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特開2022-6567メタクリル系樹脂組成物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006567
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】メタクリル系樹脂組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/10 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
C08L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020108858
(22)【出願日】2020-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧華 洋太
(72)【発明者】
【氏名】野本 祐作
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BG04X
4J002BG05W
4J002GB00
4J002GL00
4J002GP00
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】アクリル系架橋ゴム粒子をメタクリル系重合体に分散させることにより表面欠陥が低減されたメタクリル系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】メタクリル系重合体(A)10~90質量%およびアクリル系架橋ゴム粒子(B)90~10質量%を含有し、メタクリル系重合体(A)の200℃での溶融粘度(ηA)に対するアクリル系架橋ゴム粒子(B)の240℃での溶融粘度(ηB)の溶融粘度比(ηB/ηA)が、0.1~5であるメタクリル系樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクリル系重合体(A)10~90質量%およびアクリル系架橋ゴム粒子(B)90~10質量%を含有し、メタクリル系重合体(A)の200℃での溶融粘度(ηA)に対するアクリル系架橋ゴム粒子(B)の240℃での溶融粘度(ηB)の溶融粘度比(ηB/ηA)が、0.1~5であるメタクリル系樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法であって、前記メタクリル系重合体(A)および前記アクリル系架橋ゴム粒子(B)を溶融混練する工程を含む、方法。
【請求項3】
メタクリル系重合体(A)が、分散用粒子(A1)およびメタクリル系重合体(A2)を含有し、メタクリル系重合体(A2)の200℃での溶融粘度(ηA2)が1000~30000Pa・sである、請求項2に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
アクリル系架橋ゴム粒子(B)および分散用粒子(A1)を混合し、240℃での溶融粘度(ηB2)が100~10000Pa・sである凝固粉体(B2)を得る工程;
得られた凝固粉体(B2)およびメタクリル系重合体(A2)を溶融混練する工程;
を含み、前記ηA2に対する前記ηB2の溶融粘度比(ηB2/ηA2)が、0.005~0.12である請求項3に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
アクリル系架橋ゴム粒子(B)と分散用粒子(A1)を構成要素とする凝固粉体(B2)とメタクリル系重合体(A2)を含み、分散性粒子(A1)とメタクリル系重合体(A2)の合計を10~90質量%、アクリル系架橋ゴム粒子(B)を90~10質量%各々含有し、メタクリル系重合体(A2)の200℃での溶融粘度(ηA)に対するアクリル系架橋ゴム粒子(B)の240℃での溶融粘度(ηB)の溶融粘度比(ηB/ηA)が、0.1~5である、メタクリル系樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1又は5に記載のメタクリル系樹脂組成物を含む成形品。
【請求項7】
フィルムである、請求項6に記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタクリル系樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メタクリル系樹脂は、透明性等の光学特性および耐候性に優れ、その成形体は美麗な外観を有していることなどから、従来から、照明器具、看板等の表示部材、ディスプレイ部品等の光学部材、インテリア部材、建築部材、電子・電気部材、医療用部材をはじめとする様々な用途で使用されている。特に、アクリル系架橋ゴム粒子を含有するアクリル樹脂は耐衝撃性に優れ、広く利用されている。
【0003】
上記のアクリル樹脂は、架橋ゴム粒子の分散不良により、シート状に成形した場合耐衝撃性が損なわれる、あるいは表面に欠陥が発生し外観が悪化するという問題がある。特許文献1には、樹脂の分散性が良好で、外観に優れた成形体を得ることができるアクリル樹脂ペレットの製造方法が開示されている。しかしながら、アクリル系架橋ゴム粒子と基材となるメタクリル系重合体との適切な組み合わせは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-156511
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、アクリル系架橋ゴム粒子をメタクリル系重合体に分散させることにより表面欠陥が低減されたメタクリル系樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するため、以下の条件を満たすメタクリル系重合体(A)とアクリル系架橋ゴム粒子(B)を含有する樹脂組成物及びその製造方法を提供する。
[1]
メタクリル系重合体(A)10~90質量%およびアクリル系架橋ゴム粒子(B)90~10質量%を含有し、メタクリル系重合体(A)の200℃での溶融粘度(ηA)に対するアクリル系架橋ゴム粒子(B)の240℃での溶融粘度(ηB)の溶融粘度比(ηB/ηA)が、0.1~5であるメタクリル系樹脂組成物。
[2]
[1]に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法であって、前記メタクリル系重合体(A)および前記アクリル系架橋ゴム粒子(B)を溶融混練する工程を含む、方法。
[3]
メタクリル系重合体(A)が、分散用粒子(A1)およびメタクリル系重合体(A2)を含有し、メタクリル系重合体(A2)の200℃での溶融粘度(ηA2)が1000~30000Pa・sである、[2]に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法。
[4]
アクリル系架橋ゴム粒子(B)および分散用粒子(A1)を混合し、240℃での溶融粘度(ηB2)が100~10000Pa・sである凝固粉体(B2)を得る工程;
得られた凝固粉体(B2)およびメタクリル系重合体(A2)を溶融混練する工程;
を含み、前記ηA2に対する前記ηB2の溶融粘度比(ηB2/ηA2)が、0.005~0.12である[3]に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法。
[5]
アクリル系架橋ゴム粒子(B)と分散用粒子(A1)を構成要素とする凝固粉体(B2)とメタクリル系重合体(A2)を含み、分散性粒子(A1)とメタクリル系重合体(A2)の合計を10~90質量%、アクリル系架橋ゴム粒子(B)を90~10質量%各々含有し、メタクリル系重合体(A2)の200℃での溶融粘度(ηA)に対するアクリル系架橋ゴム粒子(B)の240℃での溶融粘度(ηB)の溶融粘度比(ηB/ηA)が、0.1~5である、メタクリル系樹脂組成物。
[6]
[1]又は[5]に記載のメタクリル系樹脂組成物を含む成形品。
[7]
フィルムである、[6]に記載の成形品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アクリル系架橋ゴム粒子(B)の分散性が良好で、耐衝撃性、外観に優れたメタクリル系樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、メタクリル系重合体(A)とアクリル系架橋ゴム粒子(B)とを含有する。メタクリル系樹脂組成物中のメタクリル系重合体(A)の含有量は10~90質量%であり、15~85質量%であることが好ましい。メタクリル系樹脂組成物中のアクリル系架橋ゴム粒子(B)の含有量は90~10質量%であり、85~15質量%であることが好ましい。
【0009】
メタクリル系重合体(A)は、メタクリル酸エステルに由来する構造単位を含む樹脂である。メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」と称する)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸1-メチルシクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロオクチル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-8-イル(以下、「TCDMA」と称する)などのメタクリル酸シクロアルキルエステル;メタクリル酸フェニルなどのメタクリル酸アリールエステル;メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸アラルキルエステル;などが挙げられ、入手性の観点から、MMA、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、およびメタクリル酸tert-ブチルが好ましく、MMAが最も好ましい。メタクリル樹脂におけるメタクリル酸エステルに由来する構造単位の含有量は90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましく、メタクリル酸エステルに由来する構造単位のみであってもよい。
【0010】
また、上記メタクリル系重合体(A)は、メタクリル酸エステル以外の他の単量体に由来する構造単位を含んでいてもよい。かかる他の単量体としては、アクリル酸メチル(以下、「MA」と称する)、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2-メトキシエチル、アクリル酸3-メトキシブチル、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸ペンタフルオロエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸3-ジメチルアミノエチルなどのアクリル酸エステルが挙げられ、入手性の観点から、MA、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル等のアクリル酸エステルが好ましく、MAおよびアクリル酸エチルがより好ましく、MAが最も好ましい。メタクリル樹脂におけるこれら他の単量体に由来する構造単位の含有量は、合計で10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、他の単量体に由来する構造単位を含まなくてもよい。
【0011】
前記メタクリル系樹脂は、上記したメタクリル酸エステルおよび任意成分である他の単量体を重合することで得られる。かかる重合において、複数種の単量体を用いる場合は、通常、かかる複数種の単量体を混合して単量体混合物を調製したのち、重合に供する。重合方法に特に制限はないが、生産性の観点から、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法、乳化重合法などの方法でラジカル重合することが好ましい。
【0012】
本発明に関わるメタクリル系重合体(A)は、重量平均分子量(Mw)が、 好ましくは40000~200000、より好ましくは50000~180000、さらに好ましくは55000~160000である。Mwが40000以上であると、本発明の成形体の強度および靭性等が向上する。Mwが200000以下であると、本発明のメタクリル系重合体の流動性が向上し、成形加工性が向上する。
【0013】
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるクロマトグラムを標準ポリスチレンの分子量に換算して算出される値である。
【0014】
また、メタクリル系重合体(A)は市販品を用いてもよい。係る市販されているメタクリル系重合体としては、例えば「パラペットH1000B」(MFR:22g/10分(230℃、37.3N))、「パラペットGF」(MFR:15g/10分(230℃、37.3N))、「パラペットEH」(MFR:1.3g/10分(230℃、37.3N))、「パラペットHRL」(MFR:2.0g/10分(230℃、37.3N))、「パラペットHRS」(MFR:2.4g/10分(230℃、37.3N))および「パラペットG」(MFR:8.0g/10分(230℃、37.3N))[いずれも商品名、クラレ社製]などが挙げられる。
【0015】
アクリル系架橋ゴム粒子(B)は、乳化重合法で得られるアクリル系架橋ゴム重合体を含有する粒子で、好ましくは熱可塑性重合体(P)からなる最外層と、該最外層に接し且つ覆われた架橋ゴム重合体(Q)を含む多層構造ゴム粒子である。多層構造ゴム粒子は、例えば、芯が架橋ゴム重合体(Q)-外殻(最外層)が熱可塑性重合体(P)の2層構成(Q-P)、芯が架橋重合体(R)-内殻が架橋ゴム重合体(Q)-外殻(最外層)が熱可塑性重合体(P)の3層構成(R-Q-P)、芯が架橋ゴム重合体(Q)-第一内殻が架橋重合体(R)-第二内殻が架橋ゴム重合体(Q)-外殻(最外層)が熱可塑性重合体(P)の4層構成(Q-R-Q-P)の粒子などを挙げることができる。
【0016】
多層構造ゴム粒子における最外層以外の層(以下、最外層以外の層を「内層」と記載することがある、例えば、上記のQ、R+Q、Q+R+Qが各々内層に該当する)と最外層との質量比は、好ましくは60/40~95/5、より好ましくは70/30~90/10である。内層において、架橋ゴム重合体(Q)を含有してなる層が占める割合は、好ましくは20~70質量%、より好ましくは30~50質量%である。
【0017】
多層構造ゴム粒子は、平均粒子径が、好ましくは0.05~0.3μm、より好ましくは0.1~0.27μm、さらに好ましくは0.2~0.25μmである。このような範囲内の平均粒子径、特に0.2~1μmの平均粒子径を有する多層構造架橋ゴム粒子を用いると、少量の配合で、靭性を発現することができ、このため成形品の剛性や表面硬度を損なうことがない。なお、本明細書における平均粒子径は、光散乱光法によって測定される体積基準の粒径分布における平均値、または電子顕微鏡写真から測定される粒径の平均値である。
【0018】
最外層を構成する熱可塑性重合体(P)は、好ましくは炭素数1~8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位および必要に応じて該メタクリル酸アルキルエステル以外の単官能単量体単位を含む重合体である。熱可塑性重合体(P)は、多官能単量体単位を含まない方が好ましい。
【0019】
熱可塑性重合体(P)を構成する炭素数1~8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位の量は、熱可塑性重合体(P)の質量に対して、好ましくは80~100質量%、より好ましくは85~95質量%である。
【0020】
炭素数1~8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル(以下、メタクリル酸C1~8アルキルエステルということがある。)としては、例えば、メタクリル酸メチルが好ましい。
熱可塑性重合体(P)を構成するメタクリル酸C1~8アルキルエステル以外の単官能単量体単位の量は、熱可塑性重合体(P)の質量に対して、好ましくは0~20質量%、より好ましくは5~15質量%である。
【0021】
メタクリル酸C1~8アルキルエステル以外の単官能単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸プロルなどのアクリル酸エステル、スチレンなどの芳香族ビニル化合物を挙げることができる。
【0022】
最外層は1種の熱可塑性重合体(P)からなる単層であってもよいし、2種類以上の熱可塑性重合体(P)からなる複層であってもよい。
【0023】
本発明の1つの好ましい実施形態において、内層は、架橋ゴム重合体(Q)からなる中間層と、架橋重合体(R)からなり且つ前記中間層に接して覆われた芯とを有する(内層=R+Q)。
【0024】
架橋重合体(R)は、メタクリル酸メチル単位、メタクリル酸メチル以外の単官能単量体単位、および多官能単量体単位からなる。
【0025】
架橋重合体(R)を構成するメタクリル酸メチル単位の量は、架橋重合体(R)の質量に対して、好ましくは40~98.5質量%、より好ましくは45~95質量%である。
【0026】
架橋重合体(R)を構成するメタクリル酸メチル以外の単官能単量体単位の量は、架橋重合体(R)の質量に対して、1~59.5質量%、好ましくは5~55質量%である。
メタクリル酸メチル以外の単官能単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸プロピルなどのアクリル酸エステル、スチレンなどの芳香族ビニル化合物を挙げることができる。
【0027】
架橋重合体(R)を構成する多官能単量体単位の量は、架橋重合体(R)の質量に対して、好ましくは0.05~0.4質量%、より好ましくは0.1~0.3質量%である。
【0028】
架橋重合体(R)の量は、多層構造ゴム粒子の量に対して、好ましくは5~40質量%、より好ましくは7~35質量%、さらに好ましくは10~30質量%である。
【0029】
架橋ゴム重合体(Q)は、炭素数1~8のアルキル基を有するアクリル酸エステル単位、アクリル酸エステル以外の単官能単量体単位、および多官能単量体単位からなる。
【0030】
架橋ゴム重合体(Q)における炭素数1~8のアルキル基を有するアクリル酸エステル単位は、架橋ゴム重合体(Q)の質量に対して、好ましくは10~100質量%、より好ましくは20~90質量%である。
【0031】
架橋ゴム重合体(Q)における多官能単量体単位は、架橋ゴム重合体(Q)の質量に対して、好ましくは0.01~1質量%、より好ましくは0.1~0.5質量%である。
【0032】
熱可塑性重合体(P)、架橋ゴム重合体(Q)、および架橋重合体(R)に用いられるアクリル酸エステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、s-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-ブチルメチルアクリレート、n-ヘプチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステルを挙げることができる。これらアクリル酸エステルは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうちでも、メチルアクリレートおよび/またはn-ブチルアクリレートが好ましい。
【0033】
架橋ゴム重合体(Q)、および架橋重合体(R)に用いられる多官能単量体単位としては、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートなどを挙げることができる。
架橋重合体(R)におけるメタクリル酸メチル以外の単官能単量体単位、および架橋ゴム重合体(Q)におけるアクリル酸エステル以外の単官能単量体単位は、メタクリル酸エステルもしくはアクリル酸エステルと共重合し得るビニル系単量体であればいずれでもよく、例えば、スチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル単量体、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル系単量体、エチレン、プロピレンなどのオレフィン系単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸系単量体、酢酸ビニル、N-プロピルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-o-クロロフェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体を挙げることができ、これらの化合物は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
アクリル系架橋ゴム粒子(B)の製造方法は、例えば、架橋重合体(R)を構成するための単量体(r)を乳化重合して架橋重合体(RI)を含有するラテックスを得、これに架橋ゴム重合体(Q)を構成するための単量体(q)を添加して、単量体(q)をシード乳化重合して架橋重合体(R)と架橋ゴム重合体(q)を含有するラテックスを得、これに熱可塑性重合体(P)を構成するための単量体(p)を加えて、単量体(p)をシード乳化重合して多層構造架橋ゴム粒子を含有するラテックスを得ることができる。なお、乳化重合は重合体を含有するラテックスを得るために用いられる公知の方法である。シード乳化重合はシード粒子の表面で単量体の重合反応を行わせる方法である。シード乳化重合はコアシェル構造重合体粒子を得るために好ましく用いられる。
【0035】
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、メタクリル系重合体(A)とアクリル系架橋ゴム粒子(B)を溶融混練することにより得ることができる。
【0036】
アクリル系架橋ゴム粒子(B)の分散性の観点から、200℃におけるメタクリル系重合体(A)の溶融粘度ηAと、240℃におけるアクリル系架橋ゴム粒子(B)の溶融粘度ηBの溶融粘度比ηB/ηAは、0.1~5が好ましく、0.1~4がより好ましい。
【0037】
本発明に関わるメタクリル系重合体(A)は、分散用粒子(A1)とメタクリル系重合体(A2)を含有したものであってもよい。
【0038】
分散用粒子(A1)は、メタクリル系重合体(A)と同様に、メタクリル酸エステルに由来する構造単位を含む樹脂で、乳化重合法により分散用粒子(A1)を含有するラテックスとして得ることができる。
【0039】
メタクリル系重合体(A2)は、メタクリル系重合体(A)と同様に、メタクリル酸エステルに由来する構造単位を含む樹脂であり、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法など任意の重合法により、ペレットや粉体として得ることができる。また、200℃での溶融粘度(ηA2)は、1000~30000Pa・sである。
【0040】
本発明の樹脂組成物の製造方法において、アクリル系架橋ゴム粒子(B)を含有するラテックスと、分散性粒子(A1)を含有するラテックスを混合し、凝固させて凝固粉体(B2)を得る工程を有してもよい。凝固粉体(B2)の240℃における溶融粘度(ηB2)は100~10000Pa・sである。凝固粉体(B2)は、アクリル系架橋ゴム粒子(B)の周囲に分散性粒子(A1)が存在することで、メタクリル系重合体(A2)と溶融混練したときにアクリル系架橋ゴム粒子(B)の凝集がより抑制される。なお、溶融粘度はフローテスター又はキャピログラフにより測定することができる。
平均粒子径は、分散用粒子(A1)またはアクリル系架橋ゴム粒子(B)のラテックスを光散乱法により測定する方法により求めることができる。光散乱法による方法は、ラテックスをサンプリングし、堀場製作所社製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-950V2を用いて平均粒子径を測定することができる。
【0041】
本発明の樹脂組成物は、凝固粉体(B2)とメタクリル系重合体(A2)を溶融混練して製造することができる。
樹脂の分散性の観点から、200℃におけるメタクリル系重合体(A2)の溶融粘度ηA2と、240℃におけるアクリル系架橋ゴム粒子(B2)の溶融粘度ηB2の溶融粘度比ηB2/ηA2は、0.005~0.12が好ましく、0.01~0.1がより好ましく、0.01~0.06がさらに好ましい。
【0042】
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に制限されないが、該樹脂組成物を構成する各成分の分散性を高めるため、溶融混練する方法が好ましい。混練操作は、例えばニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどの既知の混合装置又は混練装置を使用して行うことができる。
【0043】
溶融混練に使用する混練装置は、単軸押出機、または二軸押出機が好ましい。本発明のメタクリル系樹脂組成物を含む成形体は、フィルムとしても有用であり、Tダイ押出法により単軸押出機で溶融混練して得られたフィルムは、架橋ゴム粒子が良好に分散し、外観に優れる。フィルムの厚みは20~100μmが好ましく、40~70μmがより好ましい。
【0044】
押出機にて溶融混練する際のシリンダー温度は、好ましくは200℃以上であり、より好ましくは220℃以上、更に好ましくは240℃以上である。また、樹脂組成物の劣化および着色の観点から、シリンダー温度は300℃以下が好ましく、280℃以下がより好ましく、260℃以下が更に好ましい。
【実施例0045】
以下、本発明に係る製造例と実施例、および比較例について、説明する。
[原料]
実施例および比較例で用いたメタクリル系樹脂(A2)は、以下の通りである。
メタクリル系重合体(A2)-1:クラレ社製「パラペットEH」、200℃における溶融粘度20000Pa・s
メタクリル系重合体(A2)-2:クラレ社製「パラペットHRL」、200℃における溶融粘度17000Pa・s」
メタクリル系重合体(A2)-3:クラレ社製「パラぺットG」、200℃における溶融粘度3400Pa・s
メタクリル系重合体(A2)-4:クラレ社製「パラぺットGF」、200℃における溶融粘度1500Pa・s
なお、以下において、「部」は「質量部」を意味する。
【0046】
(製造例1)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器内に、イオン交換水145部、ペレックスSS-H(花王(株)製)1.25部、炭酸ナトリウム0.05部を投入し、撹拌溶解させた。80℃に昇温し2%過硫酸カリウム水溶液0.2部を添加した後、メタクリル酸メチル9部、アクリル酸メチル1部およびn-オクチルメルカプタン0.037部からなる単量体混合物を速やかに添加し、60分間保持した。ついでこのラテックスに、2%過硫酸カリウム水溶液2部を投入し、メタクリル酸メチル81部、アクリル酸メチル9部およびn-オクチルメルカプタン0.33部からなる単量体混合物を2時間かけて連続的に添加し、滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行った。以上の操作によって、分散用粒子(A1)-1を含むラテックスを得た。分散用粒子(A1)-1の200℃における溶融粘度は3000Pa・sであった。
【0047】
(製造例2)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器内に、イオン交換水1050質量部、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム0.44質量部および炭酸ナトリウム0.7質量部を仕込み、反応器内を窒素ガスで十分に置換した。次いで内温を80℃にした。そこに、過硫酸カリウム0.25質量部を投入し、5分間攪拌した。これに、メタクリル酸メチル95.4質量%、アクリル酸メチル4.4質量%およびメタクリル酸アリル0.2質量%からなる単量体混合物245質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
次いで、同反応器内に、過硫酸カリウム0.32質量部を投入して5分間攪拌した。その後、アクリル酸ブチル80.5質量%、スチレン17.5質量%およびメタクリル酸アリル2質量%からなる単量体混合物315質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
次に、同反応器内に、過硫酸カリウム0.14質量部を投入して5分間攪拌した。その後、メタクリル酸メチル95.2質量%、アクリル酸メチル4.4質量%およびn-オクチルメルカプタン0.4質量%からなる単 量体混合物140質量部を30分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行った。以上の操作によって、アクリル系架橋ゴム粒子(B)-1を含むラテックスを得た。平均粒子径は0.23μmであった。
該ラテックスに硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗、脱水、乾燥させて、アクリル系架橋ゴム粒子(B)-1単独の凝固粉体を得た。240℃における溶融粘度は56000Pa・sであった。
【0048】
(製造例3)
コンデンサ、温度計および撹拌機を有し且つグラスライニングが施された反応容器にイオン交換水200部を入れ、次いでドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.3部および炭酸ナトリウム0.05部を添加して溶解させた。反応容器内を窒素ガスで置換して実質的に酸素がない状態にした。その後、反応容器内を加熱して水溶液を80℃にした。
前記水溶液に、過硫酸カリウム0.01部を加え、5分間撹拌した後、メタクリル酸メチル(MMA)2.50部、アクリル酸ブチル(BA)2.50部およびメタクリル酸アリル(ALMA)0.01部からなる混合物cを15分間かけて連続的に滴下供給し、混合物cの滴下終了後25分間保持し、乳化重合を行ってラテックスcを得た。
次いで、ラテックスcに、過硫酸カリウム0.095部を添加し、さらにメタクリル酸メチル(MMA)1.5部、アクリル酸ブチル(BA)28.5部およびメタクリル酸アリル(ALMA)0.90部からなる混合物iを60分間かけて連続的に滴下供給した。混合物iの添加終了後30分間保持し、シード乳化重合を行ってラテックスiを得た。
次いで、このラテックスiに、さらにメタクリル酸メチル(MMA)56.9部、アクリル酸ブチル(BA)8.1部およびn-オクチルメルカプタン(OM)0.0196部からなる混合物oを100分間かけて連続的に滴下供給した。混合物oの添加終了後60分間保持し、シード乳化重合を行って、アクリル系架橋ゴム粒子(B)-2を含有するラテックスを得た。平均粒子径は0.11μmであった。
該ラテックスに硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗、脱水、乾燥させて、アクリル系架橋ゴム粒子(B)-2単独の凝固粉体を得た。240℃における溶融粘度は2300Pa・sであった。
【0049】
(製造例4)
分散用粒子(A1)-1とアクリル系架橋ゴム粒子(B)-1の割合が20対80になるように各ラテックスを混合した。該ラテックスに硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗、脱水、乾燥させて、凝固粉体(B2)-1を得た。凝固粉体(B2-2)の240℃における溶融粘度は910Pa・sであった。
【0050】
(製造例5)
分散用粒子(A1)-1とアクリル系架橋ゴム粒子(B)-1の割合を33対67に変更した以外は、製造例4と同じ方法により凝固粉体(B2)-2を得た。凝固粉体(B2)-2の240℃における溶融粘度は500Pa・sであった。
【0051】
(製造例6)
分散用粒子(A1)-1とアクリル系架橋ゴム粒子(B)-2の割合が40対60になるようにラテックスを混合した。該ラテックスに硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗、脱水、乾燥させて、凝固粉体(B2)-3を得た。凝固粉体(B2)-3の240℃における溶融粘度は360Pa・sであった。
【0052】
(製造例7)
分散用粒子(A1)-1とアクリル系架橋ゴム粒子(B)-2の割合を20対80に変更した以外は、製造例7と同じ方法により凝固粉体(B2)-4を得た。凝固粉体(B2-4)の240℃における溶融粘度は450Pa・sであった。
【0053】
実施例および比較例における物性値の測定等は以下の方法によって実施した。
〔溶融粘度〕
オーブンにて十分に乾燥した樹脂を、フローテスター(島津製作所製 CFT-500D型)を用いて、Φ1mm×2mmのキャピラリーより、荷重50kgf/cmで、メタクリル系重合体(A)および(A2)は200℃、アクリル系架橋ゴム粒子(B)および凝固粉体(B2)は240℃で測定した。
【0054】
〔フィルム欠点数〕
実施例に記載した条件で製造したフィルムを目視で欠点数を評価した。〔体積平均粒子径〕
アクリル系架橋ゴム粒子を含有するラテックスについて、堀場製作所社製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-920V2を用いて光散乱法によって体積平均粒子径(本明細書では、「平均粒子径」という)を測定した。
【0055】
(実施例1)
メタクリル系重合体(A2)-1 75質量%と製造例4に記載の凝固粉体(B2)-1 25質量%を、Φ20mm単軸押出機で溶融し、幅150mmのダイより押出温度260℃で押出し、厚さ60μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの欠点数を測定評価した。
【0056】
(実施例2)
実施例1において表1に示す組成に変更した以外は、実施例1と同じ方法でフィルムを製造し、同じ方法で評価を行った。
【0057】
(実施例3)
メタクリル系重合体(A2)-1 40質量%と製造例5に記載の凝固粉体(B2)-2 60質量%を、Φ20mm単軸押出機で溶融し、幅150mmのダイより押出温度260℃で押出し、厚さ60μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの欠点数を測定評価した。
【0058】
(実施例4)
メタクリル系重合体(A2)-2 50質量%と製造例4に記載の凝固粉体(B2)-1 50質量%を、Φ20mm単軸押出機で溶融し、幅150mmのダイより押出温度260℃で押出し、厚さ60μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの欠点数を測定評価した。
【0059】
(実施例5)
メタクリル系重合体(A2)-1 10質量部とアクリル系架橋ゴム粒子(B)-1 50質量部を二軸押出機にて260℃で溶融混練し、ペレット化した。さらに該ペレットとメタクリル系重合体(A2)-1 50質量部を、Φ20mm単軸押出機で溶融し、幅150mmのダイより押出温度260℃で押出し、厚さ60μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの欠点数を測定評価した。表1にその結果を示した。実施例1と同じ方法でフィルムを製造し、同じ方法で評価を行った。
【0060】
(実施例6)
メタクリル系重合体(A2)-1 50質量%と製造例6に記載の凝固粉体(B2)-3 50質量%を、Φ20mm単軸押出機で溶融し、幅150mmのダイより押出温度260℃で押出し、厚さ60μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの欠点数を測定評価した。
【0061】
(実施例7)
メタクリル系重合体(A2)-1 50質量%と製造例7に記載の凝固粉体(B2)-4 50質量%を、Φ20mm単軸押出機で溶融し、幅150mmのダイより押出温度260℃で押出し、厚さ60μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの欠点数を測定評価した。
【0062】
(実施例8)
メタクリル系重合体(A2)-2 50質量%と製造例6に記載の凝固粉体(B2)-350質量%を、Φ20mm単軸押出機で溶融し、幅150mmのダイより押出温度260℃で押出し、厚さ60μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの欠点数を測定評価した。
【0063】
(実施例9)
メタクリル系重合体(A2)-3 50質量%と製造例6に記載の凝固粉体(B2)-3 50質量%を、Φ20mm単軸押出機で溶融し、幅150mmのダイより押出温度260℃で押出し、厚さ60μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの欠点数を測定評価した。
【0064】
(比較例1)
実施例2において、メタクリル系重合体(A2)-1を(A2)-3に変更した以外は、実施例2と同じ方法でフィルムを製造し、同じ方法で評価を行った。
【0065】
(比較例2)
比較例2において、表4に示す処方に変更した以外は、比較例2と同じ方法でフィルムを製造し、同じ方法で評価を行った。
【0066】
(比較例3)
実施例3において、メタクリル系重合体(A2)-1を(A2)-3に変更した以外は、実施例3と同じ方法でフィルムを製造し、同じ方法で評価を行った。
【0067】
(比較例4)
比較例3において、表4に示す処方に変更した以外は、比較例3と同じ方法でフィルムを製造し、同じ方法で評価を行った。
【0068】
(比較例5)
メタクリル系重合体(A2)-1 10質量%とアクリル系架橋ゴム粒子(B)-1 50質量%を二軸押出機にて260℃で溶融混練し、ペレット化した。さらに該ペレットとメタクリル系重合体(A2-3)50質量部を、Φ20mm単軸押出機で溶融し、幅150mmのダイより押出温度260℃で押出し、厚さ60μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの欠点数を測定評価した。
【0069】
(比較例6)
メタクリル系重合体(A2)-4 50質量%と製造例4に記載の凝固粉体(B2)-1 50質量%を、Φ20mm単軸押出機で溶融し、幅150mmのダイより押出温度260℃で押出し、厚さ60μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの欠点数を測定評価した。
【0070】
(比較例7)
メタクリル系重合体(A2)-4 40質量%と製造例4に記載の凝固粉体(B2)-2 60質量%を、Φ20mm単軸押出機で溶融し、幅150mmのダイより押出温度260℃で押出し、厚さ60μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの欠点数を測定評価した。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
*1 フィルム欠点数・・・A4面積のフィルム中の欠点が、〇:極めて少ない、△:目立たない、×:目立つ
【0075】
【表5】
*1 フィルム欠点数・・・A4面積のフィルム中の欠点が、〇:極めて少ない、△:目立たない、×:目立つ
【0076】
実施例1~4において得られたフィルムは、比較例1~2において得られたフィルムより欠点数が少なく、本発明の樹脂組成物は架橋ゴム粒子の分散性が良好で、外観のよい成形体が得られることが分かる。