(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062424
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】制汗剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20220413BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
A61K8/25
A61Q15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170430
(22)【出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】有福 直樹
(72)【発明者】
【氏名】油谷 真人
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB222
4C083AB432
4C083AC172
4C083AC842
4C083AD152
4C083AD162
4C083BB23
4C083CC17
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】 制汗作用が良く、使用感触に優れた制汗剤組成物を提供する。
【解決手段】 従来から知られている制汗剤組成物の配合成分であるシリカのうち、その少なくとも一部を、コールターカウンター法で測定した体積基準のメジアン径が1~30μm(好ましくは5~20μm)、吸油量が400~800mL/100gである疎水性球状シリカエアロゲルとする。他のシリカを配合する場合に比べて、制汗効果が改善される。配合量は、1.0~30質量%とすることが特に好適である。また、該シリカエアロゲルの持つ細孔は、細孔半径のピークが10~40nmにあり、かつ分布がシャープであると、シリカエアロゲル自体の透明性が高くなる傾向にあり、制汗剤組成物として肌に塗布した場合に白浮きを起こし難くなる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールターカウンター法で測定した体積基準のメジアン径が1~30μm、吸油量が400~800mL/100gである疎水性球状シリカエアロゲルを含む事を特徴とする制汗剤組成物。
【請求項2】
前記疎水性球状シリカエアロゲルの含有割合が1.0~30.0質量%である請求項1記載の制汗剤組成物。
【請求項3】
前記疎水性球状シリカエアロゲルとして、細孔容積が3~6ml/g、細孔半径のピーク値が10~40nm、比表面積が350~1000m2/g、M値が20~60であるものが配合された請求項1又は2記載の制汗剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制汗剤組成物に関する。更に詳しくは、制汗作用が良く、使用感触に優れた制汗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発汗による臭いの発生等を防止する目的で制汗剤組成物が広く使用されている。また、シリカは無水ケイ酸とも呼ばれ、様々な粒子径のものが化粧品原料として使用されており、特許文献1では制汗剤組成物の使用感を改善する目的でシリカ等の無機粉体が添加されている。また、特許文献2では特定の平均粒径を有する2種類のシリカを併用することにより、粉体の再分散性に優れ、かつ、さらさら感及び白さのない仕上がりを得られることを特徴とする制汗剤組成物もある。
【0003】
しかしながら、特許文献2ではシリカは多孔質シリカの使用が、優れた使用感を得るに有効であるとの記述があるが、吸油量は最大でも400mL/100gであり、制汗作用については改善の余地があった。また、これらを含む、これまでの制汗剤組成物においてシリカの使用は、さらさら感の付与と言った、感触改善に焦点を当てたものであり、制汗効果の向上に関しては改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5634253号
【特許文献2】特許第6681760号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は、制汗作用が良く、使用感触に優れた制汗剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。そして上記したような制汗剤において一般に感触改善の効果を得る目的で配合されるシリカとして、より吸油量の高いシリカエアロゲルを用いることにより、制汗作用も改善されることを見出した。更に、シリカエアロゲルの中でも不定形のものよりも球状のものの方が転がり抵抗が少なく、肌への感触が良好でさらさらとした感触を得られること、また、親水性のものよりも疎水性のものの方が肌の皮脂を吸収して、肌との密着性を高め、加えて、制汗剤組成物に配合される油分を効果的に吸収することで汗腺の閉塞効果を高めることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、コールターカウンター法で測定した体積基準のメジアン径が1~30μm、吸油量が400~800mL/100gである疎水性球状シリカエアロゲルを含む事を特徴とする制汗剤組成物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制汗作用が良く、使用感触に優れた制汗剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明がこれらの形態に限定されるものではない。また、特に断らない限り、数値範囲について「A~B」という表記は「A以上B以下」を意味するものとする。かかる表記において数値Bのみに単位を付した場合には、当該単位が数値Aにも適用されるものとする。
【0010】
本発明の制汗剤組成物に含まれる疎水性球状シリカエアロゲル(以下、特に断らない限り単に「球状シリカエアロゲル」)は公知のものでよく、例えば、特開2018-177620号公報記載の方法により製造したものを使用することができる。
【0011】
本発明で用いる球状シリカエアロゲルは、コールターカウンター法による体積頻度の粒度分布におけるメジアン径(以下、単に「メジアン径」と記す場合がある)が1~30μmの範囲である。当該疎水性シリカエアロゲルのメジアン径がこの範囲にあることで、白浮きし難く、滑らかな触感の制汗剤組成物を得ることができる。
【0012】
球状シリカエアロゲルとしてメジアン径が1μm未満のものは作製することが困難であり、30μmを超えるとエアゾール型の制汗剤組成物にした場合に目詰まりすることがある。また、肌との密着性の観点からも球状シリカエアロゲルの粒径は30μm以下であることが好ましい。当該メジアン径は1~20μmの範囲にあることが好ましく、5~20μmが特に好ましい。
【0013】
本発明で用いる球状シリカエアロゲルは疎水性である。ここで、疎水性か否かは以下の方法で確認される。即ち、50mlのガラス製のサンプル瓶に25mlの水を入れ、そこへ試験対象とするシリカエアロゲル0.1gを添加して良く振り混ぜた後に、当該シリカエアロゲルの全量が、水に分散せず浮遊していることで確認できる。
【0014】
上記球状シリカエアロゲルの疎水性の程度は、M値により測定することができる。当該M値の測定方法は、次の通りである。容量250mLのビーカー中に50mLの水を入れ、さらに球状シリカエアロゲル0.2gもいれておく。そしてそこへ、メタノールをビュレットから徐々に滴下する。この際ビーカー内の溶液をマグネティックスターラーで常時攪拌しておく。添加した球状シリカエアロゲル粉末の全量が液中に懸濁された時点を終点とし、終点におけるビーカーの液体混合物のメタノールの容量百分率(%)がM値となる。
【0015】
上記球状シリカエアロゲルの疎水性の指標であるM値は、20~60であることが好ましく、30~50であることがより好ましい。M値がこの範囲にあることで、制汗剤組成物の塗布後に形成される被膜に対して撥水性を与えることが可能となり、制汗作用が向上すると共に、被膜が外部からの水によって流れ落ちることを抑制することが可能となる。
【0016】
上記球状シリカエアロゲルにおいて、疎水性が付与されている態様の具体例としては、シリル化剤で処理されていることにより、表面に有機シリル基が導入された形態を挙げることができる。当該有機シリル基としては前記したM値の範囲となりやすい点でトリメチルシリル基であることが好適である。
【0017】
上記シリル化剤の具体例としては、クロロトリメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、トリクロロメチルシラン等のクロロシラン類、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン等のシラザン類、ヘキサメチルシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等のシロキサン類、シロキサンオクタメチルシクロテトラシラザン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサンなどが挙げられる。そのうち、M値を前記した範囲に制御しやすい点で、クロロトリメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、トリクロロメチルシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサンが特に好ましい。一般的には、上記シリル化剤とシリカエアロゲル表面のシラノール基とが反応し、シリカエアロゲルの表面に対応する疎水基が導入される。
【0018】
本発明で用いる球状シリカエアロゲルとしては、細孔容積が3~6mL/gであることが好ましい。下限値は3.5mL/g以上、特に4mL/g以上であることがより好ましい。細孔容積は高いほど好ましいが、6mL/gを超えて大きいものを得ることは困難である。
【0019】
上記細孔容積は、上記のBET比表面積測定の際と同様に吸着等温線を取得し、BJH法(Barrett, E. P.; Joyner, L. G.; Halenda, P. P., J. Am. Chem. Soc. 73, 373 (1951)により解析して得られたものである(以下、「BJH細孔容積」ということがある。)。当該方法により測定される細孔は、半径1~100nmの細孔であり、この範囲の細孔の容積の積算値が本発明における細孔容積となる。
【0020】
本発明で用いる球状シリカエアロゲルとしては、その細孔半径のピークが10~40nmにあるもの、更には10~30nmにあるものが推奨される。細孔半径のピークがこの範囲にあり、かつシャープに存在していることにより、球状シリカエアロゲルの透明性が高くなる傾向にあり、制汗剤組成物として肌に塗布した場合に白浮きを起こし難くなる。
【0021】
上記細孔径の分布がシャープであるとは、細孔半径が5~50nm、特に10~40nmの範囲内に細孔の70%以上が存在することをいう。
【0022】
尚、本発明において、細孔半径のピーク、及び範囲は、前記と同様に取得した吸着側の吸着等温性をBJH法によって解析して得られる、細孔半径の対数による累積細孔容積(体積分布曲線)より求めたものである。
【0023】
上記特徴的細孔を有する球状シリカエアロゲルのBET法による比表面積(BET比表面積)は、一般に、350~1000m2/gであり、好ましくは400~850m2/gである。
【0024】
ここで、上記BET法による比表面積は、測定対象のサンプルを1kPa以下の真空下において、200℃の温度で3時間以上乾燥させ、その後、液体窒素温度における窒素の吸着側のみの吸着等温線を取得し、BET法により解析して求めた値である。
【0025】
本発明において用いる球状シリカエアロゲルの吸油量は、400mL/100g以上、800mL/100g以下である。700mL/100g以下であることがより好ましい。当該吸油量は、JIS K5101-13-1「精製あまに油法」に記載の方法により測定した値である。
【0026】
本発明において用いるシリカエアロゲルは球状である。ここで球状とは次に述べる定義における平均円形度が0.8以上であることをいい、同0.85以上であることが好ましい。
【0027】
上記「平均円形度」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、二次電子検出、低加速電圧(1kV~3kV)、倍率1000倍で観察したSEM像を得、個々の粒子について下記式(1)によって定義される値C(円形度)を求め(画像解析)、この円形度Cを2000個以上の粒子について相加平均値として出した値である(画像解析法)。この際、一個の凝集粒子を形成している粒子群は1粒子として計数する。
【0028】
C=4πS/L2 (1)
上記式(1)において、Sは当該粒子が画像中に占める面積(投影面積)を表す。Lは画像中における当該粒子の外周部の長さ(周囲長)を表す。
【0029】
上記平均円形度が0.8より大きくなって1に近くなるほど、個々の粒子は真球に近い形状となり、凝集粒子も少なくなる。よって平均円形度が高ければ制汗剤組成物として利用したときにローリング性が良くなり、優れた触感が得られる。
【0030】
本発明の制汗剤組成物において、上述したような疎水性球状シリカエアロゲルの配合量は、制汗剤組成物全体を100質量%として、1.0~30.0質量%であることが好ましく、1.0~20.0質量%であることが更に好ましく、5.0~20.0質量%が特に好ましい。配合量が多いほど制汗作用を改善する傾向が強いが、あまりに多い場合には、必要な他の成分を配合し難くなり、さらには白浮きが見られることもある。
【0031】
本発明の制汗剤組成物において、疎水性球状シリカエアロゲル以外の成分としては、制汗剤組成物の含有成分として公知の成分を、当該制汗剤組成物の目的・用途に合わせて特に限定なく含有することができる。
【0032】
当該成分としては多くの場合、制汗作用を付与する目的で水溶性のアルミニウム塩が配合される。本発明において、水溶性とは、アルミニウム塩が水に溶けて水溶液を作る性質をいう。水溶性のアルミニウム塩としては、制汗剤として公知の化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、ブロモヒドロキシアルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム/ジルコニウム、硫酸アルミニウムカリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、クロルヒドロキシアルミニウムが、防臭作用が高い点で好ましい。
【0033】
また、クロルヒドロキシアルミニウムの形状は問わないが、球状の方が肌に塗布した際の感触が良好の為、好ましい。クロルヒドロキシアルミニウムの配合量は、1.0~50.0質量%が好ましく、更には、5.0~45.0質量%であることが好ましく、15.0~35.0質量%が特に好ましい。1質量%未満の場合、制汗作用が低下することがあり、50質量%を超えると、金属容器の場合、腐食が発生する場合がある。
【0034】
当該成分として、制汗剤の閉塞剤、表面改質剤、皮膚保護剤としてメチルハイドロジェンポリシロキサンを含有することができる。
【0035】
メチルハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、1.0~30.0質量%が好ましく、更には、5.0~25.0質量%が好ましい。
【0036】
当該成分として、抗ケーキング剤、感触改善剤としてセリサイト、タルクのどちらか、または、それらの両方を含有することができる。
【0037】
セリサイト、タルクの配合量は、それぞれ1.0~40.0質量%が好ましく、更には、10.0~30.0質量%が好ましい。1質量%未満の場合、ケーキングを抑止する効果が低下したり、感触が改善されないことがあり、40質量%を超えると塗布後に白浮きを発生する場合がある。
【0038】
当該成分として、抗ケーキング剤、感触改善剤として非多孔質のシリカを含有することができる。
【0039】
該シリカの配合量は、それぞれ1.0~20.0質量%が好ましく、更には、5.0~15.0質量%が好ましい。1質量%未満の場合、ケーキングを抑止する効果が低下したり、感触が改善されないことがあり、20質量%を超えると塗布後に白浮きを発生する場合がある。
【0040】
その他の粉体として、カオリン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成金雲母、酸化セリウム、窒化ホウ素、硫酸バリウム等の無機粉体、麻セルロース末、小麦デンプン、シルク末、トウモロコシデンプン等の有機天然粉体、シリコーン、ナイロン、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ乳酸等の合成高分子粉体等が挙げられ、感触性改善やソフトフォーカス効果を付与する等の目的で、本発明の制汗剤組成物に配合することができる。
【0041】
また、紫外線防御剤としては、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、エチルヘキシルトリアゾン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等の有機系紫外線吸収剤、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化クロム等の無機系紫外線防御剤等を本発明の制汗剤組成物に配合することができる。
【0042】
また、前記の殺菌・防腐剤としては、サリチル酸、イソプロピルメチルフェノール、イオウ、レゾルシン、フェノキシエタノール等が挙げられ、ニキビ予防やデオドラントの目的、または、制汗剤組成物中の細菌やかびなどの微生物の発生の防止を目的等で、本発明の制汗剤組成物に配合することができる。
【0043】
本発明の制汗剤組成物の剤型としては、例えば、制汗パウダー、制汗スティック、制汗防臭スプレー、制汗ローション、ロールオン制汗剤類等とすることができる。
【0044】
本発明の制汗剤組成物は、公知の方法に従って製造することができるが、例えば、予めすべての粉体成分を混合した後、油相成分を加えて混合することにより製造できる。
【実施例0045】
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例を示すが、本発明はこれらの実施例のみに制限されるものではない。
【0046】
制汗剤組成物に配合するシリカとしては、以下の3種のシリカのいずれかを用いた。
【0047】
<疎水性シリカエアロゲル>
疎水性球状シリカエアロゲルは、トリメチルシリル基により表面が修飾されており、特開2018-177620号公報に記載されている方法により製造したものである。各種物性は表1に示した。
【0048】
<球状無孔質シリカ>
合成溶融法で製造された株式会社トクヤマ製エクセリカUF-725を用いた。各種物性は表1に示した。
【0049】
<疎水性球状多孔質シリカ>
表1に示す物性を有する市販品を用いた。
【0050】
【0051】
<評価方法>
添加した粉体の物性値については、以下の方法により評価を行った。
【0052】
(平均円形度の測定)
2000個以上のシリカ粒子についてSEM(日立ハイテクノロジーズ製S-5500、加速電圧3.0kV、二次電子検出)を用いて倍率1000倍で観察したSEM像を画像解析し、前述の定義に従って平均円形度を算出した。
【0053】
(コールターカウンター法による粒度分布、メジアン径の測定)
40mlのエタノールに対してシリカを0.3g添加し、シャープマニュファクチュアリング株式会社製の超音波洗浄機UT-105Sを用いて、出力100wで5分間分散させた。尚、上記分散は、容量50mlのラボランスクリュー管瓶を使用し、適正量の水を入れた洗浄槽内に設置して行った。
【0054】
得られたエタノール分散液をベックマン・コールター株式会社製精密粒度分布測定装置Multisizer3を用い、100μmのアパチャーチューブを使用して測定した。得られた粒度分布から、体積分布に対するメジアン径を評価した。
【0055】
(その他の物性値の測定)
BET比表面積、及びBJH細孔容積の測定は、上述の定義に従って日本ベル株式会社製BELSORP-maxにより行った。吸油量の測定は、JIS K5101-13-1に規定されている「精製あまに油法」により行った。
【0056】
炭素含有量(表1中の「C値」)の測定はelementar社 variO MICRO CUBEを用いて、温度1150℃において酸素とヘリウムをフローしながらで酸化処理し、発生した二酸化炭素の量を定量することにより測定し、シリカ粉末全量を基準(100質量%)とする質量%で算出した。
【0057】
(制汗剤組成物の制汗作用における官能性試験)
実施例及び比較例に従って製造した制汗剤組成物における制汗作用について、試験者5名による官能試験を行った。評価方法として、手の甲及び手の平に試料を均一に塗布した後、ゴム手袋を着用後、発汗抑制効果を確認した。なお、右手には比較例1の試料を毎回塗布し、左手にはそれ以外の試料を塗布した。評価基準は、比較例1の試料の点数を3点とした場合の5段階評価を行い、その平均値で評価し、点数が大きい程、制汗作用の効果ありとした。参考として、評価指標を以下に示す。
【0058】
5点・・・比較例1よりも明らかに良い。
4点・・・比較例1よりもやや良い。
3点・・・比較例1と同等。
2点・・・比較例1よりもやや劣る。
1点・・・比較例1よりも明らかに劣る。
【0059】
<実施例1、比較例1~2>
表2の配合に従って、制汗剤組成物を作製した。作製は、成分Aをブレンダーミキサー(HANIL製LAB.MIXER)で5分間混合した後、成分Bを徐々に、30秒間位で加え、30分間混合する方法によりおこなった。作製した制汗剤の官能試験を実施した結果、実施例1が平均4.8点、相対標準偏差9%だったのに対して、比較例2が平均3.2点、相対標準偏差14%となった。
【0060】