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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061001
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】半導体試料の3次元再構成
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20220408BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220408BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G06T7/00 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021132416
(22)【出願日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】17/024,578
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504144253
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル ビストリッツァー
(72)【発明者】
【氏名】アンナ レヴァン
(72)【発明者】
【氏名】モーシェ イライアソフ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル シェママ
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン シルコ
(57)【要約】
【課題】半導体試料の3次元再構成を提供すること。
【解決手段】第1の(それぞれ、第2の)照明角度で電子ビーム試験ツールによって獲得された半導体試料の区域の第1の(それぞれ、第2の)画像を取得することと、区域内の半導体試料の高さプロファイルの情報を与える複数の高さ値を決定することとを含むシステムおよび方法が提供され、この決定が、複数の関数を含む最適化問題を解くことを含み、各関数が、第1の画像の第1の場所におけるグレーレベル強度の情報を与えるデータと、第2の画像の第2の場所におけるグレーレベル強度の情報を与えるデータとの間の差を表し、関数ごとに、第2の場所が、最適化問題を解くときに第1の場所に対して決定され、または逆であり、第1の場所と第2の場所との間の距離が、高さプロファイルと、第1および第2の照明角度とに依存する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体試料の試験のシステムであって、前記システムがプロセッサおよびメモリ回路(PMC)を含み、前記プロセッサおよびメモリ回路(PMC)が、
- o 第1の照明角度で電子ビーム試験ツールによって獲得された前記半導体試料の区域の第1の画像と、
o 前記第1の照明角度と異なる第2の照明角度で前記電子ビーム試験ツールによって獲得された前記区域の第2の画像と
を取得し、
- 前記区域内の前記半導体試料の高さプロファイルの情報を与える複数の高さ値を決定する
ように構成され、
前記複数の高さ値の決定が、最適化問題を解く高さ値を決定することを含み、
前記最適化問題が複数の関数を含み、各関数が、前記第1の画像の第1の場所におけるグレーレベル強度の情報を与えるデータと、前記第2の画像の第2の場所におけるグレーレベル強度の情報を与えるデータとの間の少なくとも差の情報を与え、
関数ごとに、前記最適化問題を解くと、
前記第2の場所が、前記区域内の前記高さプロファイル、前記第1の照明角度、および前記第2の照明角度に依存する前記第2の場所から離れて配置された前記第1の場所に対して決定されるか、または
前記第1の場所が、前記区域内の前記高さプロファイル、前記第1の照明角度、および前記第2の照明角度に依存する前記第1の場所から離れて配置された前記第2の場所に対して決定される、システム。
【請求項2】
前記複数の関数のうちの所与の関数に対して、前記システムが、前記所与の関数に対して決定された前記第1の場所または前記第2の場所に依存する前記区域内の場所での高さ値を決定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の関数のうちの所与の関数に対して、前記システムが、
前記第1の場所、前記高さ値、および前記第1の照明角度、あるいは前記第2の場所、前記高さ値、および前記第2の照明角度
に依存する場所での高さ値を決定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記最適化問題が、前記区域内の前記複数の高さ値の一部またはすべてをリンクする制約を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
複数の高さ値が、前記最適化問題の解として同時に決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の高さ値を決定するために、前記高さプロファイルの第1の推定値を考慮に入れるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
所与の場所を含む領域における前記試料の前記高さプロファイルの予想される変動に適合する、前記区域内の前記所与の場所での高さ値を決定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記最適化問題が、照明角度に対するグレーレベル強度の依存性を考慮に入れる補正項を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の画像のグレーレベル強度の情報を与えるデータおよび前記第2の画像のグレーレベル強度の情報を与えるデータのうちの少なくとも1つの空間的位置合わせプロセスを実行するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の関数のうちの所与の関数に対して、前記第1の場所および前記第2の場所は、前記高さ値が決定された場所での前記試料の前記高さ値、前記第1の照明角度、および前記第2の照明角度に依存する関係によってリンクされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
半導体試料を試験する方法であって、前記方法が、プロセッサおよびメモリ回路(PMC)によって、
- o 第1の照明角度で電子ビーム試験ツールによって獲得された前記半導体試料の区域の第1の画像と、
o 前記第1の照明角度と異なる第2の照明角度で前記電子ビーム試験ツールによって獲得された前記区域の第2の画像と
を取得することと、
- 前記区域内の前記半導体試料の高さプロファイルの情報を与える複数の高さ値を決定することと
を含み、
前記複数の高さ値の決定が、最適化問題を解く高さ値を決定することを含み、
前記最適化問題が複数の関数を含み、各関数が、前記第1の画像の第1の場所におけるグレーレベル強度の情報を与えるデータと、前記第2の画像の第2の場所におけるグレーレベル強度の情報を与えるデータとの間の少なくとも差の情報を与え、
関数ごとに、前記最適化問題を解くと、
前記第2の場所が、前記区域内の前記高さプロファイル、前記第1の照明角度、および前記第2の照明角度に依存する前記第2の場所から離れて配置された前記第1の場所に対して決定されるか、または
前記第1の場所が、前記区域内の前記高さプロファイル、前記第1の照明角度、および前記第2の照明角度に依存する前記第1の場所から離れて配置された前記第2の場所に対して決定される、方法。
【請求項12】
前記複数の関数のうちの所与の関数に対して、
前記第1の場所、前記高さ値、および前記第1の照明角度、あるいは前記第2の場所、前記高さ値、および前記第2の照明角度
に依存する場所での高さ値を決定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記最適化問題が、前記区域内の前記複数の高さ値の一部またはすべてをリンクする制約を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
複数の高さ値が、前記最適化問題の解として同時に決定される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の高さ値を決定するために、前記最適化問題において、前記試料の先験的知識および前記試料の2次元限界寸法測定値のうちの少なくとも1つを使用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
所与の場所を含む領域における前記試料の前記高さプロファイルの予想される変動に適合する、前記区域内の前記所与の場所での高さ値を決定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記最適化問題が、照明角度に対するグレーレベル強度の依存性を考慮に入れる補正項を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の画像のグレーレベル強度の情報を与えるデータおよび前記第2の画像のグレーレベル強度の情報を与えるデータのうちの少なくとも1つの空間的位置合わせプロセスを実行することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の関数のうちの所与の関数に対して、前記第1の場所および前記第2の場所は、前記高さ値が決定された場所での前記試料の前記高さ値、前記第1の照明角度、および前記第2の照明角度に依存する関係によってリンクされる、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに操作を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記操作が、
- o 第1の照明角度で電子ビーム試験ツールによって獲得された前記半導体試料の区域の第1の画像と、
o 前記第1の照明角度と異なる第2の照明角度で前記電子ビーム試験ツールによって獲得された前記区域の第2の画像と
を取得することと、
- 前記区域内の前記半導体試料の高さプロファイルの情報を与える複数の高さ値を決定することと
を含み、
前記複数の高さ値の決定が、最適化問題を解く高さ値を決定することを含み、
前記最適化問題が複数の関数を含み、各関数が、前記第1の画像の第1の場所におけるグレーレベル強度の情報を与えるデータと、前記第2の画像の第2の場所におけるグレーレベル強度の情報を与えるデータとの間の少なくとも差の情報を与え、
関数ごとに、前記最適化問題を解くと、
前記第2の場所が、前記区域内の前記高さプロファイル、前記第1の照明角度、および前記第2の照明角度に依存する前記第2の場所から離れて配置された前記第1の場所に対して決定されるか、または
前記第1の場所が、前記区域内の前記高さプロファイル、前記第1の照明角度、および前記第2の照明角度に依存する前記第1の場所から離れて配置された前記第2の場所に対して決定される、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、一般に、試料の試験の分野に関し、より具体的には、試料の試験の自動化に関する。
【背景技術】
【0002】
製造されたデバイスの超大規模集積に関連する高い密度および性能への現在の要求は、サブミクロンの特徴部と、トランジスタおよび回路速度の向上と、信頼性の改善とを必要とする。そのような要求は、高い精度および均一性をもつデバイス特徴部の形成を必要とし、その結果として、デバイスが依然として半導体ウエハの形態である間、デバイスの自動試験を含む製造プロセスの注意深いモニタリングを必要とする。
【0003】
試料の寸法を測定し、および/または試料の欠陥の検出および分類(例えば、自動欠陥分類(ADC)、自動欠陥レビュー(ADR)など)を行うために、試験プロセスが半導体製造中の様々なステップで使用される。
【発明の概要】
【0004】
本開示の主題の特定の態様によれば、半導体試料の試験のシステムが提供され、このシステムがプロセッサおよびメモリ回路(PMC)を含み、プロセッサおよびメモリ回路(PMC)が、第1の照明角度で電子ビーム試験ツールによって獲得された半導体試料の区域の第1の画像と、第1の照明角度と異なる第2の照明角度で電子ビーム試験ツールによって獲得された区域の第2の画像とを取得し、区域内の半導体試料の高さプロファイルの情報を与える複数の高さ値を決定するように構成され、複数の高さ値の決定が、最適化問題を解く高さ値を決定することを含み、最適化問題が複数の関数を含み、各関数が、第1の画像の第1の場所におけるグレーレベル強度の情報を与えるデータと、第2の画像の第2の場所におけるグレーレベル強度の情報を与えるデータとの間の少なくとも差の情報を与え、関数ごとに、最適化問題を解くと、第2の場所が、区域内の高さプロファイル、第1の照明角度、および第2の照明角度に依存する第2の場所から離れて配置された第1の場所に対して決定されるか、または第1の場所が、区域内の高さプロファイル、第1の照明角度、および第2の照明角度に依存する第1の場所から離れて配置された第2の場所に対して決定される。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、複数の関数のうちの所与の関数に対して、このシステムは、この所与の関数に対して決定された第1の場所または第2の場所に依存する区域内の場所での高さ値を決定するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、複数の関数のうちの所与の関数に対して、このシステムは、第1の場所、前記高さ値、および第1の照明角度、あるいは第2の場所、前記高さ値、および第2の照明角度に依存する場所での高さ値を決定するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、最適化問題が、区域内の複数の高さ値の一部またはすべてをリンクする制約を含む。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、複数の高さ値が、最適化問題の解として同時に決定される。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、このシステムは、複数の高さ値を決定するために、高さプロファイルの第1の推定値を考慮に入れるように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、このシステムは、所与の場所を含む領域における試料の高さプロファイルの予想される変動に適合する、区域内の所与の場所での高さ値を決定するように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、最適化問題は、照明角度に対するグレーレベル強度の依存性を考慮に入れる補正項を含む。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、このシステムは、第1の画像のグレーレベル強度の情報を与えるデータおよび第2の画像のグレーレベル強度の情報を与えるデータのうちの少なくとも1つの空間的位置合わせプロセスを実行するように構成される。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、複数の関数のうちの所与の関数に対して、第1の場所および第2の場所は、高さ値が決定された場所での試料の高さ値、第1の照明角度、および第2の照明角度に依存する関係によってリンクされる。
【0014】
本開示の主題の特定の態様によれば、半導体試料の試験の方法が提供され、この方法は、プロセッサおよびメモリ回路(PMC)によって、第1の照明角度で電子ビーム試験ツールによって獲得された半導体試料の区域の第1の画像と、第1の照明角度と異なる第2の照明角度で電子ビーム試験ツールによって獲得された区域の第2の画像とを取得することと、区域内の半導体試料の高さプロファイルの情報を与える複数の高さ値を決定することとを含み、複数の高さ値の決定が、最適化問題を解く高さ値を決定することを含み、最適化問題が複数の関数を含み、各関数が、第1の画像の第1の場所におけるグレーレベル強度の情報を与えるデータと、第2の画像の第2の場所におけるグレーレベル強度の情報を与えるデータとの間の少なくとも差の情報を与え、関数ごとに、最適化問題を解くと、第2の場所が、区域内の高さプロファイル、第1の照明角度、および第2の照明角度に依存する第2の場所から離れて配置された第1の場所に対して決定されるか、または第1の場所が、区域内の高さプロファイル、第1の照明角度、および第2の照明角度に依存する第1の場所から離れて配置された第2の場所に対して決定される。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、複数の関数のうちの所与の関数に対して、第1の場所、前記高さ値、および前記第1の照明角度、あるいは第2の場所、前記高さ値、および第2の照明角度に依存する場所での高さ値を決定すること
を含む。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、最適化問題は、区域内の複数の高さ値の一部またはすべてをリンクする制約を含む。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、複数の高さ値が、最適化問題の解として同時に決定される。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、複数の高さ値を決定するために、最適化問題において、試料の先験的知識および試料の2次元限界寸法の測定値のうちの少なくとも1つを使用する(例えば、制約として)ことを含む。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、所与の場所を含む領域における試料の高さプロファイルの予想される変動に適合する、区域内の所与の場所での高さ値を決定することを含む。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、最適化問題は、照明角度に対するグレーレベル強度の依存性を考慮に入れる補正項を含む。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、第1の画像のグレーレベル強度の情報を与えるデータおよび第2の画像のグレーレベル強度の情報を与えるデータのうちの少なくとも1つの空間的位置合わせプロセスを実行することを含む。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、複数の関数のうちの所与の関数に対して、第1の場所および第2の場所は、高さ値が決定された場所での試料の高さ値、第1の照明角度、および第2の照明角度に依存する関係によってリンクされる。
【0023】
本開示の主題の特定の他のものによれば、プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに上述のような操作を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0024】
本開示の主題の特定の実施形態の利点の中には、非破壊的な方法を使用して試料の高さプロファイルを再構築する能力がある。いくつかの実施形態によれば、提案される解決策は、試料の高さプロファイルを再構築するための精度を改善する。いくつかの実施形態によれば、提案される解決策は、試料の高さプロファイルの完全な再構成を可能にする。いくつかの実施形態によれば、提案される解決策は、試料の粗さなどの高さプロファイルに関する特定の局所情報を提供する。いくつかの実施形態によれば、提案される解決策は、トポ・ポイント(topo-point)を識別することを必要としない。いくつかの実施形態によれば、提案される解決策は、高さプロファイルの先験的知識から導き出される制約などの高さプロファイルへの制約を考慮に入れる。
【0025】
本開示を理解し、本開示が実際にどのように実行されるかを知るために、次に、実施形態が、単に非限定的な例として、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の主題の特定の実施形態による試験システムの一般化されたブロック図である。
図2】試料の高さプロファイルを決定する方法の一般化された流れ図である。
図2A】軸に沿った高さプロファイルの漸進的変化を例示する試料の断面図である。
図2B】異なる照明角度で獲得された画像のグレーレベル強度の例を示す図である。
図3図2の方法の可能な実装態様を示す図である。
図4】試料の高さプロファイルの第1の推定値の一例を示す図である。
図5】獲得された画像のグレーレベル強度の空間的位置合わせを実行する方法の一般化された流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の詳細な説明では、本開示の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、本開示の主題は、これらの特定の詳細なしで実践され得ることを当業者は理解するであろう。他の例では、本開示の主題を不明瞭にしないために、よく知られている方法、手順、構成要素、および回路は、詳細には説明されていない。
【0028】
特に記載のない限り、以下の議論から明らかなように、本明細書の全体にわたって、「取得する」、「決定する」、「考慮に入れる」、「出力する」、「実行する」、「解決する」などのような用語を利用した議論は、データを他のデータに操作および/または変換するコンピュータのアクションおよび/またはプロセスを指し、前記データは、電子などの物理的な量として表され、および/または前記データは物理的対象を表すことを理解されたい。「コンピュータ」という用語は、非限定的な例として、本出願で開示されるシステム103およびそのそれぞれの部分を含む、データ処理能力をもつあらゆる種類のハードウェアベースの電子デバイスを包含するように広く解釈されるべきである。
【0029】
本明細書で使用される「非一時的メモリ」および「非一時的ストレージ媒体」という用語は、本開示の主題に適する任意の揮発性または不揮発性コンピュータメモリを包含するように広く解釈されるべきである。
【0030】
本明細書で使用される「試料」という用語は、半導体集積回路、磁気ヘッド、フラットパネルディスプレイ、および他の半導体製造品を生産するために使用されるあらゆる種類のウエハ、マスク、および他の構造体、それらの組合せおよび/または一部を包含するように広く解釈されるべきである。
【0031】
本明細書で使用される「試験」という用語は、あらゆる種類の計測学関連操作、ならびに製造中の試料の欠陥の検出および/または分類に関連する操作を包含するように広く解釈されるべきである。試験は、非破壊試験ツールを使用することによって、試験されるべき試料の生産中またはその後に行われる。非限定的な例として、試験プロセスは、同じまたは異なる検査ツールを使用して試料またはその一部に関して行われる実行時走査(単一の走査または多数の走査で)、サンプリング、レビュー、測定、分類、および/または他の操作を含むことができる。同様に、試験は、試験されるべき試料の生産の前に行うことができ、例えば、試験方策および/または他の設定操作を生成することを含むことができる。特に記載のない限り、本明細書で使用される「試験」という用語またはその派生語は、検査区域の解像度またはサイズに関して限定されないことに留意されたい。多種多様な非破壊試験ツールには、非限定的な例として、走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、光学検査ツールなどが含まれる。
【0032】
本明細書で使用される「設計データ」という用語は、試料の階層的な物理的設計(レイアウト)を示す任意のデータを包含するように広く解釈されるべきである。設計データは、それぞれの設計者によって提供されてもよく、および/または物理的設計から導出されてもよい(例えば、複雑なシミュレーション、単純な幾何学的およびブール演算などにより)。設計データは、非限定的な例として、GDSIIフォーマット、OASISフォーマットなどのような様々なフォーマットで提供されてもよい。設計データは、ベクトルフォーマット、グレイスケール強度画像フォーマット、または他の方法で提示されてもよい。
【0033】
特に記載のない限り、別個の実施形態の文脈に記載されている本開示の主題の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことを理解されよう。逆に、単一の実施形態の文脈に記載されている本開示の主題の様々な特徴はまた、別々にまたは任意の適切な副組合せで提供されてもよい。以下の詳細な説明では、方法および装置の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。
【0034】
これを念頭に置いて、本開示の主題の特定の実施形態による試験システムの機能ブロック図を示す図1に注目する。図1に示された試験システム100は、試料製造プロセスの一部として試料(例えば、ウエハおよび/またはその一部の)を試験するために使用することができる。図示の試験システム100は、試料製造中に取得された画像を使用して計測学関連情報および/または欠陥関連情報を自動的に決定することができるコンピュータベースシステム103を含む。システム103は、1つまたは複数の低解像度試験ツール101、および/または1つまたは複数の高解像度試験ツール102、および/または他の試験ツールに動作可能に接続することができる。試験ツールは、画像を捕捉する、および/または捕捉画像をレビューする、および/または捕捉画像に関連する測定を可能にするかまたは行うように構成される。システム103は、さらに、CADサーバ110およびデータレポジトリ109に動作可能に接続することができる。
【0035】
システム103は、ハードウェアベース入力インタフェース105およびハードウェアベース出力インタフェース106に動作可能に接続されたプロセッサおよびメモリ回路(PMC)104を含む。PMC104は、以下でさらに詳述するように、システム103を操作するために必要なすべての処理を行うように構成され(システム103によって少なくとも部分的に実行され得る図2図3、および図5に記載された方法を参照)、プロセッサ(別個に示されていない)およびメモリ(別個に示されていない)を含む。PMC104のプロセッサは、PMCに含まれる非一時的コンピュータ可読メモリに実装されたコンピュータ可読命令に従っていくつかの機能を実行するように構成することができる。
【0036】
システム103は、入力インタフェース105を介して、入力データを受け取るように構成される。入力データは、試験ツールによって作り出されたデータ(および/またはその派生物および/またはそれに関連するメタデータ)、および/または1つまたは複数のデータレポジトリ109において、および/またはCADサーバ110および/または別の関連するデータデポジトリにおいて作り出されたおよび/または格納されたデータを含むことができる。入力データは、画像(例えば、捕捉画像、捕捉画像から導出された画像、シミュレート画像、合成画像など)および関連する数値データ(例えば、メタデータ、手作りの属性など)を含むことができることに留意されたい。画像データは、注目する層に関連するデータ、および/または試料の1つまたは複数の他の層に関連するデータを含むことができることにさらに留意されたい。
【0037】
システム103は、受け取った入力データの少なくとも一部を処理し、出力インタフェース106を介して、結果(またはその一部)を、ストレージシステム107、試験ツール、結果をレンダリングするためのコンピュータベースグラフィカルユーザインタフェース(GUI)108、および/または外部システム(例えば、FABの歩留り管理システム(YMS))に送るようにさらに構成される。GUI108は、オペレーティングシステム103に関連するユーザ指定入力を可能にするようにさらに構成することができる。
【0038】
非限定的な例として、試料は、1つまたは複数の低解像度試験機101(例えば、光学検査システム、低解像度SEMなど)で試験することができる。試料の低解像度画像の情報を与える結果データ(以下、低解像度画像データ121と呼ぶ)は、システム103に送出することができる(直接、または1つまたは複数の中間システムを介して)。代替としてまたは追加として、試料は、高解像度機102で試験することができる(例えば、レビューのために選択された潜在的な欠陥場所のサブセットは、走査型電子顕微鏡(SEM)または原子間力顕微鏡(AFM)によってレビューすることができる)。試料の高解像度画像の情報を与える結果データ(以下、高解像度画像データ122と呼ぶ)は、システム103に送出することができる(直接、または1つまたは複数の中間システムを介して)。いくつかの実施形態によれば、以下で説明するように、試料の高解像度画像は、AFMまたはTEM(透過型電子顕微鏡)によって獲得することができ、較正プロセスで使用することができる(例えば、グラウンドトゥルースとして)。
【0039】
画像データは、それに関連するメタデータ(例えば、ピクセルサイズ、欠陥タイプのテキスト記述、画像捕捉プロセスのパラメータなど)と一緒に受け取られ処理されてもよいことに留意されたい。
【0040】
入力データ(例えば、低解像度画像データおよび/または高解像度画像データ、オプションとして、例えば設計データ、合成データなどのような他のデータと一緒に)を処理すると、システム103は、結果(例えば、命令関連データ123および/または124)を試験ツールのいずれかに送り、結果(例えば、欠陥属性、欠陥分類など)をストレージシステム107に格納し、結果をGUI108を介してレンダリングし、および/または外部システムに(例えば、YMSに)に送ることができる。
【0041】
本開示の主題の教示は、図1に示されたシステムによって拘束されず、等価の機能および/または修正された機能が、別の方法で統合または分割されてもよく、ソフトウェアをファームウェアおよび/またはハードウェアと任意、適切に組み合わせて実装されてもよいことを当業者は理解するであろう。
【0042】
本開示の範囲を決して限定することなしに、試験ツールは、光学イメージング機、電子ビーム検査機などのような様々なタイプの検査機として実装することができることにも留意されたい。いくつかの場合には、同じ試験ツールが、低解像度画像データおよび高解像度画像データを提供することができる。いくつかの場合には、少なくとも1つの試験ツールは、計測学機能を有することができる。
【0043】
図1に示された試験システムは、分散コンピューティング環境で実装することができ、図1に示された前記の機能モジュールは、いくつかのローカルおよび/またはリモートデバイスにわたって分散させることができ、通信ネットワークを通してリンクさせることができることに留意されたい。他の実施形態では、少なくともいくつかの試験ツール101および/または102、データレポジトリ109、ストレージシステム107、および/またはGUI108は、試験システム100の外にあり、入力インタフェース105および出力インタフェース106を介してシステム103とデータ通信して動作できることにさらに留意されたい。システム103は、試験ツールに関連して使用され得るスタンドアロンコンピュータとして実装することができる。代替として、システムのそれぞれの機能は、1つまたは複数の試験ツールに少なくとも部分的に統合することができる。
【0044】
次に、半導体試料の試験の方法を説明する図2および図2Aに注目する。
【0045】
この方法は、第1の照明角度280(図2Aを参照)で電子ビーム試験ツールによって獲得された半導体試料の区域の第1の画像を取得する(操作200)
ことを含む。電子ビーム試験ツールは、特に、上述の参照102に関して説明したような走査型電子顕微鏡(SEM)に対応することができる。
【0046】
この方法は、第1の照明角度と異なる第2の照明角度(例えば、第2の照明角度の絶対値が第1の照明角度の絶対値と異なる)で電子ビーム試験ツールによって獲得された半導体試料の区域の第2の画像を取得する(操作210)ことを含む。
【0047】
第1の照明角度280および第2の照明角度281は、既知であり、照明角度の選択を可能にする光学および電子要素を含む電子ビーム試験ツールを使用して選択することができる。照明角度は、例えば、入射電子ビームと垂直軸または垂直面282(例えば、試料に対して垂直な)との間の角度として表すことができる。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、区域の複数の画像(3つ以上)を取得することができる。これらの画像は、様々な異なる照明角度で電子ビーム試験ツールによって獲得されていてもよい。
【0049】
この方法は、第1および第2画像のピクセル強度(グレーレベル強度)に基づいて、区域内の試料283の高さプロファイル290の情報を与える複数の高さ値を決定する(操作220)ことをさらに含む(上記のように、実施形態によっては、3つ以上の画像を取得することができ、それゆえに、3つ以上画像を使用して、複数の高さ値を決定することができる)。試料は、一般に、様々な特徴部または構造(例えば、接点、トランジスタ、ゲートなど)を含み、注目する区域のそれらの高さ(厚さまたは深さとも呼ばれる)を決定することが望まれる。図2Aは、X-Z面(X軸は参照250に対応し。Y軸は参照251に対応し、Z軸は参照252に対応する)における試料の断面図を示す。図2Aの非限定的な例に示されるように、試料の高さプロファイル290は少なくとも1つの軸(X軸250)に沿って変化する可能性がある。いくつかの実施形態では、高さプロファイルは2つ以上の軸に沿って変化する可能性がある。
【0050】
焦点面285(そこに、例えば、イメージング検出器を配置することができる)にビームが当たる(試料に衝突した後に)ことにより、試料の画像が提供される。各画像(第1および第2画像)は、一般に、少なくともピクセルのグレーレベル強度の分布を含む。グレーレベル強度(軸296)が、画像の場所295に対して(例えば、図2Aに250として示された軸「X」に沿って)示される非限定的な例が図2Bに示される。第1の画像はグレーレベル強度297に関連し、第2の画像はグレーレベル強度298に関連する。高さプロファイルが「Y」軸(参照251)に沿って一定である場合、各画像のグレーレベル強度は、例えば、Y軸に沿って平均化することができる。しかしながら、これは必須ではない。
【0051】
図3は、図2の方法の可能な実装態様を示す。
【0052】
上記のように、ある区域内の試料の高さプロファイルを再構築するために、複数の高さ値を決定することが試みられる。
【0053】
高さ値の決定は、最適化問題を解く高さ値を決定する(操作320)ことを含むことができる。ある実施形態では、以下でさらに説明するように、高さ値は、最適化問題(すべての高さ値に共通する)の解として同時に決定することができる。他の実施形態では、高さ値は、独立して決定することができる(例えば、最適化問題は、高さ値ごとに独立して解くことができる)。
【0054】
最適化問題は、複数の関数を含む。最適化問題は、一般に、最小化問題として定式化される。各関数は、第1の画像(第1の画像は操作300において取得されている)における第1の場所のグレーレベル強度の情報を与えるデータと、第2の画像(第2の画像は操作310において取得されている)における第2の場所のグレーレベル強度の情報を与えるデータとの間の差の情報を与える。
【0055】
特に、最適化問題の関数ごとに、第1の場所と第2の場所との間の距離は、区域内の高さプロファイル290、第1の照明角度280、および第2の照明角度281に依存する。実際、以下でさらに説明するように、照明ビームが当たる試料の所与の点に対して、第1のピクセルは第1の照明角度で取得され、第2のピクセルは第2の照明角度で取得される。第1のピクセルと第2のピクセルとの間の距離は、所与の点の高さ、第1の照明角度、および第2の照明角度に依存する。第1のピクセルの場所と第2のピクセルの場所との関係と、グレーレベル強度への仮定(グレーレベル強度は、例えば、試料の同じ点に対応する第1のピクセルおよび第2のピクセルについて実質的に一定である、またはモデルおよび/または較正によって決定される変化を伴うと仮定することができる)とに基づいて、最適化問題の各関数を定式化することが可能である。いくつかの実施形態では、以下で説明するように、追加の制約および/または先験的知識が、最適化問題の定式化に使用されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、1つの場所が予め決められ(例えば、第1の場所が最適化問題の既知の入力として提供され)、それゆえに、最適化問題を解くと、高さ値を(高さ値によって第1の場所にリンクされる第2の場所と一緒に)決定することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、最適化問題は、複数の高さ値を決定するために反復して解かれる。
【0058】
いくつかの実施形態では、最適化問題は、複数の高さ値に対して同時に解くことができる。以下で説明するように、複数の高さ値に対して最適化問題を解くことにより、高さプロファイルに関する事前知識などの、複数の高さ値をリンクする制約を考慮に入れることができる。
【0059】
この方法により、区域内の複数の場所での高さ値を決定することが可能になる。いくつかの実施形態では、完全な高さプロファイルが、区域に関して取得される。例えば、計測学的目的のために(例えば、1つまたは複数の構造的特徴部の生産プロセスの傾向を計測するために)、高さプロファイルを使用することができる。いくつかの実施形態では、完全な高さプロファイルが取得されるので、粗さなどの試料に関する局所情報を取得することができる。いくつかの実施形態では、高さプロファイルを使用して、欠陥(例えば、試料上に形成されたかまたは試料内に形成された異常な特徴部または望ましくない特徴部)を検出することができる。
【0060】
複数の関数のうちの所与の関数ごとに、高さ値が、最適化問題の出力として取得され、第1の場所または第2の場所に依存する区域内の場所で決定される。特定の例が、以下で提供される。
【0061】
いくつかの実施形態では、複数の高さ値が決定された後、最小の高さ値を基準値(ゼロ値)に設定することができ、すべての他の高さ値をこの基準値と比べて表すことができる。
【0062】
図2Aに戻ると、試料283の所与の部分279が、第1の照明角度280で獲得され、別の獲得中に第2の照明角度281(第1の照明角度280と異なる)で獲得されたと仮定する。
【0063】
図2Aに示されように、所与の部分279は、第1の画像の第1の場所270に配置された第1のピクセルによって画像化される。
【0064】
図2Aに示すように、所与の部分279は、第2の画像の第2の場所271に配置された第2のピクセルによって画像化される。第2の場所271は、第1の場所270と異なる。
【0065】
第1の場所270と第2の場所271との間の距離268は、高さプロファイル(特に、所与の部分279の高さ値291)、第1の照明角度280、および第2の照明角度281に依存する。
【0066】
第1の場所270に配置された第1のピクセルのグレーレベル強度は、第2の場所271に配置された第2のピクセルのグレーレベル強度と等しいと仮定することができる。言い換えれば、グレーレベル強度は照明角度と無関係であると仮定することができる。しかしながら、これは近似である。実施形態によっては、モデルおよび/または較正プロセスを使用して最適化問題を解く場合、この近似を補正することが試みられる。
【0067】
第1および第2画像のグレーレベル強度、第1の照明角度、および第2の照明角度は既知である。それゆえに、高さ値が最適化されるべきパラメータであり、最適化問題の制約が、各々第1の画像の第1の場所と第2の画像の第2の場所との間でのグレーレベル強度間の差を表す関数を最小化すること(該当する場合、他の制約と一緒に)を含む最適化問題を解くことによって、区域内の場所ごとに、対応する高さを決定することが可能である。上記のように、関数ごとに、1つの場所(例えば、第1の場所)が最適化問題の入力として提供され、他の場所(例えば第2の場所)が、最適化問題を解くときに決定される。
【0068】
最適化問題の非限定的な例が以下で提供される。
【0069】
以下を仮定する。
- 第1の画像は第1の照明角度α(参照280に対応する)で獲得されおり、第2の画像は第2の照明角度β(参照281に対応する)で獲得されている、
- 所与の部分279は高さh279を有する、
- 第1の画像の第1の位置270はxαで表される、
- 第2の画像の第2の位置271はxβで表される、
- 第1の画像のグレーレベル強度はf(x)である(xは軸「X」250に沿った位置である)、
- 第2の画像のグレーレベル強度はg(x)である、
【0070】
上述の表記を使用すると、
α=xβ-h279(tan α-tan β)
という結果になる。
【0071】
上記のように、(少なくとも第一近似では)f(xα)≒g(xβ)を仮定することができる。それゆえに、以下の最適化問題は、定式化することができ(この定式化は、限定的ではなく、一例としてのみ提供される)、
h=argmin|g(x)-f(x-hx(tan α-tan β))|2 式1
である。
【0072】
この式において、hxは未知であり、xの値ごとに決定することができる。「x」は、第2の画像の(既知の)第2の場所に対応し、「x-hx(tan α-tan β)」は第1の画像の(未知の)第1の場所に対応し、それは、第2の場所を基準にして決定することができる。図示のように、第1の場所と第2の場所との間の距離は、第1の照明角度α、第2の照明角度β、および高さプロファイル(決定されるべきであるhx)に依存する。hは、最適化問題の出力である。
【0073】
最適化問題の入力として与えられたxの所与の値に対して、式1に示されたように、第1の画像の第1の場所のグレーレベル強度(「f(x-hx(tan α-tan β)」)の情報を与えるデータと、第2の画像の第2の場所のグレーレベル強度(「g(x)」)の情報を与えるデータとの間の差の情報を与える関数を最小化することが試みられる。
【0074】
それゆえに、最適化問題は、xの値ごとに(例えば、第2の画像の既知の場所ごとに)解くことができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、g(x)(それぞれ、f(x))は、第2の画像(それぞれ、第1の画像)のピクセル強度間の補間に基づいて、連続関数として決定することができる。結果として、x(第2の場所)は、必ずしも第2の画像の「実際の」ピクセルの場所に対応するのではなく、第2の画像の実際のピクセル間の補間された場所に対応することがある。同じことが、決定された第1の場所「x-hx(tan α-tan β)」に当てはまる。
【0076】
最適化問題の解として決定された高さ値hは、第2の場所、高さ値h自体、および第2の照明角度βに依存する場所に配置される。
【0077】
特に、上述で定式化されたような最適化問題では、値xに対して決定された高さ値は、場所x+h tan βでの試料の高さに対応する。
【0078】
例えば、x=xβでは、取得された高さ値hは、場所xβ+h tan βでの高さ値に対応する。これは、所与の部分279の高さ値の推定値である。
【0079】
最適化問題を解くことによって、区域内の複数の場所での試料の高さプロファイルを決定することが可能であり、実施形態によっては、完全な高さプロファイルが、区域に対して取得される。
【0080】
式1で定式化されるような最適化問題は、第2の画像の第2の場所を入力として採用し、第1の画像の高さ値(および第1の場所)を決定する。これは限定的ではなく、最適化問題は逆に定式化することができる(第1の場所が入力であり、第2の場所と一緒に高さ値が決定される)。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、最適化問題は、様々な制約または補正を考慮に入れるように修正することができる。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、高さプロファイルの決定は、高さプロファイルの第1の推定値を考慮に入れる。第1の推定値は、例えば、試料を生産するために使用された設計データに基づくことができる。それゆえに、設計データは、高さプロファイルの第1の推定を提供するために使用することができる。高さプロファイルの第1の推定値は、高さ値を決定するための開始点として使用され、次いで、最適化問題を解くように試みるときに改善され得る。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、最適化問題は、区域内の複数の高さ値の一部またはすべてをリンクする制約C(h)を含む。修正された最適化問題の非限定的な例が以下で提供される。
【0084】
【数1】
【0085】
式2に示されるように、最適化問題は、(制約C(h)に加えて)複数の関数を含む最小化問題である。式1と同様に、各関数は、第2の場所のグレーレベル強度(「g(xi)」)の情報を与えるデータと、第1の場所のグレーレベル強度
【0086】
【数2】
の情報を与えるデータとの間の差の情報を与える。この例では、関数ごとに、第2の場所xiは既知であり、対応する高さ
【0087】
【数3】
は、(第1の場所
【0088】
【数4】
と一緒に)、最適化問題を解くときに決定される。
【0089】
制約C(h)の一例は、高さプロファイルの予想される変動(例えば、高さプロファイルの微分係数への制約)を含むことができる。高さ値をある場所で決定できる場合、高さ値の決定は、この場所を含む領域での高さプロファイルの予想される変動によって制約される。この例は限定的ではなく、他の制約を考慮に入れることができる。いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の制約は、例えば試料の先験的知識(例えば、試料の製造業者によって提供された)に基づいて、および/または試料に実行された測定(例えば、2次元CD測定)に基づいて、最適化問題に定式化することができる。
【0090】
高さ値の決定は、第1の画像のピクセル強度と第2の画像のピクセル強度との間の差の最小化に依拠する(上記のように)ので、この決定は、高さプロファイルが「平坦」である傾向がある試料の領域ではより困難になる場合がある(例えば、軸「X」420に沿った高さプロファイル410の第1の推定値を示す図4の領域400を参照)。実際、第1および第2の画像における対応するピクセル強度は、やはり、「平坦な」プロファイルを有する傾向がある。いくつかの実施形態では、高さプロファイルの微分係数に制約を与える項C(x)を使用することにより、高さプロファイルのこれらの「平坦」領域においてさえ、最適化問題を解くことが容易になる。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、C(x)は、区域内の複数の高さ値の一部またはすべてをリンクする制約を与える(例えば、式2では、制約が高さプロファイルの微分係数に課され、それゆえに、これは、決定されるべき高さ値を一緒にリンクする)。高さ値が、この制約によって相互に関係づけられるので、最適化問題は、複数の異なる場所での複数の高さ値に対して同時に解かれる必要がある。言い換えれば、最適化問題の出力は、区域内の異なる場所に対して取得された複数の異なる互いに関係づけられた高さ値を解として含む。これは、独立最適化問題の解として各高さ値を決定することが可能である式1と異なる。
【0092】
最適化問題の定式化は、試料の所与の点のグレーレベル強度が照明角度と無関係であるという仮定に依拠し得ることが上記された。いくつかの実施形態によれば、この仮定は、最適化問題を解くときに緩めることができる。いくつかの実施形態では、照明角度に基づくグレーレベル強度のあり得る変動を考慮に入れるために、補正項G(x)が最適化問題に導入される。
【0093】
修正された最適化問題が以下で提供される。式3は限定的ではない(この式において、Gα\β(x)は補正項に対応する)。加えて、実施形態によっては、式3は、式2において上記したように、複数の高さ値への制約C(h)をさらに含むことができる。
h=argmin|g(x)-Gα\β(x)f(x-hx(tan α-tan β))|2 式3
【0094】
補正項G(x)は、実施形態によっては、ある試料(試験されるべき試料と同様の)から抽出された具体的なデータに基づいて決定することができる。例えば、上述のような方法をその試料に実行することができる。次いで、真の高さプロファイルを決定するために、その試料を切断し、原子間力顕微鏡を使用して試験することができる。最適化問題を解くことによって決定された高さプロファイルと真の高さプロファイルとの間の差が、補正項G(x)を提供する。
【0095】
いくつかの実施形態では、補正項G(x)は、試料のモデルに基づいて決定することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、補正項G(x)は、最適化問題で解かれるべきパラメータとして設定することができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、様々な異なる照明角度(α1,…,αN)で試料の所与の区域の複数の画像のセットを獲得することが可能である。最適化問題は、このセットの複数の画像対(対ごとに、画像が、異なる照明角度αiおよびαjで獲得されている、ここでi≠jである)に対して、上述の様々な実施形態で説明したように定式化することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、試料の複数の区域が、電子ビーム試験ツールが試料を走査することによって第1の照明角度で獲得され、次いで、試料の複数の区域が、電子ビーム試験ツールが試料を走査することによって第2の照明角度で獲得される。試料の所与の区域に対して、空間オフセットが、第1の獲得と第2の獲得との間で導入されることがある(例えば、第1の獲得と第2の獲得との間の電子ビーム試験ツールの位置付けの相対誤差に起因して)。
【0099】
前述に照らして、いくつかの実施形態によれば、空間的位置合わせプロセスは、第1の画像のグレーレベル強度の情報を与えるデータおよび/または第2の画像のグレーレベル強度の情報を与えるデータに基づいて実行することができる。
【0100】
いくつかの実施形態によれば、空間的位置合わせプロセスは、高さプロファイルの第1の推定値と、ゼロに等しい照明角度で獲得された区域の画像とに依拠することができる。
【0101】
空間的位置合わせプロセスの非限定的な例が、図5で提供される。
【0102】
試料の区域内の高さプロファイルの第1の推定値h0が取得されると仮定し(操作500、510、および520を参照)、区域の画像がゼロに等しい照明角度で電子ビーム試験ツールによって獲得されると仮定する。対応するグレーレベル強度は、f0で表される。区域の画像が、照明角度αで電子ビーム試験ツールによって獲得される(対応するグレーレベル強度がfαで表される)と仮定し、区域の画像が、αと異なる照明角度βで電子ビーム試験ツールによって獲得される(対応するグレーレベル強度がfβで表される)と仮定する。
【0103】
この方法は、f0と、試料の高さプロファイル(方法の第1の反復では、これはh0に対応する)との間の空間的位置合わせを実行する(操作530)ことを含むことができる。いくつかの実施形態では、これは、f0の対称軸とh0の対称軸とを位置合わせする(f0およびh0が各々対称であると仮定して)ことを含むことができる。
【0104】
この方法は、グレーレベル強度fαの空間分布を補正することをさらに含むことができる。これは、h(この方法の第1の反復では、h=h0)に基づいてf0を角度αに投影する(f’αを取得するために)(操作540)ことを含むことができる。実際、第1の照明角度で獲得された区域の第1の画像のグレーレベル強度の情報を与えるデータが、高さプロファイル、第1の照明角度、および第2の照明角度に基づいて、第2の照明角度で獲得された区域の第2の画像のグレーレベル強度の情報を与えるデータにリンクされることが上記された。特に、f0を角度αに投影するために、以下の(非限定的な)関係を使用することができる。
0(x)=f’α(x-h(tan α-tan β)) 式4
【0105】
f’αとfαとの間で位置合わせを実行することができ、その結果、2つの画像間のオフセットΔαが提供される。次いで、fαは、このオフセットΔαに基づいて、(
【0106】
【数5】
を取得するために)補正される(操作550)。
【0107】
グレーレベル強度fβの空間分布を補正するために、同じ手順を適用することができる。これは、h(この方法の第1の反復では、h=h0)に基づいてf0を角度βに投影する(f’βを取得するために)(操作560)ことを含むことができる。特に、f0を角度βに投影するために、以下の(非限定的な)関係を使用することができる。
0(x)=f’β(x-h(tan α-tan β)) 式5
【0108】
f’βとfβとの間で位置合わせを実行することができ、その結果、2つの画像間のオフセットΔβが提供される。次いで、fβは、このオフセットΔβに基づいて、(
【0109】
【数6】
を取得するために)補正される(操作570)。
【0110】
次いで、例えば、図3の方法を使用して、
【0111】
【数7】
および
【0112】
【数8】
に基づいて、試料の高さプロファイルの情報を与える複数の高さ値を決定する(操作580)ことができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、操作550において、この方法は、fαとf’αとの間の空間的オフセットを決定し、さらに、照明角度に対するグレーレベル強度の依存性を考慮に入れる補正項(上述でGα\β(x)と呼ばれた)を決定することを可能にする。
【0114】
高さプロファイルの新しい推定値hが決定されるので、この方法は、いくつかの実施形態では、例えば、収束基準(例えば、2つの連続する反復で取得された高さプロファイル間の差が閾値未満であることを定義する)が満たされるまで、操作530に戻る(および操作540から操作580を繰り返す)ことによって繰り返すことができる。
【0115】
上述の様々な実施形態は、試料の異なるスライス(「Y」軸に沿って、図2Aの参照251を参照)に対して実行し、それによって、「Y」軸に沿った試料の異なるスライスの高さプロファイルh(x)を取得することができる。
【0116】
本発明が、その適用において、本明細書に含まれる説明に記載された、または図面に示された詳細に限定されないことを理解されたい。
【0117】
本発明によるシステムは、少なくとも部分的に、適切にプログラムされたコンピュータで実装され得ることも理解されよう。同様に、本発明は、本発明の方法を実行するためにコンピュータにより読み取り可能なコンピュータプログラムを企図する。本発明は、さらに、本発明の方法を実行するためにコンピュータにより実行可能な命令のプログラムを明白に具現化する非一時的コンピュータ可読メモリを企図する。
【0118】
本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践および実行することができる。したがって、本明細書で用いられた語法および用語は、説明のためのものであり、限定と見なされるべきでないことを理解されたい。そのため、当業者は、本開示が基礎とする概念は、本開示の主題のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、およびシステムを設計するための基礎として容易に利用され得ることを理解するであろう。
【0119】
当業者は、様々な変形および変更が、添付の特許請求の範囲においておよび添付の特許請求の範囲によって定義された範囲から逸脱することなく、前述のような本発明の実施形態に適用され得ることを容易に理解するであろう。
【符号の説明】
【0120】
100 試験システム
101 低解像度試験機、低解像度試験ツール
102 高解像度機、高解像度試験ツール
103 コンピュータベースシステム、オペレーティングシステム
104 プロセッサおよびメモリ回路(PMC)
105 ハードウェアベース入力インタフェース
106 ハードウェアベース出力インタフェース
107 ストレージシステム
108 コンピュータベースグラフィカルユーザインタフェース(GUI)
109 データレポジトリ
110 CADサーバ
121 低解像度画像データ
122 高解像度画像データ
123 命令関連データ
124 命令関連データ
250 X軸
251 Y軸
252 Z軸
268 第1の場所と第2の場所との間の距離
270 第1の画像の第1の場所、第1の画像の第1の位置
271 第2の画像の第2の場所、第2の画像の第2の位置
279 試料の所与の部分
280 第1の照明角度
281 第2の照明角度
282 垂直軸または垂直面
283 試料
285 焦点面
290 試料の高さプロファイル
291 所与の部分の高さ値
295 画像の場所
296 軸(グレーレベル強度)
297 グレーレベル強度
298 グレーレベル強度
400 領域
410 高さプロファイル
420 軸「X」
図1
図2
図2A
図2B
図3
図4
図5
【外国語明細書】