(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056142
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20220401BHJP
【FI】
H01L29/78 301S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020163986
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 徹
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AA25
5F140AA39
5F140BA01
5F140BC06
5F140BE07
5F140BE10
5F140BF04
5F140BG08
5F140BG12
5F140BG28
5F140BH43
5F140BH45
5F140BJ08
5F140BJ11
5F140BJ17
5F140BK13
5F140BK34
5F140CB08
5F140CC01
5F140CC07
5F140CC08
5F140CC12
5F140CE07
(57)【要約】
【課題】浅溝素子分離構造を有する場合に、素子のサイズを大きくすることなく、高耐圧化する。
【解決手段】半導体装置10は、第1不純物拡散領域13A内に設けられ、ソース領域14Aからドレイン領域14Bに向かう方向と交差する方向に帯状に延在し、かつ、上面が相互に連結された複数のチャネル分離帯19Aと、複数のチャネル分離帯19Aによって分離された複数のチャネル領域20Aと、を含む第1素子分離部18Aと、第2不純物拡散領域13B内に設けられ、ソース領域14Aからドレイン領域14Bに向かう方向と交差する方向に帯状に延在し、かつ、上面が相互に連結された複数のチャネル分離帯19Bと、複数のチャネル分離帯19Bによって分離された複数のチャネル領域20Bと、を含む第2素子分離部18Bと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の上に設けられた前記第1導電型のウェル層であって、前記第1導電型とは異なる第2導電型の第1不純物拡散領域と、前記第1不純物拡散領域と離れて設けられた前記第2導電型の第2不純物拡散領域と、を含む前記ウェル層と、
前記第1不純物拡散領域内に設けられ、かつ、前記第1不純物拡散領域よりも前記第2導電型の不純物の濃度が高い前記第2導電型の不純物拡散領域として表されるソース領域と、
前記第2不純物拡散領域内に設けられ、かつ、前記第2不純物拡散領域よりも前記第2導電型の不純物の濃度が高い前記第2導電型の不純物拡散領域として表されるドレイン領域と、
前記ウェル層の上に設けられ、かつ、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に設けられたゲート電極と、
前記第1不純物拡散領域内に設けられた第1素子分離部であって、前記ソース領域から前記ドレイン領域に向かう方向と交差する方向に帯状に延在し、かつ、上面が相互に連結された複数のチャネル分離帯と、前記複数のチャネル分離帯によって分離された複数のチャネル領域と、を含む前記第1素子分離部と、
前記第2不純物拡散領域内に設けられた第2素子分離部であって、前記ソース領域から前記ドレイン領域に向かう方向と交差する方向に帯状に延在し、かつ、上面が相互に連結された複数のチャネル分離帯と、前記複数のチャネル分離帯によって分離された複数のチャネル領域と、を含む前記第2素子分離部と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記第1素子分離部に含まれる前記複数のチャネル領域の幅は、下に向かうほど広くなり、
前記第2素子分離部に含まれる前記複数のチャネル領域の幅は、下に向かうほど広くなる
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1素子分離部に含まれる前記複数のチャネル分離帯の上面は、シリコン酸化物によって連結され、
前記第2素子分離部に含まれる前記複数のチャネル分離帯の上面は、シリコン酸化物によって連結される
請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の上に設けられた前記第1導電型のウェル層であって、前記第1導電型とは異なる第2導電型の第1不純物拡散領域と、前記第1不純物拡散領域と離れて設けられた前記第2導電型の第2不純物拡散領域と、を含む前記ウェル層と、
前記第1不純物拡散領域内に設けられ、かつ、前記第1不純物拡散領域よりも前記第2導電型の不純物の濃度が高い前記第2導電型の不純物拡散領域として表されるソース領域と、
前記第2不純物拡散領域内に設けられ、かつ、前記第2不純物拡散領域よりも前記第2導電型の不純物の濃度が高い前記第2導電型の不純物拡散領域として表されるドレイン領域と、
前記ウェル層の上に設けられ、かつ、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に設けられたゲート電極と、
前記第1不純物拡散領域内に設けられた第1素子分離部であって、前記ソース領域から前記ドレイン領域に向かう方向と交差する方向に帯状に延在し、かつ、底面に凹凸が形成されたチャネル分離帯と、前記底面の凹凸によって分離された複数のチャネル領域と、を含む前記第1素子分離部と、
前記第2不純物拡散領域内に設けられた第2素子分離部であって、前記ソース領域から前記ドレイン領域に向かう方向と交差する方向に帯状に延在し、かつ、底面に凹凸が形成されたチャネル分離帯と、前記底面の凹凸によって分離された複数のチャネル領域と、を含む前記第2素子分離部と、
を備えた半導体装置。
【請求項5】
第1導電型の半導体基板の上に、前記第1導電型とは異なる第2導電型の第1不純物拡散領域と、前記第1不純物拡散領域と離れて設けられた前記第2導電型の第2不純物拡散領域と、を含む前記第1導電型のウェル層を形成する工程と、
前記第1不純物拡散領域内に、前記第1不純物拡散領域から前記第2不純物拡散領域に向かう方向と交差する方向に帯状に延在し、かつ、上面が相互に連結された複数のチャネル分離帯と、前記複数のチャネル分離帯によって分離された複数のチャネル領域と、を含む第1素子分離部を形成する工程と、
前記第2不純物拡散領域内に、前記第1不純物拡散領域から前記第2不純物拡散領域に向かう方向と交差する方向に帯状に延在し、かつ、上面が相互に連結された複数のチャネル分離帯と、前記複数のチャネル分離帯によって分離された複数のチャネル領域と、を含む第2素子分離部を形成する工程と、
前記ウェル層の上に、前記第1素子分離部の一部と前記第2素子分離部の一部とに重なるようにゲート電極を形成する工程と、
前記第1不純物拡散領域内の前記ゲート電極の一端側に、前記第1素子分離部を内側にして、前記第1不純物拡散領域よりも前記第2導電型の不純物の濃度が高い前記第2導電型の不純物拡散領域として表されるソース領域を形成する工程と、
前記第2不純物拡散領域内の前記ゲート電極の他端側に、前記第2素子分離部を内側にして、前記第2不純物拡散領域よりも前記第2導電型の不純物の濃度が高い前記第2導電型の不純物拡散領域として表されるドレイン領域を形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高集積化に伴い、素子分離も微細化が必要とされている。隣接する素子間のリーク電流を防止すると共に、耐圧を確保するための素子分離構造の一つとして、浅溝素子分離構造(Shallow Trench Isolation:STI)が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、浅溝素子分離領域により素子分離された素子形成領域に設けられたMISFETを備えた半導体装置が記載されている。このMISFETは、素子形成領域内に浅溝素子分離領域から離隔して帯状に形成された浅溝素子分離帯によって相互に分離されて延在する複数本のチャネルと、複数本の各チャネルの一方の端部に共通に設けられたソース領域及びソース電極と、複数本の各チャネルの他方の端部に共通に設けられたドレイン領域及びドレイン電極と、浅溝素子分離帯を横断して各チャネル上に形成された共通のゲート電極と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の浅溝素子分離構造では、ゲート電極の短手方向に延在する複数の浅溝素子分離帯が配置されている。つまり、複数の浅溝素子分離帯は、ソース電極からドレイン電極に向かう方向と交差する方向に延在するものではない。また、複数の浅溝素子分離帯の上面は、互いに分離されており、連結されていない。このため、複数の浅溝素子分離帯を経由しても、ソース-ドレイン間の電圧に対して高耐圧化することはできない。
【0006】
また、N-型又はP-型の不純物拡散層の中に、ソース電極からドレイン電極に向かう方向と交差する方向に延在する1つの浅溝素子分離帯が設けられている場合、この1つの浅溝素子分離帯を経由することでドレイン電圧が緩和され、ある程度の高耐圧化が可能とされる。しかしながら、より高耐圧化するためには、この浅溝素子分離帯の幅を広げなくてはならず、素子のサイズが大きくなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、浅溝素子分離構造を有する場合に、素子のサイズを大きくすることなく、高耐圧化することができる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る半導体装置は、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の上に設けられた前記第1導電型のウェル層であって、前記第1導電型とは異なる第2導電型の第1不純物拡散領域と、前記第1不純物拡散領域と離れて設けられた前記第2導電型の第2不純物拡散領域と、を含む前記ウェル層と、前記第1不純物拡散領域内に設けられ、かつ、前記第1不純物拡散領域よりも前記第2導電型の不純物の濃度が高い前記第2導電型の不純物拡散領域として表されるソース領域と、前記第2不純物拡散領域内に設けられ、かつ、前記第2不純物拡散領域よりも前記第2導電型の不純物の濃度が高い前記第2導電型の不純物拡散領域として表されるドレイン領域と、前記ウェル層の上に設けられ、かつ、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に設けられたゲート電極と、前記第1不純物拡散領域内に設けられた第1素子分離部であって、前記ソース領域から前記ドレイン領域に向かう方向と交差する方向に帯状に延在し、かつ、上面が相互に連結された複数のチャネル分離帯と、前記複数のチャネル分離帯によって分離された複数のチャネル領域と、を含む前記第1素子分離部と、前記第2不純物拡散領域内に設けられた第2素子分離部であって、前記ソース領域から前記ドレイン領域に向かう方向と交差する方向に帯状に延在し、かつ、上面が相互に連結された複数のチャネル分離帯と、前記複数のチャネル分離帯によって分離された複数のチャネル領域と、を含む前記第2素子分離部と、を備えている。
【0009】
更に、上記課題を解決するために、本発明に係る半導体装置は、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の上に設けられた前記第1導電型のウェル層であって、前記第1導電型とは異なる第2導電型の第1不純物拡散領域と、前記第1不純物拡散領域と離れて設けられた前記第2導電型の第2不純物拡散領域と、を含む前記ウェル層と、前記第1不純物拡散領域内に設けられ、かつ、前記第1不純物拡散領域よりも前記第2導電型の不純物の濃度が高い前記第2導電型の不純物拡散領域として表されるソース領域と、前記第2不純物拡散領域内に設けられ、かつ、前記第2不純物拡散領域よりも前記第2導電型の不純物の濃度が高い前記第2導電型の不純物拡散領域として表されるドレイン領域と、前記ウェル層の上に設けられ、かつ、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に設けられたゲート電極と、前記第1不純物拡散領域内に設けられた第1素子分離部であって、前記ソース領域から前記ドレイン領域に向かう方向と交差する方向に帯状に延在し、かつ、底面に凹凸が形成されたチャネル分離帯と、前記底面の凹凸によって分離された複数のチャネル領域と、を含む前記第1素子分離部と、前記第2不純物拡散領域内に設けられた第2素子分離部であって、前記ソース領域から前記ドレイン領域に向かう方向と交差する方向に帯状に延在し、かつ、底面に凹凸が形成されたチャネル分離帯と、前記底面の凹凸によって分離された複数のチャネル領域と、を含む前記第2素子分離部と、を備えている。
【0010】
更に、上記課題を解決するために、本発明に係る半導体装置の製造方法は、第1導電型の半導体基板の上に、前記第1導電型とは異なる第2導電型の第1不純物拡散領域と、前記第1不純物拡散領域と離れて設けられた前記第2導電型の第2不純物拡散領域と、を含む前記第1導電型のウェル層を形成する工程と、前記第1不純物拡散領域内に、前記第1不純物拡散領域から前記第2不純物拡散領域に向かう方向と交差する方向に帯状に延在し、かつ、上面が相互に連結された複数のチャネル分離帯と、前記複数のチャネル分離帯によって分離された複数のチャネル領域と、を含む第1素子分離部を形成する工程と、前記第2不純物拡散領域内に、前記第1不純物拡散領域から前記第2不純物拡散領域に向かう方向と交差する方向に帯状に延在し、かつ、上面が相互に連結された複数のチャネル分離帯と、前記複数のチャネル分離帯によって分離された複数のチャネル領域と、を含む第2素子分離部を形成する工程と、前記ウェル層の上に、前記第1素子分離部の一部と前記第2素子分離部の一部とに重なるようにゲート電極を形成する工程と、前記第1不純物拡散領域内の前記ゲート電極の一端側に、前記第1素子分離部を内側にして、前記第1不純物拡散領域よりも前記第2導電型の不純物の濃度が高い前記第2導電型の不純物拡散領域として表されるソース領域を形成する工程と、前記第2不純物拡散領域内の前記ゲート電極の他端側に、前記第2素子分離部を内側にして、前記第2不純物拡散領域よりも前記第2導電型の不純物の濃度が高い前記第2導電型の不純物拡散領域として表されるドレイン領域を形成する工程と、を含んでいる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、浅溝素子分離構造を有する場合に、素子のサイズを大きくすることなく、高耐圧化することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(A)は第1の実施形態に係る半導体装置の構成の一例を示す断面図である。(B)は第1の実施形態に係る半導体装置10の構成の一例を示す平面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る第1素子分離部の近傍を示す断面図である。
【
図3】(A)は比較例に係る半導体装置の構成の一例を示す断面図である。(B)は比較例に係る半導体装置の構成の一例を示す平面図である。
【
図4】(A)及び(B)は第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
【
図5】(A)、(B)、及び(C)は第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を示す断面図であり、
図4(B)の続きである。
【
図6】第2の実施形態に係る半導体装置の要部構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1(A)は、第1の実施形態に係る半導体装置10の構成の一例を示す断面図である。
図1(B)は、第1の実施形態に係る半導体装置10の構成の一例を示す平面図である。
【0015】
なお、本実施形態に係る半導体装置10において、第1導電型がP型を表す場合、第2導電型はN型を表し、第1導電型がN型を表す場合、第2導電型はP型を表すものとする。また、X方向は装置の幅方向を表し、Y方向は装置の奥行方向を表し、Z方向は装置の高さ方向を表すものとする。
【0016】
図1(A)及び
図1(B)に示すように、本実施形態に係る半導体装置10は、半導体基板11、ウェル層12、ソース領域14A、ドレイン領域14B、ゲート電極16、ゲート酸化膜17、第1素子分離部18A、及び第2素子分離部18Bを備える。なお、本実施形態では、Nチャネル型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect-Transistor)を例示して説明するが、Pチャネル型MOSFETであっても同様に適用される。
【0017】
半導体基板11には、P型の不純物を含むシリコン基板が用いられる。P型の不純物には、例えば、B(ボロン)等が用いられる。
【0018】
ウェル層12は、半導体基板11の上に設けられている。ウェル層12は、半導体基板11に、イオン化したP型の不純物を注入した後で熱処理することで形成される、P型の不純物の濃度が高いウェル層である。ウェル層12には、第1不純物拡散領域13Aと、第2不純物拡散領域13Bと、が含まれている。
【0019】
第1不純物拡散領域13Aは、ウェル層12に、イオン化したN型の不純物を注入した後で熱処理することで形成される、N型の不純物を含む領域である。N型の不純物には、例えば、P(リン)等が用いられる。第2不純物拡散領域13Bは、第1不純物拡散領域13Aと離れて設けられている。第2不純物拡散領域13Bは、第1不純物拡散領域13Aと同様に、ウェル層12に、イオン化したN型の不純物を注入した後で熱処理することで形成される、N型の不純物を含む領域である。
【0020】
第1不純物拡散領域13Aには、ソース領域14Aが設けられている。ソース領域14Aは、ソース電極が形成される領域であり、第1不純物拡散領域13AよりもN型の不純物の濃度が高いN型の不純物拡散領域である。つまり、第1不純物拡散領域13Aは、N-拡散領域であり、ソース領域14Aは、N+拡散領域である。ソース領域14Aの上面にはコンタクト30Aが設けられている。
【0021】
第2不純物拡散領域13Bには、ドレイン領域14Bが設けられている。ドレイン領域14Bは、ドレイン電極が形成される領域であり、第2不純物拡散領域13BよりもN型の不純物の濃度が高いN型の不純物拡散領域である。つまり、第2不純物拡散領域13Bは、N-拡散領域であり、ドレイン領域14Bは、N+拡散領域である。ドレイン領域14Bの上面にはコンタクト30Bが設けられている。
【0022】
ゲート電極16は、ウェル層12の上に設けられ、かつ、ソース領域14Aとドレイン領域14Bとの間に設けられている。ゲート電極16とウェル層12との間には、ゲート酸化膜17が設けられている。ゲート酸化膜17は、例えば、ウェル層12のシリコンを熱酸化することにより形成してもよく、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法によりNSG(Non doped Silicate Glass:シリコン酸化物)膜を堆積することにより形成してもよい。ゲート電極16は、ゲート酸化膜17を覆うように、CVD法によりポリシリコンを堆積してポリシリコン膜を形成し、ポリシリコン膜をパターニングすることで形成される。ゲート酸化膜17の直下は、ゲート電極16のアクティブチャネル領域とされる。
【0023】
また、ウェル層12の両端部には、公知のDTI(Deep Trench Isolation)プロセスを用いて、領域分離部23A及び領域分離部23Bが設けられている。領域分離部23A及び領域分離部23Bの各々は、先端が半導体基板11に到達する深さのディープ・トレンチにシリコン酸化物(SiO2)等の絶縁体が埋め込まれて形成される。これらの領域分離部23A及び領域分離部23Bの各々により隣接する領域間が分離される。
【0024】
ウェル層12は、ソース領域14Aと領域分離部23Aとの間に、P型の不純物の濃度が高いP+拡散領域15Aが設けられている。また、ソース領域14AとP+拡散領域15Aとの間には素子分離部21Aが設けられ、P+拡散領域15Aと領域分離部23Aとの間には素子分離部22Aが設けられている。これらの素子分離部21A及び素子分離部22Aは、公知のSTIプロセスを用いて、シャロウ・トレンチにシリコン酸化物(SiO2)等の絶縁体が埋め込まれて形成される。ウェル層12は、ドレイン領域14Bと領域分離部23Bとの間に、P型の不純物の濃度が高いP+拡散領域15Bが設けられている。また、ドレイン領域14BとP+拡散領域15Bとの間には素子分離部21Bが設けられ、P+拡散領域15Bと領域分離部23Bとの間には素子分離部22Bが設けられている。これらの素子分離部21B及び素子分離部22Bは、公知のSTIプロセスを用いて、シャロウ・トレンチにシリコン酸化物(SiO2)等の絶縁体が埋め込まれて形成される。
【0025】
第1素子分離部18Aは、第1不純物拡散領域13Aにおけるソース領域14Aのゲート電極16側に設けられている。第1素子分離部18Aは、ソース領域14Aからドレイン領域14Bに向かう方向(例えば、X方向)と交差する方向(例えば、Y方向)に帯状に延在し、かつ、上面が相互に連結された複数のチャネル分離帯19Aと、複数のチャネル分離帯19Aによって分離された複数のチャネル領域20Aと、を含んでいる。複数のチャネル分離帯19Aは、公知のSTIプロセスを用いて、シャロウ・トレンチにシリコン酸化物(SiO2)等の絶縁体が埋め込まれて形成される。
【0026】
第2素子分離部18Bは、第2不純物拡散領域13Bにおけるドレイン領域14Bのゲート電極16側に設けられている。第2素子分離部18Bは、ソース領域14Aからドレイン領域14Bに向かう方向(例えば、X方向)と交差する方向(例えば、Y方向)に帯状に延在し、かつ、上面が相互に連結された複数のチャネル分離帯19Bと、複数のチャネル分離帯19Bによって分離された複数のチャネル領域20Bと、を含んでいる。複数のチャネル分離帯19Bは、公知のSTIプロセスを用いて、シャロウ・トレンチにシリコン酸化物(SiO2)等の絶縁体が埋め込まれて形成される。
【0027】
図2は、第1の実施形態に係る第1素子分離部18Aの近傍を示す断面図である。
【0028】
図2に示すように、第1素子分離部18Aに含まれる複数のチャネル領域20Aの幅は、下に向かうほど広くなる。第1素子分離部18Aに含まれる複数のチャネル分離帯19Aの上面24(A部拡大図を参照)は、例えば、シリコン酸化物によって連結されている。つまり、チャネル分離帯19Aの上面24にシリコン面が露出しない。同様に、図示は省略するが、第2素子分離部18Bに含まれる複数のチャネル領域20Bの幅は、下に向かうほど広くなる。第2素子分離部18Bに含まれる複数のチャネル分離帯19Bの上面は、例えば、シリコン酸化物によって連結されている。
【0029】
図3(A)は、比較例に係る半導体装置100の構成の一例を示す断面図である。
図3(B)は、比較例に係る半導体装置100の構成の一例を示す平面図である。
【0030】
図3(A)及び
図3(B)に示すように、第1不純物拡散領域13Aには第1素子分離部50Aが設けられ、第2不純物拡散領域13Bには第2素子分離部50Bが設けられている。第1素子分離部50A及び第2素子分離部50Bの各々は、チャネル分離帯が1つとされるため、複数のチャネル領域に分離されない。
【0031】
ここで、
図3(A)及び
図3(B)に示す比較例では、上述したように、1つのチャネル分離帯を経由することでドレイン電圧が緩和され、ある程度の高耐圧化が可能とされる。しかしながら、より高耐圧化するためには、このチャネル分離帯の幅を広げなくてはならず、素子のサイズが大きくなるという問題がある。
【0032】
これに対して、本実施形態では、
図2に示すように、複数のチャネル分離帯19Aによって複数のチャネル領域20Aに分離される。このため、ソース-ドレイン間の電流経路が複数のチャネル領域20Aに沿って形成される。このため、
図3(A)及び
図3(B)に示す比較例の場合と比較して、電流経路が長くなる。電流経路が長くなることにより、電界緩和の効果が増大し、素子サイズが同じであっても、より高耐圧化することができる。
【0033】
次に、半導体装置10の製造方法の一例について説明する。まず、P型の半導体基板11の上に、N型の第1不純物拡散領域13Aと、第1不純物拡散領域13Aと離れて設けられたN型の第2不純物拡散領域13Bと、を含むP型のウェル層12を形成する。
【0034】
次に、第1不純物拡散領域13A内に、第1不純物拡散領域13Aから第2不純物拡散領域13Bに向かう方向(例えば、X方向)と交差する方向(例えば、Y方向)に帯状に延在し、かつ、上面が相互に連結された複数のチャネル分離帯19Aと、複数のチャネル分離帯19Aによって分離された複数のチャネル領域20Aと、を含む第1素子分離部18Aを形成する。
【0035】
また、第2不純物拡散領域13B内に、第1不純物拡散領域13Aから第2不純物拡散領域13Bに向かう方向(例えば、X方向)と交差する方向(例えば、Y方向)に帯状に延在し、かつ、上面が相互に連結された複数のチャネル分離帯19Bと、複数のチャネル分離帯19Bによって分離された複数のチャネル領域20Bと、を含む第2素子分離部18Bを形成する。
【0036】
次に、ウェル層12の上に、第1素子分離部18Aの一部と第2素子分離部18Bの一部とに重なるようにゲート電極16を形成する。
【0037】
次に、第1不純物拡散領域13A内のゲート電極16の一端側に、第1素子分離部18Aを内側にして、第1不純物拡散領域13AよりもN型の不純物の濃度が高いN型の不純物拡散領域として表されるソース領域14Aを形成する。
【0038】
また、第2不純物拡散領域13B内のゲート電極16の他端側に、第2素子分離部18Bを内側にして、第2不純物拡散領域13BよりもN型の不純物の濃度が高いN型の不純物拡散領域として表されるドレイン領域14Bを形成する。
【0039】
次に、
図4(A)、
図4(B)、
図5(A)、
図5(B)、及び
図5(C)を参照して、第1の実施形態に係る半導体装置10の製造方法について更に具体的に説明する。
【0040】
図4(A)及び
図4(B)は、第1の実施形態に係る半導体装置10の製造工程の一部を示す断面図である。
図5(A)、
図5(B)、及び
図5(C)は、第1の実施形態に係る半導体装置10の製造工程の一部を示す断面図であり、
図4(B)の続きである。
【0041】
図4(A)に示すように、P型シリコン基板60及びN型シリコン基板80を熱酸化し、シリコン酸化膜(SiO
2)を形成し、続けて、例えば、CVD法を用いて、シリコン窒化膜(SiN)を形成する。そして、領域分離部としてのディープ・トレンチ110、111、112をエッチングにより形成し、形成したディープ・トレンチ110、111、112に対して、例えば、HDPCVD(High-Density Plasma Chemical Vapor Deposition:高密度プラズマ化学気相成長)法を用いて、シリコン酸化膜等の絶縁体を埋め込み、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を除去する。そして、フォトリソグラフィ及びインプラントにより、P型シリコン基板60に、イオン化したP型の不純物を注入し、N型シリコン基板80に、イオン化したN型の不純物を注入した後に、熱処理(所謂ドライブイン)することにより、P型ウェル層(P-拡散層)61及びN型ウェル層(N-拡散層)81を形成する。
【0042】
次に、
図4(B)に示すように、フォトリソグラフィ及びインプラントにより、P型ウェル層61に、イオン化したN型の不純物を注入し、N型ウェル層81に、イオン化したP型の不純物を注入した後に、熱処理(ドライブイン)することにより、N-拡散領域62A、62B及びP-拡散領域82A、82Bを形成する。そして、熱酸化によりシリコン酸化膜(SiO
2)を形成し、続けて、例えば、CVD法を用いて、シリコン窒化膜(SiN)を形成する。そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、シャロウ・トレンチ63A、63B、83A、83Bを形成し、形成したシャロウ・トレンチ63A、63B、83A、83Bに対して、上面のシリコン(Si)をエッチングし、複数の素子分離部(STI)を形成する。
【0043】
ここで、
図4(B)のB部拡大図に示すように、シャロウ・トレンチ63Bには、チャネル分離帯64Bと、チャネル領域65Bとが形成される。そして、隣接するトレンチ同士が上面にて連結されるように、例えば、チャネル分離帯64Bの側壁を熱酸化することにより、シリコン酸化膜(SiO
2)66を形成する。なお、他のシャロウ・トレンチ63A、83A、83Bについても同様である。
【0044】
次に、
図5(A)に示すように、シャロウ・トレンチ63A、63B、83A、83B対して、例えば、HDPCVD法を用いて、シリコン酸化膜等の絶縁体を埋め込み、例えば、CMP(Chemical Mechanical Planarization:化学機械研磨)法を用いて、表面を平坦化した後に、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を除去する。
【0045】
次に、
図5(B)に示すように、N-拡散領域62AとN-拡散領域62Bとの間のN型チャネル領域に、フォトリソグラフィ及びインプラントにより、ゲート電圧の閾値電圧Vtを調整するために、N型の不純物を注入し、P-拡散領域82AとP-拡散領域82Bとの間のP型チャネル領域に、フォトリソグラフィ及びインプラントにより、ゲート電圧の閾値電圧Vtを調整するために、P型の不純物を注入する。そして、N型チャネル領域を熱酸化することによりゲート酸化膜70を形成し、P型チャネル領域を熱酸化することによりゲート酸化膜90を形成する。そして、これらのゲート酸化膜70及びゲート酸化膜90を覆うようにして、P型ウェル層61及びN型ウェル層81の上面に、例えば、CVD法を用いて、ゲート電極となるポリシリコン膜を形成し、形成したポリシリコン膜をエッチングすることによりゲート電極71、91を形成する。
【0046】
そして、ゲート電極71、91が形成されたP型ウェル層61及びN型ウェル層81の上面に、例えば、CVD法を用いて、NSG膜を形成し、形成したNSG膜をエッチングすることによりゲート電極71のサイドウォール酸化膜72及びゲート電極91のサイドウォール酸化膜92を形成する。そして、フォトリソグラフィ及びインプラントにより、P型ウェル層61の所定の領域に、イオン化したN型の不純物又はP型の不純物を注入し、N型ウェル層81の所定の領域に、イオン化したP型の不純物又はN型の不純物を注入することにより、ソース電極及びドレイン電極等の電極となる、N+拡散領域73A、73B、94A、94B、及び、P+拡散領域74A、74B、93A、93Bを形成する。
【0047】
次に、
図5(C)に示すように、N+拡散領域73A、73B、94A、94B、及び、P+拡散領域74A、74B、93A、93Bが形成されたP型ウェル層61及びN型ウェル層81の上面に、例えば、CVD法を用いて、犠牲膜として、NSG膜を形成し、形成したNSG膜をエッチングすることにより、N+拡散領域73A、73B、94A、94B、及び、P+拡散領域74A、74B、93A、93Bの上面にNSG膜を残す。そして、残したNSG膜に対して、例えば、コバルトをスパッタリングし、1回目のRTA(Rapid Thermal Anneal:急速熱処理)を行い、コバルトを除去した後に、2回目のRTAを行い、これらのN+拡散領域73A、73B、94A、94B、及び、P+拡散領域74A、74B、93A、93Bをシリサイド化する。
【0048】
そして、N+拡散領域73A、73B、94A、94B、及び、P+拡散領域74A、74B、93A、93Bがシリサイド化されたP型ウェル層61及びN型ウェル層81の上面に、例えば、CVD法を用いて、ストッパ窒化膜(SiN)140を形成し、更に、例えば、CVD法を用いて、BPSG(Boro-Phospho Silicate Glass)膜141及びNSG膜142を順に形成する。そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、N+拡散領域73A、73B、94A、94B、及び、P+拡散領域74A、74B、93A、93Bに到達する複数のコンタクトホールを形成し、形成した複数のコンタクトホールの各々に導電体(例えば、タングステン)を埋め込み、ソース電極及びドレイン電極等の電極とする。
【0049】
このように本実施形態に係る半導体装置10によれば、第1素子分離部18Aが複数のチャネル分離帯19Aによって複数のチャネル領域20Aに分離される。これにより、ソース-ドレイン間の電流経路が複数のチャネル領域20Aに沿って形成され、チャネル分離帯が1つの場合と比較して、電流経路が長くなる。電流経路が長くなることにより、電界緩和の効果が増大し、素子サイズが同じであっても、より高耐圧化することができる。
【0050】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、複数のシャロウ・トレンチを上面で連結する形態について説明した。第2の実施形態では、シャロウ・トレンチの底面に凹凸を設ける形態について説明する。
【0051】
図6は、第2の実施形態に係る半導体装置10Aの要部構成の一例を示す断面図である。なお、上記第1の実施形態で説明した半導体装置10が有する構成要素と同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0052】
図6に示すように、本実施形態に係る半導体装置10Aは、第1素子分離部25を有する。第1素子分離部25は、第1不純物拡散領域13Aにおけるソース領域14Aのゲート電極16側に設けられている、第1素子分離部25は、ソース領域14Aからドレイン領域14B(図示省略)に向かう方向(例えば、X方向)と交差する方向(例えば、Y方向)に帯状に延在し、かつ、底面26Aに凹凸が形成されたチャネル分離帯26と、底面26Aの凹凸によって分離された複数のチャネル領域27と、を含んでいる。なお、ドレイン側の第2素子分離部についても同様である。
【0053】
本実施形態では、チャネル分離帯26の底面26Aの凹凸によって複数のチャネル領域27に分離される。このため、ソース-ドレイン間の電流経路が複数のチャネル領域27に沿って形成される。このため、上述の
図3(A)及び
図3(B)に示す比較例の場合と比較して、電流経路が長くなる。電流経路が長くなることにより、電界緩和の効果が増大し、素子サイズが同じであっても、より高耐圧化することができる。
【0054】
ここで、本実施形態に係る半導体装置10Aの製造方法について説明する。
図6に示す第1素子分離部25を構成するシャロウ・トレンチは、例えば、ドライエッチングにより形成する。具体的には、例えば、エッチング条件の少なくとも1つのパラメータ(エッチング用ガス流量比、圧力、放電パワー、温度等)を調整して、底面に凹凸を備えたトレンチを形成する。また、マスクを使った多段階のエッチング処理によってトレンチの底面に凹凸を形成してもよい。
【0055】
このように本実施形態に係る半導体装置10Aによっても、上記第1の実施形態と同様に、ソース-ドレイン間の電流経路が長くなる。このため、素子サイズが同じであっても、より高耐圧化することができる。
【0056】
なお、上記各実施形態で説明した半導体装置及びその製造方法の構成は一例であり、実施形態の主旨を逸脱しない範囲内においてその構成を変更してもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
10、10A、100 半導体装置
11 半導体基板
12 ウェル層
13A 第1不純物拡散領域
13B 第2不純物拡散領域
14A ソース領域
14B ドレイン領域
15A、15B P+拡散領域
16 ゲート電極
17 ゲート酸化膜
18A、25 第1素子分離部
18B 第2素子分離部
19A、19B、26 チャネル分離帯
20A、20B、27 チャネル領域
21A、21B、22A、22B 素子分離部
23A、23B 領域分離部
24 上面
26A 底面
30A、30B コンタクト