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特開2022-60493半導体装置及び半導体メモリのデータ読出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060493
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体メモリのデータ読出方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/24 20060101AFI20220407BHJP
   G11C 16/28 20060101ALI20220407BHJP
   G11C 7/12 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
G11C16/24 110
G11C16/28
G11C7/12
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026663
(22)【出願日】2022-02-24
(62)【分割の表示】P 2018033072の分割
【原出願日】2018-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】鎌野 秀平
(57)【要約】
【目的】製造上のバラツキに拘わらず、メモリセルに書き込まれているデータを正しく読み出すことが可能な半導体装置、及び半導体メモリのデータ読出方法を提供することを目的とする。
【構成】本発明に係る半導体装置は、複数のメモリセルのうちの1つに接続されているメインビット線を充電及び放電させる充放電回路と、放電に伴いメインビット線に流れた電流によってメインビット線に生じた電圧を増幅して読出信号を生成するセンスアンプと、を含む。充放電回路は、メインビット線の経路中における夫々異なる位置に挿入して配置されており、夫々がオフ状態時には経路の遮断を行い、オン状態時には経路の接続を行う複数のスイッチ素子を含み、メインビット線の充電時には複数のスイッチ素子のうちの調整信号に応じた1つのスイッチ素子をオフ状態、他のスイッチ素子をオン状態に設定し、その後、1つのスイッチ素子をオン状態に切り替えることによりメインビット線に充電された電荷を放電させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルと、
前記複数のメモリセルのうちの1つに接続されているメインビット線と、
前記メインビット線との接続点から電圧を印加する充電部と、前記メインビット線の経路中における前記接続点と前記メインビット線の一端との間に配置された複数のスイッチと、前記充電部及び前記複数のスイッチの制御を行う充放電制御部と、を含む充放電回路と、
前記メインビット線の他端に接続され、前記メインビット線の電圧を増幅するセンスアンプと、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記充放電制御部は、前記複数のスイッチを個別にオン状態又はオフ状態に制御することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記充放電制御部は、前記メインビット線の配線長を表す調整信号が入力され、該調整信号に応じて前記充電部及び前記複数のスイッチを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記調整信号を供給するコントローラを含むことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記充電部は、前記メインビット線を電源電位に接続して前記メインビット線に電圧を印加し、
前記複数のスイッチは、前記充放電制御部の制御に応じて前記メインビット線の前記経路を遮断又は接続を行うことを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記充放電制御部は、充電時には前記複数のスイッチのうちの前記調整信号に応じた1つのスイッチを制御して前記メインビット線の前記経路を遮断させることで、前記メインビット線における前記1つのスイッチよりも前記メインビット線の前記他端側を充電対象部分とし、その後、前記1つのスイッチを制御して前記メインビット線の前記経路を接続させることで、前記充電対象部分に充電された電荷を前記メインビット線の前記一端側に放電させることを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記充放電制御部は、前記調整信号によって表される前記配線長が大きいほど、前記メインビット線の前記他端からの前記配線長が長い位置に配置されている1つのスイッチを制御して前記メインビット線の前記経路を遮断することを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記充放電回路は、前記メインビット線の前記経路中における前記接続点と前記メインビット線の前記他端の間に配置されたキャパシタとキャパシタ付加スイッチとを含み、
前記キャパシタは一端が接地され、他端が前記キャパシタ付加スイッチに接続され、
前記キャパシタ付加スイッチは一端が前記メインビット線に接続されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記複数のスイッチの各々はトランスファーゲートであることを特徴とする請求項1~8のいずれか1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記キャパシタは、MOSキャパシタであり、
前記キャパシタ付加スイッチはトランスファーゲートであることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、特に半導体メモリを含む半導体装置、及び半導体メモリのデータ読出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性の半導体メモリとして、一対の選択トランジスタ及び一対の強誘電体キャパシタによって1ビット分のデータを記憶するメモリセルが配置されている2T2C型の半導体メモリが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような半導体メモリでは、一対の強誘電体キャパシタのうちの一方の強誘電体キャパシタが、上記した一対の選択トランジスタのうちの一方の選択トランジスタを介して第1のビット線に接続されている。また、上記した一対の強誘電体キャパシタのうちの他方の強誘電体キャパシタが、上記した一対の選択トランジスタのうちの他方の選択トランジスタを介して第2のビット線に接続されている。
【0004】
更に、当該半導体メモリは、一対のビット線に電圧を印加することで電荷を充電するプリチャージ回路と、第1及び第2のビット線間の電位差を増幅することで当該メモリセルから読み出されたデータの値を論理レベル0又は1に確定するセンスアンプとを含む。
【0005】
当該半導体メモリに1ビット分のデータを書き込むには、上記した一方の強誘電体キャパシタ及び他方の強誘電体キャパシタに対して、互いに逆極性の残留分極を生じさせる。
【0006】
一方、データの読出し時には、先ず、プリチャージ回路が一対のビット線に夫々電源電位を印加して、当該一対のビット線に電荷を充電、つまりプリチャージする。これにより、一対のビット線に電荷が蓄積され、ビット線各々の電位が上昇して電源電位に到る。次に、一対の選択トランジスタを共にオンにした状態で、当該ビット線に充電されている電荷を放電する。この際、放電開始直後は、プリチャージ回路が接続されている部分でのビット線の配線容量と、メモリセルが接続されている部分でのビット線の配線容量との関係により、一対のビット線の電位が共に急峻に低下する。その後、一対の強誘電体キャパシタの残留分極の状態が互いに異なることから、一対のビット線には、互いに異なる電流量の電流(読出電流と称する)がメモリセルを介して流れる。これにより、当該一対のビット線は、夫々に流れる読出電流によって、互いに異なる電位状態に維持される。尚、メモリセル及びビット線に流れる読出電流の電流量は微量であるので、一対のビット線に生じる電位差も微量となる。
【0007】
ここで、センスアンプは一対のビット線の電位差を増幅する。つまり、センスアンプは、上記した放電によって先にビット線電位がトランジスタの閾値を下回った方のビット線(一方のビット線と称する)の電位を電源電位(論理レベル1に対応)、他方のビット線の電位を接地電位(論理レベル0に対応)に到らせる。これにより、センスアンプは、メモリセルに書き込まれているデータ(論理レベル0又は1)に対応した電圧値を有する読出信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006-331516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、製造上のバラツキ等に伴い、上記した充電(プリチャージ)によってビット線に蓄積された電荷量にはバラツキが生じる。
【0010】
例えば充電された電荷量が所望量よりも低くなると、放電開始直後に、一対のビット線の電位が共にセンスアンプのトランジスタの閾値を大幅に下回るほど低下する場合がある。この際、一対のビット線に異なる電流量の読出電流が流れても、この読出電流によって一対のビット線に生じる電位の変化は微量であるので、センスアンプが誤動作する虞があった。
【0011】
また、逆に、充電された電荷量が所望量に対して多いと、放電開始直後の電圧低下量が小さくなり、一対のビット線の電位が共にセンスアンプのトランジスタの閾値を大幅に上回る場合がある。この際、センスアンプは動作しないので、データの読出しが行われないという問題が生じる。
【0012】
そこで、本発明は、製造上のバラツキに拘わらず、書き込まれているデータを正しく読み出すことが可能な半導体装置、及び半導体メモリのデータ読出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る半導体装置は、複数のメモリセルと、前記複数のメモリセルのうちの1つに接続されているメインビット線と、前記メインビット線に電荷を充電し、充電された電荷を放電させる充放電回路と、前記メインビット線の一端に接続されており、前記放電に伴い前記メインビット線に流れた電流によって前記メインビット線に生じた電圧を増幅して読出信号を生成するセンスアンプと、を含み、前記充放電回路は、前記メインビット線に接続されておりその接続点から電圧を印加して前記メインビット線の充電対象部分に電荷を充電する充電部と、前記メインビット線の経路中における前記接続点と前記メインビット線の他端との間の夫々異なる位置に挿入して配置されており、夫々がオフ状態時には前記経路の遮断を行い、オン状態時には前記経路の接続を行う複数のスイッチ素子と、調整信号を受け、前記充電部による前記メインビット線の充電時には前記複数のスイッチ素子のうちの前記調整信号に応じた1つのスイッチ素子をオフ状態に設定することで、前記メインビット線における前記1つのスイッチ素子よりも前記メインビット線の一端側を前記充電対象部分とし、その後、前記1つのスイッチ素子をオン状態に切り替えることにより前記メインビット線に充電された電荷を前記メインビット線の他端側に放電させる充放電制御部と、を有する。
【0014】
また、本発明に係る半導体メモリのデータ読出方法は、複数のメモリセルのうちの1つに接続されているメインビット線の充電対象部分に電荷を充電し、その後、充電された電荷を放電させることで前記メインビット線に読出電流を流し、前記読出電流に伴い前記メインビット線に生じた電圧に基づき読出信号を生成する半導体メモリのデータ読出方法であって、充電対象とする前記メインビット線の配線長を表す調整信号を受け、前記メインビット線の充電時には前記メインビット線の経路中において前記調整信号によって表される前記配線長を有する区間と他の区間とを電気的に遮断すると共に、前記配線長を有する前記区間を前記充電対象部分として電荷を充電し、前記配線長を有する前記区間と前記他の区間同士を接続することにより前記メインビット線の前記充電対象部分に充電された電荷を放電させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、メモリセルに接続されているメインビット線に電荷を充電するにあたり、当該メインビット線に充電される電荷量を調整信号に応じて調整することができる。これにより、放電開始直後のメインビット線の電圧をセンスアンプのトランジスタの閾値近傍の電圧値に到らせることが可能となる。
【0016】
よって、製造上のバラツキに伴い、充電によってメインビット線に蓄積される電荷量にバラツキが生じても、メモリセルに書き込まれているデータを正しく読み出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】半導体メモリ100の内部構成を示すブロック図である。
図2】メモリセルブロック10A及び10Bの内部構成を示す回路図である。
図3】充放電回路40の内部構成を示す回路図である。
図4】センスアンプ50の内部構成を示す回路図である。
図5】配線容量調整信号と、充電モードとの関係を表す図である。
図6】充電モードAによる充放電回路40内での充電動作を簡略的に表す回路図である。
図7】充電モードBによる充放電回路40内での充電動作を簡略的に表す回路図である。
図8】充電モードCによる充放電回路40内での充電動作を簡略的に表す回路図である。
図9】充電モードAによる充電動作後に実施される充放電回路40内での放電動作を簡略的に表す回路図である。
図10】充電モードBによる充電動作後に実施される充放電回路40内での放電動作を簡略的に表す回路図である。
図11】充電モードCによる充電動作後に実施される充放電回路40内での放電動作を簡略的に表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る半導体装置に含まれる半導体メモリ100の内部構成を示すブロック図である。
【0019】
半導体メモリ100は、メモリセルブロック10A及び10B、コントローラ20、マルチプレクサ30A及び30B、充放電回路40、及びセンスアンプ50を含む。
【0020】
メモリセルブロック10Aは、夫々が1ビット又は複数ビットのデータを記憶するメモリセルMC0~MCn(nは正の整数)を含む。各メモリセル、つまりメモリセルMC(k)(kは0~nの整数)は、ワード線WL(k)及び選択線RL(k)を介してコントローラ20と接続されている。また、メモリセルMC(k)は、ビット線BL(k)を介してマルチプレクサ30Aと接続されている。
【0021】
メモリセルブロック10Bは、夫々が1ビット又は複数ビットのデータを記憶するメモリセルMCC0~MCCnを含む。各メモリセル、つまりメモリセルMCC(k)(kは0~nの整数)は、ワード線WL(k)及び選択線RL(k)を介してコントローラ20と接続されている。また、メモリセルMCC(k)は、ビット線BLC(k)を介してマルチプレクサ30Bと接続されている。
【0022】
図2は、メモリセルMC0~MCn、及びMCC0~MCCnの内部構成の一例を表す回路図である。図2に示すように、各メモリセルMC(k)及びMCC(k)は、トランジスタQSと、データ記憶を担うフローティングゲート型のトラジスタQUと、を含む。トラジスタQUのソースには接地電位が印加されており、自身のドレインはトランジスタQSのソースに接続されている。
【0023】
メモリセルMC(k)及びMCC(k)の各々に含まれるトラジスタQUのゲートにはワード線WL(k)が接続されており、選択トラジスタQSのゲートには選択線RL(k
)が接続されている。また、メモリセルMC(k)に含まれる選択トラジスタQSのドレインにはビット線BL(k)が接続されており、メモリセルMCC(k)に含まれる選択トラジスタQSのドレインにはビット線BLC(k)が接続されている。
【0024】
ここで、メモリセルブロック10Aに含まれるメモリセルMC(k)、及びメモリセルブロック10Bに含まれるメモリセルMCC(k)の一対で、1つのデータ片が記憶される。
【0025】
例えば、一対のメモリセルMC(k)及びMCC(k)に論理レベル1を表す1ビットのデータ片を書き込むには、MC(k)のトランジスタQUのゲートに論理レベル1に対応した電圧値を有する書込電圧を印加する。これにより、メモリセルMC(k)のトランジスタQUのゲート部に論理レベル1に対応した電荷量の電荷が蓄積される。更に、メモリセルMCC(k)のトランジスタQUのゲートに、上記した論理レベル1を反転させた論理レベル0に対応した電圧値を有する書込電圧を印加する。これにより、メモリセルMCC(k)のトランジスタQUのゲート部に論理レベル0に対応した電荷量の電荷が蓄積される。
【0026】
すなわち、メモリセルブロック10Aに含まれるメモリセルMC(k)には、書き込み要求されたデータ片が書き込まれる。更に、メモリセルブロック10Bに含まれるメモリセルMCC(k)、つまり当該メモリセルMC(k)と対を為すメモリセルMCC(k)には、書き込み要求されたデータ片の論理レベルを反転したデータ片が書き込まれる。
【0027】
ここで、一対のメモリセルMC(k)及びMCC(k)に書き込まれたデータ片は、ワード線WL(k)を介して供給された読出電圧、及び選択線RL(k)を介して供給された選択電圧に応じて読み出される。実際には、これら読出電圧及び選択電圧に応じてメモリセルMC(k)及びMCC(k)の各々に含まれるトランジスタQU及びQSがオン状態となる。これにより、メモリセルMC(k)に含まれるトランジスタQUのゲート部に蓄積されている、論理レベル1に対応した電荷量に応じた読出電流がトランジスタQU及びQSを介してビット線BL(k)に流れる。これと共に、メモリセルMCC(k)に含まれるトランジスタQUのゲート部に蓄積されている、論理レベル0に対応した電荷量に応じた読出電流がトランジスタQU及びQSを介してビット線BLC(k)に流れる。この際、メモリセルMC(k)のトランジスタQU、及びメモリセルMCC(k)のトランジスタQUには、書き込まれたデータ片に基づき、互いに異なる電荷量の電荷が蓄積されている。よって、一対のビット線BL(k)及びBLC(k)には互いに異なる電流値の読出電流が流れることになる。
【0028】
コントローラ20は、各種のメモリ制御信号CMD(チップイネーブル信号、書込指令信号、読出指令信号等)、アドレスAD、及びデータDATを受ける。
【0029】
コントローラ20は、書込指令信号に応じて、アドレスADに対応したメモリセルMC(k)及びMCC(k)に対して、ワード線WL(k)を介してデータDATに対応した書込電圧を供給する。
【0030】
また、コントローラ20は、読出指令信号に応じて、アドレスADに対応したメモリセルMC(k)及びMCC(k)に対して、ワード線WL(k)を介して読出電圧を供給すると共に、選択線RL(k)を介して選択電圧を供給する。また、当該読出指令信号及びアドレスADに応じて、コントローラ20は、ビット線を指定するビット線選択信号をマルチプレクサ30A及び20Bに供給する。更に、コントローラ20は、各種の充放電制御信号を充放電回路40に供給すると共に、各種のセンスアンプ制御信号をセンスアンプ50に供給する。
【0031】
マルチプレクサ30Aは、ビット線BL0~BLnのうちから、ビット線選択信号によって指定されたビット線BL(k)を選択し、これを第1のメインビット線MBLに接続する。マルチプレクサ30Bは、ビット線BLC0~BLCnのうちから、ビット線選択信号によって指定されたビット線BLC(k)を選択し、これを第2のメインビット線MBCLに接続する。尚、メインビット線MBL及びMBCLは、充放電回路40に接続されている。
【0032】
充放電回路40は、コントローラ20から送出された各種の充放電制御信号として、夫々が2値(論理レベル0又は1)のプリチャージ信号PRE、配線容量調整信号LNGB及びSHTB、付加容量調整信号MCAPを受ける。
【0033】
尚、コントローラ20は、上記したメインビット線(MBM、MBR、MBCM、MBCR)に電荷を充電する場合には例えば論理レベル0、充電を実施しない場合には論理レベル1のプリチャージ信号PREを充放電回路40に供給する。
【0034】
また、コントローラ20は、充電対象とするメインビット線の配線長を長くする場合、つまり配線容量を大きくする場合には例えば論理レベル1の配線容量調整信号LNGBを充放電回路40に供給する。一方、充電対象とするメインビット線の配線長を短くする場合、つまり配線容量を小さくする場合には、コントローラ20は、例えば論理レベル1の配線容量調整信号SHTBを充放電回路40に供給する。すなわち、コントローラ20は、メインビット線の経路中において充電対象となる配線長を長くするのか、或いは短くするのかを表す配線容量調整信号(SHTB、LNGB)を充放電回路40に供給する。
【0035】
更に、コントローラ20は、メインビット線に静電容量を付加する場合には例えば論理レベル1、付加しない場合には論理レベル0の付加容量調整信号MCAPを充放電回路40に供給する。
【0036】
図3は、充放電回路40の内部構成の一例を示す回路図である。図3に示すように、充放電回路40は、充放電制御部JHPと、CMOS型のトランスミッションゲートT11~T13及びT21~T23と、nチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のトランジスタQ11及びQ21と、pチャネルMOS型のトランジスタQ12及びQ22と、MOSキャパシタC11及びC12と、を有する。充放電制御部JHPは、インバータIV1~IV5、ノアゲートNR1及びNR2を含む。
【0037】
インバータIV1は、プリチャージ信号PREの論理レベルを反転させた信号を反転プリチャージ信号PREBとして、トランジスタQ11及びQ21各々のゲートに供給する。トランジスタQ11のソースには接地電位が印加されており、そのドレインはメインビット線MBLに接続されている。トランジスタQ11は、自身のゲートで反転プリチャージ信号PREBを受け、当該反転プリチャージ信号PREBが論理レベル1を表す場合にオン状態となって接地電位をメインビット線MBLに印加する。これにより、メインビット線MBLに蓄積されていた電荷が放電する。
【0038】
トランジスタQ21のソースには接地電位が印加されており、そのドレインはメインビット線MBCLに接続されている。トランジスタQ21は、自身のゲートで反転プリチャージ信号PREBを受け、当該反転プリチャージ信号PREBが論理レベル1を表す場合にオン状態となって接地電位をメインビット線MBCLに印加する。これにより、メインビット線MBCLに蓄積されていた電荷が放電する。
【0039】
ノアゲートNR1は、プリチャージ信号PRE及び配線容量調整信号SHTBのうちの
一方又は両方が論理レベル1を表す場合には論理レベル0、両者が共に論理レベル0を表す場合には論理レベル1の反転配線容量調整信号ABを生成する。ノアゲートNR1は、生成した反転配線容量調整信号ABを、トランスミッションゲートT11及びT21各々のpチャネル側のゲート、及びインバータIV2に供給する。
【0040】
インバータIV2は、反転配線容量調整信号ABの論理レベルを反転させた配線容量調整信号Aを生成し、これをトランスミッションゲートT11及びT21各々のnチャネル側のゲートに供給する。
【0041】
トランスミッションゲートT11は、配線容量調整信号Aが論理レベル1を表す場合にオン状態となり、メインビット線MBLと、メインビット線MBMとを電気的に接続する。一方、配線容量調整信号Aが論理レベル0を表す場合には、トランスミッションゲートT11はオフ状態となり、当該メインビット線MBLと、メインビット線MBMとの電気的接続を遮断する。
【0042】
トランスミッションゲートT21は、配線容量調整信号Aが論理レベル1を表す場合にオン状態となり、メインビット線MBCLと、メインビット線MBCMとを電気的に接続する。一方、配線容量調整信号Aが論理レベル0を表す場合には、トランスミッションゲートT21はオフ状態となり、当該メインビット線MBCLと、メインビット線MBCMとの電気的接続を遮断する。
【0043】
ノアゲートNR2は、プリチャージ信号PRE及び配線容量調整信号LNGBのうちの一方又は両方が論理レベル1を表す場合には論理レベル0、両者が共に論理レベル0を表す場合には論理レベル1の反転配線容量調整信号BBを生成する。ノアゲートNR2は、生成した反転配線容量調整信号BBを、トランスミッションゲートT12及びT22各々のpチャネル側のゲート、及びインバータIV3に供給する。
【0044】
インバータIV3は、反転配線容量調整信号BBの論理レベルを反転させた配線容量調整信号Bを生成し、これをトランスミッションゲートT12及びT22各々のnチャネル側のゲートに供給する。
【0045】
トランスミッションゲートT12は、配線容量調整信号Bが論理レベル1を表す場合にオン状態となり、メインビット線MBMと、メインビット線MBRとを電気的に接続する。一方、配線容量調整信号Bが論理レベル0を表す場合には、トランスミッションゲートT12はオフ状態となり、当該メインビット線MBMと、メインビット線MBRとの電気的接続を遮断する。
【0046】
トランスミッションゲートT22は、配線容量調整信号Bが論理レベル1を表す場合にオン状態となり、メインビット線MBCMと、メインビット線MBCRとを電気的に接続する。一方、配線容量調整信号Bが論理レベル0を表す場合には、トランスミッションゲートT22はオフ状態となり、当該メインビット線MBCMと、メインビット線MBCRとの電気的接続を遮断する。
【0047】
トランジスタQ12のソースには電源電位VDDが印加されており、そのドレインはメインビット線MBRに接続されている。トランジスタQ12は、自身のゲートでプリチャージ信号PREを受け、当該プリチャージ信号PREが論理レベル0を表す場合にオン状態となって電源電位VDDをメインビット線MBRに印加する。これにより、メインビット線が充電され、当該メインビット線に寄生する配線容量に電荷が蓄積される。
【0048】
トランジスタQ22のソースには電源電位VDDが印加されており、そのドレインはメ
インビット線MBCRに接続されている。トランジスタQ22は、自身のゲートでプリチャージ信号PREを受け、当該プリチャージ信号PREが論理レベル0を表す場合にオン状態となって電源電位VDDをメインビット線MBCRに印加する。これにより、メインビット線が充電され、当該メインビット線に寄生する配線容量に電荷が蓄積される。
【0049】
インバータIV4は、付加容量調整信号MCAPの論理レベルを反転させた反転付加容量調整信号Cを生成し、これをトランスミッションゲートT13及びT23各々のpチャネル側のゲート、及びインバータIV5に供給する。
【0050】
インバータIV5は、反転付加容量調整信号Cの論理レベルを反転させ付加容量調整信号CBを生成し、これをトランスミッションゲートT13及びT23各々のnチャネル側のゲートに供給する。
【0051】
トランスミッションゲートT13は、付加容量調整信号CBが論理レベル1を表す場合にオン状態となり、メインビット線MBRと、MOSキャパシタC11のゲートと、を電気的に接続する。一方、付加容量調整信号CBが論理レベル0を表す場合には、トランスミッションゲートT13はオフ状態となり、当該メインビット線MBRと、MOSキャパシタC11のゲートとの電気的接続を遮断する。
【0052】
MOSキャパシタC11は、例えばnチャネル型のトランジスタからなり、当該トランジスタのソース及びドレインに接地電位が印加されている。MOSキャパシタC11は、静電容量fd0を有する。
【0053】
トランスミッションゲートT23は、付加容量調整信号CBが論理レベル1を表す場合にオン状態となり、メインビット線MBCRと、MOSキャパシタC21のゲートと、を電気的に接続する。一方、付加容量調整信号CBが論理レベル0を表す場合には、トランスミッションゲートT23はオフ状態となり、当該メインビット線MBCRと、MOSキャパシタC21のゲートとの電気的接続を遮断する。
【0054】
MOSキャパシタC21は、例えばnチャネル型のトランジスタからなり、当該トランジスタのソース及びドレインに接地電位が印加されている。MOSキャパシタC21は、静電容量fd0を有する。
【0055】
上記した構成により、充放電回路40は、各種の充放電制御信号(PRE、SHTB、LNGB、MCAP)に応じて、メインビット線MBR及びMBCRに電荷を充電し、夫々に電荷を蓄積させる。その後、充放電回路40は、充電された電荷を放電し、その放電に伴って流れる電流をメインビット線MBL及びMBCLを介してマルチプレクサ30A及び30Bに送出する。
【0056】
センスアンプ50は、コントローラ20から送出された各種のセンスアンプ制御信号として、夫々が2値(論理レベル0又は1)のイネーブル信号SAEB及びラッチ信号LATを受ける。センスアンプ50には、メインビット線MBR及びMBCR各々の一端が接続されている。
【0057】
図4は、センスアンプ50の内部構成の一例を示す回路図である。図4に示すように、センスアンプ50は、差動部DF、電流電圧変換部CV、ラッチ部LT1及びLT2から構成される。
【0058】
差動部DFは、pチャネルMOS型のトランジスタM1~M3、M7及びM8、nチャネルMOS型のトランジスタM4~M6を含む。
【0059】
トランジスタM1のソースには電源電位VDDが印加されており、トランジスタM1のドレインにはトランジスタM2及びM3各々のソースが接続されている。トランジスタM1は、自身のゲートでイネーブル信号SAEBを受け、当該イネーブル信号SAEBが論理レベル0を表す場合にだけ電源電位VDDをトランジスタM2及びM3各々のソースに印加する。
【0060】
トランジスタM2のドレインはノードLaに接続されており、ゲートにはメインビット線MBRが接続されている。トランジスタM2は、メインビット線MBRの電圧が自身の閾値電圧より低い場合に、当該メインビット線MBRの電圧に対応した電流I1をノードLaに送出する。
【0061】
トランジスタM3のドレインはノードLbに接続されており、ゲートにはメインビット線MBCRが接続されている。トランジスタM3は、メインビット線MBCRの電圧が自身の閾値電圧より低い場合に、当該メインビット線MBCRの電圧に対応した電流I2をノードLbに送出する。
【0062】
トランジスタM4のドレインはノードLaに接続されており、ドレインはノードLbに接続されている。トランジスタM4は、自身のゲートでイネーブル信号SAEBを受け、当該イネーブル信号SAEBが論理レベル1を表す場合にだけオン状態となって、ノードLaとノードLbとを短絡する。
【0063】
トランジスタM5のソースには接地電位が印加されており、ドレインにはノードLaが接続されている。トランジスタM5は、自身のゲートでイネーブル信号SAEBを受け、当該イネーブル信号SAEBが論理レベル1を表す場合にだけオン状態となって、ノードLaに接地電位を印加する。
【0064】
トランジスタM6のソースには接地電位が印加されており、ドレインにはノードLbが接続されている。トランジスタM6は、自身のゲートでイネーブル信号SAEBを受け、当該イネーブル信号SAEBが論理レベル1を表す場合にだけオン状態となって、ノードLbに接地電位を印加する。
【0065】
トランジスタM7のソースはノードLaに接続されており、ドレインはノードL1に接続されている。トランジスタM7は、自身のゲートでイネーブル信号SAEBを受け、当該イネーブル信号SAEBが論理レベル0を表す場合にだけオン状態となって、ノードLaの電流I1をノードL1を介して電流電圧変換部CVに供給する。
【0066】
トランジスタM8のソースはノードLbに接続されており、ドレインはノードL2に接続されている。トランジスタM8は、自身のゲートでイネーブル信号SAEBを受け、当該イネーブル信号SAEBが論理レベル0を表す場合にだけオン状態となって、ノードLbの電流I2をノードL2を介して電流電圧変換部CVに供給する。
【0067】
上記した構成により、差動部DFは、イネーブル信号SAEBが論理レベル0を表す場合にイネーブル状態となる。このイネーブル状態時に、差動部DFは、メインビット線MBRの電圧に対応した電流I1をノードL1を介して電流電圧変換部CVに供給すると共に、メインビット線MBCRの電圧に対応した電流I2をノードL2を介して電流電圧変換部CVに供給する。尚、イネーブル信号SAEBが論理レベル1を表す場合には、差動部DFは、上記した動作を停止する。
【0068】
電流電圧変換部CVは、nチャネルMOS型のトランジスタM9及びM10を含む。ト
ランジスタM9のドレインはノードL1に接続されており、ソースには接地電位が印加されている。トランジスタM9のゲートはノードL2に接続されている。トランジスタM10のドレインはノードL2に接続されており、ソースには接地電位が印加されている。トランジスタM10のゲートはノードL1に接続されている。
【0069】
かかる構成により、電流電圧変換部CVは、電流I1を、電流I2の大きさに対応した速度で低下する電圧に変換し、これをノードL1を介してラッチT1に供給する。更に電流電圧変換部CVは、電流I2を、上記した電流I1の大きさに対応した速度で低下する電圧に変換し、これをノードL2を介してラッチT2に供給する。
【0070】
ラッチLT1は、pチャネルMOS型のトランジスタM11及びM12、nチャネルMOS型のトランジスタM13、及びインバータIVaを含む。
【0071】
インバータIVaは、ノードL1の電圧が自身の閾値電圧を超えた場合に論理レベル0、当該ノードL1の電圧が閾値電圧以下となる場合には論理レベル1を有する信号を、読出信号RDLとして出力する。
【0072】
トランジスタM11のソースには電源電位VDDが印加されており、ドレインはトランジスタM12のソースに接続されている。トランジスタM11は、自身のゲートでラッチ信号LATを受け、当該ラッチ信号LATが論理レベル0を表す場合に電源電位VDDをトランジスタM12のソースに印加する。
【0073】
トランジスタM12のドレインはノードL1に接続されており、ゲートには読出信号RDLが供給されている。トランジスタM12は、トランジスタM11から電源電位VDDが供給されており、且つ読出信号RDLが論理レベル0を表す場合にオン状態となって、電源電位VDDをノードL1に印加する。
【0074】
トランジスタM13のソースには接地電位が印加されており、ドレインはノードL1に接続されている。トランジスタM13は、自身のゲートでラッチ信号LATを受け、当該ラッチ信号LATが論理レベル1を表す場合にオン状態となって、ノードL1に接地電位を印加する。
【0075】
かかる構成により、ラッチLT1は、論理レベル0のラッチ信号LATに応じて、ノードL1の電圧を取り込み、その電圧がインバータIVaの閾値電圧を超えている場合には論理レベル0、閾値電圧以下である場合には論理レベル1の読出信号RDLを出力する。この際、論理レベル1を表すイネーブル信号SAEBによって差動部DFが動作を停止していても、トランジスタM12の動作により、読出信号RDLにて表される値(論理レベル1又は0)は保持される。
【0076】
ラッチLT2は、pチャネルMOS型のトランジスタM21及びM22、nチャネルMOS型のトランジスタM23、及びインバータIVbを含む。
【0077】
インバータIVbは、ノードL2の電圧が自身の閾値電圧を超えた場合に論理レベル0、当該ノードL2の電圧が閾値電圧以下となる場合には論理レベル1を有する信号を、読出信号RDLCとして出力する。
【0078】
トランジスタM21のソースには電源電位VDDが印加されており、ドレインはトランジスタM22のソースに接続されている。トランジスタM21は、自身のゲートでラッチ信号LATを受け、当該ラッチ信号LATが論理レベル0を表す場合に電源電位VDDをトランジスタM22のソースに印加する。
【0079】
トランジスタM22のドレインはノードL2に接続されており、ゲートには読出信号RDLCが供給されている。トランジスタM22は、トランジスタM21から電源電位VDDが供給されており、且つ読出信号RDLCが論理レベル0を表す場合にオン状態となって、電源電位VDDをノードL2に印加する。
【0080】
トランジスタM23のソースには接地電位が印加されており、ドレインはノードL2に接続されている。トランジスタM23は、自身のゲートでラッチ信号LATを受け、当該ラッチ信号LATが論理レベル1を表す場合にオン状態となって、ノードL2に接地電位を印加する。
【0081】
かかる構成により、ラッチLT2は、論理レベル0のラッチ信号LATに応じて、ノードL2の電圧を取り込み、その電圧がインバータIVbの閾値電圧を超えている場合には論理レベル0、閾値電圧以下である場合には論理レベル1の読出信号RDLCを出力する。この際、論理レベル1を表すイネーブル信号SAEBによって差動部DFが動作を停止していても、トランジスタM22の動作により、読出信号RDLCにて表される値(論理レベル1又は0)は保持される。
【0082】
上記構成により、センスアンプ50は、充放電回路40での放電動作に伴いメインビット線に流れた電流によってメインビット線MBR及びMBCRに夫々生じた電位を、両電位のうちで高い方の電位が電源電位、低い方の電位が接地電位となるように増幅する。そして、センスアンプ50は、メインビット線MBRの電位を増幅して得られた電位(電源電位又は接地電位)を有する読出信号RDL、及びメインビット線MBCRの電位を増幅して得られた電位(接地電位又は電源電位)を有する読出信号RDLCを出力する。つまり、センスアンプ50は、互いに異なる論理レベル(電源電位又は接地電位)を有する一対の差動信号として、読出信号RDL及びRDLCを出力する。
【0083】
以下に、図1に示す半導体メモリ100からデータを読み出す際に充放電回路40で実施される充電及び放電動作について説明する。
【0084】
充放電回路40は、先ず、論理レベル0のプリチャージ信号PREに応じて、メインビット線(MBR、MBCR、MBM、MBCM)に電荷を充電する。
【0085】
尚、充放電回路40は、充電によってメインビット線に蓄積する電荷量を、配線容量調整信号LNGB及びSHTB、付加容量調整信号MCAPによって3段階にて調整可能である。
【0086】
例えば、図5に示すように、論理レベル1の配線容量調整信号SHTB、論理レベル0の配線容量調整信号LNGB、及び論理レベル0の付加容量調整信号MCAPを受けると、充放電回路40は、蓄積される電荷量が小さい充電モードAによる充電処理を行う。
【0087】
図6は、充電モードAでの充放電回路40内の状態を簡略的に表す回路図である。
【0088】
図6に示すように、充電モードAでは、メインビット線MBL、MBM及びMBRの経路に挿入されているトランスミッションゲートT11がオン状態、トランスミッションゲートT12がオフ状態に設定される。また、当該充電モードAでは、メインビット線MBCL、MBCM及びMBCRの経路に挿入されているトランスミッションゲートT21がオン状態、トランスミッションゲートT22がオフ状態に設定される。更に、当該充電モードAでは、図6に示すように、トランスミッションゲートT13及びT23が共にオフ状態に設定される。これにより、MOSキャパシタC11とメインビット線MBRとの接続が遮断され、MOSキャパシタC21とメインビット線MBCRとの接続が遮断される。
【0089】
ここで、論理レベル0のプリチャージ信号PREを受けると、トランジスタQ12がオン状態となり、図6の破線に示すように、トランジスタQ12から充電電流がメインビット線MBRに流れ込む。これにより、図6に示すように、メインビット線MBRに寄生する配線容量fd1に電荷が蓄積される。また、論理レベル0のプリチャージ信号PREを受けると、トランジスタQ22がオン状態となり、図6の破線に示すように、充電電流がトランジスタQ22からメインビット線MBCRに流れ込む。これにより、図6に示すようにメインビット線MBCRに寄生する配線容量fd1に電荷が蓄積される。
【0090】
また、例えば図5に示すように、論理レベル0の配線容量調整信号SHTB、論理レベル1の配線容量調整信号LNGB、及び論理レベル0の付加容量調整信号MCAPを受けると、充放電回路40は充電モードBによる充電処理を行う。充電モードBでは、充電モードAに比べて、メインビット線の経路中において充電対象となる配線長が大きい、つまり配線容量が大きい。
【0091】
図7は、充電モードBでの充放電回路40内の状態を簡略的に表す回路図である。
【0092】
図7に示すように、充電モードBでは、メインビット線MBCL、MBCM及びMBCRの経路に挿入されているトランスミッションゲートT11がオフ状態、トランスミッションゲートT12がオン状態に設定される。また、当該充電モードBでは、メインビット線MBCL、MBCM及びMBCRの経路に挿入されているトランスミッションゲートT21がオフ状態、トランスミッションゲートT22がオン状態に設定される。更に、当該充電モードBでは、図7に示すように、トランスミッションゲートT13及びT23が共にオフ状態に設定される。これにより、MOSキャパシタC11とメインビット線MBRとの接続が遮断され、MOSキャパシタC21とメインビット線MBCRとの接続が遮断される。
【0093】
ここで、論理レベル0のプリチャージ信号PREを受けると、トランジスタQ12がオン状態となり、図7の破線に示すように、トランジスタQ12から充電電流がメインビット線MBR、トランスミッションゲートT12、及びメインビット線MBMに流れ込む。これにより、図7に示すようにメインビット線MBRに寄生する配線容量fd1、及びメインビット線MBMに寄生する配線容量fd2に電荷が蓄積される。また、論理レベル0のプリチャージ信号PREを受けると、トランジスタQ22がオン状態となり、図7の破線に示すように、充電電流がトランジスタQ22からメインビット線MBCR、トランスミッションゲートT22、及びメインビット線MBCMに流れ込む。これにより、メインビット線MBCRに寄生する配線容量fd1、及びメインビット線MBCMに寄生する配線容量fd2に電荷が蓄積される。
【0094】
また、例えば、図5に示すように、論理レベル0の配線容量調整信号SHTB、論理レベル1の配線容量調整信号LNGB、及び論理レベル1の付加容量調整信号MCAPを受けると、充放電回路40は充電モードCによる充電処理を行う。充電モードCでは、メインビット線の経路中において充電対象となる配線長は充電モードBの場合と等しいものの、蓄積される電荷量は充電モードBに比べて大きくなる。
【0095】
図8は、充電モードCでの充放電回路40内の状態を簡略的に表す回路図である。
【0096】
図8に示すように、充電モードCでは、メインビット線MBCL、MBCM及びMBCRの経路に挿入されているトランスミッションゲートT11がオフ状態、トランスミッシ
ョンゲートT12がオン状態に設定される。また、当該充電モードCでは、メインビット線MBCL、MBCM及びMBCRの経路に挿入されているトランスミッションゲートT21がオフ状態、トランスミッションゲートT22がオン状態に設定される。
【0097】
更に、当該充電モードCでは、図8に示すように、トランスミッションゲートT13及びT23が共にオン状態に設定される。これにより、MOSキャパシタC11とメインビット線MBRとが電気的に接続され、MOSキャパシタC21とメインビット線MBCRとが電気的に接続される。
【0098】
ここで、論理レベル0のプリチャージ信号PREを受けると、トランジスタQ12がオン状態となる。よって、図8の破線に示すように、トランジスタQ12から充電電流がメインビット線MBR、トランスミッションゲートT12、メインビット線MBM、並びにトランスミッションゲートT13、及びMOSキャパシタC11に流れ込む。これにより、図8に示すようにメインビット線MBRに寄生する配線容量fd1、メインビット線MBMに寄生する配線容量fd2、及びCMOCキャパシタC11の静電容量fd0に電荷が蓄積される。
【0099】
また、論理レベル0のプリチャージ信号PREを受けると、トランジスタQ22がオン状態となる。よって、図8の破線に示すように、充電電流がトランジスタQ22からメインビット線MBCR、トランスミッションゲートT22、メインビット線MBCM、並びにトランスミッションゲートT23、及びMOSキャパシタC21に流れ込む。これにより、メインビット線MBCRに寄生する配線容量fd1、メインビット線MBCMに寄生する配線容量fd2、及びCMOCキャパシタC21の静電容量fd0に電荷が蓄積される。
【0100】
充放電回路40は、上記した充電モードA、B又はCでの充電動作の終了後、論理レベル1のプリチャージ信号PREに応じて以下のように、メインビット線に蓄積した電荷を放電させる。
【0101】
例えば、充電モードAによる充電動作の終了後に、論理レベル1のプリチャージ信号PREを受けると、図9に示すように、充放電回路40のトランスミッションゲートT11、T12、T21及びT22が全てオン状態に設定される。これにより、メインビット線MBRに寄生する配線容量fd1に蓄積されていた電荷が図9の破線に示すように、MBR、T12、MBM、T11、及びMBLを介してマルチプレクサ30Aに送出される。更に、メインビット線MBCRに寄生する配線容量fd1に蓄積されていた電荷が、図9の破線に示すように、MBCR、T22、MBCM、T21、及びMBCLを介してマルチプレクサ30Bに送出される。
【0102】
また、例えば、充電モードBによる充電動作の終了後に、論理レベル1のプリチャージ信号PREを受けると、図10に示すように、充放電回路40のトランスミッションゲートT11、T12、T21及びT22が全てオン状態に設定される。これにより、メインビット線MBRに寄生する配線容量fd1、及びメインビット線MBMに寄生する配線容量fd2に夫々蓄積されていた電荷が図10の破線に示すように、MBR、T12、MBM、T11、及びMBLを介してマルチプレクサ30Aに送出される。更に、メインビット線MBCRに寄生する配線容量fd1、メインビット線MBCMに寄生する配線容量fd2に夫々蓄積されていた電荷が図10の破線に示すように、MBCR、T22、MBCM、T21、及びMBCLを介してマルチプレクサ30Bに送出される。
【0103】
すなわち、充電モードAによる充電実行後の放電によって送出される電荷よりも、配線容量fd2に対応した分だけ電荷量が多い電荷がマルチプレクサ30A及び30Bに送出
されるのである。
【0104】
また、例えば、充電モードCによる充電動作の終了後に、論理レベル1のプリチャージ信号PREを受けると、図11に示すように、充放電回路40のトランスミッションゲートT11~T13、T21~T23が全てオン状態に設定される。これにより、メインビット線MBRに寄生する配線容量fd1、メインビット線MBMに寄生する配線容量fd2、及びMOSキャパシタC11の静電容量fd0に夫々蓄積されていた電荷が図11の破線に示すように、T13、MBR、T12、MBM、T11、及びMBLを介してマルチプレクサ30Aに送出される。更に、メインビット線MBCRに寄生する配線容量fd1、メインビット線MBCMに寄生する配線容量fd2、及びMOSキャパシタC21の静電容量fd0に夫々蓄積されていた電荷が図11の破線に示すように、T23、MBCR、T22、MBCM、T21、及びMBCLを介してマルチプレクサ30Bに送出される。
【0105】
すなわち、充電モードBによる充電実行後の放電によって送出される電荷よりも、静電容量fd0に対応した分だけ電荷量が多い電荷がマルチプレクサ30A及び30Bに送出されるのである。
【0106】
ここで、マルチプレクサ30Aは、メインビット線MBLを介して受けた電荷を、ビット線BL0~BLnのうちの1つのビット線BL(k)を介してメモリセルMC(k)に送出する。また、マルチプレクサ30Bは、メインビット線MBCLを介して受けた電荷を、ビット線BLC0~BLCnのうちの1つのビット線BLC(k)を介してメモリセルMCC(k)に送出する。
【0107】
これにより、メモリセルMC(k)に書き込まれていたデータ(論理レベル0又は1)に対応した読出電流が、ビット線BL(k)、マルチプレクサ30A、MBL、T11、MBM、T12及びMBRに流れる。よって、この読出電流に応じてメインビット線MBRの電位が上昇する。更に、メモリセルMCC(k)に書き込まれていたデータ(論理レベル0又は1)に対応した読出電流が、ビット線BLC(k)、マルチプレクサ30B、MBCL、T21、MBCM、T22及びMBCRに流れる。よって、この読出電流に応じてメインビット線MBCRの電位が上昇する。
【0108】
センスアンプ50は、当該メインビット線MBRの電位とメインビット線MBCRの電位との電位差を増幅することにより、前述したように、互いに異なる論理レベルを有する差動出力として、読出信号RDL及びRDLCを出力する。
【0109】
ところで、製造上のバラツキ等に伴い、上記した充放電回路40の充電動作(充電モードA~C)によってメインビット線に蓄積される電荷量にはバラツキが生じる。
【0110】
例えば、図6に示す充電モードAによる充電処理を行うと、メインビット線MBR(MBCR)に蓄積した電荷量が所望量よりも少なくなる場合がある。このような電荷の蓄積状態から電荷の放電を行うと、放電開始直後においてメインビット線MBR及びMBCRの電圧が共にセンスアンプ50のトランジスタM2及びM3の閾値を大幅に下回るほど低下する場合がある。この際、メインビット線MBR及びMBCRに異なる電流量の読出電流が流れるが、この読出電流によってメインビット線MBR及びMBCRに反映される電位の変化分は微量であるため、センスアンプ50が誤動作する虞があった。
【0111】
そこで、このような場合には、配線容量調整信号SHTB及びLNGBにより、図6に示す充電モードAに代えて、充電対象となるメインビット線の配線長を増やすことで配線容量を増加した、図7に示す充電モードBを実行させるように充放電回路40を制御する
【0112】
充電モードBでは、トランジスタQ12(Q22)が充電対象とするメインビット線MBM及びMBR(MBCL及びMBCR)による総配線長は、充電モードAで充電対象となるメインビット線MBR(MBCR)の配線長よりも長い。
【0113】
よって、充電モードBで充電対象となるメインビット線MBL及びMBR(MBCL及びMBCR)の配線容量[fd1+fd2]も、充電モードAで充電対象となるメインビット線MBLの配線容量fd1よりも大きくなる。したがって、充電モードBの実行によって配線容量[fd1+fd2]に蓄積される電荷量は、充電モードAの実行によって配線容量fd1に蓄積される電荷量よりも多くなる。
【0114】
これにより、充電モードBを実行した場合には、充電モードAを実行した場合に比べて、放電開始直後のメインビット線MBR(MBCR)の電圧低下量が抑えられる。つまり、メインビット線MBR(MBCR)の電圧をセンスアンプ50のトランジスタM2(M3)の閾値に近づけることが可能となる。
【0115】
よって、センスアンプ50は、放電開始後に一対のメモリセルMC(k)及びMCC(k)に夫々流れた読出電流によってメインビット線MBR及びMBCRに生じた、互いに異なる電位のうちの一方を電源電位、他方を接地電位に増幅することが可能となる。
【0116】
尚、かかる充電モードBによってもメインビット線に蓄積される電荷量が不十分である場合には、配線容量調整信号SHTB、LNGB、及び付加容量調整信号MCAPにより、図8に示す充電モードCを実行させるように充放電回路40を制御する。
【0117】
充電モードCでは、MOSキャパシタC11(C21)がメインビット線MBR(MBCR)に接続される。よって、充電モードBを実行する場合に比べて、MOSキャパシタC11(C21)の静電容量の分だけ、メインビット線MBR(MBCR)に蓄積される電荷量が大きくなる。これにより、充電モードCを実行した場合には、充電モードBを実行した場合に比べて、放電開始直後のメインビット線MBR(MBCR)の電圧低下量を抑えることができる。
【0118】
また、製造上のバラツキ等に伴い、例えば図7に示す充電モードBによる充電処理を行うと、メインビット線MBR及びMBCRに蓄積した電荷量が所望量よりも大幅に多くなる場合がある。このような電荷の蓄積状態から電荷の放電を行うと、放電開始直後においてもメインビット線MBR及びMBCR各々の電圧が共にセンスアンプ50のトランジスタM2及びM3の閾値を大幅に上回る場合があり、センスアンプ50が動作しないという問題が生じる。
【0119】
そこで、このような場合には、配線容量調整信号SHTB及びLNGBにより、図7に示す充電モードBに代えて図6に示す充電モードAを実行させるように充放電回路40を制御する。充電モードAの実行により、メインビット線に蓄積される電荷量が少なくなるので、メインビット線MBR及びMBCR各々の電圧をセンスアンプ50のトランジスタM2及びM3の閾値の近傍まで低下させることが可能となる。これにより、センスアンプ50が動作し、データの読出しが行われるようになる。
【0120】
以上のように、半導体メモリ装置100では、データ読出時に実行するメインビット線の充電によって蓄積される電荷量を、調整信号(LNGB、SHTB、MCAP)に応じて調整することができる。これにより、放電開始直後のメインビット線の電圧を、当該電圧をゲートで受けるセンスアンプ50のトランジスタM2(M3)の閾値近傍の電圧値に
到らせることが可能となる。よって、製造上のバラツキに伴い、充電によってメインビット線に蓄積される電荷量にバラツキが生じても、メモリセルに書き込まれているデータを正しく読出すことが可能となる。
【0121】
尚、図3に示す充放電回路40では、第1のメインビット線(MBL、MBM、MBR)の経路中の夫々異なる位置に、オフ状態時には当該経路の遮断を行い、オン状態時には接続する2つのトランスミッションゲートT11及びT12を挿入している。しかしながら、この第1のメインビット線に挿入するトランスミッションゲートの数は2つに限定されず、3つ以上の複数であっても良い。また、第2のメインビット線(MBCL、MBCM、MBCR)の経路中の夫々異なる位置にも、オフ状態時には当該経路の遮断を行い、オン状態時には接続する2つのトランスミッションゲートT21及びT22が挿入されているが、当該トランスミッションゲートの数についても、同様に3つ以上の複数であっても良い。
【0122】
また、図3に示す実施例では、トランスミッションゲートT11~T13、及びT21~T23としてCMOS型のトランスミッションゲートを採用している。しかしながら、トランスミッションゲートT11~T13、及びT21~T23としては、例えばpチャネル型又はnチャネル型のトランスミッションゲート、或いはバイポーラ型のトランジスタ等のスイッチング素子を用いるようにしても良い。
【0123】
尚、メインビット線(MBL、MBM及びMBR、またはMBCL、MBCM、MBCR)の経路中に複数のスイッチング素子を挿入する場合には、配線容量調整信号として、当該スイッチング素子の数に対応した段階で充電対象とする配線長を表すものを採用する。更に、充放電回路40に含まれる充放電制御部JHPが、メインビット線の充電時には、複数のスイッチ素子のうちの配線容量調整信号に応じた1つのスイッチ素子をオフ状態、他のスイッチ素子をオン状態に設定する。
【0124】
具体的には、充放電制御部JHPは、配線容量調整信号によって表される配線長が大きいほど、メインビット線の一端、つまりセンスアンプ50とメインビット線との接続点からの配線長が長い位置に配置されている1つのスイッチ素子をオフ状態に設定する。この間、充電部としてのトランジスタQ12(Q22)が、メインビット線の経路中において上記したメインビット線の一端に最も近い位置に配置されているスイッチ素子(T12、T22)と、このメインビット線の一端との間に電圧を印加することで電荷を充電する。その後、充放電制御部JHPが、この1つのスイッチ素子をオン状態に切り替えることによりメインビット線に充電された電荷を放電させるのである。
【0125】
要するに、半導体メモリ100としては、以下のような充放電回路及びセンスアンプを有するものであれば良い。充放電回路(40)は、複数のメモリセル(MC0~MCn、MCC0~MCCn)のうちの1つに接続されているメインビット線(MBL、MBM、MBR、MBCL、MBCM、MBCR)に電荷を充電し、充電された電荷を放電させる。センスアンプ(50)は、メインビット線の一端に接続されており、上記した放電に伴いメインビット線に流れた電流によって当該メインビット線に生じた電圧を増幅して読出信号を生成する。尚、充放電回路は、以下の充電部、複数のスイッチ素子、及び充放電制御部を含む。
【0126】
充電部(Q12、Q22)は、メインビット線に電圧(VDD)を印加してこのメインビット線に電荷を充電する。複数のスイッチ素子(T11及びT12、又はT21及びT22)は、メインビット線の経路中における夫々異なる位置に挿入して配置されており、夫々がオフ状態時には経路の遮断を行い、オン状態時には経路の接続を行う。充放電制御部(JHP)は、調整信号(LNGB、SHTB)を受け、充電部によるメインビット線
の充電時には複数のスイッチ素子のうちの調整信号に応じた1つのスイッチ素子をオフ状態、他のスイッチ素子をオン状態に設定する。その後、充放電制御部は、この1つのスイッチ素子をオン状態に切り替えることによりメインビット線に充電された電荷を放電させる。
【符号の説明】
【0127】
10A、10B メモリセルブロック
20 コントローラ
40 充放電回路
50 センスアンプ
JHP 充放電制御部
Q12、Q22 トランジスタ
T11~T13 トランスミッションゲート
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