(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056411
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】研磨パッドおよびこれを用いた半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20220401BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20220401BHJP
【FI】
H01L21/304 622F
B24B37/24 C
B24B37/24 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158412
(22)【出願日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0126784
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0128580
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケーシー ソルミックス カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SKC solmics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ウンソン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジョンウク
(72)【発明者】
【氏名】キョン、ミョンオク
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジャンウォン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ、ジヨン
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB19
3C158EB28
5F057AA16
5F057AA24
5F057AA25
5F057BB15
5F057BB16
5F057BB24
5F057BB25
5F057BB26
5F057CA12
5F057DA03
5F057EB03
5F057EB08
5F057EB13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】研磨工程に適用されて、目的レベルの研磨率及び欠陥防止効果を実現する研磨パッドを提供する。
【解決手段】研磨パッド100は、研磨層10を含み、研磨層を0.3M濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に投入し、密閉された容器内で150℃の温度下に48時間反応させた加工組成物の核磁気共鳴(NMR)
13Cスペクトルが15ppm~18ppmで現れる第1ピーク、9ppm~11ppmで現れる第2ピーク及び138ppm~143ppmで現れる第3ピークを含む。第3ピークに対する第2ピークの面積比が約5:1~約10:1である。
【効果】研磨パッドは、ピーク特性に符合する物性を示し、これにより、研磨対象の研磨において目的範囲の研磨率及び欠陥防止性能を実現することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨層を含み、
前記研磨層1gを0.3M濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に投入し、密閉された容器内で150℃の温度下に48時間反応させた加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが15ppm~18ppmで現れる第1ピーク;9ppm~11ppmで現れる第2ピーク;および138ppm~143ppmで現れる第3ピークを含み、
前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比が5:1~10:1である、
研磨パッド。
【請求項2】
前記第1ピークに対する前記第2ピークの面積比が10:1~10:5であり、
前記第1ピークに対する前記第3ピークの面積比が10:5~10:10である、
請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記研磨層は、ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物の硬化物を含み、
前記予備組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが16ppm~20ppmでピーク位置(ppm)値の大きい順に第4ピークおよび第5ピークを示し、
前記第4ピークに対する前記第5ピークの面積比が1:1~10:1であり、
前記予備組成物は、イソシアネート化合物およびポリオール化合物の反応物を含み、
前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物を含み、
前記ポリオール化合物は、重量平均分子量(Mw)が約100g/mol以上、約300g/mol未満の低分子量ポリオールと、重量平均分子量(Mw)が約300g/mol以上、約1800g/mol以下の高分子量ポリオールとを含み、
前記芳香族イソシアネート化合物は、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)を含み、
前記予備組成物は、一末端ウレタン反応した2,4-TDIに由来する第1単位構造、両末端ウレタン反応した2,4-TDIに由来する第2単位構造の少なくとも1つを含むウレタン系プレポリマーを含み、
前記予備組成物のイソシアネート基の含有量は、5重量%~11重量%である、
請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記研磨層は、下記式1による値が0.1~0.6である、
請求項1に記載の研磨パッド:
(式1)
ここで、
前記加工組成物をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で分子量を測定したもので、
前記Mwは、前記解重合組成物の重量平均分子量であり、
前記Mnは、前記解重合組成物の数平均分子量であり、
前記Mpは、前記解重合組成物のpeak分子量である。
【請求項5】
前記加工組成物は、数平均分子量(Mn)が1,800g/mol~2,800g/molであり、
重量平均分子量(Mw)が2,000g/mol~3,000g/molであり、
peak分子量(Mp)が2,000g/mol~3,000g/molであり、
分散度(PDI、Mw/Mn)が1~1.2である、
請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項6】
i)イソシアネート化合物およびポリオール化合物の反応物を含む予備組成物を製造するステップと、
ii)前記予備組成物、発泡剤、および硬化剤を含む研磨層製造用組成物を製造するステップと、
iii)前記研磨層製造用組成物を硬化して研磨層を製造するステップと、を含み、
前記研磨層は、1gを0.3M濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に投入し、密閉された容器内で150℃の温度下に48時間反応させた加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが15ppm~18ppmで現れる第1ピーク;9ppm~11ppmで現れる第2ピーク;および138ppm~143ppmで現れる第3ピークを含み、
前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比が5:1~10:1である、
研磨パッドの製造方法。
【請求項7】
前記第1ピークに対する前記第2ピークの面積比が10:1~10:5であり、
前記第1ピークに対する前記第3ピークの面積比が10:5~10:10であり、
前記予備組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが16ppm~20ppmでピーク位置(ppm)値の大きい順に第4ピークおよび第5ピークを示し、
前記第4ピークに対する前記第5ピークの面積比が1:1~10:1である、
請求項6に記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項8】
前記研磨層は、下記式1による値が0.1~0.6である、
請求項6に記載の研磨パッドの製造方法:
(式1)
ここで、
前記加工組成物をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で分子量を測定したもので、
前記Mwは、前記解重合組成物の重量平均分子量であり、
前記Mnは、前記解重合組成物の数平均分子量であり、
前記Mpは、前記解重合組成物のpeak分子量である。
【請求項9】
研磨層を含む研磨パッドを提供するステップと、
前記研磨層の研磨面に研磨対象の被研磨面が当接するように配置した後、互いに相対回転させながら前記研磨対象を研磨させるステップと、を含み、
前記研磨対象は、半導体基板を含み、
前記研磨層は、その1gを0.3M濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に投入し、密閉された容器内で150℃の温度下に48時間反応させた加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが15ppm~18ppmで現れる第1ピーク;9ppm~11ppmで現れる第2ピーク;および138ppm~143ppmで現れる第3ピークを含み、
前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比が5:1~10:1である、
半導体素子の製造方法。
【請求項10】
前記研磨層は、下記式1による値が0.1~0.6である、
請求項9に記載の半導体素子の製造方法:
(式1)
ここで、
前記加工組成物をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で分子量を測定したもので、
前記Mwは、前記解重合組成物の重量平均分子量であり、
前記Mnは、前記解重合組成物の数平均分子量であり、
前記Mpは、前記解重合組成物のpeak分子量である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
研磨工程に適用されるパッドに関し、このようなパッドを半導体素子の製造方法に適用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
化学機械的平坦化(Chemical Mechanical Planarization、CMP)または化学機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、CMP)工程は、多様な技術分野で多様な目的により行われる。CMP工程は、研磨対象の所定の研磨面を対象に行われ、研磨面の平坦化、凝集された物質の除去、結晶格子損傷の解消、スクラッチおよび汚染源の除去などの目的で行われる。
【0003】
半導体工程のCMP工程技術の分類は、研磨対象の膜質または研磨後の表面形状によって区分することができる。例えば、研磨対象の膜質によって単一シリコン(single silicon)またはポリシリコン(poly silicon)に分けられ、不純物の種類によって区分される多様な酸化膜またはタングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)などの金属膜CMP工程に分類することができる。そして、研磨後の表面形状によって、基板表面の粗さを緩和させる工程、多層回路配線によって発生する段差を平坦化する工程、研磨後、回路配線を選択的に形成するための素子分離工程に分類することができる。
【0004】
CMP工程は、半導体素子の製造過程で複数適用可能である。半導体素子の場合、複数の層を含み、各層ごとに複雑で微細な回路パターンを含む。また、最近、半導体素子は個別的なチップサイズは減少し、各層のパターンはより複雑で微細化する方向へ進化している。これにより、半導体素子を製造する過程で回路配線の平坦化の目的のみならず、回路配線の分離および配線表面の改善の応用などにCMP工程の目的が広がり、その結果、より精巧で信頼性のあるCMP性能が要求されている。
【0005】
このようなCMP工程に用いられる研磨パッドは、摩擦により研磨面を要求されるレベルに加工する工程用部品であって、研磨後、研磨対象の厚さ均一度、研磨面の平坦度および研磨品質などにおいて最も重要な要素の1つと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、研磨工程中に時間経過によっても研磨面が初期と同等レベルの表面状態を維持することにより、長時間研磨性能が低下することなく、適切な硬度、引張強度および伸び率などの物性に基づき、研磨工程に適用されて、目的レベルの研磨率および欠陥防止効果を実現できる研磨パッドを提供する。
【0007】
本発明の他の実施形態は、半導体基板の研磨において高い工程効率を示し、最終研磨結果において、前記半導体基板の被研磨面が適正研磨率および最低レベルの欠陥を示す効果を実現する半導体素子の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態において、研磨層を含み、前記研磨層1gを0.3M濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に投入し、密閉された容器内で150℃の温度下に48時間反応させた加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが15ppm~18ppmで現れる第1ピーク;9ppm~11ppmで現れる第2ピーク;および138ppm~143ppmで現れる第3ピークを含み、前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比が約5:1~約10:1である研磨パッドを提供する。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記第1ピークに対する前記第2ピークの面積比が約10:1~約10:5であり、前記第1ピークに対する前記第3ピークの面積比が約10:5~約10:10である研磨パッドを提供する。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記研磨層は、ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物の硬化物を含み、前記予備組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが16ppm~20ppmでピーク位置(ppm)値の大きい順に第4ピークおよび第5ピークを示し、前記第4ピークに対する前記第5ピークの面積比が1:1~10:1である研磨パッドを提供する。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記予備組成物は、イソシアネート化合物およびポリオール化合物の反応物を含み、前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物を含み、前記ポリオール化合物は、重量平均分子量(Mw)が約100g/mol以上、約300g/mol未満の低分子量ポリオールと、重量平均分子量(Mw)が約300g/mol以上、約1800g/mol以下の高分子量ポリオールとを含む研磨パッドを提供する。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記芳香族イソシアネート化合物は、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)を含み、前記予備組成物は、一末端ウレタン反応した2,4-TDIに由来する第1単位構造、両末端ウレタン反応した2,4-TDIに由来する第2単位構造の少なくとも1つを含むウレタン系プレポリマーを含む研磨パッドを提供する。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記予備組成物のイソシアネート基の含有量は、5重量%~11重量%である研磨パッドを提供する。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記研磨層は、下記式1による値が0.1~0.6である研磨パッドを提供する:
(式1)
ここで、
前記加工組成物をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で分子量を測定したもので、
前記Mwは、前記解重合組成物の重量平均分子量であり、
前記Mnは、前記解重合組成物の数平均分子量であり、
前記Mpは、前記解重合組成物のpeak分子量である。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記加工組成物は、数平均分子量(Mn)が1,800g/mol~2,800g/molであり、重量平均分子量(Mw)が2,000g/mol~3,000g/molであり、peak分子量が2,000g/mol~3,000g/molである研磨パッドを提供する。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記加工組成物は、分散度(PDI、Mw/Mn)が1~1.2である研磨パッドを提供する。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記研磨層は、引張が18 N/mm2~22N/mm2であり、硬度(Shore D)が35~55である研磨パッドを提供する。
【0018】
本発明の他の実施形態において、i)イソシアネート化合物およびポリオール化合物の反応物を含む予備組成物を製造するステップと、ii)前記予備組成物、発泡剤、および硬化剤を含む研磨層製造用組成物を製造するステップと、iii)前記研磨層製造用組成物を硬化して研磨層を製造するステップと、を含み、前記研磨層は、1gを0.3M濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に投入し、密閉された容器内で150℃の温度下に48時間反応させた加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが15ppm~18ppmで現れる第1ピーク;9ppm~11ppmで現れる第2ピーク;および138ppm~143ppmで現れる第3ピークを含み、前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比が5:1~10:1である研磨パッドの製造方法を提供する。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記第1ピークに対する前記第2ピークの面積比が10:1~10:5であり、前記第1ピークに対する前記第3ピークの面積比が10:5~10:10である研磨パッドの製造方法を提供する。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記予備組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが16ppm~20ppmでピーク位置(ppm)値の大きい順に第4ピークおよび第5ピークを示し、前記第4ピークに対する前記第5ピークの面積比が1:1~10:1である研磨パッドの製造方法を提供する。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記研磨層は、下記式1による値が0.1~0.6である研磨パッドの製造方法を提供する:
(式1)
ここで、
前記加工組成物をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で分子量を測定したもので、
前記Mwは、前記解重合組成物の重量平均分子量であり、
前記Mnは、前記解重合組成物の数平均分子量であり、
前記Mpは、前記解重合組成物のpeak分子量である。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記プレポリマー組成物は、ウレタン系プレポリマーであり、前記ウレタン系プレポリマーのイソシアネート(NCO)基が5~11重量%含まれ、前記ii)ステップの研磨層製造用組成物は、ウレタン系プレポリマーのイソシアネート(NCO)基に対する硬化剤のNH2基のモル比が0.6~0.99で含まれる研磨パッドの製造方法を提供する。
【0023】
本発明の他の実施形態において、研磨層を含む研磨パッドを提供するステップと、前記研磨層の研磨面に研磨対象の被研磨面が当接するように配置した後、互いに相対回転させながら前記研磨対象を研磨させるステップと、を含み、前記研磨対象は、半導体基板を含み、前記研磨層は、その1gを0.3M濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に投入し、密閉された容器内で150℃の温度下に48時間反応させた加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが15ppm~18ppmで現れる第1ピーク;9ppm~11ppmで現れる第2ピーク;および138ppm~143ppmで現れる第3ピークを含み、前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比が5:1~10:1である半導体素子の製造方法を提供する。
【0024】
本発明の一実施形態において、前記研磨層は、下記式1による値が0.1~0.6である半導体素子の製造方法を提供する:
(式1)
ここで、
前記加工組成物をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で分子量を測定したもので、
前記Mwは、前記解重合組成物の重量平均分子量であり、
前記Mnは、前記解重合組成物の数平均分子量であり、
前記Mpは、前記解重合組成物のpeak分子量である。
【0025】
本発明の一実施形態において、前記半導体基板が酸化ケイ素(SiO2)膜を含み、前記被研磨面が前記酸化ケイ素(SiO2)膜の表面であり、前記酸化ケイ素膜の平均研磨率が1,500Å/min~2,500Å/minであり、前記被研磨面上の研磨完了後の表面欠陥(defect)が5個以下である半導体素子の製造方法を提供する。
【0026】
本発明の一実施形態において、前記研磨対象および前記研磨パッドの回転速度は、それぞれ10rpm~500rpmである半導体素子の製造方法を提供する。
【0027】
本発明の一実施形態において、前記研磨層の研磨面上に研磨スラリーを供給するステップをさらに含み、前記研磨スラリーの供給流量は、10ml/分~1,000ml/分である半導体素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0028】
前記研磨パッドは、これを所定の条件下で処理した加工組成物が示すピーク特性に相応する化学的結合構造および架橋構造を有する研磨層を含むことにより、前記研磨層の研磨面が適切な硬度を示すことができ、これにより、研磨対象の研磨において目的範囲の研磨率および研磨平坦度を示すことができる。また、研磨工程中に時間経過によっても研磨面が初期と同等レベルの表面状態を維持することにより、長時間研磨性能が低下しないという利点を有する。
【0029】
前記研磨パッドを用いた半導体素子の製造方法は、研磨対象である半導体基板の研磨において高い工程効率を示し、最終研磨結果において、前記半導体基板の被研磨面が高い研磨平坦度および最低レベルの欠陥を示す効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】一実施形態に係る前記研磨パッドの断面を概略的に示す図である。
【
図2】一実施形態に係る半導体素子の製造方法の工程図を概略的に示す図である。
【
図3】例示的な予備組成物、硬化構造体、および加工組成物を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は後述する実施例を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現され、単に本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。
【0032】
図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を称する。
【0033】
また、本明細書において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」または「上部に」あるとする時、これは、他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「真上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。同時に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」または「下部に」あるとする時、これは、他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「真下に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0034】
さらに、本明細書において、核磁気共鳴(NMR)スペクトルのピーク面積比は、同一の研磨層に対して少なくとも5回同一の方法で面積比を算出した後、数平均値が当該範囲内に該当すれば権利範囲に属すると解釈される。なお、前記ピークの面積比は、核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて当該ピークのインテグレーション(integration)値で求められる。
【0035】
本発明の一実施形態において、研磨層を含み、前記研磨層1gを0.3M濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に投入し、密閉された容器内で150℃の温度下に48時間反応させた加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが15ppm~18ppmで現れる第1ピーク;9ppm~11ppmで現れる第2ピーク;および138ppm~143ppmで現れる第3ピークを含み、前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比が約5:1~約10:1である研磨パッドを提供する。
【0036】
前記研磨層は、所定の化学構造を有する化合物で構成された硬化物であって、前記化合物の化学的構造と前記化学的構造をなす繰り返し単位の各結合構造および結合力によって研磨率および欠陥(defect)程度などの最終研磨性能が決定可能である。前記研磨層に含まれた化合物には多様な形態の化学的結合構造が含まれるが、所定の処理条件下で前記研磨層を処理する場合、各結合構造の結合力によって結合が分離されたり維持されたりする。これにより、前記研磨層の加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルの形態が異なる。
【0037】
具体的には、一実施形態に係る前記研磨層は、その1gを0.3M濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に投入し、密閉された容器内で150℃の温度下に48時間反応させた加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが15ppm~18ppmで現れる第1ピーク;9ppm~11ppmで現れる第2ピーク;および138ppm~143ppmで現れる第3ピークを含み、前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比が約5:1~約10:1であるという特徴を有することができる。すなわち、前記研磨層は、前記スペクトル特性に相応する化学的結合構造を有する化合物からなり、これにより、前記研磨パッドの研磨性能が大きく向上する効果を得ることができる。より具体的には、前記研磨層は、前記加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルにおいて、前記第2ピークおよび前記第3ピークの面積比の相関関係が前述した条件を満足することに相応する高分子の結合程度を有し、これに相応する硬度および伸び率などの物性を示し、その結果、目的とするレベルの研磨率(RR)などの研磨性能を実現することができる。
【0038】
例えば、前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比は、約5:1~約10:1であってもよく、例えば、約5:1~8:1であってもよい。前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比が前記範囲を満足する結果を通して、前記研磨層は、所定の条件下で一部分解されて前記ピークを示す化学的結合力の繰り返し単位を有することが分かり、同時に、全体的に前記面積比に相応する化学的構造を有する化合物を含むことが分かる。これにより、前記研磨層は、適切な硬度および伸び率を有することができ、その結果、目的とする研磨率および欠陥低減効果を実現することができる。
【0039】
一実施形態において、前記加工組成物は、前記第1ピークに対する前記第2ピークの面積比が10:1~10:5であり、前記第1ピークに対する前記第3ピークの面積比が10:5~10:10であってもよい。
【0040】
例えば、前記第1ピークに対する前記第2ピークの面積比は、約10:1~約10:5であってもよく、例えば、約10:1.00~約10:1.60であってもよく、例えば、約10:1.00以上、約10:1.60以下であってもよい。
【0041】
例えば、前記第1ピークに対する前記第3ピークの面積比は、10:5~10:10であってもよく、例えば、約10:5.00超過、約10:10.00以下であってもよく、例えば、約10:5.60~約10:9.00であってもよい。
【0042】
前記加工組成物の前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比が前述した範囲を満足すると同時に、前記第1ピークに対する前記第2ピークの面積比と、前記第1ピークに対する前記第3ピークの面積比とがこのような範囲を満足する場合、前記研磨層は、製造中の硬化工程で適切な硬化度で硬化したことが分かり、これにより、前記研磨層が適切な硬度および伸び率を示して、結果的に目的とする研磨率および欠陥低減効果を実現することができる。
【0043】
また、前記加工組成物において、前記研磨層1gを0.3M濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に投入し、密閉された容器内で150℃の温度下に48時間反応させた条件下で処理して設けられた加工組成物の場合、他の条件下で処理して設けられた加工組成物に比べて、その核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが最終研磨パッドの研磨性能と相関関係が高い結果を示した。
【0044】
前記加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが前記研磨層を製造する過程中の原料モノマーの種類と含有量、工程温度および圧力条件、硬化剤および発泡剤などの添加剤の種類および含有量などの要素が総合的に調節されて決定可能である。
【0045】
本発明の一実施形態に係る研磨パッドは、研磨層が、下記式1による値が0.1~0.6であってもよい:
(式1)
ここで、
前記1gの研磨層を0.3モル濃度のKOH水溶液15mlに入れて、密閉された容器内で、150℃および48時間解重合し、前記解重合された組成物をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で分子量を測定したもので、
前記Mwは、前記解重合組成物の重量平均分子量であり、
前記Mnは、前記解重合組成物の数平均分子量であり、
前記Mpは、前記解重合組成物のpeak分子量である。
【0046】
前記研磨層の製造時に含まれる硬化剤の種類および含有量などによって、硬化剤のアミン基(-NH2)およびアルコール基(-OH)のような硬化反応基およびプレポリマーのイソシアネート基(-NCO)の当量が決定され、研磨層内の化合物の構造が決定される。
【0047】
前記これらの要素によって研磨パッドの最終的なウレタン系硬化構造が決定される。前記最終的なウレタン系硬化構造によって、研磨層の物理的/機械的物性である硬度、引張および伸び率などの特性として発現できる。
【0048】
前記研磨パッドは、多様な研磨工程に適用可能な工程製品であって、これを用いて製造される工程生産品の不良率および生産品質は、前記研磨パッドの物性によって大きな影響を受ける。多様な研磨工程において、バルク(bulk)レベルの研磨工程のみならず、マイクロ(micro)およびナノ(nano)レベルの微細な研磨工程に適用されるためには、前記研磨層の表面物性が微細に調節される必要があり、それぞれの物性において絶対的な数字上の差が大きくなくても、これによって現れる結果的な研磨物性は大きな差が生じうる。
【0049】
前記研磨層は、所定の化学構造を有する化合物で構成された硬化物であって、前記化合物の化学的構造と前記化学的構造をなす繰り返し単位の各結合構造および結合力によって差が現れる。
【0050】
前記研磨層に含まれた化合物には多様な形態の化学的結合構造が含まれるが、所定の処理条件下で前記研磨層を処理する場合、各結合構造の結合力によって結合が分離されたり維持されたりする。このような特性を利用して、本発明の研磨層を解重合し、解重合された組成物の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)およびpeak分子量(Mp)を測定して、本発明の式1に代入し、その値が本発明の範囲内に含まれる場合、研磨層をなす化合物が化学的構造に起因して、物理的な特性を示す。
【0051】
前記研磨層の物理的/機械的物性は、研磨工程上における半導体基板上の欠陥の発生と密接に関係している。研磨層の物理的/機械的物性によって平均研磨率およびパッド切削率を高める影響を与えられるが、相対的に半導体基板に対する欠陥の発生が増加する問題が発生する。
【0052】
具体的には、CMP工程に用いられる研磨パッド(pad)は、半導体基板に加えられる加工圧力を支持し、スラリー(Slurry)をウエハ面内に伝達させる役割を果たす。そして、スラリー中に含まれている研磨粒子をウエハ表面に対して垂直に加圧し、水平に転がり運動をさせて円滑な研磨が起こるようにする。
【0053】
このような機能をする研磨パッドは、与えられた荷重に対して高分子物質の挙動特性である弾性挙動と粘弾性挙動を示し、研磨作用をする間に半導体基板に直接的に接触して研磨結果に影響を及ぼす。
【0054】
本発明の研磨パッドの場合、特に、硬度、引張および伸び率の特性に優れ、半導体基板上の欠陥の発生を低減することができる。
【0055】
前記式1は、特定の解重合条件下で研磨層を解重合すれば、研磨層を構成する化合物の構造が解重合条件下で分解され、前記分解された化合物に対する値を確認して、研磨層の物理的および/または化学的特性を確認できることを意味するといえる。
【0056】
すなわち、研磨層をなす化合物がその化学的構造などに起因して前記研磨層に付与される物理的および/または化学的指標であって、前記式1の値が過度に低かったり、過度に高い場合、前記研磨層が適切な硬度および伸び率を示すことができなくなって、前記研磨パッドが適用された研磨工程において、前記研磨層が被研磨対象に対して不適切な物理的および/または化学的影響を与えて最終的な研磨性能が低下しうる。
【0057】
前記式1による値は、0.1~0.6であってもよく、好ましくは0.2~0.5であってもよい。前記式1による値が過度に低ければ、前記研磨層の硬度が過度に高かったり、伸び率が過度に低くなって、研磨中に被研磨対象膜の表面にスクラッチなどの欠陥の発生確率が高くなりうる。また、前記式1による値が過度に高ければ、研磨率が目的レベルに及ばない問題が発生しうる。すなわち、前記式1による値が前記範囲内を満足する場合、研磨層が適切な硬度と伸び率を示すことができ、これに基づき、研磨工程中に被研磨対象膜に対して適切な弾性および物性を示すことができて、研磨率、パッド切削率、欠陥防止などにおいて有利な効果を示すことができる。
【0058】
前記本発明の研磨層は、引張が18 N/mm2~22N/mm2であり、硬度(Shore D)が35~55である。前記研磨層に対する物理的/機械的特性によって、研磨工程上で半導体基板の欠陥を低減することができる。
【0059】
具体的には、前記研磨層は、下記の条件によって解重合し、解重合された組成物に対してGPC測定時、数平均分子量(Mn)が1,800g/mol~2,800g/molであり、好ましくは2,000g/mol~2,500g/molであり、より好ましくは2,100g/mol~2,350g/molである。また、重量平均分子量(Mw)が2,000g/mol~3,000g/molであり、好ましくは2,300g/molであり~2,700g/molであり、より好ましくは2,400g/molであり~2,600g/molである。 peak分子量(Mp)が 2,000g/mol~3,000g/molであり、好ましくは2,100g/mol~2,700g/molであり、より好ましくは2,200g/mol~2,500g/molである。
【0060】
前記範囲内で解重合された組成物の数平均分子量および重量平均分子量値を満足する時、前記式1の値を満たし、前記式1の範囲内を満足することによって、適切な硬度および伸び率を有することができ、その結果、目的とする研磨率および欠陥低減効果を実現することができる。
【0061】
具体的には、前記解重合された研磨層の組成物は、分散度(PDI、Mw/Mn)が1.2以下であることを特徴とする。一般的に、高分子の分散度を測定し、その値が1に近いほど、高分子の分子量分布が広いことを意味する。一般的に、硬化した高分子を解重合によって分解すれば、解重合条件上で硬化した高分子の結合が壊れる位置が異なることがあり、多様な高分子が分布した形態で存在するはずである。
【0062】
これに対し、本発明の研磨層は、ポリウレタンプレポリマーを硬化した硬化物を含むもので、前記硬化物の解重合によって、化合物の結合が壊れた高分子に対して分散度値が1.2以下で、単分散(monodisperse)分布を示す。すなわち、本発明の研磨層は、解重合によって狭い分子量の分布を有するように分解されることを特徴とする。
【0063】
具体的には、前記解重合された研磨層の組成物は、 peak分子量(Mp)が 2,000g/mol~3,000g/mol、好ましくは2,100g/mol~2,700g/molであり、より好ましくは2,200g/mol~2,500g/molである。 重量平均分子量(Mw)が2,000g/mol~3,000g/molであり、好ましくは2,300g/mol~2,700g/molであり、より好ましくは2,400g/mol~2,600g/molである。
【0064】
研磨パッドをCMP研磨工程に適用するためには、研磨パッドに対する直接的な研磨テストにより平均研磨率およびパッド切削率を確認し、その適用の可否を検討する手順を必要としていた。
【0065】
これは、研磨工程に用いる研磨パッドの選択に際して、研磨テストにより性能の確認を必要とするもので、時間と費用的な面で消耗的な手順を必須に要するといえる。
【0066】
これに対し、本発明のように、解重合した後、そのGPC測定の結果値を用いて、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)およびpeak分子量(Mp)の測定により研磨パッドの選択が可能になり、前記式1の値を用いて、研磨工程上半導体基板の表面に発生する欠陥を低減できる研磨パッドの選択が可能になる。
【0067】
これは、直接的な研磨テストの進行なくても研磨パッドの性能を予測できるようにして、研磨パッドの工程適用上の手順を非常に簡素化できるといえる。
【0068】
図1は、一実施形態に係る前記研磨パッドの断面を概略的に示す図である。
図1(a)を参照する時、前記研磨パッド100は、前記研磨層10を含み、前記研磨層10の一面上にクッション層20を含むことができる。前記研磨層10は、所定の厚さを有するシート形態であって、研磨対象の被研磨面に直接または間接的に接触する研磨面として機能する第1面11を含み、前記第1面11の裏面である第2面12を含むことができる。
【0069】
一実施形態において、前記第1面11は、前記研磨層10の厚さより少ない深さに加工された溝13を含むことができる。前記溝13は、前記第1面11の平面上構造を基準として、前記研磨層10の中心から末端に向けて所定の間隔で離隔形成された同心円状構造を有することができる。他の実施形態において、前記溝13は、前記第1面11の平面上構造を基準として、前記研磨層10の中心から末端に向けて連続形成された放射状構造を有することができる。さらに他の実施形態において、前記溝13は、前記同心円状構造と前記放射状構造を同時に有してもよい。前記溝13は、前記研磨パッド100を用いた研磨工程中に前記第1面11上に供給される研磨液または研磨スラリーの流動性を調節したり、前記研磨面と前記被研磨面との接触面積の物理的特性を調節して、研磨結果を調節する役割を果たすことができる。
【0070】
一実施形態において、前記研磨層10の厚さは、約0.8mm~約5.0mm、例えば、約1.0mm~約4.0mm、例えば、約1.0mm~3.0mm、例えば、約1.5mm~約3.0mm、例えば、約1.7mm~約2.7mm、例えば、約2.0mm~約3.5mmであってもよい。
【0071】
前記研磨層10は、複数の気孔を含む多孔性構造であってもよい。前記複数の気孔の平均粒径は、約5μm~約50μm、例えば、約5μm~約40μm、例えば、約10μm~約40μm、例えば、約10μm~約35μmであってもよいが、これに限定されるものではない。前記複数の気孔はその一部が前記研磨層の研磨面から外部に露出して、前記溝13とは区別される微細凹部(図示せず)として現れることがあり、これは、前記研磨パッドの使用中に前記溝13と共に研磨液または研磨スラリーの流動性および滞留空間を決定して、研磨特性の調節要素として機能することができる。
【0072】
前記研磨面11は、前記溝13とは区別される前記微細凹部によって所定の表面粗さを有することができる。一実施形態において、前記研磨面11の表面粗さ(Ra)は、約3μm~約1mmであってもよい。例えば、前記研磨面11の表面粗さ(Ra)は、約3μm~約20μmであってもよく、例えば、約3μm~約10μmであってもよい。
【0073】
前記クッション層20は、前記研磨層10の前記第2面12上に配置され、前記研磨層10を支持しながら前記研磨工程中の被研磨面に伝達される外部圧力または衝撃を緩和する役割を果たすことができる。これにより、前記研磨パッド100を適用した研磨工程で研磨対象に対する損傷および欠陥の発生を防止するのに寄与することができる。
【0074】
一実施形態において、前記クッション層20は、その厚さが約0.5mm~約2.5mm、例えば、約0.8mm~約2.5mm、例えば、約1.0mm~約2.5mm、例えば、約1.0mm~約2.0mm、例えば、約1.2mm~約1.8mmであってもよい。
【0075】
図1(b)を参照する時、一実施形態において、前記研磨パッド200は、前記研磨層10と、前記クッション層20とを含み、前記研磨層10と前記クッション層20との界面に配置される第1接着層30をさらに含むことができる。例えば、前記第1接着層30は、熱-融着(heat-sealing)接着剤に由来できるが、これに限定されるものではない。
【0076】
前記研磨パッド200は、前記研磨層10の第2面12上に配置された第2接着層40をさらに含むことができる。前記第2接着層40は、前記研磨パッドを研磨装置の定盤上に付着させるための構成であって、前記研磨層10の前記第2面12の真上に配置されてもよく、
図1(b)のように、前記研磨層10上のクッション層20などのその他の層上に配置されてもよい。例えば、前記第2接着層40は、減圧(Pressure sensitive)接着剤に由来できるが、これに限定されるものではない。
【0077】
一実施形態において、前記研磨パッドは、その最上位層と最下位層とを貫通する貫通領域を含むことができる。前記貫通領域は、前記研磨パッドの使用中に研磨終点検出のための構成であって、所定の波長条件の光がこれを透過することができる。一実施形態において、前記貫通領域には光透過ウィンドウが配置される。前記光透過ウィンドウは、約500nm~約700nmの波長のいずれか1つの波長の光に対する透過率が約30%超過、例えば、約40%~約80%であってもよい。
【0078】
前記研磨層は、ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物の硬化物を含むことができる。一実施形態において、前記予備組成物は、硬化剤および発泡剤をさらに含むことができる。前記「プレポリマー(prepolymer)」とは、硬化物の製造において、成形しやすいように重合度を中間段階で中止させた比較的低い分子量を有する高分子を意味する。前記プレポリマーは、それ自体で加熱および/または加圧などの追加的な硬化工程を経たり、または他の重合性化合物、例えば、異種のモノマーまたは異種のプレポリマーのような追加の化合物と混合して反応させた後、最終硬化物に成形される。
【0079】
一実施形態において、前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて製造できる。
【0080】
前記ウレタン系プレポリマーの製造に使用されるイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを使用することができる。一実施形態において、前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートを含むことができる。
【0081】
前記イソシアネート化合物は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-toluenediisocyanate、2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-toluenediisocyanate、2,6-TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(naphthalene-1,5-diisocyanate)、パラ-フェニレンジイソシアネート(p-phenylenediisocyanate)、トリジンジイソシアネート(tolidinediisocyanate)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylenediisocyanate)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethanediisocyanate)、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(4,4'-dicyclohexylmethanediisocyanate、H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(isoporone diisocyanate)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0082】
前記「ポリオール(polyol)」とは、分子あたり、ヒドロキシ基(-OH)を少なくとも2以上含む化合物を意味する。一実施形態において、前記ポリオール化合物は、ヒドロキシ基が2個である2価のアルコール化合物すなわち、ジオール(diol)またはグリコール(glycol)を含むことができる。
【0083】
前記ポリオール化合物は、例えば、ポリエーテル系ポリオール(polyether polyol)、ポリエステル系ポリオール(polyester polyol)、ポリカーボネート系ポリオール(polycarbonate polyol)、アクリル系ポリオール(acryl polyol)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0084】
前記ポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリプロピレンエーテルグリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール(DEG)、ジプロピレングリコール(DPG)、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0085】
前記ポリオール化合物は、約100g/mol~約3,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。例えば、前記ポリオールは、約100g/mol~約3,000g/mol、例えば、約100g/mol~約2,000g/mol、例えば、約100g/mol~約1,800g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。
【0086】
一実施形態において、前記ポリオール化合物は、重量平均分子量(Mw)が約100g/mol以上、約300g/mol未満の低分子量ポリオールと、重量平均分子量(Mw)が約300g/mol以上、約1800g/mol以下の高分子量ポリオールとを含むことができる。一実施形態において、前記高分子量ポリオールは、重量平均分子量(Mw)が約500g/mol以上、約800g/mol以下の第1高分子量ポリオール;および重量平均分子量(Mw)が約800g/mol超過、約1,800g/mol以下の第2高分子量ポリオールを含むことができる。この場合、前記ポリオール化合物は、前記ウレタン系プレポリマー内で適切な架橋構造を形成することができ、前記ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物が所定の工程条件下で硬化して形成された研磨層が前述した効果を実現するのにより有利であり得る。すなわち、前記ポリオール化合物の適切な架橋構造によって前記研磨層を所定の条件下で処理した加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが前述したピーク面積比の特性を示すことができ、これに相応する優れた研磨特性を実現することができる。
【0087】
前記ウレタン系プレポリマーは、約500g/mol~約3,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。前記ウレタン系プレポリマーは、例えば、約600g/mol~約2,000g/mol、例えば、約800g/mol~約1,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。前記ウレタン系プレポリマーが前述した重量平均分子量(Mw)に相応する重合度を有する場合、前記予備組成物が所定の工程条件下で硬化して形成された研磨層が前述した優れた研磨特性を実現するための化学的結合構造を有するのにより有利であり得る。
【0088】
一実施形態において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物を含むことができ、前記芳香族ジイソシアネート化合物は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含むことができる。また、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)およびジエチレングリコール(DEG)を含むことができる。
【0089】
他の実施形態において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物および脂環族ジイソシアネート化合物を含むことができ、例えば、前記芳香族ジイソシアネート化合物は、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含み、前記脂環族ジイソシアネート化合物は、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を含むことができる。また、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)およびジエチレングリコール(DEG)を含むことができる。
【0090】
前記予備組成物において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するための全体成分中の前記イソシアネート化合物の総量100重量部対比、前記ポリオール化合物の総量が約100重量部~約250重量部であってもよく、例えば、約120重量部~約250重量部であってもよく、例えば、約120重量部~約240重量部であってもよく、例えば、約150重量部~約240重量部であってもよく、例えば、約190重量部~約240重量部であってもよい。
【0091】
前記予備組成物において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するための前記イソシアネート化合物が前記芳香族イソシアネート化合物を含み、前記芳香族イソシアネート化合物が2,4-TDIおよび2,6-TDIを含む場合、前記2,6-TDIの含有量は、前記2,4-TDI100重量部対比、約1重量部~約40重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約30重量部であってもよく、例えば、約3重量部~約28重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約10重量部であってもよい。
【0092】
前記予備組成物において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するための前記イソシアネート化合物が前記芳香族イソシアネート化合物および前記脂環族イソシアネート化合物を含む場合、前記脂環族イソシアネート化合物の含有量は、前記芳香族イソシアネート化合物の全体100重量部対比、約5重量部~約30重量部であってもよく、例えば、約10重量部~約25重量部であってもよい。
【0093】
前記予備組成物は、イソシアネート基の含有量(NCO%)が約5重量%~約11重量%、例えば、約5重量%~約10重量%、例えば、約5重量%~約8.5重量%であってもよい。前記イソシアネート基の含有量は、前記予備組成物の全体重量中においてウレタン反応せずに自由反応基として存在するイソシアネート基(-NCO)の重量の百分率を意味する。前記予備組成物のイソシアネート基の含有量(NCO%)は、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのイソシアネート化合物およびポリオール化合物の種類および含有量、前記ウレタン系プレポリマーを製造する工程の温度、圧力、時間などの工程条件および前記ウレタン系プレポリマーの製造に用いられる添加剤の種類および含有量などを総合的に調節して設計可能である。
【0094】
一実施形態において、前記予備組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが16ppm~20ppmでピーク位置(ppm)値の大きい順に第4ピークおよび第5ピークを示し、前記第4ピークに対する前記第5ピークの面積比が約1:1~約10:1であってもよい。
【0095】
具体的には、前記予備組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが17.5ppm~20.0ppmの範囲に第4ピークを有し、16ppm~17.5ppmの範囲に第5ピークを有することができる。例えば、前記第4ピークに対する前記第5ピークの面積比は、約1:1~約10:1、例えば、約3:1~10:1、例えば、約3.5:1~約9:1であってもよく、例えば、約3.5:1~8:1であってもよい。このようなピーク特性を有する前記予備組成物が所定の工程条件下で硬化して形成された研磨層は、目的レベルの研磨率、研磨平坦度および欠陥低減効果を実現するのに適した物性を示すのにより有利であり得る。
【0096】
一実施形態において、前記予備組成物のGPC測定時、重量平均分子量(Mw)は3,800~4,700であり、数平均分子量(Mn)は2,800~3,500であり、peak分子量(Mp)は3,500~4,500であってもよい。
【0097】
具体的には、前記予備組成物は、ウレタン系プレポリマーで、前記GPC測定値の範囲の特性を満足する予備組成物が所定の工程条件下で硬化して形成された研磨層は、目的レベルの研磨率、研磨平坦度および欠陥低減効果を実現するのに適した物性を示すのにより有利であり得る。
【0098】
前記予備組成物は、前記ウレタン系プレポリマーを含む組成物であって、前記ウレタン系プレポリマーの化学的構造自体;および/または前記ウレタン系プレポリマーが含有する自由反応基(free functional group)と残留する未反応モノマーが含有する自由反応基の濃度に応じて前記研磨層の硬化構造内の化学的結合構造が異なる。一方、前記ウレタン系プレポリマーを構成するモノマーと残留する未反応モノマーの種類または含有量が同一であっても、前記研磨層の硬化構造内の化学的結合構造とこれによる核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルのピーク特性は、前記ウレタン系プレポリマー製造のための反応工程条件;前記研磨層製造のための硬化工程条件;または前記加工組成物を製造する処理条件などによって異なる。
【0099】
図3は、これを説明するために、前記予備組成物50、前記研磨層をなす硬化構造体60、および前記加工組成物70の一例を模式図で説明したものである。
図3を参照する時、前記予備組成物50は、モノマーA、モノマーB、モノマーC、およびモノマーDを反応させて製造されたもので、例示的に、第1プレポリマー(A-B-C-B-A)および第2プレポリマー(A-B-C-B-D)を含み、未反応モノマーDを含むことができる。前記予備組成物50を製造するためのモノマーの種類が異なる場合、プレポリマーの化学的構造も異なる。また、前記予備組成物50を製造するための温度、圧力、時間などの反応条件によって同一のモノマーを原料とした場合でも、プレポリマーの構造および未反応モノマーの種類が異なる。次いで、前記予備組成物50に添加剤Eなどを投入した後、所定の温度、圧力および時間の硬化工程条件によって硬化して、前記プレポリマーより相対的に長い鎖構造および架橋構造を有する硬化構造体60を形成する。前記硬化構造体60の化学的構造も、前記添加剤の種類および/または前記研磨層を製造するための工程条件によって異なる。次いで、前記硬化構造体60を条件1で処理して加工組成物70を得る。前記条件1によって前記硬化構造体60の結合構造の少なくとも一部が切れて解離して、構造体1(A-B-C)、構造体2(B-A-E-D-A-B)、および構造体3(C-B-A)を含む最終加工組成物70を得るのである。この時、条件1以外の他の条件で処理した加工組成物は、前記構造体1、2および3とは異なる化学的構造の構造体を含むはずである。
【0100】
すなわち、前記研磨層1gを0.3M濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に投入し、密閉された容器内で150℃の温度下に48時間反応させた条件下で処理した加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルのピーク特性は、前記研磨層を製造するための前記予備組成物と、前記予備組成物のウレタン系プレポリマーを製造するためのモノマーの種類および含有量だけでなく、前記予備組成物の製造および前記研磨層の製造過程中の多様な工程条件および前記加工組成物を得るための処理条件などが有機的に関連づけられて総合的に現れる特性である。ただし、一実施形態に係る前記研磨パッドの技術的目的は、前記加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが現れるピーク特性が前述した条件を満足する場合、前記研磨パッドの結果的な研磨性能が目的とするレベルを実現するという相関関係を究明したことにあり、この目的を満足する範囲内ではやや異なるモノマーの種類および含有量、やや異なる工程条件などを適用した場合でも、本発明において目的とする権利範囲を逸脱するとは見なされない。
【0101】
一実施形態において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物を含むことができ、前記芳香族ジイソシアネート化合物は、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含むことができる。この時、前記ウレタン系プレポリマーは、一末端ウレタン反応した2,4-TDIに由来する第1単位構造、一末端ウレタン反応した2,6-TDIに由来する第2単位構造、および両末端ウレタン反応した2,4-TDIに由来する第3単位構造の少なくとも1つを含むことができる。ここで、「一末端ウレタン反応した」の意味は、ジイソシアネートの2個のイソシアネート基のうち1つのイソシアネート基がウレタン反応したことであり、「両末端ウレタン反応した」の意味は、ジイソシアネートの2個のイソシアネート基がすべてウレタン反応したことである。また、前記「単位構造」は、前記プレポリマーの主鎖の化学的構造内に少なくとも1つ以上含まれる構造的単位体を意味する。
【0102】
一実施形態において、前記ウレタン系プレポリマーは、繰り返し構造が異なる複数のプレポリマーを含むことができ、それぞれのプレポリマーは、独立して、前記第1単位構造、前記第2単位構造、および第3単位構造の少なくとも1つを含むことができる。これにより、前記予備組成物の硬化物を含む前記研磨層が目的レベルの研磨性能を実現するのにより有利であり得る。
【0103】
前記予備組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルのピーク特性は、前述のように、前記ウレタン系プレポリマーをなすモノマーの種類および含有量、前記ウレタン系プレポリマーのほかに残留する未反応モノマーの種類および含有量、前記ウレタン系プレポリマーの化学的結合構造、前記ウレタン系プレポリマー製造のための反応工程条件などによって総合的に決定可能である。
【0104】
前記硬化剤は、前記ウレタン系プレポリマーと化学的に反応して前記研磨層内の最終硬化構造体を形成するための化合物であって、例えば、アミン化合物またはアルコール化合物を含むことができる。具体的には、前記硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0105】
例えば、前記硬化剤は、4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(4,4'-methylenebis(2-chloroaniline);MOCA)、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine;DETDA)、ジアミノジフェニルメタン(diaminodiphenylmethane)、ジメチルチオトルエンジアミン(dimethyl thio-toluene diamine;DMTDA)、プロパンジオールビスp-アミノベンゾエート(propanediol bis p-aminobenzoate)、Methylene bis-methylanthranilate、ジアミノジフェニルスルホン(diaminodiphenylsulfone)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、イソホロンジアミン(isophoronediamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラアミン(triethylenetetramine)、ポリプロピレンジアミン(polypropylenediamine)、ポリプロピレントリアミン(polypropylenetriamine)、ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0106】
前記硬化剤の含有量は、前記予備組成物100重量部を基準として約18重量部~約27重量部、例えば、約19重量部~約26重量部、例えば、約20重量部~約26重量部であってもよい。前記硬化剤の含有量が前記範囲を満足する場合、目的とする研磨パッドの性能を実現するのにさらに有利であり得る。
【0107】
前記硬化剤がアミン化合物を含む場合、前記予備組成物中のイソシアネート(NCO)基に対する前記硬化剤中のアミン(NH2)基のモル比が約1:0.60~約1:0.99であってもよく、例えば、約1:0.60~約1:0.90であってもよく、例えば、約1:0.60以上、約1:0.90未満であってもよい。
【0108】
前記発泡剤は、前記研磨層内の気孔構造を形成するための成分であって、固相発泡剤、気相発泡剤、液相発泡剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。一実施形態において、前記発泡剤は、固相発泡剤、気相発泡剤、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0109】
前記固相発泡剤の平均粒径は、約5μm~約200μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約21μm~約50μm、例えば、約21μm~約40μmであってもよい。前記固相発泡剤の平均粒径は、前記固相発泡剤が後述による熱膨張した(expanded)粒子の場合、熱膨張した粒子自体の平均粒径を意味し、前記固相発泡剤が後述による未膨張の(unexpanded)粒子の場合、熱または圧力によって膨張した後の粒子の平均粒径を意味することができる。
【0110】
前記固相発泡剤は、膨張性粒子を含むことができる。前記膨張性粒子は、熱または圧力などによって膨張可能な特性を有する粒子であって、前記研磨層を製造する過程で加えられる熱または圧力などによって最終研磨層内での大きさが決定可能である。前記膨張性粒子は、熱膨張した(expanded)粒子、未膨張の(unexpanded)粒子、またはこれらの組み合わせを含むことができる。前記熱膨張した粒子は、熱によって事前膨張した粒子であって、前記研磨層の製造過程で加えられる熱または圧力による大きさの変化が小さかったり、ほとんどない粒子を意味する。前記未膨張の粒子は、事前膨張しない粒子であって、前記研磨層の製造過程で加えられる熱または圧力によって膨張して最終的な大きさが決定される粒子を意味する。
【0111】
前記膨張性粒子は、樹脂材質の外被;および前記外被に封入された内部に存在する膨張誘発成分を含むことができる。
【0112】
例えば、前記外被は、熱可塑性樹脂を含むことができ、前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0113】
前記膨張誘発成分は、炭化水素化合物、クロロフルオロ化合物、テトラアルキルシラン化合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0114】
具体的には、前記炭化水素化合物は、エタン(ethane)、エチレン(ethylene)、プロパン(propane)、プロペン(propene)、n-ブタン(n-butane)、イソブタン(isobutene)、n-ブテン(butene)、イソブテン(isobutene)、n-ペンタン(n-pentane)、イソペンタン(isopentane)、ネオペンタン(neopentane)、n-ヘキサン(n-hexane)、ヘプタン(heptane)、石油エーテル(petroleum ether)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0115】
前記クロロフルオロ化合物は、トリクロロフルオロメタン(trichlorofluoromethane、CCl3F)、ジクロロジフルオロメタン(dichlorodifluoromethane、CCl2F2)、クロロトリフルオロメタン(chlorotrifluoromethane、CClF3)、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene、CClF2-CClF2)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0116】
前記テトラアルキルシラン化合物は、テトラメチルシラン(tetramethylsilane)、トリメチルエチルシラン(trimethylethylsilane)、トリメチルイソプロピルシラン(trimethylisopropylsilane)、トリメチル-n-プロピルシラン(trimethyl-n-propylsilane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0117】
前記固相発泡剤は、選択的に無機成分処理粒子を含むことができる。例えば、前記固相発泡剤は、無機成分処理された膨張性粒子を含むことができる。一実施形態において、前記固相発泡剤は、シリカ(SiO2)粒子処理された膨張性粒子を含むことができる。前記固相発泡剤の無機成分処理は、複数の粒子間凝集を防止することができる。前記無機成分処理された固相発泡剤は、無機成分処理されない固相発泡剤と発泡剤表面の化学的、電気的および/または物理的特性が異なりうる。
【0118】
前記固相発泡剤の含有量は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約0.5重量部~約10重量部、例えば、約1重量部~約3重量部、例えば、約1.3重量部~約2.7重量部、例えば、約1.3重量部~約2.6重量部であってもよい。
【0119】
前記研磨層の目的とする気孔構造および物性によって前記固相発泡剤の種類および含有量を設計することができる。
【0120】
前記気相発泡剤は、不活性ガスを含むことができる。前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤とが反応する過程で投入されて気孔形成要素として使用できる。
【0121】
前記不活性ガスは、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤との間の反応に参加しないガスであれば、種類が特に限定されない。例えば、前記不活性ガスは、窒素ガス(N2)、アルゴンガス(Ar)、ヘリウムガス(He)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。具体的には、前記不活性ガスは、窒素ガス(N2)またはアルゴンガス(Ar)を含むことができる。
【0122】
前記研磨層の目的とする気孔構造および物性によって前記気相発泡剤の種類および含有量を設計することができる。
【0123】
一実施形態において、前記発泡剤は、固相発泡剤を含むことができる。例えば、前記発泡剤は、固相発泡剤のみからなってもよい。
【0124】
前記固相発泡剤は、膨張性粒子を含み、前記膨張性粒子は、熱膨張した粒子を含むことができる。例えば、前記固相発泡剤は、熱膨張した粒子のみからなってもよい。前記未膨張の粒子を含まずに熱膨張した粒子のみからなる場合、気孔構造の可変性は低下するものの、事前予測の可能性が高まって、前記研磨層の全領域にわたって均質な気孔特性を実現するのに有利であり得る。
【0125】
一実施形態において、前記熱膨張した粒子は、約5μm~約200μmの平均粒径を有する粒子であってもよい。前記熱膨張した粒子の平均粒径は、約5μm~約100μm、例えば、約10μm~約80μm、例えば、約20μm~約70μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約30μm~約70μm、例えば、約25μm~45μm、例えば、約40μm~約70μm、例えば、約40μm~約60μmであってもよい。前記平均粒径は、前記熱膨張した粒子のD50で定義される。
【0126】
一実施形態において、前記熱膨張した粒子の密度は、約30kg/m3~約80kg/m3、例えば、約35kg/m3~約80kg/m3、例えば、約35kg/m3~約75kg/m3、例えば、約38kg/m3~約72kg/m3、例えば、約40kg/m3~約75kg/m3、例えば、約40kg/m3~約72kg/m3であってもよい。
【0127】
一実施形態において、前記発泡剤は、気相発泡剤を含むことができる。例えば、前記発泡剤は、固相発泡剤および気相発泡剤を含むことができる。前記固相発泡剤に関する事項は、前述した通りである。
【0128】
前記気相発泡剤は、窒素ガスを含むことができる。
【0129】
前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマー、前記固相発泡剤、および前記硬化剤が混合される過程中に所定の注入ラインを通して注入される。前記気相発泡剤の注入速度は、約0.8L/min~約2.0L/min、例えば、約0.8L/min~約1.8L/min、例えば、約0.8L/min~約1.7L/min、例えば、約1.0L/min~約2.0L/min、例えば、約1.0L/min~約1.8L/min、例えば、約1.0L/min~約1.7L/minであってもよい。
【0130】
前記研磨層を製造するための組成物は、界面活性剤、反応速度調節剤などのその他の添加剤をさらに含むことができる。前記「界面活性剤」、「反応速度調節剤」などの名称は、当該物質の主な役割を基準として任意に称する名称であり、それぞれの当該物質が必ずしも当該名称の役割に限られた機能だけを行うわけではない。
【0131】
前記界面活性剤は、気孔の凝集または重畳などの現象を防止する役割を果たす物質であれば、特に限定されない。例えば、前記界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤を含むことができる。
【0132】
前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約0.2重量部~約2重量部の含有量で使用できる。具体的には、前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約0.2重量部~約1.9重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~1.5重量部の含有量で含まれる。前記範囲内の含有量で界面活性剤を含む場合、気相発泡剤由来の気孔がモールド内で安定して形成および維持できる。
【0133】
前記反応速度調節剤は、反応促進または反応遅延の役割を果たすものであって、目的によって、反応促進剤、反応遅延剤、またはこれらすべてを使用することができる。前記反応速度調節剤は、反応促進剤を含むことができる。例えば、前記反応促進剤は、3級アミン系化合物および有機金属系化合物からなる群より選択された1種以上の反応促進剤であってもよい。
【0134】
具体的には、前記反応速度調節剤は、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルブタンジアミン、2-メチル-トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、ビス(2-メチルアミノエチル)エーテル、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N,N,N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2-メチル-2-アザノルボルナン、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジオクチルチンジアセテート、ジブチルチンマレエート、ジブチルチンジ-2-エチルヘキサノエート、およびジブチルチンジメルカプチドからなる群より選択された1種以上を含むことができる。具体的には、前記反応速度調節剤は、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0135】
前記反応速度調節剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約0.05重量部~約2重量部の量で使用できる。具体的には、前記反応速度調節剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約0.05重量部~約1.8重量部、例えば、約0.05重量部~約1.7重量部、例えば、約0.05重量部~約1.6重量部、例えば、約0.1重量部~約1.5重量部、例えば、約0.1重量部~約0.3重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~約1重量部の量で使用できる。前記反応速度調節剤が前述した含有量範囲で使用される場合、予備組成物の硬化反応速度を適切に調節して、所望する大きさの気孔および硬度を有する研磨層を形成することができる。
【0136】
前記研磨パッドがクッション層を含む場合、前記クッション層は、前記研磨層を支持しながら前記研磨層に加えられる外部衝撃を吸収し分散させる役割を果たすことにより、前記研磨パッドを適用した研磨工程中の研磨対象に対する損傷および欠陥の発生を最小化させることができる。
【0137】
前記クッション層は、不織布またはスエードを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0138】
一実施形態において、前記クッション層は、樹脂含浸不織布であってもよい。前記不織布は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含む繊維不織布であってもよい。
【0139】
前記不織布に含浸された樹脂は、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、シリコーンゴム樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、ポリアミド系エラストマー樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0140】
一実施形態に係る前記研磨パッドにおいて、前記研磨層の研磨面の硬度(Shore D)は、約55未満であってもよく、例えば、約35以上、約50未満であってもよく、例えば、約40~49であってもよい。前記研磨層の引張強度は、約22N/mm2未満であってもよく、例えば、約10N/mm2以上、約22N/mm2未満であってもよく、例えば、約18N/mm2~約20N/mm2であってもよい。前記研磨層の伸び率は、約200%以上であってもよく、例えば、約200%~約300%であってもよい。前記研磨層の切削率は、約80μm/hr以上であってもよく、例えば、約80μm/hr~約100μm/hrであってもよく、例えば、約80μm/hr~約95μm/hrであってもよい。例えば、前記研磨面の硬度;前記研磨層の引張強度と伸び率;および前記研磨層の切削率が同時に前述した範囲を示す場合、前記加工組成物のピーク特性に相応する物理的、機械的特性を示すと評価される。この場合、前記研磨層を含む研磨パッドは、半導体素子工程に適用されて、優れた研磨性能を実現することができる。
【0141】
以下、前記研磨パッドを製造する方法を説明する。
【0142】
本発明に係る他の実施形態において、プレポリマーを含む予備組成物を製造するステップと、前記予備組成物、発泡剤、および硬化剤を含む研磨層製造用組成物を製造するステップと、前記研磨層製造用組成物を硬化して研磨層を製造するステップとを含む研磨パッドの製造方法を提供することができる。
【0143】
前記予備組成物を製造するステップは、ジイソシアネート化合物およびポリオール化合物を反応させてウレタン系プレポリマーを製造する工程であってもよい。前記ジイソシアネート化合物および前記ポリオール化合物に関する事項は、前記研磨パッドに関して前述した通りである。
【0144】
前記予備組成物のイソシアネート基の含有量(NCO%)は、約5重量%~約11重量%、例えば、約5重量%~約10重量%、例えば、約5重量%~約8.5重量%であってもよい。この場合、前述した化学的結合構造を有する研磨層を得るのにより有利であり得る。前記予備組成物のイソシアネート基の含有量は、前記ウレタン系プレポリマーの末端イソシアネート基、前記ジイソシアネート化合物のうち反応しない未反応イソシアネート基などに由来できる。
【0145】
前記予備組成物の粘度は、約80℃で約100cps~約1,000cpsであってもよく、例えば、約200cps~約800cpsであってもよく、例えば、約200cps~約600cpsであってもよく、例えば、約200cps~約550cpsであってもよく、例えば、約300cps~約500cpsであってもよい。
【0146】
前記発泡剤が固相発泡剤または気相発泡剤を含むことができる。前記発泡剤の種類などに関する事項は、前記研磨パッドに関して前述した通りである。
【0147】
前記発泡剤が固相発泡剤を含む場合、前記研磨層製造用組成物を製造するステップは、前記予備組成物および前記固相発泡剤を混合して第1予備組成物を製造するステップと、前記第1予備組成物と硬化剤とを混合して第2予備組成物を製造するステップとを含むことができる。
【0148】
前記第1予備組成物の粘度は、約80℃で約1,000cps~約2,000cpsであってもよく、例えば、約1,000cps~約1,800cpsであってもよく、例えば、約1,000cps~約1,600cpsであってもよく、例えば、約1,000cps~約1,500cpsであってもよい。
【0149】
前記発泡剤が気相発泡剤を含む場合、前記研磨層製造用組成物を製造するステップは、前記予備組成物および前記硬化剤を含む第3予備組成物を製造するステップと、前記第3予備組成物に前記気相発泡剤を注入して第4予備組成物を製造するステップとを含むことができる。
【0150】
一実施形態において、前記第3予備組成物は、固相発泡剤をさらに含むことができる。
【0151】
一実施形態において、前記研磨層を製造する工程は、第1温度に予熱されたモールドを用意するステップと、前記予熱されたモールドに前記研磨層製造用組成物を注入して硬化させるステップと、硬化した前記研磨層製造用組成物を前記予熱温度より高い第2温度条件下で後硬化するステップとを含むことができる。
【0152】
一実施形態において、前記第1温度と前記第2温度との温度差は、約10℃~約40℃であってもよく、例えば、約10℃~約35℃であってもよく、例えば、約15℃~約35℃であってもよい。
【0153】
一実施形態において、前記第1温度は、約60℃~約100℃、例えば、約65℃~約95℃、例えば、約70℃~約90℃であってもよい。
【0154】
一実施形態において、前記第2温度は、約100℃~約130℃であってもよく、例えば、約100℃~125℃であってもよく、例えば、約100℃~約120℃であってもよい。
【0155】
前記研磨層製造用組成物を前記第1温度下で硬化させるステップは、約5分~約60分、例えば、約5分~約40分、例えば、約5分~約30分、例えば、約5分~約25分間行われる。
【0156】
前記第1温度下で硬化した研磨層製造用組成物を前記第2温度下で後硬化するステップは、約5時間~約30時間、例えば、約5時間~約25時間、例えば、約10時間~約30時間、例えば、約10時間~約25時間、例えば、約12時間~約24時間、例えば、約15時間~約24時間行われる。
【0157】
前記研磨層を製造する工程により最終的に製造された研磨層は、その1gを0.3M濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に投入し、密閉された容器内で150℃の温度下に48時間反応させた加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが15ppm~18ppmで現れる第1ピーク;9ppm~11ppmで現れる第2ピーク;および138ppm~143ppmで現れる第3ピークを含み、前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比が約5:1~10:1であるという特徴を有することができる。
【0158】
例えば、前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比は、約5:1~約10:1であってもよく、例えば、約5:1~約8:1であってもよい。
【0159】
一実施形態において、前記加工組成物は、前記第1ピークに対する前記第2ピークの面積比が10:1~10:5であり、前記第1ピークに対する前記第3ピークの面積比が10:5~10:10であってもよい。例えば、前記第1ピークに対する前記第2ピークの面積比は、約10:1~約10:5であってもよく、例えば、約10:1.00~約10:1.60であってもよく、例えば、約10:1.00以上、約10:1.60以下であってもよく、例えば、約10:1.80~10:2.50であってもよく、例えば、約10:1.80超過、約10:2.50以下であってもよい。例えば、前記第1ピークに対する前記第3ピークの面積比は、10:5~10:10であってもよく、例えば、約10:5.00超過、約10:10.00以下であってもよい。
【0160】
前記研磨パッドの製造方法は、前記研磨層の少なくとも一面を加工するステップを含むことができる。
【0161】
前記研磨層の少なくとも一面を加工するステップは、前記研磨層の少なくとも一面上にグルーブ(groove)を形成するステップ(1);前記研磨層の少なくとも一面を旋削(line turning)するステップ(2);および前記研磨層の少なくとも一面を粗面化するステップ(3)の少なくとも1つのステップを含むことができる。
【0162】
前記ステップ(1)において、前記グルーブ(groove)は、前記研磨層の中心から所定の間隔で離隔形成される同心円状グルーブ;および前記研磨層の中心から前記研磨層のエッジ(edge)まで連続連結される放射状グルーブの少なくとも1つを含むことができる。
【0163】
前記ステップ(2)において、前記旋削(line turning)は、切削工具を用いて前記研磨層を所定の厚さだけ削る方法で行われる。
【0164】
前記ステップ(3)において、前記粗面化は、前記研磨層の表面をサンディングローラ(Sanding roller)で加工する方法で行われる。
【0165】
前記研磨パッドの製造方法は、前記研磨層の研磨面の裏面上にクッション層を積層するステップをさらに含むことができる。前記クッション層に関する事項は、前記研磨パッドに関して前述したものと同一である。
【0166】
前記研磨層と前記クッション層とは、熱融着接着剤を介在させて積層される。
【0167】
前記研磨層の研磨面の裏面上に前記熱融着接着剤を塗布し、前記クッション層の前記研磨層と当接する表面上に前記熱融着接着剤を塗布し、それぞれの熱融着接着剤の塗布された面が当接するように前記研磨層と前記クッション層とを積層した後、加圧ローラを用いて両層を融着させることができる。
【0168】
本発明に係るさらに他の実施形態において、研磨層を含む研磨パッドを提供するステップと、前記研磨層の研磨面に研磨対象の被研磨面が当接するように配置した後、互いに相対回転させながら前記研磨対象を研磨するステップと、を含み、前記研磨対象は、半導体基板を含み、前記研磨層は、その1gを0.3M濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に投入し、密閉された容器内で150℃の温度下に48時間反応させた加工組成物の核磁気共鳴(NMR)13Cスペクトルが15ppm~18ppmで現れる第1ピーク;9ppm~11ppmで現れる第2ピーク;および138ppm~143ppmで現れる第3ピークを含み、前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比が約5:1~約10:1である、半導体素子の製造方法を提供する。
【0169】
前記研磨層とその加工組成物に関する事項は、前記研磨パッドに関して前述した事項と同一である。前記半導体素子の製造方法において前述した特性を有する研磨層が具備された研磨パッドを適用することにより、これによって製造された前記半導体素子は、半導体基板の優れた研磨結果に由来する優れた機能を実現することができる。
【0170】
本発明に係るさらに他の実施形態において、前記研磨層は、下記式1による値が0.1~0.6である半導体素子の製造方法を提供する:
【0171】
(式1)
【0172】
【0173】
ここで、
【0174】
前記1gの研磨層を0.3モル濃度のKOH水溶液15mlに入れて、密閉された容器内で、150℃および48時間解重合し、前記解重合された組成物をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で分子量を測定したもので、
【0175】
前記Mwは、前記解重合組成物の重量平均分子量であり、
【0176】
前記Mnは、前記解重合組成物の数平均分子量であり、
【0177】
前記Mpは、前記解重合組成物のpeak分子量である。
【0178】
前記研磨層とその加工組成物に関する事項は、前記研磨パッドに関して前述した事項と同一である。前記半導体素子の製造方法において前述した特性を有する研磨層が具備された研磨パッドを適用することにより、これによって製造された前記半導体素子は、半導体基板の優れた研磨結果に由来する優れた機能を実現することができる。
【0179】
図2は、一実施形態に係る半導体素子の製造方法を概略的に示す模式図である。
図2を参照する時、前記研磨層を含む研磨パッドを提供するステップにおいて、前記研磨パッド110は、定盤120上に配置されて提供される。
【0180】
前記研磨対象は、半導体基板を含み、前記半導体基板130は、その被研磨面が前記研磨パッド110の研磨層の研磨面に当接するように配置される。この時、前記半導体基板130の被研磨面と前記研磨層の研磨面とは、直接当接してもよく、流動性のあるスラリーなどを介在させて間接的に当接してもよい。
【0181】
一実施形態において、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨パッド110の研磨層の研磨面上に研磨スラリー150を供給するステップをさらに含むことができる。例えば、前記研磨スラリー150は、供給ノズル140を介して前記研磨面上に供給される。
【0182】
前記供給ノズル140を介して噴射される研磨スラリー150の流量は、約10ml/分~約1,000ml/分であってもよく、例えば、約10ml/分~約800ml/分であってもよく、例えば、約50ml/分~約500ml/分であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0183】
前記研磨スラリー150は、シリカスラリーまたはセリアスラリーを含むことができる。
【0184】
前記半導体基板130は、研磨ヘッド160に装着された状態で所定の荷重で加圧されて前記研磨面に当接できる。前記研磨ヘッド160によって前記半導体基板130の被研磨面が前記研磨面上に加圧される荷重は、例えば、約0.01psi~約20psiの範囲で目的によって選択可能であり、例えば、約0.1psi~約15psiであってもよいが、これに限定されるものではない。前記研磨層の研磨面と前記半導体基板の被研磨面とが前述した荷重で互いに当接する場合、前記研磨層が前述したピーク特性に象徴される硬度および伸び率を示し、これに相応する弾性と接触面積が前記半導体基板の被研磨面に提供され、これにより、前記半導体基板の研磨率および欠陥防止効果が目的レベルで実現されるのに有利であり得る。
【0185】
前記半導体基板130と前記研磨パッド110は、それぞれの被研磨面と研磨面とが互いに当接したまま相対回転することができる。この時、前記半導体基板130の回転方向と前記研磨パッド110の回転方向は、同じ方向でもよく、逆方向でもよい。前記半導体基板130と前記研磨パッド110の回転速度は、それぞれ約10rpm~約500rpmの範囲で目的によって選択可能であり、例えば、約30rpm~約200rpmであってもよいが、これに限定されるものではない。前記半導体基板と前記研磨パッドの回転速度がそれぞれ前記範囲を満足する場合、前記研磨層が前述したピーク特性に象徴される硬度および伸び率を示し、これに相応する弾性と接触面積が前記半導体基板の被研磨面に提供され、これにより、前記半導体基板の研磨率および欠陥防止効果が目的レベルで実現されるのに有利であり得る。
【0186】
一実施形態において、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨パッド110の研磨面を研磨に適した状態に維持させるために、前記半導体基板130の研磨と同時に、コンディショナ170により前記研磨パッド110の研磨面を加工するステップをさらに含むことができる。
【0187】
一実施形態において、前記半導体素子の製造方法は、前記半導体基板が酸化ケイ素(SiO2)膜を含み、前記被研磨面が前記酸化ケイ素(SiO2)膜の表面であり、前記被研磨面上の研磨完了後の表面欠陥(defect)が5個未満であり、前記酸化ケイ素(SiO2)膜の平均研磨率が1,500Å/min~2,500Å/minであってもよく、例えば、約1,500Å/min以上、約2,500Å/min未満であってもよい。
【0188】
前記半導体素子の製造方法は、前述した特徴を有する研磨層が具備された研磨パッドを適用することにより、酸化ケイ素(SiO2)膜を有する半導体基板を研磨対象として、前述した研磨率および欠陥防止性能を実現することができる。
【0189】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載の実施例は本発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されてはならない。
【0190】
実施例1
【0191】
ジイソシアネート成分の総重量100重量部対比、2,4-TDIおよび2,6-TDIをそれぞれ下記表1に記載のような相対重量比で混合した。ポリオール成分の総重量100重量部対比、PTMGおよびDEGをそれぞれ下記表1に記載のような相対重量比で混合した。前記ジイソシアネートの総量100重量部対比、前記ポリオールの総量を220重量部で相互混合して混合原料を用意した。前記混合原料を4口フラスコに投入後、80℃で反応させて、ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物を製造した。前記予備組成物中のイソシアネート基(NCO基)の含有量は6重量%に調節された。前記予備組成物に、硬化剤として4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)を混合しかつ、前記予備組成物中のNCO基に対する前記MOCAのNH2基のモル比が0.75となるように混合した。また、前記予備組成物に、膨張性粒子である固相発泡剤(Akzonobel社)1.0重量部を混合した。前記予備組成物を横1,000mm、縦1,000mm、高さ3mmであり、90℃に予熱されたモールドに注入しかつ、10kg/minの吐出速度で注入した。次いで、前記予備組成物を110℃の温度条件下で後硬化反応して研磨層を製造した。
【0192】
実施例2
【0193】
ジイソシアネート成分の総重量100重量部対比、2,4-TDI、2,6-TDI、およびH12MDIをそれぞれ下記表1に記載のような相対重量比で混合した。ポリオール成分の総重量100重量部対比、PTMGおよびDEGをそれぞれ下記表1に記載のような相対重量比で混合した。前記ジイソシアネートの総量100重量部対比、前記ポリオールの総量を220重量部で相互混合して混合原料を用意した。前記混合原料を4口フラスコに投入後、80℃で反応させて、ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物を製造した。前記予備組成物中のイソシアネート基(NCO基)の含有量は8.0重量%に調節された。前記予備組成物に、硬化剤として4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)を混合しかつ、前記予備組成物中のNCO基に対する前記MOCAのNH2基のモル比が0.70となるように混合した。また、前記予備組成物に、膨張性粒子である固相発泡剤(Akzonobel社)1.0重量部を混合した。前記予備組成物を横1,000mm、縦1,000mm、高さ3mmであり、100℃に予熱されたモールドに注入しかつ、10kg/minの吐出速度で注入した。次いで、前記予備組成物を110℃の温度条件下で後硬化反応して研磨層を製造した。
【0194】
比較例1
【0195】
ジイソシアネート成分の総重量100重量部対比、2,4-TDI、2,6-TDI、およびH12MDIをそれぞれ下記表1に記載のような相対重量比で混合した。ポリオール成分の総重量100重量部対比、PTMGおよびDEGをそれぞれ下記表1に記載のような相対重量比で混合した。前記ジイソシアネートの総量100重量部対比、前記ポリオールの総量を150重量部で相互混合して混合原料を用意した。前記混合原料を4口フラスコに投入後、80℃で反応させて、ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物を製造した。前記予備組成物中のイソシアネート基(NCO基)の含有量は9重量%に調節された。前記予備組成物に、硬化剤として4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)を混合しかつ、前記予備組成物中のNCO基に対する前記MOCAのNH2基のモル比が0.96となるように混合した。また、前記予備組成物に、膨張性粒子である固相発泡剤(Akzonobel社)1.0重量部を混合した。前記予備組成物を横1,000mm、縦1,000mm、高さ3mmであり、90℃に予熱されたモールドに注入しかつ、10kg/minの吐出速度で注入し、同時に気相発泡剤として窒素(N2)気体を1.0L/minの注入速度で前記予備組成物の注入時間と同じ時間注入した。次いで、前記予備組成物を110℃の温度条件下で後硬化反応して研磨層を製造した。
【0196】
比較例2
【0197】
ジイソシアネート成分の総重量100重量部対比、2,4-TDI、2,6-TDI、およびH12MDIをそれぞれ下記表1に記載のような相対重量比で混合した。ポリオール成分の総重量100重量部対比、PTMGおよびDEGをそれぞれ下記表1に記載のような相対重量比で混合した。前記ジイソシアネートの総量100重量部対比、前記ポリオールの総量を150重量部で相互混合して混合原料を用意した。前記混合原料を4口フラスコに投入後、80℃で反応させて、ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物を製造した。前記予備組成物中のイソシアネート基(NCO基)の含有量は9.2重量%に調節された。前記予備組成物に、硬化剤として4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)を混合しかつ、前記予備組成物中のNCO基に対する前記MOCAのNH2基のモル比が0.94となるように混合した。また、前記予備組成物に、膨張性粒子である固相発泡剤(Akzonobel社)1.0重量部を混合した。前記予備組成物を横1,000mm、縦1,000mm、高さ3mmであり、95℃に予熱されたモールドに注入しかつ、10kg/minの吐出速度で注入した。次いで、前記予備組成物を110℃の温度条件下で後硬化反応して研磨層を製造した。
【0198】
前記実施例1~2および前記比較例1~2の研磨層それぞれを2mmの厚さに加工し、研磨面上に同心円形状の溝加工工程を経た。次いで、ポリエステル樹脂不織布にウレタン系樹脂が含浸された構造の厚さ1.1mmのクッション層を用意し、前記研磨面の裏面と前記クッション層との付着面に熱融着接着剤を塗布し、加圧ローラを用いて互いに貼り合わせた。これにより、最終研磨パッドを製造した。
【0199】
実験例1:予備組成物の核磁気共鳴(NMR)
13
Cスペクトル
前記実施例1~2および前記比較例1~2のそれぞれの予備組成物に対して、前記予備組成物5mgをCDCl3に溶かし、室温で核磁気共鳴(NMR)装置(JEOL 500MHz、90゜pulse)を用いて13C-NMR分析を行った。
【0200】
パルス幅90゜pulse、2.0μsであり、繰り返し時間は2秒であり、スキャン数は5100であり、測定温度は室温(RT)(25℃)である条件下でパルスNMR測定した。
【0201】
実験例2:加工組成物の核磁気共鳴(NMR)
13
Cスペクトル
前記実施例1~2および前記比較例1~2のそれぞれの研磨層に対して、前記研磨層1gを0.3M濃度の水酸化ナトリウム(KOH)水溶液15mlに投入し、48mlの体積を有する密閉された容器内で、150℃の温度条件下で48時間反応させて加工組成物を製造した。前記加工組成物5mgをCDCl3に溶かし、室温で核磁気共鳴(NMR)装置(JEOL 500MHz、90゜pulse)を用いて13C-NMR分析を行った。
【0202】
実験例3:研磨層または研磨パッドの物性評価
(1)硬度
【0203】
前記実施例1~2および前記比較例1~2の研磨層それぞれを2mmの厚さに加工した後、横および縦をそれぞれ5cm×5cmの大きさに裁断してサンプルを用意した。前記サンプルを温度25℃で12時間保管後、硬度計を用いてShore D硬度を測定した。
【0204】
(2)引張強度
【0205】
前記実施例1~2および前記比較例1~2の研磨層を2mmの厚さに加工した後、横および縦を4cm×1cmの大きさに裁断してサンプルを用意した。前記サンプルを万能試験計(UTM)を用いて50mm/分の速度で破断直前の最高強度値を測定した。
【0206】
(3)伸び率
【0207】
前記実施例1~2および前記比較例1~2の研磨層を2mmの厚さに加工した後、横および縦を4cm×1cmの大きさに裁断してサンプルを用意した。前記サンプルを万能試験計(UTM)を用いて50mm/分の速度で破断直前の最大変形長さを測定した後、最初の長さに対する最大変形長さの比率を百分率(%)で示した。
【0208】
(4)切削率
【0209】
前記実施例1~2および前記比較例1~2の研磨層を用いて前述により製造されたそれぞれの研磨パッドに対して、前記研磨パッドを10分間脱イオン水(deionized water)でプレコンディショニング(pre-conditioning)した後、1時間脱イオン水を噴射しながらコンディショニングした。前記コンディショニング過程で変化した厚さを測定して、厚さ変化量(μm/hr)を研磨パッドの切削率として算出した。コンディショニングに用いた装置はCTS社のAP-300HMであり、コンディショニング圧力は6lbf、回転速度は100~110rpmであり、コンディショニングに用いられたディスクはSaesol社のCI-45であった。
【0210】
実験例4:研磨性能の評価
前記実施例1~2および比較例1~2の研磨層を適用したそれぞれの研磨パッドを製造した後、下記のように研磨性能を評価した。
【0211】
直径300mmのシリコンウエハ上に酸化ケイ素(SiO2)を化学気相蒸着(CVD)工程によって蒸着した。CMP装置に前記研磨パッドを付着させ、シリコンウエハの酸化ケイ素層の表面が研磨パッドの研磨面を向くように設けた。前記研磨パッド上にか焼セリアスラリーを250mL/分の速度で供給しながら、4.0psiの荷重で前記シリコンウエハを前記研磨面上に加圧し、前記研磨パッドおよび前記シリコンウエハの回転速度をそれぞれ150rpmとして、60秒間前記酸化ケイ素膜を研磨した。研磨後、シリコンウエハをキャリアから切り離して、回転式脱水器(spin dryer)に装着し、蒸留水で洗浄した後、窒素で15秒間乾燥した。
【0212】
(1)平均研磨率
【0213】
乾燥したシリコンウエハに対して光干渉式厚さ測定装置(SI-F80R、Kyence社)を用いて研磨前後の膜厚さの変化を測定した。以後、下記式を用いて研磨率を計算した。このように、計5回の研磨率を測定して数平均値を求めて平均研磨率とした。
【0214】
研磨率(Å/min)=シリコンウエハの研磨厚さ(Å)/研磨時間(min)
【0215】
(2)欠陥
【0216】
前記研磨率の測定方法と同様に研磨を進行させ、研磨対象の研磨された表面を肉眼観察してスクラッチ(scratch)などの欠陥(Defect)の個数を導出した。具体的には、研磨後、シリコンウエハをクリーナ(Cleaner)に移動させて、1%フッ化水素(HF)と精製水(DIW);1%硝酸(H2NO3)と精製水(DIW)をそれぞれ用いて10秒ずつ洗浄した。以後、スピンドライヤ(spin dryer)に移動させて、精製水(DIW)で洗浄した後、窒素(N2)で15秒間乾燥した。乾燥したシリコンウエハをディフェクト(Defect)測定装置(Tenkor社、XP+)を用いて研磨前後の欠陥の変化を肉眼観察した。
【0217】
前記実験例1~4の結果は、下記表1に記載した通りである。
【0218】
【表1】
前記表1を参照する時、前記実施例1~2の研磨層は、所定の条件下で処理した加工組成物の核磁気共鳴(NMR)
13Cスペクトルが15ppm~18ppmで現れる第1ピーク;9ppm~11ppmで現れる第2ピーク;および138ppm~143ppmで現れる第3ピークを含み、前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比が5:1~10:1である研磨層が適用されたパッドであって、これに相応する硬度、引張強度、伸び率および切削率などの特性に基づいて半導体基板の研磨結果が非常に優れていることを確認することができる。
【0219】
これとは異なり、前記比較例1および2の研磨層の場合、前記第3ピークに対する前記第2ピークの面積比が5:1~10:1の範囲を外れることにより、前記実施例1~2の研磨層に比べて硬度および引張強度が高く、伸び率および切削率が低い物性を示すことを確認することができる。これにより、前記比較例1および2の研磨パッドは、被研磨面に対して前記実施例1および2の研磨パッドが目的とするレベルの研磨性能を付与できず、平均研磨率および欠陥の面で劣ることを確認することができる。
【0220】
比較例3
【0221】
ジイソシアネート成分とポリオール成分を下記表2の組成比で混合して4口フラスコに投入後、80℃で反応させて、ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物を製造した。前記予備組成物中のイソシアネート基(NCO基)の含有量は9.2重量%に調節された。前記予備組成物に、硬化剤として4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)を混合しかつ、前記予備組成物中のNCO基に対する前記MOCAのNH2基のモル比が0.94となるように混合した。また、前記予備組成物に、膨張性粒子である固相発泡剤(Akzonobel社)1.0重量部を混合した。前記予備組成物を横1,000mm、縦1,000mm、高さ3mmであり、95℃に予熱されたモールドに注入しかつ、10kg/minの吐出速度で注入した。次いで、前記予備組成物を110℃の温度条件下で後硬化反応して研磨層を製造した。
【0222】
比較例4
ジイソシアネート成分とポリオール成分とを下記表2の組成比で混合して4口フラスコに投入後、80℃で反応させて、ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物を製造した。前記予備組成物中のイソシアネート基(NCO基)の含有量は9.5重量%に調節された。前記予備組成物に、硬化剤として4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)を混合しかつ、前記予備組成物中のNCO基に対する前記MOCAのNH2基のモル比が0.92となるように混合した。また、前記予備組成物に、膨張性粒子である固相発泡剤(Akzonobel社)1.0重量部を混合した。前記予備組成物を横1,000mm、縦1,000mm、高さ3mmであり、100℃に予熱されたモールドに注入しかつ、10kg/minの吐出速度で注入した。次いで、前記予備組成物を110℃の温度条件下で後硬化反応して研磨層を製造した。
【0223】
【0224】
実験例5:加工組成物のGPC測定
前記実施例および比較例の研磨層約1gが約0.3モル濃度のKOH水溶液15mlに投入された。以後、研磨層が混合されたKOH溶液は密閉された約48mlの体積を有する圧力容器に配置され、約150℃の温度で、約48時間、約3気圧の圧力で、解重合した。以後、前記解重合された組成物はメチレンクロライドによって抽出した。
【0225】
前記抽出された組成物はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)装置により、Mw(重量平均分子量)、Mn(数平均分子量)およびMp(peak分子量)が測定された。対照群として実施例1の予備組成物に含まれるウレタン系プレポリマーのMw、MnおよびMp値を測定した。
【0226】
GPC装置および測定条件は、下記の通りである。
【0227】
測定装置:Agilent 1260 Infinity GPC
注入速度(Flow rate):1ml/min in THF
注入量:100ul
カラム温度(Column Temp):40℃
検知器(Detector):RI
カラム(Column):TSKgel G1000HxL分子量Size5060
前記GPC測定値を用いて下記式1による値を計算した:
(式1)
ここで、
Mwは、解重合された組成物の重量平均分子量であり、
Mnは、解重合された組成物の数平均分子量であり、
Mpは、解重合された組成物のpeak分子量である。
【0228】
【表3】
前記測定結果によれば、ウレタン系プレポリマーのGPC測定結果と、実施例および比較例のGPC測定結果とを比較すれば、解重合によって分解される位置がプレポリマーと異なることを確認することができる。
【0229】
具体的には、ウレタン系プレポリマーは硬化によって研磨層に製造され、以後、解重合によって分解される部分がプレポリマーの重合時に結合される部分と異なることを意味するといえる。本発明の実施例1および2は、Mp、MnおよびMwが比較例に比べて差があることを確認し、PDIも数値間の差が現れることを確認した。また、式1に対する値も、本発明の範囲内に該当し、比較例およびプレポリマーの場合には範囲値を外れることが確認された。
【0230】
実験例6:研磨層または研磨パッドの物性評価および研磨性能評価
(1)平均気孔サイズ
【0231】
前記研磨層の気孔に対する直径サイズを測定し、気孔の直径サイズの測定方法は粒度分析器を用いて測定し、平均気孔はD50を意味するものである。
【0232】
(2)比重
【0233】
前記実施例および比較例により製造されたウィンドウ比重を測定し、研磨パッドを2cm×2cm(厚さ:2mm)の大きさに切断した後、温度25℃および湿度50±5%の環境で16時間静置した。その後、Electronic densimeterを用いて初期の重量と水に浸漬させた時の重量を測定後に密度を求めた。
【0234】
(3)Chatter mark検査
【0235】
研磨パッドを用いて実施例および比較例に記載の研磨工程を行った後、欠陥検査装置(AIT XP+、KLA Tencor社)を用いてthreshold150、die filter threshold280の条件下、研磨後にウエハ(モニタリングウエハ)表面上に現れる残留物(residue)、スクラッチ(scratch)およびチャターマーク(chatter mark)を測定した。
【0236】
前記実験例3、4および6による実施例および比較例に対する評価結果は、下記表3の通りである。
【0237】
【表4】
前記実験結果によれば、実施例1の研磨パッドは、平均研磨率が異なる研磨パッドに比べて低い数値を示すものの、シリコンウエハの欠陥に対する部分で非常に優れた効果を示すことを確認した。
【0238】
また、実施例2の場合、比較例と比較して、平均研磨率において同等レベルを維持し、ウエハの欠陥において優れた効果を示すことを確認した。これは、研磨層の平均気孔サイズが小さく、引張および伸び率の特性に優れていることによる。
【符号の説明】
【0239】
100、110、200:研磨パッド
10:研磨層
11:第1面
12:第2面
13:溝
20:クッション層
30:第1接着層
40:第2接着層
50:予備組成物
60:硬化構造体
70:加工組成物
120:定盤
130:半導体基板
140:供給ノズル
150:研磨スラリー
160:研磨ヘッド
170:コンディショナ