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  • 特開-発毛・育毛効果を有する乳酸菌 図1
  • 特開-発毛・育毛効果を有する乳酸菌 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068040
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】発毛・育毛効果を有する乳酸菌
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20220426BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20220426BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20220426BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20220426BHJP
   A61K 8/99 20170101ALI20220426BHJP
【FI】
C12N1/20 E
C12N1/20 A
A23L33/135
A61Q7/00
A61P17/14
A61K35/747
A61K8/99
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176970
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森 綾香
(72)【発明者】
【氏名】砂田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】谷井 勇介
(72)【発明者】
【氏名】上原 和也
(72)【発明者】
【氏名】伊木 明美
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C083
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD86
4B018ME14
4B018MF06
4B018MF13
4B065AA30X
4B065AC20
4B065BC03
4B065BD11
4B065BD15
4B065CA41
4B065CA44
4B065CA50
4C083AA031
4C083AA032
4C083CC37
4C083EE22
4C087AA01
4C087AA02
4C087CA09
4C087CA10
4C087MA63
4C087NA14
4C087ZA92
4C087ZB22
4C087ZC41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発毛・育毛・養毛効果を目的とした、毛乳頭細胞やケラチノサイトの増殖促進剤の提供。
【解決手段】毛乳頭細胞賦活能又はケラチノサイト増殖因子産生促進能を有するラクトバチルス属に属する乳酸菌、その培養液又は発酵産物。特に乳酸菌はラクトバチルス・プランタラムN793株(NITE BP-03233)であることが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛乳頭細胞賦活能またはケラチノサイト増殖因子産生促進能の少なくとも一方を有するラクトバチルス属に属する乳酸菌、その培養液又は発酵産物。
【請求項2】
毛乳頭細胞賦活能およびケラチノサイト増殖因子産生促進能の両方を有する、請求項1に記載の乳酸菌、その培養液又は発酵産物。
【請求項3】
前記ラクトバチルス属に属する乳酸菌がラクトバチルス・プランタラムN793株(NITE BP-03233)である、請求項1または2に記載の乳酸菌、その培養液又は発酵産物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の乳酸菌、その培養液又は発酵産物を含有する飲食品。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の乳酸菌、その培養液又は発酵産物を含有する化粧品、医薬部外品または医薬品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い毛乳頭細胞賦活能及びケラチノサイト増殖因子産生促進能を有するとうもろこし由来のラクトバチルス属プランタラム種の乳酸菌の菌株並びに当該乳酸菌、その培養液又は発酵産物の処理物を含有する飲料、食品、化粧品、医薬部外品及び医薬品である。
【背景技術】
【0002】
薄毛とは、加齢、ストレス、睡眠不足、遺伝といった様々な要因で毛根の活性が低下し、ヘアサイクルが短くなることをいう。ヘアサイクルとは、毛髪が成長期、退行期、休止期の3つのフェーズを繰り返す周期を指す(非特許文献1)。ヘアサイクルの中で最も長い期間は成長期であり、通常3年~6年ほどである。ただし、上述のヘアサイクルが短くなる要因によって、成長期は短縮され、薄毛が引き起こされる。
【0003】
成長期は、ケラチノサイト増殖因子、インスリン様成長因子1、血管内皮増殖因子などの成長因子で維持されている。これらの成長因子は、毛根の奥に存在する毛乳頭細胞から産生される。毛乳頭細胞から分泌されたケラチノサイト増殖因子は、毛髪の元となる毛母細胞に直接作用し、毛母細胞の増殖と分裂を促進することで知られているため、毛髪に最も直接的に働きかける成長因子であると考えられている。以上のことから、毛乳頭細胞は発毛に必要な細胞であり、毛乳頭細胞の賦活及びケラチノサイト増殖因子産生量の増加を促進することができれば、発毛につながる(非特許文献2)。
一方、発毛や育毛を目的としてケラチノサイトの増殖を促進する促進剤として植物の抽出物を利用する方法が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】野々村美宗著,「コスメの科学」,第1版,フレグランスジャーナル社,2020年3月,p.74―78
【非特許文献2】M. Iino et al., “Adenosine Stimulates Fibroblast Growth Factor-7 Gene Expression Via Adenosine A2b Receptor Signaling in Dermal Papilla Cells”, Vol.127, Journal of Investigative Dermatology, June 2007, p.1318-1325
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-242324
【0006】
また、当該先願公開公報に開示される植物の抽出物を利用する方法以外についても想定されるところである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者らは乳酸菌に注目し、発毛・育毛・養毛効果を得るには毛乳頭細胞の賦活及びケラチノサイト増殖因子が必要不可欠である点を利用し、複数の乳酸菌についてスクリーニングを行った結果、高い毛乳頭細胞賦活能及びケラチノサイト増殖因子産生促進能を有する乳酸菌があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本願第一の発明は、毛乳頭細胞賦活能またはケラチノサイト増殖因子産生促進能の少なくとも一方を有するラクトバチルス属に属する乳酸菌、その培養液又は発酵産物である。本願第二の発明は、毛乳頭細胞賦活能およびケラチノサイト増殖因子産生促進能の両方を有する、請求項1に記載の乳酸菌、その培養液又は発酵産物である。本願第三の発明は、前記ラクトバチルス属に属する乳酸菌がラクトバチルス・プランタラムN793株(NITE BP-03233)である、請求項1または2に記載の乳酸菌、である。
【0009】
本願の出願人は、当該乳酸菌、その培養液又は発酵産物を含む飲食品も意図している。すなわち、本願第四の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の乳酸菌、その培養液又は発酵産物を含有する飲食品、である。
【0010】
さらに、本願出願人は、当該乳酸菌、その培養液又は発酵産物を含む化粧品、医薬部外品、医薬品も意図している。すなわち、本願第五の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の乳酸菌、その培養液又は発酵産物を含有する化粧品、医薬部外品または医薬品である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の乳酸菌、その培養液又は発酵産物は、毛乳頭細胞賦活能またはケラチノサイト増殖因子産生促進能の少なくとも一方を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の菌株と比較菌株の毛乳頭細胞賦活能を比較した図である。
図2図2は、本発明の菌株と比較菌株のケラチノサイト増殖因子産生促進能を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を詳細に説明する。
1.ラクトバチルス・プランタラムN793株(NITE BP-03233)
本発明の乳酸菌は、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)である。特に、ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌のうち、ラクトバチルス・プランタラムN793株(NITE BP-03233)である。本発明にいうN793の記号は日清食品ホールディングス株式会社で独自に菌株に付与した番号であり、本ラクトバチルス・プランタラムN793株は本発明者によって初めて分離されたものである。
尚、本ラクトバチルス・プランタラムN793株は、より詳細にはラクトバチルス・プランタラム・サブスピーシーズ・プランタラム(Lactobacillus plantarum subsp.plantarum)に属する乳酸菌であると同定されている。
【0014】
本発明のラクトバチルス・プランタラムN793株は、2020年6月18日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターへNITE BP-03233として寄託されている。本発明のラクトバチルス・プランタラムN793株の菌学的性質は、以下の表1及び表2に示す通りである。本菌学的性質は、Bergey’s manual of systematic bacteriology Vol.2(1986)に記載の方法による。表1は本菌株に関する形状等を、表2はアピ50CH及びアピCHL(ビオメリュー社製)により、糖資化性を試験した結果を示す。表2において、「+」が陽性、「-」は陰性を示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
2.毛乳頭細胞賦活試験
本発明のラクトバチルス・プランタラムN793株は、後述する実験例に示すように、高い毛乳頭細胞賦活能を有する。毛乳頭細胞賦活能の確認については以下の試験方法によって行った。
【0019】
<毛乳頭細胞賦活能評価に用いた被検体(乳酸菌末懸濁液)の調製>
毛乳頭細胞賦活能評価に用いた被検体(乳酸菌末懸濁液)は、乳酸菌を表3に示すMRS培地(ベクトン・ディッキンソン社製)で37℃・24時間培養した。次いで、遠心分離機を用いて増殖させた菌体を集菌した。集菌した菌体を滅菌水で洗浄し、遠心分離機で集菌を行った。洗浄と集菌を繰り返し3回行った。95℃15分で加熱殺菌後、再度遠心分離機で集菌を行った。凍結乾燥機を用いて集菌した菌体を凍結乾燥し、乾燥菌体粉末を得た。乾燥菌体粉末をPBS(PBS(-)pH7.4 Gibco社製)で1 mg/mLになるよう懸濁し、乳酸菌末懸濁液とした。
【0020】
<毛乳頭細胞賦活能評価>
上記で得た被検体の毛乳頭細胞賦活作用を評価した。すなわち、96ウェルプレートに、1.2×10 cells/wellの密度でヒト毛乳頭細胞を播種し、COインキュベーター(5% CO、37℃)で6時間培養したところで、各被検体(最終濃度1%)を含む100μLのD-MEM培地(FBS4%)を添加した。添加後、COインキュベーター(5% CO、37℃)で72時間インキュベートした後、培養液中の毛乳頭細胞数を吸光光度法にて測定した。測定にはCell Counting Kit-8(同仁化学研究所製)を使用した。なお、コントロールとしてPBS(PBS(-) pH7.4 Gibco社製)を用いた。
【0021】
3.ケラチノサイト増殖因子産生促進試験
本発明のラクトバチルス・プランタラムN793株は、後述する実験例に示すように、高いケラチノサイト増殖因子産生促進能を有する。ケラチノサイト増殖因子産生促進能の確認については以下の試験方法によって行った。
【0022】
<ケラチノサイト増殖因子産生促進能評価>
毛乳頭細胞賦活試験と同様の被検体について、ケラチノサイト増殖因子産生促進作用を評価した。48ウェルプレートに、1.0×10 cells/well の密度でヒト毛乳頭細胞を播種し、COインキュベーター(5% CO、37℃)で24時間培養したところで、各被検体群(最終濃度10%)を含む300μLの毛乳頭細胞培地(PromoCell社製)を添加した。添加後、COインキュベーター(5% CO、37℃)で24時間インキュベートした後、培養上清中のケラチノサイト増殖因子をELISA法にて測定した。測定にはHuman KGF/FGF-7 DuoSet ELISA(R&D Systems社製)を使用した。なお、コントロールとしてPBS(PBS(-) pH7.4 Gibco社製)を用いた。
【0023】
4.菌体、その培養液又は発酵産物
本発明の乳酸菌は、種々の形態で利用することができる。例えば、菌体そのものであると、当該菌体を凍結乾燥したタイプや当該菌体を酵素処理したもの等を利用することができる。
さらに、菌体そのものの他、本発明の乳酸菌の培養液も利用することができる。具体的には、菌体、菌体及び培養液、培養上清等のいずれも利用することができる。また、上記の菌体等に対しては必要に応じて遠心分離やプロテアーゼやリパーゼ等の酵素処理を施してもよいことは勿論である。
さらに、菌体、その培養液とともに当該乳酸菌を利用した発酵産物であってもよい。すなわち、糖類等を栄養源として当該乳酸菌による発酵の結果得られる発酵産物も利用することができる。具体的には、乳等を原料とした発酵産物として、ヨーグルトやチーズが挙げられる。

5.飲食品
本発明の乳酸菌、その培養液又は発酵産物は飲食品に含有せしめて使用することができる。例えば、乳酸菌入り発酵乳及び乳酸菌入り乳酸菌飲料が考えられる。また、発酵産物としてヨーグルトやチーズ等が挙げられる。現行の乳及び乳製品の成分規格等に関する省令では、成分規格として乳酸菌数は特に規定はされていないが、発酵乳(無脂乳固形分8.0%以上のもの)や乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%以上のもの)であれば1.0×10 cfu/ml以上、乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%未満のもの)であれば1.0×10 cfu/ml以上が好ましく、乳などの発酵液中で増殖させたり、最終製品の形態で増殖させたりすることによって上記の菌数を実現することができる。また、乳酸菌入り発酵乳及び乳酸菌入り乳酸菌飲料以外にも、バター等の乳製品、マヨネーズ等の卵加工品、バターケーキ等の菓子パン類等にも利用することができる。また、即席麺やクッキー等の加工食品にも好適に利用することができる。上記の他、本発明の食品は、前記乳酸菌、その培養液又は発酵産物と共に、必要に応じて適当な担体及び添加剤を添加して製剤化された形態(例えば、粉末、顆粒、カプセル、錠剤等)であってもよい。また、本発明の乳酸菌、その培養液又は発酵産物を含む飲食品は、本発明の菌体、その培養液又は発酵産物を有効成分して含有していればよく、本発明の乳酸菌、その培養液又は発酵産物以外に他の成分(例えば、糖類、タンパク質、アミノ酸、脂質、水分、ビタミン、ミネラル等)を含有していても良いことは勿論である。
【0024】
本発明の乳酸菌、その培養液又は発酵産物は、一般の飲料や食品以外にも特定保健用食品、栄養補助食品等に含有させることも有用である。
【0025】
6.化粧品、医薬部外品、医薬品
本発明の乳酸菌、その培養液又は発酵産物は、食品以外にも化粧品、医薬部外品、医薬品に含有せしめて使用することができる。具体的には、養毛剤、育毛剤、発毛剤やこれらを利用したシャンプー、リンス、ヘアローション、ヘアトニック等が挙げられる。
すなわち、本発明の乳酸菌、その培養液又は発酵産物を濃縮や分離等でエキス化又は粉末化して調製した後に、当該成分を有効成分とする化粧品、医薬部外品、医薬品として使用することができる。例えば、エキス化したものを瓶等に詰めたものや、発酵液乾燥粉末を賦形剤なども用いて顆粒やカプセル化、打錠し錠剤の形態として提供が可能である。
また、化粧品、医薬部外品、医薬品としては本発明の菌体、その培養液又は発酵産物を有効成分して含有していればよく、当該成分以外に他の成分(例えば、糖類、タンパク質、アミノ酸、脂質、水分、ビタミン、ミネラル等)を含有していても良いことは勿論である。
【0026】
さらに、本発明の乳酸菌、その培養液又は発酵産物はサイレージ、動物用餌、植物液体肥料等の動物飼料・植物肥料分野においても応用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の乳酸菌(ラクトバチルス・プランタラムN793株)、その培養液又は発酵産物は、高い毛乳頭細胞賦活能またはケラチノサイト増殖因子産生促進能の少なくとも一方を有する。
【実施例0028】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<試験例1>毛乳頭細胞賦活能評価
本発明のラクトバチルス・プランタラムN793株と、自社保有の3株のラクトバチルス・プランタラム比較株(N808、N814、N828)について毛乳頭細胞賦活能評価を実施した。
【0029】
毛乳頭細胞賦活能評価は次の手順により行った。本発明の菌株と比較菌株のそれぞれについて、表3に示すMRS培地(ベクトン・ディッキンソン社製)で、COインキュベーター(5% CO、37℃)にて24時間培養した。次いで、遠心分離機を用いて増殖させた菌体を集菌した。集菌した菌体を滅菌水で洗浄し、遠心分離機で集菌を行った。洗浄と集菌を繰り返し3回行った。その後、凍結乾燥機を用いて集菌した菌体を凍結乾燥し、乾燥菌体粉末を得た。乾燥菌体粉末をPBS(PBS(-) pH7.4 Gibco社製)で1 mg/mLになるよう懸濁し、乳酸菌末懸濁液とした。
【0030】
別途、96ウェルプレートに、1.2×10 cells/wellの密度でヒト毛乳頭細胞を播種し、COインキュベーター(5% CO、37℃)で6時間培養したところで、各被検体群(最終濃度1%)を含む100μLのD-MEM培地(FBS4%)を添加した。添加後、COインキュベーター(5% CO、37℃)で72時間インキュベートした後、培養液中の毛乳頭細胞数を吸光光度法にて測定した。測定にはCell Counting Kit-8(同仁化学研究所製)を使用した。なお、コントロールとしてPBS(PBS(-) pH7.4 Gibco社製)を用いた。
【0031】
コントロールを1とした各菌株の毛乳頭細胞賦活率を表4及び図1に示す。
【0032】
【表4】
【0033】
表4及び図1からも明らかなように、本発明の乳酸菌(ラクトバチルス・プランタラムN793株)の毛乳頭細胞賦活能力は顕著に高く、他の自社保有の乳酸菌と比べても高い毛乳頭細胞賦活能力を有していることが確認された。
【0034】
<試験例2>ケラチノサイト増殖因子産生促進能評価
本発明のラクトバチルス・プランタラムN793株と、基準株(JCM1149)及び自社保有の3株のラクトバチルス・プランタラム比較株(N800、N807、N813)についてケラチノサイト増殖因子産生促進能評価を実施した。
【0035】
毛乳頭細胞賦活試験と同様の被検体について、ケラチノサイト増殖因子産生促進作用を評価した。48ウェルプレートに、1.0×10 cells/wellの濃度でヒト毛乳頭細胞を播種し、COインキュベーター(5% CO、37℃)で24時間培養したところで、各被検体群(最終濃度10%)を含む300μLの毛乳頭細胞培地(PromoCell社製)を添加した。添加後、COインキュベーター(5% CO、37℃)で24時間インキュベートした後、ELISA法にてケラチノサイト増殖因子産生量を測定した。測定にはHuman KGF/FGF-7 DuoSet ELISA(R&D Systems社製)を使用した。なお、コントロールとしてPBS(PBS(-) pH7.4 Gibco社製)を用いた。
【0036】
各菌株のケラチノサイト増殖因子産生量を表5及び図2に示す。
【0037】
【表5】
【0038】
本発明の乳酸菌(ラクトバチルス・プランタラムN793株)のケラチノサイト増殖因子産生促進能力は顕著に高く、他の自社保有の乳酸菌と比べても高いケラチノサイト増殖因子産生促進能力を有していることが確認された。
図1
図2