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特開2022-70418建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法、シャッターカーテンの補修方法およびシャッターカーテンのスラット接合装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070418
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法、シャッターカーテンの補修方法およびシャッターカーテンのスラット接合装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/15 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
E06B9/15
E06B9/15 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179472
(22)【出願日】2020-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】藤井 英俊
(72)【発明者】
【氏名】森貞 好昭
(72)【発明者】
【氏名】青木 祥宏
(72)【発明者】
【氏名】細山 健二
(57)【要約】
【課題】既設のシャッターカーテンにおいて、損傷を受けた部位のスラット3aを、分割スラット3i、3jを用いて補修するにあたり、該分割スラット3i、3j同士の接合を、溶接による場合のように火災発生の配慮をしないで簡単にできるようにする。
【解決手段】分割スラット3i、3j同士の接合を、接合端縁部3k、3l同士を、加圧突き合わせ状態で上下方向に振動させることにより発生する摩擦熱により溶融接合をする線形摩擦接合により接合するようにする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスラットを上下方向に一連状に連結して構成されるシャッターカーテンを備えた建築用シャッター装置において、前記スラットの全部または一部を、少なくとも二分割された分割スラットの接合端縁部同士が接合されたものとするにあたり、該分割スラットの接合端縁部同士を突き合せた状態で摩擦接合することを特徴とする建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法。
【請求項2】
摩擦接合は、接合端縁部同士を加圧状態で振動させることにより発生する摩擦熱により溶融接合する線形摩擦接合であり、該線形摩擦接合をする際の分割スラットの振動は、上下方向の振動であることを特徴とする請求項1記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法。
【請求項3】
摩擦接合は、接合端縁部同士を加圧状態で振動させることにより発生する摩擦熱により溶融接合する線形摩擦接合であり、該線形摩擦接合をする際の分割スラットの振動の振動幅は、インターロック結合部における結合部位の遊びの範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法。
【請求項4】
摩擦接合は、接合端縁部同士を加圧状態で振動させることにより発生する摩擦熱により溶融接合する線形摩擦接合であり、
スラットは、隣接するスラット同士を連結するための上下方向両端縁部に形成される一対のインターロック結合部と、該一対のインターロック結合部のあいだに形成されるスラット面部とを備えて構成され、分割スラットのうちの少なくとも一方の分割スラットの接合端縁部は、スラット面部がインターロック結合部よりも突出したものとして、インターロック結合部同士の突き合せはなく、スラット面部の接合端縁部同士が突き合せられた状態で前記線形摩擦接合が開始されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法。
【請求項5】
線形摩擦接合の実行は、インターロック結合部が接合される前までであることを特徴とする請求項4記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法。
【請求項6】
線形摩擦接合の実行は、インターロック結合部の接合端縁部同士が線形摩擦接合された直後までであることを特徴とする請求項4記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法。
【請求項7】
摩擦接合は、突き合せられた接合端縁部を摩擦ツールが加圧状態で摩擦移動することによる発熱で溶融接合する攪拌摩擦接合であり、
スラットは、隣接するスラット同士を連結するための上下方向両端縁部に形成される一対のインターロック結合部と、該一対のインターロック結合部のあいだに形成されるスラット面部とを備えて構成され、分割スラットの接合端縁部同士が突き合せられた状態で、スラット面部およびインターロック結合部の一部、またはスラット面部のみの攪拌摩擦接合が実行されることを特徴とする請求項1記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法。
【請求項8】
攪拌摩擦接合をする際の摩擦ツールの摩擦移動は、突き合せられた接合端縁部を横切る状態で円弧移動しながら上下方向に移動するものであることを特徴とする請求項7記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法。
【請求項9】
ガイドレールに組み込まれる既存のシャッターカーテンのうちの一部のスラットを交換するシャッターカーテンの補修方法であって、交換されるスラットのうちの全部または一部は、少なくとも二分割された分割スラットであり、
交換するスラットが外されたガイドレールに、交換されるスラットを組み込んだ後、該交換されたスラットのうち分割スラットについては、分割スラットの接合端縁部同士を突き合せた状態で、該接合端縁部同士を摩擦接合により接合するようにしたことを特徴とする建設用シャッター装置におけるシャッターカーテンの補修方法。
【請求項10】
交換される分割スラットが、交換されない既存スラットに隣接するものである場合に、既存スラットの分割スラット側のインターロック結合部に形成した切り欠き部を通して分割スラットをインターロック結合して連結した後、分割スラットの接合端縁部同士を突き合せた状態で、該接合端縁部同士を摩擦接合により接合し、しかる後、既存スラットの切り欠き部を塞ぎ部材で塞ぐことを特徴とする請求項9記載の建設用シャッター装置におけるシャッターカーテンの補修方法。
【請求項11】
シャッターカーテンを構成するスラットのなかに少なくとも二分割された分割スラットを備え、該分割スラットを、建築用シャッター装置の建付け現場で線形摩擦接合するため用いられるスラット接合装置であって、該スラット接合装置を、
分割スラットを挟持する挟持手段と、
該挟持された分割スラットの接合端縁部同士を加圧状態で突き合せる加圧手段と、
接合端縁部の少なくとも一方を振動させることで接合端縁部同士が摩擦振動することによる発熱で溶融接合させる加振手段と、
これら手段を、接合される分割スラット高さに調整する高さ調整手段とを備えて構成されることを特徴とする建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合装置。
【請求項12】
シャッターカーテンを構成するスラットのなかに少なくとも二分割された分割スラットを備え、該分割スラットを、建築用シャッター装置の建付け現場で攪拌摩擦接合するため用いられるスラット接合装置であって、該スラット接合装置を、
分割スラットを、接合端縁部同士が突き合わされた状態で支持する支持手段と、
該支持された分割スラットの接合端縁部同士の突き合せ部位に摩擦ツールを加圧状態で摩擦移動させることによる発熱で該接合端縁部同士を溶融接合させる摩擦移動手段と、
これら手段を、接合される分割スラット高さに調整する高さ調整手段とを備えて構成されることを特徴とする建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の出入り口等の開口部に建て付けられる建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法、シャッターカーテンの補修方法およびシャッターカーテンのスラット接合装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建造物の出入り口等の開口部に建築用シャッター装置を設けて該開口部の開閉をするように構成することがあり、このような場合、複数のスラットを上下方向に一連状に連結して形成したシャッターカーテンを昇降移動せしめることで開口部の開閉をすることになる。
そしてこのような建築用シャッター装置が、例えば工場や倉庫等の出入り口に建て付けられたものである場合、フォークリフトやトラックのような運搬車両が行きかうことがあり、このような運搬車両が誤って閉鎖しているシャッターカーテンに衝突する等してシャッターカーテンを破損することがある。このような場合に、シャッターカーテン全体を交換することも提唱されるが、破損部位が部分的である場合には、経済性、さらには作業性等の観点から、破損部位を含めた周囲部位のスラットを部分的に交換する補修手法が提供されている(例えば特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭58-795号公報
【特許文献2】特開平5-295973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の補修方法としては、破損部位のガイドレールを切り取り、該切り取った部位から交換するスラットを抜き取った後、交換されるスラットを組み入れるようにしているが、ガイドレールが躯体側に深く埋め込まれていて、ガイドレールにスラットを交換するための切り取りができないような場合だけでなく、開口部の間口幅が広いものでは、スラットが左右方向に長いものとなり、この長いスラットの配設スペースを、建築用シャッター装置が建て付けられる部所の前記切り取ったガイドレール側に隣接する状態で確保できない場合にはこの手法を採用することができないことになる。
このためこのような場合には、前記特許文献2の従来技術の項に記載されているように、交換するスラットを切断して除去した後、二分割された分割スラットを組み込んだ後、分割スラット同士の接合端縁部同士を溶接する作業を行って補修することになる。
しかしながらこのような補修作業は、面倒かつ煩雑であるだけでなく、溶接を伴うものであるため火災に対する配慮も必要であり、周囲に引火しやすいものが置いてあるような場合には、これらを影響ないところに移動させるか防炎シートで被う等の作業が必要になって作業性がさらに劣るという問題があり、本発明は、これらの問題点を解決すべき課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、複数のスラットを上下方向に一連状に連結して構成されるシャッターカーテンを備えた建築用シャッター装置において、前記スラットの全部または一部を、少なくとも二分割された分割スラットの接合端縁部同士が接合されたものとするにあたり、該分割スラットの接合端縁部同士を突き合せた状態で摩擦接合することを特徴とする建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法である。
請求項2の発明は、摩擦接合は、接合端縁部同士を加圧状態で振動させることにより発生する摩擦熱により溶融接合する線形摩擦接合であり、該線形摩擦接合をする際の分割スラットの振動は、上下方向の振動であることを特徴とする請求項1記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法である。
請求項3の発明は、摩擦接合は、接合端縁部同士を加圧状態で振動させることにより発生する摩擦熱により溶融接合する線形摩擦接合であり、該線形摩擦接合をする際の分割スラットの振動の振動幅は、インターロック結合部における結合部位の遊びの範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法である。
請求項4の発明は、摩擦接合は、接合端縁部同士を加圧状態で振動させることにより発生する摩擦熱により溶融接合する線形摩擦接合であり、スラットは、隣接するスラット同士を連結するための上下方向両端縁部に形成される一対のインターロック結合部と、該一対のインターロック結合部のあいだに形成されるスラット面部とを備えて構成され、分割スラットのうちの少なくとも一方の分割スラットの接合端縁部は、スラット面部がインターロック結合部よりも突出したものとして、インターロック結合部同士の突き合せはなく、スラット面部の接合端縁部同士が突き合せられた状態で前記線形摩擦接合が開始されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法である。
請求項5の発明は、線形摩擦接合の実行は、インターロック結合部が接合される前までであることを特徴とする請求項4記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法である。
請求項6の発明は、線形摩擦接合の実行は、インターロック結合部の接合端縁部同士が線形摩擦接合された直後までであることを特徴とする請求項4記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法である。
請求項7の発明は、摩擦接合は、突き合せられた接合端縁部を摩擦ツールが加圧状態で摩擦移動することによる発熱で溶融接合する攪拌摩擦接合であり、スラットは、隣接するスラット同士を連結するための上下方向両端縁部に形成される一対のインターロック結合部と、該一対のインターロック結合部のあいだに形成されるスラット面部とを備えて構成され、分割スラットの接合端縁部同士が突き合せられた状態で、スラット面部およびインターロック結合部の一部、またはスラット面部のみの攪拌摩擦接合が実行されることを特徴とする請求項1記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法である。
請求項8の発明は、攪拌摩擦接合をする際の摩擦ツールの摩擦移動は、突き合せられた接合端縁部を横切る状態で円弧移動しながら上下方向に移動するものであることを特徴とする請求項7記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法である。
請求項9の発明は、ガイドレールに組み込まれる既存のシャッターカーテンのうちの一部のスラットを交換するシャッターカーテンの補修方法であって、交換されるスラットのうちの全部または一部は、少なくとも二分割された分割スラットであり、交換するスラットが外されたガイドレールに、交換されるスラットを組み込んだ後、該交換されたスラットのうち分割スラットについては、分割スラットの接合端縁部同士を突き合せた状態で、該接合端縁部同士を摩擦接合により接合するようにしたことを特徴とする建設用シャッター装置におけるシャッターカーテンの補修方法である。
請求項10の発明は、交換される分割スラットが、交換されない既存スラットに隣接するものである場合に、既存スラットの分割スラット側のインターロック結合部に形成した切り欠き部を通して分割スラットをインターロック結合して連結した後、分割スラットの接合端縁部同士を突き合せた状態で、該接合端縁部同士を摩擦接合により接合し、しかる後、既存スラットの切り欠き部を塞ぎ部材で塞ぐことを特徴とする請求項9記載の建設用シャッター装置におけるシャッターカーテンの補修方法である。
請求項11の発明は、シャッターカーテンを構成するスラットのなかに少なくとも二分割された分割スラットを備え、該分割スラットを、建築用シャッター装置の建付け現場で線形摩擦接合するため用いられるスラット接合装置であって、該スラット接合装置を、分割スラットを挟持する挟持手段と、該挟持された分割スラットの接合端縁部同士を加圧状態で突き合せる加圧手段と、接合端縁部の少なくとも一方を振動させることで接合端縁部同士が摩擦振動することによる発熱で溶融接合させる加振手段と、これら手段を、接合される分割スラット高さに調整する高さ調整手段とを備えて構成されることを特徴とする建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合装置である。
請求項12の発明は、シャッターカーテンを構成するスラットのなかに少なくとも二分割された分割スラットを備え、該分割スラットを、建築用シャッター装置の建付け現場で攪拌摩擦接合するため用いられるスラット接合装置であって、該スラット接合装置を、分割スラットを、接合端縁部同士が突き合わされた状態で支持する支持手段と、該支持された分割スラットの接合端縁部同士の突き合せ部位に摩擦ツールを加圧状態で摩擦移動させることによる発熱で該接合端縁部同士を溶融接合させる摩擦移動手段と、これら手段を、接合される分割スラット高さに調整する高さ調整手段とを備えて構成されることを特徴とする建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、シャッターカーテンを構成するスラットに少なくとも二分割された分割スラットを存するものである場合に、該分割スラットを、接合端縁部同士突き合せた状態で摩擦接合により接合されることになるため、交換されるスラットの配設スペースが確保できないような狭い場所であっても、溶接する場合のように火災についての配慮をする必要なく、容易に分割スラット同士の接合ができることになって作業性の優れたものになる。
請求項2の発明とすることにより、摩擦接合を、接合端縁部同士を加圧状態で振動させることにより発生する摩擦熱により溶融接合する線形摩擦接合とし、そして該線形摩擦接合をする際の分割スラットの振動が、スラット同士の連結方向である上下方向の振動でできることになって、接合作業の効率化が図れることになる。
請求項3の発明とすることにより、摩擦接合を前記線形摩擦接合としたときに、該摩擦接合させるときの分割スラットの上下方向の振動の振動幅がスラット同士が連結されるインターロック結合部における連結部位の遊びの範囲内に設定されるため、スラット同士をインターロック結合した状態で接合作業ができることになって作業性が向上する。
請求項4の発明とすることにより、分割スラット同士を線形摩擦接合して接合する場合に、インターロック結合部よりも突出するスラット面部が主として摩擦接合されることになるため、インターロック結合部に、接合により発生するバリがないか僅かな状態での接合ができることになる。
請求項5の発明とすることにより、インターロック結合部にバリ発生がない状態での接合ができることになって、インターロック結合部の揺動に影響を与えることがない。
請求項6の発明とすることにより、インターロック結合部に僅かにバリが発生した状態での接合ができることになって、バリがインターロック結合部の揺動に影響を与えることが殆どない状態で、強固な接合をすることができる。
請求項7の発明とすることにより、分割スラット同士を攪拌摩擦接合して接合する場合に、摩擦ツールが接合部位の面部を移動することにより摩擦接合されることになるため、このものにおいてもスラット同士の接合が容易にできることになる。
請求項8の発明とすることにより、分割スラット同士を攪拌摩擦接合する作業が効率的にできることになって作業性が向上する。
請求項9の発明とすることにより、建築用シャッター装置の建付け現場においてスラットを交換補修する場合の作業が摩擦接合により簡単にできることになる。
請求項10の発明とすることにより、既存のスラットに分割スラットをインターロック結合した状態で摩擦接合により分割スラット同士の接合ができ、しかも既存スラットに形成した切り欠き部は、塞ぎ部材で塞がれることになるため、視認性が損なわれることも回避できることになる。
請求項11の発明とすることにより、建築用シャッター装置の建付け現場においてスラットを交換補修する場合に、分割スラット同士を線形摩擦接合により接合する作業が、接合しようとする分割スラットの高さに対応してできることになり、作業性が向上する。
請求項12の発明とすることにより、建築用シャッター装置の建付け現場においてスラットを交換補修する場合に、分割スラット同士を攪拌摩擦接合により接合する作業が、接合しようとする分割スラットの高さに対応してできることになり、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】シャッターカーテンが損傷を受けた状態を示す建築用シャッター装置の正面図である。
図2】(A)(B)(C)(D)は取り外しスラットの切断例を示す作用説明図、取り換えスラットをガイドレールに組み込む状態を示す作用説明図、取り換えスラットをガイドレールを組み込んだ状態を示す作用説明図、分割スラットを接合する状態を示す作用説明図である。
図3】(A)(B)は上下両端部を分割スラットとした状態、全てを分割スラットとした状態でシャッターカーテンを補修した場合を示す作用説明図である。
図4】(A)(B)(C)は分割スラットを既存スラットに組み込む状態を示す作用説明図、分割スラット同士を線形摩擦接合するときの加圧方向、振動方向を示す作用説明図、スラットに設けた切り欠き部を塞ぎ部材で被った状態を示す作用説明図である。
図5】隣接スラットの連結状態を示す縦断面図である。
図6】線形摩擦接合用のスラット接合装置の概略斜視図である。
図7】(A)(B)は線形摩擦接合用のスラット接合装置の概略側面図、正面図である。
図8】(A)(B)(C)は分割スラットのインターロック結合部およびスラット面部が線形摩擦接合により接合される過程を示す作用説明図である。
図9】(A)(B)(C)(D)は分割スラットのインターロック結合部のみが線形摩擦接合により接合される過程を示す作用説明図である。
図10】(A)(B)は分割スラットを、インターロック結合部およびスラット面部が線形摩擦接合により接合した状態、スラット面部のみを線形摩擦接合により接合した状態を示す作用説明図である。
図11】攪拌摩擦接合用のスラット接合装置の概略斜視図である。
図12】(A)(B)は攪拌摩擦接合用のスラット接合装置の概略正面図、平面図である。
図13】分割スラットのスラット面部を攪拌摩擦接合により接合する状態を示す作用説明図である。
図14】切断したインターロック結合部を押し曲げて分割スラットを交換する状態を示す作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は建築物の出入り口等の開口部に建て付けられる建築用のシャッター装置であって、該シャッター装置1は、開口部の左右に設けられるガイドレール2、該ガイドレール2に昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン3、該シャッターカーテン3を巻装する巻取りドラム(巻取り軸)、巻取りドラムの回転駆動をする開閉機(何れも図示せず)等の各種の部材装置を内装するシャッターケース4等を備えて構成され、開口部横に設けられる操作スイッチSWの操作に伴う開閉機の駆動制御によってシャッターカーテン3の昇降操作ができるようになっていること等は何れも従来通りである。
【0009】
前記シャッターカーテン3は、左右方向に長いスラット3aを上下方向に一連状に連結することで平板状に形成されるが、該スラット3aは、隣接するスラット3a同士を連結するための上下方向両端縁部に一対のインターロック結合部3b、3cと、該上下インターロック結合部3a、3bのあいだに形成されるスラット面部3cとを備えて構成され、そして前記上下インターロック結合部3a、3b同士が前後揺動自在に連結されることで上下方向に連結された隣接スラット3a同士は、インターロック結合部位において上下方向に遊び(上下方向に相対移動できる隙間)Xを存する状態で連結されたものとなっており、このようなシャッターカーテン3、スラット3aの構造についても従来通りのものである。
【0010】
次に、前記シャッターカーテン3において、上下方向適宜位置に位置するスラット3aが、フォークリフト等の運搬車両が衝突して破損し、これを交換補修する場合について説明する。このものにおいて、以降、便宜上、破損する等して交換する(取り外される)スラット3aを「取り外しスラット3e」と称し、該取り外しスラット3eに代えて交換される(取り換えられる)スラット3aを「取り換えスラット3f」と称し、取り外しをしない既存のスラット3aを「既存スラット3g」と称して区別して説明する。
【0011】
前記補修作業をするにあたり、まず取り外しスラット3eを、該取り外しスラット3eに隣接する既存スラット3gから取り外す必要があり、そこでまず、取り外しスラット3dをシャッターカーテン3から取り外す手順について説明する。この場合に、取り外しスラット3dの左右方向中間部適宜位置をグラインダー等の適宜工具を用いて切断して左右に分断することになるが、この際、隣接する既存スラット3gとのインターロック結合部3b、3cについても併せて切断する。
さらに、前記切断された既設スラット3gとのインターロック結合部3b、3cを適宜幅だけ切り欠いて切り欠き部3hを形成し、既設スラット3gの切り欠き部3hからこれに隣接する取り外しスラット3dを取り外す(抜き出す)ことになり、このようにして取り外しスラット3eの取り外しができることになる。
【0012】
このようにして取り外しスラット3eが取り外されたシャッターカーテン3に、取り換えスラット3fを組み込むことになるが、この場合に、開閉機を開放駆動させて、上側の既存スラット3gと下側の既存スラット3gとのあいだを上下に広く開け、取り換えスラット3fのうちの、既存スラット3gに連結されない中間の取り換えスラット3fについては、これが複数ある場合には一連状にインターロック結合された状態のものを、上下方向傾斜状に位置ずれした状態で左右両端縁部をガイドレール2のガイド溝に嵌入組み込みする。
【0013】
しかる後、既存スラット3gと前記組み込まれた取り換えスラット3fとの間に、さらに取り換えスラット3fを組み込むことになるが、この取り換えスラット3fは、本実施の形態のものは左右に二分割された分割スラット3i、3jとなっている。尚、分割スラットとしては、三分割等、必要において分割数を任意に設定できることは言うまでもない。
そしてこの分割スラット3i、3jを、前記切り欠き部3hを通してインターロック結合部3b、3c同士の結合をする状態で前記抜き出すときとは逆の作業で組み込む。この場合に、分割スラット3i、3jは、スラット3aとガイドレール2との間にある左右方向の遊びを利用して左右方向に行き過ぎた移動をさせた後、所望(所定)位置に戻すという所謂「行って来い」の移動をすることで、分割スラット3i、3j同士を、後述する接合端縁部3k、3lが互いに突き当たった状態にセットすることができる。
尚、このような取り換えスラット3fを組み込む場合に、スラット3aの左右長さが長すぎるため、該長いスラット3aをこのまま現場搬入できない場合、例えば現場が二階のような階上である場合に、スラット3aが長すぎて階段を通れないような場合、全ての取り換えスラット3fを分割スラット3i、3jにして現場搬入することになり、このような場合には、全ての分割スラット3i、3jを組み込むことになる。
【0014】
次にこれら組み込まれた取り換えスラット3fのうちの分割スラット3i、3jについて、前記突き合せられた接合端縁部3k、3lを摩擦接合して一体化することになるが、摩擦接合には、接合端縁部同士を加圧状態で振動させることにより発生する摩擦熱により溶融接合する線形摩擦接合と、突き合せられた接合端縁部を摩擦ツールが加圧状態で摩擦移動することによる発熱で溶融接合する攪拌摩擦接合とがあるが、本発明は何れの摩擦接合であって実施することができ、まず線形摩擦接合により分割スラット3i、3j同士を連結するものについて説明をする。
【0015】
5は前記分割スラット3i、3j同士を線形摩擦接合をするためのスラット接合装置であって、該スラット接合装置5は、走行自在になるよう車輪6aが設けられた台車6に組み立てられたものであって、該台車6には、左右一対の支柱7と、該支柱7に対向するよう配設された一本の補助支柱8とが立設されている。因みに本実施の形態の支柱7は、上端部同士が互いに連結された冂字形状をしたものとなっている。
前記支柱7には、制御部9の左右両端部が上下方向移動自在に支持され、補助支柱8には受け部12が上下方向移動自在に支持されているが、該制御部9および受け部12を上下移動させることで制御部9および受け部12の高さ調整をする高さ調整手段としては、例えば回転数制御機構を備えたサーボモータ等の駆動手段(図示しない。例えば台車6に設けられる。)によって回転自在に支持された螺軸(支柱7、補助支柱8に一体回動(同期回動)するよう軸支される。)5aを制御部9および受け部12側に螺合させたものとし、そして駆動手段の駆動制御に基づいて制御部9および受け部12を上下移動できると共に、制御部9および受け部12の床面からの高さの調整制御ができるように構成することで実施することができる。因みに前記高さ調整は、例えば駆動手段がサーボモータの場合にモータ回転数により設定できることは周知であり、この技術を採用することができる。
【0016】
前記制御部9には、左右の分割スラット3i、3jのうちの一方の分割スラット3iを加振するための加振手段10が設けられるが、該加振手段10としては、例えば偏心軸や偏心カムをモータ回転させることにより加振側支持部10aを振動(加振)させる構成のものが採用され、このようなものとしては「バイブレータ」の技術が一般に知られており、この技術に類したものを採用することができる。
前記加振手段10に設けられる加振側支持部10aは、前記受け部12に設けられる加振側受け部12aとのあいだで一方の分割スラット3iを押圧状に挟持し、該挟持した分割スラット3iを、隣接するスラット3a同士の遊び方向である上下方向に往復振動させるものであり、その振動幅は、前記スラット3a同士を連結するインターロック結合部3b、3cの上下方向の前記遊びXを越えない設定になっている。
因みに本実施の形態の加振手段10は、分割スラット3i、3jのうちの一方の分割スラット3iを振動させるものとなっているが、両者を振動させるものとしても本発明を実施することができ、この場合の加振手段10としては、左右に設けられる加振側支持部10aの振動が上下異なる振動(上下振動の位相が逆になる振動)となるように設定されている。
【0017】
さらに制御部9には、他方の分割スラット3jを一方の分割スラット3iに対して接合端縁部3k、3l同士を加圧状態で突き合せるための加圧手段11が設けられるが、該加圧手段11は、負荷検知手段を備えたサーボモータ等の駆動手段を備えて構成され、加圧手段11に設けられる加圧支持部11aと受け部12に設けられる加振側受け部12bとのあいだで押圧状に挟持する他方の分割スラット3jの接合端縁部3lを、前記加振側支持部10aと加振側受け部12aとに支持される一方の分割スラット3iの接合端縁部3kに加圧状態で突き合せるべく左右方向に移動制御できるようになっている。
【0018】
因みに、分割スラット3i、3jを挟持するべく設けられる前記加振側支持部10a、加振側支持部11a、加振側受け部12a、加圧側受け部12bは、挟持するスラット形状に対応した形状を有していてスラット3aを外嵌挟持できる形状になっていることが好ましく、さらには、スラット3aの支持がより確実になるよう磁性を有するものにすることが好ましい。因みに磁性を有する構成とするには永久磁石、電磁石の何れを採用してもよいが、スラット3aを着脱する際の作業性の観点からは電磁石によるものが好ましい。
【0019】
このように構成されたスラット接合装置5を用いて前記分割スラット3i、3j同士を接合するには、まずシャッターカーテン3が制御部9と受け部12とのあいだに遊嵌される状態で、スラット接合装置5の制御部9を上下移動して加振手段10、加圧手段11が分割スラット3i、3jに対応する位置に位置せしめた後、加振支持部10aと加振側支持部12aとで一方の分割スラット3iを挟持すると共に、加圧側支持部11aと加圧側受け部12bとで他方の分割スラット3jを挟持する。
しかる後、加圧側支持部11aを左右方向加振側支持部10a側に移動せしめて、分割スラット3i、3jの接合端縁部3k、3l同士を加圧状態で突き合せる。ついで該突き合わせ状態を維持しながら加振側支持部10aを上下方向に振動(加振)せしめることになり、これによって接合端縁部3k、3lは擦過状態で上下方向に相対的な摺動をすることになり、これによって発生する摩擦熱により接合端縁部3k、3l同士が溶融して接合し、このようにして分割スラット3i、3j同士の線形摩擦接合が実施されることになって分割スラット3i、3jが一体化される。
尚、前記接合作業が終了した後、切り欠き部3hを塞ぎ部材13により塞ぐことで、視認性が損なわれないものにでき、外観性が向上する。
【0020】
このようにして分割スラット3i、3j同士の線形摩擦接合をするに際し、インターロック結合部3b、3c同士についても、スラット面部3dと同様の線形摩擦接合をした場合、接合されるインターロック結合部3b、3c部位には、スラット面部3d部位と同様、溶融接合によりバリYが発生することになるが、インターロック結合部3b、3c部位に発生したバリYは、スラット面部3d部位に発生したバリYのように外面に露出して簡単にバリ取りして除去できるものだけでなく、インターロック結合部3b、3c内に発生して外面に露出せず、バリ取りできないバリYもあり、これがそのまま残った場合に、インターロック結合部3b、3cの揺動に支障をきたす惧れがある。
【0021】
そこでこれに対処するため、スラット面部3dの接合端縁部3k、3lをインターロック結合部3b、3cよりも突出したものとし、この状態で前記線形摩擦接合をすることにより、加圧状態で突き合っているスラット面部3d同士が溶融接合することになる。そしてこの線形摩擦接合が進行していった場合に、インターロック結合部3b、3c同士が線形摩擦接合される状態で突き当たることになるが、この線形摩擦接合の作業を、インターロック結合部3b、3cが線形摩擦接合される以前の状態で停止した場合には、分割スラット3i、3jは、スラット面部3d同士だけの接合となってインターロック結合部3b、3c部位での接合はないものとなるが、該インターロック結合部3b、3c部位はバリYの発生がないものとなって、スラット3a同士の揺動に影響を与えることがないものとなる。
【0022】
これに対し、前記線形摩擦接合の作業が進行して、インターロック結合部3b、3c同士まで線形摩擦接合されるものとした場合に、該インターロック結合部3b、3cの線形摩擦接合がなされた直後まで線形摩擦接合をした場合には、分割スラット3i、3jは、スラット面部3d同士の接合(所定の接合強度を発揮する接合)に加えて、インターロック結合部3b、3c部位での接合(所定の接合強度を発揮するまでには至らない接合)までもなされることになって接合部位の強度アップが図れる一方で、インターロック結合部3b、3c部位にバリYが発生することになるが、該発生したバリYは、線形摩擦接合が進行していない状態で発生するものであるから少量(僅か)となって、スラット3a同士の揺動に影響を殆ど与えることがないものとなる。
そしてこのような線形摩擦接合による分割スラット3に、3j同士の接合の対応は、要求される接合仕様に応じて適宜調整できることは言うまでもない。
因みに、スラット面部3dを、インターロック結合部3b、3cに対して突出する構成にして線形摩擦接合する場合に、両分割スラット3i、3jをこのように構成してもよいが、一方の分割スラット3iまたは3jをこのように構成しても本発明を実施することができる。
【0023】
叙述の如く構成された本実施の形態において、シャッターカーテン3を構成するスラット3aが左右に分割れた分割スラット3i、3jであり、該分割スラット3i、3jの接合端縁部3k、3l同士を接合してスラット3aにする場合に、該接合端縁部3k、3l同士を突き合せた状態で摩擦接合するものであるため、現場が狭い場所であっても搬入が容易で、しかも分割スラット3i、3j同士を接合する場合に、溶接する場合のように火災についての配慮をする必要がない状態での接合ができることになって作業性の優れたものになる。
【0024】
しかもこの場合に、摩擦接合としては、接合端縁部同士を加圧状態で振動させることにより発生する摩擦熱により溶融接合する線形摩擦接合であり、該線形摩擦接合をする際の分割スラット3i、3jの振動は、隣接スラット同士の連結方向である上下方向の振動であるため、隣接スラット同士を連結するインターロック結合部3b、3cの結合部位の上下方向の遊びXを利用してのものとできることになって、分割スラット3i、3jを組み込んだ状態での接合作業ができることになって作業性の効率化が図れることになる。
しかも該線形摩擦接合をする際の分割スラット3i、3jの振動の振動幅が、前記インターロック結合部3b、3cにおける結合部位の遊びXの範囲内であるため、分割スラット3i、3j同士をインターロック結合した状態での接合作業が無理なく確実にできることになって作業性が向上する。
【0025】
そして前記線形摩擦接合をする場合に、前述したように、分割スラット3i、3jのスラット面部3dがインターロック結合部3b、3cよりも突出したものとして線形摩擦接合した場合に、インターロック結合部3b、3c同士の突き合せはなく、スラット面部3d同士が突き合せられた状態で前記線形摩擦接合されるため、スラット面部3dの接合が確実になって強度のある接合ができる。
しかもこのようにして線形摩擦接合をした場合に、その接合作業を、インターロック結合部3b、3cが接合される前までとした場合には、インターロック結合部3b、3cにバリYの発生がない状態での接合ができることになって、インターロック結合部の揺動に影響を与えることがない。
これに対し、接合作業が、インターロック結合部3b、3cの接合端縁部同士が接合された直後までとした場合には、インターロック結合部3b、3cに僅かにバリが発生した状態での接合となるが、インターロック結合部3b、3cが、強度的に十分とはいえないまでも接合されることになるため、接合したことに見合った強度アップが図れることになるという利点がある。
【0026】
そしてこのように分割スラット3i、3j同士を線形摩擦接合により接合する手法を、ガイドレール2に組み込まれている既存のシャッターカーテン3のうちの一部のスラット3aを交換する補修作業に採用することができ、この場合に、交換されるスラット3aのうち、少なくとも取り換える必要のない既存スラット3gに隣接する取り換えスラット3gを少なくとも分割スラット3i、3jとし、そして取り外しスラット3eが取り外されたガイドレール2に取り換えスラット3fを組み込んだ後、該取り換えスラット3fのうちの分割スラット3i、3jについては、その接合端縁部3k、3l同士を突き合せた状態で前記線形摩擦接合により接合すればよい。
この場合に、取り換えスラット3fが既存スラット3gに隣接するものであったとき、既存スラット3gの取り換えスラット3f側のインターロック結合部3b、3cに形成した切り欠き部3hを通して分割スラット3i、3jをインターロック結合して連結した後、分割スラット3i、3jの接合端縁部3k、3l同士を突き合せた状態で前記線形摩擦接合により接合し、しかる後、切り欠き部3hを塞ぎ部材13で塞ぐことになる。
【0027】
このようにして既存のシャッターカーテン3の一部のスラット3aを交換する場合に、二分された分割スラット3i、3j同士の線形摩擦接合による接合がなされるため、左右方向に長いスラット3aを搬入できない現場、あるいは搬入できても該スラット3aを組み込むためのスペースが確保できないような現場に、取り換えスラット3fを分割スラット3i、3jとすることで容易に搬入することができ、またガイドレール2に組み込むことができる。そして該組み込まれた分割スラット3i、3j同士は、火災のための配慮が不要な線形摩擦接合による接合が実行されることになり、作業性が向上する。
【0028】
そしてこのような線形摩擦接合をするためのスラット接合装置5としては、線形摩擦接合をするための必要な加振手段10、加圧手段11が、接合する分割スラット3i、3jの高さに対応して上下移動できる構成になっているため、現場での作業が容易になり、作業性に優れたものとなる。
【0029】
尚、前記実施の形態のものは、摩擦接合として線形摩擦接合を採用したものについて説明したものであるが、本発明は、摩擦接合としては、突き合せられた接合端縁部3k、3lを摩擦ツールが加圧状態で摩擦移動することによる発熱で溶融接合する攪拌摩擦接合であっても実施することができる。
攪拌摩擦接合するための接合装置14としては、前記線形摩擦接合をする接合装置5と同様、台車15に支柱16、補助支柱17が立設され、該支柱16と補助支柱17に制御部18、受け部19がそれぞれ上下移動自在に設けられたものとして構成することができるが、制御部18には、摩擦手段20と、該摩擦手段20の左右両側に配されていて、左右の分割スラット3i、3jを受け部19側に押し付けて挟持する挟持手段21が設けられている。
【0030】
摩擦手段20は、モータ駆動により回転する摩擦ツール20aが設けられているが、該摩擦ツール20aは、前記挟持された分割スラット3i、3jの互いに突き当てられた接合端縁部3k、3lの突き当て部位を横切る状態で円弧移動しながら上下方向に摩擦移動するように設定され、この摩擦移動によって発生する摩擦熱により突き当てられた接合端縁部3k、3lの溶融接合をするものであり、このものを採用して本発明を実施することができ、このようにした場合においても、前記第一の実施の形態のように、火災の配慮をすることがない状態で分割スラット3i、3j同士の溶融接合ができることになる。
因みにこの場合に接合される部位は、摩擦ツール20aが移動して摩擦ツール20aが当接する範囲が最大限のものとなるが、接合端縁部3k、3lのスラット面部3dの全体、並びにインターロック結合部3b、3cの一部であって、摩擦ツール20a側から視認される部分までの範囲が最大限のものとなる。
【0031】
尚、前記実施の形態においては、既存のシャッターカーテンの補修をする場合について説明したが、本発明は、このような補修に用いる場合に限定されるものではなく、建築用シャッター装置を新設する場合においても採用することができる。このような場合の例としては、例えば、外装が出来上がった高層ビルの上層階にシャッター装置を新設する場合がある。具体例としては、新設するシャッター装置が幅広であるため工事用エレベーターのような搬送装置や階段では狭すぎて上層階に揚上搬送できないことがあり、このようなとき、スラットを分割型にして上層階にまで揚上搬送をし、該上層階の現場において分割スラット同士を接合するような場合が挙げられる。
【0032】
また、前記実施の形態においてスラットの交換補修をする場合に、図4に示すように、隣接するスラット3aの下側インターロック結合部3cに左右方向に幅のある切り欠き部3hを形成し、該切り欠き部3hを通してスラット3aの交換をする構成にしているが、これに限定されず、例えば図14に記載されるように、スラット3aの下側インターロック結合部3c部位を切断した後、該切断部位3mを押し曲げることで、左右の切断部位3mが相互に位置ずれ(例えば前後方向に位置ずれ)した状態とし、この状態で交換部位のスラット(分割スラット)3e(3f)の着脱(抜き差し、交換)をし、しかる後、前記押し曲げた下側インターロック結合部3cの切断部位3mを元状態に戻すと共に、交換された分割スラット同士の接合を前述した摩擦接合により行うようにしても本発明を実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンのスラット接合方法、シャッターカーテンの補修方法およびシャッターカーテンのスラット接合装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 建築用のシャッター装置
2 ガイドレール
3 シャッターカーテン
3a スラット
3b 上側インターロック結合部
3c 下側インターロック結合部
3d スラット面部
3e 取り外しスラット
3f 取り換えスラット
3g 既存スラット
3h 切り欠き部
3i、3j 分割スラット
3k、3l 接合端縁部
5 スラット接合装置
9 制御部
10 加振手段
11 加圧手段
12 受け部
13 塞ぎ部材
X 遊び
Y バリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14