(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057948
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】圧迫部材、支持部材及びマンモグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/04 20060101AFI20220404BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A61B6/04 309B
A61B6/00 330Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166469
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 淑恵
(72)【発明者】
【氏名】今野 紳一朗
(72)【発明者】
【氏名】小平 俊輔
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA07
4C093CA21
4C093DA06
4C093ED21
4C093FB09
4C093FB20
(57)【要約】
【課題】圧迫部材を介して乳房を視認可能としながら、投影用画像を投影した場合に表示画像を表示できる圧迫部材、支持部材及びマンモグラフィ装置を提供する。
【解決手段】圧迫板40は、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にする圧迫板40であって、乳房と非接触の少なくとも1つの表面における少なくとも一部の領域が、粗面化されている。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にする圧迫部材であって、
前記乳房と非接触の少なくとも1つの表面における少なくとも一部の領域が、粗面化されている
圧迫部材。
【請求項2】
それぞれが前記乳房と非接触の複数の表面のそれぞれにおける少なくとも一部の領域が、粗面化されている
請求項1に記載の圧迫部材。
【請求項3】
前記乳房との接触面と反対側の表面における少なくとも一部の領域が、粗面化されている
請求項1又は2に記載の圧迫部材。
【請求項4】
前記乳房との接触面と反対側の表面において、胸壁側の領域が粗面化され、胸壁と反対側の領域が粗面化されていない
請求項3に記載の圧迫部材。
【請求項5】
前記乳房との接触面と反対側の表面と交差する表面における少なくとも一部の領域が、粗面化されている
請求項3又は4に記載の圧迫部材。
【請求項6】
粗面化された前記領域の算術平均粗さは、5μm以上、20μm以下である
請求項1から5の何れか1項に記載の圧迫部材。
【請求項7】
放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にする圧迫部材を支持する支持部材であって、
前記支持部材の少なくとも1つの表面における少なくとも一部の領域が、粗面化されている
支持部材。
【請求項8】
粗面化された前記領域の算術平均粗さは、5μm以上、20μm以下である
請求項7に記載の支持部材。
【請求項9】
放射線源と、
放射線検出器と、
前記放射線源と前記放射線検出器の間に配置された乳房を圧迫状態にし、前記乳房と非接触の少なくとも1つの表面における少なくとも一部の領域が粗面化されている圧迫部材と、
前記圧迫部材における粗面化された前記領域に画像を投影する画像投影部と、
を備えたマンモグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧迫部材、支持部材及びマンモグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療診断を目的とした放射線撮影を行う放射線画像撮影装置が知られている。この種の放射線画像撮影装置として、例えば、被検者の乳房を撮影するマンモグラフィ装置が挙げられる。マンモグラフィ装置では、撮影部位である被検者の乳房を圧迫板により圧迫させた状態で、乳房に放射線を照射して撮影を行う。
【0003】
また、マンモグラフィ装置において、撮影台に乳房のスキンラインを表示させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、圧迫された状態の乳房を撮影した放射線画像から乳房のスキンライン画像を生成しておき、次に乳房を撮影する場合に、撮影台にスキンライン画像を投影することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、マンモグラフィ装置において、圧迫板に乳房のスキンラインを表示させる技術が求められている。このような技術においては、乳房の圧迫においてポジショニング及び圧迫状態の確認を行うための透明性を保ちながら、スキンライン画像等の投影用画像を投影した場合に表示画像を表示できる圧迫板が求められている。
【0006】
本開示は、上記事情を考慮して成されたものであり、圧迫部材を介して乳房を視認可能としながら、投影用画像を投影した場合に表示画像を表示できる圧迫部材、支持部材及びマンモグラフィ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にする圧迫部材であって、乳房と非接触の少なくとも1つの表面における少なくとも一部の領域が、粗面化されている。
【0008】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、それぞれが乳房と非接触の複数の表面のそれぞれにおける少なくとも一部の領域が、粗面化されていてもよい。
【0009】
本開示の第3の態様は、上記第1又は第2の態様において、乳房との接触面と反対側の表面における少なくとも一部の領域が、粗面化されていてもよい。
【0010】
本開示の第4の態様は、上記第3の態様において、乳房との接触面と反対側の表面における胸壁側の領域が粗面化され、胸壁と反対側の領域が粗面化されていなくてもよい。
【0011】
本開示の第5の態様は、上記第3又は第4の態様において、乳房との接触面と反対側の表面と交差する表面における少なくとも一部の領域が、粗面化されていてもよい。
【0012】
本開示の第6の態様は、上記態様において、粗面化された領域の算術平均粗さが、5μm以上、20μm以下であってもよい。
【0013】
本開示の第7の態様は、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にする圧迫部材を支持する支持部材であって、支持部材の少なくとも1つの表面における少なくとも一部の領域が、粗面化されている。
【0014】
本開示の第8の態様は、上記第7の態様において、粗面化された領域の算術平均粗さが、5μm以上、20μm以下であってもよい。
【0015】
本開示の第9の態様は、マンモグラフィ装置であって、放射線源と、放射線検出器と、放射線源と放射線検出器の間に配置された乳房を圧迫状態にし、乳房と非接触の少なくとも1つの表面における少なくとも一部の領域が粗面化されている圧迫部材と、圧迫部材における粗面化された領域に画像を投影する画像投影部と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、圧迫部材を介して乳房を視認可能としながら、投影用画像を投影した場合に表示画像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】各実施形態の放射線画像撮影システムにおける全体の構成の一例を概略的に表した構成図である。
【
図2】各実施形態のマンモグラフィ装置の外観の一例を示す側面図である。
【
図6】各実施形態のコンソールのハードウェア構成の一例を表したブロック図である。
【
図8】各実施形態のコンソールの機能の一例を示す機能ブロック図である。
【
図9】第1実施形態の投影用画像の生成処理を説明するための図である。
【
図10】第1実施形態の投影用画像の生成処理を説明するための図である。
【
図11】第1実施形態のコンソールにおける情報処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【
図12】第2実施形態に係る左乳房のスキンライン画像が投影された圧迫板の図である。
【
図13】第2実施形態に係る右乳房のスキンライン画像が投影された圧迫板の図である。
【
図14】第2実施形態に係る左乳房のスキンライン画像が投影された小乳房用圧迫板の図である。
【
図15】第2実施形態に係る左乳房のスキンライン画像が投影された小乳房用圧迫板の図である。
【
図16】第2実施形態に係る左乳房及び右乳房のスキンライン画像が同時に投影された圧迫板の図である。
【
図17】第2実施形態のコンソールにおける情報処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【
図18】滑らかな平面における反射の原理を説明するための図である。
【
図19】粗面化された面における反射の原理を説明するための図である。
【
図20】粗面化された投影面を含む圧迫板の一例を示す模式図である。
【
図21】投影面における一部の領域が粗面化された圧迫板の一例を示す模式図である。
【
図22】粗面化された投影面を含む圧迫板の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、各実施形態は本発明を限定するものではない。
【0019】
[第1実施形態]
まず、本実施形態の放射線画像撮影システムにおける、全体の構成の一例について説明する。
図1には、本実施形態の放射線画像撮影システム1における、全体の構成の一例を示す構成図が示されている。
図1に示すように、本実施形態の放射線画像撮影システム1は、マンモグラフィ装置10及びコンソール12を備える。本実施形態のマンモグラフィ装置10が、本開示の放射線画像撮影装置の一例である。また、本実施形態のコンソール12が、本開示の情報処理装置の一例である。
【0020】
まず、本実施形態のマンモグラフィ装置10について説明する。
図2には、本実施形態のマンモグラフィ装置10の外観の一例を示す側面図が示されている。なお、
図2は、被検者の右側からマンモグラフィ装置10を見た場合の外観の一例を示している。
【0021】
本実施形態のマンモグラフィ装置10は、被検者の乳房を被写体として、乳房に放射線R(例えば、X線)を照射して乳房の放射線画像を撮影する装置である。なお、マンモグラフィ装置10は、被検者が起立している状態(立位状態)のみならず、被検者が椅子(車椅子を含む)等に座った状態(座位状態)において、被検者の乳房を撮影する装置であってもよい。
【0022】
図2に示すように、本実施形態のマンモグラフィ装置10は、撮影台30内部に制御部20、記憶部22、及びI/F(Interface)部24を備える。制御部20は、コンソール12の制御に応じて、マンモグラフィ装置10の全体の動作を制御する。制御部20は、いずれも図示を省略した、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備える。ROMには、CPUで実行される、放射線画像の撮影に関する制御を行うための撮影処理プログラムを含む各種のプログラム等が予め記憶されている。RAMは、各種データを一時的に記憶する。
【0023】
記憶部22には、放射線検出器28により撮影された放射線画像の画像データや、その他の各種情報等が記憶される。記憶部22の具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が挙げられる。
【0024】
I/F部24は、無線通信又は有線通信により、コンソール12との間で各種情報の通信を行う。マンモグラフィ装置10で放射線検出器28により撮影された放射線画像の画像データは、I/F部24を介してコンソール12に無線通信又は有線通信によって送信される。
【0025】
操作部26は、例えば、マンモグラフィ装置10の撮影台30等に複数のスイッチとして設けられている。なお、操作部26は、タッチパネル式のスイッチとして設けられていてもよいし、ユーザが足で操作するフットスイッチとして設けられていてもよい。
【0026】
放射線検出器28は、
図2に示すように、撮影台30の内部に配置されている。本実施形態のマンモグラフィ装置10では、撮影を行う場合、撮影台30の撮影面30A上に、被検者の乳房が医師及び技師等のユーザによってポジショニングされる。放射線検出器28は、乳房及び撮影台30を透過した放射線Rを検出し、検出した放射線Rに基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を表す画像データを出力する。なお、放射線検出器28の種類は特に限定されず、例えば、放射線Rを光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器であってもよいし、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。
【0027】
放射線照射部37は、放射線源37Rを備える。
図2に示すように放射線照射部37は、撮影台30及び圧迫ユニット36と共にアーム部32に設けられる。本実施形態の放射線照射部37は、照射野を変更可能に構成されている。照射野の変更は、例えば、ユーザが操作部26を操作することで行われてもよいし、取り付けられた圧迫板40の種類に応じて制御部20が行うものであってもよい。
【0028】
放射線照射部37の下方にあたるアーム部32の被検者から離れた位置には、本開示の画像投影部の一例である少なくとも1台のプロジェクタ39が設けられている。プロジェクタ39は、コンソール12の制御に応じて、投影用画像PPを圧迫板40の投影面に投影する。プロジェクタ39により投影用画像PPが投影されることで、圧迫板40の投影面には投影用画像PPに応じた表示画像が表示される。投影用画像PPは、後述するガイド情報を含んでいる。投影面とは、圧迫板40を構成する少なくとも1つの面である。プロジェクタ39としては、液晶プロジェクタ、DLP(Digital Light Processing)(登録商標)プロジェクタ、及びレーザプロジェクタ等の公知のプロジェクタを使用できる。なお、投影用画像PPを圧迫板40の複数の投影面に投影可能な複数台のプロジェクタ39が設けられていてもよい。また、プロジェクタ39の投影向きを変更するためのミラー等を設けてもよい。
【0029】
放射線照射部37の下方にあたるアーム部32の被検者に近い位置には、フェイスガード38が着脱可能に設けられている。フェイスガード38は、放射線源37Rから出射された放射線Rから被検者を保護するための保護部材である。
【0030】
図2に示すように、本実施形態のマンモグラフィ装置10は、アーム部32と、基台34と、軸部35と、を備えている。アーム部32は、基台34によって、上下方向(Z軸方向)に移動可能に保持される。軸部35は、アーム部32を基台34に連結する。またアーム部32は、軸部35を回転軸として、基台34に対して相対的に回転可能となっている。
【0031】
アーム部32と撮影台30及び圧迫ユニット36は、軸部35を回転軸として、別々に、基台34に対して相対的に回転可能となっている。本実施形態では、基台34、アーム部32、撮影台30、及び圧迫ユニット36にそれぞれ係合部(図示省略)が設けられ、この係合部の状態を切替えることにより、アーム部32、撮影台30、及び圧迫ユニット36の各々が基台34に連結される。軸部35に連結されたアーム部32、撮影台30、及び圧迫ユニット36の一方又は両方が、軸部35を中心に一体に回転する。
【0032】
圧迫ユニット36には、圧迫板40を上下方向(Z軸方向)に移動する圧迫板駆動部(図示省略)が設けられている。本実施形態の圧迫板40は、被検者の乳房を圧迫する機能を有する。圧迫板40の支持部46は、圧迫板駆動部に着脱可能に取り付けられ、圧迫板駆動部により上下方向(Z軸方向)に移動し、撮影台30との間で被検者の乳房を圧迫する。本実施形態の圧迫板40は、本開示の圧迫部材の一例である。
【0033】
本実施形態のマンモグラフィ装置10に取り付けが可能な圧迫板40には、複数の種類がある。例えば、圧迫板40は、乳房全体を圧迫するものに限らず、乳房の一部を圧迫するものであってもよい。換言すると、乳房よりも小さい圧迫板40でもよい。このような圧迫板40としては、例えば、病変が存在する領域のみの放射線画像を撮影する、いわゆるスポット撮影用の圧迫板40が知られている。またその他の種類の圧迫板40としては、例えば、乳房の大きさに応じた圧迫板、腋窩撮影用の圧迫板、及び拡大撮影用の圧迫板等が挙げられる。
【0034】
具体例として、本実施形態のマンモグラフィ装置10に取り付けが可能な3種類の圧迫板40A~40Cの各々について、
図3~5を参照して説明する。以下、圧迫板40A~Cの種類を関係なく総称する場合は、単に「圧迫板40」という。
【0035】
図3には、本実施形態の圧迫板40Aの一例の三面図を示す。圧迫板40Aは、主に日本国外で用いられる標準サイズの圧迫板である。
図3に示した三面図には、圧迫板40Aを上側(放射線照射部37側)から見た平面図(上面図)、被検者側から見た側面図、及び被検者の右側から見た側面図が含まれる。
図3に示すように、本実施形態の圧迫板40Aは、圧迫部42及び支持部46を含む。
【0036】
圧迫部42は、底部43が壁部44に囲まれ、断面形状が凹型に形成されている。底部43は、被検者の乳房に接触する接触面43Bの板厚が略一定であり、放射線源37R側の上面43Aは、平坦で、高さが略一様である。また、壁部44は、比較的高く、高さが略一様である。
【0037】
圧迫部42は、乳房の圧迫においてポジショニング及び圧迫状態の確認を行うために光学的に透明であることが好ましく、また、放射線Rの透過性に優れた材料によって形成される。このような材料の具体例としては、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、アクリル、PP(ポリプロピレン)等の樹脂が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0038】
支持部46は、本開示の支持部材の一例であり、取付部47及び腕48を含む。取付部47は、圧迫板40をマンモグラフィ装置10、具体的には圧迫板40内の圧迫板駆動部に取り付ける機能を有し、腕48は、圧迫部42を支持する機能を有する。
【0039】
図4には、本実施形態の圧迫板40Bの一例の三面図を示す。圧迫板40Bは、主に日本国内で用いられる圧迫板40Aよりも小さいサイズの圧迫板であり、海外の人と比べて乳房が小さい傾向にある日本人に適した圧迫板である。
図4に示した三面図には、圧迫板40Bを上側(放射線照射部37側)から見た平面図(上面図)、被検者側から見た側面図、及び被検者の右側から見た側面図が含まれる。
図4に示すように、本実施形態の圧迫板40Bは、上述の圧迫板40Aと同様に、圧迫部42及び支持部46を含む。圧迫板40Bは、
図3に示した圧迫板40Aと比較して、底部43が小さく、壁部44の高さが低くなっている。また、支持部46は、腕48の形が異なる。これら以外の構成は、圧迫板40Aと同様の構成である。
【0040】
図5には、本実施形態の圧迫板40Cの一例の三面図を示す。圧迫板40Cは、小乳房用の圧迫板であり、撮影者が乳房のポジショニング及び圧迫をしやすい形状となっている。
図5に示した三面図には、圧迫板40Cを上側(放射線照射部37側)から見た平面図(上面図)、被検者側から見た側面図、及び被検者の右側から見た側面図が含まれる。
図5に示すように、本実施形態の圧迫板40Cは、上述の圧迫板40A及び40Bと同様に、圧迫部42及び支持部46を含む。圧迫板40Cは、底部43が平坦ではなく、胸壁側(取付部47から離れた側)に比べて、取付部47側が高くなっている。また、壁部44は、高さが一様ではなく、胸壁側の一部の高さが、その他の部分の高さに比べて低い。
【0041】
このように、圧迫板40は、被検者の体格(例えば乳房の大きさ)並びに撮影の種類(例えば拡大撮影及びスポット撮影)等に応じてそれぞれ異なる種類のものが用意され、マンモグラフィ装置10に着脱できるようになっている。そこで、本実施形態のマンモグラフィ装置10は、圧迫板40の種類を識別する識別情報を取得する。
【0042】
例えば、圧迫板40の取付部47に圧迫板40の種類ごとに配置が異なる複数のピンを識別情報として設け、マンモグラフィ装置10に設けられたピンの配置の検知が可能なセンサによって、識別情報を読み取ってもよい。また、例えば、圧迫板40の任意の位置に圧迫板40の種類に応じた検出用のマーカを識別情報として設け、マンモグラフィ装置10に設けられた検出用のマーカの各ビットを検出可能なフォトインタラプタ等のセンサによって、識別情報を読み取ってもよい。また、例えば、マンモグラフィ装置10が、予め圧迫板40の識別情報と重さを対応付けたテーブルを記憶部22に記憶しておき、重さを検出可能なセンサによって測定した圧迫板40の重さをテーブルと照合することで、識別情報を取得してもよい。
【0043】
次に、本実施形態のコンソール12について説明する。コンソール12は、無線通信LAN(Local Area Network)等を介してRIS(Radiology Information System)2等から取得した撮影オーダ及び各種情報と、操作部56等によりユーザにより行われた指示等とを用いて、マンモグラフィ装置10の制御を行う機能を有する。
【0044】
撮影オーダには、例えば、撮影を行う被検者の氏名、性別及び生年月日等の被検者情報、並びに撮影を行う撮影種目が含まれる。撮影種目とは、例えば、CC(Cranio-Caudal:頭尾方向)撮影、MLO(Medio-Lateral Oblique:内外斜位方向)撮影、拡大撮影及びスポット撮影等の各種撮影を、左右の乳房ごとに指定したものである。
【0045】
本実施形態のコンソール12は、一例として、サーバーコンピュータである。
図6に示すように、コンソール12は、制御部50、記憶部52、I/F部54、操作部56、及び表示部58を備えている。制御部50、記憶部52、I/F部54、操作部56、及び表示部58はシステムバス及びコントロールバス等のバス59を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0046】
本実施形態の制御部50は、コンソール12の全体の動作を制御する。制御部50は、CPU50A、ROM50B、及びRAM50Cを備える。ROM50Bには、CPU50Aで実行される、後述する情報処理プログラム51を含む各種のプログラム等が予め記憶されている。RAM50Cは、各種データを一時的に記憶する。本実施形態のCPU50Aが、本開示のプロセッサの一例であり、本実施形態のROM50Bが、本開示のメモリの一例である。
【0047】
記憶部52には、マンモグラフィ装置10で撮影された放射線画像の画像データ、圧迫板情報53、及びその他の各種情報等が記憶される。記憶部52の具体例としては、HDDやSSD等が挙げられる。放射線画像の画像データは、撮影オーダと対応付けられて記憶されている。
【0048】
また、放射線画像の画像データには、撮影情報が付与されている。撮影情報とは、例えば、撮影対象の乳房に係る被検者を示す被検者情報、撮影を行った撮影者を示す撮影者情報、撮影を行った日付を示す日付情報、当該放射線画像の大きさを示す放射線画像大きさ情報、及び乳房を撮影した角度を示す角度情報、のうち少なくとも1つである。撮影者とは、例えば、医師及び技師等のユーザである。乳房を撮影した角度とは、例えば、アーム部32の基台34に対する回転角度によって示され、CC撮影の場合は0度であり、MLO撮影の場合は45度以上90度未満となる。
【0049】
圧迫板情報53の一例を
図7に示す。
図7に示すように、圧迫板情報53には、圧迫板40の種類ごとに割り当てられた識別情報と、圧迫板40の投影面の大きさの情報(以下、「投影面大きさ情報」という)と、圧迫板40に適した照射野の大きさと、がそれぞれ対応付けられて含まれる。
【0050】
操作部56は、放射線Rの照射指示を含む放射線画像の撮影等に関する指示や各種情報等をユーザが入力するために用いられる。操作部56は特に限定されるものではなく、例えば、各種スイッチ、タッチパネル、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。表示部58は、各種情報を表示する。なお、操作部56と表示部58とを一体化してタッチパネルディスプレイとしてもよい。
【0051】
I/F部54は、無線通信又は有線通信により、マンモグラフィ装置10及びRIS2との間で各種情報の通信を行う。本実施形態の放射線画像撮影システム1では、マンモグラフィ装置10で撮影された放射線画像の画像データは、コンソール12が、I/F部54を介して無線通信又は有線通信によりマンモグラフィ装置10から受信する。
【0052】
図8は、本実施形態のコンソール12の構成の一例の機能ブロック図を示す。
図8に示すように、コンソール12は、第1取得部60、第2取得部62、生成部64及び投影制御部66を備える。本実施形態のコンソール12において、制御部50のCPU50AがROM50Bに記憶されている情報処理プログラム51を実行することにより、CPU50Aが、第1取得部60、第2取得部62、生成部64及び投影制御部66として機能する。
【0053】
第1取得部60は、圧迫板40により圧迫された状態の乳房に対して放射線Rを照射させて放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置10における、圧迫板40の投影面の大きさを示す投影面大きさ情報を取得する。具体的には、マンモグラフィ装置10が識別した圧迫板40の識別情報を取得して、記憶部52の圧迫板情報53(
図7参照)と照合し、マンモグラフィ装置10に取り付けられた圧迫板40の投影面大きさ情報を取得する。
【0054】
第2取得部62は、圧迫された状態で撮影された乳房の放射線画像を取得する。例えば、第2取得部62は、記憶部52から放射線画像を取得する。なお、これに限らず、I/F部54を介して、マンモグラフィ装置10の記憶部22に記憶された放射線画像を取得してもよいし、他のコンソール及び各種外部装置に保存された放射線画像を取得してもよい。また、第2取得部62は、取得した放射線画像の大きさを示す放射線画像大きさ情報を取得する。
【0055】
また、放射線画像が複数ある場合に、第2取得部62は、複数の放射線画像のうち、予め定められた条件を満たす放射線画像を、放射線画像に付与された撮影情報に基づいて選択する。以下に条件の具体例を列挙する。以下に示す各条件は、何れか1つのみを用いてもよいし、複数の条件を組み合わせてもよい。また、条件ごとに優先度を定めてもよい。
【0056】
例えば、複数の放射線画像の各々に、被検者情報が撮影情報として付与されているとする。この場合、第2取得部62は、複数の放射線画像のうち、指定された被検者を示す被検者情報が付与された放射線画像を選択することを条件として用いる。例えば、生成部64で生成するスキンライン画像(詳細は後述)は、今回の撮影対象の被検者と同一の被検者に係る放射線画像に基づいて作成されることが好ましい。そこで、第2取得部62は、撮影オーダに基づいて今回の撮影対象の被検者の情報を取得し、同一の被検者に係る被検者情報が付与された過去の放射線画像を選択する。また、同一の被検者に係る放射線画像のうち、特に撮影する対象の乳房と同じ側(左乳房又は右乳房)の放射線画像を選択することが好ましい。なお、同じ側の乳房に係る放射線画像が無い場合は、他方の側の乳房の放射線画像を左右反転して用いてもよい。
【0057】
また例えば、複数の放射線画像の各々に、撮影者情報が撮影情報として付与されているとする。この場合、第2取得部62は、複数の放射線画像のうち、指定された撮影者を示す撮影者情報が付与された放射線画像を選択することを条件として用いる。例えば、撮影者によって乳房のポジショニング手法が異なる場合があるので、スキンライン画像は、今回撮影を行う撮影者と同一の撮影者によって撮影された放射線画像に基づいて作成されることが好ましい。そこで、第2取得部62は、今回撮影を行う撮影者の情報を取得し、同一の撮影者に係る撮影者情報が付与された過去の放射線画像を選択する。
【0058】
また例えば、複数の放射線画像の各々に、日付情報が撮影情報として付与されているとする。この場合、第2取得部62は、複数の放射線画像のうち、指定された日付を示す日付情報が付与された放射線画像を選択することを条件として用いる。例えば、日数の経過に伴って被検者が痩せたり太ったりして、乳房の大きさ等の形状が変化する場合がある。スキンライン画像は、今回撮影を行う乳房と近い形状の乳房を撮影した放射線画像に基づいて作成されることが好ましい。そこで、第2取得部62は、今回撮影を行う日付と近い、予め定められた期間内の日付情報が付与された過去の放射線画像を選択する。
【0059】
また例えば、複数の放射線画像の各々に、放射線画像大きさ情報が撮影情報として付与されているとする。この場合、第2取得部62は、複数の放射線画像のうち、指定された範囲内の大きさを示す放射線画像大きさ情報が付与された放射線画像を選択することを条件として用いる。例えば、スキンライン画像は、今回撮影する放射線画像の大きさと同じ又は近い大きさの放射線画像に基づいて作成されることが好ましい。また、スポット撮影等の小さい照射野で撮影された放射線画像は、スキンライン画像を生成するのに不適な場合がある。そこで、第2取得部62は、今回撮影する放射線画像の大きさと同じ又は近い大きさで、かつ予め定められた大きさ以上の放射線画像大きさ情報が付与された過去の放射線画像を選択する。
【0060】
なお、
図7に示すように、圧迫板40の大きさと、照射野すなわち放射線画像の大きさと、はそれぞれ1対1に対応付けられている。したがって、第2取得部62は、放射線画像大きさ情報に代えて、撮影に用いた圧迫板40の大きさの情報を用いて、放射線画像を選択するようにしてもよい。
【0061】
また例えば、複数の放射線画像の各々に、角度情報が撮影情報として付与されているとする。この場合、第2取得部62は、複数の放射線画像のうち、指定された範囲内の角度を示す角度情報が付与された放射線画像を選択することを条件として用いる。例えば、撮影の角度が変われば圧迫された乳房の形状も変化するので、スキンライン画像は、今回撮影を行う角度と同じ又は近い角度で撮影された放射線画像に基づいて作成されることが好ましい。そこで、第2取得部62は、今回撮影を行う角度と同じ又は近い、予め定められた範囲内の角度情報が付与された過去の放射線画像を選択する。
【0062】
また、第2取得部62は、上記の各予め定められた条件を満たす放射線画像が存在しない場合に、警告を発する制御を行ってもよい。具体的には、例えば、条件を満たさない任意の放射線画像に基づいて後述するスキンライン画像の生成及び投影を行ったうえで、スキンライン画像の信頼度が低い旨を示す警告を表示部58に表示してもよい。
【0063】
また、第2取得部62は、上記の各予め定められた条件を満たす放射線画像が存在しない場合に、投影用画像PPの投影を中止する制御を行ってもよい。具体的には、後述するスキンライン画像の生成及び投影の処理を中止してもよい。
【0064】
生成部64は、第1取得部60が取得した投影面大きさ情報に応じた大きさの投影用画像PPを生成する。具体的には、生成部64は、第2取得部62により選択された放射線画像が示す圧迫された状態の乳房の形状に基づいて、乳房を圧迫する場合のガイドとなるガイド情報を含む投影用画像PPを生成する。ガイド情報とは、圧迫された状態の乳房辺縁の少なくとも一部を示す情報であり、例えば、圧迫板40により圧迫された乳房の辺縁を表すスキンライン画像、ニップル位置を表す画像、又は乳房を撮影した放射線画像そのものであってもよい。
【0065】
図9及び10を参照して、投影面大きさ情報に応じた大きさの投影用画像PPを生成する処理の具体例について説明する。まず、生成部64は、第2取得部62が取得した放射線画像大きさ情報が示す放射線画像RG1の大きさと、第1取得部60が取得した投影面大きさ情報が示す投影面の大きさと、の何れが大きいかを比較する。
【0066】
図9は、第2取得部62が取得した放射線画像RG1に基づいて、放射線画像RG1よりも小さい圧迫板40Bの投影面(上面43A)に投影する投影用画像PP1を生成する場合の処理を示す図である。投影用画像PP1は、投影用画像PPの一例である。
図9は、圧迫された状態の乳房の放射線画像RG1と、放射線画像RG1が示す圧迫された状態の乳房の形状に基づいて生成されるスキンライン画像を含む投影用画像PP1と、投影用画像PP1が圧迫板40Bに投影された状態と、を示す。スキンライン画像は、本開示のガイド情報の一例である。
【0067】
図9の例のように、放射線画像RG1が投影面よりも大きい場合、生成部64は、放射線画像RG1のうちの投影面の大きさに応じた一部の領域が示す乳房の形状に基づくスキンライン画像を含む投影用画像PP1を生成する。すなわち、放射線画像RG1のうちの投影面の大きさに応じた一部の領域を切り取り、切り取った画像に基づいて、スキンライン画像を含む投影用画像PP1を生成する。切り取る領域は、
図9に示すように、胸壁側の一部の領域であることが好ましい。というのも、マンモグラフィ撮影においては、胸壁側を含む撮影を行う場合が多いためである。また、放射線画像RG1に含まれる乳房の形状の、左右方向の中心を含む一部の領域であることが好ましい。
【0068】
なお、スキンライン画像の生成方法は特に限定されない。例えば、放射線画像RG1の画素ごとの濃度に基づいて、放射線画像RG1を乳房領域と素抜け領域に分割し、乳房領域と素抜け領域の境界点となる画素をつなぐことで生成してもよい(特開2010-051456号公報参照)。
【0069】
一方、
図10は、第2取得部62が取得した放射線画像RG2に基づいて、放射線画像RG2よりも大きい圧迫板40Aの投影面(上面43A)に投影する投影用画像PP2を生成する場合の処理を示す図である。投影用画像PP2は、投影用画像PPの一例である。
図10は、圧迫された状態の乳房の放射線画像RG2と、放射線画像RG2が示す圧迫された状態の乳房の形状に基づいて生成されるスキンライン画像を含む投影用画像PP2と、投影用画像PP2が圧迫板40Aに投影された状態と、を示す。
【0070】
図10の例のように、放射線画像RG2が投影面よりも小さい場合に、生成部64は、放射線画像RG2が示す乳房の形状に基づいて、放射線画像RG2外の乳房の形状が補完されたスキンライン画像を含む投影用画像PP2を生成する。補完の手法としては、公知の画像補完手法が適用できる。例えば、放射線画像RG2に基づいて生成した部分のスキンライン画像の曲率にしたがって延長線を補完してもよい。また例えば、放射線画像RG2に基づいて生成した部分のスキンライン画像の接線を延長線として補完してもよい。また例えば、放射線画像RG2に基づいて生成した部分のスキンライン画像と類似する過去に生成されたスキンライン画像を流用してもよい。
【0071】
また、生成部64は、投影面大きさ情報に応じて放射線画像を拡大又は縮小した画像が示す乳房の形状に基づくスキンライン画像を含む投影用画像PPを生成してもよい。拡大及び縮小の割合は、例えば、放射線画像大きさ情報と投影面大きさ情報との組合せごと予め定められていてもよい。
【0072】
一例として、標準サイズの圧迫板40Aで撮影された放射線画像に基づいて、スポット撮影用の圧迫板に投影する投影用画像PPを生成する場合を例に説明する。スポット撮影用の圧迫板では、乳房の全体を圧迫せず、乳房の関心領域のみを圧迫して撮影を行う。この場合、関心領域のみに圧迫圧力をかけることで、圧迫される部位を、標準サイズの圧迫板40Aを用いた場合よりも薄く、平たく圧迫することができる。この場合は、投影面の大きさに応じて放射線画像の一部の領域を単に切り抜くのみでなく、乳房が薄く平たくなることで乳房の輪郭が拡大することを考慮して、放射線画像の拡大を行うことが好ましい。
【0073】
なお、上記の生成部64によるガイド情報(スキンライン画像)を含む投影用画像PPの生成処理において、放射線画像に基づくガイド情報の生成と、投影面大きさ情報に応じた大きさの投影用画像PPの生成と、の処理順序は限定されない。例えば、放射線画像に基づいてガイド情報を生成した後に、投影面大きさ情報に基づいてガイド情報を加工(切り取り、補完、及び、拡大又は縮小等)してもよい。また、例えば、投影面大きさ情報に基づいて放射線画像を加工した後に、加工後の放射線画像に基づいてガイド情報を生成してもよい。また、例えば、切り取り、補完、及び、拡大又は縮小等の加工の種類に応じて、処理順序を異ならせてもよい。具体的には、切り取りの加工(
図9参照)を行う場合は、放射線画像を切り取った後にガイド情報の生成を行い、補完の加工(
図10参照)を行う場合は、ガイド情報を生成した後にガイド情報を補完するようにしてもよい。
【0074】
投影制御部66は、圧迫板40の投影面に投影用画像PPを投影するプロジェクタ39により、生成部64が生成した投影用画像PPを投影面に投影する制御を行う。
【0075】
次に、本実施形態のコンソール12の作用について
図11を参照して説明する。コンソール12は、一例として、RIS2等から撮影オーダを受け付けた場合に、制御部50のCPU50Aが、ROM50Bに記憶されている情報処理プログラム51を実行することにより、
図11に一例を示した情報処理を実行する。
図11には、本実施形態のコンソール12において実行される情報処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。
【0076】
図11のステップS10で、第1取得部60は、マンモグラフィ装置10が識別した圧迫板40の識別情報を取得する。ステップS12で、第1取得部60は、ステップS10で取得した圧迫板40の識別情報と圧迫板情報53を照合し、マンモグラフィ装置10に取り付けられた圧迫板40の投影面大きさ情報を取得する。
【0077】
ステップS14で、第2取得部62は、過去に撮影された複数の放射線画像を取得する。ステップS16で、第2取得部62は、ステップS14で取得した複数の放射線画像のうち、定められた条件を満たす放射線画像を、放射線画像に付与された撮影情報に基づいて検索する。条件を満たす放射線画像があった場合は(ステップS16がY)、ステップS18で、第2取得部62は、条件を満たす放射線画像を選択する。
【0078】
ステップS20で、生成部64は、ステップS18で選択された放射線画像、及びステップS12で取得された投影面大きさ情報に基づき、スキンライン画像を含む投影用画像PPを生成する。ステップS22で、投影制御部66は、ステップS20で生成した投影用画像PPを、圧迫板40の投影面に投影する制御を行う。ステップS24で、投影制御部66は、投影を終了するか否かを判定し、投影を継続する場合(ステップS24がN)はステップS22に戻る。一方、投影を終了する場合(ステップS24がY)は本処理を終了する。なお、ユーザによる操作部56の操作、及び放射線画像の撮影完了等の予め定められたタイミングで投影を終了すると判定される。
【0079】
一方、ステップS16で条件を満たす放射線画像がなかった場合は(ステップS16がN)、ステップS26で、第2取得部62は、警告を発する制御又は投影用画像PPの投影を中止する制御を行い、本処理を終了する。
【0080】
以上説明したように、本実施形態のコンソール12は、少なくとも1つのプロセッサであるCPU50Aを備える。CPU50Aは、圧迫板40により圧迫された状態の乳房に対して放射線Rを照射させて放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置10における、圧迫板40の投影面の大きさを示す投影面大きさ情報を取得する。また、投影面大きさ情報に応じた大きさの投影用画像PPを生成し、圧迫板40の投影面に投影用画像PPを投影するプロジェクタ39により、投影用画像PPを投影面に投影する制御を行う。したがって、マンモグラフィ装置10に装着される圧迫板40の大きさに応じた大きさの投影用画像PPを投影できる。
【0081】
なお、上記実施形態では、投影用画像PPとしてスキンライン画像を含む画像を投影する形態について説明したが、これに限らず、投影用画像PPとしては任意の画像を適用することができる。例えば、圧迫圧力及び乳房の厚み等の文字情報を含む画像を、圧迫板40の投影面の大きさに合わせて投影する形態も含む。
【0082】
また、上記実施形態では、生成部64が、第2取得部62が取得した放射線画像に基づいてスキンライン画像を生成する形態について説明したが、これに限らない。例えば、外部装置が予め放射線画像ごとのスキンライン画像を生成しておき、当該スキンライン画像をコンソール12が取得する形態としてもよい。この場合、生成部64は、第1取得部60が取得した投影面大きさ情報に基づいて、取得したスキンライン画像を切り取り、補完、及び、拡大又は縮小した画像を生成する。
【0083】
[第2実施形態]
実際のマンモグラフィ撮影の場面では、通常、同一の被検者に係る左右2つの乳房の撮影を行う。撮影を行うユーザは、コンソール12を操作して撮影オーダを確認し、どちらの乳房を、どの撮影種目(例えばCC撮影、MLO撮影、拡大撮影及びスポット撮影等)について、どの順に撮影を行うかを把握した後、マンモグラフィ装置10を扱って撮影を行う。マンモグラフィ装置10とコンソール12が離れた場所に配置されていると、例えばユーザが右乳房の撮影と左乳房の撮影のどちらを先に行うか等の撮影オーダの再確認をしたい場合に一旦マンモグラフィ装置10を離れなければならず、撮影作業の効率が低下する。
【0084】
そこで、本実施形態に係る生成部64は、放射線画像が示す圧迫された状態の乳房の形状に基づいて、乳房を圧迫する場合のガイドとなるガイド情報を含み、かつ、当該ガイド情報が右乳房又は左乳房の何れに関するものであるかを識別可能な投影用画像PPを生成する。また、投影制御部66は、プロジェクタ39により、生成部64が生成した投影用画像PPを第1投影面に投影する制御を行う。第1投影面とは、圧迫板40を構成する1つの面である。なお、上述したように、放射線画像の画像データは撮影オーダと対応付けられて記憶部52に記憶されており、放射線画像に基づいて生成されるガイド情報が右乳房又は左乳房の何れに関するものであるかも対応付けられて記憶されている。以下、第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
【0085】
図12~15を参照して、「ガイド情報が右乳房又は左乳房の何れに関するものであるかを識別可能な投影用画像PP」の具体例について説明する。
図12及び13は標準サイズの圧迫板40Aに、
図14及び15は小乳房用の圧迫板40Cに、それぞれCC撮影用の投影用画像PPが投影された状態を示す図である。
図12~15では、本開示のガイド情報の一例としてのスキンライン画像を示している。
【0086】
図12及び13に示すように、生成部64は、例えば、ガイド情報が右乳房又は左乳房の何れに関するものであるかに応じて表示形態を異ならせて、投影用画像PPを生成してもよい。この場合、投影制御部66は、生成部64が生成した投影用画像PPを第1投影面(上面43A)に投影する制御を行う。表示形態とは、例えば、ガイド情報(スキンライン画像)の線種(実線及び破線等)、線の太さ、線の色等のことである。一例として、
図12では左乳房に関するスキンライン画像を実線で示し、
図13では右乳房に関するスキンライン画像を破線で示している。
【0087】
また、
図12及び13に示すように、生成部64は、例えば、ガイド情報と、当該ガイド情報が右乳房又は左乳房の何れに関するものであるかを示す左右情報と、を含む投影用画像PPを生成してもよい。この場合、投影制御部66は、生成部64が生成した投影用画像PPを第1投影面(上面43A)に投影する制御を行ってもよい。一例として、
図12では左(Left)乳房のCC撮影を意味する「LCC」の左右情報を示し、
図13では右(Right)乳房のCC撮影を意味する「RCC」の左右情報を示している。
【0088】
一方、
図14に示すように、圧迫板40の第1投影面(上面43A)が小さく、ガイド情報と、左右情報とを1つの投影面に投影することが不適な場合がある。この場合、プロジェクタ39が、第1投影面(上面43A)に加え、圧迫板40における第1投影面と異なる表面である第2投影面(壁部44の内面44A)に画像を投影するようにしてもよい。この場合、
図15に示すように、投影制御部66は、プロジェクタ39により、ガイド情報を第1投影面(上面43A)に投影し、左右情報を第2投影面(内面44A)に投影する制御を行う。
【0089】
なお、MLO撮影では腋窩まで含めて撮影を行うため、
図16に示すように、生成部64は、乳房の形状に加えて腋窩の形状も示すガイド情報(スキンライン画像)を生成する。この場合、右乳房と左乳房とでは腋窩の位置が異なるので、ガイド情報が右乳房又は左乳房の何れに関するものであるかに応じて表示形態を異ならせたり、左右情報を表示したりしなくても、ユーザはどちらのガイド情報であるか判断できる。そこで、MLO撮影では、
図16に示すように、生成部64は、右乳房及び左乳房のそれぞれに関するガイド情報を含む投影用画像PPを生成してもよい。すなわち、
図16に示すように、第1投影面(上面43A)には、右乳房及び左乳房のそれぞれに関するガイド情報が同時に表示されてもよい。
【0090】
ただし、視認性を高めるためには、
図16に示すように、生成部64は、ガイド情報が右乳房又は左乳房の何れに関するものであるかに応じて表示形態を異ならせることが好ましい。また、これらの場合に、ユーザによる操作部56又は操作部26等の操作に応じて、投影制御部66が、右乳房及び左乳房の何れか一方のみのガイド情報を含む投影用画像PPを第1投影面(上面43A)に投影する制御を行ってもよい。
【0091】
次に、本実施形態のコンソール12の作用について
図17を参照して説明する。コンソール12は、一例として、RIS2等から撮影オーダを受け付けた場合に、制御部50のCPU50Aが、ROM50Bに記憶されている情報処理プログラム51を実行することにより、
図17に一例を示した情報処理を実行する。
図17には、本実施形態のコンソール12において実行される情報処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。
【0092】
図17のステップS50で、第2取得部62は、放射線画像を取得する。ステップS52で、生成部64は、放射線画像に基づいて、ガイド情報を含み、かつ、当該ガイド情報が右乳房又は左乳房の何れに関するものであるかを識別可能な投影用画像を生成する。ステップS54で、投影制御部66は、ステップS52で生成した投影用画像PPを、圧迫板40の投影面に投影する制御を行う。ステップS56で、投影制御部66は、投影を終了するか否かを判定し、投影を継続する場合(ステップS56がN)はステップS54に戻る。一方、投影を終了する場合(ステップS56がY)は本処理を終了する。なお、ユーザによる操作部56の操作、及び放射線画像の撮影完了等の予め定められたタイミングで投影を終了すると判定される。
【0093】
以上説明したように、本実施形態のコンソール12は、少なくとも1つのプロセッサであるCPU50Aを備える。CPU50Aは、圧迫された状態で撮影された乳房の放射線画像を取得し、放射線画像が示す圧迫された状態の乳房の形状に基づいて、乳房を圧迫する場合のガイドとなるガイド情報を含み、かつ、当該ガイド情報が右乳房又は左乳房の何れに関するものであるかを識別可能な投影用画像PPを生成する。また、圧迫板40の第1投影面に投影用画像PPを投影するプロジェクタ39により、投影用画像PPを第1投影面に投影する制御を行う。したがって、ユーザがマンモグラフィ装置10を扱いながら、右乳房の撮影又は左乳房の撮影のどちらを行うべきかを確認でき、マンモグラフィ撮影における撮影作業の効率を向上させることができる。
【0094】
なお、本実施形態の技術は、第1実施形態に記載のように、投影面の大きさに応じた大きさの投影用画像PPを投影する形態のみに適用されるものではなく、本実施形態の技術を単独で実施することも可能である。例えば、投影面の大きさに応じて投影用画像PPの大きさを変えるか否かにかかわらず、スキンライン画像等のガイド情報を含む投影用画像PPを投影する任意の放射線画像撮影システムに適用することが可能である。
【0095】
また、上記実施形態では、
図12、13及び17に示すように、右乳房又は左乳房に応じて表示形態を異ならせる形態と、左右情報を表示する形態と、を組み合わせる形態について説明したが、これに限らず、これらの形態をそれぞれ単独で行ってもよい。
【0096】
[光を投影可能な圧迫板40の構成]
図18~22を参照して、上記第1及び第2実施形態に共通の構成として、プロジェクタ39により投影用画像PPを投影可能な圧迫板40の構成について説明する。上述したように、本実施形態における圧迫板40の圧迫部42は、乳房の圧迫においてポジショニング及び圧迫状態の確認を行うために光学的に透明な素材を含んで構成される。透明な物体に光が入射した場合、光の大部分(例えば90%)は透過し、一部(例えば10%)は物体表面で入射角と反射角が等しい鏡面反射をする。実際には物体内部での光吸収、並びに物体界面及び物体内部での散乱も生じるが、ここでは無視して説明する。物体表面で反射した光が目に入ることで、観察者は物体表面に投影される光を見ることができる。すなわち、透明な素材を含んで構成された圧迫板40においても、プロジェクタ39により投影される投影用画像PPが圧迫板40の投影面で反射し、その反射光が観察者の目に入れば、観察者は投影面上に表示画像を視認することができる。
【0097】
図18は、滑らかな平面に入射光が入射した場合の反射光の向きの一例を示す図である。
図19は、凹凸のある面に入射光が入射した場合の反射光の向きの一例を示す図である。
図18及び19には、3本の入射光を代表として記載している。
図18及び19に示すように、物体表面が滑らかな平面であるか凹凸のある面であるかにかかわらず、物体表面上の各位置S1~S6のそれぞれに入射した光はそれぞれ鏡面反射する。
【0098】
図18に示すように、物体表面が滑らかな平面である場合は、各位置S1~S3での反射光のうち、光源との角度(入射角)と目との角度(反射角)とが等しくなる位置S3における反射光のみが観察者の目に入る。観察者から見れば、物体表面上の位置S3にのみ光が表示されて見え、その他の位置S1及びS2には光が表示されていないように見える。すなわち、圧迫板40の投影面が滑らかな平面であれば、プロジェクタ39により投影面に投影用画像PPを投影しても、投影面上に表示画像が表示されていないように見える。
【0099】
一方、
図19に示すように、物体表面が凹凸のある面の場合、各位置S4~S6の反射する面の角度がそれぞれ異なるものであれば、各位置S4~S6のそれぞれにおいて、光源との角度(入射角)と目との角度(反射角)とが等しくなり得る。この場合、観察者の目には各位置S4~S6からの反射光が入るので、観察者から見れば、物体表面上の各位置S4~S6のそれぞれに光が表示されて見える。すなわち、圧迫板40の投影面が凹凸のある面であれば、プロジェクタ39により投影面に投影用画像PPを投影した場合に、投影面に表示画像が表示されて見える。
【0100】
そこで、本実施形態における圧迫板40の投影面には、プロジェクタ39により投影用画像PPを投影した場合に、観察者が表示画像を視認可能なように、粗面化加工を施すことが好ましい。粗面化加工とは、投影面の表面に凹凸を形成する加工であり、例えばシボ加工及び梨地加工等が挙げられる。粗面化処理の方法については、特に限定はなく、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理及び化学的粗面化処理等の各種の公知の方法を利用してよい。
【0101】
具体的には、プロジェクタ39により投影用画像PPが投影され得る、圧迫板40の乳房と非接触の少なくとも1つの表面における少なくとも一部の領域が粗面化される。例えば、乳房に重ねてスキンライン画像を投影する場合は、
図20に模式図を示すように、乳房との接触面43Bと反対側の表面(
図20の底部43の上面43A)における少なくとも一部の領域が粗面化される。なお、底部43の乳房との接触面43Bを粗面化することでも底部43上に表示画像が表示されて見えるが、凹凸が被検者の肌に接触することによる不快感を抑制するため、乳房との接触面43Bは粗面化されないことが望ましい。
【0102】
また、乳房に重ねてスキンライン画像を投影することを想定すると、スキンライン画像の投影領域は、圧迫板40の上面43Aにおける胸壁側の領域に限定される。そこで、例えば、
図21に示すように、乳房との接触面43Bと反対側の表面(
図21の上面43A)において、胸壁側(
図21のY方向下側)の領域43Aaが粗面化され、胸壁と反対側(
図21のY方向上側)の領域43Abは粗面化されていなくてもよい。同様の理由で、特にCC撮影で用いられる圧迫板40においては、乳房の左右方向(
図21のX方向)の中心を含む一部の領域が粗面化されていればよく、乳房の左右方向(
図21のX方向)の端部は粗面化されていなくてもよい。
【0103】
また、例えば、複数の面に投影用画像PPが投影され得る場合には、それぞれが乳房と非接触の複数の表面のそれぞれにおける少なくとも一部の領域が粗面化されていてもよい。例えば、圧迫板40の底部43にスキンライン画像を投影し、壁部44に文字情報を投影する場合(
図15参照)は、
図22に模式図を示すように、上面43Aに加え、乳房との接触面43Bと反対側の表面(上面43A)と交差する表面(内面44A)が粗面化されていてもよい。なお、壁部44の外面44Bを粗面化することでも壁部44上に表示画像が表示されて見えるが、凹凸が被検者の肌に接触することによる不快感を抑制するため、胸壁と接触する外面44Bは粗面化されないことが望ましい。
【0104】
また、例えば、スポット撮影用の圧迫板40のように、底部43及び壁部44がともに小さく、何れの面にも投影用画像PPを投影することが困難な場合は、圧迫板40を支持する支持部46に投影用画像PPを投影することも可能である。この場合、支持部46の少なくとも1つの表面における少なくとも一部の領域が、粗面化されていてもよい。
【0105】
なお、投影用画像PPが投影される各面において、投影用画像PPが投影され得る領域が限定されている場合は、当該領域のみが粗面化されていてもよい。
【0106】
粗面化の程度としては、放射線画像に凹凸が写り込まないように、放射線検出器28の画素サイズ以下に細かいことが好ましい。また、粗さが細かいほど反射光が拡散しやすいので、投影面上の表示画像の視認性を高めることができる。一方、粗さが細かすぎると、乳房が透けて見えなくなってしまうので、乳房のポジショニングに支障がない程度に粗いことが好ましい。
【0107】
具体的には、圧迫板40の投影面及び支持部46が上述したような透明の樹脂を含んで構成される場合、それぞれの粗面化された領域の算術平均粗さ(Ra)が、5μm以上、20μm以下であることが望ましい。算術平均粗さを20μm以下とすることで、凹凸が放射線画像に写り込むことを抑制し、投影面上の表示画像を見やすくすることができる。算術平均粗さを5μm以上とすれば、圧迫板40を介して乳房のポジショニングを確認するのに適する。換言すれば、算術平均粗さを20μmよりも大きくすると放射線画像に凹凸が写り込み、投影面上の表示画像が見えづらくなる場合があり、5μm未満とすると圧迫板40を介して乳房が見えづらくなる場合がある。
【0108】
以上説明したように、本実施形態に係る圧迫板40は、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にする圧迫部材であって、乳房と非接触の少なくとも1つの表面における少なくとも一部の領域が、粗面化されている。したがって、圧迫板40を介して乳房を視認可能としながら、投影用画像PPを投影した場合に表示画像を表示できる。
【0109】
なお、上記の光を投影可能なように投影面が粗面化された圧迫板40及び支持部46は、本開示の第1及び第2実施形態に係るマンモグラフィ装置10のみに用途が限定されるものではない。これらの圧迫板40及び支持部46は、放射線源と、放射線検出器と、放射線源と放射線検出器の間に配置された乳房を圧迫状態にし、乳房と非接触の少なくとも1つの表面における少なくとも一部の領域が粗面化されている圧迫部材と、圧迫部材における粗面化された領域に画像を投影する画像投影部と、を備える任意のマンモグラフィ装置において用いることができる。
【0110】
また、上記各実施形態で用いられる光を投影可能な圧迫板40及び支持部46としては、上述した粗面化加工を施したもの以外に、以下の構成を用いてもよい。例えば、プロジェクタ39により投影される光を拡散及び/又は反射して表示画像を視認可能とするとともに、表裏面からの光を透過する透明スクリーン(例えば特許第6606604号参照)を、圧迫板40及び支持部46の投影面に貼付してもよい。この場合は、底部43の接触面43B及び壁部44の外面44B等の、被検者の肌と接触する面に透明スクリーンを貼付することも可能である。すなわち、圧迫板40及び支持部46の全ての表面を投影面とすることが可能である。
【0111】
また、上記各実施形態では、識別情報を圧迫板40に設けてマンモグラフィ装置10が識別情報を読み取り、第1取得部60が識別情報と圧迫板情報53を参照することで投影面大きさ情報を取得する例について説明したが、これに限らない。例えば、取り付けられた圧迫板40の底部43の大きさ及び壁部44の高さ等の形状を測定することで、直接圧迫板40の投影面大きさ情報を取得してもよい。圧迫板40の形状を測定する手段としては、例えば、TOF(Time of Flight)カメラ等の撮影対象との距離を測定する装置を用いることができる。TOFカメラは、TOF方式を用いて距離画像を撮影するカメラであり、撮影対象に赤外線等の光を照射し、その反射光を受光するまでの時間、または出射光と受光光との位相変化に基づいて、TOFカメラと撮影対象との間の距離を測定する。TOFカメラによって撮影される距離画像は、画素毎に、TOFカメラと撮影対象との間の距離を表す距離情報を有する。撮影対象の圧迫板40の形状が変われば、画素毎の距離情報も変化するので、TOFカメラで圧迫板40を撮影することでも圧迫板の種類を識別できる。
【0112】
また、上記各実施形態において、第1取得部60は、取得した投影面大きさ情報が示す圧迫板40の投影面の大きさが、予め定められた大きさ未満であると判定した場合に、以降の投影用画像PPの生成及び投影の処理を中止してもよい。というのも、例えば、取り付けられた圧迫板40が小さいスポット撮影用の圧迫板である場合は、投影用画像PPの投影が困難だからである。
【0113】
また、上記各実施形態においては、プロジェクタ39により投影用画像PPが投影される投影面が、圧迫板40の少なくとも1つの面である形態について説明したが、これに限らない。例えば、プロジェクタ39が、マンモグラフィ装置10の撮影台30に投影用画像PPを投影してもよい。
【0114】
また、上記各実施形態において、生成部64は、右乳房及び左乳房の何れか一方の乳房を撮影した放射線画像に基づいて、他方の乳房に係るガイド情報を含む投影用画像PPを生成してもよい。例えば、右乳房の撮影後に左乳房の撮影を行う場合に、右乳房を撮影して得られる放射線画像を左右反転させた画像に基づいて、左乳房に係るガイド情報を含む投影用画像PPを生成してもよい。
【0115】
また、上記各実施形態では、コンソール12が本開示の情報処理装置の一例である形態について説明したが、コンソール12以外の装置が本開示の情報処理装置の機能を備えていてもよい。換言すると第1取得部60、第2取得部62、生成部64及び投影制御部66の機能の一部又は全部をコンソール12以外の、例えばマンモグラフィ装置10や、外部の装置が備えていてもよい。
【0116】
また、上記各実施形態では、放射線画像及び圧迫板情報53がコンソール12の記憶部52に記憶されている形態について説明したが、記憶されている場所は記憶部52に限定されない。例えば、マンモグラフィ装置10の記憶部22に記憶されていてもよいし、放射線画像撮影システム1の外部の装置に記憶されていてもよい。
【0117】
また、上記実施形態において、例えば、第1取得部60、第2取得部62、生成部64及び投影制御部66といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0118】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0119】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0120】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0121】
また、上記各実施形態では、情報処理プログラム51が記憶部52に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラム51は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、情報処理プログラム51は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0122】
本開示の技術は、上記各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。
【0123】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0124】
1 放射線画像撮影システム
2 RIS
10 マンモグラフィ装置
12 コンソール
20、50 制御部
22、52 記憶部
24、54 I/F部
26、56 操作部
28 放射線検出器
30 撮影台
30A 撮影面
32 アーム部
34 基台
35 軸部
36 圧迫ユニット
37 放射線照射部
37R 放射線源
38 フェイスガード
39 プロジェクタ
40、40A~40C 圧迫板
42 圧迫部
43 底部
43A 上面
43Aa、43Ab 領域
43B 接触面
44 壁部
44A 内面
44B 外面
46 支持部
47 取付部
48 腕
50A CPU
50B ROM
50C RAM
51 情報処理プログラム
53 圧迫板情報
58 表示部
59 バス
60 第1取得部
62 第2取得部
64 生成部
66 投影制御部
PP、PP1、PP2 投影用画像
R 放射線
RG1、RG2 放射線画像