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特開2022-6351ターゲット供給装置、ターゲット供給方法、及び電子デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006351
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ターゲット供給装置、ターゲット供給方法、及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220105BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
H05G2/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020108505
(22)【出願日】2020-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105212
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 延寿
(72)【発明者】
【氏名】白石 裕
(72)【発明者】
【氏名】堀 司
【テーマコード(参考)】
2H197
4C092
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197GA01
2H197GA04
2H197GA05
2H197GA12
2H197GA24
2H197HA03
4C092AA06
4C092AA17
4C092AB11
4C092AB19
4C092AC09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】EUV光生成装置の稼働率の低下を抑制できるターゲット供給装置を提供する。
【解決手段】ターゲット供給装置261は、固体ターゲット物質27aを収容する第1の容器と、第1の容器に接続された第1の接続口P1と、第1の加圧ガス供給経路に接続された第2の接続口P2と、ターゲット物質導出経路に接続された第3の接続口P3と、を備えた第2の容器と、第1の容器から供給される固体ターゲット物質を収容する第1の凹部51を備え、第2の容器の内部で第1の凹部を移動させることにより、第1の凹部の開口を、第1の接続口、第2の接続口、及び第3の接続口に順番に重ねる移動体と、第2の加圧ガス供給経路とターゲット物質導出経路との両方に接続され、第3の接続口から供給される固体ターゲット物質を溶融させる第3の容器と、第3の容器から供給される溶融したターゲット物質を出力するノズル72と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体ターゲット物質を収容する第1の容器と、
前記第1の容器に接続された第1の接続口と、第1の加圧ガス供給経路に接続された第2の接続口と、ターゲット物質導出経路に接続された第3の接続口と、を備えた第2の容器と、
前記第1の容器から供給される固体ターゲット物質を収容する第1の凹部を備え、前記第2の容器の内部で前記第1の凹部を移動させることにより、前記第1の凹部の開口を、前記第1の接続口、前記第2の接続口、及び前記第3の接続口に順番に重ねる移動体と、
第2の加圧ガス供給経路と前記ターゲット物質導出経路との両方に接続され、前記第3の接続口から供給される固体ターゲット物質を溶融させる第3の容器と、
前記第3の容器から供給される溶融したターゲット物質を出力するノズルと、
を備える、ターゲット供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のターゲット供給装置であって、
前記第2の接続口は、強制排気経路と前記第1の加圧ガス供給経路との両方に接続された、ターゲット供給装置。
【請求項3】
請求項1に記載のターゲット供給装置であって、
前記第2の接続口の幅は、前記第1の容器から供給される固体ターゲット物質の直径よりも小さい、ターゲット供給装置。
【請求項4】
請求項1に記載のターゲット供給装置であって、
前記第2の接続口は、前記第1の接続口、前記第3の接続口、及び前記開口のいずれよりも面積が小さい、ターゲット供給装置。
【請求項5】
請求項1に記載のターゲット供給装置であって、
前記第2の加圧ガス供給経路は、前記ターゲット物質導出経路に接続されることにより、前記第3の容器に接続された、ターゲット供給装置。
【請求項6】
請求項1に記載のターゲット供給装置であって、
前記第1の加圧ガス供給経路と前記第2の加圧ガス供給経路とに加圧ガスを供給する共通の加圧ガス配管と、
前記第1の加圧ガス供給経路に配置された第1のバルブと、
前記第2の加圧ガス供給経路に配置された第2のバルブと、
プロセッサと、
をさらに備え、
前記プロセッサは、
前記第1の凹部の開口が前記第2の接続口に重ねられ、前記第2のバルブが閉められた状態で、前記第1のバルブが開けられて、前記第1の凹部に加圧ガスが供給され、その後、前記第1の凹部の開口が前記第3の接続口に重ねられ、前記第1の凹部から前記第3の容器に固体ターゲット物質が供給されるように、前記第1のバルブ、前記第2のバルブ、及び前記移動体を制御する
ターゲット供給装置。
【請求項7】
請求項1に記載のターゲット供給装置であって、
前記第2の容器は、排気経路に接続された第4の接続口をさらに備え、
前記移動体は、前記開口を、前記第1の接続口、前記第2の接続口、前記第3の接続口、及び前記第4の接続口に順番に重ねる
ターゲット供給装置。
【請求項8】
請求項1に記載のターゲット供給装置であって、
前記第2の容器の内部の壁面は、円形の断面を有し、
前記移動体は、前記断面に垂直な回転軸の周りに前記第1の凹部を回転させる
ターゲット供給装置。
【請求項9】
請求項8に記載のターゲット供給装置であって、
前記第1の接続口、前記第2の接続口、及び前記第3の接続口は、前記断面の円周に沿って順番に配置され、
前記移動体は、前記第1の凹部を一定の回転方向に回転させる
ターゲット供給装置。
【請求項10】
請求項8に記載のターゲット供給装置であって、
前記第1の凹部は、N個の固体ターゲット物質を収容可能であり、Nは1以上の整数であり、
前記移動体は、前記第1の凹部を1回転させる毎にN個の固体ターゲット物質を前記第3の接続口に供給する
ターゲット供給装置。
【請求項11】
請求項8に記載のターゲット供給装置であって、
前記移動体は、前記第1の容器から供給される固体ターゲット物質を収容して前記第1の凹部とともに前記回転軸の周りに回転する第2の凹部をさらに備え、
前記第1及び第2の凹部の各々は、N個の固体ターゲット物質を収容可能であり、Nは1以上の整数であり、
前記移動体は、前記第1及び第2の凹部を1回転させる毎にN×2個の固体ターゲット物質を前記第3の接続口に供給する
ターゲット供給装置。
【請求項12】
請求項8に記載のターゲット供給装置であって、
前記移動体は、前記第1の容器から供給される固体ターゲット物質を収容して前記第1の凹部とともに前記回転軸の周りに回転する第2~第Mの凹部をさらに備え、Mは3以上の整数であり、
前記第1~第Mの凹部の各々は、N個の固体ターゲット物質を収容可能であり、Nは1以上の整数であり、
前記移動体は、前記第1~第Mの凹部を1回転させる毎にN×M個の固体ターゲット物質を前記第3の接続口に供給する
ターゲット供給装置。
【請求項13】
請求項1に記載のターゲット供給装置であって、
前記第2の容器は、強制排気経路に接続された第5の接続口をさらに備え、
前記移動体は、前記開口を、前記第1の接続口、前記第5の接続口、前記第2の接続口、及び前記第3の接続口に順番に重ねる
ターゲット供給装置。
【請求項14】
請求項13に記載のターゲット供給装置であって、
前記第5の接続口は、前記第1の接続口、前記第3の接続口、及び前記開口のいずれよりも面積が小さい、ターゲット供給装置。
【請求項15】
請求項1に記載のターゲット供給装置であって、
前記第3の容器の内部のターゲット物質の量を検出するセンサと、
プロセッサと、
をさらに備え、
前記プロセッサは、前記第3の容器の内部のターゲット物質の量が第1の値以上であることを前記センサの出力が示す場合に、前記第1の凹部の移動を抑制する
ターゲット供給装置。
【請求項16】
請求項15に記載のターゲット供給装置であって、
前記プロセッサは、前記第3の容器の内部のターゲット物質の量が前記第1の値より小さくなって一定時間が経過した場合に、前記第1の凹部の移動を開始する
ターゲット供給装置。
【請求項17】
請求項1に記載のターゲット供給装置であって、
前記ノズルから出力されたターゲット物質の量を計測するターゲットセンサと、
プロセッサと、
をさらに備え、
前記プロセッサは、前記第3の接続口から供給された固体ターゲット物質の量が、前記ノズルから出力されたターゲット物質の量以上となった場合に、前記第1の凹部の移動を抑制する
ターゲット供給装置。
【請求項18】
請求項17に記載のターゲット供給装置であって、
前記プロセッサは、前記第3の接続口から供給された固体ターゲット物質の量が、前記ノズルから出力されたターゲット物質の量以上となって一定時間が経過した場合に、前記第1の凹部の移動を開始する
ターゲット供給装置。
【請求項19】
極端紫外光生成装置におけるターゲット供給方法であって、
固体ターゲット物質を収容する第1の容器と、
前記第1の容器に接続された第1の接続口と、第1の加圧ガス供給経路に接続された第2の接続口と、ターゲット物質導出経路に接続された第3の接続口と、を備えた第2の容器と、
前記第1の容器から供給される固体ターゲット物質を収容する第1の凹部を備え、前記第2の容器の内部で前記第1の凹部を移動させる移動体と、
第2の加圧ガス供給経路と前記ターゲット物質導出経路との両方に接続され、前記第3の接続口から供給される固体ターゲット物質を溶融させる第3の容器と、
前記第3の容器から供給される溶融したターゲット物質を出力するノズルと、
を備えるターゲット供給装置を用いて、
前記移動体により、前記第1の凹部の開口を、前記第1の接続口に重ね、次に前記第2の接続口に重ね、次に前記第3の接続口に重ねる
ことを含む、ターゲット供給方法。
【請求項20】
電子デバイスの製造方法であって、
固体ターゲット物質を収容する第1の容器と、
前記第1の容器に接続された第1の接続口と、第1の加圧ガス供給経路に接続された第2の接続口と、ターゲット物質導出経路に接続された第3の接続口と、を備えた第2の容器と、
前記第1の容器から供給される固体ターゲット物質を収容する第1の凹部を備え、前記第2の容器の内部で前記第1の凹部を移動させる移動体と、
第2の加圧ガス供給経路と前記ターゲット物質導出経路との両方に接続され、前記第3の接続口から供給される固体ターゲット物質を溶融させる第3の容器と、
前記第3の容器から供給される溶融したターゲット物質を出力するノズルと、
を備えるターゲット供給装置と、
前記ターゲット供給装置から所定領域に出力されたターゲット物質にパルスレーザ光を集光するレーザ光集光ミラーと、
を備える極端紫外光生成装置において、ターゲット物質にパルスレーザ光を照射して極端紫外光を生成し、
前記極端紫外光を露光装置に出力し、
電子デバイスを製造するために、前記露光装置内で感光基板上に前記極端紫外光を露光する
ことを含む、電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ターゲット供給装置、ターゲット供給方法、及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm~45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、例えば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外(EUV)光を生成する極端紫外光生成装置と縮小投影反射光学系(reduced projection reflection optics)とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にパルスレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLPP(Laser Produced Plasma)式の装置と、放電によって生成されるプラズマが用いられるDPP(Discharge Produced Plasma)式の装置と、シンクロトロン放射光が用いられるSR(Synchrotron Radiation)式の装置との3種類の装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-053292号公報
【特許文献2】特開平09-217849号公報
【特許文献3】特開2001-315962号公報
【特許文献4】特開平06-275535号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2017/0350745号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日本ボールバルブ総合カタログ,2016年10月,PP.23-24
【概要】
【0006】
本開示の1つの観点に係るターゲット供給装置は、固体ターゲット物質を収容する第1の容器と、第1の容器に接続された第1の接続口と、第1の加圧ガス供給経路に接続された第2の接続口と、ターゲット物質導出経路に接続された第3の接続口と、を備えた第2の容器と、第1の容器から供給される固体ターゲット物質を収容する第1の凹部を備え、第2の容器の内部で第1の凹部を移動させることにより、第1の凹部の開口を、第1の接続口、第2の接続口、及び第3の接続口に順番に重ねる移動体と、第2の加圧ガス供給経路とターゲット物質導出経路との両方に接続され、第3の接続口から供給される固体ターゲット物質を溶融させる第3の容器と、第3の容器から供給される溶融したターゲット物質を出力するノズルと、を備える。
【0007】
本開示の1つの観点に係るターゲット供給方法は、固体ターゲット物質を収容する第1の容器と、第1の容器に接続された第1の接続口と、第1の加圧ガス供給経路に接続された第2の接続口と、ターゲット物質導出経路に接続された第3の接続口と、を備えた第2の容器と、第1の容器から供給される固体ターゲット物質を収容する第1の凹部を備え、第2の容器の内部で第1の凹部を移動させることにより、第1の凹部の開口を、第1の接続口、第2の接続口、及び第3の接続口に順番に重ねる移動体と、第2の加圧ガス供給経路とターゲット物質導出経路との両方に接続され、第3の接続口から供給される固体ターゲット物質を溶融させる第3の容器と、第3の容器から供給される溶融したターゲット物質を出力するノズルと、を備えるターゲット供給装置を用いて、移動体により、第1の凹部の開口を、第1の接続口に重ね、次に第2の接続口に重ね、次に第3の接続口に重ねることを含む。
【0008】
本開示の1つの観点に係る電子デバイスの製造方法は、固体ターゲット物質を収容する第1の容器と、第1の容器に接続された第1の接続口と、第1の加圧ガス供給経路に接続された第2の接続口と、ターゲット物質導出経路に接続された第3の接続口と、を備えた第2の容器と、第1の容器から供給される固体ターゲット物質を収容する第1の凹部を備え、第2の容器の内部で第1の凹部を移動させることにより、第1の凹部の開口を、第1の接続口、第2の接続口、及び第3の接続口に順番に重ねる移動体と、第2の加圧ガス供給経路とターゲット物質導出経路との両方に接続され、第3の接続口から供給される固体ターゲット物質を溶融させる第3の容器と、第3の容器から供給される溶融したターゲット物質を出力するノズルと、を備えるターゲット供給装置と、ターゲット供給装置から所定領域に出力されたターゲット物質にパルスレーザ光を集光するレーザ光集光ミラーと、を備える極端紫外光生成装置において、ターゲット物質にパルスレーザ光を照射して極端紫外光を生成し、極端紫外光を露光装置に出力し、電子デバイスを製造するために、露光装置内で感光基板上に極端紫外光を露光することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1図1は、例示的なLPP式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。
図2図2は、比較例に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
図3図3は、第1の実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
図4図4A図4Dは、第1の実施形態におけるボールバルブの動作を示す断面図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るターゲット供給装置の動作手順を示す。
図6図6は、第1の変形例におけるボールバルブの断面図である。
図7図7は、第2の変形例におけるボールバルブの断面図である。
図8図8は、第3の変形例におけるボールバルブの断面図である。
図9図9は、第2の実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
図10図10は、第3の実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
図11図11は、第3の実施形態に係るターゲット供給装置の動作手順を示す。
図12図12は、第4の実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
図13図13は、第4の実施形態に係るターゲット供給装置の動作手順を示す。
図14図14は、EUV光生成装置に接続された露光装置の構成を概略的に示す。
【実施形態】
【0010】
<内容>
1.EUV光生成システム11の全体説明
1.1 構成
1.2 動作
2.比較例
2.1 構成及び動作
2.2 課題
3.ボールバルブ59を介して固体ターゲット物質27aを補充するターゲット供給装置261
3.1 構成
3.1.1 リザーバタンクC1
3.1.2 ボールバルブ59
3.1.3 配管
3.2 動作
3.2.1 ボールバルブ59の動作
3.2.2 固体ターゲット物質27aを補充する動作
3.3 変形例
3.3.1 複数の固体ターゲット物質27aを収容する第1の凹部54
3.3.2 第2の凹部52を有するボール部50b
3.3.3 第2~第Mの凹部を有するボール部50c
3.4 作用
4.強制排気のための第5の接続口P5を備えたボディ部C4
4.1 構成
4.2 動作
4.3 作用
5.圧力タンクC3の液面を計測して固体ターゲット物質27aを補充するターゲット供給装置263
5.1 構成
5.2 動作
5.3 作用
6.出力されたターゲット物質の量を計測して固体ターゲット物質27aを補充するターゲット供給装置264
6.1 構成
6.2 動作
6.3 作用
7.その他
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0012】
1.EUV光生成システム11の全体説明
1.1 構成
図1に、例示的なLPP式のEUV光生成システム11の構成を概略的に示す。EUV光生成装置1は、レーザ装置3と共に用いられる。本開示においては、EUV光生成装置1及びレーザ装置3を含むシステムを、EUV光生成システム11と称する。EUV光生成装置1は、チャンバ2及びターゲット供給装置26を含む。チャンバ2は、密閉可能な容器である。ターゲット供給装置26は、ターゲット物質をチャンバ2内部に供給する。ターゲット物質の材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、又は、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含んでもよい。
【0013】
チャンバ2の壁には、貫通孔が備えられている。その貫通孔は、ウインドウ21によって塞がれ、ウインドウ21をレーザ装置3から出力されるパルスレーザ光32が透過する。チャンバ2の内部には、回転楕円面形状の反射面を備えたEUV集光ミラー23が配置される。EUV集光ミラー23は、第1及び第2の焦点を備える。EUV集光ミラー23の表面には、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成される。EUV集光ミラー23は、その第1の焦点がプラズマ生成領域25に位置し、その第2の焦点が中間集光点292に位置するように配置される。EUV集光ミラー23の中央部には貫通孔24が備えられ、貫通孔24をパルスレーザ光33が通過する。
【0014】
EUV光生成装置1は、プロセッサ5、ターゲットセンサ4等を含む。プロセッサ5は、制御プログラムが記憶されたメモリ501と、制御プログラムを実行するCPU(central processing unit)502と、を含む処理装置である。プロセッサ5は本開示に含まれる各種処理を実行するために特別に構成又はプログラムされている。ターゲットセンサ4は、ターゲット27の存在、軌跡、位置、速度の内の少なくとも1つを検出する。ターゲットセンサ4は、撮像機能を備えてもよい。
【0015】
また、EUV光生成装置1は、チャンバ2の内部と露光装置6の内部とを連通させる接続部29を含む。接続部29内部には、アパーチャが形成された壁291が備えられる。壁291は、そのアパーチャがEUV集光ミラー23の第2の焦点に位置するように配置される。
【0016】
さらに、EUV光生成装置1は、レーザ光伝送装置34、レーザ光集光ミラー22、ターゲット27を回収するためのターゲット回収部28等を含む。レーザ光伝送装置34は、レーザ光の伝送状態を規定するための光学素子と、この光学素子の位置、姿勢等を調整するためのアクチュエータとを備える。
【0017】
1.2 動作
図1を参照して、EUV光生成システム11の動作を説明する。レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、レーザ光伝送装置34を経て、パルスレーザ光32としてウインドウ21を透過してチャンバ2内に入射する。パルスレーザ光32は、チャンバ2内のレーザ光経路に沿って進み、レーザ光集光ミラー22で反射されて、パルスレーザ光33としてターゲット27に照射される。
【0018】
ターゲット供給装置26は、ターゲット物質を含むターゲット27をチャンバ2内部のプラズマ生成領域25に向けて出力する。ターゲット27には、パルスレーザ光33が照射される。パルスレーザ光33が照射されたターゲット27はプラズマ化し、そのプラズマから放射光251が放射される。放射光251に含まれるEUV光は、EUV集光ミラー23によって他の波長域の光に比べて高い反射率で反射される。EUV集光ミラー23によって反射されたEUV光を含む反射光252は、中間集光点292で集光され、露光装置6に出力される。なお、1つのターゲット27に、パルスレーザ光33に含まれる複数のパルスが照射されてもよい。
【0019】
プロセッサ5は、EUV光生成システム11全体を制御する。プロセッサ5は、ターゲットセンサ4の検出結果を処理する。ターゲットセンサ4の検出結果に基づいて、プロセッサ5は、ターゲット27が出力されるタイミング、ターゲット27の出力方向等を制御する。さらに、プロセッサ5は、レーザ装置3の発振タイミング、パルスレーザ光32の進行方向、パルスレーザ光33の集光位置等を制御する。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御が追加されてもよい。
【0020】
2.比較例
2.1 構成及び動作
図2は、比較例に係るターゲット供給装置26の構成を概略的に示す。本開示の比較例とは、出願人のみによって知られていると出願人が認識している形態であって、出願人が自認している公知例ではない。図2に示されるように、比較例に係るターゲット供給装置26は、圧力タンクC3と、ターゲット供給プロセッサ60と、圧力調節器62と、を含む。ターゲット供給プロセッサ60は、制御プログラムが記憶されたメモリ601と、制御プログラムを実行するCPU602と、を含む処理装置である。ターゲット供給プロセッサ60は本開示におけるプロセッサに相当する。ターゲット供給プロセッサ60は本開示に含まれる各種処理を実行するために特別に構成又はプログラムされている。
【0021】
圧力タンクC3は、ターゲット物質を収容する容器である。圧力タンクC3は本開示における第3の容器に相当する。圧力タンクC3は、加圧ガス配管L0を介してガスボンベG1に接続されている。ガスボンベG1は、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの高圧の希ガスを加圧ガスとして収容している。
加圧ガス配管L0に圧力調節器62が配置されている。図示しない圧力計の出力に基づいてターゲット供給プロセッサ60が圧力調節器62を制御することにより、圧力タンクC3の内部の圧力が大気圧より高い所定の圧力に調節される。
【0022】
圧力タンクC3には、ヒーター71と、ノズル72とが配置されている。
ヒーター71は、図示しない電源に接続されており、圧力タンクC3の内部をターゲット物質の融点より高い所定温度に加熱する。圧力タンクC3に配置された図示しない温度センサの出力に基づいて電源が制御されることにより、圧力タンクC3の内部の温度が制御される。
【0023】
ノズル72は、圧力タンクC3の重力方向における下端部に配置されている。ノズル72の先端は、チャンバ2(図1参照)の内部に開口している。ヒーター71によって溶融されたターゲット物質が、圧力調節器62から供給される加圧ガスとチャンバ2の内部の圧力との圧力差によって、ノズル72の先端の開口から出力される。図示しないピエゾ素子によってノズル72に振動を与えると、ノズル72から出力された図示しないジェット状のターゲット物質が液滴状に分離され、ターゲット27となる。
【0024】
2.2 課題
圧力タンクC3の内部のターゲット物質がノズル72からすべて出力されたら、ターゲット供給装置26を交換する必要がある。ターゲット供給装置26の交換作業は、ヒーター71によって加熱された圧力タンクC3の内部の温度を低下させる処理と、新しいターゲット供給装置26を設置した後の圧力タンクC3の内部の昇温や加圧などの立ち上げ処理とを含む。この交換作業の間は、EUV光生成装置1によるEUV光の生成を行うことができないので、交換作業を行うことによってEUV光生成装置1の稼働率が低下する。
【0025】
以下に説明する実施形態においては、ノズル72からのターゲット27の出力を継続したまま圧力タンクC3にターゲット物質を補充できるようにして、EUV光生成装置1の稼働率の低下を抑制している。
【0026】
3.ボールバルブ59を介して固体ターゲット物質27aを補充するターゲット供給装置261
3.1 構成
図3は、第1の実施形態に係るターゲット供給装置261の構成を概略的に示す。ターゲット供給装置261は、リザーバタンクC1とボールバルブ59とを含む。
【0027】
3.1.1 リザーバタンクC1
リザーバタンクC1は、固体ターゲット物質27aを収容する容器である。固体ターゲット物質27aは、例えば高純度のスズで構成される。固体ターゲット物質27aは、例えば、互いにほぼ同じ大きさの球形の粒であってもよい。リザーバタンクC1は本開示における第1の容器に相当する。リザーバタンクC1の内部の温度はターゲット物質の融点より低い温度である。固体ターゲット物質27aの酸化が抑制されるように、リザーバタンクC1には、アルゴンガス、ヘリウムガス、又は乾燥空気がパージガスとして供給されている。リザーバタンクC1の内部の圧力は、大気圧と同程度の圧力である。
リザーバタンクC1は、導入経路41を介してボールバルブ59に接続されている。導入経路41は、リザーバタンクC1の内部の固体ターゲット物質27aを通過させてボールバルブ59に供給する。
【0028】
3.1.2 ボールバルブ59
ボールバルブ59は、ボディ部C2とボール部50とを含む。
ボディ部C2は、内部の壁面が円形の断面を有する容器である。この断面は、図3の紙面に平行な断面である。ボディ部C2は、この断面の円周に沿って順番に配置された第1の接続口P1、第2の接続口P2、第3の接続口P3、及び第4の接続口P4を備えている。第1の接続口P1は、導入経路41を介してリザーバタンクC1に接続されている。第2の接続口P2は、ガス供給経路L1に接続されている。第3の接続口P3は、導出経路42に接続されている。第4の接続口P4は、排気経路L4に接続されている。ボディ部C2は本開示における第2の容器に相当する。ガス供給経路L1は、本開示における第1の加圧ガス供給経路に相当する。導出経路42は本開示におけるターゲット物質導出経路に相当する。ボディ部C2の内部の温度はターゲット物質の融点より低い温度である。
【0029】
ボール部50は、円形の断面を有し、ボディ部C2の内部に配置されている。ボール部50は、球状又は円筒状の形状を有する。ボール部50は、第1の凹部51を有する。第1の凹部51の開口56の一部は上記の断面に位置している。ボディ部C2の内部の壁面であって第1~第4の接続口P1~P4の各々の周囲には、ボール部50の表面と接触する図示しないシール部が形成されている。
ボール部50は、図示しない駆動装置によって回転軸55の周りに回転可能に構成されている。これにより、第1の凹部51が回転軸55の周りに回転可能となっている。回転軸55は、上記の断面に垂直である。すなわち、回転軸55は、図3の紙面に垂直である。ボール部50は、本開示における移動体に相当する。
【0030】
3.1.3 配管
圧力タンクC3は、導出経路42とガス供給経路L2との両方に接続されている。ガス供給経路L2は、本開示における第2の加圧ガス供給経路に相当する。
図3に示されるように、ガス供給経路L2は、導出経路42に接続位置CPで接続されることにより、圧力タンクC3に接続されていてもよい。この場合には、導出経路42における接続位置CPと圧力タンクC3との間の位置に、図示しない断熱機構が設けられてもよい。
あるいは、導出経路42とガス供給経路L2とがそれぞれ圧力タンクC3と直接接続されてもよい。この場合には、導出経路42に図示しない断熱機構が設けられる他に、ガス供給経路L2にも図示しない断熱機構が設けられてもよい。
【0031】
ガス供給経路L1にはバルブV1が配置され、ガス供給経路L2にはバルブV2が配置されている。バルブV1は本開示における第1のバルブに相当し、バルブV2は本開示における第2のバルブに相当する。ガス供給経路L1とガス供給経路L2とが加圧ガス配管L0に接続されている。加圧ガス配管L0に配置された圧力調節器62が、ガス供給経路L1とガス供給経路L2との両方のガス圧を調節する。
【0032】
ガス供給経路L1における第2の接続口P2とバルブV1との間の位置に、強制排気経路L3が接続されている。これにより、第2の接続口P2はガス供給経路L1と強制排気経路L3との両方に接続されている。強制排気経路L3には、バルブV3と排気ポンプ63とが配置されている。排気ポンプ63は、第2の接続口P2に第1の凹部51が位置するときに、第1の凹部51の内部のガスを強制的に排気して第1の凹部51の内部の圧力を大気圧より低くできるように構成されている。
【0033】
排気経路L4は、第4の接続口P4に第1の凹部51が位置するときに、第1の凹部51の内部のガスを外部に放出して、第1の凹部51の内部の圧力を大気圧に近づけることができるように構成されている。
【0034】
3.2 動作
3.2.1 ボールバルブ59の動作
図4A図4Dは、第1の実施形態におけるボールバルブ59の動作を示す断面図である。リザーバタンクC1の内部の固体ターゲット物質27aは、導入経路41を通ってボディ部C2の第1の接続口P1の付近に到達する。以下のようにして第1の凹部51が一定の回転方向に回転し、開口56が第1~第4の接続口P1~P4に順番に重ねられることにより、固体ターゲット物質27aが導出経路42に移動する。
【0035】
図4Aに示されるように、開口56が第1の接続口P1に重ねられると、1つの固体ターゲット物質27aが、重力によって第1の凹部51に移動する。第1の凹部51の容積は、1つの固体ターゲット物質27aの体積よりもわずかに大きく、第1の凹部51の内部には1つの固体ターゲット物質27aしか入らないようになっている。第1の凹部51の内部の圧力はリザーバタンクC1の内部の圧力とほぼ同じであり、例えば、大気圧と同程度である。
【0036】
図4Bに示されるように、ボール部50が回転することにより、開口56が第2の接続口P2に重ねられる。第2の接続口P2に接続されたガス供給経路L1は、少なくとも、加圧ガスを第1の凹部51に供給する。これにより、第1の凹部51の内部が昇圧され、圧力タンクC3(図3参照)の内部の圧力に近づけられる。
【0037】
なお、開口56が第2の接続口P2に重ねられたときに、強制排気経路L3(図3参照)により第1の凹部51の内部を強制的に排気して、その後、上述のように加圧ガスを第1の凹部51に供給してもよい。強制排気後に加圧ガスを供給する動作については図5を参照しながら後述する。
【0038】
図4Cに示されるように、ボール部50がさらに回転することにより、開口56が第3の接続口P3に重ねられる。これにより、固体ターゲット物質27aが、重力によって第3の接続口P3から導出経路42に移動し、その後、圧力タンクC3に供給される。圧力タンクC3に供給された固体ターゲット物質27aは圧力タンクC3の内部で溶融し、すでに圧力タンクC3に収容され溶融していたターゲット物質と混ざり合う。ヒーター71によって、圧力タンクC3の内部の温度の低下が抑制される。
【0039】
図4Dに示されるように、ボール部50がさらに回転することにより、開口56が第4の接続口P4に重ねられる。これにより、第1の凹部51の内部の高圧のガスが排気経路L4に放出され、第1の凹部51の内部の圧力が大気圧付近に戻される。
【0040】
図4Aに示されるように、再び、開口56が第1の接続口P1に重ねられると、次の固体ターゲット物質27aが第1の凹部51に収容される。
【0041】
固体ターゲット物質27aが、第1の接続口P1、第3の接続口P3、及び開口56の各々を通過するため、固体ターゲット物質27aの直径は、第1の接続口P1、第3の接続口P3、及び開口56のいずれの幅よりも小さいことが望ましい。本開示において接続口又は開口の「幅」とは、接続口又は開口の両側から接する2本の平行線であって最も間隔の短い平行線間の間隔を意味する。例えば接続口又は開口が楕円形であれば、その幅は楕円の短軸の長さに相当する。
【0042】
また、開口56が第2の接続口P2に重ねられたときに、固体ターゲット物質27aが第2の接続口P2に入ることを防止するため、第2の接続口P2の幅は、固体ターゲット物質27aの直径よりも小さいことが望ましい。第2の接続口P2の幅は、例えば、固体ターゲット物質27aの直径の0.01倍以上、0.9倍以下である。第2の接続口P2は、第1の接続口P1、第3の接続口P3、及び開口56のいずれよりも面積が小さいことが望ましい。
【0043】
3.2.2 固体ターゲット物質27aを補充する動作
図5は、第1の実施形態に係るターゲット供給装置261の動作手順を示す。第1の実施形態においては、以下のようにして、ターゲット供給装置261がノズル72からのターゲット27の出力を開始する。ターゲット物質が消費された後、リザーバタンクC1の内部の固体ターゲット物質27aが、ボールバルブ59を介して圧力タンクC3に補充される。
【0044】
S11において、バルブV1~V3がすべて閉められた状態から動作がスタートする。このとき、第1の凹部51の開口56は第1の接続口P1に重ねられ、1つの固体ターゲット物質27aが第1の凹部51に収容されている。ヒーター71が、圧力タンクC3の内部をターゲット物質の融点より高い所定温度に加熱する。
S12において、ターゲット供給プロセッサ60は、バルブV2を開ける。これにより、ガスボンベG1に収容された加圧ガスが圧力タンクC3に供給される。
S13において、ターゲット供給プロセッサ60は、圧力調節器62を制御することにより、圧力タンクC3の内部を大気圧より高い所定圧力に調整する。これにより、ターゲット供給装置261がノズル72からのターゲット27の出力を開始し、ターゲット物質の消費が開始される。
S15において、ターゲット供給プロセッサ60は、一定時間が経過してターゲット物質が消費されるまで待機し、一定時間が経過したら次に進む。
【0045】
S21において、ターゲット供給プロセッサ60は、開口56を第2の接続口P2に重ねる。
S22において、ターゲット供給プロセッサ60は、排気ポンプ63を起動し、その後、バルブV3を開ける。第1の凹部51に収容されているガスは、これにより外部に排気される。
S23において、ターゲット供給プロセッサ60は、バルブV3を閉め、その後、排気ポンプ63を停止させる。
【0046】
S31において、ターゲット供給プロセッサ60は、バルブV2を閉める。
その後、S32において、ターゲット供給プロセッサ60は、バルブV1を開ける。バルブV1を開けることにより、第1の凹部51に加圧ガスが供給される。第1の凹部51の内部の圧力は、圧力タンクC3の内部の圧力とほぼ同程度となる。
S33において、ターゲット供給プロセッサ60は、バルブV2を開ける。
【0047】
S34において、ターゲット供給プロセッサ60は、開口56を第3の接続口P3に重ねる。これにより、第1の凹部51の内部の固体ターゲット物質27aが圧力タンクC3に供給される。第1の凹部51の内部には、S32において加圧ガスが供給されているので、開口56が第3の接続口P3に重ねられたときの圧力タンクC3の内部の圧力変動は小さくて済む。わずかに圧力変動が生じたとしても、バルブV2を介して加圧ガスが供給されて所望の圧力に調整される。
S35において、ターゲット供給プロセッサ60は、バルブV1を閉める。
【0048】
S41において、ターゲット供給プロセッサ60は、開口56を第4の接続口P4に重ねる。これにより、第1の凹部51の内部の圧力は大気圧と同程度となる。
【0049】
S42において、ターゲット供給プロセッサ60は、開口56を第1の接続口P1に重ねる。これにより、次の固体ターゲット物質27aが第1の凹部51に収容される。
S43において、ターゲット供給プロセッサ60は、S21の処理に戻る。
【0050】
3.3 変形例
3.3.1 複数の固体ターゲット物質27aを収容する第1の凹部54
図6は、第1の変形例におけるボールバルブ59aの断面図である。ボールバルブ59aに含まれるボール部50aは、第1の凹部54を有する。図4A図4Dに示される例では第1の凹部51が1つの固体ターゲット物質27aを収容するのに対し、図6に示される第1の変形例では第1の凹部54が複数の固体ターゲット物質27aを収容する。
【0051】
図4A図4D及び図6に示されるように、第1の凹部51又は54はN個の固体ターゲット物質27aを収容可能でよく、Nは1以上の整数でよい。ボール部50又は50aは、第1の凹部51又は54を1回転させる毎に、N個の固体ターゲット物質27aを第3の接続口P3に供給する。
【0052】
3.3.2 第2の凹部52を有するボール部50b
図7は、第2の変形例におけるボールバルブ59bの断面図である。ボールバルブ59bに含まれるボール部50bは、第1の凹部51及び第2の凹部52を有する。第1の凹部51及び第2の凹部52は、回転軸55を挟んで互いに反対側に位置する。ボール部50bが回転することにより、第1の凹部51及び第2の凹部52が回転軸55の周りに同時に回転する。第1の接続口P1から第1の凹部51及び第2の凹部52の一方に固体ターゲット物質27aが入るのとほぼ同時に、第1の凹部51及び第2の凹部52の他方から、第3の接続口P3に別の固体ターゲット物質27aが供給される。
【0053】
図4A図4Dに示される例では、ボール部50が1回転する毎に1つの固体ターゲット物質27aが第3の接続口P3に供給されるのに対し、図7に示される第2の変形例では、ボール部50bが半回転する毎に1つの固体ターゲット物質27aが第3の接続口P3に供給される。すなわち、ボール部50bが1回転する毎に、2つの固体ターゲット物質27aが第3の接続口P3に供給される。
【0054】
第2の変形例において、第1の凹部51及び第2の凹部52の各々に、1つの固体ターゲット物質27aを収容可能としてもよいし、複数の固体ターゲット物質27aを収容可能としてもよい。すなわち、第1の凹部51及び第2の凹部52の各々にN個の固体ターゲット物質27aを収容可能とし、Nは1であってもよいし、2以上の整数であってもよい。第1の凹部51及び第2の凹部52の各々にN個の固体ターゲット物質27aを収容可能とした場合、ボール部50bが1回転する毎に、N×2個の固体ターゲット物質27aが第3の接続口P3に供給される。
【0055】
3.3.3 第2~第Mの凹部を有するボール部50c
図8は、第3の変形例におけるボールバルブ59cの断面図である。ボールバルブ59cに含まれるボール部50cは、第1~第Mの凹部51~5Mを有する。第1~第Mの凹部51~5Mは、回転軸55を中心とする円周上において均等な間隔をあけて配置されている。ボール部50cが回転することにより、第1~第Mの凹部51~5Mが回転軸55の周りに同時に回転する。Mは3以上の整数である。
【0056】
図8に示される第3の変形例では、ボール部50cが1/M回転する毎に、1つの固体ターゲット物質27aが第3の接続口P3に供給される。すなわち、ボール部50cが1回転する毎に、M個の固体ターゲット物質27aが第3の接続口P3に供給される。
【0057】
第3の変形例において、第1~第Mの凹部51~5Mの各々に、1つの固体ターゲット物質27aを収容可能としてもよいし、複数の固体ターゲット物質27aを収容可能としてもよい。すなわち、第1~第Mの凹部51~5Mの各々にN個の固体ターゲット物質27aを収容可能とし、Nは1であってもよいし、2以上の整数であってもよい。第1~第Mの凹部51~5Mの各々にN個の固体ターゲット物質27aを収容可能とした場合、ボール部50cが1回転する毎に、N×M個の固体ターゲット物質27aが第3の接続口P3に供給される。
【0058】
3.4 作用
第1の実施形態によれば、ほぼ大気圧であるリザーバタンクC1の内部に収容されている固体ターゲット物質27aを、高圧の圧力タンクC3の内部に供給できる。圧力タンクC3の内部のターゲット物質が消費されても、圧力タンクC3を交換せずに固体ターゲット物質27aを補充できるので、EUV光生成装置1の停止時間を低減することができる。
【0059】
(1)第1の実施形態によれば、ターゲット供給装置261は、リザーバタンクC1と、ボディ部C2と、ボール部50と、圧力タンクC3と、ノズル72と、を備える。リザーバタンクC1は、固体ターゲット物質27aを収容する。ボディ部C2は、リザーバタンクC1に接続された第1の接続口P1と、ガス供給経路L1に接続された第2の接続口P2と、導出経路42に接続された第3の接続口P3と、を備える。ボール部50は、リザーバタンクC1から供給される固体ターゲット物質27aを収容する第1の凹部51を備え、ボディ部C2の内部で第1の凹部51を移動させることにより、第1の凹部51の開口56を、第1の接続口P1、第2の接続口P2、及び第3の接続口P3に順番に重ねる。圧力タンクC3は、ガス供給経路L2と導出経路42との両方に接続され、第3の接続口P3から供給される固体ターゲット物質27aを溶融させる。ノズル72は、圧力タンクC3から供給される溶融したターゲット物質を出力する。
【0060】
ガス供給経路L1に接続された第2の接続口P2に開口56を重ねることにより、第1の凹部51に加圧ガスを供給することができる。これにより、導出経路42に接続された第3の接続口P3に開口56を重ねたときの圧力タンクC3の内部の圧力変動を抑制し得る。
ノズル72から出力されたターゲット27の移動速度は、圧力タンクC3の内部とチャンバ2の内部との圧力差に依存する。圧力タンクC3の内部の圧力変動を抑制することにより、ターゲット27の移動速度の変化が抑制される。ターゲット27の移動速度の変化が抑制されることにより、パルスレーザ光33(図1参照)を照射するときのターゲット27の位置のばらつきが低減され、パルスレーザ光33をターゲット27に正確に照射し得る。従って、EUV光の品質が安定化し得る。
【0061】
(2)第1の実施形態によれば、第2の接続口P2は、強制排気経路L3とガス供給経路L1との両方に接続されている。
これにより、第1の凹部51を強制排気した後で、第1の凹部51に加圧ガスを供給することができる。従って、リザーバタンクC1から第1の凹部51に流入したガス成分が、第1の凹部51から圧力タンクC3に流入することが抑制される。この場合、リザーバタンクC1に用いられるパージガスの選択肢が広がる。すなわち、パージガスの一部が圧力タンクC3に流れることを考慮してパージガスとして希ガスを選択してもよいし、圧力タンクC3に流れるパージガスの量は十分に小さいとみなして、パージガスとして乾燥空気を選択してもよい。乾燥空気に含まれる酸素ガスは、圧力タンクC3の内部の液体のスズを酸化させる可能性があるが、第1の凹部51を強制排気することにより、圧力タンクC3の内部の液体のスズの酸化は抑制される。
【0062】
(3)第1の実施形態によれば、第2の接続口P2の幅は、リザーバタンクC1から供給される固体ターゲット物質27aの直径よりも小さい。
これにより、固体ターゲット物質27aが第2の接続口P2を通過することが抑制される。
【0063】
(4)第1の実施形態によれば、第2の接続口P2は、第1の接続口P1、第3の接続口P3、及び開口56のいずれよりも面積が小さい。
これにより、第1の接続口P1、第3の接続口P3、及び開口56を通過可能な固体ターゲット物質27aが、第2の接続口P2を通過することが抑制される。
【0064】
(5)第1の実施形態によれば、ガス供給経路L2は、導出経路42に接続されることにより、圧力タンクC3に接続されている。
この場合、ガス供給経路L2と導出経路42との接続位置CPと、高温の圧力タンクC3との間に、図示しない断熱機構を設ければ、ガス供給経路L2には断熱機構を設けなくてもよい。あるいは、ガス供給経路L2として、断熱性能以外の性能を重視した材料を選択することができる。
【0065】
(6)第1の実施形態によれば、ターゲット供給装置261は、加圧ガス配管L0と、バルブV1及びV2と、ターゲット供給プロセッサ60と、をさらに備える。加圧ガス配管L0は、ガス供給経路L1とガス供給経路L2とに加圧ガスを供給する共通の加圧ガス配管L0である。バルブV1はガス供給経路L1に配置され、バルブV2はガス供給経路L2に配置されている。ターゲット供給プロセッサ60は、バルブV1、バルブV2、及びボール部50を以下のように制御する。すなわち、開口56が第2の接続口P2に重ねられ(S21)、バルブV2が閉められた状態で(S31)、バルブV1が開けられて(S32)、第1の凹部51に加圧ガスが供給される。その後、開口56が第3の接続口P3に重ねられ(S34)、第1の凹部51から圧力タンクC3に固体ターゲット物質27aが供給される。
【0066】
これによれば、ガス供給経路L1とガス供給経路L2とに共通の加圧ガス配管L0が接続されているので、第1の凹部51と圧力タンクC3との圧力の差を小さくすることができる。従って、S34において第3の接続口P3に開口56を重ねたときの圧力タンクC3の内部の圧力変動を抑制し得る。
S32においてバルブV1を開けるときに、仮にバルブV2が開いていたとすると、圧力タンクC3の内部のガスがバルブV2及びバルブV1を介して、大気圧以下である第1の凹部51に流れ込む可能性がある。その場合には圧力タンクC3の内部の圧力が変動し、ターゲット27の移動速度が変化してしまう可能性がある。S32の前に、S31においてバルブV2を閉めておくことにより、バルブV1を開けたときの圧力タンクC3の内部の圧力変動を抑制し得る。
【0067】
(7)第1の実施形態によれば、ボディ部C2は、排気経路L4に接続された第4の接続口P4をさらに備える。ボール部50は、開口56を、第1の接続口P1、第2の接続口P2、第3の接続口P3、及び第4の接続口P4に順番に重ねる。
これによれば、S41において開口56が第4の接続口P4に重ねられたときに第1の凹部51が排気される。この場合、S42において開口56が第1の接続口P1に重ねられたときに、高圧のガスが第1の接続口P1からリザーバタンクC1に向けて噴出することが抑制される。
【0068】
(8)第1の実施形態によれば、ボディ部C2の内部の壁面は、円形の断面を有し、ボール部50は、上記の断面に垂直な回転軸55の周りに第1の凹部51を回転させる。
ボール部50による第1の凹部51の移動を回転式にすることにより、第1の凹部51を移動させるための機構を簡素化することができる。
【0069】
(9)第1の実施形態によれば、第1の接続口P1、第2の接続口P2、及び第3の接続口P3は、上記の断面の円周に沿って順番に配置され、ボール部50は、第1の凹部51を一定の回転方向に回転させる。
ボール部50を一定の回転方向に回転させることにより、第1の凹部51を移動させる動作を簡素化することができる。
【0070】
(10)第1の実施形態によれば、第1の凹部51又は54は、N個の固体ターゲット物質27aを収容可能であり、Nは1以上の整数である。ボール部50又は50aは、第1の凹部51又は54を1回転させる毎にN個の固体ターゲット物質27aを第3の接続口P3に供給する。
これによれば、ボール部50又は50aの回転を制御することにより、固体ターゲット物質27aの時間あたりの供給量を制御することができる。Nを2以上の整数としたボール部50aを用いることにより、ボール部50aの1回転あたりの固体ターゲット物質27aの供給量を増加させることができる。言い換えれば、固体ターゲット物質27aの供給量あたりのボール部50aの回転の回数を減らせるので、ボール部50aの寿命を向上することができる。
【0071】
(11)第1の実施形態によれば、ボール部50bは、リザーバタンクC1から供給される固体ターゲット物質27aを収容して第1の凹部51とともに回転軸55の周りに回転する第2の凹部52をさらに備える。第1及び第2の凹部51及び52の各々は、N個の固体ターゲット物質27aを収容可能であり、Nは1以上の整数である。ボール部50bは、第1及び第2の凹部51及び52を1回転させる毎にN×2個の固体ターゲット物質27aを第3の接続口P3に供給する。
第1及び第2の凹部51及び52を備えることにより、ボール部50bの1回転あたりの固体ターゲット物質27aの供給量を増加させ、ボール部50bの寿命を向上することができる。
【0072】
(12)第1の実施形態によれば、ボール部50cは、リザーバタンクC1から供給される固体ターゲット物質27aを収容して第1の凹部51とともに回転軸55の周りに回転する第2~第Mの凹部52~5Mをさらに備え、Mは3以上の整数である。第1~第Mの凹部51~5Mの各々は、N個の固体ターゲット物質27aを収容可能であり、Nは1以上の整数である。ボール部50cは、第1~第Mの凹部51~5Mを1回転させる毎にN×M個の固体ターゲット物質27aを第3の接続口P3に供給する。
第1~第Mの凹部51~5Mを備えることにより、ボール部50cの1回転あたりの固体ターゲット物質27aの供給量を増加させ、ボール部50cの寿命を向上することができる。
【0073】
4.強制排気のための第5の接続口P5を備えたボディ部C4
4.1 構成
図9は、第2の実施形態に係るターゲット供給装置262の構成を概略的に示す。第1の実施形態においては、ガス供給経路L1だけでなく強制排気経路L3も第2の接続口P2に接続されているのに対し、第2の実施形態においては、強制排気経路L3が第5の接続口P5に接続されている。
【0074】
図9に示されるボールバルブ59dのボディ部C4は、ボール部50の回転軸55を中心とする円周上に、第1~第4の接続口P1~P4の他に第5の接続口P5を備えている。第5の接続口P5は、第1の接続口P1と第2の接続口P2との間に位置する。ボディ部C4の内部の壁面であって第5の接続口P5の周囲には、ボール部50の表面と接触する図示しないシール部が形成されている。ボディ部C4は本開示における第2の容器に相当する。
【0075】
また、第5の接続口P5の幅は、固体ターゲット物質27aの直径よりも小さいことが望ましい。第5の接続口P5の幅は、例えば、固体ターゲット物質27aの直径の0.01倍以上、0.9倍以下である。第5の接続口P5は、第1の接続口P1、第3の接続口P3、及び開口56のいずれよりも面積が小さいことが望ましい。
【0076】
ガス供給経路L1は、第2の接続口P2に接続されている。強制排気経路L3は、ガス供給経路L1に接続されることなく、第5の接続口P5に接続されている。
ガス供給経路L1、ガス供給経路L2、及び強制排気経路L3には、それぞれバルブV1、バルブV2、及びバルブV3が設けられていなくてもよい。
他の点については、第2の実施形態の構成は第1の実施形態の構成と同様である。
【0077】
4.2 動作
ボール部50が回転軸55の周りに回転することにより、第1の凹部51の開口56が、第1の接続口P1、第5の接続口P5、第2の接続口P2、第3の接続口P3、及び第4の接続口P4に、この順番で重ねられる。
【0078】
開口56が第1の接続口P1に重ねられることによって固体ターゲット物質27aが第1の凹部51に移動した後、開口56が第5の接続口P5に重ねられる。排気ポンプ63は、開口56が第5の接続口P5に重ねられる前に起動されていてもよく、その場合は開口56が第5の接続口P5に重ねられると短時間で第1の凹部51の内部が大気圧未満の圧力まで排気される。
【0079】
次に、開口56が第2の接続口P2に重ねられる。ガス供給経路L1にはバルブV1(図3参照)が設けられていなくてもよく、あるいは、バルブV1が設けられている場合に、バルブV1は開口56が第2の接続口P2に重ねられる前に開かれていてもよい。それらの場合には、開口56が第2の接続口P2に重ねられると短時間でガス供給経路L1から加圧ガスが第1の凹部51に供給される。
その後、開口56が第3の接続口P3及び第4の接続口P4に順番に重ねられるときの動作は第1の実施形態と同様である。
【0080】
4.3 作用
(13)第2の実施形態によれば、ボディ部C4は、第1の接続口P1、第2の接続口P2、及び第3の接続口P3の他に、強制排気経路L3に接続された第5の接続口P5を備える。ボール部50は、開口56を、第1の接続口P1、第5の接続口P5、第2の接続口P2、及び第3の接続口P3に順番に重ねる。
これによれば、第5の接続口P5を強制排気専用の接続口とし、第2の接続口P2を加圧専用の接続口としているので、バルブV1及びV3の開閉の切り替えをしなくても強制排気と加圧とを順番に実行することができる。
【0081】
但し、ガス供給経路L1及びガス供給経路L2に、それぞれバルブV1及びバルブV2(図3参照)が設けられていても構わない。バルブV2が閉められた状態でバルブV1が開けられるようにすれば、第1の凹部51に加圧ガスを供給するときに、圧力タンクC3の内部のガスが第1の凹部51に流れ込むことが抑制され、圧力タンクC3の内部の圧力変動が抑制され得る。
あるいは、バルブV1及びV2を設ける代わりに、ガス供給経路L1又はガス供給経路L2に、オリフィス又はベンチュリ管などの図示しない絞り部が設けられてもよい。絞り部が設けられていれば、第1の凹部51に加圧ガスを供給するときに、圧力タンクC3の内部のガスが第1の凹部51に急激に流れ込むことが抑制され、圧力タンクC3の内部の圧力変動が抑制され得る。
また、強制排気経路L3におけるボディ部C4と排気ポンプ63との間の位置に、バルブV3が設けられてもよい。
【0082】
(14)第2の実施形態によれば、第5の接続口P5は、第1の接続口P1、第3の接続口P3、及び開口56のいずれよりも面積が小さい。
これにより、第1の接続口P1、第3の接続口P3、及び開口56を通過可能な固体ターゲット物質27aが、第5の接続口P5に入ることが抑制される。
他の点については、第2の実施形態は第1の実施形態と同様である。
【0083】
5.圧力タンクC3の液面を計測して固体ターゲット物質27aを補充するターゲット供給装置263
以下に説明する第3の実施形態は、圧力タンクC3内のターゲット物質の液面が検出位置より低くなった後、一定時間が経過したら固体ターゲット物質27aを補充する。
【0084】
5.1 構成
図10は、第3の実施形態に係るターゲット供給装置263の構成を概略的に示す。
ターゲット供給装置263は、圧力タンクC3の内部のターゲット物質の量を検出する液面センサ73を含む。液面センサ73は、例えば、ターゲット物質との接触の有無を検出するセンサでもよい。ターゲット物質との接触の有無は、例えば、液面センサ73の下端と、圧力タンクC3の内部のターゲット物質と接触する導電性部材とが電気的に導通するか否かによって検出される。液面センサ73の下端がターゲット物質と接触していたら、ターゲット物質の液面が検出位置以上の高さであること、すなわち、ターゲット物質の量が第1の値以上であることが検出できる。液面センサ73の下端がターゲット物質と接触していなかったら、ターゲット物質の液面が検出位置より低いこと、すなわち、ターゲット物質の量が第1の値より少ないことが検出できる。液面センサ73は、本開示におけるセンサの一例である。第1の値は、圧力タンクC3が収容するターゲット物質の量の上限に近い値である。但し、第1の値よりもわずかに多いターゲット物質が圧力タンクC3に収容されていても、ターゲット供給装置263の動作には問題ないものとする。
【0085】
他の点については、第3の実施形態の構成は第1の実施形態の構成と同様である。
あるいは、第3の実施形態において、第2の実施形態と同様に、強制排気のための第5の接続口P5を備えたボディ部C4の構成が採用されてもよい。
【0086】
5.2 動作
図11は、第3の実施形態に係るターゲット供給装置263の動作手順を示す。S11からS13まで、及びS21からS42までの処理は、第1の実施形態において対応する処理と同様である。第3の実施形態においては、S15の代わりに、S15aの処理が行われ、S43の代わりに、S43a及びS44aの処理が行われる。
【0087】
S15aにおいて、まず、ターゲット供給プロセッサ60は、圧力タンクC3内の液面が液面センサ73の検出位置よりも低くなったか否かを監視する。さらに、ターゲット供給プロセッサ60は、液面が液面センサ73の検出位置よりも低くなった後、一定時間が経過してターゲット物質が消費されるまで待機する。S15aにおいては、第1の凹部51の移動が抑制され、固体ターゲット物質27aの補充が抑制される。液面が検出位置よりも低くなった後、一定時間が経過したら、次に進む。
S21~S42の処理により、リザーバタンクC1の内部の固体ターゲット物質27aがボールバルブ59を介して圧力タンクC3に補充される。
【0088】
S43aにおいて、圧力タンクC3内の液面が検出位置以上となるまで固体ターゲット物質27aが補充されたか否かを判定する。液面が検出位置以上でない場合、S21に戻り、固体ターゲット物質27aをさらに補充する。
S44aにおいて、液面が検出位置以上となった場合には、S15aに戻り、ターゲット物質が消費されるまで第1の凹部51の移動を抑制することにより、固体ターゲット物質27aの補充を抑制する。
【0089】
5.3 作用
(15)第3の実施形態によれば、ターゲット供給装置263は、ターゲット供給プロセッサ60を備える他、圧力タンクC3の内部のターゲット物質の量を検出する液面センサ73をさらに備える。ターゲット供給プロセッサ60は、圧力タンクC3の内部のターゲット物質の量が第1の値以上であることを液面センサ73の出力が示す場合に、第1の凹部51の移動を抑制する。
これによれば、圧力タンクC3の内部のターゲット物質の量が第1の値以上である場合に、固体ターゲット物質27aの補充を抑制することにより、圧力タンクC3からターゲット物質があふれてしまうことが抑制される。
【0090】
(16)第3の実施形態によれば、ターゲット供給プロセッサ60は、圧力タンクC3の内部のターゲット物質の量が第1の値より小さくなって一定時間が経過した場合に、第1の凹部51の移動を開始する。
【0091】
ターゲット物質の量が第1の値より小さい第2の値にまで減ったことを図示しない液面センサで直接計測して、固体ターゲット物質27aの補充を開始するタイミングを判定する場合には、以下の問題がある。固体ターゲット物質27aは高純度のスズで構成されているが、その表面に酸化スズが発生していることがある。この固体ターゲット物質27aが圧力タンクC3の内部で溶融すると、溶融したスズの液面に、酸化スズを含む導電性の膜が形成されることがある。そのような膜は、液面センサの下端に固着することがあり、つららのように成長して圧力タンクC3の底にまで達する場合があり得る。この場合、液面センサと圧力タンクC3の底とが電気的に導通し、液面センサの機能が不安定になる。図示しない液面センサの下端から圧力タンクC3の底までの距離が短いと、液面センサを長期に安定して機能させることが困難な場合がある。
【0092】
これに対し、ターゲット物質の量が第1の値以上か否かを検出する液面センサ73は、圧力タンクC3の底までの距離が長い。このため、仮に液面センサ73の下端に酸化スズを含む導電性の膜が固着しても、液面センサ73は長期に安定して機能し得る。そこで、第3の実施形態においては液面センサ73が用いられる。すなわち、圧力タンクC3の内部のターゲット物質の量が第1の値より小さくなった後、一定時間が経過した場合には、その一定時間の長さに応じてターゲット物質が消費されたと推定できる。これに基づいて固体ターゲット物質27aの補充を開始するタイミングを判定すれば、ターゲット物質の量が減ったことを図示しない液面センサで直接計測する必要性を軽減できる。
【0093】
他の点については、第3の実施形態の動作及び作用は第1の実施形態の動作及び作用と同様である。あるいは、第3の実施形態において、強制排気のための第5の接続口P5を備えるボディ部C4の構成が採用された場合には、第3の実施形態は第2の実施形態と同様の動作及び作用を有してもよい。
【0094】
6.出力されたターゲット物質の量を計測して固体ターゲット物質27aを補充するターゲット供給装置264
以下に説明する第4の実施形態は、ノズル72から出力されたターゲット物質と同じ量の固体ターゲット物質27aを補充するように構成されている。
【0095】
6.1 構成
図12は、第4の実施形態に係るターゲット供給装置264の構成を概略的に示す。
ターゲット供給装置264は、ノズル72から出力されたターゲット27の数をカウントするためのターゲットセンサ77を含む。ターゲットセンサ77は、光源76とともに用いられる。
【0096】
光源76は、ターゲット27の軌道に向けて照明光76aを出力する。ターゲット27は、照明光76aの光路を通過するときに、照明光76aの一部を遮り、又は照明光76aの一部を反射する。
【0097】
ターゲットセンサ77は、例えば、図示しないイメージセンサと、ターゲット27の軌道に位置する物体の像をイメージセンサの受光面に結像する図示しない光学系と、を含む。ターゲットセンサ77は、照明光76aのうちのターゲット27によって遮られた部分以外の光、又は、ターゲット27によって反射された光の一部を受光し、その光の強度分布の変化を検出することにより、ターゲット27を検出する。
【0098】
ターゲット供給プロセッサ60は、ターゲットセンサ77から出力された信号に基づいて、照明光76aの光路を通過したターゲット27の数をカウントする。ノズル72から出力されたターゲット物質の量は、ターゲット27の数と、1つのターゲット27の質量とを乗算したものでよい。これにより、ターゲット供給プロセッサ60は、ノズル72から出力されたターゲット物質の量を計測することができる。
【0099】
他の点については、第4の実施形態の構成は第1の実施形態の構成と同様である。
あるいは、第4の実施形態において、第2の実施形態と同様に、強制排気のための第5の接続口P5を備えたボディ部C4の構成が採用されてもよい。
【0100】
6.2 動作
図13は、第4の実施形態に係るターゲット供給装置264の動作手順を示す。S11からS13まで、及びS15からS42までの処理は、第1の実施形態において対応する処理と同様である。第4の実施形態においては、S13とS15との間において、S14bの処理が行われ、S43の代わりに、S43b及びS44bの処理が行われる。
【0101】
S14bにおいて、ターゲット供給プロセッサ60は、ノズル72から出力されたターゲット物質の量の計測を開始する。
その後、S15において、ターゲット供給プロセッサ60は、一定時間が経過するまでノズル72から出力されたターゲット物質の量の計測を継続する。すなわち、第1の凹部51の移動が抑制され、固体ターゲット物質27aの補充が抑制される。一定時間が経過したら次に進む。
S21~S42の処理により、リザーバタンクC1の内部の固体ターゲット物質27aがボールバルブ59を介して圧力タンクC3に補充される。
【0102】
S43bにおいて、圧力タンクC3に補充された固体ターゲット物質27aの量が、ノズル72から出力されたターゲット物質の量以上となったか否かを判定する。圧力タンクC3に補充された固体ターゲット物質27aの量は、固体ターゲット物質27aの数と、1つの固体ターゲット物質27aの質量とを乗算したものでよい。補充された固体ターゲット物質27aの量が、出力されたターゲット物質の量以上でない場合、S21に戻り、固体ターゲット物質27aをさらに補充する。
S44bにおいて、補充された固体ターゲット物質27aの量が、出力されたターゲット物質の量以上となった場合には、S14bに戻り、ノズル72から出力されたターゲット物質の量の計測を再度開始する。
【0103】
6.3 作用
(17)第4の実施形態によれば、ターゲット供給装置264は、ターゲット供給プロセッサ60を備える他、ノズル72から出力されたターゲット物質の量を計測するターゲットセンサ77をさらに備える。ターゲット供給プロセッサ60は、第3の接続口P3から供給された固体ターゲット物質27aの量が、ノズル72から出力されたターゲット物質の量以上となった場合に、第1の凹部51の移動を抑制する。
これによれば、ノズル72から出力されたターゲット物質の量以上となるまで、圧力タンクC3に固体ターゲット物質27aを補充するので、液面センサ73(図10参照)を設けなくても、圧力タンクC3からターゲット物質があふれてしまうことが抑制される。
【0104】
(18)第4の実施形態によれば、ターゲット供給プロセッサ60は、第3の接続口P3から供給された固体ターゲット物質27aの量が、ノズル72から出力されたターゲット物質の量以上となって一定時間が経過した場合に、第1の凹部51の移動を開始する。
これによれば、ターゲット物質の量の下限を検出する図示しない液面センサを設けなくても、圧力タンクC3の内部のターゲット物質がなくなる前に固体ターゲット物質27aを補充することができる。
【0105】
他の点については、第4の実施形態の動作及び作用は第1の実施形態の動作及び作用と同様である。あるいは、第4の実施形態において、強制排気のための第5の接続口P5を備えたボディ部C4の構成が採用された場合には、第4の実施形態は第2の実施形態と同様の動作及び作用を有してもよい。
【0106】
7.その他
図14は、EUV光生成装置1に接続された露光装置6の構成を概略的に示す。
図14において、露光装置6は、マスク照射部68とワークピース照射部69とを含む。マスク照射部68は、EUV光生成装置1から入射したEUV光によって、反射光学系を介してマスクテーブルMTのマスクパターンを照明する。ワークピース照射部69は、マスクテーブルMTによって反射されたEUV光を、反射光学系を介してワークピーステーブルWT上に配置された図示しないワークピース上に結像させる。ワークピースはフォトレジストが塗布された半導体ウエハ等の感光基板である。露光装置6は、マスクテーブルMTとワークピーステーブルWTとを同期して平行移動させることにより、マスクパターンを反映したEUV光をワークピースに露光する。以上のような露光工程によって半導体ウエハにデバイスパターンを転写することで電子デバイスを製造することができる。
【0107】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。従って、特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかである。また、本開示の実施形態を組み合わせて使用することも当業者には明らかである。
【0108】
本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される用語は、明記が無い限り「限定的でない」用語と解釈されるべきである。たとえば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、不定冠詞「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。また、「A、B及びCの少なくとも1つ」という用語は、「A」「B」「C」「A+B」「A+C」「B+C」又は「A+B+C」と解釈されるべきである。さらに、それらと「A」「B」「C」以外のものとの組み合わせも含むと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14