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特開2022-59618成膜装置、電子デバイスの製造装置、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法
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  • 特開-成膜装置、電子デバイスの製造装置、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059618
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】成膜装置、電子デバイスの製造装置、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20220406BHJP
   C23C 14/04 20060101ALI20220406BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220406BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
C23C14/24 G
C23C14/04 A
C23C14/24 J
H05B33/14 A
H05B33/10
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010786
(22)【出願日】2022-01-27
(62)【分割の表示】P 2020201716の分割
【原出願日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0173704
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 栄一
(72)【発明者】
【氏名】鵜澤 繁行
(57)【要約】
【課題】成膜精度の高い成膜装置、電子デバイスの製造装置、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、複数の単位成膜領域を有する基板に単位成膜領域に対応する開口を有するマスクを介して成膜材料を成膜する成膜装置であって、真空容器と、真空容器内に設けられ、基板を吸着するための基板吸着面を有する基板吸着手段と、真空容器内に設けられ、マスクを支持するマスク支持ユニットと、基板吸着手段とマスク支持ユニットとを基板吸着面に垂直な第1方向に移動させる昇降手段と、基板吸着手段とマスク支持ユニットのうち少なくとも一つを基板吸着面と平行な面内で移動させるための位置移動機構と、位置移動機構によって、マスクの開口が基板の複数の単位成膜領域のそれぞれに対応するようにして、単位成膜領域ごとに順番に成膜材料を成膜する成膜動作を行う制御部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位成膜領域を有する基板に前記単位成膜領域に対応する開口を有するマスクを介して成膜材料を成膜するための成膜装置であって、
真空容器と、
前記真空容器内に設けられ、基板を吸着するための基板吸着面を有する基板吸着手段と、
前記真空容器内に設けられ、マスクを支持するマスク支持ユニットと、
前記基板吸着手段と前記マスク支持ユニットとを前記基板吸着面に垂直な第1方向に移動させる昇降手段と、
前記基板吸着手段と前記マスク支持ユニットのうち少なくとも一つを前記基板吸着面と平行な面内で移動させるための位置移動機構と、
前記位置移動機構によって、前記マスクの開口が前記基板の複数の単位成膜領域のそれぞれに対応するようにして、前記単位成膜領域ごとに順番に成膜材料を成膜する成膜動作を行う制御部と、を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記位置移動機構によって、固定された前記マスク支持ユニットに対し前記基板吸着手段を移動させて、前記マスクの開口が前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対応するように制御することを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記基板と前記マスクにそれぞれ形成されたアライメントマークを含む画像を取得するためのアライメント用カメラと、前記基板吸着手段と前記マスク支持ユニットのうち少なくとも一つを前記基板吸着面に平行な面内で移動させるためのアライメントステージ機構と、をさらに備え、
前記制御部は、前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対する成膜動作の前に、前記アライメント用カメラで取得したアライメントマークの相対位置に基づいて、前記アライメントステージ機構によって、前記基板と前記マスクの相対位置を調整するアライメント動作を行うように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記マスクの開口と、前記基板の単位成膜領域を含む画像を取得するためのアライメント用カメラと、前記基板吸着手段と前記マスク支持ユニットのうち少なくとも一つを前記基板吸着面に平行な面内で移動させるためのアライメントステージ機構と、をさらに備え、
前記制御部は、前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対する成膜動作の前に、前記アライメント用カメラで取得した開口と単位成膜領域のピクセルとの相対位置に基づいて、前記アライメントステージ機構によって、前記単位成膜領域と前記開口の相対位置を調整するアライメント動作を行うように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記アライメント動作は、前記基板全体に対する前記マスクの相対位置を調整する第1アライメント動作と、前記単位成膜領域のそれぞれに対する前記開口の相対位置を調整する第2アライメント動作を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記マスク支持ユニットに対して前記基板吸着手段が設けられた側の反対側の、前記真空容器内に設けられ、成膜材料を収容する成膜源と、
前記真空容器内に設けられ、前記成膜源から飛散する成膜材料を前記マスクの開口に案内するガイド部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記ガイド部材は、前記成膜源の周縁部から前記第1方向に延びるガイド管を含むこと
を特徴とする請求項6に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記マスク支持ユニットに対して前記基板吸着手段が設置された側の反対側に、前記真空容器内で前記基板吸着面に平行な面内で移動可能に設置され、成膜材料を収容する成膜源をさらに備え、
前記制御部は、前記位置移動機構によって、固定された前記基板吸着手段に対し前記マスク支持ユニットを移動させて、前記マスクの開口が前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対応するように制御し、かつ、前記成膜源が前記開口に追従して移動するよう制御することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項9】
複数の単位成膜領域を有する基板に前記単位成膜領域に対応する開口を有するマスクを介して成膜材料を成膜するための成膜装置であって、
真空容器と、
前記真空容器内に設けられ、基板を吸着するための基板吸着面を有する基板吸着手段と、
前記真空容器内に設けられ、マスクを支持するマスク支持ユニットと、
前記基板吸着手段と前記マスク支持ユニットのうち少なくとも一つを前記基板吸着面と平行な面内で移動させるための位置移動機構と、
前記基板と前記マスクにそれぞれ形成されたアライメントマークを含む画像を取得するためのアライメント用カメラと、前記基板吸着手段と前記マスク支持ユニットのうち少なくとも一つを前記基板吸着面に平行な面内で移動させるためのアライメントステージ機構と、
前記成膜装置の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対する成膜動作の前に、前記アライメント用カメラで取得したアライメントマークの相対位置に基づいて、前記アライメントステージ機構によって、前記基板全体に対する前記マスクの相対位置を調整する第1アライメント動作と、前記単位成膜領域のそれぞれに対する前記開口の相対位置を調整する第2アライメント動作を含むアライメント動作を行うように制御し、前記位置移動機構によって、前記マスクの開口が前記基板の複数の単位成膜領域のそれぞれに対応するようにして、前記単位成膜領域ごとに順番に成膜材料を成膜する成膜動作を行うよう制御することを特徴とする成膜装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の成膜装置と、
マスクを収納するためのマスクストック装置と、
基板及び/又はマスクを搬送するための搬送装置と、を備えることを特徴とする電子デバイスの製造装置。
【請求項11】
基板とマスクを、基板面に平行な面内で相対的に位置調整するアライメント工程と、
前記アライメント工程の後に、前記マスクを介して前記基板に成膜を行う成膜工程と、を含む成膜方法であって、
前記基板は、複数の単位成膜領域を有し、前記マスクは、前記単位成膜領域に対応する開口を有し、
前記成膜工程では、前記マスクの開口が前記基板の複数の単位成膜領域のそれぞれに対応するようにして、前記単位成膜領域ごとに順番に成膜材料を成膜することを特徴とする成膜方法。
【請求項12】
前記成膜工程では、固定された前記マスクに対し前記基板を基板面に平行な面内で移動させて、前記マスクの開口を前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対応させることを特徴とする請求項11に記載の成膜方法。
【請求項13】
前記アライメント工程は、前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対する前記成膜工程の前に、前記基板と前記マスクのそれぞれに形成されたアライメントマークの相対位置に基づいて、前記基板と前記マスクの相対位置を調整することを含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の成膜方法。
【請求項14】
前記アライメント工程は、前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対する成膜工程の前に、開口と単位成膜領域のピクセルとの相対位置に基づいて、前記単位成膜領域と前記開口の相対位置を調整することを含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の成膜方法。
【請求項15】
前記アライメント工程は、前記基板全体に対する前記マスクの相対位置を調整する第1アライメント工程と、前記単位成膜領域のそれぞれに対する前記開口の相対位置を調整する第2アライメント工程を含むことを特徴とする請求項13又は14に記載の成膜方法。
【請求項16】
基板とマスクを、基板面に平行な面内で相対的に位置調整するアライメント工程と、
前記アライメント工程の後に、前記マスクを介して前記基板に成膜を行う成膜工程と、を含む成膜方法であって、
前記基板は、複数の単位成膜領域を有し、前記マスクは、前記単位成膜領域に対応する開口を有し、
前記複数の単位成膜領域のそれぞれに成膜材料を成膜する前記成膜工程は、前記基板全体に対する前記マスクの相対位置を調整する第1アライメント工程と、前記単位成膜領域のそれぞれに対する前記開口の相対位置を調整する第2アライメント工程と、を含むアライメント工程の後に行われることを特徴とする成膜方法。
【請求項17】
請求項11ないし16のいずれか1項に記載の成膜方法を用いて電子デバイスを製造することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置、電子デバイスの製造装置、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置(有機ELディスプレイ)は、スマートフォン、テレビ、自動車用ディスプレイだけでなく、VR HMD(Virtual Reality Head Mount Display)などにその応用分野が広がっており、特に、VR HMDに用いられるディスプレイは、ユーザの目まいを低減するために画素パターンを高精度で形成することが求められる。
【0003】
有機EL表示装置の製造においては、有機EL表示装置を構成する有機発光素子(有機EL素子;OLED)を形成する際に、成膜装置の成膜源から放出された成膜材料を、画素パターンが形成されたマスクを介して、基板に成膜することで、有機物層や金属層を形成する。この際、成膜源としては、通常、蒸発源が使われ、蒸発源では成膜材料を高温に加熱して蒸発させる。
【0004】
このような成膜装置においては、成膜工程の前に、基板とマスクのそれぞれに設けられているアライメントマークを用いて基板とマスクの相対位置を測定し、相対位置がずれている場合には、基板及び/又はマスクを相対的に移動させて位置を調整(アライメント)する。
【0005】
有機発光素子の有機物層や金属層などの成膜精度は、基板とマスクのアライメントの精度に影響を受ける。成膜工程の前に、又は成膜工程の進行中に基板とマスクの相対位置がずれると、成膜精度が落ちてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
成膜装置おいて、蒸発源側に配置されるマスクは、蒸発源からの輻射熱の影響を受けやすく、温度が上昇することがある。これに比べ、基板は、蒸発源との間にマスクが配置されていて輻射熱の影響が相対的に少なく、その裏面を吸着する静電チャックと接触するので、相対的に低い温度に維持される。
【0007】
このため、基板とマスクの熱膨張の程度に差が生じ、アライメントの精度に影響を及ぼす。即ち、相対的に高温であるマスクの熱膨張によって、成膜パターンを定義するマスクの開口の大きさが変化したり、開口の位置がずれたりすることがあり得る。その結果、成膜精度が落ち、成膜工程の歩留まりが低下する。
【0008】
また、基板とマスクが大型化するにつれ自重によって撓む現象が発生するが、材質や厚さなどの差によって撓みの程度にも差が生じる。さらに、マスクの大型化に伴いマスク加工精度が低下する懸念もある。その結果、基板上の素子形成領域とマスクの開口の位置がずれ、成膜精度を低下させる要因になる。
【0009】
本発明は、成膜精度の高い成膜装置、電子デバイスの製造装置、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様による成膜装置は、複数の単位成膜領域を有する基板に前記単位成膜領域に対応する開口を有するマスクを介して成膜材料を成膜するための成膜装置であって、真空容器と、前記真空容器内に設けられ、基板を吸着するための基板吸着面を有する基板吸着手段と、前記真空容器内に設けられ、マスクを支持するマスク支持ユニットと、前記基板吸着手段と前記マスク支持ユニットとを前記基板吸着面に垂直な第1方向に移動させる昇降手段と、前記基板吸着手段と前記マスク支持ユニットのうち少なくとも一つを前記基板吸着面と平行な面内で移動させるための位置移動機構と、前記位置移動機構によって、前記マスクの開口が前記基板の複数の単位成膜領域のそれぞれに対応するようにして、前記単位成膜領域ごとに順番に成膜材料を成膜する成膜動作を行う制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、成膜精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、電子デバイスの製造装置の一部の模式図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による成膜装置の模式図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による成膜装置の構成を説明するための模式的断面図である。
図4図4は、本発明の他の実施形態による成膜装置の構成を説明するための模式的断面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態による成膜装置によって製造される電子デバイスを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態及び実施例を説明する。ただし、以下の実施形態及び実施例は本発明の好ましい構成を例示的に示すものにすぎず、本発明の範囲はそれらの構成に限定されない。また、以下の説明における、装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成、処理フロー、製造条件、寸法、材質、形状などは、特定的な記載がないかぎりは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
本発明は、基板の表面に各種材料を堆積させて成膜を行う装置に適用することができ、真空蒸着によって所望のパターンの薄膜(材料層)を形成する装置に望ましく適用することができる。基板の材料としては、ガラス、高分子材料のフィルム、金属、シリコンなどの任意の材料を選択することができる。基板は、例えば、ガラス基板上にポリイミドなどのフィルムが積層された基板又はシリコンウエハであってもよい。また、蒸着材料としては、有機材料、金属性材料(金属、金属酸化物など)などの任意の材料を選択してもよい。なお、真空蒸着装置以外にも、スパッタ装置やCVD(Chemical Vapor
Deposition)装置を含む成膜装置にも、本発明を適用することができる。本発明の技術は、具体的には、有機電子デバイス(例えば、有機EL素子、薄膜太陽電池)、光学部材などの製造装置に適用可能である。その中でも、蒸着材料を蒸発させてマスクを介して基板に蒸着させることで有機EL素子を形成する有機EL素子の製造装置は、本発明の好ましい適用例の一つである。
【0015】
<電子デバイスの製造装置>
図1は、電子デバイスの製造装置の一部の構成を模式的に示す平面図である。
【0016】
図1の製造装置は、例えば、有機EL表示装置の表示パネルの製造に用いられる。VR
HMD用の表示パネルの場合、所定のサイズのシリコンウエハに有機EL素子の形成の
ための成膜を行った後、素子形成領域の間の領域(スクライブ領域)に沿って該シリコンウエハを切り出して、複数の小さなサイズのパネルを製作する。スマートフォン用の表示パネルの場合は、4.5世代の基板(約700mm×約900mm)や6世代のフルサイズ(約1500mm×約1850mm)又はハーフカットサイズ(約1500mm×約925mm)の基板に、有機EL素子の形成のための成膜を行った後、該基板を切り抜いて複数の小さなサイズのパネルを製作する。
【0017】
電子デバイスの製造装置は、一般的に、複数のクラスタ装置1と、クラスタ装置の間を繋ぐ中継装置とを含む。
【0018】
クラスタ装置1は、基板Wに対する処理(例えば、成膜)を行う複数の成膜装置11と、使用前後のマスクMを収納する複数のマスクストック装置12と、その中央に配置される搬送室13と、を具備する。搬送室13は、図1に示すように、複数の成膜装置11及びマスクストック装置12のそれぞれと接続される。
【0019】
搬送室13内には、基板W又はマスクMを搬送する搬送ロボット14が配置されている。搬送ロボット14は、上流側に配置された中継装置のパス室15から成膜装置11へと基板Wを搬送する。また、搬送ロボット14は、成膜装置11とマスクストック装置12との間でマスクMを搬送する。搬送ロボット14は、例えば、多関節アームに、基板W又はマスクMを保持するロボットハンドが取り付けられた構造を有するロボットである。
【0020】
成膜装置11(蒸着装置とも呼ぶ)では、蒸発源(成膜源)に収納された蒸着材料(成膜材料)がヒータによって加熱されて蒸発し、マスクMを介して基板W上に蒸着される。搬送ロボット14との基板W/マスクMの受け渡し、基板WとマスクMの相対位置の調整(アライメント)、マスクM上への基板Wの固定、成膜(蒸着)などの一連の成膜プロセスは、成膜装置11によって行われる。
【0021】
マスクストック装置12には、成膜装置11での成膜工程に使われる新しいマスクと、使用済みのマスクとが、二つのカセットに分けて収納される。搬送ロボット14は、使用済みのマスクを成膜装置11からマスクストック装置12のカセットに搬送し、マスクストック装置12の他のカセットから新しいマスクを成膜装置11に搬送する。
【0022】
クラスタ装置1には、基板Wの流れ方向において上流側からの基板Wを当該クラスタ装置1に搬送するパス室15と、当該クラスタ装置1で成膜処理が完了した基板Wを下流側の他のクラスタ装置に搬送するためのバッファー室16が連結される。搬送室13の搬送ロボット14は、上流側のパス室15から基板Wを受け取って、当該クラスタ装置1内の成膜装置11の一つに搬送する。また、搬送ロボット14は、当該クラスタ装置1での成膜処理が完了した基板Wを複数の成膜装置11の一つから受け取って、下流側に連結されたバッファー室16に搬送する。
【0023】
バッファー室16とその下流側のパス室15との間には、基板の向きを変える旋回室17が設置されてもよい。旋回室17には、バッファー室16から基板Wを受け取って、基板Wを180°回転させ、パス室15に搬送するための搬送ロボット18が設けられる。これにより、上流側のクラスタ装置と下流側のクラスタ装置で基板Wの向きが同じになり、基板処理が容易になる。
【0024】
パス室15、バッファー室16、旋回室17は、クラスタ装置間を連結する、いわゆる中継装置であり、クラスタ装置の上流側及び/又は下流側に設置される中継装置は、パス室、バッファー室、旋回室のうち少なくとも一つを含む。
【0025】
成膜装置11、マスクストック装置12、搬送室13、バッファー室16、旋回室17などは、有機発光素子の製造の過程で、高真空状態に維持される。パス室15は、通常低真空状態に維持されるが、必要に応じて高真空状態に維持されてもよい。本発明は、基板WとマスクMを、成膜装置11ではなく、別の装置又はチャンバーで合着させた後、これをキャリアに乗せて、一列に並んだ複数の成膜装置を通して搬送させながら成膜工程を行うインラインタイプの製造装置にも適用することができる。
【0026】
以下、成膜装置11の具体的な構成について説明する。
【0027】
<成膜装置>
図2は、成膜装置11の構成を示す模式図である。以下の説明においては、基板Wの成膜面に平行な面(XY平面)内で垂直に交差する二つの方向をX方向(第2方向)とY方向(第3方向)とし、基板Wの成膜面に垂直な鉛直方向をZ方向(第1方向)とするXYZ直交座標系を用いる。また、Z軸まわりの回転角(回転方向)をθで表す。
【0028】
成膜装置11は、真空雰囲気又は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気に維持される真空容器21と、真空容器21の内部に設けられる、基板支持ユニット22と、マスク支持ユニット23と、静電チャック24と、蒸発源25とを含む。
【0029】
基板支持ユニット22は、搬送室13に設けられた搬送ロボット14によって搬送される基板Wを受取って保持する手段であり、基板ホルダとも呼ばれる。
【0030】
マスク支持ユニット23は、搬送ロボット14によって搬送されるマスクMを受取って保持する手段であり、マスクホルダとも呼ばれる。
【0031】
マスクMは、基板W上に形成する薄膜パターンに対応する開口パターンを有し、マスク支持ユニット23によって支持される。マスクMは、例えば、シリコンやガラスなどの透光性材料から成るか、又は、FMM(Fine Metal Mask)と呼ばれる金属製のマスクである。
【0032】
本発明の実施形態によれば、マスクMの開口は、基板Wの素子形成領域のサイズより小さく、単位成膜領域のサイズに相当する。本明細書でいう「単位成膜領域」とは、基板WとマスクMをアライメントした後に成膜材料を成膜する、素子形成領域の一部分を指す。したがって、基板Wの素子形成領域は、複数の単位成膜領域に分割される。例えば、X方向及びY方向にそれぞれ複数の単位成膜領域が並設された構成とする。
【0033】
基板支持ユニット22の上方には、基板Wを吸着して固定するための基板吸着手段としての静電チャック24が設けられる。
【0034】
静電チャック24は、電極と吸着面との間に相対的に抵抗が高い誘電体が介在して、電極と被吸着体との間のクーロン力によって吸着が行われるクーロン力タイプの静電チャックであってもよく、電極と吸着面との間に相対的に抵抗が低い誘電体が介在して、誘電体の吸着面と被吸着体との間に発生するジョンソン・ラーベック力によって吸着が行われるジョンソン・ラーベック力タイプの静電チャックであってもよく、不均一電界によって被吸着体を吸着するグラジエント力タイプの静電チャックであってもよい。
【0035】
被吸着体が導体又は半導体(シリコンウエハ)である場合には、クーロン力タイプの静電チャック又はジョンソン・ラーベック力タイプの静電チャックを用いることが好ましい。被吸着体がガラスのような絶縁体である場合には、グラジエント力タイプの静電チャックを用いることが好ましい。
【0036】
静電チャック24は、一つのプレートで形成されてもよく、吸着力を独立的に制御できる複数のサブプレートを有するように形成されてもよい。また、一つのプレートで形成される場合にも、その内部に複数の電極部を有し、一つのプレート内で電極部毎に吸着力を独立的に制御することができるようにしてもよい。
【0037】
基板吸着手段として、静電引力による静電チャックの他に、粘着力による粘着式のチャックを使ってもよい。
【0038】
成膜装置11の一実施形態においては、静電チャック24の吸着面とは反対側に基板Wの温度上昇を抑える冷却板30を設けることで、基板W上に堆積された有機材料の変質や劣化を抑制する構成としてもよい。
【0039】
成膜源としての蒸発源25は、基板に成膜される蒸着材料が収納されるるつぼ(不図示)、るつぼを加熱するためのヒータ(不図示)、蒸着材料が基板に飛散することを阻むシャッタ(不図示)などを含む。蒸発源25は、点(point)蒸発源や線状(linear)蒸発源、面状蒸発源など、用途に従って多様な構成を有することができる。
【0040】
成膜装置11は、基板に蒸着された膜の厚さを測定するための膜厚モニタ(不図示)及び膜厚算出ユニット(不図示)を含む。
【0041】
真空容器21の上部外側(大気側)には、基板支持ユニットアクチュエータ26、マスク支持ユニットアクチュエータ27、静電チャックアクチュエータ28、位置調整機構29などが設けられる。基板支持ユニットアクチュエータ26は、基板支持ユニット22を昇降(Z方向移動)させるための駆動手段である。マスク支持ユニットアクチュエータ27は、マスク支持ユニット23を昇降(Z方向移動)させるための駆動手段である。静電チャックアクチュエータ28は、静電チャック24を昇降(Z方向移動)させるための駆動手段である。これらのアクチュエータと位置調整機構は、例えば、モータとボールねじ、又はモータとリニアガイドなどで構成される。
【0042】
位置調整機構29は、基板WとマスクMとの相対位置を調整するアライメントステージ機構である。位置調整機構29は、静電チャック24又は静電チャックアクチュエータ28全体を基板支持ユニット22及びマスク支持ユニット23に対して、XYθ方向(X方向、Y方向、回転方向の少なくとも一つの方向)に移動及び/又は回転させる。なお、本実施形態では、基板Wを吸着した状態で、静電チャック24をXYθ方向に位置調整することで、基板WとマスクMの相対位置を調整する。ただし、位置調整機構29は、基板支持ユニット22又は基板支持ユニットアクチュエータ26及びマスク支持ユニット23又はマスク支持ユニットアクチュエータ27を、静電チャック24に対してXYθ方向に相対的に移動させる構成としてもよい。
【0043】
成膜装置11は位置移動機構34(図3又は図4参照)をさらに含む。位置移動機構34は、基板Wの素子形成領域を構成する複数の単位成膜領域のそれぞれにマスクMの開口が順次に対応するよう、静電チャック24又は静電チャックアクチュエータ28と、マスク支持ユニット23又はマスク支持ユニットアクチュエータ27とを、X方向及び/又はY方向に所定距離ずつ相対的に移動させるための駆動手段である。
【0044】
真空容器21の外側上面には、真空容器21の上面に設けられた透明窓を介して、基板W及びマスクMに形成されたアライメントマークを撮影するためのアライメント用カメラ31が設置される。アライメント用カメラ31は、基板W及びマスクMに形成されたアライメントマークに対応する位置に設けられる。例えば、円形の基板Wにおいて矩形をなす
四つのコーナーのうち、少なくとも対角上の二つのコーナー又は四つのコーナーすべてにアライメント用カメラ31を設置してもよい。
【0045】
成膜装置11に設置されるアライメント用カメラ31は、基板WとマスクMとの相対的な位置を高精度で調整するのに使われるファインアライメント用カメラであり、その視野角は狭いが高解像度を持つカメラである。成膜装置11は、ファインアライメント用カメラ31の他に相対的に視野角が広くて低解像度であるラフアライメント用カメラを有してもよい。アライメント用カメラ31がファインアライメント用カメラとラフアライメント用カメラの両方を含む構成においては、二つのラフアライメント用カメラが矩形の対角上の二つのコーナー部に設置され、ファインアライメント用カメラは残りの二つのコーナー部に設置される。
【0046】
本発明の一実施形態では、基板Wの単位成膜領域とマスクMの開口を撮像するように、アライメント用カメラ31が設けられる。この場合、基板WとマスクMにはアライメントマークが設置されなくてもよい。上記構成によれば、撮像された画像における単位成膜領域の特定位置のピクセル(例えば、長方形の単位成膜領域でコーナーに位置する対角線上の二つ又は四つのピクセル)と、マスクの開口とを比較して、各単位成膜領域とマスクMとのアライメントを行う。
【0047】
成膜装置11は、アライメント用カメラ31によってアライメントマークを撮影するために、アライメントマークを照らす照明用光源をさらに含む。成膜工程において密閉される真空容器21の内部は暗いので、光源でアライメントマークを照明することにより、より鮮明な画像を取得することができる。
【0048】
成膜装置11は、制御部33を具備する。制御部33は、基板W/マスクMの搬送及びアライメント、蒸発源25の制御、成膜の制御などの機能を有する。特に、本実施形態による制御部33は、基板Wの複数の単位成膜領域それぞれに対して、順次マスクMの開口とのアライメントを行い、成膜動作を実施するが、これについては後述する。
【0049】
制御部33は、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ、I/Oなどを持つコンピュータによって構成可能である。この場合、制御部33の機能はメモリ又はストレージに格納されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。コンピュータとしては、汎用のパーソナルコンピュータを使用してもよく、組込み型のコンピュータ又はPLC(programmable logic controller)を使用してもよい。又は、制御部33の機能の一部又は全部をASICやFPGAのような回路で構成してもよい。また、成膜装置ごとに制御部が設置されていてもよく、一つの制御部33が複数の成膜装置を制御するように構成してもよい。
【0050】
次に、図3及び図4を参照して、本発明の実施形態による成膜装置について説明する。
【0051】
本発明の実施形態による成膜装置11a、11bでは、基板Wの複数の単位成膜領域のそれぞれに対し、順次に、マスクMの開口とのアライメントを行い成膜動作を行う。したがって、基板Wの全体の大きさに比べて相対的に小さい領域に対して、アライメントと成膜動作が行われるので、熱膨張による基板WとマスクMの位置ずれを抑制することができる。また、加工精度を保ちやすい小型のマスクを用いることができ、より精度の高い成膜が可能となる。
【0052】
また、後述のように、基板WとマスクMを所定の間隔で離隔させた状態で成膜動作が行われるので、基板W及び/又はマスクMの撓みによる成膜精度の低下を抑制することができる。また、基板WとマスクMの接触・剥離のための上下移動工程を省略でき、成膜時間
を短縮できる。また、基板W及びマスクMを上下移動させる機構をそれぞれ省略することもできる。
【0053】
基板Wの素子形成領域は、複数の単位成膜領域に分けられる。このような区分は、特定の時点に成膜動作を行う領域を仮想的に区分することであり、物理的な区分を意味するわけではない。そしてマスクMの開口は、図3及び図4に図示されるように、基板Wの素子形成領域全体ではなく、単位成膜領域の大きさに対応する。
【0054】
単位成膜領域に対するマスクMのアライメントのために、基板Wのアライメントマークは素子形成領域内に位置する。例えば、アライメントマークは、素子形成領域の各パネル単位でスクライブ領域に設置されるか、又は、単位成膜領域の単位で設けられる。
【0055】
又は、実施形態によっては、素子形成領域内にはアライメントマークが設置されない。この場合は、単位成膜領域に含まれる所定の位置のピクセルとこれに対応するマスクの開口がアライメントマークとして機能する。例えば、単位成膜領域に含まれるピクセルのうち、四角形のコーナーそれぞれに位置する、対角線方向の二つのピクセル又は四つのピクセルと、これらピクセルにそれぞれ対応する開口を用いて、アライメントを行う。
【0056】
図3は本発明の一実施形態による成膜装置11aの構成を説明するための模式的断面図である。図3の成膜装置11aでは、基板Wを吸着して保持する静電チャック24と、マスクMを支持するマスク支持ユニット23と、静電チャックアクチュエータ28と、マスク支持ユニットアクチュエータ27と、位置調整機構29などについての図示は省略している。
【0057】
本発明の一実施形態による成膜装置11aは、真空容器21と、静電チャック24と、マスク支持ユニット23と、静電チャックアクチュエータ28と、位置調整機構29と、蒸発源25と、成膜装置11aの動作を制御する制御部33を含む。
【0058】
また成膜装置11aは、静電チャック24又は静電チャックアクチュエータ28に連結されて静電チャック24をXY方向のうち少なくとも一つの方向に移動させるための位置移動機構34をさらに含む。位置移動機構34は、静電チャック24又は静電チャックアクチュエータ28をX方向とY方向のうち少なくとも一つの方向に所定距離(例えば、長方形の単位成膜領域のX方向及び/又はY方向の辺の長さ)移動させることによって、基板の複数の単位成膜領域それぞれとマスクの開口とが順次に対応するようにする。位置移動機構34は、例えば、モータとボールネジ、又は、モータとリニアガイドなどで構成される。
【0059】
本実施形態において、位置移動機構34は、静電チャック24と静電チャックに吸着されている基板Wを移動させ、マスク支持ユニット23とマスク支持ユニットに支持されているマスクMは移動させない。この構成によれば、基板Wの単位成膜領域それぞれに対するマスクMの開口とのアライメントのために、アライメント用カメラ31を移動させる必要がなく、また成膜工程では蒸発源25の位置を移動させる必要もない。
【0060】
位置移動機構34が基板Wを移動させることによって基板Wの複数の単位成膜領域のうち一つがマスクMの開口に対応する位置に移動したら、位置調整機構29は基板WとマスクMのアライメントを行う。本実施形態によれば、位置調整機構29によるアライメントは、基板Wに対するアライメントである全体アライメント(第1アライメント)と、単位成膜領域それぞれに対する部分アライメント(第2アライメント)を含む。実施形態によって、複数の単位成膜領域それぞれに対し部分アライメントを行うたびに全体アライメントも同時に行うか、又は、基板Wに対し全体アライメントを行った後、それ以降は、部分
アライメントだけを行う。
【0061】
図3に図示されるように、本発明の一実施形態による成膜装置11aは、蒸発源25から飛散する成膜材料を、マスクMの開口に案内するガイド部材35をさらに含む。これにより、蒸発源25から飛散する成膜材料のうちガイド部材35によってガイドされる成膜材料だけが、マスクMの開口を通過し基板Wに成膜される。
【0062】
例えば、ガイド部材35は、蒸発源25を囲んでZ方向に延びる円柱又は直方体形状のガイド管である。この場合、ガイド管は蒸発源25からマスク支持ユニット23によって支持されているマスクMに近接する位置まで長く延びることが好ましい。これにより、蒸発源25から任意の方向に飛散する成膜材料のうち、Z方向から斜めにガイド管の壁側へ向かう成膜材料はガイド管の壁に付着し、実質的にZ方向に向かう成膜材料(すなわち、Z方向に直進する成膜材料)だけがマスクMの開口を通過して基板Wに蒸着される。したがって、基板WとマスクMを所定の間隔に離隔させた状態で成膜動作を行っても、高い精度で成膜が可能となる。
【0063】
図4は本発明の他の実施形態による成膜装置11bの構成を説明するための模式的断面図である。図4の成膜装置11bでも、基板Wを吸着して保持する静電チャック24と、マスクMを支持するマスク支持ユニット23と、静電チャックアクチュエータ28と、マスク支持ユニットアクチュエータ27と、位置調整機構29などの図示は省略している。
【0064】
本発明の一実施形態による成膜装置11bは、真空容器21と、静電チャック24と、マスク支持ユニット23と、静電チャックアクチュエータ28と、位置調整機構29と、蒸発源25と、成膜装置11bの動作を制御する制御部33を含む。
【0065】
また、成膜装置11bは、マスク支持ユニット23又はマスク支持ユニットアクチュエータ27に連結され、マスク支持ユニット23をXY方向のうち少なくとも一つの方向に移動させるための位置移動機構34をさらに含む。位置移動機構34は、マスク支持ユニット23又はマスク支持ユニットアクチュエータ27をX方向とY方向のうち少なくとも一つの方向に所定距離(例えば、長方形の単位成膜領域のX方向及び/又はY方向の辺の長さ)移動させることによって、基板の複数の単位成膜領域それぞれとマスクの開口とが順次に対応するようにする。
【0066】
本実施形態において、位置移動機構34は、マスク支持ユニット23とマスク支持ユニットに支持されているマスクMを移動させ、静電チャック24と静電チャックに吸着している基板Wは移動させない。この構成によれば、基板Wは移動しないので、アライメントのためにアライメント用カメラ31を移動させる必要がない。また、蒸発源25に別途のガイド部材35(図3参照)が設置されなくてもよい。
【0067】
位置移動機構34がマスクMを移動させることによって基板Wの複数の単位成膜領域のうち一つがマスクMの開口に対応する位置に移動したら、位置調整機構29は基板WとマスクMのアライメントを行う。本実施形態によれば、位置調整機構29によるアライメントは、基板Wに対するアライメントである全体アライメントと、単位成膜領域それぞれに対する部分アライメントを含む。実施形態によって、複数の単位成膜領域それぞれに対し部分アライメントを行うたびに全体アライメントも同時に行うか、又は、基板Wに対し全体アライメントを行った後、それ以降は、部分アライメントだけを行う。
【0068】
本実施形態によれば、蒸発源25はマスクMの開口(点線で表示)のZ軸方向下方に位置することが好ましい。このため、マスクMが位置移動機構34によって移動するにつれ、蒸発源25もマスクMに追従して移動するように、蒸発源25をXY方向のうち少なく
とも一つの方向に移動させるための駆動機構を含む。これにより、蒸発源25から飛散する成膜材料のうち、Z軸方向に向かう成膜材料だけがマスクMの開口を通過し基板Wに成膜される。したがって、基板WとマスクMを所定の間隔で離隔させた状態で成膜工程を行っても、高い精度で成膜が可能となる。
【0069】
<成膜方法>
以下、図3又は図4に示す本発明の一実施形態による成膜装置11a、11bにおける成膜方法について説明する。
【0070】
まず、真空容器21内のマスク支持ユニット23にマスクMが支持された状態で、搬送室13の搬送ロボット14によって成膜装置11の真空容器21内に基板Wが搬入される。
【0071】
そして、制御部33は、静電チャック24に基板吸着電圧を印加し、搬送ロポット14によって真空容器21内に搬入され基板支持ユニット22に支持されている基板Wを静電チャック24に吸着させる。実施形態によっては、搬送ロポット14によって真空容器21に搬入された基板Wを静電チャック24に吸着させてもよい。基板Wを静電チャック24に吸着させる際に、静電チャック24の吸着面全体に基板Wの全面を同時に吸着させてもよく、静電チャック24の複数の領域のうち一の領域から他の領域に向かって順次に基板Wを吸着させてもよい。
【0072】
次いで、基板WとマスクMの相対位置の調整のために、第1のアライメント(全体アライメント)を行う。このために、まず、制御部33は、静電チャック24に吸着された基板Wとマスク支持ユニット23によって支持されたマスクMとの間の距離が、予め設定された全体アライメント計測距離になるまで、静電チャック24とマスク支持ユニット23を相対的に移動(例えば、マスク支持ユニット23を下降)させる。
【0073】
基板WとマスクMとの間の距離が所定の全体アライメント計測距離になると、アライメント用カメラ31により、基板W及びマスクMのアライメントマークを撮像し、XYθ方向における基板WとマスクMの相対位置を測定し、これに基づいて、両者間の相対位置ずれ量を算出する。
【0074】
そして、制御部33は、算出された相対位置ずれ量に基づいて、静電チャック24とマスク支持ユニット23を相対的に移動させて、基板W全体に対するマスクMの相対位置を調整する。
【0075】
全体アライメントが完了すると、基板Wの単位成膜領域での、基板WとマスクMの相対位置の調整のために、第2のアライメント(部分アライメント)を行う。部分アライメントは、基板Wの素子形成領域を構成する複数の単位成膜領域のうち、先ず、一番目の単位成膜領域に対して行われる。
【0076】
このため、制御部33は、まず、マスク支持ユニットアクチュエータ27によってマスク支持ユニット23を上昇させ、マスクMが基板Wに対して部分アライメント計測位置まで来るようにする。実施形態によっては、部分アライメント計測位置は全体アライメント計測位置と同じ位置であってもよく、この場合にはマスク支持ユニット23を上昇させない。そして、マスクMが基板Wに対して部分アライメント計測位置に来ると、アライメント用カメラ31で基板WとマスクMのアライメントマークを撮像し、XYθ方向における基板WとマスクMの相対位置ずれ量を測定する。この時、基板Wのアライメントマークは、素子形成領域の各パネル単位でスクライブ領域に設置されるか、又は、単位成膜領域の単位で素子形成領域内に設置されている。
【0077】
部分アライメント計測位置における基板WとマスクMとの間の相対位置ずれ量が所定の閾値より大ければ、測定された相対位置ずれ量に基づいて、制御部33は、位置調整機構29を制御し、基板W及び/又はマスクMの相対位置をXYθ方向に調整する。
【0078】
このような過程を、基板WとマスクMの相対位置ずれ量が所定の閾値より小さくなるまで繰り返す。
【0079】
そして、基板WとマスクMの相対位置ずれ量が所定の閾値よりも小さくなると、該単位成膜領域に対して成膜動作を行う。このため、制御部33は、まず、静電チャック24に吸着された基板WとマスクMが所定の距離離間するように、静電チャック24とマスク支持ユニット23の少なくとも一方を上昇又は下降させる。
【0080】
そして、本実施形態においては、基板WとマスクMが所定の距離離間した状態で、成膜動作を開始する。制御部33は、蒸発源25のシャッタを開け、蒸発した成膜材料をマスクMを介して基板Wに成膜する。
【0081】
以上の過程を通じて、複数の単位成膜領域のうち一番目の単位成膜領域に対する成膜動作が完了すると、制御部33は、位置移動機構34を制御し、二番目の単位成膜領域にマスクMの開口が対応するように、基板WとマスクMを相対的に移動させる。前述した図3の成膜装置11aでは基板WがXY方向に移動し、前述した図4の成膜装置11bではマスクMがXY方向に移動する。このとき、制御部33は、蒸発源25のシャッターを閉じて、蒸発した成膜材料がマスクM方向に放出されないようにする。
【0082】
本実施形態では、一番目の単位成膜領域に対する成膜動作が基板WとマスクMが離隔された状態で行われるので、位置移動機構34による基板WとマスクMの相対移動のために、基板W又はマスクMをZ方向に再び昇降させる必要はない。しかし、これに限定されず、必要に応じて、基板W又はマスクMをZ方向に昇降させてもよい。
【0083】
次いで、二番目の単位成膜領域に対するアライメント動作を行う。二番目の単位成膜領域に対するアライメントは、前述した全体アライメント(第1アライメント)をもう一度行ってから、二番目の単位成膜領域に対する部分アライメント(第2アライメント)を行ってもよい。又は、全体アライメントは再度行わずに部分アライメントだけを行ってもよい。
【0084】
次いで、基板WとマスクMが所定の距離離隔された状態で、二番目の単位成膜領域に対する成膜動作を開始する。制御部33は、蒸発源25のシャッターを開いて、蒸発した成膜材料をマスクMを介して基板Wに成膜する。
【0085】
以上で説明した位置移動機構34による基板WとマスクMとの相対移動と、各単位成膜領域に対するアライメント動作及び成膜動作は、素子形成領域の全体に対して成膜材料の成膜が完了するまで繰り返し行われる。
【0086】
なお、上述の説明では、成膜装置11a、11bは、基板Wの成膜面が鉛直方向下方を向いた状態で成膜が行われる、いわゆる上向蒸着方式(デポアップ)の構成としたが、本発明はこれに限定はされず、基板Wが真空容器21の側面側に垂直に立てられた状態で配置され、基板Wの成膜面が重力方向と平行な状態で成膜が行われる構成であってもよい。
【0087】
<電子デバイスの製造方法>
次に、本実施形態の成膜装置を用いた電子デバイスの製造方法の一例を説明する。以下
、電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成及び製造方法を例示する。
【0088】
まず、製造する有機EL表示装置について説明する。図5(a)は有機EL表示装置60の全体図、図5(b)は1画素の断面構造を表している。
【0089】
図5(a)に示すように、有機EL表示装置60の表示領域61には、発光素子を複数備える画素62がマトリクス状に複数配置されている。詳細は後で説明するが、発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。なお、ここでいう画素とは、表示領域61において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。本実施例にかかる有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子62R、第2発光素子62G、第3発光素子62Bの組合せにより画素62が構成されている。画素62は、赤色発光素子と緑色発光素子と青色発光素子の組合せで構成されることが多いが、黄色発光素子とシアン発光素子と白色発光素子の組み合わせでもよく、少なくとも1色以上であれば特に制限されるものではない。
【0090】
また、画素62を同じ発光を示す複数の発光素子で構成し、それぞれの発光素子に対応するように複数の異なる色変換素子がパターン状に配置されたカラーフィルタを用いて、一つの画素が表示領域61において所望の色の表示を可能としてもよい。例えば、画素62を少なくとも三つの白色発光素子で構成し、それぞれの発光素子に対応するように、赤色、緑色、青色の各色変換素子が配列されたカラーフィルタを用いてもよい。あるいは、画素62を少なくとも三つの青色発光素子で構成し、それぞれの発光素子に対応するように、赤色、緑色、無色の各色変換素子が配列されたカラーフィルタを用いてもよい。後者の場合には、カラーフィルタを構成する材料として量子ドット(Quantum Dot:QD)材料を用いた量子ドットカラーフィルタ(QD-CF)を用いることで、量子ドットカラーフィルタを用いない通常の有機EL表示装置よりも表示色域を広くすることができる。
【0091】
図5(b)は、図5(a)のA-B線における部分断面模式図である。画素62は、基板63上に、陽極64と、正孔輸送層65と、発光層66R、66G、66Bのいずれかと、電子輸送層67と、陰極68と、を備える有機EL素子を有している。これらのうち、正孔輸送層65、発光層66R、66G、66B、電子輸送層67が有機層に当たる。また、本実施形態では、発光層66Rは赤色を発する有機EL層、発光層66Gは緑色を発する有機EL層、発光層66Bは青色を発する有機EL層である。なお、上述のようにカラーフィルタ又は量子ドットカラーフィルタを用いる場合には、各発光層の光出射側、すなわち、図5(b)の上部又は下部にカラーフィルタ又は量子ドットカラーフィルタが配置されるが、図示は省略する。
【0092】
発光層66R、66G、66Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。また、陽極64は、発光素子ごとに分離して形成されている。正孔輸送層65と電子輸送層67と陰極68は、複数の発光素子62R、62G、62Bに対して共通で形成されていてもよいし、発光素子毎に形成されていてもよい。なお、陽極64と陰極68とが異物によってショートするのを防ぐために、陽極64間に絶縁層69が設けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層70が設けられている。
【0093】
図5(b)では正孔輸送層65や電子輸送層67が一つの層で示されているが、有機EL表示素子の構造によって、正孔ブロック層や電子ブロック層を含む複数の層で形成されてもよい。また、陽極64と正孔輸送層65との間には陽極64から正孔輸送層65への正孔の注入が円滑に行われるようにすることのできるエネルギーバンド構造を有する正孔
注入層を形成することもできる。同様に、陰極68と電子輸送層67の間にも電子注入層を形成することもできる。
【0094】
次に、有機EL表示装置の製造方法の例について具体的に説明する。
【0095】
まず、有機EL表示装置を駆動するための回路(不図示)及び陽極64が形成された基板63を準備する。
【0096】
陽極64が形成された基板63の上にアクリル樹脂をスピンコートで形成し、アクリル樹脂をリソグラフィ法により、陽極64が形成された部分に開口が形成されるようにパターニングし絶縁層69を形成する。この開口部が、発光素子が実際に発光する発光領域に相当する。
【0097】
絶縁層69がパターニングされた基板63を第1の有機材料成膜装置に搬入し、静電チャックにて基板を保持し、正孔輸送層65を、表示領域の陽極64の上に共通する層として成膜する。正孔輸送層65は真空蒸着により成膜される。実際には正孔輸送層65は表示領域61よりも大きなサイズに形成されるため、高精細なマスクは不要である。
【0098】
次に、正孔輸送層65までが形成された基板63を第2の有機材料成膜装置に搬入し、静電チャックにて保持する。基板とマスクとのアライメントを行い、マスクを静電チャック24に基板を介して吸着させた後、基板63の赤色を発する素子を配置する部分に、赤色を発する発光層66Rを成膜する。
【0099】
発光層66Rの成膜と同様に、第3の有機材料成膜装置により緑色を発する発光層66Gを成膜し、さらに第4の有機材料成膜装置により青色を発する発光層66Bを成膜する。発光層66R、66G、66Bの成膜が完了した後、第5の成膜装置により表示領域61の全体に電子輸送層67を成膜する。電子輸送層67は、3色の発光層66R、66G、66Bに共通の層として形成される。
【0100】
電子輸送層67まで形成された基板を金属性蒸着材料成膜装置に移動させて陰極68を成膜する。
【0101】
本発明によると、基板とマスクを離間した状態で、小領域単位ごとにアライメント動作及び成膜動作を実施することで、成膜精度及び成膜動作の歩留まりを向上させることができる。
【0102】
その後、プラズマCVD装置に移動して保護層70を成膜して、有機EL表示装置60が完成する。
【0103】
絶縁層69がパターニングされた基板63を成膜装置に搬入してから保護層70の成膜が完了するまでは、水分や酸素を含む雰囲気にさらしてしまうと、有機EL材料からなる発光層が水分や酸素によって劣化してしまうおそれがある。従って、本例において、成膜装置間の基板の搬入搬出は、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気の下で行われる。
【0104】
前記実施例は本発明の一例を示すものでしかなく、本発明は前記実施例の構成に限定されないし、その技術思想の範囲内で適宜に変形してもよい。
【符号の説明】
【0105】
11:成膜装置、21:真空容器、22:基板支持ユニット、23:マスク支持ユニット、24:静電チャック、25:蒸発源、26:基板支持ユニットアクチュエータ、27:
マスク支持ユニットアクチュエータ、28:静電チャックアクチュエータ、29:位置調整機構、31:アライメント用カメラ、33:制御部、34:位置移動機構、35:ガイド部材
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-01-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位成膜領域を有する基板に前記単位成膜領域に対応する開口を有するマスクを介して成膜材料を成膜するための成膜装置であって、
真空容器と、
前記真空容器内に設けられ、前記基板を吸着するための基板吸着面を有する基板吸着手段と、
前記真空容器内に設けられ、前記マスクを支持するマスク支持ユニットと、
記基板吸着手段と前記マスク支持ユニットのうち少なくとも一つを前記基板吸着面と平行な面内で移動させるための位置移動機構と、
前記位置移動機構によって、前記口が前記数の単位成膜領域のそれぞれに対応するようにして、前記成膜材料を成膜する成膜動作を前記単位成膜領域ごとに順次う制御部と、を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記位置移動機構によって、固定された前記マスク支持ユニットに対し前記基板吸着手段を移動させて、前記口が前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対応するように制御することを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記基板と前記マスクにそれぞれ形成されたアライメントマークを含む画像を取得するためのアライメント用カメラと、前記基板吸着手段と前記マスク支持ユニットのうち少なくとも一つを前記基板吸着面に平行な面内で移動させるためのアライメントステージ機構と、をさらに備え、
前記制御部は、前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対する前記成膜動作の前に、前記アライメント用カメラで取得したアライメントマークの相対位置に基づいて、前記アライメントステージ機構によって、前記基板と前記マスクの相対位置を調整するアライメント動作を行うように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記口と、前記位成膜領域を含む画像を取得するためのアライメント用カメラと、前記基板吸着手段と前記マスク支持ユニットのうち少なくとも一つを前記基板吸着面に平行な面内で移動させるためのアライメントステージ機構と、をさらに備え、
前記制御部は、前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対する前記成膜動作の前に、前記
アライメント用カメラで取得した前記開口と前記単位成膜領域のピクセルとの相対位置に基づいて、前記アライメントステージ機構によって、前記単位成膜領域と前記開口の相対位置を調整するアライメント動作を行うように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記アライメント動作は、前記基板全体に対する前記マスクの相対位置を調整する第1アライメント動作と、前記単位成膜領域のそれぞれに対する前記開口の相対位置を調整する第2アライメント動作を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記マスク支持ユニットに対して前記基板吸着手段が設けられた側の反対側の、前記真空容器内に設けられ、成膜材料を収容する成膜源と、
前記真空容器内に設けられ、前記成膜源から飛散する成膜材料を前記マスクの開口に案内するガイド部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記ガイド部材は、前記成膜源の周縁部から前記基板吸着面に垂直な第1方向に延びるガイド管を含むことを特徴とする請求項6に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記マスク支持ユニットに対して前記基板吸着手段が設置された側の反対側に、前記真空容器内で前記基板吸着面に平行な面内で移動可能に設置され、成膜材料を収容する成膜源をさらに備え、
前記制御部は、前記位置移動機構によって、固定された前記基板吸着手段に対し前記マスク支持ユニットを移動させて、前記口が前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対応するように制御し、かつ、前記成膜源が前記開口に追従して移動するよう制御することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項9】
複数の単位成膜領域を有する基板に前記単位成膜領域に対応する開口を有するマスクを介して成膜材料を成膜するための成膜装置であって、
真空容器と、
前記真空容器内に設けられ、前記基板を吸着するための基板吸着面を有する基板吸着手段と、
前記真空容器内に設けられ、前記マスクを支持するマスク支持ユニットと、
前記基板吸着手段と前記マスク支持ユニットのうち少なくとも一つを前記基板吸着面と平行な面内で移動させるための位置移動機構と、
記基板吸着手段と前記マスク支持ユニットのうち少なくとも一つを前記基板吸着面に平行な面内で移動させるためのアライメントステージ機構と、
前記成膜装置の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、記アライメントステージ機構によって、前記基板全体に対する前記マスクの相対位置を調整する第1アライメント動作と記単位成膜領域対する前記開口の相対位置を調整する第2アライメント動作を含むアライメント動作を行った後に、前記位置移動機構によって、前記口が前記数の単位成膜領域のそれぞれに対応するようにして、前記成膜材料を成膜する成膜動作を前記単位成膜領域ごとに順次うよう制御することを特徴とする成膜装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の成膜装置と、
マスクを収納するためのマスクストック装置と、
基板及び/又はマスクを搬送するための搬送装置と、を備えることを特徴とする電子デバイスの製造装置。
【請求項11】
複数の単位成膜領域を有する基板と前記単位成膜領域に対応する開口を有するマスクを
、基板面に平行な面内で相対的に位置調整するアライメント工程と、
前記アライメント工程の後に、前記マスクを介して前記基板に成膜を行う成膜工程と、を含
前記成膜工程では、前記口が前記数の単位成膜領域のそれぞれに対応するようにして、前記単位成膜領域ごとに順次前記成膜材料を成膜することを特徴とする成膜方法。
【請求項12】
前記成膜工程では、固定された前記マスクに対し前記基板を基板面に平行な面内で移動させて、前記口を前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対応させることを特徴とする請求項11に記載の成膜方法。
【請求項13】
前記アライメント工程は、前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対する前記成膜工程の前に、前記基板と前記マスクのそれぞれに形成されたアライメントマークの相対位置に基づいて、前記基板と前記マスクの相対位置を調整することを含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の成膜方法。
【請求項14】
前記アライメント工程は、前記複数の単位成膜領域のそれぞれに対する成膜工程の前に、前記開口と前記単位成膜領域のピクセルとの相対位置に基づいて、前記単位成膜領域と前記開口の相対位置を調整することを含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の成膜方法。
【請求項15】
前記アライメント工程は、前記基板全体に対する前記マスクの相対位置を調整する第1アライメント工程と、前記単位成膜領域のそれぞれに対する前記開口の相対位置を調整する第2アライメント工程を含むことを特徴とする請求項13又は14に記載の成膜方法。
【請求項16】
複数の単位成膜領域を有する基板と前記単位成膜領域に対応する開口を有するマスクを、基板面に平行な面内で相対的に位置調整するアライメント工程と、
前記アライメント工程の後に、前記マスクを介して前記基板に成膜を行う成膜工程と、を含
前記複数の単位成膜領域のそれぞれに成膜材料を成膜する前記成膜工程は、前記基板全体に対する前記マスクの相対位置を調整する第1アライメント工程と、前記単位成膜領域対する前記開口の相対位置を調整する第2アライメント工程と、を含むアライメント工程の後に行われることを特徴とする成膜方法。
【請求項17】
請求項11ないし16のいずれか1項に記載の成膜方法を用いて電子デバイスを製造することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の第1態様による成膜装置は、複数の単位成膜領域を有する基板に前記単位成膜領域に対応する開口を有するマスクを介して成膜材料を成膜するための成膜装置であって、真空容器と、前記真空容器内に設けられ、前記基板を吸着するための基板吸着面を有する基板吸着手段と、前記真空容器内に設けられ、前記マスクを支持するマスク支持ユニットと、記基板吸着手段と前記マスク支持ユニットのうち少なくとも一つを前記基板吸着面と平行な面内で移動させるための位置移動機構と、前記位置移動機構によって、前記口が前記数の単位成膜領域のそれぞれに対応するようにして、前記成膜材料を成膜する
成膜動作を前記単位成膜領域ごとに順次う制御部と、を備えることを特徴とする。