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特開2022-71860二次電池用レーザー溶接方法およびレーザー溶接装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071860
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】二次電池用レーザー溶接方法およびレーザー溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/21 20140101AFI20220509BHJP
   B23K 26/22 20060101ALI20220509BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20220509BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20220509BHJP
【FI】
B23K26/21 G
B23K26/22
B23K26/21 N
B23K26/00 P
H01M50/536
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175508
(22)【出願日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0141395
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】安 勇奎
(72)【発明者】
【氏名】朴 炯彬
(72)【発明者】
【氏名】鄭 喜東
(72)【発明者】
【氏名】許 鎭奎
(72)【発明者】
【氏名】朴 銘濬
(72)【発明者】
【氏名】盧 載▲勲▼
(72)【発明者】
【氏名】柳 相鉉
(72)【発明者】
【氏名】安 成倍
【テーマコード(参考)】
4E168
5H043
【Fターム(参考)】
4E168BA02
4E168BA13
4E168BA14
4E168BA16
4E168BA21
4E168BA87
4E168DA42
4E168DA43
5H043AA19
5H043BA11
5H043CA08
5H043CA12
5H043EA06
5H043EA39
5H043EA60
5H043HA17E
5H043LA21E
(57)【要約】      (修正有)
【課題】超薄膜溶接部位の溶接品質を向上させ得る二次電池用レーザー溶接方法およびレーザー溶接装置を提供する。
【解決手段】二次電池用レーザー溶接方法は、第1電極板116の第1電極無地部上に第1電極基材タブ118を、第2電極板の第2電極無地部上に第2電極基材タブをそれぞれレーザー溶接するステップを含み、前記第1電極基材タブ118と前記第2電極基材タブが溶接される溶接部位に予め設定された溶接パターンを有するようにレーザービームで溶融接合することを特徴とする。本発明の実施形態によると、貫通不良が発生しないように超薄膜用に最適化されたレーザービームモードを使うため、貫通不良を最小化し、レーザー溶接の品質を向上させる効果がある。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極板の第1電極無地部上に第1電極基材タブを、第2電極板の第2電極無地部上に第2電極基材タブをそれぞれレーザー溶接するステップを含み、
前記第1電極基材タブと前記第2電極基材タブが溶接される溶接部位に予め設定された溶接パターンを有するようにレーザービームで溶融接合する、二次電池用レーザー溶接方法。
【請求項2】
前記レーザービームが照射される前記溶接部位は、前記第1電極基材タブおよび前記第2電極基材タブにある、請求項1に記載の二次電池用レーザー溶接方法。
【請求項3】
前記レーザービームが照射される前記溶接部位は、前記第1電極無地部および前記第2電極無地部にある、請求項1に記載の二次電池用レーザー溶接方法。
【請求項4】
前記溶接部位はスポット溶接され、スポット溶接部位が重なって前記溶接パターンが形成される、請求項2または請求項3に記載の二次電池用レーザー溶接方法。
【請求項5】
レーザー溶接装置の本体の一側に設置されて入射する溶接部反射光を感知するセンサ;
前記本体の内部に設置されて溶接部位から反射する溶接部反射光を前記センサに伝達する複数の反射部材;および
前記センサと有線または無線で連結されて前記センサの出力値を予め設定された基準値と比較して前記溶接部位の不良の有無を判定する制御部を含む、二次電池用レーザー溶接装置。
【請求項6】
前記溶接部位は二次電池の電極無地部に溶接される電極基材タブにあることを特徴とする、請求項5に記載の二次電池用レーザー溶接装置。
【請求項7】
前記溶接部位は二次電池の電極基材タブに溶接される電極無地部にあることを特徴とする、請求項5に記載の二次電池用レーザー溶接装置。
【請求項8】
前記溶接部位はスポット溶接され、スポット溶接部位が重なって予め設定された溶接パターンが形成される、請求項6または請求項7に記載の二次電池用レーザー溶接装置。
【請求項9】
前記センサはフォトダイオードセンサである、請求項5に記載の二次電池用レーザー溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は超薄膜溶接部位の溶接品質を向上させ得る二次電池用レーザー溶接方法およびレーザー溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は正極、負極および前記正極と負極の間に介在されたセパレータを具備した電極組立体および前記電極組立体に含浸されている電解液を具備したセルを含む。
【0003】
一般的に二次電池の電極組立体は負極または正極活物質層が薄膜形態の基材に形成され、活物質層が形成されていない無地部上に負極または正極基材タブが形成される構造である。通常、基材タブに別途のマルチタブを接合するために超音波溶接が使われる。
【0004】
しかし、超音波溶接の場合、外観検査で溶接の有無程度しか判断できず、弱溶接状態(溶接が正しくなされていないため溶接部位の接合強度が低い状態)などの溶接不良は判定できない問題がある。また、超音波溶接部位の検査は、外観検査以外には別途の全数品質検証方法がないため超音波溶接の信頼性を確保し難い問題がある。これを解決するためにレーザー溶接を適用する場合、溶融方式の溶接を超薄膜基材に適用することによる貫通リスクがあるためレーザー溶接を適用することも容易でない問題がある。
【0005】
このような発明の背景となる技術に開示された前述した情報は本発明の背景に対する理解度を向上させるためのものに過ぎず、したがって従来技術を構成しない情報を含むこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、超薄膜溶接部位の溶接品質を向上させ得る二次電池用レーザー溶接方法およびレーザー溶接装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る二次電池用レーザー溶接方法は、第1電極板の第1電極無地部上に第1電極基材タブを、第2電極板の第2電極無地部上に第2電極基材タブをそれぞれレーザー溶接するステップを含み、前記第1電極基材タブと前記第2電極基材タブが溶接される溶接部位に予め設定された溶接パターンを有するようにレーザービームで溶融接合することを特徴とする。
【0008】
前記レーザービームが照射される前記溶接部位は前記第1電極基材タブおよび前記第2電極基材タブにあることを特徴とする。
【0009】
前記レーザービームが照射される前記溶接部位は前記第1電極無地部および前記第2電極無地部にあることを特徴とする。
【0010】
前記溶接部位はスポット溶接され、スポット溶接部位が重なって前記溶接パターンが形成されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明はレーザー溶接装置の本体の一側に設置されて入射する溶接部反射光を感知するセンサ;前記本体の内部に設置されて溶接部位から反射する溶接部反射光を前記センサに伝達する複数の反射部材;および前記センサと有線または無線で連結されて前記センサの出力値を予め設定された基準値と比較して前記溶接部位の不良の有無を判定する制御部を含む、二次電池用レーザー溶接装置を提供する。
【0012】
前記溶接部位は二次電池の電極無地部に溶接される電極基材タブにあることを特徴とする。
【0013】
前記溶接部位は二次電池の電極基材タブに溶接される電極無地部にあることを特徴とする。
【0014】
前記溶接部位はスポット溶接され、スポット溶接部位が重なって予め設定された溶接パターンが形成されることを特徴とする。
【0015】
前記センサはフォトダイオードセンサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態によると、貫通不良が発生しないように超薄膜に最適化されたレーザービームモードを使うため、貫通不良が最小化され、レーザー溶接の品質を向上させる効果がある。
【0017】
また、本発明の実施形態によると、フォトダイオードセンサを活用してリアルタイムで溶接不良をモニタリングできるため、溶接不良を最小化する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る二次電池を図示した斜視図である。
図2図1に係る二次電池の部分分解斜視図である。
図3図1に係る電極組立体の一部を図示した平面図である。
図4a図3に係る電極組立体の溶接部分を拡大した平面図である。
図4b図4aに係る溶接部分の側面図である。
図4c】本発明の他の実施形態に係る電極組立体の溶接部分を拡大した平面図である。
図4d図4cに係る溶接部分の側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る二次電池用レーザー溶接装置およびモニタリング装置の主な構成を図示した模式図である。
図6a】一般的なレーザー溶接時、溶接時間によるレーザーパワーを図示したグラフである。
図6b】本発明の一実施形態に係るレーザー溶接時、溶接時間によるレーザーパワーを図示したグラフである。
図7a】本発明の多様な実施形態に係る溶接部位の形態を図示した模式図である。
図7b】本発明の多様な実施形態に係る溶接部位の形態を図示した模式図である。
図7c】本発明の多様な実施形態に係る溶接部位の形態を図示した模式図である。
図8a】本発明の多様な実施形態に係る溶接部位の変形量を解析した図面である。
図8b】本発明の多様な実施形態に係る溶接部位の変形量を解析した図面である。
図8c】本発明の多様な実施形態に係る溶接部位の変形量を解析した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態は当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものであり、下記の実施形態は多様な他の形態に変形され得、本発明の範囲は下記の実施形態に限定されるものではない。かえって、これら実施形態は本開示をさらに忠実かつ完全なものとし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0020】
また、以下の図面で各層の厚さや大きさは説明の便宜および明確性のために誇張されたものであり、図面上で同一符号は同一の要素を指称する。本明細書で使われたように、用語「および/または」は該当列挙された項目のうちいずれか一つおよび一つ以上のすべての組み合わせを含む。また、本明細書で「連結される」という意味は、A部材とB部材が直接連結される場合だけでなく、A部材とB部材の間にC部材が介在されてA部材とB部材が間接連結される場合も意味する。
【0021】
本明細書で使われた用語は特定の実施形態を説明するために使われ、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使われたように、単数の形態は文脈上異なる場合を明確に指摘する場合でなければ、複数の形態を含むことができる。また、本明細書で使われる場合、「含む(comprise、include)」および/または「含む(comprising、including)」は言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素および/またはこれらグループの存在を特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素および/またはグループの存在または付加を排除するものではない。
【0022】
本明細書において、第1、第2等の用語が多様な部材、部品、領域、層および/または部分を説明するために使われるが、これらの部材、部品、領域、層および/または部分はこれらの用語によって限定されてはならないことは自明である。これらの用語は一つの部材、部品、領域、層または部分を他の部材、部品、領域、層または部分と区別するためにのみ使われる。したがって、以下で詳述する第1部材、部品、領域、層または部分は本発明の教示から逸脱することなく第2部材、部品、領域、層または部分を指称することができる。
【0023】
「下部(beneath)」、「下(below)」、「低い(lower)」、「上部(above)」、「上(upper)」のような空間に関連した用語が、図面に図示された一要素または特徴と異なる要素または特徴の容易な理解のために利用され得る。このような空間に関連した用語は、本発明の多様な工程の状態または使用状態による本発明の容易な理解のためのものであり、本発明を限定するためのものではない。例えば、図面の要素または特徴がひっくり返されると、「下部」または「下」で説明された要素または特徴は「上部」または「上」となる。したがって、「下部」は「上部」または「下」を包括する概念である。
【0024】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施形態に係る二次電池用レーザー溶接方法およびレーザー溶接装置について詳細に説明することにする。
【0025】
まず、図面を参照して二次電池の構造について簡略に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る二次電池を図示した斜視図である。図2は、図1に係る二次電池の部分分解斜視図である。図3は、図1に係る電極組立体の一部を図示した平面図である。
【0027】
図1および図2に図示された通り、本発明の一実施形態に係る二次電池10は電極組立体100と、電極組立体100を収容するパウチ形態のケース300を含むことができる。
【0028】
電極組立体100は薄型または膜型で形成された第1電極板110、セパレータ120および第2電極板130の積層体が巻き取られたり積層されて形成され得る。ここで、第1電極板110は負極であり得、第2電極板130は正極であり得るが、その反対であってもよい。電極組立体100は通常ジェリーロール(Jelly Roll)とも言う。本発明では電極組立体100が巻き取られた形態のものを一例として説明する。
【0029】
第1電極板110は、銅、銅合金、ニッケルまたはニッケル合金のような金属ホイルで形成された第1電極基材112に黒鉛または炭素などの第1電極活物質114が塗布されて形成され得る。第1電極基材112の一部の領域には第1電極活物質114が塗布されていない第1電極無地部116が形成され得る。第1電極無地部116上には第1電極基材112の幅方向に第1電極基材タブ118が備えられ得る。第1電極無地部116が第1電極基材112の長さ方向を基準として中央に形成される場合、第1電極基材タブ118はセンタータブとも言う。または第1電極無地部116が第1電極基材112の長さ方向を基準として一側に偏るように形成されてもよい。これは後述する第2電極基材タブ138にも同一に適用される。第1電極基材タブ118は第1電極基材112の外側に延びる(図2を基準として上側に延びる)。第1電極基材タブ118は第1電極板110と外部の端子間の電流の流れの通路となる。第1電極基材タブ118には絶縁部材119が付着されて第1電極基材タブ118がケース300とショートすることを防止することができる。
【0030】
第2電極板130はアルミニウムまたはアルミニウム合金のような金属ホイルで形成された第2電極基材132に遷移金属酸化物などの第2電極活物質134が塗布されて形成され得る。第2電極基材132の一部の領域には第2電極活物質134が塗布されていない第2電極無地部136が備えられ得る。第2電極無地部136上には第2電極基材132の幅方向に第2電極基材タブ138が形成され得る。第2電極基材タブ138は第2電極基材132の外側に延びる(図2を基準として上側に延びる)。ただし、第2電極基材タブ138は第1電極基材タブ118と重ならない領域に配置される。第2電極基材タブ138は第2電極板130と外部の端子間の電流の流れの通路となる。第2電極基材タブ138には絶縁部材139が付着されて第2電極基材タブ138がケース300とショートすることを防止することができる。
【0031】
前述した第1電極基材タブ118および第2電極基材タブ138は、図3に示すように、無地部に溶接で連結され得る。また、溶接部位Aは図3に示すように、予め設定された形態の溶接パターンで示され得る。第1電極基材タブ118および第2電極基材タブ138の溶接装置および溶接方法については後述することにする。
【0032】
セパレータ120は第1電極板110と第2電極板130の間に介在され、第1電極板110と第2電極板130のショートを防止する。このために、セパレータ120は第1電極板110と第2電極板130より大きく形成され得る。セパレータ120はポリエチレンや、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルムからなり得るが、これに限定されない。
【0033】
このような構造の電極組立体100は電解液と共に巻き取られて、図1に示すようにケース300内に収容される。
【0034】
図1に図示された通り、ケース300はパウチまたはポケットタイプであり、ラミネート外装材、パウチ、パウチ外装材、パウチケースなどと指称され得る。ケース300は板状の外装材を互いに向かい合うように折り曲げた後、プレス(press)または絞り(drawing)加工等を通じて電極組立体100が収容されるリセス310を形成することができる。リセス310の外周縁にはシーリング部330が形成され、リセス310に電極組立体100が収容された状態でシーリング部330が熱融着等でシーリングされる。
【0035】
前述した構造を有する二次電池において、薄膜である基材(電極板の無地部)と基材タブを溶接するレーザー溶接装置および溶接品質モニタリング方法について説明すると次の通りである。
【0036】
図4aは、図3に係る電極組立体の溶接部分を拡大した平面図である。図4bは、図4aに係る溶接部分の側面図である。
【0037】
第1電極基材タブ118を基準として説明すると、図4aに図示された通り、第1電極基材タブ118は第1電極活物質114が塗布されていない基材部分である第1電極無地部116上に溶接され得る。この時、溶接方法はレーザー溶接であり、レーザービームが照射される溶接部位Aは第1電極基材タブ118となり得る。第2電極基材タブ138も同一の溶接方法が適用され得る。
【0038】
図4cは、本発明の他の実施形態に係る電極組立体の溶接部分を拡大した平面図である。図4dは、図4cに係る溶接部分の側面図である。
【0039】
または図4cに図示された通り、第1電極基材タブ118は第1電極活物質114が塗布されていない基材部分である第1電極無地部116上に溶接されるものの、溶接部位Aは第1電極基材タブ118上に形成されなくてもよい。すなわち、図4dに図示された通り、第1電極基材タブ118ではなく第1電極無地部116上にレーザービームが照射される溶接部位Aが形成され得る。
【0040】
図5は、本発明の一実施形態に係る二次電池用レーザー溶接装置およびモニタリング装置の主な構成を図示した模式図である。図6aは、一般的なレーザー溶接時、溶接時間によるレーザーパワーを図示したグラフである。図6bは、本発明の一実施形態に係るレーザー溶接時、溶接時間によるレーザーパワーを図示したグラフである。
【0041】
図5に図示された通り、レーザー溶接装置30は複数のレンズを通過して溶接対象(第1電極無地部116または第1電極基材タブ118等)にレーザーを照射して溶接対象を溶接する。一般的なレーザー溶接装置30の構成は公知の技術であるため、詳細な説明は省略する。本発明のレーザー溶接装置30は本体の内部に複数のレンズ、反射部材32、34が設置され、溶接部位Aから反射する反射光を感知する溶接品質モニタリングのためのセンサ50が本体の一側または外部に設置され得る。溶接品質を判断する制御部70は本体内に備えられるか別途に備えられ得る(これについては後述することにする)。
【0042】
一般的に基材タブと極板無地部の溶接は超音波溶接でなされている。しかし、超音波溶接は圧接界面接合方式であり、作業者の熟練度により熔接用ホーン(horn)とアンビル(anvil)のセッティング値が変わり得る。また、超音波溶接はホーンとアンビルが消耗品である短所、貫通不良は検査が可能であるものの、弱溶接やクラック不良は検査が不可能である短所、外観ビジョン検査で溶接の有無のみ検査できる短所など、多くの短所を有する。このような超音波溶接の代案として非接触溶融接合方式のレーザー溶接方式が使われている。
【0043】
レーザー溶接装置の溶接モードはレーザービームの発振形態によって、連続発振、パルス発振、クイックスイッチパルス発振モードに区分され得る。図6aに図示された通り、連続発振モード溶接時、溶接の進行方向に沿って溶接形態は一直線の形態となる。連続発振モードはレーザービームの出力が一定に維持されるモード(continues wave、CW)である。連続発振モードはある程度の厚さが保障された溶接対象物に適用時は問題がないが、薄膜の溶接時には貫通不良が発生し易い。
【0044】
したがって、薄膜形態の溶接部位の接合時、熱影響部(Heat Affected Zone)の形成を最小化するためにパルス発振モードまたはクイックスイッチパルス発振モードに設定して溶接部位をスポット溶接(spot welding)しなければならない。しかし、スポット溶接時に溶接部位の溶融面積が過度に小さいと溶接強度が低下し得るため、溶接部位の適切な溶融面積を維持する必要がある。このために、図6bに図示された通り、レーザービームの出力をパルス形態で制御してスポット溶接部位を重ならせることによって溶接強度を適正水準以上に維持することができる。スポット溶接部位を重ならせるパルス発振モードをCW Modulationまたはスポット重畳モードとも言う。
【0045】
このように作られた溶接部位Aの形態は、一定の距離以上間隔をおいて見るとスポットが重なった形態ではなく複数の形状に見え得る(以下、溶接部位の参照符号は便宜上図3の参照符号に従う)。
【0046】
図7a~図7cは、本発明の多様な実施形態に係る溶接部位の形態を図示した模式図である。
【0047】
図7aに図示された通り、溶接部位Aは複数の直線を複数の方向に配置した形態で具現され得る。直線を拡大して見るとスポットが重なった形態であるが、遠くから見ると一つの直線に見えるのである。直線形態の溶接部位Aは少なくとも一つの直線~複数個の直線形態のうちいずれか一つで具現され得、角度も多様に具現され得る。図面には溶接部位Aが3個の直線形状のものを例示的に図示したが、1個や2個、4個、あるいはそれ以上の直線を平行にまたは特定角度で配置するなど、多様に変形することができる。
【0048】
または図7bに図示された通り、溶接部位Aが特定の文字形態で具現されてもよい。図7bには英文アルファベット形態の溶接部位Aを例示的に図示したが、ハングルの子音や母音の形態で具現されてもよい。
【0049】
または図7cに図示された通り、溶接部位Aは反復的なパターンの形態で形成されてもよい。溶接部位Aはスパイラルの形態や、円形/四角形/三角形など、同一のパターンの大きさを異ならせて順次配置した形態で具現されてもよい。しかし、溶接部位Aの形状は前述した説明に限定されない。
【0050】
このような溶接部位Aの形状は変形量解析を通じて適切な形態に変形され得る。
【0051】
図8a~図8cは、本発明の多様な実施形態に係る溶接部位の変形量を解析した図面である。図8a~図8cは図4に図示された形態の溶接部位Aに溶接装置用ジグを密着させる時の溶接部位の変形量を示した図面(変形量が少ないほど青色で表示される)である。
【0052】
図8aに図示された通り、溶接部位Aを円形ではなく逆「U」字状に溶接する場合、溶接部位Aを基準として上下左右のうち下側は固定されず、上、左右側のみ固定された形態となる(これを3面密着と定義する)。この時、溶接部位Aは溶接のためのジグによって密着するため若干の変形が発生するが、溶接部位Aを中心として薄膜基材(無地部)の変形量は殆どない水準を示す。また、図8bの場合にも、溶接部位Aを「11」字状に溶接する場合、上下方向は固定されず、左右側のみ固定された形態となる(これを2面密着と定義する)。この時、溶接部位Aは溶接のためのジグによって密着するため若干の変形が発生するが、溶接部位Aを中心として薄膜基材(無地部)の変形量は殆どない水準を示す。これに比べ、図8cのように溶接部位Aを円形に溶接する場合、上下左右の4面がすべて密着するため、図8aおよび図8bに比べて薄膜基材の変形量が多少増加する。このように、変形量解析を通じて溶接部位Aの溶接パターンの形態別に薄膜基材(無地部)の変形量を最小化するパターンを導き出すことができる。
【0053】
しかし、レーザー溶接を適用した本発明の溶接部位は圧接方式の超音波溶接に比べて溶接部位の変形量が顕著に少ないため、前述した変形量解析は本発明の実施形態のうち最適な溶接パターンを導き出すための方法と理解されるべきである。
【0054】
一方、前述した溶接部位の場合、レーザービームの出力などの条件により貫通不良が発生する可能性がある。このような溶接不良を作業者が肉眼で確認せず自動で感知できる方法を提案する。
【0055】
前述した図5でのように、本発明に係るレーザー溶接装置30は溶接部放出光を反射する複数の反射部材32、34と、反射光を感知できるセンサ50を含むことができる。
【0056】
反射部材32、34は溶接装置溶接部位Aにレーザービームを照射する時、溶接部位Aの表面から反射する反射光をセンサ50に伝達する。このために、反射部材32、34は鏡や予め定められた反射率以上の反射率を有する金属素材などで作られ得る。
【0057】
センサ50はレーザー溶接装置30の一側に設置され得、反射部材32、34を通じて流入した反射光を感知する。センサ50は例示的にフォトダイオードセンサ(Photo Diode Sensor)で備えられ得る。フォトダイオードセンサは光エネルギーを電気エネルギーに変換して光の強度を電圧値で出力するセンサである。したがって、出力される電圧値を通じて貫通不良を感知することができる。センサ50により反射光が感知されれば貫通不良なく溶接がなされたのであり、反射光が感知されないか予め定められた設定値以下で感知されれば微細なクラックや貫通ホールが発生した貫通不良と判断することができる。
【0058】
このような溶接部位Aの不良判定はレーザー溶接装置30の制御部または別途の制御部70でなされ得る。制御部70はセンサ50から出力された電圧値を予め設定された基準値と比較して溶接部位Aの良好/不良を判定することができる。例示的に、電圧値が0であれば貫通ホールが発生して反射光がないのであるから、制御部70は溶接部位Aに貫通不良が発生したと判断することができる。
【0059】
センサ50と制御部70は有線または無線で連結されてリアルタイムで通信することによって溶接部位のリアルタイムモニタリングが可能である。
【0060】
以上で説明したものは本発明を実施するための一つの実施形態に過ぎず、本発明は前記した実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲で請求するように、本発明の要旨を逸脱することなく当該発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変更実施が可能な範囲まで本発明の技術的精神があると言える。
【符号の説明】
【0061】
10:二次電池
100:電極組立体
110:第1電極板
112:第1電極基材
114:第1電極活物質
116:第1電極無地部
118:第1電極基材タブ
120:セパレータ
130:第2電極板
132:第2電極基材
134:第2電極活物質
136:第2電極無地部
138:第2電極基材タブ
300:シーリング部
30:レーザー溶接装置
32、34:反射部材
50:センサ
70:制御部
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c