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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058942
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】電子光学システム
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/153 20060101AFI20220405BHJP
   H01J 37/147 20060101ALI20220405BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
H01J37/153 B
H01J37/147 B
H01J37/28 B
【審査請求】有
【請求項の数】40
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018557
(22)【出願日】2022-02-09
(62)【分割の表示】P 2019530459の分割
【原出願日】2017-12-06
(31)【優先権主張番号】15/371,557
(32)【優先日】2016-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シンロン
(72)【発明者】
【氏名】シアーズ クリストファー
(57)【要約】
【課題】一次ビームにおける色収差に関し補正を施すシステム及び方法を提供する。
【解決手段】電子顕微鏡観測を実行する電子光学システム200は、一次電子ビーム203を生成するよう構成された電子ビーム源202、光軸沿いに配置された電子源レンズ206、集束レンズ及び対物レンズ210を有する。また、本システムは、その光軸沿いに配置された第1ウィーンフィルタ213、並びにその光軸沿いに配置された第2ウィーンフィルタ215を有する。それら第1ウィーンフィルタ213及び第2ウィーンフィルタ215は電子源レンズ206・対物レンズ210間に配置される。第1ウィーンフィルタ213は、一次ビームにおける色収差を補正するよう構成される。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次電子ビームを生成するよう構成された電子ビーム源と、
標本を保持するよう構成された標本ステージと、
前記一次電子ビームの少なくとも一部分を前記標本の一部分上へと差し向けるよう構成された一組の電子光学素子であり、
光軸沿いに配置された電子源レンズと、
前記光軸沿いに配置された集束レンズと、
前記光軸沿いに配置された対物レンズと、
前記光軸沿いに配置された第1偏向器アセンブリと、
前記光軸沿いに配置された第2偏向器アセンブリと、
前記電子源レンズと前記集束レンズとの間に配置されたアパーチャと、を含み、前記第1偏向器アセンブリ及び前記第2偏向器アセンブリが前記電子源レンズと前記対物レンズとの間に配置され、前記一次電子ビームにおける色収差を補正するよう前記第1偏向器アセンブリが構成され、前記第1偏向器アセンブリ及び前記第2偏向器アセンブリのうち少なくとも一方がウィーンフィルタを備える、一組の電子光学素子と、
前記標本の表面から発する電子を検出するよう構成された検出器アセンブリと、
を備え、
前記第1偏向器アセンブリが前記電子源レンズと前記アパーチャとの間に配置され、前記第2偏向器アセンブリが前記集束レンズと前記対物レンズとの間に配置され、前記第1偏向器アセンブリの極性と、前記第2偏向器アセンブリの極性との間の関係は、前記一次電子ビームのプロファイルにより決定される電子光学システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリが、前記一組の電子光学素子の1つまたは複数の部分に起因する、前記一次電子ビームにおける色収差を補正するよう構成された電子光学システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記第2偏向器アセンブリが、前記標本から発する電子を前記検出器アセンブリに差し向けるよう構成された電子光学システム。
【請求項4】
請求項3に記載の電子光学システムであって、
前記第2偏向器アセンブリが、前記標本から発する二次電子を前記検出器アセンブリに差し向けるよう構成された電子光学システム。
【請求項5】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリから前記第2偏向器アセンブリに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1偏向器アセンブリと前記第2偏向器との間のビーム形状が、テレセントリック電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項6】
請求項5に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの強度が前記第2偏向器アセンブリの強度と等しい電子光学システム。
【請求項7】
請求項6に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの極性が前記第2偏向器アセンブリの極性に対し反転している電子光学システム。
【請求項8】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリから前記第2偏向器アセンブリに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1偏向器アセンブリと前記第2偏向器との間のビーム形状が、発散電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項9】
請求項8に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの強度が前記第2偏向器アセンブリの強度より高い電子光学システム。
【請求項10】
請求項9に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの極性が前記第2偏向器アセンブリの極性に対し反転している電子光学システム。
【請求項11】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリから前記第2偏向器アセンブリに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1偏向器アセンブリと前記第2偏向器との間のビーム形状が、収束電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項12】
請求項11に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの強度が前記第2偏向器アセンブリの強度より低い電子光学システム。
【請求項13】
請求項12に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの極性が前記第2偏向器アセンブリの極性に対し反転している電子光学システム。
【請求項14】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリから前記第2偏向器アセンブリに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1偏向器アセンブリと前記第2偏向器との間のビーム形状が、クロスオーバ電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項15】
請求項14に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの極性が前記第2偏向器アセンブリの極性と同じである電子光学システム。
【請求項16】
請求項15に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの強度が前記第2偏向器アセンブリの強度と等しい電子光学システム。
【請求項17】
請求項15に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの強度が前記第2偏向器アセンブリの強度より高い電子光学システム。
【請求項18】
請求項15に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの強度が前記第2偏向器アセンブリの強度より低い電子光学システム。
【請求項19】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記電子ビーム源が、1個又は複数個の電子銃を備える電子光学システム。
【請求項20】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記検出器アセンブリが、1個又は複数個の二次電子検出器を備える電子光学システム。
【請求項21】
一次電子ビームを生成するよう構成された電子ビーム源と、
光軸沿いに配置された電子源レンズと、
前記光軸沿いに配置された集束レンズと、
前記光軸沿いに配置された対物レンズと、
前記光軸沿いに配置された第1ウィーンフィルタと、
前記光軸沿いに配置された第2ウィーンフィルタと、
前記電子源レンズと前記集束レンズとの間に配置されたアパーチャと、を備え、前記第1ウィーンフィルタ及び前記第2ウィーンフィルタが前記電子源レンズと前記対物レンズとの間に配置され、前記一次電子ビームにおける色収差を補正するよう前記第1ウィーンフィルタが構成されており、且つ、
標本の表面から発する電子を検出するよう構成された検出器アセンブリを備え、
前記第1ウィーンフィルタが前記電子源レンズと前記アパーチャとの間に配置され、前記第2ウィーンフィルタが前記集束レンズと前記対物レンズとの間に配置され、前記第1ウィーンフィルタの極性と、前記第2ウィーンフィルタの極性との間の関係は、前記一次電子ビームのプロファイルにより決定される電子光学システム。
【請求項22】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタが、一組の電子光学素子の1つまたは複数の部分に起因する、前記一次電子ビームにおける色収差を補正するよう構成された電子光学システム。
【請求項23】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記第2ウィーンフィルタが、前記標本から発する二次電子を前記検出器アセンブリに差し向けるよう構成された電子光学システム。
【請求項24】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタから前記第2ウィーンフィルタに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1ウィーンフィルタと前記第2ウィーンフィルタとの間のビーム形状が、テレセントリック電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項25】
請求項24に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの強度が前記第2ウィーンフィルタの強度と等しい電子光学システム。
【請求項26】
請求項25に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの極性が前記第2ウィーンフィルタの極性に対し反転している電子光学システム。
【請求項27】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタから前記第2ウィーンフィルタに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1ウィーンフィルタと前記第2ウィーンフィルタとの間のビーム形状が、発散電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項28】
請求項27に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの強度が前記第2ウィーンフィルタの強度より高い電子光学システム。
【請求項29】
請求項28に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの極性が前記第2ウィーンフィルタの極性に対し反転している電子光学システム。
【請求項30】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタから前記第2ウィーンフィルタに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1ウィーンフィルタと前記第2ウィーンフィルタとの間のビーム形状が、収束電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項31】
請求項30に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの強度が前記第2ウィーンフィルタの強度より低い電子光学システム。
【請求項32】
請求項31に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの極性が前記第2ウィーンフィルタの極性に対し反転している電子光学システム。
【請求項33】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタから前記第2ウィーンフィルタに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1ウィーンフィルタと前記第2ウィーンフィルタとの間のビーム形状が、クロスオーバ電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項34】
請求項33に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの極性が前記第2ウィーンフィルタの極性と同じである電子光学システム。
【請求項35】
請求項34に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの強度が前記第2ウィーンフィルタの強度と等しい電子光学システム。
【請求項36】
請求項34に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの強度が前記第2ウィーンフィルタの強度より高い電子光学システム。
【請求項37】
請求項34に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの強度が前記第2ウィーンフィルタの強度より低い電子光学システム。
【請求項38】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記電子ビーム源が、1個又は複数個の電子銃を備える電子光学システム。
【請求項39】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記検出器アセンブリが、1個又は複数個の二次電子検出器を備える電子光学システム。
【請求項40】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記電子光学システムが走査型電子顕微鏡(SEM)システムである電子光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総じて走査型電子顕微観測に関し、とりわけ走査型電子顕微鏡システムにおける収差補正に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス例えば論理デバイス及び記憶デバイスの製造においては、通常、多数の半導体製造プロセスを用い基板例えば半導体ウェハを処理することで、それら半導体デバイスの諸フィーチャ(外形特徴)及び階層群が形成される。半導体デバイスのサイズはますます小さくなってきており、それにつれ、高度な検査及びレビュー装置及び手順を開発することが肝要になってきている。
【0003】
そうした検査テクノロジの一つが電子ビーム式検査システム、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)である。あるモードでは、一次ビームで標本を横断走査しつつ、その標本の表面から放出される二次電子の収集及び分析を通じ、SEMシステムにより標本の表面をイメージングすることができる。典型的なSEMシステムは、そのSEMの電子光学カラム内に所在するウィーンフィルタを有し、二次電子を二次電子検出器の方へと偏向させる目的でそれが標本上方に配置されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6452175号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0329189号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウィーンフィルタの利用により二次電子を一次ビームから分岐させるのでは、その一次ビームにて色収差が生じかねない。従って、一次ビームにおける色収差に関し補正を施すシステム及び方法を提供し、上述した従来アプローチの短所を解消することが有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る走査型電子顕微鏡(SEM)装置が開示される。ある実施形態に係る装置は、一次電子ビームを生成するよう構成された電子ビーム源を有する。また、ある実施形態に係る装置は、標本をしっかり保持するよう構成された標本ステージを有する。また、ある実施形態に係る装置は、一次電子ビームの少なくとも一部分を標本の一部分上へと差し向けるよう構成された一組の電子光学素子を有する。また、ある実施形態では、その一組の電子光学素子に、光軸沿いに配置された電子源レンズ(source lens)、光軸沿いに配置された集束レンズ(condenser lens)、並びに光軸沿いに配置された対物レンズが含まれる。また、ある実施形態では、その一組の電子光学素子に、光軸沿いに配置された第1偏向器アセンブリ、並びに光軸沿いに配置された第2偏向器アセンブリが含まれ、それら第1偏向器アセンブリ及び第2偏向器アセンブリが電子源レンズ・対物レンズ間に配置され、一次ビームにおける色収差を補正するよう第1偏向器アセンブリが構成される。また、ある実施形態に係る装置は、標本の表面に発する電子を検出するよう構成された検出器アセンブリを有する。
【0007】
ある実施形態では第1偏向器アセンブリ及び第2偏向器アセンブリがウィーンフィルタとされる。
【0008】
また、ある実施形態では第1偏向器アセンブリ及び第2偏向器アセンブリが集束レンズ・対物レンズ間に配置される。
【0009】
また、ある実施形態では第1偏向器アセンブリが電子源レンズ・集束レンズ間に配置され、第2偏向器アセンブリが集束レンズ・対物レンズ間に配置される。
【0010】
ご理解頂けるように、上掲の概略記述及び後掲の詳細記述は共に専ら例示的且つ説明的なものであり、特許請求の範囲記載の発明を必ずしも限定するものではない。添付図面は、明細書に組み込まれ明細書の一部を構成するものであり、本発明の諸実施形態を描出しており、また概略記述と相俟ち本発明の諸原理を説明する働きを有している。
【0011】
本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)であれば、以下の如き添付図面を参照することで、本件開示の多数の長所をより良好に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る走査型電子顕微鏡システムを描いた図である。
図1B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り複数個の磁気偏向器を用いる電子光学システムにおける一次ビームからの二次電子の分離を描いた図である。
図1C】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り複数個の磁気偏向器を用いる電子光学システムにおける一次ビームからの二次電子の分離を描いた図である。
図1D】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り電子エミッタ事例における電子源のエネルギ拡散を描いた図である。
図1E】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り電子光学カラム内ウィーンフィルタに由来する電子エネルギ分散を描いた図である。
図1F】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りウィーンフィルタによるエネルギ分散に起因する走査型電子顕微鏡システム内色収差ブラー(ぼけ/ぶれ)を描いた図である。
図1G】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りウィーンフィルタに起因する電子ビーム内色収差のシミュレーションを描いた図である。
図1H】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りウィーンフィルタに起因する電子ビーム内色収差のシミュレーションを描いた図である。
図2A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りSEMイメージングを実行するよう整えられた電子光学システムを描いた図である。
図2B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り発散ビームプロファイル事例における電子光学システムの動作を描いた図である。
図2C】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りテレセントリックビームプロファイル事例における電子光学システムの動作を描いた図である。
図2D】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り収束ビームプロファイル事例における電子光学システムの動作を描いた図である。
図2E】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りクロスオーバ(交差)ビームプロファイル事例における電子光学システムの動作を描いた図である。
図2F】本件開示の1個又は複数個の代替的実施形態に係りSEMイメージングを実行するよう整えられた電子光学システムを描いた図である。
図3】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り1個又は複数個のウィーンフィルタに起因する色収差の補正以後の電子分布のシミュレーションを描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に描かれている被開示主題を詳細に参照する。図1A図3を総合的に参照し、本件開示に係る走査型電子顕微鏡(SEM)イメージング実行システム及び方法について記述することにする。
【0014】
本件開示の諸実施形態は、電子光学システムの電子ビームにおける色収差を補正するのに適した双偏向器アセンブリ付電子光学システムを指向している。この構成によれば、その電子光学システムの電子光学カラム内に配置された第1及び第2ウィーンフィルタにより、一次電子ビームにおける色収差(即ち電子エネルギ分散収差)を打ち消す/補正するのと同時に、その一次電子ビームから二次電子ビーム/クラウドを分離させて二次電子検出器による収集に供することができる。
【0015】
図1Aは、標本104例えば半導体ウェハの走査型電子顕微観測/検査/レビューに用いられる電子光学システム100の概略模式図である。この種のシステムには電子放出源102(例.放出チップ(尖端))及び電子ビーム光学カラムが備わりうる。電子放出源102の特徴は、電子源輝度B及び電子源エネルギ拡散ΔEにより記述することができる。その電子放出源から放出された電子を以て、電子ビーム光学カラム内レンズにより、標本104のところに像を形成することができる。完品の電子ビーム光学カラムには少なくとも2個のレンズ、即ちガンレンズ(GL)106及び対物レンズ(OL)110が備わりうる。本システムには1個又は複数個の集束レンズ(CL)108も備わりうる。アパーチャ112を装備させてビーム流を選択し諸用途に供する場合、図1Aに示す如く1個又は複数個の集束レンズが利用される。この場合、そのアパーチャ112をガンレンズ106・集束レンズ108間に配置することができる。ガンレンズ強度を変化させることで、そのアパーチャを通じ諸ビーム流を選択することができ、また、集束レンズ強度を変化させることで、標本104における好適な数値開口を選択することができる。複数個のアパーチャを利用してビーム流を選択し諸用途に供する場合、最適なNAを選択できるよう複数通りのアパーチャサイズを前もって設計しておくことができるので、標本のところに高質画像を形成するのに要るのはガンレンズ106及び対物レンズ110だけとなる。加えて、一次電子ビーム103は、ガンレンズ106・集束レンズ108間ビームプロファイルがクロスオーバ(交差)モード及び非クロスオーバモードのいずれになるようにも構成することができる。
【0016】
SEM、レビュー及び/又は検査目的で標本104の像を形成するためには、普通、一次電子ビーム103から二次電子ビーム117を分岐させることが必要となる。それを行うためEXBウィーンフィルタ(WF)や磁気偏向器(MD)が広く適用されている。
【0017】
図1Aに示すように、WFを対物レンズ110付近に配置することで、カラム全長を縮めて電子間クーロン相互作用の効果を制限することができる。サイド検出器118は、そのウィーンフィルタによりβなる角度で偏向された二次電子117を集めうるよう、配置すればよい。集まった二次電子の信号によりSEM、レビュー及び/又は検査向けの像を形成することができる。
【0018】
図1B及び図1Cは、順に、2個及び3個の磁気偏光器(MD1、MD2及びMD3)の使用による一次ビーム103からの二次電子117の分岐を描いた図である。図1Bの事例に示すように、上流光学カラムから下流光学カラムにかけて光軸を偏倚させてもよい。図1Cに示すように、電子光学カラムを真っ直ぐに保ってもよい。既知の通り、磁界中ではローレンツ力の方向が電子の運動方向に依存するし、その移動方向が反対であるから、図1B及び図1Cでは、それら磁気偏向器のうち1個により一次電子から二次電子を分岐させることができる。注記すべきことに、角度α、α及びαは、順に磁気偏向器MD1、MD2及びMD3に係る偏向角を表している。磁気偏向器を用いた、二次電子ビームからの一次ビームの分岐が、例えばPavel Adamec名義の1999年4月15日付特許文献1に記載されているので、この参照を以てその全容を本願に繰り入れることにする。
【0019】
注記すべきことに、一次ビームからの二次電子ビームの分岐を目的としたウィーンフィルタ(補正抜き)の存在は、そのSEMシステムにて多数の問題を引き起こしかねないものである。
【0020】
第1に、そのウィーンフィルタにより電子分散が引き起こされうる。電子源102(例.熱電界放出源)の特徴は輝度及びエネルギ拡散により記述することができる。電子源エネルギ拡散(ΔE)は、図1Dに示すように色収差発生の根本原因であり、分解能を劣化させる。色収差はレンズ色収差、ウィーンフィルタ色収差及び偏向色収差(即ちトランスファ色収差)に区分することができる。レンズ色収差及びウィーンフィルタ色収差が軸方向分解能に強い影響を及ぼす一方、トランスファ色収差は視野(FOV)交差方向の像均一性を劣化させる。
【0021】
電子エネルギ分散は、主として、ウィーンフィルタにおける電界及び磁界の不同偏向により生じる。ウィーンフィルタは、図1Dに示すように中心エネルギ(即ちビームエネルギ(BE))電子でしか平衡しない。VBE-ΔE/2からVBE+ΔE/2に至るエネルギばらつきを有する電子に関しては、ウィーンフィルタが、図1Eに示すようにエネルギ分散角γを発生させる。この分散角は
【数1】
により与えられる;但しEはウィーンフィルタ電界強度であり、中心ビームエネルギVBEを有する電子に関しては磁束強度Bと平衡する。その磁束密度Bは
【数2】
により与えられる;但し、mは電子質量、eは電子電荷である。ウィーンフィルタエネルギ分散角γは専ら平衡化方向、即ち図1Dに示した電界Eの方向にて発生する。それに対し垂直な方向、即ち磁束Bの方向では、ウィーンフィルタエネルギ分散角は0である。
【0022】
第2に、そのウィーンフィルタにより電子光学システムの一次ビームにて色収差が引き起こされうる。ウィーンフィルタにおけるエネルギ分散角γは、図1Fに描かれているように、標本における色収差ブラー(dWC)と同等視することができる。図1Fに示すように、想定上、対物レンズ110の結像関係は物距離P及び像距離Qにより与えられる。ウィーンフィルタは、対物レンズ110からP’なる距離だけ離して配置すればよい。その距離P’が距離Pと異なっているので、エネルギ分散された電子は対物レンズによりデフォーカス(離焦)される。そのデフォーカスブラー(図1F中のdWC)こそが、ウィーンフィルタエネルギ分散により誘起された色ブラーである。
【0023】
このウィーンフィルタ誘起性色収差ブラーは
【数3】
と表すことができる;但しVLEは標本における電子着床エネルギ電圧であり、Cは色収差係数であり
【数4】
により与えられる。
【0024】
注記すべきことに、Eq.4によれば、P→P’のときにC→0、P→∞のときにC→Qとなる。一次電子ビームがウィーンフィルタにより平衡化される一方、二次電子ビームはβなる角度で偏向されサイド検出器118へと向かう。それに応じそのウィーンフィルタ強度(EXB)が適切に設定される。標本におけるウィーンフィルタ色ブラーは
【数5】
とも表すことができる;但しEeffは実効ビームエネルギであり
【数6】
により与えられる。
【0025】
Eq.5及びEq.6は、ウィーンフィルタ誘起性色収差が電子源エネルギ拡散(ΔE)、ウィーンフィルタ位置(P’)、ビームエネルギ(VBE)、着床エネルギ(VLE)及び検出器位置角(β)の関数であることを示している。
【0026】
図1G及び図1Hは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りウィーンフィルタに起因する電子ビーム内色収差を示すシミュレーションを描いた図である。注記すべきことに、図1G及び図1Hに示したシミュレーションは、電子光学システム例えば図1Aに示したそれにおけるウィーンフィルタ誘起性色収差のモンテカルロシミュレーションを構成している。図1Gに描かれているのは、図1A中のウィーンフィルタ(WF)がオフしているときの、標本104における一次電子ビーム103のX方向及びY方向沿い像形成電子分布である。図1Hに描かれているのは、ウィーンフィルタがオンしていて、二次電子ビーム117を検出器118へとβなる角度で以て偏向させるのに十分な強度を有しているときの、標本104におけるX方向及びY方向沿い電子分布である。図1Hのシミュレーションでは、X方向沿いでウィーンフィルタ平衡が達成されると目論まれていた。シミュレーション結果から示される通り、厳しい電子分散がX方向沿いで観測されている。Y方向、即ちウィーンフィルタ113由来の場が現れない方向においては、電子は分散されないままとなる。
【0027】
更に注記すべきことに、複数個の磁気偏向器の使用は、一次電子ビームにて過大な偏向を引き起こしかねない。図1B及び図1C中の磁気偏向器に由来する偏向角は
【数7】
と表すことができる。
【0028】
式中、Bは磁気偏向器の磁束密度、VBEはビームエネルギ電圧である。磁気偏向器のエネルギ分散角は、従って、
【数8】
により与えられる。
【0029】
図1B及び図1C中の複数磁気偏向器システムの総エネルギ分散角(Δαtot)を0にするには磁気偏向器の総偏向を0とすべきであり、これは
【数9】
と表される;但しnは図1B及び図1Cのシステムにおける磁気偏向器の個数である(例.図1Bではn=2、図1Cではn=3)。
【0030】
磁気偏向器の使用は幾つかの短所に苦しめられている。例えば、磁気偏向器の使用に伴い、その電子光学システムの一次電子ビームの過偏向が必要になることがある。一例としては、多々ある現実的設計の制限下でサイド検出器118を配置しうるようにするには、二次電子117を大角度βで偏向させねばならず、ひいては一次電子ビームを過大角度α(例.図1B中のα図1C中のα)で偏向させることが必要となる。偏向角α(例.最終偏向角)を大きくすることが必要なら残りのα(i=1,2,…,n-1)も大きくしなければならない。過大偏向角は大きな軸外収差(例.コマ収差、非点収差及び像面湾曲)及び歪みを引き起こすので、それら軸外れ効果に関する余計な補正が必要になる。
【0031】
磁気偏向器の使用に伴い、高強度磁気偏向器が必要になることがある。ウィーンフィルタシステムでは、図1A中の二次電子偏向角βが静電偏向と磁気偏向の総和になる。そのため、両偏向器強度を、図1B及び図1C中の磁気偏向単独強度と比べ、かなり低くすることができる。磁気偏向器における高強度は厳しい熱的問題及び不安定問題を引き起こしかねない。
【0032】
更に注記すべきことに、上流光学カラムから下流光学カラムに至る物理的偏倚が存している場合(例.図1B)、二次電子ビーム117の過大偏向が必要になるだけでなく、光学的整列問題も不可避となる。
【0033】
図2Aは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りSEMイメージング、レビュー及び/又は検査を実行するよう整えられたシステム200を描いた図である。電子光学システムが2016年5月6日付特許文献2に記載されているので、この参照を以てその全容を本願に繰り入れることにする。
【0034】
ある実施形態に係るシステム200は、1本又は複数本の電子ビーム203を生成する電子ビーム源202を有する。電子ビーム源202には、本件技術分野で既知なあらゆる電子源が含まれうる。例えば、電子ビーム源202が、これに限られるものではないが1個又は複数個の電子銃(例.エミッタ/放出チップ)を有するのでもよい。一例としては、電子ビーム源202が単一の電子銃を有しそれにより1本の電子ビーム203が生成されるのでもよい。別例としては、電子ビーム源202が複数個の電子銃を有しそれにより複数本の電子ビーム203が生成されるのでもよい。別例としては、電子ビーム源202が単一の電子銃及びアパーチャプレートを有し、そのアパーチャプレートが有している複数個のアパーチャにより1本の電子ビームを複数本の電子ビーム203に分岐させるのでもよい。複数ビーム電子光学システムが2016年9月16日付米国特許出願第15/267223号に記載されているので、この参照を以てその全容を本願に繰り入れることにする。
【0035】
また、ある実施形態に係るシステム200は標本ステージ216を有する。標本ステージ216は標本214をしっかり保持する。標本214には、電子ビーム顕微鏡による検査/レビューに適したあらゆる標本、例えばこれに限られるものではないが基板が含まれうる。その基板には、これに限られるものではないがシリコンウェハが含まれうる。また、ある実施形態では標本ステージ216が可調ステージとされる。例えば、標本ステージ216が、これに限られるものではないが、一通り又は複数通りの直線方向(例.x方向、y方向及び/又はz方向)に沿い標本214を随時並進させるのに適した1個又は複数個の並進ステージを有するのでもよい。また例えば、標本ステージ216が、これに限られるものではないが、回動方向に沿い標本214を随時回動させるのに適した1個又は複数個の回動ステージを有するのでもよい。また例えば、標本ステージ216が、これに限られるものではないが、回動方向に沿い標本214を随時回動させ及び/又は直線方向に沿い標本を随時並進させるのに適した回動ステージ及び並進ステージを、有するのでもよい。ここで注記すべきことに、本システム200は、本件技術分野で既知ないずれの走査モードで動作させてもよい。例えば、一次電子ビーム203で標本214の表面を横断走査する際、本システム200をスワシングモードで動作させてもよい。この場合、その走査方向が標本運動の方向に対し名目上垂直となるようその標本を動かしながら、本システム200により一次電子ビーム203で以て標本214を横断走査すればよい。また例えば、一次電子ビーム203で標本214の表面を横断走査する際、本システム200をステップアンドスキャンモードで動作させてもよい。この場合、その標本を名目上静止しているときにビーム203により走査されるよう、本システム200により一次電子ビーム203で以て標本214を横断走査すればよい。
【0036】
また、ある実施形態に係るシステム200は検出器アセンブリ218を有する。例えば、検出器アセンブリ218を二次電子検出器とすることができる。注記すべきことに、検出器アセンブリ218には本件技術分野で既知なあらゆる種類の電子検出器を具備させうる。ある実施形態によれば、検出器アセンブリ218にシンチレータ式検出器、例えばこれに限られるものではないがエバハートソーンレイ検出器を具備させ、それにより標本214から二次電子を収集することができる。別の実施形態によれば、検出器アセンブリ218にマルチチャネルプレート(MCP)を具備させ、それにより標本214から二次電子を収集することができる。別の実施形態によれば、検出器アセンブリ218にPIN又はpn接合型検出器、例えばダイオード又はダイオードアレイを具備させ、それにより標本214から二次電子を収集することができる。別の実施形態によれば、検出器アセンブリ218に1個又は複数個のアバランシェフォトダイオード(APD)を具備させ、それにより標本214から二次電子を収集することができる。
【0037】
また、ある実施形態に係るシステム200は一組の電子光学素子205を有する。当該一組の電子光学素子205により、図2Aに示す如く光軸207(例.z軸)により規定された電子光学カラムを形成することができる。単純化目的で、図2Aには単一の電子光学カラムが描かれている。ここで注記すべきことに、この構成を以て本件開示の技術的範囲に対する限定として解すべきではない。例えば、本システム200が複数個の電子光学カラムを有していてもよい。
【0038】
前記一組の電子光学素子205により、一次電子ビーム203の少なくとも一部分を、標本214の指定部分上へと差し向けることができる。前記一組の電子光学素子には、一次電子ビーム203を標本214の指定部分上へと集束させ及び/又は差し向けるのに適し本件技術分野で既知な、あらゆる電子光学素子を含めうる。
【0039】
前記一組の電子光学素子205には1個又は複数個の電子光学レンズを含めることができる。ある実施形態では、前記一組の電子光学素子205に、光軸207沿いに配置された電子源レンズ206又はガンレンズ(GL)を含める。また、ある実施形態では、前記一組の電子光学素子205に、光軸207沿いに配置された集束レンズ(CL)208を含める。また、ある実施形態では、前記一組の電子光学素子205に、光軸207沿いに配置された対物レンズ(OL)210を含める。
【0040】
また、ある実施形態に係るシステム200はアパーチャ212を有する。このアパーチャを用い、本システム200のビーム流を選択して諸用途に供することができる。本実施形態では、そのアパーチャ212をガンレンズ206・集束レンズ208間に配置することができる。ガンレンズ206の強度を変化させることで、アパーチャ212を通じ諸ビーム流を選択することができ、また集束レンズ208の強度を変化させることで、標本における好適な数値開口(NA)を選択すること、ひいては適切な質及び分解能を有する像を形成することができる。複数個のアパーチャを用い本システム200のビーム流を選択する場合、最適なNAを選択できるよう複数通りのアパーチャサイズを前もって設計しておくことができるので、標本214のところに像を形成するのに要るのがガンレンズ206及び対物レンズ210だけとなる。
【0041】
本システム200は、第1偏向器アセンブリ213及び第2偏向器アセンブリ215を有するものとすることができる。例えば、第1偏向器アセンブリ213及び第2偏向器アセンブリ215をそれぞれウィーンフィルタとすることができる。本件開示の目的を踏まえ、第1偏向器アセンブリ213のことを第1ウィーンフィルタ213(WF1)、第2偏向器アセンブリ215のことを第2ウィーンフィルタ215(WF2)と呼ぶことにする。
【0042】
ある実施形態では、第1ウィーンフィルタ213が、一次ビーム203における色収差を補正するよう構成される。例えば、第1ウィーンフィルタ213及び/又は第2ウィーンフィルタ215に起因する一次ビーム203内色収差を、第1ウィーンフィルタ213により補正することができる。この補正に関する条件については後に更に詳細に論ずる。
【0043】
また、ある実施形態では、第2ウィーンフィルタ215が、(一次ビーム203に応じ)標本214により放出された二次電子(SE)を検出器アセンブリ218へと差し向けるよう、構成される。この場合、本システム200により一次電子ビーム203における色収差を補正するのと同時に、一次電子のビーム203から二次電子217を分岐させて検出器アセンブリ218による収集に供することができる。
【0044】
注記すべきことに、第1ウィーンフィルタ213及び第2ウィーンフィルタ215は光軸207沿いのどの位置に配置してもよく、またそれらによりシステム200のウィーンフィルタ色収差の全打ち消しを達成することができる。例えば、第1ウィーンフィルタ213及び第2ウィーンフィルタ215双方を、ガンレンズ206・対物レンズ210間に配置することができる。
【0045】
図2Aに描かれているように、ある実施形態では、第1ウィーンフィルタ213及び第2ウィーンフィルタ215双方が、集束レンズ208・対物レンズ210間に配置される。本実施形態では、第2ウィーンフィルタ215が対物レンズ210のすぐそばに配置されているので、二次電子217を偏向器アセンブリ218の方へと偏向させ収集に供することができる。第1ウィーンフィルタ213が集束レンズ208より下方に配置されているので、それを用い、第1ウィーンフィルタ213及び第2ウィーンフィルタ215に起因する一次ビーム203内合計色収差を補正することができる。
【0046】
図2Aに示すように、一次ビーム203は、クロスオーバビームプロファイル(破線)又は非クロスオーバビームプロファイル(実線)を採りうる。この場合、一次ビーム203はテレセントリックにも非テレセントリックにもされうる(例.発散又は収束)。
【0047】
図2B図2Eは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る諸ビーム構成におけるシステム200の動作を描いた図である。
【0048】
注記すべきことに、第2ウィーンフィルタ215は、想定上、二次電子217を角度βにて検出器アセンブリ218へと偏向させる(但し図2B図2Eには示されていない)。第1ウィーンフィルタ213には、第1ウィーンフィルタ213及び/又は第2ウィーンフィルタ215に由来し標本214に現れる合計ウィーンフィルタ誘起性色収差を補正する働きがある。それら色収差を打ち消す条件は
【数10】
又は
【数11】
により与えられる;但し
【数12】
である。
【0049】
Eq.10a及びEq.10b中の色収差打ち消し条件は、図2B図2Eに描かれているように、第1ウィーンフィルタ213にて分散角γで以て予め分散されている電子ビーム203を動かし第2ウィーンフィルタ215における分散角γを補償することで、その電子ビームを、対物レンズ210の被写体から放出されるはずのそれと等価なものにする、というものである。
【0050】
注記すべきことに、第1ウィーンフィルタ213の強度(E1/B1)及び第2ウィーンフィルタ215の強度(E2/B2)は、Eq.1及びEq.2により分散角γ及びγで以て与えることができる(本願中で既述)。E2/B2を、まずは二次電子偏向角βを満足させることで与えればよく、その上で第2分散角(γ)及び第1分散角(γ)を定めればよい。
【0051】
注記すべきことに、Eq.10a及びEq.10bにて言及している打ち消し手順は普遍的なものであり、図2Aに示すように、集束レンズ208・対物レンズ210間にて、i)クロスオーバプロファイルを呈する電子ビームにも、或いはii)非クロスオーバプロファイルを呈する電子ビーム例えば発散、テレセントリック又は収束ビームにも、敷衍することができる。
【0052】
図2Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り発散ビームプロファイル事例におけるシステム200の動作を描いた図である。本実施形態では発散ビーム203が対物レンズ210に照射されている。ここではP>P’>P’とされているため、Eq.10a、Eq.10b、Eq.11及びEq.12に従いCc2>Cc1>0となっている。この場合、第1ウィーンフィルタ213の強度を第2ウィーンフィルタ215の強度より高くし且つ第1ウィーンフィルタ213の極性を第2ウィーンフィルタ215の極性に対し反転させるべきであり、そうすることで、第1ウィーンフィルタ213及び/又は第2ウィーンフィルタ215により生成される色ブラーを完全に補正することができる。
【0053】
図2Cは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りテレセントリックビームプロファイル事例におけるシステム200の動作を描いた図である。本実施形態ではテレセントリックビーム203が対物レンズ210に照射されている。ここではP→無限大とされているため、Eq.10a、Eq.10b、Eq.11及びEq.12に従いCc2=Cc1=Q>0となっている。この場合、第1ウィーンフィルタ213の強度を第2ウィーンフィルタ215の強度と等しくすると共に、第1ウィーンフィルタ213の極性を第2ウィーンフィルタ215の極性に対し反転させればよく、そうすることで、第1ウィーンフィルタ213及び/又は第2ウィーンフィルタ215により生成される色ブラーを完全に補正することができる。
【0054】
図2Dは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り収束ビームプロファイル事例におけるシステム200の動作を描いた図である。本実施形態では収束ビーム203が対物レンズ210に照射されている。ここではP’>P’及びP<0とされているため、Eq.10a、Eq.10b、Eq.11及びEq.12に従いCc1>Cc2>0となっている。この場合、第1ウィーンフィルタ213の強度を第2ウィーンフィルタ215の強度より低くし且つ第1ウィーンフィルタ213の極性を第2ウィーンフィルタ215の極性に対し反転させるべきであり、そうすることで、第1ウィーンフィルタ213及び/又は第2ウィーンフィルタ215により生成される色ブラーを完全に補正することができる。
【0055】
図2Eは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りクロスオーバビームプロファイル事例におけるシステム200の動作を描いた図である。本実施形態ではクロスオーバビーム203が対物レンズ210に照射されている。ここではP’>P>P’とされているため、Eq.10a、Eq.10b、Eq.11及びEq.12に従いCc1<0及びCc2>0となっている。この場合、第1ウィーンフィルタ213の強度を(ウィーンフィルタ213,215の位置を基準としたビーム203のクロスオーバ位置に基づき)第2ウィーンフィルタ215の強度より高く又は低くすることができ、それにより、第1ウィーンフィルタ213及び/又は第2ウィーンフィルタ215により生成される色ブラーを完全に補正することができる。ある実施形態によれば、Eq.10b(並びにCc1<0及びCc2>0なる事実)に従い、第2ウィーンフィルタ215の極性と同じになるよう第1ウィーンフィルタ213の極性を設定することができる。
【0056】
注記すべきことに、本件開示の大半にて、第1ウィーンフィルタ213及び第2ウィーンフィルタ215双方が集束レンズ208・対物レンズ210間に配置された実現形態のシステム200に注意が向けられているが、そうした構成が本件開示の技術的範囲に対する制約事項になるわけではない。寧ろ、ここで注記すべきことに、本電子光学システム200における画像形成手段に従い適切な係数Cc1(上掲の式によるそれ)が適用されるのであれば、第1ウィーンフィルタ213は、一般に、光軸207沿いのどの位置に配置されるのでもよい。図2Fは、本件開示の1個又は複数個の代替的実施形態に係りSEMイメージングを実行するよう整えられたシステム200を描いた図である。本実施形態では第1ウィーンフィルタ213がガンレンズ206・集束レンズ208間に配置されている。
【0057】
図3は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り1個又は複数個のウィーンフィルタに起因する色収差の補正以後の、電子分布のシミュレーションのグラフ300を描いた図である。注記すべきことに、グラフ300の電子分布は、図2Bに描かれている電子光学的構成に該当する電子光学的構成に基づきシミュレートされたものである。併せてEq.10a及びEq.10bの電子光学的打ち消し条件も確立された。グラフ300に示すように、打ち消し条件の確立がウィーンフィルタ色収差の完全補正をもたらしている。そのことは、図3のグラフ300を、グラフ300と同じスケールでプロットされている図1G及び図1Hのグラフ140及び145と比べることで、際立ってくる。注記すべきことに、この色補正後電子分布(図3のグラフ300に示されているそれ)によりもたらされるスポットサイズは、図1Gのグラフ140中のそれ、即ちウィーンフィルタに起因する色収差がない場合の電子分布に対応するそれに似通っている。この意味で、図1Hのグラフ145中に現れていたx軸(ウィーンフィルタ平衡化方向)沿い電子分散は、第1ウィーンフィルタ213を介した打ち消し条件の実装によって、図3にて完全に除去されている。
【0058】
本願記載の諸方法のいずれにおいても、それら方法実施形態を構成する1個又は複数個のステップの結果が、格納媒体内に格納されうる。それら結果が本願記載のいずれの結果を含んでいてもよいし、本件技術分野で既知ないずれの要領で格納されるのでもよい。その格納媒体には本願記載のあらゆる格納媒体が、また本件技術分野で既知で好適な他のあらゆる格納媒体が包含されうる。結果格納後は、その格納媒体内の結果にアクセスすること、並びにそれを本願記載の方法又はシステム実施形態のうち任意のもので用いること、ユーザへの表示向けにフォーマットすること、他のソフトウェアモジュール、方法又はシステムで用いること等々ができる。更に、それら結果の格納は、「恒久的」なもの、「半恒久的」なもの、一時的なもの、或いは一定期間に亘るもののいずれでもよい。例えば、その格納媒体がランダムアクセスメモリ(RAM)であってもよいし、結果がその格納媒体内に必ずしも永久には存在しないのでもかまわない。
【0059】
いわゆる当業者にはご認識頂けるように、現在の技術水準は、諸態様のシステムのハードウェア的実現形態とソフトウェア的実現形態との間にほとんど違いが残っていない点まで進歩しているし、ハードウェアを用いるのかそれともソフトウェアを用いるのかは、一般に(但しある種の状況下ではハードウェア・ソフトウェア間選択が重大になりうるので常にではない)コスト対効率のトレードオフを反映する設計的選択事項となっている。いわゆる当業者にはご承知頂けるように、本願記載のプロセス及び/又はシステム及び/又はその他のテクノロジを実行・実現可能な手段は種々あるし(例.ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェア)、どの手段が相応しいかは当該プロセス及び/又はシステム及び/又はその他のテクノロジが利用される状況によって変わるであろう。例えば、速度及び正確性が肝要であると実施者が判断している場合、その実施者は主としてハードウェア的及び/又はファームウェア的な手段を選択するであろうし、そうではなく柔軟性が肝要である場合は、実施者は主としてソフトウェア的な実現形態を選択するであろうし、そのいずれでもない場合は、実施者はハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの何らかの組合せを選択するであろう。このように、本願記載のプロセス及び/又は装置及び/又はその他のテクノロジを実行・実現可能な潜在的手段が幾通りかあるなか、いずれかのものが他のものに比べ本質的に優れているわけではなく、どの手段を利用すべきかは、その手段が重用される状況や実施者の具体的懸念(例.速度、柔軟性又は予測可能性)といった、変転しうる事項によって左右される選択的事項である。いわゆる当業者にはご認識頂けるように、諸実現形態の光学的諸態様では、通常、光学指向のハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアが採用されよう。
【0060】
いわゆる当業者にはご認識頂けるように、本願中で説明した形式で装置及び/又はプロセスを記述した上で、技術的手法を用いデータ処理システム内にそれら記述された装置及び/又はプロセスを統合することが、本件技術分野では常識である。即ち、本願記載の装置及び/又はプロセスの少なくとも一部分を、相応量の実験を通じデータ処理システム内に統合することができる。いわゆる当業者にはご認識頂けるように、通常のデータ処理システムは、一般に、システムユニットハウジング、動画表示装置、メモリ例えば揮発性メモリ及び不揮発性メモリ、プロセッサ例えばマイクロプロセッサ及びディジタル信号プロセッサ、情報処理エンティティ例えばオペレーティングシステム、ドライバ、グラフィカルユーザインタフェース及びアプリケーションプログラム、1個又は複数個のインタラクティブデバイス例えばタッチパッド又はスクリーン、及び/又は、フィードバックループ及び制御モータ(例.位置及び/又は速度感知用のフィードバックや諸構成要素及び/又は諸量を動かし及び/又は調節するための制御用モータ)を有する制御システムのうち、1個又は複数個を有している。通常のデータ処理システムは、データ処理/通信及び/又はネットワーク情報処理/通信システムによく見られるそれをはじめ、あらゆる適切な市販部材を利用し実現することができる。
【0061】
思うに、本件開示及びそれに付随する多くの長所については上掲の記述により理解頂けるであろうし、被開示主題から離隔することなく或いはその主要な長所全てを損なうことなく諸部材の形態、構成及び配置に様々な改変を施せることも明らかであろう。上述の形態は単なる説明用のものであり、後掲の特許請求の範囲の意図はそうした改変を包括、包含することにある。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次電子ビームを生成するよう構成された電子ビーム源と、
標本を保持するよう構成された標本ステージと、
前記一次電子ビームの少なくとも一部分を前記標本の一部分上へと差し向けるよう構成された一組の電子光学素子であり、
光軸沿いに配置された電子源レンズと、
前記光軸沿いに配置された集束レンズと、
前記光軸沿いに配置された対物レンズと、
前記光軸沿いに配置された第1偏向器アセンブリと、
前記光軸沿いに配置された第2偏向器アセンブリと、
前記電子源レンズと前記集束レンズとの間に配置されたアパーチャと、を含み、前記第1偏向器アセンブリ及び前記第2偏向器アセンブリが前記電子源レンズと前記対物レンズとの間に配置され、前記一次電子ビームにおける色収差を補正するよう前記第1偏向器アセンブリが構成され、前記第1偏向器アセンブリ及び前記第2偏向器アセンブリのうち少なくとも一方がウィーンフィルタを備える、一組の電子光学素子と、
前記標本の表面から発する電子を検出するよう構成された検出器アセンブリと、
を備え、
前記第1偏向器アセンブリが前記電子源レンズと前記アパーチャとの間に配置され、前記第2偏向器アセンブリが前記集束レンズと前記対物レンズとの間に配置され、前記第1偏向器アセンブリの極性が前記第2偏向器アセンブリの極性に対し反転している電子光学システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリが、前記一組の電子光学素子の1つまたは複数の部分に起因する、前記一次電子ビームにおける色収差を補正するよう構成された電子光学システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記第2偏向器アセンブリが、前記標本から発する電子を前記検出器アセンブリに差し向けるよう構成された電子光学システム。
【請求項4】
請求項3に記載の電子光学システムであって、
前記第2偏向器アセンブリが、前記標本から発する二次電子を前記検出器アセンブリに差し向けるよう構成された電子光学システム。
【請求項5】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリから前記第2偏向器アセンブリに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1偏向器アセンブリと前記第2偏向器との間のビーム形状が、テレセントリック電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項6】
請求項5に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの強度が前記第2偏向器アセンブリの強度と等しい電子光学システム。
【請求項7】
請求項6に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの極性が前記第2偏向器アセンブリの極性に対し反転している電子光学システム。
【請求項8】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリから前記第2偏向器アセンブリに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1偏向器アセンブリと前記第2偏向器との間のビーム形状が、発散電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項9】
請求項8に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの強度が前記第2偏向器アセンブリの強度より高い電子光学システム。
【請求項10】
請求項9に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの極性が前記第2偏向器アセンブリの極性に対し反転している電子光学システム。
【請求項11】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリから前記第2偏向器アセンブリに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1偏向器アセンブリと前記第2偏向器との間のビーム形状が、収束電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項12】
請求項11に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの強度が前記第2偏向器アセンブリの強度より低い電子光学システム。
【請求項13】
請求項12に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの極性が前記第2偏向器アセンブリの極性に対し反転している電子光学システム。
【請求項14】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリから前記第2偏向器アセンブリに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1偏向器アセンブリと前記第2偏向器との間のビーム形状が、クロスオーバ電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項15】
請求項14に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの極性が前記第2偏向器アセンブリの極性と同じである電子光学システム。
【請求項16】
請求項15に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの強度が前記第2偏向器アセンブリの強度と等しい電子光学システム。
【請求項17】
請求項15に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの強度が前記第2偏向器アセンブリの強度より高い電子光学システム。
【請求項18】
請求項15に記載の電子光学システムであって、
前記第1偏向器アセンブリの強度が前記第2偏向器アセンブリの強度より低い電子光学システム。
【請求項19】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記電子ビーム源が、1個又は複数個の電子銃を備える電子光学システム。
【請求項20】
請求項1に記載の電子光学システムであって、
前記検出器アセンブリが、1個又は複数個の二次電子検出器を備える電子光学システム。
【請求項21】
一次電子ビームを生成するよう構成された電子ビーム源と、
光軸沿いに配置された電子源レンズと、
前記光軸沿いに配置された集束レンズと、
前記光軸沿いに配置された対物レンズと、
前記光軸沿いに配置された第1ウィーンフィルタと、
前記光軸沿いに配置された第2ウィーンフィルタと、
前記電子源レンズと前記集束レンズとの間に配置されたアパーチャと、を備え、前記第1ウィーンフィルタ及び前記第2ウィーンフィルタが前記電子源レンズと前記対物レンズとの間に配置され、前記一次電子ビームにおける色収差を補正するよう前記第1ウィーンフィルタが構成されており、且つ、
標本の表面から発する電子を検出するよう構成された検出器アセンブリを備え、
前記第1ウィーンフィルタが前記電子源レンズと前記アパーチャとの間に配置され、前記第2ウィーンフィルタが前記集束レンズと前記対物レンズとの間に配置され、前記第1ウィーンフィルタの極性が前記第2ウィーンフィルタの極性に対し反転している電子光学システム。
【請求項22】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタが、一組の電子光学素子の1つまたは複数の部分に起因する、前記一次電子ビームにおける色収差を補正するよう構成された電子光学システム。
【請求項23】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記第2ウィーンフィルタが、前記標本から発する二次電子を前記検出器アセンブリに差し向けるよう構成された電子光学システム。
【請求項24】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタから前記第2ウィーンフィルタに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1ウィーンフィルタと前記第2ウィーンフィルタとの間のビーム形状が、テレセントリック電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項25】
請求項24に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの強度が前記第2ウィーンフィルタの強度と等しい電子光学システム。
【請求項26】
請求項25に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの極性が前記第2ウィーンフィルタの極性に対し反転している電子光学システム。
【請求項27】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタから前記第2ウィーンフィルタに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1ウィーンフィルタと前記第2ウィーンフィルタとの間のビーム形状が、発散電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項28】
請求項27に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの強度が前記第2ウィーンフィルタの強度より高い電子光学システム。
【請求項29】
請求項28に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの極性が前記第2ウィーンフィルタの極性に対し反転している電子光学システム。
【請求項30】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタから前記第2ウィーンフィルタに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1ウィーンフィルタと前記第2ウィーンフィルタとの間のビーム形状が、収束電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項31】
請求項30に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの強度が前記第2ウィーンフィルタの強度より低い電子光学システム。
【請求項32】
請求項31に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの極性が前記第2ウィーンフィルタの極性に対し反転している電子光学システム。
【請求項33】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタから前記第2ウィーンフィルタに向かう前記一次電子ビームの、当該向きに沿った前記第1ウィーンフィルタと前記第2ウィーンフィルタとの間のビーム形状が、クロスオーバ電子ビームを構成する電子光学システム。
【請求項34】
請求項33に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの極性が前記第2ウィーンフィルタの極性と同じである電子光学システム。
【請求項35】
請求項34に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの強度が前記第2ウィーンフィルタの強度と等しい電子光学システム。
【請求項36】
請求項34に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの強度が前記第2ウィーンフィルタの強度より高い電子光学システム。
【請求項37】
請求項34に記載の電子光学システムであって、
前記第1ウィーンフィルタの強度が前記第2ウィーンフィルタの強度より低い電子光学システム。
【請求項38】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記電子ビーム源が、1個又は複数個の電子銃を備える電子光学システム。
【請求項39】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記検出器アセンブリが、1個又は複数個の二次電子検出器を備える電子光学システム。
【請求項40】
請求項21に記載の電子光学システムであって、
前記電子光学システムが走査型電子顕微鏡(SEM)システムである電子光学システム。