(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068520
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】精製サラシア属植物抽出物の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20220427BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220427BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220427BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220427BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220427BHJP
A61K 36/185 20060101ALN20220427BHJP
【FI】
A23L33/105
A61P3/10
A61P17/00
A61P31/04
A61P29/00 101
A61K36/185
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177257
(22)【出願日】2020-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】植田 文教
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
【Fターム(参考)】
4B018MD48
4B018ME02
4B018ME03
4B018MF01
4B018MF10
4C088AB12
4C088AC01
4C088BA08
4C088NA09
4C088ZA89
4C088ZB15
4C088ZB35
4C088ZC35
(57)【要約】
【課題】精製に伴うサラシノールの回収率を大きく低減させず、サラシノール濃度を維持し、かつ風味(臭い及び/又は苦み)を改善した精製サラシア属植物抽出物の製造方法を提供すること。
【解決手段】サラシア属植物抽出物と溶媒とを含む抽出液に対して、次亜塩素酸ナトリウムを0.01~1質量%で添加する工程を含む、又は次亜塩素酸及びその塩の少なくとも一種を用いて有効塩素濃度30~5000mg/Lで添加する工程を含む精製サラシア属植物抽出物の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サラシア属植物抽出物と溶媒とを含む抽出液に対して、次亜塩素酸ナトリウムを0.01質量%~1質量%で添加する工程を含む精製サラシア属植物抽出物の製造方法。
【請求項2】
抽出液のpHが5.0~8.0である請求項1に記載の精製サラシア属植物抽出物の製造方法。
【請求項3】
サラシア属植物抽出物が、サラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種と溶媒とを含む抽出液から得られるサラシア属植物抽出物であり、0℃~30℃の範囲で抽出される請求項1又は2に記載の精製サラシア属植物抽出物の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法により製造される精製サラシア属植物抽出物。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法により製造される精製サラシア属植物抽出物を配合する工程を含む食品又はサプリメントの製造方法。
【請求項6】
サラシア属植物抽出物と溶媒とを含む抽出液に対して、次亜塩素酸及びその塩の少なくとも一種を用いて有効塩素濃度30mg/L~5000mg/Lで添加する工程を含む精製サラシア属植物抽出物の製造方法。
【請求項7】
抽出液のpHが5.0~8.0である請求項6に記載の精製サラシア属植物抽出物の製造方法。
【請求項8】
サラシア属植物抽出物が、サラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種と溶媒とを含む抽出液から抽出されるサラシア属植物抽出物であり、0℃~30℃で抽出される請求項6又は7に記載の精製サラシア属植物抽出物の製造方法。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載の製造方法により製造される精製サラシア属植物抽出物。
【請求項10】
請求項6~8のいずれか1項に記載の製造方法により製造される精製サラシア属植物抽出物を配合する工程を含む食品又はサプリメントの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、精製サラシア属植物抽出物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サラシア属植物の根及び/又は幹は、インド及びスリランカの伝統医学アーユルヴェーダにおいて天然薬物として利用されてきた。スリランカでは、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)の根皮が、リュウマチ、淋病及び皮膚病の治療に有効であること、そして上記の根皮を初期糖尿病の治療に用いることが伝承されている。
【0003】
近年、サラシア属植物抽出物が、種々のポリフェノール(及びキサントン配糖体であるマンジフェリン)を含有することが報告されている。ポリフェノールは、苦味、渋味、収斂味、エグ味、雑味として感じられ、食品として摂取する際、摂取者に不快感を与えることがある。ポリフェノールなどの成分は、苦味、渋味、収斂味、エグ味、雑味として感じられ、食品として摂取する際、消費者に不快感を与えることがある。
【0004】
サラシア属植物抽出物を精製した場合、風味、特にサラシア属植物特有の臭い及び/又は苦みの低減の改善が求められている。その改善として、サラシア属植物抽出物に関して活性炭を用いて苦味物質を減少させることが報告されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/065396号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のサラシア属植物抽出物の精製方法において、苦味を低減させることはできたが、サラシア属植物抽出物の色を低減することは難しかった。サラシア属植物抽出物を食品で使用する場合、その色のために用途が限られることがある。したがって、サラシア属植物抽出物の色を低減した精製サラシア属植物抽出物の開発が求められている。また、サラシア属植物抽出物を精製する場合、サラシア属植物抽出物の有効成分であるサラシノール回収率の他、その濃度を低減させないことが求められている。
【0007】
精製による有効成分サラシノールの回収率の低下は、製造コストの観点から好ましくない。また、サラシノール濃度の低下は、サラシア属植物抽出物の活性が低減されることとなるため、摂取量が増えて摂取者の負担が増加することがある。また、製剤又は食品等への加工を行わずに、そのまま経口摂取可能な精製されたサラシア属植物抽出物とするために、苦味を低減し、摂取しやすい抽出物とすることは重要である。
【0008】
本開示では、上述した観点を鑑みて、精製に伴うサラシノールの回収率を低減させず、かつ色と風味(臭い及び/又は苦みなど)を改善した精製サラシア属植物抽出物の製造方法、精製サラシア属植物抽出物、及びそれを配合する工程を含む食品又はサプリメントの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
サラシア属植物抽出物から精製サラシア属植物抽出物を得る場合、精製によって有効成分の回収率が低下しやすいため、一般的にサラシア属植物抽出物に対して精製処理を行わない。
【0010】
しかしながら、本発明者の鋭意検討により、精製サラシア属植物抽出物の製造方法であって、
サラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種を含むサラシア属植物抽出物と溶媒とを含む抽出液に対して、次亜塩素酸ナトリウムを0.01質量%~1質量%で添加する工程を含むこと、又は
サラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種を含むサラシア属植物抽出物と溶媒とを含む抽出液に対して、次亜塩素酸及びその塩の少なくとも一種を用いて有効塩素濃度30~5000mg/Lの範囲で添加する工程を含むこと
が上記課題を解決する有効な手段であることを明らかにした。
【0011】
この点について、本発明者らは以下のように推測している。
サラシア属植物特有の色、風味(臭い及び/又は苦みなど)は、サラシア属植物が含有するポリフェノール類、脂質類などの成分(以下、特定成分とも称する)が原因と考えられる。次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸又はその塩は、これら特定成分と反応して除去されて、得られる精製サラシア属植物抽出物中に含まれる特定成分の含有量が精製前と比較して相対的に減少する結果、サラシア属植物抽出物の色、風味が改善するものと考えられる。
【0012】
なお、上記の推測は、本開示の一実施形態の効果を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
【0013】
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
【0014】
[1]サラシア属植物抽出物と溶媒とを含む抽出液に対して、次亜塩素酸ナトリウムを0.01質量%~1質量%で添加する工程を含む精製サラシア属植物抽出物の製造方法。
[2] 抽出液のpHが5.0~8.0である上記[1]に記載の精製サラシア属植物抽出物の製造方法。
[3] サラシア属植物抽出物が、サラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種と溶媒とを含む抽出液から得られるサラシア属植物抽出物であり、0℃~30℃で抽出される上記[1]又は[2]に記載の精製サラシア属植物抽出物の製造方法。
[4]上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の製造方法により製造される精製サラシア属植物抽出物。
[5]上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の製造方法により製造される精製サラシア属植物抽出物を配合する工程を含む食品又はサプリメントの製造方法。
[6] サラシア属植物抽出物と溶媒とを含む抽出液に対して、次亜塩素酸及びその塩の少なくとも一種を用いて有効塩素濃度30mg/L~5000mg/Lで添加する工程を含む精製サラシア属植物抽出物の製造方法。
[7]抽出液のpHが5.0~8.0である上記[6]に記載の精製サラシア属植物抽出物の製造方法。
[8] サラシア属植物抽出物が、サラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種と溶媒とを含む抽出液から抽出されるサラシア属植物抽出物であり、0℃~30℃で抽出される上記[6]又は[7]に記載の精製サラシア属植物抽出物の製造方法。
[9]上記[6]~[8]のいずれか1項に記載の製造方法により製造される、精製サラシア属植物抽出物。
[10] 上記[6]~[8]のいずれか1項に記載の製造方法により製造される、精製サラシア属植物抽出物を配合する工程を含む食品又はサプリメントの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、精製に伴うサラシノールなどの有効成分の回収率を大きく低減させず、かつ色と風味(臭い及び/又は苦み)を改善した精製サラシア属植物抽出物の製造方法及び精製サラシア属植物抽出物を提供することができる。
また、本開示によれば、製剤又は食品等への加工を行わずにそのまま経口摂取可能な精製サラシア属植物抽出物の製造方法、精製サラシア属植物抽出物を提供できる。
さらに、本開示によれば、本開示の製造方法により製造される精製サラシア属植物抽出物を配合することを含む食品又はサプリメントの製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態の一例について説明する。但し、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
【0017】
本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0018】
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0019】
(サラシア属植物)
サラシア属植物は、主としてスリランカ、インド及び東南アジア地域に自生するデチンムル科の植物である。サラシア属植物の具体例としては、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・プリノイデス(Salacia prinoides)、サラシア・キネンシス(Salacia chinensis)、サラシア・ラティフォリア(Salacia latifolia)、サラシア・ブルノニアーナ(Salacia burunoniana)、サラシア・グランディフローラ(Salacia grandiflora)、サラシア・マクロスペルマ(Salacia macrosperma)から選ばれる一種類以上の植物が挙げられる。サラシア属植物としては、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、及びサラシア・キネンシス(Salacia chinensis)から選ばれる少なくとも一種の植物であることが好ましい。サラシア属植物は、サラシア属植物の根、幹、葉、花、果実等の部位を使用することができる。
【0020】
サラシア属植物、サラシア属植物粉砕物として、サラシア属植物の根、幹、葉、花、果実等の部位及び/又はそれらの粉砕物を用いることができる。サラシア属植物、サラシア属植物粉砕物として、サラシア属植物の根、幹、葉、花、果実等の部位及び/又はそれらの乾燥物を用いることができる。乾燥物は植物の乾燥粉末、エキス末でもよい。サラシア属植物及び/又は粉砕物を調製する際、サラシア属植物の少なくとも一種の部位を混合して使用してもよい。精製サラシア属植物抽出物を効率よく製造する観点から、サラシア属植物抽出物は、根及び/又は幹から選ばれる部位から抽出されたサラシア属植物抽出物(エキス)又はエキスを乾燥して得られるエキス末が好ましい。
【0021】
乾燥粉末(エキス末)は、好ましくは、サラシア属植物の部位を溶媒によって抽出し、上記で得られた抽出物を乾燥させることによって得ることができる。
【0022】
(サラシア属植物抽出物及びその製造方法)
本開示のサラシア属植物抽出物は、サラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種と溶媒とを含む抽出液から得られるサラシア属植物抽出物である。
【0023】
サラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種から、サラシア属植物抽出物を得るため(好ましくは抽出するため)に、溶媒(好ましくは抽出溶媒)として、水及び/又は有機溶媒を用いることができる。
水の種類は、特に限定されず、水道水、蒸留水、イオン交換水、天然水等から適宜選択して使用することができる。
また、有機溶媒を使用する場合、例えば、エタノール、メタノール等のアルコール、アセトン等のケトン、酢酸エチル等のエステルが例示される。アルコール、ケトン等の親水性有機溶媒が好ましく、製剤又は食品への使用を考慮すると、アルコールがより好ましく、エタノールがより更に好ましい。ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサン等が好ましい。
【0024】
上記の中でも、水、アルコール、水とアルコールとの混合溶媒、又は水とケトンとの混合溶媒が好ましく、水、アルコール、又は水とアルコールとの混合溶媒がより好ましい。
【0025】
水とアルコールとの混合溶媒におけるアルコール含有量は、混合溶媒の質量に対して30質量%~90質量%が好ましく、40質量%~70質量%がより好ましい。
抽出物を乾燥して、乾燥粉末(エキス末)を得る際の乾燥方法は、特に制限はなく、公知の乾燥方法、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥等の方法が挙げられる。
【0026】
サラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種を抽出する時間は、抽出効率を上げる観点から、5分以上であることが好ましく、30分以上がより好ましい。また、α-グルコシダーゼ活性阻害をより高める観点から、5時間以下が好ましく、3時間以下がより好ましい。
【0027】
サラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種を抽出するときの抽出温度は、得られるサラシア植物属抽出物のα-グルコシダーゼ活性阻害能を高める観点から0℃~100℃が好ましく、0℃~70℃がより好ましい。また、0℃~30℃では、より苦味成分又は色成分の溶出を抑えることができるので好ましい。
【0028】
サラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種からサラシア属植物抽出物を得る工程では、溶媒(好ましくは抽出溶媒)の存在下で、抽出液の質量に対して0.1~20質量%の活性炭と接触させる工程をさらに含むことが好ましい。
【0029】
活性炭は、その種類及び特性等について限定されることなく用いることができる。活性炭の材料として、椰子殻、パーム椰子、果実の種、鋸屑、ユーカリ、松などの植物系、石炭系、石油系のコークス及びそれらを原料としたピッチの炭化物、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂などを挙げることができるが、椰子殻、パーム椰子、果実の種、鋸屑、ユーカリ、松などの植物系材料由来のものが好ましい。
【0030】
活性炭は、市販品を用いることができ、例えば、白鷺(登録商標)C、WH2c、W2c、WH2x、X7000H,X7100H、LGK-100,WHA,M,A,P、カルボラフィン、強力白鷺、精製白鷺、特性白鷺、粒状白鷺LH2c、粒状白鷺KL、粒状白鷺MAC-W(以上、商品名、大阪ガスケミカル(株)製)、太閤Sタイプ(太閤S,太閤DP,太閤SA1000)、太閤Kタイプ(太閤K,太閤A,太閤KA,太閤M)(以上、商品名、フタムラ化学(株)製)等が挙げられる。また、これらの活性炭をさらに精製処理したものであってもよい。
【0031】
活性炭の平均細孔径は、α-グルコシダーゼ活性阻害をより高めた精製サラシア属植物抽出物を得る観点から、0.5~10nmが好ましく、1~10nmがより好ましく、3~8nmがさらに好ましく、3~6nmがよりさらに好ましい。
【0032】
活性炭の比表面積は、回収率を高める観点から500~2500m2/gが好ましく、
1000~2000m2/gがより好ましく、1200~1800m2/gがさらに好ましい。
【0033】
活性炭の平均細孔径及び比表面積は、活性炭が市販品の場合、カタログに記載されている値を採用することができる。また、市販品の有無に関わらず、これらの値が不明な場合は、JIS Z 8830(2013)、ISO 9277(2010)に準拠したガス吸着による比表面積測定方法により測定することができる。
【0034】
活性炭を用いる場合、活性炭が抽出物中に含まれる特定成分を選択的に除去することにより、α-グルコシダーゼ活性阻害を示す化合物の活性をより高めたり、サラシア属植物特有の色、風味(臭い及び/又は苦み)を低減することができると推測されるが、これに限定されるものではない。
【0035】
活性炭と接触させる工程において、溶媒の存在下で抽出液の質量(総量)100質量%に対して、0.1質量%~20質量%の活性炭と接触させる。接触させる活性炭の量は、サラシア属植物と溶媒とを含む抽出液に対して0.2質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。また、回収率を高める観点からサラシア属植物と溶媒とを含む抽出液に対して15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0036】
活性炭との接触時間は、上述したサラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種を抽出する時間と同様の時間を適用することができる。
【0037】
活性炭と接触させる際の温度は、上述したサラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種を抽出する温度と同様の温度を適用することができる。
【0038】
活性炭を接触させる手段は、特に限定されることなく、公知の方法を採用することができる。例えば、サラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種に溶媒、活性炭を添加した後、撹拌して吸着後、ろ過操作により活性炭を回収するバッチ方法、又は活性炭を充填したカラムを用いて連続処理により接触させるカラム方法等が挙げられる。
【0039】
バッチ方式は、長時間の接触を容易に実現できるため生産性の観点から好ましく用いることができる。
【0040】
活性炭を接触させる工程において、溶媒を添加後、溶媒を徐々に加温してから活性炭を添加させる方法が生産性の観点から好ましい。
【0041】
得られた抽出液を、ろ過、遠心分離、沈殿処理、膜処理等から選択される固液分離処理のうち1種又は2種以上を組合せて行うことにより、サラシア属植物の固形分及び活性炭を除去し、サラシア属植物抽出物を得ることができる。
【0042】
ろ過は、特に限定されず、例えば、ろ紙、金属製フィルタ、ガフフィルタ等によるフィルタ分離を採用することができる。フィルタのメッシュサイズは、サラシア属植物の固形分及び活性炭を確実に除去が可能であれば特に制限はない。
【0043】
遠心分離は、特に限定されず、例えば、分離板型、円筒型、デカンター型等の公知の機器を使用して行うことができる。遠心分離の使用条件(回転数及び時間)は、サラシア属植物の固形分及び活性炭を確実に除去が可能であれば特に制限はない。
【0044】
膜処理は、例えば、細孔径が10μm以下の高分子材料からなる膜を通過させる処理であり、膜の形態としては、平膜、中空糸膜等を挙げることができる。
【0045】
分離工程において、精製効率を高める観点から、抽出工程で得られた抽出物を濃縮又は乾燥により高濃度化する濃縮工程を加えてもよく、分離工程の途中において濃縮工程を利用してもよい。
または得られた抽出物を乾燥して精製エキス末としてもよい。濃縮又は乾燥方法は、特に制限はなく、公知の方法が挙げられる。
【0046】
(精製サラシア属植物抽出物の製造方法)
本開示の精製サラシア属植物抽出物の製造方法は、サラシア属植物抽出物と溶媒とを含む抽出液に対して、次亜塩素酸ナトリウムを0.01質量%~1質量%で添加する工程を含む精製サラシア属植物抽出物の製造方法である。
【0047】
精製サラシア属植物抽出物の製造方法において、溶媒として、上述したサラシア属植物及びサラシア属植物粉砕物の少なくとも一種から、サラシア属植物抽出物を得るために用いる溶媒(水及び/又は有機溶媒)を同様に用いることができる。
【0048】
上記の中でも、水、アルコール、水とアルコールとの混合溶媒、又は水とケトンとの混合溶媒が好ましく、水、アルコール、又は水とアルコールとの混合溶媒がより好ましく、0℃~30℃の水、エタノール、又は水とエタノールとの混合溶媒がさらに好ましい。
水とアルコールとの混合溶媒におけるアルコール含有量は、30質量%~90質量%が好ましく、40質量%~70質量%がより好ましい。
【0049】
本開示の精製サラシア属植物抽出物の製造方法では、
サラシア属植物抽出物と溶媒とを含む抽出液に対して、次亜塩素酸ナトリウムを0.01質量%~1質量%で添加する工程を含む
又は
サラシア属植物抽出物と溶媒とを含む抽出液に対して、次亜塩素酸及びその塩の少なくとも一種を用いて有効塩素濃度30mg/L~5000mg/Lで添加する工程を含む。
【0050】
本開示の態様では、精製サラシア属植物抽出物を得るために、サラシア属植物抽出物と溶媒とを含む抽出液において、抽出液の質量(総量)100質量%に対して、次亜塩素酸ナトリウムを0.01質量%~1質量%で添加する工程を含む。
次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は、市販されているものを用いることができる。次亜塩素酸ナトリウムの添加量として、好ましくは0.02質量%~0.8質量%であり、より好ましくは0.05質量%~0.6質量%であり、特に好ましくは0.1質量%~0.5質量%である。
次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素濃度として4.0質量%以上を含むが、本開示では、有効塩素濃度として4.0質量%以上12質量%以下を含む次亜塩素酸ナトリウムを用いることが好ましく、6.0質量%以上12質量%以下を含む次亜塩素酸ナトリウムを用いることが好ましい。
【0051】
本開示の別の態様では、精製サラシア属植物抽出物を得るために、サラシア属植物抽出物と溶媒とを含む抽出液において、次亜塩素酸及びその塩の少なくとも一種を用いて有効塩素濃度30mg/L~5000mg/Lで添加する工程を含む。
次亜塩素酸及びその塩の少なくとも一種は市販されているものを用いることができる。次亜塩素酸の塩として、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウムが挙げられる。
【0052】
次亜塩素酸及びその塩の少なくとも一種を用いるとき、有効塩素濃度が30mg/L~5000mg/L(ppmと同義である)の範囲に添加する。有効塩素濃度は、好ましくは50mg/L~4000mg/L、より好ましくは100mg/L~3000mg/L、特に好ましくはより好ましくは200mg/L~3000mg/Lである。
【0053】
次亜塩素酸及びその塩の少なくとも一種の有効塩素濃度(総残留塩素濃度とも呼ばれる)は、有効塩素濃度を測定できる試験紙、キット、測定装置などの公知の手法を用いて測定できる。有効塩素濃度を測定できる試験紙として、例えば、クロール試験紙(0ppm~100ppm、次亜塩素酸水用;アドバンテック東洋株式会社)、次亜塩素酸試験紙 高濃度(WAP-CLO(C);株式会社共立理化学研究所)などを用いることができる。キットとして、例えば、有効塩素濃度測定キット(食品衛生管理対策用) AQ-202P型(柴田科学株式会社)を用いることができる。
本開示では、次亜塩素酸及びその塩の少なくとも一種に対する有効塩素濃度の測定方法(好ましくは上記の公知の手法で得られる濃度を確認する測定方法)として、平成 15 年厚生労働省告示第 318 号(最終改正令和2年厚生労働省告示第 96 号)に記載された別表第1 ジエチル-p-フェニレンジアミン法を用いることが好ましい。
【0054】
精製サラシア属植物抽出物の製造方法において、サラシア属植物抽出物と溶媒とを含む抽出液のpHは5.0~8.0の範囲であることが好ましく、6.0~7.0の範囲であることがより好ましい。サラシア属植物抽出物と溶媒とを含む抽出液のpHを5.0~8.0の範囲に設定することで、得られる精製サラシア属植物抽出物の臭い及び/又は苦味を抑えながら、精製に伴うサラシノールの回収率を低減させないことができる。これは予想外の効果である。
【0055】
抽出液のpHが5.0~8.0の範囲になければ、食品又はサプリメントで許容される酸又はアルカリを抽出液に添加することにより、抽出液のpHを所望のpHに調整することができる。食品又はサプリメントで許容される酸として、例えば、塩酸、クエン酸、グルコン酸、グルタミン酸,酢酸、フマル酸、アスパラギン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、イノシン酸、グアニル酸、アスコルビン酸が挙げられる。また、食品又はサプリメントで許容されるアルカリとして、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム等の金属の水酸化物、炭酸塩、もしくは炭酸水素塩、又はアンモニア等の無機塩基;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基が挙げられる。
【0056】
精製サラシア属植物抽出物の製造方法において、抽出する工程の温度は、得られる精製サラシア植物属抽出物のサラシノール濃度を高める観点から0℃~100℃が好ましく、0℃~70℃がより好ましい。抽出する時間は、抽出温度が25℃以上の場合は0.5時間~8時間、抽出温度が25℃以下の場合は1時間~18時間が好ましい。
【0057】
本開示の精製サラシア属植物抽出物の製造方法では、必要に応じて、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸及びその塩による処理によって生じる不溶解物を除去することが好ましい。不溶解物を除去する工程(分離工程)の手段は、限定されないが、遠心分離、ろ過、沈降残渣などの分離手段を用いることができる。上記抽出する工程の前又は後に、必要に応じて、活性炭、スチレン系合成樹脂を抽出液と接触させることもできる。
【0058】
抽出する工程を経て得られた抽出物を、ろ過、遠心分離、沈殿処理、膜処理等から選択される固液分離処理のうち一種又は二種以上を組合せて行うことにより、サラシア属植物の固形分、不溶解物等を除去し、精製サラシア属植物抽出物を得ることができる。
【0059】
ろ過の方法は特に限定されず、例えば、ろ紙、金属製フィルタ、ガフフィルタ等によるフィルタ分離を採用することができる。フィルタのメッシュサイズは、サラシア属植物の固形分及び不溶解物を確実に除去することが可能であれば特に制限はない。
【0060】
遠心分離は、特に限定されず、例えば、分離板型、円筒型、デカンター型等の公知の機器を使用して行うことができる。遠心分離の使用条件(回転数及び時間)は、サラシア属植物の固形分及び不溶解物を確実に除去することが可能であれば特に制限はない。
【0061】
膜処理は、例えば、細孔径が10μm以下の高分子材料からなる膜を通過させる処理であり、膜の形態としては、平膜、中空糸膜等を挙げることができる。
【0062】
分離工程において、精製効率を高める観点から、抽出する工程で得られた抽出物を濃縮又は乾燥により高濃度化する濃縮工程を加えてもよく、分離工程の途中において濃縮工程を利用してもよい。抽出する工程で得られた抽出物を乾燥して、乾燥粉末(エキス末)を得る方法は、制限はなく、公知の乾燥方法、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥等の方法が挙げられる。
【0063】
本開示の製造方法により、サラシノール回収率を維持しつつも、サラシア属植物特有の臭い及び/又は苦みが低減された、有効成分の含有量が高められた精製サラシア属植物抽出物を得ることができる。この結果、製剤又は食品等への加工を行わずに経口摂取可能な精製サラシア属植物抽出物とすることができる。
なお、精製サラシア属植物抽出物(精製エキス)は、上記の抽出する工程を経て得られた後、精製サラシア属植物抽出物を濃縮(濃縮精製エキス)又は乾燥(精製エキス末)としてもよい。濃縮又は乾燥方法は特に制限はなく公知の方法が挙げられる。
【0064】
本開示の製造方法において、分離工程の後に必要に応じて、煮沸による殺菌、次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸もしくはその塩を分解する工程を含むことができる。
【0065】
本開示の製造方法により得られた精製サラシア属植物抽出物は、経時保存安定性にも優れる。具体的には、室温保存による着色及び/又は臭いの発生を低減することができる。この点について詳細な機構は不明であるが、上述した特定成分が選択的に除去されることにより、経時に伴う空気中の水分及び/又は酸素の影響による特定成分の変質、又は特定成分とサラシア属植物抽出物中の有効成分との反応が抑制できるため、精製サラシア属植物抽出物の保存安定性が良好になるものと推測される。
【0066】
(精製サラシア属植物抽出物)
本開示の精製サラシア属植物抽出物は、風味が改善されているため、製剤又は食品等への加工を行わずに経口摂取可能な抽出物である。具体的には、サラシア特有の臭い及び/又は苦みが低減されており、下記に示す特性を有する。
【0067】
精製サラシア属植物抽出物は、ポリフェノール類及び脂質類の含有量が、精製サラシア属抽出物全量に対して合計で10質量%未満となっている。
本明細書において、ポリフェノール類とは、ISO14502-1(2005)に準じてFOLIN-CIOCALTEU法により測定できる化合物を意味し、たとえばカテキン等が挙げられる。また、脂質類とは、食品中の脂質類の分析に用いられる、酸分解法により測定可能な化合物を意味し、たとえばコレステロール、グリセリン等が挙げられる。
精製サラシア属植物抽出物は、上述したようにポリフェノール類及び脂質類が低減されているため、サラシア属植物特有の臭い及び/又は苦みが低減されるほか、経時保存に伴う着色及び/又は臭いの発生を低減できる。
精製サラシア属植物抽出物は、乾燥(乾燥して精製エキス末とする)してもよく、賦形剤等を加えた粉末としてもよく、さらに造粒処理を施して粒径を大きくした造粒物としてもよい。賦形剤としては、その種類及び特性等は特に限定されることなく用いることができる。
【0068】
精製サラシア属植物抽出物の苦みは、ポリフェノール類の中でもエピカテキン及びエピガロカテキンの含有量を指標として判断することができる。苦みをより低減する観点から、精製サラシア属植物抽出物の質量(総量)に対してエピカテキン及びエピガロカテキンの含有量は0.001質量%未満が好ましく、0.0005質量%未満がより好ましい。
【0069】
本明細書において、「サラシア属植物抽出物の回収率」又は「回収率」とは、上述した抽出処理をせずに得られるサラシア属植物抽出物の固形分量に対する、精製サラシア属植物抽出物の固形分量を百分率で示したものをいう。なお、回収率の上限は、特に限定されるものではなく、100質量%であってもよい。
【0070】
精製サラシア属植物抽出物におけるサラシノールの含有量は、サラシノールの標準物質を用いて測定することで求めることができる。例えば、高速液体クロマトグラフィーを用いる場合、以下の条件で検出することにより確認することができる。
カラム:Shodex Asahipak NH2P-50 4E
流速:1mL/min
溶離液: 80%アセトニトリル+20%水
オーブン温度:30℃
インジェクション量:25μL
検出器: 荷電化粒子検出器(Charged Aerosol Detector:CAD)
【0071】
精製サラシア属植物抽出物の用途は、特に限定されず、例えば、食品(機能性表示食品、飲料、及びサプリメントを含む)、食品材料、医薬部外品、医薬品、医薬品材料、及び医薬部外品材料等が挙げられる。具体的には、特開2017-132763号公報の段落0031~0060に記載されているものが挙げられ、食品、食品材料、経口摂取用途である医薬部外品、医薬品、医薬品材料、及び医薬部外品に適用すると、本開示の効果がより効果的に作用する。
【0072】
本開示の食品又はサプリメントの製造方法は、本開示の精製サラシア属植物抽出物の製造方法により製造される精製サラシア属植物抽出物を配合する工程を含む。食品又はサプリメントを製造方法する際に、本開示の精製サラシア属植物抽出物の製造方法により製造される精製サラシア属植物抽出物を、他の原材料と配合することができる。本開示では食品又はサプリメントは機能性表示食品を含む。食品又はサプリメントの質量(総量)100質量%に対して、精製サラシア属植物抽出物の配合量は特に限定されないが、0.01質量%~100質量%で添加することが好ましい。
【0073】
他の原材料として、特に限定されないが、甘味料、酸味料、香料、色素、果汁、食品添加剤(保存料、酸化防止剤、増粘安定剤、乳化剤、食物繊維、pH調整剤)等の通常の食品又はサプリメントの製造に用いられる配合成分を添加することができる。
【実施例0074】
以下、本開示を実施例により更に具体的に説明するが、本開示はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0075】
比較例1:サラシア属植物抽出物の調製
サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)の根の部分を粉砕後、70℃の熱水にて2時間抽出して得られた溶液を遠心分離(回転数:1000rpm、時間:10分)し、混合溶液の上清液を回収し、ろ過、煮沸による殺菌後、室温まで冷却し、サラシア属植物抽出物(抽出液)を得た(比較例1)。
【0076】
比較例2:サラシア属植物抽出物の調製
比較例1の手順にて調製したサラシア属植物抽出物に活性炭1質量%を攪拌しながら添加して混合溶液を得た。得られた混合溶液を60分間攪拌しながら活性炭と反応させ、遠心分離(回転数:1000rpm、時間:10分)し、混合溶液の上清液を回収し、ろ過、煮沸による殺菌後、室温まで冷却し、サラシア属植物抽出物(抽出液)を得た(比較例2)。
【0077】
実施例1~5:精製サラシア属植物含有抽出物の調製
比較例1の手順にて調製したサラシア属植物抽出物(抽出液)の100質量%に対して、次亜塩素酸ナトリウム液(富士フイルム和光純薬製:食品添加物 有効塩素濃度5%以上)を表1に記載の濃度になるように添加し、1N塩酸(富士フイルム和光純薬製)にてpHを調整した後、得られた溶液を遠心分離(回転数:1000rpm、時間:10分)し、混合溶液の上清液を回収し、ろ過、煮沸による殺菌、及び次亜塩素酸の分解の後、室温まで冷却し、精製サラシア属植物抽出液を得た。
【0078】
[評価]
比較例のサラシア属植物抽出物及び実施例の精製サラシア属植物抽出物について、以下の各評価を行った。結果を表1に示す。
【0079】
<サラシノール濃度>
上述した実験法により、比較例1~2及び実施例1~5のサラシノール濃度を測定した。続いて、比較例1のサラシノール濃度を100として、実施例及び比較例のサラシノール濃度の相対値を算出した。
【0080】
<サラシノール回収率>
下記の式にもとづき、実施例及び比較例のサラシノール回収率を算出した。
サラシノール回収率(%)=サラシア属植物抽出液の回収率(%)×サラシノール濃度
【0081】
<着色の評価>
試料を濃度0.7%となるように純水に溶かし、光路長1cmのセルを用いた紫外可視分光法により、波長550nmにおける吸光度を測定した。
なお、測定装置は紫外可視分光光度計(機種名:U-3310、(株)日立製作所)、ブランク試験は純水を使用した。
比較例1の吸光度を100として、実施例及び比較例の吸光度の相対値を算出した。
【0082】
<臭いの評価>
被験者5名により以下の手順にて評価を行った。
(1)比較例1を基準5とし、各被験者にて以下の基準に沿って評価した。
1:サラシア属植物特有の臭いが感じられず、経口摂取しやすい
2:サラシア属植物特有の臭いが僅かに感じられるが、経口摂取には全く問題がない
3:サラシア属植物特有の臭いが感じられるが、経口摂取は可能
4:サラシア属植物特有の臭いがやや強く感じられ、経口摂取が難しい
5:サラシア属植物特有の臭いが強く、経口摂取が困難
【0083】
(2)上記(1)の値を、各実施例及び比較例について算術平均し、以下の基準に沿って評価した。
A:1.0以上2.0未満
B:2.0以上3.0未満
C:3.0以上4.0未満
D:4.0以上5.0以下
なお、A、B又はCが製品として許容範囲である。
【0084】
<苦みの評価>
被験者5名により、以下の手順にて評価を行った。
(1)比較例1を基準5とし、各被験者にて以下の基準に沿って評価した。
1:苦みが感じられず、経口摂取しやすい
2:苦みが僅かに感じられるが、経口摂取には全く問題がない
3:苦みが感じられるが、経口摂取は可能
4:苦みがやや強く感じられ、経口摂取が難しい
5:苦みが強く、経口摂取が困難
【0085】
(2)上記(1)の値を、算術平均し、以下の基準に沿って評価した。
A:1.0以上2.0未満
B:2.0以上3.0未満
C:3.0以上4.0未満
D:4.0以上5.0以下
なお、A、B又はCが製品として許容範囲である。
【0086】
【0087】
表1において、pH調整の項目において、数値は抽出液のpHの数値を意味し、無は抽出液のpHを調整しなかったことを意味する。
【0088】
以上の結果より、実施例1~5は、有効成分であるサラシノールの回収率を低減させることなく、精製サラシア属植物抽出物の着色を顕著に下げて、かつ臭い及び/又は苦味の発生を抑制した。