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特開2022-71600配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071600
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20220509BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H05K3/46 B
H01L23/12 N
H01L23/12 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180654
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】室賀 政崇
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB11
5E316BB16
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC13
5E316CC32
5E316CC37
5E316CC38
5E316DD02
5E316DD03
5E316DD25
5E316DD32
5E316DD33
5E316EE33
5E316FF07
5E316FF15
5E316GG17
5E316GG18
5E316GG22
5E316HH11
5E316JJ02
(57)【要約】
【課題】ビア配線と配線層との界面にクラック等が発生することを抑制できる配線基板を提供する。
【解決手段】配線基板10は、絶縁層40と、絶縁層40を厚さ方向に貫通する貫通孔41と、貫通孔41内に形成されたビア配線51と、絶縁層40の上面に積層されたソルダーレジスト層60とを有する。配線基板10は、ソルダーレジスト層60の下面に設けられ、貫通孔41と連通する凹部61と、ソルダーレジスト層60の上面に設けられ、凹部61と連通する開口部62と、ビア配線51の上面に設けられ、凹部61と連通する凹部55とを有する。配線基板10は、開口部62内と凹部61内と凹部55内とに形成されたビア配線71と、ソルダーレジスト層60の上面に形成され、ビア配線71を介してビア配線51と電気的に接続される配線パターン72とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層を厚さ方向に貫通する第1貫通孔と、
前記第1貫通孔内に形成された第1ビア配線と、
前記第1絶縁層の上面に積層された第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の下面に設けられ、前記第1貫通孔と連通する第1凹部と、
前記第2絶縁層の上面に設けられ、前記第1凹部と連通する開口部と、
前記第1ビア配線の上面に設けられ、前記第1凹部と連通する第2凹部と、
前記開口部内と前記第1凹部内と前記第2凹部内とに形成された第2ビア配線と、
前記第2絶縁層の上面に形成され、前記第2ビア配線を介して前記第1ビア配線と電気的に接続される第1配線パターンと、を有する配線基板。
【請求項2】
前記第2絶縁層の熱膨張係数は、前記第1絶縁層の熱膨張係数と異なっており、
前記第2ビア配線の下端面と前記第1ビア配線との界面は、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との界面よりも下方に設けられている請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1凹部内に形成され、前記第1ビア配線と電気的に接続される第2配線パターンと、
前記第2配線パターンを厚さ方向に貫通するとともに、前記開口部及び前記第2凹部と連通する第2貫通孔と、を有し、
前記第2ビア配線は、前記開口部と前記第2貫通孔と前記第2凹部とを充填するように形成されている請求項1又は請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第2貫通孔の上端における開口幅は、前記開口部の下端における開口幅よりも大きく形成されている請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第2貫通孔の下端における開口幅は、前記第1貫通孔の上端における開口幅よりも大きく形成されている請求項4に記載の配線基板。
【請求項6】
前記第2貫通孔の下端における開口幅は、前記第1貫通孔の上端における開口幅よりも小さく形成されており、
前記第2凹部の内側面は、前記第2貫通孔の内側面と連続するように形成されている請求項4に記載の配線基板。
【請求項7】
前記第1凹部の内側面は、前記第2絶縁層によって形成されており、
前記第1凹部の上端における開口幅は、前記開口部の下端における開口幅よりも大きく形成されており、
前記第2ビア配線は、前記開口部と前記第1凹部と前記第2凹部とを充填するように形成されている請求項1に記載の配線基板。
【請求項8】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上面に積層された第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の下面に設けられた凹部と、
前記第2絶縁層の上面に設けられ、前記凹部と連通する開口部と、
前記開口部と前記凹部とを充填するように形成されたビア配線と、
前記第2絶縁層の上面に形成され、前記ビア配線と一体に形成された第1配線パターンと、を有し、
前記凹部の上端における開口幅は、前記開口部の下端における開口幅よりも大きく形成されており、
前記凹部の内側面は、前記第2絶縁層によって形成されている配線基板。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の配線基板と、
前記配線基板に実装された半導体素子と、を有し、
前記第2絶縁層は、ソルダーレジスト層であり、
前記第1配線パターンは、前記ソルダーレジスト層の上面から上方に延びる柱状の接続端子であり、
前記半導体素子は、前記第1配線パターンに接続されている半導体装置。
【請求項10】
第1絶縁層を形成する工程と、
前記第1絶縁層を厚さ方向に貫通する第1貫通孔を形成する工程と、
前記第1貫通孔を充填する第1ビア配線を形成するとともに、前記第1ビア配線と一体に形成された第2配線パターンを前記第1絶縁層の上面に形成する工程と、
前記第1絶縁層の上面に、前記第2配線パターンを被覆する第2絶縁層を形成する工程と、
前記第2絶縁層を厚さ方向に貫通するとともに、前記第2配線パターンの上面の一部を露出する開口部を形成する工程と、
前記開口部から露出する前記第2配線パターンを厚さ方向に貫通する第2貫通孔を形成するとともに、前記第2貫通孔と連通して前記第1ビア配線の上面から凹む第2凹部を形成する工程と、
前記第2凹部と前記第2貫通孔と前記開口部とを充填する第2ビア配線を形成するとともに、前記第2ビア配線と一体に形成された第1配線パターンを前記第2絶縁層の上面に形成する工程と、を有する配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電子部品を実装するための配線基板は、様々な形状・構造のものが提案されている。近年は、半導体素子の高集積化及び高機能化に伴い、半導体素子が実装される配線基板においても配線の微細化の要求が高まっている。そこで、配線層の形成されたベース基板上にソルダーレジスト層を形成し、そのソルダーレジスト層の開口部から露出する配線層上に柱状の接続端子を形成した配線基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この種の配線基板では、ソルダーレジスト層の開口部に充填されるビア配線の下面が配線層の上面に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-129996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば配線基板に半導体素子を実装する際には、ビア配線と配線層との界面近傍に大きな応力が作用しやすい。ここで、配線の微細化に伴ってビア配線の下面の幅が小さくなると、ビア配線の下面と配線層の上面との接触面積が小さくなる。すると、ビア配線と配線層との界面近傍に作用する応力に起因して、ビア配線と配線層との界面にクラック等が発生しやすくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、第1絶縁層と、前記第1絶縁層を厚さ方向に貫通する第1貫通孔と、前記第1貫通孔内に形成された第1ビア配線と、前記第1絶縁層の上面に積層された第2絶縁層と、前記第2絶縁層の下面に設けられ、前記第1貫通孔と連通する第1凹部と、前記第2絶縁層の上面に設けられ、前記第1凹部と連通する開口部と、前記第1ビア配線の上面に設けられ、前記第1凹部と連通する第2凹部と、前記開口部内と前記第1凹部内と前記第2凹部内とに形成された第2ビア配線と、前記第2絶縁層の上面に形成され、前記第2ビア配線を介して前記第1ビア配線と電気的に接続される第1配線パターンと、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、ビア配線と配線層との界面にクラック等が発生することを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(a)は、一実施形態の配線基板を示す概略断面図、(b)は、図1(a)に示した配線基板の一部を拡大した拡大断面図である。
図2】一実施形態の半導体装置を示す概略断面図である。
図3】(a),(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
図4】(a),(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
図5】(a),(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
図6】(a),(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
図7】変更例の配線基板を示す概略断面図である。
図8】変更例の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
図9】(a),(b)は、変更例の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
図10】変更例の配線基板を示す概略断面図である。
図11】変更例の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
図12】変更例の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
図13】変更例の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
図14】変更例の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。なお、本明細書において、「平面視」とは、対象物を図1等の鉛直方向(図中上下方向)から見ることを言い、「平面形状」とは、対象物を図1等の鉛直方向から見た形状のことを言う。本明細書における「上下方向」及び「左右方向」は、各図面において各部材を示す符号が正しく読める向きを正位置とした場合の方向である。また、本明細書における「平行」や「直交」は、厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれることが意図される。
【0009】
まず、配線基板10の構造について説明する。
図1(a)に示すように、配線基板10は、配線基板10の厚さ方向の中心付近に設けられた基板本体20を有している。基板本体20の下面には、配線層21と、絶縁層22と、配線層23と、ソルダーレジスト層24とが順に積層されている。基板本体20の上面には、配線層31と、絶縁層40と、配線層50と、ソルダーレジスト層60と、配線層70とが順に積層されている。
【0010】
基板本体20としては、例えば、コア基板、コア基板を有するコア付きビルドアップ基板、コア基板を有していないコアレス基板を用いることができる。
配線層21,23,31,50,70の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金を用いることができる。絶縁層22,40の材料としては、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。
【0011】
配線層21は、基板本体20の下面に形成されている。基板本体20の下面には、配線層21を被覆する絶縁層22が積層されている。絶縁層22の下面には、配線層23が積層されている。配線層23は、絶縁層22を厚さ方向に貫通するビア配線と、そのビア配線を介して配線層21と電気的に接続され、絶縁層22の下面に積層された配線パターンとを有している。
【0012】
絶縁層22の下面には、配線層23を被覆するソルダーレジスト層24が積層されている。ソルダーレジスト層24の材料としては、例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等の感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層24は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。また、ソルダーレジスト層24の材料としては、感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂に限らず、例えば、絶縁層22と同じ絶縁性樹脂を用いてもよい。ソルダーレジスト層24には、配線層23の下面の一部を外部接続用パッドP1として露出させるための複数の開口部24Xが形成されている。外部接続用パッドP1には、配線基板10をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用されるはんだボールやリードピン等の外部接続端子86(図2参照)が接続されるようになっている。
【0013】
開口部24Xの底部に露出する配線層23の下面には、必要に応じて、表面処理層25が形成されている。表面処理層25の例としては、金(Au)層、ニッケル(Ni)層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。ここで、Au層はAu又はAu合金からなる金属層、Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。これらNi層、Au層、Pd層としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。また、表面処理層25の他の例としては、外部接続用パッドP1の表面に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理などの酸化防止処理を施して形成されるOSP膜を用いることができる。OSP膜としては、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜を用いることができる。なお、配線層23の下面に表面処理層25が形成されている場合には、その表面処理層25が外部接続用パッドP1として機能する。
【0014】
本例では、表面処理層25上に外部接続端子86(図2参照)を設けるようにしたが、開口部24Xの底部に露出する配線層23(又は、配線層23上に表面処理層25が形成されている場合には、その表面処理層25)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0015】
配線層31は、基板本体20の上面に形成されている。配線層31は、例えば、基板本体20内の配線層や貫通電極を介して、配線層21と電気的に接続されている。
絶縁層40は、配線層31を被覆するように基板本体20の上面に積層されている。配線層31の上面から絶縁層40の上面までの厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。
【0016】
絶縁層40には、当該絶縁層40を厚さ方向に貫通して配線層31の上面の一部を露出する貫通孔41が形成されている。貫通孔41の平面形状は、任意の形状及び大きさに設定することができる。本例の貫通孔41の平面形状は、円形状に形成されている。貫通孔41の深さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。本例の貫通孔41は、例えば、図1(a)において上側(絶縁層40の上面側)から下側に向かうに連れて開口幅(開口径)が小さくなるテーパ状に形成されている。
【0017】
貫通孔41の内側面は、例えば、絶縁層40の上面から配線層31に向かうに連れて、貫通孔41の平面中心に近づくように傾斜して形成されている。なお、貫通孔41の内側面は、平面である必要はなく、貫通孔41の内側面の一部又は全部が凸状の曲面や凹状の曲面であってもよい。本例の貫通孔41の内側面は、断面視において、段差無く直線状に延びるように傾斜した平面に形成されている。すなわち、本例の貫通孔41の内側面は、一定の角度で傾斜するように形成されている。
【0018】
絶縁層40の上面には、配線層50が積層されている。配線層50は、例えば、貫通孔41内に形成されたビア配線51と、そのビア配線51等を介して配線層31と電気的に接続され、絶縁層40の上面に形成された配線パターン52とを有している。配線層50は、配線パターン52の上面からビア配線51の厚さ方向の途中まで延びる穴部53を有している。穴部53は、配線パターン52を厚さ方向に貫通する貫通孔54と、ビア配線51の上面に形成された凹部55とが連通して形成されている。なお、配線パターン52の厚さは、例えば、5μm~20μm程度とすることができる。ビア配線51の厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。
【0019】
絶縁層40の上面には、ソルダーレジスト層60が積層されている。ソルダーレジスト層60は、配線層50を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層60は、例えば、配線基板10の最外層(ここでは、最上層)の絶縁層である。ソルダーレジスト層60は、例えば、絶縁層40と熱膨張係数の異なる絶縁層である。ソルダーレジスト層60の材料としては、絶縁層40を構成する絶縁性樹脂とは熱膨張係数の異なる絶縁性樹脂が用いられる。ソルダーレジスト層60の材料としては、例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等の感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層60は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。また、ソルダーレジスト層60の材料としては、感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂に限らず、例えば、熱硬化性樹脂等の非感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いてもよい。なお、配線パターン52の上面からソルダーレジスト層60の上面までの厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。
【0020】
図1(b)に示すように、ソルダーレジスト層60の下面には、凹部61が設けられている。凹部61は、ソルダーレジスト層60の下面からソルダーレジスト層60の上面側に凹むように形成されている。凹部61は、貫通孔41と連通するように形成されている。凹部61は、例えば、貫通孔41の直上に設けられている。凹部61の内側面は、ソルダーレジスト層60によって形成されている。凹部61内には、配線パターン52が形成されている。配線パターン52は、例えば、凹部61の内側面を覆うように形成されている。
【0021】
ソルダーレジスト層60には、当該ソルダーレジスト層60を厚さ方向に貫通して凹部61に連通する開口部62が形成されている。開口部62は、例えば、凹部61の直上に設けられている。開口部62は、例えば、貫通孔41及び凹部61と平面視において重なる位置に設けられている。開口部62の平面形状は、任意の形状及び大きさに設定することができる。本例の開口部62の平面形状は、円形状に形成されている。開口部62の深さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。本例の開口部62は、例えば、図1(b)において上側(ソルダーレジスト層60の上面側)から下側に向かうに連れて開口幅(開口径)が小さくなるテーパ状に形成されている。
【0022】
開口部62の内側面は、例えば、ソルダーレジスト層60の上面から凹部61に向かうに連れて、開口部62の平面中心に近づくように傾斜して形成されている。なお、開口部62の内側面は、平面である必要はなく、開口部62の内側面の一部又は全部が凸状の曲面や凹状の曲面であってもよい。本例の開口部62の内側面は、断面視において、段差無く直線状に延びるように傾斜した平面に形成されている。すなわち、本例の開口部62の内側面は、一定の角度で傾斜するように形成されている。
【0023】
次に、凹部61、穴部53及び開口部62の構造とそれら周辺の構造について詳述する。
凹部61は、開口部62と連通するように形成されている。凹部61は、開口部62よりも開口幅が大きく形成されている。例えば、凹部61の上側の開口端61A(つまり、上端)における凹部61の開口幅は、開口部62の下側の開口端62A(つまり、下端)における開口部62の開口幅よりも大きく形成されている。ここで、凹部61の内側面は、例えば、断面視において、絶縁層40の上面に対して垂直に延びるように形成されている。配線パターン52は、凹部61の内側面に接触して凹部61の内側面を被覆するように形成されている。このため、配線パターン52の側面は、例えば、断面視において、絶縁層40の上面に対して垂直に延びるように形成されている。なお、凹部61の内側面及び配線パターン52の側面の形状はこれに限らず、凹部61の内側面及び配線パターン52の側面を曲面に形成してもよいし、凹部61の内側面及び配線パターン52の側面をテーパ状に形成してもよい。
【0024】
貫通孔54は、配線パターン52を厚さ方向に貫通するように形成されている。貫通孔54は、開口部62と連通するとともに、貫通孔41と連通するように形成されている。貫通孔54の平面形状は、任意の形状及び大きさに設定することができる。貫通孔54の平面形状は、例えば、開口部62の平面形状と同様の形状に形成されている。本例の貫通孔54の平面形状は、円形状に形成されている。貫通孔54の深さは、例えば、5μm~20μm程度とすることができる。本例の貫通孔54は、例えば、図1(b)において上側(開口部62側)から下側に向かうに連れて開口幅(開口径)が小さくなるテーパ状に形成されている。
【0025】
貫通孔54の内側面は、例えば、開口部62から凹部55に向かうに連れて、開口部62の平面中心に近づくように傾斜して形成されている。なお、貫通孔54の内側面は、平面である必要はなく、貫通孔54の内側面の一部又は全部が凸状の曲面や凹状の曲面であってもよい。本例の貫通孔54の内側面は、断面視において、段差無く直線状に延びるように傾斜した平面に形成されている。すなわち、本例の貫通孔54の内側面は、一定の角度で傾斜するように形成されている。
【0026】
貫通孔54は、例えば、開口部62よりも開口幅が大きく形成されている。貫通孔54の上側の開口端54A(つまり、上端)における貫通孔54の開口幅は、開口端62Aにおける開口部62の開口幅よりも大きく形成されている。貫通孔54は、例えば、開口部62の内側面を構成するソルダーレジスト層60の下面の一部を露出させるように、開口部62の開口端62Aからソルダーレジスト層60の内側に食い込むように形成されている。貫通孔54の開口端54Aは、例えば、平面視において、開口部62の開口端62Aよりも開口部62の平面中心から離れた位置に設けられている。また、開口端54Aにおける貫通孔54の開口幅は、開口端61Aにおける凹部61の開口幅よりも小さく形成されている。貫通孔54の開口端54Aは、例えば、平面視において、凹部61の開口端61Aよりも開口部62の平面中心に近い位置に設けられている。
【0027】
貫通孔54の下側の開口端54B(つまり、下端)における貫通孔54の開口幅は、貫通孔41の上側の開口端41A(つまり、上端)における貫通孔41の開口幅よりも大きく形成されている。貫通孔54は、例えば、貫通孔41の内側面を構成する絶縁層40の上面の一部を露出するように形成されている。貫通孔54の開口端54Bは、例えば、平面視において、貫通孔41の開口端41Aよりも開口部62の平面中心から離れた位置に設けられている。貫通孔54の開口端54Bは、例えば、平面視において、貫通孔54の開口端54Aよりも開口部62の平面中心に近い位置に設けられている。
【0028】
貫通孔54は、例えば、凹部61内に配線パターン52の一部を残すように形成されている。貫通孔54は、例えば、配線パターン52の一部を露出するように形成されている。換言すると、貫通孔54の内側面は、例えば、配線パターン52によって形成されている。貫通孔54は、例えば、配線パターン52とビア配線51とを分断するように形成されている。配線パターン52は、例えば、貫通孔54によってビア配線51と物理的に離れて設けられている。
【0029】
凹部55は、ビア配線51の一部を露出するように形成されている。凹部55は、貫通孔41内に設けられている。凹部55は、例えば、貫通孔41の開口端41Aから貫通孔41の深さ方向の途中まで延びるように形成されている。すなわち、凹部55は、その底面が貫通孔41の深さ方向の中途に位置するように形成されている。換言すると、凹部55の底面は、絶縁層40とソルダーレジスト層60との境界面よりも下方に設けられている。
【0030】
凹部55の平面形状は、任意の形状及び大きさに設定することができる。凹部55の平面形状は、例えば、開口部62の平面形状と同様の形状に形成されている。本例の凹部55の平面形状は、円形状に形成されている。本例の凹部55の平面形状は、貫通孔41の上部における平面形状と同じ形状及び同じ大きさに形成されている。凹部55の深さは、例えば、3μm~10μm程度とすることができる。本例の凹部55は、例えば、図1(b)において上側(配線パターン52側)から下側に向かうに連れて開口幅(開口径)が小さくなるテーパ状に形成されている。
【0031】
凹部55の内側面は、例えば、絶縁層40の上面から凹部55の底面に向かうに連れて、開口部62の平面中心に近づくように傾斜して形成されている。なお、凹部55の内側面は、平面である必要はなく、凹部55の内側面の一部又は全部が凸状の曲面や凹状の曲面であってもよい。本例の凹部55の内側面は、断面視において、段差無く直線状に延びるように傾斜した平面に形成されている。すなわち、本例の凹部55の内側面は、一定の角度で傾斜するように形成されている。
【0032】
凹部55は、例えば、貫通孔54よりも開口幅が小さく形成されている。凹部55の上側の開口端55A(つまり、上端)における凹部55の開口幅は、開口端54Bにおける貫通孔54の開口幅よりも小さく形成されている。凹部55の開口端55Aは、例えば、貫通孔41の開口端41Aと一致している。凹部55は、貫通孔41の上部における貫通孔41の内側面を露出するように形成されている。すなわち、凹部55の内側面は、貫通孔41の上部における貫通孔41の内側面によって形成されている。換言すると、凹部55の内側面は、貫通孔41の内側面を構成する絶縁層40によって形成されている。凹部55は、例えば、貫通孔41の上部において、貫通孔41の深さ方向と直交する貫通孔41の平面方向(図中左右方向)の全面に広がるように形成されている。凹部55の底部に露出するビア配線51の上面は、例えば、絶縁層40の上面と平行な平面に形成されている。ビア配線51は、例えば、貫通孔41の下部を充填するように形成されている。
【0033】
穴部53では、例えば、貫通孔54の内側面と、貫通孔54から露出された絶縁層40の上面と、凹部55の内側面とによって段差が形成されている。
配線層70は、開口部62と貫通孔54と凹部55とから露出された配線層50上に形成されている。配線層70は、例えば、開口部62内と貫通孔54内と凹部55内とに形成されたビア配線71と、ビア配線71を介して配線層50と電気的に接続され、ソルダーレジスト層60の上面に形成された配線パターン72とを有している。
【0034】
ビア配線71は、例えば、開口部62と貫通孔54と凹部55とを充填するように形成されている。ビア配線71は、開口部62、貫通孔54及び凹部55と同様の形状に形成されている。本例のビア配線71は、貫通孔54から露出するソルダーレジスト層60の下面及び絶縁層40の上面を被覆するように形成されている。これにより、貫通孔54においてビア配線71がソルダーレジスト層60に食い込むように形成されている。貫通孔54内に形成されたビア配線71の側面は、貫通孔54の内側面を構成する配線パターン52に接続されている。凹部55内に形成されたビア配線71は、凹部55から露出する貫通孔41の内側面を被覆するように形成されている。凹部55内に形成されたビア配線71の下端面は、凹部55の底面を構成するビア配線51に接続されている。ビア配線71の下端面とビア配線51との界面は、絶縁層40とソルダーレジスト層60との界面よりも下方に設けられている。
【0035】
配線層70は、凹部55の内面と貫通孔54の内面と開口部62の内面とソルダーレジスト層60の上面と被覆するシード層73を有している。本例のシード層73は、ソルダーレジスト層60の上面と、開口部62の内側面全面と、貫通孔54に露出されたソルダーレジスト層60の下面全面と、貫通孔54の内側面全面と、貫通孔54に露出された絶縁層40の上面全面と、凹部55の内側面全面と、凹部55から露出されたビア配線51の上面全面とを連続して被覆するように形成されている。シード層73の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。シード層73としては、例えば、無電解めっき法により形成された無電解めっき層を用いることができる。
【0036】
配線層70は、シード層73よりも内側の開口部62、貫通孔54及び凹部55を充填する金属層74を有している。本例の金属層74は、ソルダーレジスト層60に食い込むように形成されている。金属層74の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属層74としては、例えば、電解めっき法により形成された電解めっき層を用いることができる。
【0037】
以上説明した開口部62内と貫通孔54内と凹部55内に形成されたシード層73と金属層74とによって、配線層70のビア配線71が構成されている。
配線層70は、ソルダーレジスト層60の上面に形成されたシード層73上及びビア配線71(金属層74)上に形成された金属ポスト75を有している。金属ポスト75は、ソルダーレジスト層60の上面から上方に突出するように柱状に形成されている。金属ポスト75は、例えば、金属層74と一体に形成されている。金属ポスト75の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属ポスト75としては、例えば、電解めっき法により形成された電解めっき層を用いることができる。
【0038】
以上説明した金属ポスト75とソルダーレジスト層60の上面に形成されたシード層73とによって、配線層70の配線パターン72が構成されている。
配線パターン72は、例えば、電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。配線パターン72は、例えば、ソルダーレジスト層60の上面から上方に突出する柱状の接続端子である。なお、配線パターン72の上面には、必要に応じて、表面処理層76が形成されている。表面処理層76としては、Au層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層、OSP膜を用いることができる。
【0039】
以上説明した絶縁層40と配線層50とソルダーレジスト層60と配線層70とによって、配線基板10の端子構造が構成されている。
次に、図2に従って、半導体装置80の構造について説明する。
【0040】
図2に示すように、半導体装置80は、配線基板10と、1つ又は複数(ここでは、1つ)の半導体素子81と、アンダーフィル樹脂85と、外部接続端子86とを有している。
【0041】
半導体素子81は、配線基板10にフリップチップ実装されている。すなわち、半導体素子81の回路形成面(ここでは、下面)に配設された接続端子82を、はんだ層83を介して配線基板10の配線層70に接合することにより、半導体素子81は、接続端子82及びはんだ層83を介して配線層70と電気的に接続されている。このとき、はんだ層83は、配線層70の上面に形成された表面処理層76に接合されるとともに、接続端子82の下面に接合されている。
【0042】
ここで、半導体素子81としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体素子81としては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることができる。なお、配線基板10に複数の半導体素子81を搭載する場合には、ロジックチップとメモリチップとを組み合わせて配線基板10に搭載するようにしてもよい。
【0043】
接続端子82としては、例えば、金属ポストを用いることができる。接続端子82は、例えば、半導体素子81の回路形成面から下方に延びる柱状の接続端子である。本例の接続端子82は、例えば、円柱状に形成されている。接続端子82の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。なお、接続端子82としては、金属ポストの他に、例えば金バンプを用いることもできる。
【0044】
はんだ層83としては、例えば、鉛フリーはんだのはんだめっきを用いることができる。はんだめっきの材料としては、例えば、Sn-Ag系、Sn-Cu系、Sn-Ag-Cu系、Sn-Bi系の鉛フリーはんだを用いることができる。
【0045】
アンダーフィル樹脂85は、配線基板10と半導体素子81との間の隙間を充填するように設けられている。アンダーフィル樹脂85の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0046】
外部接続端子86は、配線基板10の外部接続用パッドP1上に形成されている。外部接続端子86は、例えば、図示しないマザーボード等の実装基板に設けられたパッドと電気的に接続される接続端子である。外部接続端子86としては、例えば、はんだボールやリードピンを用いることができる。本実施形態では、外部接続端子86として、はんだボールを用いている。
【0047】
次に、図3図6に従って、配線基板10の製造方法について説明する。ここでは、配線基板10の端子構造の製造方法について詳述する。なお、説明の便宜上、最終的に配線基板10の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
【0048】
まず、図3(a)に示すように、配線層31を被覆する絶縁層40が形成され、絶縁層40を厚さ方向に貫通する貫通孔41が形成され、貫通孔41を充填するビア配線51が形成されるとともに絶縁層40の上面に配線パターン52が形成された構造体を準備する。すなわち、配線層31を被覆する絶縁層40上に、ビア配線51と配線パターン52とを有する配線層50が形成された構造体を準備する。この構造体は、公知の製造方法により製造することが可能であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0049】
次に、図3(b)に示す工程では、絶縁層40の上面に、配線パターン52の上面の一部を露出する開口部62を有するソルダーレジスト層60を形成する。ソルダーレジスト層60は、例えば、感光性のソルダーレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダーレジストを塗布し、当該レジストをフォトリソグラフィ法によりパターニングすることにより形成することができる。なお、本工程により、ソルダーレジスト層60の下面に、配線パターン52を収容する凹部61が形成される。
【0050】
次に、図4(a)に示す工程では、ソルダーレジスト層60の開口部62から露出する配線層50の上面に、開口部62と連通してビア配線51の厚さ方向の途中まで延びる穴部53を形成する。すなわち、開口部62と連通して配線パターン52を厚さ方向に貫通する貫通孔54を形成するとともに、その貫通孔54と連通する凹部55をビア配線51の上面に形成する。貫通孔54及び凹部55は、例えば、ソルダーレジスト層60をエッチングマスクとして配線パターン52及びビア配線51をウェットエッチングすることにより形成できる。このようなウェットエッチングを配線パターン52に対して施した場合には、エッチングが配線パターン52の面内方向に進行するサイドエッチ現象により、配線パターン52の貫通孔54を開口部62の底部から外側に食い込むように形成することができる。すなわち、配線パターン52に、開口部62の下側の開口端62Aにおける開口幅よりも大きい開口幅を有する貫通孔54を形成することができる。この貫通孔54は、開口部62の内側面を構成するソルダーレジスト層60の下面を露出するとともに、貫通孔41の内側面を構成する絶縁層40の上面を露出するように形成される。貫通孔54は、凹部61内に配線パターン52の一部を残すように形成される。このため、貫通孔54の内側面は、配線パターン52によって形成される。また、凹部55は、貫通孔54の底部に露出するビア配線51の上面に形成される。このとき、貫通孔54の下側の開口端54Bにおける開口幅が貫通孔41の上側の開口端41Aにおける開口幅(つまり、ビア配線51の上面の幅)よりも大きく形成されている。このため、ビア配線51の上面全面に対して凹部55が形成される。すなわち、本例の凹部55は、ビア配線51を上面側から薄化するように形成される。この凹部55は、絶縁層40によって構成される貫通孔41の内側面の一部を露出するように形成される。このように、本工程では、ソルダーレジスト層60の開口部62から露出する配線層50の上面から貫通孔41(ビア配線51)の深さ方向の途中まで延びる貫通孔54及び凹部55が形成される。
【0051】
続いて、図4(b)に示す工程では、ソルダーレジスト層60の上面全面と、開口部62の内面全面と、貫通孔54の内面全面と、凹部55の内面全面とを連続して被覆するシード層73を形成する。シード層73は、例えば、無電解めっき法により形成することができる。例えば、シード層73は、硫酸銅、水酸化ナトリウム、カルボン酸塩、硫酸ニッケル及びホルムアルデヒドを混合しためっき液を用いた無電解銅めっき法により形成することができる。
【0052】
次いで、図5(a)に示す工程では、ソルダーレジスト層60の上面に形成されたシード層73上に、開口パターン90Xを有するレジスト層90を形成する。開口パターン90Xは、金属ポスト75(図1(b)参照)の形成領域に対応する部分のシード層73を露出するように形成される。レジスト層90の材料としては、例えば、次工程の電解めっき処理に対して耐めっき性がある材料を用いることができる。例えば、レジスト層90の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えば、ノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば、感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、シード層73の上面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムをフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口パターン90Xを有するレジスト層90を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層90を形成することができる。
【0053】
次に、図5(b)に示す工程では、レジスト層90をめっきマスクとして、シード層73上に、そのシード層73をめっき給電層に利用する電解めっき法を施す。すなわち、レジスト層90の開口パターン90Xから露出されたシード層73の上面に電解めっき法(例えば、電解銅めっき法)を施す。本工程により、シード層73よりも内側の開口部62、貫通孔54及び凹部55を充填する金属層74が形成されるとともに、開口パターン90X内に金属ポスト75が形成される。
【0054】
続いて、金属ポスト75の上面に、必要に応じて、表面処理層76を形成する。表面処理層76は、例えば、レジスト層90をめっきマスクとして、シード層73をめっき給電層に利用する電解めっき法(例えば、電解銅めっき法)により形成できる。
【0055】
次いで、図6(a)に示す工程では、図5(b)に示したレジスト層90をアルカリ性の剥離液(例えば、有機アミン系剥離液、苛性ソーダ、アセトンやエタノールなど)により除去する。
【0056】
次に、図6(b)に示すように、金属ポスト75をエッチングマスクとして、不要なシード層73をエッチングにより除去する。シード層73が無電解銅めっき層である場合には、例えば、硫酸過水系のエッチング液を用いたウェットエッチングにより不要なシード層73を除去する。これにより、開口部62及び穴部53に形成されたシード層73と金属層74とからなるビア配線71と、ソルダーレジスト層60の上面に形成されたシード層73と金属ポスト75とからなる配線パターン72とを有する配線層70が形成される。
【0057】
以上説明した製造工程により、図1に示した配線基板10を製造することができる。
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)ソルダーレジスト層60の上面に設けられた開口部62内と、ソルダーレジスト層60の下面に設けられた凹部61内と、ビア配線51の上面に設けられた凹部55内とに形成されたビア配線71を設けた。このビア配線71は、ソルダーレジスト層60の上面からビア配線71の厚さ方向の途中まで延びるように形成される。これにより、ビア配線71の下端面を配線層50に接続させることができるとともに、ビア配線71の側面を配線層50に接続させることができる。このため、ビア配線71の下端面のみが配線パターン52の上面に接続される場合に比べて、ビア配線71と配線層50との接触面積を増大させることができる。これにより、例えば配線基板10に半導体素子81を実装する際に、ビア配線71と配線層50との界面近傍に大きな応力が作用した場合であっても、その応力に起因してビア配線71と配線層50との界面にクラックが発生することを抑制できる。したがって、ビア配線71が配線層50から脱離することを好適に抑制できる。この結果、ビア配線71と配線層50との接続信頼性を向上させることができる。
【0058】
(2)絶縁層40とソルダーレジスト層60とは熱膨張係数が互いに異なる。このため、例えば配線基板10に対して熱サイクルによる信頼性試験を行うと、絶縁層40とソルダーレジスト層60との熱膨張係数の相違に基づく熱応力の発生により、絶縁層40とソルダーレジスト層60との界面に熱応力が集中し、その界面にクラックが発生しやすい。絶縁層40とソルダーレジスト層60との界面にクラックが発生すると、そのクラックが、絶縁層40とソルダーレジスト層60との界面が広がる方向、つまり配線基板10の平面方向に伝搬する。このとき、ビア配線71の下端面とビア配線51との界面が絶縁層40とソルダーレジスト層60との界面と同一平面上に設けられている場合には、平面方向に伝搬されるクラックに起因して、ビア配線71とビア配線51との接続部分にクラック等が発生しやすくなる。これに対し、本実施形態の配線基板10では、ビア配線71の下端面とビア配線51との界面が、絶縁層40とソルダーレジスト層60との界面よりも下方に設けられている。すなわち、ビア配線71の下端面とビア配線51との界面が、絶縁層40とソルダーレジスト層60との界面と同一平面上に形成されていない。このため、仮に絶縁層40とソルダーレジスト層60との界面にクラックが発生した場合であっても、そのクラックに起因して、ビア配線71の下端面とビア配線51との界面にクラックが発生することを好適に抑制できる。これにより、ビア配線71が配線層50から脱離することを好適に抑制できる。
【0059】
(3)ソルダーレジスト層60の凹部61内に配線パターン52が設けられ、その配線パターン52を厚さ方向に貫通する貫通孔54が設けられる。そして、開口部62と貫通孔54と凹部55とを充填するようにビア配線71が形成される。この構成によれば、貫通孔54の内側面が配線パターン52によって形成される。このため、貫通孔54に形成されたビア配線71の側面を配線パターン52と接続させることができる。これにより、ビア配線71と配線層50との接触面積を増大させることができるため、ビア配線71と配線層50との界面にクラックが発生することを好適に抑制できる。
【0060】
(4)貫通孔54の上側の開口端54Aにおける開口幅が、開口部62の下側の開口端62Aにおける開口幅よりも大きく形成されている。そして、貫通孔54を充填するようにビア配線71が形成される。これにより、ビア配線71の一部、つまりビア配線71のうち貫通孔54に充填された部分がソルダーレジスト層60に食い込むように形成される。このため、アンカー効果により、ビア配線71とソルダーレジスト層60との密着性を向上させることができる。この結果、ビア配線71(配線層70)がソルダーレジスト層60から脱離することを好適に抑制できる。これにより、配線層50と配線層70との接続信頼性を向上させることができる。
【0061】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0062】
・上記実施形態では、貫通孔54の下端における開口幅を、貫通孔41の上端における開口幅よりも大きく形成したが、これに限定されない。
例えば図7に示すように、貫通孔54の下端における開口幅を、貫通孔41の上側の開口端41Aにおける開口幅よりも小さく形成してもよい。この場合の貫通孔54は、貫通孔41の内側面を構成する絶縁層40の上面を露出しないように形成される。また、本変更例では、例えば、凹部55の開口幅が貫通孔41の開口幅よりも小さく形成される。この場合の凹部55は、絶縁層40により形成される貫通孔41の内側面を露出しないように形成される。このため、本変更例の凹部55の内側面は、ビア配線51によって形成される。本変更例の凹部55は、ビア配線51の上面の一部に形成されている。本変更例では、凹部55の内側面は、貫通孔54の内側面と連続するように形成されている。本変更例の穴部53では、貫通孔54の内側面と凹部55の内側面とが連続した平面に形成されている。例えば、貫通孔54の内側面と凹部55の内側面とは、断面視において、貫通孔54の上端から凹部55の下端まで段差の無い直線形状に形成されている。ここで、本変更例の貫通孔54及び凹部55は、図7において上側(配線パターン72側)から下側に向かうに連れて開口幅(開口径)が小さくなるテーパ状に形成されている。本変更例の貫通孔54の内側面と凹部55の内側面とは、断面視において、貫通孔54の上端から凹部55の下端まで段差無く直線状に延びるように傾斜した平面に形成されている。すなわち、本変更例の貫通孔54の内側面と凹部55の内側面とは、貫通孔54の上端から凹部55の下端まで一定の角度で傾斜するように形成されている。なお、貫通孔54の内側面及び凹部55の内側面は、平面である必要はなく、貫通孔54の内側面及び凹部55の内側面の一部又は全部が凸状の曲面や凹状の曲面であってもよい。なお、貫通孔54の上側の開口端54Aにおける開口幅は、開口部62の下側の開口端62Aにおける開口幅よりも大きく形成されている。
【0063】
本変更例のビア配線71は、開口部62及び穴部53(貫通孔54及び凹部55)を充填するように形成されている。穴部53内に形成されたビア配線71の側面は、貫通孔54の内側面を構成する配線パターン52に接続されるとともに、凹部55の内側面を構成するビア配線51に接続されている。また、ビア配線71の下面は、凹部55の底面を構成するビア配線51に接続されている。
【0064】
この構成によれば、凹部55の開口幅が貫通孔41の開口幅よりも小さく形成されるため、凹部55に充填されたビア配線71の幅を貫通孔41に充填されたビア配線51の幅よりも小さく形成できる。これにより、凹部55内に形成されたビア配線71の側面を凹部55の内側面を構成するビア配線51に接触させることができるため、ビア配線71とビア配線51との接触面積を配線基板10の積層方向(図中上下方向)に増大させることができる。したがって、配線基板10の積層方向と直交する平面方向(図中左右方向)の応力に対して、ビア配線71とビア配線51との界面において破断が発生し難い構造にすることができる。
【0065】
次に、本変更例の配線基板10の製造方法について説明する。
まず、図8に示す工程では、図3(a)及び図3(b)に示す工程と同様の工程を実施することにより、絶縁層40の上面に、配線パターン52の上面の一部を露出する開口部62を有するソルダーレジスト層60を形成する。続いて、ソルダーレジスト層60の開口部62から露出する配線層50の上面に、開口部62と連通してビア配線51の厚さ方向の途中まで延びる穴部53を形成する。すなわち、開口部62と連通して配線パターン52を厚さ方向に貫通する貫通孔54を形成するとともに、その貫通孔54と連通する凹部55をビア配線51の上面に形成する。貫通孔54及び凹部55は、図4(a)に示した工程と同様に、ソルダーレジスト層60をエッチングマスクとして配線パターン52及びビア配線51をウェットエッチングすることにより形成できる。但し、本変更例では、貫通孔54の下端における開口幅及び凹部55の上端における開口幅が貫通孔41の上側の開口端41Aにおける開口幅よりも小さくなるように形成される。なお、凹部55の上端における開口幅は、例えば、ウェットエッチングの処理時間やエッチング液の組成などによって調整することができる。
【0066】
次いで、図9(a)に示す工程では、ソルダーレジスト層60の上面全面と、開口部62の内面全面と、貫通孔54の内面全面と、凹部55の内面全面とを連続して被覆するシード層73を形成する。続いて、ソルダーレジスト層60の上面に形成されたシード層73上に、開口パターン90Xを有するレジスト層90を形成する。
【0067】
次に、図9(b)に示す工程では、レジスト層90をめっきマスクとして、シード層73上に、そのシード層73をめっき給電層に利用する電解めっき法を施す。これにより、シード層73よりも内側の開口部62、貫通孔54及び凹部55を充填する金属層74が形成されるとともに、開口パターン90X内に金属ポスト75が形成される。続いて、金属ポスト75の上面に、必要に応じて、表面処理層76を形成する。
【0068】
その後、図6(a)及び図6(b)に示した工程と同様に、レジスト層90をアルカリ性の剥離液により除去し、不要なシード層73をエッチングにより除去する。
以上の工程により、本変更例の配線基板10を製造することができる。
【0069】
・上記実施形態では、ソルダーレジスト層60の凹部61内に、配線パターン52とビア配線71とを設けるようにしたが、これに限定されない。
例えば図10に示すように、凹部61を充填するようにビア配線71を形成してもよい。例えば、本変更例の配線基板10Aでは、配線パターン72と平面視で重なる位置に設けられた凹部61を充填するようにビア配線71が形成されている。この場合には、配線パターン72と平面視で重なる位置に設けられた凹部61内にはビア配線71のみが形成されており、凹部61内に配線パターン52(図1(b)参照)が形成されていない。換言すると、配線パターン72と平面視で重なる位置において、貫通孔54が凹部61の内面全面を露出するように形成され、その貫通孔54にビア配線71が充填されている。すなわち、本変更例の貫通孔54は、配線パターン72と平面視で重なる位置に設けられた凹部61と同一形状及び同一の大きさに形成されている。凹部61(貫通孔54)には、開口部62の内側面を構成するソルダーレジスト層60の下面が露出されるとともに、貫通孔41の内側面を構成する絶縁層40の上面が露出される。貫通孔54の内面全面は、樹脂層(ここでは、ソルダーレジスト層60及び絶縁層40)のみによって形成されている。
【0070】
本変更例のビア配線71は、開口部62と凹部61(貫通孔54)と凹部55とを充填するように形成されている。ビア配線71は、開口部62及び凹部61,55と同様の形状に形成されている。凹部61内に形成されたビア配線71の側面は、凹部61の内側面に沿った形状に形成される。このため、凹部61内に形成されたビア配線71の側面は、断面視において、絶縁層40の上面に対して垂直に延びるように形成されている。なお、凹部61内に形成されたビア配線71の側面の形状はこれに限らず、ビア配線71の側面を曲面に形成してもよいし、ビア配線71の側面をテーパ状に形成してもよい。
【0071】
本変更例のビア配線71は、開口部62の内面全面と凹部61の内面全面と凹部55の内面全面とを連続して被覆するシード層73を有している。シード層73は、開口部62の内側面全面と、凹部61から露出されたソルダーレジスト層60の下面全面と、凹部61の内側面全面と、凹部61から露出された絶縁層40の上面と、凹部55の内側面全面と、凹部55から露出されたビア配線51の上面全面とを連続して被覆するように形成されている。また、ビア配線71は、シード層73よりも内側の開口部62及び凹部61,55を充填する金属層74を有している。
【0072】
この構成によれば、凹部61がビア配線71により充填され、凹部61内にビア配線71のみが形成される。このため、凹部61内において、ビア配線71と配線パターン52(図1(b)参照)との界面を無くすことができる。これにより、ビア配線71と配線パターン52との界面で発生するおそれのあるクラックの発生を未然に防止することができる。
【0073】
本変更例のソルダーレジスト層60は、ソルダーレジスト層60の下面に設けられた凹部63を有している。また、本変更例のソルダーレジスト層60は、ソルダーレジスト層60の上面に設けられ、凹部63と連通するように形成された開口部64を有している。開口部64は、例えば、凹部63の直上に設けられている。開口部64は、凹部63と平面視において重なる位置に設けられている。凹部63は、絶縁層40の貫通孔41と平面視で重ならない位置に設けられている。
【0074】
本変更例の開口部64は、例えば、図10において上側(ソルダーレジスト層60の上面側)から下側に向かうに連れて開口幅(開口径)が小さくなるテーパ状に形成されている。開口部64の内側面は、例えば、ソルダーレジスト層60の上面から凹部63に向かうに連れて、開口部64の平面中心に近づくように傾斜して形成されている。なお、開口部64の内側面は、平面である必要はなく、開口部64の内側面の一部又は全部が凸状の曲面や凹状の曲面であってもよい。本例の開口部64の内側面は、断面視において、段差無く直線状に延びるように傾斜した平面に形成されている。すなわち、本例の開口部64の内側面は、一定の角度で傾斜するように形成されている。
【0075】
凹部63は、例えば、絶縁層40の上面の一部を露出させるように形成されている。凹部63の上側の開口端63A(つまり、上端)における開口幅は、開口部64の下側の開口端64A(つまり、下端)における開口幅よりも大きく形成されている。凹部63の内側面は、例えば、断面視において、絶縁層40の上面に対して垂直に延びるように形成されている。なお、凹部63の内側面の形状はこれに限らず、凹部63の内側面を曲面に形成してもよいし、凹部63の内側面をテーパ状に形成してもよい。
【0076】
配線層70は、例えば、開口部64内と凹部63内とに形成されたビア配線71Aと、ビア配線71Aと一体に形成され、ソルダーレジスト層60の上面に形成された配線パターン72Aとを有している。
【0077】
ビア配線71Aは、例えば、開口部64と凹部63とを充填するように形成されている。ビア配線71Aは、開口部64及び凹部63と同様の形状に形成されている。本変更例のビア配線71Aは、凹部63から露出するソルダーレジスト層60の下面及び絶縁層40の上面を被覆するように形成されている。これにより、凹部63においてビア配線71Aがソルダーレジスト層60に食い込むように形成されている。凹部63内に形成されたビア配線71Aの側面は、凹部63の内側面を構成するソルダーレジスト層60を被覆するように形成されている。凹部63内に形成されたビア配線71Aの側面は、凹部63の内側面に沿った形状に形成されている。このため、凹部63内に形成されたビア配線71Aの側面は、断面視において、絶縁層40の上面に対して垂直に延びるように形成されている。
【0078】
ビア配線71Aは、開口部64の内面全面と凹部63の内面全面とを連続して被覆するシード層73Aを有している。シード層73Aは、開口部64の内側面全面と、凹部63から露出されたソルダーレジスト層60の下面全面と、凹部63の内側面全面と、凹部63から露出された絶縁層40の上面全面とを連続して被覆するように形成されている。また、ビア配線71Aは、シード層73Aよりも内側の開口部64及び凹部63を充填する金属層74Aを有している。
【0079】
配線パターン72Aは、ソルダーレジスト層60の上面に形成されたシード層73Aを有している。配線パターン72Aは、ソルダーレジスト層60の上面に形成されたシード層73A上及びビア配線71A(金属層74A)上に形成された金属ポスト75Aを有している。金属ポスト75Aは、ソルダーレジスト層60の上面から上方に突出するように柱状に形成されている。金属ポスト75Aは、例えば、金属層74Aと一体に形成されている。
【0080】
この構成によれば、凹部63がビア配線71Aにより充填され、凹部63内にビア配線71Aのみが形成される。このため、凹部63内において、ビア配線71Aと配線パターン52(図1(a)参照)との界面を無くすことができる。これにより、ビア配線71Aと配線パターン52との界面で発生するおそれのあるクラックの発生を未然に防止することができる。
【0081】
次に、本変更例の配線基板10Aの製造方法について説明する。
まず、図11に示す工程では、図3(a)及び図3(b)に示す工程と同様の工程を実施することにより、絶縁層40の上面にソルダーレジスト層60を形成する。ここで、配線パターン52は、ビア配線51の直上に設けられた配線パターン52Aと、ビア配線51と平面視で重ならない位置に設けられた配線パターン52Bとを有している。ソルダーレジスト層60には、配線パターン52Aの上面の一部を露出する開口部62と、配線パターン52Bの上面の一部を露出する開口部64とが形成されている。本工程により、ソルダーレジスト層60の下面には、配線パターン52Aを収容する凹部61と、配線パターン52Bを収容する凹部63とが形成される。
【0082】
次に、ソルダーレジスト層60をエッチングマスクとして、配線パターン52A,52B及びビア配線51に対してウェットエッチングを施す。本工程では、図12に示すように、ソルダーレジスト層60の開口部62から露出する配線層50の上面に、開口部62と連通してビア配線51の厚さ方向の途中まで延びる穴部53が形成される。具体的には、凹部61内に形成された配線パターン52A(図11参照)を除去して凹部61の内面全面を露出させる貫通孔54を形成するとともに、その貫通孔54と連通する凹部55をビア配線51の上面に形成する。また、本工程では、凹部63内に形成された配線パターン52B(図11参照)を除去して凹部63の内面全面を露出させる。換言すると、本工程では、凹部61,63の内面全面が露出されるように、ウェットエッチングを施す。
【0083】
次いで、図13に示す工程では、開口部62の内面全面と、凹部61(貫通孔54)の内面全面と、凹部55の内面全面と、ソルダーレジスト層60の上面全面と、開口部64の内面全面と、凹部63の内面全面とを連続して被覆するシード層73を形成する。続いて、ソルダーレジスト層60の上面に形成されたシード層73上に、開口パターン90X,90Yを有するレジスト層90を形成する。開口パターン90Xは、金属ポスト75(図10参照)の形成領域に対応する部分のシード層73を露出するように形成される。開口パターン90Yは、金属ポスト75A(図10参照)の形成領域に対応する部分のシード層73を露出するように形成される。
【0084】
次に、図14に示す工程では、レジスト層90をめっきマスクとして、シード層73上に、そのシード層73をめっき給電層に利用する電解めっき法を施す。これにより、シード層73よりも内側の開口部62及び凹部61,55を充填する金属層74が形成されるとともに、開口パターン90X内に金属ポスト75が形成される。また、シード層73よりも内側の開口部64及び凹部63を充填する金属層74Aが形成されるとともに、開口パターン90Y内に金属ポスト75Aが形成される。続いて、金属ポスト75,75Aの上面に、必要に応じて、表面処理層76を形成する。
【0085】
その後、図6(a)及び図6(b)に示した工程と同様に、レジスト層90をアルカリ性の剥離液により除去し、不要なシード層73をエッチングにより除去する。これにより、図10に示すように、開口部62及び凹部61,55に形成されたシード層73と金属層74とからなるビア配線71と、ソルダーレジスト層60の上面に形成されたシード層73と金属ポスト75とからなる配線パターン72とを有する配線層70が形成される。また、開口部64及び凹部63に形成されたシード層73Aと金属層74Aとからなるビア配線71Aと、ソルダーレジスト層60の上面に形成されたシード層73Aと金属ポスト75Aとからなる配線パターン72Aとを有する配線層70が形成される。
【0086】
以上の工程により、本変更例の配線基板10Aを製造することができる。
・上記実施形態では、シード層73を無電解めっき法(例えば、無電解銅めっき法)により形成するようにしたが、これに限定されない。例えば、シード層73を、スパッタ法や蒸着法などにより形成するようにしてもよい。
【0087】
・上記実施形態では、シード層73を単層構造のシード層に具体化したが、シード層73を複数層構造(例えば、2層構造)のシード層に具体化してもよい。2層構造のシード層73としては、例えば、チタン(Ti)層とCu層とを順に積層した構造を有するシード層を挙げることができる。
【0088】
・上記実施形態では、無電解めっき層からなるシード層73と、電解めっき層からなる金属層74及び金属ポスト75とによって配線層70を構成するようにしたが、これに限定されない。例えば、配線層70をはんだバンプに具体化してもよい。例えば、開口部62、貫通孔54及び凹部55から露出する配線層50上にはんだボールを搭載し、そのはんだボールを溶融してはんだバンプを形成してもよい。また、はんだめっき法を用いて、開口部62、貫通孔54及び凹部55から露出する配線層50上にはんだバンプを形成してもよい。この場合には、例えば、図5(b)に示した工程において、シード層73をめっき給電層に利用する電解はんだめっきを施すことにより、はんだバンプとしての配線層70が形成される。
【0089】
・上記実施形態の配線基板10における表面処理層25を省略してもよい。
・上記実施形態の配線基板10における表面処理層76を省略してもよい。
・上記実施形態では、配線基板10の最外層となる保護絶縁層の一例としてソルダーレジスト層60を例示したが、各種の感光性を有する絶縁性樹脂から保護絶縁層を形成することができる。
【0090】
・上記実施形態では、絶縁層40(第1絶縁層)の上面に積層するソルダーレジスト層60(第2絶縁層)を、絶縁層40と熱膨張係数が異なる絶縁層に具体化したが、これに限定されない。例えば、第1絶縁層の熱膨張係数と第2絶縁層の熱膨張係数とが互いに同じになるようにしてもよい。
【0091】
・上記実施形態では、配線層70を、半導体素子81と接続される接続端子に具体化したが、これに限定されない。すなわち、上記実施形態では、配線層70が配線基板10の最外層に設けられている。これに限らず、例えば配線層70を、配線基板10の積層方向の中間に設けるようにしてもよい。例えば、配線基板10において、配線層70を被覆する絶縁層と、その絶縁層の上面に形成されて配線層70と電気的に接続される配線層とを更に設けるようにしてもよい。
【0092】
・上記実施形態の半導体装置80におけるアンダーフィル樹脂85を省略してもよい。
・上記実施形態の半導体装置80における外部接続端子86を省略してもよい。
・上記実施形態の配線基板10に、半導体素子81の代わりに、チップコンデンサ、チップ抵抗やチップインダクタ等のチップ部品や水晶振動子などの半導体素子81以外の電子部品を実装するようにしてもよい。
【0093】
・上記実施形態の配線基板10を、CSP(Chip Size Package)やSON(Small Outline Non-Lead Package)等のパッケージに用いられる配線基板に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0094】
10,10A 配線基板
40 絶縁層(第1絶縁層)
41 貫通孔(第1貫通孔)
50 配線層
51 ビア配線(第1ビア配線)
52 配線パターン(第2配線パターン)
54 貫通孔(第2貫通孔)
55 凹部(第2凹部)
60 ソルダーレジスト層(第2絶縁層)
61 凹部(第1凹部)
62 開口部
63 凹部
64 開口部
70 配線層
71 ビア配線(第2ビア配線)
71A ビア配線
72 配線パターン(第1配線パターン)
72A 配線パターン
80 半導体装置
81 半導体素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14