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特開2022-71964無線通信システム、接続リカバリ方法、無線基地局、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071964
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】無線通信システム、接続リカバリ方法、無線基地局、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/04 20090101AFI20220510BHJP
   H04W 76/19 20180101ALI20220510BHJP
【FI】
H04W24/04
H04W76/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181122
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】玉置 真也
(72)【発明者】
【氏名】原 一貴
(72)【発明者】
【氏名】南 勝也
(72)【発明者】
【氏名】谷口 友宏
(72)【発明者】
【氏名】久保 亮吾
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA33
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE23
5K067EE56
(57)【要約】
【課題】既存の通信システムへの展開が容易であり、且つ複数のAPが一斉に故障した場合も対応することができる無線通信システム、接続リカバリ方法、無線基地局、及びプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る無線通信システムは、予め、自APに接続中の端末及び接続可能である端末の端末情報を他APに広告し、当該端末情報と他APから受信した端末情報とを照合して自APが故障したときに接続可能な他APを所定基準で選定しておく(対応リストを作成する)。本無線通信システムは、無線基地局が接続性を救済する機能を有するため、既存の通信システムへの展開が容易である。また、本無線通信システム等は、予め対応リストを生成しておき、故障が発生したときに当該対応リストを参照するだけなので複数のAPが一斉に故障した場合も計算量の増大無く対応することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線基地局が互いにカバーエリアを重複させて配置されている無線通信システムであって、
前記無線基地局の1つは、
自装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から当該装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を収集すること、
広告した前記端末情報と収集した前記端末情報とを照合して、自装置に接続中の無線端末毎に、接続可能な他の前記無線基地局の有無、及び前記接続可能な他の前記無線基地局が複数ある場合は所定基準で選択した1つを記載した対応リストを生成すること、
前記対応リストを他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から前記対応リストを収集すること、及び
他の前記無線基地局または当該他の無線基地局と上位ネットワークとを接続するネットワークに障害が発生した場合、且つ当該他の無線基地局から収集した前記対応リストに接続可能な他の前記無線基地局として記載されている場合に、当該他の無線基地局に接続中であった無線端末と接続すること、
を特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記所定基準がランダムであることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記所定基準が自装置に接続中の無線端末と前記接続可能な他の前記無線基地局との間の電波強度であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記所定基準が前記接続可能な他の前記無線基地局のリソース余力であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
1の前記無線基地局は、
自装置で作成した前記対応リストと他の前記無線基地局から受信した前記対応リストとを照合して重複記載の端末情報を検出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項6】
複数の無線基地局が互いにカバーエリアを重複させて配置されている無線通信システムでの接続リカバリ方法であって、
前記無線基地局の1つが、
自装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から当該装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を収集すること、
広告した前記端末情報と収集した前記端末情報とを照合して、自装置に接続中の無線端末毎に、接続可能な他の前記無線基地局の有無、及び前記接続可能な他の前記無線基地局が複数ある場合は所定基準で選択した1つを記載した対応リストを生成すること、
前記対応リストを他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から前記対応リストを収集すること、及び
他の前記無線基地局または当該他の無線基地局と上位ネットワークとを接続するネットワークに障害が発生した場合、且つ当該他の無線基地局から収集した前記対応リストに接続可能な他の前記無線基地局として記載されている場合に、当該他の無線基地局に接続中であった無線端末と接続すること、
を特徴とする接続リカバリ方法。
【請求項7】
互いのカバーエリアが重複するように配置されている無線基地局であって、
自装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から当該装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を収集すること、及び
対応リストを他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から対応リストを収集すること、を行う管理通信器と、
広告した前記端末情報と収集した前記端末情報とを照合して、自装置に接続中の無線端末毎に、接続可能な他の前記無線基地局の有無、及び前記接続可能な他の前記無線基地局が複数ある場合は所定基準で選択した1つを記載した前記対応リストを生成する制御器と、
他の前記無線基地局または当該他の無線基地局と上位ネットワークとを接続するネットワークに障害が発生した場合、且つ当該他の無線基地局から収集した前記対応リストに接続可能な他の前記無線基地局として記載されている場合に、当該他の無線基地局に接続中であった無線端末と接続する無線通信器と、
を備えることを特徴とする無線基地局。
【請求項8】
請求項7に記載の無線基地局としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の無線基地局が設置された無線通信システムにおける無線端末との接続リカバリ手法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安価かつ低消費電力のIoT(Internet of Things)のセンサ類の普及により、様々なセンサ情報に基づいた環境の状態/情報を活用するIoTサービスが普及しつつある。IoTセンサ情報の活用例として災害時の情報取得が一例として挙げられる。しかしながら、災害によって例えば無線アクセスポイント(AP;例えばWi-Fiアクセスポイント等)等が故障した場合は、該アクセスポイント配下の一帯の情報が取得できなくなり、被害状況の把握が遅れたり、避難情報にセンサ情報を活用できないという課題が存在する。
【0003】
当該課題に対して、無線アクセスポイントが故障した際の復旧方法や冗長システムが複数報告されている。
例えば、非特許文献1は、バックボーンネットワーク含む複数のAP障害発生時に、AP間や端末間アドホック通信を利用して切断された端末群の接続性を救済する方法を開示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Quang Tran Minh, Kien Nguyen, Cristian Borcea, and Shigeki Yamada,“On-the-Fly Establishment of Multihop Wireless Access Networks for Disaster Recovery”,IEEE Communications Magazine, October 2014,P.60-66
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1で開示される接続性を救済する機能は、個々のSTA(端末)に実装する必要がある。また、複数のAPが一斉に故障した場合、計算量が増大するとともに、アドレス解決が複雑となる。つまり、非特許文献1で開示される技術には、既存の通信システムへの展開が困難、且つ複数のAPが一斉に故障した場合に対応することが困難という課題がある。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために、既存の通信システムへの展開が容易であり、且つ複数のAPが一斉に故障した場合も対応することができる無線通信システム、接続リカバリ方法、無線基地局、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る無線通信システムは、予め、自APに接続中の端末及び接続可能である端末の端末情報(アドレス)を他APに広告し、当該端末情報と他APから受信した端末情報とを照合して自APが故障したときに接続可能な他APを所定基準で選定しておく(対応リストを作成する)こととした。
【0008】
具体的には、本発明に係る無線通信システムは、複数の無線基地局が互いにカバーエリアを重複させて配置されている無線通信システムであって、
前記無線基地局の1つは、
自装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から当該装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を収集すること、
広告した前記端末情報と収集した前記端末情報とを照合して、自装置に接続中の無線端末毎に、接続可能な他の前記無線基地局の有無、及び前記接続可能な他の前記無線基地局が複数ある場合は所定基準で選択した1つを記載した対応リストを生成すること、
前記対応リストを他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から前記対応リストを収集すること、及び
他の前記無線基地局または当該他の無線基地局と上位ネットワークとを接続するネットワークに障害が発生した場合、且つ当該他の無線基地局から収集した前記対応リストに接続可能な他の前記無線基地局として記載されている場合に、当該他の無線基地局に接続中であった無線端末と接続すること、
を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る接続リカバリ方法は、複数の無線基地局が互いにカバーエリアを重複させて配置されている無線通信システムでの接続リカバリ方法であって、
前記無線基地局の1つが、
自装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から当該装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を収集すること、
広告した前記端末情報と収集した前記端末情報とを照合して、自装置に接続中の無線端末毎に、接続可能な他の前記無線基地局の有無、及び前記接続可能な他の前記無線基地局が複数ある場合は所定基準で選択した1つを記載した対応リストを生成すること、
前記対応リストを他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から前記対応リストを収集すること、及び
他の前記無線基地局または当該他の無線基地局と上位ネットワークとを接続するネットワークに障害が発生した場合、且つ当該他の無線基地局から収集した前記対応リストに接続可能な他の前記無線基地局として記載されている場合に、当該他の無線基地局に接続中であった無線端末と接続すること、
を特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係る無線基地局は、互いのカバーエリアが重複するように配置されている無線基地局であって、
自装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から当該装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を収集すること、及び
対応リストを他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から対応リストを収集すること、を行う管理通信器と、
広告した前記端末情報と収集した前記端末情報とを照合して、自装置に接続中の無線端末毎に、接続可能な他の前記無線基地局の有無、及び前記接続可能な他の前記無線基地局が複数ある場合は所定基準で選択した1つを記載した前記対応リストを生成する制御器と、
他の前記無線基地局または当該他の無線基地局と上位ネットワークとを接続するネットワークに障害が発生した場合、且つ当該他の無線基地局から収集した前記対応リストに接続可能な他の前記無線基地局として記載されている場合に、当該他の無線基地局に接続中であった無線端末と接続する無線通信器と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
例えば、前記所定基準がランダムであること、前記所定基準が自装置に接続中の無線端末と前記接続可能な他の前記無線基地局との間の電波強度であること、あるいは前記所定基準が前記接続可能な他の前記無線基地局のリソース余力であることである。
【0012】
本発明に係る無線通信システム等は、無線基地局が接続性を救済する機能を有するため、既存の通信システムへの展開が容易である。また、本発明に係る無線通信システム等は、予め対応リストを生成しておき、故障が発生したときに当該対応リストを参照するだけなので複数のAPが一斉に故障した場合も計算量の増大無く対応することができる。従って、本発明は、既存の通信システムへの展開が容易であり、且つ複数のAPが一斉に故障した場合も対応することができる無線通信システム、接続リカバリ方法、及び無線基地局を提供することができる。
【0013】
本発明に係る無線通信システムの1の前記無線基地局は、自装置で作成した前記対応リストと他の前記無線基地局から受信した前記対応リストとを照合して重複記載の端末情報を検出することを特徴とする。故障時に互いに救済しあう無限ループに陥ることを回避することができる。
【0014】
本発明に係るプログラムは、前記無線基地局としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。本発明に係る無線基地局はコンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0015】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、既存の通信システムへの展開が容易であり、且つ複数のAPが一斉に故障した場合も対応することができる無線通信システム、接続リカバリ方法、無線基地局、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る無線通信システムを説明する図である。
図2】本発明に係る無線基地局を説明する図である。
図3】本発明に係る無線通信システムの動作を説明する図である。
図4】本発明に係る無線通信システムの動作を説明する図である。
図5】本発明に係る無線通信システムの動作を説明する図である。
図6】本発明に係る無線通信システムを説明する図である。
図7】本発明に係る接続リカバリ方法を説明するフローチャートである。
図8】本発明に係る接続リカバリ方法を説明するフローチャートである。
図9】本発明に係る接続リカバリ方法を説明するシーケンス図である。
図10】本発明に係る接続リカバリ方法を説明するシーケンス図である。
図11】本発明に係る接続リカバリ方法を説明するシーケンス図である。
図12】本発明に係る接続リカバリ方法を説明するフローチャートである。
図13】本発明に係る無線通信システムの動作を説明する図である。
図14】本発明に係る接続リカバリ方法を説明するシーケンス図である。
図15】本発明に係る無線通信システムの動作を説明する図である。
図16】本発明に係る無線基地局を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の無線通信システム301を説明する図である。無線通信システム301は、複数の無線基地局10が互いにカバーエリアArを重複させて配置されている無線通信システムである。本実施形態では、無線基地局は6台(10-1~10-6)であり、それぞれのカバーエリア(Ar1~Ar6)の一部が重なるように配置されている。また、これらのカバーエリアの中に無線端末30が存在している。
【0020】
図2は、無線基地局10を説明する図である。無線基地局10は、
自装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から当該装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を収集すること、及び
対応リストを他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から対応リストを収集すること、を行う管理通信器12と、
広告した前記端末情報と収集した前記端末情報とを照合して、自装置に接続中の無線端末毎に、接続可能な他の前記無線基地局の有無、及び前記接続可能な他の前記無線基地局が複数ある場合は所定基準で選択した1つを記載した前記対応リストを生成する制御器14と、
他の前記無線基地局または当該他の無線基地局と上位ネットワークとを接続するネットワークに障害が発生した場合、且つ当該他の無線基地局から収集した前記対応リストに接続可能な他の前記無線基地局として記載されている場合に、当該他の無線基地局に接続中であった無線端末と接続する無線通信器11と、
を備えることを特徴とする。
【0021】
図3から図5は、無線通信システム301の動作を説明する図である。図3から図5では、説明容易のため、無線基地局が2台(10-1、10-2)の場合を説明する。基地局が3台以上の場合も同様である。
図3及び図4は、通信障害の発生前を説明する図である。図5は、通信障害の発生後を説明する図である。
【0022】
無線基地局10-1は、端末と接続できる領域であるカバーエリアAr1を形成する。無線基地局10-2は、端末と接続できる領域であるカバーエリアAr2を形成する。カバーエリアAr1とカバーエリアAr2とが一部重複するように無線基地局10-1と無線基地局10-2とが設置される。
【0023】
無線基地局10-1と無線基地局10-2とは、それぞれの管理通信器12を介して管理線で接続される。さらに当該管理線にはサーバ50が接続される。無線基地局10-1と無線基地局10-2は、それぞれのカバーエリア内にある端末30と接続し、端末30と上位ネットワーク40との間でデータを転送する。なお、本実施形態では、無線基地局10-2を「自装置」、無線基地局10-1を「他の無線基地局」として説明する。
【0024】
端末30-1は、カバーエリアAr1にあり、無線基地局10-1と接続している。端末30-2は、カバーエリアAr2にあり、無線基地局10-2と接続している。端末30-3は、カバーエリアAr1とカバーエリアAr2との重複エリアにあり、現在は無線基地局10-2と接続している。
【0025】
無線基地局10-1は、無線通信器11を介して端末30-1のアドレス(例えば、MACアドレス)と認証情報(例えば、SSID及びパスワード)を認識できる。無線基地局10-2は、無線通信器11を介して端末30-2と端末30-3のアドレスと認証情報を認識できる。さらに、無線基地局10-1と無線基地局10-2は、それぞれが認識した端末のアドレスと認証情報(情報I-1)を管理線50を介して交換する(後述するステップS02)。
【0026】
ここで、無線基地局10-2の制御器14は、無線基地局10-1から得た情報I-1(無線基地局10-1で通信可能な端末の情報)と自身の無線通信器11から得た情報とを照合する。情報I-1には、カバーエリアAr1内にある全ての端末のアドレスが含まれる。一方、無線基地局10-2が無線通信器11から得た情報には、カバーエリアAr1内にある未接続の端末30のアドレスと認証情報が含まれる。つまり、両情報に含まれているアドレスは、カバーエリアAr1とカバーエリアAr2の重複エリアにあり、現在は無線基地局10-2に接続している端末30-3のアドレスといえる。そして、端末30-3は、無線基地局10-2が故障したときに無線基地局10-1を介して通信を継続させることができる。
【0027】
つまり、無線基地局10-2は、自身が得た情報と情報I-1と照合することで把握できた端末全てに対し、故障時の対応を記載した次のような対応リストLst-2を作成することができる。
端末30-2は、無線基地局10-2が故障したときに救済可能な無線基地局が無い(図5参照。)。
端末30-3は、無線基地局10-2が故障したときに救済可能な無線基地局が有る(図5参照。)。
【0028】
同様に、無線基地局10-1も、自身が得た情報と情報I-1と照合することで把握できた端末全てに対し、故障時の対応を記載した次のような対応リストLst-1を作成することができる。
端末30-1は、無線基地局10-1が故障したときに救済可能な無線基地局が無い。
【0029】
さらに、無線基地局10-1と無線基地局10-2は、互いに対応リストを交換することで、2つの対応リストに含まれる全ての端末についての救済可能又は救済不可を記載した対応総合リストLst-Aを生成できる。無線基地局10-1と無線基地局10-2は、対応総合リストLst-Aをデータベース13に保管する(図4参照。)。
【0030】
図5は、無線基地局10-2を介する上位ネットワーク40との通信障害が発生したときの状況を説明する図である。無線基地局10-1は、無線基地局10-2からの通知や上位ネットワーク40からの通知で当該通信障害が発生したことを知ることができる。この場合、無線基地局10-1は、データベース13に保管する対応総合リストLst-Aを参照し、カバーエリアAr2内にある端末のうち、自身のカバーエリアAr1に含まれる端末30-3と接続し、上位ネットワーク40との通信を回復させる。
【0031】
なお、図3から図5では、無線基地局が2つ、端末が3つの場合を説明するが、無線基地局が3つ以上、端末が4つ以上の場合も同様である。図6は、無線基地局が3つ以上ある無線通信システムで3つの無線基地局(カバーエリアAr1、Ar2、Ar3)が故障した場合、救済可能な範囲(RcAr)を説明する図である。カバーエリア(Ar1、Ar2、Ar3)の無線基地局が故障した場合、その周囲にあるカバーエリア(Ar4~Ar12)を形成する無線基地局で救済する。
【0032】
ここで、領域Gは、カバーエリア(Ar6、Ar7、Ar8)が重複する領域である。このような領域では、いずれのカバーエリアの無線基地局が救済するかが問題となる。つまり、領域Gに含まれる端末と接続可能な無線基地局が複数ある場合、何らかの基準で1つの無線基地局を選択する必要がある。例えば、カバーエリア(Ar6、Ar7、Ar8)を形成する無線基地局をランダムに選択してもよい。また、領域Gに含まれる端末とカバーエリア(Ar6、Ar7、Ar8)を形成する無線基地局との電波強度を測定し、最も電波強度が強い無線基地局を選択してもよい。あるいは、カバーエリア(Ar6、Ar7、Ar8)を形成する無線基地局の稼働やリソース余力を考慮して最小の稼働率の無線基地局やリソース余力が最大の無線基地局を選択してもよい。
【0033】
なお、カバーエリア(Ar4~Ar12)で救済できない領域AnArは、無線方式切り替、Moving AP、AP間マルチホップ、端末間マルチホップ、及びその他の技術で救済する。
【0034】
図7は、無線通信システム301が行う接続リカバリ方法を説明するフローチャートである。本接続リカバリ方法は、
無線基地局10-2が、
自装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から当該装置に接続中の無線端末および接続可能な無線端末の端末情報を収集すること(ステップS01)、
広告した前記端末情報と収集した前記端末情報とを照合して、自装置に接続中の無線端末毎に、接続可能な他の前記無線基地局の有無、及び前記接続可能な他の前記無線基地局が複数ある場合は所定基準で選択した1つを記載した対応リストを生成すること(ステップS02)、
前記対応リストを他の前記無線基地局に広告するとともに、他の前記無線基地局から前記対応リストを収集すること(ステップS03)、及び
他の前記無線基地局または当該他の無線基地局と上位ネットワークとを接続するネットワークに障害が発生した場合、且つ当該他の無線基地局から収集した前記対応リストに接続可能な他の前記無線基地局として記載されている場合に、当該他の無線基地局に接続中であった無線端末と接続すること(ステップS04)、
を特徴とする。
【0035】
図8は、ステップS01とS02について、より詳細に説明するフローチャートである。
ステップS11とステップS12は図7のステップS01の詳細である。
ステップS11では、無線基地局10-2が自装置配下の端末情報、及び接続/認証情報を近傍の無線基地局10-1に広告する。
ステップS12では、無線基地局10-2が近傍の無線基地局10-1から、無線基地局10-1配下の端末情報、及び接続/認証情報を受信する。
ステップS13からステップSが図7のステップS02の詳細である。
ステップS13は、無線基地局10-2が収集した端末情報(自装置以外の無線基地局配下で、かつ当該無線基地局に未接続である端末のMACアドレス等)と無線基地局10-2配下で接続中の端末のMACアドレス等を照合する。
ステップS14は、無線基地局10-2で検出した全端末に対し番号i(iは0以上N未満の整数)を振る。そして番号i=0の端末を選択する。
ステップS15は、無線基地局10-2の配下のある端末iについて、収集した情報を用いて、無線基地局10-2との通信障害が発生したときに救済可能な無線基地局が存在するか否かを判断する。例えば、番号iの端末が他の無線基地局から収集した情報にも存在する場合、救済可能、番号iの端末が他の無線基地局から収集した情報に存在しない場合、救済不可となる。
ステップS16は、番号iの端末が救済不可である場合(ステップS15で“No”)、データベースに次の情報を書き込む。
「端末i:救済不可」
ステップS17及びS18は、番号iの端末が救済不可である場合(ステップS15で“Yes”)、且つ番号iの端末を救済可能な無線基地局が複数ある場合(ステップS17で“Yes”)、所定基準に従って1つの無線基地局を選択する。所定基準は前述のようにランダム、電波強度、リソース余力等である。
ステップS19は、番号iの端末を救済可能な無線基地局が1つであるある場合(ステップS17で“No”)又はステップS18で選択した無線基地局について、データベースに次の情報を書き込む。
「端末i:AP-Xが救済する(SSID=XXXXX、PW=XXXX)」
ステップS20は、無線基地局10-2の配下のある端末全てについて、データベースに情報を記載したかを確認する。全端末について未処理であれば(ステップS20で“Yes”)、番号iを1つカウントアップしてステップS15から繰り返す(ステップS21)。
全端末について処理が完了していれば(ステップS20で“No”)、ステップS22で、無線基地局10-2において次のような対応リストが完成する。
“[無線基地局10-2が故障した時]
端末1:AP-Aが救済する(SSID=XXXXX、PW=XXXX)
端末2:AP-Bが救済する(SSID=XXXXX、PW=XXXX)
・・・ ”
【0036】
図9から図11は、無線通信システム301が行う接続リカバリ方法を説明するシーケンス図である。図9は、通信障害が発生したことを無線基地局が能動的に広告する場合のシーケンス図である。本例では、3つの無線基地局(10-1、10-2、10-3)がそれぞれカバーエリア(Ar1、Ar2、Ar3)をもち、カバーエリアAr1に端末(30-1~30-4)、カバーエリアAr2に端末(30-2~30-5)、カバーエリアAr3に端末(30-3~30-6)が含まれている。そして、無線基地局10-1は端末(30-1、30-1)と通信し、無線基地局10-2は端末(30-3、30-4)と通信し、無線基地局10-3は端末(30-5、30-6)と通信していたとする。
【0037】
ここで、無線基地局10-2が故障し、端末(30-3、30-4)との通信が途絶えたとする(ステップS50)。本例では、無線基地局10-2は端末との通信断を把握できるものとする(ステップS51)。無線基地局10-2は近傍の無線基地局(10-1、10-3)にカバーエリアAr2内の端末(30-3、30-4)との通信が途絶えたことを通知する(ステップS52)。当該通知を受けた無線基地局(10-1、10-3)は自身が故障しているか確認する(ステップS53)。故障している場合は、以降の処理を行わない。故障してない場合、データベースに保管している対応リストを参照し、救済する端末と通信を確立する(ステップS54)。本例の場合、無線基地局10-1が端末30-3と通信を確立し、無線基地局10-3が端末30-4と通信を確立する。端末(30-3、30-4)からは、あたかも無線基地局10-2との通信が継続しているように見える。
【0038】
図10は、通信障害が発生したことを上位ネットワークから広告する場合(通信障害が発生したことを無線基地局自身は認識できないが、近傍の他の無線基地局は認識できる場合)のシーケンス図である。本例の無線基地局、カバーエリア、端末の配置状態は、図9と同じである。
【0039】
ここで、無線基地局10-2と上位ネットワーク40との通信が途絶えたとする(ステップS60)。本例では、無線基地局10-2は端末との通信を継続しているものとする。無線基地局10-2と上位ネットワーク40は定期的に行う疎通確認で無線基地局10-2と上位ネットワーク40との間の通信が途絶えたことを把握する(ステップS61、S62)。無線基地局10-2は、端末(30-3、30-4)との通信を切断する(ステップS63)。上位ネットワーク40は無線基地局10-2の近傍の無線基地局(10-1、10-3)に無線基地局10-2と上位ネットワーク40との通信が途絶えたことを通知する(ステップS64)。当該通知を受けた無線基地局(10-1、10-3)は自身が故障しているか確認する(ステップS65)。故障している場合は、以降の処理を行わない。故障してない場合、データベースに保管している対応リストを参照し、救済する端末と通信を確立する(ステップS66)。本例の場合も、無線基地局10-1が端末30-3と通信を確立し、無線基地局10-3が端末30-4と通信を確立する。端末(30-3、30-4)からは、あたかも無線基地局10-2との通信が継続しているように見える。
【0040】
図11は、通信障害が発生したことを上位ネットワークから広告する場合(通信障害が発生したことを無線基地局も近傍の他の無線基地局も認識できない場合)のシーケンス図である。本例の無線基地局、カバーエリア、端末の配置状態は、図9と同じである。
【0041】
図11のシーケンス図と図10のシーケンス図の相違点は、図10のシーケンス図のステップS65が図11のシーケンス図ではステップS75になっている点である。ステップS75について説明する。
ステップS75では、無線基地局(10-1、10-3)が対応リストを参照して無線基地局10-2が通信していた端末(30-3、30-4)を救済すべく、自身との通信を開始を試みる。ここで、無線基地局が故障していた場合、何度も同じ通信開始手順を繰り返すことになる。従って、無線基地局(10-1、10-3)は、通信開始手順を繰り返した回数を計数し、その回数が閾値を超えた時点で通信開始手順を停止し、以降の処理を行わない。その回数が閾値を超えずに通信が確立できた場合、図10で説明したステップS66以降の処理を行う。
【0042】
(実施形態2)
本実施形態の無線通信システム302の構成は、実施形態1で説明した無線通信システム301の構成と同じである。無線通信システム302は、無線通信システム301に対し次の点で相違する。無線基地局10は、自装置で作成した対応リストLstと他の無線基地局から受信した対応リストLstとを照合し(ステップS)、重複記載の端末情報を検出することをさらに行うことを特徴とする。
【0043】
図12は、無線通信システム302が行う接続リカバリ方法を説明するフローチャートである。本フローチャートは、図7のステップS03で行う作業である。本例では、図3から図5のように無線基地局が2台の場合で説明する。無線基地局が3台以上の場合も同様である。
ステップS31では、無線基地局10-2が近傍の無線基地局10-1が広告した対応リストLst-1を収集する。
ステップS32では、無線基地局10-2が対応リストLst-1と自身が生成した対応リストLst-2とを照合し、両無線基地局が故障した時に無限ループが発生するか否かを確認する。図13は、無限ループが発生するケースを説明する図である。図13では、説明を簡単にするため無線セルCeを正方形で表現しており、無線セルCe1の無線基地局30-zのカバーエリアは、無線セルCe1および隣接無線セル(Ce2~Ce9)であるとする。
【0044】
ここで、無線基地局10-xと無線基地局10-yが隣接し、カバーエリアが重複していたとする。無線基地局10-xは、対応リストLst-x
“[無線基地局10-xが故障した時]
端末s:無線基地局10-yが救済する(SSID=XXXXX、PW=XXXX)”
を持つ。
無線基地局10-yは、対応リストLst-y
“[無線基地局10-yが故障した時]
端末s:無線基地局10-xが救済する(SSID=XXXXX、PW=XXXX)”
を持つ。
この場合、無線基地局10-xと無線基地局10-yの双方が故障すると、互いに端末sと端末tを救済しようとして無限ループが発生する。
【0045】
そこで、無線通信システム302は、対応リストLst-xに無線基地局10-xが故障したときに無線基地局10-yで救済しようとする端末、及び対応リストLst-yに無線基地局10-yxが故障したときに無線基地局10-xで救済しようとする端末を、無限ループが発生する端末としてリストアップする(ステップS33)。このリスト(無限ループ発生リスト)は、各無線基地局へ通知される。
【0046】
図14は、複数の無線基地局が故障する場合の処理を説明するシーケンス図である。本例の無線基地局、カバーエリア、端末の配置状態は、図9と同じである。本例では、無線基地局10-3が端末(30-1、30-2)を救済し、無線基地局10-1が端末(30-5、30-6)を救済する場合を説明する。
【0047】
無線基地局10-1と上位ネットワーク40との通信及び無線基地局10-3と上位ネットワーク40との通信が途絶えたとする(ステップS60)。本例では、無線基地局(10-1、10-3)は端末との通信を継続しているものとする。上位ネットワーク40は定期的に行う疎通確認で無線基地局10-1及び無線基地局10-3との通信が途絶えたことを把握する(ステップS61、S62)。無線基地局10-1は端末(30-1、30-2)との通信を切断し、無線基地局10-3は端末(30-5、30-6)との通信を切断する(ステップS63)。上位ネットワーク40は無線基地局10-2の近傍の無線基地局(10-1、10-3)に無線基地局(10-1、10-3)と上位ネットワーク40との通信が途絶えたことを通知する(ステップS64)。当該通知を受けた無線基地局(10-1、10-3)は自身が故障しているか確認する(ステップS65)。故障している場合は、以降の処理を行わない。故障してない場合、データベースに保管している無限ループ発生リストを参照し、救済する端末が無限ループとなるか確認する(ステップS75)。無限ループにならない端末であれば、通信を確立する(ステップS66)。一方、無限ループ発生リストに含まれる端末であれば、以降の処理を行わない。
【0048】
(実施形態3)
実施形態1及び2では、端末の救済処理を無線基地局単位で行う形態を説明した。本実施形態の無線通信システムは、端末の救済処理を地域や無線基地局をグループ化して行う形態を説明する。図15は、本実施形態の地域や無線基地局をグループ化して端末の救済処理を行う手法を説明する図である。図15では、説明を簡単にするため無線セルCeを正方形で表現している。
【0049】
本実施形態では、地域ごとにグループGrArを形成する、複数の隣接無線基地局でグループGrAPを形成する、あるいは両グループを形成する。つまり、本実施形態では、当該グループ内にある無線基地局を1つの無線基地局とみなして実施形態1及び2で説明した救済処理を行う。このようにグループ化することで救済処理の計算量を大幅に低減することができる。
【0050】
(実施形態4)
無線基地局10の制御器14はコンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
図11は、システム100のブロック図を示している。システム100は、ネットワーク135へと接続されたコンピュータ105を含む。
【0051】
ネットワーク135は、データ通信ネットワークである。ネットワーク135は、プライベートネットワーク又はパブリックネットワークであってよく、(a)例えば或る部屋をカバーするパーソナル・エリア・ネットワーク、(b)例えば或る建物をカバーするローカル・エリア・ネットワーク、(c)例えば或るキャンパスをカバーするキャンパス・エリア・ネットワーク、(d)例えば或る都市をカバーするメトロポリタン・エリア・ネットワーク、(e)例えば都市、地方、又は国家の境界をまたいでつながる領域をカバーするワイド・エリア・ネットワーク、又は(f)インターネット、のいずれか又はすべてを含むことができる。通信は、ネットワーク135を介して電子信号及び光信号によって行われる。
【0052】
コンピュータ105は、プロセッサ110、及びプロセッサ110に接続されたメモリ115を含む。コンピュータ105が、本明細書においてはスタンドアロンのデバイスとして表されているが、そのように限定されるわけではなく、むしろ分散処理システムにおいて図示されていない他のデバイスへと接続されてよい。
【0053】
プロセッサ110は、命令に応答し且つ命令を実行する論理回路で構成される電子デバイスである。
【0054】
メモリ115は、コンピュータプログラムがエンコードされた有形のコンピュータにとって読み取り可能な記憶媒体である。この点に関し、メモリ115は、プロセッサ110の動作を制御するためにプロセッサ110によって読み取り可能及び実行可能なデータ及び命令、すなわちプログラムコードを記憶する。メモリ115を、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードドライブ、読み出し専用メモリ(ROM)、又はこれらの組み合わせにて実現することができる。メモリ115の構成要素の1つは、プログラムモジュール120である。
【0055】
プログラムモジュール120は、本明細書に記載のプロセスを実行するようにプロセッサ110を制御するための命令を含む。本明細書において、動作がコンピュータ105或いは方法又はプロセス若しくはその下位プロセスによって実行されると説明されるが、それらの動作は、実際にはプロセッサ110によって実行される。
【0056】
用語「モジュール」は、本明細書において、スタンドアロンの構成要素又は複数の下位の構成要素からなる統合された構成のいずれかとして具現化され得る機能的動作を指して使用される。したがって、プログラムモジュール120は、単一のモジュールとして、或いは互いに協調して動作する複数のモジュールとして実現され得る。さらに、プログラムモジュール120は、本明細書において、メモリ115にインストールされ、したがってソフトウェアにて実現されるものとして説明されるが、ハードウェア(例えば、電子回路)、ファームウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせのいずれかにて実現することが可能である。
【0057】
プログラムモジュール120は、すでにメモリ115へとロードされているものとして示されているが、メモリ115へと後にロードされるように記憶装置140上に位置するように構成されてもよい。記憶装置140は、プログラムモジュール120を記憶する有形のコンピュータにとって読み取り可能な記憶媒体である。記憶装置140の例として、コンパクトディスク、磁気テープ、読み出し専用メモリ、光記憶媒体、ハードドライブ又は複数の並列なハードドライブで構成されるメモリユニット、並びにユニバーサル・シリアル・バス(USB)フラッシュドライブが挙げられる。あるいは、記憶装置140は、ランダムアクセスメモリ、或いは図示されていない遠隔のストレージシステムに位置し、且つネットワーク135を介してコンピュータ105へと接続される他の種類の電子記憶デバイスであってよい。
【0058】
システム100は、本明細書においてまとめてデータソース150と称され、且つネットワーク135へと通信可能に接続されるデータソース150A及びデータソース150Bを更に含む。実際には、データソース150は、任意の数のデータソース、すなわち1つ以上のデータソースを含むことができる。データソース150は、体系化されていないデータを含み、ソーシャルメディアを含むことができる。
【0059】
システム100は、ユーザ101によって操作され、且つネットワーク135を介してコンピュータ105へと接続されるユーザデバイス130を更に含む。ユーザデバイス130として、ユーザ101が情報及びコマンドの選択をプロセッサ110へと伝えることを可能にするためのキーボード又は音声認識サブシステムなどの入力デバイスが挙げられる。ユーザデバイス130は、表示装置又はプリンタ或いは音声合成装置などの出力デバイスを更に含む。マウス、トラックボール、又はタッチ感応式画面などのカーソル制御部が、さらなる情報及びコマンドの選択をプロセッサ110へと伝えるために表示装置上でカーソルを操作することをユーザ101にとって可能にする。
【0060】
プロセッサ110は、プログラムモジュール120の実行の結果122をユーザデバイス130へと出力する。あるいは、プロセッサ110は、出力を例えばデータベース又はメモリなどの記憶装置125へともたらすことができ、或いはネットワーク135を介して図示されていない遠隔のデバイスへともたらすことができる。
【0061】
例えば、図7図8及び図12のフローチャートを行うプログラムをプログラムモジュール120としてもよい。システム100を制御器14として動作させることができる。
【0062】
用語「・・・を備える」又は「・・・を備えている」は、そこで述べられている特徴、完全体、工程、又は構成要素が存在することを指定しているが、1つ以上の他の特徴、完全体、工程、又は構成要素、或いはそれらのグループの存在を排除してはいないと、解釈されるべきである。用語「a」及び「an」は、不定冠詞であり、したがって、それを複数有する実施形態を排除するものではない。
【0063】
(他の実施形態)
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。要するにこの発明は、上位実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0064】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10、10-1~10-6、10-x、10-y、10-z:無線基地局
11:無線通信器
12:管理通信器
13:データベース
14:制御器
30、30-1~30-6:端末(無線端末)
40:上位ネットワーク、クラウド
50:管理線
100:システム
101:ユーザ
105:コンピュータ
110:プロセッサ
115:メモリ
120:プログラムモジュール
122:結果
125:記憶装置
130:ユーザデバイス
135:ネットワーク
140:記憶装置
150:データソース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16