(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057950
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】画像処理装置及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/08 20060101AFI20220404BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A61B6/08 305
A61B6/00 330Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166471
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小森 裕一
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA08
4C093CA16
4C093CA35
4C093DA06
4C093EA17
4C093EC15
4C093ED21
4C093FF13
(57)【要約】
【課題】過去に撮影された複数の放射線画像から選択された適切な放射線画像により生成されたガイド用の投影用画像を、今回の撮影において投影させることができる画像処理装置及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】CPU50Aは、圧迫板40により圧迫された状態の乳房に対して放射線Rを照射させて放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置10によりこれらから撮影する乳房のポジショニングのガイドに用いる放射線画像を、乳房が撮影された複数の放射線画像から、複数の放射線画像の撮影に関する撮影情報に基づいて選択する。CPU50Aは、選択した放射線画像から、これから撮影する乳房のポジショニングのガイド用の投影用画像Pを生成する。CPU50Aは、生成したガイド用の投影用画像Pを、プロジェクタ48からマンモグラフィ装置10に投影させる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線を照射させて放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置によりこれらから撮影する乳房のポジショニングのガイドに用いる画像を、乳房が撮影された複数の画像から、前記複数の画像の撮影に関する撮影情報に基づいて選択し、
選択した前記画像から、これから撮影する乳房のポジショニングのガイド用の投影用画像を生成し、
生成した前記ガイド用の投影用画像を、画像投影部から前記マンモグラフィ装置に投影させる
画像処理装置。
【請求項2】
前記撮影情報は、撮影対象の乳房の被検者を表す情報を含み、
前記プロセッサは、
前記複数の画像から、これから撮影する乳房の被検者と同一の被検者の乳房を撮影した画像を選択する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記撮影情報は、撮影日時を表す情報を含み、
前記プロセッサは、
前記複数の画像から、撮影日時が直近の画像を選択する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記撮影情報は、撮影対象の乳房が被検者の左右いずれの乳房であるかを表す情報をさらに含み、
前記プロセッサは、
選択した前記画像の乳房と、これから撮影する乳房とで左右が反対の場合、選択した前記画像の左右が反転した状態の前記ガイド用の投影用画像を生成する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記撮影情報は、前記マンモグラフィ装置により被検者の左右の乳房各々を一連の撮影として行うか否かを表す情報を含み、
前記プロセッサは、
前記一連の撮影を行う場合、かつ前記複数の画像が前記一連の撮影における先に撮影された放射線画像を含む場合、前記先に撮影された放射線画像を選択し、
選択した前記画像の左右を反転させて前記ガイド用の投影用画像を生成する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
選択した前記画像の左右を反転した後、反転した前記画像から前記乳房の形状の特徴を表す特徴画像を抽出して前記ガイド用の投影用画像とする
請求項4または請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
選択した前記画像から前記乳房の形状の特徴を表す特徴画像を抽出し、抽出した特徴画像を反転させて前記ガイド用の投影用画像を生成する
請求項4または請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記複数の画像から、これから行う撮影と撮影情報が同一の画像を選択する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記撮影情報に基づいて前記複数の画像の各々をスコアリングし、
前記複数の画像のうち、スコアが最も高い画像を選択する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記ガイドに用いる画像を前記撮影情報に基づいて選択する選択基準の優先順位の設定を受け付け、
前記優先順位に基づいて、前記複数の画像から前記選択基準を満たす前記ガイドに用いる画像を選択する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記撮影情報は、撮影日時、乳房に対応する被検者、乳房の圧迫圧、左右いずれの乳房であるか、及び撮影方向の少なくとも1つを表す情報である、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記ガイド用の投影用画像は、圧迫状態とした乳房の形状、及び圧迫状態とした乳房の位置の少なくとも一方をガイドする画像である
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線を照射させて放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置によりこれらから撮影する乳房のポジショニングのガイドに用いる画像を、乳房が撮影された複数の画像から、前記複数の画像の撮影に関する撮影情報に基づいて選択し、
選択した前記画像から、これから撮影する乳房のポジショニングのガイド用の投影用画像を生成し、
生成した前記ガイド用の投影用画像を、画像投影部から前記マンモグラフィ装置に投影させる
処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
圧迫部材により圧迫状態とした乳房に放射線を照射させて放射線画像の撮影を行うマンモグラフィ装置が知られている。撮影を行う場合に乳房のポジショニングをガイドするための情報等を表示させる場合がある。例えば、特許文献1には、過去に撮影された放射線画像から乳房のスキンラインを表す画像を生成し、生成したスキンラインを表す画像をLCDに表示させて、その投影像を圧迫部材の投影面に表示させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
過去に撮影された放射線画像が複数ある場合、その中から、今回の乳房の放射線画像において投影させるガイド用の投影用画像の生成に用いる放射線画像を適切に選択できない場合がある。適切な放射線画像が選択されない場合、生成された投影用画像を参考に乳房のポジショニングを行っても、適切な状態にポジショニングされなくなってしまう。
【0005】
本開示は、上記事情を考慮して成されたものであり、過去に撮影された複数の放射線画像から選択された適切な放射線画像により生成されたガイド用の投影用画像を、今回の撮影において投影させることができる画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本開示の第1の態様の画像処理装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線を照射させて放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置によりこれらから撮影する乳房のポジショニングのガイドに用いる画像を、乳房が撮影された複数の画像から、複数の画像の撮影に関する撮影情報に基づいて選択し、選択した画像から、これから撮影する乳房のポジショニングのガイド用の投影用画像を生成し、生成したガイド用の投影用画像を、画像投影部からマンモグラフィ装置に投影させる。
【0007】
本開示の第2の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、撮影情報は、撮影対象の乳房の被検者を表す情報を含み、プロセッサは、複数の画像から、これから撮影する乳房の被検者と同一の被検者の乳房を撮影した画像を選択する。
【0008】
本開示の第3の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、撮影情報は、撮影日時を表す情報を含み、プロセッサは、複数の画像から、撮影日時が直近の画像を選択する。
【0009】
本開示の第4の態様の画像処理装置は、第3の態様の画像処理装置において、撮影情報は、撮影対象の乳房が被検者の左右いずれの乳房であるかを表す情報をさらに含み、プロセッサは、選択した画像の乳房と、これから撮影する乳房とで左右が反対の場合、選択した画像の左右が反転した状態のガイド用の投影用画像を生成する。
【0010】
本開示の第5の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、撮影情報は、マンモグラフィ装置により被検者の左右の乳房各々を一連の撮影として行うか否かを表す情報を含み、プロセッサは、一連の撮影を行う場合、かつ複数の画像が一連の撮影における先に撮影された放射線画像を含む場合、先に撮影された放射線画像を選択し、選択した画像の左右を反転させてガイド用の投影用画像を生成する。
【0011】
本開示の第6の態様の画像処理装置は、第4の態様または第5の態様の画像処理装置において、プロセッサは、選択した画像の左右を反転した後、反転した画像から乳房の形状の特徴を表す特徴画像を抽出してガイド用の投影用画像とする。
【0012】
本開示の第7の態様の画像処理装置は、第4の態様または第5の態様の画像処理装置において、プロセッサは、選択した画像から乳房の形状の特徴を表す特徴画像を抽出し、抽出した特徴画像を反転させてガイド用の投影用画像を生成する。
【0013】
本開示の第8の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、プロセッサは、複数の画像から、これから行う撮影と撮影情報が同一の画像を選択する。
【0014】
本開示の第9の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、プロセッサは、撮影情報に基づいて複数の画像の各々をスコアリングし、複数の画像のうち、スコアが最も高い画像を選択する。
【0015】
本開示の第10の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、プロセッサは、ガイドに用いる画像を撮影情報に基づいて選択する選択基準の優先順位の設定を受け付け、優先順位に基づいて、複数の画像から選択基準を満たすガイドに用いる画像を選択する。
【0016】
本開示の第11の態様の画像処理装置は、第1の態様から第10の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、撮影情報は、撮影日時、乳房に対応する被検者、乳房の圧迫圧、左右いずれの乳房であるか、及び撮影方向の少なくとも1つを表す情報である。
【0017】
本開示の第12の態様の画像処理装置は、第1の態様から第11の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、ガイド用の投影用画像は、圧迫状態とした乳房の形状、及び圧迫状態とした乳房の位置の少なくとも一方をガイドする画像である。
【0018】
また、上記目的を達成するために本開示の第13の態様の画像処理プログラムは、圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線を照射させて放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置によりこれらから撮影する乳房のポジショニングのガイドに用いる画像を、乳房が撮影された複数の画像から、複数の画像の撮影に関する撮影情報に基づいて選択し、選択した画像から、これから撮影する乳房のポジショニングのガイド用の投影用画像を生成し、生成したガイド用の投影用画像を、画像投影部からマンモグラフィ装置に投影させる処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、過去に撮影された複数の放射線画像から選択された適切な放射線画像により生成されたガイド用の投影用画像を、今回の撮影において投影させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態の放射線画像撮影システムにおける全体の構成の一例を概略的に表した構成図である。
【
図2A】実施形態のマンモグラフィ装置の外観の一例を表す側面図である。
【
図2B】実施形態の圧迫板の一例を表す三面図である。
【
図3】実施形態のマンモグラフィ装置及びコンソールの構成の一例を表したブロック図である。
【
図4】実施形態のコンソールの機能の一例を表す機能ブロック図である。
【
図5A】右の乳房の放射線画像から左の乳房のガイド用の投影用画像を生成する第1の生成方法の例を説明するための図である。
【
図5B】右の乳房の放射線画像から左の乳房のガイド用の投影用画像を生成する第2の生成方法の例を説明するための図である。
【
図6】優先順位設定処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【
図7】表示部に表示された優先順位設定情報の一例を示す図である。
【
図8】スコアリング設定処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【
図9】第1実施形態の画像処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【
図10】圧迫板の投影面に投影された投影用画像により表示された状態の一例を示す図である。
【
図11】第2実施形態の画像処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明を限定するものではない。
【0022】
[第1実施形態]
まず、本実施形態の放射線画像撮影システムにおける、全体の構成の一例について説明する。
図1には、本実施形態の放射線画像撮影システム1における、全体の構成の一例を表す構成図が示されている。
図1に示すように、本実施形態の放射線画像撮影システム1は、マンモグラフィ装置10及びコンソール12を備える。本実施形態のコンソール12が、本開示の画像処理装置の一例である。
【0023】
まず、本実施形態のマンモグラフィ装置10について説明する。
図2Aには、本実施形態のマンモグラフィ装置10の外観の一例を表す側面図が示されている。なお、
図2Aは、被検者の右側からマンモグラフィ装置10を見た場合の外観の一例を示している。また、
図3には、本実施形態のマンモグラフィ装置10及びコンソール12の構成の一例を表す機能ブロック図を示す。
【0024】
本実施形態のマンモグラフィ装置10は、被検者の乳房を被写体として、乳房に放射線R(例えば、X線)を照射して乳房の放射線画像を撮影する装置である。なお、マンモグラフィ装置10は、被検者が起立している状態(立位状態)のみならず、被検者が椅子(車椅子を含む)等に座った状態(座位状態)において、被検者の乳房を撮影する装置であってもよい。
【0025】
放射線検出器28は、乳房を通過した放射線Rを検出する。
図2Aに示すように、放射線検出器28は、撮影台30の内部に配置されている。本実施形態のマンモグラフィ装置10では、撮影を行う場合、撮影台30の撮影面30A上には、被検者の乳房がユーザによってポジショニングされる。
【0026】
放射線検出器28は、被検者の乳房及び撮影台30を透過した放射線Rを検出し、検出した放射線Rに基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を表す画像データを出力する。本実施形態の放射線検出器28の種類は、特に限定されず、例えば、放射線Rを光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器であってもよいし、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。
【0027】
放射線照射部37は、放射線源37Rを備えている。
図2Aに示すように放射線照射部37は、撮影台30及び圧迫ユニット36と共にアーム部32に設けられている。
図2Aに示すように、放射線照射部37の下方にあたるアーム部32の被検者に近い位置には、フェイスガード38が着脱可能に設けられている。フェイスガード38は、放射線源37Rから出射された放射線Rから被検者を保護するための保護部材である。
【0028】
なお、
図2Aに示すように本実施形態のマンモグラフィ装置10は、アーム部32と、基台34と、軸部35と、を備えている。アーム部32は、基台34によって、上下方向(Z軸方向)に移動可能に保持される。軸部35は、アーム部32を基台34に連結する。またアーム部32は、軸部35を回転軸として、基台34に対して相対的に回転可能となっている。
【0029】
本実施形態のマンモグラフィ装置10では、放射線画像の撮影について、少なくとも2種類の撮影を行うことができる。具体的には、マンモグラフィ装置10は、乳房に対して、撮影方向が頭尾方向である、CC(Cranio-Caudal)撮影、及び撮影方向が内外斜位方向であるMLO(Medio-Lateral Oblique)撮影の2種類の撮影を少なくとも行うことができる。以下の説明では、放射線画像の撮影において、放射線源37Rから撮影台30へ放射線Rを照射する場合における放射線源37Rの位置を「撮影位置」という。
【0030】
CC撮影を行う場合は、撮影面30Aがマンモグラフィ装置10の上側(被検者の頭側)を向いた状態に調整される。また、放射線源37Rの位置が、撮影台30の撮影面30Aと対向する撮影位置に調整される。これにより、被検者の頭側から足側に向かって、放射線源37Rから乳房へ放射線Rが照射されて、CC撮影が行われる。
【0031】
一方、MLO撮影を行う場合は、CC撮影を行う場合に対して撮影面30Aを、例えば45度以上90度未満の範囲内の予め定められた角度まで回転された状態に撮影台30の位置が調整される。具体的には、左の乳房を撮影する場合は、撮影面30Aを右側に傾斜させた状態とし、右の乳房を撮影する場合は、撮影面30Aを左側に傾斜させた状態とする。これにより、被検者の胴体の中心側から外側へ向かって(被検者の乳房同士の間から腕側に向けて)、放射線源37Rから乳房へ放射線Rが照射されて、MLO撮影が行われる。
【0032】
アーム部32に連結される圧迫ユニット36には、乳房を圧迫する圧迫板40を上下方向(Z軸方向)に移動する圧迫板駆動部(
図3、圧迫板駆動部42参照)が設けられている。圧迫板40の支持部46は、圧迫板駆動部42に着脱可能に取り付けられる。圧迫板駆動部42に取り付けられた圧迫板40は、圧迫板駆動部により上下方向(Z軸方向)に移動し、撮影台30との間で被検者の乳房を圧迫する。圧迫板40により乳房を圧迫する理由としては、乳腺組織の重なりを展開し、良性病変及び悪性病変のいずれであるかの判断等を行いやすくするため、放射線画像のボケを抑制し、乳腺構造等を見易くするため、乳房を固定することで、被検者の体動を抑制するため、及び乳房の厚みを薄くすることで、乳房の被曝を低減するため等が挙げられる。
図2Aに示すように、圧迫板40の移動方向について、乳房を圧迫する方向、換言すると、撮影面30Aに近付く方向を「圧迫方向」といい、乳房への圧迫を解除する方向、換言すると、放射線照射部37に近付く方向を「解除方向」という。
【0033】
圧迫板駆動部42に取り付けられる側の圧迫板40の支持部46には、圧迫板40の種類(詳細後述)を識別するための圧迫板識別子(図示省略)が設けられている。圧迫ユニット36には圧迫板検出センサ(
図3、圧迫板検出センサ44参照)が設けられている。圧迫板検出センサ44は、圧迫板40の支持部46に設けられた圧迫板識別子を読み取ることで、取り付けられている圧迫板40の種類を検出する。なお、本実施形態の圧迫板40が、本開示の圧迫部材の一例である。
【0034】
本実施形態のマンモグラフィ装置10に取り付けが可能な圧迫板40には、複数の種類がある。例えば、圧迫板40は、乳房全体を圧迫するものに限らず、乳房の一部を圧迫するものであってもよい。換言すると、乳房よりも小さい圧迫板40でもよい。このような圧迫板40としては、例えば、病変が存在する領域のみの放射線画像を撮影する、いわゆるスポット撮影に用いられる圧迫板40が知られている。また、その他の種類の圧迫板40としては、例えば、乳房の大きさに応じた圧迫板、腋窩撮影用の圧迫板、及び拡大撮影用の圧迫板等が挙げられる。また、便宜上「圧迫板」と称しているが、圧迫板40は、板状の部材を用いたものに限定されず、例えば、フィルム状の部材を用いたものであってもよい。
【0035】
具体例として、本実施形態のマンモグラフィ装置10に取り付けが可能な圧迫板40について、
図2Bを参照して説明する。
図2Bには、本実施形態の圧迫板40の一例の三面図を示す。
図2Bに示した三面図には、圧迫板40を上側(放射線照射部37側)から見た平面図(上面図)、被検者側から見た側面図、及び被検者の右側から見た側面図が含まれる。
図2Bに示すように、本実施形態の圧迫板40は、圧迫部41及び支持部46を含む。
【0036】
圧迫部41は、底部41Aが壁部41Bに囲まれた、断面形状が凹型に形成されている。底部41Aは、被検者の乳房に接触する面の板厚が略一定であり、放射線源37R側の面は、平坦で、高さが略一様である。また、壁部41Bは、比較的高く、高さが略一様である。圧迫部41には、後述するプロジェクタ48から投影用画像Pが投影される投影面45が設けられている。一例として本実施形態では、圧迫部41の底部41Aの放射線照射部37側の面(上面)を投影面45としている。なお、圧迫板40における投影面45の位置等は、本形態に限定されない。例えば、投影面45は、圧迫部41の底部41Aの乳房に接する側の面であってもよいし、壁部41Bの面であってもよい。
【0037】
圧迫板40は、ポジショニング及び圧迫状態の確認を行うために光学的に透明であることが好ましく、また、放射線Rの透過性に優れた材料によって形成される。なお、投影面45においては、プロジェクタ48から投影された投影用画像Pに応じた画像を表示するために、光が入射した場合、光の大部分(例えば90%)は透過し、一部(例えば10%)は物体表面で入射角と反射角が等しい鏡面反射をする状態とされている。例えば、圧迫板40の底部41Aにおける放射線源37R側の面等を粗面化加工することにより投影面45を形成してもよい。また例えば、圧迫板40の表面に鏡面反射シートを貼り付けることにより投影面45を形成してもよい。なお、鏡面反射シートを貼り付ける場合等のように投影面45を平滑な面とした場合、乳房等、被検者に接触する圧迫板40の面を投影面45とすることができる。
【0038】
一方、支持部46は、取付部46A及び腕46Bを含む。取付部46Aは、圧迫板40をマンモグラフィ装置10、具体的には圧迫ユニット36内の圧迫板駆動部42に取り付ける機能を有し、腕46Bは、圧迫部41を支持する機能を有する。
【0039】
また、放射線照射部37の下方にあたるアーム部32の被検者から離れた位置には、圧迫板40の投影面45に投影用画像Pを投影させるプロジェクタ48が設けられている。本実施形態のプロジェクタ48が、本開示の画像投影部の一例である。プロジェクタ48としては、液晶プロジェクタ、DLP(Digital Light Processing)(登録商標)プロジェクタ、及びレーザプロジェクタ等の公知のプロジェクタを適用することができる。
図3に示すように、本実施形態のプロジェクタ48は、電源部48A及び投影部48Bを含む。プロジェクタ48では、後述する制御部20の指示に応じて電源部48Aのオン及びオフが制御される。また、制御部20の指示に応じて投影部48Bから投影用画像Pが圧迫板40の投影面45に向けて投影される。
【0040】
また、本実施形態のマンモグラフィ装置10の撮影台30内部には、
図3に示した制御部20、記憶部22、I/F(Interface)部24、操作部26、及び表示部27を備える。制御部20、記憶部22、I/F部24、操作部26、表示部27、上述した放射線検出器28、圧迫板駆動部42、圧迫板検出センサ44、及びプロジェクタ48は、システムバスやコントロールバス等のバス49を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0041】
制御部20は、コンソール12の制御に応じて、マンモグラフィ装置10の全体の動作を制御する。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、及びRAM(Random Access Memory)20Cを備える。ROM20Bには、CPU20Aで実行される、放射線画像の撮影に関する制御を行うための撮影処理プログラム21を含む各種のプログラム等が予め記憶されている。RAM20Cは、各種データを一時的に記憶する。
【0042】
記憶部22には、放射線検出器28により撮影された放射線画像の画像データや、その他の各種情報等が記憶される。記憶部22の具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が挙げられる。I/F部24は、無線通信または有線通信により、コンソール12との間で各種情報の通信を行う。マンモグラフィ装置10で放射線検出器28により撮影された放射線画像の画像データは、I/F部24を介してコンソール12に無線通信または有線通信によって送信される。
【0043】
また、操作部26は、例えば、マンモグラフィ装置10の撮影台30等に複数のスイッチとして設けられている。なお、本実施形態の操作部26は、圧迫板40の圧迫方向への移動を指示する圧迫指示ボタンと、圧迫板40の解除方向への移動を指示する解除ボタンを少なくとも含む。操作部26は、タッチパネル式のスイッチとして設けられていてもよいし、医師及び技師等のユーザが足で操作するフットスイッチとして設けられていてもよい。表示部27は、被検者や撮影に関する各種情報を表示する。
【0044】
一方、本実施形態のコンソール12は、無線通信LAN(Local Area Network)等を介してRIS(Radiology Information System)2等から取得した撮影オーダ及び各種情報と、操作部56等によりユーザにより行われた指示等とを用いて、マンモグラフィ装置10の制御を行う機能を有している。
【0045】
本実施形態のコンソール12は、一例として、サーバーコンピュータである。
図3に示すように、コンソール12は、制御部50、記憶部52、I/F部54、操作部56、及び表示部58を備えている。制御部50、記憶部52、I/F部54、操作部56、及び表示部58はシステムバスやコントロールバス等のバス59を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0046】
本実施形態の制御部50は、コンソール12の全体の動作を制御する。制御部50は、CPU50A、ROM50B、及びRAM50Cを備える。ROM50Bには、CPU50Aで実行される、後述する画像処理プログラム51を含む各種のプログラム等が予め記憶されている。RAM50Cは、各種データを一時的に記憶する。本実施形態のCPU50Aが、本開示のプロセッサの一例である。本実施形態の画像処理プログラム51は、いずれも詳細を後述する画像処理を実行するための画像処理プログラム、優先順位設定処理を実行するための優先順位設定処理プログラム、及びスコアリング処理を実行するためのスコアリング処理プログラムを含む。本実施形態の画像処理プログラム51が、本開示の画像処理プログラムの一例である。
【0047】
記憶部52には、マンモグラフィ装置10で撮影された放射線画像の放射線画像データ53A、詳細を後述する優先順位情報53B、及び詳細を後述するスコアリング情報53Cや、その他の各種情報等が記憶される。記憶部52の具体例としては、HDDやSSD等が挙げられる。
【0048】
操作部56は、放射線Rの照射指示を含む放射線画像の撮影等に関する指示や各種情報等をユーザが入力するために用いられる。操作部56は特に限定されるものではなく、例えば、各種スイッチ、タッチパネル、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。表示部58は、各種情報を表示する。なお、操作部56と表示部58とを一体化してタッチパネルディスプレイとしてもよい。
【0049】
I/F部54は、無線通信または有線通信により、マンモグラフィ装置10、RIS2、及びPACS(Picture Archiving and Communication System)3各々との間で各種情報の通信を行う。本実施形態の放射線画像撮影システム1では、マンモグラフィ装置10で撮影された放射線画像の画像データは、I/F部54を介して無線通信または有線通信によりマンモグラフィ装置10から受信し、記憶部52に放射線画像データ53Aとして一旦、記憶される。その後、I/F部54を介して無線通信によりPACS3に送信され、PACS3に蓄積される。
【0050】
さらに、
図4には、本実施形態のコンソール12の構成の一例の機能ブロック図を示す。
図4に示すようにコンソール12は、受付部60、スコアリング部62、選択部64、生成部66、及び投影制御部68を備える。一例として本実施形態のコンソール12は、制御部50のCPU50AがROM50Bに記憶されている画像処理プログラム51に含まれる画像処理プログラムを実行することにより、CPU50Aが選択部64、生成部66、及び投影制御部68として機能する。
【0051】
選択部64は、これから撮影を行う乳房のポジショニングのガイドに用いる放射線画像を、乳房が撮影された複数の放射線画像から、複数の放射線画像各々の撮影に関する撮影情報に基づいて選択する機能を有する。上述したようにマンモグラフィ装置10により撮影を行う場合、撮影台30の撮影面30A上には、被検者の乳房がユーザによってポジショニングされ、圧迫板40により乳房を圧迫状態にされる。適切な状態に乳房をポジショニングすることが望まれている。具体的には、圧迫板40により圧迫状態にされた乳房の形状及び位置を適切な状態にすることが望まれている。例えば、放射線画像の読影を行う場合、過去に撮影された被検者の乳房の放射線画像と、今回撮影した被検者の乳房の放射線画像とを比較しながら読影することがある。この場合、過去に撮影された放射線画像と今回撮影した放射線画像とにおいて乳房のポジショニング状態が同様であると、両放射線画像の比較が行い易くなる。
【0052】
そこで、本実施形態では、プロジェクタ48からポジショニングのガイド用の投影用画像Pを投影させる。一例年、本実施形態では、ポジショニングのガイド用の投影用画像Pとして、圧迫状態の乳房の形状及び位置の少なくとも一方をガイドするための投影用画像Pを適用している。具体的には、圧迫状態の乳房のスキンラインを表す投影用画像Pをポジショニングのガイド用の投影用画像Pとして、プロジェクタ48から圧迫板40の投影面45に投影させる。ユーザは、圧迫板40の投影面45に表示された乳房のスキンラインを参考にして、乳房をポジショニングし圧迫板40により圧迫状態にする。なお、本実施形態のガイド用の投影用画像Pが、本開示のガイド用の投影用画像の一例である。
【0053】
本実施形態では、過去に乳房が撮影された放射線画像から今回の撮影において投影を行う投影用画像Pを生成する。選択部64は、過去に乳房が撮影された際の撮影情報に基づいて、今回の撮影においてポジショニングのガイド用の投影用画像Pを生成するのに適切な放射線画像を選択する機能を有する。具体的には、記憶部52に記憶されている優先順位情報53Bに基づいて、選択基準を満たす放射線画像を、過去に撮影された複数の放射線画像から選択する。
【0054】
選択部64により選択された放射線画像は、生成部66に出力される。なお、撮影情報としては、撮影日時に関する情報、乳房に対する被検者を表す情報、圧迫板40による乳房の圧迫圧を表す情報、撮影対象となったのが左右いずれの乳房であるかを表す情報、及びCC撮影またはMLO撮影やアーム部32の角度等の撮影方向を表す情報等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
生成部66は、選択部64が選択した放射線画像から、今回、撮影する乳房のポジショニングのガイド用の投影用画像Pを生成する機能を有する。一例として本実施形態の生成部66は、上述したように放射線画像から乳房のスキンラインを表す投影用画像をポジショニングのガイド用の投影用画像Pとして生成する。生成部66により生成されたガイド用の投影用画像Pは、投影制御部68に出力される。生成部66が、ガイド用の投影用画像Pを生成する方法は限定されず、公知の技術を適用することができる。例えば、特開2008-086389号公報には、放射線画像の濃度を調べ、濃度の段差が所定値以上の位置を検出し、この濃度の段差が所定値以上の画素の集合をスキンラインとする方法が例示されている。また例えば、特開2010-051456号公報には、乳房を撮影した放射線画像の画素ごとの濃度に基づいて、放射線画像を乳房領域と素抜け領域に分割し、乳房領域と素抜け領域の境界点となる画素をつなぐことで生成する方法が例示されている。
【0056】
なお、選択した放射線画像が投影面45よりも大きい場合、生成部66は、放射線画像のうちの投影面45の大きさに応じた一部の領域が示す乳房の形状に基づくスキンラインを表すガイド用の投影用画像Pを生成してもよい。換言すると、生成部66は、選択した放射線画像のうちの投影面45の大きさに応じた一部の領域を切り取り、切り取った画像に基づいて、スキンラインを表すガイド用の投影用画像Pを生成してもよい。なお、マンモグラフィ撮影10においては、胸壁側を含む撮影を行う場合が多いため、切り取る領域は、胸壁側の一部の領域であることが好ましい。また、切り取る領域は、放射線画像に含まれる乳房の形状の、左右方向の中心を含む一部の領域であることが好ましい。
【0057】
また、選択した放射線画像が投影面45よりも小さい場合、生成部66は、放射線画像が示す乳房の形状に基づいて、放射線画像外の乳房の形状が補完されたスキンラインを表すガイド用の投影用画像Pを生成してもよい。補完の手法としては、公知の画像補完手法を適用することができる。例えば、生成部66は、選択した放射線画像に基づいて生成した部分のスキンラインの曲率にしたがって延長線を補完してもよい。また例えば、生成部66は、放射線画像に基づいて生成した部分のスキンラインの接線を延長線として補完してもよい。
【0058】
また、選択した放射線画像の大きさと投影面45の大きさが一致しない場合、生成部64は、投影面45の大きさに応じて、選択した放射線画像を拡大又は縮小した画像が示す乳房の形状に基づくスキンラインを表すガイド用の投影用画像Pを生成してもよい。拡大及び縮小の割合は、例えば、放射線画像の大きさと投影面45の大きさとの組合せごと予め定められていてもよい。
【0059】
また、生成部66は、放射線画像からスキンラインを表すスキンライン画像を抽出し、抽出したスキンライン画像を投影用画像Pとしてもよいし、抽出したスキンライン画像から投影用画像Pを生成してもよい。本実施形態のスキンラインが本開示の乳房の形状の特徴の一例であり、スキンライン画像が本開示の特徴画像の一例である。
【0060】
生成部66によるガイド用の投影用画像Pの生成方法の一例について今回、左の乳房の撮影を行う場合に、直近に撮影された、被検者の右の乳房の放射線画像からガイド用の投影用画像Pを生成する場合を例に挙げて説明する。
【0061】
この場合、選択部64は、直近に撮影された被検者の右の乳房の放射線画像を選択する。
図5Aには、右の乳房の放射線画像から左の乳房のガイド用の投影用画像Pを生成する第1の生成方法の例が示されている。生成部66は、右の乳房の放射線画像80Rから、乳房の形状の特徴としてスキンライン70を表すスキンライン画像82Rを生成する。次に、生成部66は、生成したスキンライン画像82Rの左右を反転した画像を左の乳房の撮影におけるガイド用の投影用画像PLとして生成する。
【0062】
また、
図5Bには、右の乳房の放射線画像から左の乳房のガイド用の投影用画像Pを生成する第2の生成方法の例が示されている。生成部66は、まず、右の乳房の放射線画像80Rの左右を反転させ、左右が反転された右の乳房の放射線画像80RRから、乳房の形状の特徴としてスキンライン70を表すスキンライン画像82RRを生成する。生成部66は、生成したスキンライン画像82RRを左の乳房の撮影におけるガイド用の投影用画像PLとする。
【0063】
このように、
図5Aを参照して説明した第1の生成方法、
図5Bを参照して説明した第2の生成方法のいずれであっても、生成部66は、同様のガイド用の投影用画像PLを生成することができる。なお、第1の生成方法及び第2の生成方法のいずれを適用するかについては、特に限定されず、例えば、いずれか一方の生成方法が予め設定されていてもよいし、ユーザの所望により生成方法の切り替えが可能であってもよい。また、放射線画像やスキンライン画像の左右を反転する方法は特に限定されず、例えば、画素の位置について左右の位置を逆に並び替える方法を適用してもよい。
【0064】
投影制御部68は、生成部66から入力されたガイド用の投影用画像Pを、マンモグラフィ装置10のプロジェクタ48から投影させる制御を行う機能を有する。具体的には、生成部66から入力されたガイド用の投影用画像Pを表す投影用画像データをI/F部54を介してマンモグラフィ装置10に出力する。マンモグラフィ装置10では、投影用画像データが入力されると、制御部20が、プロジェクタ48の投影部48Bにより投影用画像データに応じた投影用画像Pを投影させる制御を行う。本制御により、マンモグラフィ装置10の圧迫ユニット36に取り付けられた圧迫板40の投影面45には、ガイド用の投影用画像Pに応じた表示画像が表示される。
【0065】
また、本実施形態のコンソール12は、制御部50のCPU50AがROM50Bに記憶されている画像処理プログラム51に含まれる優先順位設定処理プログラムを実行することにより、CPU50Aが受付部60として機能する。
【0066】
受付部60は、選択部64が過去に撮影された放射線画像から、ガイド用の投影用画像Pの生成に用いる放射線画像を、撮影情報に基づいて選択するための選択基準の優先順位の設定を受け付ける機能を有する。受付部60が受け付けた選択基準の優先順位を表す情報は、優先順位情報53Bとして記憶部52に記憶される。
【0067】
ここで、コンソール12における優先順位の設定に関する作用について説明する。本実施形態のコンソール12は、一例として、制御部50のCPU50Aが、ROM50Bに記憶されている画像処理プログラム51に含まれる優先順位設定処理プログラムを実行することにより、
図6に一例を示した優先順位設定処理を実行する。
図6には、本実施形態のコンソール12において実行される優先順位設定処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。
【0068】
図6に示したステップS10で受付部60は、ユーザが優先順位を設定するための優先順位設定情報を表示部58に表示させる。
図7には、表示部58に表示された優先順位設定情報の一例を示す。
図7に示すように、優先順位設定情報として複数の選択基準が列挙された状態で表示部58に表示される。ユーザは、列挙された複数の選択基準を参照し、操作部56を用いて選択基準ごとに優先順位を入力する。
【0069】
図7に示した例では、直近(1時間以内)に撮影された反対側の乳房の画像であるとした選択基準の優先順位を1位に、同一側の乳房の画像であるとした選択基準の優先順位を2位に、今回の撮影とCC撮影またはMLO撮影であるかが同一の画像であるとした選択基準の順位を3位に、スコアリング部62が行ったスコアが高い順であるとした選択基準の優先順位を4位に、また、直近に撮影された放射線画像であるとした選択基準の優先順位を5位に、ユーザが設定した状態を示している。また、
図7に示した例では、同一の種類の圧迫板40により乳房が圧迫された状態で撮影された画像であるとした選択基準の優先順位については、ユーザにより設定がなされなかった状態が示されている。このように、ユーザは、表示部58に表示された複数の選択基準の全てについて、優先順位を設定しなくてもよく、所望の選択基準のみに優先順位を設定することができる。
【0070】
同一の被検者の左右の乳房は、被検体のCC方向の中心線による線対称として大きさ及び形状が類似している場合が多い。直近(1時間以内)に撮影された反対側の乳房の画像であるとした選択基準によれば、現在の乳房の形状に応じた適切な乳房の形状を表す放射線画像を選択することができる。
【0071】
1つの乳房自体は左右非対象の形状であることが多いため、乳房の左右により、放射線画像に写り込む乳房の形状が異なる場合がある。そのため、同一側の乳房の画像であるとした選択基準によれば、左右に応じた適切な乳房の形状を表す放射線画像を選択することができる。
【0072】
また、CC撮影とMLO撮影とでは、ポジショニングされた乳房の形状が異なる場合がある。例えば、胸壁の写り具合がCC撮影とMLO撮影とでは異なる場合がある。そのため、今回の撮影とCC撮影またはMLO撮影であるかが同一の画像であるとした選択基準によれば、撮影の種類に応じた適切な乳房の形状を表す放射線画像を選択することができる。
【0073】
また、スコアリング部62が行ったスコアが高い順であるとした選択基準によれば、複数の観点から適切だと判定された放射線画像を選択することができる。また、スコアの設定によってはユーザの好みに応じた適切な放射線画像を選択することができる。
【0074】
また、直近に撮影された放射線画像であるとした選択基準によれば、例えば、被検者の同一側または左右の乳房について連続して複数の放射線画像を撮影する場合、直前に撮影された被検者の乳房の放射線画像を選択することができる。現在の被検者の乳房により近い乳房による放射線画像を選択することができるため、適切な乳房の形状を表す放射線画像を選択することができる。
【0075】
次のステップS12で受付部60は、上述のようにしてユーザにより設定された各選択基準に対する優先順位の設定を受け付ける。次のステップS14で受付部60は、上記ステップS12で受け付けた各選択基準に対する優先順位の設定を優先順位情報53Bとして記憶部52に記憶させる。ステップS14の処理が終了すると、
図6に示した優先順位設定処理が終了する。
【0076】
なお、受付部60が、優先順位設定処理を行う具体的なタイミングは限定されず、例えば、選択部64が放射線画像の選択を行う直前のタイミングであってもよい。また例えば、後述する、ガイド用の投影用画像Pを生成して投影させるための画像処理を行う前に、予め行っておいてもよい。また、各選択基準に対する優先順位の設定は、乳房の放射線画像を撮影する際に毎回行う必要はなく、記憶部52に記憶された優先順位情報53Bを、繰り返し使用してもよい。
【0077】
また、本実施形態のコンソール12は、制御部50のCPU50AがROM50Bに記憶されている画像処理プログラム51に含まれるスコアリング処理プログラムを実行することにより、CPU50Aがスコアリング部62として機能する。
【0078】
スコアリング部62は、撮影情報等に基づいて、過去に撮影された複数の放射線画像の各々をスコアリングする機能を有する。具体的には、スコアリング部62は、今回の撮影におけるガイド用の投影用画像Pの生成に用いる放射線画像として適しているか否かについて、適している度合いが高いほどスコアを加点する加点方式で、過去に撮影された複数の放射線画像の各々に対してスコアリングを行う。スコアリング部62によりスコアリングされた、過去に撮影された複数の放射線画像の各々に対応するスコアは、スコアリング情報53Cとして、記憶部52に記憶される。
【0079】
ここで、コンソール12におけるスコアリングに関する作用について説明する。本実施形態のコンソール12は、一例として、制御部50のCPU50Aが、ROM50Bに記憶されている画像処理プログラム51に含まれるスコアリング処理プログラムを実行することにより、
図8に一例を示したスコアリング処理を実行する。
図8には、本実施形態のコンソール12において実行されるスコアリング処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。
【0080】
図8のステップS20でスコアリング部62は、過去に撮影された放射線画像を取得する。例えば、スコアリング部62は、記憶部52及びPACS3を参照して、過去に撮影された乳房の放射線画像を取得する。なお、過去に撮影された乳房の放射線画像との定義のみでは、該当する放射線画像の数が膨大になる場合がある。この場合、例えば、同一の被検者の放射線画像や、現在から所定の時間内に撮影された放射線画像等との、限定条件を設けておき、限定条件を満たす放射線画像をスコアリング部62が取得する形態としてもよい。
【0081】
次のステップS22でスコアリング部62は、上記ステップS20で取得した放射線画像に対して、スコアリングを行う。上述したように、スコアリング部62は、今回の撮影におけるガイド用の投影用画像Pの生成に用いる放射線画像として適しているか否かについて、適している度合いが高いほどスコアを加点する加点方式でスコアリングを行う。例えば、スコアリング部62は、被検者が同一であるか否か、乳房の左右が同一であるか否か、アーム部32の角度が同一であるか否か、CC撮影またはMLO撮影のいずれであるかについて同一であるか否か、使用する圧迫板40の種類が同一であるか否か、撮影者が同一であるか否か等の各々の条件について、同一である毎にスコアを加点する。また例えば、放射線画像が撮影されてから現時点までの経過時間との条件について、経過時間が短いほど高いスコアを加点する。なお、放射線画像をスコアリングする方法は、上記に限定されず、また、スコアリングに用いる条件についても上記の条件に限定されない。例えば、特開2010-51456号公報に記載されているスコアリングを本実施形態に適用してもよい。特開2010-51456号公報には、ポジショニングについて適切に行われたか否かを放射線画像に対してスコアリングする技術が記載されている。
【0082】
次のステップS24でスコアリング部62は、上記ステップS22でスコアリングすることにより得られたスコアを、スコアリング情報53Cとして記憶部52に記憶させる。例えば、スコアリング部62は、放射線画像を識別する識別情報に対応付けたスコアをスコアリング情報53Cとして記憶させる。なお、スコアリング情報53Cとして記憶させるのに代えて、記憶されている放射線画像の画像データに、スコアを表す情報を付与させてもよい。
【0083】
次のステップS26でスコアリング部62は、選択可能な放射線画像があるか否かを判定する。選択可能な放射線画像が残っている場合、ステップS26の処理が肯定判定となり、ステップS20に戻り、上記ステップS20~S24の処理を繰り返す。一方、選択可能な放射線画像が残っていない場合、ステップS26の処理が否定判定となり、
図8に示したスコアリング処理が終了する。
【0084】
次に、本実施形態のマンモグラフィ装置10による投影用画像Pの投影におけるコンソール12の作用について図面を参照して説明する。コンソール12は、予め用意された複数種の撮影メニューを、択一的に選択可能な形態で表示部58に表示する。ユーザは、操作部56を介して、撮影オーダの内容と一致する1つの撮影メニューを選択する。コンソール12は、ユーザによる撮影メニューの選択を受け付ける。一例として本実施形態では、コンソール12が撮影メニューの選択を受け付けた場合に、
図9に示した画像処理を実行する。本実施形態のコンソール12は、一例として、制御部50のCPU50Aが、ROM50Bに記憶されている画像処理プログラム51を実行することにより、
図9に一例を示した画像処理を実行する。
図9には、本実施形態のコンソール12において実行される画像処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。
【0085】
図9のステップS100で選択部64は、これから撮影する乳房に対応する被検者と同一の被検者における過去に撮影された放射線画像があるか否かを判定する。上述したように、選択部64は、記憶部52及びPACS3を参照し、同一の被検者における過去に撮影された放射線画像がない場合、ステップS100の判定が否定判定となる。この場合、
図9に示した画像処理を終了する。
【0086】
一方、同一の被検者における過去に撮影された放射線画像がある場合、ステップS100の判定が肯定判定となり、ステップS102へ移行する。
【0087】
ステップS102で選択部64は、上述したように、記憶部52に記憶されている優先順位情報53Bを参照し、優先順位が1位の選択基準を満たす放射線画像があるか否かをさらに判定する。優先順位が1位の選択基準を満たす放射線画像がある場合、ステップS102の判定が肯定判定となり、ステップS108へ移行する。一方、優先順位が1位の選択基準を満たす放射線画像がない場合、ステップS102の判定が否定判定となり、ステップS104へ移行する。
【0088】
ステップS104で選択部64は、未だ上記ステップS102の判定に用いていない選択基準が残っているか否かを判定する。具体的には、優先順位情報53Bを参照し、優先順位が設定されており、かつ上記ステップS102の判定に未だ用いていない選択基準が残っているか否かを判定する。未だ選択していない選択基準が残っていない場合、換言すると、全ての選択基準について上記ステップS102の判定を行った場合、ステップS104の判定が否定判定となる。この場合、選択基準を満たす放射線画像が存在しなかったため、本画像処理を終了する。なお、この場合、ユーザに対して、投影用画像Pの投影が行えないことを表す情報等を提示してもよい。
【0089】
一方、未だ選択していない選択基準が残っている場合、ステップS104の判定が肯定判定となり、ステップS106へ移行する。ステップS106で選択部64は、記憶部52に記憶されている優先順位情報53Bを参照し、次の優先順位の選択基準を満たす放射線画像があるか否かをさらに判定する。次の優先順位の選択基準を満たす放射線画像がない場合、ステップS106の判定が否定判定となり、ステップS104に戻る。一方、次の優先順位の選択基準を満たす放射線画像がある場合、ステップS106の判定が肯定判定となり、ステップS108へ移行する。
【0090】
ステップS108で選択部64は、上記選択基準を満たした、過去に撮影された放射線画像を選択する。選択部64は、選択した放射線画像の画像データを取得する。上述したように本実施形態では、優先順位が1位の選択基準によれば、選択部64は、直近(1時間以内)に撮影された反対側の乳房の放射線画像の画像データを取得する。また、優先順位が2位の選択基準によれば、選択部64は、同一側の乳房の放射線画像を表した画像データを取得する。また、優先順位が3位の選択基準によれば、選択部64は、今回の撮影とCC撮影またはMLO撮影であるかが同一の放射線画像を表す画像データを取得する。また、優先順位が4位の選択基準によれば、選択部64は、スコアリング部62が行ったスコアが最も高い放射線画像を表す画像データを取得する。また、優先順位が5位の選択基準によれば、選択部64は、直近に撮影された放射線画像を表す画像データを取得する。
【0091】
次のステップS110で生成部66は、マンモグラフィ装置10から上述したように圧迫板識別子をマンモグラフィ装置10から取得する。
【0092】
次のステップS112で生成部66は、上述したように、ガイド用の投影用画像Pを表す画像データを生成する。圧迫板40の種類に応じて、圧迫部41の大きさが異なり、投影面45の大きさが異なる場合がある。そのため、本実施形態では、圧迫板40の種類に応じたガイド用の投影用画像Pをプロジェクタ48から投影させる。一例として本実施形態では、圧迫板識別子に対応する投影用画像Pの大きさを表す情報(図示省略)が記憶部52に記憶されている。生成部66は、上述したように、上記ステップS108で選択した放射線画像から生成したスキンライン画像により生成され、かつ上記ステップS110で取得した圧迫板識別子に応じた大きさのガイド用の投影用画像Pを表す画像データを生成する。例えば、生成部66は、上記
図5Aを参照して説明した第1の生成方法、上記
図5Bを参照して説明した第2の生成方法のいずれかによりガイド用の投影用画像Pを生成し、圧迫板識別子に対応する大きさにトリミングすることでガイド用の投影用画像Pを生成してもよい。
【0093】
次のステップS114で投影制御部68は、ガイド用の投影用画像Pの投影を開始させる。具体的には、投影制御部68は、上記ステップS118で生成したガイド用の投影用画像Pの画像データをI/F部54を介してマンモグラフィ装置10に出力する。マンモグラフィ装置10では、ガイド用の投影用画像Pの画像データが入力されると、制御部20が、プロジェクタ48の投影部48Bによりガイド用の投影用画像Pの画像データに応じた投影用画像Pを投影させる制御を行う。本制御により、マンモグラフィ装置10の圧迫ユニット36に取り付けられた圧迫板40の投影面45における照射野102の範囲に、投影用画像Pに応じて乳房のスキンラインを表す画像が表示される。
図10には、圧迫板40の投影面45に表示されたスキンライン70の一例を示す。ユーザは、表示されたスキンラインの位置を参考にしてポジショニングした被検者の乳房を、圧迫板40により圧迫状態にさせる。
【0094】
なお、ガイド用の投影用画像Pを投影するタイミングは限定されず、例えば、ユーザから投影の開始を指示された場合に、プロジェクタ48からガイド用の投影用画像Pの投影を開始させる形態としてもよい。また例えば、圧迫板40が圧迫方向に移動を開始した場合に、プロジェクタ48からガイド用の投影用画像Pの投影を開始させる形態としてもよい。
【0095】
次のステップS116で投影制御部68は、ガイド用の投影用画像Pの投影を終了するか否か判断する。一例として本実施形態では、終了条件を満たす場合に、ガイド用の投影用画像Pの投影を終了する。終了条件としては、例えば、ガイド用の投影用画像Pの投影の終了を、ユーザにより指示された場合にガイド用の投影用画像Pの投影を終了するとした条件等が挙げられる。また例えば、放射線源37Rによる放射線Rの照射を開始したタイミングまたは終了したタイミングとする条件等が挙げられる。終了条件を満たすまで、ステップS116の判定が否定判定となる。一方、終了条件を満たした場合、ステップS116の判定が肯定判定となり、ステップS118へ移行する。
【0096】
ステップS118で投影制御部68はガイド用の投影用画像Pの投影を終了させる。具体的には、投影制御部68は、ガイド用の投影用画像Pの投影を終了させるための投影終了信号をI/F部54を介してマンモグラフィ装置10に出力する。マンモグラフィ装置10では、投影終了信号が入力されると、制御部20が、プロジェクタ48の投影部48Bよる投影用画像Pの投影を終了させる。具体的には、投影用画像Pを投影させるための投影光の出射を停止させる。なお、投影用画像Pの投影を終了する場合、電源部48Aの電源を遮断し、電源部48Aをオフ状態にさせてもよい。ステップS118の処理が終了すると、
図9に示した画像処理が終了する。
【0097】
なお、本実施形態では、
図9に示した画像処理において、同一の被検者について過去に撮影された放射線画像が存在しない場合、ガイド用の投影用画像Pの投影を行わない形態としたが、本形態に限定されない。換言すると、画像処理のステップS100の処理を省略してもよい。また、この場合、優先順位の選択が可能とされている選択基準の1つとして、同一の被検者について過去に撮影された放射線画像であるとした選択基準を設けておいてもよい。
【0098】
[第2実施形態]
本実施形態では、放射線画像の撮影形態が第1実施形態と異なる形態について説明する。第1実施形態では優先順位に応じた選択基準を用いて、過去に撮影された複数の放射線画像から、ガイド用の投影用画像Pの生成に用いる放射線画像を選択する形態について説明した。これに対して本実施形態では、特定の撮影条件で撮影を行う場合は、予め定められた選択基準を用いて、過去に撮影された複数の放射線画像から、ガイド用の投影用画像Pの生成に用いる放射線画像を選択する形態について説明する。
【0099】
なお、本実施形態では特定の撮影条件の例として、左右の乳房各々の撮影を一連の撮影として撮影する撮影条件(以下、左右一連撮影という)である場合についてについて説明する。
【0100】
本実施形態のマンモグラフィ装置10及びコンソール12の構成は、第1実施形態のマンモグラフィ装置10及びコンソール12の構成(
図3参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0101】
一方、本実施形態は、コンソール12において実行される画像処理が第1実施形態と異なるため、本実施形態の画像処理について説明する。
図11には、本実施形態のコンソール12において実行される画像処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。
【0102】
ステップS90で選択部64は、撮影メニューを参照し、指示されている撮影条件が、左右の乳房各々の撮影を一連の撮影として行うとした左右一連撮影であるか否かを判定する。撮影メニューに指示されている撮影条件が、その他の撮影条件である場合、ステップS90の判定が否定判定となり、第1実施形態の画像処理(
図9参照)のステップS100へ移行する。一方、撮影メニューに指示されている撮影条件が、左右一連撮影である場合、ステップS90の判定が肯定判定となり、ステップS92へ移行する。
【0103】
ステップS92で選択部64は、左右一連撮影において、左右いずれか一方の乳房の放射線画像の撮影が終了しているか否かを判定する。左右の乳房の撮影において、最初の撮影を行う場合、換言すると、2回行う撮影のうちの1回目の撮影を行う場合、ステップS92の判定が否定判定となり、第1実施形態の画像処理(
図9参照)のステップS100へ移行する。
【0104】
一方、先に右の乳房の撮影を行っており、今回は左の乳房の撮影を行う場合、または先に左の乳房の撮影を行っており、今回は右の乳房の撮影を行う場合、ステップS92の判定が肯定判定となり、ステップS94へ移行する。
【0105】
ステップS94で選択部64は、先に撮影された一方の乳房の放射線画像を選択する。先に右の乳房の撮影を行っており、今回は左の乳房の撮影を行う場合、選択部64は、先に撮影された右の乳房の放射線画像を選択する。また、先に左の乳房の撮影を行っており、今回は右の乳房の撮影を行う場合、選択部64は、先に撮影された左の乳房の放射線画像を選択する。
【0106】
このように本実施形態では、左右一連撮影を行う場合、左の乳房及び右の乳房のいずれか一方の乳房の放射線画像が撮影された後、他方の乳房の撮影を行う場合に、先に撮影された一方の乳房の放射線画像に基づいたガイド用の投影用画像Pを、他方の乳房を圧迫する圧迫板40の投影面45に投影させる。
【0107】
同一の被検者の左右の乳房は、被検体のCC方向の中心線による線対称として大きさ及び形状が類似している場合が多い。そのため、直近に撮影された乳房の放射線画像を用いて左右が反転されたガイド用の投影用画像Pを生成することにより、これから撮影を行う反対側の乳房のポジショニングにおいて適切なガイド用の投影用画像Pを投影させることができる。
【0108】
また、左の乳房及び右の乳房のいずれか一方の乳房の放射線画像を先に行う場合は、複数の放射線画像の撮影に関する撮影情報に基づいて予め定められた選択基準により選択された乳房の放射線画像に基づいたガイド用の投影用画像Pを、一方の乳房を圧迫する圧迫板40の投影面45に投影させる。そのため、直近に撮影された左右反対側の乳房の放射線画像が存在しない状態で行われる先の撮影においても、ガイド用の投影用画像Pの生成に用いるのに適切な放射線画像を選択することができる。
【0109】
以上説明したように、上記各形態のコンソール12は、少なくとも1つのプロセッサとしてCPU50Aを備える。CPU50Aは、圧迫板40により圧迫された状態の乳房に対して放射線Rを照射させて放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置10によりこれらから撮影する乳房のポジショニングのガイドに用いる放射線画像を、乳房が撮影された複数の放射線画像から、複数の放射線画像の撮影に関する撮影情報に基づいて選択する。また、CPU50Aは、選択した放射線画像から、これから撮影する乳房のポジショニングのガイド用の投影用画像Pを生成する。また、CPU50Aは、生成したガイド用の投影用画像Pを、プロジェクタ48からマンモグラフィ装置10に投影させる。
【0110】
このように上記各形態のコンソール12によれば、乳房が撮影された複数の放射線画像から、複数の放射線画像の撮影に関する撮影情報に基づいて選択された放射線画像を用いて、これから撮影を行う乳房のポジショニングのガイド用の投影用画像Pを生成する。従って、本実施形態のコンソール12によれば、過去に撮影された複数の放射線画像から選択された適切な放射線画像により生成されたガイド用の投影用画像を、今回の撮影において投影させることができる。
【0111】
なお、上記各形態では、優先順位に応じた選択基準に基づいて放射線画像を選択する形態について説明したが、優先順位を用いずに、特定の選択基準について放射線画像を選択する形態としてもよい。例えば、上記では優先順位が1位の選択基準として説明した、直近(1時間以内)に撮影された反対側の乳房の放射線画像を選択するとした基準のみに基づいて、選択部64が放射線画像を選択する形態としてもよい。また例えば、上記では優先順位が2位の選択基準として説明した、同一側の乳房の放射線画像を選択するとした基準のみに基づいて、選択部64が放射線画像を選択する形態としてもよい。また例えば、上記では優先順位が3位の選択基準として説明した、今回の撮影とCC撮影またはMLO撮影であるかが同一の放射線画像を選択するとした基準のみに基づいて、選択部64が放射線画像を選択する形態としてもよい。また例えば、上記では優先順位が4位の選択基準として説明した、スコアリング部62が行ったスコアが最も高い放射線画像を選択するとした基準のみに基づいて、選択部64が放射線画像を選択する形態としてもよい。また例えば、上記では優先順位が5位の選択基準として説明した、直近に撮影された放射線画像を選択するとした基準のみに基づいて、選択部64が放射線画像を選択する形態としてもよい。また例えば、上記第2実施形態の場合、画像処理(
図11参照)において、ステップS90で否定判定となった場合、及びステップS92で否定判定となった場合は、画像処理を終了する形態としてもよい。
【0112】
なお、上記各形態では、ガイド用の投影用画像Pの一例として、圧迫状態とした乳房の形状、及び圧迫状態とした乳房の位置の少なくとも一方をガイドする画像の一例であるスキンライン画像を適用した形態について説明したが本形態に限定されない。ガイド用の投影用画像Pは、投影させることにより、ユーザが圧迫板40により圧迫状態とする乳房のポジショニングをガイドするための情報の表示が可能な画像であれば限定されない。例えば、ガイド用の投影用画像Pが圧迫状態とした乳房の形状、及び圧迫状態とした乳房の位置の少なくとも一方をガイドする画像である場合、乳房のニップルの位置を表す画像であってもよい。また、ガイド用の投影用画像Pがスキンライン画像である形態について、乳房のスキンライン全体を線で示した形態(
図10参照)を示したが、本形態に限定されず、胸壁側及びニップル側の数カ所についてスキンラインの一部を図示する形態としてもよい。
【0113】
また、例えば、ガイド用の投影用画像Pは、被検者の氏名等の被検者に関する情報、圧迫圧や圧迫板40の高さ等の圧迫に関する情報、撮影者に関する情報、及び撮影日に関する情報等を圧迫板40の投影面45に表示させるための投影用画像であってもよく、文字や数字を表す画像であってもよい。また、ガイド用の投影用画像Pは、複数の情報を表示させるための投影用画像であってもよい。また、ガイド用の投影用画像Pは、乳房を撮影した放射線画像そのものであってもよい。
【0114】
また、上記各形態では、ガイド用の投影用画像Pの大きさが、投影面45の大きさ以下とした形態について説明したが、ガイド用の投影用画像Pの大きさは、圧迫板40の投影面45の大きさ以上であってもよい。すなわち、ガイド用の投影用画像Pが、撮影台30の撮影面30Aにまで投影される形態であってもよい。また、ガイド用の投影用画像Pが、撮影台30のみに投影される形態であってもよい。また例えば、ガイド用の投影用画像Pが圧迫板40の壁部41Bに表示される形態としてもよい。
【0115】
また、上記各形態では、コンソール12の選択部64が選択対象とする画像が放射線画像である形態について説明したが、選択対象とする画像は、乳房を撮影した画像であればよく、放射線画像に限定されない。例えば、超音波撮影により得られた画像であってもよい。なお、選択対象とする画像は、マンモグラフィ装置10の圧迫板40と同様に圧迫状態とした画像であることが好ましい。
【0116】
また、マンモグラフィ装置10において投影用画像Pを投影するための構成は限定されず、上記各形態で説明したプロジェクタ48を用いた形態に限定されない。また、プロジェクタ48を適用する場合、プロジェクタ48の構成も限定されるものではない。例えば、上記各形態では、プロジェクタ48から投影された投影用画像Pを、投影面45に直接投影させる形態について説明したが、ミラー等を介して投影用画像Pを反射させて投影面45に投影させる形態であってもよい。この場合、ミラー等により投影用画像Pを投影させる向きを調整することができる。また例えば、プロジェクタ48の投影部48Bの前に投影光を遮るシャッタ等を設けた形態としてもよい。この場合、シャッタの開閉により投影用画像Pの投影面45への投影を制御する形態とすることができる。具体的には、投影用画像Pの投影を開始する場合、シャッタを開けて投影光を透過させる制御を行う。一方、投影用画像Pの投影を終了する場合、シャッタを閉じて投影光を遮断させる制御を行う。
【0117】
また、上記各形態では、コンソール12が本開示の画像処理装置の一例である形態について説明したが、コンソール12以外の装置が本開示の画像処理装置の機能を備えていてもよい。換言すると、受付部60、スコアリング部62、選択部64、生成部66、及び投影制御部68の機能の一部または全部をコンソール12以外の、例えばマンモグラフィ装置10や、外部の装置等が備えていてもよい。
【0118】
また、上記各形態において、例えば、受付部60、スコアリング部62、選択部64、生成部66、及び投影制御部68といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0119】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0120】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0121】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0122】
また、上記各形態では、画像処理プログラム51がROM50Bに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。画像処理プログラム51は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、画像処理プログラム51は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 放射線画像撮影システム
2 RIS
3 PACS
10 マンモグラフィ装置
12 コンソール
20、50 制御部、20A、50A CPU、20B、50B ROM、20C、50C RAM
21 撮影処理プログラム
22、52 記憶部
24、54 I/F部
26、56 操作部
27、58 表示部
28 放射線検出器
30 撮影台、30A 撮影面
32 アーム部
34 基台
35 軸部
36 圧迫ユニット
37 放射線照射部、37R 放射線源
38 フェイスガード
40 圧迫板
41 圧迫部、41A 底部、41B 壁部
42 圧迫板駆動部
44 圧迫板検出センサ
45 投影面
46 支持部、46A 取付部、46B 腕
48 プロジェクタ、48A 電源部、48B 投影部
49、59 バス
51 画像処理プログラム
60 受付部
62 スコアリング部
64 選択部
66 生成部
68 投影制御部
70 スキンライン
80R、80RR 放射線画像
82R、82RR スキンライン画像
P、PL 投影用画像
R 放射線