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特開2022-60393画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、および画像処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060393
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、および画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/535 20190101AFI20220407BHJP
【FI】
G06F16/535
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024872
(22)【出願日】2022-02-21
(62)【分割の表示】P 2021522915の分割
【原出願日】2020-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2019103133
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 昌弘
(57)【要約】
【課題】画像処理パラメータを指定することが可能な画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、および画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】画像データの被写体と、画像データに適用された画像処理パラメータである適用済みパラメータとが関連付けて蓄積された格納部の中から、対象データと被写体が類似する画像データに適用された適用済みパラメータを抽出し、抽出された適用済みパラメータのパラメータ値の使用頻度の度数分布を導出し、使用頻度を表す数値を、抽出された前記適用済みパラメータに対する検索条件として、度数分布に基づいて検索条件に合致する前記適用済みパラメータを検索し、検索結果を出力する。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの被写体と、前記画像データに適用された画像処理パラメータである適用済みパラメータとが関連付けて蓄積された格納部の中から、対象データと被写体が類似する前記画像データに適用された前記適用済みパラメータを抽出し、
抽出された前記適用済みパラメータのパラメータ値の使用頻度の度数分布を導出し、
前記使用頻度を表す数値を、抽出された前記適用済みパラメータに対する検索条件として、前記度数分布に基づいて前記検索条件に合致する前記適用済みパラメータを検索し、検索結果を出力する、
画像処理装置。
【請求項2】
抽出された前記適用済みパラメータに含まれる複数の項目の組み合わせに使用頻度を導出し、
前記使用頻度を表す数値を、抽出された前記適用済みパラメータに対する検索条件として、前記度数分布に基づいて前記組み合わせの使用頻度が前記検索条件に合致する前記適用済みパラメータを検索し、検索結果を出力する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
端末と、画像処理装置とを備える画像処理システムであって、
画像データの被写体と、前記画像データに適用された画像処理パラメータである適用済みパラメータとが関連付けて蓄積された格納部の中から、対象データと被写体が類似する前記画像データに適用された前記適用済みパラメータを抽出し、
抽出された前記適用済みパラメータのパラメータ値の使用頻度の度数分布を導出し、
前記使用頻度を表す数値を、抽出された前記適用済みパラメータに対する検索条件として、前記度数分布に基づいて前記検索条件に合致する前記適用済みパラメータを検索し、検索結果を前記端末に出力する、
画像処理システム。
【請求項4】
画像データの被写体と、前記画像データに適用された画像処理パラメータである適用済みパラメータとが関連付けて蓄積された格納部の中から、対象データと被写体が類似する前記画像データに適用された前記適用済みパラメータを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記適用済みパラメータのパラメータ値の使用頻度の度数分布を導出する導出ステップと、
前記使用頻度を表す数値を、抽出された前記適用済みパラメータに対する検索条件として、前記度数分布に基づいて前記検索条件に合致する前記適用済みパラメータを検索する検索ステップと、
前記検索ステップにおける検索結果を出力する出力ステップと、
を備える画像処理方法。
【請求項5】
画像データの被写体と、前記画像データに適用された画像処理パラメータである適用済みパラメータとが関連付けて蓄積された格納部の中から、対象データと被写体が類似する前記画像データに適用された前記適用済みパラメータを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記適用済みパラメータのパラメータ値の使用頻度の度数分布を導出する導出ステップと、
前記使用頻度を表す数値を、抽出された前記適用済みパラメータに対する検索条件として、前記度数分布に基づいて前記検索条件に合致する前記適用済みパラメータを検索する検索ステップと、
前記検索ステップにおける検索結果を出力する出力ステップと、
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザからの画像処理指示に基づいて現像処理を行う画像処理装置が提案されている(特開2016-1467号公報参照)。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、過去に使用された画像処理パラメータを考慮して、画像処理パラメータを指定することが可能な画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様に係る画像処理装置は、画像データの被写体と、画像データに適用された画像処理パラメータである適用済みパラメータとが関連付けて蓄積された格納部の中から、対象データと被写体が類似する画像データに適用された適用済みパラメータを抽出し、抽出された適用済みパラメータのパラメータ値毎の使用頻度の度数分布を導出し、使用頻度を表す数値を、抽出された適用済みパラメータに対する検索条件として、度数分布に基づいて検索条件に合致する適用済みパラメータを検索し、検索結果を出力する。
【0005】
上記態様の画像処理装置においては、抽出された適用済みパラメータに含まれる複数の項目の組み合わせ毎に使用頻度を導出し、使用頻度を表す数値を、抽出された適用済みパラメータに対する検索条件として、度数分布に基づいて組み合わせ毎の使用頻度が検索条件に合致する適用済みパラメータを検索し、検索結果を出力してもよい。
【0006】
本開示の一態様に係る画像処理システムは、端末と、画像処理装置とを備える画像処理システムであって、画像データの被写体と、画像データに適用された画像処理パラメータである適用済みパラメータとが関連付けて蓄積された格納部の中から、対象データと被写体が類似する画像データに適用された適用済みパラメータを抽出し、抽出された適用済みパラメータのパラメータ値毎の使用頻度の度数分布を導出し、使用頻度を表す数値を、抽出された適用済みパラメータに対する検索条件として、度数分布に基づいて検索条件に合致する適用済みパラメータを検索し、検索結果を端末に出力する。
【0007】
本開示の一態様に係る画像処理方法は、画像データの被写体と、画像データに適用された画像処理パラメータである適用済みパラメータとが関連付けて蓄積された格納部の中から、対象データと被写体が類似する画像データに適用された適用済みパラメータを抽出する抽出ステップと、抽出された適用済みパラメータのパラメータ値毎の使用頻度の度数分布を導出する導出ステップと、使用頻度を表す数値を、抽出された適用済みパラメータに対する検索条件として、度数分布に基づいて検索条件に合致する適用済みパラメータを検索する検索ステップと、検索ステップにおける検索結果を出力する出力ステップと、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る画像処理プログラムは、画像データの被写体と、画像データに適用された画像処理パラメータである適用済みパラメータとが関連付けて蓄積された格納部の中から、対象データと被写体が類似する画像データに適用された適用済みパラメータを抽出する抽出ステップと、抽出された適用済みパラメータのパラメータ値毎の使用頻度の度数分布を導出する導出ステップと、使用頻度を表す数値を、抽出された適用済みパラメータに対する検索条件として、度数分布に基づいて検索条件に合致する適用済みパラメータを検索する検索ステップと、検索ステップにおける検索結果を出力する出力ステップと、をコンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態による画像処理装置を適用した画像処理システムの概略構成図
図2】画像処理装置のハードウェア構成を示すブロック図
図3】画像処理装置の機能構成を示すブロック図
図4】端末のハードウェア構成を示すブロック図
図5】画像関連情報のデータテーブルの一例を示す図
図6】過去に現像処理が行われたRAW画像データが表す画像の一例を示す図
図7】過去に現像処理が行われたRAW画像データが表す画像の一例を示す図
図8】画像処理システムにおける画像処理時の処理の流れを説明するフローチャート
図9】画像処理アプリケーションにおける画像表示例を示す図
図10】統計処理結果を示すグラフ
図11】パラメータ値変更ウィンドウの表示例を示す図
図12】パラメータ値変更ウィンドウの表示例を示す図
図13】現像用RAW画像データが表す画像の一例を示す図
図14】パラメータ値変更ウィンドウの表示例を示す図
図15】パラメータ値変更ウィンドウの表示例を示す図
図16】第1の実施の形態による画像処理装置の変形例における機能構成を示すブロック図
図17】第2の実施の形態による画像処理装置の機能構成を示すブロック図
図18】画像処理システムにおける画像処理時の処理の流れを説明するフローチャート
図19】画像処理アプリケーションの画面表示例を示す図
図20】自動選択条件入力ウィンドウの表示例を示す図
図21】画像処理装置におけるパラメータ自動検索時の処理の流れを説明するフローチャート
図22】統計処理結果を示すグラフ
図23】画像処理装置におけるパラメータ自動検索時の処理の流れを説明するフローチャート
図24】統計処理結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。図1は本開示の第1の実施の形態による画像処理装置を適用した画像処理システムの概略構成図である。図1に示す画像処理システム1は、クラウド上で管理されたRAW画像データ(画像データの一例である)に対して、ネットワークを介して接続された端末からの現像処理の依頼を受け付けて、依頼内容に応じた現像処理を行うことが可能なシステムである。
【0011】
図1に示すように、画像処理システム1は、画像処理装置10と、画像処理装置10と通信可能な複数の端末20とを含む。各端末20は、画像処理システム1に対して、RAW画像データの現像処理を依頼するユーザが使用する端末である。端末20のユーザは、例えば、ユーザの好みなどに応じて現像処理の内容と処理対象のRAW画像データとを指定して、現像処理を依頼する。
【0012】
画像処理装置10と端末20とは、インターネット等のネットワークを介して接続されており、端末20から見ると画像処理装置10は雲の上に存在するようにも見えることから、ネットワークを介して接続される画像処理装置10はクラウドと呼ばれる。本明細書では、以下において、画像処理装置10をクラウドと呼ぶ場合がある。
【0013】
図2は、画像処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像処理装置10は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、および通信インタフェース15を有する。各構成は、バス16を介して相互に通信可能に接続されている。画像処理装置10は、いわゆるサーバを構成する。
【0014】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12またはストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12またはストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施の形態では、ROM12またはストレージ14には、画像処理プログラムが格納されている。
【0015】
ROM12は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、およびRAW画像データを含む各種データを格納する。
【0016】
通信インタフェース15は、画像処理装置10が端末20および他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0017】
上記の画像処理プログラムを実行する際に、画像処理装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。画像処理装置10が実現する機能構成について説明する。
【0018】
図3は、画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、画像処理装置10は、機能構成として、受付部101、画像認識処理部102、抽出部103、導出部104、出力部105、および画像処理部106を有する。各機能構成は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶された画像処理プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0019】
受付部101は、画像処理の対象の画像データである対象データと、ユーザが指定した画像処理パラメータである指定パラメータとを取得して、ユーザからの画像処理の依頼を受け付ける。
【0020】
画像認識処理部102は、対象データから被写体を認識するため画像認識処理を施す。
【0021】
抽出部103は、過去に画像処理が施された処理済み画像データの被写体と、処理済み画像データに適用された画像処理パラメータである適用済みパラメータとが関連付けて蓄積されたデータテーブルの中から、対象データと被写体が類似する処理済み画像データに適用された適用済みパラメータを抽出する。なお、データテーブルは、ストレージ14に格納されている。
【0022】
導出部104は、抽出された適用済みパラメータのパラメータ値に基づいて、抽出された適用済みパラメータの中での指定パラメータの使用頻度を導出する。
【0023】
出力部105は、指定パラメータの使用頻度等の出力データを端末20に出力する。
【0024】
画像処理部106は、指定パラメータに基づいて画像処理を行う。
【0025】
図4は、端末20のハードウェア構成を示すブロック図である。図4に示すように、端末20は、CPU21、ROM22、RAM23、ストレージ24、モニタ25、ユーザインタフェース26、および通信インタフェース27を有する。各構成は、バス28を介して相互に通信可能に接続されている。
【0026】
CPU21は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21は、ROM22またはストレージ24からプログラムを読み出し、RAM23を作業領域としてプログラムを実行する。CPU21は、ROM22またはストレージ24に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0027】
ROM22は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM23は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ24は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。各種プログラムには、後述する画像処理アプリケーションが含まれる。
【0028】
モニタ25は、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスが用いられる。
【0029】
ユーザインタフェース26は、編集者または閲覧者等のユーザが端末20を使用する際のインタフェースである。ユーザインタフェース26は、例えば、ユーザによるタッチ操作を可能とするタッチパネルを備えたディスプレイ、キーボード、およびマウス等の少なくとも一つを含む。
【0030】
通信インタフェース27は、端末20が画像処理装置10および他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0031】
図5は、ストレージ14に格納されるデータテーブルの一例を示す図である。図6および図7は、過去に現像処理が行われたRAW画像データが表す画像の一例を示す図である。なお、図5~7において、図中の「Provia」、「Velvia」、「Astia」、「Eterna」、「Acros」は、いずれも登録商標である。
【0032】
データテーブルは、過去に受け付けた画像処理、本例ではRAW画像データに対する現像処理の依頼に関する画像関連情報を記録したものである。画像関連情報は、過去に現像処理が施された処理済み画像データの一例であるRAW画像データに関する画像関連情報である。画像関連情報には、RAW画像データの識別情報、ユーザの属性情報、RAW画像データに写る被写体を示す被写体情報、およびRAW画像データの現像処理の際に適用された現像処理パラメータ(画像処理パラメータの一例である)が含まれる。
【0033】
データテーブルには、1件の現像処理の依頼毎に、1件分の画像関連情報が1レコード作成される。1件分の画像関連画像情報には、「画像Index」、「地域コード」、「年齢区分」、「性別」、「被写体認識によるタグ」、「フィルム」、「明るさ」、「色濃度」、「色温度」・・・といった項目が含まれている。
【0034】
「画像Index」は、受け付けた現像処理の依頼ごとの通し番号であり、かつ、画像処理の対象となったRAW画像データを特定するためのRAWデータの識別情報として機能する。RAW画像データそのものは、例えば、ストレージ14において、データテーブルとは別に格納されており、「画像Index」とRAW画像データとは関連付けられている。図5に示すデータテーブルには、画像Indexが「78,000,000」まであり、これは、7800万枚の処理済みのRAW画像データがあることを示している。
【0035】
「地域コード」、「年齢区分」、および「性別」の3つの項目は、現像処理を依頼したユーザの属性情報の一例である。「地域コード」は、ユーザが居住する地域を示し、「年齢区分」は、ユーザの年齢又は年代を示す。「性別」は、ユーザの性別を示す。「地域コード」は、例えば、1が日本、2が北米地域、3が南米地域、4が欧州地域等、地域毎に対応したコードが割り当てられている。「年齢区分」は、例えば、0が0代、1が10代、2が20代、3が30代、4が40代、5が50代等、年齢区分毎に対応したコードが割り当てられている。「性別」は、例えば、0が男性、1が女性等、性別毎に対応したコードが割り当てられている。
【0036】
「被写体認識によるタグ」は、RAW画像データに写る被写体を示す被写体情報の一例である。本例において、この被写体情報は、本例において、RAW画像データに付随するタグのデータ形式を有しているため、ここでは被写体タグ情報と呼ぶ。RAW画像データの被写体は、画像認識処理によって抽出され、抽出された被写体が被写体タグ情報として記憶される。例えば、画像Indexが「1」のレコードには、図6にも示すように、「花」、「春」、「桜」および「人物」が被写体タグ情報として設定されている。これは、RAW画像データに写る被写体に「花」が含まれており、具体的には、「花」は「桜」であることを示している。また、「春」という被写体タグ情報は、「桜」は春の花であるため、「春」の風景が被写体となっていることを示している。さらに、被写体としては、「花」の他に「人物」が含まれることを示している。
【0037】
また、画像Indexが「2」のレコードには、図7にも示すように、「花」、「春」、「チューリップ」および「畑」が被写体タグ情報として設定されている。これは、RAW画像データに写る被写体に「花」が、具体的には「チューリップ」が含まれていることを示している。また、被写体は「春」の風景でもあること、さらに、被写体には「畑」および「川」が含まれていることを示している。
【0038】
同様に、画像Indexが「3」のレコードには、「人物」、「夜景」および「クリスマス」が被写体タグ情報として設定されている。これは、RAW画像データに写る被写体に「人物」が含まれていることを示している。また、被写体は「夜景」でもあること、さらに、「クリスマス」の風景であることを示している。
【0039】
こうした被写体タグ情報は、基本的には画像認識処理によって抽出されるが、人が画像を見ながら、被写体タグ情報を付してもよい。
【0040】
なお、本例においては、被写体タグ情報としては、人、花、春およびクリスマスなどを例示し、これらを細かく分類することなく設定した例で示しているが、これらを例えば、人物、植物、季節および風景などというように、大分類を設定してもよい。
【0041】
「フィルム」、「明るさ」、「色濃度」および「色温度」・・・といった項目は、RAW画像データに適用される画像処理パラメータである適用済みパラメータを示す。本例では画像処理として現像処理を例にしているので、画像処理パラメータについて、現像処理パラメータと呼ぶ場合がある。「フィルム」の項目には、例えば、「Velvia(登録商標)」、「Astia(登録商標)」、および「Provia(登録商標)」といった写真フィルムの製品名が付されている。これは、こうした写真フィルムが持つ特有の色味を再現するようなパラメータ値のセットが指定されたことを示している。例えば、「Velvia(登録商標)」が指定された場合は、「Velvia(登録商標)」の色味を再現するようなパラメータ値のセットが指定される。本例においては、図6にも示すように、画像Indexの「1」のRAW画像データには、「Velvia(登録商標)」のパラメータ値のセットが適用されている。また、画像Indexの「2」のRAW画像データには、図7にも示すように、「Astia(登録商標)」のパラメータ値のセットが適用されている。
【0042】
「明るさ」の項目は、画像の明るさのパラメータ値を示し、「色濃度」の項目は、色の濃淡を示すパラメータ値を示す。「色温度」の項目は、色温度を示すパラメータ値を示す。本例においては、図6にも示すように、画像Indexの「1」のRAW画像データには、「明るさ」のパラメータ値として「1」が、「色濃度」のパラメータ値として「2」が、「色温度」のパラメータ値として「4500」がそれぞれ適用されている。また、図7にも示すように、画像Indexの「2」のRAW画像データには、「明るさ」のパラメータ値として「-1」が、「色濃度」のパラメータ値として「1」が、「色温度」のパラメータ値として「4000」がそれぞれ適用されている。本例においては、「明るさ」および「色濃度」のパラメータ値は、例えば、基準値に対する差分を表す値である。例えば「-1」は、基準値を一段階落としたパラメータ値であることを示す。
【0043】
本例においては、図5に示すようなデータテーブルを用いて、過去の画像処理が施された処理済み画像データ(本例では、RAW画像データ)の被写体と、処理済み画像データに適用された画像処理パラメータである適用済みパラメータとが関連付けて蓄積される。
【0044】
また、本例においては、図5に示すデータテーブルの作成は、画像処理装置10において過去に行われた現像処理の情報を蓄積することにより作成される。データテーブルに登録される情報はすべて、画像処理装置10が過去に受け付けた現像処理の依頼に基づく情報であるが、もちろん、データテーブルに登録される情報の全部又は一部が、他の画像処理装置が過去に受け付けた現像処理の依頼に基づく情報であってもよい。
【0045】
[処理の流れ]
次に、画像処理システム1において、ユーザが画像処理としてRAW画像データの現像処理を依頼する場合の処理手順について説明する。図8は、画像処理システム1における、受付処理なども含めた処理手順を説明するフローチャートであり、図9は、画像処理アプリケーションの画面表示例を示す図である。
【0046】
図8に示すように、現像処理を依頼する際には、端末20の画像処理アプリケーションを用いて、ユーザは現像処理の対象となるRAW画像データ(以下、現像用RAW画像データという)を指定する。端末20において現像用RAW画像データが指定されると、CPU21は、通信インタフェース27等を介して、現像用RAW画像データを画像処理装置10に送信する(ステップST1)。ここで、現像用RAW画像データは、画像処理の対象の画像データである「対象データ」の一例である。
【0047】
画像処理装置10においてCPU11は、端末20から送信された現像用RAW画像データについて、通信インタフェース15等を介して取得する。これにより、CPU11は、ユーザからの画像処理の依頼を受け付ける。このように、CPU11は、受付部101として機能する。
【0048】
CPU11は、取得した現像用RAW画像データについて、ユーザからパラメータの指定が無い場合は、初期現像処理パラメータを用いて、本画像よりも解像度を落としたプレビュー用の仮画像データを取得する仮現像処理を行う(ステップSS1)。初期現像処理パラメータとは、画像処理装置10において、ユーザからの指定が無い場合に設定される現像処理パラメータの初期値である。次に、CPU11は、仮現像処理の結果得られた仮画像データを端末20に送信する(ステップSS2)。
【0049】
端末20において、画像処理装置10から仮画像データを取得したら、CPU21は、取得した仮画像データに基づくプレビュー画像を、画像処理アプリケーションの画像表示領域31に表示する(ステップST2)。ユーザは、表示されたプレビュー画像を見ながら、ユーザの好みに応じて現像処理パラメータの指定を行う。現像処理パラメータの指定は、画像処理アプリケーションのアプリケーション画面を通じて行われる。
【0050】
図9において、画像処理アプリケーションのアプリケーション画面30の一例を示す。なお、図9において、図中の「Velvia」は登録商標である。図9に示すように、アプリケーション画面30内には、現像用RAW画像データのプレビュー画像を表示する画像表示領域31と、現像用RAW画像データに対する現像処理パラメータの指定を行う現像処理パラメータ指定領域32とが設けられている。
【0051】
現像処理パラメータ指定領域32内には、フィルムモード(図5において「フィルム」と示す)、明るさ、色濃度、および色温度の4つの現像処理パラメータについて、現像処理パラメータの項目名および現在値が表示されている。また、現像処理パラメータ指定領域32内には、現像処理パラメータの項目毎に、パラメータ値変更ボタン33~36が設けられている。また、現像処理パラメータ指定領域32内には、現像ボタン37が設けられている。なお、図8におけるステップSS1およびステップST2において、初期現像処理パラメータが適用されている段階では、現像処理パラメータの各項目の現在値は初期現像処理パラメータで規定されている初期値が設定されている。
【0052】
本実施の形態では、現像用RAW画像データについて、チューリップを撮影した画像を例に説明する。また、初期現像処理パラメータのパラメータ値として、「フィルムモード:Velvia(登録商標)、明るさ:0、色濃度:0、色温度:5600」が設定されている。
【0053】
現像処理パラメータ指定領域32のパラメータ値変更ボタン33~36に対して、ユーザがマウスのクリック操作などによってパラメータ値を変更する操作を行うと、CPU21は、パラメータ値の変更内容を、ユーザによって指定された指定パラメータとして受け付ける。本例において、画像処理は現像処理であるため、指定パラメータをユーザ指定の現像処理パラメータと呼ぶ。端末20において、ユーザ指定の現像処理パラメータを受け付ける方法としては、初期現像処理パラメータのパラメータ値との差である変更部分のみを受け付ける方法でもよいし、初期現像処理パラメータと同じパラメータ値と変更部分の両方を受け付ける方法でもよい。
【0054】
図8に戻って、次に、端末20のCPU21は、ユーザ指定の現像処理パラメータを受け付けると、画像処理装置10に送信する(ステップST3)。画像処理装置10のCPU11は、通信インタフェース15を介してユーザ指定の現像処理パラメータを取得する。こうして、CPU11は、現像処理の対象の現像用RAW画像データとユーザ指定の現像処理パラメータとを取得して、ユーザからの画像処理の依頼を受け付ける受付部101として機能する。
【0055】
画像処理装置10において端末20からユーザ指定の現像処理パラメータを取得したら、CPU11は、ユーザ指定の現像処理パラメータを用いて、仮現像処理を行う(ステップSS3)。本例のステップSS33の仮現像処理では、初期現像処理パラメータに対する仮現像処理(ステップSS1)と同様に、本画像よりも解像度を落としたプレビュー用の仮画像データを生成する。
【0056】
次に、CPU11は、抽出部103として機能し、ストレージ14に格納されているデータテーブルの中から、現像用RAW画像データと被写体が類似する、過去に画像処理が施されたRAW画像データに適用された適用済みパラメータを抽出する(ステップSS4)。
【0057】
適用済みパラメータの抽出を行う際には、先ず、CPU11は、現像用RAW画像データが示す画像の内容について、画像認識処理を行って被写体を認識する。認識した結果は、データテーブルに記録されている被写体タグ情報と同じ形式で設定される。次に、CPU11は、データテーブルの中から、現像用RAW画像データの被写体タグ情報と一致するRAW画像データに適用された適用済みパラメータを抽出する。
【0058】
ここで、「現像用RAW画像データの被写体タグ情報と一致するRAW画像データ」には、被写体タグ情報が全て一致する態様に限らず、被写体タグ情報が一部のみ一致する態様を含む。つまり、被写体情報が完全に同じ場合に加えて、類似する場合も含まれる。このような被写体の類似度の判定基準は予め設定される。例えば、被写体タグ情報に複数の項目がある場合には、一致する項目数が予め設定された個数以上ある場合に類似すると判定される。
【0059】
具体的には、CPU11は、現像用RAW画像データが示すチューリップを撮影した画像の内容について、画像認識処理に基づいて、被写体タグ情報として「花、春、チューリップ、空」を設定したとする。また、類似の判定基準は、一致する項目数が3つ以上に設定されているとする。この場合、CPU11は、データテーブルの中から、現像用RAW画像データの被写体タグ情報の項目と3つ以上と一致する過去のRAW画像データを類似画像データとして特定する。この類似画像情報には、被写体タグ情報が完全一致するRAW画像データも含まれる。
【0060】
このように、CPU11は、現像用RAW画像データと被写体が類似する、過去のRAW画像データを類似画像データとして特定する。CPU11は、特定した類似画像データに適用された適用済みパラメータをデータテーブルから抽出する。このように、CPU11は、抽出部103として機能する。
【0061】
次に、CPU11は、抽出された適用済みパラメータに基づいて、ユーザ指定の現像処理パラメータの統計処理を行う(ステップSS5)。この統計処理には、抽出された適用済みパラメータのパラメータ値毎の使用頻度の度数分布を導出する処理と、抽出された適用済みパラメータのパラメータ値に基づいて、抽出された適用済みパラメータの中でのユーザ指定の現像処理パラメータの使用頻度を導出する処理が含まれる。このように、CPU11は、導出部104として機能する。
【0062】
図10は、本実施の形態における統計処理結果を示すグラフである。具体的には、グラフは、横軸にパラメータ値、縦軸に頻度(%)をとったグラフであり、このグラフは、抽出された適用済みパラメータのパラメータ値毎の使用頻度の度数分布を示している。頻度は、パラメータ値全体の使用回数に対する、各パラメータ値の使用回数の割合を示している。上述したように、現像処理パラメータには、「明るさ」および「色濃度」といった複数の項目が含まれている。統計処理は、現像処理パラメータの項目毎に行われる。図10のグラフは、「明るさ」についてのパラメータに関するグラフである。CPU11は、抽出された適用済みパラメータの各パラメータ値の使用頻度を導出する。さらに、CPU11は、導出した使用頻度の度数分布を導出する。こうした使用頻度および度数分布は、「明るさ」以外の項目についても導出される。
【0063】
CPU11は、この度数分布に基づいて、抽出された適用済みパラメータの中でのユーザ指定の現像処理パラメータ(指定パラメータの一例である)の使用頻度を導出する。CPU11は、ユーザ指定の現像処理パラメータのパラメータ値と同一のパラメータ値を持つ適用済みパラメータを特定する。CPU11は、特定した適用済みパラメータの使用頻度を、ユーザ指定の現像処理パラメータの使用頻度として導出する。このように、CPU11は、導出部104として機能する。
【0064】
導出されたユーザ指定の現像処理パラメータの使用頻度は、例えば、図10に示すマーカー39によって示される。図10の例では、ユーザ指定の現像処理パラメータは「0」であり、「0」の位置にマーカー39が表示されている。図10の例では、「0」の位置が、度数分布における最頻値(すなわち、30%)となっている。
【0065】
次に、CPU11は、ユーザ指定の現像処理パラメータが適用された仮画像データおよび統計処理結果を端末20に送信する(ステップSS6)。統計処理結果には、適用済みパラメータの度数分布に加えて、度数分布内のユーザ指定の指定パラメータの使用頻度が含まれる。つまり、統計処理結果には、図10に示すような、適用済みパラメータの度数分布と、マーカー39で示されるユーザ指定の現像処理パラメータの使用頻度とを、端末20において再現可能なデータが含まれる。このように、CPU11は、指定パラメータの使用頻度および適用済みパラメータの使用頻度の度数分布を出力する出力部105として機能する。
【0066】
端末20において、画像処理装置10から仮画像データおよび統計処理結果を取得したら、CPU21は、取得した仮画像データに基づくプレビュー画像を図9に示したアプリケーション画面30の画像表示領域31に表示する。現像処理パラメータ指定領域32には、ユーザ指定の現像処理パラメータのパラメータ値が表示される。
【0067】
さらに、端末20において、CPU21は、取得した統計処理結果に基づいて、図11に示すパラメータ値変更ウィンドウ40を表示する。パラメータ値変更ウィンドウ40には、図9において示した適用済みパラメータの度数分布を示すグラフ41が表示される。また、グラフ41に加えて、パラメータ値変更ウィンドウ40には、パラメータ値を指定するためのスライダー42と、スライダー42が指定するパラメータ値の使用頻度の表示枠43と、パラメータ値を決定するための決定ボタン44と、パラメータ値を変更せずにパラメータ値変更ウィンドウ40を閉じる取消ボタン45とが表示される。
【0068】
上述したとおり、度数分布は、「明るさ」および「色濃度」といった画像処理パラメータ毎に導出される。図11に示すパラメータ値変更ウィンドウ40は、「明るさ」に対応するウィンドウである。本例においては「明るさ」のみを例示し、「明るさ」以外のパラメータのパラメータ値変更ウィンドウ40については省略する。
【0069】
パラメータ値変更ウィンドウ40において、スライダー42の初期位置は、画像表示領域31に表示されたプレビュー画像に適用されたユーザ指定の現像処理パラメータの使用頻度に対応する位置に設定されている。つまり、統計処理結果に含まれるユーザ指定の現像処理パラメータの使用頻度に基づいて、図10に示すマーカー39に対応する位置にスライダー42が表示される。
【0070】
本例においては、スライダー42は、「明るさ」のパラメータ値が「0」の位置であり、表示枠43には、パラメータ値「0」の使用頻度が数値(すなわち、30%)として表示される。このパラメータ値の使用頻度は、上述したとおり、度数分布における最頻値である。すなわち、これは、ユーザ指定の現像処理パラメータのパラメータ値は、同様の被写体情報を含むRAW画像データに対する適用済みパラメータの中の最頻値であることを示している。つまり、ユーザ指定の現像処理パラメータは、過去の現像処理において、多くの人が使用するパラメータと同じパラメータであることを示している。
【0071】
ユーザは、スライダー42を左右に移動させることで、パラメータ値を変更することが可能である。スライダー42が移動すると、表示枠43には、移動位置に対応するパラメータ値の使用頻度が表示される。例えば、図12に示すように、ユーザがスライダー42をパラメータ値「-2」の位置に移動させた場合、表示枠43には、パラメータ値「-2」の使用頻度である9.5%が表示される。グラフ41は、他のユーザが過去に使用した現像処理パラメータであるので、ユーザは、グラフ41によって、他のユーザが過去に使用した現像処理パラメータを考慮しながら、現像処理パラメータを指定することができる。
【0072】
図8において、ステップST4の後、端末20および画像処理装置10は、変更された現像処理パラメータを適用したリアルタイムプレビュー処理(ステップS100)を実行することが可能である。リアルタイムプレビュー処理は、アプリケーション画面30において、最終的に現像ボタン37がクリックされるまでの間、パラメータ値変更ウィンドウ40のスライダー42の移動によりパラメータ値が変更された場合に、変更されたパラメータ値によって画像表示領域31に表示されるプレビュー画像が更新される処理である。すなわち、端末20において、スライダー42の移動によりパラメータ値が変更されると、端末20は、変更されたパラメータ値を画像処理装置10に送信する。画像処理装置10は、変更されたパラメータ値に基づいて現像用RAW画像データに対して現像処理を行って仮画像データを生成する。そして、生成した仮画像データに基づくプレビュー画像が端末20に送信される。端末20においては、画像表示領域31のプレビュー画像を受信したプレビュー画像に更新する。これにより、ユーザのスライダー42の操作に対応して、プレビュー画像がリアルタイムに更新される。
【0073】
パラメータ値変更ウィンドウ40において、決定ボタン44がクリックされると、CPU21は、決定ボタン44クリック時にスライダー42が位置するパラメータ値で、ユーザ指定の現像処理パラメータの変更を確定する。そして、確定後、パラメータ値変更ウィンドウ40は閉じられる。取消ボタン45がクリックされると、CPU21は、パラメータ値を変更せずに、パラメータ値変更ウィンドウ40を閉じる。
【0074】
リアルタイムプレビュー機能を用いて、パラメータ値変更後のプレビュー画像を見ながら、ユーザはパラメータ値の選択を行うことができる。すべての現像処理パラメータの項目について、同様の処理が行われる。最終的に、ユーザが満足する現像処理パラメータが設定できた段階で、パラメータ値変更ウィンドウ40の決定ボタン44がクリックされ、かつ、アプリケーション画面30の現像ボタン37がクリックされる。これにより、CPU21は、変更が確定した現像処理パラメータの現像指示を画像処理装置10に送信する(ステップST5)。
【0075】
図13は、図9に表示したチューリップを撮影した画像に対して、変更が確定した現像処理パラメータを適用した例である。なお、図13において、図中の「Velvia」は登録商標である。図13の例では、最終的な現像処理パラメータが、「フィルムモード:Velvia(登録商標)、明るさ:-5、色濃度:-3、色温度:4500」となっている。
【0076】
また、画像処理装置10において端末20から最終的な現像指示を取得したら、CPU11は、データテーブルについて、現像用RAW画像データに関する情報を追加する更新を行う(ステップSS8)。つまり、このデータテーブルの更新処理によって、最新の現像処理の依頼に使用された現像処理パラメータが、次回の画像処理の依頼において使用される適用済みパラメータとして順次蓄積されることになる。上述のとおり、最新の現像処理パラメータは、「フィルムモード:Velvia(登録商標)、明るさ:-5、色濃度:-3、色温度:4500」なので、これらのパラメータ値がデータテーブルに登録される。
【0077】
また、データテーブルの更新に際して、現像処理パラメータ以外の項目は次のように登録される。ユーザ属性情報は、例えば、画像処理装置10を利用する際にユーザから取得したユーザのアカウント情報に基づいて登録する。また、CPU11は、被写体タグ情報は、ステップSS4で抽出された被写体タグ情報である「花、春、チューリップ、空」を登録する。
【0078】
次に、CPU11は、画像処理部106として機能し、現在の現像処理パラメータを用いて現像処理を行う(ステップSS8)。次に、CPU11は、現像処理の結果得られた画像データを端末20に送信する(ステップSS9)。
【0079】
端末20において、画像処理装置10から画像データを取得したら(ステップST6)、処理を終了する。
【0080】
[作用効果]
上述したとおり、本実施の形態の画像処理装置10は、現像処理(画像処理の一例である)の対象である現像用RAW画像データ(対象データの一例である)と、ユーザが指定したユーザ指定の現像処理パラメータ(指定パラメータの一例である)とを取得して、ユーザからの現像処理の依頼を受け付ける。そして、格納部の一例であるストレージ14には、過去に現像処理が施されたRAW画像データ(処理済み画像データの一例である)の被写体と、処理済み画像データに適用された現像処理パラメータ(画像処理パラメータの一例である)である適用済みパラメータとが、例えばデータテーブルの形態で関連付けて蓄積されている。画像処理装置10は、データテーブルから現像用RAW画像データ(対象データの一例である)と被写体が類似するRAW画像データ(処理済み画像データの一例である)に適用された適用済みパラメータを抽出し、抽出された適用済みパラメータのパラメータ値に基づいて、抽出された適用済みパラメータの中でのユーザ指定の現像処理パラメータ(指定パラメータの一例である)の使用頻度を導出し、導出した使用頻度を端末20に出力する。
【0081】
そのため、出力された使用頻度は端末20において表示することができる。これにより、ユーザは、ユーザ指定の現像処理パラメータが、例えば、一般的によく使用されているか、一般的にはあまり使用されていないかを把握することができる。つまり、ユーザは、他のユーザが使用する現像処理パラメータの中で、自分が指定した現像処理パラメータの位置づけを把握することができる。その上で、ユーザは、一般的によく使用されている現像処理パラメータを指定して標準的な作風の現像処理を行うことも可能であるし、一般的にあまり使用されていない現像処理パラメータを指定して独創的な作風の現像処理を行うことも可能である。すなわち、本開示の技術によれば、他のユーザが過去に使用した現像処理パラメータを考慮した現像処理を行うことが可能である。
【0082】
また、本実施の形態の画像処理装置10は、抽出された適用済みパラメータのパラメータ値毎の使用頻度の度数分布を導出し、導出結果を端末20に送信するため、他のユーザが過去に使用した現像処理パラメータの傾向を、より分かり易くユーザに提示できる。
【0083】
また、本実施の形態の画像処理装置10は、適用済みパラメータと関連付けて記憶される処理済み画像データの被写体について、被写体を表すタグ情報として記憶している。また、本実施の形態の画像処理装置10は、現像用RAW画像データから被写体を認識するために画像認識処理を施す画像認識処理部を備えることにより、現像用RAW画像データと被写体が類似するRAW画像データを抽出する度に、RAW画像データに対して画像認識処理を施す必要がなく、効率的な処理を行うことができる。
【0084】
[第1の実施の形態における変形例]
本実施の形態において、パラメータ値変更ウィンドウの表示態様は、図11に示す態様に限らず、図14に示すように、適用済みパラメータの度数分布を示すグラフを省略してもよい。こうした態様によっても、表示枠43により、ユーザ指定の現像処理パラメータ(指定パラメータの一例である)の使用頻度を提示することができる。
【0085】
また、図11および図12においては、表示枠43に表示する値として、スライダー42が位置するパラメータ値の使用頻度を示している。こうした図11および図12の表示態様に加えて、図15に示すように、表示枠43に表示する値としては、度数分布の一方の端からスライダー42が位置するパラメータ値までに存在する各パラメータ値の累積頻度を示してもよい。度数分布が、中央をピークとするガウス分布に近い形状を持つと仮定すると、度数分布の一方の端は、希少性が非常に高いパラメータ値を示す。
【0086】
図15に示す例では、スライダー42が位置するパラメータ値が「-3」で、その右側には「-4」と「-5」のパラメータ値がある。累積頻度は、度数分布の希少性の高い右端のパラメータ値「-5」からスライダー42が位置するパラメータ値「-3」までの各パラメータ値の使用頻度の累積値である。この累積頻度は希少性を示す指標として用いることが可能である。累積頻度が少なければ、累積頻度の中に含まれる各パラメータ値は希少性を持っており、その中に指定パラメータが含まれていれば、指定パラメータも希少性を示すことになる。
【0087】
例えば、図15において、スライダー42が位置するパラメータ値「-3」の使用頻度が「3%」だとする。そして、パラメータ値「-4」の使用頻度が「1.5%」で、パラメータ値「-5」の使用頻度が「0.5%」だとすると、度数分布の右端からスライダー42が位置するパラメータ値までの各パラメータ値の累積頻度は「5%」となる。図15に示すような表示をすることで、指定パラメータの使用頻度そのものは把握できないが、指定パラメータは、「5%」の累積頻度の中に含まれていることを示すことにより、指定パラメータがどの程度希少であるかを把握することができる。
【0088】
また、上記例において、抽出部103による適用済みパラメータの抽出条件としては、被写体の類似度のみを使用している。抽出条件は、被写体の類似度に加えて、他の抽出条件を使用してもよい。例えば、図16に示す画像処理装置10Aのように、抽出部103による適用済みパラメータの抽出条件として、被写体の類似度を第1抽出条件として使用し、第1抽出条件に加えて、被写体の類似度とは別の第2抽出条件を設定することが可能な条件設定部107をさらに備えてもよい。この場合、抽出部103は、第1抽出条件および第2抽出条件に基づいて適用済みパラメータを抽出し、導出部104は、第1抽出条件および第2抽出条件によって抽出された適用済みパラメータのパラメータ値に基づいて、適用済みパラメータの中での指定パラメータの使用頻度を導出する。
【0089】
第2抽出条件としては、例えば、現像処理パラメータの項目を設定することができる。例えば、フィルムモードがモノクロに設定されているといった条件が第2抽出条件として使用される。このような態様とすることにより、例えば、現像用RAW画像データと被写体が類似するRAW画像データにおいて、フィルムモードがモノクロに設定されたRAW画像データに適用された適用済みパラメータを抽出することができる。また、データテーブルにユーザの属性情報を合わせて蓄積している場合には、第2抽出条件としては、ユーザ属性情報を用いてもよい。ユーザ属性情報を第2抽出条件として用いることで、現像用RAW画像データと被写体が類似するRAW画像データにおいて、日本在住の50歳代以上の人に編集されたRAW画像データに適用された適用済みパラメータを抽出することができる。すなわち、他のユーザが過去に使用した現像処理パラメータの傾向を、より細分化して取得することができる。
【0090】
なお、適用済みパラメータの抽出により得られる「他のユーザが過去に使用した現像処理パラメータ」については、ユーザ自身が過去に使用した現像処理パラメータを含んでもよいし、必要に応じてユーザ自身が過去に使用した現像処理パラメータを除いた厳密な「他のユーザが過去に使用した現像処理パラメータ」としてもよい。
【0091】
[第2の実施の形態]
次に、本開示の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態による画像処理システムは、第1の実施の形態と比較して、画像処理装置の機能構成の一部が異なる。画像処理装置および端末のハードウェア構成については、第1の実施の形態と同じであるため、第1の実施の形態と重複する内容についての説明は省略する。図17は、第2の実施の形態による画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【0092】
本実施の形態の画像処理装置10Bは、他のユーザが過去に使用した現像処理パラメータを考慮した現像処理パラメータを自動的に取得可能としている。図17に示すように、画像処理装置10Bは、機能構成として、受付部101、画像認識処理部102、抽出部103、導出部104、出力部105、画像処理部106、条件設定部107、およびパラメータ検索部108を有する。各機能構成は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶された画像処理プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0093】
受付部101、画像認識処理部102、抽出部103、導出部104、出力部105、画像処理部106、および条件設定部107については、第1の実施の形態と同じである。
【0094】
パラメータ検索部108は、抽出された適用済みパラメータに対する検索条件として、使用頻度を表す数値を受け付け、度数分布に基づいて検索条件に合致する適用済みパラメータを検索する。
【0095】
[処理の流れ]
次に、本実施の形態において行われる処理について説明する。図18は、画像処理システムにおける画像処理時の処理の流れを説明するフローチャートである。
【0096】
図18に示すフローチャートにおいて、端末20から現像用RAW画像データを画像処理装置10に送信し、端末20においてプレビュー画像を画像処理アプリケーションの画像表示領域31に表示するまでの処理(ステップST11、ステップSS11、ステップSS12、ステップST12)は、第1の実施の形態と同じであるため説明を省略する。
【0097】
次に、画像処理アプリケーションを介して、ユーザから現像用RAW画像データに対する現像処理パラメータの自動選択指示が入力されると、CPU21は、自動選択指示を画像処理装置10に送信する(ステップST13)。自動選択指示は、画像処理の項目および頻度に関する情報を含む。
【0098】
図19は、本実施の形態おける画像処理アプリケーションの画面表示例を示す図である。なお、図19に示すアプリケーション画面30Aは、第1の実施の形態のアプリケーション画面30と比較して、パラメータ自動選択ボタン38が追加されたものである。また、図19において、図中の「Velvia」は登録商標である。
【0099】
詳細には、CPU21は、図19に示すアプリケーション画面30A内のパラメータ自動選択ボタン38がクリックされると、画像処理アプリケーションにおいて自動選択条件入力ウィンドウ50を表示させる。
【0100】
図20は、自動選択条件入力ウィンドウ50の表示例を示す図である。図20に示すように、自動選択条件入力ウィンドウ50内には、自動選択を行う画像処理の項目数を入力する項目数入力部51と、自動選択を行う画像処理の項目を選択する選択領域52と、頻度を入力する頻度入力領域53と、自動選択を決定するための決定ボタン54と、自動選択を行わずに自動選択条件入力ウィンドウ50を閉じる取消ボタン55とが表示される。
【0101】
項目数入力部51は、画像処理の項目数(本例では、フィルムモード、明るさ、色濃度、または色温度の4つ)に対応して、1~4の項目数の選択入力を受け付ける入力部を備える。
【0102】
選択領域52は、フィルムモード、明るさ、色濃度、または色温度の4つのチェックサークルを備えている。選択領域52の4つのチェックサークルについては、最大で項目数入力部51において入力された項目数が選択可能である。なお、選択領域52において、項目数入力部51において入力された項目数よりも少ない数が選択された場合、不足分についてはCPU21においてランダムで選択する処理を行う。
【0103】
頻度入力領域53は、頻度の数値を入力する入力部と、頻度の数値以上か以下かを選択する2つのチェックサークルを備えている。
【0104】
ユーザにより自動選択条件入力ウィンドウ50内の各項目の入力が行われ、決定ボタン54がクリックされると、CPU21は、入力された検索条件を含む自動選択指示を画像処理装置10に送信する。本実施の形態では、自動選択を行う画像処理の項目数は「1」、自動選択を行う画像処理の項目は「明るさ」、頻度は「5%以下」の条件が入力された場合の例について説明する。
【0105】
画像処理装置10において端末20から自動選択指示を取得したら、CPU11は、ストレージ14に格納されているデータテーブルの中から、現像用RAW画像データと被写体が類似するRAW画像データに適用された適用済みパラメータを抽出する(ステップSS13)。
【0106】
次に、CPU11は、抽出された適用済みパラメータの中から、検索条件に合致する適用済みパラメータを検索する(ステップSS14)。
【0107】
ここで、ステップSS14における検索処理について詳細に説明する。図21は、画像処理装置10Bにおけるパラメータ自動検索時の処理の流れを説明するフローチャートである。
【0108】
まず、次に、CPU11は、抽出された適用済みパラメータのパラメータ値毎の使用頻度の度数分布を導出する統計処理を行う(ステップSS21)。本実施の形態では、検索条件として、自動選択を行う画像処理の項目は「明るさ」、頻度は「5%以下」の条件が入力されているため、図22のグラフに示すように、明るさについてのパラメータ値の統計処理を行う。
【0109】
次に、CPU11は、明るさについてのパラメータ値の中から、頻度が5%以下のパラメータ値を抽出する(ステップSS22)。ここで、抽出したパラメータ値が1つの場合は、CPU11は、そのパラメータ値を検索結果として取得する。また、抽出したパラメータ値が複数の場合は、CPU11は、複数のパラメータ値の中からランダムで1つを選択し、選択したパラメータ値を検索結果として取得する。図22のグラフに示す例では、明るさのパラメータ値の中で頻度が5%以下のパラメータ値に枠を付けて示している。図22のグラフでは、頻度が5%以下のパラメータ値が「+5、-4、-5」の3つあるため、この中からランダムで1つを選択する。
【0110】
パラメータ自動検索処理が終了したら、CPU11は、初期現像処理パラメータから、自動検索したパラメータ値を更新し、更新した現像処理パラメータを用いて、本画像よりも解像度を落としたプレビュー用の仮画像データを取得する仮現像処理を行う(ステップSS15)。
【0111】
次に、CPU11は、仮現像処理の結果得られた仮画像データおよび自動選択したパラメータ値を端末20に送信する(ステップSS16)。
【0112】
端末20において、画像処理装置10から仮画像データを取得したら、CPU21は、取得した仮画像データに基づくプレビュー画像を画像処理アプリケーションの画像表示領域31に表示する(ステップST15)。
【0113】
ユーザが追加のパラメータ自動選択を行うために、パラメータ自動選択ボタン38をクリックした場合、ステップST13からステップST14までの処理が行われる。最終的に、ユーザの満足がいく現像処理パラメータが設定できた段階で現像ボタン37がクリックされると、CPU21は、現像指示を画像処理装置10に送信する(ステップST15)。
【0114】
以降の、画像処理装置10において端末20からの現像指示を受信してから、端末20において画像データを取得して処理を終了するまでの処理(ステップSS17、ステップSS18、ステップSS19、ステップST16)は、第1の実施の形態と同じであるため説明を省略する。
【0115】
[作用効果]
本実施の形態の画像処理装置10Bは、抽出された適用済みパラメータに対する検索条件として、使用頻度を表す数値を受け付け、パラメータ値の度数分布に基づいて検索条件に合致する適用済みパラメータを検索するパラメータ検索部108を備える。このような態様とすることにより、ユーザは、他のユーザが過去に使用した現像処理パラメータを考慮した現像処理パラメータを自動的に取得することができる。
【0116】
[第2の実施の形態における変形例]
上記実施の形態では、現像処理パラメータの1つの項目についての使用頻度を検索条件として、この1つの項目について自動選択を行っているが、現像処理パラメータの複数の項目の組み合わせ毎の使用頻度を検索条件として、複数の項目について自動選択を行ってもよい。
【0117】
現像処理パラメータの複数の項目について自動選択を行う場合の処理は、図18に示すフローチャートの通りであるが、ステップSS14における適用済みパラメータの検索処理の内容が上記と異なる。
【0118】
現像処理パラメータの複数の項目について自動選択を行う場合の、ステップSS14における適用済みパラメータの検索処理の一例について説明する。図23は、現像処理パラメータの複数の項目について自動選択を行う場合の自動検索時の処理の流れを説明するフローチャートである。
【0119】
ここでは、図20に示す自動選択条件入力ウィンドウ50において、検索条件として、自動選択を行う画像処理の項目数は「2」、自動選択を行う画像処理の項目は「ランダム」、頻度は「5%以下」の条件が入力された場合の例について説明する。
【0120】
まず、CPU11は、ランダムに2つの画像処理の項目を選択する(ステップSS31)。
【0121】
次に、CPU11は、抽出された適用済みパラメータのパラメータ値毎の使用頻度の度数分布を算出する統計処理を行う(ステップSS32)。ここでは、ステップSS31において、1番目の画像処理の項目として「フィルムモード」、2番目の画像処理の項目として「明るさ」の項目が選択されたものとして、説明を行う。
【0122】
図24は、統計処理結果を示すグラフである。なお、図24において、図中の「Provia」、「Velvia」、「Astia」、「Eterna」、「Acros」は、いずれも登録商標である。図24のグラフに示すように、この場合、CPU11は、まず、1番目の画像処理の項目であるフィルムモードのパラメータ値毎の使用頻度の度数分布を算出する。
【0123】
次に、CPU11は、1番目の画像処理の項目であるフィルムモードについて、パラメータ値を走査して、2番目の画像処理の項目である明るさの各パラメータ値との組み合わせについて演算する(ステップSS33)。なお、1番目の画像処理の項目のパラメータ値を走査するとは、1番目の画像処理の項目の全てのパラメータ値について、1つずつ順に演算を行うことを意味する。例えば、図24に示す例では、上段のグラフの左側から、「Provia(登録商標)」、「Velvia(登録商標)」、「Astia(登録商標)」・・の順にパラメータ値を設定し、パラメータ値毎に2番目の画像処理の項目である明るさの各パラメータ値との組み合わせについて演算する。
【0124】
具体的には、走査パラメータ値が検索条件の頻度に合致するパラメータ値の場合、走査パラメータ値と、走査パラメータ値でフィルタした2番目の画像処理の項目の中で最も検索条件の頻度に合致するパラメータ値の組み合わせを、候補リストに登録する。
【0125】
なお、最も検索条件の頻度に合致するパラメータ値とは、頻度が入力数値以下に設定されている場合には、最も頻度が低いパラメータ値を意味し、頻度が入力数値以上に設定されている場合には、最も頻度が高いパラメータ値を意味する。
【0126】
ここで、走査パラメータ値でフィルタするとは、第1の実施の形態における変形例で説明した通り、現像用RAW画像データと被写体が類似するRAW画像データにおいて、1番目の画像処理の項目が設定されたRAW画像データに適用された適用済みパラメータを抽出する処理を意味する。
【0127】
また、走査パラメータ値が検索条件の頻度に合致しないパラメータ値の場合、走査パラメータ値でフィルタした2番目の画像処理の項目の中で検索条件の頻度に合致するパラメータ値がある場合には、走査パラメータ値と、走査パラメータ値でフィルタした2番目の画像処理の項目の中で最も検索条件の頻度に合致するパラメータ値の組み合わせを、候補リストに登録する。
【0128】
ここでは、検索条件の頻度が5%以下に設定されているため、フィルムモードの走査パラメータ値が5%以下の場合、走査パラメータ値と、走査パラメータ値でフィルタした明るさの各パラメータ値の中で最も頻度が低いパラメータ値の組み合わせを、候補リストに登録する。また、フィルムモードの走査パラメータ値が5%以下でない場合、走査パラメータ値でフィルタした明るさの各パラメータ値の中で5%以下のパラメータ値がある場合には、走査パラメータ値と、走査パラメータ値でフィルタした明るさの各パラメータ値の中で最も頻度が低いパラメータ値の組み合わせを、候補リストに登録する。
【0129】
次に、CPU11は、候補リストに候補があるか判定を行う(ステップSS34)。ステップSS34において、候補リストに候補があると判定された場合(判定結果Yes)、CPU11は、候補リストのパラメータ値の組み合わせの中からランダムに1つのパラメータ値の組み合わせを選択し、フィルムモードと明るさのパラメータ値として設定し、図18に示すフローチャートのステップSS15に移行する。
【0130】
また、ステップSS34において、候補リストに候補がないと判定された場合(判定結果No)、CPU11は、ステップSS31に移行し、2つの画像処理の項目の選択からやり直す。
【0131】
このように、複数の画像処理の項目について現像処理パラメータの自動選択を行う態様とすることにより、ユーザは、他のユーザが過去に使用した現像処理パラメータを考慮した現像処理パラメータについて、より希望に沿った現像処理パラメータを自動的に取得することができる。
【0132】
[変形例]
以上、本開示をその好適な実施の形態に基づいて説明したが、本開示を適用可能な実施の形態は、上述の実施の形態に限定されものではない。
【0133】
例えば、本開示の画像処理装置で扱う画像データは、RAW画像データに限らず、例えば高解像度のレンダリング画像データ等、どのような画像データとしてもよい。また、画像処理についても、現像処理に限らず、どのような画像処理としてもよい。
【0134】
データテーブルの保存先については、画像処理装置内のストレージに保存する態様に限らず、画像処理装置とは別体のサーバに保存する態様としてもよい。
【0135】
また、上記各実施の形態でCPU11、21がソフトウェア(プログラムの一例である)を読み込んで実行した処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、およびCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0136】
また、上記各実施の形態では、画像表示プログラムがROM12またはストレージ14に予め記憶(例えば、インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、およびUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0137】
また、ROMは、書き換え可能型のROMであるフラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を含む広い概念である。
【0138】
また、端末における画像処理の依頼は、画像処理アプリケーションを用いて行う態様に限らず、インターネットブラウザを用いて行う態様としてもよい。
【0139】
また、上記各実施の形態において画像処理装置が備えている機能の一部を、端末に持たせてもよい。例えば、端末側に導出部の機能を持たせ、画像処理装置側の抽出部において抽出された適用済みパラメータを端末に送信し、端末側の導出部において、抽出部により抽出された適用済みパラメータの中での指定パラメータの使用頻度を導出するようにしてもよい。
【0140】
上記以外にも、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。また、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
【0141】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図1
図2
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図5
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