(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061803
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】気化装置、ガス供給装置及びガス供給装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20220412BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20220412BHJP
F17C 7/04 20060101ALI20220412BHJP
B01J 4/00 20060101ALI20220412BHJP
B01J 7/00 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/205
F17C7/04
B01J4/00 102
B01J7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169970
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】綾井 裕太
(72)【発明者】
【氏名】平尾 圭志
【テーマコード(参考)】
3E172
4G068
5F045
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB16
3E172BA09
3E172EB03
3E172GA03
3E172GA17
3E172GA21
3E172JA08
4G068AA01
4G068AB02
4G068AC16
4G068AE01
4G068AF01
4G068AF31
4G068DA04
4G068DB04
4G068DB22
4G068DD11
5F045AA03
5F045EE02
5F045EE04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】装置が小型で大流量のガスを供給可能な気化装置、ガス供給装置及びガス供給装置の制御方法を提供する。
【解決手段】基板処理システム1において、液体材料気化供給装置3の気化装置20は、液体原料を加熱する熱交換部21と、加熱された液体原料を気化して原料ガスとする気化部24と、を備える。熱交換部21は、液体原料が供給され分岐する分岐部22と、分岐部22とそれぞれ接続される細管部23と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体原料を加熱する熱交換部と、
加熱された前記液体原料を気化して原料ガスとする気化部と、を備え、
前記熱交換部は、
前記液体原料が供給され分岐する分岐部と、
前記分岐部とそれぞれ接続される細管部と、を有する、気化装置。
【請求項2】
前記細管部は、螺旋形状を有する、
請求項1に記載の気化装置。
【請求項3】
前記細管部は、U字形状を有する、
請求項1に記載の気化装置。
【請求項4】
前記気化部は、
上流側の流路断面積よりも下流側の流路断面積が広がる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の気化装置。
【請求項5】
前記気化部及び/又は前記細管部は、穴部及び/又は溝部を有する板状部材を複数積層して形成する、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の気化装置。
【請求項6】
前記気化部に接続され、前記気化部で気化した前記原料ガスを充填するタンクを有する、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の気化装置。
【請求項7】
前記気化部は、
多段に設けられた複数のトレイを有し、
前記熱交換部で加熱された液体は、一の前記トレイに流入し、一の段の前記トレイから次の段の前記トレイに流入する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の気化装置。
【請求項8】
後段の前記トレイに設けられ、液体の流入を検知する液体センサを有する、
請求項7に記載の気化装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の気化装置と、
前記気化装置に液体を供給する液体原料供給源と、
前記液体原料供給源から前記気化装置との供給路に設けられた液体供給弁と、
前記気化装置で気化された原料ガスの圧力を検知する圧力検出部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記圧力検出部の検出結果に基づいて、前記液体供給弁を制御する、ガス供給装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記圧力検出部で検出した圧力が所定圧力以下となると、前記液体供給弁を所定時間開弁する、
請求項9に記載のガス供給装置。
【請求項11】
請求項8に記載の気化装置と、
前記気化装置に液体原料を供給する液体原料供給源と、
前記液体原料供給源から前記気化装置との供給路に設けられた液体供給弁と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記液体センサが前記液体原料を検知すると、前記液体供給弁を閉じる、
ガス供給装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の気化装置と、前記気化装置に液体を供給する液体原料供給源と、前記液体原料供給源から前記気化装置との供給路に設けられた液体供給弁と、前記気化装置で気化された原料ガスの圧力を検知する圧力検出部と、を備える、ガス供給装置の制御方法であって、
前記圧力検出部の検出結果に基づいて、前記液体供給弁を制御する、ガス供給装置の制御方法。
【請求項13】
前記圧力検出部で検出した圧力が所定圧力以下となると、前記液体供給弁を所定時間開弁する、
請求項12に記載のガス供給装置の制御方法。
【請求項14】
請求項8に記載の気化装置と、前記気化装置に液体原料を供給する液体原料供給源と、前記液体原料供給源から前記気化装置との供給路に設けられた液体供給弁と、を備えるガス供給装置の制御方法であって、
前記液体センサが前記液体原料を検知すると、前記液体供給弁を閉じる、ガス供給装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、気化装置、ガス供給装置及びガス供給装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体原料を気化させて、成膜処理装置に原料ガスを供給する基板処理システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、液体材料を気化する気化器と、前記気化器への液体材料の供給量を制御する供給量制御機器と、内部に流路が形成されるとともに、前記気化器及び前記供給量制御機器がそれぞれ取り付けられる機器取り付け面を有するマニホールドブロックとを具備し、前記気化器及び前記供給量制御機器が、前記機器取り付け面に取り付けられることにより、前記流路を介して繋がるように構成された気化システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一の側面では、本開示は、装置が小型で大流量のガスを供給可能な気化装置、ガス供給装置及びガス供給装置の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、液体原料を加熱する熱交換部と、加熱された前記液体原料を気化して原料ガスとする気化部と、を備え、前記熱交換部は、前記液体原料が供給され分岐する分岐部と、前記分岐部とそれぞれ接続される細管部と、を有する、気化装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、装置が小型で大流量のガスを供給可能な気化装置、ガス供給装置及びガス供給装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る気化装置を備える基板処理システムの構成図の一例。
【
図2】第1実施形態に係る気化装置における細管部及び気化部を示す斜視図の一例。
【
図3】原料ガスの流量、原料ガスの圧力及び液体供給弁の制御を説明するグラフの一例。
【
図5】第2実施形態に係る気化装置を示す斜視図の一例。
【
図6】第2実施形態に係る気化装置の分岐部を示す断面図の一例。
【
図7】第2実施形態に係る気化装置の細管部及び気化部を示す断面図の一例。
【
図8】第3実施形態に係る気化装置を示す断面図の一例。
【
図9】第3実施形態に係る気化装置の熱交換部を示す斜視図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る気化装置20を備える基板処理システム1について、
図1を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る気化装置20を備える基板処理システム1の構成図の一例である。
【0011】
基板処理システム1は、液体原料供給源2と、液体材料気化供給装置3と、処理容器4と、を備える。基板処理システム1は、液体原料供給源2から供給された液体原料(液体プリカーサ)を液体材料気化供給装置3に供給する。また、基板処理システム1は、液体材料気化供給装置3で液体原料を気化させて気化した原料ガスを処理容器4に供給することにより、処理容器4内の載置台5に載置された基板Wに所望の処理(例えば、成膜処理)を施す。なお、液体原料供給源2及び液体材料気化供給装置3は、処理容器4に原料ガスを供給するガス供給装置として機能する。
【0012】
液体原料供給源2は、液体原料を貯留し、液体材料気化供給装置3に液体原料を供給する。
【0013】
液体材料気化供給装置3は、液体原料供給源2から供給された液体原料を気化させて気化した原料ガスを貯留する。また、液体材料気化供給装置3は、貯留した原料ガスを処理容器4に供給する。液体材料気化供給装置3は、液体供給弁10と、気化装置20と、ガス流量調整装置30と、制御装置40と、を備える。
【0014】
液体供給弁10は、例えば開閉弁であって、液体原料供給源2から液体材料気化供給装置3に液体原料を供給する供給路に設けられている。液体供給弁10の開閉は、制御装置40によって制御される。
【0015】
気化装置20は、熱交換部21と、気化部24と、フィルタンク25と、ヒータ26と、を備える。
【0016】
熱交換部21は、分岐部22と、複数の細管部23と、を備える。液体原料供給源2から供給された液体原料は、分岐部22で複数の細管部23へと流路が分岐する。細管部23は、微細で長い流路が形成されている。また、熱交換部21は、ヒータ26によって加熱されている。細管部23を流れる液体原料は、ヒータ26によって加熱された細管部23と熱交換することにより、所定の加熱温度まで加熱される。このような構成により、省スペースで効率よく液体原料を加熱することができる。
【0017】
気化部24は、複数の細管部23とそれぞれ接続される。気化部24では、上流側から下流側に向かって空間(流路)が広がるように流路が形成されている。気化部24は、例えば、上流側から下流側に向かって流路断面積が広がるように形成されている。また、例えば、上流側から下流側に向かって流路の内径が拡径するように形成されている。また、例えば、上流側から下流側に向かって流路がテーパ状に広がるように形成されている。また、気化部24は、ヒータ26によって加熱されている。
【0018】
細管部23で加熱温度まで加熱された液体原料は、気化部24に供給される。気化部24では、上流側から下流側に向かって空間(流路)が広がるように形成されていることにより、気化部24の流路内の圧力を加熱温度の蒸気圧以下まで下げる。これにより、液体原料は、気化部24の流路内で、強制的に対流沸騰させ、液体原料が気化して、原料ガスとなる。
【0019】
また、気化装置20によれば、細管部23及び気化部24の流路は圧損が少なく、液体原料をより減圧させることができる構造であるため、液体原料を気化させるのに必要な加熱温度を低減することができる。これにより、原料の熱による劣化を抑制することができる。
【0020】
図2は、第1実施形態に係る気化装置20における細管部23及び気化部24を示す斜視図の一例である。(a)は細管部23の側から見た斜視図であり、(b)は気化部24の側から見た斜視図である。
【0021】
図2に示す例において、細管部23及び気化部24の流路は、らせん状(ヘリカルカーブ)に形成されている。また、細管部23の流路断面積は一定となっている。一方、気化部24の流路断面積は、上流側よりも下流側が拡大するように形成されている。
【0022】
このように、第1実施形態に係る気化装置20では、スパイラル形状の流路を形成する。これにより、占有面積が少ない空間上に長く圧損の少ない流路を形成することができる。なお、細管部23及び/又は気化部24のスパイラル形状の流路は、例えば、粉末焼結等の積層造形(3Dプリンタ)で一体またはそれぞれ別体に成形されてもよく、孔(穴部)及び/又は溝(溝部)を設けた板状部材を複数積層して接合した板状部材積層構造としてもよい。このような構造とすることにより、内部に複雑な流路を有する細管部23及び気化部24を容易に形成することができる。
【0023】
フィルタンク25は、気化部24で気化した原料ガスが充填される。また、フィルタンク25は、ヒータ26によって加熱されている。なお、フィルタンク25の出口からガス流量調整装置30までの配管、またはフィルタンク25の出口から処理容器4までの配管は、原料ガスの再液化を防ぐ目的でフィルタンク25の温度よりも高くなるように加熱されていてもよい。
【0024】
ガス流量調整装置30は、圧力センサ31と、流量センサ32と、流量制御弁33と、を備える。
【0025】
圧力センサ31は、原料ガスの圧力を検出する。なお、
図1において、圧力センサ31は気化装置20から処理容器4に原料ガスを供給する供給路に設けられるものとして図示しているが。これに限られるものではなく、例えば、フィルタンク25に設けられていてもよい。圧力センサ31で検出した原料ガスの圧力は、制御装置40に出力される。
【0026】
流量センサ32は、原料ガスの流量を検出する。なお、
図1に示すように、流量センサ32は、気化装置20から処理容器4に原料ガスを供給する供給路に設けられている。流量センサ32で検出した原料ガスの流量は、制御装置40に出力される。
【0027】
流量制御弁33は、気化装置20から処理容器4に原料ガスを供給する供給路に設けられ、気化装置20から処理容器4に供給する原料ガスの流量を制御する。流量制御弁33の開度(流量)は、制御装置40によって制御される。
【0028】
制御装置40は、圧力センサ31で検出した原料ガスの圧力に基づいて、液体供給弁10の開閉を制御する。また、制御装置40は、流量センサ32で検出した原料ガスの流量に基づいて、流量制御弁33の開閉を制御する。
【0029】
ここで、制御装置40による液体供給弁10の制御の一例について、
図3を用いて説明する。
図3は、原料ガスの流量、原料ガスの圧力及び液体供給弁10の制御を説明するグラフの一例である。
図3(a)は原料ガスの流量の時間変化を説明するグラフである。
図3(b)は原料ガスの圧力の時間変化を説明するグラフである。
図3(c)は液体供給弁10の開閉の時間変化を説明するグラフである。
【0030】
図3(a)に示すように、制御装置40は、流量センサ32で検出した原料ガスの流量に基づいて、流量制御弁33の開閉を制御する。これにより、フィルタンク25内の原料ガスの圧力が変動しても、一定の流量で処理容器4に原料ガスを供給することができる。
【0031】
また、フィルタンク25から処理容器4に原料ガスを供給することにより、
図3(b)に示すように、原料ガスの圧力が低下する。制御装置40は、圧力センサ31で検出した原料ガスの圧力に基づいて、液体供給弁10の開閉を制御する。ここでは、制御装置40は、圧力センサ31で検出した原料ガスの圧力が所定の閾値(破線で示す)に達すると、液体供給弁10を開く。そして、所定時間が経過すると、制御装置40は、液体供給弁10を閉じる。
【0032】
これにより、気化装置20に液体原料が供給され、気化した原料ガスがフィルタンク25に充填される。よって、流量制御弁33の作動供給圧力を維持することができる。なお、液体供給弁10を開く所定時間は、気化部24で供給された液体原料がすべて気化できるような液量に基づいて設定してもよい。
【0033】
なお
図1の例では、分岐部22と液体原料供給源2との間に液体供給弁10を配置しているが、分岐部にて分岐された各ライン夫々に液体供給弁を配置してもよい。
【0034】
次に、気化部24の配管形状について、
図4を用いて説明する。
図4は、気化部24の配管形状を説明する断面図の一例である。
【0035】
図4(a)は円管形状の配管111における原料の状態を説明する図の一例である。
図4(a)に示すように、気化部24(配管111)を流れる原料は、液体原料200及び原料ガス201の気液混合状態(スラグ流、環状流)となっている。円管形状の配管111においては、液体原料200が配管111の内壁面を覆うように位置している。このため、原料ガス201と配管111の壁面とは直接接しないようになっている。
【0036】
図4(b)は四角管形状の配管112における原料の状態を説明する図の一例である。同様に、気化部24(配管112)を流れる原料は、液体原料200及び原料ガス201の気液混合状態(スラグ流、環状流)となっている。ここで、四角管形状の配管112においては、液体原料200が配管112の内壁面角部に位置している。このため、四角形状の辺の中央付近においては、原料ガス201と配管112の壁面とが直接接するようになっている。
【0037】
図4(c)は三角管形状の配管113における原料の状態を説明する図の一例である。同様に、気化部24(配管113)を流れる原料は、液体原料200及び原料ガス201の気液混合状態(スラグ流、環状流)となっている。ここで、三角管形状の配管113においては、液体原料200が配管113の内壁面角部に位置している。このため、三角形状の辺の中央付近においては、原料ガス201と配管113の壁面とが直接接するようになっている。
【0038】
このように、気化部24における配管の断面形状は、多角形としてもよい。ここで、加熱された配管壁面と気体原料との熱交換効率は、加熱された配管壁面と液体原料との熱交換効率よりも高くなる。このため、
図4(b)及び
図4(c)に示すように、配管の断面形状に角部を設けることにより、加熱された配管壁面と気体原料との接触面積を広くすることができ、熱交換性を向上させることができる。
【0039】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る気化装置20Aを備える基板処理システムについて、説明する。第2実施形態に係る基板処理システムは、第1実施形態に係る基板処理システム1(
図1参照)と比較して、気化装置20Aの構成が異なっている。その他の構成は同様であり、重複する説明を省略する。
【0040】
第2実施形態に係る気化装置20Aについて、
図5から
図7を用いて説明する。
図5は、第2実施形態に係る気化装置20Aを示す斜視図の一例である。
図6は、第2実施形態に係る気化装置20Aの分岐部22Aを示す断面図の一例である。
図7は、第2実施形態に係る気化装置20Aの細管部23A及び気化部24Aを示す断面図の一例である。なお、
図5から
図7において、フィルタンク25及びヒータ26は図示を省略している。
【0041】
気化装置20Aは、熱交換部21Aと、気化部24Aと、フィルタンク(図示せず)と、ヒータ(図示せず)と、を備える。
【0042】
熱交換部21Aは、分岐部22Aと、複数の細管部23Aと、を備える。
図6に示すように、分岐部22Aに形成される流路は、大径部221と、大径部221から分岐した細径部222と、を有する。
図7に示すように、細径部222は、細管部23Aと接続される。また、細管部23Aは気化部24Aと接続される。
【0043】
液体原料供給源2から供給された液体原料は、分岐部22Aで複数の細管部23Aへと分岐する。また、熱交換部21Aは、ヒータによって加熱されている。細管部23Aを流れる液体原料は、ヒータによって加熱された細管部23Aと熱交換することにより、所定の加熱温度まで加熱される。このような構成により、省スペースで効率よく液体原料を加熱することができる。
【0044】
気化部24Aは、複数の細管部23Aとそれぞれ接続される。気化部24Aでは、上流側から下流側に向かって空間(流路)が広がるように形成されている。気化部24Aは、例えば、上流側から下流側に向かって流路断面積が広がるように形成されている。また、例えば、上流側から下流側に向かって流路の内径が拡径するように形成されている。また、例えば、上流側から下流側に向かって流路がテーパ状に広がるように形成されている。また、気化部24は、ヒータ26によって加熱されている。
【0045】
細管部23Aで加熱温度まで加熱された液体原料は、気化部24Aに供給される。気化部24Aでは、上流側から下流側に向かって空間(流路)が広がるように形成されていることにより、気化部24Aの流路内の圧力を加熱温度の蒸気圧以下まで下げる。これにより、液体原料は、気化部24Aの流路内で、強制的に対流沸騰させ、液体原料が気化して、原料ガスとなる。
【0046】
このように、第2実施形態に係る気化装置20Aでは、U字形状の流路を形成する。これにより、圧損の少ない形状によって、微細で長い流路を形成することができる。なお、細管部23及び気化部24のU字形状の流路は、例えば、凹部が形成されたプレートを結合して成形されてもよい。
【0047】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る気化装置20Bを備える基板処理システムについて、説明する。第3実施形態に係る基板処理システムは、第1実施形態に係る基板処理システム1(
図1参照)と比較して、気化装置20Bの構成が異なっている。その他の構成は同様であり、重複する説明を省略する。
【0048】
第3実施形態に係る気化装置20Bについて、
図8から
図9を用いて説明する。
図8は、第3実施形態に係る気化装置20Bを示す断面図の一例である。
図9は、第3実施形態に係る気化装置20Bの熱交換部21Bを示す斜視図の一例である。なお、
図8及び
図9において、ヒータは図示を省略している。
【0049】
気化装置20Bは、熱交換部21Bと、気化室27Bと、ヒータ(図示せず)と、を備える。気化室27Bは、多段のトレイ28Bを有する。また、気化室27Bの最下段にはセンサ29Bが設けられている。
【0050】
図9に示すように、熱交換部21Bは、分岐部22Bと、複数の細管部23Bと、を備える。なお、
図9に示す例において、細管部23Bは、スパイラル形状の流路を形成する。これにより、占有面積が少ない空間上に長く圧損の少ない流路を形成することができる。
【0051】
熱交換部21Bは、ヒータによって加熱されている。熱交換部21Bに供給される液体原料は、所定の加熱温度まで加熱される。加熱された液体原料は、気化室27Bに供給される。なお、熱交換部21Bの細管部23Bの流路は、スパイラル形状の流路の場合を例に説明したが、これに限られるものではなく、U字形状の流路であってもよい。
【0052】
気化室27Bは、細管部23Bよりも拡大した空間を有している。これにより、気化室27Bに供給された液体原料は、減圧され、沸騰(気化)する。また、気化室27Bに供給された液体原料は、トレイ28B上を拡がる。気化室27B及びトレイ28Bはヒータによって加熱されている。これにより、トレイ28上の液体原料も気化する。気化した原料ガスは、気化室27B内に充填される。即ち、気化室27Bは、フィルタンクとしての機能も有する。
【0053】
トレイ28Bは、
図8に示すように交互に配置されている。気化室27Bに流入した液体原料は、一の段のトレイ28Bに流入し、一の段のトレイ28Bの端から次の段のトレイ28Bに流入することにより、上段から順に液体原料が供給されるようになっている。
【0054】
気化室27Bの最下段に設けられたセンサ29Bは液体を検知するセンサである。センサ29Bで液体を検知すると、制御装置40は、液体供給弁10(
図1参照)を閉じるように制御する。これにより、気化室27Bのトレイ28Bに過剰に液体原料が供給されることを防止して、効率よく液体原料を気化させることができる。
【0055】
以上、第1~第3実施形態に係る気化装置20~20Bを備える基板処理システムについて説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 基板処理システム
2 液体原料供給源
3 液体材料気化供給装置
4 処理容器
5 載置台
10 液体供給弁
20 気化装置
21 熱交換部
22 分岐部
23 細管部
24 気化部
25 フィルタンク
26 ヒータ
30 ガス流量調整装置
31 圧力センサ
32 流量センサ
33 流量制御弁
40 制御装置
111~113 配管
200 液体原料
201 原料ガス