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特開2022-59264極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059264
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220406BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
H05G2/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166890
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】岩本 文男
【テーマコード(参考)】
2H197
4C092
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197GA01
2H197GA05
2H197GA24
2H197HA03
4C092AA06
4C092AA15
4C092AB15
4C092AB19
4C092AC09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】所望のドロップレットを生成する極端紫外光生成装置の提供。
【解決手段】極端紫外光生成装置12Aは、チャンバと、チャンバ内のプラズマ生成領域にターゲット物質の第1のドロップレットを順次供給するドロップレット生成器110と、第1のドロップレットの軌道の少なくとも一部の周囲に第1のドロップレットの進行方向に沿ってガスを流すためのガス出口を有するガス流生成装置と、を備え、ドロップレット生成器110は、ターゲット物質を出力するノズルに振動を与えて第1のドロップレットよりも小体積の第2のドロップレットを複数生成し、複数の第2のドロップレットを結合させて第1のドロップレットを発生させる加振素子を備え、ガス出口は、複数の第2のドロップレットが結合して第1のドロップレットが発生する位置よりも第1のドロップレットの軌道方向の下流側に位置する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部でプラズマを生成するチャンバと、
ターゲット物質を収容し、前記チャンバ内のプラズマ生成領域に前記ターゲット物質の第1のドロップレットを順次供給するドロップレット生成器と、
前記第1のドロップレットの軌道の少なくとも一部の周囲に前記第1のドロップレットの進行方向に沿ってガスを流すためのガス出口を有するガス流生成装置と、を備え、
前記ドロップレット生成器は、
前記ターゲット物質を出力するノズルに振動を与えて前記第1のドロップレットよりも小体積の第2のドロップレットを複数生成し、複数の前記第2のドロップレットを結合させて前記第1のドロップレットを発生させる加振素子を備え、
前記ガス出口は、前記複数の前記第2のドロップレットが結合して前記第1のドロップレットが発生する位置よりも前記第1のドロップレットの軌道方向の下流側に位置する極端紫外光生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ガス流生成装置は、
前記第1のドロップレットの軌道の少なくとも一部の周囲を覆う第1の管であって、前記第1のドロップレットの前記軌道方向の上流側端部である第1の端部及び下流側端部である第2の端部の両方が開放された第1の管と、
前記第1の管の少なくとも一部の周囲を覆い、前記第1の管の前記少なくとも一部との間に間隙を持って配置された第2の管であって、前記第2の管の両端部のうち前記軌道方向の下流側端部である第3の端部が開放され、前記第3の端部が前記第1の管の前記第2の端部よりもさらに前記軌道方向の下流側に位置している第2の管と、
前記第1の管と前記第2の管との前記間隙に流すガスを供給し、前記間隙の前記第2の端部側に開口した前記ガス出口から前記軌道方向に前記ガスを流出させるガス導入部材と、を備える、
極端紫外光生成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ノズルの出口から前記複数の前記第2のドロップレットが結合して前記第1のドロップレットが発生するまでの距離が30mm以上350mm以下である、
極端紫外光生成装置。
【請求項4】
請求項2に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1の管及び前記第2の管のそれぞれは四角管又は円管である、
極端紫外光生成装置。
【請求項5】
請求項2に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ガス導入部材は、前記チャンバの内壁に固定される、
極端紫外光生成装置。
【請求項6】
請求項2に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1の管が前記第2の管で覆われる二重管部の長さは、10mm以上である、
極端紫外光生成装置。
【請求項7】
請求項2に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記チャンバは、
第1の容器と、
前記第1の容器に連通する第2の容器と、
前記第2の容器を前記第1の容器に対して移動可能に支持する第1のステージと、
を含み、
前記第1の容器と前記第2の容器とが前記第1のステージを介して連結されており、
前記ドロップレット生成器は、前記第2の容器に固定され、
前記ガス導入部材は、前記第1の容器に固定される極端紫外光生成装置。
【請求項8】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、さらに、
前記第1のドロップレットの結合状態を計測するためのセンサを備える、
極端紫外光生成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記センサは、前記第1のドロップレットが発生する位置と、前記軌道方向における前記ガス出口の位置との間で前記結合状態を計測する位置に配置される、
極端紫外光生成装置。
【請求項10】
請求項8に記載の極端紫外光生成装置であって、さらに、
前記センサによって結合不良が検出された場合に、前記加振素子に印加する電圧のデューティを調整するプロセッサを備える、
極端紫外光生成装置。
【請求項11】
請求項8に記載の極端紫外光生成装置であって、さらに、
前記センサによって結合不良が検出された場合に、前記ドロップレット生成器の前記ターゲット物質を収容するタンク内の圧力を調整するプロセッサを備える、
極端紫外光生成装置。
【請求項12】
請求項8に記載の極端紫外光生成装置であって、さらに、
前記ドロップレット生成器を前記軌道方向に移動させる第2のステージと、
前記センサによって結合不良が検出された場合に、前記第2のステージを調整するプロセッサと、を備える、
極端紫外光生成装置。
【請求項13】
請求項2に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ガス導入部材は、前記ドロップレット生成器に固定される、
極端紫外光生成装置。
【請求項14】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ガス出口から吹き出される前記ガスのガス流速は、前記第1のドロップレットの速度よりも大きく、
前記ガス流生成装置は、前記第1のドロップレットを前記ガスの流れによって加速させる、
極端紫外光生成装置。
【請求項15】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ガスの流れによって前記第1のドロップレットに働く抗力をF、前記第1のドロップレットの質量をMとすると、Fは次式で表され、
F=PLV(2RT)-1/2(k)
P:前記ガスの圧力、
L:前記第1のドロップレットの半径、
V:前記第1のドロップレットと前記ガスの相対速度、
R:気体定数、
T:前記ガスの温度、
(k):定数、
前記第1のドロップレットは、加速度F/Mで加速される、
極端紫外光生成装置。
【請求項16】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1のドロップレットを発生させるために結合させる前記第2のドロップレットの数は、5個以上70個以下である、
極端紫外光生成装置。
【請求項17】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記加振素子に印加される電圧波形は、振幅変調波又は矩形波である、
極端紫外光生成装置。
【請求項18】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ガスは、水素ガスである、
極端紫外光生成装置。
【請求項19】
電子デバイスの製造方法であって、
内部でプラズマを生成するチャンバと、
ターゲット物質を収容し、前記チャンバ内のプラズマ生成領域に前記ターゲット物質の第1のドロップレットを順次供給するドロップレット生成器と、
前記第1のドロップレットの軌道の少なくとも一部の周囲に前記第1のドロップレットの進行方向に沿ってガスを流すためのガス出口を有するガス流生成装置と、を備え、
前記ドロップレット生成器は、
前記ターゲット物質を出力するノズルに振動を与えて前記第1のドロップレットよりも小体積の第2のドロップレットを複数生成し、複数の前記第2のドロップレットを結合させて前記第1のドロップレットを発生させる加振素子を備え、
前記ガス出口は、前記複数の前記第2のドロップレットが結合して前記第1のドロップレットが発生する位置よりも前記第1のドロップレットの軌道方向の下流側に位置する極端紫外光生成装置によって極端紫外光を生成し、
前記極端紫外光を露光装置に出力し、
電子デバイスを製造するために、前記露光装置内で感光基板上に前記極端紫外光を露光することを含む、
電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、10nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、波長約13nmの極端紫外(EUV)光を生成するための装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた半導体露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLaser Produced Plasma(LPP)式の装置の開発が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8598551号
【特許文献2】国際公開第2019/137846号
【特許文献3】国際公開第2018/138918号
【特許文献4】国際公開第2017/130443号
【概要】
【0005】
本開示の1つの観点に係る極端紫外光生成装置は、内部でプラズマを生成するチャンバと、ターゲット物質を収容し、チャンバ内のプラズマ生成領域にターゲット物質の第1のドロップレットを順次供給するドロップレット生成器と、第1のドロップレットの軌道の少なくとも一部の周囲に第1のドロップレットの進行方向に沿ってガスを流すためのガス出口を有するガス流生成装置と、を備え、ドロップレット生成器は、ターゲット物質を出力するノズルに振動を与えて第1のドロップレットよりも小体積の第2のドロップレットを複数生成し、複数の第2のドロップレットを結合させて第1のドロップレットを発生させる加振素子を備え、ガス出口は、複数の第2のドロップレットが結合して第1のドロップレットが発生する位置よりも軌道方向の下流側に位置する。
【0006】
本開示の他の1つの観点に係る電子デバイスの製造方法は、内部でプラズマを生成するチャンバと、ターゲット物質を収容し、チャンバ内のプラズマ生成領域にターゲット物質の第1のドロップレットを順次供給するドロップレット生成器と、第1のドロップレットの軌道の少なくとも一部の周囲に第1のドロップレットの進行方向に沿ってガスを流すためのガス出口を有するガス流生成装置と、を備え、ドロップレット生成器は、ターゲット物質を出力するノズルに振動を与えて第1のドロップレットよりも小体積の第2のドロップレットを複数生成し、複数の第2のドロップレットを結合させて第1のドロップレットを発生させる加振素子を備え、ガス出口は、複数の第2のドロップレットが結合して第1のドロップレットが発生する位置よりも軌道方向の下流側に位置する極端紫外光生成装置によって極端紫外光を生成し、極端紫外光を露光装置に出力し、電子デバイスを製造するために、露光装置内で感光基板上に極端紫外光を露光することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1図1に、LPP式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。
図2図2は、比較例に係るEUV光生成装置の構成を概略的に示す。
図3図3は、比較例に係るEUV光生成装置におけるドロップレット生成器付近の構成を概略的に示す。
図4図4は、ピエゾ素子に印加される振幅変調波の電圧波形の例を示す。
図5図5は、ノズル穴から出力されたターゲット物質の振る舞いを模式的に示す。
図6図6は、ピエゾ素子に印加される矩形波の電圧波形の例を示す。
図7図7は、ドロップレットの進行方向にガスを流す場合の例を模式的に示す。
図8図8は、実施形態1に係るEUV光生成装置におけるドロップレット生成器付近の構成を概略的に示す。
図9図9は、図8の矢印A方向から見たA矢視図である。
図10図10は、ドロップレットに対するガス流速の相対速度とドロップレットに加わる加速度との関係を示すグラフである。
図11図11は、実施形態2に係るEUV光生成装置におけるドロップレット生成器付近の構成を概略的に示す。
図12図12は、EUV光生成装置の動作の例を示すフローチャートである。
図13図13は、未結合のドロップレットがある場合の例を示す模式図である。
図14図14は、未結合のドロップレットが発生した場合に得られる通過タイミング信号の例を示す波形図である。
図15図15は、未結合のドロップレットがない場合の例を示す模式図である。
図16図16は、未結合のドロップレットが発生していない場合に得られる通過タイミング信号の例を示す波形図である。
図17図17は、実施形態3に係るEUV光生成装置におけるドロップレット生成器付近の構成を概略的に示す。
図18図18は、実施形態3に係るEUV光生成装置の動作の例を示すフローチャートである。
図19図19は、実施形態4に係るEUV光生成装置におけるドロップレット生成器付近の構成を概略的に示す。
図20図20は、EUV光生成装置と接続された露光装置の構成を概略的に示す。
【実施形態】
【0008】
-目次-
1.用語の説明
2.EUV光生成システムの全体説明
2.1 構成
2.2 動作
3.比較例に係るEUV光生成装置の説明
3.1 構成
3.2 動作
3.3 ドロップレットの生成について
3.4 課題
4.実施形態1
4.1 構成
4.2 動作
4.3 作用・効果
5.実施形態2
5.1 構成
5.2 動作
5.3 作用・効果
6.実施形態3
6.1 構成
6.2 動作
6.3 作用・効果
7.実施形態4
7.1 構成
7.2 動作
7.3 作用・効果
7.4 変形例
8.電子デバイスの製造方法の例
9.その他
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0009】
1.用語の説明
「パルスレーザ光」は、複数のパルスを含むレーザ光を意味し得る。
【0010】
「レーザ光」は、パルスレーザ光に限らずレーザ光一般を意味し得る。
【0011】
「レーザ光路」は、レーザ光の光路を意味する。
【0012】
「ターゲット」は、チャンバに導入されたレーザ光の被照射物である。レーザ光が照射されたターゲットは、プラズマ化してEUV光を放射する。ターゲットは、プラズマの発生源となる。
【0013】
「ドロップレット」は、チャンバ内へ供給されたターゲットの一形態である。ドロップレットは、ドロップレット状のターゲットと同義である。ドロップレットは、溶融したターゲット物質の表面張力によってほぼ球状となったターゲットを意味し得る。
【0014】
「ドロップレットの軌道」は、ドロップレットが進行する経路を指す。ドロップレットの軌道は、「ドロップレット軌道」、又は、単に「軌道」と表記される場合がある。
【0015】
「ドロップレットの軌道方向」は、ドロップレットの進行方向と平行な方向を指す。ドロップレットの軌道方向に関して、ドロップレットの生成源側を「上流」とし、ドロップレットの到達点側を「下流」とする。ドロップレットの軌道方向の相対的な位置関係について、「上流側」、「下流側」という表現を用いる場合がある。
【0016】
「プラズマ光」は、プラズマ化したターゲットから放射された放射光である。当該放射光にはEUV光が含まれる。
【0017】
「EUV光」という表記は、「極端紫外光」の略語表記である。
【0018】
「ピエゾ素子」は、圧電素子と同義である。ピエゾ素子は、「加振素子」の一形態である。ピエゾ素子を単に「ピエゾ」若しくは「PZT」と表記する場合がある。
【0019】
2.EUV光生成システムの全体説明
2.1 構成
図1に、LPP式のEUV光生成システム10の構成を概略的に示す。EUV光生成装置12は、レーザ装置14と共に用いられる。本開示においては、EUV光生成装置12及びレーザ装置14を含むシステムを、EUV光生成システム10と称する。EUV光生成装置12は、チャンバ16と、ターゲット供給部18とを含む。
【0020】
チャンバ16は、密閉可能な容器である。ターゲット供給部18は、ターゲット物質をチャンバ16内部に供給する。ターゲット物質の材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、又は、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含んでもよい。
【0021】
チャンバ16の壁には、貫通孔が備えられている。その貫通孔は、ウインドウ20によって塞がれ、ウインドウ20をレーザ装置14から出力されるパルスレーザ光22が透過する。チャンバ16の内部には、回転楕円面形状の反射面を備えたEUV集光ミラー24が配置される。EUV集光ミラー24は、第1の焦点及び第2の焦点を備える。EUV集光ミラー24の表面には、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成される。EUV集光ミラー24は、その第1の焦点がプラズマ生成領域26に位置し、その第2の焦点が中間集光点28に位置するように配置されてもよい。EUV集光ミラー24の中央部には貫通孔30が備えられ、貫通孔30をパルスレーザ光23が通過する。
【0022】
EUV光生成装置12は、プロセッサ40と、ターゲットセンサ42等を含む。ターゲットセンサ42は、ターゲット44の存在、軌跡、位置及び速度のうち少なくとも1つを検出する。ターゲットセンサ42は、撮像機能を備えてもよい。
【0023】
また、EUV光生成装置12は、チャンバ16の内部と露光装置46の内部とを連通させる接続部48を含む。接続部48内部には、アパーチャ50が形成された壁52が備えられる。壁52は、そのアパーチャ50がEUV集光ミラー24の第2の焦点に位置するように配置される。
【0024】
さらに、EUV光生成装置12は、レーザ光伝送装置54、レーザ光集光ミラー56、ターゲット44を回収するためのターゲット回収部58等を含む。レーザ光伝送装置54は、レーザ光の伝送状態を規定するための光学素子と、この光学素子の位置、姿勢等を調整するためのアクチュエータとを備える。
【0025】
2.2 動作
図1を参照して、LPP式のEUV光生成システム10の動作を説明する。レーザ装置14から出力されたパルスレーザ光21は、レーザ光伝送装置54を経て、パルスレーザ光22としてウインドウ20を透過してチャンバ16内に入射する。パルスレーザ光22は、レーザ光路に沿ってチャンバ16内を進み、レーザ光集光ミラー56で反射されて、パルスレーザ光23としてターゲット44に照射される。
【0026】
ターゲット供給部18は、ターゲット物質によって形成されたターゲット44をチャンバ16内部のプラズマ生成領域26に向けて出力する。ターゲット44には、パルスレーザ光23が照射される。パルスレーザ光23が照射されたターゲット44はプラズマ化し、そのプラズマから放射光60が放射される。放射光60に含まれるEUV光62は、EUV集光ミラー24によって選択的に反射される。EUV集光ミラー24によって反射されたEUV光62は、中間集光点28で集光され、露光装置46に出力さる。なお、1つのターゲット44に、パルスレーザ光23に含まれる複数のパルスが照射されてもよい。
【0027】
プロセッサ40は、EUV光生成システム10全体を制御する。プロセッサ40は、ターゲットセンサ42の検出結果を処理する。プロセッサ40は、ターゲットセンサ42の検出結果に基づいて、ターゲット44が出力されるタイミング、ターゲット44の出力方向等を制御してもよい。さらに、プロセッサ40は、レーザ装置14の発振タイミング、パルスレーザ光22の進行方向、パルスレーザ光23の集光位置等を制御してもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御が追加されてもよい。
【0028】
本開示のプロセッサとは、制御プログラムが記憶された記憶装置と、制御プログラムを実行するCPU(central processing unit)とを含む処理装置である。プロセッサは、本開示に含まれる各種処理を実行するために特別に構成又はプログラムされている。
【0029】
3.比較例に係るEUV光生成装置の説明
3.1 構成
図2は、比較例に係るEUV光生成装置12の構成を概略的に示す。本開示の比較例とは、出願人のみによって知られていると出願人が認識している形態であって、出願人が自認している公知例ではない。
【0030】
図2において、方向に関する説明の便宜上、XYZ直交座標軸を導入する。チャンバ16から露光装置46に向かってEUV光62を導出する方向をZ軸の方向とする。X軸及びY軸は、Z軸に直交し、かつ、互いに直交する軸である。ターゲット物質を出力するノズル126の中心軸方向をY軸の方向とする。Y軸の方向は、ドロップレット122の軌道方向である。図2の紙面に垂直な方向をX軸の方向とする。図3以降の図面でも図2で導入した座標軸と同様とする。
【0031】
EUV光生成装置12は、チャンバ16と、レーザ光伝送装置54と、プロセッサ40とを含む。チャンバ16は、ターゲット供給部18と、ステージ66と、タイミングセンサ80と、ウインドウ20と、レーザ集光光学系90と、EUV集光ミラー24と、ターゲット回収部58と、排気装置100と、圧力センサ102とを含む。
【0032】
ターゲット供給部18は、ドロップレット生成器110と、圧力調節器112と、ピエゾ電源114と、ヒータ電源116とを含む。圧力調節器112、ピエゾ電源114及びヒータ電源116のそれぞれはプロセッサ40に接続されている。
【0033】
ドロップレット生成器110は、ターゲット物質を貯蔵するタンク120と、ターゲット物質を出力するノズル穴124を含むノズル126と、ノズル126近傍に配置されたピエゾ素子128とを含む。また、ドロップレット生成器110は、ヒータ130及び温度センサ132を含む。ヒータ130及び温度センサ132は、タンク120の外側側面部に配置される。
【0034】
温度センサ132は、プロセッサ40に接続されている。ピエゾ電源114は、ピエゾ素子128に接続されている。ヒータ電源116は、ヒータ130に接続されている。
【0035】
ターゲット物質は、例えば、スズであってもよい。タンク120の内部は、ターゲット物質と反応し難い材料で構成される。ターゲット物質の一例であるスズと反応し難い材料として、例えば、Mo、W、Ta、Al、SiC、或いはSiOなどを用いることができる。
【0036】
圧力調節器112は、管路113を介してタンク120に接続されている。圧力調節器112は、図示しない不活性ガス供給部とタンク120との間の配管に配置される。不活性ガス供給部は、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが充填されているガスボンベを含んでいてもよい。不活性ガス供給部は、圧力調節器112を介してタンク120内に不活性ガスを給気し得る。圧力調節器112は、図示しない排気ポンプに接続されていてもよい。圧力調節器112は、給気及び排気用の図示しない電磁弁や図示しない圧力センサ等を内部に含む。圧力調節器112は、圧力センサを用いてタンク120内の圧力を検出し得る。圧力調節器112は、排気ポンプを動作させてタンク120内のガスを排気することができる。
【0037】
圧力調節器112は、検出した圧力の検出信号をプロセッサ40に出力する。プロセッサ40は、圧力調節器112から出力された検出信号に基づいて、タンク120内の圧力が目標とする圧力になるよう圧力調節器112の動作を制御するための制御信号を圧力調節器112に供給する。
【0038】
ステージ66は、プロセッサ40からの指令に基づき、ドロップレット生成器110を少なくともX-Z平面の指定された位置に移動させることができる。ステージ66は本開示における「第1のステージ」の一例である。
【0039】
チャンバ16は、第1の容器16Aと、第2の容器16Bとを含む。第2の容器16Bは、第1の容器16Aと連通する容器であり、ステージ66及び支持プレート67を介して第1の容器16Aと連結される。第2の容器16Bは、ステージ66に固定される。
【0040】
ドロップレット生成器110は、第2の容器16Bに固定される。すなわち、ドロップレット生成器110は、第2の容器16Bを介してステージ66に固定される。
【0041】
支持プレート67は、第1の容器16Aに固定される。ステージ66は、支持プレート67上で、少なくともX-Z平面内で移動できるように構成される。支持プレート67が固定された第1の容器16Aは、所定の位置に固定して設置される固定容器である。ステージ66に固定された第2の容器16Bは、支持プレート67上で移動可能な可動容器である。ステージ66が支持プレート67上で移動することにより、ドロップレット生成器110をプロセッサ40から指定された位置に移動することができる。
【0042】
タイミングセンサ80は、光源部81と受光部82とを含む。光源部81と受光部82とは、ドロップレット122の進行経路であるドロップレット軌道140を挟んで互いに対向するように配置される。
【0043】
光源部81は、光源83と照明光学系84とを含む。光源部81は、ドロップレット生成器110のノズル穴124とプラズマ生成領域26との間のドロップレット軌道140上の検出領域142のドロップレット122を照明するように配置される。光源83は、単色光のレーザ光源又は複数波長を出射するランプでもよい。また、光源83は光ファイバを含んでもよく、光ファイバは照明光学系84に接続される。照明光学系84は集光レンズを含む。照明光学系84は、ウインドウ85を含んでもよい。ウインドウ85はチャンバ16の壁に配置される。
【0044】
タイミングセンサ80の受光部82は、受光光学系86と光センサ87とを含む。受光部82は、光源部81から出力された照明光の少なくとも一部であって検出領域142を通った照明光を受光するように配置される。受光光学系86は集光レンズを含む。受光光学系86は、ウインドウ88を含んでもよい。ウインドウ88は、チャンバ16の壁に配置される。
【0045】
光センサ87は、1つ若しくは複数の受光面を含む。光センサ87は、フォトダイオード、フォトダイオードアレイ、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管、マルチピクセルフォトンカウンター及びイメージインテンシファイアのうちのいずれかによって構成することができる。光センサ87は受光量に応じた電気信号を出力する。
【0046】
光源部81のウインドウ85と受光部82のウインドウ88は、ドロップレット軌道140を挟んで互いに対向する位置に配置される。光源部81と受光部82の対向方向は、ドロップレット軌道140と直交してもよいし、ドロップレット軌道140と非直交であってもよい。タイミングセンサ80は、図1に示したターゲットセンサ42の一例である。
【0047】
図2に示すレーザ光伝送装置54は、レーザ光の進行方向を規定するための光学素子として、第1の高反射ミラー151と第2の高反射ミラー152とを含む。
【0048】
レーザ集光光学系90は、レーザ光伝送装置54から出力されるパルスレーザ光22が入力されるよう配置される。レーザ集光光学系90は、ウインドウ20を介してチャンバ16に入射したレーザ光をプラズマ生成領域26に集光するよう構成されている。レーザ集光光学系90は、レーザ光集光ミラー56と、高反射平面ミラー93と、レーザ光マニュピレータ94とを含む。
【0049】
レーザ光集光ミラー56は、例えば、高反射軸外放物面ミラーであってもよい。レーザ光集光ミラー56は、ミラーホルダ56Aに保持される。ミラーホルダ56Aは、プレート95に固定される。高反射平面ミラー93はミラーホルダ93Aに保持される。ミラーホルダ93Aはプレート95に固定される。
【0050】
レーザ光マニュピレータ94は、例えば、X軸、Y軸及びZ軸の互いに直交する三軸の方向にプレート95を移動可能なステージを用いて構成される。レーザ光マニュピレータ94は、チャンバ16内のレーザ照射位置を、プロセッサ40から指定された位置にX軸、Y軸及びZ軸の各軸の方向において移動できるように構成される。
【0051】
EUV集光ミラー24は、EUV集光ミラーホルダ96に保持される。EUV集光ミラーホルダ96は、プレート97に固定される。プレート97は、レーザ集光光学系90とEUV集光ミラー24とを保持する部材である。プレート97は、チャンバ16の内壁に固定される。
【0052】
プロセッサ40は、レーザ装置14、ターゲット供給部18、ステージ66、タイミングセンサ80及びレーザ光マニュピレータ94のそれぞれと接続されている。さらにプロセッサ40は、排気装置100、圧力センサ102及び露光装置制御部156と接続されている。露光装置制御部156は、露光装置46を制御する制御装置である。露光装置制御部156は、露光装置46に含まれていてもよい。
【0053】
3.2 動作
プロセッサ40は、排気装置100を制御して、チャンバ16内のガスを所定圧力以下になるまで排気する。所定圧力は、例えば1Paであってもよい。また、プロセッサ40は、チャンバ16内のガスを所定圧力以下まで排気した後に、ヒータ電源116を介してヒータ130を駆動し、温度センサ132によって温度をモニターしながら、タンク120内のターゲット物質を融点以上の所定温度に加熱及び維持する制御を行う。ターゲット物質がスズである場合、スズの融点は232℃であることから、所定温度は、例えば250℃から290℃の範囲の温度であってよい。タンク120内に収容されているターゲット物質は、ヒータ130を用いた加熱によって融解して液体となる。
【0054】
プロセッサ40は、液体のターゲット物質をノズル穴124から吐出するために、タンク120内の圧力を所定圧力となるように圧力調節器112を制御する。タンク120内の所定圧力は、例えば、3MPa以上であってもよい。
【0055】
圧力調節器112は、プロセッサ40からの制御信号に基づいてタンク120内にガスを給気又はタンク120内のガスを排気してタンク120内の圧力を加圧又は減圧し得る。圧力調節器112によってタンク120内の圧力は、目標とする圧力に調節される。タンク120内に導入されるガスは、不活性ガスであることが好ましい。
【0056】
圧力調節器112は、プロセッサ40からの指示に応じて、ドロップレット122が所定の目標速度でプラズマ生成領域26に到達するように、タンク120内の圧力を所定値に調節する。
【0057】
プロセッサ40は、ピエゾ電源114を介してピエゾ素子128に所定波形の駆動電圧を供給する制御を行う。これにより、ノズル穴124から吐出するターゲット物質を、所定周期で分離させてドロップレット122にする。
【0058】
ターゲット供給部18によって生成されたドロップレット122は、タイミングセンサ80によって検出される。タイミングセンサ80は、検出された信号を元にドロップレット122の通過タイミングを示す通過タイミング信号を生成し、通過タイミング信号をプロセッサ40に送信する。
【0059】
プロセッサ40は、タイミングセンサ80からの通過タイミング信号に対して、所定の時間遅延させた発光トリガ信号をレーザ装置14に出力し得る。発光トリガ信号がレーザ装置14に入力されると、レーザ装置14はパルスレーザ光21を出力する。レーザ装置14から出力されたパルスレーザ光21は、レーザ光伝送装置54とウインドウ20を経由して、レーザ集光光学系90に入力する。
【0060】
プロセッサ40は、ドロップレット122がプラズマ生成領域26を通るように、ステージ66を制御してドロップレット生成器110を移動させてもよい。
【0061】
プロセッサ40は、パルスレーザ光23がプラズマ生成領域26で集光するように、レーザ光マニュピレータ94を制御する。パルスレーザ光23は、レーザ集光光学系90によって、プラズマ生成領域26でドロップレット122に集光照射される。こうして、パルスレーザ光23をドロップレット122に集光照射することにより、EUV光62を発生させる。ターゲット供給部18から所定周期でプラズマ生成領域26に順次供給されるドロップレット122に、パルスレーザ光23を集光照射することにより、EUV光62を周期的に発生させてもよい。
【0062】
プラズマ生成領域26から発生したEUV光62は、EUV集光ミラー24によって集められ、中間集光点28で集光した後に露光装置46に入力してもよい。
【0063】
なお、パルスレーザ光23が照射されなかったドロップレット122は、プラズマ生成領域26を通過してターゲット回収部58に入る。ターゲット回収部58に回収されたドロップレット122は、液体のターゲット物質として貯蔵され得る。
【0064】
3.3 ドロップレットの生成について
図3は、比較例に係るEUV光生成装置12におけるドロップレット生成器110付近の構成を概略的に示す。ノズル穴124から柱状に出たターゲット物質は、ノズル126に与えられた振動とターゲット物質の表面張力とにより微小ドロップレットMDに分裂する。微小ドロップレットMDの間隔λは、通常はノズル穴124の直径の3~8倍程度である。例えばノズル穴124の直径が3μmの場合、間隔λは、9~24μm程度となる。ノズル穴124から出るターゲット物質の流速をvとすると、微小ドロップレットMDの生成周期tは、t=λ/vである。例えばv=100m/s、λ=20μmの場合、t=0.2μsとなる。
【0065】
上記の微小ドロップレットMDの生成周期tは、必ずしもレーザ照射の周期とは一致しないため、レーザ照射するドロップレット122の周期をレーザ照射の周期と一致させるために、複数の微小ドロップレットMDを周期的に結合させて、所定の周期の最終ドロップレットFDを生成する。例えば、微小ドロップレットMDの生成周期tが0.2μs、レーザ照射の周期が10μsの場合、50個ずつ微小ドロップレットMDを結合させて10μsの周期で最終ドロップレットFDを生成する。なお、微小ドロップレットMDの「微小」とは、レーザ照射を行う最終ドロップレットFDよりも小体積であることを意味する。
【0066】
例えば、ピエゾ素子128を使って微小ドロップレットMDに所定の第1周期で速度差を生じさせるようにノズル126に振動を与えると、微小ドロップレットMDが結合を繰り返し、最終的に所定の第2周期で生成されるドロップレット(最終ドロップレットFD)122になる。
【0067】
微小ドロップレットMDに速度差を生じさせる方法としては、ピエゾ素子128に与える電圧波形を振幅変調波とする方法などがある。図4に、ピエゾ素子128に印加する振幅変調波の電圧波形の例を示す。また、図5には、ノズル穴124から出力されたターゲット物質の振る舞いを模式的に示す。
【0068】
変調の周期をtm、搬送波の周期をtcとした場合、tmを最終ドロップレットFDの生成周期に、tcを微小ドロップレットMDの生成周期に、それぞれ設定することで、微小ドロップレットMDを結合させて、所定の周期tmの最終ドロップレットFDを生成できる。
【0069】
振幅変調した振動波形でノズル126が振動すると、ノズル穴124から出たターゲット物質の表面には、振幅変調波形に応じて、大きさの異なる「くびれ」が生成される。ターゲット物質の進行と共にくびれは成長し、やがて分裂に至るが、隣り合うくびれの大きさのバランスにより、分裂後の微小ドロップレットMDには速度差が生じる。図5において微小ドロップレットMDの上に表示した白抜き矢印は、微小ドロップレットMDの平均速度に対する相対速度の向きを表す。なお、図5では、図示の簡略化のために、5つの微小ドロップレットMDが結合して1つの最終ドロップレットFDが生成される様子を示すが、1つの最終ドロップレットFDに結合する微小ドロップレットMDの数は特に限定されない。例えば、最終ドロップレットFDを発生させるために結合させる微小ドロップレットMDの数は、5個以上70個以下であってもよい。
【0070】
ピエゾ素子128を駆動する電圧波形は、図4に例示した振幅変調波に限らず、周波数変調波や位相変調波などでもよい。また、変調波に限らず、最終ドロップレットFDの生成周期と同じ周期を持つ周期波、例えば、矩形波によってピエゾ素子128を駆動してもよい。
【0071】
図6は、ピエゾ素子128に印加される矩形波の電圧波形の例を示す。矩形波における周期T0は、電圧Highの時間THと、電圧Lowの時間TLとを含む。図6のような矩形波のデューティ(Duty)は、周期T0に対する電圧Highの時間THの比率TH/T0で定義される。
【0072】
タイミングセンサ80で未結合のドロップレットを検知した場合、プロセッサ40はピエゾ素子128に印加する電圧波形を制御する。例えば、電圧波形が矩形波の場合は、矩形波のデューティを変化させて未結合のドロップレットが出ないデューティに設定する。
【0073】
3.4 課題
最終ドロップレットFDに結合した後、隣接するドロップレットの間隔が狭いと、ドロップレットをレーザ光で照射したとき衝撃波により次に照射するドロップレットの位置が動いてしまう。これを避けるためには、隣接するドロップレットの間隔を離す必要がある。
【0074】
ドロップレット生成器110のタンク120内に印加する圧力を上げることやドロップレット軌道140に平行で、かつ、ドロップレットの進行方向に沿ってガスを流すこと等により、ドロップレットの速度を上げ、ドロップレットの間隔を離す方法がある。
【0075】
図7は、ドロップレットの進行方向にガスを流す場合の例を模式的に示す。ガスを流すことによりドロップレットの速度を上げる場合、微小ドロップレットMDにガス流れを与えると、微小ドロップレットMDの速度や進行方向が乱れるため、その後の最終ドロップレットFDへの結合過程が不安定になり、ドロップレットの未結合が発生するなどの問題が発生する。
【0076】
未結合の微小ドロップレットMDが存在すると、タイミングセンサ80が微小ドロップレットMDの通過タイミング信号を生成し、微小ドロップレットMDにパルスレーザ光を照射してしまうことが起こり得る。このように、パルスレーザ光の照射タイミングを間違えて、微小ドロップレットMDにパルスレーザ光を照射した場合は、生成されるEUV光62のエネルギが低下する。
【0077】
また、最終ドロップレットFDの近傍に微小ドロップレットMDが存在すると、パルスレーザ光が最終ドロップレットFD及び/又は微小ドロップレットMDに中途半端に照射され、砕けたターゲット物質がチャンバ16内を汚染する。
【0078】
4.実施形態1
4.1 構成
図8は、実施形態1に係るEUV光生成装置12Aにおけるドロップレット生成器110付近の構成を概略的に示す断面図である。図9は、図8の矢印A方向から見たA矢視図である。図8及び図9に示す構成について、図1と異なる点を説明する。
【0079】
実施形態1に係るEUV光生成装置12Aは、ドロップレット生成器110からプラズマ生成領域26に至るドロップレット軌道140上に、ガス導入部材170が配置される。ガス導入部材170は、チャンバ16の内壁に固定される。本実施形態のガス導入部材170は、ドロップレット軌道140に沿った筒状の第1の容器16Aの内壁に固定される。
【0080】
ガス導入部材170は、ドロップレットが通過する開口部170Aを備えている。開口部170Aの開口面積は、ドロップレット軌道140のばらつきやステージ66の移動範囲に基づいて、適宜の大きさに決定されてよい。
【0081】
開口部170Aは、ドロップレット軌道140の少なくとも一部の周囲を覆う管構造によって構成されている。開口部170Aを構成する管構造の上流側部分は二重管の構造を持つ二重管部170Bを含み、下流側部分は単一管の構造を持つ単一管部170Cを含む。すなわち、ガス導入部材170は、第1の管171と、第2の管172とを含んで構成される。第1の管171は内管に相当し、第2の管172は外管に相当する。第1の管171は上流側端部171Aと下流側端部171Bの両方が開放されている。
【0082】
第1の管171と第2の管172のそれぞれは、四角管であってよい(図9参照)。本実施形態における二重管部170Bは、二重四角管の構造を持ち、単一管部170Cは、単一四角管の構造を持つ。なお、単一管は一重管と同義である。ここでは、四角管構造を例示するが、開口部170Aは、四角管構造に限らず、円管構造であってもよく、円管構造の上流側は二重円管であってもよい。
【0083】
ガス導入部材170からガスが吹き出す位置は、二重の四角管から一重の四角管になる境界である。つまり、ガス出口177の位置は、第1の管171の下流側端部171Bの位置である。
【0084】
ノズル穴124のノズル出口位置PNoutからドロップレットが最終ドロップレットFDになる位置までの距離をL1とし、ノズル出口位置PNoutからガス出口177の位置PGoutまでの距離をL2とした場合、L1とL2が以下の関係になるようにガス出口177を配置する。
【0085】
L2≧L1
L1は、例えば30mm以上350mm以下であってよい。L1の寸法は、実験等で予め求めておいてもよい。
【0086】
二重管部170Bは、ガスの流れの方向がドロップレットの軌道と平行になるのに十分な長さであることが好ましい。二重管部170Bの長さは、例えば10mmでもよい。二重管部170Bの長さは、10mm以上に設計されてもよい。
【0087】
ガス導入部材170の材質は、ステンレス鋼やアルミニウムなどであってよい。開口部170Aを構成する第1の管171及び第2の管172の材質は、ターゲット物質と反応性の小さい材料であることが好ましい。ターゲット物質がスズである場合、第1の管171及び第2の管172の材質には、Mo、W、Ta、Al、SiC及びSのいずれかを用いることが好ましい。また、ステンレス鋼やアルミニウムの表面にターゲット物質と反応しにくい上記材料をコーティングしてもよい。
【0088】
ガス導入部材170は、第1の管171の外側部に延出した第1の遮蔽部材174と、第2の管172の外側部に延出した第2の遮蔽部材175とを含む。第1の遮蔽部材174は、第1の管171の上流側端部171Aに接続されており、第1の管171と第1の容器16Aの内壁との間を覆う。第1の管171と第1の遮蔽部材174は単一部材として一体的に構成されてもよいし、それぞれ別部材として構成したものを接続した構成であってもよい。
【0089】
第2の遮蔽部材175は、第2の管172の上流側端部172Aに接続されており、第2の管172と第1の容器16Aの内壁との間を覆う。第2の管172と第2の遮蔽部材175は単一部材として一体的に構成されてもよいし、それぞれ別部材として構成したものを接続した構成であってもよい。
【0090】
第1の遮蔽部材174と第2の遮蔽部材175との間に、ガス導入空間176となる間隙が設けられる。
【0091】
ガス導入部材170は、管路180を介してガス供給源182と接続される。管路180は、第1の容器16Aの壁を貫通し、ガス導入部材170のガス導入空間176と連通する。ガス導入部材170とガス供給源182との間に、流量調節器184が設けられてもよい。ガス供給源182からガス導入部材170に供給するガスは、例えば、水素ガスであってよい。ガス供給源182は、例えば、水素ガスボンベを含む水素ガス供給源であってもよい。
【0092】
4.2 動作
流量調節器184は、ガス供給源182から供給されるガスを所定流量に制御して、ガスをガス導入部材170に供給する。ガスは、チャンバ壁から管路180を通じてガス導入部材170のガス導入空間176に導入される。ガス出口177からのガスの流速はドロップレットの速度より速いガスが噴き出すように流す。所定流量は、例えば10SLM(Standard Litter /Min)以上であってよい。
【0093】
ガス導入部材170に導入されたガスは、ガス導入空間176から第1の管171と第2の管172の間の間隙173に供給される。二重管部170Bの間隙173を流れたガスは、第1の管171の下流側端部171Bに開口したガス出口177から、ドロップレット軌道方向と平行な流れで第2の管172内に流出する。こうして、ガス出口177から吹き出されたガスは、ドロップレット122の進行方向と平行な流れで第2の管172から二重管部170Bからチャンバ16内に導入される。
【0094】
ノズル126から出たターゲット物質のジェットが微小ドロップレットMDに分断したのち、最終ドロップレットFDに結合する。
【0095】
最終ドロップレットFDに結合した後のドロップレットは、ガス出口177から吹き出されたガス流により加速される。ガス流速は最終ドロップレットFDの速度よりも大きく、その速度差が大きいほど加速度が大きくなる。
【0096】
図10は、ドロップレットに対するガス流速の相対速度とドロップレットに加わる加速度との関係を示すグラフである。相対速度は次の式で定義される。
【0097】
相対速度=ガス流速-ドロップレット速度
ドロップレットに働く抗力Fの計算式は、次式(1)で表される。
【0098】
F=PLV(2RT)-1/2(k) (1)
P:気体圧力
L:ドロップレット半径
V:ドロップレットと気体の相対速度
R:気体定数
T:気体温度
(k):定数
最終ドロップレットFDに働く抗力Fを求める場合、L及びVについて最終ドロップレットFDの値を用いる。
【0099】
ドロップレットの質量をMとすると、加速度はF/Mである。例えば、ガス加速が開始されるまでのドロップレットの速度を100m/s、ガスの速度を1000m/sとすると、相対速度は900m/sとなる。この場合の加速度は、図10のグラフから3890m/sとなる。よって、ガス出口177からY軸方向に300mm下の位置におけるドロップレットの速度は、111m/sに加速される。
【0100】
ガス導入部材170、第1の管171及び第2の管172及びガス導入部材170は、最終ドロップレットFDの軌道の一部の周囲に、ドロップレット進行方向に沿ってガスを流すためのガス流生成装置として機能し、ガス流によってドロップレットを加速するドロップレット加速装置として機能する。ガス導入部材170、第1の管171及び第2の管172及びガス導入部材170は本開示における「ガス流生成装置」の一例である。流量調節器184及び管路180の少なくとも一方は本開示における「ガス流生成装置」の一例に含まれてもよい。第1の管171の上流側端部171Aは本開示における「第1の端部」の一例である。第1の管171の下流側端部171Bは本開示における「第2の端部」の一例である。第2の管172の下流側端部172Bは本開示における「第3の端部」の一例である。最終ドロップレットFDは本開示における「第1のドロップレット」の一例である。微小ドロップレットMDは本開示における「第2のドロップレット」の一例である。
【0101】
4.3 作用・効果
実施形態1に係るEUV光生成装置12Aによれば、結合前の微小ドロップレットMDの速度や進行方向を乱すことなく、結合後の最終ドロップレットFDを加速することができる。これによりドロップレットの未結合などの不良を抑制しつつ、隣接する最終ドロップレットFDの間隔を拡大できる。
【0102】
5.実施形態2
5.1 構成
図11は、実施形態2に係るEUV光生成装置12Bにおけるドロップレット生成器110付近の構成を概略的に示す。図11に示す構成について、図8と異なる点を説明する。
【0103】
図11に示すEUV光生成装置12Bは、ドロップレットの結合状態を計測するために、図2のタイミングセンサ80と同様のタイミングセンサ202が、L1とL2との間の領域に配置される。図11では、タイミングセンサ202がL1の位置でターゲットの結合状態を計測するように配置された例を示す。他の構成は、図2及び図8と同様であってよい。
【0104】
タイミングセンサ202は、光源部210と受光部220とを含む。光源部210と受光部220とは、ドロップレット軌道140を挟んで互いに対向するように配置される。
【0105】
光源部210は、光源212と照明光学系214とを含む。光源部210は、ドロップレット軌道140上の検出領域143のドロップレットを照明するように配置される。検出領域143は、図1で説明した検出領域142よりもノズル穴124に近い位置であってもよい。光源212及び照明光学系214の構成は、図1で説明した光源83及び照明光学系84と同様であってよい。照明光学系214は、ウインドウ215を含んでもよい。ウインドウ215はチャンバ16の壁に配置される。
【0106】
受光部220は、受光光学系224と光センサ226とを含む。受光部220は、光源部210から出力された照明光の少なくとも一部であって検出領域143を通った照明光を受光するように配置される。受光光学系224及び光センサ226の構成は、図1で説明した受光光学系86及び光センサ87と同様であってよい。受光光学系224は、ウインドウ222を含んでもよい。ウインドウ222は、チャンバ16の壁に配置される。
【0107】
5.2 動作
図12は、EUV光生成装置12Bの動作の例を示すフローチャートである。ステップS21において、プロセッサ40は通過タイミング信号T(n)の間隔の基準(下限値)Tmを設定する。Tmは、ドロップレットに照射されるパルスレーザ光の周期に基づいて決定してもよい。Tmは図示しない記憶装置に保持されてもよく、オペレータが入力してもよい。
【0108】
次いで、ステップS22において、プロセッサ40はタイミングセンサ202から通過タイミング信号T(n)を受信する。T(n)は、n番目の通過タイミング信号である。
【0109】
次いで、ステップS23において、プロセッサ40は通過タイミング間隔Tを以下の式から算出する。
【0110】
T=T(n)-T(n-1)
次いで、ステップS24において、プロセッサ40はTとTmとを比較して、TがTmより小さいか否かを判定する。図13及び図14に示すように、未結合のドロップレットがある場合、T<Tmとなる。一方、図15及び図16に示すように、未結合のドロップレットがない場合はT≧Tmとなる。つまり、プロセッサ40は、T<Tmである場合、未結合のドロップレットがあると判断し、その他の場合(T≧Tm)、未結合のドロップレットの発生はないと判断し得る。なお、ステップS24の判定は、タイミングセンサ80からの通過タイミング信号T(n)を基に行われてもよい。
【0111】
図12のステップS24の判定結果がYes判定である場合、プロセッサ40はステップS25に進む。ステップS25において、プロセッサ40は未結合のドロップレットが発生しないように、ピエゾ素子128に印加する電圧のデューティを調整する。プロセッサ40は、デューティの調整に代えて、又はこれに加えて、ドロップレット生成器110のタンク120に印加する圧力を調整してもよい。ステップS25の後、プロセッサ40はステップS22に戻る。
【0112】
図12のステップS24の判定結果がNo判定である場合、プロセッサ40はステップS28に進む。ステップS28において、プロセッサ40はEUV光生成の停止の指令の有無を確認する。EUV光生成の停止の指令が無く、ステップS28の判定結果がNo判定である場合、プロセッサ40はステップS22に戻る。一方、EUV光生成の停止の指令があり、ステップS28の判定結果がYes判定である場合、プロセッサ40は図12のフローチャートを終了する。
【0113】
図13及び図14に示した未結合のドロップレットがある状態は本開示における「結合不良」の一例である。通過タイミング間隔Tは、未結合のドロップレットの有無、すなわち、ドロップレットの結合状態を反映している。タイミングセンサ202は本開示における「第1のドロップレットの結合状態を計測するためのセンサ」の一例である。
【0114】
5.3 作用・効果
実施形態2に係るEUV光生成装置12Bによれば、動作中にピエゾ素子128やノズル126、ターゲット物質の温度変化等によりL1が長くなり、式(1)を満たさなくなった場合に、ピエゾ素子128に印加する電圧のデューティを調整して、L1が式(1)を満たすように調整することができる。
【0115】
実施形態2によれば、結合前の微小ドロップレットMDの速度や進行方向を乱すことなく、最終ドロップレットFDを加速することができる。これによりドロップレットの未結合などの不良を抑制しつつ、隣接する最終ドロップレットFDの間隔を拡大できる。
【0116】
6.実施形態3
6.1 構成
図17は、実施形態3に係るEUV光生成装置12Cにおけるドロップレット生成器110付近の構成例を概略的に示す。図17に示す構成について、図11と異なる点を説明する。図17に示すEUV光生成装置12Cは、図11における二軸のステージ66に代えて、三軸のステージ68を含む。すなわち、図11のステージ66は、X軸方向とZ軸方向の二方向に移動可能なステージであるのに対し、図17のステージ68は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の三方向に移動可能なステージである。ステージ68は本開示における「ステージ」及び「第2のステージ」の一例である。他の構成は、図11と同様であってよい。
【0117】
6.2 動作
図18は、実施形態3に係るEUV光生成装置12Cの動作の例を示すフローチャートである。図18に示すフローチャートについて、図12と異なる点を説明する。
【0118】
図18に示すフローチャートは、図12のステップS25に代えて、ステップS26を含む。その他のステップは図12と同様であってよい。
【0119】
図18におけるステップS24の判定結果がYes判定である場合、プロセッサ40はステップS26に進む。ステップS26において、プロセッサ40は、未結合のドロップレットが発生しないように、ステージ68のY軸方向を調整し、ドロップレット生成器110をY軸方向に移動させる制御を実施する。ステップS26の後、プロセッサ40はステップS22に戻る。
【0120】
6.3 作用・効果
実施形態3に係るEUV光生成装置12Cによれば、動作中にピエゾ素子128やノズル126、ターゲット物質の温度変化等によりL1が長くなり、式(1)を満たさなくなった場合に、ステージ68を制御して、L1が式(1)を満たすように調整することができる。
【0121】
実施形態3によれば、結合前の微小ドロップレットMDの速度や進行方向を乱すことなく、最終ドロップレットFDを加速することができる。これによりドロップレットの未結合などの不良を抑制しつつ、隣接する最終ドロップレットFDの間隔を拡大できる。
【0122】
7.実施形態4
7.1 構成
図19は、実施形態4に係るEUV光生成装置12Dにおけるドロップレット生成器110付近の構成を概略的に示す。図19に示す構成について、図12と異なる点を説明する。図19に示すEUV光生成装置12Dは、図12におけるガス導入部材170に代えて、ガス導入部材190を備え、ガス導入部材190がドロップレット生成器110に固定されている。ガス導入部材190の流路構造は、図12のガス導入部材170と同様であってよい。図19において、図12のガス導入部材170と対応する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0123】
また、EUV光生成装置12Dでは、チャンバ16内にガスを導入する導入口192が、ドロップレット生成器110が固定されている第2の容器16Bの壁に設けられる。ガス導入部材190は、導入口192に連通する配管194を介して流量調節器184と接続される。図19に示す構成を採用することにより、ドロップレット生成器110の取り付け及び取り外し時に、ガス配管の接続及び切り離しが容易になる。
【0124】
7.2 動作
EUV光生成装置12Dの動作は、実施形態1に係るEUV光生成装置12Aの動作と同様であってよい。
【0125】
7.3 作用・効果
実施形態4に係るEUV光生成装置12Dによれば、ステージ66をXZ平面と平行な方向に動かしても、ドロップレットの軌道がガス流れの中央にくる。このため、ドロップレットに非対称な力を加えることなく加速することができる。実施形態4によれば、結合前の微小ドロップレットMDの速度や進行方向を乱すことなく、最終ドロップレットFDを加速することができる。これによりドロップレットの未結合などの不良を抑制しつつ、隣接する最終ドロップレットFDの間隔を拡大できる。
【0126】
7.4 変形例
実施形態4で説明したガス導入部材190の構成は、実施形態2や実施形態3の構成と組み合わせることも可能である。
【0127】
8.電子デバイスの製造方法の例
図20は、EUV光生成装置12Aと接続された露光装置46の構成を概略的に示す。露光装置46は、マスク照射部602とワークピース照射部604とを含む。マスク照射部602は、EUV光生成装置12Aから入射したEUV光62によって、反射光学系603を介してマスクテーブルMT上に配置された図示しないマスクのマスクパターンを照明する。ワークピース照射部604は、マスクテーブルMTによって反射されたEUV光62を、反射光学系605を介してワークピーステーブルWT上に配置された図示しないワークピース上に結像させる。ワークピースはフォトレジストが塗布された半導体ウエハ等の感光基板である。
【0128】
露光装置46は、マスクテーブルMTとワークピーステーブルWTとを同期して平行移動させることにより、マスクパターンを反映したEUV光62をワークピースに露光する。以上のような露光工程によって半導体ウエハにマスクパターンを転写後、複数の工程を経ることで半導体デバイスを製造できる。半導体デバイスは本開示における「電子デバイス」の一例である。EUV光生成装置12Aの代わりに、EUV光生成装置12B、12C、12Dなどを用いてもよい。
【0129】
9.その他
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。従って、特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかである。また、本開示の実施形態を組み合わせて使用することも当業者には明らかである。
【0130】
本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される用語は、明記が無い限り「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」、「有する」、「備える」、「具備する」などの用語は、「記載されたもの以外の構成要素の存在を除外しない」と解釈されるべきである。また、修飾語「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。また、「A、B及びCの少なくとも1つ」という用語は、「A」「B」「C」「A+B」「A+C」「B+C」又は「A+B+C」と解釈されるべきである。さらに、それらと「A」「B」「C」以外のものとの組み合わせも含むと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20