(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057917
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】ラテックス組成物およびディップ成形体
(51)【国際特許分類】
C08L 9/02 20060101AFI20220404BHJP
C08F 236/06 20060101ALI20220404BHJP
C08F 220/26 20060101ALI20220404BHJP
C08F 220/04 20060101ALI20220404BHJP
C08L 63/10 20060101ALI20220404BHJP
C08J 5/02 20060101ALI20220404BHJP
A41D 19/00 20060101ALI20220404BHJP
A41D 19/04 20060101ALI20220404BHJP
A41D 19/015 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
C08L9/02
C08F236/06
C08F220/26
C08F220/04
C08L63/10
C08J5/02
A41D19/00 A
A41D19/04 B
A41D19/015 210
A41D19/015 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166424
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】塚田 涼太
(72)【発明者】
【氏名】早坂 健太郎
【テーマコード(参考)】
3B033
4F071
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
3B033AB02
3B033AC01
3B033BA02
4F071AA13
4F071AA33
4F071AH04
4F071AH19
4F071BA05
4F071BB13
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4J002AC071
4J002BG072
4J002CD192
4J002DE108
4J002DE138
4J002DG026
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4J002FD146
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4J100AJ02R
4J100AL01Q
4J100AL10P
4J100AM02P
4J100AM03P
4J100AS01Q
4J100AS02Q
4J100AS03Q
4J100AS04Q
4J100AS07Q
4J100CA03
4J100DA25
4J100EA07
4J100JA01
4J100JA05
4J100JA57
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウェットグリップ性および耐薬品透過性に優れたディップ成形体を与えることができるラテックス組成物を提供すること。
【解決手段】ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、架橋性基含有重合体(B)のラテックスと、を混合してなるラテックス組成物であって、前記架橋性基含有重合体(B)が、エポキシ基含有単量体単位、カルボキシル基含有単量体単位、および、炭素-炭素二重結合を2つ有する単量体の単位からなる群から選択される少なくとも1種である架橋性基含有単量体単位(b1)を特定量含有し、前記ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)および前記架橋性基含有重合体(B)が特定のガラス転移温度(Tg)を有するラテックス組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、架橋性基含有重合体(B)のラテックスと、を混合してなるラテックス組成物であって、
前記架橋性基含有重合体(B)が、架橋性基含有単量体単位(b1)1~100重量%、および、前記架橋性基含有単量体単位(b1)と共重合可能な単量体単位(b2)0~99重量%を含有し、
前記架橋性基含有単量体単位(b1)が、エポキシ基含有単量体単位、カルボキシル基含有単量体単位、および、炭素-炭素二重結合を2つ有する単量体の単位からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であり、前記架橋性基含有重合体(B)のガラス転移温度(Tg)が10℃超であるラテックス組成物。
【請求項2】
前記ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のメチルエチルケトン不溶解分量が50重量%以下であり、前記架橋性基含有重合体(B)のメチルエチルケトン不溶解分量が55重量%以上である請求項1に記載のラテックス組成物。
【請求項3】
前記架橋性基含有単量体単位(b1)が、エポキシ基含有単量体単位、および、カルボキシル基含有単量体単位からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載のラテックス組成物。
【請求項4】
前記架橋性基含有単量体単位(b1)が、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、アリルグリシジルエーテル単位、および、(メタ)アクリル酸単位からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1~3のいずれかに記載のラテックス組成物。
【請求項5】
重合体成分100重量部に対する、前記架橋性基含有重合体(B)の含有量が1~60重量部である請求項1~4のいずれかに記載のラテックス組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のラテックス組成物を用いてなるディップ成形体。
【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載のラテックス組成物を、基材に浸漬させてなるディップ成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラテックス組成物に関し、さらに詳しくは、ウェットグリップ性および耐薬品透過性に優れたディップ成形体を与えることができるラテックス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場での製造作業、軽作業、工事作業、農作業等の様々な用途で、繊維製手袋をゴムや樹脂等により被覆することで、耐溶剤性、グリップ性、耐摩耗性等を向上させた保護手袋が用いられている。
【0003】
このような保護手袋は、作業性の観点より、水付着時やオイル付着時のウェットグリップ性や、耐薬品透過性に優れていることが求められている。
【0004】
たとえば、引用文献1には、繊維基材と、繊維基材上の少なくとも一部に付着し、ポリマーコーティングを形成する第1のポリマー組成物と、前記ポリマーコーティング上に存在し、第2のポリマー組成物を含む複数の突起構造とを有する手袋において、前記ポリマーコーティングと、前記複数の突起構造とが、異なるポリマー組成物を含む手袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の技術によれば、ウェットグリップ性またはドライグリップ性に優れた手袋が得られるものの、特許文献1においては、耐薬品透過性について検討されておらず、オイル等の薬品を扱う際に、薬品が透過することを防ぐという観点より、耐薬品透過性のさらなる改善が求められている。
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、ウェットグリップ性および耐薬品透過性に優れたディップ成形体を与えることができるラテックス組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、架橋性基含有重合体(B)のラテックスと、を混合してなるラテックス組成物であって、前記架橋性基含有重合体(B)が、エポキシ基含有単量体単位、カルボキシル基含有単量体単位、および、炭素-炭素二重結合を2つ有する単量体の単位からなる群から選択される少なくとも1種である架橋性基含有単量体単位(b1)を特定量含有し、前記ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)および前記架橋性基含有重合体(B)が特定のガラス転移温度(Tg)を有するラテックス組成物によれば、得られるディップ成形体を、ウェットグリップ性および耐薬品透過性に優れたものとすることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明によれば、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、架橋性基含有重合体(B)のラテックスと、を混合してなるラテックス組成物であって、前記架橋性基含有重合体(B)が、架橋性基含有単量体単位(b1)1~100重量%、および、前記架橋性基含有単量体単位(b1)と共重合可能な単量体単位(b2)0~99重量%を含有し、前記架橋性基含有単量体単位(b1)が、エポキシ基含有単量体単位、カルボキシル基含有単量体単位、および、炭素-炭素二重結合を2つ有する単量体の単位からなる群から選択される少なくとも1種であり、前記ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であり、前記架橋性基含有重合体(B)のガラス転移温度(Tg)が10℃超であるラテックス組成物が提供される。
【0010】
本発明のラテックス組成物において、前記ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のメチルエチルケトン不溶解分量が50重量%以下であり、前記架橋性基含有重合体(B)のメチルエチルケトン不溶解分量が55重量%以上であることが好ましい。
本発明のラテックス組成物において、前記架橋性基含有単量体単位(b1)が、エポキシ基含有単量体単位、および、カルボキシル基含有単量体単位からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のラテックス組成物において、前記架橋性基含有単量体単位(b1)が、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、アリルグリシジルエーテル単位、および、(メタ)アクリル酸単位からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のラテックス組成物において、重合体成分100重量部に対する、前記架橋性基含有重合体(B)の含有量が1~60重量部であることが好ましい。
【0011】
また、本発明によれば、上記のラテックス組成物を用いてなるディップ成形体が提供される。
さらに、本発明によれば、上記のラテックス組成物を、基材に浸漬させてなるディップ成形体が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ウェットグリップ性および耐薬品透過性に優れたディップ成形体を与えることができるラテックス組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のラテックス組成物は、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、架橋性基含有重合体(B)のラテックスと、を混合してなるラテックス組成物であって、前記架橋性基含有重合体(B)が、架橋性基含有単量体単位(b1)1~100重量%、および、前記架橋性基含有単量体単位(b1)と共重合可能な単量体単位(b2)0~99重量%を含有し、前記架橋性基含有単量体単位(b1)が、エポキシ基含有単量体単位、カルボキシル基含有単量体単位、および、炭素-炭素二重結合を2つ有する単量体の単位からなる群から選択される少なくとも1種であり、前記ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であり、前記架橋性基含有重合体(B)のガラス転移温度(Tg)が10℃超であるものである。
【0014】
ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックスを構成する、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)としては、特に限定されないが、たとえば、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体、および共役ジエン単量体、ならびに、必要に応じて用いられる共重合可能なその他のエチレン性不飽和酸単量体を共重合したものを用いることができる。
【0015】
α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、特に限定されないが、ニトリル基を有し、炭素数が、好ましくは3~18であるエチレン性不飽和化合物を用いることができる。このようなα,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ハロゲン置換アクリロニトリルなどが挙げられ、これらの中でも、アクリロニトリルが特に好ましい。なお、これらのα,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
ニトリル基含有共役ジエン系重合体におけるα,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合は、全単量体単位に対して、好ましくは10~45重量%、より好ましくは20~40重量%であり、さらに好ましくは25~40重量%である。α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合を上記範囲にすることにより、得られるディップ成形体の耐摩耗性を高め、耐薬品透過性をより高めることができる。
【0017】
共役ジエン単量体としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、クロロプレンなどの炭素数4~6の共役ジエン単量体が好ましく、1,3-ブタジエンおよびイソプレンがより好ましく、1,3-ブタジエンが特に好ましい。なお、これらの共役ジエン単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
ニトリル基含有共役ジエン系重合体における共役ジエン単量体単位の含有割合は、全単量体単位に対して、好ましくは40~80重量%、より好ましくは52~78重量%、さらに好ましくは55~75重量%である。共役ジエン単量体単位の含有割合を上記範囲にすることにより、得られるディップ成形体の耐摩耗性を高め、耐薬品透過性をより高めることができる。
【0019】
また、ニトリル基含有共役ジエン系重合体は、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を形成する単量体、および共役ジエン単量体単位を形成する単量体と、共重合可能なその他のエチレン性不飽和酸単量体とを共重合したものであってもよい。
【0020】
このような共重合可能なその他のエチレン性不飽和酸単量体としては、特に限定されないが、たとえば、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体、モノカルボン酸エステル基含有エチレン性不飽和単量体、ジカルボン酸ジエステル基含有エチレン性不飽和単量体、スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体、リン酸基含有エチレン性不飽和単量体などが挙げられる。
【0021】
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸およびその無水物;マレイン酸メチル、イタコン酸メチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;などが挙げられる。
【0022】
モノカルボン酸エステル基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル;クロトン酸メチル等のクロトン酸エステル;などが挙げられる。
【0023】
ジカルボン酸ジエステル基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸ジエステル;イタコン酸ジメチル等のイタコン酸ジエステル;などが挙げられる。
【0024】
スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸-2-スルホン酸エチル、2-アクリルアミド-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
【0025】
リン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸-3-クロロ-2-リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸-2-リン酸エチル、3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンリン酸などが挙げられる。
【0026】
これらの共重合可能なその他のエチレン性不飽和酸単量体は、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩として用いることもでき、また、1種単独を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記の共重合可能なその他のエチレン性不飽和酸単量体のなかでも、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体が好ましく、エチレン性不飽和モノカルボン酸がより好ましく、アクリル酸、メタクリル酸がさらに好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。
【0027】
ニトリル基含有共役ジエン系重合体に、共重合可能なその他のエチレン性不飽和酸単量体の単位を含有させる場合における、共重合可能なその他のエチレン性不飽和酸単量体の単位の含有割合は、全単量体単位に対して、好ましくは0.1~15重量%であり、より好ましくは1~10重量%、さらに好ましくは2~8重量%である。
【0028】
ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックスは、たとえば、上記の単量体を含有してなる単量体混合物を乳化重合することにより得ることができる。乳化重合に際しては、通常用いられる、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤等の重合副資材を使用することができる。
【0029】
乳化重合に用いる乳化剤としては、特に限定されないが、たとえば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤などが挙げられるが、アニオン性界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、リノレン酸ナトリウム、ロジン酸ナトリウム等の脂肪酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸カリウム、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルベンゼンスルホン酸カリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸カリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸カリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸カリウム等のモノアルキルリン酸塩;等が挙げられる。
【0030】
乳化重合に用いる乳化剤の使用量は、使用する全単量体100重量部に対して、好ましくは0.5~10重量部、より好ましくは1~8重量部である。
【0031】
重合開始剤としては、特に限定されないが、ラジカル開始剤が好ましい。ラジカル開始剤としては、特に限定されないが、たとえば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;などが挙げられ、これらの中でも、無機過酸化物または有機過酸化物が好ましく、無機過酸化物がより好ましく、過硫酸塩が特に好ましい。これらの重合開始剤は、1種単独用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、使用する全単量体100重量部に対して、好ましくは0.01~2重量部、より好ましくは0.05~1.5重量部である。
【0032】
分子量調整剤としては、特に限定されないが、たとえば、α-メチルスチレンダイマー;t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素;テトラエチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンダイサルファイド等の含硫黄化合物;などが挙げられ、これらの中でも、メルカプタン類が好ましく、t-ドデシルメルカプタンがより好ましい。これらの分子量調整剤は、1種単独用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。分子量調整剤の使用量は、その種類によって異なるが、使用する全単量体100重量部に対して、好ましくは0.1~1.5重量部、より好ましくは0.2~1.0重量部である。
【0033】
乳化重合は、通常、水中で行なわれる。水の使用量は、使用する全単量体100重量部に対して、好ましくは80~500重量部、より好ましくは100~200重量部である。
【0034】
乳化重合に際し、必要に応じて、上記以外の重合副資材をさらに用いてもよい。重合副資材としては、キレート剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤等が挙げられ、これらの種類、使用量とも特に限定されない。
【0035】
単量体の添加方法としては、たとえば、反応容器に使用する単量体を一括して添加する方法、重合の進行に従って連続的または断続的に添加する方法、単量体の一部を添加して特定の転化率まで反応させ、その後、残りの単量体を連続的または断続的に添加して重合する方法等が挙げられ、いずれの方法を採用してもよい。単量体を混合して連続的または断続的に添加する場合、混合物の組成は、一定としても、あるいは変化させてもよい。また、各単量体は、使用する各種単量体を予め混合してから反応容器に添加しても、あるいは別々に反応容器に添加してもよい。
【0036】
乳化重合する際の重合温度は、特に限定されないが、通常、0~95℃であり、好ましくは5~70℃である。重合時間は、特に限定されないが、通常、5~40時間程度である。
【0037】
重合反応を停止した後、所望により、未反応の単量体を除去し、固形分濃度やpHを調整してもよい。
【0038】
ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、10℃以下である。ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が10℃超であると、得られるディップ成形体のウェットグリップ性と、耐薬品透過性とを両立することが困難となる。ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、10℃以下であれば特に限定されないが、好ましくは-45~-10℃であり、より好ましくは-40~-10℃である。ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が上記範囲であることにより、得られるディップ成形体の柔軟性を高め、ウェットグリップ性をより高めることができる。ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に従い測定することができる。
【0039】
ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のメチルエチルケトン不溶解分量は、特に限定されないが、好ましくは0.01~50重量%、より好ましくは0.1~30重量%であり、さらに好ましくは1~5重量%である。ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のメチルエチルケトン不溶解分量は、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のゲル分量を示す指標である。ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のメチルエチルケトン不溶解分量が上記範囲であることにより、得られるディップ成形体の柔軟性を高め、ウェットグリップ性をより高めることができる。
【0040】
本発明において、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のメチルエチルケトン不溶解分量を測定する方法としては、たとえば、次の方法が挙げられる。すなわち、まず、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックスをキャスト法などで基材上に塗布し、これを乾燥させることで、乾燥フィルムを得て、乾燥フィルムの重量(この重量を「W1」とする。)を測定する。次いで、得られた乾燥フィルムを、25℃、24時間の条件にて、メチルエチルケトン中に浸漬させる。次いで、浸漬後のフィルムについて、重量(この重量を「W2」とする。)を測定した後、105℃、3時間乾燥して、メチルエチルケトンを除去する。そして、メチルエチルケトン除去後のフィルムについて、重量(この重量を「W3」とする。)を測定し、これらの重量の測定結果より、下記式(1)、(2)に従って、メチルエチルケトン不溶解分量を求めることができる。
メチルエチルケトン不溶解分量(単位:重量%)=(W3/W1)×100・・・(1)
【0041】
なお、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のメチルエチルケトン不溶解分量を調整する方法としては、特に限定されないが、たとえば、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックスを製造する際に用いる、連鎖移動剤の種類や連鎖移動剤の使用量を調整する方法や、重合温度を調整する方法などが挙げられる。たとえば、連鎖移動剤の使用量を多くするほど、メチルエチルケトン不溶解分量は低くなる傾向にあり、重合温度を低くするほど、メチルエチルケトン不溶解分量は低くなる傾向にある。
【0042】
また、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックスを構成するニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)の粒子の中位径は、好ましくは30~1000nm、より好ましくは50~500nm、さらに好ましくは70~200nmである。ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)の粒子の中位径を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体中において、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)中に、後述する架橋性基含有重合体(B)をより良好に微分散させることができ、これにより、得られるディップ成形体の柔軟性を高めたり、ウェットグリップ性や耐薬品透過性をより高めたりすることができる。ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)の粒子の中位径は、たとえば、レーザ回折散乱法により測定することができる。
【0043】
本発明で用いる架橋性基含有重合体(B)のラテックスを構成する、架橋性基含有重合体(B)は、架橋性基含有単量体単位(b1)1~100重量%、および、架橋性基含有単量体単位(b1)と共重合可能な単量体単位(b2)0~99重量%を含有する。
【0044】
架橋性基含有重合体(B)は、架橋性基含有単量体単位(b1)として、エポキシ基含有単量体単位、カルボキシル基含有単量体単位、および、炭素-炭素二重結合を2つ有する単量体の単位からなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
【0045】
本発明のラテックス組成物は、上記のニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックスに、上記の架橋性基含有単量体単位(b1)を含有する架橋性基含有重合体(B)のラテックスを混合してなるものであり、これらを混合して得られるラテックス組成物によれば、ウェットグリップ性および耐薬品透過性に優れたディップ成形体を与えることができるものである。本発明のラテックス組成物において、上記の架橋性基含有単量体単位(b1)を含有する架橋性基含有重合体(B)のラテックスを用いることにより、得られるディップ成形体の優れたウェットグリップ性および優れた耐薬品透過性を発現することができる理由としては、必ずしも明らかではないが、たとえば、以下の理由が考えられる。すなわち、本発明のラテックス組成物において用いる粒子状の架橋性基含有重合体(B)は、上記の架橋性基含有単量体単位(b1)を含有するため、架橋性基含有単量体単位(b1)を介して、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)や、ラテックス組成物に必要に応じて配合される他の成分(たとえば、酸化亜鉛)と架橋構造を形成することができる。そのため、本発明のラテックス組成物から形成される重合体層中において、架橋性基含有重合体(B)と、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)等の成分との間の架橋構造を形成させることができる。このような架橋構造を形成させることにより、形成される重合体層中において、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)中に架橋性基含有重合体(B)を分散させながら、架橋性基含有重合体(B)の凝集を抑制することができ、さらに、形成される重合体層に対する架橋性基含有重合体(B)の密着性を向上させることもできると予想される。そして、架橋構造を形成させることによるこれらの作用の結果として、得られるディップ成形体の優れたウェットグリップ性と、優れた耐薬品透過性とを両立することができると予想される。
【0046】
架橋性基含有単量体単位(b1)としてのエポキシ基含有単量体単位を形成するエポキシ基含有単量体としては、1分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する単量体であれば特に限定されないが、たとえば、(メタ)アクリル酸グリシジル(「アクリル酸グリシジルおよび/またはメタクリル酸グリシジル」の略記。以下同様。)、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-メチル-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセン、1,2-ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、スチレン-p-グリシジルエーテルなどが挙げられる。これらのなかでも、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルまたはアリルグリシジルエーテルが好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルまたはアリルグリシジルエーテルがより好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルがさらに好ましく、メタクリル酸グリシジルが特に好ましい。
【0047】
架橋性基含有単量体単位(b1)としてのカルボキシル基含有単量体単位を形成するカルボキシル基含有単量体としては、1分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を有する単量体であれば特に限定されないが、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸およびその無水物;マレイン酸メチル、イタコン酸メチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;などが挙げられる。これらのなかでも、エチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、メタクリル酸がさらに好ましい。
【0048】
架橋性基含有単量体単位(b1)としての炭素-炭素二重結合を2つ有する単量体の単位は、炭素-炭素二重結合を2つ有する単量体から形成される単位であり、該単位は、炭素-炭素二重結合を1つ有する。架橋性基含有単量体単位(b1)としての炭素-炭素二重結合を2つ有する単量体の単位を形成する、炭素-炭素二重結合を2つ有する単量体としては、1分子中に少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を有する単量体であれば特に限定されないが、たとえば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、クロロプレンなどの炭素数4~6の共役ジエン単量体;1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネンなどの非共役ジエン単量体;などが挙げられる。
【0049】
架橋性基含有単量体単位(b1)としては、エポキシ基含有単量体単位、および、カルボキシル基含有単量体単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、アリルグリシジルエーテル単位、および、(メタ)アクリル酸単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジル単位、および、(メタ)アクリル酸単位からなる群から選択される少なくとも1種がさらに好ましい。特に、一層優れたウェットグリップ性が必要とされる場合には、架橋性基含有単量体単位(b1)としては、エポキシ基含有単量体単位が好ましく、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、アリルグリシジルエーテル単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジル単位がさらに好ましい。また、一層優れた耐薬品透過性が必要とされる場合には、架橋性基含有単量体単位(b1)としては、カルボキシル基含有単量体単位が好ましく、(メタ)アクリル酸単位がより好ましい。
【0050】
架橋性基含有重合体(B)における架橋性基含有単量体単位(b1)の含有割合は、全単量体単位に対して、1~100重量%であればよく、特に限定されないが、好ましくは5~100重量%であり、より好ましくは10~90重量%であり、さらに好ましくは20~80重量%であり、特に好ましくは30~70重量%である。架橋性基含有単量体単位(b1)の含有割合を上記範囲にすることにより、得られるディップ成形体の耐薬品透過性をより高めることができる。
【0051】
架橋性基含有重合体(B)は、架橋性基含有単量体単位(b1)に加えて、架橋性基含有単量体単位(b1)と共重合可能な単量体単位(b2)(以下、単量体単位(b2)という場合がある)を含有してもよい。
【0052】
単量体単位(b2)を形成する単量体としては、架橋性基含有単量体単位(b1)と共重合可能な単量体であればよく、特に限定されないが、エポキシ基およびカルボキシル基を含有せず、かつ、炭素-炭素二重結合を1つのみ有する単量体であることが好ましい。単量体単位(b2)としては、たとえば、モノカルボン酸エステル基含有エチレン性不飽和単量体、ジカルボン酸ジエステル基含有エチレン性不飽和単量体、スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体、リン酸基含有エチレン性不飽和単量体、α-オレフィン単量体、芳香族単量体などが挙げられる。なお、これらの単量体単位(b2)を形成する単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
単量体単位(b2)を形成し得るモノカルボン酸エステル基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル;クロトン酸メチル等のクロトン酸エステル;などが挙げられる。
【0054】
単量体単位(b2)を形成し得るジカルボン酸ジエステル基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸ジエステル;イタコン酸ジメチル等のイタコン酸ジエステル;などが挙げられる。
【0055】
単量体単位(b2)を形成し得るスルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸-2-スルホン酸エチル、2-アクリルアミド-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
【0056】
単量体単位(b2)を形成し得るリン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸-3-クロロ-2-リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸-2-リン酸エチル、3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンリン酸などが挙げられる。
【0057】
単量体単位(b2)を形成し得るα-オレフィン単量体としては、特に限定されないが、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。
【0058】
単量体単位(b2)を形成し得る芳香族単量体としては、特に限定されないが、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
【0059】
単量体単位(b2)を形成する単量体としては、モノカルボン酸エステル基含有エチレン性不飽和単量体が好ましく、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルがより好ましく、アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルがさらに好ましく、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
【0060】
架橋性基含有重合体(B)における単量体単位(b2)の含有割合は、全単量体単位に対して、0~99重量%であればよく、特に限定されないが、好ましくは0~95重量%であり、より好ましくは10~90重量%であり、さらに好ましくは20~80重量%であり、特に好ましくは30~70重量%である。単量体単位(b2)の含有割合を上記範囲にすることにより、得られるディップ成形体の耐薬品透過性をより高めることができる。
【0061】
架橋性基含有重合体(B)のラテックスは、たとえば、上記の単量体を含有してなる単量体混合物を乳化重合することにより得ることができる。
【0062】
架橋性基含有重合体(B)のガラス転移温度(Tg)は、10℃超である。架橋性基含有重合体(B)のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であると、得られるディップ成形体のウェットグリップ性と、耐薬品透過性とを両立することが困難となる。架橋性基含有重合体(B)のガラス転移温度(Tg)は、10℃超であれば特に限定されないが、好ましくは30℃以上であり、より好ましくは40℃以上である。また、架橋性基含有重合体(B)のガラス転移温度(Tg)の上限は、特に限定されないが、好ましくは200℃以下であり、より好ましくは150℃以下である。架橋性基含有重合体(B)のガラス転移温度(Tg)が上記範囲であることにより、得られるディップ成形体の柔軟性を高め、ウェットグリップ性をより高めることができる。架橋性基含有重合体(B)のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に従い測定することができる。
【0063】
架橋性基含有重合体(B)のメチルエチルケトン不溶解分量は、好ましくは55~99重量%、より好ましくは70~97重量%である。メチルエチルケトン不溶解分量は、架橋性基含有重合体(B)のゲル分量を示す指標である。架橋性基含有重合体(B)のメチルエチルケトン不溶解分量が上記範囲であることにより、得られるディップ成形体の柔軟性を高めることができる。
【0064】
本発明において、架橋性基含有重合体(B)のメチルエチルケトン不溶解分量を測定する方法としては、たとえば、上述したニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックスと同様の方法を採用することができる。
【0065】
なお、架橋性基含有重合体(B)のラテックスを構成する、架橋性基含有重合体(B)のメチルエチルケトン不溶解分量を調整する方法としては、特に限定されないが、たとえば、架橋性基含有重合体(B)のラテックスを製造する際に用いる、連鎖移動剤の種類や連鎖移動剤の使用量を調整する方法、重合温度を調整する方法、架橋性基含有重合体(B)を構成する架橋性基含有単量体単位(b1)の種類、単量体単位(b2)の種類、各単量体の割合、重量平均分子量などを調整する方法などが挙げられる。
【0066】
また、架橋性基含有重合体(B)のラテックスを構成する架橋性基含有重合体(B)の粒子の中位径は、好ましくは80~200nm、より好ましくは80~150nm、さらに好ましくは80~100nmである。架橋性基含有重合体(B)の粒子の中位径を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体中において、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)中に、架橋性基含有重合体(B)をより良好に微分散させることができ、これにより、得られるディップ成形体の柔軟性を高めたり、ウェットグリップ性や耐薬品透過性をより高めたりすることができる。架橋性基含有重合体(B)の粒子の中位径は、たとえば、レーザ回折散乱法により測定することができる。
【0067】
本発明のラテックス組成物は、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、架橋性基含有重合体(B)のラテックスとを混合してなるラテックスの組成物であり、好適には、これらをラテックス状態で混合してなるものである。
【0068】
本発明のラテックス組成物中における、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)の含有量および架橋性基含有重合体(B)の含有量は、特に限定されないが、ラテックス組成物中に含まれる重合体成分100重量部(重合体成分として、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)および架橋性基含有重合体(B)のみを含有するものである場合には、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)と架橋性基含有重合体(B)との合計100重量部)中における、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)の含有量は、40~99重量部であることが好ましく、50~95重量部であることがより好ましく、60~80重量部であることがさらに好ましい。また、ラテックス組成物中に含まれる重合体成分100重量部に対する、架橋性基含有重合体(B)の含有量は、1~60重量部であることが好ましく、5~50重量部であることがより好ましく、20~40重量部であることがさらに好ましい。さらに、本発明のラテックス組成物中における、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)と、架橋性基含有重合体(B)との含有比率は、「ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A):架橋性基含有重合体(B)」の重量比で、好ましくは99:1~40:60、より好ましくは95:5~50:50、さらに好ましくは80:20~60:40である。ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)、架橋性基含有重合体(B)の含有量を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体のウェットグリップ性および耐薬品透過性をより高めることができる。
【0069】
また、本発明のラテックス組成物は、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックス、および架橋性基含有重合体(B)のラテックスに加えて、硫黄系架橋剤をさらに含有することが好ましい。
【0070】
硫黄系架橋剤としては、特に限定されないが、粉末硫黄、硫黄華、沈降性硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、カプロラクタムジスルフィド、含リンポリスルフィド、高分子多硫化物などの含硫黄化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどの硫黄供与性化合物;などが挙げられる。これらの硫黄系架橋剤は、1種単独用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
硫黄系架橋剤の含有量は、ラテックス組成物中に含まれる重合体成分100重量部に対し、好ましくは0.01~5重量部、より好ましくは0.05~3重量部、さらに好ましくは0.1~2重量部である。
【0072】
また、本発明のラテックス組成物は、硫黄系架橋剤に加えて、架橋促進剤(加硫促進剤)や、酸化亜鉛をさらに含有することが好ましい。架橋促進剤(加硫促進剤)としては、特に限定されないが、たとえば、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、ジ-2-エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸などのジチオカルバミン酸類およびそれらの亜鉛塩;2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2-メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2-(2,4-ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2-(N,N-ジエチルチオ・カルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2-(4′-モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4-モルホリニル-2-ベンゾチアジル・ジスルフィド、1,3-ビス(2-ベンゾチアジル・メルカプトメチル)ユリアなどが挙げられ、これらの中でも、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛が好ましい。これらの架橋促進剤は、1種単独用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
架橋促進剤の含有量は、ラテックス組成物中に含まれる重合体成分100重量部に対し、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.5~5重量部である。また、酸化亜鉛の含有量は、ラテックス組成物中に含まれる重合体成分100重量部に対し、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.5~5重量部である。
【0074】
また、本発明のラテックス組成物は、水溶性ポリマーをさらに含有していてもよい。
【0075】
水溶性ポリマーとしては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のビニル系化合物;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体およびその塩;ポリアクリル酸等のポリカルボン酸系化合物およびそのナトリウム塩;ポリエチレングリコールエーテル等のポリオキシエチレン誘導体;等が挙げられる。水溶性ポリマーとしては、セルロース誘導体およびその塩が好ましく、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩がより好ましい。
【0076】
水溶性ポリマーは、水に可溶であるものであればよく、水溶性ポリマーの水に対する溶解度は、特に限定されないが、温度25℃の水100gに対し、好ましくは1g以上であり、より好ましくは7g以上であり、特に好ましくは10g以上である。水溶性ポリマーの水に対する溶解度の上限は、特に限定されないが、通常、1,000g以下である。
【0077】
水溶性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、100以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、5,000,000以下が好ましく、3,000,000以下がより好ましい。
【0078】
水溶性ポリマーの含有量は、ラテックス組成物中に含まれる重合体成分100重量部に対し、好ましくは0.01~10重量部、より好ましくは0.1~5重量部である。
【0079】
本発明のラテックス組成物の固形分濃度は、好ましくは20~65重量%であり、より好ましくは30~60重量%、さらに好ましくは35~55重量%である。ラテックス組成物の固形分濃度を上記範囲にすることにより、ラテックス組成物の輸送効率を向上させることができ、かつ、ラテックス組成物の粘度が適度なものとなってラテックス組成物の取扱性が向上する。
【0080】
本発明のラテックス組成物のpHは、好ましくは5~13であり、より好ましくは7~10、さらに好ましくは7.5~9である。ラテックス組成物のpHを上記範囲にすることにより、機械的安定性が向上してラテックス組成物の移送時における粗大凝集物の発生を抑制することができ、かつ、ラテックス組成物の粘度が適度なものとなってラテックス組成物の取扱性が向上する。
【0081】
本発明のラテックス組成物の25℃における粘度は、好ましくは2,000~100,000mPa・sであり、より好ましくは2,500~50,000mPa・s、さらに好ましくは3,000~20,000mPa・sである。ラテックス組成物の25℃における粘度は、たとえば、B型粘度計を用いて、25℃、回転数6rpmの条件で測定することができる。また、ラテックス組成物の25℃における粘度は、たとえば、ラテックス組成物中における重合体成分の濃度を調整する方法や、ラテックス組成物に対し、増粘作用を有する化合物を添加する方法などにより調整できる。
【0082】
また、本発明のラテックス組成物には、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化マグネシウム、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウム、酸化チタンなどの充填剤を添加してもよい。また、本発明のラテックス組成物には、必要に応じて、上記水溶性塩や充填剤以外の添加剤、たとえば、老化防止剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、湿潤剤、分散剤、顔料、染料、補強剤、pH調整剤などの各種添加剤を所定量添加することもできる。
【0083】
本発明のラテックス組成物は、たとえば、上記した成分を混合することにより調製することができる。各成分の混合順序は特に限定されないが、各成分の分散性をより高めるという観点より、共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、重合体(B)のラテックスとを予め混合した後に、必要に応じて配合される各成分を添加し、混合する方法が好ましい。共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、重合体(B)のラテックスとを混合する方法としては、特に限定されないが、分散性をより高めるという観点より、共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、重合体(B)のラテックスと、をラテックス状態で混合する方法(ラテックスブレンド)が好ましい。
【0084】
<ディップ成形体>
本発明のディップ成形体は、上述した本発明のラテックス組成物を用いて得られる成形体である。
【0085】
本発明のディップ成形体は、上述した本発明のラテックス組成物を用いて得られる成形体であるため、上述したニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)と、上述した架橋性基含有重合体(B)とを含有する重合体層を少なくとも有する。本発明のディップ成形体中における、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)と、架橋性基含有重合体(B)との含有比率の好適な範囲は、本発明のラテックス組成物中における、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)と、架橋性基含有重合体(B)との含有比率の好適な範囲として上述した範囲と同様である。
【0086】
ディップ成形体としては、ディップ成形型を、上述した本発明のラテックス組成物などのラテックス組成物に浸漬することで得られる、ラテックス組成物からなるディップ成形体であってもよいし、あるいは、基材をラテックス組成物に浸漬することで得られる、基材と、ラテックス組成物からなる重合体層との積層体であってもよい。以下においては、本発明のディップ成形体が、基材と、ラテックス組成物からなる重合体層との積層体である場合を例示して説明するが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。
【0087】
基材としては特に限定されないが、ディップ成形体を保護手袋として用いる場合には、繊維基材を好適に用いることができる。繊維基材としては特に限定されないが、たとえば、繊維として単繊維の撚糸を使用し、この撚糸を織ることで手袋形状としたものを用いることができる。繊維基材の平均厚みは、好ましくは50~3,000μm、より好ましくは100~2,000μmである。
【0088】
ディップ成形体は、たとえば、基材を、ラテックス組成物に浸漬させることにより、基材上に、ラテックス組成物からなる重合体層を形成することで製造することができる。この際には、予め基材を所望の形状の成形用型に被せた状態で、基材をラテックス組成物に浸漬させることが好ましい。
【0089】
基材を被せる成形用型としては、特に限定されないが、材質は磁器製、ガラス製、金属製、プラスチック製など種々のものを用いることができる。成形用型の形状は、最終製品の形状に合わせて、所望の形状とすればよい。たとえば、ディップ成形体を保護手袋として使用する場合には、基材を被せる成形用型として、手首から指先までの形状を有する成形用型など、各種の手袋用の成形用型を用いることが好ましい。
【0090】
また、基材をラテックス組成物に浸漬させる前には、予め基材を凝固剤溶液に浸漬させ、基材に凝固剤溶液を付着させることが好ましい。この際には、予め基材を所望の形状の成形用型に被せた状態で、基材を凝固剤溶液に浸漬させることが好ましい。所望の形状の成形用型としては、上述したものが挙げられる。また、凝固剤溶液を基材に付着させ、基材に凝固剤溶液を付着させた後には、乾燥を行うことで、凝固剤溶液に含まれている溶媒を除去することが好ましい。この際の乾燥温度は、特に限定されず、用いる溶媒に応じて選択すればよいが、好ましくは10~80℃、より好ましくは15~70℃である。また、乾燥時間は、特に限定されないが、好ましくは600~1秒間、より好ましくは300~5秒間である。
【0091】
次いで、凝固剤溶液を付着させた基材を、所望の形状の成形用型に被せた状態のまま、ラテックス組成物に浸漬させることで、ラテックス組成物を凝固させて、基材上に、ラテックス組成物からなる重合体層を付着させる。
【0092】
そして、基材を、ラテックス組成物に浸漬させた後には、乾燥を行うことが好ましい。この際における乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは10~80℃、より好ましくは15~80℃である。また、乾燥時間は、特に限定されないが、好ましくは120分間~5秒間、より好ましくは60分間~10秒間である。
【0093】
なお、ラテックス組成物として、硫黄系架橋剤を含有するものを用いる場合には、ラテックス組成物として、予め熟成(前加硫ともいう。)させたものを用いてもよい。
【0094】
熟成させる際の温度条件は、特に限定されないが、好ましくは20~50℃である。また、熟成させる際の時間は、基材と、ラテックス組成物からなる重合体層との剥離を防止する観点、得られるディップ成形体の耐摩耗性を向上させる観点から、好ましくは4時間以上120時間以下、より好ましくは24時間以上72時間以下である。
【0095】
次いで、基材に付着させたラテックス組成物を加熱することにより、ラテックス組成物に含まれる重合体成分を架橋させることが好ましい。
【0096】
架橋のための加熱温度は、好ましくは60~160℃、より好ましくは80~150℃である。加熱温度を上記範囲にすることにより、架橋反応に要する時間を短くしてディップ成形体の生産性を向上させることができるとともに、過剰な加熱による重合体成分の酸化劣化を抑制して、得られるディップ成形体の物性を向上させることができる。架橋のための加熱時間は、加熱温度に応じて適宜選択すればよいが、通常、5~120分である。
【0097】
なお、このようにして得られるディップ成形体に対し、必要に応じて、基材上に形成される重合体層を20~80℃の温水に0.5~60分程度浸漬することにより、重合体層から水溶性不純物(乳化剤、水溶性高分子、凝固剤など)を除去しておくことが好ましい。このような重合体層を温水に浸漬させる処理は、重合体層中の重合体成分を架橋させた後に行なってもよいが、より効率的に水溶性不純物を除去できる点から、重合体層中の重合体成分を架橋させる前に行なうことが好ましい。
【0098】
温水に浸漬させた後には、さらに乾燥を行ってもよい。この際における乾燥温度、乾燥時間は、特に限定されないが、上述した、ラテックス組成物に浸漬させた後の乾燥工程における乾燥温度、乾燥時間と同様とすることができる。
【0099】
そして、以上のように基材を成形用型に被せた状態で基材上に、重合体層を形成した後、成形用型から脱着(あるいは脱型)することによって、ディップ成形体を得ることができる。脱着方法としては、手で成形用型から剥したり、水圧や圧縮空気の圧力により剥したりする方法を採用することができる。
【0100】
ディップ成形体を成形用型から脱着する前、または脱着した後には、さらに60~120℃の温度で、10~120分の加熱処理(後架橋工程)を行ってもよい。また、ディップ成形体を成形用型から脱着した後には、ディップ成形体の内側および/または外側の表面に、塩素化処理やコーティング処理などによる表面処理層を形成してもよい。
【0101】
このようにして得られる、ディップ成形体は、凝固剤を用いた凝固により、基材上に、上述した本発明のラテックス組成物からなる重合体層を形成するものであるため、重合体層の膜厚を、好ましくは0.05~1.0mm、より好ましくは0.06~0.8mm、さらに好ましくは0.07~0.7mm、特に好ましくは0.3mm超、0.7mm以下と比較的厚膜なものとすることが好ましい。重合体層の膜厚を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体の耐摩耗性を高めることができる。
【0102】
本発明のディップ成形体は、上述した本発明のラテックス組成物を用いるものであるため、オイルグリップ性、柔軟性、および耐薬品透過性に優れるものであり、たとえば、手袋用途、特に保護手袋用途に好適に用いることができるものである。なお、上記においては、本発明のディップ成形体が、基材と、ラテックス組成物からなる重合体層との積層体である場合を例示して説明したが、上述したように、本発明はこのような態様に何ら限定されるものではなく、たとえば、ディップ成形型を、ラテックス組成物に浸漬することで得られる、ラテックス組成物からなるディップ成形体とすることも、もちろん可能である。
【実施例0103】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
【0104】
<ガラス転移温度(Tg)>
各重合体(重合体(A-1)、(B-1)~(B-6)および(B’-7))のガラス転移温度(Tg)を、JIS K7121に従い、示差熱分析測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製の「EXSTAR DSC6220」)を用いて測定した。
【0105】
<メチルエチルケトン不溶解分量>
各重合体(重合体(A-1)、(B-1)~(B-6)および(B’-7))のラテックスを、それぞれ、キャスト法により基材上に塗布し、これを25℃で、120時間乾燥させることで、乾燥フィルムを得て、得られた乾燥フィルムの重量(この重量を「W1」とする。)を測定した。次いで、得られた乾燥フィルムを、25℃、24時間の条件にて、メチルエチルケトン中に浸漬させた後、浸漬後のフィルムについて、重量(この重量を「W2」とする。)を測定した後、105℃で、3時間乾燥して、メチルエチルケトンを除去した。そして、メチルエチルケトン除去後のフィルムについて、重量(この重量を「W3」とする。)を測定し、これらの重量の測定結果を用いて、下記式(1)に従って、メチルエチルケトン不溶解分量を求めた。
メチルエチルケトン不溶解分量(単位:重量%)=(W3/W1)×100・・・(1)
【0106】
<重合体の粒子の粒子径>
各重合体(重合体(A-1)、(B-1)~(B-6)および(B’-7))のラテックスの粒子の中位径を、粒子径測定装置(ベックマン・コールター社製の「LS13320」を使用して、レーザ回折散乱法により測定した。
【0107】
<ウェットグリップ性(オイルグリップ性)>
重さ0.6kgの円筒状の金属モールドおよび重さ0.5kgの重りを用意し、金属モールドに試験油IRM903を付着させた。そして、作業者に、保護手袋を装着してもらい、試験油IRM903を付着させた金属モールドを持ち上げてもらい、持ち上げることができたら、重りを1枚ずつ追加していき、持ち上げることができた最大重量を求めた。合計2名の作業者に同様の作業を行わせ、持ち上げることができた最大重量の平均値を求めた。持ち上げることができた最大重量が大きいほど、ウェットグリップ性(オイルグリップ性)に優れると判断できる。
【0108】
<耐薬品透過性>
以下の手順によりオイル透過率を測定した。
(1)保護手袋を適当な円形の大きさに切り取り、サンプルとした。
(2)ろ紙の重量(W1)を測定した。
(3)試験油IRM903 2mLの重量(W2)を測定し、それを試薬瓶に入れた。
(4)試験油IRM903が入った試薬瓶の上に、サンプルのゴム層が接液するように置いた。
(5)固定具を用いて試薬瓶とサンプルとをしっかりと密着させた。
(6)試験油IRM903がサンプルに触れるようにするため、試薬瓶をひっくり返し、あらかじめ重量(W1)を測っておいたろ紙上に置き、室温で放置した。
(7)72時間放置後、ろ紙の重量(W3)を測定した。
(8)試験油IRM903がサンプルを透過した割合(オイル透過率)を以下の式で計算した。
オイル透過率(%)=(W3-W1)÷W2×100
オイル透過率の値が小さいほど、オイルなどの薬品に対する耐薬品透過性に優れると判断できる。
【0109】
<製造例1>
(ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックスの調製)
重合反応器に、共役ジエン単量体として1,3-ブタジエン68部、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体としてアクリロニトリル27部、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体としてメタクリル酸5部、t-ドデシルメルカプタン0.5部、イオン交換水132部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、β-ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5部、過硫酸カリウム0.3部およびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩0.05部を仕込み、重合温度を30~40℃に保持して重合を行い、重合転化率が94%に達するまで反応させることで、共重合体のラテックスを得た。そして、得られた共重合体のラテックスから未反応単量体を除去した後、共重合体のラテックスのpHおよび固形分濃度を調整することで、固形分濃度40重量%、pH=8のニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックスを得た。
【0110】
得られたニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックス中に含まれる、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)について、単量体組成を測定したところ、単量体組成は、仕込み割合とほぼ同じ割合であった。また、得られたニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックス中に含まれる、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)について、ガラス転移温度(Tg)、メチルエチルケトン不溶解分量、中位径を上記方法にしたがって測定したところ、ガラス転移温度(Tg)は-27℃、中位径は126nmであった。
【0111】
<製造例2>
(メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスの調製)
重合反応器に、メタクリル酸グリシジル5部、メタクリル酸メチル95部、1,1’-オキシビステトラプロピレン誘導体のベンゼンスルホン酸エステル6部、t-ドデシルメルカプタン0.1部、イオン交換水200部、過硫酸カリウム1.5部およびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩0.1部を仕込み、重合温度を30~70℃に保持して重合を行い、重合転化率が95%に達するまで反応させることで、重合体のラテックスを得た。そして、重合体のラテックスのpHおよび固形分濃度を調整することで、固形分濃度30重量%、pH=8.5のメタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスを得た。得られたメタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックス中に含まれる、メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)について、ガラス転移温度(Tg)、メチルエチルケトン不溶解分量、中位径を上記方法にしたがって測定した。結果を表1に示す。
【0112】
<製造例3>
(メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-2)のラテックスの調製)
メタクリル酸グリシジルの使用量を5部から10部に変更し、かつ、メタクリル酸メチルの使用量を95部から90部に変更した以外は、製造例2と同様に重合を行い、重合体のラテックスを得た。そして、重合体のラテックスのpHおよび固形分濃度を調整することで、固形分濃度30重量%、pH=8.5のメタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-2)のラテックスを得て、製造例2と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0113】
<製造例4>
(メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-3)のラテックスの調製)
メタクリル酸グリシジルの使用量を5部から30部に変更し、かつ、メタクリル酸メチルの使用量を95部から70部に変更した以外は、製造例2と同様に重合を行い、重合体のラテックスを得た。そして、重合体のラテックスのpHおよび固形分濃度を調整することで、固形分濃度30重量%、pH=8.5のメタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-3)のラテックスを得て、製造例2と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0114】
<製造例5>
(メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-4)のラテックスの調製)
メタクリル酸グリシジルの使用量を5部から70部に変更し、かつ、メタクリル酸メチルの使用量を95部から30部に変更した以外は、製造例2と同様に重合を行い、重合体のラテックスを得た。そして、重合体のラテックスのpHおよび固形分濃度を調整することで、固形分濃度30重量%、pH=8.5のメタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-4)のラテックスを得て、製造例2と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0115】
<製造例6>
(メタクリル酸グリシジル重合体(B-5)のラテックスの調製)
メタクリル酸グリシジルの使用量を5部から100部に変更し、かつ、メタクリル酸メチルを使用しなかった以外は、製造例2と同様に重合を行い、重合体のラテックスを得た。重合体のラテックスを得た。そして、重合体のラテックスのpHおよび固形分濃度を調整することで、固形分濃度30重量%、pH=8.5のメタクリル酸グリシジル重合体(B-5)のラテックスを得て、製造例2と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0116】
<製造例7>
(メタクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体(B-6)のラテックスの調製)
メタクリル酸グリシジルに代えて、メタクリル酸を用いた以外は、製造例3と同様に重合を行い、重合体のラテックスを得た。そして、重合体のラテックスのpHおよび固形分濃度を調整することで、固形分濃度30重量%、pH=8.5のメタクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体(B-6)のラテックスを得て、製造例2と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0117】
<製造例8>
(メタクリル酸メチル重合体(B’-7)のラテックスの調製)
メタクリル酸グリシジルを使用せず、かつ、メタクリル酸メチルの使用量を5部から100部に変更した以外は、製造例2と同様に重合を行い、重合体のラテックスを得た。そして、重合体のラテックスのpHおよび固形分濃度を調整することで、固形分濃度30重量%、pH=8.5のメタクリル酸メチル重合体(B’-7)のラテックスを得て、製造例2と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0118】
<実施例1>
(コロイド硫黄の水分散液の調製)
コロイド硫黄(細井化学工業社製)1.0部、分散剤(花王社製、商品名「デモールN」)0.5部、5重量%水酸化カリウム水溶液(和光純薬工業社製)0.0015部、および水1.0部を、ボールミル中で48時間粉砕攪拌することで、固形分濃度50重量%のコロイド硫黄の水分散液を調製した。
【0119】
(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の水分散液、酸化亜鉛の水分散液、酸化チタンの水分散液の調製)
コロイド硫黄に代えて、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学工業社製)、酸化亜鉛(正同化学工業社製)、および酸化チタンをそれぞれ使用した以外は、上記と同様にして、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の水分散液、酸化亜鉛の水分散液、および酸化チタンの水分散液をそれぞれ調製した。
【0120】
(ラテックス組成物の調製)
上記で得られたニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックスと、上記で得られたメタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスとを、「ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1):メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)」の重量比で70:30となるように、混合し、5重量%の水酸化カリウムを添加することで、固形分濃度45重量%、pH=8の重合体ラテックス組成物を調製した。
【0121】
そして、上記にて得られた重合体ラテックス組成物の重合体成分100部に対して、それぞれ固形分換算で、コロイド硫黄1.0部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛1.0部、酸化亜鉛1.5部、および酸化チタン3.0部となるように、上記にて調製した各配合剤の水分散液を添加した。なお、各配合剤の水分散液を添加する際には、ラテックス組成物を撹拌した状態で、所定の量をゆっくり添加した。そして、各配合剤が均一に混合された後に、水溶性ポリマーとして、カルボキシメチルセルロース(ダイセル社製、商品名「Daicel2200」、重量平均分子量:550,000、酸量:3.7mmol/g)0.30部を添加し、固形分濃度を調整することで、固形分濃度40重量%、25℃における粘度3,000mPa・sであるラテックス組成物を得た。
【0122】
(凝固剤溶液の調製)
凝固剤としての硝酸カルシウムを、3.0重量%の割合でメタノールに溶解させることで、凝固剤溶液を調製した。
【0123】
(保護手袋の製造)
まず、上記にて得られたラテックス組成物を、温度30℃、48時間の条件にて、熟成(前加硫ともいう。)させた。次いで、手袋形状の繊維基材(材質:ナイロン、線密度:300デニール、ゲージ数:13ゲージ、厚み:0.8mm)を被せたセラミックス製手袋型を、上記にて調製した凝固剤溶液に5秒間浸漬し、凝固剤溶液から引き上げた後、温度30℃、1分間の条件で乾燥させた。その後、セラミックス製手袋型を、熟成させたラテックス組成物に5秒間浸漬し、熟成させたラテックス組成物から引き上げた後、温度30℃、30分間の条件で乾燥させ、次いで温度70℃、10分間の条件で加熱し、架橋させることで、繊維基材上に、膜厚0.6mmの重合体層を形成した。その後、重合体層を形成したセラミックス製手袋型を、60℃の温水に90秒間浸漬して、重合体層から水溶性の不純物を溶出させた後、温度30℃、10分間の条件で乾燥させ、さらに温度125℃、30分間の条件で熱処理を行う事で、重合体層中の重合体に架橋処理を施した。次いで、重合体層が形成された繊維基材をセラミックス製手袋型から剥がすことで、保護手袋を得た。そして、得られた保護手袋を用いて、ウェットグリップ性および耐薬品透過性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0124】
<実施例2>
ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックスと、メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスとを、「ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1):メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)」の重量比で90:10となるように、混合した以外は、実施例1と同様にして、保護手袋を得て、実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に示す。
【0125】
<実施例3>
メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスに代えて、メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-2)のラテックスを用い、かつ、カルボキシメチルセルロースの使用量を0.30部から0.57部に変更した以外は、実施例1と同様にして、保護手袋を得て、実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に示す。
【0126】
<実施例4>
メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスに代えて、メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-2)のラテックスを用い、かつ、カルボキシメチルセルロースの使用量を0.30部から0.57部に変更した以外は、実施例2と同様にして、保護手袋を得て、実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に示す。
【0127】
<実施例5>
メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスに代えて、メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-3)のラテックスを用い、かつ、カルボキシメチルセルロースの使用量を0.30部から0.57部に変更した以外は、実施例1と同様にして、保護手袋を得て、実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に示す。
【0128】
<実施例6>
メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスに代えて、メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-3)のラテックスを用い、かつ、カルボキシメチルセルロースの使用量を0.30部から0.37部に変更した以外は、実施例2と同様にして、保護手袋を得て、実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に示す。
【0129】
<実施例7>
メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスに代えて、メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-4)のラテックスを用い、かつ、カルボキシメチルセルロースの使用量を0.30部から0.57部に変更した以外は、実施例1と同様にして、保護手袋を得て、実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に示す。
【0130】
<実施例8>
メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスに代えて、メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-4)のラテックスを用い、かつ、カルボキシメチルセルロースの使用量を0.30部から0.37部に変更した以外は、実施例2と同様にして、保護手袋を得て、実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に示す。
【0131】
<実施例9>
メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスに代えて、メタクリル酸グリシジル重合体(B-5)のラテックスを用い、かつ、カルボキシメチルセルロースの使用量を0.30部から0.57部に変更した以外は、実施例1と同様にして、保護手袋を得て、実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に示す。
【0132】
<実施例10>
メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスに代えて、メタクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体(B-6)のラテックスを用い、かつ、カルボキシメチルセルロースの使用量を0.30部から0.35部に変更した以外は、実施例1と同様にして、保護手袋を得て、実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に示す。
【0133】
<実施例11>
メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスに代えて、メタクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体(B-6)のラテックスを用い、かつ、カルボキシメチルセルロースの使用量を0.30部から0.57部に変更した以外は、実施例2と同様にして、保護手袋を得て、実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に示す。
【0134】
<比較例1>
ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックスと、メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスとを混合してなる重合体ラテックス組成物に代えて、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックスを重合体ラテックス組成物として用い、かつ、カルボキシメチルセルロースの使用量を0.30部から0.53部に変更した以外は、実施例1と同様にして、保護手袋を得て、実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に示す。
【0135】
<比較例2>
メタクリル酸グリシジル-メタクリル酸メチル共重合体(B-1)のラテックスに代えて、メタクリル酸メチル重合体(B’-7)のラテックスを用い、かつ、カルボキシメチルセルロースの使用量を0.30部から0.77部に変更した以外は、実施例1と同様にして、保護手袋を得て、実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に示す。
【0136】
【0137】
表1に示すように、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、架橋性基含有重合体(B)のラテックスと、を混合してなり、前記架橋性基含有重合体(B)が、エポキシ基含有単量体単位、カルボキシル基含有単量体単位、および、炭素-炭素二重結合を2つ有する単量体の単位からなる群から選択される少なくとも1種である架橋性基含有単量体単位(b1)を特定量含有するものであるラテックス組成物によれば、得られるディップ成形体を、ウェットグリップ性および耐薬品透過性に優れたものとすることができる結果となった(実施例1~11)。
【0138】
一方、架橋性基含有重合体(B)のラテックスを配合しなかった場合には、得られるディップ成形体は、ウェットグリップ性または耐薬品透過性に劣るものであった(比較例1,2)。