(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006828
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】シングルキャリア受信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 7/08 20060101AFI20220105BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H04B7/08 372A
H04L27/26 412
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109333
(22)【出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(71)【出願人】
【識別番号】000209751
【氏名又は名称】池上通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121119
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼ 智拓
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 敬文
(72)【発明者】
【氏名】山岸 史弥
(72)【発明者】
【氏名】中川 孝之
(72)【発明者】
【氏名】居相 直彦
(72)【発明者】
【氏名】平沢 修
(57)【要約】
【課題】SC-FDE方式を用いた無線伝送システムにおいて、一部の受信ブランチの受信信号が遅延している場合に、ダイバーシティ合成後の受信品質の劣化を抑制する。
【解決手段】シングルキャリア受信装置2に備えた受信系統毎の受信ブランチ30において、受信処理部40は、受信信号に対して所定の受信処理を行う。TMCC検出部41は、ブロック同期後の信号に含まれるTMCC情報に対し、所定の差動復調方式にて復調を行うことで遅延検波し、ブロック番号を検出する。合成寄与判定部42は、ブロック番号が連続していると判定した場合、可の判定結果を生成する。合成/周波数領域等化部31は、判定結果が可を示している受信ブランチ30から入力した周波数領域の信号、伝搬路情報及び雑音電力のみを用いて、周波数領域にて合成処理及び等化処理を行うことで、ダイバーシティ合成を行う。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルキャリア送信装置から送信されたUW(ユニークワード)、TMCC情報及びデータを含むブロックの変調波を、複数の受信アンテナを介して受信し、前記複数の受信アンテナのそれぞれに対応する受信信号に基づいてダイバーシティ合成を行うSC-FDE(シングルキャリア周波数領域等化)方式のシングルキャリア受信装置において、
前記複数の受信アンテナのそれぞれに対応する複数の受信ブランチと、合成/周波数領域等化部と、を備え、
前記複数の受信ブランチのそれぞれは、
遅延検波により、前記受信信号に含まれる前記TMCC情報から前記ブロックのブロック番号を検出するTMCC検出部と、
前記TMCC検出部により検出された前記ブロック番号に基づいて、前記受信信号が前記ダイバーシティ合成に寄与することを示す可の判定結果、または前記受信信号が前記ダイバーシティ合成に寄与しないことを示す不可の判定結果を生成する合成寄与判定部と、
前記受信信号をフーリエ変換して周波数領域の信号を生成するフーリエ変換部と、
前記受信信号に含まれる前記UWに基づいて、伝搬路情報を推定するチャネル推定部と、
前記受信信号に含まれる前記UWに基づいて、雑音電力を検出する雑音電力検出部と、を備え、
前記合成/周波数領域等化部は、
前記合成寄与判定部により前記可の判定結果が生成された全ての前記受信ブランチについて、前記フーリエ変換部により生成された前記周波数領域の信号、前記チャネル推定部により推定された前記伝搬路情報、及び前記雑音電力検出部により検出された前記雑音電力を用いて、前記周波数領域の信号の合成処理及び等化処理を行う、ことを特徴とするシングルキャリア受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシングルキャリア受信装置において、
前記複数の受信ブランチのそれぞれは、前記TMCC検出部に代わる新たなTMCC検出部を備えると共に、さらに、周波数領域等化部を備え、
前記周波数領域等化部は、
前記フーリエ変換部により生成された前記周波数領域の信号、前記チャネル推定部により推定された前記伝搬路情報、及び前記雑音電力検出部により検出された前記雑音電力を用いて、前記周波数領域の信号の等化処理を行い、
前記新たなTMCC検出部は、
前記遅延検波により、前記周波数領域等化部により等化処理が行われた前記周波数領域の信号に含まれる前記TMCC情報から前記ブロックのブロック番号を検出し、
前記合成寄与判定部は、
前記新たなTMCC検出部により検出された前記ブロック番号に基づいて、前記可の判定結果または前記不可の判定結果を生成する、ことを特徴とするシングルキャリア受信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシングルキャリア受信装置において、
前記合成寄与判定部は、
前記ブロック番号が連続していると判定した場合、前記可の判定結果を生成し、前記ブロック番号が連続していないと判定した場合、前記不可の判定結果を生成する、ことを特徴とするシングルキャリア受信装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のシングルキャリア受信装置において、
前記合成寄与判定部は、
前記ブロック番号を判別でき、かつ前記ブロック番号が連続していると判定した場合、前記可の判定結果を生成し、前記ブロック番号を判別できないと判定した場合、または前記ブロック番号が連続していないと判定した場合、前記不可の判定結果を生成する、ことを特徴とするシングルキャリア受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SC-FDE(Single Carrier-Frequency Domain Equalization:シングルキャリア周波数領域等化)方式の無線伝送技術に関し、特に、SC-FDE方式の受信性能を向上させるシングルキャリア受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、放送、通信等の無線伝送システムでは、1つの搬送波を用いるシングルキャリア方式が広く用いられている。近年、シングルキャリア方式の中でも、周波数領域でチャネル等化(伝搬路で生じた振幅及び位相の変化を元に戻す処理)を行うSC-FDE(Single Carrier-Frequency Domain Equalization:シングルキャリア周波数領域等化)方式が提案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0003】
例えば、SC-FDE方式を用いたミリ波ワイヤレスカメラシステムでは、1本の送信アンテナに対して複数の受信アンテナで電波を受信し、受信信号をダイバーシティ合成する。これにより、電波伝搬におけるフェージングによる受信品質の劣化を低減することができる。このような方式をSIMO(Single Input Multiple Output) SC-FDE方式という。
【0004】
図12は、従来のSIMO SC-FDE方式を用いた無線伝送システムの概略図、並びに送信側及び受信側のブロック構成例を示す図である。この無線伝送システムは、1本の送信アンテナ110を備えたシングルキャリア送信装置100、及びN本の受信アンテナ210-1,・・・,210-Nを備えたシングルキャリア受信装置200により構成される。Nは2以上の整数である。以下、受信アンテナ210-1,・・・,210-Nを総称して、受信アンテナ210という。N本の受信アンテナ210は、シングルキャリア送信装置100に備えた1本の送信アンテナ110に対応して設置されている。
【0005】
シングルキャリア送信装置100は、送信対象のデータである情報ビット系列を入力し、符号化部101にて誤り訂正符号の付加等を行い、インターリーブ部102にてインターリーブを行い、マッピング部103にて所定の変調方式にてマッピングを行う。
【0006】
そして、シングルキャリア送信装置100は、ブロック構成部104にて、マッピングされた信号等を用いてSC-FDEブロックを構成し、直交変調部105にて直交変調を行う。その後、高周波処理等された信号は、変調波の無線信号として送信アンテナ110を介して送信される。
【0007】
シングルキャリア受信装置200は、シングルキャリア送信装置100から送信された変調波の無線信号を、N本の受信アンテナ210を介して、N本の受信アンテナ210のそれぞれに対応する受信系統の受信ブランチにて受信する。
【0008】
シングルキャリア受信装置200は、各受信ブランチにて受信した信号に対し、対応する直交復調部202-1,・・・,202-Nにて直交復調を行い、対応するブロック同期部203-1,・・・,203-Nにてブロック同期を行う。
【0009】
そして、シングルキャリア受信装置200は、合成/周波数領域等化部204にて、周波数領域においてN個の信号を合成すると共に、チャネル等化する。シングルキャリア受信装置200は、デマッピング部205にてチャネル等化後の信号をデマッピングし、デインターリーブ部206にてデインターリーブを行い、復号部207にて元のデータに復号して出力する。
【0010】
ここで、各受信ブランチに入力される受信信号の遅延は、合成/周波数領域等化部204による合成処理及び等化処理のタイミングが合うことを前提に、1SC-FDEブロックの時間内であれば許容される。つまり、各受信信号が1SC-FDEブロック内で遅延している場合には、合成/周波数領域等化部204において、同じタイミングのSC-FDEブロックの信号を合成するため、遅延に伴う不具合は生じない。
【0011】
一方で、各受信ブランチに入力される受信信号が、1SC-FDEブロック以上の遅延差を有する場合には、合成/周波数領域等化部204において、異なるタイミングのSC-FDEブロックの信号を合成してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2019-140590号公報
【特許文献2】特開2018-006796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図12に示した無線伝送システムにおいては、受信アンテナ210の本数が多ければ多いほど、優れた性能(ダイバーシティ効果)が得られることは自明である。
【0014】
しかしながら、シングルキャリア送信装置100とシングルキャリア受信装置200との送受信間の伝搬路に障害物がある場合には、複数の受信ブランチのうち一部の受信ブランチにおいて、受信信号の遅延が発生する可能性がある。
【0015】
また、一部の受信ブランチの受信アンテナ210とシングルキャリア受信装置200の本体の入力端子との間で光回線等を用いる場合には、複数の受信ブランチのうち一部の受信ブランチにおいて、受信信号の遅延が発生する可能性がある。各受信ブランチの受信アンテナ210とシングルキャリア受信装置200の本体との間の距離が大きく異なる場合も、同様である。
【0016】
このような受信信号の遅延が発生する場合に、単純に複数の受信信号をダイバーシティ合成すると、受信信号が遅延している受信ブランチの影響を受けてしまい、ダイバーシティ合成後の受信品質が、良好に受信している受信ブランチよりも著しく劣化してしまう。
【0017】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、SC-FDE方式を用いた無線伝送システムにおいて、一部の受信ブランチの受信信号が遅延している場合に、ダイバーシティ合成後の受信品質の劣化を抑制可能なシングルキャリア受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するために、請求項1のシングルキャリア受信装置は、シングルキャリア送信装置から送信されたUW(ユニークワード)、TMCC情報及びデータを含むブロックの変調波を、複数の受信アンテナを介して受信し、前記複数の受信アンテナのそれぞれに対応する受信信号に基づいてダイバーシティ合成を行うSC-FDE(シングルキャリア周波数領域等化)方式のシングルキャリア受信装置において、前記複数の受信アンテナのそれぞれに対応する複数の受信ブランチと、合成/周波数領域等化部と、を備え、前記複数の受信ブランチのそれぞれが、遅延検波により、前記受信信号に含まれる前記TMCC情報から前記ブロックのブロック番号を検出するTMCC検出部と、前記TMCC検出部により検出された前記ブロック番号に基づいて、前記受信信号が前記ダイバーシティ合成に寄与することを示す可の判定結果、または前記受信信号が前記ダイバーシティ合成に寄与しないことを示す不可の判定結果を生成する合成寄与判定部と、前記受信信号をフーリエ変換して周波数領域の信号を生成するフーリエ変換部と、前記受信信号に含まれる前記UWに基づいて、伝搬路情報を推定するチャネル推定部と、前記受信信号に含まれる前記UWに基づいて、雑音電力を検出する雑音電力検出部と、を備え、前記合成/周波数領域等化部が、前記合成寄与判定部により前記可の判定結果が生成された全ての前記受信ブランチについて、前記フーリエ変換部により生成された前記周波数領域の信号、前記チャネル推定部により推定された前記伝搬路情報、及び前記雑音電力検出部により検出された前記雑音電力を用いて、前記周波数領域の信号の合成処理及び等化処理を行う、ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項2のシングルキャリア受信装置は、請求項1に記載のシングルキャリア受信装置において、前記複数の受信ブランチのそれぞれが、前記TMCC検出部に代わる新たなTMCC検出部を備えると共に、さらに、周波数領域等化部を備え、前記周波数領域等化部が、前記フーリエ変換部により生成された前記周波数領域の信号、前記チャネル推定部により推定された前記伝搬路情報、及び前記雑音電力検出部により検出された前記雑音電力を用いて、前記周波数領域の信号の等化処理を行い、前記新たなTMCC検出部が、前記遅延検波により、前記周波数領域等化部により等化処理が行われた前記周波数領域の信号に含まれる前記TMCC情報から前記ブロックのブロック番号を検出し、前記合成寄与判定部が、前記新たなTMCC検出部により検出された前記ブロック番号に基づいて、前記可の判定結果または前記不可の判定結果を生成する、ことを特徴とする。
【0020】
また、請求項3のシングルキャリア受信装置は、請求項1または2に記載のシングルキャリア受信装置において、前記合成寄与判定部が、前記ブロック番号が連続していると判定した場合、前記可の判定結果を生成し、前記ブロック番号が連続していないと判定した場合、前記不可の判定結果を生成する、ことを特徴とする。
【0021】
また、請求項4のシングルキャリア受信装置は、請求項1または2に記載のシングルキャリア受信装置において、前記合成寄与判定部が、前記ブロック番号を判別でき、かつ前記ブロック番号が連続していると判定した場合、前記可の判定結果を生成し、前記ブロック番号を判別できないと判定した場合、または前記ブロック番号が連続していないと判定した場合、前記不可の判定結果を生成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、SC-FDE方式を用いた無線伝送システムにおいて、一部の受信ブランチの受信信号が遅延している場合であっても、ダイバーシティ合成の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態によるシングルキャリア受信装置を含むSIMO SC-FDE方式を用いた無線伝送システムの全体構成例を示す概略図である。
【
図2】シングルキャリア送信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】TMCC生成部の構成例を示すブロック図である。
【
図5】SC-FDEブロックの構成例を説明する図である。
【
図6】本発明の実施形態によるシングルキャリア受信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図7】第一例の受信ブランチの構成例を示すブロック図である。
【
図8】受信処理部の構成例を示すブロック図である。
【
図9】TMCC検出部の構成例を示すブロック図である。
【
図10】合成寄与判定部の処理例を示すフローチャートである。
【
図11】第二例の受信ブランチの構成例を示すブロック図である。
【
図12】従来のSIMO SC-FDE方式を用いた無線伝送システムの概略図、並びに送信側及び受信側のブロック構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明は、シングルキャリア送信装置から送信されたTMCC情報(伝送制御情報)を含むSC-FDEブロックの変調波を、複数の受信アンテナを介して受信し、受信ブランチ毎に、TMCC情報に含まれるブロック番号を検出することで、ダイバーシティ合成に寄与する受信ブランチを判定する。
【0025】
これにより、ある受信ブランチの受信信号が遅延している場合には、当該受信信号はダイバーシティ合成に寄与しないと判定され、ダイバーシティ合成処理から除外される。そして、ダイバーシティ合成に寄与する受信信号のみを用いて、すなわち同じタイミングの受信信号のみを用いて、ダイバーシティ合成が行われる。このため、受信信号の遅延に伴う不具合が生じることはなく、ダイバーシティ合成の効果を最大限に得ることができる。
【0026】
したがって、SC-FDE方式を用いた無線伝送システムにおいて、一部の受信ブランチの受信信号が遅延している場合に、ダイバーシティ合成後の受信品質の劣化を抑制することができる。
【0027】
〔SC-FDE方式を用いた無線伝送システム〕
まず、SC-FDE方式を用いた無線伝送システムについて説明する。
図1は、本発明の実施形態によるシングルキャリア受信装置を含むSIMO SC-FDE方式を用いた無線伝送システムの全体構成例を示す概略図である。
【0028】
この無線伝送システムは、1本の送信アンテナ110を備えたシングルキャリア送信装置1、及びN本の受信アンテナ210を備えたシングルキャリア受信装置2により構成され、1×NのSIMO SC-FDE方式を適用したシステムである。
図12に示した無線伝送システムと同様に、Nは2以上の整数である。
【0029】
シングルキャリア送信装置1は、SC-FDE方式を用いた送信装置である。シングルキャリア送信装置1は、送信対象のデータを入力し、所定のキャリア変調方式にてマッピングする。そして、シングルキャリア送信装置1は、所定のキャリア変調方式にてマッピングしたデータ、差動変調したフレーム番号及びブロック番号を含むTMCC情報、及びUW(Unique Word:ユニークワード)等からなるSC-FDEブロックを生成する。
【0030】
シングルキャリア送信装置1は、直交変調及び高周波処理後のSC-FDEブロックの変調波を、送信アンテナ110を介して送信する。送信アンテナ110から送信された変調波は、伝搬路を介してN本の受信アンテナ210にて受信され、シングルキャリア受信装置2に入力される。
【0031】
シングルキャリア受信装置2は、SC-FDE方式を用いた受信装置である。シングルキャリア受信装置2は、シングルキャリア送信装置1から送信された変調波を、N本の受信アンテナ210を介して受信する。そして、シングルキャリア受信装置2は、各受信系統の受信ブランチにおいて、周波数領域における等化処理前のTMCC情報または等化処理後のTMCC情報に含まれるブロック番号を検出し、受信信号がダイバーシティ合成に寄与するか否かを判定する。
【0032】
シングルキャリア受信装置2は、ダイバーシティ合成に寄与する受信信号のみを用いて、周波数領域にて合成処理及び等化処理を行い、元のデータに復号して出力する。
【0033】
〔シングルキャリア送信装置1〕
次に、
図1に示したシングルキャリア送信装置1について説明する。
図2は、シングルキャリア送信装置1の構成例を示すブロック図である。このシングルキャリア送信装置1は、送信信号の変調波をシングルキャリアとして、1本の送信アンテナ110(図示せず)を介して無線伝送するシングルキャリア方式を用いた装置である。
【0034】
シングルキャリア送信装置1は、符号化部10、インターリーブ部11、マッピング部12、UW生成部13、TMCC生成部14、ブロック構成部15、直交変調部16及びDA変換部17を備えている。尚、本発明に直接関連しない構成部、例えば高周波処理部、電力増幅部等は省略してある。
【0035】
符号化部10は、送信対象のデータである情報ビット系列を入力し、情報ビット系列に対して符号化を行い、誤り訂正を目的とした誤り訂正符号を付加する。そして、符号化部10は、符号化後のデータをインターリーブ部11に出力する。情報ビット系列は、映像信号、音声信号、及びその他任意の情報である。
【0036】
インターリーブ部11は、符号化部10から符号化後のデータを入力し、符号化後のデータに対してビット、時間等のインターリーブを行い、インターリーブ後のデータをマッピング部12に出力する。
【0037】
マッピング部12は、インターリーブ部11からインターリーブ後のデータを入力し、インターリーブ後のデータに対し、所定のキャリア変調方式によりマッピングを行う。そして、マッピング部12は、マッピング後のデータをブロック構成部15に出力する。
【0038】
UW生成部13は、パイロット信号であるUWを生成し、これをブロック構成部15に出力する。UWは、当該シングルキャリア送信装置1とシングルキャリア受信装置2との間で既知の固定パターンである。
【0039】
TMCC生成部14は、SC-FDEブロックのフレーム番号及びブロック番号等に対し、遅延検波が可能な所定の差動変調方式にて変調を行う。そして、TMCC生成部14は、差動変調したフレーム番号及びブロック番号、並びに変調方式等を含むTMCC情報を生成し、これをブロック構成部15に出力する。
【0040】
図3は、TMCC生成部14の構成例を示すブロック図であり、DBPSK(Differential Binary Phase Shift Keying:差動二位相偏移変調)変調器の例を示している。このTMCC生成部14は、差動符号器20及びBPSK(Binary Phase Shift Keying:二位相偏移変調)変調器21を備えたDBPSK変調器により構成される。
【0041】
差動符号器20は、排他的論理和を演算する演算器、及び1ビット遅延させる遅延器を備えている。差動符号器20の演算器は、フレーム番号及びブロック番号等のそれぞれについてのビットデータbk、及び遅延器により1ビット遅延したビットデータdk-1に対して排他的論理和の演算を行う。そして、演算器は、演算結果のビットデータdkを遅延器及びBPSK変調器21に出力する。
【0042】
差動符号器20の遅延器は、演算器からビットデータdkを入力し、ビットデータdkを1ビット分遅延させ、ビットデータdk-1を演算器に出力する。
【0043】
BPSK変調器21は、差動符号器20からビットデータdkを入力し、ビットデータdkに対しBPSKの変調を行う。TMCC生成部14は、変調後のフレーム番号及びブロック番号、並びに変調方式等を含むTMCC情報をブロック構成部15に出力する。
【0044】
尚、
図3に示したTMCC生成部14では、DBPSK変調したTMCC情報を生成するようにした。これに対し、TMCC生成部14は、DQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying:差動四位相偏移変調)等の差動変調方式により変調したTMCC情報を生成するようにしてもよい。要するに、TMCC生成部14が用いる差動変調方式は、遅延検波が可能な方式であれば何でもよい。
【0045】
図4は、TMCC情報の構成例を説明する図である。TMCC情報は、データの変調方式及び符号化率、補助情報の変調方式及び符号化率、SC-FDEブロックのフレーム番号及びブロック番号、並びに予備(リザーブ)により構成される。
【0046】
TMCC情報の第0~2ビット(b0~b2)にはデータの変調方式、第3~4ビット(b3~b4)にはデータの符号化率が格納される。第5ビット(b5)には補助情報の変調方式、第6~7ビット(b6~b7)には補助情報の符号化率が格納される。
【0047】
第8~10ビット(b
8~b
10)にはフレーム番号、第11~18ビット(b
11~b
18)にはブロック番号が格納される。第19~22ビット(b
19~b
22)には予備としてビットデータ「1」が格納される。各ビットの割り当ては、
図4に示すとおりである。
【0048】
ブロック番号は、SC-FDEブロックの番号を示し、0~131の値が用いられる。フレーム番号は、ブロック番号が131を超えたときに(131から0に変化したときに)インクリメントされ、0~4の値が用いられる。つまり、TMCC情報に含まれるフレーム番号及びブロック番号は、SC-FDEブロック毎にインクリメントされる。
【0049】
図2に戻って、ブロック構成部15は、マッピング部12からマッピング後のデータを入力すると共に、UW生成部13からUWを入力し、また、TMCC生成部14からTMCC情報を入力する。さらに、ブロック構成部15は、図示しない補助情報を入力する。
【0050】
ブロック構成部15は、TMCC情報、補助情報及びマッピング後のデータの前後にUWを挿入し、SC-FDEブロックを構成する。そして、ブロック構成部15は、SC-FDEブロックの系列を直交変調部16に出力する。
【0051】
図5は、SC-FDEブロックの構成例を説明する図である。横軸は時間を示す。このSC-FDEブロックは、先頭のUW、伝送制御情報(TMCC情報)、補助情報、データ及び後方のUWにより構成される。
【0052】
データは、情報ビット系列が所定の変調方式にてマッピングされたものである。TMCC情報は、所定の差動変調方式にてマッピングされた情報である。補助情報は、所定の変調方式にてマッピングされた情報である。
【0053】
先頭のUW及び後方のUWは、TMCC情報、補助情報及びデータの前後に挿入されている。
【0054】
図2に戻って、直交変調部16は、ブロック構成部15からSC-FDEブロックの系列を入力し、SC-FDEブロックの系列に対し直交変調処理を行う。そして、直交変調部16は、直交変調後のデジタル信号をDA変換部17に出力する。
【0055】
DA変換部17は、直交変調部16から直交変調後のデジタル信号を入力し、デジタル信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号を出力する。DA変換部17により出力されたアナログ信号は、図示しない周波数変換部において、その周波数が無線周波数に変換され、図示しない電力増幅部において、無線周波数の変調信号が所定の電力に増幅される。そして、増幅された無線周波数の信号は、変調波として送信アンテナ110を介して送信される。
【0056】
このように、シングルキャリア送信装置1は、SC-FDEブロックのフレーム番号及びブロック番号に対し、遅延検波が可能な所定の差動変調方式にて変調を行い、差動変調したフレーム番号及びブロック番号を含むTMCC情報を生成する。そして、シングルキャリア送信装置1は、UW、TMCC情報、補助情報及びデータを含むSC-FDEブロックを構成し、このSC-FDEブロックを連続して繰り返した信号の変調波を送信する。
【0057】
〔シングルキャリア受信装置2〕
次に、
図1に示したシングルキャリア受信装置2について説明する。
図6は、本発明の実施形態によるシングルキャリア受信装置2の構成例を示すブロック図である。このシングルキャリア受信装置2は、シングルキャリア送信装置1から送信された送信信号の変調波を、N本の受信アンテナ210を介して受信するシングルキャリア方式を用いた装置である。
【0058】
前述のとおり、シングルキャリア受信装置2は、各受信系統の受信ブランチにおいて、受信信号であるSC-FDEブロックの信号からTMCC情報に含まれるブロック番号を検出し、受信信号がダイバーシティ合成に寄与するか否かを判定する。そして、シングルキャリア受信装置2は、ダイバーシティ合成に寄与する受信信号のみを用いて周波数領域の信号の合成処理及び等化処理を行い、元のデータに復号して出力する。
【0059】
シングルキャリア受信装置2は、N本の受信アンテナ210、N個の受信ブランチ30-1,・・・,30-N、合成/周波数領域等化部31、逆フーリエ変換部32、ビット尤度計算部33、デインターリーブ部34及び復号部35を備えている。以下、受信ブランチ30-1,・・・,30-Nを総称して、受信ブランチ30という。
【0060】
受信ブランチ30は、シングルキャリア送信装置1から送信された変調波を、対応する受信アンテナ210を介して受信し、受信信号を入力する。受信ブランチ30は、受信信号に対して所定の受信処理を行い、ブロック同期後のSC-FDEブロックの信号から、TMCC情報に含まれるブロック番号を検出し、受信信号がダイバーシティ合成に寄与するか否かを判定し、判定結果を生成する。判定結果は、N個の受信ブランチ30のそれぞれにおいて生成され、ダイバーシティ合成に寄与することを示す「可」、またはダイバーシティ合成に寄与しないことを示す「不可」である。
【0061】
受信ブランチ30は、ブロック同期後のSC-FDEブロックの信号をフーリエ変換して周波数領域の信号を生成し、ブロック同期後のSC-FDEブロックの信号に含まれるUWに基づいて、チャネル推定を行うことで伝搬路情報を生成する。また、受信ブランチ30は、ブロック同期後のSC-FDEブロックの信号に含まれるUWに基づいて、雑音電力を検出する。
【0062】
受信ブランチ30は、SC-FDEブロック毎に、判定結果、周波数領域の信号、伝搬路情報及び雑音電力を合成/周波数領域等化部31に出力する。
【0063】
ここで、受信ブランチ30は、第一例として、周波数等化前のTMCC情報に含まれるブロック番号を検出し、受信信号がダイバーシティ合成に寄与するか否かを判定する。また、受信ブランチ30は、第二例として、周波数等化後のTMCC情報に含まれるブロック番号を検出し、受信信号がダイバーシティ合成に寄与するか否かを判定する。第一例及び第二例の詳細については後述する。
【0064】
合成/周波数領域等化部31は、N個の受信ブランチ30のそれぞれから、判定結果、周波数領域の信号、伝搬路情報及び雑音電力を入力する。
【0065】
合成/周波数領域等化部31は、判定結果が「可」を示している全ての受信ブランチ30から入力した周波数領域の信号、伝搬路情報及び雑音電力のみを用いて、周波数領域の信号の合成処理及び等化処理を行うことで、ダイバーシティ合成を行う。つまり、合成/周波数領域等化部31は、判定結果が「不可」を示している受信ブランチ30から入力した周波数領域の信号、伝搬路情報及び雑音電力について、ダイバーシティ合成の処理から除外する。
【0066】
合成/周波数領域等化部31は、合成処理及び等化処理後の周波数領域の信号を逆フーリエ変換部32に出力する。尚、合成/周波数領域等化部31の処理は既知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0067】
逆フーリエ変換部32は、合成/周波数領域等化部31から合成処理及び等化処理後の周波数領域の信号を入力し、当該信号に対して逆フーリエ変換を行い、時間領域の信号を生成する。そして、逆フーリエ変換部32は、時間領域の信号をビット尤度計算部33に出力する。
【0068】
ビット尤度計算部33は、逆フーリエ変換部32から時間領域の信号を入力し、時間領域の信号に対してデマッピング及び尤度計算を行う。そして、ビット尤度計算部33は、尤度系列を形成し、尤度系列をデインターリーブ部34に出力する。
【0069】
デインターリーブ部34は、ビット尤度計算部33から尤度系列を入力する。そして、デインターリーブ部34は、尤度系列に対し、
図2に示したインターリーブ部11に対応するビット、時間等のデインターリーブを行い、デインターリーブ後の尤度系列を復号部35に出力する。
【0070】
復号部35は、デインターリーブ部34からデインターリーブ後の尤度系列を入力し、
図2に示した符号化部10に対応する誤り訂正復号処理等を行うことで、元のデータに復号して出力する。
【0071】
(受信ブランチ30/第一例)
次に、
図6に示した受信ブランチ30について詳細に説明する。まず、第一例について説明する。前述のとおり、第一例の受信ブランチ30は、周波数等化前のTMCC情報に含まれるブロック番号を検出し、受信信号がダイバーシティ合成に寄与するか否かを判定する。
【0072】
図7は、第一例の受信ブランチ30の構成例を示すブロック図である。この受信ブランチ30aは、受信処理部40、TMCC検出部41、合成寄与判定部42、フーリエ変換部43、チャネル推定部44及び雑音電力検出部45を備えている。受信ブランチ30aは、N本の受信アンテナ210のそれぞれに対応して設けられる。
【0073】
受信ブランチ30aは、受信信号を入力し、SC-FDEブロック毎に処理を行い、「可」または「不可」の判定結果、周波数領域の信号、伝搬路情報及び雑音電力を合成/周波数領域等化部31に出力する。
【0074】
受信処理部40は、シングルキャリア送信装置1から送信された送信信号の変調波を、受信アンテナ210を介して受信し、受信信号として入力する。そして、受信処理部40は、受信信号に対して直交復調、ブロック同期等の所定の受信処理を行い、ブロック同期後の信号を生成する。
【0075】
受信処理部40は、ブロック同期後の信号をTMCC検出部41、フーリエ変換部43、チャネル推定部44及び雑音電力検出部45に出力する。尚、受信処理部40による受信処理は既知である。
【0076】
図8は、受信処理部40の構成例を示すブロック図である。この受信処理部40は、AD変換部50、直交復調部51、デシメーション部52、AFC(Automatic Frequency Control:自動周波数制御)補正部53、ルートロールオフフィルタ54、ブロック同期部55,56を備えている。
【0077】
受信処理部40に入力された受信信号は、図示しない周波数変換部において、その無線周波数が中間周波数に変換され、中間周波数の信号がAD変換部50に入力される。
【0078】
AD変換部50は、中間周波数のアナログ信号を入力し、アナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号を直交復調部51に出力する。
【0079】
直交復調部51は、AD変換部50からデジタル信号を入力し、デジタル信号に対して直交復調を行い、直交復調後の信号をデシメーション部52に出力する。
【0080】
デシメーション部52は、直交復調部51から直交復調後の信号を入力し、直交復調後の信号に対してデシメーションを行い、デシメーション後の信号をAFC補正部53に出力する。
【0081】
AFC補正部53は、デシメーション部52からデシメーション後の信号を入力すると共に、ブロック同期部55から位相差情報を入力する。そして、AFC補正部53は、位相差情報に基づいて、周波数ずれを補正するための補正情報を生成し、補正情報に基づいて、デシメーション後の信号に対して自動周波数制御を行い、周波数ずれを補正する。そして、AFC補正部53は、周波数補正後の信号をルートロールオフフィルタ54に出力する。
【0082】
ルートロールオフフィルタ54は、AFC補正部53から周波数補正後の信号を入力し、周波数補正後の信号に対し、帯域制限を行うためのルートオフフィルタにより波形を整形する。そして、ルートロールオフフィルタ54は、波形整形後の信号をブロック同期部55に出力する。
【0083】
ブロック同期部55は、ルートロールオフフィルタ54から波形整形後の信号を入力し、波形整形後の信号の自己相関によりSC-FDEブロックの同期タイミングを検出する。そして、ブロック同期部55は、自己相関によるブロック同期後の信号をブロック同期部56に出力する。また、ブロック同期部55は、AFC補正部53による自動周波数制御のために、位相差情報を生成してAFC補正部53に出力する。
【0084】
ブロック同期部56は、ブロック同期部55から自己相関によるブロック同期後の信号を入力し、当該信号の相互相関によりSC-FDEブロックの同期タイミングを検出する。そして、ブロック同期部56は、ブロック同期後の信号をTMCC検出部41、フーリエ変換部43、チャネル推定部44及び雑音電力検出部45に出力する。
【0085】
このように、受信処理部40からブロック同期後の信号、すなわちSC-FDEブロック毎に、先頭のUW、TMCC情報、補助情報、データ及び後方のUWが出力される。
【0086】
図7に戻って、TMCC検出部41は、受信処理部40からブロック同期後の信号を入力し、ブロック同期後の信号から、差動変調されたTMCC情報を抽出する。
【0087】
TMCC検出部41は、差動変調されたTMCC情報に対し、
図2に示したTMCC生成部14における所定の差動変調方式に対応する所定の差動復調方式にて復調を行うことで遅延検波し、SC-FDEブロックのフレーム番号及びブロック番号を検出する。そして、TMCC検出部41は、フレーム番号及びブロック番号を合成寄与判定部42に出力する。
【0088】
TMCC情報は、
図2に示したTMCC生成部14により遅延検波が可能な差動変調方式にて変調されているため、遅延検波により周波数領域等化の前に、フレーム番号及びブロック番号を復元することができる。
【0089】
図9は、TMCC検出部41の構成例を示すブロック図であり、DBPSK復調器の例を示している。
図9に示すTMCC検出部41のDBPSK復調器は、
図3に示したTMCC生成部14のDBPSK変調器に対応している。
【0090】
このTMCC検出部41は、BPSK復調器60及び差動復号器61を備えたDBPSK復調器により構成される。
【0091】
BPSK復調器60は、差動変調されたTMCC情報(フレーム番号及びブロック番号、並びに変調方式等を含むTMCC情報)を入力し、変調されたTMCC情報に対してBPSKの復調を行い、ビットデータdkを生成する。BPSK復調器60は、ビットデータdkを差動復号器61に出力する。
【0092】
差動復号器61は、排他的論理和を演算する演算器、及び1ビット遅延させる遅延器を備えている。差動復号器61の演算器は、BPSK復調器60から入力したビットデータdk、及び遅延器により1ビット遅延したビットデータdk-1に対して排他的論理和の演算を行う。そして、演算器は、演算結果のビットデータbkを出力する。
【0093】
差動復号器61の遅延器は、BPSK復調器60から入力したビットデータdkを1ビット分遅延させ、ビットデータdk-1を演算器に出力する。
【0094】
差動復号器61により出力されたビットデータbkは、フレーム番号及びブロック番号、並びに変調方式等からなるTMCC情報であり、TMCC情報に含まれるフレーム番号及びブロック番号が合成寄与判定部42に出力される。
【0095】
尚、
図9に示したTMCC検出部41では、DBPSK変調されたTMCC情報に対してDBPSK復調を行うことにより、フレーム番号及びブロック番号を検出するようにした。これに対し、TMCC検出部41は、
図3に示したTMCC生成部14によりTMCC情報がDQPSK変調されている場合、DQPSK変調されたTMCC情報に対してDQPSK復調を行う。要するに、TMCC検出部41は、TMCC生成部14が用いる差動変調方式に対応した差動復調方式にて、遅延検波すればよい。
【0096】
図7に戻って、合成寄与判定部42は、TMCC検出部41からフレーム番号及びブック番号を入力し、ブロック番号に基づいて判定結果を生成し、判定結果を合成/周波数領域等化部31に出力する。判定結果には、ダイバーシティ合成に寄与する場合に「可」が設定され、ダイバーシティ合成に寄与しない場合に「不可」が設定される。
【0097】
図10は、合成寄与判定部42の処理例を示すフローチャートである。合成寄与判定部42は、SC-FDEブロック毎に、ステップS1001~S1005の処理を行う。合成寄与判定部42は、TMCC検出部41からフレーム番号及びブロック番号を入力し(ステップS1001)、ブロック番号を判別できるか否かを判定する(ステップS1002)。
【0098】
合成寄与判定部42は、ステップS1002において、ブロック番号を判別できると判定した場合(ステップS1002:Y)、ステップS1003へ移行する。一方、合成寄与判定部42は、ステップS1002において、ブロック番号を判別できないと判定した場合(ステップS1002:N)、ステップS1005へ移行する。
【0099】
例えば、合成寄与判定部42は、TMCC検出部41によりブロック番号が検出されない場合、すなわちブロック番号を復調できない場合に、ブロック番号を判別できないと判定する。これは、当該受信ブランチ30aが入力する受信信号の遅延が大きい場合、シングルキャリア送信装置1から送信された変調波を受信できない場合に生じる可能性がある。また、合成寄与判定部42は、ブロック番号が
図4に示したブロック番号の範囲(0~131)外の場合、ブロック番号を判別できないと判定する。
【0100】
合成寄与判定部42は、ステップS1002(Y)から移行して、ブロック番号が連続しているか否かを判定する(ステップS1003)。具体的には、合成寄与判定部42は、入力したブロック番号を保持しておき、次にブロック番号を入力したときに、直前に保持したブロック番号(直前に入力したブロック番号)と今回入力したブロック番号とが連続しているか否かを判定する。
【0101】
合成寄与判定部42は、ステップS1003において、ブロック番号が連続していると判定した場合(ステップS1003:Y)、当該受信ブランチ30aが入力した受信信号がダイバーシティ合成に寄与すると判断する。そして、合成寄与判定部42は、「可」の判定結果を生成し、「可」の判定結果を合成/周波数領域等化部31に出力する(ステップS1004)。
【0102】
例えば、合成寄与判定部42は、
図4に示したブロック番号の範囲(0~131)内でループするブロック番号を順次入力した場合、入力したブロック番号が連番であるとして、ブロック番号が連続していると判定する。
【0103】
一方、合成寄与判定部42は、ステップS1003において、ブロック番号が連続していないと判定した場合(ステップS1003:N)、ステップS1005へ移行する。そして、合成寄与判定部42は、ステップS1002(N)またはステップS1003(N)から移行して、当該受信ブランチ30aが入力した受信信号がダイバーシティ合成に寄与しないと判断する。そして、合成寄与判定部42は、「不可」の判定結果を生成し、「不可」の判定結果を合成/周波数領域等化部31に出力する(ステップS1005)。
【0104】
合成寄与判定部42は、ステップS1005の後、TMCC検出部41から入力するブロック番号を観測する。そして、合成寄与判定部42は、予め設定された時間期間、ブロック番号を判別でき、かつブロック番号が連続していることを確認した場合に、その後のSC-FDEブロックについて、ステップS1001~S1005の処理を行う。
【0105】
つまり、合成寄与判定部42は、受信信号がダイバーシティ合成に寄与しないため、「不可」の判定結果を出力した後、受信信号がダイバーシティ合成に寄与することを所定の時間期間確認した後、「可」の判定結果を出力する。
【0106】
ここで、合成寄与判定部42は、予め設定された時間期間の代わりに、予め設定されたSC-FDEブロックの回数を用いるようにしてもよい。この場合、合成寄与判定部42は、予め設定されたSC-FDEブロックの回数分、ブロック番号を判別でき、かつブロック番号が連続していることを確認した場合に、その後のSC-FDEブロックについて、ステップS1001~S1005の処理を行う。
【0107】
尚、合成寄与判定部42は、ブロック番号を判別できるか否かを判定すると共に、ブロック番号が連続しているか否かを判定するようにしたが、これらのうちの一方のみを判定するようにしてもよい。
【0108】
この場合、合成寄与判定部42は、ブロック番号を判別できるか否かを判定し、ブロック番号を判別できると判定した場合、「可」の判定結果を生成して出力し、ブロック番号を判別できないと判定した場合、「不可」の判定結果を生成して出力する。
【0109】
また、合成寄与判定部42は、ブロック番号が連続しているか否かを判定し、ブロック番号が連続していると判定した場合、「可」の判定結果を生成して出力し、ブロック番号が連続していないと判定した場合、「不可」の判定結果を生成して出力する。
【0110】
また、合成寄与判定部42は、予め設定された時間期間、TMCC検出部41からフレーム番号及びブロック番号を入力しない場合、当該受信ブランチ30aにおける受信信号の入力がないと判断し、「不可」の判定結果を生成して出力する。これにより、合成/周波数領域等化部31は、受信信号の入力がない受信ブランチ30aについて、ダイバーシティ合成の処理から除外することができる。
【0111】
図7に戻って、フーリエ変換部43は、受信処理部40からブロック同期後の信号を入力する。そして、フーリエ変換部43は、SC-FDEブロック毎に、TMCC情報、補助情報、データ及び後方のUWに関する時間領域の信号に対してフーリエ変換を行い、TMCC情報、補助情報、データ及び後方のUWに関する周波数領域の信号を生成する。そして、フーリエ変換部43は、周波数領域の信号を合成/周波数領域等化部31に出力する。
【0112】
チャネル推定部44は、受信処理部40からブロック同期後の信号を入力し、SC-FDEブロック毎に、先頭のUWに関する時間領域の信号に対してフーリエ変換を行い、先頭のUWに関する周波数領域の信号を生成する。そして、チャネル推定部44は、先頭のUWに関する周波数領域の信号を、予め設定されたUWの周波数領域の信号で除算することでチャネル推定を行い、伝搬路情報を求める。チャネル推定部44は、伝搬路情報を合成/周波数領域等化部31に出力する。
【0113】
雑音電力検出部45は、受信処理部40からブロック同期後の信号を入力し、SC-FDEブロック毎に、1ブロック手前の後方のUWに関する時間領域の信号、及び当該ブロックの先頭のUWに関する時間領域の信号に基づいて、雑音電力を求める。雑音電力検出部45は、雑音電力を合成/周波数領域等化部31に出力する。
【0114】
このように、TMCC検出部41において、周波数等化前のTMCC情報からフレーム番号及びブロック番号が検出される。そして、合成寄与判定部42において、ブロック番号を判別でき、かつブロック番号が連続していると判定された場合、受信信号がダイバーシティ合成に寄与すると判断される。そして、当該受信ブランチ30aから出力される周波数領域の信号、伝搬路情報及び雑音電力をダイバーシティ合成に使用することを指示するために、「可」の判定結果が合成/周波数領域等化部31に出力される。
【0115】
一方、合成寄与判定部42において、ブロック番号を判別することができないと判定された場合、またはブロック番号が連続していないと判定された場合、受信信号がダイバーシティ合成に寄与しないと判断される。そして、当該受信ブランチ30aから出力される周波数領域の信号、伝搬路情報及び雑音電力をダイバーシティ合成に使用しないことを指示するために、「不可」の判定結果が合成/周波数領域等化部31に出力される。
【0116】
(受信ブランチ30/第二例)
次に、
図6に示した受信ブランチ30について、第二例を説明する。前述のとおり、第二例の受信ブランチ30は、周波数等化後のTMCC情報に含まれるブロック番号を検出し、受信信号がダイバーシティ合成に寄与するか否かを判定する。
【0117】
図11は、第二例の受信ブランチの構成例を示すブロック図である。この受信ブランチ30bは、受信処理部40、フーリエ変換部43、チャネル推定部44及び雑音電力検出部45、周波数領域等化部46、TMCC検出部41、合成寄与判定部42、及び遅延器47,48,49を備えている。受信ブランチ30bは、N本の受信アンテナ210のそれぞれに対応して設けられる。
【0118】
受信ブランチ30bは、受信信号を入力し、SC-FDEブロック毎に処理を行い、「可」または「不可」の判定結果、周波数領域の信号、伝搬路情報及び雑音電力を合成/周波数領域等化部31に出力する。
【0119】
受信処理部40は、
図7に示した受信処理部40と同様の処理を行い、ブロック同期後の信号をフーリエ変換部43、チャネル推定部44及び雑音電力検出部45に出力する。
【0120】
フーリエ変換部43、チャネル推定部44及び雑音電力検出部45は、
図7に示したフーリエ変換部43、チャネル推定部44及び雑音電力検出部45と同様の処理を行う。
【0121】
フーリエ変換部43は、周波数領域の信号(TMCC情報、補助情報、データ及び後方のUWに関する周波数領域の信号)を周波数領域等化部46及び遅延器47に出力する。また、チャネル推定部44は、伝搬路情報を周波数領域等化部46及び遅延器48に出力し、雑音電力検出部45は、雑音電力を周波数領域等化部46及び遅延器49に出力する。
【0122】
周波数領域等化部46は、フーリエ変換部43から周波数領域の信号を入力すると共に、チャネル推定部44から伝搬路情報を入力し、雑音電力検出部45から雑音電力を入力する。そして、周波数領域等化部46は、伝搬路情報及び雑音電力に基づいて周波数領域の信号を等化し、等化後の周波数領域の信号をTMCC検出部41に出力する。
【0123】
TMCC検出部41は、周波数領域等化部46から等化後の周波数領域の信号を入力し、等化後の周波数領域の信号から、差動変調されたTMCC情報を抽出する。そして、TMCC検出部41は、
図7に示したTMCC検出部41と同様の処理を行い、SC-FDEブロックのフレーム番号及びブロック番号を検出し、フレーム番号及びブロック番号を合成寄与判定部42に出力する。
【0124】
合成寄与判定部42は、
図7に示した合成寄与判定部42と同様の処理を行い、「可」または「不可」の判定結果を合成/周波数領域等化部31に出力する。
【0125】
遅延器47は、フーリエ変換部43から周波数領域の信号を入力し、周波数領域の信号を所定時間遅延させ、遅延させた周波数領域の信号を合成/周波数領域等化部31に出力する。
【0126】
遅延器48は、チャネル推定部44から伝搬路情報を入力し、伝搬路情報を所定時間遅延させ、遅延させた伝搬路情報を合成/周波数領域等化部31に出力する。また、遅延器49は、雑音電力検出部45から雑音電力を入力し、雑音電力を所定時間遅延させ、遅延させた雑音電力を合成/周波数領域等化部31に出力する。
【0127】
遅延器47,48,49における遅延時間(所定時間)は、周波数領域等化部46、TMCC検出部41及び合成寄与判定部42における処理の合計時間に相当する。
【0128】
これにより、周波数領域等化部46、TMCC検出部41及び合成寄与判定部42の処理に伴う判定結果の時間遅延は、遅延器47,48,49において吸収することができる。つまり、受信ブランチ30bは、SC-FDEブロックに対応する判定結果、周波数領域の信号、伝搬路情報及び雑音電力を、同じタイミングで合成/周波数領域等化部31に出力することができる。
【0129】
このように、TMCC検出部41において、周波数等化後のTMCC情報からフレーム番号及びブロック番号が検出される。これにより、
図7に示した第一例に比べ、フレーム番号及びブロック番号の検出精度を向上させることができる。
【0130】
そして、合成寄与判定部42において、TMCC検出部41により検出されたブロック番号に基づいて、受信信号がダイバーシティ合成に寄与するか否かが判断されるから、ダイバーシティ合成の寄与判断の精度を向上させることができる。結果として、精度の高いデータの復号処理を実現することができる。
【0131】
以上のように、本発明の実施形態によるシングルキャリア受信装置2によれば、N本の受信アンテナ210に対応する受信系統の受信ブランチ30は、受信信号に対して所定の受信処理を行い、ブロック同期後のSC-FDEブロックの信号から、TMCC情報に含まれるブロック番号を検出する。
【0132】
ここで、第一例の受信ブランチ30aは、周波数等化前のTMCC情報を遅延検波することで、ブロック番号を検出する。また、第二例の受信ブランチ30bは、周波数等化後のTMCC情報を遅延検波することで、ブロック番号を検出する。
【0133】
受信ブランチ30は、ブロック番号を判別でき、かつブロック番号が連続していると判定した場合、受信信号がダイバーシティ合成に寄与すると判断し、「可」の判定結果を生成する。一方、受信ブランチ30は、ブロック番号を判別できないと判定した場合、またはブロック番号が連続していないと判定した場合、受信信号がダイバーシティ合成に寄与しないと判断し、「不可」の判定結果を生成する。
【0134】
また、受信ブランチ30は、ブロック同期後のSC-FDEブロックの信号をフーリエ変換して周波数領域の信号を生成し、ブロック同期後のSC-FDEブロックの信号に含まれるUWに基づいて、チャネル推定を行うことで伝搬路情報を生成する。また、受信ブランチ30は、ブロック同期後のSC-FDEブロックの信号に含まれるUWに基づいて、雑音電力を検出する。
【0135】
合成/周波数領域等化部31は、判定結果が「可」を示している全ての受信ブランチ30が出力する周波数領域の信号、伝搬路情報及び雑音電力のみを用いて、周波数領域の信号の合成処理及び等化処理を行うことで、ダイバーシティ合成を行う。
【0136】
これにより、例えば一部の受信ブランチ30の受信信号が遅延している場合には、当該受信信号をダイバーシティ合成に使用しないようにしたため、ダイバーシティ合成の精度が向上し、ダイバーシティ合成の効果を最大限に得ることができる。つまり、SC-FDE方式を用いた無線伝送システムにおいて、一部の受信ブランチ30の受信信号が遅延している場合に、ダイバーシティ合成後の受信品質の劣化を抑制することができる。
【0137】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【符号の説明】
【0138】
1,100 シングルキャリア送信装置
2,200 シングルキャリア受信装置
10,101 符号化部
11,102 インターリーブ部
12,103 マッピング部
13 UW(Unique Word:ユニークワード)生成部
14 TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control:伝送制御)生成部
15,104 ブロック構成部
16,105 直交変調部
17 DA変換部
20 差動符号器
21 BPSK(Binary Phase Shift Keying:二位相偏移変調)変調器
30,30-1,・・・,30-N 受信ブランチ
31,204 合成/周波数領域等化部
32 逆フーリエ変換部
33 ビット尤度計算部
34,206 デインターリーブ部
35,207 復号部
40 受信処理部
41 TMCC検出部
42 合成寄与判定部
43 フーリエ変換部
44 チャネル推定部
45 雑音電力検出部
46 周波数領域等化部
47,48,49 遅延器
50 AD変換部
51,202-1,・・・,202-N 直交復調部
52 デシメーション部
53 AFC(Automatic Frequency Control:自動周波数制御)補正部
54 ルートロールオフフィルタ
55,56,203-1,・・・,203-N ブロック同期部
60 BPSK復調器
61 差動復号器
110 送信アンテナ
205 デマッピング部
210,210-1,・・・,210-N 受信アンテナ