(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070149
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線基地局及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/16 20090101AFI20220502BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20220502BHJP
【FI】
H04W28/16
H04W52/02 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179201
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】玉置 真也
(72)【発明者】
【氏名】岩城 亜弥子
(72)【発明者】
【氏名】南 勝也
(72)【発明者】
【氏名】谷口 友宏
(72)【発明者】
【氏名】久保 亮吾
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA27
5K067CC21
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH22
5K067HH23
(57)【要約】
【課題】本開示は、既接続の無線端末の通信環境に悪影響を及ぼすことなく、バッテリ駆動状態の複数の無線基地局から、より長期間、無線基地局の駆動が可能な無線通信基地局を選択して、無線基地局と無線端末を接続する無線通信システム、無線基地局及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示に係る無線通信システム、無線基地局及び無線通信方法では、無線端末からの接続要求に対して、管理サーバが、より長期間、無線基地局の駆動が可能な無線通信基地局を選択して、選択した無線基地局に無線端末と接続するよう指示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末、無線基地局及び管理サーバを備え、
前記無線端末は、
自己の端末情報及びユーザトラヒックのキューを管理し、前記キューにユーザトラヒックがあると、前記端末情報を出力する端末情報/キュー管理部と、
前記端末情報/キュー管理部の出力する前記端末情報を前記無線基地局に無線送信する無線端末送信部と、
選択された基地局情報及び選択された通信方式の情報を前記無線基地局から無線受信する無線端末受信部と、
前記無線端末受信部からの前記選択された基地局情報及び前記選択された通信方式の情報に基づいて、選択された無線基地局と選択された通信方式で通信を開始する無線端末制御部と、
を有し、
前記無線基地局は、
前記端末情報を前記無線端末から無線受信する無線端末側受信部と、
前記無線端末に使用可能な全ての通信方式について(1)式に従って、EPB(Energy Per Bit)を算出し、EPBテーブルを作成するEPB算出部と、
EPB=増分消費電力/推定スループット (1)
ただし、
増分消費電力:新たに無線端末を接続する場合に増加する消費電力
推定スループット:新たに接続する無線端末の使用可能なビットレート
前記EPB算出部の作成した前記EPBテーブルを参照して、EPBの最も小さい通信方式を選択する通信方式選択部と、
前記通信方式選択部によって選択された通信方式について、(2)式に従って、RB(Residual Bit)を算出し、RB情報として出力するRB算出部と、
RB=バッテリ残量/EPB (2)
ただし、
バッテリ残量:基地局に接続されたバッテリ電源の電力残量
前記無線端末から受信した前記端末情報、自局の基地局情報及び前記RB算出部の出力する前記RB情報を前記管理サーバに送信する管理サーバ側送信部と、
通信する無線基地局としての選択の有無を含む選択情報を前記管理サーバから受信する管理サーバ側受信部と、
前記管理サーバ側受信部からの前記選択情報を参照して、通信開始の有無を判断し、自局が選択された場合は、前記選択された基地局情報としての自局の基地局情報及び前記通信方式選択部からの前記選択された通信方式の情報を出力し、前記選択された通信方式で該当の無線端末と通信を開始し、自局が選択されなかった場合は、処理を終了する通信制御部と、
前記通信制御部の出力する前記選択された基地局情報及び前記選択された通信方式の情報を該当する無線端末に無線送信する無線端末側送信部と、
を有し、
前記管理サーバは、
前記無線基地局から前記端末情報、前記基地局情報及び前記RB情報を受信し、各無線基地局のRB情報を纏めたRBテーブルを作成する管理サーバ受信部と、
前記管理サーバ受信部の作成する前記RBテーブルを参照して、RBの最も大きい無線基地局を選択し、選択情報として出力する基地局選択部と、
前記基地局選択部からの前記選択情報を前記無線基地局に送信する管理サーバ送信部と、
を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記無線端末の前記端末情報/キュー管理部は、デッドラインを守る必要のあるユーザデータトラヒックが前記キューに蓄積されると、所要スループット情報も出力し、
前記無線端末の前記無線端末送信部は、前記端末情報/キュー管理部が前記所要スループット情報を出力すると、前記所要スループット情報も前記無線基地局に無線送信し、
前記無線基地局の前記無線端末側受信部は、前記所要スループット情報も前記無線端末から無線受信し、
前記無線基地局のEPB算出部は、前記無線端末側受信部から所要スループット情報が入力されると、所要スループットの通信を完了できる通信方式のみを前記EPBテーブルに加える、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記無線基地局の前記管理サーバ側送信部は、前記通信方式選択部の選択した通信方式の情報も前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバの前記管理サーバ受信部は、前記通信方式の情報も受信したときは、前記RBテーブルに通信方式の情報の項目も追加する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
管理サーバによって選択され、無線端末と無線通信する無線基地局であって、
端末情報を無線端末から無線受信する無線端末側受信部と、
前記無線端末に使用可能な全ての通信方式について(1)式に従って、EPB(Energy Per Bit)を算出し、EPBテーブルを作成するEPB算出部と、
EPB=増分消費電力/推定スループット (1)
ただし、
増分消費電力:新たに無線端末を接続する場合に増加する消費電力
推定スループット:新たに接続する無線端末の使用可能なビットレート
前記EPB算出部の作成した前記EPBテーブルを参照して、EPBの最も小さい通信方式を選択する通信方式選択部と、
前記通信方式選択部によって選択された通信方式について、(2)式に従って、RB(Residual Bit)を算出し、RB情報として出力するRB算出部と、
RB=バッテリ残量/EPB (2)
ただし、
バッテリ残量:基地局に接続されたバッテリ電源の電力残量
前記無線端末から受信した前記端末情報、自局の基地局情報及び前記RB算出部の出力する前記RB情報を管理サーバに送信する管理サーバ側送信部と、
通信する無線基地局としての選択の有無を含む選択情報を前記管理サーバから受信する管理サーバ側受信部と、
前記管理サーバ側受信部からの前記選択情報を参照して、通信開始の有無を判断し、自局が選択された場合は、選択された基地局情報としての自局の基地局情報及び前記通信方式選択部からの前記選択された通信方式の情報を出力し、前記選択された通信方式で該当の無線端末と通信を開始し、自局が選択されなかった場合は、処理を終了する通信制御部と、
前記通信制御部の出力する前記選択された基地局情報及び前記選択された通信方式の情報を該当する無線端末に無線送信する無線端末側送信部と、
を有することを特徴とする無線基地局。
【請求項5】
前記無線端末が所要スループット情報も前記無線基地局に無線送信すると、
前記無線基地局の前記無線端末側受信部は、前記所要スループット情報も前記無線端末から無線受信し、
前記無線基地局のEPB算出部は、前記無線端末側受信部から所要スループットが入力されると、所要スループットの通信を完了できる通信方式のみを前記EPBテーブルに加える、
ことを特徴とする請求項4に記載の無線基地局。
【請求項6】
前記管理サーバ側送信部は、前記通信方式選択部の選択した通信方式の情報も前記管理サーバに送信する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の無線基地局。
【請求項7】
無線端末が、
自己の端末情報及びユーザトラヒックのキューを管理し、前記キューにユーザトラヒックがあると、前記端末情報を無線基地局に無線送信し、
前記無線基地局が、
前記端末情報を前記無線端末から無線受信し、
前記無線端末に使用可能な全ての通信方式について(1)式に従って、EPB(Energy Per Bit)を算出し、EPBテーブルを作成し、
EPB=増分消費電力/推定スループット (1)
ただし、
増分消費電力:新たに無線端末を接続する場合に増加する消費電力
推定スループット:新たに接続する無線端末の使用可能なビットレート
作成した前記EPBテーブルを参照して、EPBの最も小さい通信方式を選択し、
選択された通信方式について、(2)式に従って、RB(Residual Bit)を算出し、RB情報として出力し、
RB=バッテリ残量/EPB (2)
ただし、
バッテリ残量:基地局に接続されたバッテリ電源の電力残量
前記無線端末から受信した前記端末情報、自局の基地局情報及び前記RB情報を管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、
前記無線基地局から前記端末情報、前記基地局情報及び前記RB情報を受信し、各無線基地局のRB情報を纏めたRBテーブルを作成し、
作成した前記RBテーブルを参照して、RBの最も大きい無線基地局を選択し、通信する無線基地局としての選択の有無を含む選択情報として前記無線基地局に送信し、
前記無線基地局は、
前記選択情報を前記管理サーバから受信し、
前記選択情報を参照して、通信開始の有無を判断し、自局が選択された場合は、選択された基地局情報としての自局の基地局情報及び前記選択された通信方式の情報を該当する無線端末に無線送信し、前記選択された通信方式で該当の無線端末と通信を開始し、自局が選択されなかった場合は、処理を終了し、
前記無線端末は、
前記選択された基地局情報及び前記選択された通信方式の情報を前記無線基地局から無線受信し、
前記選択された基地局情報及び前記選択された通信方式の情報に基づいて、選択された無線基地局と選択された通信方式で通信を開始する
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項8】
前記無線端末は、デッドラインを守る必要のあるユーザデータトラヒックが前記キューに蓄積されると、所要スループット情報も前記無線基地局に無線送信し、
前記無線基地局は、前記所要スループット情報を無線受信すると、所要スループットの通信を完了できる通信方式のみを前記EPBテーブルに加える、
ことを特徴とする請求項7に記載の無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリ駆動時の無線基地局を選択する無線通信システム、無線基地局及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
災害時には、地域全体で商用電力系統に障害が発生する。無線基地局設備は災害時に電力系統からの電力供給が停止した場合であっても、その地域に存在する無線基地局はバッテリ駆動で機能を維持することが求められる(例えば、非特許文献1参照。)。無線基地局がバッテリ駆動となった場合、無線基地局の消費電力を低減し、稼働期間をできるだけ延ばすことが必要となる。
【0003】
このため、トラヒック非流通時にスリープ制御により基地局の消費電力を低減する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、トラヒック流通時であっても基地局の消費電力を最適化するため、ユーザ分布の予測に基づいてユーザカバレッジを最大化するための基地局のセルサイズ制御方法が提案されている(例えが、非特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5654431号、「基地局装置及び該基地局装置のスリープ制御方法」
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】松岡保静、山内隆史、古谷崇、竹野和彦、「燃料電池を使用した無線基地局用災害対策バックアップ電源システム」、NTT DOCOMO テクニカル・ジャーナル、vol.21、no.3、pp.6-10、October 2013.
【非特許文献2】北田和将、内山彰、東野輝夫、「災害時における携帯電話基地局の電池残量を考慮したカバレッジ最大化のためのセルサイズ制御手法」、マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2014)シンポジウム、pp.1547-1556、July 2014.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、関連する技術では複数の通信方式で無線基地局と無線端末が通信可能である場合を考慮していないため、カバレッジエリアの調整により全体効率が上昇する代わりに、既接続端末の無線通信環境が悪化するという課題があった。
【0007】
本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであり、本開示は、既接続の無線端末の通信環境に悪影響を及ぼすことなく、バッテリ駆動状態の複数の無線基地局から、より長期間、無線基地局の駆動が可能な無線通信基地局を選択して、無線基地局と無線端末を接続する無線通信システム、無線基地局及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示に係る無線通信システム、無線基地局及び無線通信方法では、無線端末からの接続要求に対して、管理サーバが、より長期間、無線基地局の駆動が可能な無線通信基地局を選択して、選択した無線基地局に無線端末と接続するよう指示する。
【0009】
具体的には、本開示に係る無線通信システムは、
無線端末、無線基地局及び管理サーバを備え、
前記無線端末は、
自己の端末情報及びユーザトラヒックのキューを管理し、前記キューにユーザトラヒックがあると、前記端末情報を出力する端末情報/キュー管理部と、
前記端末情報/キュー管理部の出力する前記端末情報を前記無線基地局に無線送信する無線端末送信部と、
選択された基地局情報及び選択された通信方式の情報を前記無線基地局から無線受信する無線端末受信部と、
前記無線端末受信部からの前記選択された基地局情報及び前記選択された通信方式の情報に基づいて、選択された無線基地局と選択された通信方式で通信を開始する無線端末制御部と、
を有し、
前記無線基地局は、
前記端末情報を前記無線端末から無線受信する無線端末側受信部と、
前記無線端末に使用可能な全ての通信方式について(1)式に従って、EPB(Energy Per Bit)を算出し、EPBテーブルを作成するEPB算出部と、
EPB=増分消費電力/推定スループット (1)
ただし、
増分消費電力:新たに無線端末を接続する場合に増加する消費電力
推定スループット:新たに接続する無線端末の使用可能なビットレート
前記EPB算出部の作成した前記EPBテーブルを参照して、EPBの最も小さい通信方式を選択する通信方式選択部と、
前記通信方式選択部によって選択された通信方式について、(2)式に従って、RB(Residual Bit)を算出し、RB情報として出力するRB算出部と、
RB=バッテリ残量/EPB (2)
ただし、
バッテリ残量:基地局に接続されたバッテリ電源の電力残量
前記無線端末から受信した前記端末情報、自局の基地局情報及び前記RB算出部の出力する前記RB情報を前記管理サーバに送信する管理サーバ側送信部と、
通信する無線基地局としての選択の有無を含む選択情報を前記管理サーバから受信する管理サーバ側受信部と、
前記管理サーバ側受信部からの前記選択情報を参照して、通信開始の有無を判断し、自局が選択された場合は、前記選択された基地局情報としての自局の基地局情報及び前記通信方式選択部からの前記選択された通信方式の情報を出力し、前記選択された通信方式で該当の無線端末と通信を開始し、自局が選択されなかった場合は、処理を終了する通信制御部と、
前記通信制御部の出力する前記選択された基地局情報及び前記選択された通信方式の情報を該当する無線端末に無線送信する無線端末側送信部と、
を有し、
前記管理サーバは、
前記無線基地局から前記端末情報、前記基地局情報及び前記RB情報を受信し、各無線基地局のRB情報を纏めたRBテーブルを作成する管理サーバ受信部と、
前記管理サーバ受信部の作成する前記RBテーブルを参照して、RBの最も大きい無線基地局を選択し、選択情報として出力する基地局選択部と、
前記基地局選択部からの前記選択情報を前記無線基地局に送信する管理サーバ送信部と、
を有することを特徴とする。
【0010】
具体的には、本開示に係る無線基地局は、
管理サーバによって選択され、無線端末と無線通信する無線基地局であって、
端末情報を無線端末から無線受信する無線端末側受信部と、
前記無線端末に使用可能な全ての通信方式について(1)式に従って、EPB(Energy Per Bit)を算出し、EPBテーブルを作成するEPB算出部と、
EPB=増分消費電力/推定スループット (1)
ただし、
増分消費電力:新たに無線端末を接続する場合に増加する消費電力
推定スループット:新たに接続する無線端末の使用可能なビットレート
前記EPB算出部の作成した前記EPBテーブルを参照して、EPBの最も小さい通信方式を選択する通信方式選択部と、
前記通信方式選択部によって選択された通信方式について、(2)式に従って、RB(Residual Bit)を算出し、RB情報として出力するRB算出部と、
RB=バッテリ残量/EPB (2)
ただし、
バッテリ残量:基地局に接続されたバッテリ電源の電力残量
前記無線端末から受信した前記端末情報、自局の基地局情報及び前記RB算出部の出力する前記RB情報を管理サーバに送信する管理サーバ側送信部と、
通信する無線基地局としての選択の有無を含む選択情報を前記管理サーバから受信する管理サーバ側受信部と、
前記管理サーバ側受信部からの前記選択情報を参照して、通信開始の有無を判断し、自局が選択された場合は、選択された基地局情報としての自局の基地局情報及び前記通信方式選択部からの前記選択された通信方式の情報を出力し、前記選択された通信方式で該当の無線端末と通信を開始し、自局が選択されなかった場合は、処理を終了する通信制御部と、
前記通信制御部の出力する前記選択された基地局情報及び前記選択された通信方式の情報を該当する無線端末に無線送信する無線端末側送信部と、
を有することを特徴とする。
【0011】
具体的には、本開示に係る無線通信方法は、
無線端末が、
自己の端末情報及びユーザトラヒックのキューを管理し、前記キューにユーザトラヒックがあると、前記端末情報を無線基地局に無線送信し、
前記無線基地局が、
前記端末情報を前記無線端末から無線受信し、
前記無線端末に使用可能な全ての通信方式について(1)式に従って、EPB(Energy Per Bit)を算出し、EPBテーブルを作成し、
EPB=増分消費電力/推定スループット (1)
ただし、
増分消費電力:新たに無線端末を接続する場合に増加する消費電力
推定スループット:新たに接続する無線端末の使用可能なビットレート
作成した前記EPBテーブルを参照して、EPBの最も小さい通信方式を選択し、
選択された通信方式について、(2)式に従って、RB(Residual Bit)を算出し、RB情報として出力し、
RB=バッテリ残量/EPB (2)
ただし、
バッテリ残量:基地局に接続されたバッテリ電源の電力残量
前記無線端末から受信した前記端末情報、自局の基地局情報及び前記RB情報を管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、
前記無線基地局から前記端末情報、前記基地局情報及び前記RB情報を受信し、各無線基地局のRB情報を纏めたRBテーブルを作成し、
作成した前記RBテーブルを参照して、RBの最も大きい無線基地局を選択し、通信する無線基地局としての選択の有無を含む選択情報として前記無線基地局に送信し、
前記無線基地局は、
前記選択情報を前記管理サーバから受信し、
前記選択情報を参照して、通信開始の有無を判断し、自局が選択された場合は、選択された基地局情報としての自局の基地局情報及び前記選択された通信方式の情報を該当する無線端末に無線送信し、前記選択された通信方式で該当の無線端末と通信を開始し、自局が選択されなかった場合は、処理を終了し、
前記無線端末は、
前記選択された基地局情報及び前記選択された通信方式の情報を前記無線基地局から無線受信し、
前記選択された基地局情報及び前記選択された通信方式の情報に基づいて、選択された無線基地局と選択された通信方式で通信を開始する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る無線通信システム、無線基地局及び無線通信方法は、既接続の無線端末の通信環境に悪影響を及ぼすことなく、バッテリ駆動状態の複数の無線基地局から、より長期間、無線基地局の駆動が可能な無線通信基地局を選択して、無線基地局と無線端末を接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】無線通信システムの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本開示の無線通信システムの構成を説明する図である。
図1において、10は無線端末、20は無線基地局、30は管理サーバである。
【0016】
図2は、本開示の無線端末の構成を説明する図である。
図2において、無線端末10は、端末情報/キュー管理部11、無線端末送信部12、無線端末受信部13、無線端末制御部14を有する。
【0017】
端末情報/キュー管理部11は、自己の端末情報及びユーザトラヒックのキューを管理し、キューにユーザトラヒックがあると、端末情報を出力する。無線端末送信部12は、端末情報/キュー管理部11の出力する端末情報を無線基地局20に無線送信する。無線端末受信部13は、選択された基地局情報及び選択された通信方式の情報を無線基地局20から無線受信する。無線端末制御部14は、無線端末受信部13からの選択された基地局情報及び選択された通信方式の情報に基づいて、選択された無線基地局と選択された通信方式で通信を開始する。
【0018】
図3は、本開示の無線基地局の構成を説明する図である。
図3において、無線基地局20は、無線端末側受信部21、EPB算出部22、EPBテーブル23、通信方式選択部24、RB算出部25、管理サーバ側送信部26、管理サーバ側受信部27、通信制御部28、無線端末側送信部29を有する。
【0019】
無線端末側受信部21は、端末情報を無線端末10から無線受信する。EPB算出部22は、無線端末10に使用可能な全ての通信方式について(1)式に従って、EPB(Energy Per Bit)を算出し、EPBテーブル23を作成する。
EPB=増分消費電力/推定スループット (1)
ただし、
増分消費電力:新たに無線端末を接続する場合に増加する消費電力
推定スループット:新たに接続する無線端末の使用可能なビットレート
【0020】
増分消費電力は、使用する通信方式で順に接続を試みた際の消費電力を測定し、接続前の消費電力との差分を計算することにより算出することができる。推定スループットは、新たに接続する無線端末の推定スループットであり、各通信方式で接続した際に当該無線端末が使用可能となるビットレートである。
【0021】
EPBテーブル23の例を
図4、
図5に示す。
図4は無線基地局No.1の作成するEPBテーブル、
図5は無線基地局No.2の作成するEPBテーブルの例である。
図4及び
図5において、どの無線端末からの通信要求かを識別するために、無線端末識別子を設けている。
図4の無線基地局No.1のEPBテーブルでは、無線端末識別子1で表される無線端末は、通信方式として通信方式1及び通信方式2が可能で、それぞれのEPBがEPB11、EPB12となっている。
【0022】
無線端末10は、無線基地局No.1だけでなく、無線基地局No.2の無線通信エリアにも位置している。
図5の無線基地局No.2のEPBテーブルでは、無線端末識別子1で表される無線端末は、通信方式として通信方式2と通信方式3が可能で、それぞれのEPBがEPB21、EPB22となっている。
【0023】
通信方式選択部24は、EPB算出部22の作成したEPBテーブル23を参照して、EPBの最も小さい通信方式を選択する。例えば、
図4のEPBテーブルで、EPB11>EPB12、
図5のEPBテーブルで、EPB21>EPB22の場合、無線基地局No.1では通信方式2が、無線基地局No.2では通信方式3が選択される。
【0024】
RB算出部25は、通信方式選択部24によって選択された通信方式について、(2)式に従って、RB(Residual Bit)を算出し、RB情報として出力する。
RB=バッテリ残量/EPB (2)
ただし、
バッテリ残量:基地局に接続されたバッテリ電源の電力残量
【0025】
管理サーバ側送信部26は、無線端末10から受信した端末情報、自局の基地局情報及びRB算出部25の出力するRB情報を管理サーバ30に送信する。通信方式選択部24は、EPBの最も小さい通信方式を選択した際、管理サーバ側送信部26は、選択された通信方式の情報も併せて管理サーバ30に送信してもよい。
【0026】
管理サーバ側受信部27は、通信する無線基地局としての選択の有無を含む選択情報を管理サーバ30から受信する。通信制御部28は、管理サーバ側受信部27からの選択情報を参照して、通信開始の有無を判断し、自局が選択された場合は、選択された基地局情報としての自局の基地局情報及び通信方式選択部24からの選択された通信方式の情報を出力し、選択された通信方式で該当の無線端末10と通信を開始する。無線端末側送信部29は、通信制御部28の出力する選択された基地局情報及び選択された通信方式の情報を該当する無線端末10に無線送信する。自局が選択されなかった場合は、通信制御部28は、EPBテーブルを削除して、該当の無線端末10との接続を終了する。
【0027】
図6は、本開示の管理サーバの構成を説明する図である。
図6において、管理サーバ30は、管理サーバ受信部31、RBテーブル32、基地局選択部33、管理サーバ送信部34を有する。
【0028】
管理サーバ受信部31は、無線基地局20から端末情報、基地局情報及びRB情報を受信し、各基地局のRB情報を纏めたRBテーブル32を作成する。無線基地局20の管理サーバ側送信部26が選択された通信方式の情報も送信して、管理サーバ受信部31が通信方式の情報を受信したときは、管理サーバ受信部31はRBテーブル32に通信方式の情報も項目を追加してもよい。RBテーブル32に通信方式の情報が含まれていると、管理サーバ30は、無線基地局20と無線端末10との無線通信する通信方式も管理することができる。
【0029】
管理サーバ30のRBテーブル32の例を
図7に示す。
図7では、無線端末識別子1の無線端末10が2つの無線基地局のエリアに位置しているため、基地局識別子1の無線基地局及び基地局識別子2の無線基地局からのRB情報を受信していることを示している。基地局識別子1の無線基地局から受信した無線端末識別子1の無線端末に対しては、通信方式として通信方式2が選択され、そのときのRBはRB1である。同様に、基地局識別子2の無線基地局から受信した無線端末識別子1の無線端末に対しては、通信方式として通信方式3が選択され、そのときのRBはRB2である。
【0030】
基地局選択部33は、管理サーバ受信部31の作成するRBテーブル32を参照して、RBの最も大きい無線基地局を選択し、選択情報として出力する。例えば、
図7のRBテーブルで、RB1>RB2の場合、無線基地局No.1が選択され、通信方式としては、通信方式2が選択される。
【0031】
管理サーバ送信部34は、基地局選択部33からの選択情報を無線基地局20に送信する。複数の無線基地局があれば、管理サーバ送信部34は、管理サーバ受信部31の受信した無線基地局に選択情報を送信することになる。このとき、無線基地局20から受信した選択された通信方式の情報を同じ無線基地局20に返してもよい。通信方式の情報を受信した無線基地局20は、通信方式を確認することができる。
【0032】
上記の無線通信システムの動作を、
図1で手順を追って説明する。
第1ステップ
無線端末10が、自己の端末情報及びユーザトラヒックのキューを管理し、キューにユーザトラヒックがあると、端末情報を無線基地局20に無線送信する(
図1のA)。
【0033】
第2ステップ
無線基地局20が、端末情報を無線端末10から無線受信し(
図1のA)、無線端末10に使用可能な全ての通信方式について(1)式に従って、EPB(Energy Per Bit)を算出し、EPBテーブル(
図4、
図5)を作成する。
EPB=増分消費電力/推定スループット (1)
ただし、
増分消費電力:新たに無線端末を接続する場合に増加する消費電力
推定スループット:新たに接続する無線端末の使用可能なビットレート
【0034】
無線基地局20が、作成したEPBテーブルを参照して、EPBの最も小さい通信方式を選択し、選択された通信方式について、(2)式に従って、RB(Residual Bit)を算出し、RB情報として出力する。
RB=バッテリ残量/EPB (2)
ただし、
バッテリ残量:基地局に接続されたバッテリ電源の電力残量
【0035】
無線基地局20が、無線端末10から受信した端末情報、自局の基地局情報及びRB情報を管理サーバ30に送信する(
図1のB)。無線基地局20は、EPBの最も小さい通信方式を選択した際、選択された通信方式の情報も併せて管理サーバ30に送信してもよい。
【0036】
第3ステップ
管理サーバ30は、無線基地局20から端末情報、基地局情報及びRB情報を受信し(
図1のB)、各基地局のRB情報を纏めたRBテーブル(
図7)を作成する。管理サーバ30は、作成したRBテーブルを参照して、RBの最も大きい基地局を選択し、選択情報として無線基地局に送信する(
図1のC)。無線基地局20が通信方式の情報も送信して、管理サーバ30が通信方式の情報を受信したときは、RBテーブルに通信方式の情報も項目を追加してもよい。RBテーブルに通信方式の情報が含まれていると、管理サーバ30は、無線基地局20と無線端末10の無線通信する通信方式も管理することができる。
【0037】
第4ステップ
無線基地局20は、通信する無線基地局としての選択の有無を含む選択情報を管理サーバ30から受信し(
図1のC)、選択情報を参照して、通信開始の有無を判断し、自局が選択された場合は、選択された基地局情報としての自局の基地局情報及び選択された通信方式の情報を該当する無線端末に無線送信する(
図1のD)。無線基地局20は、選択された通信方式で該当の無線端末と通信を開始し、自局が選択されなかった場合は、処理を終了する。
【0038】
第5ステップ
無線端末10は、選択された基地局情報及び選択された通信方式の情報を無線基地局から無線受信する(
図1のD)。選択された基地局情報及び選択された通信方式の情報に基づいて、選択された無線基地局20と選択された通信方式で通信を開始する。
【0039】
以上説明したように、本開示の無線通信システム、無線基地局及び無線通信方法は、既接続の無線端末の通信環境に悪影響を及ぼすことなく、バッテリ駆動状態の複数の無線基地局から、より長期間、無線基地局の駆動が可能な無線通信基地局を選択して、無線基地局と無線端末を接続することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
本開示では、第1の実施形態の無線通信システム、無線基地局に新たな機能を追加するものである。
図1において、無線端末10の端末情報/キュー管理部11は、デッドラインを守る必要のあるユーザデータトラヒックがキューに蓄積されると、所要スループット情報も出力する。無線端末10の無線端末送信部12は、端末情報/キュー管理部11が所要スループット情報を出力すると、所要スループット情報も無線基地局20に無線送信する。
【0041】
図2において、無線基地局20の無線端末側受信部21は、所要スループット情報も無線端末から無線受信する。EPB算出部22は、無線端末側受信部21から所要スループットが入力されると、所要スループットの通信を完了できる通信方式のみをEPBテーブル(
図4、
図5)に加える。
【0042】
本開示では、第1の実施形態の無線通信方法に新たな動作を追加するものである。
第1の実施形態の第1ステップにおいて、無線端末10は、デッドラインを守る必要のあるユーザデータトラヒックがキューに蓄積されると、所要スループット情報も無線基地局20に無線送信する(
図1のA)。
【0043】
第1の実施形態の第2ステップにおいて、無線基地局20は、所要スループット情報を無線受信すると、所要スループットの通信を完了できる通信方式のみをEPBテーブル(
図4、
図5)に加える。
【0044】
以上説明したように、本開示の無線通信システム、無線基地局及び無線通信方法は、所要スループットの通信を完了できない通信方式を排除することによって、通信方式の選択を容易にし、通信途中での通信切断を避けることができる。さらに、既接続の無線端末の通信環境に悪影響を及ぼすことなく、バッテリ駆動状態の複数の無線基地局から、より長期間、無線基地局の駆動が可能な無線通信基地局を選択して、無線基地局と無線端末を接続することができる。
【0045】
本開示の無線通信システム、無線基地局及び無線通信方法では、無線端末が、2台の無線基地局に接続可能な場合を例示したが、任意の台数の無線基地局にも適用することができる。また、本開示の無線通信システム、無線基地局及び無線通信方法では、無線基地局の選択及び通信方式の選択は、接続開始時に実行する場合を例示したが、一定周期毎に実行してもよい。
【0046】
本開示の装置は、コンピュータとコンピュータプログラムによっても実現でき、コンピュータプログラムを記録媒体に記録することも、通信ネットワークを通して提供することも可能である。 なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0047】
この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
10:無線端末
11:端末情報/キュー管理部
12:無線端末送信部
13:無線端末受信部
14:無線端末制御部
20:無線基地局
21:無線端末側受信部
22:EPB算出部
23:EPBテーブル
24:通信方式選択部
25:RB算出部
26:管理サーバ側送信部
27:管理サーバ側受信部
28:通信制御部
29:無線端末側送信部
30:管理サーバ
31:管理サーバ受信部
32:RBテーブル
33:基地局選択部
34:管理サーバ送信部