(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058397
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 30/00 20180101AFI20220405BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
G16H30/00
A61B6/03 360M
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209409
(22)【出願日】2021-12-23
(62)【分割の表示】P 2018040202の分割
【原出願日】2018-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平川 真之介
(72)【発明者】
【氏名】中村 佳児
(57)【要約】 (修正有)
【課題】過去画像を参照することなく読影効率を向上させる、医用画像処理装置、医用画像処理方法及び医用画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】複数の撮影装置、複数の読影ワークステーション、診療科ワークステーション、画像サーバ、画像データベース、読影レポートサーバ及び読影レポートデータベースが、ネットワークを介して互いに通信可能な医療情報システムにおいて、医用画像処理装置10は、被検者を撮影して取得した現在画像を受け付ける画像受付部21、現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得する文字情報取得部22、現在画像における位置の指定を受け付ける位置受付部23、文字情報取得部22により取得された文字情報から、位置受付部23が受け付けた位置に関連する文字を特定する文字特定部24及び文字特定部24により特定された文字を強調して表示する制御を表示部に対して行う表示制御部25を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者を撮影して取得した現在画像を受け付ける画像受付部と、
前記画像受付部により受け付けられた前記現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得する文字情報取得部と、
前記文字情報取得部により取得された前記文字情報における文字の指定を受け付ける文字受付部と、
前記画像受付部により受け付けられた前記現在画像において、前記文字情報取得部により取得された前記文字情報において前記文字受付部が受け付けた前記文字に関連する領域の前記現在画像における位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部により特定された前記位置が示す領域を強調して表示する制御を表示部に対して行う表示制御部と、
を含む医用画像処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記位置特定部により前記位置が複数特定された場合、前記位置に応じた重み付けで前記位置が示す領域を強調して表示する制御を行う請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記文字情報取得部が、複数の前記過去の医用情報において前記文字情報を取得する場合、
前記表示制御部は、異なる過去の医用情報毎の前記文字情報を並列表示、個別表示、及び重複表示のうちのいずれか1つの表示方法で表示する制御を行う請求項1又は請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記文字は、病変の特徴を示す特徴情報を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記位置特定部は、前記画像受付部により受け付けられた前記現在画像における解析結果として取得された前記現在画像に含まれる1以上の病変の領域の中から、前記文字受付部が受け付けた前記文字に関連した病変の領域を検出し、検出した前記病変の領域の前記現在画像における位置を特定する請求項1~4の何れか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記位置特定部は、前記解析結果として取得された前記1以上の病変の領域の位置情報に基づいて、検出した前記病変の領域の前記現在画像における位置を特定する請求項5に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記解析結果として複数の前記病変の領域の位置情報及び大きさ情報の少なくとも一方の情報が取得された場合、取得された前記位置情報及び前記大きさ情報の少なくとも一方の情報に応じた重み付けで前記位置が示す領域を強調して表示する制御を行う請求項5又は請求項6に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
被検者を撮影して取得した現在画像を受け付け、
受け付けられた前記現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得し、
取得された前記文字情報における文字の指定を受け付け、
受け付けられた前記現在画像において、取得された前記文字情報において受け付けた前記文字に関連する領域の前記現在画像における位置を特定し、
特定された前記位置が示す領域を強調して表示する制御を表示部に対して行う医用画像処理方法。
【請求項9】
被検者を撮影して取得した現在画像を受け付ける手順と、
受け付けられた前記現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得する手順と、
取得された前記文字情報における文字の指定を受け付ける手順と、
受け付けられた前記現在画像において、取得された前記文字情報において受け付けた前記文字に関連する領域の前記現在画像における位置を特定する手順と、
特定された前記位置が示す領域を強調して表示する制御を表示部に対して行う手順とをコンピュータに実行させるための医用画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像処理装置、医用画像処理方法及び医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CT(Computed Tomography)装置及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の医療機器の進歩により、より質の高い高解像度の3次元の医用画像を用いての画像診断が可能となってきている。とくに、CT画像及びMRI画像等を用いた画像診断により、病変の領域を精度よく特定することができるため、特定した結果に基づいて適切な治療が行われるようになってきている。
【0003】
また、ディープラーニング等により学習がなされた判別器を用いたCAD(Computer-Aided Diagnosis)により医用画像を解析して、医用画像に含まれる病変等の領域、位置及び体積等を抽出し、これらを解析結果として取得することも行われている。このように、解析処理により生成される解析結果は、患者名、性別、年齢及び医用画像を取得したモダリティ等の検査情報と対応づけられて、データベースに保存されて、診断に供される。そして、読影医は、自身の読影端末装置において、配信された医用画像及び解析結果を参照して医用画像の読影を行い、読影レポートを作成する。
【0004】
3次元の医用画像についての読影レポートは、3次元の医用画像を構成する複数の2次元の医用画像のうちの、読影レポートを作成する際に参照した医用画像と関連付けられて画像サーバ等に保存される。このため、過去の読影レポートを参照すれば、過去の読影レポートを作成した際に参照した医用画像(以下、過去画像という)を特定できるので、今回の検査で取得された現在画像と、過去の検査で取得された過去画像とを同時に読影医の読影端末装置に表示できる。読影医は、現在画像と過去画像とを比較しながら読影を行うことにより、過去の読影レポートで言及されている内容が、現在画像のどの位置に対応する内容であるのか、現在画像の注目位置において過去の読影レポートおいてどのように言及されているのかを容易に確認することができるので、読影効率がよい。
【0005】
一方、現在の読影レポートを作成する際に、過去の読影レポートを作成する際に参照した医用画像すなわち過去画像を参照する手法については各種提案されている。例えば、特許文献1には、撮影位置が異なる複数枚の過去画像と、撮影位置が異なる複数枚の現在画像とを、撮影位置毎に対応させた対応情報を作成し、作成した対応情報と過去の読影レポートとに基づいて、現在の読影レポート用のテンプレートを作成する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、読影レポートは、作成された時期が古い等の理由で、システム上、読影レポートを作成した際に参照した医用画像と関連付けられていない場合がある。このような場合、読影レポートを作成した際に参照した医用画像すなわち過去画像を特定して表示することは困難である。とくに、CT画像及びMRI画像等の3次元医用画像は、多数の断層画像から構成されるため、読影レポートがいずれの断層画像を参照して作成されたものであるかを特定することは非常に困難である。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、過去画像を参照することなく、読影効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による第1の医用画像処理装置は、被検者を撮影して取得した現在画像を受け付ける画像受付部と、
現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得する文字情報取得部と、
画像受付部により受け付けられた現在画像における位置の指定を受け付ける位置受付部と、
文字情報取得部により取得された文字情報から、位置受付部が受け付けた位置に関連する文字を特定する文字特定部と、
文字特定部により特定された文字を強調して表示する制御を表示部に対して行う表示制御部と、
を含む。
【0010】
本発明による第2の医用画像処理装置は、被検者を撮影して取得した現在画像を受け付ける画像受付部と、
現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得する文字情報取得部と、
文字情報取得部により取得された文字情報における文字の指定を受け付ける文字受付部と、
画像受付部により受け付けられた現在画像において、文字受付部が受け付けた文字に関連する位置を特定する位置特定部と、
位置特定部により特定された位置を強調して表示する制御を表示部に対して行う表示制御部と、
を含む。
【0011】
本発明による第3の医用画像処理装置は、被検者を撮影して取得した現在画像を受け付ける画像受付部と、
現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得する文字情報取得部と、
画像受付部により受け付けられた現在画像における位置の指定を受け付ける位置受付部と、
文字情報取得部により取得された文字情報における文字の指定を受け付ける文字受付部と、
位置受付部により位置の指定が受け付けられた場合に、文字情報取得部により取得された文字情報から、位置受付部が受け付けた位置に関連する文字を特定する文字特定部と、
文字受付部により文字の指定が受け付けられた場合に、画像受付部により受け付けられた現在画像において、文字受付部が受け付けた文字に関連する位置を特定する位置特定部と、
文字特定部により文字が特定された場合に、特定された文字を強調して表示する制御を表示部に対して行い、位置特定部により位置が特定された場合に、特定された位置を強調して表示する制御を表示部に対して行う表示制御部と、
を含む。
【0012】
また、本発明による第1及び第3の医用画像処理装置においては、表示制御部は、文字特定部により文字が複数特定された場合、文字の内容に応じた重み付けで文字を強調して表示する制御を行ってもよい。
【0013】
また、本発明による第2及び第3の医用画像処理装置においては、表示制御部は、位置特定部により位置が複数特定された場合、位置に応じた重み付けで位置を強調して表示する制御を行ってもよい。
【0014】
また、本発明による医用画像処理装置においては、文字特定部は、第1の過去の医用情報から取得した文字情報において、位置受付部が受け付けた位置に関連する文字が特定されず、第1の過去の医用情報よりも以前の第2の過去の医用情報から取得した文字情報において文字を特定した場合、
表示制御部は、文字特定部が第2の過去の文字情報において特定した文字を強調して表示する制御を表示部に対して行い、かつ第1の過去の医用情報において文字が特定されなかったことを報知する制御を報知部に対して行ってもよい。
【0015】
また、本発明による医用画像処理装置においては、文字情報取得部が、複数の過去の医用情報において文字情報を取得する場合、
表示制御部は、異なる過去の医用情報毎の文字情報を並列表示、個別表示、及び重複表示のうちのいずれか1つの表示方法で表示する制御を行ってもよい。
【0016】
また、本発明による医用画像処理装置においては、文字は、病変の特徴を示す特徴情報を含んでいてもよい。
【0017】
本発明による第1の医用画像処理方法は、被検者を撮影して取得した現在画像を受け付け、
現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得し、
受け付けられた現在画像における位置の指定を受け付け、
取得された文字情報から、受け付けた位置に関連する文字を特定し、
特定された文字を強調して表示する制御を表示部に対して行う。
【0018】
本発明による第2の医用画像処理方法は、被検者を撮影して取得した現在画像を受け付け、
現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得し、
取得された文字情報における文字の指定を受け付け、
受け付けられた現在画像において、受け付けた文字に関連する位置を特定し、
特定された位置を強調して表示する制御を表示部に対して行う。
【0019】
本発明による第3の医用画像処理方法は、被検者を撮影して取得した現在画像を受け付け、
現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得し、
受け付けられた現在画像における位置の指定を受け付けるか、又は取得された文字情報における文字の指定を受け付け、
位置の指定を受け付けた場合に、取得された文字情報から、受け付けた位置に関連する文字を特定し、特定された文字を強調して表示する制御を表示部に対して行い、
文字の指定を受け付けた場合に、受け付けられた現在画像において、受け付けた文字に関連する位置を特定し、特定された位置を強調して表示する制御を表示部に対して行う。
【0020】
なお、本発明による医用画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【0021】
本発明の第1の医用画像処理プログラムは、被検者を撮影して取得した現在画像を受け付ける手順と、
現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得する手順と、
受け付けられた現在画像における位置の指定を受け付ける手順と、
取得された文字情報から、受け付けた位置に関連する文字を特定する手順と、
特定された文字を強調して表示する制御を表示部に対して行う手順とをコンピュータに実行させる。
【0022】
本発明の第2の医用画像処理プログラムは、被検者を撮影して取得した現在画像を受け付ける手順と、
現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得する手順と、
取得された文字情報における文字の指定を受け付ける手順と、
受け付けられた現在画像において、受け付けた文字に関連する位置を特定する手順と、
特定された位置を強調して表示する制御を表示部に対して行う手順とをコンピュータに実行させる。
【0023】
本発明の第3の医用画像処理プログラムは、被検者を撮影して取得した現在画像を受け付ける手順と、
現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得する手順と、
受け付けられた現在画像における位置の指定を受け付けるか、又は取得された文字情報における文字の指定を受け付ける手順と、
位置の指定を受け付けた場合に、取得された文字情報から、受け付けた位置に関連する文字を特定し、特定された文字を強調して表示する制御を表示部に対して行う手順と、
文字の指定を受け付けた場合に、受け付けられた現在画像において、受け付けた文字に関連する位置を特定し、特定された位置を強調して表示する制御を表示部に対して行う手順とをコンピュータに実行させる。
【0024】
本発明による他の第1の医用画像処理装置は、コンピュータに実行させるための命令を記憶するメモリと、
記憶された命令を実行するよう構成されたプロセッサとを備え、プロセッサは、
被検者を撮影して取得した現在画像を受け付け、
現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得し、
受け付けられた現在画像における位置の指定を受け付け、
取得された文字情報から、受け付けた位置に関連する文字を特定し、
特定された文字を強調して表示する制御を表示部に対して行う処理を実行する。
【0025】
本発明による他の第2の医用画像処理装置は、コンピュータに実行させるための命令を記憶するメモリと、
記憶された命令を実行するよう構成されたプロセッサとを備え、プロセッサは、
被検者を撮影して取得した現在画像を受け付け、
現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得し、
取得された文字情報における文字の指定を受け付け、
受け付けられた現在画像において、受け付けた文字に関連する位置を特定し、
特定された位置を強調して表示する制御を表示部に対して行う処理を実行する。
【0026】
本発明による他の第3の医用画像処理装置は、コンピュータに実行させるための命令を記憶するメモリと、
記憶された命令を実行するよう構成されたプロセッサとを備え、プロセッサは、
被検者を撮影して取得した現在画像を受け付け、
現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得し、
受け付けられた現在画像における位置の指定を受け付けるか、又は取得された文字情報における文字の指定を受け付け、
位置の指定を受け付けた場合に、取得された文字情報から、受け付けた位置に関連する文字を特定し、特定された文字を強調して表示する制御を表示部に対して行い、
文字の指定を受け付けた場合に、受け付けられた現在画像において、受け付けた文字に関連する位置を特定し、特定された位置を強調して表示する制御を表示部に対して行う処理を実行する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の第1の医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラムによれば、現在画像における位置の指定を受け付け、現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報から、受け付けた位置に関連する文字を特定し、特定された文字を強調して表示する。これにより、現在画像の注目位置が過去の医用情報においてどのように言及されているのかを容易に確認することができるので、読影効率が向上する。
【0028】
また、本発明の第2の医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラムによれば、現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報における文字の指定を受け付け、現在画像において、受け付けた文字に関連する位置を特定し、特定された位置を強調して表示する。これにより、過去の医用情報で言及されている内容が、現在画像のどの位置に対応する内容であるのかを容易に確認することができるので、読影効率が向上する。
【0029】
また、本発明の第3の医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラムによれば、現在画像における位置の指定を受け付けた場合に、現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報から、受け付けた位置に関連する文字を特定し、特定された文字を強調して表示する。また、現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報における文字の指定を受け付けた場合に、現在画像において、受け付けた文字に関連する位置を特定し、特定された位置を強調して表示する。これにより、現在画像の注目位置が過去の医用情報においてどのように言及されているのかを容易に確認することができ、かつ過去の医用情報で言及されている内容が、現在画像のどの位置に対応する内容であるのかを容易に確認することができるので、読影効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態による医用画像処理装置を適用した医療情報システムの概略構成を示す図
【
図2】第1の実施形態による医用画像処理装置の概略構成を示す図
【
図3】第1の実施形態において行われる医用画像処理を示すフローチャート
【
図5】現在画像における位置の指定及び文字の表示を説明するための図
【
図9】異なる過去の読影レポートについて説明するための図
【
図11】第2の実施形態による医用画像処理装置の概略構成を示す図
【
図12】第2の実施形態において行われる医用画像処理を示すフローチャート
【
図13】読影レポートにおける文字の指定及び現在画像の位置の表示を説明するための図
【
図14】第2の実施形態においての、読影レポートにおける文字の指定及び現在画像の位置の表示の他の例を説明するための図
【
図15】第3の実施形態による医用画像処理装置の概略構成を示す図
【
図16】第3の実施形態において行われる医用画像処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態による医用画像処理装置を適用した医療情報システムの概略構成を示す図である。
図1に示す医療情報システム1は、公知のオーダリングシステムを用いた診療科の医師からの検査オーダに基づいて、被検者の検査対象部位の撮影、撮影により取得された医用画像の保管、読影医による医用画像の読影と読影レポートの作成、及び依頼元の診療科の医師による読影レポートの閲覧と読影対象の医用画像の詳細観察とを行うためのシステムである。
図1に示すように、医療情報システム1は、複数のモダリティ(撮影装置)2、読影端末である複数の読影ワークステーション(WS)3、診療科ワークステーション(WS)4、画像サーバ5、画像データベース6、読影レポートサーバ7、及び読影レポートデータベース8が、有線又は無線のネットワーク9を介して互いに通信可能な状態で接続されて構成されている。
【0032】
各機器は、医療情報システム1の構成要素として機能させるためのアプリケーションプログラムがインストールされたコンピュータである。アプリケーションプログラムは、DVD(Digital Versatile Disc)あるいはCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体からコンピュータにインストールされる。又は、ネットワーク9に接続されたサーバコンピュータの記憶装置、もしくはネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じてコンピュータにダウンロードされ、インストールされる。
【0033】
モダリティ2は、被検者の診断対象となる部位を撮影することにより、診断対象部位を表す医用画像を生成する装置である。具体的には、単純X線撮影装置、CT装置、MRI装置、及びPET(Positron Emission Tomography)装置等である。モダリティ2により生成された医用画像は画像サーバ5に送信され、保存される。
【0034】
読影WS3は、第1の実施形態による医用画像処理装置を内包する。読影WS3の構成については後述する。
【0035】
診療科WS4は、診療科の医師が画像の詳細観察、読影レポートの閲覧、及び電子カルテの作成等に利用するコンピュータであり、処理装置、ディスプレイ等の表示装置、並びにキーボード及びマウス等の入力装置により構成される。診療科WS4では、患者のカルテ(電子カルテ)の作成、画像サーバ5に対する画像の閲覧要求、画像サーバ5から受信した画像の表示、画像中の病変らしき部分の自動検出又は強調表示、読影レポートサーバ7に対する読影レポートの閲覧要求、及び読影レポートサーバ7から受信した読影レポートの表示等の各処理が、各処理のためのソフトウェアプログラムを実行することにより行われる。
【0036】
画像サーバ5は、汎用のコンピュータにデータベース管理システム(DataBase Management System: DBMS)の機能を提供するソフトウェアプログラムがインストールされたものである。また、画像サーバ5は画像データベース6が構成されるストレージを備えている。このストレージは、画像サーバ5とデータバスとによって接続されたハードディスク装置であってもよいし、ネットワーク9に接続されているNAS(Network Attached Storage)及びSAN(Storage Area Network)に接続されたディスク装置であってもよい。また、画像サーバ5は、モダリティ2からの医用画像の登録要求を受け付けると、その医用画像をデータベース用のフォーマットに整えて画像データベース6に登録する。
【0037】
画像データベース6には、モダリティ2において取得された医用画像又は複数の医用画像からなる医用画像群の画像データと付帯情報とが登録される。付帯情報には、例えば、個々の医用画像又は医用画像群(以下、単に医用画像と称する場合があるものとする)を識別するための画像ID、被検者を識別するための患者ID(identification)、検査を識別するための検査ID、医用画像毎に割り振られるユニークなID(UID:unique identification)、医用画像又は医用画像群が生成された検査日、検査時刻、医用画像を取得するための検査で使用されたモダリティの種類、患者氏名、年齢、性別等の患者情報、検査部位(撮影部位)、撮影情報(撮影プロトコル、撮影シーケンス、撮像手法、撮影条件、造影剤の使用等)、1回の検査で複数の医用画像を取得したときのシリーズ番号あるいは採取番号等の情報が含まれる。
【0038】
また、画像サーバ5は、読影WS3からの閲覧要求をネットワーク9経由で受信すると、画像データベース6に登録されている医用画像を検索し、検索された医用画像を要求元の読影WS3に送信する。
【0039】
読影レポートサーバ7には、汎用のコンピュータにデータベース管理システムの機能を提供するソフトウェアプログラムが組み込まれる。読影レポートサーバ7は、読影WS3からの読影レポートの登録要求を受け付けると、その読影レポートをデータベース用のフォーマットに整えて読影レポートデータベース8に登録する。また、読影レポートの検索要求を受け付けると、その読影レポートを読影レポートデータベース8から検索する。
【0040】
読影レポートデータベース8には、例えば、読影対象の医用画像を識別する画像ID、読影を行った画像診断医を識別するための読影医ID、病変名、病変の位置情報、所見、及び所見の確信度等の情報が記録された読影レポートが登録される。
【0041】
ネットワーク9は、病院内の各種機器を接続する有線又は無線のローカルエリアネットワークである。読影WS3が他の病院あるいは診療所に設置されている場合には、ネットワーク9は、各病院のローカルエリアネットワーク同士をインターネット又は専用回線で接続した構成としてもよい。いずれの場合にも、ネットワーク9は光ネットワーク等の医用画像の高速転送が実現可能な構成にすることが好ましい。
【0042】
以下、本実施形態による読影WS3について詳細に説明する。読影WS3は、医用画像の読影医が、医用画像の読影及び読影レポートの作成に利用するコンピュータであり、処理装置、ディスプレイ等の表示装置、並びにキーボード及びマウス等の入力装置により構成される。読影WS3では、画像サーバ5に対する医用画像の閲覧要求、画像サーバ5から受信した医用画像に対する各種画像処理、医用画像の表示、医用画像に対する解析処理、解析結果に基づく医用画像の強調表示、解析結果に基づく読影レポートの作成、読影レポートの作成の支援、読影レポートサーバ7に対する読影レポートの登録要求と閲覧要求、並びに読影レポートサーバ7から受信した読影レポートの表示等の各処理が、各処理のためのソフトウェアプログラムを実行することにより行われる。なお、これらの処理のうち、本実施形態の医用画像処理装置が行う処理以外の処理は、周知のソフトウェアプログラムにより行われるため、ここでは詳細な説明は省略する。また、本実施形態の医用画像処理装置が行う処理以外の処理を読影WS3において行わず、別途その処理を行うコンピュータをネットワーク9に接続しておき、読影WS3からの処理の要求に応じて、そのコンピュータにおいて要求された処理を行うようにしてもよい。
【0043】
読影WS3は、第1の実施形態による医用画像処理装置が内包されてなる。このため、読影WS3には、第1の実施形態による医用画像処理プログラムがインストールされてなる。医用画像処理プログラムは、DVDあるいはCD-ROM等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体から読影WS3にインストールされる。又は、ネットワークに接続されたサーバコンピュータの記憶装置、もしくはネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じて読影WS3にダウンロードされ、インストールされる。
【0044】
図2は、医用画像処理プログラムをインストールすることにより実現される、本発明の第1の実施形態による医用画像処理装置10の概略構成を示す図である。
図2に示すように、医用画像処理装置10は、標準的なコンピュータの構成として、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12及びストレージ13を備えている。また、医用画像処理装置10には、液晶ディスプレイ等の表示装置(以下表示部とする)14、並びにキーボード及びマウス等の入力装置(以下、入力部とする)15が接続されている。
【0045】
ストレージ13は、ハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等のストレージデバイスからなる。ストレージ13には、ネットワーク9を経由して画像サーバ5から取得した、医用画像及び医用画像処理装置10の処理に必要な情報を含む各種情報が記憶されている。
【0046】
また、メモリ12には、医用画像処理プログラムが記憶されている。医用画像処理プログラムは、CPU11に実行させる処理として、被検者を撮影して取得した現在画像を受け付ける画像受付処理、現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得する文字情報取得処理、受け付けられた現在画像における位置の指定を受け付ける位置受付処理、
取得された文字情報から、受け付けた位置に関連する文字を特定する文字特定処理、特定された文字を強調して表示する制御を表示部に対して行う表示制御処理を規定する。
【0047】
そして、CPU11が医用画像処理プログラムに従いこれらの処理を実行することで、コンピュータは、画像受付部21、文字情報取得部22、位置受付部23、文字特定部24及び表示制御部25として機能する。なお、第1の実施形態においては、CPU11が医用画像処理プログラムによって、各部の機能を実行するようにしたが、ソフトウェアを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサとしては、CPU11の他、FPGA (Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)を用いることができる。また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等により、各部の処理を実行するようにしてもよい。
【0048】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、又はCPUとFPGAの組み合わせ等)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0049】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0050】
画像受付部21は、被検者を撮影して取得した現在画像を受け付ける。本実施形態において「現在画像」は、読影レポートを作成する際に参照される画像であり、3次元画像を構成する複数の断層画像が現在画像に対応する。また、本実施形態においては、3次元画像は胸腹部のCT画像とする。具体的には、読影WS3が、読影医が今回作成する読影レポートの対象となるCT画像の要求の指示を画像サーバ5に対して行う。画像サーバ5は、読影WS3からの閲覧要求をネットワーク9経由で受信すると、画像データベース6に登録されている医用画像を検索し、検索された医用画像すなわちCT画像を要求元の読影WS3に送信する。画像受付部21は画像サーバ5から送信されたCT画像を受信する。なお、画像受付部21が受信したCT画像はストレージ13に保存される。画像受付部21はCT画像を取得することにより、CT画像を構成する複数の断層画像すなわち現在画像を取得することができる。
【0051】
文字情報取得部22は、画像受付部21により受け付けられた現在画像に関連する過去の医用情報のうち文字情報を取得する。なお、本実施形態において「医用情報」は、読影レポート、診断レポート、及び電子カルテ等の医療文書を意味し、文字情報以外(例えば画像)が含まれる医療文書も含む。また、「過去の医用情報」は、現在画像の撮影対象とされた被検者と同一の被検者に関する過去の情報である。また、「文字情報」は、医用情報に含まれる文字で構成された情報を意味する。また、文字列は文字の集合体であるため、本実施形態において「文字」は文字だけではなく文字列も含む。また、「文字」は、数字及び記号等も含む。
【0052】
文字情報を取得するために、文字情報取得部22は、読影レポートサーバ7に対して画像受付部21により受け付けられた現在画像の撮影対象である被検者に関して作成された医用情報として、過去の読影レポート(以下、過去レポートという場合がある)の要求の指示を行う。読影レポートサーバ7は要求された過去レポートを読影レポートデータベース8から取得し、読影WS3に送信する。文字情報取得部22は、読影レポートサーバ7から送信された過去レポートに含まれる文字を文字情報として取得する。なお、文字情報取得部22が受信した過去レポート及び文字情報はストレージ13に保存される。
【0053】
位置受付部23は、画像受付部21により受け付けられた現在画像における位置の指定を受け付ける。一例として表示部14に表示された現在画像において、例えば操作者として読影医が、入力部15を用いて任意の位置を指定した場合、指定された位置が示すCT画像上の座標位置を取得する。
【0054】
文字特定部24は、文字情報取得部22により取得された文字情報から、位置受付部23が受け付けた位置に関連する文字を特定する。本実施形態の文字特定部24は、一例として図示しない解析部を含む。解析部は、画像受付部21により受け付けられたCT画像において、解剖学的領域を抽出し、抽出した各解剖学的領域に対して、それぞれ解剖学上の部位名を設定する。ここで、人体の胸腹部に含まれる構造物は、肺野、心臓、肝臓、筋肉、脂肪及び骨等である。解析部は、CT画像を構成する現在画像としての複数の断層画像のそれぞれから肺野領域、心臓領域、肝臓領域及び骨領域等の構造物を抽出する。例えば領域A1は肺野、領域A2は心臓、領域A3は肝臓、領域A4は骨等のように、抽出された解剖学的領域毎に部位名が設定される。また、解析部は、各解剖学的領域をCT画像における座標位置と対応付けて設定する。文字特定部24は、位置受付部23が受け付けた位置すなわち座標位置に対応する領域の部位名を取得する。
【0055】
なお、上記解析部による部位名の設定方法については、例えば特開2009-045286号公報に記載された手法を使用することができるが、本発明はこれに限られず、画像において位置が指定された場合に、部位名を導出することができれば何れの手法を用いてもよい。
【0056】
また、本実施形態においては、一例として文字特定部24が解析部を含むこととしたが、本発明はこれに限られず、例えば、予めCT画像の座標位置と対応付けられた各解剖学的領域の部位名の情報が画像データベース6に保存されており、文字特定部24は、画像データベース6から上記部位名の情報を取得して使用することができる。また、外部の解析サーバ等において、CT画像の解析を行うようにしてもよい。
【0057】
文字特定部24は、さらに、文字情報取得部22により取得された文字情報において、取得した部位名に関連する文字を探索し、探索により検出された文字を部位名に関連する文字として特定する。本実施形態においては、例えば、部位名が「肺」の場合には、文字特定部24は、文字情報取得部22により取得された文字情報から「肺」の文字を検出し、「肺」の文字が含まれる文字列を肺に関連する文字として特定する。なお、文字の検出は、例えば類似語検索を使用することができ、文章から文字を検索するための公知の技術を使用できる。また、本実施形態においては、「肺」が含まれる文字列を「肺」に関連する文字として特定したが、本発明はこれに限られず、「肺」の文字だけを「肺」に関連する文字として特定してもよい。
【0058】
表示制御部25は、文字特定部24により特定された文字を強調して表示する制御を表示部14に対して行う。なお、表示制御部25による制御については、後で詳細に説明する。
【0059】
次いで、第1の実施形態において行われる医用画像処理について説明する。第1の実施形態においては、一例として、一人の被検者を対象として取得されたCT画像に対して読影レポートを作成する際の医用画像処理について説明する。なお、ここで作成される読影レポートを現在の読影レポートとする。
図3は第1の実施形態において行われる医用画像処理を示すフローチャート、
図4は読影レポート画面を示す図、
図5は現在画像における位置の指定及び文字の表示を説明するための図である。
【0060】
まず、ステップS1で、画像受付部21が医用画像処理の対象となるCT画像を構成する複数の断層画像すなわち現在画像を受け付ける。
【0061】
次に、ステップS2で、文字特定部24の解析部が、ステップS2において画像受付部21が受け付けた現在画像を解析することにより、座標位置と対応付いた解剖学的領域毎の部位名を取得する。
【0062】
次に、ステップS3で、文字情報取得部22が過去の読影レポートを取得する。なお、ステップS3において取得される過去の読影レポートは、ステップS1において受け付けられた現在画像の撮影対象とされた被検者と同一の被検者に関する過去の読影レポートである。
【0063】
次に、ステップS4で、文字情報取得部22は、上述のようにして過去レポートに含まれる文字を文字情報として取得する。
【0064】
次に、ステップS5で、表示制御部25は、
図4に示すように、読影レポート作成画面30上に、読影を行う現在画像34,35及び過去の読影レポートに含まれる文字情報を表示する。なお、読影レポート作成画面30には、CT画像を取得するための撮影対象である患者の氏名及び性別等を表す患者情報を表示する患者情報領域31、CT画像を取得する検査を依頼するための検査オーダの情報を表示するためのオーダ情報領域32、CT画像を取得した患者についての過去の検査リストを表示するための検査リスト領域33、読影を行う現在画像34,35、読影レポートを作成するための文書を入力する作成領域36、文字情報を含む過去の読影レポートを表示する過去読影レポート領域37、及び過去読影レポート領域37に表示される読影レポートを作成した過去の医用画像を表示する過去画像領域38が含まれる。現在画像34,35の読影を行う読影医(操作者)は、作成領域36に対して入力部15を用いて所見の文章の入力を行う。
【0065】
次に、ステップS6で、位置受付部23は位置の指定があるか否かを判別する。具体的には、
図5に示すように、一例として現在画像35上に、読影医が位置を指定するための丸印のカーソル39が重畳表示され、読影医は入力部15を操作することにより丸印のカーソル39を所望する位置に移動させる。読影医は、カーソル39を移動させた後に、例えば入力部15としてのマウスを左クリックすることにより、位置の指定を完了させ、位置受付部23はこの位置の指定を受け付ける。ステップS6にて、読影医による位置の指定がある場合には(ステップS6;YES)、位置受付部23は、読影医による位置の指定を受け付けて、カーソル39すなわち丸印内の領域の現在画像上における座標位置を取得する。
【0066】
なお、第1の実施形態においては、カーソル39として丸印を使用したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば矢印を使用してもよいし、その他のマークを使用してもよい。またカーソル39の大きさは特に限定されるものではなく、操作者によって適宜設定変更可能に構成される。
【0067】
次に、ステップS7で、文字特定部24は、文字情報取得部22により取得された文字情報から、位置受付部23が受け付けた位置に関連する文字を上述のようにして特定する。第1の実施形態においては、一例として、
図5に示すように、位置受付部23が受け付けた位置の現在画像上の座標位置を、部位bの領域内の座標位置とする。この場合、文字特定部24は、位置受付部23が受け付けた位置に対応する領域の部位名として「部位b」を取得する。
【0068】
そして、文字特定部24は、さらに、文字情報取得部22により取得された文字情報において、「部位b」に関連する文字を探索する。第1の実施形態においては、一例として、
図5に示すように、2017年11月27日の過去の読影レポート中の「部位bにBあり。」の文字列40を、位置受付部23が受け付けた位置すなわち部位bに関連する文字として特定する。なお、文字特定部24は、検査リスト領域33に表示された全ての過去検査リストについて、「部位b」に関連する文字を探索する。
【0069】
次に、ステップS8で、表示制御部25は、文字特定部24により特定された「部位bにBあり。」の文字列40を表示部14に対して強調して表示する制御を行う。具体的には、
図5に示すように、表示制御部25は、過去読影レポート領域37に表示された文字情報中の「部位bにBあり。」の文字列40をハイライト表示させることにより、「部位bにBあり。」の文字列40を他の文字よりも強調して表示させる。ここで、一例として、過去検査リスト領域33に表示された2016年10月8日又は2015年10月8日の日付を読影医が入力部15を操作することにより選択すると、過去読影レポート領域37には選択された日付の読影レポートが表示される。表示された読影レポートにおいて、文字特定部24により特定された文字が有る場合には、特定された文字は上記と同様に、表示制御部25により強調して表示される。
【0070】
なお、第1の実施形態においては、表示制御部25は、強調させる文字をハイライト表示させることにより強調して表示させたが、本発明はこれに限られるものではなく、「部位bにBあり。」の文字列40の各文字を他の文字よりも太字で表示させてもよいし、「部位bにBあり。」の文字列40を枠で囲んで表示させてもよいし、「部位bにBあり。」の文字列40を他の文字とは異なる色で表示させてもよい。強調表示の方法は、操作者によって設定変更可能に構成される。
【0071】
一方、ステップS6にて、読影医による位置の指定がない場合には(ステップS6;NO)、すなわち位置受付部23が位置を受け付けなかった場合には、CPU11はステップS9に処理を移行する。
【0072】
次に、ステップS9で、CPU11は読影WS3において終了指示が有るか否かを判定する。終了指示がない場合には(ステップS9;NO)、CPU11はステップS6に処理を移行して、ステップS6以降の処理を継続する。終了指示が有る場合には(ステップS9;YES)、CPU11は処理を終了させる。
【0073】
以上のように、第1の実施形態においては、読影医が現在画像35においてカーソル39を操作することにより部位bを指定すると、過去の読影レポートの文字情報において、部位bに関連する文字として「部位bにBあり。」の文字列40が強調して表示される。従って、読影医は、表示部14において、強調表示された文字、すなわち「部位bにBあり。」の文字列40を容易に視認することができる。これにより、読影医は、部位bについて、過去の読影レポートにおいてどのような所見内容であったのかを容易に確認することができるので読影効率が向上する。また、読影医は今回の読影レポートを作成するに際し、部位bについて過去の所見内容を参考にして所見を作成することもできる。
【0074】
なお、上記第1の実施形態においては、文字特定部24は、部位bに関連する文字として、「部位bにBあり。」の文字列40を特定したが、本発明はこれに限られるものではなく、文字特定部24は、複数の文字列を特定してもよい。
図6は文字の表示の他の実施例を説明するための図である。
【0075】
図6に示すように、文字特定部24が、部位bに関連する文字として、「部位bにBあり。」の文字列40と「部位bに小さいDもある。」の文字列41を特定する。表示制御部25は、文字特定部24により複数の文字列が特定された場合、文字列40,41の内容に応じた重み付けで文字列を強調して表示する。第1の実施形態においては、文字列41中に「小さい」の文字が含まれている。大きさの重み付けにおいて、「小さい」は「大きい」、又は大きさが言及されていない文章よりも重要度が低いと判断する。従って、一例として、「部位bにBあり。」の文字列40を「部位bに小さいDもある。」の文字列41よりも薄いハイライトで表示する。これにより、重要度の高い文字を容易に視認することができる。
【0076】
また、上記第1の実施形態において、表示制御部25は、2017年11月27日、2016年10月8日、及び2015年9月30日の日付において、読影医により選択された日付の読影レポートを過去読影レポート領域37に表示させたが、本発明はこれに限られるものではない。
図7は読影レポート画面の他の例を示す図、
図8は読影レポート画面のさらに他の例を示す図である。
【0077】
図7に示すように、表示制御部25は、読影レポート作成画面30上に、各日付33a,33b,33cの読影レポートに対してそれぞれ過去読影レポート領域37a,37b,37cを設け、各々の領域に対応する日付の読影レポートの文字情報を表示させる。これにより、部位bについての所見を時系列で同じに確認することができるので、読影効率が向上する。
【0078】
また、
図8に示すように、表示制御部25は、読影レポート作成画面30上に、各日付33a,33b,33cの読影レポートに対してそれぞれ過去読影レポート領域37a,37b,37cを少なくとも一部を重複させて設け、各々の領域に対応する日付の読影レポートの文字情報を表示させる。この場合、読影医が入力部15を操作することにより過去読影レポート領域37a,37b,37cのうちの何れかを選択すると、表示制御部25は、選択された過去読影レポート領域を最も前面に表示させる。これにより読影医が確認したい日付の読影レポートを容易に確認することができるので、読影効率が向上する。
【0079】
次に上記第1の実施形態の読影WS3の変形例について説明する。第1の実施形態の読影WS3は、上記第1の実施形態の読影WS3の構成に本発明の報知部を備えている。このため報知部についてのみ以下説明して、その他の構成についての説明は省略する。
図9は異なる過去の読影レポートについて説明するための図、
図10は報知部の一例を説明するための図である。
【0080】
図9に示すように、文字特定部24が、2016年10月8日(第1の過去に対応)の読影レポートから取得した文字情報において、部位bに関連する文字が特定されず、2016年10月8日よりも以前の2015年9月30日(第2の過去に対応)の読影レポートから取得した文字情報において「部位bにBあり。」を特定した場合、本発明の報知部は、表示制御部25は、文字特定部24が2015年9月30日(第2の過去に対応)の読影レポートから取得した文字情報において特定した「部位bにBあり。」を強調して表示する制御を表示部14に対して行う。そして本発明の報知部は、表示制御部25からの指令により、2016年10月8日の読影レポートにおいて部位bに関連する文字が特定されなかったことを報知する。
【0081】
第1の実施形態の読影WS3の変形例において、本発明の報知部は、一例として表示部14で構成されている。報知部としての表示部14は、ディスプレイで構成されており、表示制御部25からの指令によって、画面上の2016年10月8日の読影レポート領域37bの下方に、例えば「特定文字なし」の文字列42を表示する。これにより、2015年9月30日の読影レポートにおいて「部位bにBあり。」の文字列が強調表示されるので、読影医は、2015年9月30日の撮影により取得されたCT画像において部位bにBがあることを容易に視認することができる。
【0082】
さらに、読影医は、2016年10月8日の読影レポート領域37bの下方に「特定文字なし」の文字列42が表示されるので、2016年10月8日の撮影により取得されたCT画像において部位bにBがないことを容易に視認することができる。これにより、部位bにおける病変の経過を容易に確認することができるので、読影効率が向上する。
【0083】
なお上記第1の実施形態の表示部14では、表示制御部25が、ディスプレイに対して、部位bに関連する文字が特定されなかったことを示すメッセージ等を可視表示させることで、部位bに関連する文字が特定されなかったことを読影医に報知する場合を例示したが、本発明の技術はこれに限定されるものではない。例えば、音声再生装置により音声が出力されることによる可聴表示、又は、プリンタを用いて用紙等の記録媒体に記録する永久可視表示であってもよい。また、ディスプレイによる可視表示、音声再生装置により音声が出力されることによる可聴表示、及びプリンタを用いて用紙等の記録媒体に記録する永久可視表示のうちの少なくとも2つ以上の組み合わせによる表示であってもよい。また、メールや電話等の通信手段によって部位bに関連する文字が特定されなかったことを連絡してもよいし、表示灯を点灯や点滅させることにより部位bに関連する文字が特定されなかったことを報知してもよい。上記の報知方法を少なくとも2つ以上組み合わせて部位bに関連する文字が特定されなかったことを報知してもよい。
【0084】
次に、第2の実施形態による読影WS3について詳細に説明する。第2の実施形態による読影WS3は、第2の実施形態による医用画像処理装置10-2が内包されてなる。
図11は、第2の実施形態による医用画像処理装置10-2の概略構成を示す図である。なお、
図11において、上述した第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付与してここでの説明は省略し、異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0085】
図11に示す医用画像処理装置10-2は、
図2に示す医用画像処理装置10の位置受付部23及び文字特定部24を備えておらず、替わりに文字受付部26及び位置特定部27を含む。
【0086】
文字受付部26は、文字情報取得部22により取得された文字情報における文字の指定を受け付ける。具体的には、
図5に示すように、一例として表示部14の過去読影レポート領域37に表示された文字情報において、例えば操作者として読影医が、入力部15を用いて所望する文字として「部位bにBあり。」の文字列40を指定した場合、文字受付部26は指定された文字を受け付ける。
【0087】
位置特定部27は、画像受付部21により受け付けられた現在画像35において、文字受付部26が受け付けた文字、すなわち「部位bにBあり。」の文字列40に関連する位置を特定する。第2の実施形態の位置特定部27は、一例として図示しない解析部を含む。解析部は、上述した第1の実施形態の文字特定部24に含まれる解析部と同様の構成であるため、ここでの説明は省略する。
【0088】
解析部は、画像受付部21により受け付けられたCT画像において、解剖学的領域を抽出し、抽出した各解剖学的領域に対して、それぞれ解剖学上の部位名を設定する。位置特定部27は、文字受付部26が受け付けた文字、すなわち「部位bにBあり。」の文字列40に関連する部位bの部位名が設定された領域を取得し、取得した領域が現在画像35上で示す位置を「部位bにBあり。」の文字列40に関連する位置として特定する。
【0089】
なお、第2の実施形態においては、一例として位置特定部27が解析部を含むこととしたが、本発明はこれに限られず、例えば、予めCT画像の座標位置と対応付けられた各解剖学的領域の部位名の情報が画像データベース6に保存されており、位置特定部27は、画像データベース6から上記部位名の情報を取得して使用することができる。また、外部の解析サーバ等において、CT画像の解析を行うようにしてもよい。
【0090】
また、第2の実施形態においては、一例として「部位bにBあり。」の文字列40が指定された場合に、部位bの部位名が設定された領域を取得したが、本発明はこれに限られない。例えば、予め、ディープラーニング等により学習がなされた判別器を用いたCADによりCT画像を解析して、CT画像に含まれる病変等の領域、位置及び体積等を抽出し、これらを解析結果として取得しているとする。この場合、解析処理により生成される解析結果は、患者名、性別、年齢及び医用画像を取得したモダリティ等の検査情報と対応づけられて、読影レポートデータベース8に保存される。
【0091】
第2の実施形態の位置特定部27は、例えば「B」が病変の特徴を示す文字である場合には、読影レポートサーバ7を介して読影レポートデータベース8に保存された解析結果を探索し、CT画像に含まれる病変Bの領域及び座標位置を取得する。位置特定部27は、取得した病変Bの領域が存在する座標位置を「B」の文字に関連する位置として特定してもよい。
【0092】
また、第2の実施形態の位置特定部27は、「部位bにBあり。」の文字列40に関連する部位bの部位名が設定された領域と、病変Bの領域が存在する座標位置とを取得し、取得した領域において病変Bが存在する場合に、この部位bに位置する病変Bが現在画像35上で示す位置を「部位bにBあり。」の文字列40に関連する位置として特定する。
【0093】
次いで、第2の実施形態において行われる医用画像処理について説明する。第2の実施形態においては、一例として、一人の被検者を対象として取得されたCT画像に対して読影レポートを作成する際の医用画像処理について説明する。なお、ここで作成される読影レポートを現在の読影レポート(以下、現在レポートともいう)とする。
図12は第2の実施形態において行われる医用画像処理を示すフローチャートである。
【0094】
なお、
図12のステップS11からステップS15の処理は、上述した第1の実施形態の
図3のステップS1からステップS5の処理と同じ処理であるため、ここでの説明は省略する。
【0095】
ステップS16で、文字受付部26は文字の指定があるか否かを判別する。具体的には、一例として現在画像35上に、読影医が文字を指定するためのカーソルが重畳表示され、読影医は入力部15を操作することによりカーソルを所望する文字に移動させる。読影医は、カーソル39を所望する文字上に移動させた後に、左クリック位置からドラッグすることにより
図5に示すように「部位bにBあり。」の文字列40を選択し、文字受付部26は選択された文字列40を指定された文字として受け付ける。
【0096】
そして、ステップS16にて、読影医による文字の指定がある場合には(ステップS16;YES)、文字受付部26は、読影医による文字の指定を受け付ける。
【0097】
なお、第2の実施形態においては、文字列を選択するために上記方法を使用したが、本発明はこれに限られるものではなく、文字の選択方法は操作者によって適宜設定変更可能に構成される。
【0098】
次に、ステップS17で、位置特定部27は、画像受付部21により受け付けられた現在画像35において、文字受付部26が受け付けた文字、すなわち「部位bにBあり。」の文字列40に関連する位置を上述のようにして特定する。第2の実施形態においては、一例として、
図5に示すように、部位bに位置する病変Bの現在画像35上の座標位置を「部位bにBあり。」の文字列40に関連する位置として特定する。
【0099】
なお、位置特定部27は、現在画像35だけではなく、CT画像を構成する複数の断層画像について、例えば
図4に示す現在画像34についても、同様にして文字受付部26が受け付けた文字、すなわち「部位bにBあり。」の文字列40に関連する位置を特定する。なお、位置特定部27は、予め読影医によって設定された現在画像のみに対して上記特定を行ってもよい。
【0100】
次に、ステップS18で、表示制御部25は、位置特定部27により特定された部位bに位置する病変Bの現在画像35上の座標位置が示す領域を、表示部14に対して強調して表示する制御を行う。具体的には、
図5に示すように、表示制御部25は、過去読影レポート領域37に表示された現在画像35中の部位bの病変Bを丸枠で囲んで表示させることにより、「部位bにBあり。」の文字列40に関する位置を他の部位及び他の病変よりも強調して表示させる。ここで、一例として、過去検査リスト領域33に表示された2016年10月8日又は2015年10月8日の日付を読影医が入力部15を操作することにより選択すると、過去読影レポート領域37には選択された日付の読影レポートが表示される。表示された読影レポートにおいても、読影医が読影レポートの文字情報において所望する文字列を指定することにより、文字受付部26が指定された文字列を受け付け、位置特定部27が文字受付部26により受け付けられた文字列に関連する位置を特定するので、特定された位置は上記と同様に、表示制御部25により強調して表示される。
【0101】
なお、第2の実施形態においては、表示制御部25は、強調させる位置すなわち部位bの病変Bを丸枠で囲んで表示させることにより強調して表示させたが、本発明はこれに限られるものではなく、部位bの病変Bの領域を異なる色で表示させてもよいし、丸枠以外の形状の枠で囲んで表示させてもよいし、強調表示の方法は、操作者によって設定変更可能に構成される。
【0102】
一方、ステップS16にて、読影医による文字の指定がない場合には(ステップS16;NO)、すなわち文字受付部26が文字を受け付けなかった場合には、CPU11はステップS19に処理を移行する。
【0103】
次に、ステップS19で、CPU11は読影WS3において終了指示が有るか否かを判定する。終了指示がない場合には(ステップS19;NO)、CPU11はステップS16に処理を移行して、ステップS16以降の処理を継続する。終了指示が有る場合には(ステップS19;YES)、CPU11は処理を終了させる。
【0104】
以上のように、第2の実施形態においては、読影医が過去の読影レポートの文字情報においてカーソル39を操作することにより「部位bにBあり。」の文字列40を文字として指定すると、現在画像35において、「部位bにBあり。」の文字列40に関連する位置として部位bの病変Bの領域が強調して表示される。従って、読影医は、表示部14において、強調表示された位置、すなわち部位bの病変Bの領域を容易に視認することができる。これにより、読影医は、過去の読影レポートの所見内容である「部位bにBあり。」が、現在画像においてどのように経過しているのかを容易に確認することができるので読影効率が向上する。
【0105】
なお、第2の実施形態の文字受付部26は、「部位bにBあり。」の文字列40を文字として受け付けたが、本発明はこれに限られない。
図13は読影レポートにおける文字の指定及び現在画像の位置の表示を説明するための図である。
【0106】
図13に示すように、文字受付部26は「B」の文字43のみを受け付けてもよい。一例として「B」が病変である場合には、
図13に示すように病変Bは現在画像35において、複数存在する場合がある。本実施形態では病変Bは3個存在する。この場合、表示制御部25は、3つの病変B全てを、各々丸枠39A,39B,39Cで囲むことにより3つの病変Bを強調して表示させる。
【0107】
また、表示制御部25は、位置特定部27により病変Bの位置が複数特定された場合、位置に応じた重み付けで位置を強調して表示する制御を行う。
図14は第2の実施形態においての、読影レポートにおける文字の指定及び現在画像の位置の表示の他の例を説明するための図である。
【0108】
例えば、CADによる解析結果が病変Bの大きさを含む場合には、表示制御部25は、病変Bの領域の大きさに応じた重み付けで病変Bを強調して表示させる。大きさの重み付けにおいて、病変Bの領域が「小さい」は「大きい」、又は大きさが言及されていない文章よりも重要度が低いと判断する。従って、一例として、病変Bの大きさが大きい病変から順に、丸枠39A内の病変B、丸枠39B内の病変B、丸枠C内の病変Bだとする。第2の実施形態において表示制御部25は、
図14に示すように、丸枠39Aを飾り線、丸枠39Bを太線、丸枠39Cを一点鎖線でそれぞれ表示させることにより、3つの病変Bを異なる強調度合いで表示させる。これにより、重要度の高い病変Bを容易に視認することができる。
【0109】
次に、第3の実施形態による読影WS3について詳細に説明する。第3の実施形態による読影WS3は、第3の実施形態による医用画像処理装置10-3が内包されてなる。
図15は第3の実施形態による医用画像処理装置10-3の概略構成を示す図である。なお、
図15において、上述した第1及び第2の実施形態と同様の構成については同じ符号を付与してここでの説明は省略し、異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0110】
図15に示す医用画像処理装置10-3は、
図2に示す医用画像処理装置10の構成に、さらに文字受付部26及び位置特定部27を含む。
【0111】
次いで、第3の実施形態において行われる医用画像処理について説明する。第3の実施形態においては、一例として、一人の被検者を対象として取得されたCT画像に対して読影レポートを作成する際の医用画像処理について説明する。なお、ここで作成される読影レポートを現在の読影レポート(以下、現在レポートともいう)とする。
図16は第3の実施形態において行われる医用画像処理を示すフローチャートである。
【0112】
なお、
図16のステップS21からステップS25の処理は、上述した第1の実施形態の
図3のステップS1からステップS5の処理と同じ処理であるため、ここでの説明は省略する。
【0113】
ステップS26で、位置受付部23は位置の指定があるか否かを判別する。ステップS26にて、読影医による位置の指定がある場合には(ステップS6;YES)、位置受付部23は、読影医による位置の指定を受け付けて、カーソル39すなわち丸印内の領域の現在画像上における座標位置を取得する。そして、CPU11はステップS27へ処理を移行する。
【0114】
次に、ステップS27で、
図3のステップS7の処理と同様にして、文字特定部24が文字情報取得部22により取得された文字情報から、位置受付部23が受け付けた位置に関連する文字を特定する。そして、文字特定部24は、さらに、文字情報取得部22により取得された文字情報において、「部位b」に関連する文字を探索し、一例として、
図5に示すように、2017年11月27日の過去の読影レポート中の「部位bにBあり。」の文字列40を、位置受付部23が受け付けた位置すなわち部位bに関連する文字として特定する。
【0115】
次に、ステップS28で、
図3のステップS8の処理と同様にして、表示制御部25が、文字特定部24により特定された「部位bにBあり。」の文字列40を表示部14に対して強調して表示する制御を行う。
【0116】
一方、ステップS26で、影医による位置の指定がない場合には(ステップS6;NO)、CPU11はステップS29へ処理を移行する。
【0117】
次に、ステップS29で、文字受付部26は文字の指定があるか否かを判別する。ステップS29にて、読影医による文字の指定がある場合には(ステップS29;YES)、文字受付部26は、読影医による文字の指定を受け付ける。
【0118】
次に、ステップS30で、
図12のステップS17の処理と同様にして、位置特定部27が、画像受付部21により受け付けられた現在画像35において、文字受付部26が受け付けた文字、すなわち「部位bにBあり。」の文字列40に関連する位置を特定する。
【0119】
次に、ステップS31で、
図12のステップS18の処理と同様にして、表示制御部25が、位置特定部27により特定された部位bに位置する病変Bの現在画像35上の座標位置が示す領域を、表示部14に対して強調して表示する制御を行う。
【0120】
一方、ステップS29にて、読影医による文字の指定がない場合には(ステップS29;NO)、CPU11はステップS32へ処理を移行する。
【0121】
次に、ステップS32で、CPU11は読影WS3において終了指示が有るか否かを判定する。終了指示がない場合には(ステップS32;NO)、CPU11はステップS26に処理を移行して、ステップS26以降の処理を継続する。終了指示が有る場合には(ステップS32;YES)、CPU11は処理を終了させる。
【0122】
以上のように、第3の実施形態においては、読影医が現在画像35においてカーソル39を操作することにより部位bを指定すると、過去の読影レポートの文字情報において、部位bに関連する文字として「部位bにBあり。」の文字列40が強調して表示される。従って、読影医は、表示部14において、強調表示された文字、すなわち「部位bにBあり。」の文字列40を容易に視認することができる。これにより、読影医は、部位bについて、過去の読影レポートにおいてどのような所見内容であったのかを容易に確認することができるので読影効率が向上する。また、読影医は今回の読影レポートを作成するに際し、部位bについて過去の所見内容を参考にして所見を作成することもできる。
【0123】
さらに、第3の実施形態においては、読影医が過去の読影レポートの文字情報においてカーソル39を操作することにより「部位bにBあり。」の文字列40を文字として指定すると、現在画像35において、「部位bにBあり。」の文字列40に関連する位置として部位bの病変Bの領域が強調して表示される。従って、読影医は、表示部14において、強調表示された位置、すなわち部位bの病変Bの領域を容易に視認することができる。これにより、読影医は、過去の読影レポートの所見内容である「部位bにBあり。」が、現在画像においてどのように経過しているのかを容易に確認することができるので読影効率が向上する。上記のように、現在画像と過去の読影レポートの文字情報とを相互に参照することができるので、読影効率が向上する。
【0124】
また、上記第1から第3の実施形態においては、現在画像は、CT画像である3次元画像を構成する断層画像としているが、これに限定されるものではない。3次元画像をMRI画像としてもよく、現在画像をMRI画像である3次元画像を構成する断層画像としてもよい。
【0125】
また、上記第1から第3の実施形態においては、文字情報を読影レポートから取得しているが、電子カルテ及び診断レポート等の読影レポート以外の医療文書から、文字情報を取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 医療情報システム
2 モダリティ
3 読影ワークステーション
4 診療科ワークステーション
5 画像サーバ
6 画像データベース
7 読影レポートサーバ
8 読影レポートデータベース
9 ネットワーク
10,10-2,10-3 医用画像処理装置
11 CPU
12 メモリ
13 ストレージ
14 表示部
15 入力部
21 画像受付部
22 文字情報取得部
23 位置受付部
24 文字特定部
25 表示制御部
26 文字受付部
27 位置特定部
30 読影レポート作成画面
31 患者情報領域
32 オーダ情報領域
33 検査リスト領域
34,35 現在画像
36 作成領域
37 過去読影レポート領域
37a 過去読影レポート領域
37b 過去読影レポート領域
37c 過去読影レポート領域
38 過去画像領域
39 カーソル
39A,39B,39C 丸枠
40 文字列
41 文字列
42 文字列
43 文字