定され、特定された通信規格でカートリッジメモリ19と通信が行われるようにしている。従って、本構成によれば、カートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格を使用者等が事前に把握していなかったとしても、非接触式読み書き装置50Aに対して、カートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格でカートリッジメモリ19と非接触式の通信を行わせることができる。
【0156】
また、磁気テープシステム2では、応答信号に通信規格特定情報が含まれており、カートリッジメモリ19から送信された応答信号から通信規格特定情報が非接触式読み書き装置50AのCPU130によって取得される。そして、非接触式読み書き装置50AのCPU130は、通信規格特定情報から特定される通信規格でカートリッジメモリ19と通信を行うようにしている。従って、本構成によれば、非接触式読み書き装置50Aは、カートリッジメモリ19から送信された応答信号を用いて、カートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格を把握することができる。
【0157】
また、磁気テープシステム2では、非接触式読み書き装置50Aから送信された現設定パラメータ書換コマンドに応じてカートリッジメモリ19に対して複数の通信規格が選択的に設定される。この場合、非接触式読み書き装置50AのCPU130は、複数の通信規格のうち、カートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格でカートリッジメモリ19と通信を行うようにしている。従って、本構成によれば、非接触式読み書き装置50Aから送信された現設定パラメータ書換コマンドに応じてカートリッジメモリ19に対して複数の通信規格が選択的に設定される場合であっても、非接触式読み書き装置50Aに対して、カートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格でカートリッジメモリ19と非接触式の通信を行わせることができる。
【0158】
なお、上記実施形態では、応答信号に通信規格特定情報を含め、応答信号から取得された通信規格特定情報から特定される通信規格で通信が行われる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、通信規格ポーリングコマンドに対する応答信号が送受信装置118によって受信された場合に、受信された応答信号に対応する通信規格ポーリングコマンドから特定される通信規格でカートリッジメモリ19と非接触式読み書き装置50Aとの間の通信が行われるようにしてもよい。
【0159】
また、上記実施形態では、カートリッジメモリ19に対して複数の通信規格が選択的に設定可能な場合の形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されず、カートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格は1つの通信規格に固定されていてもよい。このような場合であっても、上記実施形態で説明した通信規格適応処理が非接触式読み書き装置50のCPU130によって実行されることで、非接触式読み書き装置50Aは、カートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格と同一の通信規格でカートリッジメモリ19と通信を行うことができる。
【0160】
また、上記実施形態では、非接触式読み書き装置50Aは、カートリッジメモリ19と通信を行うことで、カートリッジメモリ19から通信規格特定情報を取得し、取得した通信規格特定情報からカートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格を特定しているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、非接触式読み書き装置50AのCPU130は、磁気テープカートリッジ10に物理的に付与されている特徴であって、カートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格を特定可能な特徴を取得するようにしてもよい。この場合、非接触式読み書き装置50AのCPU130は、取得した特徴に基づいて複数の通信規格のうちのカートリッジメモリ19に対応する通信規格を特定し、特定した通信規格でカートリッジメモリ19と通信を行うようにすればよい。また、ここで、磁気テープカートリッジ10に物理的に付与されている特徴とは、例えば、磁気テープカートリッジ10の形状及び大きさのうちの少なくとも形状を指す。
【0161】
図34に示す例では、磁気テープカートリッジ10に付与されている特徴として、右壁12Aの右側及び下側が開口された直方体状の切り欠き12A1及び12A2が右壁12Aに形成されている。ここでは、切り欠き12A1及び12A2が例示されているが、切り欠きの形状、大きさ、及び個数のうちの少なくとも1つは、通信規格毎に異なっている。
【0162】
また、ここでは、右壁12Aに切り欠き12A1及び12A2が形成されている形態例を挙げているが、切り欠き12A1及び12A2はあくまでも一例に過ぎず、磁気テープカートリッジ10の外壁のうちの予め指定された位置に凹凸が形成されていればよい。なお、この場合も、凹凸の形状、大きさ、及び個数のうちの少なくともは、通信規格毎に異なっている。
【0163】
一例として図34に示すように、磁気テープドライブ30(図1及び図5参照)は、光学センサ152を備えている。光学センサ152は、本開示の技術に係る「物理的なセンサ」の一例である。光学センサ152は、右壁12Aの下方に配置されている。光学センサ152は、磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブ30に矢印A方向に沿って装填される過程で、切り欠き12A1及び12A2を光学的に検知する。なお、切り欠き12A1及び12A2の幾何学的な特徴を精度良く特定するためには、磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブ30に矢印A方向に沿って装填される速度は、一定の速度であることが好ましい。
【0164】
光学センサ152は、例えば、反射型のフォトセンサであり、切り欠き12A1及び12A2に向けて光を照射し、切り欠き12A1及び12A2を構成する面で反射された反射光の光量を検知する。ここでは、反射型のフォトセンサを例示しているが、これに限らず、透過型のフォトセンサであってもよいし、他のセンサであってもよい。
【0165】
光学センサ152は、制御装置38に接続されており、検知した光量を示す光量信号を制御装置38に出力する。制御装置38は、入力された光量信号に基づく凹凸特徴情報を非接触式読み書き装置50Aに出力する。凹凸特定情報は、例えば、光量信号の時系列である。光量信号の時系列は、磁気テープカートリッジ10に付与されている特徴、すなわち、切り欠き12A1及び12A2の大きさ、形状、及び間隔等を表している。
【0166】
NVM132には、通信規格テーブル154が記憶されている。通信規格テーブル154は、凹凸特定情報と通信規格とが対応付けられたテーブルである。すなわち、通信規格テーブル154では、複数の凹凸特定情報の各々に対して異なる通信規格が対応付けられている。
【0167】
非接触式読み書き装置50AのCPU130は、制御装置38から入力された凹凸特定情報に対応する通信規格を通信規格テーブル154から導出する。CPU130は、通信規格テーブル154から導出した通信規格を特定可能な通信規格特定情報を用いて通信規格適応処理を実行する。これにより、カートリッジメモリ19による非接触式読み書き装置50Aに対する通信規格特定情報の送信が不要となる。
【0168】
また、図34に示す例では、磁気テープカートリッジ10に対して切り欠き12A1及び12A2という物理的な特徴が付与された形態例が示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、磁気テープカートリッジ10に対して物理的に付与される特徴は、カートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格を特定可能なマークであってもよい。例えば、図35に示す例では、右壁12Aにマトリクス型二次元コード(例えば、QRコード(登録商標))156が貼り付けられている。マトリクス型二次元コード156には、通信規格特定情報が含まれている。
【0169】
一例として図35に示すように、磁気テープドライブ30(図1及び図5参照)は、QRコードリーダ158を備えている。QRコードリーダ158は、マトリクス型二次元コード156の貼り付け位置に対峙する箇所に配置されている。QRコードリーダ158は、磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブ30に装填されると、マトリクス型二次元コード156から通信規格特定情報を読み取る。
【0170】
QRコードリーダ158は、制御装置38に接続されており、非接触式読み書き装置50AのCPU130が、制御装置38を介してQRコードリーダ158から通信規格特定情報を取得し、取得した通信規格特定情報を用いて通信規格適応処理を実行する。
【0171】
なお、ここでは、非接触式読み書き装置50AのCPU130が、制御装置38を介してQRコードリーダ158から通信規格特定情報を取得する形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されず、QRコードリーダ158が非接触式読み書き装置50Aに直接接続されており、非接触式読み書き装置50AのCPU130が制御装置38を介さずにQRコードリーダ158から通信規格特定情報を直接取得するようにしてもよい。
【0172】
このように、磁気テープカートリッジ10に対して物理的に付与される特徴としてマトリクス型二次元コード156を用いることで、カートリッジメモリ19による非接触式読み書き装置50Aに対する通信規格特定情報の送信が不要となる。
【0173】
なお、図35に示す例では、マトリクス型二次元コード156が示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、二次元バーコード、及び/又は、通信規格を特定可能な何らかの画像又は記号等であってもよい。
【0174】
また、上記実施形態では、CPU130によって通信規格適応処理及び通信規格変更指示処理等を含む各種処理が実行される形態例を挙げて説明したが、非接触式読み書き装置50Aと通信可能な外部装置のプロセッサ(例えば、制御装置38又は制御装置38以外のプロセッサ等)を非接触式読み書き装置50Aのハードウェア資源として、CPU130と共に、又は、CPU130に代えて用いるようにしてもよい。
【0175】
また、上記実施形態では、磁気テープドライブ30が、磁気テープカートリッジ10から磁気テープMTを引き出し、引き出した磁気テープMTに磁気ヘッド36を用いてデータを記録し、かつ、引き出した磁気テープMTから磁気ヘッド36を用いてデータを読み取る形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、磁気テープカートリッジ10から磁気テープMTを引き出した磁気テープMTに対してデータの記録又は読取のみが行われる磁気ヘッド(図示省略)が用いられてもよい。
【0176】
また、上記実施形態では、非接触式読み書き装置50Aが磁気テープドライブ30に搭載されている態様例が示されているが、本開示の技術はこれに限定されない。磁気テープカートリッジ10が製造される段階、磁気テープカートリッジ10が検品される段階、磁気テープカートリッジ10が診断される段階、磁気テープカートリッジ10の生産管理(例えば、磁気テープカートリッジ10が複数の製造工程を通過した履歴の管理)が行われる段階、又は磁気テープカートリッジ10が出荷される段階では、一例として図36に示すように、非接触式読み書き装置50Bが使用される。この場合、磁気テープカートリッジ10が製造される段階、磁気テープカートリッジ10が検品される段階、磁気テープカートリッジ10が診断される段階、磁気テープカートリッジ10の生産管理(例えば、磁気テープカートリッジ10が複数の製造工程を通過した履歴の管理)が行われる段階、又は磁気テープカートリッジ10が出荷される段階でも、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0177】
なお、非接触式読み書き装置50Bは、本開示の技術に係る「非接触式通信装置」、「磁気テープカートリッジの検品用のリーダライタ」、「磁気テープカートリッジの診断用のリーダライタ」、「磁気テープカートリッジの生産管理用のリーダライタ」、及び「磁気テープカートリッジが複数の製造工程を通過した履歴の管理に用いられるリーダライタ」の一例であり、例えば、据え置き型又は携帯型のリーダライタである。
【0178】
図36に示す例では、上下方向に重ねられた複数の磁気テープカートリッジ10がプラスチックフィルムでシュリンクされたパッケージ200内の各磁気テープカートリッジ10のカートリッジメモリ19と非接触式読み書き装置50Bとの間で情報の送受信が行われる。カートリッジメモリ19と非接触式読み書き装置50Bとの間の情報の送受信は、磁気テープカートリッジ10の後側において複数の磁気テープカートリッジ10が重ねられた方向に沿って非接触式読み書き装置50Bを移動させながら行われる。この場合、例えば、非接触式読み書き装置50Bは、磁界MFのオンとオフとを繰り返しながら磁気テープカートリッジ10の各々に対して磁界MFを順次に放出することで、カートリッジメモリ19との間で情報の送受信を行う。
【0179】
また、上記実施形態では、非接触式読み書き装置50Aにおいて、現設定パラメータ記憶ブロック138の現設定パラメータ144が更新されることで、複数の通信規格が選択的に設定されるようにしているが、本開示の技術はこれに限定されない。非接触式読み書き装置50AのCPU130は、複数の通信規格のうちのカートリッジメモリ19に対する通信で用いられる通信規格を、外部から与えられた指示に従って固定するようにしてもよい。
【0180】
この場合、例えば、図37に示すように、現設定パラメータ144を固定する指示(図37に示す例では「パラメータ固定指示」)が受付デバイス122によって受け付けられると、CPU130は、パラメータ固定指示(本開示の技術に係る「外部から与えられた指示」の一例)に従って現設定パラメータ144を現設定パラメータ記憶ブロック138に固定することで、現時点で設定されている通信規格を変更不可な状態に固定する。これにより、使用者等が意図しない通信規格に変更されることを回避することができる。
【0181】
また、非接触式読み書き装置50AのCPU130が、カートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格を固定する指示(通信規格固定指示)をカートリッジメモリ19に与えることで、カートリッジメモリ19の現設定パラメータ110がカートリッジメモリ19のCPU94によって現設定パラメータ記憶ブロック104に固定されるようにしてもよい。このように、現設定パラメータ110が現設定パラメータ記憶ブロック104に固定されることによって、カートリッジメモリ19に対して設定されている通信規格が変更不可な状態に固定される。
【0182】
また、非接触式読み書き装置50Aの現設定パラメータ144が固定された状態、及びカートリッジメモリ19の現設定パラメータ110が固定された状態のうちの少なくとも一方が、外部から与えられた指示、又は、予め定められた条件に応じて解除されたり、固定された状態が維持されたりするようにしてもよい。
【0183】
予め定められた条件の第1の例としては、磁界MFの強度が閾値を下回ったという条件が挙げられる。この場合、例えば、電源回路82によって生成される電力が電力測定回路(図示省略)によって測定され、測定された電力が閾値を下回ったことを条件に、非接触式読み書き装置50AのCPU130が、現設定パラメータ144の固定状態を解除し、カートリッジメモリ19のCPU94が、現設定パラメータ110の固定状態を解除するようにしてもよい。逆に、測定された電力が閾値以上になったことを条件に、非接触式読み書き装置50AのCPU130が、現設定パラメータ144を固定し、カートリッジメモリ19のCPU94が、現設定パラメータ110を固定するようにしてもよい。閾値は、固定値であってもよいし、与えられた指示(例えば、受付デバイス122によって受け付けられた指示)又は事前に与えられた条件(例えば、非接触式読み書き装置50Aの設置場所及び/又は使用状況等)に応じて変更される可変値であってもよい。
【0184】
予め定められた条件の第2の例としては、磁気テープカートリッジ10が予め定められた段階に入ったという条件が挙げられる。予め定められた段階とは、例えば、磁気テープカートリッジ10が製造される段階、磁気テープカートリッジ10が検品される段階、磁気テープカートリッジ10が診断される段階、磁気テープカートリッジ10の生産管理(例えば、磁気テープカートリッジ10が複数の製造工程を通過した履歴の管理)が行われる段階、磁気テープカートリッジ10が出荷される段階、又は、磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブ30に装填された段階が挙げられる。
【0185】
また、外部から与えられた指示に従ってカートリッジメモリ19のCPU94によってフラグ(カートリッジメモリ側固定フラグ)が設定された場合に限り、カートリッジメモリ19に対して設定される通信規格の固定が許可されるようにしてもよいし、外部から与えられた指示に従って非接触式読み書き装置50AのCPU140によってフラグ(非接触式読み書き装置側固定フラグ)が設定された場合に限り、非接触式読み書き装置50Aに対して設定される通信規格の固定が許可されるようにしてもよい。
【0186】
また、外部から与えられた指示に従ってカートリッジメモリ19のCPU94によってフラグ(カートリッジメモリ側解除フラグ)が設定された場合に限り、カートリッジメモリ19に対して設定された通信規格の固定状態の解除が許可されるようにしてもよいし、外部から与えられた指示に従って非接触式読み書き装置50AのCPU140によってフラグ(非接触式読み書き装置側解除フラグ)が設定された場合に限り、非接触式読み書き装置50Aに対して設定された通信規格の固定状態の解除が許可されるようにしてもよい。
【0187】
また、非接触式読み書き装置50AのCPU130は、通信規格に関わらず磁界MFの強度を一定にするのではなく、磁界MFの強度を、設定される通信規格毎に異ならせるようにしてもよい。
【0188】
また、上記実施形態では、NVM132に通信規格適応処理プログラム146及び通信規格変更指示処理プログラム148(以下、これらを特に区別する必要がない場合は、符号を付さず「プログラム」と称する)が記憶されている形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図38に示すように、プログラムが記憶媒体300に記憶されていてもよい。記憶媒体300は、非一時的記憶媒体である。記憶媒体300の一例としては、SSD又はUSBメモリなどの任意の可搬型の記憶媒体が挙げられる。
【0189】
記憶媒体300に記憶されているプログラムは、コンピュータ120にインストールされる。CPU130は、プログラムに従って通信規格適応処理及び通信規格変更指示処理(以下、これらを特に区別する必要がない場合は、「非接触式読み書き装置側処理」と称する)を実行する。図38に示す例では、CPU130は、単数のCPUであるが、複数のCPUであってもよい。
【0190】
また、通信網(図示省略)を介してコンピュータ120に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶装置にプログラムを記憶させておき、カートリッジメモリ19からの要求に応じてプログラムがダウンロードされ、コンピュータ120にインストールされるようにしてもよい。
【0191】
図38に示す例では、コンピュータ120が例示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、コンピュータ120に代えて、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、コンピュータ120に代えて、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせを用いてもよい。
【0192】
非接触式読み書き装置側処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、非接触式読み書き装置側処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで非接触式読み書き装置側処理を実行する。
【0193】
非接触式読み書き装置側処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、非接触式読み書き装置側処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0194】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、非接触式読み書き装置側処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、非接触式読み書き装置側処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、非接触式読み書き装置側処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0195】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の支援処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0196】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0197】
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0198】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0199】
2 磁気テープシステム
10 磁気テープカートリッジ
12 ケース
12A 右壁
12A1,12A2 切り欠き
12B 開口
14 上ケース
14A 天板
14A1 内面
16 下ケース
16A 底板
16A1 基準面
16B 後壁
18 カートリッジリール
18A リールハブ
18B1 上フランジ
18B2 下フランジ
19 カートリッジメモリ
20 支持部材
20A 第1傾斜台
20A1,20B1 傾斜面
20B 第2傾斜台
22 位置規制リブ
24 リブ
24A 先端面
26 基板
26A 裏面
26B 表面
30 磁気テープドライブ
34 搬送装置
36 磁気ヘッド
38 制御装置
40 送出モータ
42 巻取リール
44 巻取モータ
46 磁気素子ユニット
48 ホルダ
50A,50B 非接触式読み書き装置
51A,51B 磁化領域
52 ICチップ
54 コンデンサ
54A,54B 電極
56 封止材
60,126 アンテナコイル
62A 第1導通部
62B 第2導通部
64A,64B,64C,64D 配線
70 電力生成器
80 内蔵コンデンサ
82 電源回路
84 コンピュータ
86 クロック信号生成器
88 信号処理回路
92 共振回路
94,130 CPU
96,132 NVM
98,134 RAM
99,135 バス
102,136 設定可能パラメータ記憶ブロック
104,138 現設定パラメータ記憶ブロック
106,140 プログラム記憶ブロック
108,142 通信規格パラメータ
110,144 現設定パラメータ
112 CM応答処理プログラム
114 通信規格設定プログラム
116,150 通信規格専用プログラム
118 送受信装置
120 コンピュータ
122 受付デバイス
124 ディスプレイ
128 通信回路
146 通信規格適応処理プログラム
148 通信規格変更指示処理プログラム
152 光学センサ
154 通信規格テーブル
156 マトリクス型二次元コード
MF 磁界
θ 傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
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図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38