(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057949
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】表示装置及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
A61B6/00 330Z
A61B6/00 320Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166470
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 佳成
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA07
4C093CA13
4C093DA06
4C093EC23
4C093ED21
4C093FA16
4C093FA35
4C093FA54
4C093FB09
(57)【要約】
【課題】表示部が放射線画像に写り込むのを抑制することができる表示装置及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】圧迫板40により圧迫された状態の乳房に対して放射線源37Rから放射線Rを照射させて放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置10の放射線源37Rと乳房との間に設けられ、乳房の撮影を補助する補助情報を表示する表示部48部と、放射線Rの照射野100内となる位置と放射線Rの照射野100外となる位置との間で表示部48を移動させる移動機構47と、を備える表示装置。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線源から放射線を照射させて放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置の前記放射線源と前記乳房との間に設けられ、前記乳房の撮影を補助する補助情報を表示する表示部と、
前記放射線の照射野内となる位置と前記放射線の照射野外となる位置との間で前記表示部を移動させる移動機構と、
を備えた表示装置。
【請求項2】
少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、
前記プロセッサは、
前記放射線源から放射線が照射される前に、前記移動機構により前記表示部を前記照射野外となる位置に移動させる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、
前記プロセッサは、
前記圧迫部材による前記乳房の圧迫が完了した場合、前記移動機構により前記表示部を前記照射野外となる位置に移動させる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、
前記プロセッサは、
前記放射線源による放射線の照射が停止した場合、前記移動機構により前記表示部を前記照射野内となる位置に移動させる
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、
前記プロセッサは、
前記放射線源から放射線が照射されている間は、前記移動機構により前記表示部の位置を前記照射野外となる位置とする
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、
前記プロセッサは、
前記放射線源から放射線が照射されていない間は、前記移動機構により前記表示部の位置を前記照射野内となる位置とする
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記移動機構は、前記表示部を回転させることにより、前記放射線の照射野内となる位置と前記放射線の照射野外となる位置との間で前記表示部を移動させる
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記移動機構は、前記放射線が照射される方向と交差する方向に移動させることにより、前記放射線の照射野内となる位置と前記放射線の照射野外となる位置との間で前記表示部を移動させる
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示部は、前記圧迫部材に備えられる
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示部は、前記圧迫部材と前記放射線源との間に設けられる
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示部に表示される前記補助情報を、前記圧迫部材による前記乳房の圧迫圧、及び前記圧迫部材の高さの少なくとも一方に応じて切り替える
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記補助情報は、前記乳房と同一の被検者、かつ反対側の乳房を前記マンモグラフィ装置により撮影した際の、前記圧迫部材による前記反対側の乳房の圧迫圧を表す情報、前記圧迫部材により圧迫状態とされた前記反対側の乳房の厚みを表す情報、及び前記反対側の乳房の放射線画像の少なくとも1つである、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線源から放射線を照射させて放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置の前記放射線源と前記乳房との間に設けられ、前記乳房の撮影を補助する補助情報を表示する表示部を、
前記放射線の照射野内となる位置と前記放射線の照射野外となる位置との間で移動させる制御を行う
処理をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
圧迫部材により圧迫状態とした乳房に放射線を照射させて放射線画像の撮影を行うマンモグラフィ装置が知られている。撮影を行う場合に撮影を補助するための補助情報を表示させる場合がある。例えば、特許文献1には、乳房を圧迫する圧迫素子の表面に電子ペーパーやLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部を設け、電子ペーパーやLCDに乳房のスキンライン等の補助情報を表示させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、補助情報を表示する表示部が、放射線の照射野内に位置した状態で、乳房に放射線を照射させて撮影を行うと、撮影された放射線画像に表示部が写り込んでしまう場合がある。
【0005】
本開示は、上記事情を考慮して成されたものであり、表示部が放射線画像に写り込むのを抑制することができる表示装置及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本開示の第1の態様の表示装置は、圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線源から放射線を照射させて放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置の放射線源と乳房との間に設けられ、乳房の撮影を補助する補助情報を表示する表示部と、放射線の照射野内となる位置と放射線の照射野外となる位置との間で表示部を移動させる移動機構と、を備える。
【0007】
また、上記目的を達成するために本開示の第2の態様の表示装置は、第1の態様の表示装置において、少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、プロセッサは、放射線源から放射線が照射される前に、移動機構により表示部を照射野外となる位置に移動させる。
【0008】
本開示の第3の態様の表示装置は、第1の態様の表示装置において、少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、プロセッサは、圧迫部材による乳房の圧迫が完了した場合、移動機構により表示部を照射野外となる位置に移動させる。
【0009】
本開示の第4の態様の表示装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1態様の表示装置において、プロセッサは、少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、プロセッサは、放射線源による放射線の照射が停止した場合、移動機構により表示部を照射野内となる位置に移動させる。
【0010】
本開示の第5の態様の表示装置は、第1の態様の表示装置において、少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、プロセッサは、放射線源から放射線が照射されている間は、移動機構により表示部の位置を照射野外となる位置とする。
【0011】
本開示の第6の態様の表示装置は、第1の態様のいずれか1態様の表示装置において、少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、プロセッサは、放射線源から放射線が照射されていない間は、移動機構により表示部の位置を照射野内となる位置とする。
【0012】
本開示の第7の態様の表示装置は、第1の態様から第6の態様のいずれか1態様の表示装置において、移動機構は、表示部を回転させることにより、放射線の照射野内となる位置と放射線の照射野外となる位置との間で表示部を移動させる。
【0013】
本開示の第8の態様の表示装置は、第1の態様から第6の態様のいずれか1態様の表示装置において、移動機構は、放射線が照射される方向と交差する方向に移動させることにより、放射線の照射野内となる位置と放射線の照射野外となる位置との間で表示部を移動させる。
【0014】
本開示の第9の態様の表示装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか1態様の表示装置において、表示部は、圧迫部材に備えられる。
【0015】
本開示の第10の態様の表示装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか1態様の表示装置において、表示部は、圧迫部材と放射線源との間に設けられる。
【0016】
本開示の第11の態様の表示装置は、第1の態様から第10の態様のいずれか1態様の表示装置において、表示部に表示される補助情報を、圧迫部材による乳房の圧迫圧、及び圧迫部材の高さの少なくとも一方に応じて切り替える。
【0017】
本開示の第12の態様の表示装置は、第1の態様から第11の態様のいずれか1態様の表示装置において、補助情報は、乳房と同一の被検者、かつ反対側の乳房をマンモグラフィ装置により撮影した際の、圧迫部材による反対側の乳房の圧迫圧を表す情報、圧迫部材により圧迫状態とされた反対側の乳房の厚みを表す情報、及び反対側の乳房の放射線画像の少なくとも1つである。
【0018】
また、上記目的を達成するために本開示の第13の態様の制御プログラムは、圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線源から放射線を照射させて放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置の放射線源と乳房との間に設けられ、乳房の撮影を補助する補助情報を表示する表示部を、放射線の照射野内となる位置と放射線の照射野外となる位置との間で移動させる制御を行う処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、表示部が放射線画像に写り込むのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態の放射線画像撮影システムにおける全体の構成の一例を概略的に表した構成図である。
【
図2A】実施形態のマンモグラフィ装置の外観の一例を表す側面図である。
【
図2B】実施形態の圧迫板の一例を表す三面図である。
【
図3A】移動機構及び表示部の一例を、放射線源から見た平面図である
【
図3B】移動機構により表示部を照射野内に移動させた状態の一例を表す側面図である。
【
図3C】移動機構により表示部を照射野外に移動させた状態の一例を表す側面図である。
【
図4】実施形態のマンモグラフィ装置及びコンソールの構成の一例を表したブロック図である。
【
図5】実施形態のコンソールの機能の一例を表す機能ブロック図である。
【
図6】実施形態の表示制御処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【
図7】表示部に表示された補助情報の一例を示す図である。
【
図8A】移動機構及び表示部の変形例を、放射線源から見た平面図である
【
図8B】移動機構により表示部を照射野内に移動させた状態の変形例を表す側面図である。
【
図8C】移動機構により表示部を照射野外に移動させた状態の変形例を表す側面図である。
【
図9】表示部に表示された補助情報の他の例を示す図である。
【
図10】表示部を設ける位置の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明を限定するものではない。
【0022】
まず、本実施形態の放射線画像撮影システムにおける、全体の構成の一例について説明する。
図1には、本実施形態の放射線画像撮影システム1における、全体の構成の一例を表す構成図が示されている。
図1に示すように、本実施形態の放射線画像撮影システム1は、マンモグラフィ装置10及びコンソール12を備える。
【0023】
まず、本実施形態のマンモグラフィ装置10について説明する。
図2Aには、本実施形態のマンモグラフィ装置10の外観の一例を表す側面図が示されている。なお、
図2Aは、被検者の右側からマンモグラフィ装置10を見た場合の外観の一例を示している。また、
図4には、本実施形態のマンモグラフィ装置10及びコンソール12の構成の一例を表す機能ブロック図を示す。
【0024】
本実施形態のマンモグラフィ装置10は、被検者の乳房を被写体として、乳房に放射線R(例えば、X線)を照射して乳房の放射線画像を撮影する装置である。なお、マンモグラフィ装置10は、被検者が起立している状態(立位状態)のみならず、被検者が椅子(車椅子を含む)等に座った状態(座位状態)において、被検者の乳房を撮影する装置であってもよい。
【0025】
放射線検出器28は、乳房を通過した放射線Rを検出する。
図2Aに示すように、放射線検出器28は、撮影台30の内部に配置されている。本実施形態のマンモグラフィ装置10では、撮影を行う場合、撮影台30の撮影面30A上には、被検者の乳房がユーザによってポジショニングされる。
【0026】
放射線検出器28は、被検者の乳房及び撮影台30を透過した放射線Rを検出し、検出した放射線Rに基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を表す画像データを出力する。本実施形態の放射線検出器28の種類は、特に限定されず、例えば、放射線Rを光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器であってもよいし、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。
【0027】
放射線照射部37は、放射線源37Rを備えている。
図2Aに示すように放射線照射部37は、撮影台30及び圧迫ユニット36と共にアーム部32に設けられている。
図2Aに示すように、放射線照射部37の下方にあたるアーム部32の被検者に近い位置には、フェイスガード38が着脱可能に設けられている。フェイスガード38は、放射線源37Rから出射された放射線Rから被検者を保護するための保護部材である。
【0028】
なお、
図2Aに示すように本実施形態のマンモグラフィ装置10は、アーム部32と、基台34と、軸部35と、を備えている。アーム部32は、基台34によって、上下方向(Z軸方向)に移動可能に保持される。軸部35は、アーム部32を基台34に連結する。またアーム部32は、軸部35を回転軸として、基台34に対して相対的に回転可能となっている。
【0029】
本実施形態のマンモグラフィ装置10では、放射線画像の撮影について、少なくとも2種類の撮影を行うことができる。具体的には、マンモグラフィ装置10は、乳房に対して、撮影方向が頭尾方向である、CC(Cranio-Caudal)撮影、及び撮影方向が内外斜位方向であるMLO(Medio-Lateral Oblique)撮影の2種類の撮影を少なくとも行うことができる。以下の説明では、放射線画像の撮影において、放射線源37Rから撮影台30へ放射線Rを照射する場合における放射線源37Rの位置を「撮影位置」という。
【0030】
CC撮影を行う場合は、撮影面30Aがマンモグラフィ装置10の上側(被検者の頭側)を向いた状態に調整される。また、放射線源37Rの位置が、撮影台30の撮影面30Aと対向する撮影位置に調整される。これにより、被検者の頭側から足側に向かって、放射線源37Rから乳房へ放射線Rが照射されて、CC撮影が行われる。
【0031】
一方、MLO撮影を行う場合は、CC撮影を行う場合に対して撮影面30Aを、例えば45度以上90度未満の範囲内の予め定められた角度まで回転された状態に撮影台30の位置が調整される。具体的には、左の乳房を撮影する場合は、撮影面30Aを右側に傾斜させた状態とし、右の乳房を撮影する場合は、撮影面30Aを左側に傾斜させた状態とする。これにより、被検者の胴体の中心側から外側へ向かって(被検者の乳房同士の間から腕側に向けて)、放射線源37Rから乳房へ放射線Rが照射されて、MLO撮影が行われる。
【0032】
アーム部32に連結される圧迫ユニット36には、乳房を圧迫する圧迫板40を上下方向(Z軸方向)に移動する圧迫板駆動部(
図4、圧迫板駆動部42参照)が設けられている。圧迫板40の支持部46は、圧迫板駆動部42に着脱可能に取り付けられる。圧迫板駆動部42に取り付けられた圧迫板40は、圧迫板駆動部により上下方向(Z軸方向)に移動し、撮影台30との間で被検者の乳房を圧迫する。
図2Aに示すように、圧迫板40の移動方向について、乳房を圧迫する方向、換言すると、撮影面30Aに近付く方向を「圧迫方向」といい、乳房への圧迫を解除する方向、換言すると、放射線照射部37に近付く方向を「解除方向」という。
【0033】
圧迫板駆動部42に取り付けられる側の圧迫板40の支持部46には、圧迫板40の種類(詳細後述)を識別するための圧迫板識別子(図示省略)が設けられている。圧迫ユニット36には圧迫圧検出センサ(
図4、圧迫圧検出センサ43参照)及び圧迫板検出センサ(
図4、圧迫板検出センサ44参照)が設けられている。圧迫圧検出センサ43は、圧迫板40に係る圧力である圧迫圧を検出する。圧迫圧検出センサの例としては、半導体式圧力センサ、静電容量式圧力センサ、及びロードセル等の歪ゲージ等が挙げられる。また、圧迫圧として、圧迫板40が乳房全体を圧迫する圧迫力を適用してもよいし、単位面積当たりの圧迫力である圧迫圧力を適用してもよい。また、圧迫板検出センサ44は、圧迫板40の支持部46に設けられた圧迫板識別子を読み取ることで、取り付けられている圧迫板40の種類を検出する。なお、本実施形態の圧迫板40が、本開示の圧迫部材の一例である。
【0034】
本実施形態のマンモグラフィ装置10に取り付けが可能な圧迫板40には、複数の種類がある。例えば、圧迫板40は、乳房全体を圧迫するものに限らず、乳房の一部を圧迫するものであってもよい。換言すると、乳房よりも小さい圧迫板40でもよい。このような圧迫板40としては、例えば、病変が存在する領域のみの放射線画像を撮影する、いわゆるスポット撮影に用いられる圧迫板40が知られている。また、その他の種類の圧迫板40としては、例えば、乳房の大きさに応じた圧迫板、腋窩撮影用の圧迫板、及び拡大撮影用の圧迫板等が挙げられる。また、便宜上「圧迫板」と称しているが、圧迫板40は、板状の部材を用いたものに限定されず、例えば、フィルム状の部材を用いたものであってもよい。
【0035】
具体例として、本実施形態のマンモグラフィ装置10に取り付けが可能な圧迫板40について、
図2Bを参照して説明する。
図2Bには、本実施形態の圧迫板40の一例の三面図を示す。
図2Bに示した三面図には、圧迫板40を上側(放射線照射部37側)から見た平面図(上面図)、被検者側から見た側面図、及び被検者の右側から見た側面図が含まれる。
図2Bに示すように、本実施形態の圧迫板40は、圧迫部41及び支持部46を含む。
【0036】
圧迫板40は、ポジショニング及び圧迫状態の確認を行うために光学的に透明であることが好ましく、また、放射線Rの透過性に優れた材料によって形成される。
【0037】
支持部46は、取付部46A及び腕46Bを含む。取付部46Aは、圧迫板40をマンモグラフィ装置10、具体的には圧迫ユニット36内の圧迫板駆動部42に取り付ける機能を有し、腕46Bは、圧迫部41を支持する機能を有する。
【0038】
一方、圧迫部41は、底部41Aが壁部41Bに囲まれた、断面形状が凹型に形成されている。底部41Aは、被検者の乳房に接触する面の板厚が略一定であり、放射線源37R側の面は、平坦で、高さが略一様である。また、壁部41Bは、比較的高く、高さが略一様である。
【0039】
底部41Aには、乳房の撮影を補助する補助情報を表示する表示部48が設けられている。表示部48としては、LCD(Liquid Crystal Display)、及び電子ペーパー等が挙げられる。なお、表示部48は、圧迫板40の底部41A全体に設けられていてもよいし、底部41Aの一部の領域に設けられていてもよい。表示部48が設けられる領域は、補助情報を表示する範囲に応じて定めることができる。
【0040】
表示部48は、移動機構47により放射線Rの照射野内となる位置と照射野外となる位置との間で移動する。
図3Aには、移動機構47及び表示部48の一例を、放射線源37Rから見た平面図を示す。また、
図3Bには、移動機構47により表示部48を照射野100内に移動させた状態の一例の側面図を示す。
図3Cには、移動機構47により表示部48を照射野100外に移動させた状態の一例の側面図を示す。
【0041】
図3A~
図3Cに示すように、本実施形態の移動機構47は、歯車70、車軸71、歯車72、軸73、及びモータ74を含む。歯車70の車軸71は、胸壁側の底部41A近傍の位置に、圧迫板40の側面の壁部41Bを被検者の左右方向に貫通する状態に設けられており、歯車70の回転により車軸71が回転可能とされている。車軸71には、表示部48の側面が取り付けられており、車軸71の回転に応じて、表示部48も回転する。
【0042】
また、歯車70とかみ合う状態に、モータ74の軸を車軸とする歯車72が配置されている。モータ74が駆動すると軸73の動力が伝達され歯車72及び歯車70が回転し、歯車70の回転に応じて車軸71に取り付けられた表示部48が照射野照射野100内となる位置と照射野100外となる位置との間で回転移動する。
図3Bに示すように、表示部48が照射野100内となる位置にある場合、モータ74が駆動すると歯車70及び歯車72が回転し、表示部48が矢印A方向に回転して照射野100外の位置に移動し、
図3Cに示した状態となる。一方、
図3Cに示すように、表示部48が照射野100外となる位置にある場合、モータ74が駆動すると歯車70及び歯車72が回転し、表示部48が矢印B方向に回転して照射野100内の位置に移動し、
図3Bに示した状態となる。
【0043】
移動機構47のモータ74、及び表示部48は、支持部46を介して撮影台30内の制御部20に電気的に接続されており、制御部20により駆動が制御される。なお、モータ74及び表示部48の各々は、支持部46を介さずにマンモグラフィ装置10の制御部20と電気的に接続されていてもよく、例えば無線通信により制御部20と電気的に接続されていてもよい。制御部20は、コンソール12の制御部50の制御により、移動機構47及び表示部48を駆動する。本実施形態の制御部20、移動機構47、表示部48、及び制御部50が、本開示の表示装置の一例である。
【0044】
また、本実施形態のマンモグラフィ装置10の撮影台30内部には、
図4に示した制御部20、記憶部22、I/F(Interface)部24、操作部26、及び表示部27を備える。制御部20、記憶部22、I/F部24、操作部26、表示部27、上述した放射線検出器28、圧迫板駆動部42、圧迫圧検出センサ43、圧迫板検出センサ44、移動機構47、及び表示部48は、システムバスやコントロールバス等のバス49を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0045】
制御部20は、コンソール12の制御に応じて、マンモグラフィ装置10の全体の動作を制御する。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、及びRAM(Random Access Memory)20Cを備える。ROM20Bには、CPU20Aで実行される、放射線画像の撮影に関する制御を行うための撮影処理プログラム21を含む各種のプログラム等が予め記憶されている。RAM20Cは、各種データを一時的に記憶する。
【0046】
記憶部22には、放射線検出器28により撮影された放射線画像の画像データや、その他の各種情報等が記憶される。記憶部22の具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が挙げられる。I/F部24は、無線通信または有線通信により、コンソール12との間で各種情報の通信を行う。マンモグラフィ装置10で放射線検出器28により撮影された放射線画像の画像データは、I/F部24を介してコンソール12に無線通信または有線通信によって送信される。
【0047】
また、操作部26は、例えば、マンモグラフィ装置10の撮影台30等に複数のスイッチとして設けられている。なお、本実施形態の操作部26は、圧迫板40の圧迫方向への移動を指示する圧迫指示ボタンと、圧迫板40の解除方向への移動を指示する解除ボタンを少なくとも含む。操作部26は、タッチパネル式のスイッチとして設けられていてもよいし、医師及び技師等のユーザが足で操作するフットスイッチとして設けられていてもよい。表示部27は、被検者や撮影に関する各種情報を表示する。
【0048】
一方、本実施形態のコンソール12は、無線通信LAN(Local Area Network)等を介してRIS(Radiology Information System)2等から取得した撮影オーダ及び各種情報と、操作部56等によりユーザにより行われた指示等とを用いて、マンモグラフィ装置10の制御を行う機能を有している。
【0049】
本実施形態のコンソール12は、一例として、サーバーコンピュータである。
図4に示すように、コンソール12は、制御部50、記憶部52、I/F部54、操作部56、及び表示部58を備えている。制御部50、記憶部52、I/F部54、操作部56、及び表示部58はシステムバスやコントロールバス等のバス59を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0050】
本実施形態の制御部50は、コンソール12の全体の動作を制御する。制御部50は、CPU50A、ROM50B、及びRAM50Cを備える。ROM50Bには、CPU50Aで実行される、後述する制御プログラム51を含む各種のプログラム等が予め記憶されている。RAM50Cは、各種データを一時的に記憶する。本実施形態のCPU50Aが、本開示のプロセッサの一例である。本実施形態の制御プログラム51が、本開示の制御プログラムの一例である。
【0051】
記憶部52には、表示用画像データ53、及びマンモグラフィ装置10で撮影された放射線画像の画像データや、その他の各種情報等が記憶される。記憶部52の具体例としては、HDDやSSD等が挙げられる。
【0052】
操作部56は、放射線Rの照射指示を含む放射線画像の撮影等に関する指示や各種情報等をユーザが入力するために用いられる。操作部56は特に限定されるものではなく、例えば、各種スイッチ、タッチパネル、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。表示部58は、各種情報を表示する。なお、操作部56と表示部58とを一体化してタッチパネルディスプレイとしてもよい。
【0053】
I/F部54は、無線通信または有線通信により、マンモグラフィ装置10及びRIS2との間で各種情報の通信を行う。本実施形態の放射線画像撮影システム1では、マンモグラフィ装置10で撮影された放射線画像の画像データは、コンソール12が、I/F部54を介して無線通信または有線通信によりマンモグラフィ装置10から受信する。
【0054】
さらに、
図5には、本実施形態のコンソール12の構成の一例の機能ブロック図を示す。
図5に示すようにコンソール12は、移動制御部60及び表示制御部62を備える。一例として本実施形態のコンソール12は、制御部50のCPU50AがROM50Bに記憶されている制御プログラム51を実行することにより、CPU50Aが移動制御部60及び表示制御部62として機能する。
【0055】
移動制御部60は、移動機構47を駆動させて、上述したように表示部48を照射野100内となる位置と照射野100外となる位置との間で移動させる機能を有する。一例として、本実施形態の移動制御部60は、マンモグラフィ装置10において放射線源37Rが照射されていない場合は、表示部48を、
図3Bに示したように照射野100内の位置とさせておく。従って、ユーザが乳房のポジショニングを行う場合、表示部48は、
図3Bに示したように、圧迫板40の圧迫部41の底部41Aに沿った状態に配置される。そのため、表示部48に補助情報が表示されると、圧迫板40の底部41Aに補助情報が表示されているのと同等の状態となる。
【0056】
また、本実施形態の移動制御部60は、マンモグラフィ装置10において放射線源37Rが照射されている場合は、表示部48を、
図3Cに示したように照射野100外の位置とさせておく。従って、乳房の放射線画像が撮影されている間、具体的には放射線検出器28に乳房を透過した放射線Rが照射されている間、表示部48は、
図3Cに示したように、圧迫板40の圧迫部41の胸壁側の壁部41Bに沿った状態に配置される。そのため、放射線検出器28により撮影された放射線画像には、表示部48が写りこまない。
【0057】
表示制御部62は、表示部48に補助情報を表示させる機能を有する。本実施形態では、補助情報として、圧迫板40により圧迫された状態の乳房の形状を表すスキンラインと、現在、圧迫板40により乳房を圧迫する圧迫圧とを用いる。
【0058】
具体的には、表示制御部62は、マンモグラフィ装置10に取り付けられている圧迫板40の圧迫板識別子に応じた表示用画像データ53を記憶部52から取得する。表示用画像データ53は、標準的な乳房を理想的な状態に圧迫した場合の乳房のスキンラインを表す画像の画像データである。圧迫板40の種類に応じて、圧迫部41の大きさが異なり、底部41Aの大きさが異なる場合がある。そのため、圧迫板40の種類に応じて、表示部48の大きさ、すなわち補情報を表示させるための補助情報表示用画像データが異なる場合がある。そのため、本実施形態では、圧迫板識別子に対応付けて圧迫板40の種類に応じた表示用画像データ53が記憶部52に複数、記憶されている。表示制御部62は、マンモグラフィ装置10から入力された圧迫板識別子に対応する表示用画像データ53を記憶部52から取得して、I/F部54を介してマンモグラフィ装置10に出力する。
【0059】
また、本実施形態の表示制御部62は、表示部48が照射野100内となる位置から照射野100外となる位置に移動した場合は、表示部48における補助情報の表示を終了させる機能を有する。具体的には、移動制御部60が表示部48を照射野100内となる位置から照射野100外となる位置に移動させた場合、表示部48による補助情報の表示を終了させるための終了制御信号をI/F部54を介してマンモグラフィ装置10に出力する。
【0060】
次に、本実施形態のマンモグラフィ装置10による補助情報の表示におけるコンソール12の作用について図面を参照して説明する。コンソール12は、予め用意された複数種の撮影メニューを、択一的に選択可能な形態で表示部58に表示する。ユーザは、操作部56を介して、撮影オーダの内容と一致する1つの撮影メニューを選択する。コンソール12は、ユーザによる撮影メニューの選択を受け付ける。一例として本実施形態では、コンソール12が撮影メニューの選択を受け付けた場合に、
図6に示した表示制御処理を実行する。本実施形態のコンソール12は、一例として、制御部50のCPU50Aが、ROM50Bに記憶されている制御プログラム51を実行することにより、
図6に一例を示した表示制御処理を実行する。
図6には、本実施形態のコンソール12において実行される表示制御処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。なお、初期状態では、表示部48は、
図3Bに示したように、照射野100内に配置されている。
【0061】
図6のステップS100で表示制御部62は、補助情報の表示を開始するか否かを判定する。ユーザは、補助情報の表示を開始させたい場合、マンモグラフィ装置10の操作部26により表示の開始を指示する。マンモグラフィ装置10からは、I/F部24を介して表示開始指示信号が出力される。表示制御部62は、コンソール12に表示開始指示信号が入力された場合、補助情報の表示を開始する。そのため、表示開始指示信号がコンソール12に入力されるまで、ステップS100の判定が否定判定となる。一方、表示開始指示信号がコンソール12に入力されるとステップS100の判定が肯定判定となり、ステップS102へ移行する。
【0062】
ステップS102で表示制御部62は、上述したように、マンモグラフィ装置10から圧迫板識別子を取得し、取得した圧迫板識別子に対応する表示用画像データ53を記憶部52から取得する。
【0063】
次のステップS104で表示制御部62は、圧迫圧の取得を開始する。具体的には、表示制御部62は、マンモグラフィ装置10の圧迫圧検出センサ43が検出した圧迫圧を、
【0064】
I/F部24及びI/F部54を介して取得する。すなわち、表示制御部62は、圧迫板40に係る現在の圧迫圧の取得を開始する。
【0065】
次のステップS106で表示制御部62は、表示部48による補助情報の表示を開始させる。具体的には、表示制御部62は、上記ステップS102で取得した表示用画像データ53が表すスキンラインである補助情報と、上記ステップS104で取得を開始した圧迫圧を表す補助情報とを組み合わせた画像を表す補助情報表示用画像データを生成する。そして、表示制御部62は、生成した補助情報表示用画像データをI/F部54を介してマンモグラフィ装置10に出力する。マンモグラフィ装置10では、補助情報表示用画像データが入力されると、制御部20が、表示部48により補助情報表示用画像データに応じた補助情報を表示させる制御を行う。本制御により、マンモグラフィ装置10の圧迫板40に設けられた表示部48には、補助情報に応じた画像が表示される。本実施形態では上述したように乳房のスキンライン及び圧迫圧を表す画像が表示部48に表示される。
図7には、表示部48に表示されたスキンライン80及び圧迫圧82の一例を示す。ユーザは、表示されたスキンライン80及び圧迫圧82を参考にしてポジショニングした被検者の乳房を、圧迫板40により圧迫状態にさせる。
【0066】
次のステップS108で移動制御部60は、圧迫板40による乳房の圧迫が完了したか否かを判定する。一例として、本実施形態の移動制御部60は、圧迫圧検出センサ43が検出した圧迫圧に基づいて乳房の圧迫が完了したか否かを判定する。乳房の圧迫が完了すると、ユーザは圧迫板40の移動を停止させる。圧迫板40が乳房に接触した後、圧迫が完了するまでは、圧迫板40にかかる圧迫圧は徐々に増加するが、圧迫板40の移動が停止すると圧迫板40に係る圧迫圧は、ほとんど変化しなくなる。そこで、本実施形態では、乳房を圧迫する圧迫板40に係る圧迫圧が所定の時間以上、変化しない場合を、乳房の圧迫が完了した場合とみなしている。そのため、移動制御部60は、圧迫圧検出センサ43が検出した圧迫圧が所定の時間以上、変化しない場合に、圧迫板40による乳房の圧迫が完了したと判定する。なお、本実施形態において圧迫圧が変化しないことの検出では、全く変化しない場合に限定されず、誤差と見なせる程度の変化は無視している。また、所定の時間、特に限定されないが、本実施形態では、圧迫板40の初期位置から標準的な厚みの乳房に接する位置まで圧迫板40が移動するまでの時間よりも少なくとも長い時間としている。圧迫板40の初期位置としては、例えば、マンモグラフィ装置10の圧迫ユニット36に取り付けられた位置のうち、放射線源37Rに最も近い位置等が挙げられる。
【0067】
乳房の圧迫が完了するまで、ステップS108の判定が否定判定となる。なお、この場合、表示制御部62は、所定のタイミング毎に、マンモグラフィ装置10から圧迫圧検出センサ43が検出した圧迫圧を取得し、現在の圧迫圧を表す補助情報に更新した補助情報表示用画像データを生成して、順次、マンモグラフィ装置10に出力する。マンモグラフィ装置10では、コンソール12から補助情報表示用画像データが入力されると、表示部48に表示させる補助情報表示用画像データを順次更新する。これにより、表示部48には、補助情報として現在の圧迫圧82が表示される。
【0068】
一方、ステップS108において乳房の圧迫が完了した場合、肯定判定となり、ステップS110へ移行する。ステップS110で移動制御部60は、上述したように表示部48を照射野100外に移動させる。具体的には、移動制御部60は、マンモグラフィ装置10の制御部20により、移動機構47のモータ74を駆動させて歯車70及び歯車72を回転させることにより、表示部48を
図3Bに示した照射野100内の位置から、
図3Cに示した照射野100外の位置に回転移動させる。
【0069】
次のステップS112で表示制御部62は、上記ステップS104で開始した圧迫圧の取得を終了する。また、表示制御部62は、上記ステップS106で開始した補助情報の表示を終了する。具体的には表示制御部62は、上述したように表示部48による補助情報の表示を終了させるための終了制御信号をI/F部54を介してマンモグラフィ装置10に出力する。マンモグラフィ装置10では、コンソール12から終了制御信号が入力されると、制御部20が、表示部48による補助情報表示用画像データによる補助情報の表示を終了させる。
【0070】
ユーザは乳房の圧迫が完了すると、放射線Rの照射を指示する。マンモグラフィ装置10は、放射線Rの照射の指示を受け付けると、放射線照射部37の放射線源37Rから放射線Rを照射させ、放射線検出器28により乳房の放射線画像を撮影する。なお、本実施形態のマンモグラフィ装置10では、ユーザが放射線Rの照射の指示を行っている間のみ、具体的には、操作部56に含まれる照射ボタンをユーザが押している間のみ、放射線源37Rから放射線Rが照射される。ユーザが照射ボタンから手を離すと、放射線Rの照射が終了する。
【0071】
そこで、次のステップS114で移動制御部60は、放射線Rの照射が終了したか否かを判定する。本実施形態では、上述したようにユーザによる放射線Rの照射の指示が継続されているか否かを判定する。ユーザによる放射線Rの照射の指示が継続している場合、未だ放射線Rの照射が終了していないため、ステップS114の判定が否定判定となる。一方、ユーザによる放射線Rの照射の指示が終了した場合、放射線Rの照射が終了したため、ステップS114の判定が肯定判定となり、ステップS116へ移行する。なお、移動制御部60が放射線Rの照射が終了したか否かを判定する方法は、本形態に限定されない。例えば、放射線検出器28から乳房を撮影した放射線画像の画像データが出力された場合に、放射線Rの照射が終了したと移動制御部60が判定する形態であってもよい。
【0072】
ステップS116で移動制御部60は、上述したように表示部48を照射野100内に移動させる。具体的には、移動制御部60は、マンモグラフィ装置10の制御部20により、移動機構47のモータ74を駆動させて歯車70及び歯車72を回転させることにより、表示部48を
図3Cに示した照射野100外の位置から、
図3Bに示した照射野100内の位置に回転移動させる。ステップS116の処理が終了すると、
図6に示した表示制御処理が終了する。
【0073】
なお、移動機構47が、どのように表示部48を照射野100内となる位置と照射野102外となる位置との間で移動させるか、及び移動機構47の具体的な構成は上記形態に限定されない。例えば、下記の変形例の形態としてもよい。
【0074】
(変形例)
上記形態では、
図3A~
図3Cに示したように、表示部48を回転移動させることにより、表示部48を照射野100内となる位置と照射野102外となる位置との間で移動させる形態について説明した。これに対して本変形例では、
図8A~
図8Cに示した移動機構47は、表示部48を放射線Rが照射される方向と交差する方向に移動させることにより、表示部48を照射野100内となる位置と照射野102外となる位置との間で移動させる形態について説明する。なお、放射線Rが照射される方向と交差する方向とは、例えば、撮影台30の撮影面30Aの面内方向であり、
図2A及び
図8AにおけるXY方向である。
【0075】
図8Aには、移動機構47及び表示部48の一例を、放射線源37Rから見た平面図を示す。また、
図8Bには、移動機構47により表示部48を照射野100内に移動させた状態の一例の側面図を示す。
図8Cには、移動機構47により表示部48を照射野100外に移動させた状態の一例の側面図を示す。
【0076】
図8A~
図8Cに示すように、本実施形態の移動機構47は、ギア75、歯車76、歯車77、軸78、及びモータ79を含む。ギア75は、表示部48における被検者の左右に対応する、対向する一対の辺の放射線源37R側の面に設けられている。歯車76は、ギア75及び歯車77とかみ合う状態に配置されている。歯車77は、モータ79の軸を車軸としている。モータ79は、上述したモータ74と同様に、支持部46を介して撮影台30内の制御部20に電気的に接続されており、制御部20により駆動が制御される。モータ79は駆動すると軸78の動力が歯車77及び歯車76を介してギア75に伝達されるる。表示部48は、歯車76及び歯車77の回転に応じて、照射野照射野100内となる位置と照射野100外となる位置との間でスライド移動する。なお、
図8B及び
図8Cに示すように、本実施形態では、照射野100外の位置として胸壁側から離れた位置を適用している。そのため、表示部48は、移動機構47により胸壁側の位置と胸壁側から離れた位置との間で、被検者の前後に移動する。
【0077】
図8Bに示すように、表示部48が照射野100内となる位置にある場合、モータ79が駆動すると歯車76及び歯車77が回転し、表示部48が矢印C方向にスライドして照射野100外の位置に移動し、
図8Cに示した状態となる。一方、
図8Cに示すように、表示部48が照射野100外となる位置にある場合、モータ79が駆動すると歯車76及び歯車77が回転し、表示部48が矢印D方向にスライドして照射野100内の位置に移動し、
図8Bに示した状態となる。
【0078】
本変形例では、このように表示部48が胸壁から離れた位置にスライド移動するため、圧迫板40の胸壁側との反対側の壁部41Bの底部41Aに近い部分に、表示部48が通過するための開口部が設けられている。また、移動した表示部48を支持するために、底部41Aが、
図8B及び
図8Cに示すように胸壁から離れた方向に広がっている。
【0079】
なお、
図8A~
図8Cに示した形態では、被検者の前後方向に表示部48がスライド移動する形態について説明したが、被検者の左右方向に表示部48がスライド移動する形態としてもよい。
【0080】
以上説明したように、上記各形態は表示装置として、圧迫板40により圧迫された状態の乳房に対して放射線源37Rから放射線Rを照射させて放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置10の放射線源37Rと乳房との間に設けられ、乳房の撮影を補助する補助情報を表示する表示部48と、放射線Rの照射野100内となる位置と放射線Rの照射野100外となる位置との間で表示部48を移動させる移動機構47と、を備える。
【0081】
このように上記各形態によれば、移動機構47により表示部48を、放射線Rの照射野100内となる位置と放射線Rの照射野100外となる位置との間で移動させることができる。そのため、放射線Rが照射され、放射線画像を撮影する間は、移動機構47により表示部48を照射野100外の位置とすることができる。従って、上記各形態によれば、表示部48が放射線画像に写り込むのを抑制することができる。
【0082】
また、上記各形態によれば、CPU50Aが、乳房のポジショニングの完了後、自動的に表示部48を照射野100外の位置に移動させる。そのため、ユーザによる表示部48の移動を必要としないため、ユーザにかかる負担を軽減することができる。
【0083】
また、上記各形態では、補助情報として、乳房の形状を表すスキンライン80及び圧迫板40にかかる圧迫圧82を適用した形態について説明したが、補助情報はこれらに限定されない。例えば、
図9に示したように、補助情報として圧迫板40の高さである圧迫厚84を適用してもよい。なお、圧迫厚は、撮影台30の撮影面30Aからの圧迫板40の高さに相当し、圧迫板40により圧迫された乳房の厚みに相当する。表示制御部62が圧迫厚を取得する方法は限定されず、例えば、圧迫板駆動部42による圧迫板40の移動量を取得し、圧迫板40の移動量に基づいて表示制御部62が圧迫板40と撮影台30の撮影面30Aとの間隔を圧迫厚として取得する形態としてもよい。また、圧迫圧82及び圧迫厚84は、過去に乳房の放射線画像を撮影した際における、圧迫が完了した状態での圧迫圧82及び圧迫厚84であってもよい。
【0084】
また例えば、
図9に示したように、補助情報として撮影日時を表す日時情報86を適用してもよい。また、その他、補助情報は、被検者の氏名等の被検者に関する情報や、撮影者に関する情報等であってもよい。また、乳房の形状を表す補助情報としては、スキンラインに限定されず、例えば、ニップルの位置を表す情報を適用してもよい。また、乳房を撮影した放射線画像そのものであってもよい。
【0085】
また、上記各形態では、スキンラインとして、標準的な乳房を理想的な状態に圧迫した場合の乳房のスキンラインを適用しているが、スキンラインは本形態に限定されない。例えば、同一の被検者の乳房について過去に撮影された放射線画像から生成されたスキンラインを表す画像等であってもよい。なお、スキンラインを表す画像の生成方法は特に限定されず、公知の技術を適用することができる。例えば、特開2008-086389号公報には、放射線画像の濃度を調べ、濃度の段差が所定値以上の位置を検出し、この濃度の段差が所定値以上の画素の集合をスキンラインとする方法が例示されている。
【0086】
また、補助情報として、同一の被検者、かつ反対側の乳房を撮影した際の、圧迫板40による反対側の乳房の圧迫圧を表す情報、圧迫板40により圧迫状態とされた反対側の乳房の圧迫厚を表す情報、及び反対側の乳房の放射線画像の少なくとも1つであってもよい。被検者が同一であるため、反対側の乳房の撮影における。圧迫圧及び圧迫厚を参考値として用いることができる。また、反対側の乳房を撮影した放射線画像や、反対側の乳房を撮影した放射線画像から生成されたスキンラインは、左右を反転させることにより、擬似的に今回撮影する側の乳房の放射線画像またはスキンラインとして適用することができる。
【0087】
また、上記各形態では、表示部48に表示される補助情報の種類を常に同一とする形態について説明したが、所定の条件により、表示部48に表示される補助情報の種類を切り替えてもよい。例えば、圧迫板40が乳房に接触するまでは、被検者の氏名を補助情報として表示し、圧迫板40が乳房に接触した場合、表示させる補助情報を被検者の氏名から圧迫圧や圧迫厚に切り替える形態としてもよい。
【0088】
また、上記各形態では、乳房の圧迫が完了した場合に圧迫板40を照射野100外の位置に移動させる形態について説明したが、表示部48を照射野100外に移動させるタイミングは本形態に限定されない。例えば、ユーザによる放射線Rの照射の指示が行われた場合に、移動制御部60は、まず、表示部48を照射野100外に移動させ、その後、放射線源37Rから放射線Rを照射させる形態としてもよい。すなわち、移動制御部60が、表示部48が照射野100の内に位置している場合、放射線Rの照射を禁止する制御を行う形態としてもよい。
【0089】
また、上記各形態では、圧迫板40に表示部48が備えられている形態について説明したが、表示部48を設ける位置は、本形態に限定されずない。例えば、
図10に示すように、圧迫板40と放射線源37Rとの間に設けられていてもよい。
図10に示した例では、圧迫板40の圧迫部41の上に表示部48が設けられた形態の一例を示している。
【0090】
また、上記各形態では、マンモグラフィ装置10の制御部20、移動機構47、及び表示部48と、コンソール12の制御部50とが本開示の表示装置の一例である形態について説明したが、その他の装置等が本開示の表示装置の機能を備えていてもよい。例えば、制御部50の機能を制御部20が備えていてもよい。
【0091】
また、上記各形態において、例えば、移動制御部60及び表示制御部62といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0092】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0093】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0094】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0095】
また、上記各形態では、制御プログラム51がROM50Bに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。制御プログラム51は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、制御プログラム51は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 放射線画像撮影システム
2 RIS
10 マンモグラフィ装置
12 コンソール
20、50 制御部、20A、50A CPU、20B、50B ROM、20C、50C RAM
21 撮影処理プログラム
22、52 記憶部
24、54 I/F部
26、56 操作部
27、58 表示部
28 放射線検出器
30 撮影台、30A 撮影面
32 アーム部
34 基台
35 軸部
36 圧迫ユニット
37 放射線照射部、37R 放射線源
38 フェイスガード
40 圧迫板
41 圧迫部、41A 底部、41B 壁部
42 圧迫板駆動部
43 圧迫圧検出センサ
44 圧迫板検出センサ
46 支持部、46A 取付部、46B 腕
47 移動機構
48 表示部
49、59 バス
51 制御プログラム
53 表示用画像データ
60 移動制御部
62 表示制御部
70、72 歯車
71 車軸、76、77
73、78 軸
74、79 モータ
75 ギア
80 スキンライン
82 圧迫圧
84 圧迫厚
86 日時情報
100 照射野
A、B、C、D 矢印
R 放射線