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特開2022-69435状態検出装置、状態検出方法及び状態検出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069435
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】状態検出装置、状態検出方法及び状態検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/392 20190101AFI20220428BHJP
   G01R 31/389 20190101ALI20220428BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20220428BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20220428BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220428BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
G01R31/392
G01R31/389
G01R31/382
G01R31/385
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H02J7/00 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174003
(22)【出願日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2020178024
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】温田 透
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA01
2G216BA23
2G216BA25
2G216BA41
2G216BA52
2G216CD03
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA04
5G503EA08
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD05
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】二次電池の劣化と上がりを判別する。
【解決手段】状態検出装置1は、車両に搭載された二次電池の状態を検出する状態検出装置である。状態検出装置は、二次電池の電流及び電圧を測定する測定手段と、前記測定手段で測定された電圧に基づいて前記二次電池の開回路電圧を推定する開回路電圧推定手段と、前記測定手段の測定結果に基づいて前記二次電池の内部抵抗値を算出する内部抵抗算出手段と、前記内部抵抗値及び前記開回路電圧を用いて前記二次電池の劣化と前記二次電池の上がりを判別する判別手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された二次電池の状態を検出する状態検出装置であって、
前記二次電池の電流及び電圧を測定する測定手段と、
前記測定手段で測定された電圧に基づいて前記二次電池の開回路電圧を推定する開回路電圧推定手段と、
前記測定手段の測定結果に基づいて前記二次電池の内部抵抗値を算出する内部抵抗算出手段と、
前記内部抵抗値及び前記開回路電圧を用いて前記二次電池の劣化と前記二次電池の上がりを判別する判別手段と、
を備える状態検出装置。
【請求項2】
前記内部抵抗算出手段は、前記二次電池が負荷に電力を供給したときに前記測定手段で測定された電流及び電圧、又は前記二次電池が所定期間内で複数回放電したときに前記測定手段で測定された電流及び電圧に基づいて前記内部抵抗値を算出する
請求項1に記載の状態検出装置。
【請求項3】
前記二次電池の劣化を検知した場合、前記二次電池の劣化を外部装置へ通知し、前記二次電池の上がりを検知した場合、前記二次電池の上がりを前記外部装置へ通知する
請求項1又は請求項2に記載の状態検出装置。
【請求項4】
前記判別手段は、前記内部抵抗値の上昇量と前記内部抵抗値の少なくとも一方に基づいて前記二次電池の劣化と前記二次電池の上がりを判別する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の状態検出装置。
【請求項5】
前記上昇量は、予め定められた基準値と前記内部抵抗算出手段で測定された内部抵抗値との差、又は予め定められた基準値と前記内部抵抗算出手段で測定された内部抵抗値との比率である
請求項4に記載の状態検出装置。
【請求項6】
前記二次電池の劣化を検知するときの前記基準値は、前記内部抵抗値の最新の算出から過去の複数回の算出のうちの最小値、過去に算出された前記内部抵抗値のうちの最小値、無劣化時のときの内部抵抗値、前記二次電池の状態が遷移した後に複数回算出された前記内部抵抗値のうち初回に算出された値のいずれかである
請求項5に記載の状態検出装置。
【請求項7】
前記二次電池の上がりを検知するときの前記基準値は、前記内部抵抗値の最新の算出から過去の複数回の算出のうちの最小値、過去に算出された前記内部抵抗値のうちの最小値、無劣化時のときの内部抵抗値、前記二次電池の状態が遷移した後に複数回算出された前記内部抵抗値のうち初回に算出された値のいずれかである
請求項5に記載の状態検出装置。
【請求項8】
前記判別手段は、予め定められたタイミングで算出した前記上昇量と前記内部抵抗値の少なくとも一方が予め定められた閾値以上の場合、前記二次電池が上がっている又は前記二次電池の上がりが近い状態であると推定する
請求項4に記載の状態検出装置。
【請求項9】
前記二次電池を搭載した車両の駆動部が待機状態の期間毎に算出された前記内部抵抗値の上昇量又は前記内部抵抗値に基づいて前記二次電池が上がっている又は前記二次電池の上がりが近い状態であると推定する
請求項8に記載の状態検出装置。
【請求項10】
前記内部抵抗算出手段は、前記二次電池を搭載した車両の駆動部が待機状態の期間毎に前記内部抵抗値を算出し、前記判別手段は、算出された前記内部抵抗値の上昇量又は前記内部抵抗値が予め定められた閾値以上、且つ、前記開回路電圧又は前記二次電池の電圧が予め定められた閾値以上である場合、前記二次電池を劣化と推定する
請求項4に記載の状態検出装置。
【請求項11】
前記開回路電圧の変化に対する前記内部抵抗値の変化の比率に応じて前記二次電池の劣化を推定する
請求項1に記載の状態検出装置。
【請求項12】
前記比率の変化量に基づいて前記二次電池の劣化を推定する
請求項11に記載の状態検出装置。
【請求項13】
前記変化量は、無劣化時の前記二次電池の開回路電圧又は前記二次電池の電圧の変化に対する前記内部抵抗値の変化の比率と、使用開始後の前記二次電池の開回路電圧又は前記二次電池の電圧の変化に対する前記内部抵抗値の変化の比率との差、又は、無劣化時の前記二次電池の開回路電圧又は前記二次電池の電圧の変化に対する前記内部抵抗値の変化の比率に対する、使用開始後の前記二次電池の開回路電圧又は前記二次電池の電圧の変化に対する前記内部抵抗値の変化の比率の割合である
請求項12に記載の状態検出装置。
【請求項14】
前記測定手段は、前記二次電池の温度を測定し、
前記内部抵抗算出手段が算出した前記内部抵抗値を、前記測定手段が測定した温度で補正する補正手段
を備える請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の状態検出装置。
【請求項15】
前記上がりと劣化の判別結果に基づいて、前記二次電池の状態を前記車両の内部で報知する報知手段
を備える請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の状態検出装置。
【請求項16】
車両に搭載された二次電池の状態を検出する状態検出方法であって、
前記二次電池の電流及び電圧を測定する測定ステップと、
前記測定ステップで測定された電圧に基づいて前記二次電池の開回路電圧を推定する開回路電圧推定ステップと、
前記測定ステップの測定結果に基づいて前記二次電池の内部抵抗値を算出する内部抵抗算出ステップと、
前記内部抵抗値及び前記開回路電圧を用いて前記二次電池の劣化と前記二次電池の上がりを判別する判別ステップと、
を備える状態検出方法。
【請求項17】
車両に搭載された二次電池の状態を検出する状態検出装置であって、
前記二次電池の電流及び電圧を測定する測定手段で測定された電圧に基づいて前記二次電池の開回路電圧を推定する開回路電圧推定手段と、
前記測定手段の測定結果に基づいて前記二次電池の内部抵抗値を算出する内部抵抗算出手段と、
前記内部抵抗値及び前記開回路電圧を用いて前記二次電池の劣化と前記二次電池の上がりを判別する判別手段と、
を備える状態検出装置。
【請求項18】
車両に搭載された二次電池の状態を検出する状態検出方法であって、
前記二次電池の電流及び電圧を測定する測定手段で測定された電圧に基づいて前記二次電池の開回路電圧を推定する開回路電圧推定ステップと、
前記測定手段の測定結果に基づいて前記二次電池の内部抵抗値を算出する内部抵抗算出ステップと、
前記内部抵抗値及び前記開回路電圧を用いて前記二次電池の劣化と前記二次電池の上がりを判別する判別ステップと、
を備える状態検出方法。
【請求項19】
状態検出装置とサーバ装置とを有し、車両に搭載された二次電池の状態を検出する状態検出システムであって、
前記状態検出装置は、
前記二次電池の電流及び電圧を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果をサーバ装置へ送信する測定結果送信手段と、
前記サーバ装置から送信される上がり情報及び劣化情報を受信する情報受信手段と、
を有し、
前記サーバ装置は、
前記測定結果送信手段で送信された前記測定結果を受信する測定結果受信手段と、
前記測定結果受信手段が受信した前記測定結果が含む電圧に基づいて前記二次電池の開回路電圧を推定する開回路電圧推定手段と、
前記測定結果受信手段が受信した前記測定結果に基づいて前記二次電池の内部抵抗値を算出する内部抵抗算出手段と、
前記内部抵抗値及び前記開回路電圧を用いて前記二次電池の劣化と前記二次電池の上がりを判別する判別手段と、
前記判別手段による前記二次電池の劣化の判別結果を表す劣化情報と、前記判別手段による前記二次電池の上がりの判別結果を表す上がり情報を、前記状態検出装置へ送信する情報送信手段と、
を備える状態検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、状態検出装置、状態検出方法及び状態検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉛電池の状態を判定する発明として、例えば特許文献1-3に開示された発明がある。特許文献1に開示された寿命判定装置は、鉛電池の開路電圧と内部抵抗を推定し、押し込み充電完了後においては、開路電圧が第1閾値より小さい場合には鉛電池が劣化していると判定し、通常充電開始前においては、内部抵抗が第2閾値より大きい場合には鉛電池が劣化していると判定している。特許文献2に開示された電池状態判定装置は、予め求めた新品満充電状態での鉛電池の内部抵抗と、算出したエンジン始動時の内部抵抗とを比較して鉛電池の状態を判定している。特許文献3に開示された電池状態判定装置は、鉛電池のエンジン始動電圧を鉛電池の開回路電圧及び車両の温度に基づいて演算し、鉛電池の内部抵抗の増大率が所定値に達するときのエンジン始動時の電圧を表す鉛電池判定電圧を開回路電圧から演算し、エンジン始動電圧と鉛電池判定電圧とを比較して鉛電池の劣化を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/155447号
【特許文献2】国際公開第2007/069595号
【特許文献3】国際公開第2007/105595号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1-3の発明によれば、内部抵抗の値を用いて二次電池の劣化の判定が可能となっているが、内部抵抗の値は、充電率によっても変化するため、充電率によっては劣化の判定を誤る虞がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、二次電池の劣化と上がりを判別する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る状態検出装置は、車両に搭載された二次電池の状態を検出する状態検出装置であって、前記二次電池の電流及び電圧を測定する測定手段と、前記測定手段で測定された電圧に基づいて前記二次電池の開回路電圧を推定する開回路電圧推定手段と、前記測定手段の測定結果に基づいて前記二次電池の内部抵抗値を算出する内部抵抗算出手段と、前記内部抵抗値及び前記開回路電圧を用いて前記二次電池の劣化と前記二次電池の上がりを判別する判別手段と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る状態検出装置は、前記内部抵抗算出手段は、前記二次電池が負荷に電力を供給したときに前記測定手段で測定された電流及び電圧、又は前記二次電池が所定期間内で複数回放電したときに前記測定手段で測定された電流及び電圧に基づいて前記内部抵抗値を算出することを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る状態検出装置は、前記二次電池の劣化を検知した場合、前記二次電池の劣化を外部装置へ通知し、前記二次電池の上がりを検知した場合、前記二次電池の上がりを前記外部装置へ通知することを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る状態検出装置は、前記判別手段は、前記内部抵抗値の上昇量と前記内部抵抗値の少なくとも一方に基づいて前記二次電池の劣化と前記二次電池の上がりを判別することを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る状態検出装置は、前記上昇量は、予め定められた基準値と前記内部抵抗算出手段で測定された内部抵抗値との差、又は予め定められた基準値と前記内部抵抗算出手段で測定された内部抵抗値との比率であることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る状態検出装置は、前記二次電池の劣化を検知するときの前記基準値は、前記内部抵抗値の最新の算出から過去の複数回の算出のうちの最小値、過去に算出された前記内部抵抗値のうちの最小値、無劣化時のときの内部抵抗値、前記二次電池の状態が遷移した後に複数回算出された前記内部抵抗値のうち初回に算出された値のいずれかであることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係る状態検出装置は、前記二次電池の上がりを検知するときの前記基準値は、前記内部抵抗値の最新の算出から過去の複数回の算出のうちの最小値、過去に算出された前記内部抵抗値のうちの最小値、無劣化時のときの内部抵抗値、前記二次電池の状態が遷移した後に複数回算出された前記内部抵抗値のうち初回に算出された値のいずれかであることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係る状態検出装置は、前記判別手段は、予め定められたタイミングで算出した前記上昇量と前記内部抵抗値の少なくとも一方が予め定められた閾値以上の場合、前記二次電池が上がっている又は前記二次電池の上がりが近い状態であると推定することを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係る状態検出装置は、前記二次電池を搭載した車両の駆動部が待機状態の期間毎に算出された前記内部抵抗値の上昇量又は前記内部抵抗値に基づいて前記二次電池が上がっている又は前記二次電池の上がりが近い状態であると推定することを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係る状態検出装置は、前記内部抵抗算出手段は、前記二次電池を搭載した車両の駆動部が待機状態の期間毎に前記内部抵抗値を算出し、前記判別手段は、算出された前記内部抵抗値の上昇量又は前記内部抵抗値が予め定められた閾値以上、且つ、前記開回路電圧又は前記二次電池の電圧が予め定められた閾値以上である場合、前記二次電池を劣化と推定することを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様に係る状態検出装置は、前記開回路電圧の変化に対する前記内部抵抗値の変化の比率に応じて前記二次電池の劣化を推定することを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様に係る状態検出装置は、前記比率の変化量に基づいて前記二次電池の劣化を推定することを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様に係る状態検出装置は、前記変化量は、無劣化時の前記二次電池の開回路電圧又は前記二次電池の電圧の変化に対する前記内部抵抗値の変化の比率と、使用開始後の前記二次電池の開回路電圧又は前記二次電池の電圧の変化に対する前記内部抵抗値の変化の比率との差、又は、無劣化時の前記二次電池の開回路電圧又は前記二次電池の電圧の変化に対する前記内部抵抗値の変化の比率に対する、使用開始後の前記二次電池の開回路電圧又は前記二次電池の電圧の変化に対する前記内部抵抗値の変化の比率の割合であることを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様に係る状態検出装置は、前記測定手段は、前記二次電池の温度を測定し、前記内部抵抗算出手段が算出した前記内部抵抗値を、前記測定手段が測定した温度で補正する補正手段を備える。
【0020】
本発明の一態様に係る状態検出装置は、前記上がりと劣化の判別結果に基づいて、前記二次電池の状態を前記車両の内部で報知する報知手段を備える。
【0021】
本発明の一態様に係る状態検出方法は、車両に搭載された二次電池の状態を検出する状態検出方法であって、前記二次電池の電流及び電圧を測定する測定ステップと、前記測定ステップで測定された電圧に基づいて前記二次電池の開回路電圧を推定する開回路電圧推定ステップと、前記測定ステップの測定結果に基づいて前記二次電池の内部抵抗値を算出する内部抵抗算出ステップと、前記内部抵抗値及び前記開回路電圧を用いて前記二次電池の劣化と前記二次電池の上がりを判別する判別ステップと、を備える。
【0022】
本発明に係る状態検出装置は、車両に搭載された二次電池の状態を検出する状態検出装置であって、前記二次電池の電流及び電圧を測定する測定手段で測定された電圧に基づいて前記二次電池の開回路電圧を推定する開回路電圧推定手段と、前記測定手段の測定結果に基づいて前記二次電池の内部抵抗値を算出する内部抵抗算出手段と、前記内部抵抗値及び前記開回路電圧を用いて前記二次電池の劣化と前記二次電池の上がりを判別する判別手段と、を備える。
【0023】
本発明に係る状態検出方法は、車両に搭載された二次電池の状態を検出する状態検出方法であって、前記二次電池の電流及び電圧を測定する測定手段で測定された電圧に基づいて前記二次電池の開回路電圧を推定する開回路電圧推定ステップと、前記測定手段の測定結果に基づいて前記二次電池の内部抵抗値を算出する内部抵抗算出ステップと、前記内部抵抗値及び前記開回路電圧を用いて前記二次電池の劣化と前記二次電池の上がりを判別する判別ステップと、を備える。
【0024】
本発明の一態様に係る状態検出システムは、状態検出装置とサーバ装置とを有し、車両に搭載された二次電池の状態を検出する状態検出システムであって、前記状態検出装置は、前記二次電池の電流及び電圧を測定する測定手段と、前記測定手段の測定結果をサーバ装置へ送信する測定結果送信手段と、前記サーバ装置から送信される上がり情報及び劣化情報を受信する情報受信手段と、を有し、前記サーバ装置は、前記測定結果送信手段で送信された前記測定結果を受信する測定結果受信手段と、前記測定結果受信手段が受信した前記測定結果が含む電圧に基づいて前記二次電池の開回路電圧を推定する開回路電圧推定手段と、前記測定結果受信手段が受信した前記測定結果に基づいて前記二次電池の内部抵抗値を算出する内部抵抗算出手段と、前記内部抵抗値及び前記開回路電圧を用いて前記二次電池の劣化と前記二次電池の上がりを判別する判別手段と、前記判別手段による前記二次電池の劣化の判別結果を表す劣化情報と、前記判別手段による前記二次電池の上がりの判別結果を表す上がり情報を、前記状態検出装置へ送信する情報送信手段と、を備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、二次電池の劣化と上がりを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施形態に係る状態検出装置を有する車両の電源系統を示す図である。
図2図2は、状態検出装置が備える制御部の構成を示すブロック図である。
図3図3は、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、二次電池の開回路電圧と内部抵抗値の関係を示すグラフである。
図5図5は、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、状態検出装置の機能ブロック図である。
図7図7は、状態検出システムの構成を示すブロック図である。
図8図8は、サーバ装置の構成を示すブロック図である。
図9図9は、状態検出システムの機能ブロック図である。
図10図10は、状態検出システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
図11図11は、別の実施形態の状態検出システムの機能ブロック図である。
図12図12は、別の実施形態の状態検出システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
図13図13は、別の実施形態の状態検出システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
図14図14は、別の実施形態の状態検出システムの構成を示すブロック図である。
図15図15は、別の実施形態の状態検出システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素については適宜同一の符号を付している。
【0028】
[実施形態]
(実施形態の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る状態検出装置を有する車両2の電源系統を示す図である。実施形態に係る状態検出装置1は、制御部10、電圧センサ11、電流センサ12、温度センサ13、及び放電回路15を有している。状態検出装置1は、電圧センサ11、電流センサ12、温度センサ13の測定結果に基づいて、車両2に搭載された充電可能である二次電池14の状態を検知する。なお、制御部10、電圧センサ11、電流センサ12、温度センサ13、及び放電回路15を別々の構成とするのではなく、これらの一部または全てをまとめた構成としてもよい。
【0029】
エンジン17は、例えば、ガソリンエンジン、及びディーゼルエンジン等のレシプロエンジン、又はロータリーエンジン等によって構成されている。エンジン17は、スタータモータ18によって始動され、トランスミッションを介して駆動輪を駆動し、車両2に推進力を与えるとともに、オルタネータ16を駆動して電力を発生させる。
【0030】
スタータモータ18は、例えば、直流電動機によって構成され、二次電池14から供給される電力によって回転力を発生し、エンジン17を始動する。オルタネータ16は、エンジン17によって駆動され、交流電力を発生して整流回路によって直流電力に変換し、二次電池14を充電する。オルタネータ16は、制御部10によって制御され、発電電圧を調整することが可能とされている。
【0031】
負荷19は、例えば、電動ステアリングモータ、デフォッガ、シートヒータ、イグニッションコイル、カーオーディオ、及びカーナビゲーション等によって構成され、二次電池14から供給される電力によって動作する。
【0032】
二次電池14は、電解液を有する充電可能な電池であり、例えば、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、又はニッケル水素電池等によって構成されている。二次電池14は、オルタネータ16によって充電され、スタータモータ18を駆動してエンジン17を始動するとともに、負荷19に電力を供給する。なお、二次電池14は、複数のセルを直列接続して構成されている。
【0033】
なお、図1の例では、車両2をエンジン17のみが駆動力を出力する構成としたが、車両2は、例えば、エンジン17をアシストする電動モータを具備したハイブリッド車又は電動モータで駆動される電気自動車などの電動車であってもよい。ハイブリッド車又は電気自動車などの電動車の場合、二次電池14は、リチウム電池等によって構成される高圧システム(電動モータを駆動するシステム)を起動し、高圧システムがエンジン17を始動する。
【0034】
電圧センサ11は、二次電池14の端子電圧を検出し、検出した電圧を示す信号を制御部10へ出力する。電流センサ12は、二次電池14に流れる電流を検出し、検出した電流を示す信号を制御部10に出力する。温度センサ13は、二次電池14の電解液又は二次電池14の周囲の温度を検出し、検出した温度を示す信号を制御部10に出力する。
【0035】
放電回路15は、例えば、直列接続された半導体スイッチ、及び抵抗素子等によって構成され、制御部10の制御に応じて半導体スイッチをオン/オフすることで、二次電池14を間欠的に放電(パルス放電)させる。
【0036】
制御部10は、電圧センサ11、電流センサ12、及び温度センサ13からの信号を取得し、取得した信号を用いて二次電池14の状態を検知する。また、制御部10は、オルタネータ16の発電電圧を制御することで二次電池14の充電状態を制御する。なお、制御部10がオルタネータ16の発電電圧を制御することで二次電池14の充電状態を制御するのではなく、例えば、図示しないECU(Electric Control Unit)が充電状態を制御するようにしてもよい。
【0037】
図2は、図1に示す制御部10の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、制御部10は、CPU(Central Processing Unit)10a、ROM(Read Only Memory)10b、RAM(Random Access Memory)10c、通信部10d、インターフェース10e、記憶部10f、及びバス10gを有している。なお、CPU10aの代わりに、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、または、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって構成するようにしてもよい。
【0038】
バス10gは、CPU10a、ROM10b、RAM10c、通信部10d、及びインターフェース10e及び記憶部10fを相互に接続し、これらの間で情報の授受を可能とするための信号線群である。通信部10dは、上位の装置であるマスタECU(Electronic Control Unit)等との間で通信を行い、状態検出装置1が検知した二次電池14の状態を示す情報や制御情報などを上位装置に通知する。インターフェース10eは、電圧センサ11、電流センサ12、及び温度センサ13から供給される信号をデジタル信号に変換して取得するとともに、放電回路15、オルタネータ16、及びスタータモータ18等に駆動電流を供給してこれらを制御する。
【0039】
ROM10bは、不揮発性の半導体メモリ等によって構成され、プログラム10ba等を格納している。演算処理手段であるCPU10aは、ROM10bに格納されているプログラム10baに基づいて各部を制御する。また、プログラム10baを実行しているCPU10aは、インターフェース10eが取得した信号、RAM10cに格納されている情報、及び記憶部10fに記憶されている情報を用いて二次電池14の状態を検知する。
【0040】
RAM10cは、半導体メモリ等によって構成され、CPU10aがプログラム10baを実行する際に生成されるデータや、電圧センサ11、電流センサ12、及び温度センサ13の測定結果の履歴、これらの測定結果を用いてCPU10aにより算出される各種の値の履歴を記憶する。例えば、RAM10cは、エンジン17を始動したときに測定された二次電池14の電圧や、CPU10aが算出する二次電池14の内部抵抗値、CPU10aが算出する二次電池14の開回路電圧(OCV)などを記憶する。
【0041】
図6は、CPU10aがプログラム10baを実行することにより制御部10において実現する機能の構成を示す機能ブロック図である。状態検出装置1の制御部10においては、開回路電圧推定部101、内部抵抗算出部102、及び判別部103が実現する。開回路電圧推定手段としての開回路電圧推定部101は、後述する方法により二次電池14の開回路電圧を推定する。内部抵抗算出手段としての内部抵抗算出部102は、電圧センサ11および電流センサ12の測定結果から後述する方法により二次電池14の内部抵抗値を算出する。判別部103は、内部抵抗算出部102が算出した内部抵抗値及び開回路電圧推定部101が推定した開回路電圧を用いて二次電池14の劣化と二次電池14の上がりを判別する。報知部106は、判別部103が設定する上がりフラグと劣化フラグに基づいて、二次電池14の状態を示す情報を、マスタECU40、メータECU50を介して計器パネル51に表示させる。マスタECU40は、車両2の駆動系の主要な制御を司るエレクトロニックコントロールユニットであり、メータECU50は、インストルメントパネルである計器パネル51を制御するコントロールユニットである。なお、図6に示すように、制御部10に接続される電圧センサ11、電流センサ12、及び温度センサ13は、測定手段としての測定部20として機能する。状態検出装置1は、図1では測定部20を含む構成となっているが、測定部20を除外した構成としてもよい。また、マスタECU40を除外した構成としてもよい。
【0042】
記憶部10fは、不揮発性メモリによって構成され、例えば、予め測定された使用開始前の二次電池14の内部抵抗値の初期値を記憶する。
【0043】
CPU10aは、電圧センサ11、電流センサ12、及び温度センサ13から出力される信号を受け付け、二次電池14の物理量である電圧、電流、温度を測定する。CPU10aは、例えば、検知結果からエンジン17を始動したときの二次電池14の電圧を求め、求めた電圧の履歴をRAM10cに記憶させる。また、CPU10aは、測定した二次電池14の物理量を用いて、二次電池14の内部抵抗値の算出や二次電池14の開回路電圧の推定を行い、算出結果や推定結果の履歴をRAM10cに記憶させる。電圧センサ11、電流センサ12、及び温度センサ13は、測定手段の一例である。また、電圧センサ11、電流センサ12、及び温度センサ13で行われる物理量の測定は、測定ステップの一例である。
【0044】
二次電池14の内部抵抗値は、例えば、制御部10が放電回路15を制御して二次電池14をパルス放電させ、そのときの電圧および電流の変化を、電圧センサ11および電流センサ12によって検知し、検知結果から内部抵抗を算出することにより得られる。パルス放電を用いる内部抵抗値の算出方法としては、例えば特許第3960998号公報に開示されている方法や特許第4494904号公報に開示されている方法などがあるが、他の公知の方法で算出してもよい。なお、内部抵抗値は、エンジン17を始動した時の電圧および電流の値から算出した推定値を用いてもよい。また、開回路電圧については、例えば特許第4785056号公報に開示されている近似式を用いる方法で推定することができる。また、開回路電圧については、エンジン17や電動モータの起動時に電圧センサ11が測定した二次電池14の端子間電圧、又は電圧センサ11で周期的に測定してRAM10cに記憶されている最新の二次電池14の端子間電圧を開回路電圧と推定してもよい。また、エンジン17や電動モータの起動時に最も近いタイミングで測定された端子間電圧、すなわちエンジン17や電動モータの起動直前に測定された二次電池14の端子間電圧に基づいて開回路電圧を推定してもよい。
【0045】
(実施形態の動作例)
次に本実施形態の動作例について説明する。図3は、制御部10が二次電池14の状態を推定する処理の流れを示すフローチャートである。制御部10は、図3に示す処理を例えば予め定められた周期や予め定められたタイミングで実行する。
【0046】
まず制御部10は、二次電池14が待機状態であるか判断する(ステップS101)。ここで制御部10は、エンジン17が停止している場合には、待機状態であると判定し(ステップS101でYES)、エンジン17が停止していない場合には、待機状態ではないと判定する(ステップS101でNO)。エンジン17が停止しているかの判定については、例えば制御部10は、通信部10dを介してエンジン17の状態をマスタECU40に問い合わせ、マスタECU40からイグニッションオフとの応答を得た場合には、エンジン17が停止した待機状態であると判定してステップS102へ進み、マスタECU40からイグニッションオンとの応答を得た場合には、エンジン17が停止していない非待機状態であると判定してステップS110へ進む。なお、制御部10は、マスタECU40からイグニッションオンとの応答を得た場合、応答を得てから所定時間が経過した後でステップS102へ進むようにしてもよい。所定時間が経過してからステップS102へ進む場合、二次電池14が安定した状態で二次電池14の電流、電圧、温度を検知することができる。また、状態検出装置1を備える車両2がハイブリッド車である場合、エンジン17と電動モータが作動していない状態を待機状態とし、状態検出装置1を備える車両2が電気自動車である場合、電動モータが作動していない状態を待機状態としてもよい。エンジン17は、車両2を駆動する駆動部の一例であり、電動モータも車両2を駆動する駆動部の一例である。
【0047】
制御部10は、エンジン17が待機状態であると判定した場合、記憶部10fに記憶されている内部抵抗値の初期値を取得する(ステップS102)。次に制御部10は、放電回路15を制御して二次電池14をパルス放電させ、パルス放電させたときの電圧および電流の変化を、電圧センサ11および電流センサ12によって検知し、検知結果から内部抵抗値を算出する(ステップS103)。ここで、CPU10aは、内部抵抗値を算出する内部抵抗算出手段として機能する。また、ステップS103は、内部抵抗算出ステップの一例である。また、制御部10は、内部抵抗値を算出した後、開回路電圧を推定する(ステップS104)。ここで、CPU10aは、開回路電圧を推定する開回路電圧推定手段として機能する。また、ステップS104は、開回路電圧推定ステップの一例である。ステップS104の後、制御部10は、内部抵抗値の初期値と、算出した内部抵抗値及び推定した開回路電圧を用いて二次電池14の上がりと劣化を判別する。ステップS105以降、CPU10aは、二次電池14の上がりと劣化を判別する判別手段として機能する。また、ステップS105~ステップS108の処理は、二次電池14の上がりと劣化を判別する判別ステップの一例である。
【0048】
ここで、二次電池14の上がりと劣化を判別する方法の一例について説明する。図4は、充放電が繰り返された二次電池14における開回路電圧と内部抵抗値の関係を示すグラフである。実測容量/新品時の実測容量で表される値を健常度とした場合、実線のグラフは、二次電池14が新品で健常度が1である状態のグラフであり、破線のグラフは、二次電池14が使用されて実測容量が低下して健常度が下がった状態のグラフであり、一点鎖線のグラフは、破線の状態よりさらに実測容量が低下して健常度が0に近い劣化した状態のグラフである。
【0049】
図4に示されているように、二次電池14においては、内部抵抗値には開回路電圧の依存性がある。また、図4に示されているように、二次電池14は、健常度が異なる場合、健常度が低いものほど高い開回路電圧で内部抵抗値が上昇する。開回路電圧は、充電率(SOC)と相関があり、開回路電圧が低くなるにつれて充電率も低くなるため、換言すると、内部抵抗値の上昇量が閾値を超えている場合、充電率が低い状態であり、内部抵抗値の上昇量が閾値を超えているか判定することにより、二次電池14の上がりを検知することができる。また、図4のグラフによれば、二次電池14の内部抵抗値の上昇量が閾値を超えた場合、健常度が低くなるにつれて開回路電圧が高くなっており、内部抵抗値の上昇量が閾値を超えている状態において、開回路電圧が閾値を超えているか判定することにより、健常度が低い状態、即ち、二次電池14が劣化している状態を検知することができる。
【0050】
図3に戻り、制御部10は、内部抵抗値の上昇量が予め定められた第1閾値を超えており、且つ開回路電圧が予め定められた劣化閾値を超えているか判定する(ステップS105)。具体的には、制御部10は、例えばステップS102で取得した内部抵抗値とステップS103で算出した内部抵抗値との差を内部抵抗値上昇量とし、内部抵抗値上昇量が予め定められた第1閾値を超えているか判定する。制御部10は、内部抵抗値上昇量が予め定められた第1閾値を超えている場合には、ステップS104で推定した開回路電圧が予め定められた劣化閾値を超えているか判定する。二次電池14が劣化した場合、内部抵抗値は、未使用のときに測定された内部抵抗値より上昇する。また、図4で示されるように、内部抵抗値の上昇量が同じであっても、健常度が低くなるにつれて、即ち劣化が進むにつれて、開回路電圧が高くなる。このため、内部抵抗値の上昇量が第1閾値を超え、且つ開回路電圧が劣化閾値を超えていたか判定することにより、二次電池14が劣化の状態であることを検知することができる。なお、第1閾値は、エンジン17の始動性を踏まえて予め実験により評価して決定される。
【0051】
制御部10は、内部抵抗値の上昇量が第1閾値を超えていない場合、又は開回路電圧が劣化閾値を超えていない場合には(ステップS105でNO)、ステップS107へ進み、内部抵抗値の上昇量が第1閾値を超えており、且つ開回路電圧が予め定められた劣化閾値を超えている場合には(ステップS105でYES)、二次電池14が劣化した状態であると推定し、二次電池14が劣化した状態であることを示す劣化フラグをONにする(ステップS106)。即ち、内部抵抗値上昇量が第1閾値を超えており、且つ開回路電圧が予め定められた劣化閾値を超えている状態が、二次電池14が劣化している状態である。なお、制御部10は、ステップS105でNOと判断した場合、ステップS107へ進む前に劣化フラグをOFFにしてもよい。
【0052】
次に制御部10は、ステップS105で用いた内部抵抗値上昇量が予め定められた第2閾値を超えているか判定する(ステップS107)。制御部10は、内部抵抗値上昇量が第2閾値を超えていない場合には(ステップS107でNO)、ステップS109へ進み、内部抵抗値上昇量が第2閾値を超えている場合には(ステップS107でYES)、二次電池14が上がった状態であると推定し、二次電池14が上がった状態であることを示す上がりフラグをONにする(ステップS108)。即ち、内部抵抗値上昇量が第2閾値を超えている状態が、二次電池14が上がりの状態である。なお、制御部10は、ステップS107でYESの場合、二次電池の上がりが近い状態であると推定してもよい。この場合、内部抵抗値上昇量が第2閾値を超えており、上がりフラグがONの状態は、二次電池の上がりが近い状態である。なお、第1閾値、第2閾値、劣化閾値については、二次電池14を評価することにより、それぞれ適切な値に設定される。
【0053】
制御部10は、ステップS109で上がりフラグと劣化フラグを通信部10dでマスタECU40へ送り、二次電池14の状態をマスタECU40へ通知する(ステップS109)。上がりフラグと劣化フラグを取得したマスタECU40は、例えば、上がりフラグがONである場合には、二次電池14が上がっていることを示す情報、又は二次電池14の交換を促す情報を計器パネルで表示し、劣化フラグがONである場合には、二次電池14が劣化して交換を要することを示す情報を計器パネルで表示する。なお、二次電池14の交換を促す報知や、二次電池14が上がっていることを知らせる報知は、計器パネルでの表示に限定されるものではなく、例えば、アラーム音や音声であってもよい。また、これらの報知は、車両2においてアクセサリー電源がオンとなったタイミングや、イグニッションオンのタイミングでおこなってもよい。
【0054】
なお、制御部10は、ステップS101で待機状態ではないと判定した場合、二次電池14の交換が行われたか判定する(ステップS110)。ここで制御部10は、例えば通信部10dでマスタECU40と通信を行い、交換が行われていないことを示す情報をマスタECU40から取得した場合には、二次電池14の交換が行われていないと判定し(ステップS110でNO)、ステップS109へ進む。また、制御部10は、通信部10dでマスタECU40と通信を行い、交換が行われたことを示す情報をマスタECU40から取得した場合には、二次電池14の交換が行われたと判定し(ステップS110でYES)、劣化フラグをOFFにし(ステップS111)、上がりフラグをOFFにし(ステップS112)、ステップS109へ進む。なお、ステップS111とステップS112の処理が行われた後にステップS101でYESと判断してステップS102に進む際には、二次電池14の交換時に劣化フラグ及び上がりフラグが初期化されているため、上がりフラグ及び劣化フラグはOFFの状態である。また、制御部10は、待機状態でも二次電池14の交換が行われたか否かを判定し、二次電池14の交換が行われたと判定した場合、待機状態でも劣化フラグ及び上がりフラグをOFFとしてもよい。
【0055】
以上説明したように本実施形態によれば、二次電池14の状態について、上がっている状態と劣化している状態を判別することができ、充電率が下がっている状態において誤って劣化と推定することを防ぐことができる。
【0056】
なお、図3に示したフローチャートは、図5に示すようにステップS108とステップS109との間において、ステップS113~ステップS115の処理を追加してもよい。制御部10は、図5に示すフローチャートの処理を実行する場合、ステップS108の後、ステップS112の後、又はステップS110でNoと判断した後、劣化フラグがOFF且つ上がりフラグがONであるか判定する(ステップS113)。制御部10は、劣化フラグがOFF且つ上がりフラグがONである場合(ステップS113でYes)、内部抵抗値上昇量が第3閾値未満であるか判定する(ステップS114)。制御部10は、内部抵抗値上昇量が第3閾値未満である場合(ステップS114でYes)、上がりフラグをOFFにする(ステップS115)。制御部10は、劣化フラグがOFF且つ上がりフラグがONでない場合(ステップS113でNo)や、内部抵抗値上昇量が第3閾値未満ではない場合(ステップS114でNo)、ステップS115の処理を実行せず、処理の流れをステップS109へ移す。
【0057】
また、制御部10は、ステップS103で内部抵抗値を算出する処理を実行するときにパルス放電と内部抵抗値の算出の処理のセットを複数回実行し、各セットで算出した内部抵抗値の平均値を内部抵抗値としてもよい。
【0058】
また、制御部10は、ステップS103~ステップS105の処理を複数回繰り返し、ステップS105の判定結果が複数回連続してYesの場合にステップS106へ処理の流れを移し、ステップS105の判定結果が複数回連続してYesではない場合にステップS107へ処理の流れを移してもよい。
【0059】
また、ステップS107についても、複数回連続して算出した内部抵抗値上昇量が複数回連続して第2閾値を超えていた場合にステップS108へ処理の流れを移し、複数回連続して算出した内部抵抗値上昇量が複数回連続して第2閾値を超えていない場合にはステップS109へ処理の流れを移してもよい。
【0060】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。上述した各実施形態及び各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0061】
上述した実施形態においては、例えば、非待機状態であるエンジン17の始動のときに各種センサで検知した物理量から内部抵抗値を算出し、算出した内部抵抗値までの内部抵抗値上昇量が予め定められた閾値を超えている場合、二次電池14が上がっていると推定し、上がりフラグをONにしてマスタECU40へ通知してもよい。また、非待機状態においては、予め定められた周期で各種センサにより検知した物理量から内部抵抗値を算出し、算出した内部抵抗値までの内部抵抗値上昇量が予め定められた閾値を超えている場合、二次電池14が上がっていると推定し、上がりフラグをONにしてマスタECU40へ通知してもよい。
【0062】
上述した実施形態においては、制御部10は、ステップS105において内部抵抗値の上昇量と第1閾値とを比較して二次電池の劣化を推定しているが、内部抵抗値の初期値に対する算出した内部抵抗値の比率を用いて二次電池の劣化を推定してもよい。この場合、制御部10は、比率が予め定められた閾値を超えており、且つ開回路電圧が劣化閾値を超えている場合には、ステップS106へ進む。また、ステップS107においても、内部抵抗値の初期値に対する算出した内部抵抗値の比率を用いて二次電池の上がりを推定してもよい。この場合、制御部10は、比率が予め定められた閾値を超えている場合には、ステップS108へ進む。
【0063】
上述した実施形態においては、内部抵抗値の初期値は、予め測定された使用開始前の二次電池14の内部抵抗値であるが、内部抵抗値の初期値は、この値に限定されるものではない。例えば、内部抵抗値の初期値は、イグニッションオンから待機状態に遷移し、待機状態において電圧および電流の変化を電圧センサ11および電流センサ12によって複数回検知し、検知毎に内部抵抗値を算出し、待機状態毎に算出した初回の値を内部抵抗値の初期値としてもよい。また、制御部10は、算出した内部抵抗値を履歴として記憶し、最新の値から過去の複数回の間の値において最小の値を内部抵抗値の初期値としてもよく、履歴として記憶された値の最小値を内部抵抗値の初期値としてもよい。
【0064】
上述した実施形態においては、イグニッションオフとなったことをマスタECU40から制御部10へ通知し、制御部10は、イグニッションオフの通知をマスタECU40から受け取るごとに図3の処理を実行するようにしてもよい。この変形例によれば、待機状態の期間となる度に二次電池14の上がりと劣化の検知が行われる。
【0065】
上述した実施形態においては、制御部10は、ステップS105おいて、ステップS104で推定した開回路電圧と劣化閾値を比較しているが、開回路電圧に替えてエンジン17を始動した時の電圧、又は待機時に電圧センサ11で検知された二次電池14の電圧と劣化閾値を比較して二次電池14の劣化を推定してもよい。
【0066】
上述した実施形態においては、第2閾値は、エンジン17を始動した時の電圧、又は待機時に電圧センサ11で検知された二次電池14の電圧に応じた値としてもよい。この場合、第2閾値は、電圧が高くなるにつれて値が低く設定される。
【0067】
本発明においては、待機状態の期間毎に開回路電圧の低下と内部抵抗値の上昇の関係を表す関数を算出し、算出した関数の傾きを用いて二次電池14の劣化を推定してもよい。例えば、図4に示されているように、二次電池14の劣化が進んで健常度が下がるにつれて、開回路電圧の変化に対して内部抵抗値の変化が大きくなり、グラフの傾き、即ち、開回路電圧の変化に対する内部抵抗値の変化の比率が大きくなる。制御部10は、この傾きを算出し、算出した傾きが予め定められた閾値を超えている場合、ステップS105でYESと判定してもよい。
【0068】
なお、グラフの傾きを算出する場合、制御部10は、例えば二次電池14が新品であるときの傾きから最新の算出された傾きまでの変化量が予め定められた閾値を超えている場合、ステップS105でYESと判定してもよい。また、制御部10は、二次電池14が新品であるときの傾きに対する最新の算出された傾きの比率が予め定められた閾値を超えている場合、ステップS105でYESと判定してもよい。
【0069】
上述した実施形態においては、車両2が備える状態検出装置1が二次電池14の上がりと劣化の推定を行っているが、この推定を行う装置は、状態検出装置1に限定されるものではない。例えば、状態検出装置1は、車両2に設けられたマスタECU40、通信インターフェース及び移動体通信網を介して、内部抵抗値の初期値、二次電池14をパルス放電させたときの電圧及び電流の測定結果を、クラウドサービスを提供するサーバ装置へ送信する。なお、サーバ装置は、クラウドサービスを提供するものに限定されるものではなく、クライアントからの要求に応じて情報提供する周知のサーバ装置であってもよい。この場合、CPU10a、通信部10d及びマスタECU40は、測定結果送信手段として機能する。サーバ装置は、マスタECU40から送信される内部抵抗値の初期値と、電圧および電流の測定結果を通信インターフェースで受信する。このサーバ装置は、受信した内部抵抗値の初期値と、電圧および電流の測定結果を用いてステップS103とステップS104の処理を行い、ステップS103の結果とステップS104の結果を用いてステップS105からステップS108までの処理を実行する。ここでサーバ装置は、前述の各閾値を予め記憶している。サーバ装置は、ステップS105からステップS108の処理を行った後、通信インターフェースを介して上がりフラグと劣化フラグをマスタECU40へ送信し、マスタECU40は、劣化フラグ及び上がりフラグをCPU10aへ送り、各フラグの内容に応じた情報を計器パネルにて表示する。この場合、サーバ装置のCPUは、測定結果受信手段、開回路電圧推定手段、内部抵抗算出手段、判別手段、情報送信手段として機能しており、CPU10a、通信部10d及びマスタECU40は、情報受信手段として機能している。またこの場合、上がりフラグは、上がり情報の一例であり、劣化フラグは、劣化情報の一例である。状態検出装置1とサーバ装置は、状態検出システムの一例である。また、サーバ装置は、劣化フラグ及び上がりフラグを通知対象者(ここでは車両2のユーザとするが、一般に車両の所有者、利用者、サービス提供者等である。)が所有する携帯端末へ送信し、携帯端末は、各フラグの内容に応じた情報をユーザに表示してもよい。なお、サーバ装置においては、複数の状態検出装置1から送られる情報を基にして内部抵抗値と開回路電圧の関係を学習し、前述の各閾値を設定するようにしてもよい。
【0070】
[状態検出システムの実施形態]
図7は、本発明に係る状態検出システム1000の構成を示すブロック図である。サーバ装置3は、通知対象者(例えば車両2のユーザ)に情報提供する機能を有している。携帯端末4は、例えば、車両2のユーザが有するスマートフォンである。
【0071】
車両2は、制御部10、測定部20、マスタECU40、通信ECU30、メータECU50、及び計器パネル51を備える。制御部10は、上述した実施形態に係る状態検出装置1の制御部10である。状態検出システム1000においては、状態検出装置1は、電圧センサ11、電流センサ12、温度センサ13を除いた制御部10のみの構成である。通信ECU30は、例えば、無線通信の通信インターフェースを介してサーバ装置3と通信を行う通信ユニットである。マスタECU40は、車両2の駆動系の主要な制御を司るエレクトロニックコントロールユニットである。メータECU50は、インストルメントパネルである計器パネル51を制御するコントロールユニットである。
【0072】
図8は、サーバ装置3の詳細な構成を示すブロック図である。この図に示すように、サーバ装置3は、CPU30a、ROM30b、RAM30c、通信部30d、記憶部30f、及びバス30gを有している。なお、CPU30aの代わりに、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、または、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって構成するようにしてもよい。
【0073】
バス30gは、CPU30a、ROM30b、RAM30c、通信部30d、及びインターフェース30e及び記憶部30fを相互に接続し、これらの間で情報の授受を可能とするための信号線群である。通信部30dは、通信ネットワークを介して状態検出装置1と通信を行い、情報の授受を行う。
【0074】
ROM30bは、不揮発性の半導体メモリ等によって構成され、プログラム30ba等を格納している。演算手段であるCPU30aは、ROM30bに格納されているプログラム30baに基づいて各部を制御する。
【0075】
RAM30cは、半導体メモリ等によって構成され、CPU30aがプログラム30baを実行する際に生成されるデータや、状態検出装置1から送信された情報を記憶する。
【0076】
図9は、状態検出システム1000に係る制御部10とサーバ装置3において実現する機能の構成を示す機能ブロック図である。
【0077】
制御部10においては、開回路電圧推定部101、内部抵抗算出部102、判別部103、及び第1情報送信部104が実現する。第1情報送信手段としての第1情報送信部104は、上がりフラグ及び劣化フラグをサーバ装置3へ送信する。
【0078】
サーバ装置3においては、CPU30aがプログラム30baを実行することにより、第2情報受信部301、第2情報送信部302、設定部306が実現する。第2情報受信部301は、制御部10から送信される情報を受信する。第2情報送信部302は、制御部10や携帯端末4へ二次電池14の状態を示す情報を送信する。設定部306は、携帯端末4からの指示又はサーバ装置3のオペレータからの指示に基づいて、二次電池14の状態を示す情報を携帯端末4へ送信するか否かを設定する。
【0079】
図10は、状態検出システム1000の動作を説明するためのシーケンス図である。制御部10の第1情報送信部104は、上がりフラグ及び劣化フラグをマスタECU40へ送る(ステップS1)。マスタECU40は、上がりフラグ及び劣化フラグを通信ECU30へ送り(ステップS2)、通信ECU30は、上がりフラグ及び劣化フラグをサーバ装置3へ送信する(ステップS3)。
【0080】
サーバ装置3の第2情報受信部301は、通信ECU30から送信される上がりフラグ及び劣化フラグを受信する。
第2情報送信部302は、上がりフラグと劣化フラグを車両2のユーザの携帯端末4へ送信する(ステップS4)。
【0081】
携帯端末4は、送信された上がりフラグがONである場合には、二次電池14が上がっていることを示す情報、又は二次電池14の交換を促す情報を表示し、劣化フラグがONである場合には、二次電池14が劣化して交換を要することを示す情報を表示する。
【0082】
また、マスタECU40は、制御部10から送られた上がりフラグと劣化フラグをメータECU50へ送る(ステップS5)。
メータECU50は、マスタECU40から送られた上がりフラグがONである場合には、二次電池14が上がっていることを示す情報、又は二次電池14の交換を促す情報を計器パネル51で表示し、劣化フラグがONである場合には、二次電池14が劣化して交換を要することを示す情報を計器パネル51で表示する。
【0083】
なお、制御部10は、上がりフラグと劣化フラグをメータECU50へ直接送り、メータECU50は、制御部10から直接送られた上がりフラグと劣化フラグに応じて情報を計器パネル51で表示するようにしてもよい。
【0084】
図11は、別の実施形態に係る状態検出システム1000の制御部10とサーバ装置3において実現する機能の構成を示す機能ブロック図である。
【0085】
制御部10においては、第1情報送信部104、及び第1情報受信部105が実現する。第1情報送信部104は、内部抵抗値の初期値、二次電池14をパルス放電させたときの電圧及び電流の測定部20における測定結果を、サーバ装置3へ送信する。第1情報受信手段としての第1情報受信部105は、サーバ装置3から送信された情報を受信する。
【0086】
サーバ装置3においては、CPU30aがプログラム30baを実行することにより、第2情報受信部301、第2情報送信部302、開回路電圧推定部303、内部抵抗算出部304、及び判別部305が実現する。
【0087】
開回路電圧推定部303は、第2情報受信部301が受信した情報に基づいて、二次電池14の開回路電圧を推定する。内部抵抗算出部304は、第2情報受信部301が受信した電圧と電流の情報に基づいて、二次電池14の内部抵抗値を算出する。判別部305は、内部抵抗算出部304が算出した内部抵抗値と、開回路電圧推定部303が推定した開回路電圧を用いて二次電池14の劣化と上がりを判別する。第2情報送信部302は、判別部305による二次電池14の劣化の判別結果を表す劣化情報としての劣化フラグと、二次電池14の上がりの判別結果を表す上がり情報としての上がりフラグを制御部10と携帯端末4へ送信する。
【0088】
図12は、図11に示した構成の状態検出システム1000の動作を説明するためのシーケンス図である。制御部10の第1情報送信部104は、内部抵抗値の初期値、二次電池14をパルス放電させたときの電圧及び電流の測定結果をマスタECU40へ送る(ステップS11)。マスタECU40は、内部抵抗値の初期値と測定結果を通信ECU30へ送り(ステップS12)、通信ECU30は、内部抵抗値の初期値と測定結果をサーバ装置3へ送信する(ステップS13)。
【0089】
サーバ装置3の第2情報受信部301は、通信ECU30から送信される内部抵抗値の初期値と、電圧および電流の測定結果を受信する。サーバ装置3の開回路電圧推定部303は、第2情報受信部301が受信した測定結果に基づいて、二次電池14の開回路電圧を推定する。サーバ装置3の内部抵抗算出部304は、第2情報受信部301が受信した電圧と電流の情報に基づいて、二次電池14の内部抵抗値を算出する。判別部305は、算出された内部抵抗値と、推定された開回路電圧を用いてステップS105からステップS108までの処理を実行する。第2情報送信部302は、上がりフラグと劣化フラグを車両2のユーザの携帯端末4へ送信する(ステップS14)。
【0090】
携帯端末4は、送信された上がりフラグがONである場合には、二次電池14が上がっていることを示す情報、又は二次電池14の交換を促す情報を表示し、劣化フラグがONである場合には、二次電池14が劣化して交換を要することを示す情報を表示する。
【0091】
また、サーバ装置3の第2情報送信部302は、上がりフラグと劣化フラグを車両2へ送信する(ステップS15)。通信ECU30は、サーバ装置3から送信された上がりフラグと劣化フラグをマスタECU40へ送る(ステップS16)。マスタECU40は、通信ECU30から送られた上がりフラグと劣化フラグを制御部10へ送る(ステップS17)。
【0092】
制御部10の第1情報受信部105は、マスタECU40から送られた上がりフラグと劣化フラグを取得する。制御部10の第1情報送信部104は、取得した上がりフラグと劣化フラグをマスタECU40へ送る(ステップS18)。マスタECU40は、制御部10から送られた上がりフラグと劣化フラグをメータECU50へ送る(ステップS19)。メータECU50は、マスタECU40から送られた上がりフラグがONである場合には、二次電池14が上がっていることを示す情報、又は二次電池14の交換を促す情報を計器パネル51で表示し、劣化フラグがONである場合には、二次電池14が劣化して交換を要することを示す情報を計器パネル51で表示する。
【0093】
なお、制御部10は、上がりフラグと劣化フラグをメータECU50へ直接送り、メータECU50は、制御部10から直接送られた上がりフラグと劣化フラグに応じて情報を計器パネル51で表示するようにしてもよい。また、マスタECU40は、ステップS16で取得した上がりフラグと劣化フラグを直接メータECU50へ送り、メータECU50は、マスタECU40から直接送られた上がりフラグと劣化フラグに応じて情報を計器パネル51で表示するようにしてもよい。
【0094】
図13は、別の実施形態に係る状態検出システム1000の別の動作を説明するためのシーケンス図である。制御部10の第1情報送信部104は、内部抵抗値の初期値、二次電池14をパルス放電させたときの電圧及び電流の測定結果を通信ECU30へ送り(ステップS21)、通信ECU30は、内部抵抗値の初期値と測定結果をサーバ装置3へ送信する(ステップS22)。
【0095】
サーバ装置3の第2情報受信部301は、通信ECU30から送信される内部抵抗値の初期値と、電圧および電流の測定結果を受信する。サーバ装置3の開回路電圧推定部303は、第2情報受信部301が受信した測定結果に基づいて、二次電池14の開回路電圧を推定する。サーバ装置3の内部抵抗算出部304は、第2情報受信部301が受信した電圧と電流の情報に基づいて、二次電池14の内部抵抗値を算出する。判別部305は、算出した内部抵抗値と、推定した開回路電圧を用いてステップS105からステップS108までの処理を実行する。第2情報送信部302は、上がりフラグと劣化フラグを車両2のユーザの携帯端末4へ送信する(ステップS23)。
【0096】
携帯端末4は、送信された上がりフラグがONである場合には、二次電池14が上がっていることを示す情報、又は二次電池14の交換を促す情報を表示し、劣化フラグがONである場合には、二次電池14が劣化して交換を要することを示す情報を表示する。
【0097】
また、サーバ装置3の第2情報送信部302は、上がりフラグと劣化フラグを車両2へ送信する(ステップS24)。通信ECU30は、サーバ装置3から送信された上がりフラグと劣化フラグを制御部10へ送る(ステップS25)。制御部10の第1情報受信部105は、通信ECU30から送られた上がりフラグと劣化フラグを取得する。
【0098】
制御部10の第1情報送信部104は、取得した上がりフラグと劣化フラグをマスタECU40へ送る(ステップS26)。マスタECU40は、制御部10から送られた上がりフラグと劣化フラグをメータECU50へ送る(ステップS27)。メータECU50は、マスタECU40から送られた上がりフラグがONである場合には、二次電池14が上がっていることを示す情報、又は二次電池14の交換を促す情報を計器パネル51で表示し、劣化フラグがONである場合には、二次電池14が劣化して交換を要することを示す情報を計器パネル51で表示する。
【0099】
なお、制御部10は、ステップS25で取得した上がりフラグと劣化フラグをメータECU50へ直接送り、メータECU50は、制御部10から直接送られた上がりフラグと劣化フラグに応じて情報を計器パネル51で表示するようにしてもよい。
【0100】
また、通信ECU30は、ステップS24で取得した上がりフラグと劣化フラグをマスタECU40へ送り、マスタECU40は、通信ECU30から送られた上がりフラグと劣化フラグをメータECU50へ送り、メータECU50は、マスタECU40から送られた上がりフラグと劣化フラグに応じて情報を計器パネル51で表示するようにしてもよい。
【0101】
また、通信ECU30は、ステップS24で取得した上がりフラグと劣化フラグを直接メータECU50へ送り、メータECU50は、通信ECU30から直接送られた上がりフラグと劣化フラグに応じて情報を計器パネル51で表示するようにしてもよい。
【0102】
また、制御部10は、図14に示すように通信ECU30を含む一体の構成であってもよい。図15は、制御部10と通信ECU30が一体の実施形態に係る状態検出システム1000の動作を説明するためのシーケンス図である。この場合、制御部10の第1情報送信部104は、内部抵抗値の初期値、二次電池14をパルス放電させたときの電圧及び電流の測定結果を通信ECU30でサーバ装置3へ送信する(ステップS31)。
【0103】
サーバ装置3の第2情報受信部301は、通信ECU30から送信される内部抵抗値の初期値と、電圧および電流の測定結果を受信する。サーバ装置3の開回路電圧推定部303は、第2情報受信部301が受信した測定結果に基づいて、二次電池14の開回路電圧を推定する。サーバ装置3の内部抵抗算出部304は、第2情報受信部301が受信した電圧と電流の情報に基づいて、二次電池14の内部抵抗値を算出する。判別部305は、算出した内部抵抗値と、推定した開回路電圧を用いてステップS105からステップS108までの処理を実行する。第2情報送信部302は、上がりフラグと劣化フラグを車両2のユーザの携帯端末4へ送信する(ステップS32)。
【0104】
携帯端末4は、送信された上がりフラグがONである場合には、二次電池14が上がっていることを示す情報、又は二次電池14の交換を促す情報を表示し、劣化フラグがONである場合には、二次電池14が劣化して交換を要することを示す情報を表示する。
【0105】
また、サーバ装置3の第2情報送信部302は、上がりフラグと劣化フラグを車両2へ送信する(ステップS33)。通信ECU30は、サーバ装置3から送信された上がりフラグと劣化フラグを取得する。
【0106】
制御部10の第1情報送信部104は、通信ECU30が取得した上がりフラグと劣化フラグをマスタECU40へ送る(ステップS34)。マスタECU40は、制御部10から送られた上がりフラグと劣化フラグをメータECU50へ送る(ステップS35)。メータECU50は、マスタECU40から送られた上がりフラグがONである場合には、二次電池14が上がっていることを示す情報、又は二次電池14の交換を促す情報を計器パネル51で表示し、劣化フラグがONである場合には、二次電池14が劣化して交換を要することを示す情報を計器パネル51で表示する。
【0107】
状態検出システム1000においては、上がりフラグと劣化フラグを携帯端末4へ送信するか否かを設定可能としてもよい。例えば、オペレータがサーバ装置3を操作することにより、携帯端末4毎に、上がりフラグと劣化フラグを携帯端末4へ送信するか否かを設定し、設定に応じて、上がりフラグと劣化フラグの送信を制御してもよい。また、サーバ装置3は、携帯端末4からの指示に応じて、携帯端末4毎に、上がりフラグと劣化フラグを携帯端末4へ送信するか否かを設定し、設定に応じて、上がりフラグと劣化フラグの送信を制御してもよい。また、車両2での操作によって、上がりフラグと劣化フラグを携帯端末4へ送信するか否かを設定し、設定に応じてサーバ装置3が上がりフラグと劣化フラグの送信を制御してもよい。
【0108】
状態検出システム1000においては、携帯端末4において上がりフラグや劣化フラグに基づく報知を行う場合、報知の方法を設定できるようにしてもよい。例えば、劣化フラグや上がりフラグに基づく情報を文字によって報知する方法と、アイコンによって報知する方法とで切り替えられるようにしてもよい。
【0109】
状態検出システム1000においては、状態検出装置1と、サーバ装置3との通信に係る構成については、常時電力が供給される構成とし、エンジンが駆動していない状態であっても通信可能としてもよい。例えば、状態検出装置1がマスタECU40と通信ECU30を介してサーバ装置3と通信を行う場合、状態検出装置1、マスタECU40及び通信ECU30を常時電力が供給される状態としてもよい。この構成においては、マスタECU40及び通信ECU30については、車両2のキーオフの状態においてスタンバイ状態とし、状態検出装置1から内部抵抗値の初期値と、二次電池14をパルス放電させたときの電圧及び電流の測定結果がマスタECU40へ送られると、マスタECU40と通信ECU30を復帰させてもよい。また、例えば、状態検出装置1がマスタECU40を介さずに通信ECU30を介してサーバ装置3と通信を行う場合、状態検出装置1、及び通信ECU30を常時電力が供給される状態としてもよい。また、メータECU50と計器パネル51についても、車両2がキーオフの状態において電力が供給される構成とし、上がりフラグと劣化フラグに基づいて、車両2がキーオフのときにも二次電池14の状態を計器パネル51で常時報知できるようにしてもよい。
【0110】
状態検出システム1000においては、マスタECU40がサーバ装置3と同様に二次電池14の上りと劣化の判別を行う構成としてもよい。この構成の場合、マスタECU40が上がりフラグと劣化フラグをサーバ装置3へ送信し、サーバ装置3は、送信された上がりフラグと劣化フラグを携帯端末4へ送信してもよい。また、マスタECU40から上がりフラグと劣化フラグを制御部10へ送り、制御部10が上がりフラグと劣化フラグをメータECU50へ送ってもよい。また、マスタECU40から上がりフラグと劣化フラグをメータECU50へ送ってもよい。
【0111】
状態検出システム1000においては、開回路電圧推定部303で推定した二次電池14の開回路電圧と、内部抵抗算出部304で算出した二次電池14の内部抵抗値を第2情報送信部302で制御部10へ送信し、制御部10は、サーバ装置3から送信された開回路電圧及び内部抵抗値を用いて判別部103が二次電池14の劣化と上がりを判別してもよい。
【0112】
また、状態検出システム1000においては、開回路電圧推定部303で推定した二次電池14の開回路電圧を第2情報送信部302で制御部10へ送信し、制御部10は、サーバ装置3から送信された開回路電圧と、内部抵抗算出部102で算出した内部抵抗値を用いて判別部103が二次電池14の上がりと劣化を判別してもよい。
【0113】
また、状態検出システム1000においては、内部抵抗算出部304で算出した二次電池14の内部抵抗値を第2情報送信部302で制御部10へ送信し、制御部10は、サーバ装置3から送信された内部抵抗値と、開回路電圧推定部101で推定した開回路電圧を用いて判別部103が二次電池14の上がりと劣化を判別してもよい。
【0114】
状態検出システム1000においては、サーバ装置3に替えてマスタECU40が二次電池14の開回路電圧の推定、二次電池14の内部抵抗値の算出、開回路電圧と内部抵抗値に基づく二次電池14の上がりと劣化の判別を行い、上がりフラグと劣化フラグをサーバ装置3へ送信し、サーバ装置3が上がりフラグと劣化フラグを携帯端末4へ送信してもよい。
【0115】
上述した実施形態においては、ステップS105において、内部抵抗値の上昇量が第1閾値を超えているか判断しているが、内部抵抗値の上昇量が第1閾値を超えているかの判断に替えて、ステップS103で算出された内部抵抗値が、劣化を判定するための予め定められた閾値を超えているかを判断するようにしてもよい。また、ステップS105では、内部抵抗値の上昇量が第1閾値を超えているかの判断に替えて、内部抵抗値の上昇量が第1閾値を超えており、且つ、内部抵抗値が劣化を判定するための予め定められた閾値を超えているかを判断するようにしてもよい。
【0116】
上述した実施形態においては、ステップS107において、内部抵抗値の上昇量が第2閾値を超えているか判断しているが、内部抵抗値の上昇量が第2閾値を超えているかの判断に替えて、ステップS103で算出された内部抵抗値が、上がりを判定するための予め定められた閾値を超えているかを判断するようにしてもよい。また、ステップS107では、内部抵抗値の上昇量が第2閾値を超えているかの判断に替えて、内部抵抗値の上昇量が第2閾値を超えており、且つ、内部抵抗値が上がりを判定するための予め定められた閾値を超えているかを判断するようにしてもよい。
【0117】
二次電池14においては、内部抵抗値は温度に依存し、温度が高くなると内部抵抗値は低くなり、温度が低くなると内部抵抗値が高くなる。このため、上述した実施形態においては、ステップS103で算出した内部抵抗値を、温度センサ13の測定結果に基づいて補正してもよい。例えば、状態検出装置1は、温度と補正係数とを対応付けたテーブルを記憶部10fに記憶しておく。制御部10は、内部抵抗値を算出した後、温度センサ13で測定された温度に対応付けて記憶されている補正係数を取得し、算出した内部抵抗値に取得した補正係数を乗じて内部抵抗値を補正する。
【0118】
上述した実施形態においては、パルス放電を用いる内部抵抗値の算出方法は、所定の周期の矩形波のパルス放電を行う方法であるが、内部抵抗値を算出する際の放電は、所定の周期の矩形波のパルス放電に限定されるものではない。例えば、矩形波とは異なる波形にて所定期間内に所定回数の放電、換言すると、繰り返しの放電を行う構成としてもよい。
【0119】
なお、本発明の実施形態の状態検出システム1000は、状態検出装置1で検出される二次電池の状態に関する情報に悪影響をもたらさない限り、他の情報もあわせて取り扱うことができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0120】
1 状態検出装置
10 制御部
10a CPU
10b ROM
10ba プログラム
10c RAM
10d 通信部
10e インターフェース
10f 記憶部
10g バス
11 電圧センサ
12 電流センサ
13 温度センサ
14 二次電池
15 放電回路
16 オルタネータ
17 エンジン
18 スタータモータ
19 負荷
20 測定部
30 通信ECU
40 マスタECU
50 メータECU
51 計器パネル
101 開回路電圧推定部
102 内部抵抗算出部
103 判別部
104 第1情報送信部
105 第1情報受信部
106 報知部
301 第2情報受信部
302 第2情報送信部
303 開回路電圧推定部
304 内部抵抗算出部
305 判別部
1000 状態検出システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15